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空想の翼を羽ばたかせ(笑)(作者 むらさきぐりこ
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 誰にだって、そういう時期はある。
 失敗だって、誰にでもある。

 憧れを糧に、稚拙な模倣をする。
 自意識が少し肥大化して、本質をはき違える。

 それは本来、痛々しくも微笑ましい笑い話になるはずであった。

 なのに、どうして。

「メアリーちゃーん」
 気安く呼ばないで。
 馬鹿にしないでよ。
「続きまだー? みんな待ってるんだけどー?」
 その『みんな』って誰だ。
 待ってるってどういう風にだ。

 でも、何も言えなかった。
 元々話すのが得意じゃないから、画面の向こうにいたのに。
 そこにすら、私の居場所はなくなった。

 じゃあ、どこに行けばいいの?


「はい、UDC-HUMAN案件です」
 織戸・梨夜(ミズ・オルトロスの事件簿・f12976)は一同を見回すと、小さくため息をついた。
「改めて説明しておきますと、人間がUDCに変貌してしまう事件のことですね。何らかの理由で心が壊され、UDCに変貌してしまう……という流れのようです。原理はまだよく分かっていませんが」
 ここで特筆すべきは、心が壊れる理由が『邪神などに接触する』『ではない』ことであろう。
「このケースの特徴は、『人間によって心が破壊される』ことにあります。UDCの不条理ではなく、不条理な人間の諍いと言いますか……。まあ、各種ハラスメントをナチュラルに働く輩のせいと申しますか」
 『人間の屑』。その名称を、梨夜は敢えて避けたようであった。

「でもまあ、まだ救いはあります。『なりたて』なので、うまく倒せば元に戻せる見込みがあります」
 今回の対象はビルの屋上に立っているようである。その付近に猟兵を転移させれば、完全に定着する前に到着することが出来るだろう。
「浮遊霊めいた他のUDCも集まってますが、数だけなのでなんとかなるはずです。頑張ってください」
 つまり、まずは雑魚を蹴散らして、次に本命というわけだ。

「UDC-HUMANは……そうですね。変貌してしまった事情を踏まえて説得してみたり、中にいるはずの本体を傷つけないように立ち回れば、それだけ心を開いてくれるかもしれません」
 と。そこで梨夜は、少し考え込む仕草をした。
「……その、変貌に至った事情ですが。まあ、平たく言えば『いじめ』です」
 ――どこにでもある、胸糞の悪い話。


「変貌したのは吹田真理(すいた・まり)さん。中学三年生の女の子ですね。この子は消極的で、あまり友達もいない……まあ、暗い子です」
 休み時間は本を読んでいるような、昼休みにトイレの個室に籠もるような。
「彼女の趣味は小説執筆……今時流行りのWeb小説ですね。スマホでがんがん書いていたそうです」
 フリック入力でとか、ちょっと私には信じられないですね――パソコンで執筆している小説家は苦笑する。
「……内容はまあ、このくらいの年頃ならよくあるやつです。自分を投影したヒロインが、無敵の力を手に入れて、みんなにちやほやされる……。うん、まあ、メアリー・スーと言えば伝わりますか? 原義からは外れちゃいますが」
 メアリー・スー。本来は二次創作に使われる概念だが、ともかく『何をしても好かれる無敵キャラ』を指す。
「それだけならまあ、痛々しいけど微笑ましい話ですよ。将来枕に頭埋めて悶絶するだけです。……が」
 それは、隙になってしまった。

「クラスのいじめっ子に見つかってしまったんですね、ソレ。さんざんからかわれて、件の小説は裏サイトや匿名掲示板にも晒されてます」
 やられ役に、そのいじめっ子の名前をそのまま使っていたのもよくなかった。それが原因で特定され、真理は『いたぶってもいい体の良いおもちゃ』として扱われることになってしまったのである。
 匿名掲示板も同様だ。スレッドは大いに盛り上がっており、本名まで流れてしまっている。

 たわいもない妄想が原因で、真理はどこにも居場所がなくなってしまった。
 いじめっ子にとってはただの暇つぶし。
 それが、真理にとっては一生ものの傷になるとは思いもせずに――あるいは理解しながら。

「……あまりに不憫に過ぎます。。それに物書きの先駆者として、新人が潰されるのは我慢なりません。ですので、皆さんどうか、真理さんを助けてあげてください」
 元人間の人狼は、丁寧にお辞儀をした。





第3章 日常 『人間の屑に制裁を』

POW殺さない範囲で、ボコボコに殴って、心を折る
SPD証拠を集めて警察に逮捕させるなど、社会的な制裁を受けさせる
WIZ事件の被害者と同じ苦痛を味合わせる事で、被害者の痛みを理解させ、再犯を防ぐ
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 こうして吹田真理は無事に救出された。
 UDCエージェントの手引きによって病院に搬送。しばらくは静養することになるという。
 だが、復学については――どうなのだろう。


「メアリーちゃん、登校拒否とかマジウケるんだけど」
 いじめっ子のリーダーであり、作中で名前を出された女生徒A(仮名)は、取り巻きたちと細やかに盛り上がっていた。
 授業をサボりながら、校舎裏で――まあ、あまり法律的にもよろしくない行為に手を染めている、立派な不良である。
「は? 登校と投稿をかけた? くっだらね、アホじゃねお前」
「スレの方も下火だし。掲示板のニートども、クッソつかえねー」
「ってかヤバくね? あんま追い詰めすぎて自殺とかしたら……」
「は? それが何?」
 取り巻きの懸念を、Aはつまらなさそうに切って捨てた。


 ――一方、掲示板。

>メアリーちゃん投稿止まった件
>やっぱ●●社員はクソだな!
>パパンに辞職させたのお前らだろふざけんな! 愛してる!
>というか吹田ちゃん入院してるってマ?
>ソース持ってこい
>つ醤油


 率直に言って、吹田一家は嬲り者であった。
 炎上による電話攻撃によって父親は会社を辞職させられ、自宅に突撃する者によって母親も精神的に病んでいる。

 ――この『人間の屑』どもに、制裁を。

(※あまりに苛烈すぎる場合はマイルドになるか、不採用となります)