#UDCアース
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その学園には、一つの七不思議がある――それは、秘匿された閉架書庫という七不思議だ。その閉架書庫には、あらゆる答えが記された魔導書が眠っている……そんな、他愛もない七不思議だ。
しかし、中高大のエスカレーター式の学園では、大学部こそ違うものの隣り合った中等部と高等部では実際に図書館は別である。そこに加え、歴史のある学園は旧校舎や新校舎の入れ替え建ち代わりが重なれば、そういう噂の素地が出来てもおかしくはない。
だが、魔術や儀式というのは深淵なるものだ。時として、噂と行動がその儀式の要となってしまうほどに。
それこそ、この学園で復活を目論むUDCの狙いだとする者はいなかった――。
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「もちろん、それを察知したからこそおぬしらに依頼するのだがな」
ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)はそう切り出すと、一つの地図を広げた。それは、とある学園の地図だ。
「この中等部と高等部が併設する学園には、一つの七不思議がある。それは、秘匿された閉架書庫というものじゃ」
学園には一般の教師や生徒にも知られていない閉架書庫があり、そこには求める者のあやゆる答えが書かれた魔導書がある、のだという。実際に複数の図書室があり、新校舎や旧校舎など歴史の長いその学園では把握しきれない部屋がいくつもある。貸し出し不可の本を仕舞ったまま忘れられた部屋の一つや二つ、あってもおかしくないだろう。
「そういう下地があり、興味をそそられるからじゃろう。学園の生徒の間では、密かに宝探しのノリで秘匿された閉架書庫を探すブームがあるようでの」
しかし、これこそが学園を狙うUDCの狙いだった。探す、という行為が儀式に。存在を信じる噂を呪文に。学園の生徒は知らず知らずに、UDC召喚の儀式に参加させられているのだ。
「そうなる前におぬしらが閉架書庫を探し出し、UDCの完全復活を阻み倒してほしい。これはそういう依頼じゃ」
実際、UDCは古い魔導書の写本などを学園内に潜ませ、噂の信憑性を高めている。その延長線上で、閉架書庫の場所も確定しているだろう――自身が召喚されるべき場所として。
「昼間ならば情報収集、夜に学園内を探索というのが良いじゃろうな。向こうの抵抗もある、慎重に事にあたってくれい」
波多野志郎
探索モノは大好きですよ! どうも、波多野志郎です。
今回は、ねらわれた学園に潜むUDCを退治していただきます!
第一章は、とある学園に隠された閉架書庫を探していただきます。七不思議のひとつとして知られ、学園のどこかにUDCがそう設定した場所があるはずです。
・中等部新校舎
・高等部新校舎
・中等部旧校舎
・高等部旧校舎
大体捜索できるのは、4つの建物となります。昼間が情報収集、夜は探索、と考えていただいて大丈夫です。
それでは、いかなるUDCが待っているのか――お楽しみくださいませ。
第1章 冒険
『UDC召喚阻止』
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POW : UDCの発生原因となりそうなものを取り除く
SPD : 校内をくまなく調べ、怪しげな物品や痕跡がないか探す
WIZ : 生徒達に聞き込みを行い、UDCの出現条件を推理する
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
御剣・刀也
POW行動
UDCの発生の原因か、難しいだろうが、こういう噂を一番最初に話し出したやつがいるはず
そいつを見つけて話が聞ければいいが、地道にコツコツやっていくか
高等部旧校舎で生徒達に誰からその噂を聞いたのか、その噂を語り始めたのはだれかを聞きながら、地道にUDCの発生源になりそうなものの証拠と原因を突き止めてつぶしていく
ある程度情報が集まったら整理して、情報に何かヒントがないか探る
「こういうのは得意じゃないんだが、捜査の基本は足と現場だっていうし、地道にやっていくか」
●火のない煙
(「UDCの発生の原因か、難しいだろうが、こういう噂を一番最初に話し出したやつがいるはず。そいつを見つけて話が聞ければいいが……」)
御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は、目の前の建物を見上げて目を細める。中高隣り合った校舎、その内の高等部旧校舎だ。
「地道にコツコツやっていくか」
刀也が選んだのは、とにかく足で稼ぐという方法だった。秘匿された閉架書庫、何故そのような噂話が起きたのか? その出た元に何かがあるはずだ……そういう考えだ。
「あー、でもアレだよな。実際、旧校舎って訳がわからない部屋があるんだよな」
「そうそう。先輩も言ってたアレだべ?」
それは刀也が話を聞いた、とある生徒達の証言だ。
「オレらも先輩が、その先輩に聞いたって話なんすけどね? 旧校舎から新校舎に拠点を移す時、よくあったらしいんすよ。先生達も把握してない荷物の置かれた部屋ってのが」
「把握してない荷物?」
「ええ。歴史だけはある学校なんすよ、ここ。出来たのって戦前……昭和になったばっかの頃らしくって」
旧校舎はそれ以前から、ここに建っているらしい。そうなると何度も管理する教員も代を変えてしまうのは必然で、申し送りに失敗する事も少なくなかったのだという。
「で、旧校舎から新校舎にいろんな荷物を移動させる時、出るわ出るわ学園側で把握してなかったもんが……」
「秘匿された閉架書庫ってのも、図書室に入りきれなかった本を別の部屋に突っ込んで忘れられてたってのが実際にあったらしくて――」
ましてや、そのように図書室から追いやられた本は必然誰も手を出さないような古い本ばかりになる。昭和最初期からコツコツと集められ、相応に土地の著名人や知識人から寄贈された本もあったばかりに、そんな噂が立ったのではないか? それが生徒達の言い分だった。
――なるほど、火のないところに煙は立たない。UDCが敢えて火のない煙を立たせようとするのならば、そのような『遠回しな説得力』を利用したのだろう。
「こういうのは得意じゃないんだが、捜査の基本は足と現場だっていうし、地道にやっていくか」
刀也自身の聞き取り調査から、旧校舎に的を絞った。まずは得意分野――刀で斬るためにも相手を見つけなくては意味がない……刀也は、旧校舎へと足を踏み入れた。
大成功
🔵🔵🔵
純・あやめ
ふむふむ、捜査の依頼だね!
ならわたし達の出番でしょ。ね、【カキツバタ】もそう思うでしょ?
『どーせ主に働くのは私なんでしょーが』
とりあえずわたし達は夜に高等部旧校舎を調べようか。
目視でわたしが捜査して、要所要所で【カキツバタ】がUC「チート・スキャン」で情報をチェックする方針で。
『つまり、校舎に仕掛けとかした連中がいないかどうかを調べる訳ね』
そーそー。どれだけ人を騙せても、校舎そのものは騙せないからねー。
『なんだか楽しそうね?』
んー?まぁ、なんとなく…記憶はないけど、学校って懐かしい感じがしてワクワクするんだよねー。
『…そっか。なら、忘れてしまった分も楽しむといいわ』
うん!
●確かな記憶――
ギシリ、と純・あやめ(砂塵の衛士・f26963)は自分の足元の床が軋む音を聞いた。
「ふむふむ、捜査の依頼だね! ならわたし達の出番でしょ。ね、【カキツバタ】もそう思うでしょ?」
楽しい、と言わんばかりに声を弾ませるあやめにその手にある黒のクイーン――チェスピースから、悪魔【カキツバタ】が呆れ声で返した。
『どーせ主に働くのは私なんでしょーが』
夜の高等部旧校舎。昭和初期に建てられた木造建築の校舎は、古ぼけているものの手入れが行き届いている。
「【カキツバタ】、「検識」をお願い」
『はいはい、悪魔遣いが荒いわねぇ』
路傍の石にも那由多の情報(チート・スキャン)――あやめの眼前に、周囲の無機物の情報を全て記録したステータス画面が展開された。
『つまり、校舎に仕掛けとかした連中がいないかどうかを調べる訳ね』
「そーそー。どれだけ人を騙せても、校舎そのものは騙せないからねー」
あやめは【カキツバタ】の言葉を肯定する。ただの噂だけではないはずだ、UDCが何かしらの手を施している可能性は高い。
「あー、すごい。しっかりと今も建ってる訳だわ」
感心したようにあやめが言うのを聞いて、【カキツバタ】もステータス画面を確認する。なるほど、細かな修繕を幾度となく施した後が残っていた。新校舎に拠点を移した後も、当時の建築様式などを世に残すためこうして取り壊さずに残しているのだろう。
「昭和四十四年!? ははは、卒業記念の落書きだ!」
事件とは関係ないだろう、この校舎で過ごした人達の痕跡にあやめが口元を綻ばせる。その様子に、【カキツバタ】は指摘した。
『なんだか楽しそうね?』
「んー? まぁ、なんとなく……」
自称祖先の悪魔に指摘され、改めてあやめは周囲を見回す。ステータス画面に残る膨大な痕跡は、この校舎を日常として生きていた人達の歴史そのものだ。
「……記憶はないけど、学校って懐かしい感じがしてワクワクするんだよねー」
あやめは神隠しに遭い、いくつかの世界を彷徨う羽目になった過去がある。その結果か、記憶の一部が不明瞭で自身の故郷などを思い出せない。
自分にもこんな日常があったのかもしれない。そんな懐かしさが、確かに胸の内にあるのだ。
『……そっか。なら、忘れてしまった分も楽しむといいわ』
「うん!」
娘に母が向けるような優しい声色の【カキツバタ】に、あやめも素直にうなずく。旧校舎の歴史をたどっていくと――不意に、あやめが動きを止めた。
「……あれ?」
『どうしたの?』
「あの部屋、妙に新しい痕跡が残ってて――」
二階に昇ると、不意にあやめが息を飲む。廊下の行き止まり――今は残っていないが、高等部と中等部の旧校舎を繋ぐ渡り廊下がそこにはあったはずだ。
「……あそこの部屋、何か置かれてる。これは……本?」
固く閉ざされた部屋、そこに残された誰かの意図にあやめと【カキツバタ】は、ついにたどり着いた……。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
なるほどこういう儀式かー…
儀式というシステムを日常に紛れこませて実行する
なかなか面白いやり方だよね、ちょっと気が長いけど
ま、今後何かの参考にしようかな
●
とりあえず高等部旧校舎皆調べてるみたいだし、夜にそこ調べに行こ
でもその前に日中生徒に魔導書の写本とか持ってないか聞いとこうかな
出来れば回収もしとこ、写本といえど魔導書だからね
ま、念の為念の為
魔導書の種類、何か傾向あるかなー?
後はどの辺りで拾ったかとか聞いとこう
その辺『情報収集』してお昼は撤退
さて、じゃあ夜の探索のお時間だ
さてどんな子が出て来るのか楽しみだね
まあとりあえず魔導書拾ったって場所辺りに行ってみようかな
●――虚々実々
(「なるほどこういう儀式かー……」)
手元の資料に視線を落とし、月夜・玲(頂の探究者・f01605)は思考する。
(「儀式というシステムを日常に紛れこませて実行する。なかなか面白いやり方だよね、ちょっと気が長いけど……ま、今後何かの参考にしようかな」)
玲は昼間、調べた事を思い出す。魔導書の写本とか持ってないか? 生徒達へそう積み重ねた質問で、所持していたという結果はゼロだった。
「あー、確かにそういう話だけど見つけたって話は聞かないわよね」
「うんうん。探してる人はいるけどさー」
「あ、でもそれっぽい本はさ――」
そんな生徒達のやり取りを思い出す。ようは、怪談や都市伝説でお約束の冒頭だ。それっぽい本、というのも確かに何冊か見つかっているようだが、出どころ不明の怪しいものばかりだった。
「『友達の友達から聞いた話』……か。よくある出だしよね」
夜の高等部旧校舎を歩きながら、玲は呟く。実在は確認できないが、身近に感じられる――そういう意味ではありがちだが、よく出来た滑り出しだ。だが、玲はだからこそ見逃せない部分があった。
ニ冊の魔導書の写本の回収には、成功した。ラテン語を用いたものであり、その内容は詳しく判別はできなかったが――。
(「だったら、どうして魔導書の写本なのか……よね」)
古書でもいい。歴史書でもいい。なのに、魔導書なのか。そして、魔導書の写本を実際に配置している理由は何なのか――そこに理由がある、と玲は睨んだ。
(「儀式、と考えるとそこが重要なはずなのよね」)
森の中に木を隠したのか、それとも木を森の中に隠したのか。同じようでいて、魔術的に考えれば大きく違うのだ。目的のための手段か、手段の結果の目的か。そこが重要だ。
「確か、この辺りって言っていたけど……」
玲は魔導書の写本が見つかった、という場所にたどり着く。その時だ――二冊の魔導書が玲の手から離れ、虚空を舞ったのは。
「させないわよ」
第六感が働いた、そのまま放置は出来ないと――玲はすかさず抜いたBlue Birdの斬撃で、二冊の魔導書を切り裂いた。
「でも、これではっきりとしたわね」
玲は見た。魔導書の写本が、幻影をまとおうとしていたのを。その力ある幻影は、人の姿を取ろうとしていた――だとすれば、魔導書の写本は森であり手段だ。本命の目的、UDC召喚に必要な手段であり、餌だ。
だとすれば、本命が次に取る行動は明白だ。儀式を阻止しようとする者を察知した。その者が手段に気付いたのならば――強引に、まずは儀式の成功を狙ってくる。
「やらせないわよ」
玲は木製の廊下を走り出す。玲の予想は、正解だ。仕込まれたのは、あの二冊の魔導書だけではないはずだ。ならば、今夜――本命は、儀式を行なうために全ての魔導書を『起動』する、と。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『写本・魂喰らいの魔導書』
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POW : 其方の魂を喰らってやろう
【複製された古代の魔術師】の霊を召喚する。これは【触れた者の絶望の記憶を呼び起こす影】や【見た者の精神を揺さぶる揺らめく光】で攻撃する能力を持つ。
SPD : その喉で鳴いてみせよ
【思わず絶叫をせずにはいられないような幻覚】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 魂の味、これぞ愉悦
自身の肉体を【触れる者の魂を吸い脱力させる黒い粘液】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●『魂喰らいの魔導書』
――その夜、高等部旧校舎に仕込まれていた『手段』が『起動』する。
あらゆる場所に仕込まれていた魔導書の写本――『魂喰らいの魔導書』が、その本質を現し牙を剥いたのだ。
『――――』
ゆらり、と動き出すのは、漆黒の幻影。その魔導書を記した古代の魔術師、その霊の複製だ。
あらゆる答えが記された魔導書、その偽りにリアリティを与える『手段』。そして、本命から遠ざけるための『手段』。それは。誘われた者の命を奪い、儀式の糧とする『手段』でもあった。
――ただ、UDCに誤算があったとすれば、発見された二冊の魔導書が回収された事だろう。それがなくば、古代の霊が発見者の命を奪い、儀式の糧にしていたのだから。
だが、今からでも遅くはない。旧校舎に次々と出現する『魂喰らいの魔導書』は、二手に分かれる。
外へ出て糧を求める者、そして本命を守護しようとする者だ。今宵、いかなる儀式の結果となるか――その答えは、まだ出ていない……。
純・あやめ
『…出てきた!急ぐわよ!』
おっと?!なんだか慌ててるみたいだねー
『外に出ようとするやつらを止めるのよ』
そうだね。校舎内で決着つけようか
とりあえず、UC「緊急事態空域」を展開しながら走るよ
浮いてる魔導書と幻影を床に叩きつけて動きを封じて、その隙に二丁警棒で処理しようか
『【シャボンソウ】の精神攻撃と浄化も警棒に乗せるわ』
おっけー、制御もろもろはよろしくねー!
『向こうの攻撃そのものは止めきれないんだから、気を抜くんじゃないわよ』
分かってるよー、ちゃーんと見切るから大丈夫
校舎の中なら、壁も天井も足場に出来るから跳び回るよー!
怪談は虚構だから面白いんだよ。実在しちゃダメでしょ
『骸の海へ還りなさい!』
御剣・刀也
ようやく動いたか
待ちくたびれて石になるかと思ったぜ
こっからは単純な力勝負。一匹残らず斬り捨ててやるよ
其方の魂を喰らってやろうで、自分に触ろうとしたら見切り、第六感、残像で避けて、カウンター、捨て身の一撃で斬り捨てる
光を見せようとしたら獅子吼で目を隠して、光を反射するか、見ないようにする
「絶望?精神を揺さぶる?随分と搦め手な攻撃が得意なんだな。が、足りねぇ。千の絶望を突き付けるなら万の希望を、万の絶望なら億の希望をぶつけてやる。その程度で俺の心が折れると思うな。雑魚が」
●ダウンバーストの戦場
木造の旧校舎は、一瞬にしてその姿を変えた。静寂から騒乱へ。虚ろな空の空間から濃密な影が溢れる戦場へと――。
宙を舞う魔導書達から、古代の魔術師が影となって姿を見せる。その光景に、純・あやめ(砂塵の衛士・f26963)の手の中で【カキツバタ】が声をあげた。
『……出てきた! 急ぐわよ!』
「おっと?! なんだか慌ててるみたいだねー」
明確な目的がある動きをしている、それを見取ったあやめの言葉を【カキツバタ】は肯定する。
『外に出ようとするやつらを止めるのよ』
外へ出る、その意味は明白だ。明らかな撹乱、しかし、放置すればどんな犠牲が出るかわからない。それを理解するからこそ、あやめは既に行動に出ていた。
「そうだね。校舎内で決着つけようか」
廊下を疾風のごとく飛ぶ魂喰らいの魔導書へ、あやめは振り返りざま右手をかざす。その指に挟まれていたのは、赤のビショップが挟まれていた。
「砂塵の【カランコエ】、幻惑の【ワルナスビ】の合わせ技だよ!」
廊下を一直線に、突風と任意の対象の平衡感覚を狂わせる砂塵が吹き荒れる。緊急事態空域(メーデー・ストーム)――魔導書達は風に煽られ、壁や天井、床にぶつかりながら落下した。
「ここ!」
そして、再び浮かび上がる前にあやめが二丁警棒を抜いて駆け込んだ。
『【シャボンソウ】の精神攻撃と浄化も警棒に乗せるわ』
「おっけー、制御もろもろはよろしくねー!」
右の警棒を振り上げたあやめへ、魔術師の影達が立ちふさがる。その足元から光源無視で伸びる影に、【カキツバタ】が指摘した。
『向こうの攻撃そのものは止めきれないんだから、気を抜くんじゃないわよ』
「分かってるよー、ちゃーんと見切るから大丈夫」
タタン! と床を蹴ったあやめが、壁を、天井を、上下左右重力を無視して足場にしながら疾走――魔導書へ向けて、警棒を振り下ろした。
魔導書は自らを黒い粘液に変えて耐えようとするが――あやめは構わない。
「怪談は虚構だから面白いんだよ。実在しちゃダメでしょ」
『骸の海へ還りなさい!』
振り抜かれたあやめの警棒が、魔導書を断ち切る! その勢いで迫る影をもう片方の警棒で殴り飛ばし、あやめは∪ターンして――見た。
「まだまだ出てくるみたいだね」
『一冊も逃したら駄目よ』
まだまだ飛び出してくる魔導書の群れに、【カキツバタ】があやめに注意を喚起する。それにうなずき、吹き荒れるダウンバーストの戦場へ自ら飛び込んだ。
●修羅と影
「ようやく動いたか。待ちくたびれて石になるかと思ったぜ」
御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は、淀みのない姿で獅子吼を抜いた。夜の木造校舎、そのどこかしこから飛び立つ本の群れ――そこに見える意志に、刀也は笑みをこぼす。
「こっからは単純な力勝負。一匹残らず斬り捨ててやるよ」
まるで飛び立つ蝶の群れのように溢れ出す本の奔流へ、迷わず刀也は身を踊らせる。それと同時、姿を現した古代の魔術師達の影が四方八方から手を伸ばした。
「――ッ」
それを刀也は、止まる事なく掻い潜っていく。時に身を低く。時に左右に振れて。複雑な歩法で、タイミングをずらし伸ばされた腕をかいくぐり――。
『!?』
ズザン! と古代の魔術師達は自らの腕が切り飛ばされたのに気付く。それだけではない、正確に影に隠れたはずの魔導書達にもその切っ先は届いていた。ばらばらと表紙が切り裂かれ、ページがバラけて花のように魔導書達は散っていく。
だが、魔導書達は怯まない。目の前の男が危険だと察するからこそ、挑みかかっていった。召喚された古代の魔術師達は、見た者の精神を揺さぶる揺らめく光を放つ。それに対し、刀也は眼前に獅子吼を掲げその刀身で視界を守った。
「絶望? 精神を揺さぶる? 随分と搦め手な攻撃が得意なんだな――」
そして、踏み込む。捨て身、死線の先の死中へと迷いなく踏み入る力強い踏み込みとともに、刀也は獅子吼を振りかぶった。
「――が、足りねぇ。千の絶望を突き付けるなら万の希望を、万の絶望なら億の希望をぶつけてやる」
ザン! と横一閃に放たれる刀也の剣刃一閃が、魔術師の影ごと魔導書を断ち切っていく! もはや滝のようにこぼれていく魔導書の頁――それを踏み越えるようになお迫る魔導書達へ、刀也は言い捨てた。
「その程度で俺の心が折れると思うな。雑魚が」
その言葉と意志のごとく、刀也の獅子吼も止まらない。薙ぎ払われた切っ先が返り、大上段へ。眼前に迫る絶望へ挑むように、刀也振り下ろす!
断ち切られる魔導書の群れ、それでもなお止まらない敵に刀也は口の端を持ち上げる。絶望を踏み砕き踏破するそのために――刀也は有言実行を果たすため、なおも突き進んでいった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
桜雨・カイ(サポート)
【日常】
口調は年齢立場変わらず丁寧語です
自分は人形なので、人のそばにいて力になりたいと思っています。
怒ったり、他人を悪く言う事はしません。どんな恰好や行動もその人の個性ですから
まだまだ知らない事が多いので…言われた事は素直に信じてしまう性格です。
【戦闘】
UCは状況に応じて使い分けます
【錬成カミヤドリ】は防御と攻撃に分ける事が多いです
【エレメンタルー】は精霊にお願いすると手を貸してくれます(炎が多いです)【念糸】で敵の動きを封じる時も。
基本は人を守ろうと動きます。
…でも、どうしても避けられない時は…手を下す側にまわります。
どんなに辛くても……大丈夫です、自分で決めた事ですから。
●寄り添う者として
高等部旧校舎前で、桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)は飛び立とうとする魔導書達を見た。
「あなた達は、私とは違うのですね」
人形のヤドリガミであるカイにとって、人間とは傍にいて力になりたい存在だ。だが、同じ物から自我を――力を得たであろう目の前の魔導書達は違う。人を害し、命を奪う『物』だ。
「それは、許す訳にはいきません」
カイの念糸がその手から放たれるのと、魔導書達が召喚した魔術師の霊が同時に動いた。魔術師の影から放たれるのは、見る者を絶叫させずにはいられない幻覚――カイにとってそれは、自分の手で人の命を奪う光景に他ならなかった。
「――――ッ」
その手に残る感触。血の暖かさ。消えていく熱、命……そのどれもが、恐ろしいほどのリアルさを持っていた。しかし、カイの念糸は止まらない――!
「これは違います。幻です……!」
そう、これは決して現実ではない。しかし、カイは知っている――ここで幻に屈すれば、これが現実になるのだ、と。
だからこそ、カイは止まらない。人を守る、その強い意志が幻を打ち砕いた。
『ッ!?』
魔導書達が、念糸によって絡め取られていく。逃れようとする魔導書もいたが、カイは巧みな指捌きでそれを念糸で追うと拘束し――。
「行きます!」
カイのエレメンタル・ファンタジアによって燃え上がる炎の旋風が、校舎を覆い魔導書達を焼き払っていく! なおも逃れようとする魔導書を目敏く見つけると、カイは地を蹴った。
「逃しません」
木造の旧校舎の中では、既に誰かが戦っている――その人達のためにも、カイは寄り添う者の役目を果たすため一冊たりとも逃さないように、魔導書達を外で食い止めた……。
成功
🔵🔵🔴
月夜・玲
結構仕込んでたもんだ
それじゃ、折角だし本命を拝みに行ってみようか
さて、どんなのがあるかな?
●
外へ出て行こうとする魔導書達を観察して、奴らの流れを見よう
旧校舎の構造と照らし合わせて魔導書の動きの少ないポイントを予測、そこへ当たりを付けて本命探しと行こうか
余計な敵に群がられるのもヤダし、『忍び足』で足音を消してちょっとだけ目立たないように移動しよ
本命と思わしき場所に魔導書が集まってたらビンゴ、戦闘を始めよう
【光剣解放】を起動
本命周囲の敵にオート攻撃
私も《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀して突っ込もう
粘液となった敵の攻撃は『オーラ防御』で弾きつつ
『カウンター』で斬っていくよ
●本命へと至る道へ
「結構仕込んでたもんだ」
ビリビリと炎の旋風で震える窓ガラス越しの光景を見て、月夜・玲(頂の探究者・f01605)が呟く。この旧校舎のあちこちに、魔導書を仕込んでいたのだろう――だとすれば、これは凝り性を通り過ぎた何か、偏執的とも言うべき周到さだ。
問題は、これだけ周到に用意していた『誰か』がいる事だ。玲は魔導書の動きを視線で追いながら、呟く。
「それじゃ、折角だし本命を拝みに行ってみようか。さて、どんなのがあるかな?」
気配と足音を殺し、玲は歩き出す。外へ出て行こうとする魔導書達の流れ、それを観察した。わざわざ魔導書を動かしたという事は、無意味ではないはずだ。ならば、そこには意図がある。
(「木造三階建て……構造上、四階建てには無理があったのかな」)
頭の中で旧校舎の構造を思い出しながら、玲は魔導書達の動きを照らし合わせる。何故、外に出るのか? そこに理由があるはずなのだ。無駄な散兵、突撃は消耗を進めるだけ――それは用兵の基本だ。
(「そうなると、外に出る事に意味があるはず――」)
陽動、そう考えれば全てに納得がいくのだ。あれだけの消耗、手駒を失おうと得られるリターン――それがあの陽動にはある。ならば、そのリターンとは何か?
「それが本命か……っと」
玲が足を止める。一階の片隅、そこに集まり動かない魔導書達がいる事に気づいたのだ。
(「確か、あそこは……地下倉庫?」)
そう、この旧校舎にだけある構造。地下一階と言うべき倉庫があるのだ。なるほど、そこが本命――秘匿された閉架書庫だとすれば、辻褄は合う。
「機能解放、光剣よ舞い踊れ!」
ヒュオン――! と玲が隠れていた死角から、幾何学模様を描き複雑に飛翔する膨大な数の光の剣が魔導書達に襲いかかった。複数の魔導書達が貫かれたが、残った者は自らを黒い粘液へと変えて整列。粘膜の壁となって、玲の光剣解放(セイバー・リリース)を受け止めていった。
「――そう来るよね」
しかし、既に玲が間合いを詰めている――《RE》IncarnationとBlue Birdを同時に抜刀、縦と横――十文字に、玲は魔導書達を断ち切った。
『――――』
だが、一冊。他の魔導書を盾に、逃れていた物がいた。零距離で召喚された古代の魔術師が、その頭上から玲へと影を放つ!
「……ッ!」
その影を絶望の記憶を呼び起こす影が、光の剣に貫かれ霧散。玲は軸足を中心に横回転、《RE》IncarnationとBlue Birdを振り上げた。ズザン! と振り上げられた切っ先が、古代の魔術師の影ごと魔導書を切り裂いた。
「これで……!?」
終わり、と続くはずだった玲の言葉が、喉で凍りつく。それと同時、ズン……! と旧校舎を揺るがすほどの圧力が、地下に突如として生まれた……。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『エマール・シグモンド』
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POW : それは自戒か、将又自壊か
【ハーバリウム内の花弁を増やす 】事で【高速思考処理モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 実存は本質に先立つ
自身の装備武器を無数の【青バラの花弁 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 永劫回帰
【もう一人のエマール・シグモンド 】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠鈴・月華」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●青バラの君
「……いえ、お見事です。まさか、ここまで用意を整え、ここまで中途半端な召喚になってしまうとは。想定していた中では、最低から二番目の結果です」
地下室の階段から歩を進め、姿を現したのはエマール・シグモンド――青バラの咲く球体のハーバリウムを頭部に持つUDCだった。白帯に包まれた手で乾いた拍手をすると、エマールは自身の周囲を青バラへと変えて、その奔流の乗って旧校舎の外へと歩み出た。
「ご心配なく。逃げも隠れもいたしません。そして、無駄な破壊も好みませんので」
音もなく外に降り立ったエマールは、指を鳴らす。すると映像の逆再生のように青バラが旧校舎に戻っていき、元の木造校舎になった。
「――ですが、あなた方に関しては殺傷も破壊も無駄とは思いません。猟兵、我らを討つ者――」
胸元に手を添え、エマールは恭しく一礼する。それは、明確な宣言だ。
「借りはこの場で返させていただきましょう。あなた方には、戦い倒す『価値』がある――」
姫神・咲夜(サポート)
桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。
あとはおまかせです。よろしくおねがいします!
響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです
●花弁は咲き乱れ
「ごきげんよう、黒幕さん」
「おやおや、これはご丁寧に」
響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)の一礼に、エマール・シグモンドは慇懃無礼なほど丁寧にハーバリウム内の青薔薇を揺らすように頭を下げた。手を胸元に、紳士的に――それでも、リズの表情は晴れない。
「あなたを放置すれば、多くの人々が傷つきます。決して見逃せません」
「ええ、あなた方の立場を考えれば当然でしょう」
礼の体勢のまま、エマールはそのつま先で地面を打つ。その次の瞬間、膨大な青バラの花びらが巻き起こった。
「ですので、相応の手でお相手いたします」
ズザア!! と青バラの花びらが津波のように、夜の校庭を走る。それでもリズが動かないのは、単純な理由だ。
「ここは皆様の思い出の地です。あなたがいいようにしていい場所ではありませんわ」
リズの手の中でルナティック・クリスタが白い薔薇の花びらへと変わり、エマールのそれを受け止める! 量は圧倒的に青バラの方が多い、押し潰せる――そうエマールは思いながら、横へ跳んだ。
「――なるほど」
死角から舞うように白桜の魔杖を振るった姫神・咲夜(静桜・f24808)の一撃、それをエマールは掻い潜ったのだ。この薔薇の攻防において、リズが前に出た理由――それが、これだ。
「あなたは放置はできませんので」
たおやかな柔らかい口調の中に、咲夜は強い決意を秘めている。目の前の敵は、間違いなく多くの人々を不幸にする――咲夜にとって戦わざるを得ない相手だ。
「ははは、お優しい限りです。ですが、その優しさが仇になるかもしれませんよ?」
ゾォ!! とエマールを中心に、青いバラが巨大な柱のように立ち昇る。それを見た咲夜は、ハっと息を飲む。
「この周囲を破壊されるつもりですね?」
「ええ、御名答――」
ドン! と雪崩のように崩れた青バラの柱が四方八方へと津波のように押し寄せる! それを見て、まずリズが動いた。
「止めて差し上げますわ」
青バラを取り囲むように、リズの白薔薇の嵐が巨大な円を描き受け止める。行き場を失った青いバラが荒れ狂う中を疾走するエメールは、ふと感嘆の声を上げた。
「ほう」
自分が操る青バラを掻い潜るエマールとは別に、その中を走る人影があった――咲夜だ。
「そんなに簡単に当たりませんよ」
見切りの極意によって青バラの花弁を潜り抜け、咲夜がバズーカ・ブロッサムの一撃を叩き込む! 着弾と同時、桜の花びらが舞ってエマールが吹き飛ばされていった。
「はははは! お見事! 一度、仕切り直させてもらいましょう!」
エマールが青い花弁に飲まれ、消えていく。その笑い声だけを残し、全ての花弁が消えた夜の校庭を前に、リズが小さく呟いた。
「上手く行きましたわね」
「はい、お疲れ様でした」
エマールの姿はそこにはない。しかし、一つの仕事をやり遂げたとリズと咲夜は小さな安堵の笑みを交わした……。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
純・あやめ
この世界のこの国だと凶器準備集合罪って言うんだっけ?
その現行犯で骸の海へ強制送還します
『自分から還るつもりは…ないわよね。じゃあ執行しますか』
屋外が戦場でも周囲に展開させたリフレクターコインを足場にして高速反射移動するよ
『うーん、攻撃が当たらないわね。こちらの反射方向を読まれてる?』
全部のリフレクターコインの位置と動きを把握されてるって事?それって凄くない?
でも…反射するのはわたしだけじゃないんだよねぇ
『投げ手錠も…まぁ回避されるわよね。でも、手錠だけ警戒してていいのかしら?』
手錠の飛んだ軌跡はロープの結界になる!それを一気に引き絞れば…捕縛完了!
いくよ、水無月曲槍流・体術「瀑布大返し」!
御剣・刀也
最低から二番目?
最低じゃないのが残念だ
まぁいい。お前を倒せば終わりだ。大将らしく、桜のように散らしてやるよ
それは自戒か、将又自壊かでスピードと反応速度が上がったら第六感、見切り、残像で相手の攻撃を洞察し、最低限の動きで避ける
スピードが上がっているのが、ダッシュでジグザグに移動して相手の逃げる方向を限定し、逃げる方向が無くなったら勇気で反撃と防御を恐れず、捨て身の一撃で防御の剣ごと斬り捨てる
「なるほど。大将だけあって、楽しかった。だが、俺の武は神域に至るを目標としている。我が武は相手が全能の神だろうと挑む。早いだけじゃ俺は倒せない。まぁ、楽しめたがな」
月夜・玲
へぇー青バラの紳士
青は好きだよ、その配色センスは悪くないね
けど凄い格好しておるねお主
頭ハーバリウムかよハーバリウムだわ
ま、最も倒す敵に違いないのはきっと同意見なんだろうね
さてと、君の事研究させて貰うよ
●
引き続き《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀して戦闘参加だよ
花弁を両剣の剣圧で『吹き飛ばし』て一気に接近しよう
飛ばしきれなかった花弁は『オーラ防御』で対処
【Code:F.F】を起動
速度を上げ接近
ゼロ距離から球状エネルギーを叩きつけて攻撃して一気に決着を付ける
まあ君の用いた儀式はホント、興味深くて良いデータになったよ
有意義な時間をありがとね
さあ、この一撃で吹き飛べ!
●月下のバトルフィールド
音もなく着地して、エマール・シグモンドは動きを止めた。周囲に校舎のない、広いグラウンド――その中心で、エマールは悟る。
「ああ、ここに誘導されたという事ですか」
やってくれましたね、お嬢さん方――エマールは、いっそ愉快だと笑って見せる。
「へぇー青バラの紳士。青は好きだよ、その配色センスは悪くないね」
そこに待ち構えていた人影の一人、月夜・玲(頂の探究者・f01605)が続ける。
「けど凄い格好しておるねお主。頭ハーバリウムかよハーバリウムだわ」
「ええ、お洒落でしょう?」
軽口には軽口を返す、エマールはそう楽しげに肩をすくめる。そんなエマールに、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は獅子吼を抜いて告げた。
「最低から二番目だったか? 最低じゃないのが残念だが……まぁいい。お前を倒せば終わりだ。大将らしく、桜のように散らしてやるよ」
「ははは、桜は散り際が一番美しいと言いますが、できれば遠慮願いたいですね」
ジリ……と互いの殺意が高まっていく。刀也の口元が、自然と綻んだ。少なくとも、退屈はしない相手のようだと悟ったからだ。
「この世界のこの国だと凶器準備集合罪って言うんだっけ? その現行犯で骸の海へ強制送還します」
『自分から還るつもりは……ないわよね。じゃあ執行しますか』
純・あやめ(砂塵の衛士・f26963)と【カキツバタ】の言葉に、エマールは楽しげに笑い声を上げ、そしてステッキをクルクルと弄びながら返した。
「――いや、あなた方も同じでは?」
次の瞬間、周囲に展開させていたリフレクターコインを足場にあやめが一瞬でエマールの懐へと間合いを詰めた。
●月下に咲き乱れ
あやめの高速機動からの二丁警棒の薙ぎ払いを、エマールは跳躍でかわす。その動きに、あやめは次のリフレクターコインによる反発力場で追うが、エマールの姿は既にそこにはなかった。
『うーん、攻撃が当たらないわね。こちらの反射方向を読まれてる?』
「全部のリフレクターコインの位置と動きを把握されてるって事? それって凄くない?」
あやめと【カキツバタ】のやり取りに、エマールは肯定も否定もしない――あるいは、その沈黙こそが答えだったかもしれないが。
「少し、彩りを加えましょうか?」
ハーバリウム内の花弁を増やし、エマールは青バラの花弁を渦巻かせる。高速思考処理を可能にするからできる花弁の速度と精密さ。それを持ってして、エマールは猟兵達へ花弁を放った。
「さてと、君の事研究させて貰うよ」
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀、玲は左側に両方を振りかぶると――ズザン! と横回転の勢いを乗せて両剣の剣圧で吹き飛ばす! そこに空いた『道』、そこへ一気に刀也が身を踊らせた。
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!」
大上段、刀也の雲耀の太刀が不意に伸びた一本のステッキに受け止められた。そのステッキの先にいたのは――もう一人のエマールだ。
「手が足りなそうだったので――」
「――このぐらいは、しませんとね!」
そして、即座に本体のエマールが前蹴りを放つ。それを刀也は残像のみを残す速度で、間合いを離した。
永劫回帰による、二人のエマール・シグモンドの共闘。UDCは、そのユーベルコードを持って猟兵達へと襲いかかった。
●そして、月下の結末へ――
二人のエマールが、互いの死角を補うように動き合う。
『本当、大したものね』
「感心してる場合じゃないけど、ちょっとわかるよ」
あやめも【カキツバタ】の感想を否定はできなかった。高速思考によって反射神経と速度を高め、二人となって互いを庇い合う事によってそこには隙が見いだせなかった。いわば、それだけの脅威という事だ。
「うん、ちょっと賭けに出ないと駄目そうだね」
「そのようだ」
玲の言葉に、刀也は同意する。安全策を重ねて、刃が届く相手ではない。そうなれば、相応の危険も承知で飛び込まざるを得ないだろう。
「いやいやいや、猟兵。見事なものです。もう少し、儀式が完璧であったのなら、そう悔やみますよ」
二人のエマールは、同時に青いバラの花弁を操作する。その動きは、まさに双頭の龍だ。その追いかけてくる『牙』をリフレクターコインの跳躍でかわし、あやめはスピリチュアル投げ手錠をエマールへと投擲した。
「当たるとでも――」
その投げ手錠を、エマールは回避。しかし、その手錠の先にあったのは、一枚のコインだ。
「反射するのはわたしだけじゃないんだよねぇ」
リフレクターコインによる投げ手錠の反射――それを、しかし、振り返る事なくエマールは青い花弁で弾き飛ばした。
『投げ手錠も……まぁ回避されるわよね。でも、手錠だけ警戒してていいのかしら?』
「――上へ、かわしなさい!」
本体の指摘は、半瞬遅い――手錠の飛んだ軌跡は繋がっていたロープの結界になる! あやめはそのロープを引っ張り、一気に引き絞った。
「いくよ、水無月曲槍流・体術「瀑布大返し」!」
ヴォン! とロープによって拘束されたエマールが、あやめの全力で振り回される! それを分身は青いバラの龍であやめを狙い、放とうと――。
「最終公式起動、全てを零に!」
Code:F.F(コード・ダブルエフ)によって模造神器全ての力をまとった玲が、その間に割り込んだ。前方に突き出した《RE》IncarnationとBlue Birdの切っ先で青バラを穿ち、玲は真っ直ぐに駆ける。
ドォ! と青いバラの龍が、引き裂かれていく――蒼い軌跡を描きながら駆ける玲は、満足げに笑って言う。
「まあ君の用いた儀式はホント、興味深くて良いデータになったよ。有意義な時間をありがとね――さあ、この一撃で吹き飛べ!」
ドォ!! と零距離で放たれた高い威力を持つ球状のエネルギー体が、拘束されたエマールの分身体を打ち砕いた。その衝撃が地面ごと、青バラを宣言通りに吹き飛ばす!
「馬鹿げた威力ですね」
本体のエマールの苦笑まじりの言葉は、誰にも届かない――既に頭上を取っていた刀也にとって、意味がなかったからだ。
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!」
「――――ッ!」
刀也の獅子吼の一閃を、エマールはステッキで受け止める。しかし、そのステッキごと頭部のハーバリウムを断ち切り、刀也は告げた。
「なるほど。大将だけあって、楽しかった。だが、俺の武は神域に至るを目標としている。我が武は相手が全能の神だろうと挑む。早いだけじゃ俺は倒せない。まぁ、楽しめたがな」
「は、はは、は……次の機会があれ、ば……さらなる、先を……」
楽しみましょう、という言葉の前に、青バラが散る。その花弁が、夜風に乗って飛んでいく――それは夜空へと舞い上がり、砂細工のようにかき消えていった……。
大成功
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