オーガ
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浴衣っぽいシナリオです。戦闘も出来るだけ浴衣での描写をします。
第一章は、夕暮れの高原の自然豊かな町で、風車の祭りを散策する場面です。
僅かな異変はありますが、それに対するアクションが次章に影響はしません。
第二章集団戦、第三章ボス戦は、同時展開として、どちらかの参加のみとしています。
各章に断章を挟みます。
よろしくお願いします。
第1章 日常
『秋空時雨の鈴の唄』
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POW | 食べたり飲んだりしながら祭りを楽しむ。 |
SPD | 買ったり作ったりしながら祭りを楽しむ。 |
WIZ | 涼んだり聴いたりしながら祭りを楽しむ。 |
👑5 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 |
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
風車が回っている。
人々が行き交っている。
手に風車を持つ者も多い。
道の傍に座り手にした甘味に頬を綻ばせている者も、辛い肴を当てに酒をあおる者もいる。
往来は、多種多様に、しかし、一様に平和な色に満ちていた。
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シキ・ジルモント
祭りの邪魔をしたくはない、周囲に合わせられるように浴衣を着ていく(紺地の雪花絞り、黒い帯)
武器やら何やら戦闘に必要な物も隠し持ってはいるが、ぱっと見ただけでわかる物々しさはおそらく無いだろう
せっかく屋台があるのだし酒と串焼きを…と行きたい所だが、ひとまず今はやめておく
この匂いにはもちろん大いに惹かれる
しかし気楽にと言われてはいるが仕事は仕事、その最中に呑むわけにもいかないからな
少しの口さみしさは、甘酒でも飲んで紛らわす
…酒の代用品のつもりだったが、これはこれで悪くないな
甘酒を楽しみつつ風車の飾られた道を歩いてみる
異変には十分警戒しておき、何か見つけたら追ってみる
できるだけ早い内に対処したいが…
つう、と温かさが喉を伝い落ちていく。
綿のような軽やかな甘みが舌を休めるようだ。体の内側から仄かに膨らむ柔らかい熱を感じながら、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は、ふとその口端を綻ばせた。
「……悪くない」
一口飲んで、唇を離した彼は思わずに零す。
竹を輪切りにしただけの杯は、香りよく甘みを感じさせてくれる。
酔うわけにはいかないと、遠慮した酒の代わりのつもりだったが、これはこれで。と冷える秋風に思う。
紺地に絞った藍染めの白花が咲く浴衣を緩やかに吹いた風に揺らして、カラカラと鳴る風車の合唱に耳を傾けた。
背を預けていた道の柵からシキはゆったりと身を起こした。浴衣を挟んで黒い帯の下に差し込んだ拳銃が、硬い感触を返して僅かに緩みかけていた警戒を思い起こさせる。
甘辛い香りと、僅かな酒精の苦み。あれは串焼きだろうか。聞きかじりの話によれば、この高原で畜産も行っているらしい。良い肉が育つのだという。
息を吸えば、屋台から微かに感じるそれに後ろ髪を引かれながら、暫く未練を残していた証拠の柵の温もりに別れを告げた。
あの香りが秋風に乗るのすら客引きとしているのだとすれば、中々にやり手だと益体も無く考えながら、色とりどりの風車の間を抜けていく。
遠くに傾く斜陽は、ここが山であるからか長く尾を引いて残る。ともすれば、落ちる陽を見下ろしているような気さえする。そこから放たれる穏やかな熱射で、風に冷えた体を少し溶かしながら、人の声を聴く。
疑念や憎悪を感じない雑踏。音を広く聞きながら、こういう時ばかりはこの耳も自慢できるような気がしてくるから不思議なものだ。
そんな音を背に、高原を望む道を歩く。空になった器を揺らして、温まった息を吐いた。風が車を回す。
夕陽に照らされて、点滅するように輝く色とりどりの朱色。
黄みがかった夏草が揺れる景色に町の屋根が映える。
ふと、赤く染まる世界の中で、シキは視線を感じた。だが、周囲に人はいない。
振り向いた先。柵の上に小さな蛇がシキを見つめていた。眠たげに、もしくは眩し気に。それは数秒、シキと見つめ合うとちろりと舌を出し、柵の向こうへと身を躍らせた。
敵意は感じない。だが。
「……来い、という事か」
シキは何故かそう感じて、蛇のいた柵を風車ごと乗り越えた。
大成功
🔵🔵🔵
インディゴ・クロワッサン
わーい、久々のお祭りだー!
うーん…お供は嘆きの金糸雀でいいかな、武器には見えないだろーし(笑)
「初めてお任せで浴衣を仕立てて貰ったけど…これはこれで良いねぇ♪」
さて、と…まずは汁物を食べて身体を暖めたら、焼き串と熱燗で…
「くぅ~っ…これこれ~!」
いやー…お酒と串物の組み合わせって最高だよねぇ…!
串物は多めに注文して全部食べるけど、一応お仕事だからお酒は程々にして(空腹耐性)…
「さ~て、次は何にしようかな~」
甘酒に舌鼓を打ちながら指定UCを使って、情報を集めながら他の屋台をひやかしますかー!
あ、情報が集まってきたら、一応周囲の警戒ぐらいはしとこー
【第六感】で何か感じたりなんかしちゃったりして(笑
「お祭りなんて、久々だなー」
ううーん、と背伸びをしながら、インディゴ・クロワッサン(藍染め三日月・f07157)は町の空気を吸い込んだ。
胸を透くような空気に、活気のある雑多な香り。雑踏は絶えず騒めき色を変えている。祭りの光景。空気。
始めてきた土地ではあるがどこか懐かしい感覚になりながら、相反して真新しい心地にインディゴは包まれていた。
浴衣である。
墨色に深い黒で模様を入れた浴衣に、透けるような青を流した羽織。蒼と白の帯に組紐を合わせたそれは、インディゴ自身なら選ばない、幾らか選考には残るだろうが最終的には選ばないだろうデザインであった。
だが、袖を通してみると、藍の髪に映える設えなのだ。気に入った仕立てに気分を上々に手にした串を肴に、酒の入った竹杯を傾ける。
甘い肉の脂を、酒の鋭い香りと冷ややかさが押し流していく喉の快感に、「くう、ぅ」と無意識に上がる口角から声を漏らす。
警戒を怠らないように、と少なく頼んだ酒量が惜しくなる。多めに買った串も平らげてしまい、むしろ胃が動き始めて空腹を覚えだしてしまう。もし、冷えた風で熱酒に火照る体を冷やせたなら、どれだけ心地いいかと考えれば、切なさすら覚えて、インディゴは口を慰める為に通りがけの屋台から甘酒を買っていた。
「ありがとー」
「あいー、まいど!」
明るく手を振って、インディゴは風車の並びを見る。
「……確かにねえ」
彼とてただ飲み食いしているわけではない、歩きながら情報を集めてもいたのだ。
曰く伝承にある初めの神隠しは、紅色が主な錦の赤子。次が黒で、藍、黒、橙。全てが残っているわけではないし、記憶違いもあるだろうが。
その色は軒並み濃い色合いをしている。だが、数年前の神隠しは、殆ど白色。成程、見れば風車の中で、白に薄桜の三つ羽は浮いて見える。
冷えた風が頬をすぎる。
「ふんふん」
と頷くように鼻を鳴らして、インディゴは徐に吹いた風の先に目をやった。
遠くの空は濃い夜の色。
まだ紅が染める下で、僅かに風が変わったような気がした。
何かが起こるかもしれない、と言っていた記憶の中のグリモア猟兵の言葉に、残っていた甘酒を呑み込んで、どこか楽し気に笑って見せた。
「キミが気にしてた通り、なにか来るみたいねぇ」
血のように赤い、暮陽に藍色が揺れる。
大成功
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第2章 集団戦
『編笠衆』
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POW |
●金剛力
単純で重い【錫杖】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
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SPD |
●呪殺符
レベル×5本の【呪殺】属性の【呪符】を放つ。
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WIZ |
●呪縛術
【両掌】から【呪詛】を放ち、【金縛り】により対象の動きを一時的に封じる。
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👑7 |
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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紅い空に、一人の女が立っていた。
白い絹に薄桜の朱を差した女が立っていた。
「ああ、ここが私のふるさと」
知らぬはずの景色に懐かしさを覚えるような口ぶりに、しかし、その瞳は、邪悪な光を湛えた蛇に似ている。
「みんな、私と一緒に蛇になりましょう?」
弧を描く笑みから覗く口の赤が、いやに燃えるようだった。
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その影は、いつしか祭りの中にあった。
笠を被るその人影が、ゆらめくように錫杖を鳴らし、叫ぶ。
「さあ、我らが蛇神様の復活の時! 貴様らにはその礎となってもらおう!!」
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街の中に編笠衆、外から蛇女です。
ギミックなどもない戦闘なので気軽にプレイングください。
よろしくお願いします。
街の外から
サンディ・ノックス
縦縞柄の灰色の浴衣、風呂敷の中に黒剣
焼き串は少し買っただけ、今は買った風車が回る姿に夢中
…だったんだけど
不穏な言葉が聞こえたから思わず表情を歪めてしまう
――ああ、お腹減ってたんだよね
風呂敷から黒剣を出して
風呂敷は目印の風車と共に道端へ置き
声を上げた奴をUC解放・宵(攻撃力重視)で斬る
センテヒッショウ、って言うでしょ?
町人を巻き込まないためと趣味を兼ねて
「礎にしたいなら俺を倒してごらんよ? それもできないんじゃ目的を叶えるなんて無理無理」
と嘲笑って気を引いて、交戦しつつヒトの少ない場所に誘導していく
UCの攻撃力と命中率は敵に当たるか次第で変更
倒した敵の魂は全て貰うよ
生きる糧だから美味しさも格別だ
礎。
「……」
暮れる陽の中、風に乗って聞こえた言葉に、嚙んだ肉を抜いた串を摘まんだ手を、落とすように揺らした。
カラカラと風に揺れる風車が鳴っている。肉の繊維に牙を通して、良く漬かった味が口に広がっていく。
縦縞柄の灰色の浴衣に身を包んだ赤髪の男は、腕に提げた風呂敷をそのままに地面を蹴っていた。サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)。その口に浮かぶのは紛れもなく笑みだ。
随分と派手に声を上げてくれた。おかげで場所は見えずともわかりやすい。
壁を蹴り、屋根を蹴り、宙へと跳び出したサンディは身をよじり、手に残った串を擲っていた。その切先が向かうのは、編み笠の男。
ただの木串とは思えぬ鋭さで飛んだ矢弾は、しかし、掲げた編み笠の手に触れる直前に黒い土くれへと変わり地面へと崩れ落ちる。
だが。
「――っ」
一閃。
空中から舞い降りたと同時に、サンディが振るった剣の一撃に男の上体が千切れて跳んだ。
「――ああ、お腹減ってたんだよね」
刃が肉を、魂を食い破る感覚に、思わずに舌なめずりをして、与えた絶命の傷から目を上げる。
腕に提げていた風呂敷を舞わせ、その手に握るのは黒き剣。反動を殺すように体をばねに数度揺らしたサンディは、鋭い笑みで周囲の編み笠をじろりと睨めまわした。
「礎にしたいんだって?」
風呂敷を丸めて近くの柵に軽く括りつけて、手の中の黒剣を回してそう問いかけた。
逃げる町人の背を僅かに見やって、
「なら俺を倒してごらんよ? それもできないんじゃ目的を叶えるなんて無理無理」
「……っ、殺せ!!」
一斉に、サンディに飛び掛かった編み笠の錫杖の攻撃を、彼は隙間を抜けるように躱す。三体。それらの錫杖が地面を打ち、衝撃が爆発する。全身を滅多打ちにして、骨を粉々に砕けるような衝撃の挟撃。抜ける隙間もないそれに。むしろ一つの衝撃に身を任せ吹き飛ぶ自分の体を制して、その勢いを生かし一閃。
引きちぎるように切断した首が地面に落ちるよりも早く。
サンディの体は地面を跳ね返るように駆け、残った二体、いや、最後の一体の胸へと、黒い刃を突き立てていた。
「ぬ、ぐ……っ!?」
傍に立つ編み笠が、ぐらりと体を崩れさせた。初めの錫杖の一撃、その際に既に斬り捨てていたのだ。故に、最後の一体。
いや、風に乗る音を聞けば、まだ残っているのだろう。貫いた刃を抜き、編み笠を蹴り離して、まだ息のあるそれに逆手にした剣を振り上げた。
「残しちゃあ、勿体ないよね」
舌に、唇に残っていたのか串の甘辛い旨味が広がる。
編み笠の中心。そこへと刃が落ちた。
大成功
🔵🔵🔵
レイ・オブライト
蛇神様、と
……どうにも縁があるらしい
初めて訪れる幽世を眺めて回っていた足を止め、戦いに参加する(浴衣に関しては場に合わせるが諸々お任せ)
神隠しが起源の祭ってあたりで怪しい話だが。今現在、楽しんでいる奴らにゃ知ったこっちゃねえだろう
店や飾り、住民の被害を減らす立ち回りを意識
錫杖の攻撃を覇気+格闘でいなし手応えを掴みつつUC相当の一撃を『怪力』で受け止める。折角の日だ、平和的に力比べも悪かないが
まあ、他に見て回りたいもんもあるんでな
『属性攻撃(電気)』を伝わせ直に雷撃を叩き込み、怯むようなら持ち主の方を【一撃必殺】で圧し折れたら上々だ
そうだな
纏めて来てもらえるか?
放たれた錫杖に、夕陽が跳ねて警告を放つ。
「……っ!」
触れれば容赦なく腕を千切り捥いでいくだろう呪いの渦を、覇気を纏わせた脚撃で打ち上げれば、彼らを中心に膨れ上がった衝撃が暴風となって風車がやかましく暴れ狂う。
店先の金鈴が嘶き、家々が軋む。
「邪魔を、するな……ッ」
「悪いが――」
手を軽く振り、レイ・オブライト(steel・f25854)は拳を握る。
神隠しが起源の祭。そりゃまた随分と怪しい話だが、今それを祭りとして楽しんでいる住民には関りは無い。伝説は伝説で、ただの飾りに過ぎない。
故に、復活がどう、などは知ったことではない。
「取り合う気はない」
言葉を待つことなく突き出される錫杖を躱し、突き出した拳はしかし空を切る。僅かに身を反らし、錫杖をそのまま振るった薙ぎ払いを後方へと体を跳ねさせて躱せば、控えていた編み笠の錫杖が襲い来る。
「ぐ――!」
体を無理によじり、地面に打ちつけられながらも回避し、腕のバネで体を跳ね上げると同時に捻じった裏拳を編み笠の胸へとぶち当てる。
バ、ゴア!! と盛大に吹き飛んだ方向に民家が無い事を咄嗟に確認したレイは、背後から降り抜かれた錫杖に拳を打ち合わせた。
互いを破壊せんとする衝撃が吹き荒れるが、怯みはしない。舞うように放たれる錫杖を掌底で弾き、勢いを削いだそれを掴み取り。
――閃光が爆ぜた。
「ゴ、ガ!?」
レイの内から溢れる、鼓動が、雷轟が、身を裂き溢れる雷撃となって錫杖を伝い編み笠を貫いていた。機能不全。全身がそれぞれの接続を放棄するような、瞬きの隙にレイの拳が容赦なく叩き込めれていた。
衝撃を逃す事も出来ず、覇気に強化された拳が編み笠の体に風穴が開いた。
「……さて」
死した骸を眼下に、レイは千切れた浴衣の袖を見て、息を吐いた。
真新しい物ではあったのだが、仕方がない。むしろ邪魔にすらなると、諸肌を脱いで冷えた風に身を晒す。
内から焼けた痛みの熱を汗が攫っていく。風車は戦闘の余波にも耐えて、からからと音を鳴らしている。斜陽は紅く、影は暗く、街を包んでいる。
蛇か。つくづく縁がある。そう僅かに口元を緩めた。
「そうだな」
周りを見渡す。見えるのは全て編み笠のみ。民家から少し離れたここなら遠慮も要らない。
「纏めて、来てもらえるか?」
挑発。燃え滾るが如く獰猛に笑んだ目に、紫電が瞬く。
大成功
🔵🔵🔵
水鏡・多摘
蛇ではなく龍ではあるが…不穏な気配に言葉、見過ごす訳にはいかぬ。
幸せを願う祭りを邪悪に穢そうとする愚か者共には罰を。
礎になどさせぬぞ。
UC起動し空へと飛翔、打倒すべき敵を把握し神罰の雷を降らせ攻撃。
特に一般人を襲おうとしている相手を優先して潰す。
可能なら一般人の周囲に護符で結界を作り出して巻き添えにせぬように細心の注意を払う。
直接錫杖の一撃を叩き込もうとしてくるのには飛翔速度を上げ回避、その直後に切替し纏う装束より呪詛の力を込めた護符を数枚、もしくは祟り縄を放ち拘束、そのまま墜落させる。
此方はどうにかできそうじゃが…蛇神とやらは他の猟兵がどうにかしてくれる、そう信じよう。
※アドリブ絡み等お任せ
ヒュ、カッ。走る錫杖は、それが女子供であろうと容赦なく、いや、むしろ殺しやすいとばかりに打ち振るわれる。
「……っ!!」母が子をかばい、自らの体を盾にする。己が死ねば次は我が子、だとしても、その身を捧げる事を止められない。大地ごと彼らの命を砕かんと。
だが、錫杖が大地を割ることも、血に染まることもなかった。
「それを、見過ごす訳にはいかぬ」と小さな声が風に乗る、次の瞬間。
音もなく、その錫杖は何もない空中で留まっていた――いや、錫杖のほんの数寸の距離、母子を護る様に護符がそこに浮かんでいる。
「ッ、な……!?」
目にはそこに何もないとしか映らない。いや実際に、何もないのだろう。錫杖を留めたのは物理的な障壁ではなく、護符に込め、世界へと命じた『穢させるな』という意思。世界そのものが物理法則よりも、編笠衆が振り下ろした錫杖よりも、その意思を優先させたのだ。
「幸せを願う祭りを邪悪に穢そうとする、か」
「……っ!」
編笠衆が、気配に気づき振り返る。一瞬、神々しい蛇の化生と見紛いそうなその出で立ちは、しかし、明確に蛇とは違う姿だった。
水鏡・多摘(今は何もなく・f28349)は竜神である。その瞳は、荒む色で編笠衆を呆れるように睨んでいた。
「愚か者共め」
「邪魔をするなッ!! 殺せェッ!」
「応!!」
ダダン、と四方から息を合わせた編笠衆が、一気に襲い掛かる!
「貴様も、礎となれ!!」
今度こそ、その錫杖は振り下ろされた。護符はそこにはなく、他にそれを阻むものはない。
「……、どこに――」
そう、狙った多摘の体すら、その錫杖の軌道を妨げない。もちろん、錫杖が彼の体を容易く引き裂いたという事もなく。
声は空から降る。
「罰を下そう」
見上げれば、そこには宙を泳ぐ龍があった。朱空にあり、しかし水底に浮かぶ泡を思わせるその龍は、変化こそすれど多摘という存在を保ちながらも、そう告げた。
「……ッ、避け」
編笠衆が発した号令にそれぞれが動くよりも早く、天が応えた。
紅を裂いた稲妻、六枚の護符を起点に描かれた雷輪が多摘を中心に揺れる。直後、風が巻かれる熱量を孕む雷撃が多摘を狙った編笠衆へと振りそそいだ!
「ッ、ぐあ、……この」
一撃でオブリビオンを葬り去るような威力ではない、だが、だとしても。それが絶え間なく、その雲から放たれるとすれば、無視しうるものではなく。
「……っ!!」
故に、選択肢は、空へと届かぬ筈の手を伸ばすまで。編笠衆は仲間を雷撃の盾としたその一瞬で屋根へと跳び上がり、更にそこから多摘のいる空へと。
「届かせはせんの」
「こ、の――」
その大跳躍は、確かに多摘に錫杖を届かせるに足る高さではあった。彼が更に高度を高めなければ。
跳躍の頂点から落下に入る浮遊の瞬間に、全力をぶつけるはずだったがゆえに、僅かに高度を上げた多摘には、その杖は届かない。
宙返り、海獣が遊むように体を舞わせた多摘は、竜神の力を滾らせた祟り縄をその無防備に落下せんとする編笠衆へと、叩きつけた。
「此方はどうにかできそうじゃが」
落星のごとく吹き飛ばされた編笠衆が、集落の外の平原に衝突する音を遠くに聞きながら、彼らの言っていた蛇神とやらに意識を遣った。
「ま、他の猟兵がどうにかしてくれるじゃろうて」
多摘は、いまだ住民たちを脅かす不届き者たちへとその雷撃を放っていく。
大成功
🔵🔵🔵