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愛しき貴方と永遠に

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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●それは愛しき日々だった
 彼は言った。ずっとそばに居てくれると。そう私に誓ってくれたのだ。
「勿論、私もずっと、傍に居るわ」
 彼は、私の主人だった。あらゆる生態系の守護者、鯨の妖怪。それが彼だった。
 最初はだ、彼に付き従っていただけだった。だけれど…、ふとしたことがきっかけで、私は彼のことが好きになったのだ。
 それは…そう、助けてくれたのだ。高波にさらわれた私は砂浜にたどり着いた。だが人魚は陸の世界では生きられない。息が出来ないのだ。
 苦しんでいるところを助けてくれたのが彼だった。たくさん居る従者の中で、私が居ないことに気付き探しにきてくれたのだ。
 好きになるには十分な理由だ。それから…彼が私を好きであることを教えてくれた。だから私が居ないことに気付いたのだ、と。
 身分差は気になる。だけれど、そんなことは些細な問題。だってお互いが好きなんだから。

 そう、だから一生傍に居ると、そう思っていたのに。
 彼は死んでしまった。病気だったのだ。じわじわと彼を蝕んでいて、気付いたころにはもう手遅れだった。
「悲しまないでくれ」
 そんなことを彼は言ったけれど、無理だ。彼の最後の瞬間まで傍に居た。消えてしまう彼を最後まで見守ったのも私だ。
 
 私はぽっかり空いた心の穴を抱え、生きていくしかなかった。

 あぁ、それから時間が随分だった。そう彼の声を忘れてしまうくらいに。
 そんな日常の中、私はもう一度彼に出会ったのだ。『骸魂』となった彼に。会いたかった。彼は私と一緒になった。
 これでずっと、一緒に居られるのね。そう――
「時よ止まれ、あなた(/お前)は美しい」
 願ったのだ。願ってしまったのだ。

●そんな恋の物語を
 グリモアベース、黒い大型犬の姿のアルマ・ロティック(黒染めの空・f27949)は集まってきた猟兵達を一瞥した。
「おー、待ってたぜ。今回はカクリヨファンタズムへ行ってもらう」
 そして彼が話し出したのはとある恋の物語。消えてしまった男の話、無くしてしまった女の話。
「…死んだ男は戻ってきた。『骸魂』となって。人魚は受け入れてしまった。そして願ったんだ。時よ止まれ、と」
 それは世界を終わらせる滅びの言葉となった。この世界、海水が満たす海の世界が崩れていくのを止める為にすることは崩壊の中心である骸魂を倒し2人を引き裂かなければいけない。
「海には様々な妖怪が居る。まずは彼らを保護しなければいけない。海の底から崩壊は始まっているから海面付近はまだ平気だろう」
 倒すのはそれからだ。妖怪たちを保護した後、崩壊の中心に居るそれを倒し、崩壊を止める。それがすべきこと。
 2人を引き離すことがこの世界の為であり、人魚の為であり、骸魂となってしまった鯨の妖怪の為だ。きっと、そうなのだろう。そう信じるしかない。
「海の中は息出来ない?でも、ここはカクリヨファンタズムだ。普通の海と違うんだぜ。お前らの想い出の物を一つポケットに忍ばせておけ」
 思い出が、お前らを海から守ってくれる。アルマはそう言った。
「んで、戦いが終わった後だけど…人魚はさ、骸魂を倒したことに納得はしてくれるかもしれねーけど、寂しい思いをしてるから…なんか、料理でも作って、一緒にご飯でも食べて話してやってくれ」
 海の中の彼女の家にもキッチンはあるし、火は使える。不思議なことだが、そういうものなのだろう。
「じゃ、いってらっしゃい」
 尻尾を振り、転送ゲートを開くとアルマは猟兵達をカクリヨファンタズム、海の世界へと送り出したのだった。


笹山ぱんだ
●こんにちは、笹山ぱんだです。今回はカクリヨファンタズムの人魚と鯨の妖怪のお話です。
笹山も海は大好きです。海産物も好きです。

海の世界ですが、何か思い出の物を持っていれば思い出が守ってくれるようです。
原理は不明です。
何か思い出の品に思い入れがあるならプレイングに記載お願いします!

第1章:『妖怪たちを保護しよう』
冒険。妖怪たちを保護します。人魚やヒトデの妖怪、クラゲの妖怪や古代魚の妖怪…。様々な妖怪が居ます。それらを崩れ落ちる海底から海面近くまで連れていってあげてください。

第2章:『偉大なる海の守護者』
ボス戦。人魚を骸魂となった鯨の妖怪が取り込んだ姿です。失ってしまった鯨の妖怪が帰ってきてくれたことで、人魚はいけない、と思いつつも彼を受け入れ世界の崩壊を望んでしまいました。言葉を交わすことは出来ますが、意思の疎通は難しいようです。

第3章:『カクリヨキッチン!』
日常。人魚の彼女の家で料理をします。何か食材が動いたりおかしな調理器具があったりしますが楽しんで料理をし、食事をすれば人魚の気持ちも少しは晴れることでしょう。

皆さまの参加をお待ちしております。
それでは、良き戦いを。
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第1章 冒険 『妖怪たちを保護しよう』

POW   :    自らの足で移動、直接彼らを確認し保護する

SPD   :    素早く移動しながら広範囲を探し保護する

WIZ   :    魔法などで察知、探し出して保護する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミルディア・ディスティン
「影のみなさん、お願いするのにゃ!」
とりあえずは、どこにいるかわからなきゃどうしようもないから、シャドウシーカーの皆さんを召喚して、妖怪さんを探してもらうのにゃ。
シャドウシーカーさんは追い詰める専門で保護するは無理っぽい気がするのにゃ。
だから地図を用意してポイントを指してもらうのにゃ。ポイントがわかればあたしでも助けに行けるのにゃ。
情報は一旦あたしが整理して、行けそうなら自分で、他に行ける人がいるならそちらにお願いするのにゃ。研究専門だから運動は苦手なのにゃ……
「大丈夫!あたしは敵じゃないのにゃ!」



●海
 それは海の世界。カクリヨファンタズムの中でも稀有な世界のひとつ。過去の海を模したそこは静寂を鳴らしていた。
 だが、そんな静かな世界にも危機は訪れる。一人の人魚の願いにより、崩壊を迎えるのだ。それを阻止する為にこの世界に現れたのは猟兵、ミルディア・ディスティン(人間のシャーマン・f04581)だ。
 海の中、息は出来ないはず。通常の海ではそんな悩みもこの海では思い出の品が身を守ってくれる。いつも着ているジャージが、息をさせてくれていた。
「影のみなさん、お願いするのにゃ!」
 【影の追跡者の召喚】を発動し、影の追跡者たちを呼び出せば、崩壊に巻き込まれている妖怪たちを探してもらう。海の深く深くへと、追跡者たちは沈んでいった。
 だが追跡者たちは保護を専門としていない。だからミルディアはあらかじめ地図を用意していた。海水につけても問題無い特別なものだ。妖怪を見つけた場所を地図を使い、教えてもらう。そこへ助けにいく、という算段だ。

 いくつか、保護するべき妖怪の居場所が分かればミルディアは海の底へと潜水していく。研究専門で運動は苦手、…だけれど助けなければいけないものは、助けなければいけない。
 そこに居たのはくらげの妖怪。ふわふわ泳いでいたがミルディアの姿に驚いて逃げようと岩陰に身を隠した。
「大丈夫!あたしは敵じゃないのにゃ!ここに居たら、崩壊に巻き込まれるにゃ!」
 必死にここに居れば危険だとミルディアがくらげに伝えれば岩陰から恐る恐る出てくる。
「…キミが助けてくれるっていうならついていくよ!」
 世界の崩壊は力が弱い妖怪達は何の抵抗も出来ない。だから助けてくれる猟兵という存在は貴重なのだ。
 ふわりふわり。泳ぎミルディアの頭へと乗っかった。続いてミルディアが助けたのはウミガメの妖怪。
 のんびり泳ぐ前足を引っ張りながら比較的安全な海面の方へと導くのだった。
「ここに居れば、大丈夫にゃ!」
 助けた後にするのは現状を止めること。そう、意図せず世界の崩壊を望んだオブリビオンを倒すこと。
 再び、ミルディアは海の底へと泳いでいくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

深島・鮫士
【梟と鮫】

※アドリブなど歓迎

・水中での救助活動か。俺は問題ないが、アウラは少し苦労しているようだな。ここは素直に俺のサポートをしてもらおう。
思い出の品は活殺自在だ。俺がキマFからアポヘルに転移してからは色々あったが、この刀と出会い、自在に振るえるよう鍛錬したことで今の俺がある。
こいつは俺の「力」の象徴さ。

・行動:アウラは俺よりも視野が圧倒的に広い。彼女が探索・発見した妖怪達の元へ「高速泳法」での「水泳」で急行して保護。
障害物があればUCで撤去していこう。
保護した後は一旦アウラの元へ護送し、ある程度人数が集まったら海面まで案内してもらおう。1人ずつピストンで送るよりもこっちの方がいいだろうしな。


アウラ・ウェネーフィカ
【梟と鮫】
◎アドリブ等歓迎
まさか、海の中にまで行く事になるとは……
むぅ、空を飛ぶ要領で泳げないかと思っていたが
想定していたよりも大分動き辛いな

ああ、それと思い出の品は先代から譲り受けたこの大事な帽子だ
赤子だった私を拾ってくれた、今は亡き人間の師匠
……穏やかな良い人だった

■行動
空や森ならばともかく、ここは適材適所で行った方が効率的だろう
今回は深島さんの支援に徹するか

ここはまず【UC】で創り出した使い魔たちを周辺一帯に広く展開
優れた【視力】を活かして妖怪の探索を行い、
可能ならば彼らを安全な地上まで案内をさせる
そして、私自身は使い魔から送られてきた妖怪の位置等の情報を
深島さんに適宜伝えていくとしよう



●海
 世界の崩壊。このカクリヨファンタズムでは軽率にそれが起こる。骸魂が妖怪を取り込み、オブリビオンとなりその願いが叶った結果だ。
 それに巻き込まれるものも居る。多少の力はあっても世界の崩壊を救える妖怪はほぼ居ない。深島・鮫士(深鮫流活殺刀拳術創始者(自称)・f24778)とアウラ・ウェネーフィカ(梟翼の魔女・f25573)はそんな世界の崩壊を止める為にここ、カクリヨファンタズムの海の世界へとやってきたのだ。
 鮫のキマイラである鮫士には海の世界はお手の物だ。思い出の品である愛用の日本刀、活殺自在の力もある。世界を渡り、この刀と出会い鍛錬をしたことで今の鮫士がある。頼れる相棒であり、力の象徴だ。
「まさか、海の中にまで行く事になるとは……」
 アウラは海の世界で泳ぐことに苦戦していた。空を飛ぶ要領で泳げないか、とアウラは思っていたが…
「想定していたよりも大分動き辛いな」
 アウラの頭を飾るのは思い出の品の大切な帽子。先代から譲り受けたもの。赤子だったアウラを拾い、育ててくれた今は亡き人間の師匠からの――。
(……穏やかな良い人だった)
 この海の中に入った瞬間は驚いたものだ。まるで、その温もりに包まれているかのよう。

 泳ぎに難儀をしているアウラを見た鮫士は苦笑しながらも彼女にサポートを頼む。アウラもそれに頷いた。
「空や森ならばともかく、ここは適材適所で行った方が効率的だろう」
 【闇梟の召喚】を発動し梟型の使い魔を召喚すれば周辺一帯に広く展開をする。そしてその優れた視力を使い妖怪の探索を行うのだ。
 発見をした妖怪たちの保護は鮫士の役目だ。
「深島さん。たくさん妖怪が居る。…順番に助けよう」
「解った」
 近くに居る自分で逃げれそうな妖怪たちは使い魔たちに安全な場所まで案内をさせる。小魚の妖怪や大きなイカの妖怪、磯女まで。
 たくさんの妖怪がこの世界の崩壊に巻き込まれそうになっていた。彼らは使い魔たちに案内され、二人へと感謝の言葉を告げた。
「ありがとう、海の底に行くなら…気を付けてね!」

 海の底。そこは崩壊を始めていた。崩れ落ちるように暗い穴へと徐々に落ちていくのだ、何もかも。鮫士はアウラに教えてもらった岩陰へとたどり着けば妖怪が居ることに気付く。
 逃げる途中に大きな岩が落ちてきたのだろう、子供の人魚が尾を挟まれて逃げられずにいた。
「大丈夫か、今助ける」
 【一撃必殺】を使用し、岩を砕けば人魚の尾は自由になる。驚いた人魚はくるりと鮫士の周りを回れば笑顔を向けて。
「ありがとー!もう、やばめなんだよー!、あっちのほうで、どばー!って!」
 手を大きく激しく振り、大変なことをアピールする人魚に鮫士は、小さくそうか、と呟いたあと、アウラの方へと導いた。

 様々な妖怪たちを保護し、安全な場所まで送れば二人は目的の場所まで――、海の底へと潜る。
 この崩壊を引き起こした本人、愛しい人と一緒になったオブリビオンの傍まで。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

愛しい者が帰って来る、か
俺も前所有者が戻って来た時感じた感情ゆえ解りはするが…
だが、生前の心が在るならば残した者に害を成す前に消える方法を彼女の様に考える物だろうからな
終らせてやらねばと思考を巡らせるも自然と宵の手を強く握っていた事に気付けば謝り力を緩めよう
複雑な心持ちも宵の顔を見れば自然と心が軽くなるのは何故なのだろうな
…大丈夫だ。お前が居てくれるのだからな

救助は宵と共に崩れる障害物を【ジャッジメント・クルセイド】で砕き行動
皆天から差込む光を辿れば海面へと向かえるだろう
勿論宵は『盾受け・かば』い行動を
宵、苦しくはないな?

※思い出の品は宵と揃いの守刀と指輪
前所有者の耳飾り


逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

愛する人が逝き復活して戻り来るならば喜びましょう
ですがそれは摂理に反することです
我々は、見送らねばならないのです

繋いだ手を強く握られ、謝られればいいえと微笑んで
ええ、僕が居ますから大丈夫ですよ
きみならばこの状況を救い、乗り越えられると思っています
僕がそうさせてみせます

指に嵌めた揃いの指輪と懐に入れた守り刀を意識しつつ
崩壊する海底の障害物をかれとともに除けつつ避難のお手伝いを
【ハイ・グラビティ】で崩れる障害物を安全なほうへ向けつつ
妖怪たちに降りかかるそれらは「衝撃波」で「吹き飛ばし」ましょう
ええ、大丈夫ですよ
きみとの思い出の品が、僕たちを守ってくれているのでしょう



●海
 大切なひとを失ったとき。それはまるで己の半身や心をえぐり取られたかのような痛みを感じる。
 そんな大切な人が、愛しい人が戻ってきたとき。かの人魚はとても嬉しかったのだろう。
 ヤドリガミとして長く時を過ごす、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)と逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は理解出来た。
「ですがそれは摂理に反することです。我々は、見送らねばならないのです」
 黄泉がえり。それはあってはならないこと。過去が今や未来を壊してはいけないのだ。宵は思う。
「俺も前所有者が戻って来た時感じた感情ゆえ解りはするが…だが、生前の心が在るならば残した者に害を成す前に消える方法を彼女の様に考える物だろうからな」
 骸魂となった鯨の妖怪の意志はどこに行ったのだろうか。死んだことで消失したのかもしれない。だがきっと、彼も人魚に会いたかったのだろう、そうでなければこんなことにはなっていない。
(終らせてやらねば…)
 ぐるぐると、思考を巡らせるザッフィーロは繋いでいた宵の手を強く握っていたことに気付く。すまない、と謝りその手を緩める。
 いいえ、と宵は微笑む。ザッフィーロはその顔を見ていれば複雑に入り乱れる心持も、自然と心が軽くなる。何故なのだろうか――。
「…大丈夫だ。お前が居てくれるのだからな」
 その理由に名前は付けない。宵が傍に居る。それだけでいい。
「ええ、僕が居ますから大丈夫ですよ」
 宵は己より黒く、少しばかりか骨張っている指に自分のそれを絡める。
「きみならばこの状況を救い、乗り越えられると思っています。僕がそうさせてみせます」
 そうして、海の世界へと飛び込むのだ。

 お互いの指にはめられたのはそろいの指輪。そして懐に入れられた守り刀。思い出の品は2人を守り、温もりでその身を包んだ。息が、出来る。
「宵、苦しくはないな?」
「ええ、大丈夫ですよ。きみとの思い出の品が、僕たちを守ってくれているのでしょう」
 思い出の品が、身を護るというのも不思議なものだ。カクリヨファンタズムの過去を司る力によるものだろうか。
 海の底の方へ、世界が崩壊を始めているのが見えた。暗い水底の、奥底は更に黒く淀んでいる。あそこに沈めば妖怪も人も、終わりを迎えるのだろう。
 崩れる岩や障害物をザッフィーロは【ジャッジメント・クルセイド】で砕いていく。続く宵は【ハイ・グラビティ】を発動し、崩れる障害物を安全な方へと移動させる。
 小さな妖怪たちにわずかな石たちが降りかかれば衝撃波で吹き飛ばしていく。そんな宵へと降り注ぐ岩から庇い、ザッフィーロはそれも砕いた。
 くらげの妖怪は感謝の言葉を告げ、宵の頭にぽふん、と乗っかったあと海面へと上がっていく。天から差し込む光は海面をきらきらと輝かせている。これならば妖怪たちもここまで迎えるだろう。

 この付近の妖怪全てを保護した事に二人は気付く。それならばすべきことはひとつ。この崩壊を起こしているオブリビオンの元へ。
 愛するひとと、一つになった人魚と妖怪のもとへと、向かうのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『偉大なる海の守護者』

POW   :    深海の歌
【津波を呼ぶ歌】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    海の畏れ
【他の海にまつわる妖怪を吸収する】事で【鯨の鎧を強化した形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    災厄の泡
攻撃が命中した対象に【祟りを引き起こす泡】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【恐怖による精神ダメージと祟り】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はペイン・フィンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●水底

 妖怪たちは全て助けた猟兵達の耳へと届くのは、柔らかい歌声。喜びの声。それは海の底から聞こえた。


「あいしている」
「あいしているわ」


 海底、崩れ落ちる底にある、廃墟のような大きな神殿。そこに一人のオブリビオンがそこに居た。淡い水色の髪に人の上半身としなやかな尾びれ。それを覆うのは硬い骨だ。
 おそらく、彼女を取り込んだ鯨の妖怪のもの。
 彼らがこの世界の崩壊を望んだのだ。それが意図するものではなかったとしても――。
 猟兵達は、愛する二人を引き離さなければいけない。この世界の崩壊を止めるために。
深島・鮫士
【梟と鮫】

・かなり心苦しいがよ。あんたら2人も世界を滅ぼしたかねぇだろ。悪いが、ここで断ち切らせてもらうぜ。

・津波を呼ぶ歌。要するに水流が襲い掛かってくるという感じか。なら、その水流を「活殺自在」での【一撃必殺】で斬り開くことで凌いでやる。
水中戦に不慣れなアウラには俺の後ろに控えてもらったほうがいいだろう。彼女に迫る攻撃は俺が全て払いのける。

・攻撃を迎え撃ちながらアウラの攻撃が十全に働く距離まで前進する。その上で【一撃必殺】を放ち、乱れる水流を切り裂いて射線を通す。
アウラ、後は任せた。キッツイのをお見舞いしてやれ!

・もし、もしもだ。俺とアウラがああいう関係になったら……同じ過ちはしたくねぇな。


アウラ・ウェネーフィカ
【梟と鮫】
願っただけで世界が崩壊するとは……
何とも不安定な世界、いや、それだけ強い願いだったという事か?
いずれにしても難儀な事だ

■戦闘
申し訳ないが、防御はお任せするとしよう
深島さんが時間を稼いでくれている間に、【高速詠唱】により
【魔力溜め】をして【UC】の準備をしておく

あと祟りを引き起こす泡というのも厄介だが、所詮は泡
それらを吹き飛ばす程度の風なら、UCの準備の傍らで
【天舞の宝玉】に微弱な魔力を籠めて発生させられる

魔力を溜めて威力を高めた【UC】では、まずは土属性の岩の矢で
骨の鎧を砕き、間髪入れずに風属性の魔力を籠めた矢を撃ち込む
着弾時に発生する爆風で、脆くなった骨の鎧を全て吹き飛ばしてやろう



●愛する人よ
 海の世界の崩壊はゆっくりと、進んでいる。海底から崩れ出し、何も見えない暗い闇へと落ちていく。
 妖怪たちは助け出した為もうなにも居ない。それだけは安心すべきことだ。
 海底にほど近い場所にあるのは廃墟のような神殿。昔、何かが住んでいたのだろうか。それは解らない。だがそれは過去の記憶の産物だろう。
 人魚の身体に鯨の骨を纏う彼女は、ふんわりと微笑んでいた。
「かなり心苦しいがよ。あんたら2人も世界を滅ぼしたかねぇだろ。悪いが、ここで断ち切らせてもらうぜ」
 深島・鮫士(深鮫流活殺刀拳術創始者(自称)・f24778)は人魚…否『偉大なる海の守護者』の姿を見つければ活殺自在を構える。
「願っただけで世界が崩壊するとは……。何とも不安定な世界、いや、それだけ強い願いだったという事か?いずれにしても難儀な事だ」
 カクリヨファンタズム――、いまだ未知な世界。不安定すぎる世界の性質にアウラ・ウェネーフィカ(梟翼の魔女・f25573)は呟いた。

 アウラの前に出た鮫士は活殺自在で津波を呼ぶ歌、荒れ狂う水流を呼ぶ敵の姿に活殺自在で相対する。ぐわり、と襲い掛かってくるのは水の重い攻撃。
 冷たく暗い、水流の攻撃を【一撃必殺】で切り払う。後ろに居たアウラは高速で詠唱を唱え、魔力を溜める。
 襲い来る災厄の泡――、祟りを引き起こす泡がアウラ達へと襲えば天舞の宝玉を使い風を巻き起こし、別の方向へと散らす。
 彼女への攻撃を全て払いのけることを決めていた鮫士はその様子に思わず苦笑をする。守られるだけの存在ではない、か。アウラらしい。

 襲い来る水流を幾度も斬っていればアウラの準備が終わったことに気付く。アウラの攻撃が十全に働く距離まで前進すれば【一撃必殺】を使い、乱れる水流を切り裂き攻撃への道筋を作り出す。
「アウラ、後は任せた。キッツイのをお見舞いしてやれ!」
「あぁ!」
 魔力を限界まで溜めたアウラは【二重元素の矢】を発動する。土属性の矢を敵が纏う骨の鎧へと向かわせ、間髪入れずに風の魔力を籠めた矢を打ち込む。
 着弾すれば爆風が発生し、脆くなった骨の鎧を吹き飛ばしていく。
「っ――」
 痛みに後ろへ下がった敵は口を開く。
 求めてはいけないの――?
 わたしたちは、傍に、居たいだけなのに――。
 このまま、時を止めて、あなたと、居たいだけなの。あいしているわ。

 愛は免罪符にはならない。失ってしまったものは、戻らない。
 猟兵は世界の崩壊を認めてはいけないのだ。だから彼女の、彼の、願いを聞き届けてはいけない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミルディア・ディスティン
「ごめんにゃ。あなたがたを止めないといけないのにゃ」
『愛か。俺と似たようなもんだな……俺が殺ろう』
「わかったにゃ。身体を渡すのにゃ……それじゃ、やろうか?」
生憎だが似たもん同士なのかも知れんな。だが、俺は彼女と世界を護るためだ。そこが違う。
俺の配下(古代の戦士)を呼び出して共に戦うぜ。だがそいつらだけじゃねえ。俺自身もぶん殴りに行くぜ。俺(彼女)が一番固いからな。俺自身が相手に突っ込んで動きを止める。その間に配下は自由に動いてもらうぜ。
「なぁ、お前に何が起きたのかは知らん。だが、お前のやることで悲しむ人がいるんだよ。コイツもそれを望んでないからな、全力で止めさせてもらうぜ!」
※アドリブ歓迎です



●一緒に居たい
 海の世界の崩落は続いている。妖怪たちは逃がした為彼らは大丈夫だろう。だがこのままでは彼らが住むこの場所が無くなってしまう。
 それは止めなければいけない。尊い愛する心がもとになっている現象だとしても。
「ごめんにゃ。あなたがたを止めないといけないのにゃ」
 ミルディア・ディスティン(人間のシャーマン・f04581)は呟く。そうすれば頭の内側から声が聞こえる。
『愛か。俺と似たようなもんだな……俺が殺ろう』
「わかったにゃ。身体を渡すのにゃ……それじゃ、やろうか?」
 ミルディアは彼に身体の運用権を渡せば意識を内側へとやった。出てきたのはもう一人の自分。
「生憎だが似たもん同士なのかも知れんな。だが、俺は彼女と世界を護るためだ。そこが違う」
 世界のことを顧みず、愛するから一緒に居る。ミルディアと彼はその反対だ、と笑った。

【サモニング・ガイスト】を発動し配下を呼び出せば、一緒に前進し敵へと攻撃を行う。
 まずが彼が敵へと突っ込みその動きを止める。その間に配下達が敵へと槍を振り下ろした。
 敵は叫びながらも、攻撃を繰り出す。ふわりふわり災厄の泡がミルディアを襲い、祟りを引き起こす。
 それは嘆きだ。心の底から沸きあがるような、恐怖の心。ぞわぞわと、身体を満ちる冷たいもの。身体が一時的に動きを止めるも、配下が追加の攻撃を妨害し、その精神への縛りを開放させる。
 自由に動くようになればその拳で敵へと殴り掛かる。
「なぁ、お前に何が起きたのかは知らん。だが、お前のやることで悲しむ人がいるんだよ。コイツもそれを望んでないからな、全力で止めさせてもらうぜ!」

 あいしている、あいしているわ
 彼らは、幾度も、呟くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

愛する人を置いていかざるを得ないつらさ、苦しさ
そして愛する人が先に逝ってしまった嘆き、悲しみ
それらを痛いほどひしひしと感じる彼女の歌は痛ましく
ですが、生けるものに害成すものとなるならば
生ある世に相応しくないものです

ザッフィーロを狙う泡は「衝撃波」を飛ばして破壊するよう狙いをつけ
僕にもきみを守らせてください
ええ、ザッフィーロ
僕たちは朽ちるまで……朽ちたとて共にいるのですから

「高速詠唱」「多重詠唱」「属性攻撃」「全力魔法」を付加した
【天響アストロノミカル】にて攻撃します
かれらはこの美しい世界を見、ともに過ごし、同じものを愛でたはず
なれば、この世は愛に満ちています


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

戦闘時は宵の前に立ち行動
向けられた攻撃を『盾・武器受け』にて防ぎながら行動を

戻って来た大切な者と傍に在りたいと思う心持ちは解りはするが…
だが、戻った己の存在が大事な者の害となると識り共に在り続ける事は本当に大事に思うのならば出来ぬだろう
それにお前達が共に歩み様々な美しい物を見て来た場所を自らの手で壊して良いのかとそう声を投げつつ【穢れの影】にて敵を拘束せんと試みよう
…話は通じぬだろうが…つい、な
泡が命中したならば宵を失う恐れに一瞬身が竦むも朽ちる迄朽ちたとて共に在るという誓いを思い出せば恐れる事など無いと反撃に転じよう
…宵、泡には当たるなよ…と
まあ、俺が全て防いで見せるが、な



●傍に居てほしかった
 歌声は嘆き。猟兵達の攻撃に傷付き、骨の鎧は割れかけていた。
 どうして、どうして、一緒に居てはいけないの
 彼だけが居なくなるなんて――。
 零れ落ちる言葉、想い、それは2人の猟兵の耳にも届いた。
(愛する人を置いていかざるを得ないつらさ、苦しさ。そして愛する人が先に逝ってしまった嘆き、悲しみ)
 歌声は痛ましく感じる。逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は小さく息をついた。
 無害ならば、それも放っておいても良かったのかもしれない。だが、彼らは一緒にいるだけで世界の崩壊を引き起こす。そんな願いを持ってしまった。
「生けるものに害成すものとなるならば、生ある世に相応しくないものです」
 その宵の言葉に、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は頷く。
「あぁ、戻って来た大切な者と傍に在りたいと思う心持ちは解りはするが…だが、戻った己の存在が大事な者の害となると識り共に在り続ける事は本当に大事に思うのならば出来ぬだろう」

「お前達が共に歩み様々な美しい物を見て来た場所を自らの手で壊して良いのか」
 ザッフィーロは敵にそう声をかける。その瞳がザッフィーロを見た。意識はある、だが己を律する理性がそこに無いように見えた。
(…話は通じぬだろうが…つい、な)
 【穢れの影】を発動し、足元から人々の罪と汚れから出来た影のような何かで敵を捉え縛り動きを封じる。
 敵は拘束から逃れようとその身を捻りながら抵抗をしている。そうしながらもザッフィーロへ放たれる泡の攻撃は宵が衝撃波を飛ばし、破壊する。
「僕にもきみを守らせてください」
 しなやかに、微笑む宵の表情にザッフィーロはほっと息を吐く。
「…宵、泡には当たるなよ…」
「ええ、ザッフィーロ」
「まあ、俺が全て防いで見せるが、な」
 攻撃全てを防ぎ、大切な存在を守る。失わないように。いや、失ったとしても――、朽ちる迄、朽ちたとて共に在る。
 そう、ザッフィーロと宵は誓いを絶てたのだ。

 素早く詠唱を重ね、すべての力を付加した【天響アストロノミカル】を発動する。そうすれば海の中でも飛び込んでくるのは無数の隕石だ。
 あぁ、押しつぶされる、つぶされる――。
 影に拘束されていた身体は抵抗も出来ずにその隕石を受け取った。

 きらきら光る海面、散らばる隕石の欠片、自分の中から抜け出ていく骸魂。
 あいしている、すまない、あいしている。ずっと、ずっと――。
 そう言って、消えていく、骸の海へと。
 残ったのは愛する人を失った人魚ただ一人。

(かれらはこの美しい世界を見、ともに過ごし、同じものを愛でたはず)
 宵はそう思う。海に溶ける涙を流す人魚の女性に手を貸す。
「なれば、この世は愛に満ちています」
 そうだと良い。宵も、ザッフィーロも、人魚も、愛されているのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『カクリヨキッチン!』

POW   :    食材がヨダレを垂らしてこっちを見ている。料理とは戦いだ!

SPD   :    食材は逃げ出した!料理は早さが命!

WIZ   :    正体不明の調理器具が現れた。料理は直感だ!

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●海の中のキッチン。
 骸魂は消え、ただの人魚へと戻った彼女は申し訳なさそうに猟兵達を自らの家へと招き入れた。
 一仕事終え、猟兵達もお腹が空いたところだ。疲れているだろう人魚を休憩させ、料理を作ることにした猟兵達。
 だがカクリヨの食材たちは普通の食材とは少し、違うようだ――。
 謎の食材、逃げる食材、正体不明の調理器具!
 猟兵達は謎に満ちたカクリヨの海で美味しい料理を作ることが出来るのだろうか。

(※プレイングは9/16 8:30からの受付)
ミルディア・ディスティン
「なるほど、料理か。ならあたしの出番にゃ♪」
とは言っても、あたしはそつなくこなす程度の腕しかないにゃ。
それ以上にUDCでのお仕事で、人でないものに耳を傾けるとか、食材の望みとかを察するのに慣れてるのにゃ。
「料理は心をあらわすもの。だが心をあらわすには腕がいる」って料理のお偉いさんが言ってた気がするのにゃ。
その点を考えると、この選択肢だとWIZの判断に近いのかにゃ?直観というよりは観察して察し、最善と思われる扱い方で料理するって方向にゃ。
それは食べてくれるみんなにも言えることだし、調理具の妖怪さんを含めて、みんなに喜んでもらいたいのにゃ。
食材さん?食われて嬉しいのならそれがいいけど……難しいにゃ



●レッツクッキング!
 人魚の家に招かれたミルディア・ディスティン(人間のシャーマン・f04581)は不思議な作りの家を見回した。
 見た目は普通の家にも見える。だがそれらは岩やよくわからない海藻で出来ていた。キッチンはも見た目はミルディアの知っているそれとよく似ている。
「なるほど、料理か。ならあたしの出番にゃ♪」
 ぐっと気合を入れる。
(とは言っても、あたしはそつなくこなす程度の腕しかないにゃ)
 ミルディアの秀でていることは人ではない物に耳を傾けること、食材の望みを察すること。それはUDCでの仕事で慣れたものだ。
「『料理は心をあらわすもの。だが心をあらわすには腕がいる』って料理のお偉いさんが言ってた気がするのにゃ」
 不思議な調理器具を前にミルディアはそれらを観察し、最善と思われる扱い方で料理を始める。
「まぁ、道具の使い方が上手なのね」
 心配そうに見ていた人魚もミルディアの手元を見れば安心したように微笑んだ。
 道具の妖怪たちもどこか喜んでいる気配を感じる。不思議な魚を焼いてムニエルに。魚の頭は煮てあら炊きに。
 美味しそうな料理を皿に乗せて机の上に並べればどことなく食材も喜んでいるようだ。
(食われて嬉しいのならそれがいいけど……難しいにゃ)
 そう思っていたが、これなら美味しく頂けそうだ。

「いただきますにゃ」
「…いただきます」
 ほろほろ解けるように柔らかく、バターのような何かの味が美味しいムニエル。
 ことこと炊いたお陰で味がつき美味しく食べれるあら炊き。
 ミルディアの心の籠った料理は人魚の心を癒し、ほっこりとさせた。
「…ありがとう、猟兵さん。こんな海まで来てもらって本当に…、申し訳ないと、思っているわ」
 でも彼女はその選択を後悔してはいない。してはいけない。自分の起こした罪なのだから。
「…彼のことは、大事。…ずっと。…だから、頑張るわね」
 これから頑張って前に向き泳ぎ出す。その為に必要なのは、背中を押されること。
「応援、してくれるかしら」
 ミルディアに、人魚は首を傾げる。勿論にゃ――、答えを頷き返し笑いあうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

深島・鮫士
【梟と鮫】

・まあ、何があっても腹が満たされればそれなりに元気は出るもんさ。ということで、俺は料理の腕を振るわせてもらおう。

・ほう、これまたデカイ魚介類がいるもんだな。妖怪でもなさそ……って、オイオイ、俺を食うつもりかい? なら話は単純だ。返り討ちにして食材にしてやらぁ!

・首尾よく食材を入手できたら調理開始。人魚に好みの味や思い出の味を聞くのもいいだろう。男相手で話しにくいなら、アウラにその辺をお願いしようかな。
刺身に煮付け、天ぷら、フライに寿司……思いつく限りの海鮮料理を作ろう。心を込めて。「鼓舞」の力を込めて。

・忘れなきゃ、思い出を大事にし続ければ……鯨はいつでもそばにいる。俺はそう思うぜ。


アウラ・ウェネーフィカ
【梟と鮫】アドリブ歓迎
うむ、空腹は精神に対して良い影響を及ぼさない
深島さんに同意だな
……しかし、私は料理については正直詳しくない
ここは食材調達に徹するか

■行動
ほう、あれが食材……食材?
食材というより触媒として興味が向くが、まぁ、流石に自重しよう
ここは【UC】発動
高速で逃げる食材に、翼に纏わせた雷を放って感電させて捕獲
自分に雷の影響が及びそうなら魔力によるオーラ防御で防ごう

さて、人魚についてだが……まずは相手の話を聞いてあげようか
話すだけで楽になる事もあるし、気持ちの整理にもなる
そうして会話をする事で少しでも親密になれたら、
そんなに優しかった鯨の妖怪が何を一番望んているか
改めてそれを問うとしよう



●料理タイム
 人魚に連れられてたどり着いたのは人魚の家。岩や不思議な海藻で作られたそこはちゃんと家という形を保って存在していた。
 料理を作ることになった猟兵達、深島・鮫士(深鮫流活殺刀拳術創始者(自称)・f24778)とアウラ・ウェネーフィカ(梟翼の魔女・f25573)はふむ、と頷いた後。
「まあ、何があっても腹が満たされればそれなりに元気は出るもんさ。ということで、俺は料理の腕を振るわせてもらおう」
「うむ、空腹は精神に対して良い影響を及ぼさない。深島さんに同意だな……しかし、私は料理については正直詳しくない。ここは食材調達に徹するか」
 2人でそううなずき合えば、狩りに出た。

 カクリヨの海の食材は不思議なものばかりだ。大きいものや変わった形をしたもの。生き物の形をしていないもの。
「ほう、あれが食材……食材?」
 アウラは首を傾げる。食材というより触媒としての興味が向く。だが流石に自重をしておく。今回するべきことは食材を見つけることだ。
 高速で逃げる魚のような形に角と羽が生えた不思議な生物を追いかけ、【飛翔雷翼】を発動すれば雷撃がそれを突き刺す。
 自分に雷の影響が及ぶなら、とオーラで防御も行っていたがその必要は無かったようだ。

「ほう、これまたデカイ魚介類がいるもんだな」
 鮫士が出会ったのはとても大きな魚だった。3倍程大きいだろうか。妖怪でもなさそうだ。
 その魚は大きく口を開き鮫士へと向かってくる。
「オイオイ、俺を食うつもりかい? なら話は単純だ。返り討ちにして食材にしてやらぁ!」
 【一撃必殺】を発動し馴染みの刀でその脳天を破壊する。そうすれば魚は息絶えた。生き物の弱点はやはり脳だ。間違いない。

 人魚の家まで持ち帰り調理を始める。アウラは鮫士へと食材を預け人魚の隣へと座った。
 男だときっと話しにくいだろう、鮫士はそう思いアウラへとその役目を預けたのだ。
「…こんな海まで来てくれて、ありがとう。猟兵さん。…でも後悔してはいないわ」
 後悔すればこの気持ちはきっと偽物になってしまう。あの人を愛した心は偽物ではないのだ。
「……そうか」
 とりあえずアウラは人魚の話を聞く役に徹する。それを良い事に人魚は思い出話を話し出した。
 彼との出会い、デートでの話、少し喧嘩したときの話。いわゆるのろけだ。
「…良い人だな」
「えぇ。とっても。私には勿体ない人だわ」
 それは素敵な恋のお話。人魚が心の中に閉じ込めていたい想い出だった。
「優しかった彼が、何を一番望んでいたか。あなたにはわかるだろう」
 そう、きっとわかっているのだろう、人魚には。解ってはいたが――、気が迷い、永遠を望んでしまったのだ。
「…私の幸せをきっと、望んでいるわ」
 停滞ではない、未来へ進むことを、きっと。

 不思議な調理器具を使い、鮫士は海鮮料理を作る。刺身に煮付け、天ぷら、フライに寿司…思いつく限りのそれを皿に並べる。
 込めたのは鼓舞の力。これから前へ進む人魚を応援するために。
「…いただきます」
 そっと手を合わせて人魚はその料理を口に運ぶ。美味しさに瞳を輝かせた。
「忘れなきゃ、思い出を大事にし続ければ……鯨はいつでもそばにいる。俺はそう思うぜ」
 鮫士は美味しそうに料理を食べる人魚の姿を見て、笑う。
「…ありがとう。…本当に。」
 人魚は思わず流れ出た涙を止めることはせず、美味しい、美味しい、と料理を食べ続けたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と
やあ、珍奇でおもしろい食材ばかりですねえと笑って
用意されたそれらを見渡しましょう

ええ、肉ですね。野菜も、魚もあるようです
……ただ、僕らが知るそれとは少し、違うようですが

きみがスープを作ってくれるなら、僕はコロッケでも作り……
喋る鉄鍋に泣く包丁、飛んでいくまな板に手こずりながらなんとかコロッケ(らしき)ものを作り上げましょう
サラダも何とか作り上げてコロッケを添えて皿に盛れば

人魚の君もどうぞ、お召し上がりください
そう言葉をかけて席に座り、いただきますと手を合わせ
ええ、美味しいですよ
いつものきみのスープです
僕のコロッケもいかがですか?
きみの好きな味になっているでしょうか


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

料理か
ならば俺はポトフを作…
…宵、この食材は何だ…?肉なのか!?
そうぶよぶよの肉らしき塊を呆然と眺め宵へ声を
人参とじゃが芋もあるが生えた瞳で見つめられては剥きづらいのだが…
混乱しつつも飛んで行った俎板を見ればぐるっと宵を振りむこう
宵!?ま、俎板が飛んでいた様だが怪我はないか…!?
SAN値を削られながらも何とか作り終えれば、笑う鍋からスープを取り分け宵の元へ
人魚の君もその、良ければ食うかとそう人魚へ声を掛け宵の正面に座ろう
宵…どうだ?常の味になっているか…?
恐る恐る声を投げつつも宵のコロッケを口に運べば自然と笑みが零れてしまう
…ああ、美味い。まあ、宵の料理は何時も美味いのだがな?



●料理を君と
 人魚に連れてこられた猟兵達は見たものは、家だった。岩や不思議な海藻で出来たそれは、ちゃんと家としての形を保って存在していた。
 キッチンには沢山の食材があり、二人に見覚えのある食材や、そうではない食材もあった。
「やあ、珍奇でおもしろい食材ばかりですねえ」
 逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は様々な食材たちを見つめ一言、そう感想を言った。
 同じく、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は食材を眺める。
「料理か。ならば俺はポトフを作…」
 目が合った。 食材と。  つぶらな瞳。
「…宵、この食材は何だ…?肉なのか!?」
 思わず慌てたザッフィーロはへ宵と声をかける。
「ええ、肉ですね。野菜も、魚もあるようです。……ただ、僕らが知るそれとは少し、違うようですが」
 その肉は2人が知っているものとは凡そ違うビジュアルをしていた。
 ぶよぶよとしている触感、つぶらな瞳、何か小さな指もついている気がする。
 つぶらな瞳は人参やジャガイモにも存在していて、ザッフィーロをその瞳で見上げていた。
 剥き辛い気持ちになりつつ、人参を手に取った。

「きみがスープを作ってくれるなら、僕はコロッケでも作り……」
 宵はつぶらな瞳を持つジャガイモを手に取り、鉄鍋に入れ火をかけた。コトコト。
『熱いなぁ、もう良くない?』
 宵へと話しかけたのは、火にかけられていた鉄鍋だった。驚きながらも首を横に振る。
「もう少し。ジャガイモが柔らかくなるまでの辛抱ですよ」
 それからも熱い熱い、という鉄鍋を宥めながらもジャガイモに火を通し、柔らかくなったそれの皮を剥きマッシュにする。
 他の食材を切ろうと包丁を手にすれば何やら涙を流していた。
『どうせ僕は使えない包丁です…捨てられた方がましなのです…』
「今から使わせてもらいますね」
 そう言って喋り泣く包丁を宥めながら食材を切り刻んでい……こうと思えばまな板が壁へと吹っ飛んでいった。
 大きな音を立て壁にぶつかったそれにザッフィーロが気付き慌てて宵へと近づいた。
「宵!?ま、俎板が飛んでいた様だが怪我はないか…!?」
「大丈夫ですよ。きみも怪我はありませんか」
 2人は怪我をしていないことを確認し、再び料理を始めた。

 削られるのは精神力、またの名をSAN値。ザッフィーロは笑う鍋がらスープを取り分け宵の元へ。そして人魚へも。
 宵が作ったコロッケのようなものと、サラダも綺麗に皿に盛りつけられ机の上に並んだ。
「人魚の君もどうぞ、お召し上がりください」
 人魚は器用に椅子へ座れば「ありがとう、」と礼の言葉を言って微笑んだ。2人が料理を作っている様子を眺め楽し気に微笑んでいたのは2人も気付いていた。
 宵とザッフィーロは机を挟み向かい合わせに座る。そしていただきます、と手を合わせて3人は食事を始める。
「宵…どうだ?常の味になっているか…?」
「ええ、美味しいですよ。いつものきみのスープです」
 海で作ってもいつもと同じ味になるのは不思議なものだが、宵はそう感じた。
「僕のコロッケもいかがですか?きみの好きな味になっているでしょうか」
 ザッフィーロは宵の作ったコロッケを口に運ぶ。いつも食べるあの味だ。思わず自然と笑みがこぼれた。
「…ああ、美味い。まあ、宵の料理は何時も美味いのだがな?」
 美味しい、美味しい、2人はそう言いあって料理を食べるのだった。

「…幸せね、貴方達は」
 まるで眩しい物を見る様に人魚は言う。あぁ、私たちも貴方達みたいになれたらよかったのに。
 人魚はこれからも、鯨への想いを胸に前へ進んでいく。
 猟兵達と過ごした掛け替えのない時間も人魚は心の糧としていくだろう。
「ありがとう、猟兵さん」
 ふわりと、人魚は微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月22日


挿絵イラスト