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何時しかに日の昇る時の為に

#ダークセイヴァー #辺境伯の紋章 #番犬の紋章 #地底都市

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●吸い込まれる嘆き
 妖しき霧と苔の淡い輝きは閉塞された地下の中に於いても、地上と変わらぬ様相を映し出している。
 秘められし地下都市の中、人々は収穫した葡萄と蓄えた食料、そして昨年に仕込んだワインを並べ始める。
 この実りも、蓄えた美酒も口に届くのは極々僅か。その大部分がこの地を支配する者共に食い散らかされる――それでも命の血の一滴に等しい喜びは、寸での所で彼らを活かす。彼らの血と汗の労苦は搾取され続けるのだ。
 ほんの一時の一滴と引き換えに、何代にも渡る陰鬱な労苦と抑圧の日々が続いていく。
「――もしも」
 ある時、グラスに血の色の如き果実汁を注いだ誰かが嘆きと共に呟いた。
「もしも、みんながもっと平等で、幸せに暮らせる世界があったなら」
 ――誰かの嘆きは、少女の知らぬ曇り空は愚か、永きに渡り人々の知らぬ太陽にすらも届くことは無かった。

●籠か巣立ちか
「自由が必ずしも幸福とは限らないが、圧政と搾取の果てに滅ぶよりは良いだろう」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、微かに銀灰色の瞳に長い前髪の陰りを見せながら唐突に語り出した。
「幸いにも、いきなり放り出されるような無責任ではないから安心してくれたまえ」
 自由の重みと責任を語りながらも、彼女は苦笑しつつグリモアを輝かせた。

「さぁ語ろうか! 舞台は深き闇と退廃の世界ダークセイヴァー、君達には秘められた地下に住まう民を解放して貰いたい!」

 ダークセイヴァーには秘められた地下都市が幾つもあるのだという。
 そこでは地上と殆ど変わらない環境で生活を送る者達がいる――尤も、それは吸血鬼などのオブリビオンに支配され続けている、という状況も同じことであるが。
 寧ろ地上の状況も一切知らず、閉塞された場所で圧政を受け続けている分だけ、彼らの方が不幸といえるかもしれない。
「よって君達には、門番を倒し地下都市へ侵入し、跳梁跋扈する兵を倒し、彼らを地上に誘い出して貰いたい」
 幸いにも地上の人類砦には彼らを受け入れる場所が幾つもあり、地下の民の生活について心配する必要はないとスフィーエは語った。

「まずは門番を倒すのだが、実に強力だ。真面に戦えば……そう、かの同族殺しですら一太刀で葬り去ってしまうだろう」
 そう言ってスフィーエは愉悦に満ち溢れた実にダークセイヴァーのボス格に相応しい、人の命を玩具としか思っていないような残虐な青年の姿を映し出す。
 同族殺しと呼ばれる強力なオブリビオンすらも容易く倒してしまうほどの実力を持つ上に、攻撃も殆ど通らないのだという。
 ではどう倒せば良いかと問う猟兵に、スフィーエはグリモアを手繰ると映し出す。
「唯一の弱点は……この『番犬の紋章』だ。そこを叩くしかない」
 そう言ってスフィーエは指し示す――毒々しいピンク色の長い前髪の下、隠された片目に埋め込まれた、檻の中に嘆きの声を挙げる人を象った紋章を。
 これこそが『番犬の紋章』と呼ばれ、そこを攻撃する他、門番に対して有効打を与えることは叶わないのだという。
「恐らく壮絶な死闘となるだろう。しかし彼を倒さなければ地下都市に入ることは叶わない」
 秘匿された場所を守る門番が弱い筈がない――苛烈な攻撃を潜り抜け、小さい紋章を撃つ。そうして漸く勝機が見える相手なのだと彼女は語った。

「その上で君達には、人民を虐げているオブリビオン兵を倒して貰いたい」
 門番よりは確かに弱いが、地下に住まう民を守りながらの戦いとなる。
 激戦の消耗もあるかもしれないが、数で押してくる雑兵を打ち倒し、地下の民を解放してやって欲しいと語る。
「そこでの戦いぶり次第では、地下の民に希望を与えることもできるだろう」
 勇気を与えるようにオブリビオンを倒すなど、華麗な活躍を行えば地下の民は猟兵を信じやすくなるかもしれない。
 それは地上に誘い出すにあたって有利に働くかもしれないと語った。

「終わったら丁度葡萄の収穫祭だ。それを楽しみながら地上に誘ってあげて欲しい」
 元々はこの地を支配するオブリビオンに捧げられるものだが、解放した以上は民だけのものとなるだろう。
 新たなオブリビオンが侵略の手を伸ばす前に――といっても多少の時間の余裕はあるが――宴に興じつつ地上に誘うことになる。
 地上に出れたとしてもすぐに生活が楽になる訳ではないかもしれないが、隷属を絶対とされた閉塞した場所よりば幾許かマシというものだろう。

「……彼らには確かに住む地を手放させることになる。それは確かだろう。だが……」
 一通りのことを語り終えたスフィーエは溜息を吐きながら、傍らの葡萄ジュースで喉を潤すと、ぽつぽつと語りを始めた。
 ここで猟兵達の視線にふと気づくと彼女はグラスを傍らに置き、グリモアを輝かせ戦場への道を作り上げながらこう締めた。
「隷属の苦しみ以外にない道よりは良いと信じるほかない。頼んだよ、闇の救済者<ダークセイヴァー>諸君」


裏山薬草
 どうも、裏山薬草です。
 久方ぶりのシナリオになりますが、よろしくお願いします。

 さて今回はですね、ダークセイヴァーは地下都市の皆様を解放しに行って頂きます。

 第一章はボス戦。
 まともに戦えば強敵ですが、番犬の紋章を狙うとプレイングボーナスになります。
 紋章の位置はOPで示した通りです。

 第二章は集団戦。
 人民を虐げるオブリビオンを撃破してください。
 ここで華々しく活躍すれば、三章で有利になります。

 第三章は日常パート。
 収穫祭を一緒に楽しみつつ、地下都市の彼らを地上に誘ってあげてください。
 二章で華々しく活躍していれば説得はしやすいと思います。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 ボス戦 『断罪者『エリアル』』

POW   :    彼らはどうすれば助けられると思う?
対象への質問と共に、【自身の愉悦の記憶】から【惨たらしく殺された犠牲者の霊】を召喚する。満足な答えを得るまで、惨たらしく殺された犠牲者の霊は対象を【怨嗟の呪い】で攻撃する。
SPD   :    断罪者の嗜み
自身の身体部位ひとつを【拷問器具】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    救われなかった者達
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【引きちぎられた誰かの手足】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エンティ・シェアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルイス・グリッド
俺は傭兵もしているから、雇われた相手に従う事もあるが選ぶ自由は持ち合わせている
この町で過ごす彼らもその自由がなければ救われない
拷問具か、いいぜ。好きなだけするといい
俺はデッドマン、すでに死んでいる者だ。それだけで止められるとは思うな

俺は接近戦で挑む
挑発で相手を誘い出し、力溜め、怪力、重量攻撃、鎧無視攻撃を使って銀腕で殴る
必要なら一撃必殺、カウンターも使用する
拷問具で攻撃されても構わずに覚悟して攻撃し続ける
最後はUCを使って紋章を狙い攻撃、受け止められれば銀腕の武器変形を使って鋭い針状に伸ばして串刺しにする



●選べる自由
「人は何故……自由を幸せと違えるのか。本当に良いことだとでもいうのかい?」
 陰鬱な常闇の世界に目立つ薄桃色の派手な髪に顔の半分を隠した青年は、現れた猟兵に対して問いを投げかけた。
 秘められし地下都市を守る門番はやってきた猟兵の狙いに気付いたか、それを嘲るように唇を歪め語る。
 ――何とも反吐の出る顔つきか。
 男にとって、傭兵ルイス・グリッド(彷徨う海賊・f26203)は雇い主に金銭などを以て従うことは多々あり、主の命に従わなければ得られぬ物もある。
「従うかどうかの自由を奪っておいてよく言う」
 されど従うかどうかは当人が決めること、死か服従かの二択を強いるオブリビオンの愉悦に不快感を覚えながらルイスは吐き捨てた。
 その彼の言葉に門番は肩を竦めると、その腕を変化させていく――
「やれやれ。保護もしているというのに、残念だ。聞き分けのない子は……お仕置きの時間だよ。それが僕のお仕事だから、ね……!」
「いいぜ、好きなだけ」
 かの形は波打つ刃、わざとらしく斬味を落とし刃をざらつかせた苦痛を与えるに特化した刃。それを掲げ嗤う門番に、彼は銀の腕の拳と掌を打ち合わせ鼻を鳴らした。
 嬉々として嗤いながら振り下ろされた肉を削り痛覚を抉る刃がルイスの身体を通り過ぎていきそうになるも、それを物ともせずに、顔色を一つ変えずに彼は拳を門番の顔に叩き付けた。
「止められると、思うなよ」
 デッドマンに、死した者に生者への苦痛は通じぬ――重量を乗せた拳の殴打に、有効打でなくとも、顔色一つ変えずに立ち向かったルイスに門番は腹が立ったか。
「腹が立つねぇ! せめてイイ声で鳴きなよぉ、それぐらいしか楽しいこと無いからさぁ!!」
「――言っただろ。死んだ身を止められると思うな、と」
 それでも彼は顔色の一つを変えず、死した身故の生きる証の苦痛の刃を物ともせずに、時にそれが身体を掠め肉を削ろうとモノともせずに、銀腕の重たい殴打は門番を怯ますと。
 そのまま彼は銀腕の流体金属を鉤と為し、それを何処までも鋭く伸ばし――長きピンクの前髪の下、隠された愉悦の紋章を貫くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

大崎・玉恵
まずは門番を打ち破らねば話にならぬということじゃな。
己の糧とした命を弄ぶか。命は感謝して頂き、食べ物では遊ぶなと学ばなかったのかのう?お里が知れるというものじゃ。

【破魔】の力を込めた【霊符】と【式陣・朱天照】を展開する。
【霊符】には【焼却】の【呪詛】も込め【呪殺弾】とし、【念動力】で飛ばし二種類の炎を広範囲に展開。
何者かの手足は【焼却】し、霊は【破魔】の力にてあるべき世界へ導いてやろう。
拷問具も、鉄で出来ておるならば熱することで反撃できよう。隙を見て紋章を狙うことで痛打を与えるのじゃ。
奴の攻撃で焼くのが間に合わない時には、薙刀で弾くか【結界術】にて対応じゃ。



●真に懲罰するか
 立ちはだかるは圧倒的な強敵、門番を名乗るだけあって相応のものか――だが地下に苦しむ民を解き放つ為には。
「まずは倒さねばならん、ということか」
「いたたた……酷いことをしてくれるねぇ。ちょっとお兄さん頭来ちゃったよ」
 大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)は霊符を取り出しながら戦意を固め、門番は片目を抑えながら嘲るように肩を竦めた。
 文字通りの目を斬られたか、ご立腹のようではあるが、玉恵は妖狐の尾を一つ揺らしつつ手に持つ霊符に魔祓いの清浄な光を籠めると。
「さりとて容赦はせんぞ。さぁ、この夜とて、昼と染めようぞ」
 それは正に夜深き世界に朱の太陽を齎すように――盛る狐火がぐるり、ぐるりと舞い踊りながら、その輝きと熱が赤く門番の身体を照らす。
 それと同じくした淡く輝く霊符を浮かべれば、込められた別の焼却の呪詛が符に舞い踊り狐火と呪詛の業火の、異なる火炎が揺らめく。
 邪には鎮魂を、人には希望を。
 立ち込める熱気を前にしても尚、門番は嗤うと天高く掲げた腕より、指を一つ軽快に鳴らした。
「ハハハッ、温かいねぇ、明るいねぇ……是非とも彼らにご馳走してあげなよォ!」
 この門番が嘗て拷問の末に捨てたのだろうか――千々に切れた手足が精緻な幾何学模様を描くように飛び、風切り音がまるで怨嗟の叫びのように響く。
 まるで救いを求めるような殺到を前に、微かに眼を伏せると、玉恵は指先を踊らせ、尻尾を軽く左右に揺らしながら火炎を踊らせた。
「……己の糧とした命を弄ぶか」
 飛来する腕を次々と灰の中に返しながら、響き渡る怨嗟の声すらも込められた清浄なる霊力が柔らかく流す。
 報われぬまま死した民の嘆きを耳に収めながらも、立ち込める解放の業火は静かな怒りを表すように舞い、門番の繰り出す悪趣味な幾何学模様を焼き払いながら、その怨嗟を返すように熱気で圧倒すると。
「おおっと……!?」
「命は感謝して頂き、食べ物では遊ぶなと学ばなかったのかのう? ……お里が知れるというものじゃ」
 熱風が舞い上げた片目、露わになった門番の紋章を静かに熱く盛る呪詛の業火が、先に刻まれた傷より染み込み、悪辣な門番に苦痛の応報を齎していく――!

成功 🔵​🔵​🔴​

四季乃・瑠璃
緋瑪「地下世界があったなんてね~。ま、今回も強敵みたいだけど…」
瑠璃「弱点が判ってるなら、殺せないワケはない」

「「さぁ、わたし達の殺戮を始めよう」」

UCで分身&強化

凍結魔術を付与した銃弾【ドロウ、属性攻撃】と凍結ボム【属性攻撃、範囲攻撃、早業】で敵を凍結させて動きを鈍らせるよ。ダメージは受けなくても体表面で凍結すれば動きを封じる事はできる。
その上で銃撃や大鎌による斬撃、ボムでの爆破を紋章に攻撃し、ノヴァを紋章に押し当てる様にして叩き込むよ

緋瑪「霊達の助け方?」
瑠璃「そんなの決まってる」
緋瑪「これ以上苦しまない様に再度殺してあげる事」
瑠璃「そして、おまえを殺す事。霊達の無念もここで晴らすよ」


七那原・望
紋章の位置は前髪に隠れた左眼……

【Laminas pro vobis】を発動。目の前の敵達に理不尽にも囚われてる全てを解放したいという望みを。

彼らはどうすれば助けられるか、ですか。その彼らが地底に住む人々であれ、その霊達であれ、答えは一つです。
お前とお前が護っているオブリビオン達を全滅させれば、方向性は違えどどちらも救えます。

【第六感】と【野性の勘】で敵の動きや攻撃を【見切り】、回避を。
呪いは【呪詛耐性】【オーラ防御】で防ぎつつ、【全力魔法】の【浄化】の【歌】で霊達を鎮めます。

そしてこっそりオラトリオを敵の足元に忍び込ませ、こちらに注意が向いた時に【早業】【スナイパー】で敵の左眼を射抜きます。



●スナイプ&ボム
 同族殺しすら一撃で屠り去ると言われる、地下都市の門番――この軽薄そうな見た目だけで見ればとてもそうは見えないが、相対して分かる肌の張り詰める感覚はその実力の程を物語る。
「今回も強敵みたいだけど」
「弱点が判ってるなら、殺せないワケはない」
 されど四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)とその半身の緋瑪にしてみれば、襲るるに足らず。瑠璃は異なる魂の緋瑪に同じ姿の肉体を受肉させると。
「「さぁ、わたし達の殺戮を始めよう」」
 油断なく、命を振り絞る勢いで闘気を迸らせながら彼女達は解き放つ――さる術式を込めた大型拳銃と爆弾を。
 響き渡る銃声と爆音、爆ぜる熱と裏腹に、込められた術式は門番の周囲より熱を奪い、その身体を氷に閉ざしていくが、されど門番はどこまでも嗤う。
 例え攻撃が通じずとも氷の中に閉ざしてしまえば同じ事であれど、それでも門番は不敵な笑みを崩さず。
「クックック、ああ面白い面白い。ところでさぁ君達。君達には、彼らをどうやって救えるのかな?」
 解き放たれゆく悍ましき声。
 惨たらしく殺されたであろう悲しみの声と、血涙を流す霊を前に、オラトリオの七那原・望(封印されし果実・f04836)は唇を噛み締めた。
「わたしは望む……」
 夜闇の世界を鮮やかに激しく照らすように、眩い鮮紅の輝きを身体より迸らせながら望は一歩を踏み出した。
 迷わない。
 目の前の残虐に嗤う門番、そしてその後ろに待ち受ける過去の亡霊に奪われた全てを解放する為に。
 彼女の強き決意から放たれる眩き赤の障壁が翳されれば、怨嗟の呪詛を見事に防ぎ切り。
「霊達の助け方?」
「そんなの決まってるよ」
 その間に瑠璃と緋瑪は望に礼を一つすると、再び凍結の術式を込めた銃弾と爆弾を投げつけながら、問いに答えた。
「これ以上苦しまない様に再度殺してあげる事」
「そしてお前を殺す事」
 同じくして、迷いもなく。
 投げ込まれていく氷の術式が確かに門番を閉じ込め始めた中、門番は僅かな焦りの様相を顔に浮かべながら、肩を竦めて嗤う。
「おいおい~……彼らがどうなっても良いのかい? 欺瞞だねぇ」
「彼らが例え何者であろうと」
 門番の言葉を制するように、ハッキリと望は決意を宿した強い声色で語る。
「お前と、お前が護っているオブリビオンを全滅させれば、全て救えます」
 殺人姫達の言葉を肯定するように、そして差し向けられる怨嗟の声の、その一つ一つと向き合いその言葉を虚言とせぬ誓いを立てるように。
 声高らかに天使<オラトリオ>は歌う――魂鎮めの聖譚曲<オラトリオ>を。
 これ以上を繰り返させないために、そして死していった者達を無にしない為に――救うという強い覚悟と決意は歌わせるのだ。
 苦しみからの安らかなる解放を。
「今です!」
 ――やがて高らかな声がピリオドを打てば、其処には晴れやかな怨嗟の声が静まりし光景があった。
 少女の祈る歌声が通じたか、怨嗟の声が消え失せたことに驚愕する門番目掛けて、バトンを受け取るように殺人姫達は翔けた。
「霊達の無念もここで晴らすよ」
「受け取ってもらうよ。全部」
 最早何を言われようと、何を返されようと殺人姫達の猛攻は止まらない。
 化け物殺しの為の拳銃の枠を超えた痛烈な鉛弾が、仕込まれた炸薬による勢いがついた大鎌の刃が、そして何より彼女達の得意とする爆弾の容赦ない熱風の怒涛が。
 隠れた片目に仕込まれた紋章を刻み、穿ち、灼いていく――漸く門番は本腰を入れる気になったか、氷を内側より破り一歩を踏み出そうとしたが。
「ああ~……つまらな……ぐっ?!」
「文字通り足元を掬われましたね」
 ――楽しむことに気を取られ過ぎです、とは敢て語らなくとも。
 望の実体ある影<オラトリオ>は確かに不快に顔を歪めた門番の、その足元を捕らえ――そこに気を取られたが命取り。
 活発に<ヴィヴァーチェ>に引鉄弾かせ、放たれた弾丸は真っ直ぐに髪に隠れた番犬の紋章を貫いていた。
「「さぁ、悪趣味な愉悦を終わらせよう」」
 そして望が入れたヒビへと、二人で一人の殺人鬼たちは彼女達の全力を込めた殲滅の閃光と銘打たれた爆弾を、抵抗の儘ならぬ門番へと押し込むと。
 バックステップと入れ替わるように、追い打ちに放たれた望の銃弾がそれを貫き起爆して。
 立ち上る鮮烈な、滅びを齎す疾風の如き勢いで爆ぜる閃光は、解放に向けての高らかな花火のように挙げられて行くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

播州・クロリア
色は青、怒気を糧に天を衝かんと燃え上がる蒼焔のリズム
...これは私のリズムでした
落ち着いて
まずは犬を退かさないと
(肩幅ほどに足を開き、深く息を吐きながら全身の力を抜いた後{霹靂の旋律}で『ダンス』を始める)
このリズムは一瞬です
目を離さないよう...
(ダンスに乗せて『催眠術』を掛け、認識阻害により生み出した『残像』を囮に攻撃を回避し『オーラ防御』壁で敵を覆い捕獲する)
時間がありません
ダンスはここまでとしましょう
(UC【蠱の宴】を発動し敵の動きを鈍らせた後{霹靂の旋律}で生み出した稲妻と『衝撃波』を纏わせたオーラごと貫く蹴撃で『貫通攻撃』と『属性攻撃』を放ち、番犬の紋章を狙い撃つ)



●刻むステップに相応しきは
 夜闇の曇り空に相応しいような、低く重々しく神々の怒りが如き激しき唸りを彼女の律動は奏でていた。
 その色は青、赤よりも熱く盛り、迸る熱情のそれは陰鬱な曇り空を焼き尽くさん程に――と、ここで彼女は、播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)は気付いた。
(……ああ、これは、私のでした) 
「おやおや~? へいへい、へいへーい。楽しいねぇ?」
 へらへらと笑いながらクロリアの律動を嗤う門番のその声に、怒れる律動が再び盛らんとしたが深呼吸と共にそれを無理矢理押さえつける。
 落ち着いて――まずは“犬”を払うことから……脚を肩幅に開きながら、嘲り嗤う門番を見据えつつ、クロリアの長い脚は刻み始める。
 怒りの強張りを深き呼吸に吐き出しながら、その脚の律動は語る。
「……このリズムは一瞬です。目を離さないよう……」
 瞬く間に広がり畏怖という言葉の意味を思い知らす、一瞬の雷霆が如き律動を――言葉通りの刹那の律動が通り過ぎれば、クロリアは門番に問う。
「楽しんでますか? 私は楽しいです、リアです」
「クククク……嗚呼、イイよ。実にイイよ君。悪くは無いステップだけれども」
 奏でられる一時のステップ。
 荒れ果てたダークセイヴァーの地面を楽器とし、奏でられる律動に門番はおざなりな柏手を打つ。
 クロリアの奏でる律動とは比べるまでもない、否、比べることすら失礼な旋律を乱す雑音――即ち、門番にとってみればどうでも良い、ということだろうか。
 門番はその腕を禍々しく棘の生えた大鉈に変えると、それを大きく振りかぶり駆け出す。
「音楽が足りないかなぁ! 勿論君が、なるんだよ!」
「そうですか」
 ――どうでも良いと思うのならば、それは正に好都合か。
 強力な存在である門番の動きも、今は全て止まって見える――場に残した影に拷問器具を空振りさせると、すかさずに刻んだステップが見えざる障壁を紡ぎ、門番の身体を阻む檻となり。
「では時間もないので、お開きといたしましょう」
 その脚に纏うは神の裁きが如き雷霆の輝き――迸る裁きの光を宿した閃光の如き蹴りの刺突が、隠された片目の紋章を貫いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

セツナ・クラルス
この世界に生きる全てのモノは罪を犯さないなんて夢物語を信じられる程、
私は清らかではいられないようだ

相手の土俵で戦わないことを心がければ勝機は見えてくるかもしれない
…ふむ、そうだね…

ねえ?
あなたは私を罪人として断罪するつもりなのかな?
わかった、ならば私はその罰を受け入れよう
笑顔すら見せながら目を伏せ、敵の動きを気配で探る

…あなたがどのような方法で私を虐げようとも、光は闇に屈しないという私の信念を砕くことはできない
敵の攻撃を全ていなし、動揺を誘うことができたなら
手持ちのナイフをアイスピックのように敵の目(弱点)に突き刺そう

民の嘆きに耳を貸さず
民の苦難から目をそらしたことは
罪に値するのではないかな



●楔を打つように
 生きとし生けるものは何かしらの罪を必ず犯す――どこも穢れぬ者は無きと断ずるほどが出来るほどにと、男は己の必要な濁りを肯定していた。
「ねえ? あなたは私を罪人として断罪するつもりなのかな?」
 夜闇に溶け込むかのように黒きを纏った聖者は、片目を抑えながら顔をひきつらせた門番に問いを投げかけた。
 門番は聖者の、セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)の声にお道化た様子で肩を竦めると、顔を歪めながら柏手を喧しく打ち鳴らす。
「んん~? ああ、そうだねぇ~……当たり前さぁ! この僕を! ここまで追い詰めたお礼がしたいから、ねぇ!!」
 転じたその腕が見せるは世にも恐ろしき拷問器具、一見すれば只のアイスピックに見えるそれだが、その実、差し穿った瞬間に身体の内側に刃の花開き肉を抉る拷問器具。
 苦痛を長引かせるべく態と刃にざらつきを与えているのも同様か――悪趣味なそれを突き出す門番に対しセツナはふっと目を伏せると、その口角を軽く釣り上げた。
「……なら、受け入れよう。致し方ない。彼らの分も許して欲しい」
 軽く両腕を広げ目を閉じたその姿は、信仰に準ずる教徒のように。
 自らの身を差し出したセツナの覚悟を嘲笑うかのように、門番は玩具のように拷問器具を突き出す――が。
 その刺突は空しく虚を切った――赦しの言葉を呟いたセツナの動きは、ひらり、ひらりと舞う薄布か木の葉の如く。
 夜闇に溶け込む舞へ虚しく門番の拷問器具が突き出され続けるも、視界を敢て封じたセツナの、研ぎ澄まされた感覚は刹那の瞬間に拷問器具の魔手より彼の身を逃がす。
「……クソッ、避けるな……避けるなって!」
「貴方が恐ろしい武器を幾つも持とうと」
 門番の焦りの声もそこそこに、今こそと動きに乱れが見えたその瞬間、セツナはナイフを取り出すと。
「私の信念は砕けないよ」
 救いの光は苦難のみの闇に決して屈しない――夜と絶望の世に光と希望を備え生まれた者の矜持を示すように、彼は目を見開き。
 驚愕する門番の紋章へと、罰の楔を打ち込むように煌めく刃を押し込んだ――!
「あなたの方こそ、苦難から目を逸らし、踏み躙った罪を知るべきだね」

成功 🔵​🔵​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
ボクたち二人がかりでも勝てるかどうかわからない
けど、ボクたち二人なら勝てる
ウィーリィくんと【手をつなぐ】事で互いの絆を確かめ、【勇気】を高め、戦いに臨む

宇宙バイクを【操縦】してボスの周りを走り回りながら【バトル・インテリジェンス】で身体を操って熱線銃で攻撃
ウィーリィくんを【援護射撃】でサポートしながら【乱れ撃ち】でボスの注意を逸らし、ウィーリィくんの攻撃で隙が出来たら【ロープワーク】+【罠使い】で周囲に張り巡らせてたワイヤートラップで動きを封じ、前髪の下の紋章が見えたら【スナイパー】+【クイックドロウ】でピンポイント攻撃!

言ったでしょ?「ボクたち二人なら勝てる」って☆


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
彼我の戦力差は歴然だけど、それでもここで苦しめられている人達を解放するにはこいつを倒すしかない。
シャーリーとの絆を信じ、強敵に立ち向かう。

敵の包囲攻撃を鉄鍋の【盾受け】と大包丁の【二回攻撃】、周囲に飛び交わせた【厨火三昧】の炎で凌ぎながらダメージは【覚悟】の上で敵に肉迫。
狙うは奴の前髪に隠れた『番犬の紋章』。
充分に接近したらシャーリーとタイミングを合わせて【厨火三昧】の炎を一斉に奴に襲いかからせ【フェイント】で隙を作り、シャーリーが仕掛けると同時に【捨て身の一撃】で衝撃波を放ち紋章を隠していた奴の前髪を【部位破壊】で切り払ってシャーリーが狙撃するチャンスを作る。
頼んだぜ、相棒!



●足し算と掛け算の違いに
 戦いも佳境に達し、終幕の近さを物語るは門番の身体の僅かなふらつきか。
 されど立ち込める熱気のような何かが彼の周囲を歪め、その闘志の昂ぶりは衰えを見せず門番の唇は残酷に歪む。
「クックックック……無駄、無駄、無駄ぁ……!」
 その腕を刺し穿ち内側の肉を回り抉る拷問器具に変えたままの門番を前に、現れた少年と少女は緊張と共に唾液を飲み込んだ。
「あれだけやって、まだやれるのかよ……」
「二人がかりでも勝てるかどうか……」
 グリモア猟兵も語っていたが圧倒的という他ない実力、幾度となく致命傷となり得る打撃を弱点に叩き込んで尚収まらぬ脅威に彼らの繋ぎ合う手と手に、嫌な汗が滲む。
 少女シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)の小さな手が強く握るその手を、宥めるように熱く力を籠める少年ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)の姿を、門番は嘲るように歪んだ眼を向けつつ、ゆっくりと地を踏み距離を詰めていく。
「分かってるねぇ……そうそう。いくら来たって無駄なんだから……まぁ、逃がさないけどねェ!」
 
「ひゅーっ、ほらほらぁ、早く尻尾巻いて逃げ出しなよォ! 追って甚振るからさぁ!」
「……でも退けないよな」
「行こう、ウィーリィくん。……ボクたち二人なら勝てる!」
 ここで退けばこの門番の閉ざす、地下都市の民を救うことは出来ない。
 覚悟は既に、出来ている。
 解かれた手に握り合った決意と力の残滓を、闘志を高める気付けとしながら彼らは一斉に駆け出す。
 まず先陣を切ったのはシャーリーだった。
 宇宙バイクの駆動音も賑やかに、精緻な幾何学模様の悍ましく千切れた手足の豪雨を翔け抜ける。
 道中に彼女を突き落とさんとそれが向かうも、それは鉄鍋と大包丁を携えたウィーリィがそれを振るうことで文字通りに叩き落す。
 そうして彼女は車輪が堅い大地を削る音確かに響かせながら、門番の周囲を駆け巡る――空中に浮かべた偵察機に自らを操らせ、その精度を向上させつつ、解き放たれた銃の熱線が門番に一歩を退かせた。
 その間にウィーリィは極めた火工にて原初の火炎を従え、飛び交う犠牲者の無念の証をも焼き払いつつ門番目掛けて肉薄していく。
 従えた炎の熱気と勢いは存在感も確かに門番にウィーリィを気付かせると、門番は愉悦を浮かべながら拷問器具を鳴らす。
 だがそれを阻むように、プログラムされたシャーリーの熱線銃による射撃、豪雨のように襲うそれが門番の気を逸らす。
「ウォォォオオオ!」
「おっとぉ!」
 シャーリーの射撃に気を取られたその隙、本当に極々僅かな硬直を逃すまいとウィーリィは周囲に浮かべた火炎を盛らせて。
 束ね挙げられた苛烈な一つの火炎流が門番の身体を、当たらずともその熱気だけでも灰と化すほどの勢いで襲う――だが門番の身に通じるのは、紋章を狙った攻撃のみ。
 門番は腕の一振りだけでウィーリィの放った業火を力強く打ち払う、が。
「……掛かったね!」
「なっ!?」
 次の瞬間には門番の身を一瞬で縛り上げていた丈夫な鋼線の数々がそこにあった。
 戦場を駆け巡りながら自らを操縦させることで成し得た、操縦と射撃の間の隠された罠使い。
 シャーリーの仕掛けたそれが傷を負わすには至らずとも、身体を十分に縛り上げ、その隙にとウィーリィは渾身の力を振り絞り大包丁を振るう。
「なめ、るなよ……!」
 しかし門番はあまりにも強かった。
 身体を縛る鋼線を無理矢理引き千切ると、横薙ぎに振るわれたウィーリィの大包丁が繰り出す、空間すらも歪め天地海をも斬り裂く衝撃を強引に躱す。
 渾身の一撃を前に、門番の前髪が斬り落とされ顔が晒されるも紋章は無事――失敗したな、と門番は嘲わらうも。
 だがウィーリィは静かに微笑んでいた。初めから倒し切れるとは思っていない。今の攻撃は【失敗と思われたそれこそが狙い】なのだから。
「頼んだぜ、相棒!」
「頼まれたよ、ベスト・パートナー!」
 既にシャーリーのサイバーアイは、照準を合わせていた。
 門番の前髪に隠された番犬の紋章、嘆きを嘲る悪趣味なデザインのそれに。
 前髪という陰りが無くなった今狙いは丸裸、弾かれるように指が踊り銃口より無数のプラズマが迸る。
 全てのエネルギーを使い切る勢いで、そして余すところなく一曲に集中した莫大な熱線は、容易く門番の紋章を貫き門番の後方の遥か遠くまで眩き流星を産み出す!
「さ、最初から……!」
 それが狙いだったというのか――晒された紋章を穿たれた門番は膝をつき、火花を散らし罅割れ往く紋章を抑えながら蹲る。
 その遠方に、互いの健闘を称える少年と少女の手が打ち合わされた音も聞こえぬままに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…死んだ人達を助ける事なんて、どうやってもできはしないわ

…私にできるのはお前を討ち果たし、彼らの無念を晴らす事だけよ

敵が召喚した犠牲者達の霊を左眼の聖痕に取り込み、
心の傷口を抉るような彼らの呪詛や死因を残像として暗視し、
気合いで耐えつつ心の中で祈りを捧げ浄化を試みUCを発動


…彼の者に殺され、いまだ安息を赦されぬ霊達よ

…貴方達が抱く怨嗟を、憤怒を、憎悪は受け取った

その想いの全て、一つ余さずこの私が叩き返してあげる…!

全身を降霊した霊達のオーラで防御して覆い、
"血の翼"を広げ超高速の早業で懐に切り込み、
大鎌を武器改造した手甲剣に限界突破した魔力を溜め、
紋章に突き刺し呪詛を爆発させる闇属性攻撃を放つ



●望は、棄てない
 陰鬱極まりない世界とは裏腹に、何処までも陽気――その陽気さが人を嬉々としていたぶることへ向けられている典型的なかの世界のオブリビオンか。
 隠そうとも隠し切れぬ嫌悪の色に瞳を濁らせた女を前に、門番は道化のように柏手を打った。
「さてさてようこそお嬢さん、問題です。彼らを救う為に、貴女は何ができるでしょーかっ! 制限時間は貴女の命が続くまで、スタートッ!」
 女は、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の耳に絶え間なく響くは門番が嗾けた悍ましき恨み辛みの奏で。
 門番のこよなく愛する不必要な拷問の末に、苦しみの中で死して、それでも尚、死という解放すらも奪われた霊の叫び。
「……」
 声の重たく響く音色だけでも、脳髄を鈍く痛ませる怨嗟の声に、リーヴァルディは静かに佇んでいた。
 何をどう足掻こうと、この死した者の命を救うことは決して出来はしない。
「私にできることは……」
 あらゆる罪、苦しみと悲しみを吐露し全てを託せとリーヴァルディは左目に刻まれた聖痕<スティグマ>の中に、門番が嬉々と嗾ける悪霊を受け入れる。
 文字通りの眼裏に映るのは、残酷な手口で死していった苦しみの光景。反らす事すら許されない残酷な時間と、絶え間なく身体を侵す呪詛を気丈に彼女は耐える。
 ――ええ、分かった。
 彼の者に殺され、いまだ安息を赦されぬ霊達よ。
 貴方達が抱く怨嗟を、憤怒を、憎悪は受け取った。
「その想いの全て、一つ余さずこの私が叩き返してあげる……!」
 決意一つ口に出せば、激しき苦痛を取り込んだ証か、リーヴァルディの背が鮮血を噴き上げた。
 迸る痛みが悍ましき怨嗟と愉悦の声に崩れそうな身体を支え、血の噴き上がりが作る翼が彼女に与える。
 打ち倒すべき怨敵へ迫る、音すらも超えた速度を。
「おいおいっ……反則っ……」
 顔を苦痛に歪める門番がリーヴァルディの姿を捉えたのは、既に手甲の剣が剥き出しとなった番犬の紋章を貫く姿だった。
「一度は彼らの痛みを知りなさい」
 そして流し込まれる昏き呪詛の響きは刃を返して門番に流れ込んでいく。
 リーヴァルディの誓いに答えるように、響く悍ましき呪いの声は、番犬の紋章を崩していく。

成功 🔵​🔵​🔴​

鬼桐・相馬
【POW】
[冥府の槍]へ悪意の供給を一旦止め、槍から排出される炎を消そう
身体を巡る衝動は他の装備品へ流し戦闘開始

自前の[戦闘知識と野性の勘、視力]を使い敵の攻撃を[見切り、槍で武器受け]し防戦メインに
動きの癖や特徴を[継戦能力]で集中力を維持し[情報収集]

戦闘が長引くと焦り・苛立ちから隙の出来る奴は多い
得た情報から大振りな攻撃を致命傷を避け[激痛耐性]で耐えつつ深目に喰らう
そのまま[怪力]を使い至近距離で抑え込み、傷口から一気に敵へ向けて冥府の炎を噴き出させる

炎に一瞬怯むその虚を突きUC発動、紋章に角を使った強烈な[頭突き]をかましてやろう

質問の答え?
その霊達の前でお前を斃せば十分じゃないのか



●二度刺す
 ――迸る悪意の化身とはこのことだろうか。
 鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)は傲慢な門番を前に、握り締めた大槍の悪意を一旦鎮めるとその代わりに身体に巡らせた。
「ハハハハハッ、だんまり決め込んじゃって、さぁ!」
 相馬の様相に門番は嗤いながら腕を大鉈に変え、その周囲に呼び出す――拷問の末に殺めた怨みの霊を。
「これは是が非でも聞きたくなったねぇ! さぁ君なら……どうするぅ!? どうやったら、彼らを楽にしてあげられるのかなぁ!?」
 繰り出される呪詛の声と霊が飛来していく中、相馬は巡らせた力を以て悍ましき叫びの霊を躱していく。
 その間に繰り出される門番の拷問器具による一撃を寸での場所で躱しつつ相馬は探る――痺れを切らし大振りの一撃を叩き込むその時を。
 その狙いは仕組まれたかのように、打ち下ろされた大鉈を致命傷を引き締めた筋肉で深めに受けながらも、相馬は門番の身体を掴み。
「……」
 今こそ好機、敢て深手を負った傷口より噴き出した悪意を制す悪意<業火>の熱気が一瞬で迸れば、門番の肌を焼き一瞬怯ませる。
 そのまま、羅刹の剛力を以て門番の頭部を掴むと、相馬はすっと頭部を僅かに引き――
「羅刹の剛力、思い知れ」
 繰り出されるは羅刹の剛力に乗せた必殺のヘッドバッド――額に生えた一本角の鋭きは番犬の紋章を打ち砕く勢いで繰り出され。
 鋼の塊すらも塵と帰すほどに凄まじき殴打は、門番の紋章へ苦痛の洗礼を浴びせる。
 罅割れ往く紋章を抑え、苦痛に呻きながら門番は相馬を恨めしく睨みつけるも。
「ぐが、あっ……て、てめぇ……!」
「さっきから騒がしい奴だな。だが質問には答えてやる」
 ――だが羅刹の剛腕は苦痛に倒れる時間すらも与えずに、門番の頭を握り潰さん程に押さえつける。
 脳髄揺さぶられ意識に警鐘が鳴らされる門番に対し、静かに再度頭を相馬が引いていく――正に走馬灯を思わせる予測が出来ても逃れ得ぬ裁きの瞬間に門番が顔を歪めると。
「彼らの前で、お前を斃せば十分だ」
 その答えが満足いったものかどうかは彼に知る由もない。
 何故ならば、今一度打ち付けられた羅刹の角が齎した衝撃が門番より言葉を奪い去っていたからだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シーザー・ゴールドマン
『番犬』の紋章か。実に門番に相応しい名称だね。
なかなかのセンスだと思うよ。それを創った者達には興味がある。
ああ、そう君自身に興味はないんだ。だから早々に済ませようじゃないか。

オド(オーラ防御×呪詛耐性)を活性化して戦闘態勢へ。
オーラセイバーを振るって戦います。

敵POWUC
どうすれば、かね。こうすれば、だ。
(剣に破魔の属性を瞬時に纏わせ霊を両断)
ふふ、君が満足するかどうかは私には関係ないな。
それでは、答えの対価を頂こうか。

敵の動きを見切り、フェイントで引っ掛けて隙を作り、『破壊の魔力』を籠めた貫き手で片目に埋め込まれた『番犬の紋章』を穿ち潰します。
(部位破壊×貫通攻撃×カーリーの鏖殺し)



●握り潰すは
「ふむ、中々のセンスだね」
「分かるのかい?」
 現れたシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は番犬の紋章に興味を示し微笑むと、門番は満身創痍にも関わらず大層な良い笑顔を浮かべた。
 その笑顔の裏に互いの内に潜む戦意を察しながらも、シーザーは両腕を広げると、悠然とした風体からの溢れかえる程に凄まじい輝きが揺らめいた。
「わかるとも。創った者には興味あるね。ああ、君はどうでもいいが」
 早く終わらせようか――まるで門番を些細な存在と断ずるようにシーザーはその手に光り輝く剣を顕した。
 己を眼中に置かぬシーザーの尊大な態度に腹を立てたか、門番は周囲に浮かべた悪霊を嗾けた。
「その前に彼らをどう救うか、君の回答を見せてくれよぉ!」
「君が満足するかまでは保証しないがね」
 保証どころか門番が満足しようとしまいと、シーザーにとってはどうでも良い事に過ぎず。
 ただ、立ち込める怨嗟の声に於いても呪詛の侵食を纏う貴族然とした圧倒的な闘気を以て涼し気に流しながら、シーザーは剣を振り上げた。
「どうすれば、と言うと……こうすれば、だ」
 擦れ違う霊の怨嗟の声すらも断ち斬るように、正に王道を突き進むが如き勢いで光り輝く刃が悪霊の身を斬り伏せていき。
 穏やかに消え去っていく霊の光景と剣を持ち進むシーザーに対し、門番は子供じみた意地を見せるように親指を下に向けた。
「……ハッ、落第もいいところ、だねぇ」
「そうかね。君の合格が貰えるかはどうでも良いが質問には答えた。まさかタダで答えて貰えるとは思うまい?」
 歯噛みする門番の評価もお構いなしに、何処までも己を崩さぬ帝王の突き出す剣の勢いは大気を歪め、その風圧自体が門番の紋章を軋ませる。
 されど門番はその刺突を横へギリギリのところで躱すも、それが罠と知るのはシーザーの左手指が剣に勝るとも劣らぬ鋭きを以て門番の紋章を貫いていた時だった。
「頂いていくよ」
 ぱきり。
 掌の中で番犬の紋章が呆気なくその役割を終えれば、地下と地上を隔絶していた番の顔は絶望に引きつったまま塵と変わって往き。
 勝利を収めた猟兵達は、開かれた地下世界への門を進むのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『アルカードの猟犬たち』

POW   :    レグルスインパクト
単純で重い【渾身の力を込めた大剣】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    コープジェミニ
【二人がかりで息のあった連撃】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【癖と取り得る回避行動】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    ジフプロキオン
【純真無垢な子供のような表情で油断させる】事で【対象の油断を誘い、暗殺執行モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●地下都市への侵攻
 足を踏み入れた地下世界は、誰か何処かの魔力によるものか光源を確保するかのように妖しく淡く輝き視界を照らす。
 此処が地下であるというバイアスがあることを差し引いても、地上よりも感じる一種の閉塞感を肌に感じつつも猟兵は行く。
 この先に待ち受ける、虐げられた民を隷属から解き放つためにも。
 そうして猟兵達が辿り着いた先に広がっていたのは、現れたのは黒衣を纏った無数のオブリビオンだった。既に門番の戦死と侵入者の報告を知り、地下都市に待ち受けていたようだった。
 周囲の家屋には怯え切った民の気配と視線が強く感じられる――恐らくは避難しているのだろう。彼らを巻き込まぬように留意する必要はあるかもしれない。
 猟兵達の衰えぬ戦意に苛立つか、黒衣を纏う獣人めいた男達は挑発的に言葉を投げかける。
「随分とお疲れのようだな、ええ?」
「お疲れの所悪いが、もう一働きして貰おうか」
「そう……例外なく、我等に立ち向かう者には死、あるのみという教材になって貰わねばならん」
 ……確かに門番との激戦の後だ。
 猟兵達も多少の消耗はあるかもしれない――しかし、死と引き換えの隷属を押し付ける悪辣な者共を許して置ける筈も無い。
 怯え切った瞳に希望を齎す為に、猟兵達は今一度その身を奮い立たせるのだった。
四季乃・瑠璃
緋瑪「アハハ、死、あるのみだって♪」
瑠璃「私達にそれを言うんだね…良いよ、幾らでも相手になってあげる」
緋瑪「本当の死を教えてあげるよ♪」

「「さぁ、私達の殺戮を始めよう」」

【チェイン】で分身

敵の機先を制する様に接触式ボムと時間差で設定した時限式ボムによる爆破で連携を崩し、逆に瑠璃のK100による銃撃と緋瑪の機巧大鎌による高速斬撃で片方を始末し、もう片方も始末。
敵集団が分断を恐れて密になれば中心にボムを放ち、散れば二人で各個撃破して順次片づけていくよ

瑠璃「身の程知らずだね」
緋瑪「連携と殺しで私達に勝てると思った?」
瑠璃「悪いけど、一匹たりとも逃がさないよ」
緋瑪「皆殺しにしてあげる♪」



●上位互換
 歯向かう者には死、あるのみという此の言葉に堪え切れなくなったか緋瑪が噴き出した。
「アハハハハ! 死あるのみ……だって♪」
「私達にそれを言うんだね……良いよ、幾らでも相手になってあげる」
「本当の死を教えてあげるよ♪」
 引き続き自らの身を二つに分けながら、力を高めた瑠璃と緋瑪は一斉に言葉を向けた。
「「さぁ、私達の殺戮を始めよう」」
 駆け寄ってくるは二人一組、それを制するように瑠璃が爆弾を投げつければ、爆ぜる熱と衝撃がそれを崩す――かと思いきや、一瞬で左右に離れそれを躱し。
 瑠璃をそのまま一気に仕留めんと得物を振り上げるも、次の瞬間には彼らの片割れの方が逆に空を舞う。
 何故ならば時間差を置いて発動する爆弾が既に仕掛けられていたからだった――驚愕するもう片方へ目掛け瑠璃の拳銃が火を噴く。
 拳銃の枠を超えたマグナムの馬鹿げた火力が地を抉り、兵の一人を追い詰めて――その背後に、大鎌を振り上げる緋瑪の姿が其処に在れば。
 背後は死神が、前からは射手が――僅かな戸惑いは文字通りの命取り、鎌と銃弾の二つ衝撃合わさりもう片方の舞い上がった首はそのまま空で弾ける。
 一瞬の迎撃に戦意を煽られたか、別の雑兵が声を張り上げる。
「怯むな! 数ではこちらの方が上だ。連携し確実に仕留めるぞ! 我等の連携を……」
「「連携を?」」
 どうするって――そう問わんばかりに、数の利を活かすべく密集したが彼女達の得手の前ではそれは愚策に他ならず。
 収束する空気が反動をつけて爆ぜるように、集った雑兵達はすぐ様に投げ込まれた爆弾の火炎と衝撃の花が開き、舞い散る花弁のようにその身を飛び散らせた。
「なっ……!」
「身の程知らずだね」
「連携と殺しで私達に勝てると思った?」
 何故なら私達は二人で一人の殺人姫、連携と殺しはお手の物――この雑兵の連携も決して悪くはないのだが、相手が悪かった。
 立て続けという分散は個の力が及ばず、束ねた数の利は爆弾という範囲攻撃が薙ぎ倒す――最初から戦うこと自体が過りか。
「悪いけど、一匹たりとも逃がさないよ」
「皆殺しにしてあげる♪」
 ――投げ放たれる殲滅(ジェノサイド)の炎の華が、地下の暗きに鮮やかに開いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
地下に囚われた人々に未来は希望に満ち溢れていることを教えるためにも貴方達は教材となっていただきます
(肩幅ほどに足を開き、両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こした後{紅焔の旋律}で『ダンス』を始める)
これは彼らの心に火を灯す欲望と情熱の炎のリズム
(『怪力』から生まれた『衝撃波』と共に地面に向かって蹴撃を放ち、砂塵を巻き起こすと『念動力』で霧散しないよう操作し敵の視界を遮り攻撃を回避する)
炎と煙に巻かれて骸の海へ沈んでください
(UC【蠱の人】を発動し{紅焔の旋律}を踊る人型の炎を召喚すると、敵を取り囲ませ追い詰める)
そして彼らを勇気づける灯光として綺麗に激しく燃え上がってください



●サンライズのように
「成程、教材……ですか」
 絶望と隷属の他に行く末はないと教える気ならば、希望の光のように現れたそれを倒すことは正に教材となり得るだろうか。
 一際に目立つ長身がカン、カン、と爪先を硬い大地を軽く鳴らせば、クロリアは彼らの言葉をリフレインさせた。
「いいでしょう」
 地を弾いた爪先が流れるようにクロリアの足を肩幅程度に開かせた。
 開く様は希望の花咲くか、絶望を喰らう化物の顎門か。
 只ならぬ気配に圧された雑兵にも目もくれず、何処か熱を帯びたように掌をしなやかな太腿に這わせそれを上へ上へと撫で上げる。
「未来に希望は満ちている。そのことを教えてあげるための教材となって頂きます」
 弓なりに上体を逸らせば、弦の弾かれ鳴り響くように大気が微かに歪んだ。
 仰がれた天に迸る火柱のように、かの戦いを家屋から見遣る民に希望の熱灯す火となるように、刻まれていく熱情の律動。
「お嬢さん、お嬢さん……わぷっ!?」
 暫し、かの踊りに魅入られた雑兵はすぐ様に意識を取り直し、子犬めいた顔の兵がクロリアに躍り出る。
 見た目に可愛らしきその顔に、希望の灯火消す刃を潜ませて迫るも、クロリアの舞踊から生み出された蹴りが砂塵を舞い上げ、見えざる手が手繰る砂風が濁った愛嬌を掻き消していく。
「私から生まれた貴方は私なのでしょうか」
 そのまま、欲望と情熱の律動が刻まれて生み出されるは九十を超える人型――舞踊の属性が齎した業火のそれが、クロリアの舞いに合わせて、同じ律動を刻んでいく。
 炎は炎を煽り広がるように、その熱気と炎の橙とした煌めきは齎していく。それを見る民に、希望と、情熱を少しずつ。
「見たくもないので、どうかそのまま炎と煙に巻かれて骸の海へ沈んでください。そして」
 燃え盛る律動が産み出した火炎の人型が迫る。
 宴を盛り立てる焚火のように、文字通りに舞い踊る炎が力無き民を蹂躙していた悪しき兵を熱気とその数を以て圧し、追い詰めていくと。
「彼らを勇気づける灯光として綺麗に激しく燃え上がってください」
 情熱の口づけを交わすように、敵を取り囲む兵が一斉に飛び掛かり。
 天を衝くかの如く迸る火柱は、民の情熱と欲望を汚す魔兵を塵に還していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
多少疲れた程度で俺達がお前らに倒されると本当に思っているのか?
来いよ、犬っころ。遊んでやる
子供達の目と耳を塞いでくれ!貴方方の為とはいえ、ここから先は教育によくない

【挑発】して己に相手を引きつけ【メガリス・アクティブ】で銀腕の射程と威力を上げる
相手の攻撃が来たら銀腕を【武器変形】で盾に変え【覚悟】して【盾受け】【戦闘知識】で受け止めて払い、相手に【怪力】【鎧無視攻撃】を乗せたUCで【カウンター】する
先手を取れれば【怪力】で【地形破壊】して相手の体勢を崩してから【力溜め】して【鎧無視攻撃】



●未来を守るアガートラーム
 僅かな疲労の色は僅かな疲労の色たれど、僅かが致命傷となり得る事例など戦には多々あるものであり。それを知るのか雑兵達はルイスを取り囲みながら、勝ち誇ったように唇を歪めた。
「この状態で我等に勝てるとでも?」
「多少疲れた程度だ。それで俺を、俺達を倒せるとでも本当に思ってるのか?」
 雑兵の言葉を鼻を鳴らして意にも介さないといった風に返すと、ルイスは銀色の腕を突き出し、手招きをして見せた。
「来いよ、犬っころ。遊んでやる」
「……良かろう」
 誘うように揺れる銀の手招きと、其処から発せられる夥しい覇気は雑兵の戦意を煽りに煽るか。兵の一人が大剣の柄を握る手に力を籠めると、ルイスは思い出したかのように周囲の家屋に向けて高らかに声を放った。
「子供達の目と耳を塞いでくれ! 貴方達の為とはいえ、ここからは教育に良くない!」
 ――その言葉に応じたか、幾つかの家屋で何かしらの物音がしたような気がした。しかし。
「他人に構っている場合かぁ!?」
 ルイスに迫るは力強く握られた大剣の、とてもとても強力な一撃。
 複数の兵達が振り上げた大剣が一気に打ち下ろされれば、流石のルイスとて危ういだろうが――
「ふんっ!」
「ぬぅっ!?」
 突き出された銀の大盾が打ち下ろされた大剣を、派手な金属音も強かに受け止めた。
 控える民の身も心も守る決意と覚悟か、銀の腕が転じた盾はその衝撃の中でもルイスの身に損傷の一つも通さずに。
 驚愕と言う一瞬の硬直を見逃さず、横薙ぎに払われた大盾の殴打が剣の一撃を放った雑兵達をそのまま文字通りに叩き落すと。
「コォォォオ……! ハァァッ!!」
 深呼吸と共に高められるは力、至宝(メガリス)の活性化が産み出した膨大な力が彼の銀の拳に凄まじい闘気を迸らせて。
 振り下ろされる拳の殴打は、宛らビッグ・バンを思わせるように――払われたことで体勢を崩した雑兵達を塵一つも残さずに滅びと導く。
 そして無論、それだけに留まらず――
「お、おっ……!?」
 拳によって生み出されたクレーターは他の雑兵すらも巻き込み、その体勢を打ち崩していき。
 振り上げられた一撃必殺の拳が、彼らを塵とするのは語るまでもないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セツナ・クラルス
『死、あるのみ』か
では、その定説は今日でおしまいのかな
だって我々は死ぬつもりなんて欠片もないもの

ゆっくりと歩きながら『つみとるもの』と交代

ふふ、『死神』と呼ばれる私に死の宣告なんて、冗談だとしても質が悪すぎやしないかね

…体力を温存しておいてよかった
これならば君たち程度なら難なく屠れるだろうね
破壊された地形をうまく利用しながら攻撃を見切り、敵周辺に毒を散布
…おや、息があがってるじゃないか?
先程の威勢はどうしたんだい
ほらほら、頑張って
私はここにいるよ?
毒に喘ぐ敵の様子を見ながらにこやかに挑発

焦って突撃してきた敵には大鎌で直接引導を渡してやろう
遠慮はいらないよ、たっぷり召し上がれ?



●死神の鎌に気付いた時には
「『死あるのみ』か。では、その定説は今日でお終いなわけだね」
 雑兵からの殺意の言葉を微笑みながらセツナは斬り捨てた。
 吠える雑兵の罵詈雑言も涼し気に受け流しながら、セツナの顔は何処までも晴れやかな表情を浮かべていた。
「だって我々は死ぬつもりなんて欠片もないもの」
 ゆっくりと、聖者の靴が痩せた土を鳴らす。
 何の事もない単なる足音であるはずなのに、その男が纏う空気は不思議とそれが黄泉送りの為の葬送歌にも似て響く。
「――ふふ、死神である私に死の宣告など……質が悪い」
 微笑みながら幽世と現世を分かつ大鎌を翳した姿は、その言葉通りの死神か。
 ――つみとるもの。
 セツナに秘められた魂が目覚め、姿形は変わらなくとも、只ならぬ殺気が雑兵達の総毛を立たせた。
 生じた怯えを強引に振り払うように、次々と流星が落ちるように振り下ろされていく大剣が土を舞い上げ礫を散らす。
 舞い上がった塵を潜む為の壁としながら、つみとるものは影が走るように戦場を駆け巡っていく。
 反撃に打ち下ろされる刃も、軽々と擦り抜けながら彼は振り撒いていく――
「ハァ、ハァッ……ぐっ」
「……おや、息があがってるじゃないか? 先程の威勢はどうしたんだい」
「黙れぇっ!」
 密かに振り撒かれた毒は、雑兵達の身体の自由を奪い普段以上の消耗を齎す。
 喘ぐその姿を見ながらも、死神は微笑みを崩さずに手招きをしてみせた。
「ほらほら、頑張って。私はここにいるよ?」
 ――その言葉に何かが切れたか。
 末期の力を振り絞り駆け出した雑兵の覚悟の一撃が、つみとるものを斬り裂くか――否。
「うんうん。よく頑張ってきてくれた。それではご褒美をあげよう」
 雑兵の背後に回った死神が持つ鎌刃は既に雑兵の首の皮に、その鋭きを沈ませるほどに迫っていて。
 逃れ得ぬ滅びを察した雑兵にはスローモーションのように、首の皮を破り、血肉を裂いていく鎌刃の感覚が鮮明に焼き付いていき。
「死神直々の引導だ。たっぷり召し上がれ?」
 雑兵が最後に見たものは笑みを崩さない死神が、その鎌を振り抜いていた光景であり。
 そして死神の鎌は舞い上げていた――この世のものとは思えぬ、嘆きと怒りに満ち溢れた獣の首を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
そうですか。それならそちらにも教材になってもらいましょうか。
この地底世界に住む人々に隷属を強いてきたオブリビオン達は、決して絶対的な存在ではない。
希望を捨てる必要なんてない、という事を教えるための教材にね。

【果実変性・ウィッシーズモノクローム】を発動。
【第六感】と【野性の勘】で敵の攻撃や動きを【見切り】、敵の行動を先読みしながら、くろとしろの長所を活かしつつ、二人の隙を【属性攻撃】系の魔法【多重詠唱】やオラトリオで埋めながら敵を【蹂躙】します。
敵の表情を見ない以上、油断なんてあり得ません。
住民に一切の不安も抱かせないように、ついでに彼らの鬱憤を幾らか晴らす為にも一切の慈悲なく殲滅します。



●希望<白>と絶望<黒>
 この絶望に希望の光を開くように。
 少女は羽を大きく広げると、風切音が戦の鐘を鳴らすように響き、暗きダークセイヴァーに純白の羽根が舞う。
「わたしは望む……ウィッシーズモノクローム! くろ、しろ、力を貸してください!」
『くろにおまかせですっ!』
『しろにもおまかせですぅ!』
 望が産み出した者達は、望によく似た姿――くろと名乗る者は名の通りに黒き刀身の刀を持ち、しろと名乗る者は同じくして白き銃を持つ。
 それでも、数の上では此方が上だと叫び突貫する雑兵達の攻撃を宛ら、未来を見通すかのように彼女達は躱していくと。
 空間すらも制するように飛び交い、黒の斬撃と白の銃撃が勝利のチェッカーフラグを舞わせるように放たれる。
 黒き斬撃が閃き地を走る雑兵を肉片と斬り刻んだかと思えば、白き歩兵銃がけたたましく吠えて、跳躍せし獣の身体を蜂の巣と変える。
 圧倒的極まりない猛攻に、隙を作らんと子犬めいた姿の雑兵が愛くるしい眼を向けていくが。
「ねえお嬢ちゃん、ちょっと……ぐふっ!?」
 ――殺到するはオーケストラのように、エクルベージュ色の影が子犬めいた姿を埋め尽くす。
 ハナから油断も容赦も彼女には存在しない、増して物理的に見た目に愛くるしきを封殺した以上、内に潜む刃すらも意味を為すこともない。
 エクルベージュの影がされば、見た目だけの愛苦しさを惨たらしく打ち壊された雑兵と、それに怒る兵を目隠しの下に激情を灯しながら望は見やった。
「貴方たちは先ほど言いましたね。教材にする、と」
 絶望を思い知らせる教材というならば、なれば戦いの中で別の教材としてくれようか――望がその両手に迸らせるは、激しい光と迸る火花。
「ではそちらも教材となって貰いましょうか。貴方達は決して絶対的な存在ではない。希望を捨てる必要なんてない、ということを教えるために!」
 彼女ての掌から離れた光と、それによって齎された爆風と轟音は、鬱屈した民のそれを晴らすかのように。
 彼らの不満と、その怒りを爆ぜさせるように――解き放たれた莫大な魔力の奔流は、微塵の情けも容赦もなく悪しき兵達を滅していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
ほう、疲れているように見えるのかね?
なかなかの眼力だね。
(とちょっと揶揄って、すぐに飽きます)
ふむ、すまないが、君達は退屈だ。そろそろ終わりにしよう。

と『ソドムの終焉』の輝きで周囲の猟犬たちを消滅させながら地下都市を散策します。

敵POWUC
地形が破壊される様な一撃は此処に暮らす人々に迷惑、ということで発動のタイミングを見切り、振り下ろされる前にいつの間にか具現化させたオーラセイバーにて腕を切断して不発に追い込みます。

(家屋から視線を感じたら時折、そちらを向いてにこりと微笑みつつ)



●ロイヤルロード
 戦いは終始猟兵達が優勢――否、それを通り越して覇権とすらいえるほどに、猟兵達は雑兵の群れを圧している。
 されどそれでも、劣勢を認められぬはこの地の絶対者として君臨し続けていたが故の傲慢か。
「恐れるな! 敵は消耗している筈だ! 一気に畳みかけるぞ!」
 一縷の望みをかけて握った剣を掲げ、高らかに野蛮な勝鬨を挙げるとも。
 赤きを纏いし暴君はやれやれと言った風に両腕を広げると、流麗な黒髪を左右に軽く振った。
「ほう、疲れているように見えるのかね? 中々の眼力だね」
 おめでたい頭だ――皮肉交じりに笑むシーザーがその手を掲げ、指を弾くと。
 花火が派手に爆ぜるように、迸った幾つもの条が雑兵達を貫き塵も残さずに光の中に消し去っていく。
「ぐっ、こいつっ……!」
 一切の消耗も焦りも見せぬ悠然たる帝王(シーザー)の歩みに只ならぬ気配を感じて尚、雑兵達は大剣を振り上げて一斉に襲い掛かる。
 重厚な鉄の刃の勢いが大気を歪め、振り下ろされればシーザーは愚か硬い地面に派手な穴を空けるのやもしれなかったが。
 つい先ほどまでに丸腰であった筈のシーザーの手には、光り輝く刃が握られており、その刀身には濁り切った血が滴る。
 その滴りさえも、猛き光の中に原子のレベルまで分解され消えたかと思えば――
「う、腕がっ……!」
「物騒だね。彼らにとっても迷惑だと思わないのかね?」
 舞い上げられた雑兵達の腕と、それが握る大剣が次々と地へと墜ちていく。
 大剣の刃が地面に突き刺さる程度には地は壊れるが、放たれた重厚な一撃が打ち下ろされるよりは大幅に被害は軽微なものとなるだろう。
 正に神速、光の速度も真っ青に放たれたシーザーの斬撃に斬り落とされた腕を抑え悶える雑兵の声にも、シーザーは肩を竦めると。
「ふむ。すまないが君達は退屈だ。そろそろ終わりにしよう」
 悠然と歩みながら放たれた破壊の閃光が、これ以上の叫び諸共に雑兵達を消し去っていく――!
「……ッ!」
「……ふっ」
 窓から覗く歩む帝王への抑えきれぬ興味と、もしかしたらという希望を乗せた瞳に軽い笑みを返し。
 征服されざる帝王の歩む道は、悪しき雑兵の有象無象を消し去るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
残念だけど、教材になるのはキミたちだよ
「悪も理不尽も、いつか必ず正される」って希望の、ね
行くよ、ウィーリィくん!

【エクストリームミッション】を発動させてウィーリィくんと連携してワンちゃんたちにおしおきするよ!
パワードスーツのスピードを活かして地形を破壊するほどの威力の攻撃を【フェイント】+【罠使い】で回避しながら同士討ちを誘い、足並みが乱れたところでウィーリィくんの攻撃に合わせて上昇して【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】で空中から熱線の雨あられ!
数に任せて襲ったつもりが、それが仇になったみたいだね!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
「ったく、弱い犬程よく吠えるってか」
典型的な小物だが、だからと言ってこいつらの所業を許すつもりはない。
地下の人達にも聞こえる様に、大きな声で宣戦を告げる。
「せっかくだから教えてやるぜ。地上ではお前達みたいな奴らに立ち向かう勢力が砦を築き、各地で次々と反抗の狼煙があがっている」
「お前達の支配も終わる時が来たんだ!」

敵の攻撃を【ダッシュ】や【フェイント】で回避し、破壊された地形を【地形の利用】で味方につけて抉れた地面で敵を転倒させたり隆起した岩盤を【ジャンプ】の足場にしたりして敵を翻弄。
そして頃合いを見て空中のシャーリーとタイミングを合わせて【飢龍炎牙】で敵をまとめて一掃する。



●立ち上がり雄々しく吠えるか
 犬達の声を聴きながら、ウィーリィは後頭部を描き始めた。
 口喧しく文字通りに吠える獣の声に、心底に呆れ返ったように彼は一つの真理を口に出す。
「ったく、弱い犬程よく吠えるってか」
 その言葉に雑兵が一瞬硬直し、次の瞬間には体毛で覆われたその肌に分かり易く青筋を浮かべ得物を握る手が細かく震えていく。
 これまでの戦いで幾許かの活気を取り戻していた市民が、その様子を見てクスクスと笑い始めた声を聞くと、喚き立てる雑兵とは裏腹にウィーリィは穏やかに口元を緩めた。
 そして彼は高らかに、明るさを取り戻しつつある民にも向けるように、雑兵達を力強く指さしながら言い放った。
「せっかくだから教えてやるぜ。地上ではお前達みたいな奴らに立ち向かう勢力が砦を築き、各地で次々と反抗の狼煙があがっている」
「勿論、それはここだって例外じゃないよ。今だってそうだから」
 同じように地下都市に於いても解放の報告が上がっていく――シャーリーの言葉が続けば、それを聞いていた民の騒めきが響く。
 本当なのか、もしそうならば、希望の伝播が広がっていく中、それを掻き消すようにまた雑兵の一人が吠えた。
「で、出鱈目を言うな!」
 尤もその苦し紛れの言葉が苦し紛れでしかないのもまた事実であり。
 明らかな動揺が見られた雑兵に向けて、ウィーリィは力強く言い返した。
「出鱈目なんかじゃない! お前達の支配も終わる時が来たんだ!」
「いつまでも続くと思ったら、大間違いだよ!」
「だ、黙れ黙れ黙れェ!」
 矢鱈滅多に大剣を振り回し、破壊を振り撒き始める姿は正に子供のようではないか――尤も、自分を絶対者と勘違いしてきた者に出来た振舞いを期待する方が無駄というものか。
 シャーリーは改めてウィーリィに向き直ると、唇を固く結びつつ頷いた。
「行くよウィーリィくん! 分からず屋のワンちゃん達に、教えてあげないと!」
「ああ、行くぜシャーリー!」
 そして彼らは駆け出す――子供のように我儘に喚き散らし、大剣による重厚な一撃が幾度となく地を砕き礫を舞い上げる中を。
 幾度となく、隕石のように打ち下ろされていく大剣の攻撃を、ウィーリィとシャーリーは軽々と躱していく。
 ウィーリィは舞い上げられる礫に紛れつつも、隆起した岩盤を足掛かりにして跳躍し。
 シャーリーは決意を以て纏った鮫型の鎧装より気流を噴き上げながら砂礫の中を翔け翻弄していく。
 ウィーリィが翻弄される雑兵の背中を蹴り、雑兵自身が開けた穴に押し込むように叩き落せば、それを狙った雑兵の前をシャーリーが煽るように飛び去って。
 それを追う雑兵の攻撃を、別の雑兵に仕向けさせ、同士討ちの様相を呈していけば――
「ええい小賢しい! 数では依然こちらが上なのだ! 押し切るぞ!」
 その数で押すことも明らかに翻弄されている状況下では無意味なものであるが――雑兵は怒りに狂って気付けていないのか。
 力任せに次々と矢鱈滅多に、最早ヤケクソに他ならないのか雑兵達は次々と跳躍していく――その怒りと焦りこそは、絶好の好機となってしまうことも知らずに。
「その数が仇になったみたいだね――!」
 跳躍した雑兵達の身体は、天より降り注ぐ熱き光の条によって、無数の風穴を開けられていた。
 驚愕する雑兵達が天に眼を向ければ、其処には冷徹にマスケット銃の口を突き付けていたシャーリーの姿があった。
「さっき教材とか言ったけれど……なるのはキミ達の方だよ。【悪も理不尽もいつかは必ず正される】って希望のね!」
 ――行くよウィーリィくん。
 ――ああ、決めようシャーリー。
 天と地に視線を交わし合った二人に言葉はいらず、只の頷きが発せられぬ言葉を何よりも色濃く伝えると。
「さぁ喰らい尽せ炎の顎!」
「史上最大の凶暴過ぎる竜巻と一緒に!」
「「いっけぇぇぇぇえ!!!」」
 再びにシャーリーの放つ熱線が豪き無を産み出す雨のように、雑兵達に強かに降り注いでいき。
 其処から渦を巻くように踊る、ウィーリィが繰り出した赤き炎の竜が、降り注ぐプラズマの雨を巻き込みながら吠える。
 数に任せて次々と姿を露わにしたが仇となるか、閃光と業火、形は違えど激しき熱の化身は絡み合いながら互いを高め。
 究極の領域にまで高まった熱線と業火は、やがて天を衝く勢いで地下に激しい光を齎す――それは圧されてきた民に希望の火を灯すように。
 抑圧を強いてきた悪しきを喰らい尽すように、業火と閃熱は雑兵を灰すらも残さずに滅していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…確かに、想定以上に消耗しているけど…問題無いわ

…お前達を狩るのに相応しい者は他にいるもの
…彼らが受けた苦しみ、その身に刻み込むがいい

UCを発動して眼前に展開した魔法陣に大鎌を突き立て武器改造
前章で降霊して霊魂の呪詛も加え限界突破した魔力を溜めた黒炎鳥を召喚

…聖痕接続。"過去を刻むもの"よ、その力を解放しろ

…さあ、来なさい。復讐の不死鳥よ…!

空中戦機動の早業で黒炎鳥を敵陣に切り込ませて、
黒炎のオーラで防御ごと敵陣をなぎ払う闇属性攻撃を放つ

…随分とお疲れのようだけど、お前達にはもう一働きして貰うわ

…そう、例外なく死者たちの怨嗟を受け止めて、
彼らの魂のせめてもの慰めになってもらわないと…ね



●序列三十七位の侯爵
 微かに乱れた息遣いは否応なしに、嫌らしく唇を歪めた雑兵達に伝えている。
 隠し切れぬ消耗を。
 そして又、彼らの厭な笑顔も彼女に伝えている。
 ――それで勝てる気でいるのか、と。
「……ええ。確かに想定以上に消耗しているけど……問題無いわ」
 先の戦いが下ろした呪詛の蝕みは身体に負担をかけていようとも、それ以上の力がリーヴァルディの中にはある。
 何一つ問題などありはしない――今此処に雑兵共を焼き尽くすほどにはやれる。眼前に広げた方陣に大鎌を勢い良く突き立てながら、彼女はその力を引き出した。
「……お前達を狩るのに相応しい者がいる。彼らの苦しみを、受けるがいい」
 ――それは先の門番との戦いで降ろした、拷問の末に命を弄ばれ全てを奪われた怨みの霊。
 今も尚響き渡る悲しみの声が限界を超えた魔力を引き出してくれる。
「……聖痕接続。"過去を刻むもの"よ、その力を解放しろ……さあ、来なさい。復讐の不死鳥よ……!」
 ――現れたのは、不当に自由と命を奪われ続けた者の怨みの火炎に盛る黒き不死なる鳥だった。
 円らな瞳の愛嬌も、一瞬の早業で飛び込んで来た黒き不死鳥の放つ復讐の火炎の前には、焼石に水というにも温きものであり。
 嗾けられた不死鳥の舞が産み出す闇は魂を底冷えに導き、紡がれる業火は悪しき獣達の身を灼き、痛覚という痛覚を熱傷で容赦なく抉る。
「げほっ……ぐぁ、ぁ、ぎ、えぇぁっ……!」
「……随分とお疲れのようだけど、お前達にはもう一働きして貰うわ」
 黒き業火に焼かれ激しい苦痛の中に蹲る雑兵に、リーヴァルディは冷たい眼差しを以て語る。戦場を支配する怨嗟の熱の中、汗の一つも浮かべずに、場を満たす黒き熱と裏腹の何処までも冷たい声は、雑兵の心を冷たく抉る。
「例外なく死者たちの怨嗟を受け止めて、彼らの魂のせめてもの慰めになってもらわないと……ね」
 黒き業火は再び盛る。
 何度でも、何処までも――大いなる魔の侯爵が司る復讐の炎は、幾度となく盛っていく。
 圧政と拷問の末に散って逝った者の血と涙を油とし、雑兵達の断末魔を鎮魂歌とさせるように燃え上がるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大崎・玉恵
連携、のう。
ならばこちらもそれなりの戦術を用意せねばなるまいて。

【殺生転生石】、【化術】でわしに変身させた【形代】の二つの分身を用意し、それぞれに【破魔】【焼却】の【呪詛】を込めた【霊符】を多く持たせる。

今回、この分身達は倒されることが役目じゃ。その過程で一人でも多く持っていければ御の字じゃな。
それぞれに薙刀の【薙ぎ払い】【二回攻撃】と霊符の【呪殺弾】を駆使し戦う分身じゃが、殺生転生石の方は倒されれば瘴気を撒き散らす。油断した素振りで攻撃させればよかろう。
片方は分身と見切れようが、二体とも分身とは見切れるかのう?乱したところで本体のわしが乱入しとどめじゃ。



●狐につままれたように
「連携、のぅ……」
 玉恵は敵達の振舞いを見ながら、口元に指を添えながら目を細め。
 その瞳とよく似た色の血の如き殺生の色をした石を取り出すと、
「ならば、奥の手じゃ」
 有利の感情を糧とするならば最早十二分だろうか。有象無象の兵達はそれでも勝利を疑わない。門番との激戦による消耗と、数の利――確かに有利といえば有利かもしれないが。
 取り出された石が転ずる、玉恵そのものの姿に紛れ込ませるように、取り出された狐面の形代が更に玉恵の姿を象って。
 それぞれが薙刀と数多の霊符を携えながら、雑兵達へと立ち向かって行く。
「ふっ、分身とは賢しい真似をしてくれる!」
「潰せ! 依然として数は上だ! 潰せぇぇ!」
 薙刀が踊り数多の呪詛と焼却の符が踊り、雑兵達の数の利という優位性を、個の力の差という覇権が蹂躙していく。
「甘いのぅ」
「……そうみたいだねぇ。だから、ちょっとは手加減して欲しいかな?」
 涼し気な顔をする玉恵に、円らな瞳をした雑兵が上目遣いで彼女を見つめれば、玉恵は困ったように眉間に皺を寄せて。
「……ええい、かような目で見るでない。仕方ないのぉ……」
 薙刀を下ろし、バツが悪そうに後頭部を掻き始める――しかし、それは致命的な隙。
 一瞬を争う戦場に致命となり得るそれを、愛嬌に潜ませた暗殺者の刃は見逃さずその喉を抉る――が。
 斬り裂かれた筈の玉恵が発する凄まじい毒霧が、周囲の雑兵を巻き込みながら次々と膝を着かせていく。
「ハナから倒される前提じゃて。かかったのぅ?」
 形代の分身が嗤う。
 殺生の石から吹き上がる殺戮の霧が、優位の希望を絶望に変えて、毒の苦しみの中に叩き落すその光景を。
 けたけたと袖に口元を隠し嗤うそれを、一矢報いんと毒に犯されながら刃を喉元に突き立てるが。
「!? まさか……」
 虚しくからんと、硬い大地に落ちた狐面の音に雑兵は察する。報いんとした一矢すらも通じぬ現実と絶望に膝を着くと。
「そのまさかじゃて。惜しかったのぅ?」
 二人とも分身――それすらも見切れなかった雑兵の胸に白銀の刃が生えた。
 それはその背後から忍び寄った【本物】の玉恵が、残った雑兵を薙刀で貫いていたからであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『葡萄収穫祭』

POW   :    葡萄踏み体験!

SPD   :    葡萄の収穫をお手伝い!

WIZ   :    ワインやジュースをテイスティング!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●齎されるべき実り
 戦いを終えた猟兵達の耳に響くは、家屋から次々と出てきた解放された民からの歓声であった。
 この地を支配する暴虐が打ち倒され、何者にも抑圧されることのない世界を本能的に察したか、彼らは手を繋ぎ踊り始めていく。
 とうに忘れ去られた筈の喜びが、押さえつけるものを失い盛大に花開き、歓声の響きが激戦を終えた猟兵達の心を温かく労っていくのだ。
 そして或る誰かが、猟兵の下へ行くとその誰かは深々と頭を下げてこう言った。
「ありがとうございます。何処のどなたかは存じませんが、細やかながら私どもの蓄えを味わっていってください」
 事前にも語られたが、今日は葡萄の収穫祭――供物として奪われるはずであった葡萄、民の口に運ばれるのは極々僅かだが、それも最早全て民の口に入る。
 薄暗き地下の霧と苔の灯の中、彼らはとても輝かしい笑顔を浮かべながら葡萄を採り始め、そして蓄えた葡萄酒や保存食を振舞っていく。
 まずはこの実りを、解放された民と共に味わうのも良いかもしれない。
 そしてあわよくば、地上への移住を誘うのも良いかもしれない――。
ルイス・グリッド
手伝おう、力仕事なら任せてくれ
すまない、訳あって本当の年齢が分からなくてな。酒は飲めないんだ
俺は貴方達の意見を尊重しますが、出来るなら此処から離れた方がいい
また他の敵が利用しようとするかもしれない
外は大変かもしれないが、圧政を耐えた貴方達なら強くやっていけるだろう

【怪力】で収穫した葡萄を運んだり力仕事をする
子供達で収穫をしたいという子がいれば抱き上げるか肩車して手伝う
終われば適当に座って人と話をする
相手の意見を尊重して無理やりはしないが、外に出た方がいいと勧める



●澄んだ乾杯の音
「手伝おう。力仕事は任せてくれ」
 採れ頃となった葡萄の収穫を始めた民の姿に、ルイスは腕まくりをしながら彼らを手伝っていた。
 看板に偽りなしか、重たい箱を軽々と持ち上げ葡萄の詰まった箱やワインの詰まった大樽を軽々と運ぶ姿に民からの歓声が沸く。
 そうして再び子供達が高き葡萄の実を興味深そうに見上げている姿を見ると、
「どうした? ……そうか、よし、やってみるといい」
 或る子供には肩車を、また或る子供は直に抱き上げて――無論、鋏で怪我をしないようには心掛けつつ。
 そうした穏やかな収穫の時を終え、ルイスは民の宴に招かれ腰掛けてると、彼の下へワインの入ったグラスが差し出される。
「すまない。訳あって年齢が分からないので。酒は……気持ちだけで」
 ならばと子供達の差し出す酒精のない、今まさに搾りたてだと言わんばかりの葡萄ジュースを見せられてしまえば、断ることも出来ず。
「それならば有難く」
 酸味は強いが労働を終えた後に身に心地よい、果実の美味に目を細めていると、地下に住む民は彼に問う――戦闘中で猟兵が語った地上というものの存在について。
 そしてここを移り住み、自由な道へ進むべきかどうかを。
「確かに。だが俺は貴方達の意見を尊重はしたい」
 地に何だかんだで愛着があり、留まるつもりたらば無理に連れ出すことはしない、と彼は告げる。
 迷っていたことへの答えを投げ出され戸惑う様相を見せた民に対し、それを案ずるように更にルイスは続けた。
「出来ることなら離れた方が良いとも思う」
 今はまだ一時の平穏かもしれないが、別のオブリビオンがやってきて新たな支配を敷く可能性も十分考えられる。
 勿論強制はしない上で、と度々に重ねながらルイスは地上で受け入れる体制が整っていることも加え。
「大変かもしれないが、受け入れ態勢も整っている。これまで圧政に耐え続けた貴方達ならきっと大丈夫だろう」
 だが一先ずは、この一時の平穏を。
 そしてどの選択であろうと、これまでを耐え抜いた彼らの行く先に幸福あれと――ルイスは葡萄ジュースの入ったグラスを掲げ。
「乾杯」
 鳴り響くグラスの澄み切った音色は、そっと彼らの背中を押すように通り抜けていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セツナ・クラルス
(まだつみとるものが居座っている)

皆が無事で何よりだよ
…お礼?
私は当然のことをしたまでだよ
そうか、そこまで言うなら…
葡萄酒を頂けるかな
ふふ、一度飲んでみたいと思っていたんだ

…ねえ?
私は常々思っていたのだが
きみはもう少し戦い方を考えるべきだ
この私がきみを心配している?
はっ、そんな訳なかろう
この身体はいずれ私のものになるんだ
それなのにいつだってきみは出たとこ勝負の運任せ
それじゃ私のものになる前にこの身体はすり減ってなくなってしまいそうだ
私のために五体満足でいてくれたまえ、と言っているのだよ

セツナにねちねち絡み酒
端から見ると独り言にしか見えない

…聞いているのかい、器殿!
話はまだ終わっていないのだよ!



●馬の耳に東から風が吹いて
 特有の存在感も露わなつみとるものに、勇気を出してこの場所を救った英雄なのだからとお礼を提案した民に、彼はとても穏やかに微笑んだ。
「……お礼? いやいや、充分だよ。貴方達が無事ならば……」
 当然のことをしたまでだからね、と笑うつみとるものの声に、それでもと諦めきれない様子の、やや困ったような顔を浮かべた民にふむ、とつみとるものは考えて。
「そこまで言うなら……葡萄酒を頂けるかな」
 それならばいくらでも、とぱぁっと顔を輝かせた民からの提供を受けて。
 つみとるものはグラスに注がれた赤を見遣ると、ほぅ、と感嘆の声を挙げた。
「ふふ、一度飲んでみたいと思っていたんだ」
 一口をしてみれば、昨年に仕込んだばかりなのだろうか。
 若いワインの心地よい果実の新鮮さが強く感じられる、それでいて心地よい渋みと酒精が身体を程よく温め脳を酔いの快感が甘く狂わせる。
 グラスの中に揺れる赤を揺らしながら、上機嫌でつみとるものは己の内に声をかけた。
「常々思っていたのだが」
 ――何かな。
「きみは少し戦い方を考えるべきだ。いつも出たとこ任せの綱渡り、身体を酷使し過ぎだよ」
 ――そうかい? 私は私なりに考えた上でやっているのだが……それにしても随分と優しいことだ。私を心配してくれているのかな?
 まるで反省していないといった風なセツナの声につみとるものは不機嫌さを隠す事を諦めて己が内に饒舌に語り出した。
「心配? 何を言っているんだ。いずれこの身体は私のものになるんだ。五体満足でいて貰わないと困る」
 だからだね、もう少し運任せの戦い方を止めてだね……そうした自分に向けてのお説教を始めれば、終にはセツナは押し黙る。
 最初の頃は得意気にも見える語りを続けていた彼も、空にしたグラスを片手に延々と、その顔に酒精が齎した紅を浮かばせながら大きく声を挙げた。
「聞いているのかい器殿! 話はまだ終わっていないのだよ!!」
 一体あれは何なんだろうか。酔うと独り言を言いたくなる人種なのだろうか。
 訝し気に眺める民の目に気付くことも無く、ただ己自身を対象とした絡み酒<自問自答>は続いていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
地底都市を見物し、葡萄酒を楽しみます。
ある程度、見て回った後、民衆に語り掛けます。
「さて、民衆諸君に聞いてもらいたいことがある」
まずは自分たちが「地上」から来たこと。
地上はここと同じく楽園ではないこと。
しかし、人類砦と呼ばれる人類圏があること。
そこは安全ではないが希望があること。
対してこの地。
ほどなく他の地からオブリビオンが訪れ平和は続かないこと。
これらを簡潔明瞭に伝えます。
その上で選択肢を示します。
此処に残るか、地上の人類砦に移住するか。
「人類砦は諸君らを仲間として歓迎するだろう。だが、意思こそが大切だ。考えたまえ」
移住希望者は家財と共に『ラガシュの静謐』で小世界に招待し、人類砦に運びます。



●王者の庇護
 グラスに揺れる紅い液体を歩みと共に揺らしつつ、シーザーは漂う芳香を鼻に収め、揺れる酒精を口にしていた。
「ふむ。まぁ、悪くはないね」
 葡萄の品質とてお世辞にも良い物でもないのかもしれないが、絞り出されたそれは貴重な美味というものであり、若きそれはそれで、果実の新鮮さが心地よく舌と鼻腔を楽しませてくれる。
 供されたワインを片手、上機嫌にそれを味わいながら、シーザーは民衆を集めるとくるりと向き直り、高らかに声を挙げた。
「さて、民衆諸君らに聞いて貰いたいことがある」
 その響きは正に王者の演説が如く、シーザーは語る――激戦の最中、幾つかの猟兵達が口にせし地上の存在を。
「幾つか聞いた者もいるようだが、我々は地上からやってきた」
 彼の言葉に地上は本当に圧政や隷属が無いのかと、不安げに問う民衆にシーザーは頭を振りながらこう答えた。
「残念ながら地上は楽園ではない。大部分は我々が来る前の諸君らと同じ生活を送っている」
 落胆の声も目立つが、致し方のないことでもある。
 大方のダークセイヴァーは今も尚、吸血鬼とその配下の圧政に苦しむ者が多数を占める。土地の貧しさもこの地とは変わらない。
「だが人類砦と呼ばれる希望もある」
 されど希望はないわけではない。
 闇の救済者なる者の台頭と、それが齎した人類の活動拠点の話――そして望むならば、幾つかの砦で彼らを受け入れる体制があるとも彼は語る。
「人類砦は諸君らを仲間として歓迎するだろう。だが、意思こそが大切だ。考えたまえ」
 人類砦の生活とて決して楽が出来る訳ではないし、人類砦では今日もどこかでそれを快く思わない侵略の手もある。
 されど隷属よりは――今はまだ仮初の自由があれど、猟兵がここを去れば遠からぬ内に新たなオブリビオンが支配を行うだろう。
 シーザーの言葉に一人、また一人と移住の決意を固めた者が彼の下へ往けば、彼は快く頷いた。
「勇気ある決断をよくしてくれた。では、人類砦までは責任を持って護送しよう。そこから先は諸君らの奮闘次第だがね」
 ――それより後、希望者はシーザーの術法により家財諸共運ばれることとなるのだが……それはもう少し、宴を経てからとなりそうだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
(SPD)
ここの人たちにやり方を教わりながらウィーリィくんと一緒に収穫を手伝う
ブドウが樹に成るのは知ってたけど採ったことってないんだよね
だからこの機会にチャレンジしてみよっと

ボクの故郷の農耕コロニーで造られたものよりも粒は小さいけど、それでもここまで育てるのはやっぱり簡単なことじゃない
せっかくだからその辺の苦労話や、ここの人たちがいつから地下世界に住んでいたのかも聞いてみたいな

お返しに地上の様子も聞かせてあげる
闇の救済者たちや人類砦の話もした上で
「ねぇ、もう一度地上に出てみない?」
と地上への移住を誘う
いつか陽の光の下で収穫祭を楽しめるように


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
(SPD)
「すげぇな、ここって葡萄も採れるんだ!」
興味津々に葡萄の品種を見ながらシャーリーと収穫の手伝い。

地下に葡萄が持ち込まれたって事は元々この世界ではメジャーな食材なのかな。
ワインやジュースがあるならジャムとかも作れるし、保存用の干し葡萄もお菓子の材料として重宝する。
結構メニューに彩りが出来そうだな。

おっと、本題本題。
シャーリーと一緒に地上の状況を彼らに話し、地上への移住を勧めてみる。
地上もまだ奴らの支配下にある。
それでも、『希望』もそこにある。
あとはあんた達の『勇気』次第だ。

その気があるなら、前に世話になった人類砦を紹介する。
そこのご飯の美味しさは保障するぜ。



●帰る場所の為に
「すげぇな、ここって葡萄も採れるんだ!」
 解放した民に葡萄の収穫の仕方を聞きながら、ウィーリィとシャーリーは貧しい土地のダークセイヴァーに於いても、こうした葡萄が採れるということに驚きを隠せないようだった。
「本当に凄いよね……」
 パチ、パチ、と鋏が蔓を切り、丁寧に房を一つ一つ落していく収穫作業の光景の中で、シャーリーはまじまじと手に取った黒葡萄を見遣る。
 品種の違いもあるのだろうが、大きさにして粒は五円玉程度、房自体にしても詰まっているというよりは、綺麗に言えば風通しが良くも見える。
 そんな房を採りながら、シャーリーは同じくして房を取りつつぶつぶつと独り言を口に出していたウィーリィの耳元で囁いた。
(やっぱり故郷の船のより粒は小さいね)
(けど、ダークセイヴァーの土地でここまで育ててるんだぜ?)
(だよね!)
 確かにシャーリーの故郷、スペースシップワールドは農業コロニーの齎す供給に比べれば決して恵まれたものでないのかもしれない。
 しかしウィーリィの指摘通り、太陽の光もなくお世辞にも肥沃といえない土壌でこうして実らせたとなれば……。
「ここまで育てるのって、苦労したでしょ?」
 シャーリーの問いかけに民衆は皆、揃って頷いた。
 痩せた土地で、どうしたら効率よく実らせられるか、どのようにして房を残し大きく育てるか。
 葡萄の赤きは血の赤と称する者もいたが、試しに味わった粒の新鮮な果実味は全て彼らの血と汗の結晶だろう。
 それを不当に奪われ続けてきたのだと思えば幾許かの怒りもあれど、もうこうして奪われることのないことに、改めてシャーリーは安堵し。
「本当に凄いんだね! ……ところで、いつからここに住んでるの?」
 そう問えば、民衆は生まれた時からここにいたから、いつからとかは考えられないとやや困ったように語る。
 ここが彼らにとっての唯一の世界であり、地上と言う概念もこうして猟兵が訪れなければ知る由も無かったのだから当然と言えるかもしれない。
「そうなんだ。あ、ボクはね……」
 そんなシャーリーと民衆の会話をバックにしながら、ウィーリィは葡萄を片手に先程の独り言の続きを呟き始める。
 その様子に何かを感じたのか、若い娘が彼に葡萄ジュースを差し出すと、
「あ、悪いな」
 快く受け取り彼はそれを一口する。
 確かに酸味はやや強いし甘味も強いとは言えない――しかしそれならそれで、砂糖を使うものへの拡張性は高いとも思う。
 惜しむらくは太陽光が無い故に時間もかかりそうではあるが、干し葡萄の齎すバリエーションは菓子に彩りが生まれそうか。
 料理人としての考えもそこそこに、ウィーリィは頭を振ると、改めて民衆に向き直った。
「おっと、本題本題」
 ウィーリィの言葉に何事かと、これまで葡萄の収穫祭に興じていた民衆が手を停め、二人並ぶウィーリィとシャーリーに耳を傾けた。
「さっきも話したと思うけど、俺達は地上から来た」
 彼の言葉に民衆より騒めきの声が上がる。
 それは先の戦いに於いてもウィーリィだけに留まらず、幾つかの猟兵が語ったことであるが、本当にそんなものがあるのかと、疑念の声があがれば、あるとしか考えられないという声も上がる。
 そんな声を聞きながら、シャーリーは地上の現状を語る。
「確かに地上もここと変わらない場所が殆どだよ。でも、闇の救済者っていう、みんなの為に戦う人達も現れてきたんだ」
「ああ。みんなの為に立ちあがってくれた。そしてそいつらの活動のお陰で、人類砦っていう、人類の反撃の拠点が出来てきたんだ」
 二人の言葉に更に動揺が走り、混沌とした戸惑いと植え付けられた希望への期待の声が場を賑やかせる。
 彼らの語る地上のどうしようもない現実と、されどそれに屈さない希望の存在。
 その人類砦というのは何なのかと問われれば、それは紛れもなく興味を示した証――もう一押しだと二人は頷き合うと。
 人類砦なるものは、吸血鬼やその配下に支配されない人類の独立拠点――闇の救済者や猟兵達の奮戦によって出来た人類の希望。
 現にこうして地下都市の存在をしれば、難民を受け入れるとまで言ってくれた場所も存在するとウィーリィが語れば、これまで以上の動揺が民衆に走る。
「その気があるなら、前に世話になった場所を紹介する。飯の美味さは保証するぜ」
「だから……ねぇ、もう一度地上に出てみない? いつか、陽の下で収穫祭を楽しめるように」
 にこやかに嘗て助け、そして救った人類砦の存在を示唆しながら彼らが誘えば。
 程なくして民衆はその言葉を信じ、人類砦へと向かうこととなるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
UCで分身

緋瑪「ぶどう~♪」(ハサミで収穫しながらパクッと)
瑠璃「瑞々しくて美味しいね。ジャムとかにしても良いかも」
緋瑪「ヨーグルトとかに入れたいな。そうだ!あの吸血鬼とか兵士達の家なら、街の人から奪った食材とかいっぱいありそうだよね。奪還して来よう!」
瑠璃「食材使ってお菓子とか作れると良いね」
緋瑪「瑠璃、流石に葡萄に激辛はダメだからね」
瑠璃「えー」(しぶしぶ)

無人になった兵士や門番の家へ行き、物資(主に食材や生活物資)を押収。
町の人達に返還し、葡萄の収穫・実食を楽しんだり、押収した食材から葡萄を使ったお菓子(スイーツ)なんかを作って振舞ってみたり。
一通り収穫祭を楽しんだら、地上へ誘ってみるよ



●甘くはない、しかし辛くも無い
 軽快な鋏が葡萄の蔓を切り落とす音が響いていく。
 枝より離れた黒々とした房を手に取ると、少女はその粒を上機嫌で千切り口に運んでいった。
「ぶどう~♪」
 運んだ果肉のやや酸味が強くとも甘味と新鮮さに満ち溢れた、採れ立てのそれに緋瑪が顔を綻ばせ、瑠璃もまた同様にそれを味わいながら頷いた。
「瑞々しくて美味しいね。ジャムとかにしても良いかも」
「ヨーグルトとかに入れたいな……そうだ!」
「何?」
 何かを思いついたように声を挙げた緋瑪に、瑠璃が首を傾げると。
「あの吸血鬼とか兵士達の家なら、街の人から奪った食材とかいっぱいありそうだよね。奪還して来よう!」
「食材使ってお菓子とか作れると良いね」
 駄目で元々、有ったならば返すべき――半身の提案に瑠璃は頷き、彼女達は詰め所へと向かうのだった。
 ……その向かった結果が彼女達の怒りを煽るのは、また別の話であるが。

「というわけで、取り返してきたよ!」
「元はあなた達のものだからね。遠慮しなくていいよ」
 詰め所らしき場所に入った途端に見えた、敬意も何一つ見当たらない無残に食い荒らされた備蓄に怒りを覚えたのはまた別の話。
 まだ無事に有効活用できるものを粗方持ち出した彼女らは、それを惜しげもなく民に振舞えば、これまでの鬱憤を晴らすかのように、民衆はそれを使い始めていく。
 それに便乗し菓子を作ろうかと瑠璃と緋瑪も材料を持ち出せば――
「瑠璃、流石に葡萄に激辛はダメだからね」
「えー」
 どこからか自前の死の調味料(デスソース)を葡萄に掛けようとした瑠璃を、緋瑪が呆れ顔で制すれば、周囲の民衆からの畏怖の目線も知らず、瑠璃は口を尖らせた。
 やや不穏ながらも、平穏無事な光景の中、ふと思い出したように緋瑪が聞いていたとは思うけど、と前置きをした上で民に声を掛けた。
「あ、そうそう。良かったら地上においでよ」
「愛着が無いなら移り住んだ方がいいと思うよ。ここよりは自由だと思うし」
 されど答えを急かすでもなく、穏やかに――彼女達は民と収穫や一時の菓子作りを楽しみながら、その答えを待つのだが……返ってきた答えは良きモノであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
前章で限界を突破してUCが自動発動し真の姿の吸血鬼化

…あら、どうやら戦いは終わった後みたいね?

…まったく。負わなくても良い負傷をして、
こんな場所で気絶するなんて未熟だこと

…この体は貴女だけの物じゃないのだから、
もう少し丁寧に扱ってもらいたいものね、愚かな私?


…さて。折角こうして目覚めたんだもの
地底の葡萄とやらを味わってみるのも悪くないわね

"写し身の呪詛"に武器改造を施し、
自身の上に普段の姿の残像を被せて姿を隠蔽し祭に参加するわ

へえ、文字通り下々の民の食べ物だから、
どんな物かと思ったけど案外美味なのね

…光量や土質なんかの条件の悪そうな地底でこれなら、
地上ならもっと良い物が採れるかもしれないわね?



●オーバーフロー
 ただ真っ白に燃え尽きたとは使い古されにも使い古された表現かもしれないが、限界を超えた彼女の身体は、誰にも気付かれぬ場所で今にも儚く――。
「……あら、どうやら戦いは終わったみたいね? まったく、本当に……愚かな私」
 ――この身体は貴女だけの物じゃないのだから、もう少し丁寧に扱ってもらいたいものね。
 倒れて土煙を一つ挙げるかと思いきや、その空気は一変し、瞳は血のように紅く染まったリーヴァルディの姿が其処に在った。
 人ならざる美貌のダンピールが持つ、半分の魔の血脈にも似た妖艶な空気を身に纏い、“彼女”は抑圧していた自分の未熟さを嗤う。
 未だ眠る“自分”の姿を呪詛を以て象り、幻影として身に纏うと彼女はさり気なく宴に興じる民へと声を掛けた。
「……折角なのだし一つ頂けるかしら」
 などと言えば、一つと言わずいくらでもという声が返る。
 少々浮かれすぎにも思えたが、籠一杯に差し出された気前の良い供物より、一房を取ると彼女は黒々としたそれを一粒千切り。
 向いた皮より滲む黒にも近い濃厚な赤に、どこか血の色を連想しながらも露わとした緑白の果肉に牙を突き立てる。
 すると、果肉より果汁という血が迸り、リーヴァルディの舌へと与えるものは、やや酸味の強くとも甘味の伺えるそれに、すっと目を細めて見せて。
「……へえ、下々の民の食べ物だから、どんな物かと思ったけど案外美味なのね」
 誰に向けるでもなく、クスクスと笑いながら呟き頬に走った果汁を指先で拭い、指先を舌で拭き取って。
 どこか血の滾りを味わう半魔の魔に近き様相を醸し出していると、
「……いえ、光量や土質なんかの条件の悪そうな地底でこれなら、地上ならもっと良い物が採れるかもしれないわね?」
 リーヴァルディの呟きに何かと問うた民へ、呟きを悟られぬように笑うとさり気なく彼女は地上へと誘う。
 ――どっこいどっこいかもしれないけれど、少しはマシかもね?
「どう? その葡萄の為にも、移住するのも悪くはないのではないかしら」
 その誘いに考えておきます、と苦笑混じりで民が答えれば、そう、とだけ答え。
 賑わいの中、静かに笑いつつ彼女はまた一粒を手に取っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
ありがとうなのです。今日は解放記念のパーティーですね。あ、そうです。
【望み集いし花園】を発動。
この果実に触れると色んな果物が生えている楽園に行けるのです。そこで暮らすとかは出来ないのですけど、そこにある果物も収穫して、もっと盛大にフルーツパーティーなんてどうです?

パーティーと言えばダンスに歌なのです。
アマービレでねこさん達を呼び出したら周りのみんなも誘って【歌って】【踊り】ましょう。
上手に出来なくても大丈夫。楽しければいいのです。

みんなパーティーが終わったら地上に行きませんか?
地上には花も色々咲いてるし、ぶどう以外の果物もいっぱいあるのです。
裕福ではないですけど地上は此処よりも自由なのですよ。


播州・クロリア
皆さんが無事に解放されただけでも嬉しいのに
さらに貴重な食糧まで振る舞っていただけるなんて...
ささやかではありますが感謝の気持ちとしてダンスを披露させていただきます
(目を閉じ、すっと手を真横にピンと伸ばすと{絢爛の旋律}で『ダンス』を始める)
これは蒼天に輝く太陽と陽光に照らされ輝く大地を表現した栄華のリズム
ダンスで表現した光景を今はまだこの世界では見ることはできませんが
必ず、将来、皆さんにお見せできますし、見ていただきたいと思ってます
その日のため地上に出て生活するというのは...どうでしょうか?
(UC【蠱の一念】発動)



●楽園のダンシング
 小さな天使が掌に抱えた黄金色の林檎を前に、何事かと民衆は集まっていた。
 興味と不安の入り混じる声と顔色を安心させるように口元を緩めると、望は葡萄やワインを用意し始めた民に喋りかけた。 
「ありがとうなのです。記念のパーティならば……そうです。皆さん、こちらに触れて頂けないでしょうか?」
 一体何なのだろうか――興味を示した子供を皮切りに、次々と望が掲げた林檎に触れていくと。
 次の瞬間、彼らの目に広がったのは文字通り【楽園】の光景だった。
「さぁどうぞ。葡萄だけではなく、色々な果物もありますよ。盛大に……どうです?」
 尤もここで暮らすことはできませんけれど――唇に指を当て補足をすれば、やや残念がる声が聞こえたが、それもまた一時のこと。
 初めて見る眩きと、貧しき大地には考えられぬ豊穣の実り並ぶ楽園の光景に、久しく大きな喜びを忘れていた民からの歓声と咽び泣く声が聞こえてくる。
 それに気を良くしたか、民は皆、持ちこんだ食料や飲料を気前よく振舞い、時に果実をもぎ取りその喜びに喜びの声を賑やかに挙げる。
「何から何まで本当にすみません。貴重な食料まで振舞って頂けるなんて……」
 丁度同席する形で果樹の楽園に招かれたクロリアは、果実の楽園の中、貴重であろう干し葡萄や今まさに搾りたてと言った風のジュースを前に恐縮していた。
 無事に助かってくれただけでも有難いというのに、ここまでしてくれるなんて――確かに不当に奪われることはもう無いにしろ、決して裕福とは言えぬ筈なのに。
 自分達に気前よく振舞ってくれることの有難さに、目頭に熱いものを感じながら、夜明けの白みを見上げつつ、クロリアはゆらりと両腕を広げると。
「では……ささやかではありますが、私からはダンスを披露させて頂きましょう……」
 広げた両腕に力を入れて固定しつつ、そっと瞼を降ろし。
 始まっていく律動が見せるのは、夜明けの輝きより時を進めた眩く鮮やかな夜闇の世に失われて久しい、燦然たる青空だった。
 雲は青空の彩として僅かに在りて、真白き太陽光が輝き生み出された楽園の光景をより一層に鮮やかに照らす。
 心が洗われるどころの話ではない。
 女神の降臨にも似た崇拝と喜びの感情が、民の眼に熱き涙を迸らせる――!
「さぁ、皆さんどうぞ、ご一緒に! 楽しければ良いのです」
 その感涙を心からの喜びの笑顔に今度は変えるように。
 手を叩いた望が立て続けに振った指揮棒が猫を呼び出せば、彼らを誘う――絢爛の旋律へと。
 上手い下手の何を気にするものぞ、輝ける陽はその笑顔こそ――天使の誘いは、一つ、また一つと彼らをダンスに誘い。
「あの、これが終わったらで良いのですが……皆さん、地上にいきませんか?」
 そして宴も良き頃合となった中、律動を刻む民に今こそと彼女は本題を切り出した。
「確かに裕福ではありませんが、此処よりも自由なのですよ」
 自由。
 それは何者にも代え難き、民が手に入れたくても手に入れられなかったもの。
 自己責任という現実もあれど、搾取をされても庇護もされぬ身の上では、喉から手が出るほどに欲しいものだろう。
「私達は未だ、地上でここのような光景を見せることはできません」
 戸惑いを見せる民にクロリアは語る。
 一時見せたといえど、飽く迄幻想に過ぎない、地上はこれまでと同じように陰鬱で今尚、吸血鬼や異端の神に依る支配が続くと。
「しかし、近い将来、必ずお見せできますし、また見て頂きたいと思っています」
 クロリア自身が見せた幻想、陽光が燦然と煌めき空には青空が広がるダークセイヴァーでは未だ見られぬ空。
 今こうして望が一時を与えている、あらゆる果実の成る木が並ぶ楽園の如き光景――どれもが、未だ地上には見られなくとも。
 クロリアの目と、望の引き締まった口元にも、この光景を【現実】とするという確かな決意が伺えた。
「なので……その日の為、地上に出て暮らすのは……どうでしょうか?」
「もちろん強制はしないのです。しかし、そのつもりでしたら援助は惜しまないのですよ」
 ――誰がここまでの希望と祝福の光景を見せられて、あまつさえそれを現実とする強き決意を心に強く感じさせられて、その誘いを断れるというのだろうか。
 程なくして楽園に招かれた民は確かな決意の眼差しを以て、クロリアと望に頷いて見せる――思う一念の強きことはまた一つ、心強き誘いを見事に実らせるのであった。

●いつか光差す場所へ
 一時の安らぎを楽しんだ地下世界の彼らは、猟兵達と往く道を選んだ。
 虐げられ続けた地といえど、慣れ親しんだ場所を放棄することに若干の躊躇いは見られたが、それでも一度知ったオブリビオンに虐げられぬ解放感には代えられぬものだろうか。
 今すぐに生活は楽にならないのかもしれないが、それでも隷属と圧政の日々よりは幾許か良いだろう。
 尊い決断を下した彼らを、この先、受け入れ先の人類砦に手分けをして送り届けるという任務が猟兵達には待ち受けている。
 しかし彼らならば無事問題なく、行ってくれるだろう。

 ……地下都市を出るある者は、とある一つの苗木を取っていた。
 それはいつか、今の葡萄の木が寿命を迎える時に備えて新たに植えるために作られた苗木。
 移住したその先でも、地が許せば育んできた葡萄を新たに育てようという決意の表れか。

 解き放たれた地下より、猟兵達は彼らを引き連れて行く。
 いつか彼らに、彼らを保護する人類砦の皆にも、いつしか真の光が差す日の為に――猟兵達は彼らを人類砦へと導くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月24日


挿絵イラスト