●信じて欲しい
その島―――燕貝島は平和であった。
元は異世界であるサムライエンパイアから海洋世界であるグリードオーシャンに落ちてきた島の一つであったが、すでにその島に住まう当時の者たちはいない。
当時の者たちがいなくなったとしても、彼らの子孫や他の島々との交流で生まれた子孫たちは慎まやかながら平和な生活を送っていたのだ。
だが、そんな平和も永遠には続かない。
「これより、この島は『七大海嘯』の縄張りとする!」
次々と島に上陸してくるコンキスタドールたち。
彼らは一様にヒトデの形をした頭部をもった奇妙なる深海人たちであり、傭兵の如き人間の体は、その威圧感をさらに増していた。
スターフィッシュアーミーと呼ばれる彼らは見事な連携でもって、島へと上陸を果たしていく。
瞬く間に制圧されていく燕貝島の人々。
彼らは誰もが、彼らコンキスタドールの虐殺に合うのだと怯えながら、島の中心に集められていた。
「一人として殺してはダメよ。必ず生きたまま捕まえてきなさい」
ヒトデ深海人の傭兵部達たちにそう言って号令するのは、『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』と呼ばれるコンキスタドールである。
醜く獰猛な鮫の姿をしたコンキスタドールは、その異形の姿からは考えられないほどに優しい声色で集められた島民たちに語りかける。
「信じて欲しい。彼らはあなた達を傷つけない。彼らに生命を奪われることはないわ」
その姿とは裏腹な言葉はギャップをもたらし、島民たちは信じられないままではあったが、僅かに胸をなでおろす。
『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は頷く。
まずは信じてくれたことに。そして、獰猛な鮫の歯を剥いて笑った。
「―――そう、彼らは、ね。これでもう島民たちは全て?」
その問いかけにスターフィッシュアーミーたちは首を振る。
どうやらコンキスタドールの襲来と共に島のどこかに隠れた島民たちがいるようだった。その報告を聞いて『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』はうなずきを返す。
「ならば、全員捕らえなさい。ひとり残らず、殺さずに捕らえなさい。だって―――」
獰猛な笑みを浮かべたまま、彼女は笑う。
そう、スターフィッシュアーミーたちは島民たちを殺さない。それは嘘ではない。けれど、『彼らは』と言ったのだ。
「私が殺さないと、この醜い姿から解放されないんですもの。ああ、あと何千、何万の生命を奪えばいいのかしら―――そのためには無駄はしていけないわ。殺しそびれてはいけない。島民は効率よく、それこそ一人たりとて残してはもったいないもの」
今度こそ、島民は彼女の言葉を理解した。
自分たちがただの贄であることを。彼女―――『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』が己の願望を叶えるための、ただの生贄にすぎないことを理解したのだった。
彼女の背には翻る『七大海嘯』の旗印の一つ、『鮫牙』が禍々しく輝くのであった―――。
●七大海嘯
グリモアベースへとやってくる猟兵たちを出迎えるのは、宝龍印・ヂュイン(バオロン・f26469)であった。
「や、みんな。集まってくれてありがとう。ところでみんなは『七大海嘯』って言葉に聞き覚えはあるかな?」
ヂュインの言葉に猟兵達は顔を見合わせたかもしれない。
それはグリードオーシャンにおけるコンキスタドール……つまりはオブリビオンのことを指す。
今回彼女が予知したのは、その『七大海嘯』のうちの一つ『鮫牙』の旗印を持つ海賊旗を翻した海賊船団が、『燕貝島』と呼ばれるサムライエンパイアから落ちてきた島を制圧し、無辜の人々の生命を奪うというものであった。
「未だ、『七大海嘯』がどんなコンキスタドールであるのかはわからないんだけれど、その配下である一人『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の率いる海賊船団が、島を制圧し、島民たちを虐殺しようとしているんだ」
今はまだ島の何処かに難を逃れ隠れている島民の子どもたちを探索している途中なのだという。
どういうわけか、『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は島民たちを全て集めてからでないと彼らを殺そうとはしないようなのだ。
この機を逃すわけにはいかない。島民たちを救うために猟兵達は、強力な海賊船団と戦わなければならないのだ。
「まずは島を取り囲んでいるコンキスタドールの大艦隊と海上で戦わなければならないんだ。もちろん、あたしたちは鉄甲船を使って、大艦隊とやりあわないといけない。船を壊されてしまうと続けて戦うことが難しいから……船を守りながら、もしくは敵の船を奪ったり、乗り移ったりして戦うといいと思う」
島を包囲している大艦隊の囲いを突破し、島へと向かうには相当な困難が予想されるが、島民たちの生命を救うためにはどれだけ無茶な戦いであろうと成し遂げなければならない。
「大艦隊を突破した後は、『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』と戦わないといけない。でもね、このコンキスタドールは『今の』みんなでさえ勝機が薄いほどに強いんだ……」
伊達に魔女王は名乗っていないよね、とヂュインは冗談めかしていたが、その瞳は笑っていなかった。
強大なるオブリビオン『七大海嘯』に島を支配するように任されるコンキスタドール。打つ手はないように思われたがヂュインは首を振る。
「でもね、あたしの予知が言っているんだ。捕らえられた島民たち……彼らの協力を得られるようなことがあれば、『今の』みんなが敵わないようなコンキスタドールにだって、弱点が見つかるって」
島民たちは一般人そのものだ。
けれど、島を制圧されて生命を奪われようとしていることに抵抗しないわけがない。彼らの協力を得ることが、この強大なる『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を倒すきっかけに為るのだという。
「とても難しい事件だし、タダでは済まないかもしれない。けれど、それでも、みんな……お願い。無辜の人々が徒に生命を奪われるなんてことがあってはいけない。そんなの幸せじゃない」
そう言ってヂュインは猟兵達を転移させていく。
どれほど強大な敵であろうと、無敵に見えようとも、人々の力が集まれば無敵を超える力となるはずなのだ。
それを猟兵達は証明しなければならない。
転移した猟兵達は鉄甲船と共に大海原に飛び出す。
『七大海嘯』―――『鮫牙』の旗印が翻る大艦隊の囲いを貫かんと―――。
海鶴
マスターの海鶴です。
今回はグリードオーシャンでの事件になります。『七大海嘯』と呼ばれる強大なるコンキスタドールの配下であり、『今の』皆さんを持ってしても勝機の薄いと言われる敵を討ち、制圧された島を解放するシナリオとなります。
●第一章
集団戦です。
スターフィッシュアーミーと呼ばれる非常に連携練度の高いコンキスタドールたちと海上戦闘となります。
皆さんは鉄甲船に乗って、この大艦隊へと突っ込み、島の包囲を突破したどり着かねばなりません。
また継戦の都合上、鉄甲船を沈められてしまうと困りますので、オープニングにある通り、守ったり、逆に船を奪ったりと戦いに工夫をしなければなりません。
●第二章
ボス戦です。
島に上陸すると、この島を制圧した『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』との戦いになります。
島民たちは島の広場に集められ、『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』が元の人魚の姿に戻るための生贄にされようとしています。
オープニングにある通り、強敵です。今の皆さんでさえ勝機が薄いと感じるほどのコンキスタドールです。
ただ、島民たちの協力を得られるような行動を取ると思わぬ弱点が見つかるかもしれません。
●第三章
冒険です。
『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を倒した後、島民たちから島の中心にある水没した水中洞窟の最奥に海賊旗のメガリスがあり、それがある限り、この島に増援が次々と現れることをコンキスタドールが言っていた、という情報を教えてくれます。
この水中洞窟に挑み、海賊旗のメガリスを燃やし、破壊して『七大海嘯』の増援を、この島に呼び込むことを阻止しましょう。
それでは、己の願望のために人々を生贄に捧げようとするコンキスタドールを打倒し、平和な島を取り戻しましょう。
皆様のキャラクターの物語の一片となれますようにいっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『スターフィッシュアーミー』
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POW : 戦法『自己犠星』
レベル分の1秒で【回復する再生能力で粘りつつ、捨て身で銃弾】を発射できる。
SPD : 作戦『隠忍海星』
【近くに潜伏していた仲間達】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : メガリス銃『スリーディザスターズ』
【氷結呪詛弾】【念力誘導弾】【電撃速射弾】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
イラスト:猫背
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鉄甲船が海原を征く。
その先に見えるのはサムライエンパイアより落ちし『燕貝島』。さらにその島を包囲する大艦隊は、『鮫牙』の旗印を掲げた海賊旗が翻っていた。
「止まれ。進むならば覚悟を決めよ。これより先は『七大海嘯』の縄張りである!」
それは大艦隊より響き渡ったコンキスタドール、スターフィッシュアーミーの声であった。
だが、猟兵達は止まらない。
鉄甲船は進む。なぜなら、その先の『燕貝島』にこそ、コンキスタドールに制圧され、生命の刻限迫る人々がいるのだから。
「止まらないか。ならば、容赦しない。全艦隊、戦闘用意―――!」
一斉に島を包囲していた艦隊が動き始める。
猟兵達の乗る鉄甲船を沈めようと、『七大海嘯』、『鮫牙』の旗印の元に、その猛威を振るわんと殺到するのだった―――。
久瀬・了介
軍人とは突き詰めれば自他国問わず民間人の被害を出さない為だけに存在する。民間人の虐殺や略取は最も恥ずべき行為。綺麗事と言われようと自分にとって最後の一葉だ。譲る訳にはいかない。
傭兵気取りの賊ども。教育してやろう。
船に近寄られる前に切り込む。【雷人】使用。電磁場を纏い飛行状態に。
銃撃され難い様、海面すれすれを高速で飛び敵船へ。
船上に乗り込み、敵群へ放電。船を傷付けない程度の微弱な電撃だが、込められた【呪詛】が体を麻痺させる。
再生するのだったか。ならば怨念を二振りの軍刀に変え敵をなぎ払っていく。肉体ではなく魂を切り裂く【貫通攻撃】【精神攻撃】。
制圧し船の鹵獲を果たしたら次の船へ向かおう。
コンキスタドール『七大海嘯』の内が一つ『鮫牙』の大艦隊が猟兵達の乗る鉄甲船へと迫る。
平和な島であった『燕貝島』を包囲していた海賊船たちが次々と進路を変え、鉄甲船を取り囲もうとするのだ。たった一隻の鉄甲船と大艦隊がやり合うなど、どう考えても勝機はない。
コンキスタドールであるスターフィッシュアーミーたちも同じ考えであった。どうあがいても数滴有利は覆せない。
「恐ること無く進め。敵は一隻。あの船さえ沈めてしまえば、猟兵といえど島に上陸することは敵わない。猟兵を必ずしも倒す必要はない。船を狙え」
彼らは連携を得意とするコンキスタドールである。
仲間意識が高いが故に、メガリスを得たときも全ての仲間たちと共有してしまい、それ故に今の姿になってしまったのだ。
だが、ここに来て彼らの仲間意識、連携は脅威であった。
数で劣る猟兵達の鉄甲船を沈められてしまえば、如何な猟兵であっても本来の目的である島を制圧しているコンキスタドールから島民たちを救うことはできない。
「―――発雷」
小さく言葉が発せられた。
それは波間に消える程度の声であったが、その黒い雷をまとった姿は、まさに雷人(ライジン)。
久瀬・了介(デッドマンの悪霊・f29396)の発動したユーベルコードに寄って、彼の身体が鉄甲船から弾丸のように飛び出す。
黒き雷が放電され、電磁場をまとった了介は即座に近場の海賊船へと乗り込む。
「軍人とは突き詰めれば自他国問わず民間人の被害を出さないためだけに存在する」
黒き雷が彼の言葉を受けて放電される。
その雷は船を破壊するほどの威力を持っていなかったが、海賊船に乗り込んでいたコンキスタドール、スターフィッシュアーミーたちの身体を麻痺させるには十分であった。
「民間人の虐殺や略取は最も恥ずべき行為」
「綺麗事を言う。どんな状況であろうと、どんな言葉で飾ろうとも、生命を奪い、物を奪うのが戦争というものだ」
スターフィッシュアーミーたちが次々と捨て身の射撃攻撃を放つ。
しかし、了介の周りには電磁場が纏われている。故に弾丸の全ては彼から逸れ、あらぬ方角へと飛んでいく。
「綺麗事と言われようと自分にとって最後の一葉だ」
どれだけ、この身が呪詛に塗れ、人ならざる身へと堕したのだとしても。
それでも譲れぬ矜持が、誇り、想いがある。
それ故に己は今デッドマンとして不死の体現者のままに、人の想いを一欠片でも持って進む。
己の身のうちにあるヴォルテックエンジンが魂の衝動を受けて莫大なる電流を生み出す。その溢れんばかりの黒き雷は次々とスターフィッシュアーミーたちを穿ち、その身を麻痺させていく。
「譲るわけにはいかない。傭兵気取りの賊共……」
黒き雷による呪詛によって動けなくなっているスターフィッシュアーミーたちは次々に捨て身の如き突撃を了介に繰り返す。
その姿はたしかに『死ね』と命令された兵士と同じ行いであった。
確かにアーミーと名乗るだけのことはある覚悟であろう。自身を捨てて、他者を守る。お互いがそれをすれば、即ち相互に威力を増していく鏃となって敵の喉元に突き刺さる強靭なる弓矢であろう。
だが、その戦いを了介は認めるわけにはいかなかった。
「―――教育してやろう」
手にするは、エクトプラズムが物質化した軍刀。
振るう二振りの軍刀がスターフィッシュアーミーたちの肉体ではなく魂を次々と切り裂いていく。
その姿はまさに軍神そのものであった。
海賊船に乗り込んでいたコンキスタドールたちがどれほどいようとも関係ない。黒き雷と共に軍刀を振るい、敵を無力化して海賊船を後にする。
更に別の海賊船へと乗り込み了介は次々と、コンキスタドールの包囲網を突き崩していく。
鉄甲船の進路を塞ぐもの全てを切り裂く弾丸の如き黒き雷は、稲妻のようにグリードオーシャンの海を明滅させるのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
アルフレッド・モトロ
個人的な因縁により鮫は絶対容赦しねぇ
平和を脅かすオブリビオンは特に許さん!
覚悟しろ下っ端のヒトデ野郎!
と息巻きつつ参戦!
鮫は色々あって苦手なんだ
【水中戦】【水中機動】には自信がある
海に飛び込んで、水中から攻撃を仕掛けたい
UCで味方を守る渦と敵を攻撃する渦を出来るだけ沢山起こす!
敵船同士をぶつけ合ったり、ひっくり返したり、軌道をそらせたりして徹底的に邪魔してやるぜ
また、味方の鉄甲船とその上に乗る仲間の猟兵たちに有利なよう、渦を運んで潮の流れを作ろう
鉄甲船に飛んでくる攻撃は、渦を立ち上げて【かばう】で防御だ!
あと、手近な敵船の底を【ワンダレイ・アンカー】で【串刺し】にして沈める
(連携アドリブ歓迎)
空を征き、海賊船団を切り裂いていく者もあれば、水中より襲来する者もまたある。
それは海洋世界であるグリードオーシャンにおいては、もっともポピュラーな戦い方であった。
だが、だからといって全ての海賊船に、その対策が取られているかと言われたのならば、否である。
「くっ―――すでに第一陣が突破されたか。だが、奴らのユーベルコードにも限界があるはずだ。対空射撃を怠るな」
海賊船に乗り込んでいるコンキスタドール、スターフィッシュアーミーたちが猟兵による攻撃を受けて、たじろぐ。
こちらは圧倒的な数での有利を確立しているのにも関わらず、猟兵たちは恐ること無く大艦隊へと突っ込んでくるのだ。
彼らの船である鉄甲船が沈んでしまえば、海の藻屑となるのは目に見えている。だというのに、猟兵たちは恐れを知らぬかのように大艦隊へと攻撃を仕掛けてくるのだ。
故に彼らが狙うのは、猟兵達の船―――鉄甲船のみ。
「猟兵達に構うな。やつらの船さえ沈めてしまえばいい」
スターフィッシュアーミーたちは次々に自分たちの持つ火器を鉄甲船へと向ける。一斉に放たれた弾丸がまさに大波のように猟兵達の乗る鉄甲船に迫る。
だが、その弾丸は全て鉄甲船へと届くことはなかった。
「さあ、ここからが "クライマックス" だ!」
その快活なる声がグリードオーシャンの波間に響き渡る。
同時に生まれた巨大な渦潮が、コンキスタドールたちの乗る海賊船を捕らえ、彼らの火器の射線が鉄甲船からそれてしまったのだ。
その渦潮も一つや二つではない。
次々とこの海域に生まれる渦潮たち。それはまるで鉄甲船と海賊船を分かつように発生し、容易に鉄甲船へと近づくことすらできなくなってしまう。
今まさにこの海域は―――狂騒海域(ライオット・イン・ブルー)とも言うべき荒れ狂う姿へと変貌を遂げる。
それがたったい一人の猟兵の持つユーベルコードによって為されたものであると、コンキスタドールの誰もが考えることはなかった。
「個人的な因縁により鮫は絶対容赦しねぇ。平和を脅かすオブリビオンは特に許さん!」
渦潮が生まれる瞬間に響いた快活なる声と同じであった。
その声は渦巻く海域の中……その海中から響き渡っていた。そこにあったのは、一人の猟兵にして、マンタ型の帽子をかぶったようなキマイラの姿だった。
彼こそが、アルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)。
飛空戦艦ワンダレイの艦長である。
彼がユーベルコードによって生み出した渦潮が多発する海域は、海賊船の移動を阻み、けれど鉄甲船の動きは俊敏に為るように仕向けられていた。
「覚悟しろ、下っ端のヒトデやろう!」
色々在って鮫は苦手であるアルフレッドにとって、今回の戦いは捨て置いておけぬものであった。
息巻きつつ参戦した彼の力は凄まじかった。
海域そのものの環境を激変させるユーベルコードに寄って、海という限定された状況と相まって、彼の力は数的有利を覆すに不可欠な一手となった。
海賊船たちは渦潮に巻き込まれ鉄甲船の包囲を崩し、ある船は転覆してしまうほどであった。
「鉄甲船に乗っている仲間たちには手を出させやしねぇ!」
砲撃されたとしても、渦潮から海水が渦のように立ち上がり、その砲弾を受け止める。鉄甲船は徐々に島へと近づいている。
「なら、後は数を減らすだけだな―――くらいやがれよ!」
アルフレッドの手から放たれるは、飛空戦艦ワンダレイに備え付けられた錨。
その地獄の炎でも溶けることのない強靭なる錨の一撃は、海賊船の船底を割り、また竜骨をひしゃげさせるには十分な威力を持って、次々と海賊船を海の藻屑へと変えていく。
水棲のキマイラである彼にとって、海の中は己の庭である。
次々と鉄甲船に迫る海賊船を沈め、鉄甲船の進路を確保していく。彼のユーベルコードによってコントロールされた渦潮は、海賊船の包囲を突き崩していくのであった―――。
成功
🔵🔵🔴
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
勝手に縄張りにしておいて酷い言いようだ
開き直った居座り強盗ほど滑稽な者はいないと思うがどう思う?
俺はすでに滑稽という自覚持ちだから問題ない
敵船に【足場習熟】【ジャンプ】で飛び移り、敵を【挑発】
注意を引き付けてから【怪力】【力溜め】【鎧無視攻撃】を使いながらUCで攻撃する
その後も【船上戦】の技術と【戦闘知識】で大立ち回りをしながら船を【略奪】
【運転】【操縦】で敵船を他の敵船にぶつけ、最後に銀腕を【武器変形】し【重量攻撃】や【串刺し】で自分の乗っている敵船を破壊
再び【足場習熟】【ジャンプ】を使い、ぶつかった敵船に移動して戦う
猟兵達の乗る鉄甲船は徐々に『燕貝島』へと近づいていく。
その進路を遮るようにして展開していた『七大海嘯』のうちが一つ『鮫牙』の海賊船の大艦隊が黒き弾丸の如く飛来する猟兵と海原に生み出した渦潮によってコンキスタドールの乗る海賊船を次々と沈め、また鉄甲船の進路にある障害を取り除いていく。
だが、コンキスタドール、スターフィッシュアーミーたちもまた強力なコンキスタドールの配下であることは間違いない。
発生した渦潮を巧みな操船で躱し、鉄甲船へと迫る。
接近を許せば数で劣る猟兵たちにとって不利に働く。コンキスタドールたちには未だ継続して戦える船は数多あるものの、猟兵たちにとっては鉄甲船だけが島へと上陸するための手段であるからだ。
「―――勝手に縄張りにしておいて酷いいいようだ」
そうつぶやくのは、ルイス・グリッド(彷徨う海賊・f26203)だった。
コンキスタドールたちが島に接近する自分たち猟兵に向かってはなった言葉が、今も彼の心をささくれるように苛立たせる。
その苛立ちのままにルイスは鉄甲船の甲板上を駆け抜ける。
助走をつけたルイスが船先から、敵海賊船へと飛ぶ。通常の人間であれば、それは無策無謀であったことだろう。
「まさに飛んで火に入る夏の虫というやつだな」
飛び移ろうとした海賊船からコンキスタドール、スターフィッシュアーミーたちが銃口を構えている。
どれだけ猟兵が強かろうが、飛び移る時は無防備である。それがわからぬルイスではなかったであろう。
弾丸が雨のようにルイスへと降り注ぎ、彼の身体を貫く。
確かに敵船へと乗り込んで、コンキスタドールを叩きのめすのは有効な手段であったことだろう。だが、それは無事に乗り込めたのなら、の話だ。
「ふん、戦いのなんたるかもわからぬ輩が―――ッ!?」
スターフィッシュアーミーたちの声色が変わる。
火器によって蜂の巣にしたはずのルイスの身体がどこにもない。次の瞬間、そのヒトデの頭がひしゃげる音が響き渡る。
「開き直った居座り強盗ほど滑稽なものはいないと思うが、どう思う? ……ああ、もう聞こえては居ないか」
それはルイスがスターフィッシュアーミーの背後から放った一撃必殺為る拳の一撃。
何故、とスターフィッシュアーミーが思うまもなく、揺れる波間の船上で見事な足さばきでルイスは次々とスターフィッシュアーミーたちを霧散し、骸の海へと還していく。
何故、というスターフィッシュアーミーたちの疑問に答えることはない。
あれだけの弾丸に晒され、確実に彼を仕留めたはずであるのに、ルイスは五体満足の儘―――それこそ何事もなかったかのように動けているのか。
「な、何者だ、お前―――」
その問にルイスは答えない。
答える代わりに拳をくれてやっているのだ。大立ち回りの最中に問答をする方が愚かであるというように、ルイスは次々と拳を振るう。
そう、彼はデッドマンである。不死の体現者であればこそ、弾丸など意味を為さない。彼の体は傷ついたとしても、再生していく。
死の先を征く者にして、乗り越えた者。それこそがデッドマンであればこそだ。
「まるで押し入り強盗だな。ああ、俺はすでに滑稽という自覚持ちだから問題ない」
ルイスは自嘲気味に笑うと、船上の全てのコンキスタドールたちを打倒し、海賊船のコントロールを奪う。
すでに知識として海賊船を運用することなど造作もない。それは隣接する海賊船に、奪った海賊船をぶつけ、その衝突の衝撃のどさくさに紛れて新たなる得物となった海賊船へと飛び込んでいく。
彼の銀色をした義手である流体金属が変形し、銛のように自身が奪った海賊船に穴を開け、自沈させると不敵に笑う。
「海賊だからといって奪われることはないということは……考えてはいないよな。むしろ、奪われて当然のはずだ。さあ、遠慮はいらない。奪えるものなら奪ってみるといい」
ただし、一欠片とて奪わせることはしない。
そういう様に、新たに飛び込んだ海賊船に銀の腕が振るわれる。
その一撃一撃がコンキスタドール、スターフィッシュアーミーの頭部を穿ち、彼らを骸の海へと還していく。
どれだけ此処が『七大海嘯』の縄張りであろうと、関係ない。
島も、島民たちの生命も、何もかも奪わせはしない。その決意と共に銀腕がルイスの意志を受けて圧倒的な力を見せつけるのであった―――。
成功
🔵🔵🔴
マチルダ・メイルストローム
いやぁいい渦だ! 他の奴らも派手にやってるみたいだね!
それじゃあたしもいくとしようか。『鮫牙』だかなんだか知らないが……あたしより偉そうな奴は全員ぶっ殺す!
あたしも敵船に切り込んでいきたいところだが……出遅れちまったものは仕方ない。今回は船の守りをしとこうか。
あたしも海に飛び込んで、海中を潜伏しながら鉄鋼船を攻撃しようとするヒトデどもの相手をするよ。
見るからに水陸両用って感じだが……海中でこのあたしと戦ろうなんざ甘いんだよ!
【アクアティック・プレデター】を使用、秘宝「シー・ミストレス」で牽制しながら『水中軌道』で敵の銃弾を避けつつ接近して、秘宝「メイルストローム」で『怪力』任せにたたっ切る!
すでに『七大海嘯』の縄張りと化した『燕貝島』へと猟兵達の乗った鉄甲船が進む。
島を包囲していた『七大海嘯』の配下であるコンキスタドールの海賊船の大艦隊が迫るも、猟兵達の活躍に寄って順調に包囲を突破しつつあった。
すでに何隻もの海賊船を沈め、今やこの海域は猟兵達に味方した渦潮によって、圧倒的な数的不利を覆す状況へと傾こうとしていた。
それでも尚、海賊船たちは健在であり、コンキスタドールであるスターフィッシュアーミーたちは猟兵達を海の藻屑へと変えようと攻撃を仕掛けてくるのだ。
「奴らの船は一隻のみ。あれさえつぶしてしまえば、猟兵達に島へと至る道筋はない。奴らを止めるには船を破壊するしかない」
猟兵達の力はコンキスタドールのスターフィッシュアーミーたちをして驚異的なものであった。
ならば、彼らは数で勝るものの正攻法では猟兵達を止められないと判断し、次々と海へと静かに飛び込んでいく。
鉄甲船に乗る猟兵達や、飛び出して海賊船を次々と破壊していく猟兵達にとって、海中より迫るスターフィッシュアーミーたちは脅威に他ならなかった。
「いやぁ、いい渦だ! 他の奴らも派手にやってるみたいだね!」
マチルダ・メイルストローム(渦潮のマチルダ・f26483)は、その気風の良い声を上げながら、先行した猟兵達の戦いぶりに手を叩いた。
彼女の名乗る通り名の通り、今まさにこの海域は渦潮が多数生まれていおり、それら全てが猟兵に味方していた。
故に上機嫌になるのもうなずける。
「それじゃ、あたしもいくとしようか。『鮫牙』だかなんだか知らないが……」
そう、これより相まみえるコンキスタドールは『七大海嘯』と呼ばれるコンキスタドールの配下の一人。
今の猟兵をして勝機が薄いとまで言わしめた強敵であるのだ。だが、マチルダにとって勝機が薄いだとか、あるだとか、そんなことはどうでもよかったのだ。
彼女が戦う理由はお宝のため。
そして―――。
「あたしより偉そうな奴は全員ぶっ殺す!」
そう、たったそれだけなのだ。
彼女は逸る気持ちを抑え、敵海賊船へと飛び込むのを踏みとどまった。
出遅れた、ということもあるのだが、それ以上に彼女は気になっていた。彼女もまた海賊と呼ばれる者である。
故に、こんな時……つまりは敵の勝利条件と、自分たちの敗北の条件を正しく理解していた。
猟兵達の攻撃をコンキスタドールであるスターフィッシュアーミーたちは単体では止められない。
ならば、自分たちの足にして土台である鉄甲船を沈めようとするのは当然のことであった。
「今回は船の守りをしとこうか!」
そのまま船より海原へと飛び出す。それは彼女の言葉とは裏腹な行動であったのかもしれない。
けれど、それは彼女の行動の真意を理解していないということにほかならない。迫るコンキスタドールが今、派手に行われている船上での戦いに猟兵達が気を取られている間に何を為すのか、彼女はしっかりと把握していた。
海中へと飛び込み、セイレーンである彼女ならではの戦いを開始する。
「わかりやすいねぇ! あんたたちは!」
マチルダの読み通り、スターフィッシュアーミーたちが海中より鉄甲船に迫っていた。猟兵達の不意をついて、船底から奇襲し、鉄甲船を破壊しようとしていたのだ。
だが、その目論見はマチルダという海賊を敵に回した時点で潰えていたのも同然であった。
「我々の作戦が看破されていただと―――だが、ここは海中。我らの戦場であれば!」
ヒトデの頭を持つ深海人であるスターフィッシュアーミーたちが次々と海中よりマチルダを襲う。
彼らにとってマチルダは人の形をした水中に適していない相手に思えたのだろう。
「……海中で、このあたしと戦おうなんざ、甘いんだよ! 海賊が水中で戦えないはずがないだろ?」
アクアティック・プレデターの如きマチルダの華麗なる海中で乱舞が始まる。
手にするは秘宝『シー・ミストレス』。
その弾丸は海中にあっても地上と同じように弾丸を放つことのできる銃である。弾丸は水中であることを忘れたようにスターフィッシュアーミーたちを穿つ。
さらに接近すれば、海流を操る力を与える湾曲した剣が閃き、ヒトデと人型の肉体を切り離し、霧散させる。
それこそが彼女の持つ秘宝『メイルストローム』。
彼女の通り名の由来ともなった凄まじき力である。海中に在りて、マチルダはまさに渦潮の如く鉄甲船を奇襲ようとしたコンキスタドールたちを捕らえ、斬り捨て、霧散させていく。
その海中無双たる戦いぶりは、その武勇を持ってコンキスタドールたちを恐れさせるには十分であった―――。
大成功
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ガーネット・グレイローズ
グリードオーシャンにやってきて半年あまり…
この世界での仕事もようやく軌道に乗ってきたところなんだがな。
どうやらコンキスタドールの大勢力が動き出したらしい!
敵の艦隊に立ち向かうには、島の人々の協力が不可欠だ。
まずはあの兵士たちを片付けて、島民を救出しよう。
【灰薔薇の旗の下に】を発動し、武装した兵士を強襲用宇宙船から
降下させる!
兵士は《空中戦》技能を用い、アームドフォートによる《砲撃》を
かけながら接近。船に侵入したら、各員フォースセイバーによる
《切り込み》を行い制圧せよ。
私もマン太を呼び出し、背中に乗って海面を泳ぎながら
(《遠泳》《水中機動》)クロスグレイブによる《援護射撃》をかけよう。
グリードオーシャンにおける海洋貿易は発展の一途を辿る。
それは今まで島同士の交易はあれど狭い範囲にすぎないものであった。けれど、猟兵達の到来と鉄甲船などによる島と島を繋ぐラインは強固なるものとへと変わっていっていた。
それは未だグリードオーシャンへの転移が不安定である猟兵たちにとっても有益なものであった。グリードオーシャンの海図が広がっていけば、それだけグリモアによる転移の確実性は増し、この海洋世界における事件を未然に防ぐことも可能になる。
そうして現れたのが今まさに猟兵達が戦う『七大海嘯』である。
「グリードオーシャンにやってきて半年あまり……この世界での仕事もようやく軌道に乗ってきたところなんだが」
ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は飼っている巨大なオニイトマキエイのマン太と共に海面に浮かびながら、猟兵とコンキスタドールの戦いへと赴く。
彼女はスペースシップワールドの新航路開拓を支援するための輸送業を行う会社を設立しているのだが、最近ではグリードオーシャンにも進出し、海上の交易を活性化させる事業にも乗り出していたのだ。
「どうやらコンキスタドールの大勢力というのが『七大海嘯』……七大というからには七つの派閥があるのだろうが、そのうちの一つ『鮫牙』の勢力……その配下の一人の艦隊というわけか」
ガーネットの視線の先には先行した猟兵たちが渦潮を生み出し、黒き弾丸のように空を舞い、海賊船を奪い鎮める姿があった。
海中からの奇襲をも防いだ猟兵達を海賊船の艦隊を操るコンキスタドール、スターフィッシュアーミーたちは歯噛みするように次々と戦力を猟兵達の乗る鉄甲船へと集中させる。
鉄甲船は猟兵達を島へと運ぶには必須。沈められるわけにはいかないのだ。
「敵の艦隊を倒し、『鮫牙』の配下のコンキスタドールを討つためには島の人々の強力が不可欠だ。まずはあの兵士達を片付けて、島民たちを救出するとしよう……マン太、いくよ」
そう言ってガーネットは己を背に乗せるマン太の頭をなで、己はユーベルコードを発動させる。
「今こそ闇の中より蘇れ、我が血族よ…」
ガーネットの掲げた手より現れるは、灰薔薇の旗の下に(アンダー・ザ・フラッグ)集いし、グレイローズ家の紋章掲げし強襲宇宙船であった。
その中には精鋭私兵たちがフォースセイバーとアームドフォートで武装し、ガーネットの号令を待っている。
「さあ、存分に戦おう。これは人々のための戦いだ。存分に力を振るうといい」
次々と強襲宇宙船より降下していく精鋭私兵たち。
アームドフォートを装備した彼らは次々と砲撃を行い、海賊船からコンキスタドールであるスターフィッシュアーミーたちが放つ牽制の電撃速射弾を物ともせずに甲板上に取り付く。
フォースセイバーへと武装を切り替えた兵士たちがスターフィッシュアーミーたちを次々と斬り捨て、制圧していく。
その流れるような制圧劇は精鋭の名と灰薔薇の紋章に恥じぬものであった。
「私も仕事をしないとね」
マン太の背でガーネットは海上を高速で移動しながら、巨大な十字架をもしたビーム砲塔デバイスより放つ砲撃に寄って、海賊船を沈める私兵たちの援護に回る。
猟兵達の圧倒的な数的不利は徐々に覆りつつある。
ガーネットの呼び出した強襲宇宙船から未だに降下する私兵たちは絶えず、まるで爆撃しているかのように海賊船は制空権を取られ、何もできぬままに沈められる運命を辿るしかなかった。
「鉄甲船はまだ無事か。このまま島へと上陸できれば……」
未だ海賊船の艦隊の鉄甲船を囲う包囲網は破れていない。けれど、それも時間の問題だ。
ガーネットの懸念はまだまだある。
ここで時間を食っていては、島民たちを全て捕らえた後で殺害するという『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の目的を達成されるのも時間の問題だ。
だからこそ、ガーネットは己の私兵を投じてでも艦隊を打ち破ることに注力したのだ。
「―――グリードオーシャンの安全な航路確保のために、まだまだやらないといけないことがあるんだ。こんなところで躓いてなんていられない」
ガーネットの視線は未だ到達できぬ『燕貝島』を見据え、これから訪れる強敵との戦いの予感に瞳を光らせるのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡みも歓迎!
ね~ね~まだ着かないの~?
んもー
しっつこいな~
じゃあもうちょっと数を減らそうか!
『餓鬼球』くんたち、よろしくー!
海に餓鬼球くんたちをどっぱどっぱ放って船といわず兵隊くんといわずみんな”丸呑み”にしてもらうよ!
鉄甲船の進路上の敵や船を優先で!ボクって賢い!
船に取り付いたり這いあがってくる元気くんがいたらボクもUCを使って決闘だー!
よくきたね!遊んであげる!
ん~この船もっとスピード出ないの~?じれったい~!
よーし!じゃあ餓鬼球くんもう一仕事お願いするね!
船を後ろからぐーーんって押して加速させてよ!
このままドーーーーンッ!と突っ込もう!
え、座礁しちゃう?ストップストップ!
「ね~ね~まだ着かないの~?」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)の声が猟兵とコンキスタドールの戦い続く『七大海嘯』の縄張りと化した『燕貝島』周辺の海域に響いた。
猟兵達の乗る鉄甲船は、徐々にであるが海賊船の大艦隊の包囲網を破りつつ、コンキスタドールに制圧された『燕貝島』へと近づきつつあった。
けれど、ただ闇雲に海賊船を沈めればいいというわけではない。
正面で海賊船が沈めば、それを回避しなければならないし、とにかく鉄甲船の進みはロニにとっては遅々たるものであったのだ。
それに猟兵達の進行を阻まんとするコンキスタドールたちもまた、そう簡単に進ませてはくれないのだ。
「ここが踏ん張りどころだ。やつらを島に上陸させない。鉄甲船は沈める。それさえなせれば、如何に猟兵だろうとこの海では手も足も出まい」
海賊船からコンキスタドール、スターフィッシュアーミーたちが次々と弾丸を放ち続ける。
「んもー。しつこいな~……じゃあ、もうちょっと数を減らそうか!」
そう言ってロニが掌から離したのは凶暴な歯が並ぶ浮遊球体群。
次々と浮遊し、その凶暴なる歯と顎でもって海賊船たちを丸呑みにしていってしまう。鉄甲船の進路上にあるものを次々と丸呑みにしてけば、鉄甲船の進み具合も早くなるだろう。
「こうすれば、進路はクリア! ボクって賢い!」
ロニは笑いながら、浮遊球体群である『餓鬼球』を操作し、抵抗するスターフィッシュアーミーたちをも丸呑みにさせていく。
だが、彼らとてコンキスタドールである。次々と『餓鬼球』の内部から捨て身の弾丸を放ちながら突破してくる。
鉄甲船に取り付き、上がってくるスターフィッシュアーミーたち。
「よくきたね! 遊んであげる!」
そういう展開を望んでいたのかも知れないほどにロニは笑って、這い上がってきたスターフィッシュアーミーたちを神撃(ゴッドブロー)でもって一撃の下に霧散させる。
その一撃は海を割り、凄まじい衝撃で持って彼らを吹き飛ばす。
遊んであげると彼はいったが、それは蹂躙そのものであったことだろう。スターフィッシュアーミーたちは捨て身の特攻をしてもなお、鉄甲船にダメージを与えるという役割を果たすことができなかった。
「ん~この船もっとスピード出ないの~? じれったい~!」
航路の障害が取り除かれても尚、鉄甲船のスピードが上がらないことに業を煮やしたロニが強攻策に出る。
それは操作する浮遊球体群を鉄甲船の背面に集め、背中を押すようにして押し出すのだ。
鉄甲船が波間をかき分け、凄まじい勢いで一直線に進む。
だが、それは言ってしまえば、敵群の中に頭から突っ込むようなものであった。
「このままド―――ンッ! と突っ込もう!」
神らしい大雑把なやり方であったが、他の猟兵達の戦いのおかげで海賊船の数が減っていたことが幸いした。
それでも未だ海賊船の包囲網は解かれていない。岩礁に乗り上げる危険性だってあるのだ。
「え、挫傷しちゃう? ストップストップ!」
慌てて鉄甲船の前面に浮遊球体群を集め、ブレーキを掛ける。間一髪のところで沈められた海賊船の残骸の手前で鉄甲船が止まる。
あのまま突っ込んでいたら、船底を傷つけていたかも知れない。
「危ない危ない。ふぅ~」
人の作る船っていうのは、なんとも危なっかしいなぁ、とロニは思いながら、大分ショートカットできた『燕貝島』への航路に満足気に頷く。
未だかの島は制圧されたままだ。
あの島に座すコンキスタドール、『七大海嘯』の配下である『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の実力が放つ圧力は、これだけ離れた位置であってもロニの肌を灼く。
確かにグリモア猟兵の言う通り、一筋縄では今の猟兵達であっても勝てない。
その言葉が真実味を帯びて、ロニたち猟兵の直感へと突き刺さるのであった―――。
大成功
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トリテレイア・ゼロナイン
『七大海嘯』…強大なコンキスタドールであろうと、その配下であろうと騎士として為すべきは変わりません
一刻も早く島を解放し島民を救うのみです
…強大な相手である以上、闇雲に戦うことは絶対に避けなくてはなりませんが
この規模の大艦隊ですと騎士として戦うのは望めませんね
故郷の対艦戦の戦法が求められます
水中用装備の上にUCを装着
●水中戦と水中機動能力を更に向上させ海中から敵艦隊に接近
対艦砲ランスの射撃で船底に大穴を開け、ランスを●怪力で振るい竜骨をへし折り戦艦を撃沈
これを繰り返し
落下した海星兵士をセンサーでの●情報収集で検知
誘導魚雷(●誘導弾)で腕を吹き飛ばし再生中に対艦砲●スナイパー射撃で消し飛ばし掃討
鉄甲船は波を割るようにして、『七大海嘯』と呼ばれるコンキスタドールの配下である『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の制圧した『燕貝島』へと向かう。
けれど、コンキスタドールたちも猟兵達を迎え撃ち、数多の猟兵達の活躍に寄って、それらを全て退けていた。
この鉄甲船こそが猟兵達にとっての命綱でもある。沈められてしまえば、『燕貝島』へとたどり着くことはおろか、元世界へと撤退することも難しい。
それに加えて、『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は今の猟兵達の技量を持ってしても勝機が薄いと言わしめるほどの強力なコンキスタドールである。
だが、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)にとって、それは問題ではなかった。
「『七大海嘯』……強大なコンキスタドールであろうと、その配下であろうと騎士として為すべきは変わりません。一刻も早く島を開放し、島民を救うのみです」
アイセンサーが海賊船の大艦隊の状況をつぶさに観測していく。
先行した猟兵達の活躍もあって、鉄甲船を包囲していた海賊船も少なくなってきている。それに島へとだいぶ近づいて来ている。
強大な敵だからこそ、闇雲に戦うことは得策ではない。それだけは絶対に避けなくてはならないとトリテレイアは考えていた。
「この規模の大艦隊ですと騎士として戦うのは望めませんね……」
ならば、トリテレイアが取れる択は一つである。
そう彼の故郷であるスペースシップワールドの対艦戦法である。彼の電脳に収められていたドクトリンのデータを即座に解凍し、データをロードしていく。
トリテレイアの機体が、海中へと飛び込む。
敵が艦船であるというのならば、上空からの爆撃が有効であろう。だが、船上には多数のコンキスタドールであるスターフィッシュアーミーたちが弾幕を凄まじい勢いで張る。
その弾幕をかいくぐるのは時間のロスにほかならない。ならば、トリテレイアは海中より彼らの船を攻めるのだ。
戦機猟兵用全環境機動型大型標的攻撃試作装備(プロトマルチアームドフォート・イェーガーカスタム)を身にまとい、トリテレイアは海中を矢のように凄まじき勢いで駆け抜ける。
「本職ではありませんが、真似事程度のものであれば―――!」
その手には対艦砲の付いた槍。そして、自身の機体を覆う高機動形態へとドッキングを果たす。
水中での挙動はすでにデータとリンクして習得している。後は、それを実行に移すだけである。
海賊船の船底めがけて放たれる対艦砲ランスが大穴を開け、振るった怪力は恐るべき力で持って海賊船の竜骨をへし折る。
それは単純作業に見えたかも知れないが、恐るべき戦術であった。
「効率的かつ、こちらの損害は軽微に。海上にあって己達以外の脅威を知り得ぬ貴方たちにとって、下からの攻撃は予想していないでしょう」
それはコンキスタドール、スターフィッシュアーミーたちにとって己達にのみ許された戦法であったはずだ。
だが、今此処にそれを為すことのできる猟兵がいることを懸念していなかったのが、彼らの敗因だ。
海賊船が沈み、次々と海中へと投げ出されてくるスターフィッシュアーミーたちを誘導魚雷が吹き飛ばす。
致命傷にならなくとも、トリテレイアの巨大ユニットとドッキングした武装の豊富さであれば、彼らにトドメを指すことなど容易であった。
掃討。
その言葉がしっくり来るほどにトリテレイアの活躍は獅子奮迅なるものであった。敵を討ち漏らすことなく、そして、脅威となる海賊船を次々と沈める。
「これで、5つ。残敵の索敵―――」
海中を駆ける機械騎士は、その兵器としての正しき姿を表すように、その猛威をふるい続けるのであった―――。
大成功
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ギヨーム・エペー
船上で防衛するよりはー……撹乱かな
知性がある分簡単な挑発には乗ってくれないだろうし、釣るためにも一隻沈めてみよう
動力源目指して、騎乗するバイクで突っ込んでみる。体当たりで破壊できなかったら火の魔術を放つかー
海上では運転技術で波をクライミングしたりして足場を保つ
潜伏したやつは……太陽、海はきみの庭だろう。制裁としてビンタでもしてきたらどうだ? そのあとはおれがバイクで轢く
あとは今後のために船の確保、か。バイクで上陸する前に投げ槍で少し数を減らしておく。船への被弾は気をつけながらね
しかしどう乗っ取るかなー……水責めして凍らせるか?
グリードオーシャンの波が飛沫を立て、風が潮を褐色の肌へと打ち付ける。
今や『燕貝島』周辺の海域は戦いの最中にあった。激しくぶつかる猟兵達の乗った鉄甲船と、それを包囲し沈めようとするコンキスタドールの海賊船の艦隊。
圧倒的な数的不利を猟兵達は己達の持てる力によって、覆してきた。だが、それでもまだ『七大海嘯』と呼ばれる強大なるコンキスタドールの配下の一人である『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の海賊船艦隊は猟兵達の乗る鉄甲船を沈めようと、執拗に食い下がるのだ。
「船上で防衛するよりはー……撹乱かな」
ギヨーム・エペー(日に焼けたダンピール・f20226)は海上を駆け抜けるオフロードバイク、パステークを疾走させながら、鉄甲船へと集まってくる海賊船たちを見やる。
この海賊船を操っているのはコンキスタドール、スターフィッシュアーミー。彼らは仲間意識の強いコンキスタドールである。メガリスを発見したときも皆、一緒に手にするものであるから、全員がコンキスタドールへと変貌してしまったという経緯すらある。
故にこちらの簡単な挑発には乗ってはくれないであろうとギヨームは判断したのだ。撹乱するために水上を駆けるオフロードバイクは、地上にあっても変わらぬ速度で飛沫を上げる。
「釣るためにも一隻沈めてみせよう―――」
撒き餌と一緒だ。
ここに自分がいると。脅威となる猟兵がいると示さなければ、釣れるものも釣れない。魚だって一緒だ。魚にも種類がある。疑似餌、撒き餌、仕掛け、様々な魚に対応するのが人の知恵であるというのならが、コンキスタドールと相対するギヨームにとって、それは戦略であった。
一直線に海上で助走をつけたオフロードバイクが海賊船の一隻に狙いをつけて突っ込む。
それは体当たりという原始的な戦法であったが、海賊船の土手っ腹に大穴を穿つには十分であった。
「―――っと! 流石にこれだけじゃだめか。なら!」
単身ギヨームは海賊船へと突っ込み、動力源に火の魔術を放ち炎上させる。巻き込まれては敵わないとユーベルコード、ゴットスピードライドによって変形させたオフロードバイクが炎上する海賊船から飛び出す。
その卓越した運転技術に寄って停まってしまえば海中に沈むしか無いオフロードバイクを沈ませること無く波を利用し、バンクの如く扱っては空へと舞い上がる。
「猟兵、よくも我らの船を!」
海中より鉄甲船を狙おうとしていたコンキスタドール、スターフィッシュアーミーたちが次々とギヨームを狙って海中より飛び出してくる。
「ほら、釣れた。太陽、海は君の庭だろう」
水の精霊がギヨームの言葉に応えて、海水で生成された巨大なる掌でギヨームへと飛びかからんとしていたスターフィッシュアーミーたちを海面へとはたき落とす。
そこへオフロードバイクに騎乗したギヨームが跳ね飛ばすように轢き、彼らを骸の海へと還していく。
「あとは今後のために船の確保もしておこうか……」
魔力で生成した長柄の氷銛を手にし、未だ無事である海賊船の甲板上に存在するコンキスタドールたちを穿つ。
少しでも数を減らし、制圧した時に船への被害を抑えるためだ。
「しかしどう乗っ取るか―――……太陽よ。水責めとか……」
水の精霊が答える。
海水が盛り上がり、大波のように海賊船の一隻を飲み込めば、即座にギヨームのはなった氷銛が飲み込んだ海水毎コンキスタドールを氷漬けにする。
これならば、船体へのダメージはなくコンキスタドールを氷漬けにして無力化することができる。
「少しやりすぎた気もするけれど……まあ、これはこれでいいよな」
氷漬けになった海賊船が海水へと落ち、盛大な水しぶきを上げながら浮かぶ。
それを見やりながら、ギヨームは己の魔力の操作をもっと細かく調整するべきであったかもしれないと反省する。
だが、反省会も生きて還ってこそだ。
これよりギヨームたち猟兵が挑むは『七大海嘯』の一つ『鮫牙』の旗印を掲げた元にある強力無比なるコンキスタドール『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』なのだから―――!
大成功
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第2章 ボス戦
『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』
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POW : オーシャン・メイクアップ
【テンションを上げて一時的に元の人魚の姿】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【威力の、触れると海水になる氷の飛礫】を放ち続ける。
SPD : インビジブル・ノーチラス
非戦闘行為に没頭している間、自身の【周囲に溢れる膨大な海水】が【深海並みの水圧を持った障壁となり】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ : シャーキング・デスブレイク
召喚したレベル×1体の【屈強な鮫】に【相手を捕らえる頑丈な縄】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
イラスト:V-7
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠アコニィ・リード」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
海賊船艦隊の包囲を突破した猟兵たちの乗る鉄甲船が『燕貝島』へとたどり着く。
上陸した猟兵たちが見たのは、コンキスタドールに捕らえられ島の広場に集められた島民たちと、今まで見つからなかった島民の子どもたちが捕らえられ、釣れてこられる場面であった。
島民全てを捕らえてから、一緒くたに虐殺するという『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の行動原理を知れば、今が最後のチャンスであった。
ここをおいて遅れてしまえば、島民たちの犠牲は免れない。
グリモア猟兵は言った。
『今の』猟兵の技量であっても、『七大海嘯』の配下のコンキスタドールには勝機が薄いと。
これまで数多の強敵たちを倒してきた猟兵であっても、『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の放つプレッシャーは凄まじきものであった。
じわりと汗が浮かぶかもしれない。
けれど、猟兵達は諦めるわけにはいかない。人の生命がかかっている。助けを求める者がいる。
たったそれだけが戦う理由足り得る。
故に猟兵達は駆け出すだろう。そして、またグリモア猟兵の言葉を思い出す。
「捕らえられた島民たち……彼らの協力を得られるようなことがあれば、『今の』みんなが敵わないようなコンキスタドールにだって、弱点が見つかるって」
それは天啓のように猟兵達の頭に浮かんだ言葉であったことだろう。
捕らえられた島民たちには、『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を、島民全てが捕らえられるまで見ていたことだろう。何か猟兵に気が付かぬことを知っているかもしれない。
もしかしたのならば、思わぬ弱点を露呈させるかもしれない。
全ては猟兵達の手腕にかかっている。
今、決死の戦いが始まろうとしていた―――。
ルイス・グリッド
アドリブ歓迎
たとえ敵わなくても俺はデッドマンだ、簡単には倒れない
居座り強盗のお前なんかに絶対に屈してやらない
時間は幾らでも稼ぐから、気がついた事を教えてくれ
大丈夫だ、言ったとしても貴方方に指一本触れさせない
【勇気】と【覚悟】を持って挑む
【怪力】【武器改造】【戦闘知識】【鎧無視攻撃】でUCを使いながら攻撃
攻撃されれば銀腕を盾にして【激痛耐性】を駆使しながら【盾受け】したり【早業】で回避
島民達に被害が及ばないように【挑発】【おびき寄せ】を続けて隙をみて【情報収集】
弱点が分かれば【限界突破】してそこを重点的に攻撃する
「人とは、生命とは愚かなもの。奪われるとわかっている生命であるというのに圧倒的強者に抗おうとする」
それはとても無駄なこと、とコンキスタドール『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は、その醜悪でありながら獰猛なる姿のままつぶやく。
それはこの島、『燕貝島』の島民たち全てが集められた広場の光景を見て、飛び込んできた猟兵に向けた言葉であった。
力の差は歴然である。
これまで何度も己以上の強敵と戦ってきた猟兵だからこそわかる。
あのオブリビオン、コンキスタドールはこれまでのコンキスタドールとは一線を画する存在であると。
そのプレッシャーは尋常ならざるものであったが、ルイス・グリッド(彷徨う海賊・f26203)は恐れなど知らぬとばかりに広場に集められた島民たちと『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』との間に割って入った。
放たれた魔術で生み出された氷の弾丸がルイスの体へと放たれ、その体を散々に撃ち抜く。
鮮血が飛び、ルイスの口から溢れ出る血が、圧倒的力量差を物語っていた。
「たとえ敵わなくても俺はデッドマンだ―――」
血に塗れた口元を拭いながら、ルイスは立ち向かう。
そう、どれだけ傷を広げられようともルイスはデッドマンである。簡単には斃れない。
「居座り強盗のお前なんかに絶対に屈してやらない」
「私の前に姿を現したこと、敬意を評しましょう……と、思っていたけれど、私を居座り強盗と誹るのはいただけない。私は君臨者。そこらの物取りと一緒にされては―――不快よ」
頭上より放たれるは氷の礫。
それは常にルイスの頭上から降り注ぐ。徹底的に、集中的に。徐々に彼女のテンションが上がってきているのだろう。
醜い獰猛なる鮫の姿は徐々に変貌していき、本来の人魚の姿へと変わっていく。これこそが、彼女の本来の姿であろう。
だが、ルイスは思っていた。
見目が麗しくとも、その中身は変えられないと。銀の腕を立てにして耐えてはいるが、それでも回避することが難しい。
元々島民たちに氷の礫が向かぬようにと挑発したのが、今の現状を引き出した原因だ。氷の礫がルイスの体を散々に打ち貫く。
貫くだけならいい。
デッドマンである彼の体は再生する。けれど、貫かれず半端に残った氷の礫が水へと変わりルイスの体を内部から激痛を持って痛めつけていく。
「グッ―――!」
「あ、あんた、そんなぼろぼろになるなんて……! 俺たちのことはいい、逃げてくれ!」
島民たちの声が聞こえる。
自分が守らなければならない者たち。その声を聞いて痛みは意識の彼方へと飛ばされる。今、自分がしなければならないことを思い出した。
それは痛みに耐えることでもなければ、勇気を奮わせることでもない。
「だいじょうぶ、だ―――じ、かんはいくらでも、かせ、ぐから……ヤツについて、気がついた、ことを教えて、くれ」
氷の礫がルイスの胴を、足を、腕を貫く。けれど、屈しない。退かない。その不退転の覚悟と勇気は、島民たちの背を押すには十分だった。
「言ったとしても、貴方、方には―――指一本、ふれさせ、ない―――!」
眼前には益々持ってテンションの上がった『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』が本来の姿へと戻っていく。
美しい人魚の姿。
そこで島民の声が聞こえる。ルイスは不敵に笑う。
本当にどうしようもない状況だ。
敵は強敵であり、あちらの攻撃は苛烈そのもの。だが、島民たちは言ったのだ。
『怒れば怒るほどに、獰猛な姿はなくなって、強靭な鮫の体から、柔らかい人魚の肌に変わっていっている』
確かに、とルイスは思った。
鮫は強靭なる生物である。それ故に半端な攻撃は鮫の体躯に阻まれ届かないだろう。だが、今は違う。高揚した『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は本来の脆弱なる人魚の乙女の姿に戻っている。
「―――本来の姿に戻っていっていると思っていたが―――なんだ、思いほか、鮫の姿と変わらず」
ルイスは笑った。否。嗤った。
「―――醜いな」
その一言が『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の逆鱗に触れた。
瞬間、テンションのボルテージは最高潮に達し、本来の姿、鮫の姿はどこにもない。ただの人魚の姿に戻ってしまった嘗ての鮫魔術を行使する脆弱さが露呈する。
「私を醜い、だと―――!」
激高した瞬間、それがあまりにも致命的な行いであると彼女は理解しただろうか?
いや、できないであろう。
過去の化身は成長しない。故に、安易な挑発に乗ってしまうのだ。
「ありがとう。それで十分だ」
この拳で。ルイスは銀の腕を硬く握りしめる。その拳は一撃必殺。
放たれた拳が『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の顔面に振り抜かれ、その体を広場から突き放すように吹き飛ばす。
その凄まじき一撃は、確かに彼女へと痛手を負わせた。
ルイスは徐々に再生していく傷の痛みを噛み殺しながら、己が守りきった島民たちに感謝するように拳を天に突き上げるのであった―――。
大成功
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久瀬・了介
漲る殺意と怨念を抑え込む。この場には保護すべき人々がいる。理性を手放すな。
【雷霆】。先程同様黒い雷を纏う。但しこのUCは攻撃特化。高圧電撃で攻撃。
海水の障壁に阻まれるなら敵の技を分析する。専念、集中による絶対防御か。即ち攻撃時は防御出来ない。
隙を作る必要がある。水壁に向かって電撃。水を弾けさせ轟音を立て、その間に敵に聞こえない様に人々に質問。
「挑発する。何を言われたら奴が怒るか分かるか?」容姿へのコンプレックス等。アドリブ歓迎。
ヒントを貰ったら挑発。怒って攻撃しようとしてきた瞬間が勝負。
音速の数百倍、雷の速度の【早業】。首に付けたアンプリファイアで電力を【限界突破】させた電撃で海水をぶち抜く。
猟兵のはなった拳の一撃は、確かにグリモア猟兵をして『勝機の薄い強敵』と言わしめた『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の顔面を捉え、島民たちを捕らえていた広場から盛大に吹き飛ばした。
「ガッ―――! ぐ……私の顔を……! よくも、私の顔を―――!」
吠えたけるコンキスタドールの顔は、すでに人魚のものではなく、元の獰猛で醜悪なる鮫そのものとなって、己の感情を発露させた。
同時に、それが彼女の弱点であることを露呈したのだが、怒りの感情をコントロールするために叫び続ける。
それはアンガーコントロールとも呼ばれるものであり、己の傷を癒やすために『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の周囲には深海より溢れた海水が壁のようにそそり立つ。
深海そのものの高圧の障壁となった、その中で『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は叫び続ける。
己へと傷をつけた猟兵を一人残らず許さないというように咆哮し、激高すればするほどに己の弱点である元の姿が露呈するのを防ごうとしたのだ。
そこへ久瀬・了介(デッドマンの悪霊・f29396)が駆け抜ける。
雷の速度を与える電界を纏い、その圧倒的さ速度で持って『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を守っている深海の障壁へと拳を叩きつける。
だが、その水圧はデッドマンである了介の拳を逆にひしゃげさせるには十分すぎるほどの高度を持っていた。
漲る殺意が、痛みを忘れさせる。ひしゃげた拳に何の感情も沸かない。今、目の前にいるのは、己の欲した敵であり、コンキスタドールであり、オブリビオンだ。
強敵である。
そうグリモア猟兵は告げた。『勝機が薄い』とも。だからなんだというのだ。己の身のうちから湧き上がる殺意は関係ないと吠えたける。
殺さなければならない。過去の化身であるオブリビオンは、一つの例外なく殺さなければならない。
それだけが魂の衝動となってヴォルテック・エンジンから膨大な電流となってほとばしるのだ。
だが、了介にとって今はその衝動を、怨念を抑え込む。
此処に在るのは己とオブリビオンだけではない。島民たちが捕らえられているのだ。彼らはなんだ? 己に問いかける。
「彼らは―――保護すべき人々」
ならば、理性を手放すな。
そう自分に言い聞かせ、了介は高圧の海水による障壁から一旦距離を取る。
敵のユーベルコードであることは間違いない。この強固な障壁の中で、猟兵から与えられた傷を、そして露呈した弱点を隠そうとしているのだろう。
「専念、集中による絶対防御か。即ち、攻撃時は防御できない」
ならば、どうするか。
デッドマンであることが了介にとっての最大のアドバンテージであるのならば、この身は如何様にも戦うことができる。
だが、隙を作る必要がある。
電撃が腕から放たれ、海水を凄まじい爆音と共に弾けさせる。真水であるならばともかく海水である以上、不純物にまみれているであろう。
盛大な音が響き渡り、きっと障壁内の『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』にはこちらの意図は伝わっていないだろう。
了介はその間に振り返り、捕らえられている島民たちへと言葉を投げかける。
「……挑発する。何を言われたら奴が怒るか、分かるか?」
彼の言葉に島民たちが先程の出来事を伝えてくれる。
それは即ち、怒りのボルテージによって姿が変わる『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の容姿であった。
「さ、さっきの人が、言ってた……醜い、って。あの、人魚の姿になったら、そう言ってて……」
「なるほどな……容姿へのコンプレックス……ではなく、あえて元の姿を煽ったか。助かった」
そう言って応えてくれた島民の子どもたちに礼を告げ、了介は駆け抜ける。
障壁が解除され、鮫の獰猛なる姿のままの強靭なるコンキスタドールの姿が現れる。
「こそこそとなにか企んでいるようだけれど、無駄よ。猟兵。私は貴方たちよりも強い。どれだけ策を弄そうとも、何もかも無駄。どうせ散る生命ならば、私が有効に活用するべきだと―――」
そう思わなくて? と『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』が嘯く。
けれどそれをもう了介は聞いていなかった。
「発雷」
首元の増幅器が電気信号を増幅させる。
ヴォルテックエンジンが魂の衝動を電力に変え、その力を何倍にも増幅させる。それはデッドマンである了介の体をしても耐えきれる量ではない。
ほとばしる電撃が空気の層を打ち破る音が響き渡る。けれど、そんな中でも了介は冷ややかによく通る声で告げた。
「先程見ていたが……お前が人を殺すのは元の姿に戻りたいからだろう。だが、垣間見えたお前の姿は―――そうだな。今の姿と対してかわらない。見た目も、中身も、かわらない。醜いままだ」
それは決定的なものであった。
変わらない。どれだけ容姿が優れていようとも、その中身が腐りきっている。己の醜さを取り繕うために誰かの生命を犠牲にして良しというその心根は、醜悪なる鮫の姿以上に醜い。
一瞬で沸騰したかのように『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の姿が人魚の姿に戻り、魔術の弾丸が了介へと放たれる。
だが、それはどれも彼に当たることはなかった。
代わりに空気の層を高速でぶち破り、音速を越えた速度でもって踏み込んだ了介の拳が彼女の眼前に迫っていた。
幾重にも紡がれた海水の障壁。
しかし、それが何に為る。放たれたる拳の一撃は今や雷霆(ライテイ)そのものである。
首元の増幅器が凄まじき勢いで電流を過剰に供給する。その明滅はまさに落雷と同じであったことだろう。
海水が撃ち抜かれ、その拳が再び『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を捉える。ほとばしるように電撃が放たれ、その身を焦がして吹き飛ばした。
「―――……右手が、損壊した、か」
海水の障壁を打ち破って尚、届かせるための限界を超えた一撃は、了介の拳を脱落させた。
黒焦げになって、未だ腕がつながっていることが奇跡である。
だが、それでもデッドマンは死なない。
どれだけ体を損失しようとも、魂の衝動が脈打つ度に蘇る。まだ、オブリビオンを残らず殺していない。
ただそれだけで十分だというように、その胸のヴォルテックエンジンが轟くように唸りを上げた―――。
大成功
🔵🔵🔵
ガーネット・グレイローズ
私はこの世界に、ただ財をなすために来たわけじゃない。この世界の人々に、希望をもたらすためだ!ガーネット商会の代表として、燕貝島の皆さんに勇気と知恵を貸していただきたい。必ずそれに報いてみよう!
マン太の背に乗り、革袋から取り出したのはシルバーコイン。
この銀貨は私にとって単なる貨幣じゃない…グリードオーシャンの人々と心を通わせ、信頼を掴み取ってきた証だ。コインに念を込めてUC発動、敵のあらゆる強化を打ち消す槍に変えて空中に浮かべる。それを《念動力》で操って飛ばし、鮫の群れを攻撃!
どうした、もう終わりか!?
敵が挑発に乗ればこちらのもの、無防備な人魚の体に魔槍とクロスグレイブの《砲撃》を打ち込むぞ!
海洋世界グリードオーシャンにおいて交易とは島と島を繋ぐだけでなく、文化の交流も行われるものである。
数多の異世界から落ちてきた島で出来上がった世界であるがゆえに、文化もまた多種多様だ。新たな文化と文化の出会いは、さらなる文化の飛躍を見せる。
故に交易を志すガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)にとって、グリードオーシャンにやってきた目的は本来の交易を為す者とは違うものであった。
「私はこの世界に、ただ財を為すために来たわけじゃない。この世界の人々に、希望を齎すためだ!」
彼女の言葉は広場に捕らえられていた『燕貝島』の人々の顔に浮かぶ絶望が、その言葉によって僅かであるが拭われた。
『七大海嘯』の配下であり、強力なコンキスタドールである『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は先行した猟兵からの攻撃を受けて痛手を追っている。
どれだけ強大な敵であろうと付け入る隙はあるのだ。
弱点のない敵など存在しない。それを猟兵達は証明してきた。その言葉を忌々しげに『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』はガーネットを睨めつける。
「希望などないわ。どこにもね。けれど、絶望を際立たせるためには存在している。それが希望という光よ。光は闇を色濃くする。貴方たちが、島民たちに見せたのは陽炎の如き希望。それがどんなに罪深いことかわかって?」
醜悪であり獰猛でも在る鮫の姿のまま『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は屈強なる鮫を召喚する。
それは頑丈なる縄をつけ、ガーネットや島民たちを捕らえようとする。
あの縄に捕まってしまえば、ガーネットと言えど脱出は不可能である。一般人である島民たちであればなおさらであろう。
飛翔する鮫たちが一斉にガーネットへと放たれるも、ガーネットは慌てることなく、巨大なオニイトマキエイ、マン太の背に乗り、革袋からシルバーコインを取り出す。
「だ、ダメだ! あの姿じゃ、あいつには攻撃が効かない! 人魚の姿じゃないと!」
ガーネットは島民たちの言葉に頷く。
彼らから得たのは知識だ。
グリモア猟兵をして、今の猟兵であっても勝機が薄いと言わしめた強敵である。けれど、確かに弱点は存在していた。怒らせること。テンションというなのボルテージが上がると、『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は姿を元の人魚の姿へと変える。
それは確かに彼女がもとより望んでいた姿であったが、今の鮫の如き姿は頑強そのものであり、猟兵達に対しても無敵と思わせるほどの力を発揮していた。
だが、島民たちの言葉によって、そのほころびを猟兵達は知ったのだ。人魚の姿であれば攻撃が通る。
「―――皆さんに勇気と知恵を貸して頂いた! ならば、私は必ずそれに報いてみよう! 『武器庫』よ、異界兵器の一つ<節制>を解禁する権利を求める…開門せよ」
念を込めた銀貨が弾かれ、宙を舞う。
その銀の閃きが解錠するは、終末異界兵器「XIV:節制」(ワールドエンドウェポン・テンバランス)―――あらゆる存在の強化・変身を強制解除する魔槍。
そして、革袋の中にあった銀貨たちが一斉に空中へと舞い上がれば、同じ魔槍が浮かぶ。
「この銀貨は私にとって単なる貨幣じゃない……グリードオーシャンの人々と心を通わせ、信頼を掴み取ってきた証だ」
ガーネットの瞳に光が灯る。
それはユーベルコードの輝きであり、人々の絶望を拭おうとする希望の光だった。例え、希望が絶望の闇を色濃くする光であったのだとしても、光しかない人間は存在しない。必ず心に闇を抱えているものだ。
ならば、要は中庸。バランスが大切なのだ。強い光だけじゃない。弱い光だってあるだろう。ならば、ガーネットは掲げる。
彼女の理念、信念がいつでも人々の心に宿るであろう不安であったり恐怖であったりを振り払う。
「―――これが私のやろうとしていることだ!」
放たれる無数の魔槍たちが屈強なる鮫たちを貫き、次々とユーベルコードを解除していく。
強制解除された鮫たちが空を飛ぶこともできずに次々と地面へと堕していく。
「どうした、もう終わりか!? 魔女王を名乗ったところで、地力がこの程度か!」
その挑発は易い挑発であるとガーネットも自覚していた。
けれど、今の『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は、それですら乗ってしまう。なぜなら、彼女は無敵であったはずなのに、二度も猟兵に土をつけられているのだ。
挑発であるとわかっていても、激昂してしまう。
さらに醜悪なる鮫の姿になってまで得た鮫魔術の真髄を尽く無に帰すようにガーネットが打ち破ったのもあるのだろう。
「―――知った口を!」
その激昂は、彼女の姿を人魚のものへと変える。
あまりにも短絡的であった。挑発に乗るべきではなかった。ガーネットは、その一瞬でほとぼりを冷ますであろう『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の隙を逃さなかった。
「ああ、知った口だ。だが、十分だ―――!」
放つは魔槍。
次々と無防備な人魚の姿に魔槍が突き立てられる。どれだけ今から冷静になろうとも、あらゆる強化・変身を強制解除する魔槍の効力より逃れられることはない。
「言っただろう。私はガーネット商会の代表として、希望を齎すためにやってきたのだと! これが―――!」
巨大な十字架をもした砲塔デバイスが空に舞う。
クロスグレイブを掲げたガーネットが空より放つビームの閃光が、『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の無防備なる本来の姿を打ち貫く。
その光景はまさに希望の光のようであったことだろう。
閃光が『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を包みこみ、爆風を生む。
「私達猟兵が齎す希望だ」
ガーネットはビームの閃光から引き起こされた爆風を背に、此処に新たなる信頼を掴み取るのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ギヨーム・エペー
……圧が凄いな。無駄口叩く隙もなさそうだ
先陣を切ってくれた者がいるから、その分応えねえと、なあ?
女王でなく、鮫と……捕縛か! そう易々と釣られるわけにはいかないが、飛び回るかー
なあ、きみ。そう。きみだ島の人
きみの視界にあれはどう映る。おれの死角であの鮫はどういった行動を示したか、知らせてくれないか?
特にあの縄の動きだ。規則性など気づいたことがあれば、頼む
おれが死んだらきみは死ぬ。だからおれは死なないし、負けないよ
気づきを得るまでは耐久戦だ。被弾は避けられないだろうが、身動きを制限される縄には最大限に注意を払う。……チャンスは一瞬だろうな
もし女王サマに謁見叶うならば、人中目掛けて殴打したいもんだ
爆風とともにビームの柱が空へと立ち上る。
それは猟兵たちと島民たちが紡いだコンキスタドール『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』との攻防の軌跡であった。
グリモア猟兵をして今の猟兵たちであったとしても『勝機が薄い』と言わしめた『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を今や追い詰めている。
「私の邪魔をする猟兵……! 私が『七大海嘯』のうちが一旗、『鮫牙』の陣営に属するものと知っても尚、立ち向かってくる。それが絶望の未来への先延ばしだと何故わからないの? それでも尚、私を討つというのなら」
彼女の凄まじきプレッシャーが戻ってくる。
怒りに我を忘れ、元の人魚の姿に戻っていたが、冷静さを取り戻し獰猛な鮫の姿へと再び変ずる。
「……圧が凄いな。無駄口叩く隙もなさそうだ」
ギヨーム・エペー(日に焼けたダンピール・f20226)は己の肌を灼くような凄まじき重圧を感じながらも、コンキスタドールと対峙する。
どれだけの強敵であっても関係ない。
どうあっても『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は島民たちを傷つけ殺すつもりである。言葉でどれだけ絶望を煽ろうともギヨームにとって、それは関係のないことだった。
なぜなら。
「先陣を切ってくれたものがいるから、その分応えねえとなあ?」
そう、すでに強敵と言わしめたコンキスタドールに真っ向から戦いを挑み、その弱点を露呈させた猟兵たちが居た。
彼らに報いるためにもギヨームは退くつもりなどなかったのだ。
「愚かな。そこまでして絶望の死を望むというのなら!」
鮫魔術によって召喚される屈強なる鮫たち。強靭な縄を身に着けた鮫たちがギヨームを無残にも引き裂き、噛み切らんと迫る。
その強靭な顎、鋭い牙歯。
あれに組み付かれたのなら、ひとたまりもない。
「なあ、きみ。そう。きみだ。島の人」
ギヨームは背にかばった島民たちの一人に声を掛ける。
「きみの視界にあれはどう映る」
「こ、こわい。とても怖い鮫……あと、な、縄が……」
島民の子どもたちが言う。幼い声。背に負っているせいで姿はわからないけれど、不安に震えているのだろう。声が震えている。
「おれの死角であの鮫はどういった行動を示したか、知らせてくれないか? 特にあの縄の動きだ。規則性など気づいたことがあれば、頼む」
そんな彼らにこんなことを頼むのは申し訳ないと思う。けれど、ギヨームは彼らを護るために彼らに頼らざるを得ない。
どうあがいても己一人ではあのコンキスタドールには敵わない。
「おれが死んだらきみは死ぬ」
当たり前だ。ここで猟兵が斃れてしまったら島民を護るものはいなくなってしまう。だからこそ、ギヨームは笑って振り返る。
己の生命と他社の生命を天秤に掛けた時、どちらが傾くかなんて知らない。けれど、今まさに奪われようとしている命があるのなら、それを放っておくことなどできやしないのだから。
「だからおれは死なないし、負けないよ」
魔力から生成された氷の槍が一斉に空に舞い上がる。それは屈強なる鮫たちを迎撃するギヨームのユーベルコード。
「―――穿て、氷花」
放たれた氷の槍が空中で鮫と乱舞する。
穿ち、砕かれ、引き裂き、折られ。ギヨームの背に負った島民たちを護るためにギヨームは集中する。召喚された鮫たちの数は多い。どうあがいても此方の放つ氷の槍と相殺はできないほどに強力な魔術なのだ。
「気づきを得るまでは耐久戦だ……!」
次々と氷の槍が砕かれていく。何度も何度も血が滲むほど拳を強く握り締めて集中する。
氷の槍が全て噛み砕かたれた瞬間、島民の子どもたちが叫ぶ。
「早く動く槍にしか鮫が、向かってない!」
そう、それは考えてみれば当然のことであったのかもしれない。
あの召喚された鮫たちは捕縛するための縄を備えている。ならば、乱舞するように素早く投擲される氷の槍めがけて向かうばかりで、己達には向かってこない。
その言葉を聞いた瞬間ギヨームの瞳に再びユーベルコードの輝きが灯る。
「それさえわかれば!」
Prune des neiges(プリュネデネージュ)。氷の花の如き槍が再び生み出される。それはギヨームの体を覆うように一直線に空を駆け抜ける。
素早く動くものに反応して捕らえようと襲い掛かるのが、鮫魔術に寄って召喚された屈強なる鮫であるというのならば。
「このまま一気に突っ込む……チャンスは一瞬」
氷の槍を攻撃ではなく防御のために使う。襲い来る鮫たちが氷の槍を砕く。けれど、次々と氷の槍が即座にギヨームを覆って隠す。
まるでトンネルのような道をギヨームは駆け抜け、『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』へと血の滲むほどに力強く握られた拳を振るう。
「謁見なんていう柄じゃあないが、そう易々と釣られるわけにはいかないんだ―――おれは、釣りを楽しむ側なんだからな!」
放たれた拳が『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の顔面を捉え、渾身の力で持って彼女を吹き飛ばす。
紡いだユーベルコードによって体の消耗は凄まじい。
けれど、倒れることはしない。そうなってしまえば、彼らとの約束を反故にしてしまう。だからギヨームは振り放った拳よりも渾身の力で立ち続ける。
そうすることで不安に塗れた島民の子どもたちの表情が明るくなると信じて、振り返らぬままにコンキスタドールと対峙し続けるのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
マチルダ・メイルストローム
ん~、なるほどね。大体分かった。
めちゃくちゃ強いって聞いちゃいたが……あぁ、案外大したことはないみたいだね?
と、怒らせて人魚の姿にするまでがまず一つ。お次はあの飛び回るのを叩き落とすとしようか。
【シー・ミストレス】を使用、秘宝「シー・ミストレス」を真の姿である巨大な海竜に変化させるよ。この姿になったこいつは凶暴でね。特に目の前をチョロチョロ動き回ってると狙われやすい……そんな速さで飛んでりゃ真っ先に狙われるさ。
弱い威力の飛礫なんぞこうなったシー・ミストレスの耐久力にゃ通りはしない。シー・ミストレスに叩き落させたところで姿を銃に戻して空中でキャッチ、そのまま敵に鉛玉を撃ち込んでやるよ!
叩きつけられた拳の一撃は重たいものであった。
それは覚悟の拳であったし、何よりもコンキスタドール『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の持つ鮫魔術の隙を付いたものであった。
それは猟兵たちだけで為し得たものではない。島民たちの言葉、そして、それを信じて実行に移した猟兵達だからこそ為し得た結果であった。
「―――ガッ……! 私の、この顔に何度も傷を……!」
一つは、『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は高揚すると強靭なる鮫の姿たから、脆弱なる元の姿―――人魚の姿に戻ってしまうという弱点。
もう一つは、放つ鮫魔術の欠点。素早く動くものにしか反応せず、捕らえようと誘導されやすいこと。
それらは全て島民たちの助言から見出すことのできたものである。
「ん~、なるほどね。大体分かった」
マチルダ・メイルストローム(渦潮のマチルダ・f26483)は、先行した猟兵達、そして島民たちの助言を全て聞き入れた上で頷く。
どれだけグリモア猟兵をして『勝機の薄い強敵』と言われようとも、マチルダにとって、弱点が存在している敵というものほど恐るに足らぬものはなかった。
故にその瞳に恐怖は一片も浮かばず、どれだけ『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』が凄まじき重圧を発しようとも一歩も引き下がることはなかった。
己は海賊である。
後退するということは誇りを失うということと同義である。
ならばハッタリでもなんでもいい。使えるものは全て使って敵と対峙する。そして、それを討ち果たすことだけを考えるのだ。
「めちゃくちゃ強いって聞いちゃいたが……あぁ、案外大したことはないみたいだね?」
その言葉は、普段の『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』であれば受け流すことのできた言葉であったことだろう。
だが、これまで積み重ねてきた猟兵たちの戦いに置いて、彼女は冷静さを失っている。この程度の言葉でも十分……いや、安い挑発だからこそ見過ごすことができなくないっていた。
「―――ほざいたな、猟兵!」
激高する『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』。その姿はすぐに本来の人魚の姿に戻り、その身を飛翔させる。
共として浮かばせるは氷の礫。圧倒的な数であるのは、それが凄まじき強敵であるが故だろう。
だが、マチルダは不敵に笑った。
「暴れてきな!」
マチルダの持つ秘宝『シー・ミストレス』が巨大な海竜へと姿を変貌させる。
その荒れ狂う姿は、まさしく海の暴君そのものであった。
わざと怒らせたのには訳がある。そう、この巨大な海竜『シー・ミストレス』は本来の理性を失って、早く動くものを無差別に攻撃し続ける。
超攻撃力と超耐久力を兼ね備えた怪物は、圧倒的な力を持って空を己の海であるとばかりに駆け巡る。
「この姿になったこいつは凶暴でね……特に目の間をチョロチョロ動き回ってると狙われやすい……」
「―――馬鹿な、メガリス自体が变化する……!?」
驚愕する『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を尻目に圧倒的な威容なる姿を持って海竜『シー・ミストレス』が空を舞うように彼女を狙い続ける。
「そんな速さで飛んでりゃ真っ先に狙われるさ」
マチルダの言葉通り、シー・ミストレスは、ユーベルコードに寄って飛翔する『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』だけを狙い続ける。
こうなってしまえば、しつこいというどころではない。
逆にユーベルコードを解除してしまえば、弱体化したところをマチルダに狙い打たれる。どうあがいても空を高速で、それこそシー・ミストレスより早く飛び続けるしかないのだ。
牽制のように放った氷の礫。
「弱い威力の飛礫なんぞ、こうなったシー・ミストレスにゃ通りはしない。やっちまいな!」
咆哮するシー・ミストレスの長い尾が『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を強かに打ち据え、大地へと失墜させる。
マチルダが解除されて銃の姿に戻ったシー・ミストレスを空中で掴み、瞬時のその照準を合わせる。
「敵を倒す弾丸ってぇのは、こうやって放つもんなんだよ―――」
引き金を引き、放たれるは秘宝『シー・ミストレス』の弾丸。
その弾丸は過たず、人魚の姿となって弱体化した『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の体を打ち貫くのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
剣と盾の●武器受け●盾受けで氷の飛礫から島民を●かばい
格納銃器の●乱れ撃ちスナイパーで●武器落とし
皆様、ご安心を
騎士としてお守りいたします
どうか、私達にあの悪しき鮫を討ち倒す知恵の刃をお授け頂きたいのです!
(怒り…特に容姿に関する挑発は騎士として避けたいところですが…長期戦は不利)
『混沌鮫魔女王』と自らを尊称しても、そうも宙を泳ぎ回っては威厳を損なうばかりかと
それとも、美貌を余人に見せつけたいのですか?
この一時だけという焦燥は隠した方が良いかと
歪んでおりますよ
怪力で大盾を目潰しとして投擲
盾の陰に隠しUC操縦し敵捕縛
『釣り上げ』引き寄せ剣を一閃
島民脅かすその醜き性根、臓腑と共に晒すと良いでしょう
銃声が『燕貝島』に響き渡る。
その一撃は猟兵が放ったものであり、その一撃を持って空を飛翔していたコンキスタドール『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は失墜させられる。
氷の礫を全て防がれ、それでも尚『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は立ち上がる。その姿は弱体化した人魚の姿から、元の強靭なる鮫の姿へと戻っていた。
やはり一撃一撃は加えられても、弱点をずっとそうやって晒し続けることはない。それが強者所以たる精神力であるのだろうとトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は理解した。
「ぐ、く―――此処まで、私が追い詰められる、なんて」
あってはならぬことである。
そういうかのように『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の瞳が爛々と狂気に輝く。『七大海嘯』のうちが一つ『鮫牙』の配下たる自分が、自分よりも劣る猟兵達に遅れをとることなどあってはならぬこと。
だというのに、猟兵達は己の弱点を的確について攻撃してくる。ならば、猟兵にとっての弱点とはなんだ?
そう、それは簡単なことだったのだ。
自分にとっての利が猟兵にとっての弱点。即ち、島民だ。飛翔し、上空より放つは氷の礫。猟兵にとっては弱い威力の攻撃であっても、一般人である島民たちにとっては違う。
決定的な致命の一撃なのだ。空より飛来する礫が島民たちを襲う。
だが、それをトリテレイアはスラスターを吹かせながら、礫が放たれる瞬間に合わせて大盾で全てを受け止める。
装甲板がひしゃげ、ボコボコに歪んでいく。だが、それでもトリテレイアは構わなかった。
「皆様、ご安心を。騎士としてお守りいたします。どうか、私達にあの悪しき鮫を打ち倒す知恵の刃をお授けいただきたいのです!」
島民たちを狙った氷の礫を防ぎ、トリテレイアは着地する。
彼の背後には護るべき島民たちがいる。彼らがなにか気がついたことがあれば、それが、かの強敵の弱点となるであろうということはすでに理解していた。
矢継ぎ早に先行した猟兵たちの戦いで得た情報を島民たちが伝える。
「怒り……特に容姿に関する挑発……」
しかし、それは騎士を信条とするトリテレイアにとっては、避けたいものであった。だが、長期戦となるのも不利である。
彼の背後には護るべきものがあり、これを奪うことが『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の目的であるのならば、トリテレイアが為さなければならないのは短期決戦にほかならない。
「―――『混沌鮫魔女王』と自らを尊称しても、そうも宙を泳ぎ回っては威厳を損なうばかりかと。それとも―――」
それは騎士としては不遜なる態度であったことだろう。
仮にも王と名のつく者に対して、騎士としてのトリテレイアは抵抗を感じる。だが、電脳は合理的な判断を齎す。
「美貌を余人に見せつけたいのですか?」
その言葉は醜悪で獰猛なる鮫の姿となった『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の逆鱗に触れる言葉であった。
だが、彼女とてコンキスタドール。猟兵たちの挑発に何度も乗るわけにはいかない。
だというのにトリテレイアは二の句を告げる。
「この一時だけという焦燥は隠した方が良いかと……歪んでおりますよ」
どれだけ取り繕うとも、その表情が醜く歪んでいることまでは隠し通すことなどできない。その心理を見透かし、突くのは騎士道に反するのだとしてもトリテレイアは合理的に物事を考え、捉えていた。
それはどうしようもないほどの侮辱。
「私の今の姿を美貌と言ったか―――!」
怒りが頂点に達し、その姿が元の姿の人魚の姿に変貌する。その一瞬で良かった。氷の礫に寄ってひしゃげた大盾を投げつける。
それは投擲と呼ぶにはあまりにも不格好なものであった。
だが、その盾の影に隠れ、迫るは両腰部稼働装甲格納型 隠し腕(通常拘束モード)(ワイヤード・サブ・アーム・ノーマルスタンモード)。
ワイヤー制御によって放たれた隠し腕が、投げつけられた大盾を振り払った『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の体に巻き付き、電流でもってその体を拘束する。
絶叫が響き渡る。
しかし、それで終わるわけではない。ワイヤーを引きちぎらんと宙を舞う『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を圧倒的な膂力で釣り上げるようにして引き寄せたトリテレイアの剣閃の一撃が、その体を一刀両断する。
「島民を脅かすその醜き性根、臓腑と共に晒すと良いでしょう―――」
トリテレイアは両断し、大地に伏した『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を見下ろし、剣を突きつけた。
「ふ、ふふ―――今回は私の負け、でしょうが、『鮫牙』は負けていない。私が此処で消えたとしても、次なるコンキスタドールが現ることには代わりはない。絶望の先延ばしと言ったでしょう。この島めがけて次々と増援が来るわ。もうどうしようもないのよ」
不敵に笑いながら、その体が崩れていく。
骸の海へと還っていくのだが、トリテレイアは動揺しなかった。
「―――だからといって戦わぬ理由になっていません」
大成功
🔵🔵🔵
第3章 冒険
『揺蕩う蒼き洞窟の彼方に』
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POW : 気合いがあれば酸素などどうとでもなる
SPD : 息が切れる前に泳ぎ切ればよいだろう?
WIZ : 酸素は魔法で作れます
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ふ、ふふ―――今回は私の負け、でしょうが、『鮫牙』は負けていない。私が此処で消えたとしても、次なるコンキスタドールが現ることには代わりはない。絶望の先延ばしと言ったでしょう。この島めがけて次々と増援が来るわ。もうどうしようもないのよ」
その言葉は如何なる意味であったのだろうか。
コンキスタドールの今際の際にはなった苦し紛れの言葉であったのだろうか?
だが、猟兵達はその言葉の意味を楽観視できなかった。
最後に囚えられた島民……即ち島の子供らが言う。彼らは大人に寄ってコンキスタドールが制圧に乗り出した時、島の中心部、その洞窟へと隠れていた。
だが、コンキスタドールたちが己たちの海賊旗―――つまりは、『七大海嘯』の縄張りであると知らしめる『鮫牙』の海賊旗を島の中心である洞窟に打ち立てたことを教えてくれる。
それは即ち、『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』が最期に残した言葉を裏付ける。
その海賊旗が存在する限り、この島は『七大海嘯』のうちが一つ『鮫牙』の縄張りとして、新たなコンキスタドールたちが続々と増援としてやってくるということだ。
だが、逆にその海賊旗さえ燃やしてしまえば、増援が来ることを防げる。
ならば、早く海賊旗を燃やさねばと意気込む猟兵達に島民たちが青い顔をして告げる。
その洞窟は今の時間、満潮になってしまい、水没してしまっているのだという。その洞窟の最奥にたどり着くのは常人では無理だと。
だが、猟兵達は笑う。
生命の埒外にある者が猟兵であるというのならば、常人ではない。それこそ今こそが猟兵達の出番である。
自体は一刻を争う。
即座に海中に沈む洞窟を踏破し、その最奥に打ち立てられた海賊旗を燃やし、破壊しなければならない。
そうすることで漸く、この『燕貝島』の安寧が取り戻せるのだから―――。
マチルダ・メイルストローム
仲間を呼び寄せる旗か。
せっかくのメガリスをぶっ壊すなんてもったいない、貰っていってやる……と普段なら言うんだけどね。
それが海賊旗ってなら話は別だ。
海賊の流儀に乗っ取って、きっちりへし折った上で焼き払ってやるよ!
水没した洞窟だろうがあたしにゃ関係ない。むしろやりやすいってもんさ。
海中を泳いで洞窟を進むよ。(『素潜り』『水泳』『高速泳法』)
道中鮫なり有象無象のコンキスタドールなりがいるかもしれないが、その時は【アクアティック・プレデター】を使用、秘宝「メイルストローム」を使った水中戦でどっちが捕食者か教えてやるよ!
その知らせはすぐに『燕貝島』へとたどり着いた猟兵達に伝わった。
『七大海嘯』の海賊旗。『鮫牙』の旗印を持つ海賊旗が島の中心に在る水没した洞窟の中に存在していること。
そして、その海賊旗が存在している限り、この島は『七大海嘯』の縄張りであるのと同じであり、漸くの思いで倒すことの出来た『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』の後釜に据えられる『七大海嘯』のコンキスタドールが増援として訪れてしまうこと。
だが、この海賊旗を破壊し、燃やしてしまえば、その増援は防ぐことができるのだ。
「仲間を呼び寄せる旗か」
マチルダ・メイルストローム(渦潮のマチルダ・f26483)は即座に行動していた。
颯爽と島の中心にある洞窟。
すでに満潮になっているせいで、洞窟の奥は海水に浸かってしまっているのがわかる。普段であれば、せっかくのメガリスをぶっ壊すなんてもったいない。自分がもらってやろうと考えるマチルダであったが、今回は事が事である。
「普段なら言うんだけどねぇ……海賊旗ってなら話は別だ」
彼女は海賊である。
故にそれがお宝である所のメガリス……秘宝であったとしても、マチルダは自分のものにしようとは思わない。
何故ならば、それこそが。
「海賊の流儀に則って、きっちりへし折った上で焼き払ってやるよ!」
そう、海賊とは誇りと縄張りを持つ者である。
故に敵対するものには一切の容赦はない。そうしなければならない。マチルダには、その流儀に則るからこそ、己を海賊として名乗るのだ。
「水没した洞窟だろうが、あたしにゃ関係ない。むしろ、やりやすってもんさ」
彼女は海賊である以前にセイレーンでもある。
深海のソーダ水から生まれた麗しき水の精霊。自在に形状や質感を変えることのできる存在であるが故に、海の水に満たされた洞窟はホームと言っても差し支えない環境であるのだ。
飛び込み、彼女の流麗な身体が海水に満たされた洞窟を征く。
地上に在るよりも活き活きとするのは、やはり水の精霊ならではであろう。
「さて、海水があるってことは、つまるところ鮫やらなんやら有象無象……コンキスタドールの残党もいるかもしれないってことだよねぇ」
彼女の予感は当たっていた。
海賊旗を立てたのがコンキスタドールであるのならば、それを護るために配置されているコンキスタドールもまたいるであろう。
スターフィッシュアーミーたちの残党の姿をマチルダは捉えた。
「海賊が水中で戦えないはずがないだろ? ふん、どっちが捕食者か教えてやるよ!」
手にした湾曲した剣、秘宝『メイルストーローム』がぎらりと怪しく輝く。
「―――猟兵! まさか、ここまでたどり着いたということは、『混沌鮫魔女王』が―――!?」
スターフィッシュアーミーたちの周囲に充満する海水がマチルダの湾曲剣の力に寄って操作され、海流となってスターフィッシュアーミーたちを巻き上げる。
この凄まじき海流の力によって、今やこの戦場は完全にマチルダの支配下だ。どれだけ海に適合したものであったとしても、マチルダを捉えることも、マチルダの放つ剣閃すらも目で追うことは許されない。
「そうさ。あんたらの親玉は、あたしらが始末した。後を追わせてやるから、遠慮なく骸の海へ還りな!」
鋭き『メイルストローム』の一撃がスターフィッシュアーミーたちを次々と切り裂き、霧散させる。
水中洞窟はまだまだ始まったばかりだ。
だが、マチルダの道行きを阻むものはどこにもいない。彼女は今や、この海中洞窟の主にして、絶対強者とし君臨するのだから―――。
「今度はお宝のある島であってくれると嬉しいんだけどねぇ―――」
今回はある意味でババを引いたようなものだ。
貧乏くじとまでは言わないけれど、それでもお宝があると嬉しかった。そんな彼女がこの先で、また別の隠されし秘宝を見つけたかどうかは、これからの探索次第であったことだろう。
そうでなくても、彼女は島民たちの笑顔を守ったのだから、それもまた宝と言えるのではないだろうか。
「―――腹がふくれるお宝のほうがいいけれどねぇ」
金貨じゃ買えない、本物の秘宝を求めてマチルダはまた今日もグリードオーシャンの海を征くのだった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
余計な置き土産を残してくれやがって。もう一発殴っておけばよかった
教えてくれてありがとう、君達のおかげでこの島は守られる
デッドマンだが、呼吸は必要か?まあ、何とかしよう
子供達に礼を言った後、洞窟がある場所に移動
眼帯や上着を脱いでから【水中機動】【深海適応】で潜ると言っても銀腕があるから沈むと思うが、そのまま移動
義眼のメガリスを使い【視力】【暗視】で【情報収集】し、敵の通った跡を【追跡】
洞窟が入り組んでいるなら銀腕の【武器改造】を使い、外れの道の壁に見えやすいように×印を付ける
奥が水没していれば旗を回収して陸地で、水没していなければ銀腕で砕いた後に燃やす
コンキスタドール『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』は、ついに猟兵たちの手に寄って打倒され、霧散して消えた。
だが、彼女の残した言葉は不吉なものであり、それが今さに現実のものとなろうと進行していることを聞いて、ルイス・グリッド(彷徨う海賊・f26203)は歯噛みした。
「余計な置き土産を残してくれやがって。もう一発殴っておけばよかった」
それは全ての猟兵にとっても、共通した思いであったことだろう。
コンキスタドールの一勢力である『七大海嘯』。そのうちの一つである『鮫牙』の旗印が掲げられた海賊旗が、この『燕貝島』の中心にある洞窟……今は満潮で水没してしまった最奥に存在しているのだと、島民の子どもたちが教えてくれたおかげで、その増援を防ぐことができるのであった。
「教えてくれてありがとう。君達のおかげで、この島は守られる」
ルイスはや不器用ながらに微笑んで、子どもたちの頭をなでた。
だが、己がデッドマンと言えど、水没した洞窟は初めての経験であった。
呼吸は保つだろうか。それとも死せる肉体に不要なものであろうか。
「―――まあ、なんとかしよう」
この身体が今も尚、不死の体現者として存在しているのなら、こんなときにこそ意味を見いだせることがある。
ならば、何も躊躇うことはない。ただ己は島の人々のために事を成せばいいのだから。
ルイスはすぐに洞窟へと駆け出す。
入り口からは潮の匂いが漂っている。島の中央にあって時間に寄って海水に満ちた水中洞窟というのであれば、他の勢力や猟兵達も簡単に手出しできない場所に海賊旗を立てるというのは、確かに巧妙な手口であった。
眼帯と上着を脱いでルイスは海中洞窟へと飛び込む。
右腕はメガリスである銀の腕であるがゆえに何もしないでも沈んでいく。重しを付ける必要がないというのは潜る行為に置いては楽ができてよかった。
「―――こんなことで役に立つ、というのも微妙な気持ちではあるけれど」
眼帯を外した左眼のメガリスが輝く。
どんな暗い洞窟内であったとしても、この義眼のメガリスの前には意味を為さない。
こんな狭い海中洞窟であっても戦いの痕跡は見て取れた。
きっと先行した猟兵がコンキスタドールの残党を始末してくれた後であろう。これならば、後からやってくる猟兵達もスムーズに海中洞窟へと挑むことができる。
「なら、俺は……」
ルイスは銀腕の指先を鋭く変え、己の進んだ道、入り組んだ洞窟の迷路の如き道順を印していく。
時間との勝負であるが故に、他の猟兵との情報共有はしっかりと行うべきだ。
自分が海賊旗まで辿り着けなくても、協力すればずっと早くほかの猟兵が海賊旗を破棄してくれるだろう。
こういう時に猟兵たちは組織ではなくても、互いに助け合うことができる。
「こっちは外れ、と。海賊旗のある最奥が空気があれば燃やしやすいんだが……空気の抜け道があるのなら……」
銀の腕で海中へと沈んだ洞窟を苦もなく進んでいく。メガリス・アクティブによって、銀腕を鈎フックのように変形させながら、洞窟の中をあちこち探し回る。
彼の行いは、行き止まりや間違った道順を次々と印していくが故に、容易にマッピングが進んでいく。
呼吸は十分持つ。
思考もクリアだ。だからであろうか、助けた島民たちの笑顔が思い出される。あれだけの強敵を前にして、人的被害がまったくなかったのは奇跡であると言っても過言ではないだろう。
それを為したのがルイスである。
彼の身を挺した守りがあったからこそ、戦闘に巻き込まれる島民たちが出なかったのだ。猟兵たちが戦い、守り抜いたものは、きっとこの先巡り巡って猟兵たちの背中を守り、押すものとなるだろう。
それを思えば、ルイスは己の身がデッドマンであることを、そしてメガリスを託した友に誇ることができたかもしれない。
コンキスタドールとの戦いは果がないのかもしれない。
けれど、不死の猟兵として戦う以上、ルイスはいつかきっと、その果てを見ることだろう。
「思い出せないけれど、あぁ……あんな顔を子供らにさせるわけにはいかないよな」
だれに言うでもなく呟きながら、ルイスは海中洞窟を進む。
あの忌まわしき『七大海嘯』の海賊旗をへし折るのも、そう遠くはない。そんな風に思いながら―――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
ご安心ください、私達が責任を持って海賊旗を全て破壊します
戦場で振るわれ私達に勝利を齎した勇気、無駄にはいたしません
水中戦用装備を纏い洞窟へ
他の猟兵の目印頼りに●水中機動で素早く移動
●暗視とマルチセンサーで●情報収集
探査するのは洞窟内での岩で塞ぐ等の隠蔽工作の有無
発見すれば物資収納スペースから取り出した爆薬の●破壊工作で突破
コンキスタドールを呼び寄せる海賊旗…まるでビーコンですね
しかし水中に突き立てるとは…時間稼ぎのつもりなのか
●水中戦用に改造している腕部格納銃器でUC発射
これにて終…
(旗の破損に反応し罠起動、崩落する通路から退避し)
ダミーとは敵もさるものですね
いいでしょう、全て踏み抜くのみです
「ご安心下さい。私達が責任持って海賊旗を全て破壊します」
そう騎士然とした態度で『燕貝島』の人々に宣言したのはトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)であった。
機械の騎士の姿は、島民たちにとって『七大海嘯』の配下である『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を対峙した救世の騎士であったことだろう。
島民たちの情報を可能な限り収集したトリテレイアは即座に行動する。
時間があまりないこともあるが、それ以上にトリテレイアは無駄にはしたくなかったのだ。
「戦場で振るわれ、私達に勝利を齎した勇気、無駄にはいたしません」
そう、海賊旗があるかぎり、この島は『七大海嘯』の縄張りとして認識され、次から次へと増援のコンキスタドールが現れるのだ。
それを阻止するために猟兵達は島の中心に在る海中に没する洞窟へと急いだ。
水中戦用装備を纏い洞窟の中へ進む。
海水の温度や様々な情報をアイセンサーや各種センサーが検出していく。
「これは、先行した猟兵の残したものですね。ありがたい」
暗視機能を活用し、洞窟内部に残された猟兵たちの目印を元にトリテレイアは素早く水中で機動し、迷路のような洞窟内部に進む。
人海戦術とまでは行かないまでも、すでに先行した猟兵たちの残した印はすぐさまトリテレイアの電脳の中にあるマップを更新していく。
「もしも私がコンキスタドールの立場であるのならば―――」
そう、『海賊旗』はコンキスタドールにとって言わば拠点の旗印。
それを破壊されたり奪われたりすることを恐れ、様々な隠蔽工作を弄することは容易に想像できた。コンキスタドールとは暴力だけではない、狡猾さまた人並み外れた者たちであることをトリテレイアはもう知っていた。
反響する音、あらゆるパターンと照合し、それを感知できるのはウォーマシンであうるトリテレイアくらいなものであったことだろう。
次々と隠蔽しようとした後を発見し、後続の猟兵たちの手を煩わせぬようにと物資収納スペースから取り出した爆薬で破壊、突破していく。
爆破に寄って多少水質が濁ってしまうが、猟兵であればこの程度の視界不良は突破できるであろう。
何より、此処を避けて通る目印になるから結果としてオーライだろう。
「コンキスタドールを呼び寄せる海賊旗……まるでビーコンですね。しかし、水中に突き立てるとは……時間稼ぎのつもりなのか」
はたまた容易に破壊されないようにする工夫であったのかも知れない。『七大海嘯』とひとくくりにされているコンキスタドールの勢力。果たして彼らが一枚岩であるとは言い難いだろう。
ならば、他の勢力からの侵攻があってもおかしくないがゆえの処置……そんな風にも考えられた。
次々と隠蔽された通路を破壊し、時に突破しながらトリテレイアは進む。
これだけ広大なる海中洞窟であるのならば、確かに時間稼ぎは有効だ。現に自分たち猟兵たちも発見に手間取っている
「空洞……ここが最奥ですか」
だが、少し計算が合わない。
訝しみつつも、自分のアイセンサーに感知されるのは海賊旗の反応だ。メガリスであるがゆえにトリテレイアは、間違いないだろうと超高温化学燃焼弾頭(消火用薬剤封入弾と併用推奨)(ヘルファイア・バレット)を装填した格納銃器を展開し、水中、真空で燃焼を実現する薬剤封入弾を放つ。
瞬時に炭化、メガリスである海賊旗が融解するように燃え、朽ち果てる。
「これにて終……」
だが、突如としてその場が崩落していく。
それが罠であると気がついたときには遅かった。トリテレイアは即座に対比し、崩れていく空洞を見やる。
なるほど、と思う。
これが己のセンサーと島民たちから得た海中洞窟の情報が食い違うわけだ。これは益々持って本格的に周到なる時間稼ぎの罠だ。
だが、トリテレイアは焦ることはなかった。
「ダミーとは敵もさるものですね」
どれだけの罠が隠されていようと関係ない。
こちらは猟兵であり、たった一人で行動しているわけではないのだ。仲間もいる。装備もある。そして時間は少ないなれど、それでも不思議とやってやれないことはないと思ってしまっている不確定要素を飲み込む己がいた。
「いいでしょう、全て踏み抜くのみです―――」
コンキスタドールが罠を仕掛けるのであれば、トリテレイアは全て踏み抜いて進む。トリテレイアはダミーを引けば引くほど、他の猟兵達の探索の時短になる。
誰がために戦う騎士としての矜持を持つからこそできることがある。
トリテレイアはコンキスタドールの罠を次々と踏破し、その痕跡を持って後続の者たちを導いていくのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
久瀬・了介
コンキスタドールどもが押し寄せてくるなら全て殺せばいい。そんな怨霊としての衝動を抑え込む。民間人を守りきれない。論外だ。
幽体を実体化させた義肢で破損した腕を補い、包帯で縛り上げる。これでもう暫くはもつか。
洞窟内へ潜り込む。生物が呼吸を必要とするのは酸化燃焼をエネルギー源とする為。魂を電気エネルギーに変え屍体を動かすタイプのデッドマンである自分は呼吸も食事も必要としない。UC【雷電】で加速した身体能力で洞窟を進む。
強化された【視力】【暗視】で海水を見通す。この印は仲間が残したものか。流石だ。自分も習おう。電磁場感応…所謂レーダー感覚で洞窟内の構造を予測、探査。後続の為の印を付けつつ奥へ進もう。
オブリビオンは全て殺す。
それが久瀬・了介(デッドマンの悪霊・f29396)という存在を保つたった一つの衝動であったのかもしれない。
だが、その魂の衝動とも言うべき己の身体を突き動かす電流を生み出すヴォルテックエンジンを導くのは、かつて在りし軍人としての責務と矜持であった。
それが了介を狂戦士ではなく、猟兵として踏みとどまらせている。
「―――……コンキスタドール共が押し寄せてくるなら全て殺せばいい。だが、民間人を守りきれない」
当然の帰結であった。
戦い、敵を討つことはできるだろう。
それは簡単なことだ。それが己の生まれた意味であり、今も尚デッドマンとして戦う存在意義である。
だが、それ以上に己の魂を支えるのが責務と矜持であるというのならば、島民たちを守りきれないということは、許されないことだ。
先の戦いで破損した腕を幽体を実体化させた義肢で補い、呪詛包帯によって補強する。
「これでもうしばらくは保つか」
いささか不安は否めない状態である。
コンキスタドール『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』との戦いは、それだけの激戦であったのだ。ともすれば、斃れていたのは此方側であったかも知れない危うさがあった。
けれど、島民たちの助力もあって、どうにか倒すことが出来た。それは僥倖であったけれど了介にとっては当たり前のことであった。
自分の体が戦うためにあるのならば、戦えない者たちのために体を張る。当たり前だ。それが己の矜持であるのだから。
「おにーさん、がんばって! おねがい!」
島民の子供らが洞窟へ向かう了介の背中に声援を贈る。
振り返らない。
それは喪われた過去を振り返ることと同じであったから。だから、了介は僅かに手を掲げて応えた。
感謝されるいわれなど無い。こちらが感謝してもいいくらいだ。そんな風に思いながら伏せた顔を上げて海中洞窟へと飛び込む。
「―――……」
なにか言葉が溢れそうになったが、今は海中に没した洞窟の探索が急務だ。冷たい海水がデッドマンの身体でも分かる。
呼吸を必要とする生物ではない、デッドマンたる己の体は魂を電気エネルギーに変えて屍体を動かすものである。
故に呼吸も食事をも必要としない。
ならば、この海中にあって呼吸という概念は彼には必要なかった。己の体を突き動かすのは常に魂の衝動のみ。
「急ぐ―――」
ユーベルコード、雷電(ライデン)により心身を雷の速度まで加速し、電磁気感応で迷路のように入り組んだ洞窟内を凄まじい速度で踏破していく。
強化された視力は濁った水質の洞窟内の海水であっても、容易に他の猟兵たちが残した目印を見抜く。
「この印は仲間が残したものか。さすがだ。自分も見習おう……」
たった一人で戦い続ける覚悟を持つ自分であっても、猟兵という括りで見るのならば、一人ではない。
そもそも軍人としての自分が言う。
一人で全てを行うことはできない。隣に立つ戦友がいる。彼らを頼ることも、信頼を裏切らないことも、全てが己を活かし、他者を生かす。
それこそが軍人の本分であろう。己を機械の部品としたとしても、機械になりきることは不可能である。
ならば、猟兵という存在を滞りなく動かし、オブリビオンを討つ存在として戦うのは道理にかなっている。
「探索時間を短縮できそうだな……」
ダミーや罠、あらゆるものを踏破しながら了介は、後続の猟兵のために印をつけ、奥へと進む。
己一人ででもできたことかもしれない。
いや、できてしまうことだろう。だが、他の猟兵たちと共に並び立ち、戦うということは、時間を縮めることができる。
全てのオブリビオンを殺す。
その最速最短を征くことができるのならば、それは―――了介にとって如何なる意味を齎すだろうか。
戦いはまだまだ続く。
けれど、果てなき道を征く、その瞳には未だ燃え尽きぬ魂の衝動が鳴動するのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
ギヨーム・エペー
ゆっくりはしていられないなー。だが、焦ったら元も子もないか
いつも通りに泳ごう。UCは、そうだなー……火力を増したら速度上がったりしないか、太陽。汝火力担当だろ気張れ。褒美に新しい宝石くれてやるから。ダメか?
満潮でも洞窟の中なら空気の流れは掴みやすいと思うし、息止めは得意な方だ。出来る限りは長く潜って先に進みたいな
ハズレの道にはワイヤーを使って、道が違うことを意味する印を作っておく
それにしても、考えたもんだよなあ……堂々と中心に旗を立てるくらい度胸もあって実力もあって。己の鍛錬不足を実感させられる
……しばらく山籠もりするか
海中に没する洞窟。
それは『燕貝島』の中心部にある洞窟であり、満潮に成ると水没してしまう海中洞窟であった。それ故にコンキスタドールたちに目をつけられ、此処に逃げ込んだ島民の子どもたちが発見されてしまう憂き目にあったのだが、終わりよければ全てよし、とギヨーム・エペー(日に焼けたダンピール・f20226)は一人納得していた。
海中洞窟の最奥に存在するという海賊旗。
それが『七大海嘯』の縄張りであると認識されるためのビーコンであることは間違いない。
コンキスタドール『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』が残した最期の言葉。
それが示すのはコンキスタドールの増援が次々と、この海中洞窟の最奥に在る海賊旗めがけて送り込まれてくるということ。
ならば疾く海賊旗であるメガリスを破壊しなければならない。
「ゆっくりはしていられいなー。だが、焦ったら元も子もないか」
逸る気持ちはわかる。
ギヨームだってそうだ。こうしている間にもコンキスタドールの勢力が、この島へとやってきているかもしれないのだ。
そうなれば、消耗した猟兵達は徹底せざるを得ないし、島民たちは今回奇跡的に死傷者を出さずに済んでいたものの、新たな制圧者であるコンキスタドールが彼らを牙に掛けないとも限らない。
けれど、いつだってそうだ。
焦りは失敗を呼び込む。失敗は己の生命ばかりではなく、他者の生命をも巻き込んでしまう。
ならば、やるべきことは一つだ。
「いつもどおりに泳ごう」
太陽とともにまわる―――それはユーベルコード、un tournesol(アントゥルヌソル)。水の精霊『太陽』と氷の魔力、そして火の魔術に寄って己の体を強化する。
今回はスピードが命であるがゆえに、ギヨームは共に在る水の精霊へと呼びかける。
「火力を増したら、速度が上がったりしないか、太陽。汝、火力担当だろ気張れ」
そんなふうにやり取りをしつつ、海中へと飛び込む。
結局褒美に新しい宝石をあげるから、ということで折り合いがついたのだが、他者から見ればそれは、あまりにも己の利益にならぬ行為であったかもしれない。
けれどギヨームは構わない。
どれだけ高価な宝石であろうと、価値があるものであろうと、人の生命には変えられない。
容易く奪われてしまう生命であったとしても、その生命の煌きもまた世界の一つだ。彼の愛する海もまた数多の生命で溢れている。
生死観の相違はあれど、それでも救われる命があるのならば、それを救うことに躊躇いの無い者がギヨームという若者であった。
「おっと……考えることはみんな一緒だな。ありがたい」
あちこちに先行した猟兵たちの印した道順が刻まれている。こうした情報共有はありがたい。
自身もワイヤーでもって間違っている道を後続の猟兵達に知らせようとしていた。思った以上に迷路のようになっている海中洞窟において、この試みは他の猟兵たちとの思わぬ連携に寄って、凄まじい速度でマッピングが進んでいた。
満潮でも洞窟の中であれば、多少の空気の流れが存在する。
ギヨームは息止めも得意であるがゆえに、ゆうゆうと強化された潜水能力で次々と海中洞窟を踏破していく。
「それにしても、考えたもんだよなあ……堂々と中心に旗を立てるくらい度胸もあって実力もあって」
己の鍛錬不足を実感させられた戦いであった。
けれど、海中へと潜っていると、そんな考えは溶けて消えていくような気がした。
しばらく山ごもりでもしようかと考える程度には、ギヨームもまた、これからも続く激しい戦いに思いを馳せているのだろう。
ああ、それでも。
それでもギヨームはきっと海を忘れられないだろう。
何処までも自由であるがゆえに、海は自分を出迎えてくれる。夏の海も冬の海も、いろんな表情を見せてくれる。
グリードオーシャンは、そんな世界だ。
海洋世界に生きる人々を守れるだけの力がほしいと願う。その願いはいつしか力となってギヨームの背中を押すことだろう。
「今はやれることをしよう。太陽よ、もっと加速しよう」
ギヨームは次々と海中洞窟を突破し、印をつけていく。
すでに海中洞窟のマッピングはあらかた終わりを迎えていた。時間との戦いであったが、ギヨームの卓越した直感によって、海賊旗のある最奥は、もうすぐ傍までというところまで一気に推し進められるのであった―――。
大成功
🔵🔵🔵
アルフレッド・モトロ
他所様の土地に勝手に旗を立てるたぁ行儀の悪い海賊だな!
満潮だって?
水没なんて関係ないね!
なんてったって俺は水棲キマイラだからな!
深海でもいける!…たぶん。
他の猟兵たちのサポートも兼ねて、目的地までスムーズにすすめるようUCで追い風ならぬ追い水流を作り【水中機動】と【水中戦】、【深海適用】を応用して素潜りだ。
おっと
旗を燃やす炎がなければ
俺の蒼炎を貸してやるよ
躾のなってねぇ海賊どもの旗で
焚き火でもしてやろうじゃないか
(連携アドリブ歓迎です)
コンキスタドールの勢力である『七大海嘯』。その一つである『鮫牙』の旗印がはためく海賊旗が『燕貝島』の中心部である洞窟の最奥に突き立てられているという。
それは在る種のビーコンのようにコンキスタドールに、この島が己達『七大海嘯』の縄張りであると知らしめるものであり、例え今回の事件のように『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を倒したとしても、増援のコンキスタドールたちが『燕貝島』へと訪れることを示していた。
グリモア猟兵をして『勝機の薄い』と言わしめた強敵であった『混沌鮫魔女王デビルオーシャン』を島民たちの助力と共に倒した猟兵達にとって、消耗は激しい。
再び現れる増援と戦うだけの力はおそらく残っていないだろう。
それに海賊旗を破壊しない限りは、島民たちの安寧も脅かされ続けるということだ。それだけどうしても防がねばならない。
「他所様の土地に勝手に旗を立てるたぁ行儀の悪い海賊だな!」
アルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)は憤慨し、即座に行動に移っていた。
島民たちから、中心部の洞窟は満潮の時間故に今は水没してしまっていると伝えられてもアルフレッドは快活に笑ってい言う。
「満潮だって? 水没なんて関係ないね! なんってったって俺は水棲キマイラだからな! 深海でもいける! ……たぶん」
最後は自信が若干陰ったが、おそらくアルフレッド自身も深海までは経験していなかったのかもしれない。
だが、今はそんな悠長なことを言っては居られない。男は度胸。どんと構えてことに当たる。
それが飛空戦艦ワンダレイの艦長を務める己の矜持である!
「さあ、ここからが "クライマックス" だ!」
ユーベルコード、狂騒海域(ライオット・イン・ブルー)によって海水に没した洞窟の中の海流を操る。
こすうれば、追い風ならぬ追い水流となって他の猟兵たちの探索を後押しすることだろう。
そこからの道行きは順調そのものであった。
先行した猟兵が潜んでいたコンキスタドールの残党であるスターフィッシュアーミーたちを一層し、洞窟内の道順を印を刻むことに寄って迷わずに進めるようにしていた。
さらに進むとマッピングの詳細は細かくなっていく。
所々に配置されていたダミーの海賊旗も看破され破壊され尽くしていた。視界が不良になっていてもワイヤーや印を多様することによって、難所を避けて最短で進むルートが容易されていた。
「こりゃぁ、ありがたいな。海流で後押しすれば、もうすぐってことか」
アルフレッドは先行した猟兵たちの道筋を辿り、操作した海流によってなんなく洞窟の最深部、ちょうど『燕貝島』の中心部に当たる最奥へと至る。
そこはちょうど天上が崩落し、青空が覗く空間であった。
期せずして、探索に参加した猟兵たちが一同に会する。
「おっと、旗を燃やす炎がなければ、俺の蒼炎を貸してやるよ」
そういってアルフレッドが体内の溟獄の蒼炎によって、メガリスである『鮫牙』の海賊旗に火を付ける。
青白い炎が一気に旗印を穿ち、燃え広がっていく。
「躾のなってねぇ海賊共の旗で焚き火でもしてやろうじゃないか」
焚き火をしても、一杯やるにはまだ日が高い。
酒盛りをするのはまた今度だな、とアルフレッドは笑う。島の平穏を脅かすコンキスタドールとの戦いは、これからもグリードオーシャンで続くだろう。
コンキスタドールの一大勢力『七大海嘯』との戦端を開くことに寄って、それはさらに苛烈さを増していく。
ましてや、これまでと比にならぬほどに強力なコンキスタドールが現れることは予想に難くない。
けれど、それでもと思うのだ。
島民たちの助言。あれは自分たちだけが引き起こしたものではない。だれもが願った結果なのだろう。
争い耐えない欲望の海洋であっても、人の心には善意の炎が灯る。
それを信じるようにアルフレッドは己の体内で溟獄の蒼炎が揺らめくのを感じていた。
目の前でメガリスである海賊旗が炎に焼かれ、折れて朽ちていく。
これから何度でも『七大海嘯』の海賊旗をへし折り、灼く。どれだけ果のない敵が相手であろうとも、アルフレッドは、猟兵達は決して諦めることはなく、人々の為に戦い続けることであろう―――。
大成功
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