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記者、学校内チェイス、事件藤燈森學院→スパイ(作者 オーガ
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「それでは諸君……首尾はどうかな」
「はい、滞りなく」
「私たちの準備も問題なく進んでおりますわ」
「俺たちは常日頃から鍛錬を積んでおります。慌てる必要もございませぬ。……貴様も椅子を揺らしてないで何か報告を――」
「えー? 分かってるっしょー? 俺様采配ミスとかしないしぃ」
「情報共有は密に行いたまえ、首尾は」
「上々っすよ。まあ、開催までは無事辿り着けるんじゃないっすかね」
「……含みのある言い方をされますね」
「いつもの事ですわ。やれ重要情報があると言えば今日の昼食がチキンカレーだ、などと」
「重要っしょ、メニューにカレーとしか書いてなかったんだぜーあのおばちゃん」
「うむ、肉の種類は重要であるな」
「話が脱線しています」
「――油断は禁物だ」
 取り留めもない話へと移りかけた話題を、最奥の人物が遮った。
「これは、我らが最後の任務。絶対に失敗は出来ない」

「我らが学び舎『藤燈森學院』の名を外部へと知らしめる交流会――いや、取り繕わず言おう」
 そして、彼は告げる。

 ――百回目の学園祭だ、と。

「警備、及び機材管理――汀崖城・遊鳥」
「ああ」
「企画審査、及び実行――火穂月・暁」
「はい」
「広告、及び外部宣伝――野芥子・琥鐘」
「あいっす」
「皆、各々に成功のため、励んでほしい」
 それぞれが返事し、次々と部屋を辞していく。
 そして、最後に野芥子が扉を閉めたその後。
「……、はあ」
「書記!!」
 ここまで黙っていた書記が、パチン、と室内の電気を点けてから溜息を吐いた。
 藤燈森學院、紫漣会第百代会長――白津佩・清鷹。
 その人が発した怒声に、書記の彼は両耳を手で塞いでいた。
「何ですか、そのため息は! 文句があるというのですか!!」
「……まあ」
 と渋々と言い、白津佩へと問いかける。
「なんですか、今の小芝居」
「気分だ、やってみたいだろ」
「少年感出さなくていいんすよ」 
「そ、……っすか」
 なんでこんな濃いトコに来ちゃったかな。と境遇を嘆いていると、「それで」とその傍らにいた生徒が声を発していた。
 副会長――烏簾羽・鉄だ。
「白津佩様の記録はちゃんとできていますか」
「会長の記録じゃなくて議事録っすよね?」
「ええ、当然文字だけでなく、麗しいお姿を映像にも当然記録しているでしょうね」
「……」
 それは冗談だろうか、と思いその眼を見てみると結構なマジなもので、へたくそな愛想笑いを引っ込めた。
 記念すべき百回目の外部交流会だ。激務に溜まった疲労でネジが飛んでしまっているのだろう。
 そう思う事にして何も言わず、彼は今にも睡魔に負けそうになりながら、議事録に〆の記載をする。
 八ヶ宮・恭史。
 最後に、書くかどうか悩みながら記入したのは、書記の名前欄だった。


オーガ
●スパイを探し当てて、追いかけて、戦います。

各章に断章を挟みます。

好きに書きますので、お好きにプレイングください。
よろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『春秋庭園譚』

POW金木犀を楽しむ
SPD庭園を散策してまわる
WIZ桜を楽しむ
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 汀崖城・遊鳥にとって秘密とは、あってはならないものだ。
「あのブン屋め、我が校の警備が不十分である可能性があるだのと、それも外部者はまだ立入禁止だぞ……」
 荒波の中の巌を思わせる大柄な生徒は、肩を怒らせながら控え所へと向かっていた。
「挙げ句、隠し事だなどと、っ――!」
 その時、目端に映った金髪に思わず振り替える。廊下の向こうにいたのは見知らぬ女子生徒だった。
 息を吐いた鋭い瞳は、しかし流水を思わせる冷静さを湛えている。窓ガラスに映る自らの顔を見る。別段、おかしな表情も無い。ハッタリかと、熱を帯びた考えが瞬く間に冷えていく。
 仕事が山ほど残ってる。警備からの報告、搬入物品の在庫管理、品目精査。いくら手があっても足りない。
 自らの不快になど構っている場合ではないのだ。

 火穂月・暁にとって秘密とは、隠さねばならないものだ。
 燃ゆるような気の強さの眦を決して彼女は机に向かう。そこにあるのは会場利用の申請書、それに付随する企画書などの書類の山だった。
「まあ、否定はできませんわね」
「何か仰いましたか?」
「いいえ、始めましょう」と暁は書類に目を通し始める。運営できるとは思えない提案書に僅かにこめかみが引くつくが抑え込む。
 記者に問われた実行委員会の旨味。言うまでもなくこの会全貌を把握出来ることだろう。どういった案が可決され、何が否決されたか。その配置まで全て網羅できる、いやしなければ立ち行かないのだが。確かに利益を受けている事には間違いがないだろう。
 来る日に向けて、貪欲な笑みを溢しそうになりながら彼女は次の提案書に目を通し始めた。

 野芥子・琥鐘にとって秘密とは、誰かが知っているものだ。
「お疲れー」
「ホント疲れますよ、なんすかアイツら。笑顔でお腹刺してくるんすよ」
 部下の泣き言、黄土色の髪を掻いて相槌を打ちながら、ついさっき捕まった取材に、意識を馳せる。
「あっちもこっちも探りばっか入れてきて、直接な妨害が少ないのはラッキーじゃん」
「外的要因が少ないのに例年通りの進み、って詰られるんすよ。」
 あらぁ、地獄耳なこと、と返す。確かに例年より『事故』は少ない。むしろ記念日であるゆえに多くなる想定だったにも関わらずだ。
 まあ、それを知っているというのは作為的な行動の痕が見え隠れするが、ともかく。
 それでも、進みが早いわけではない。外部交渉を担当するここでもはっきりと理解していた。
「内外からの遅延作戦かあ、祝百回目くらい楽させてくれーぃ……」
 面倒くさい事が起きてるなあ。と大量の張り紙のある黒板へと彼は向かうのだった。

 白津佩・清鷹にとって秘密とは、暴きだすものだ。
 白磁の瞳を瞬かせて彼は愉快げに言う。
「で、テロ組織との関与が疑われてるんだけど……あの人部外者なのにちょいちょい入ってくるよね」
 書記が議事録を閉じたのを確認してから、彼はオフレコね、と言う。
「明らかに怪しいものを運び込むには、汀崖城の領分。人の流れと死角を確保するには火穂月の領分。総合的な情報拡散、偏向は野芥子の領分」
 無理に動かせばどっかしらで引っかかる、だが、確実に何かが動いている。
 バランスがずれればこの学院の歴史ごと崩れそうな状態でだ。そこには静な怒りが確かにある。
 記念すべき百回記念。己の人生を狂わすような重い歴史の日。
「ぶっちゃけ、誰だと思う?」
 彼はどちらともなく、そう言った。

 烏簾羽・鉄にとって秘密とは、目的を表すものだ。
 問に、少し押し黙ると艶めいた黒の髪を僅かに振るった。
「一年に一度しかない外部交流会を受け渡しに
。7日の開催期間があるとはいえ、あまり条件が良いとは思えないですね」
 その為に、実行委員会に入る。それだけ時間をかけてもリターンのある重要な取引。ならば、外部で行った方が良い。学内である必要は無いのだから。
 そう告げれば、他の二人も同様の考えなのか、頷いて返す。
「警備を強化してもらいましょう」
 テロが即時行われる可能性もある。警戒を厳に、と彼は提する。
「誰か、とは断言できないかと」

 八ヶ宮・恭史にとって秘密とは、示されないものだ。
「だから、自分で示させるしかないんじゃないすかね」
 まあ、わざわざ私がスパイです。と名乗り出すスパイがいるはず無いですけど。そう肩を竦めてから、ふと不安に襲われた。
「もしかしておれ疑われてますか?」
 些か早口に聞いたそれに帰ってきたのが否定で安堵する。
 この会の書記は、会議の不正防止で議事録を作成するための要員。実質運営に対して力の無い書記になって企てを起こす位なら、一般学生の方が自由が利く。ということだった。
 ふう、と彼は胸に手を当て、息を吐いた。

 という録音を手元にもつ記者は、小さな喫茶店にいた。
「盗聴じゃないですよ? 迷って入っちゃって慌ててるうちにレコーダー色んな所に落としちゃったけど親切な人が拾ってくれてたんです」
 まあ、そういうわけで、と彼女は自らの成果を開示して、賑わう通りの奥を手で示す。
「あちら、藤燈森学院、外部交流会会場でーす」
 私は出禁を食らってしまったので、手配書まであったんですよ、と記者は消沈したまま猟兵を送り出した。

●第一章

 春の花と秋の花が咲き乱れる庭園で、様々な出し物や屋台で賑わう学院祭の中でスパイを見つけてください。
 書けそうなものを書いていきます。

 よろしくお願いいたします。