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トレジャーアイランド

#グリードオーシャン #七大海嘯

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#グリードオーシャン
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#七大海嘯


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 大海原を風に乗って帆船が進むと、ぼやけるような遠くに島の姿を捉えた。入り江にはずらっと舵輪の旗を掲げる船が並んでいる。海岸沿いには波が穴を穿った洞窟が見え、陸に上がれば人の気配がする小屋が並び、辺りを包む森が茂る自然豊かな島だ。だが島の中心にはぽっかりと穴が開いたように海水が広がり、古びた西洋建築の大きな館が孤島のように建てられていた。

「手を休めるな!」
「働き続けろ! さぼったものには罰を与えるぞ!!」
 長閑な景色に怒声が響く。そこには島の人々が集められ、岩山を掘る労働を課せられていた。人狼の男達がツルハシで岩を砕き、それを女子供が集めて選別する。そこには美しい色の鉱石が混じっていた。
「一つでも多く宝石を掘り出せ!」
「腹いっぱいの食事にありつきたければ、宝石をキャプテンに献上せよ!」
 人々に強制労働をさせているのは、頭部がヒトデの形をした兵士達だった。しっかりと訓練された兵士は、人々が逃げず働き続けるように監視していた。
「やってるみてぇだな!」
 そこへ三角帽子を被った優男風の海賊が姿を見せた。すると兵士達は敬礼して出迎え、働かされている人々は慌てて膝をついた。その男こそが、この島を支配する大海賊だった。
「今日もたっぷり採れてるみたいだな」
 海賊が宝石を手に取り、光に透かしてその原石の輝きを眺める。
「メシが食いたきゃしっかり働けよッ! この島は宝石の埋まった宝の島だ! 全部掘り出して大海賊である俺のものにしてやるぜッ!」
 笑みを浮かべた男が哄笑と共に館へと去り、島の住人たちの強制労働が再開した。


「グリードオーシャンで『七大海嘯』って名乗る海賊たちが占領する島を見つけたよ!」
 青い海を映すグリモアベースで、ラフィロワ・ベルシルト(幸せ運ぶ星のうた・f04751)が猟兵達に新しい事件が起きることを報告する。
「海賊たちは宝石がとれる島を支配して、住む人たちを無理矢理働かせてるみたいなんだ! それをやめさせるために、みんなの力で海賊たちをやっつけてほしいんだよ!」
 鉱山で強制労働されている人々を開放する為、島を支配している海賊達を倒す必要がある。
「宝石がいっぱいとれる島だから、トレジャーアイランドって名前がついてるみたい。大昔にダークセイヴァーから落ちてきた島みたいだね」
 最近になって宝石を目当てにした海賊に支配され、七大海嘯の縄張りとなってしまっている。

「みんなが船で島に近づくと、舵輪の海賊旗を掲げた七大海嘯の海賊たちがたくさんの船で襲いかかってくるよ! それを倒さないと島に近づけないから、まずはその海賊たちをやっつけて!」
 海賊達の迎撃を突破しなくては島には上陸できない。まずは船の海賊達との戦闘となる。
「海賊はヒトデの顔をした兵隊さんだよ、兵隊だから協力して戦うのも得意みたい。船上の戦いもなれてるみたいだから気をつけてね!」
 兵士の連携は厄介だ。気をつけねば被害が大きくなるだろう。
「それと海上戦になるけど、みんなが乗る帆船が沈んだりしたら戦えなくなるよ。だから船を守って戦う必要があるよ」
 船がないと海上を進むのも難しくなり、船員を助ける必要も出て来る。船を沈ませずに戦うのが大切になる。
「宝石を独り占めしようとする悪い海賊のボスは大海賊を名乗ってて、島を任されてるだけあってすっごく強いみたいだよ! 島の人に弱点なんかを聞けたらいいんだけど……」
 強力な海賊のボスを倒せば島は解放されるだろう。ボスを討つためにもまずは海戦を勝たねばならない。

「七大海嘯ってどんな海賊団なんだろうね? それを調べるためにも、勝って島を解放しないといけないんだ」
 七つに色別けされた虹のようなカラフルな海賊を想像しながらラフィロワは宝石の輝きのような道を作り、海上の島に向かう帆船へと道を繋げた。
「揺れる船の上での戦いは大変だろうけど、みんなならなんとかなるよ! 島の人々を助けてあげて!」


天木一
 こんにちは天木一です。グリードオーシャンでの冒険となります。『七大海嘯』の舵輪の海賊旗を掲げる海賊を討ち取り、島を圧政から解放する任務となります!

 第一章は帆船で近づく猟兵を迎撃に来るヒトデ兵士との戦いとなります。敵も小型の帆船に乗っています。自分達の帆船を守る行動があればプレイングボーナスを得られます。

 第二章は島に上陸して海賊のボスとの戦いとなります。島を任される強敵で、まともに戦うと勝ち目が薄い相手です。島の人々を救い協力を得られればプレイングボーナスを得てボスの弱点を見つけることができます。

 第三章では、増援を呼び出す『海賊旗のメガリス』を探して燃やす為、島でトレジャーハントを行います。

 複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
 プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページにて。
 新たな敵、七大海嘯の海賊達を倒し、島を解放してください!
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第1章 集団戦 『スターフィッシュアーミー』

POW   :    戦法『自己犠星』
レベル分の1秒で【回復する再生能力で粘りつつ、捨て身で銃弾】を発射できる。
SPD   :    作戦『隠忍海星』
【近くに潜伏していた仲間達】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    メガリス銃『スリーディザスターズ』
【氷結呪詛弾】【念力誘導弾】【電撃速射弾】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●海戦
 帆船が風を受け疾走して島に近づくと、それに気付き島から帆船が次々と出港し、こちらを迎撃せんと近づいてくる。その船の全てに『舵輪』の海賊旗が掲げられていた。
 その船を操る海賊は、ヒトデの顔を持ち、銃で武装した『スターフィッシュアーミー』の部隊だった。
「進むのならば海の藻屑と消える覚悟を決めよ。これより先は『七大海嘯』の縄張りである!」
 先頭の船に乗ったスターフィッシュアーミーが鋭く声を響かせる。それは島に近づく侵入者への警告であった。
「すぐに舵を切って帰れば見逃そう! さもなくば我ら舵輪の配下が船を海の底に沈める!」
 威圧するヒトデ兵達が隙なく銃を構え、一斉に海に雷の銃撃を放って大きな水柱を立て、威嚇射撃に船乗り達を震え上がらせた。

 海賊の一つの船でも帆船を沈めるのに十分な火力を有している。戦力の差は圧倒的。地の利も向こうにあり普通ならば勝ち目はない。だがこちらにはそれを覆す存在、猟兵達が乗り込んでいた。
 島民を助け平和を取り戻す為、猟兵は怯まずに船を前に進ませ、海賊退治を始めた。
シル・ウィンディア
ヒトデさん?
また、変わった人達もいるものだね…
でも、大人しく沈められるなんて思わないでねっ!

あれだけの数の敵から守るだけは正直きついか
なら、打って出るっ!

船の甲板を蹴って【空中戦】で空に飛び出して
【フェイント】でジグザグに動いて【残像】を生み出して撹乱!

回避は
【第六感】を信じて
敵の動きや弾丸の性質を【見切り】回避
被弾しかけの時は【オーラ防御】でカバー


攻撃は
腰部の精霊電磁砲の【誘導弾】を【一斉発射】
精度甘くても撹乱にはもってこいだしね

本命は…
【魔力溜め】を行いつつ
エレメンタル・シューター
【多重詠唱】で【二回攻撃】を仕掛けるよ
敵の船の動力部や帆に当たれば機動力奪えるかな?


ジェイミィ・ブラッディバック
アドリブ・連携歓迎です。

「彼我の戦力差はあちらが上ですか。では私が固定砲台になって敵を寄せ付けないようにしなければ。かつての私の上司も言っておりました、『飛び込み営業は全力で迎え撃て』とね」(ニッコリ)

船首付近に立ってUB「ヘビーアームド・ウェポナイズ」を使用します。重武装モードに移行して固定砲台になり、アサルトウェポンの斉射で弾幕を張りつつ突出してきた敵をビームキャノンで狙い撃ちます。

あぁそうだ、『七大海嘯』の皆様に一言ご挨拶せねば。

「お世話になっております! 今回我が方にて発生した費用は、後日そちらに請求書を送付しますのでよろしくお願い致します!」

よし、アフターケアも万全ですね(ヲイ)。



●海賊退治
「ヒトデさん?」
 船首に立って遠目に敵の姿を見たシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は、ヒトデの顔をした姿に目を丸くした。
「また、変わった人達もいるものだね……でも、大人しく沈められるなんて思わないでねっ!」
 元気にシルは甲板を蹴ってマントを翻し空へと飛翔した。
「あれだけの数の敵から守るだけは正直きついか、なら、打って出るっ!」
 空から見下ろせば敵の船は何隻もある。そして船ごとに少なくとも10人は海賊が乗っていると見て、敵の射程にこちらの船が入る前に先手を打とうと、シルは急降下を始めて加速し船に接近した。
「空からこちらに向けって来る敵がいるぞ!」
「射撃用意! 鳥撃ちだ! 撃ち落とせ!!」
 すぐさまヒトデの海賊『スターフィッシュアーミー』が銃器を上空に向けて射撃を行う。
「飛ぶ鳥は簡単には撃ち落とせないよっ!」
 シルは右に左にとジグザグに飛んで躱して距離を詰める。
「念力誘導弾に切り替えろ! 弾幕を厚くして近づかせるな!!」
 スターフィッシュアーミー達は弾倉を交換し、念力の込められた弾丸をばら撒く。それはシルに向かって曲線を描いて飛び、その身体を貫いた。
「やったか――?」
 撃ち抜いたと思ったシルの身体がぼわっと薄れ幻のように消える。
「こっちだよ!」
 残像を残して集中砲火を躱したシルが、今度はこちらの番だと腰部に装着した精霊電磁砲『エレメンタル・レールキャノン』を展開し、輝く魔力砲弾を一斉発射した。
「緊急回避!!」
 スターフィッシュアーミーが砲撃を躱そうとする。だが光弾が曲がりその身体を貫いて大穴を開けた。
「ゆ、誘導弾……だと?」
 血が噴き出し、ヒトデの顔が萎れるとスターフィッシュアーミーが崩れ落ちた。同じように他のスターフィッシュアーミーも甲板に倒れていく。
「この船だけじゃ火力が足りん! 近くの船にも連絡して弾幕を張れ!」
 スターフィッシュアーミーは手旗で信号を送り、近くの船も集まりシルに向けて銃撃を集中した。
「これはっちょっとっ、大変かも!?」
 その銃弾の雨に当たらぬよう、シルは魔力を溜めながら回避に専念して飛び回った。


「彼我の戦力差はあちらが上ですか。では私が固定砲台になって敵を寄せ付けないようにしなければ」
 船首に立ち視界をズームして戦闘を観測したジェイミィ・ブラッディバック(脱サラ傭兵・f29697)は、自らを重武装モードに変形して移動速度は下がるが反動を抑えられる、遠距離攻撃特化型となって戦闘準備に入る。
「かつての私の上司も言っておりました、『飛び込み営業は全力で迎え撃て』とね」
 ニッコリと笑うように声を弾ませたジェイミィは銃撃を開始した。ダダダダダダダダッと鳴り止まぬ発砲音と共に、右腕と一体化するように強化されたアサルトウェポンから発射された弾が普通なら届かぬ距離を飛び、敵の船に穴を穿ち、海賊にも当たって撃ち倒す。
「頭を下げろ! 敵船から銃撃だ!」
「反撃しろ!」
 身を低くしながらスターフィッシュアーミーが反撃に銃撃を行う。だがその弾はジェイミィの元に届く前に速度を落とし海に落下した。
「上司がよく言っておりました、『交渉は有利な立場で行え』とね」
 ジェイミィは一方的にアウトレンジから銃撃を加え、次々と敵を仕留めていった。
「拙い! こちらの攻撃が届いていないぞ!」
「船を進めろ! 多少の被弾は仕方ない、突貫してでもあれを止める!」
 戦いなれた海賊達はすぐさま判断を下し、一隻の船が真っ直ぐに海上を走り出した。
「なかなか早い判断です。『商機は早い者勝ち』というのを知っているようですね」
 ならばとジェイミィは左腕に持ったビームキャノンを腕に合体させるように変形させて火力を高める。
「しかし、こちらは既に準備万端です。飛んで火にいる……というやつです」
 眩いビームが放たれ、閃光が船を貫くように迸ると敵船に大穴が開いていた。そこから大量の水が入り船が沈んでいく。
「水を掻き出せ!」
「無理だ! 間に合わん!」
 スターフィッシュアーミーが大慌てで船を修理しようするが、開いた穴は水圧でどんどん広がり、船はあっという間に沈んでいった。そこまでしてからジェイミィはビジネスの基本としてまずは挨拶をしなければいけないことを思い出す。
「お世話になっております! 今回我が方にて発生した費用は、後日そちらに請求書を送付しますのでよろしくお願い致します!」
 これでアフターケアも万全と、満足そうに頷いたジェイミィは泳ぎ始めった敵をアサルトウェポンの銃弾で蜂の巣にした。


「舐められているな、なら海賊の恐ろしさを教えてやろう」
「一斉に突っ込むぞ! 一隻でも取り付けばこちらの勝ちだ!」
 近くの船3隻が一斉に動き出す。体当たりでも構わないとなりふり構わず、不利な状況を打破しようと覚悟を決めていた。
「注意が逸れたねっ! 突撃なんてさせないよ! 精霊達よ、我が声に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!」
 敵の注意が仲間に向けられ、弾幕が大人しくなった隙にシルが溜めた魔力を開放しユーベルコード『エレメンタル・シューター』を発動した。
「船の帆に当てれば機動力を奪えるはずっ!」
 シルが放つ火水風土の4つの複合属性を持つ魔力弾の雨が3隻の船を覆うように襲い掛かり、帆を撃ち抜き燃やし船体を穴だらけにして砕いた。風を受けられなくなった船は足を止め、船に開いた穴から入る海水が船を傾けていった。
「やられた!」
「なんとか持ち直せ! 半数は上の飛んで敵を迎撃だ! 残りで船の修理を――がぁっ!?」
 スターフィッシュアーミーがシルに反撃し、船の修理をしようとしたところで、横からの銃撃を浴びて倒れた。
「皆さん保険には入っていますか! 保険に入っていなければ損害賠償は自費になりますのでお気をつけください!」
 気の抜けるようなビジネストークを交えながらも、ジェイミィは休みなく遠距離射撃を続けて船に穴を開け続け、3隻の船は耐えきれずに沈没させた。船から飛び降りたスターフィッシュアーミーが海に浮かぶ。
「溺れてても悪い海賊には容赦しないよっ!」
 シルの放つ魔力弾が海面に顔を出した敵を撃ち抜いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
◆心情
「最近になって」?
成る程、外洋を渡る術を持つ故に『七大海嘯』とは強大なオブリビオンである訳ですか…
…愉しみですね

◆行動
【空中浮遊】を活用し足場の不安定さを解消しつつ縦横無尽に移動

【罠使い】の技能を活かし「敵を識別するサーメートの機雷」を【衝撃波】で周囲一帯に散布
自分達の帆船を防備しつつ敵の接近を抑制
…強行突破を図るならば、須らく餌食となるだけです

その隙に『涅槃寂静』にて「死」属性の「渦潮」を行使し【範囲攻撃】
私自身も【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】し追撃
…二つの【範囲攻撃】で海の藻屑と消えると良いでしょう

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


琥星・流矢
蹴り主体のオレじゃ、海の上で戦うのに向いていないんだよな。出番が来るまでは島の方でものんびり眺めてるか。
「やっぱ船旅もいいねぇ、ちょっと揺れが激しいけど」

乗り込んで来そうな海賊船があったら、逆にこっちから乗り込みに行くか。ダッシュとジャンプで海賊船に飛び移って、兵士を蹴りで攻撃していこう。

立ち止まったら蜂の巣だろうな。常に動き回って、狙いを付けられないようにしよう。ヤバくなったら、UC【メテオダイブ】で、兵士を踏み台にして上に逃げるか。
「いざとなったから上に飛ぶ!」

こっちは南国ツアーのついでに任務に来てるんだ、邪魔すんなら倒れてもらう!…え、任務が優先!?
※アドリブ連携歓迎


愛久山・清綱
なんだあの海星達。小銃を持って警告文……
沿岸警備隊気取りだろうか?
……だが、腕は立ちそうだ。油断はできぬ。
■闘
先ずは羽ばたき【空中戦】形態に突入する。

して、船を護るわけだが……俺は伏兵を警戒しよう。
【野生の勘】を巡らせ周囲の気配を探り、潜伏している敵を探知。
発見したら一瞬の【早業】から放つ【奇刀】でばさっと断つ。
仕掛けられる前に見つけだし、伏兵の意味を無くさせるのだ。

敵に狙われたら【残像】を見せてその場から離れ、銃口を此方に
向けられる前に空中【ダッシュ】で逃れよう。
隙が見えたら敵の船まで一気に接近し、密集している陣形に向かい
【範囲攻撃】を絡めた【奇刀】をお見舞いするぞ。

※アドリブ歓迎・不採用可



●沈没
「最近になって? 成る程、外洋を渡る術を持つ故に『七大海嘯』とは強大なオブリビオンである訳ですか……愉しみですね」
 このグリードオーシャンの荒れ狂った海で勢力を広げる七大海嘯との戦いに、霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は心躍らせるように笑みを浮かべた。
「あっさりと船が沈められただと……」
「このままではキャプテンに顔向けできん! 敵は船が一隻。何が何でも攻め落とす!」
 先行していた仲間が船ごとやられ、スターフィッシュアーミーは想定外の被害に驚きながらも、すぐに連携して残りの3隻で同時に距離を詰め始めた。
「連携の取れた行動ですね。練度は高いようです。ではまずその連携を崩しましょう」
 絶奈は揺れる足場の影響を消す為にふわりと空中に浮かび上がり、近づく敵船と自船の間へとサーメートの機雷を衝撃波で飛ばして散布した。
「……強行突破を図るならば、須らく餌食となるだけです」
 風に乗って敵船はそこを通った瞬間、爆炎が上がり船に穴が開いて燃え上がる。
「機雷だ! 撃って爆発させろ!」
 船縁から乗り出したスターフィッシュアーミーが銃を構えて海に向かって発砲し、機雷を爆発させていく。
「穴を塞げー!!」
 そして開いた船の穴に重しにしていた土嚢を突っ込んで塞いだ。
「機雷を全て処理するまで近づくな!」
 船は足を止め、そこからスターフィッシュアーミーが念力を銃撃を船に向けて始めた。それを絶奈は剣で弾く。


「蹴り主体のオレじゃ、海の上で戦うのに向いていないんだよな……出番が来るまでは島の方でものんびり眺めてるか」
 自分の出番がくるまで力を温存しておこうと、銃弾が飛び交う中で平然と甲板に腰を下ろした琥星・流矢(世界旅人・f10204)は仲間と敵の戦いを見守る。
「やっぱ船旅もいいねぇ、ちょっと揺れが激しいけど」
 敵を避けようと船は荒々しい操舵を取る。だがそんなアクシデントも旅の醍醐味だと、流矢は笑って帽子を押さえていた。


「止まれ止まれ! この先は我等の領海だぞ!」
「この舵輪の海賊旗が見えんのか!」
 船足を止められ、スターフィッシュアーミー達は立て直す時間を稼ごうと舵輪の描かれた旗を指し示す。
「なんだあの海星達。小銃を持って警告文……沿岸警備隊気取りだろうか?」
 その堂々とした敵の様子に、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は支配した島で警備隊気取りかと眉間にしわを寄せた。
「……だが、腕は立ちそうだ。油断はできぬ」
 やっている事はただの海賊行為だが、その連携した動きから練度は高いと、油断せずに翼を羽ばたかせ飛び上がり空から敵の動きを確認する。
「して、船を護るわけだが……俺は伏兵を警戒しよう」
 上から俯瞰して見れば、敵の動きがはっきりと分かる。船で少しずつ近づこうとしているが、本命はそれではない。船に注意が集まっている間に、ヒトデの頭達が海面に浮かび、一群がゆっくりと泳いで猟兵の乗る船へと近づこうとしていた。
「そちらが本命か、船には近づかせん」
 奇襲部隊を見つけた清綱が左手で腰の刀『空薙』の具合を確かめ、急降下して泳ぐ敵に襲撃を仕掛ける。
「気付かれた!」
 警戒していたスターフィッシュアーミーはすぐさま銃を上に向けて引き金を引き迎撃する。だが清綱が飛ぶ鳥の如く少し侵入角度を変えて躱し、海面すれすれを飛んですれ違う。すると振り向いて銃撃を浴びせようとしたスターフィッシュアーミーのヒトデの顔が半分に割れた。
「あ、あが!? いつの、まに……」
 いつやられたのかも分からずに両断されたスターフィッシュアーミーは海中に沈んでいった。それは見えぬほどの速度で振るわれる抜刀術『奇刀』の一撃だった。
「気をつけろ! 見えない攻撃をするぞ!」
「弾幕を張れ! 銃撃よりも速いはずがない!」
 泳ぐのを止めスターフィッシュアーミーは海面に浮かびながら銃撃に集中する。
「剣の間合いならば、此の太刀は弾丸よりも速い」
 弾丸を紙一重で避けながら飛ぶ清綱は、すれ違いながら目にも止まらぬ抜刀からの斬撃を浴びせて、次の瞬間には納刀して離脱していた。
「み、見えな……」
 海中では機動力が落ち、成す術もなく泳いでいたスターフィッシュアーミーが全滅する。


「奇襲部隊が全滅しただと……こうなれば強引に攻めるしかない!」
「全速前進だ! それしか道はない!」
 決死の覚悟でスターフィッシュアーミーが浸水する船を前進させ、猟兵の船へと乗りつけようとする。
「ようやく出番みたいだね。それじゃあこっちからお邪魔させてもらうよ」
 立ち上がった流矢は、助走をつけて近づく敵船に向かって跳躍した。
「なんだ? 誰か跳んで――あぶぁっ!」
 見上げた敵の顔面に飛び蹴りを決めて吹き飛ばし、流矢は軽やかに着地し敵船へと乗り込んだ。
「乗り込まれたぞ!」
「撃ち殺せ!!」
 それに気付いたスターフィッシュアーミー達が銃器を構えて発砲する。だがその場には既に流矢の姿はなかった。
「立ち止まったら蜂の巣だな」
 なら止まらなければいいと流矢は常に動き続け、敵を蹴り飛ばして海に叩き落としていく。
「当たらん、ならば無理矢理にでも仕留める!」
 銃を撃ちながらスターフィッシュアーミーが駆け出し、流矢に向かって特攻を始めた。
「近づけば当たると思ったんだろうけど、接近戦でオレに勝てるかな!」
 身を低くして流矢はぐるっと回り込むように駆け出し、敵の銃撃を掻い潜って接近し、足を払って転がすと、銃を持つ腕を踏んで固定し、反対の脚を上げて顔を踏み潰した。
「包囲しろ! 逃げ場を消して撃ち殺せ!」
 スターフィッシュアーミーが包囲して銃を構える。そして一斉に発射した。
「囲まれたか、なら上に飛ぶ!」
 流矢が近くの敵を踏み台にして高々と跳躍し、空からユーベルコード『メテオダイブ』を発動した。
「船ごと沈めてやるッ!!」
 隕石のように流矢が急降下し、船のど真ん中を貫いて穴を穿った。流矢は船底に穴を開けると、すぐに跳躍してまた空へと逃れる。
「船が!」
「巻き込まれる! 海に逃げろ!」
 沈む船から次々とスターフィッシュアーミーが逃げ出し、まだ無事な最後の船へと引き上げられていった。


「一斉斉射だ! ここで止めねば上陸される!」
 残った2隻の船に集まったスターフィッシュアーミーがずらっと並び、一斉に銃弾を飛ばして迎撃する。その弾丸の雨が猟兵の乗る船を傷つけていった。
「これ以上船は傷つけさせません」
 それを阻止せんと絶奈がユーベルコード『涅槃寂静』を発動する。森羅万象に干渉し、海に死を内包する黒い渦潮を巻き起こした。
「如何に凄腕の船乗りであろうとも、自然の暴威には敵いません」
 渦が2隻の船を呑み込み、吸い込んで海底へと沈めてしまう。
「飛び降りろ! 相手の船に乗り込め!」
「船の破片を足場にしろ! 敵の船を乗っ取るぞ!!」
 甲板を蹴って大きく跳躍したスターフィッシュアーミー達が、浮かぶ船の切れ端などと利用して猟兵の乗る船へ飛び掛かり、船縁に手を掛けて乗り込もうとする。
「密航者は死刑と相場が決まっています」
 顔を出した敵の首を絶奈が剣で撥ね飛ばした。
「押し切れ!」
 船縁に掴まったスターフィッシュアーミー達が銃を乱射する。
「こっちは南国ツアーのついでに任務に来てるんだ、邪魔すんなら倒れてもらう!」
 その銃撃する敵の顔を、船に戻った流矢がサッカーボールのように蹴り飛ばした。
「残念だが、観光は任務が終わってからだろう」
 その横では清綱が同じようによじ登ろうとする敵を、いつ抜いたかも見えぬ居合で斬り捨てていた。
「……え、任務が優先!?」
 心底驚いた顔で流矢が振り返る。その隙を突いて船に這いあがったスターフィッシュアーミーが銃口を突きつけようとするが、見もせずに流矢がその銃身を回し蹴りで弾いて攻撃を逸らし、胸を蹴って敵を海に突き落とした。
「宝石があちこちに埋まっている島なら観光に適しているかもしれんが、まずは海賊を退治せねば観光をのんびり楽しめぬ」
 軽口を返しながら清綱は飛翔し、まだ船の側面に貼り付く敵の元へと飛び込み、刀を一閃して纏めて切り払った。
「ではまずは海に出ている海賊を掃討しましょう」
 海に落ちた海賊は絶奈の起こした渦に呑み込まれ、二度と浮かび上がらぬ海底へと沈んでいく。
「こんな馬鹿な! 我等は舵輪の海賊だぞ!」
 船に乗り込んだ最後のスターフィッシュアーミーがお守りのように海賊旗を片手に銃を構える。
「七大海嘯を倒すのが私達の目的です。その旗と共に海の藻屑と消えると良いでしょう」
 冷たく言い放った絶奈が手にした槍を突き入れ、旗ごと胸を貫いて海へと叩き落とした。

 全ての海賊船が沈み、島への道が拓かれた。猟兵達は上陸する為に船を港へと向けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『忘れ去られし大海賊』

POW   :    この俺が相手をしてやるぜッ!
全身を【大海賊の船長たる威厳】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【攻撃と、自身や手下達が相手に与えた攻撃】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
SPD   :    叩き落とすぞ野郎共ォ!
【魂なき手下達の幽霊を呼び出し、共に行う】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【呼び出す手下達の人数が多ければ多い程、そ】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ   :    錨を上げろ野郎共ォ!
【カトラスとラッパ銃、フック付きロープ】で武装した【命令に忠実に動く、魂なき手下達】の幽霊をレベル×5体乗せた【海賊船、レベル×1隻】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は鳴海・静音です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●大海賊の海
「よしよし、たんまりお宝が溜まっていくな、次はどこに隠そうか……」
 館の大きな一室で、テーブルに広げたトレジャーアイランドの全体を書き写した地図を前にして優男風の大海賊がニヤニヤと笑う。その地図にはあちこちにマークが付けられていた。それはこの島に隠した金銀財宝の場所を示した宝の地図だった。
「トレジャーアイランドか、大海賊である俺の島に相応しい名だ! 宝石だけでなく島も俺のものにして名を後世に残してやるぜ!」
 集めたお宝を思い出して、大海賊は笑みを深める。
「お頭! 大変だ!」
 そこへ騒がしい音と共に部下の海賊が部屋へ飛び込んできた。
「キャプテンと呼べと言ってるだろうがッ! それと部屋に入るときはノックしろ!」
 飛び込んできた部下を殴りつけ、大海賊は懐に丸めた宝の地図を仕舞う。
「す、すいやせん! ですが大変なんです! 外を守ってた奴らが全滅しちまったんです!」
「なんだと!!」
 それを聞いた大海賊が椅子を蹴って立ち上がった。
「出港準備だ! 島民を使って俺の船の用意をしろ!」
「へい!!」
 一喝するとすぐさま部下が部屋から飛び出していく。その後に大海賊が堂々と歩いて続く。
「俺のお宝が目当てなんだろうが、返り討ちにしてやるぜッ! 錨を上げろー!」
 颯爽と外に出た大海賊が、館を囲む湖のような内海に浮かぶガレー船へと乗り込んだ。錨が上げられ船が館から離れる。
「この島の中の海じゃあ侵入者は船を用意できねぇ、つまり俺の独壇場ってわけだ! ハーッハッハッハッ!!」
 大海賊の高笑いと共に、労働力として駆り出された何十人もの男の島民達が海賊の手下に鞭打たれ、オールを漕いでガレー船が内海を動き出した。


 ガレー船を漕ぐ島民が乗り込んでいる為、救出するまで船を沈めることはできない。沈めるのならまずは人々を救わなくてはならない。救助できたなら、敵についての弱点などを聞くことも可能だろう。
 内海は一見すると陸地にぽっかりとある湖だが、海水が流れ込んでいる以上どこからか海へと続いている。それを見つければ船ごと乗り込むこともできる。

 猟兵達はさまざまな作戦を考え、島の中心にある内海での戦いに向けて動き出した。
琥星・流矢
「島の住民を救助した方が良いんだったよな?それじゃあ、ちょっと行ってくるわ」

島に接舷した瞬間に船から飛び降りて、脇目も振らずに内海へダッシュだ。
陸地からの大ジャンプでガレー船に飛び乗ったら、大海賊はスルーして、島民の近くにいる手下を優先的に叩く。人質にさせる暇もなく、思いっきり蹴り上げてやる!(UC【名称未設定】使用)
ある程度片付けたら、島民を船の外に誘導しよう。

大海賊との戦いに合流したら、奴が呼び出した幽霊を狙っていくか。素早く数を減らすのは得意だ。

ガレー船への飛び乗りなんだが、正直届かないかもしれない。けど、俺にはこれしか手段が無いんだ!
「届けぇぇぇぇぇ!!」
※アドリブ連携歓迎


愛久山・清綱
彼が例の大海賊……さすがの風格でござるな。
して、先ずは人々の安全が最優先……

■救
凛とした【威厳】を見せ、島民達に助けに来た旨を伝えよう。

俺は島民を鞭打っている部下に斬りかかり、安全を確保。
周囲の部下がいなくなったら敵のいない場所へ離れて貰う。
そこでこっそり弱点も聞こう。

万一島民が狙われたら、身を挺して【武器受け】し庇う。

■闘
二刀を構えて名乗りを上げ、一本勝負。
部下を何人か倒した以上、攻撃回数は大幅に増えている筈。
剣の軌道を【見切り】つつ、合わせるように【武器受け】し、
攻撃の機を伺う。

ある程度耐えたら【フェイント】を混ぜつつ弱点を狙った
【剣刃一閃】を放ち、致命打を狙うぞ。

※アドリブ歓迎・不採用可



●弱点
「島の住民を救助した方が良いんだったよな? それじゃあ、ちょっと行ってくるわ」
 ガレー船を漕ぐ労働力として強制労働させられている島民達を救おうと、流矢は島に接舷しようとしたところで待ちきれずに船を飛び降り、脇目も振らずに島を駆け抜けて、島の中心にある館を包むように広がる内海へと辿り着いた。そして浮かぶ船を見つける。
「見つけたっ」
 その勢いのまま助走を付け、少し小高くなった場所からガレー船目掛けて流矢が跳躍した。
「馬鹿が! あの距離から飛び移るつもりか?」
「へっ、マヌケに墜ちたところへ弾を撃ち込んでやれ!」
 その様子を甲板から眺めていた海賊達が嘲笑う。普通に考えれば届くはずもない距離。それでも流矢は真っ直ぐに船に跳んでいた。
「届けぇぇぇぇぇ!!」
 叫ぶ流矢は空中を駆けるように足を動かし、僅かでも飛距離を伸ばそうとする。もう少しで届くというところで失速し、そのまま身体が海に墜ちようと落下を始める。
「――っダメか!」
 流矢が手を伸ばしても届かぬと諦めそうになったところで頭上から羽音が聞こえた。
「少しばかり助力いたそう」
 腕を掴まれてぐいっと引き上げられると、一瞬の浮遊感と共にガレー船の甲板へと放り出された。ごろりと転がって流矢は受け身を取る。
「助かったよ」
「なに、強敵相手に人手は多い方がよいでござるからな」
 その隣には翼を広げた清綱がふわりと着地した。

「チッ、空を飛んで来やがったか、だが船の上で大海賊と呼ばれる俺に勝てると思わないことだなッ!」
 船長室を出た優男風の大海賊が堂々と猟兵達の前に姿を見せる。
「彼が例の大海賊……さすがの風格でござるな。して、先ずは人々の安全が最優先……」
 清綱はその態度から大海賊を名乗るだけある威風を感じる。しかし今はそれよりも優先する事があると、視線を鞭の音が聞こえる足元へと向けた。
「オラッしっかり漕げ!」
「手ぇ休めるんじゃねぇぞ!」
 船内では海賊達に鞭打たれた島民がオールを漕がされていた。
「この下でござるな」
 清綱は腰の刀を抜き打つと、刃は甲板を切り裂き、穴を穿って鞭打たれる島民の元へと道を拓いた。
「助けにきたでござる! 海賊の相手は我々がする、その間に逃げられよ!」
 日の光と共に顔を覗かせた清綱が島民達を見下ろした。
「た、助け?」
「本当か!」
 疲れ切った暗い顔をしていた人々の表情に光が差す。
「助けにきただぁ? こいつらはお頭の所有物なんだよ!」
 海賊が鞭を頭上の清綱に向けて放つ。その速度を加速させて届く鞭の先端を、清綱は無造作に切り払った。
「なっ、鞭を切りやがった!?」
「人々を物扱いなんてさせない!」
 甲板に出来た穴から流矢が飛び込み、海賊の顔を踏みつけて押し倒す。
「テメェ何しやがる!」
「うるさい!」
 問答無用で流矢は敵が動く前に高速で接近し、真空の刃を纏う脚で敵を蹴り上げ切り裂きながら身体を甲板を突き破って外に飛ばした。留まることなく次々と海賊を倒し、船内を制圧する。

「これで外に出られ――」
「おいおい、人の船で好き勝手暴れて帰れると思ったか?」
 甲板に上がろうとした流矢の背後にいつの間にか大海賊が近づき、手にした短剣を振り下ろす。だがその凶刃が届く前に閃く剣閃によって弾かれた。
「帰らせないというのなら、押し通るのみ」
 清綱が返す刃で敵の首を狙う。その刃を仰け反って躱した大海賊はそのまま宙返りして距離を取った。
「やるじゃねえか」
 無傷かと思った大海賊の首の皮膚が裂けて血が流れる。
「ならこっちも本気だ。海賊の流儀を見せてやるぜッ! 合戦だ野郎共ォ!!」
 大海賊が呼びかけると、かつて手下だった海賊の幽霊達が周囲に現れ、手にしたカトラスで一斉に襲い掛かってきた。
「愛久山・清綱――参る」
 もう一刀の刀も抜いて二刀流となり、幽霊の群れを斬って捨てて前へと進み敵将の首を狙う。しかし大海賊は巧みに幽霊の存在を使って、間合いを外していく。
「先に幽霊を片付けないとダメか、少しここで待っててくれ!」
「は、はい!」
 流矢は船内の人々に呼びかけ、見送られる中、甲板に飛び出し幽霊を蹴りつける。すると囲むように集まった幽霊がカトラスを振り下ろす。
「まとめて蹴り飛ばしてやる!」
 回転するように回し蹴りを浴びせ、流矢は幽霊を纏めて薙ぎ倒した。
「なかなかやるじゃねぇか!」
 その幽霊に紛れるように突っ込んできた大海賊が短剣を腹目掛けて突き入れる。
「うおっ」
 慌てて流矢が身を捻って躱し、敵の身体を押すように蹴って距離を取った。
「大海賊と名乗るだけあって強いな。どうにか隙を作らないと攻め切れないか……」
 流矢は幽霊と連携し隙のない敵に舌を巻く。
「何か弱点があれば良いのでござるが……」
 清綱も幽霊を斬りつけながら、攻めあぐねて後退していた。

「あ、あの……!」
 そこへ足元から声がかかる。見ればおずおずと島民が船内から顔を覗かせていた。
「どうしたんだ?」
「あの、海賊の頭は酔うとお宝の自慢話をするんです。その金銀財宝の山を隠した宝の地図をいつも大事そうに懐に肌身離さず持ってるんです」
 何かあったのかと流矢が尋ねると、島民がおずおずと大海賊のことを話しだす。
「酔っぱらって集めたお宝は命よりも大切だとか言ってたんで、地図を奪えれば……」
「隙を作れるか……いい情報をありがとうよ!」
 流矢はすぐさま行動に移し、大海賊に近づこうとする。だがその前に海賊の幽霊達が立ち塞がり、蹴っても蹴ってもすぐに新手が現れる。
「宝の地図か……狙う価値はありそうでござるな」
 同じく話を聞いていた清綱も狙いを定め、幽霊を斬り裂き大海賊の元に向かう。
「諦めずに俺に向かって来るのか、なら俺の手で仕留めてやるぜッ!」
 大海賊は幽霊を使って猟兵の行動を制限させ、短剣で清綱の胸を狙って一閃した。それを清綱は右の刀で弾き、左の刀で反撃しようとする。しかしその間に幽霊が割り込んだ。
「幽霊を挟もうとも、この一閃は防げん」
 剣気を込めて全力で振り抜いた刃は幽霊を容易く断ち切り、その切っ先は大海賊の腹に届いた。
「なに!?」
 幽霊ごと大海賊を切りつけられ、服が破れシャツが赤く染まっていく。そして切断された上着の内ポケットから丸めた地図が零れ落ちた。
「しまった!」
 慌てて大海賊が地図を回収しようとする。だが風に吹かれたように地図が手の内から無くなる。
「宝の地図か、これを見れば簡単にお宝を回収できそうだな」
 声の方を見れば駆け抜けた流矢が横から掠め取り、地図を自分の懐へと仕舞い込んでいた。
「よくもやってくれたな! 俺の宝は誰にも渡さん!」
 大海賊は地図を奪い返さんと冷静さを失い、目の色を変えて追い始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

大豪傑・麗刃(サポート)
基本右手サムライブレイド(固定)+左手フライングシャドウか脇差(にしては大きすぎるバスタードソード)。
スーパー変態人(無印、2ともに)使用時は右手サムライブレイド+フライングシャドウ、左手バスタードソード+ヒーローソードの四刀流。
上記を装備していない場合は適当に。

で真っ向から行くだけなのだ。

ユーベルコードはMS様にお任せしたいが決まらなければ下記参照

ネタ可なら
最優先はネタキャラとしての矜持
精神攻撃より直接ダメージが望ましければ鬼殺し、変態的衝動
変化球ならギャグ世界の住人、自爆スイッチ、零距離鬼神フラッシュ

ネタ不可ならスーパー変態人(無印あるいは2)
それもネタだと思うならガチ剣士モードで剣刃一閃


チヒローズ・イッシー(サポート)
自由都市を故郷に持ち、本人も自由を愛する女性です。
戦闘では指定したユーベルコードを状況に応じて使い、人々の自由を取り戻す為に皆さんと力を合わせて戦います。
オラトリオの聖者×プリンセスということで、もしよければキラキラっとした華やかな戦闘演出を描写していただけると嬉しいです。

口調はステータスシートの通り、「なの、よ、なのね、なのよね?」という感じの優しく人当たりのいい女の子といった感じの喋り方です。
一人称は「私」、二人称は基本的に年齢や男女を問わず「さん」付けの呼び方です。
あとはマスターさんにお任せします。よろしくお願いします!


比良坂・逢瀬(サポート)
新陰流を修めた剣豪であり戦巫女です。
誰に対しても礼節を重んじた接遇を心掛けています。
二尺三寸の名刀『三池典太』を振るう、巫女装束を纏う少女です。

敵の攻撃を冷静に<見切り>、その上で<ダッシュ>と<ジャンプ>による機動力を活かして翻弄する戦法を好みます。
どのような戦場でも最大の武器である機動力を活かせるように<地形耐性><環境耐性><水上歩行>等の各種技能を駆使します。

空中戦にはレベル回のジャンプが出来る《空ヲ走ル》を、
強敵には奇襲性能の高い《影ヲ斬ル》を使用します。
状態異常系の攻撃は《穢レヲ禊グ》で対処します。
その他のユーベルコードは状況に応じて使い分けます。

アドリブ、連携など歓迎します。



●救助
「おい! お前等! 一人もこの船から逃がすんじゃねえぞ!」
「「へい!!」」
 大海賊が手下を一喝して地図を持った流矢を追い駆ける。指示を受けた手下の海賊達は島民を逃さぬように船内への穴を塞ごうとする。
「人を奴隷のように使う海賊のようですね。ならば手加減は無用、斬り捨てるのみです」
 虐げられる人々を守ろうと、空中を跳躍してガレー船に跳び乗った巫女装束の比良坂・逢瀬(影斬の剣豪・f18129)は、名刀『三池典太』を抜き放ち海賊を斬り伏せた。
「新手か!」
「撃ち殺せ!」
 海賊達はラッパ銃を向けて一斉に発砲する。
「天駆ける業の前に銃は無力です」
 逢瀬はユーベルコード『飛天の太刀』によって空を自由自在に駆け、弾を躱して頭上から敵を斬り倒した。すると次は大海賊の呼び出した海賊の幽霊達がカトラスを手に包囲するように現れる。しかし逢瀬はその攻撃を跳躍してひらりと華麗に躱した。

「人々から自由を奪うなんて許せないのよ!」
 岸から鞭打たれ奴隷扱いされる人々を見たチヒローズ・イッシー(オラトリオの聖者・f20852)は怒りを覚え、その憤りをぶつけるべき海賊の幽霊達へと視線を移した。
「これ以上人々を傷つけさせはしないの!」
 チヒローズの身体が光に包まれ、服装がキラキラと輝く豪華絢爛なドレスへと変わる。そしてスカートを翻して花びらを散らしながら飛翔すると、幽霊の群れの上を飛び抜け、すれ違いながらプリンセスハートを放って叩き込む。ぶつかったプリンセスハートから眩い光が溢れ出すと爆発を起こして幽霊を吹き飛ばした。
 だが幽霊達も負けじとラッパ銃を構えて飛ぶ猟兵達を撃ち落とそうとする。
「そんなもの当たらないの!」
 飛ぶ鳥のようにチヒローズは銃撃を躱し続け、逆にプリンセスハートから放たれる光で幽霊を消滅させる。

「どうなってやがる! 弾が当たらねぇ!」
「当たるまで撃ちまくれ!」
 海賊達ががむしゃらにラッパ銃を撃ちまくる。
「ふぅ、ようやく到着したのだ! 泳いでるうちにお魚気分で魚返りしてしまったけど、これで両生類に進化なのだ!」
 その隙に内海を泳いでガレー船に到着した大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)が、海藻を頭に乗っけたまま甲板によじ登る。
「海賊相手の大立ち回りだな! 派手に暴れてやるのだ!」
 そして右手にサムライブレイドを左手にフライングシャドウの二刀を抜き、二刀流で海賊へと斬り掛かった。
「うわー深海の化物だ!」
「こいつどこから!?」
 よろける海賊がドボンと海に落下する。
「いつも釣られている魚の気分を味わうのだ!」
 まだ魚気分の抜けない麗刃は邪魔な海賊を海に叩き込んだ。

 そうして人々を守る戦闘を継続していると、漕ぎ手の居ない船は海流に乗って岸へと流されていた。
「岸に近づきましたか、ここからなら人々を脱出させられそうです。皆さん、私について来てください。ここからなら岸へと泳いで逃げられるはずです」
 逢瀬は海賊幽霊を斬り払い、甲板に安全なルートを築くと人々の避難を始める。
「岸がすぐそこだ! これなら泳いで帰れる!」
「今のうちに逃げよう!」
 大海賊が近くにいない間に逃げてしまおうと、船内に閉じ込められていた人々が甲板に出て来る。
「やべぇ! 逃げやがるぞ!」
「このままじゃ頭にぶっ殺されちまう! 撃ち殺してでも止めろ!」
 それを見た海賊達は慌てて銃口を逃げる人々に向ける。そして逃がすくらいならと引き金を引いた。
「うわぁっ」
 発砲音に狙われた人は目を閉じる。だがいつまで経っても銃弾は届かなかった。
「無抵抗な人々を殺そうだなんて許せないの!」
 そこへ割り込んだチヒローズが銃弾をプリンセスハートで受け止めていた。
「私たちが守るから、安心して逃げるのよ」
 決して人々に凶弾を届かせないと、チヒローズは海賊にプリンセスハートをぶつけて海へと吹っ飛ばした。

「何をしてる!? チッ役に立たんヤツらだ!!」
 そこへ騒ぎに気付いた大海賊が戻り、島民が逃げ出しているのを見て舌打ちし、新たな海賊の幽霊を呼び出して突進してきた。
「戻ってきたようです。避難が終わるまで死守しましょう」
 逢瀬はカトラスを躱し、刀を一閃して幽霊の首を刎ねる。
「三枚おろしにしてやるのだ!」
 飛び掛かった麗刃が二刀を軽々と操り、幽霊を次々と切り裂いていく。
「俺の手下を簡単にやりやがる。だがこれでどうだ!」
 幽霊に紛れるように大海賊が突っ込み、麗刃の懐に入って短剣を突き刺そうとする。反射的に麗刃が仰け反る。すると頭に乗っていた海藻が足元に落ち、後退しながら踏みつけるとずるっと足が滑る。
「見切ったのだ! ってぅあああっ!?」
 麗刃は勢いよく転んで後頭部を打つ。だが転んだ勢いで跳ね上がったその足はアクロバティックに敵の股間を蹴り上げていた。
「ぐっうぅうう、お前、よくもやってくれたな! 全員八つ裂きにしてサメの餌にしてやる!」
 初めて苦悶の顔を浮かべる大海賊が怒りに殺気を撒き散らし、幽霊を襲い掛からせる。
「鮫の餌になるのはあなたの方です」
 逢瀬が刀を薙ぎ払い、幽霊を一気に蹴散らす。そして返す刀で大海賊へと斬りつけた。それを大海賊は短剣で防ぎ衝撃を逃すように甲板を転がって間合いを取る。
「俺のお宝を狙うお前らも許せんが、俺の支配下にあったものが裏切るのも許せねえ!」
 船から飛び降りていく人々へと視線を走らせ、大海賊は周囲に無数の幽霊船を呼び出し逃げようとする人々へ攻撃を仕掛ける。
「人はものじゃないの!」
 その幽霊の突進を輝きを放つチヒローズがプリンセスハートで防ぐ。しかし幽霊は次々と前に出ようとして距離を縮めていった。
「幽霊船がこっちに来てるぞ!」
「早く逃げないと!」
 慌てた人々が我先に海に飛び降りようともみくちゃになる。
「避難を優先させましょう」
 宙を蹴って跳躍した逢瀬が幽霊船を斬り、人々が逃げるのを守る。
「急いで逃げるのだ!」
 麗刃はもたつく人々を海に放り込んでいった。
「残りの人を運ぶの!」
「そうしましょう」
 チヒローズと逢瀬は甲板に残った最後の人を抱えて宙を飛び、一気に岸へと運んだ。
「これで救助完了なのだ! さあ、やっつけ――」
「そいつも海に叩き込んでやれッ!」
 麗刃が斬り込もうとしたが、幽霊の群れにもみくちゃにされ、海へと蹴落とされた。
「チッ、役立たずの手下どもは全員やられたか……仕切り直しだ! お前らが船を漕げ!」
 生身の部下が全滅してしまい、大海賊は幽霊にオールを漕がせ、ガレー船を動かして岸から離れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ジェイミィ・ブラッディバック
【アドリブ共闘可能】
いよいよ親玉とのご対面ですか。しかしこちらも全てのカードを見せてはいません。戦闘も商談も隠し玉が重要です。

乗っていた船からスラスターで空中へ。レーダーの偵察・情報収集能力を駆使して内海に至る水路を見つけ、船側に連絡してガレー船の横に付けてもらいます。

先行してガレー船の死角から密かに乗り込み、島民を救出します。弱点を伺ったらこちらの船に移乗して頂きましょう。

ボスは先の戦闘から私の戦術が固定砲台と思い込んでいるはず。UCを発動し意表を突いて空中戦+ダッシュ+見切りの高速機動戦闘。敵側を翻弄しながら装備している兵装を一斉射撃して攻撃します。
ご安心を、宝石は島の経済に還元しますよ。


霧島・絶奈
◆心情
さあ、愉しませて下さい

◆行動
<真の姿を開放>

島民の救助を優先

【空中浮遊】を活用し縦横無尽に移動

湖がどれ程の広さか知りませんが、内海と言う限界がある中で船を増やしても移動の邪魔にしかなりません
つまり、互いが互いの枷となるだけです

【罠使い】の技能を活かし「敵を識別するサーメート」を【衝撃波】で各船上に散布
攻撃範囲の狭さ故に漕ぎ手の島民を巻き込む心配もありません

その後『涅槃寂静』にて「凍結」属性の「氷原」を行使し移動を妨害
こうなれば破氷船でもない限り、翼を捥がれた鳥も同じです

私は【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



●洞窟を抜けて
「洞窟から内海に通じているとは、自然の神秘ですね」
 スラスターで空を飛び島の情報収集をレーダーを使い行っていたジェイミィが、海から島の中央へと繋がる洞窟を見つけていた。ぶつからないように暗い洞窟をライトで照らして先導し、猟兵達の船が帆を畳んで洞窟を進んでいく。
「外の明かりが見えました。このまま真っ直ぐです」
 船首に立った絶奈が先に見える日の光を指差し船員に声を掛ける。
「微速前進!」
 舵手がかじを調整し船はゆっくりと洞窟を抜けた。
「抜けますよ!」
 ジェイミィが先に日の光を浴び、続けて船が照らされる。木々が茂って隠されているようになっている洞窟の出口を抜けると、そこには島の内部に広がる内海が広がっていた。
「見つけました。あの船の集団ですね」
 絶奈の視界にガレー船とその周囲に幽霊船が浮かんでいる後ろ姿が見える。その甲板の海賊幽霊達がラッパ銃を構え、泳いで岸に向かっている人々を狙おうとしているようだった。
「いよいよ親玉とのご対面ですか。しかしこちらも全てのカードを見せてはいません。戦闘も商談も隠し玉が重要です」
 敵も船でここまで来るとは思っていないのか、こちらに気付く気配はない。
「船の一般人は既に海に逃げたようです。ではこのまま全速前進してください。敵の船に穴を開けてあげましょう。そうすれば人々を追う暇もなくなるはずです」
「おう!」
「帆を張れ!」
 絶奈の指示に従い船が帆を張って風を受ける。そして加速すると真っ直ぐに敵のガレー船に向かって突っ込んだ。
「では私は先行しておきます」
 先んじてジェイミィが海面ぎりぎりを飛んで、ガレー船のオールの出ている側面から船内へと忍び込んだ。

「撃て撃て! 俺をコケにしたヤツらを一人も逃すな!!」
 大海賊は幽霊に命令を下し、自分は船のどこかに隠れた宝の地図を持つ猟兵を探しに向かう。
「どこに隠れやがった! オラッ! 出てこい! 大人しく地図を返せば楽に殺してやるぞ!」
 辺りの樽や酒瓶を蹴り飛ばし、恫喝しながら大海賊は猟兵の姿を探す。そこで衝撃音と共に船体が大きく揺れた。
「なんだ!?」
 慌てて大海賊は周囲を見渡す。すると後部に船が衝突していた。自我を持たぬ幽霊の海賊では、気づいてもそれを指摘できなかったのだ。帆船の衝角が突き刺さり、大穴が開いてガレー船は浸水を始めていた。
「いつの間に!! くそったれ! 穴を塞げ! 俺の船を沈めるな! 幽霊船は敵船を包囲して沈めろ!!」
 すぐさま大海賊が指示を飛ばし、幽霊船が動き出す。
「広い湖ですが、内海と言う限界がある中で船を増やしても移動の邪魔にしかなりません。つまり、互いが互いの枷となるだけです」
 絶奈は真の姿を解放し、白き神の姿へと変貌する。そして周囲にサーメートを衝撃波に乗せてばら撒き、幽霊船を爆炎によって燃やしていった。幽霊船は混乱し、互いにぶつかり合って傷を深めていく。

「落ち着け! 距離を保って銃で応戦――」
「なるほど、これが弱点ですか」
 大海賊が的確な指示を出そうとしたところで、船内から現れたジェイミィが声をかける。その手には逃げ疲れた流矢からバトンタッチされた宝の地図が握られていた。
「お前! それを返しやがれ!」
 激高して冷静さを失った大海賊は指示など後回しにし、ジェイミィへと海賊幽霊を差し向けた。
「そいつは報告にあった砲台みたいな能力のヤツだ! 囲んで近接戦で仕留めろ!」
 大海賊の命令に従い、幽霊達はジェイミィを包囲してカトラスで叩き切ろうと接近してきた。
「どうやら私の能力を固定砲台だと思っているようですね。ではそれだけではないと教えてあげましょう」
 ジェイミィはユーベルコード『S.K.U.L.D.System(スクルドシステム)』を発動する。
「S.K.U.L.D.System ver.3.0.1 Stand by... Completed.」
 補助AIによる演算が行われ、全ての事象を計算し敵の行動を精確に予想する。ジェイミィはスラスターを吹かして空中に飛び上がり斬撃を躱し、地図を邪魔にならぬように収納した。
「飛んだだと!?」
 大海賊が予想外の動きに驚いているところへ、上から2丁1組のマシンガン『GAW-WM-209X』を両手に持って発砲し、弾丸の雨を降らして幽霊を撃ち倒す。
「クソッ、誤情報か! ラッパ銃で迎撃しろ! 撃ち落とせば俺が止めを刺す!」
 周囲に集まる幽霊がラッパ銃を上空に向ける。
内海へと進んでいく。
「上司はこうも言っておりました『一度手に入れたイニシアチブは決して渡すな』とね」
 ジェイミィが急降下し、敵の間に着地すると、両腕を左右に伸ばし、マシンガンを連射しながらぐるっと回転し、周りの敵を薙ぎ払った。

「こうなれば幽霊船からの攻撃で……どうした?」
 大海賊が周囲の幽霊船から攻撃させようとするが、船は一隻も動かない。周りを見れば、内海の表面が凍り付き、氷原と化して船を全て固定してしまっていた。
「海が凍っているだと!?」
 船縁から乗り出して見下ろした大海賊が驚きの声を上げる。
「冷静さを保っていれば気付き対応できたかもしれませんが、弱点とはよく言ったものです。地図一つで思考力を奪うのですから」
 ふわりと宙に浮かぶ白き衣を纏う絶奈が冷たい冷気を放っていた。ユーベルコードによって森羅万象が自然の獰猛な力を発揮し、僅かな間に辺りを凍土のように変えてしまっていた。
「こうなれば破氷船でもない限り、翼を捥がれた鳥も同じです」
 絶奈は急降下しながら大鎌を振るい、大海賊の肩を切り裂く。
「まだだ! 船を降りて集結しろ!」
 大海賊が命令するが、船から下りた幽霊が爆発を起こして吹き飛ぶ。
「既に罠を設置しています。簡単には近づけませんよ」
 絶奈は大鎌を薙ぎ、今度は胴を深く斬りつけた。
「こんな馬鹿な! 俺は幾つもの島を股にかけて支配する大海賊だぞ!!」
 首を刈ろうとする大鎌を大海賊は短剣で弾き、後退していく。
「俺を守れ!」
 ガレー船に残っていた幽霊が集まり、壁のように大海賊を守る。
「略奪を繰り返す海賊ビジネスなんてもう流行りませんよ。時代遅れというやつです」
 そこへジェイミィがマシンガンを乱射し、さらに小型ミサイルポッドを展開して発射し爆発を連続して起こし幽霊を吹き飛ばす。そして煙が視界を塞いでいる場所をレーダーで敵の位置を確認し、左肩のレーザーキャノンをぶっ放した。光線は煙を貫き、大海賊の右腕を肩から吹き飛ばした。
「ガアアアアア!!」
 獣のような声を上げて大海賊が肩を押さえる。
「俺は! 天下の大海賊だ!! 全ての海を征く伝説になる男だ!!」
 大海賊が咆え、右手から零れ落ちた短剣を拾い上げる。
「貴方の伝説は既に終わっています。此処にいる貴方はだだの残夢に過ぎません」
 飛び込んだ絶奈が大鎌を横に振り抜き、短剣を砕き胴を切断した。上半身がずり落ち、大海賊は仰向けに倒れた。


「俺のお宝をお前らなんかに奪われるとはな……」
「ご安心を、宝石は島の経済に還元しますよ」
 力尽きようとしている大海賊にジェイミィが宝の地図を広げて返答した。
「クククッ、残念だが、そう簡単にはいかん。宝の場所の一つに舵輪の海賊旗のメガリスを隠してある。それがある限り、この島に向けて七大海嘯の増援が現れる。お前らがどれだけ強かろうとも、やがては力尽きてしまうだろうよ……」
 大海賊が最期に恐るべきメガリスの存在を告げる。
「探してみるがいい、どちらが俺の宝を手に入れるのか、地獄から見物させてもらうとしよう……」
 最期は元の偉大だった大海賊らしく、不敵な笑みを浮かべて息絶えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『ワクドキ!トレジャーハント!』

POW   :    島中の地面を掘り返して宝を探す

SPD   :    怪しい洞窟や洞穴を探して宝を見つけ出す

WIZ   :    地図其の物をさらに詳しく調べて宝の在処を探る

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●トレジャーハント
 大海賊が最期に残した言葉から、海賊を無限に呼び出す海賊旗のメガリスの存在が明らかとなった。放置すればこの島はまた海賊の手に渡るだろう。
 そうはさせないと猟兵達が宝の地図を広げて確認すると、内海に一つ、洞窟内に一つ、森の中に一つ、鉱山に一つ、館に一つの5つの場所にマークがあった。
 これのどこかにある海賊旗のメガリスを早急に見つけて燃やさなくては、敵の増援が現れてしまう。
 どこが怪しいかと頭を悩ませた猟兵は、何にしても行動しなくては当たりに辿り着けないと、各々が怪しいと思う場所に向けてお宝を探しに島の探索を始めた。
 島の人々に頼めば、海賊の支配から解放してくれた猟兵の頼みを喜んで受けてくれるだろう。自分で動き回るのもいいし、人海戦術で攻めるのもいい。方法は何であれ、メガリスを探し出せば目的は達成される。

 宝の地図を元に、大海賊が隠した金銀財宝、それに海賊旗のメガリスを探すトレジャーハントが開始された。
ジェイミィ・ブラッディバック
【SPD】

候補地が5つもあるとは…ひとまず手分けして探し出すことになりますかね。宝も島民の皆さんに回収していただかねば。

人手が欲しいので、島民の方々にお手伝いを依頼します。私と何名かの島民で候補地のひとつへ。レーダーで偵察+情報収集しながら安全なルートで向かいます。現地に敵が残っているならば私が掃討します。
安全を確保したら、島民と捜索を行います。海賊旗を見つけたら絶対に手を触れないように注意して、私のミサイルで跡形もなく爆破しましょう。宝は島民の方々と手分けして運び出します。

あ、島民の皆さんに一つお聞きしたいことが。…このへんにおいしいご飯を食べられるお店ってあります?

※アドリブ・共闘歓迎です


霧島・絶奈
◆心情
折角ですし宝探しを楽しみましょう

◆行動
島民にも協力を要請しましょう
彼らの行為がこの島を、延いては彼ら自身の生存と尊厳を護る事に繋がります
これもまた、島を護る為の戦いであると言えるでしょう

私も「人海戦術」を駆使するとしましょう

<真の姿を開放>し『666』を使用

偏在する<私達>による人海戦術であり、同時に自分自身で動くというのも面白いでしょう?

【空中浮遊】を活用し最短距離で各目的地に向かいます

その上で暗所では【暗視】で暗闇を見通し…
内海では【オーラ防御】を球状に展開して空気を確保した上で【水中機動】を駆使して探索

これに島民の「数」も加わる事で、手が回らずに探査機出来ないと言う事も無いでしょう


大豪傑・麗刃
さてサポートに拾われたのも何かの縁。せっかくなのでメガリス探しに協力するのだ。

んでマークは5個っしょ。これはもう、単純と言われようともこのマークのあるトコを探したくなるのが人情ってもんでしょ。ただこの中のひとつに旗があるとした場合、他4か所に無意味にマークついてるとも思えないし。旗を置こうとした候補地なのか、それともこの5か所にそれぞれ旗への手掛かり的なものがあって、それを重ね合わせると真実が見つかるのか。ただそれ以上の推測を書くにはプレイングの字数が足りなすぎるのだ。

あとは動くのみ。
とりあえず宝的な物は昔から洞窟と決まっている!まっさきに洞窟に向かい……立ち合いは強く当たってあとは流れで!


琥星・流矢
「さーて宝探しだ!スタンプラリーみたいでワクワクするなぁ!!」

さっそく出発…の前に、島の住民達に、シンボルの位置を聞いておこうか。長寿な木とか大きな岩とか、変わった地形とか。
そういった目立つ物は道標になる。それに、お宝を後から掘り起こすときに、位置が分かりやすいように、目立つ物の近くに隠しておくってのは定石だと思うんだ。
宝の地図の写しと、教えてもらったシンボルをメモ帳に書き込んだら、森の方に行ってみるか。地図に書いてあるマークに近い位置のシンボルを、重点的に調査してみよう。

宝探しが終わったら…そうだな、シンボルめぐりでもするか。観光だ観光だ!!
※アドリブ連携歓迎


愛久山・清綱
大海賊は散った……が、まだ一つ任務が残っていた。
宝探しは苦手だが、俺だけ何もしないわけにはいかん。

■行
【WIZ】
探索の前に、島の人々にも一緒に行かないか頼む。
『隠された舵輪の海賊旗』か……一体どこにあるのか?
よし、先ずは「館」を探ろう。虱潰しだ。
それに、意外とこういう場所にあるかもしれんし。

部屋中を隅から隅まで探索し、怪しい場所は細かく調べながら
旗らしきものを探ろうか。
開かずの部屋は【怪力】を込めた蹴りでこじ開ける。

全ての部屋を探っても見つからなければ付近の味方を手伝うか、
まだ探索していない場所へ向かうぞ。

但し、万一自分が旗を発見したら全員に叫んで知らせ、
皆で処分する。

※アドリブ歓迎・不採用可



●5つの宝探し
「候補地が5つもあるとは……ひとまず手分けして探し出すことになりますかね。宝も島民の皆さんに回収していただかねば」
 地図を見たジェイミィは、それぞれが違う場所を探せば効率が上がるだろうと提案する。
「そうですね。ちょうどここに五人います。手分けして探しましょう」
 横で同じように場所をチェックしていた絶奈が頷き、それぞれが違う場所を探すことにする。
「折角ですし宝探しを楽しみましょう」
 絶奈はやるなら楽しくやった方がモチベーションが上がると微笑んだ。
「時間制限があるなら人手は多い方が良さそうです。皆さん、宝探しを手伝ってもらえませんか」
 そして何も猟兵だけで探さねばならないというルールはないと、海賊から解放されて喜ぶ人々に声をかけ、事情を説明した。
「おう、もちろん手伝うぜ!」
「その旗を見つけないとまた海賊が現れるんだろ? せっかく自由にしてもらったってのに、もうこき使われるのは御免だからな!」
 肉体労働で鍛えられた島民達が頷き、指示してくれと真剣な顔を向けた。
「では鉱山に詳しい方はいらっしゃいますか、その方々は私と共に行きましょう」
 ジェイミィが挙手した5名の島民を引き連れて、鉱山へと向かった。
「私は内海を探すとしましょう。泳ぎが得意な人はいますか?」
 絶奈が尋ねると、俺が俺がと手が上がる。その身体やしっかりと日に焼け、海の男らしさがあった。
「それではお願いします。共に内海を潜って宝を探すとしましょう」
 絶奈も海の男10名を率いて内海の探索に乗り出した。

「さて、こうしてここに来たのも何かの縁。せっかくなのでメガリス探しに協力するのだ」
 戦いを手伝った後にも麗刃は残り、宝探しを手伝おうと地図を見た。
「んでマークは5個っしょ。これはもう、単純と言われようともこのマークのあるトコを探したくなるのが人情ってもんでしょ」
 マップにマークがあるなら全てを探したくなるものだと、麗刃はじーっと地図と睨みっこをしていた。
「ただこの中のひとつに旗があるとした場合、他4か所に無意味にマークついてるとも思えないし。旗を置こうとした候補地なのか、それともこの5か所にそれぞれ旗への手掛かり的なものがあって、それを重ね合わせると真実が見つかるのか……」
 あれこれ考え推測してみたいが、その全てを考えるには時間が足りないと、動き出すことにする。
「では洞窟に行くのだ! 道案内できる人がいれば頼むのだ!」
 頭が落ちるのではと思うほど思考にのめり込んで傾いていた麗刃が、ばっと我に返り行動を起こす。
「そんじゃあ俺がいくっす」
「オレらガキの頃から遊び場にしてたから知ってるよ」
 そこに案内役の仲の良さそうな同年代の島民が4人ついて、共に島の中と外に繋がる洞窟へと向かった。

「さーて宝探しだ! スタンプラリーみたいでワクワクするなぁ!!」
 地図のポイントを巡っていくなどまるでスタンプラリーだと、流矢も楽しそうな笑顔で地図の写しを手にお宝を探しに出かけようと、張り切って鬱蒼と生え茂る森の方へと視線を向けた。
「じゃあさっそく出発……の前に、島の人にシンボルの位置を聞いておこうか」
 足を一歩踏み出したところで、森の中という以外のヒントが無い事に気付き、近くの島民達に話かけた。
「あの森の方に長寿な木とか大きな岩とか、変わった地形とか、シンボルになりそうなものはある?」
「森ですか、んー……ああ! 大岩がありますよ。そこだけはぽっかり森が開けてますな」
 流矢の質問に、すぐに年配の島民が答えてくれる。
「なんでしたら、おらが案内しましょうかね。森は迷いやすいですし」
「いいの? それじゃあお願いしようかな!」
 島民の言葉に流矢は笑顔で返し、シャベルを借りて共に森へと向かった。

「では残りの方々は私と共に館の探索を頼めるだろうか」
 それぞれが違う場所へと探索へ向かうのを見送った清綱は、残った人々に呼びかける。
「もちろんだ!」
「あの先祖から伝わる館を奪われて腹が立ってたんだ! 取り返してくれたあんたたちの頼みなら喜んで手伝うぜ!」
 残った10名ほどの島民達が頷き、鬱憤を晴らすように敵に奪われたものを返してもらおうと意気込んでいた。
「では向かおう。私は飛べるが、皆には船で行ってもらうか」
「おう!」
 清綱の言葉に従い、すぐに島民は運び出した小舟で館へと向かった。


●鉱山
「襲撃!? ぐわぁー!?」
 銃撃音と共に鉱山を管理していた海賊の残党達が吹き飛んでいく。
「これで安全の確保ができました。さあ、中を捜索しましょう」
 空中から銃撃で残った海賊の掃討を行ったジェイミィが鉱山の大きな穴の前に着地し、追いつく島民達を待ってから中に入り込む。
「こっちの穴が今掘ってるところだよ」
「向こうはもう掘るのを終わって閉鎖してる場所になる」
 鉱山の中に広がる坑道を案内されて、ジェイミィはライトを照らしながら大きくくり抜かれた岩肌を調べていく。
「進行形で掘っている場所に隠すとは思えませんね。何かの手違いで見つかる可能性があります。なら閉鎖している場所が怪しいですね」
 ジェイミィは板を張られ通行止めされている方へ視線を向け、板を破壊し奥へと進む。するとあちこちに穴が開き、掘り尽くされた坑道が蟻の巣のように広がっている。
「手分けして探しましょう。何かあればすぐに連絡してください」
「わかりやした!」
「おう、こっちを探すぞ!」
 ジェイミィの言葉に頷き、島民達は慣れた様子で分担して坑道の探索を始めた。
「ではこちらも探索を始めましょう」
 レーダーで周囲を調べながらジェイミィは坑道を進むが、行き止まりに到達してしまう。
「ここは外れですか、片っ端から調べる必要がありそうです」
 ジェイミィは次々と坑道を調べ上げていく。だがどこにもお宝のようなものは見つけられなかった。
「こっちにもねえなぁ」
「ああ、この辺りは俺らが掘ったからな、道は分かってるんだが」
 穴の中継地点のような場所で島民達も外ればかりで本当にあるのだろうかと元気を失っていく。

「少し休憩にしましょうか」
 その様子を見て小休止しようとジェイミィが提案し島民達が腰を下ろし一休みを始めた。
「坑道に隠すとすればどこに隠すと思いますか?」
 ジェイミィが坑道に詳しい島民達に尋ねてみる。
「そうですなー、やっぱり誰も通らない場所とかですかな」
「うーん、見えない場所とかか?」
 頭を悩ませて島民が上を見上げると、あっと声を漏らした。それにつられて他の者も高い天井を見上げると、そこには上方向へと続く大きな穴がぽっかりと開いていた。
「あんな穴見た事ねぇ……いつ掘ったんだ?」
「なるほど、死角を突いた隠し場所という訳ですか」
 ジェイミィが飛んで穴に入り込み、奥にあった木製の大きな宝箱を見つけた。それを持って下に戻る。
「宝箱を見つけました。開けてみましょう」
 ギィッと音を立てて宝箱が開く。するとライトが反射して黄金の輝きが当たりを照らす。中から現れたのは金の延べ棒の束だった。
「おおっ!」
「こいつはすげぇ!」
 黄金を見た島民たちが驚きの声を上げる。
「どうやら宝には間違いないようですが、目当ての物ではないようですね」
 目的の海賊旗のメガリスでは無かったとジェイミィは大きな宝箱を抱えて仲間達と合流しようと帰還を始めた。


●内海
「貴方方の行為がこの島を、延いては貴方方自身の生存と尊厳を護る事に繋がります。これもまた、島を護る為の戦いであると言えるでしょう」
「おう!」
「俺たちの島を守るためだったら全力でやるぜ!」
 絶奈の言葉にやる気を漲らせて大きな声で返し、男達は泳ぎやすい軽装になった。
「地図によると内海を示していました。潜って海底を探します」
「おうさ!! 奴らが来て禁止されるまではここが一番の漁場だったんだ! 余裕だぜ!」
 海の男達が内海に飛び込み潜り始める。
「私も『人海戦術』を駆使するとしましょう」
 真の姿を開放した絶奈がユーベルコードを発動し、分裂するように数を増やし異端の神々の群れへと変わった。
「偏在する<私達>による人海戦術であり、同時に自分自身で動くというのも面白いでしょう?」
 愉快そうな声が重なり、たった一人で群れとなった絶奈はオーラで球状に自身を包み、次々と海底へと潜っていった。
「内海の底は浅いようですね。素潜りが得意なら海底まで潜るのも難しくないようです」
 島民達は底まで潜り、あちこちの海底を調べている。海に繋がるだけあって、魚や貝といった生き物が豊富に生息していた。
「流れも穏やかですし、大型の魚は入ってこれないので小型の魚が住み着いているわけですか、漁場として優秀な場所ですね」
 絶奈達も魚のように機敏に動き回ってあちこちを調べ、宝らしきものを探す。

「ぷはっ、見つかったか?」
「いや、なんもねえな、貝はほら、いっぱい拾っちまったが」
 海面に顔を出した男が、大漁大漁と大きな貝を幾つも抱えていた。
「楽しそうですね、宝探しというのは誰もが心踊らせるものです」
 そんな様子に絶奈もまた微笑み、自らも楽しむように綺麗な珊瑚の繁殖する海底の探索を続ける。暗がりを見通す目で見ていると、僅かに光りが反射した輝きを見つける。
「あれは……金属でしょうか」
 絶奈はその反射光から金属らしきものだと当たりを付け接近する。海底にぽつんとある小山のような凹凸。その頂点の窪みを覗き込むと、隠されるように手の平サイズの小さな金属製の宝箱があった。
「おおっ」
「見つけたのか!」
 絶奈が岸に上がると、ぞろぞろと海の男達も集まってきた。
「それでは開けてみましょう」
 ガチャッと小さな宝箱を開ける。すると中から出て来たのは大きな鍵だった。
「何だ? 鍵か?」
「これがお宝なのか?」
 海の男達は首を傾げてその鍵をまじまじと見つめる。
「鍵ですか……つまりこれを使って開けるものがあるということです」
 絶奈は鍵があるならば使用するところがあるはずだと、仲間に合流して情報を得ようと歩き出した。


●洞窟
「とりあえず宝的な物は昔から洞窟と決まっている! 洞窟探検のスタートなのだ!」
 自信満々に言い放った麗刃が、意気揚々と洞窟に足を踏み入れる。
「あ、蝙蝠とか多いんで気をつけ――」
 島民が忠告していると、洞窟の暗がりから飛び出してきた蝙蝠の群れに包まれて麗刃はすっ転んだ。
「ぎゃっ! いたた……尻を思い切り打ったのだ。よし、それじゃあ」
 お尻を撫でながら麗刃は立ち上がり、何事もなかったように振り返って、ここから再スタートだと慎重に洞窟に入った。
「思ったよりも広いな!」
 船が通れるくらいの大きさがある洞窟に思わず感嘆の声を上げる。その声が反響して洞窟を抜けていった。
「さて、お宝を隠す場所といえばどこかな?」
「そうっすね、いろいろとぽこぽこ開いた穴はあるっすよ」
「ガキの頃はかくれんぼとかして遊んでたからな」
 教えられた子供が隠れられそうな穴を調べていくが、宝らしきものは見当たらない。

「あれ? この先の水が干上がってる!」
 洞窟の途中で水の流れが途絶えているのを見て麗刃が驚きの声を上げた。
「ああ、ここは潮の満ち引きで船が通れる時間が決まってるんす」
 今はちょうど引き始めているところで、中央の最も浅い場所で洞窟の地肌が見え始めていた。
「へー、面白いのだ!」
 興味津々に麗刃がその露出した場所に歩み寄る。
「あっ、濡れてるところは滑りやすいんで気を――」
 注意の言葉の途中で、濡れた苔の生える岩場を踏み、ずるっと麗刃は見事に足を滑らせて転んだ。そのまま傾斜になっている地面をウォータースライダーのように滑りっていった。
「大丈夫っすか!?」
「あいたたたた……っ」
 島民達が近づいてくると、したたかに腰を打った麗刃が苦悶の声を漏らしていた。
「大丈夫……この程度どうってことないのだ……!」
 涙目で強がる麗刃が顔を上げる。するとそこにはぽっかりと穴が開いていた。普段は海水が満ちて見えない場所だが、今は岩肌が露出して通れるような穴ができている。
「ああっそういやこんな場所もあったな!」
「あったあった! 満ちたら溺れ死ぬから絶対に入ったらダメって親に脅かされてたよな!」
 島民達がそれを見て思い出したように語り出す。
「これでしょっ! こんな怪しい穴に何もないわけがないのだ!」
 そんな言葉も興奮して届かず、麗刃が穴の中に入っていってしまう。
「大丈夫かな?」
「急に潮が満ちたりしないっすよね?」
 先ほどまでの不運な様子から心配な声が上がるが、その穴の奥からあったー! と大声が響いた。
「宝箱を見つけたのだ!」
 よいしょよいしょと麗刃が金属の大きな宝箱を持ち出した。
「おおーーー!!」
「本当にあったっす!」
 さっそく麗刃が宝箱を開けてみる。すると中からは金貨や装飾品が詰まっていた。
「うーん。それぞれに宝は置いてあるけど、大当たりは一つってタイプかな」
 どうやら大当たりが一つで、後は当たりなのだろうと麗刃は推測した。


●森
「へぇ、綺麗な森だな」
 流矢が到着した森を見渡すと、木々が並ぶように立っていて見通しが良かった。
「へい、ここの木を伐って薪にしとるんで、無くならないように植林しとるんですわ」
「そうか、島だから木が大事なんだな」
 なるほどと納得して流矢は森に足を踏み入れる。
「向こうにさっき話した岩がありますよ」
「いってみよう!」
 早速そちらに足を向け、流矢は森の中央へと進む。すると少しずつ人の手が入らない場所になり、緑が深くなっていく。だがその木々が突然消えた。開けた場所に出ると、そこには10mはあろうかという大岩が立つようにそびえていた。
「………これは凄いなぁ!!」
 思わず息を飲んだ流矢が驚いて岩を見上げた。森の外からでは木々が邪魔をして殆ど分からなかったが、近くで見ればその自然が生み出した姿は壮観だった。
「地元じゃこいつは流星岩って呼ばれてやしてね、空から落ちて来て突き刺さったとか、そんな伝説があるんですよ」
 まあこんなのが落ちて来るようじゃ危なっかしくて住んでられやせんがと案内人が笑う。
「島が落ちて来るくらいだし、岩くらい落ちてきたと言われても信じられるな」
「島がですか? いやはやそんなまさか」
 この世界の島が落ちてきたものだと知っている流矢からすれば不思議なことではないが、途方もない法螺だと受け取って案内人は笑う。
「しかしこれだけ目立つなら道標には十分だ。お宝を後から掘り起こすときに、位置が分かりやすいように、目立つ物の近くに隠しておくってのは定石だと思うんだ」
「ほうほう、なるほど、そうですなぁ、おらも最近めっきり物忘れが増えましたからな。その気持ちはよおわかりますわ」
 流矢の説明を聞いて、うんうんと案内人が納得する。
「じゃあちょっとこの辺りを調査してみよう。何か掘り返した跡とかがあるかもしれない」
「へい、じゃあおらはこっちから見ていきやすね」
 流矢と案内人は岩の周りをぐるっと移動しながら、何か変わったものがないか調査を始める。

「さて、こういうのは一見すると分からないけど、知ってる人間が見ればはっきり分かるものなんだよな」
 流矢はそういう視点から、何か目印になるものを探す。地面を見て、木を見て、岩を見上げる。すると岩の上に鳥が止まった。
「そうか、視点を変えてみよう」
 流矢は軽やかに岩を駆け上がるように一気に登る。そして逃げ出す鳥の代わりに頂点に立って地上を見下ろした。
 岩の周りは伐採されずに木々が茂っている。だがその中に穴が開くように木が無い場所を見つけた。
「あそこだ!」
 流矢はその方向へ飛び降りると、すぐさま駆け出して木々の隙間へと到着した。
「この地面、周りとは違う」
 さっそく流矢はシャベルを突き刺して掘り起こす。暫く掘り起こすと、カツンと硬いものに当たる手応えが返った。そこから慎重に掘り進み、金属製の宝箱を掘り起こした。
「こりゃたまげた。そんなものが埋めてあったとは」
 そこへ案内人が音に気付いて辿り着いていた。
「さーて、中には何が入ってるかな!」
 ワクワクした様子で流矢が宝箱を開ける。すると差す光が反射して眩い輝きが姿を現わす。そこには赤や青や緑と、色とりどりの宝石がぎっしりと詰まっていた。
「これはすっげーお宝だ!」
「ほへ~、こりゃこの島だけじゃないやね。島じゃ採れない宝石も交じっとるよ」
 そのお宝の輝きに魅せられたように二人は宝石を眺めていたが、我に返って蓋を閉じた。
「宝はゲットできたけど、本命じゃなかったな。とりあえず報告に戻ろう!」
 宝石の入った宝箱を抱え、流矢は館の方へと歩き出した。


●館
「『隠された舵輪の海賊旗』か……一体どこにあるのか? 他の場所の方が明らかに怪しいが、意外とこういう場所にあるかもしれん」
 館の入り口に降り立った清綱が館を見渡す。年季が入った作りだが、しっかりと手入れがされてまだまだ現役として人が住めるようになっていた。
「どこから見て回ります?」
 船で追いついた島民がその背中に話しかけた。
「よし、虱潰しだ。手分けして全ての部屋を隅から隅まで探索しよう」
 清綱の提案に島民達も頷き、グループに分かれて部屋を一つずつ虱潰しに探す作戦を開始した。
「ここは……客間か。不特定多数の入る場所に隠すとは思えんが、探してみよう」
 清綱は調度品から、天井・壁・床までを調べ上げ、何もないという結論に達した。
「やはりここは外れか、では次に行こう」
 部屋から出ると、同じように調べた島民達も次へと割り当てられた部屋を調べている。
「どうだった?」
「ダメだ。ただの寝室だった。そっちは?」
「こっちもガラクタ置き場で、片っ端から調べたけど、なんもなかった」
 当たりが出ないまま人々は部屋の探索を続けていく。
「次は……食糧庫のようだな」
 清綱が次に入ったのは、食べ物の入った木箱が積まれた部屋だった。中はほとんどが酒と干物で保存食ばかりのようだった。
「このような部屋では隠す場所もないか……」
 諦め気味に清綱が見て回っていると、ふと違和感に気付く。
「む……?」
 目を細め辺りを見回すと、僅かに床の色が違う場所があることに気付いた。
「これは……」
 屈んで調べて見れば、そこだけはめ込んだように四角く、うっすらと色が違っている。
「隠し扉の類か、どこかに開ける為の絡繰りがあるはずだが」
 辺りを探し、荷物を動かして調べていると、壁に大きめの鍵穴のようなものを見つけた。
「鍵か、この館のどこかにあるのか?」
 清綱がそれを訪ねようと部屋を出て他の家探しをしている人々に尋ねた。
「いや、そんなもんは見てないですな」
「こっちも見てないよ。鍵か、それを重点的に探してみるか」
 そう言って、一度見た部屋ももう一度しっかりと調べ直す。だが鍵は見つからなかった。

「こうなれば斬り開けるか」
 開かないならば斬ってしまえばいいと清綱が考えたところで、内海を調べていた絶奈が館へとやってきた。
「お探しのものはこれですか?」
 手渡されたのは大型の鍵だった。
「おお、まさにその通り。これに違いない」
 さっそく清綱は食糧庫に戻り、壁の鍵穴に鍵を差し込んで回す。するとギギギ――と音が鳴り、床が動いて地下への階段が見つかった。
「なかなか凝った造りの建物ですね」
「そのようだ。この地下に目的のものがあるはずだ、行ってみよう」
 明かりを手に暗い地下へと階段を下りる。するとそこには部屋があり、中心から禍々しい力が感じられる。見れば何もない部屋に舵輪の描かれた大きな海賊旗が立っている。風も無いのに旗はたなびいて揺れていた。
「これが海賊旗のメガリスですか、邪悪な力を感じます」
 絶奈がそれを見て、良くないものだと看破する。
「ここで処分するのも拙そうだな。外に持っていくとしよう」
 同じく邪なものを感じとった清綱が旗を持ち上げ、階段を上がり始めた。


●お宝
 宝探しから帰ってきた猟兵が集まり、内海の岸辺には発見したさまざまな宝箱が置かれている。金の延べ棒に金貨と美術品のような高価な装飾品。それに煌めく宝石の山。そして禍々しい海賊旗。
「では早々に旗を処分してしまおう、頼む」
「お任せください」
 離れた場所に旗を置いた清綱が頼むと、ジェイミィが頷いてミサイルを発射した。直撃を受けた旗が爆発炎上し、一瞬で灰となって消し飛ぶ。
「メガリスの力を感じなくなりました。これで島に海賊がやってくることはなくなりました」
 禍々しい力が断たれたと絶奈はこれで本当の平和が島に訪れると振り返った。すると集まった島民の人々が歓声を上げた。その顔は解放された喜びに満ちて、誰も彼もが笑顔になっていた。

「これで宝探しも終わりか……そうだな、シンボルめぐりでもするか。観光だ観光だ!!」
 せっかく宝石が採れる珍しい島に来たのだから、あちこち見て回らないと損だと、流矢は観光気分で島巡りをすることにした。
「あ、島民の皆さんに一つお聞きしたいことが。……このへんにおいしいご飯を食べられるお店ってあります?」
「店なら海賊たちのために用意した飲み屋がある! あんたらなら幾ら飲み食いしても無料だよ! 海の美味いもんを用意するから是非食べてってくれ!」
 ジェイミィの質問に、店で働く島民が手を振って島を救ってくれた猟兵達を歓迎する。
「歩き回ってお腹がペコペコになったのだ! 島らしい海鮮料理を味わうのだ!」
 食べ物の話を聞いて麗刃はお腹を鳴らし、まずは腹ごしらえだと手を上げた。他の猟兵達もそうしようと賛成し、海の幸を御馳走してもらうこととなった。

 今は金銀財宝よりも新鮮な海の幸の方が価値があると。美味しい海のお宝をいただこうと島民と共に飲み屋へと向かい、解放を祝う島民が集まり大勢でのどんちゃん騒ぎが始まった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月30日


挿絵イラスト