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花知らぬ君たちへ(作者 そらばる
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●命を弄ぶための疫病
 暗い、暗い、地の底。
 魔法ガスのうすら明かりに浮かび上がる陰気な地底都市を、紅い目をした少年は満足そうに見渡した。
 人々は重い荷を運び、あるいは鉱山の掘削に従事し、誰もがなにかしらの重労働に明け暮れている。
 そしてその誰もが、皆一様に顔色が悪い。明らかに健康状態に問題があるとわかるほどに。
「……いいね。いつものいこうか」
 一人血色の良い少年の言葉を受けて、傍らに控えていた絵画の如き楽師が、返答代わりの目礼と共にリュートをつま弾いた。
 と同時、街中を思い思いに闊歩している楽師達が、各々の楽器を奏で始めた。
 弦楽器、金管楽器、打楽器……古今東西のありとあらゆる楽器が、各々に旋律を紡ぎ出す。悲壮な曲、忙しい曲、愉快な曲。まったく違う曲調なのに、なぜか互いを邪魔せず調和し街中に響き渡る重奏。
 音色自体は確かに美しいはずなのに、逆再生を聞かされているような違和感、不快感が付きまとう。
 楽師達の奏でる曲に合わせて、街のあちこちから苦しみ悶える声が連鎖し始めた。
 この都市に蔓延する疫病が、急速に悪化しているのだ。
 高みよりその光景を眺めやる少年の紅眼が、一組の父娘を捉える。
「ゴホッ、ゴホゴホゴホッ……!」
「お、おとうさん、しっかり!」
 身体を折り曲げ激しく咳き込む父親と、けなげに父を心配する娘。
 瞬間、少年の両眼が妖しく輝くと同時、忽然と現れた夥しい黒い獣が街に解き放たれた。
 一帯に、獣の吼え声と父娘の凄惨な絶叫が響き渡る。
 ひとしきり何かを貪り食った後、獣達の姿は煙の如く掻き消え、後に残ったのは地面にわだかまる二人分の血だまりだけ。
 少年は愉悦と充足に顔を歪めた。
「あースッキリしたっ。じゃ、あとはいつも通りほどほどによろしくね~」
 上機嫌で踵を返す少年の背中を、楽師の奏でる疫病の音色が見送った。

●グリモアベース:ゲネ
「ダークセイヴァーの寄生虫型オブリビオンの話に進展だ。捕獲した「辺境伯の紋章」から重大な情報が得られた」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)がホロモニターに映し出したのは、猟兵達がこれまで見てきたダークセイヴァーのどの街とも異なる、暗い都市。
 それもそのはず、この都市は地底にあるのだ。
「ダークセイヴァーの世界各地には広大な「地底空洞」が存在し、中には広大な「地底都市」が多数存在することが判明した。これらは地上の都市とあらゆる意味で似通っている。都市の形式や文明レベルはもちろんのこと、吸血鬼の支配下にあり、なおかつ、そこに住む人々が奴らに隷属させられている、という点もだ」
 地底都市に暮らす人々は、地上との交流を断たれ、地上の存在すら知らずに日々を生きているという。
 紋章を配布した者達は、地上世界に加えこの地下都市の数々をも版図に置きながら、さらなる地下深くに棲息しているようだ。
「すぐにでもとっちめに行きたいところだが、残念ながらまだその手立ては見えていない。ここはまず、地下都市で絶望の日々を送る人々を救ってやろう! 一つずつ地道に地下都市を解放していけば、その過程でさらなる深層への手がかりを得られるかもしれないしな」
 ゲネはさらに二つのモニターを展開し、今回立ちはだかるであろう敵の姿を映し出した。
「最初の敵は「門番」。『供花伯・ミカ』。こいつがこの都市を支配しているボスだ」
 門番は、かの「同族殺し」さえも、ともすれば一太刀で屠れるほどの凄まじい手練れだ。そのうえ「番犬の紋章」という寄生虫型オブリビオンを身に着けて強化しており、紋章に対する攻撃以外はろくにダメージが通らない。
 番犬の紋章は現在、ミカの両眼の内部に寄生し、眼球そのものと同化している。おかげでミカは直接的な目潰しや視覚への攻撃を受けても視力だけは失わないが、逆を言えば、その部分を上手く突けば確実にダメージを通せる、ということになる。
 また、ミカは「強い絆で結ばれている者」を見ると嫉妬に駆られ、ターゲットをその者に絞るようになる。そこを上手く突ければ戦いを有利に運べるかもしれない。
「門番を倒したら地底都市に突入だ。内部には『疫病楽団の幽霊楽師』がわんさと襲い掛かってくる」
 幽霊楽師達はミカの命に従い、適度に疫病を操ることで人々の支配を円滑に運ぶ役目を担っている。奏でる音色で疫病を振り撒き心身を攻撃してくるだろう。
 住人を苦しめてきた先兵たる連中だ。彼等を倒すさまを見せることで、人々に勇気を与えることができるかもしれない。
「楽師達も倒したら……あとは、地底都市の人々を連れ出すための準備だな」
 人々に蔓延した疫病は楽師を倒したとしてもすぐには快復しない。この特効薬は、実は敵が所持している。ミカが所持する特殊なアネモネの花弁だ。
 ミカを倒せばアネモネは枯れ、大量の種を残すだろう。これを地底湖の周囲に上手く撒ければ、瞬く間に花が芽吹き、特効薬を作れる。人々の体力も回復し、地上へと連れていくことができるだろう。
「地下も地上も似たような地獄……とはいえ、隷属を絶対とされる地下よりは、地上のほうがなんぼか希望が持てるはずだ。いくつかの「人類砦」が受け入れを表明してくれていることだしな」
 ゲネは三枚のモニターを一つに統合し、転送術式を燦然と輝かせた。
「いざ征かん、ダークセイヴァー! 歪んだ地下帝国の独裁を終わらせ、地上を知らない人々に希望を与えてやってくれ……!」





第2章 集団戦 『疫病楽団の幽霊楽師』

POW ●その疫病と演奏は人々の感情を狂わせ
【狂気に陥らせる演奏と疫病】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD ●世界を憎み蹂躙させる
【疫病を振りまく演奏】を披露した指定の全対象に【猟兵や世界に対し強い敵対】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ ●そして虜になった者は人を止め、肉の怪物と化す
【疫病にかかりつつ、狂気に陥った人々】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●供花伯の最期
 目を抑える少年の手の中で、眼球は完全に蒸発した。
 守るべき両眼を失った手が呆然と下ろされる。
 紅い瞳があった場所は眼窩が覗け、今はもう虚ろな闇がわだかまるばかり。
「どうして僕が……僕ばかり……僕、だけ……どうしてぇ……」
 誰かを求めるように虚空に伸ばされた手が唐突に白化し、それは瞬く間に全身へと進行した。
 吸血鬼の習いに従って、『供花伯・ミカ』は最期は灰となって地の底に散った。
 唯一形の残るアネモネの花束は、花弁から鮮やかな色彩を失い、多くの種子を残して儚く枯れ果てた。

●初めてのよそ者
 戦いの気配と幾度か響いた供花伯の絶叫は、壁の内側にも届いていた。
「……静かになった」
「なんだったんだ、あれは」
「わからん。どうせ吸血鬼のお遊びだろう」
「静かにおしよ。仲良しこよしは見咎められたらまずいよ」
「そりゃ供花伯だけだ。楽師どもは楽器が弾ければ満足なのさ」
「迷惑な……ゴホッゴホッ」
 ひそひそと声を潜める街の人々。
 事実、楽師達は思い思いに歩き回りながら旋律を奏でるばかり。疫病を広げるのが目的というより、絶対に逃げ出せない聴衆を囲っておきたいだけなのだろう。
 その時、人々の諦観を裏切って異常事態が発生した。
 彼等が知る限り……それこそ父母や祖父母、それより前の代からずっと閉ざされ続けていた大門が、開け放たれたのだ。
 そこに佇んでいたのは供花伯ではなく、複数の人影。一人として見たことのない……彼等が想像したことすらない「よそ者」が、初めてこの地底都市をおとなったのだ。
「なんだ? あいつら……」
「わからん、わからんが……ヤバい感じだぞ……」
「皆、屋内へ! なるべく頑丈な建物に集まれ!」
 普段巡回するだけの楽師達が一斉に大門へと駆け寄っていくのを見て、危機を察知した人々が次々に家屋へ避難していった。

 猟兵の目前に広がるのは、息を潜める街。あちこちから固唾を呑んで様子を窺う視線を感じる。
 そう、地底生まれ地底育ちの彼等にとっては、猟兵すら未知の存在であり脅威なのだ。
 彼等はミカの死を知らない。猟兵がミカを倒したことを告げても、やすやすと信じてはくれないだろう。
 猟兵に害意がないこと、猟兵が協力者であること、吸血鬼の支配から逃れることは不可能ではないこと。
 それらを伝え、彼等の心に勇気を喚起するため、為すべきは一つ。
 今まさに人々の脅威として厳然とそこにある楽師達を、完膚なきまでに打ちのめせばいいのだ。
 疫病振りまく狂気の音色を奏でる数多の楽師へと、猟兵は立ち向かう。
木霊・ウタ
心情
絶望と隷属が当然の日々か
その心に希望の光を灯してあげたいぜ
楽団を倒そう

住人
屋外へ出て来ぬ様声掛け
供花伯は倒した!
楽団もすぐに倒す
そのまま隠れていてくれ


狂気に陥った人いれば声掛けし勇気づけ
破魔の調で呪詛を打ち払う

すぐに助ける
諦めるな!
希望は絶対ある!

戦闘
住人が人質に取られたり
被害が及ばぬよう戦う
必要時は庇う

破魔込めて旋律奏で
楽師の音色を阻害

同時に獄炎を炎渦と化し
疫病を焼却滅菌&炎が生む気流で吹き飛ばす

そのまま楽師を炎で滅する

楽師
音楽で人を苦しめるなんて
楽師なら絶対に望まないぜ
そんなことも喪っちまってるとは可哀想に
海へ還してやる

事後
楽団や
是までの犠牲者へ鎮魂曲

住民を勇気づける勇壮な調も


ウィンディ・アストレイ
まあ此方も、勝手且つ唐突に押しかけた訳ですから…
この扱いも止むを得ませんか(苦笑

フライトシステムを起動して『Blanches Aile』展開
虚喝と示威を兼ね、空中から戦闘を仕掛けます
「さて、吉と出るか凶となるか…」

基本的に一体ずつ相手取り、各個撃破を累積して数を減らします
残像を囮にしつつ戦闘勘と見切りによる回避運動で攻撃を躱し
ファングで足止めしつつ傷を負わせた後
装備した火器で仕留めます
「的は大きい方が、当てやすいという物です」

他の猟兵が手間取っている様なら
空中からの狙撃とファングの幾つかによって支援攻撃も行います

(以上、空中戦&戦闘知識&第六感&見切り&残像&一斉発射&スナイパー&援護射撃)


●道を切り拓く光と炎
 あちこちから息を潜めてこちらを窺う視線を感じる。警戒、恐怖、不審……少々の好奇心。
「まあ此方も、勝手且つ唐突に押しかけた訳ですから……この扱いも止むを得ませんか」
 ウィンディ・アストレイ(W-ASTRAY・f09020)は小さく苦笑した。
「絶望と隷属が当然の日々か」
 木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は数多の視線を受け止めながら、門前から一歩踏み出し、決然と声を張り上げた。
「供花伯は倒した!」
 痛いほどの沈黙が返ってくる。言葉の意味が、人々の腑に落ちていない手応えがわかる。
 すぐには信じられないかもしれない。それでも、わずかなりとその心に希望の光を灯してあげたい。
 だからウタは、真実を、決意表明を、しかと告げるのだ。
「楽団もすぐに倒す。そのまま隠れていてくれ」
 やはり応えはない。だが、楽師達の集結速度はそれ以上の猶予を許してはくれなさそうだ。
「楽団を倒そう」
「ええ。では、『空』は任せてもらいましょう」
 ウィンディは沈黙させていたフライトシステムを起動し、背部推進ユニットを展開した。まるで白翼を広げる天使の如く、その身は空中へと舞い上がる。
「さて、吉と出るか凶となるか……」
 見下ろした直下には、駆けつけた楽師達の先触れがオーケストラの如き布陣を敷き始めている。
 各々が手に持つ楽器が各々に美しい音色を響かせ、バラバラの曲調を不思議と調和させる。
 旋律は語る。
 ──ここは我等の楽園。
 ──地の底しか知らぬ無知な聴衆は、永劫我等の虜。
 ──供花伯死すともこの街は渡さぬ。
 旋律は狂気を帯び、疫病を運ぶ。空気が重く濁っていく。
 明確な言葉など持たずとも、彼等の奏でる音楽には想いを伝える力がある。たとえそれが、捻じ曲がった身勝手な執着であろうとも。
「音楽で人を苦しめるなんて、楽師なら絶対に望まないぜ。そんなことも喪っちまってるとは可哀想に」
 音を力として振るう者として、ウタは彼等を素直に憐れんだ。
「海へ還してやる」
 かき鳴らされるギターの弦から風が吹き抜けた。狂気を浄化する破魔の旋律。
 同時に全身から噴き出した獄炎が炎渦と化し、疫病を焼却滅菌しつつ、炎によって生じる気流で吹き飛ばしていく。
 楽師達も負けじと狂気の旋律を重ねていく。音楽にとって数は力だ。互いの音色を塗り潰さんとする攻防は……楽師側が優位か。
「なかなかに厄介そうですね。ですが頭上からなら……」
 上空から的確に戦況を見て取り、ウィンディは短剣の形状をした純エネルギー体を周囲に紡ぎ上げた。燦然とした頭上の輝きに、楽師達の演奏がどよめくように乱れる。
「Exterminate……行きなさい、ファング!」
 大量に降り注ぐ光の短剣が楽器を持つ楽師の手元を貫き、あるいは足や背に突き立つ。そのうえ重ねられる支援狙撃。
 上空の狙撃手の存在に気圧されて、ウタと拮抗していた楽師達の布陣が後ずさるようにじりじりと後退を開始した。併せてウタも前進を開始、獄炎の火勢を強めて疫病の焼却範囲を広げていく。
 ……楽師の音色を聞いた者は、猟兵だけではない。
「ぐあああぁぁ……っ!」
 間近の家屋から男の声が上がった。
 視線を翻せば、粗末な民家の戸を蹴破って、突如として粗末な衣服の男が戦場に身を晒した。この街の住人だ。狂気の音色に侵食されて、尋常な様子ではない。
「くそっ……どうせみんな死ぬ、オレももう……死ぬんだぁぁぁ!」
 徒手空拳でウタに襲い掛かろうとする男。
 ウタは咄嗟に奏でる旋律を切り替えた。
「すぐに助ける、諦めるな! 希望は絶対ある!」
 破魔の調が呪詛を打ち払う。男は殴り掛かってきた姿勢のまま、前のめりに昏倒した。
 男の乱入によって拮抗に生じた綻びに、楽師達の旋律が盛り返し始めた。ウタとウィンディへと襲い掛かる狂気と疫病の旋律。
「……っ、音を避ける、というのは現実的ではありませんが……っ」
 ウィンディは目に見えない音の波動の、分厚い部分、薄い部分を直感的に嗅ぎ分け、残像を描きながら幾多にも回避していった。
 同時に光の短剣を楽師の足元を狙って飛来させ、動きを阻害したところを的確にロックオンする。
「的は大きい方が、当てやすいという物です」
 まずは身の丈にも及ぶコントラバスの奏者から。
 バスターライフルの精密射撃が、極太のエネルギー光線を照射し、コントラバスの楽師を塵も残さず蒸発せしめた。
 宙を自在に舞う天使が、光線で、ガトリングで、理力刃で、楽師を各個撃破していく。
 気勢を失った楽師達をウタの演奏が凌駕し、獄炎で一体一体滅していく。
 炎と光に彩られる戦場。
 疫病の旋律がやんだ頃、楽団と街の犠牲者への鎮魂曲が響き、それはやがて、人々の心に勇気を喚起する勇壮な調べへと転調していった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

七那原・エクル
七那原・望と参加するよ

「ベイルアウト・イマージュ」で病魔や疫病の「毒性エネルギー」を吸収して機械内部でろ過、蒸気に変化して排出して浄化する機能のスチームエンジンをボクの想像から構築

あらら、あまり小型化できなかったか…まぁ背負って移動することはできるからいっかな

「疫病楽団」は楽器を演奏して病を拡散させるなら楽器を狙い撃ちするかして優先的に破壊してみよう。

もし楽器を「弾くこと」で疫病を発生させるのではなく、楽器の音色に疫病を載せて拡散させているのであれば楽器の音色を遮断するのもアリかも

都市の中だから住居を極力破壊しないように大火力の武器は使用を控えないとね、住民を怖がらせしまうかもしれないしね


七那原・望
えくるん(f07720)と参加

狂気にはアニマルセラピー!
アマービレでねこさんをたくさん呼び出して、家屋に閉じこもった人々の元へ派遣、可愛らしい外見で癒やしを与えつつ、ねこさん達の【全力魔法】【オーラ防御】【結界術】で住民達を護ります。

供花伯が支配してた集落……アネモネの印象、もしかしたらあんまり良くないかもしれない?
悲しい花言葉も多いけど、良い花言葉もいっぱいのステキな花なのに。
あれらを倒したら教えてあげたいかな?

【第六感】と【野性の勘】で敵の動きや攻撃を【見切り】、回避しつつ【浄化】の【魔力を溜めた】【全力魔法】【フローラ・テンペスタ】で【範囲攻撃】。蹂躙します。

えくるん、トドメは任せるの!


●アネモネと弾丸
 門前の楽師達を蹴散らした猟兵達は、街の内部へと踏み込んでいた。
「うぅ……ぐぁぁ……」
「あ、は……アハハハハハハハッ!!」
「うっうっ、もういやぁぁ……」
 疫病と狂気が蔓延し、熱に浮かされたような苦鳴、狂った笑い声や泣き声があちこちから響いている。楽師の曲に操られて猟兵に襲いかかるのも時間の問題か。
 七那原・望(封印されし果実・f04836)は先手を打って、白いタクトを振った。
「狂気にはアニマルセラピー!」
 涼やかな鈴の音と共に現れた大量の魔法猫達が、街中に散っていく。一匹一匹が人々が頑なに閉じこもっている家屋の中へ。苦しむ子供を、今にも暴れ出しそうな大人を、死に瀕した老人を、心身とも分け隔てなく癒し加護を与えていく。
 徐々に収まっていく狂気の声、家屋の一軒一軒を包み込む淡い輝き。猫達に全力で魔力を注いで状況を維持しながら、望はひとまずほっと胸を撫でおろした。
 ただし、懸念が一つ。
「供花伯が支配してた集落……アネモネの印象、もしかしたらあんまり良くないかもしれない? 悲しい花言葉も多いけど、良い花言葉もいっぱいのステキな花なのに」
 そもそも花という存在を、彼等は理解しているだろうか。未知の存在を受け入れてくれるだろうか?
「あれらを倒したら教えてあげたいかな?」
 その為に、まず為すべきは、敵の掃討。
 街を見渡した望の視線の終着点には、七那原・エクル(ツインズキャスト・f07720)の姿がある。
「毒性エネルギーの吸収・濾過・蒸気変換・排出機能を持つ浄化スチームエンジン──ベイルアウト・イマージュ!」
 燦然とした輝きがエクルの足元に溢れた。光の中で複雑な機構が形を成し、輝きが退くと共に実体を得て蒸気機関が顕現した。
「あらら、あまり小型化できなかったか……まぁ背負って移動はできるからいっかな」
 武骨なスチームエンジンを背に担ぎ、エクルは望の視線に頷いて応えた。準備完了だ。
 楽団も望とエクルの動きに気付き、楽器をかき鳴らしながら包囲を狭めてきた。旋律が重なり広がり、音の範囲にいる者をことごとく狂気と疫病で冒してくる。
 が、その効果もエクルの背負うスチームエンジンを前にしては形無しだ。絶え間なく毒素を吸収し蒸気へと浄化して排出する機関が、エクル自身はもちろん傍らの望も、ひいては周辺の住民達さえ音の侵食から守ってくれる。
 手応えのなさに気づいた楽師の一人が顔色を変え、転調しようとしたその瞬間、手元でマンドリンが乾いた音を立てて破裂した。ハープが、サキソフォンが、アコーディオンが、ボンゴが、連続する銃声に合わせて次々に破壊されていく。
 演奏が乱れ、音の厚みが失われていく。同時に、疫病と狂気の猛威が薄らいでいくのがわかる。
「思った通り……!」
 手応えを感じて、エクルは途切れることなく小銃でピンポイントに敵の楽器を狙い撃っていく。
 楽師達は楽器を「弾く」という行為自体によって病を拡散しているわけではない。奏でた音色そのものが、疫病を載せて伝播しているのだ。
 ならば、楽器そのものを壊して、音色が出なくさせてしまえば良い。
 エクルの狙いは見事に的中し、楽師達は徐々に無力化されていった。欲を言えば重火器も使いたいところだが、住民の安全を脅かしたり怯えさせないためにも、取り回しの利く必要十分の威力の銃で各個に対処していく。
「ぐぎ……ああああああああああああ──ッッッ!!」
 突如として奇声が上がった。楽器を失った楽師の発狂だ。
 仲間達の演奏に感情の爆発と戦闘力強化を後押しされ、壊れた楽器を掲げて次々に襲い掛かってくる。肉弾戦に慣れた身のこなしではないが、数が多い。
「させない……! 愛と希望を込めて、舞い踊って!」
 自身に向かってきた楽師の攻撃を直感的に躱しながら、望は最大限に溜めた魔力をエクルへと殺到する楽師へと一気に解放した。
 吹き溢れ視界を埋め尽くす赤と白。それは、鮮やかなアネモネの花弁。
 人々を苦しめてきた供花伯と同じアネモネが、人々を苦しめてきた楽団を、押し流すが如く蹂躙していく。襲い掛かってくる者達は花弁に取り巻かれ身動きと方向を失い、後方の奏者達の旋律は大いにかき乱された。
「えくるん、トドメは任せるの!」
「ああ!」
 銃声が高らかに連発し、楽師達の額に次々と風穴が穿たれていく。
 噴き出す鮮血が、白の花弁を赤く染め替え、赤の花弁を艶やかに塗り替え、真紅の花嵐が戦場を美しくも残酷に彩っていった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ヘルガ・リープフラウ
・ヴォルフ(f05120)と
・アドリブ、他猟兵との共闘歓迎

歌は人の心に寄り添い、癒すもの
疫病を撒き散らし不幸と絶望をもたらすなど、あってなるものですか

わたくしたちの手で、人々に希望と祝福を……!

歌うは【シンフォニック・キュア】
祈り、優しさ、慰めを込めて
敵に立ち向かうヴォルフや仲間たちを援護しながら
今も病に冒され絶望に心沈む人々を浄化して

明けぬ夜はない、止まぬ雨はない
敵を焼き尽くすヴォルフの焔が反撃の狼煙となるならば
わたくしは、長い夜の終わりと朝の訪れを告げる
明けの明星となりましょう

喜びを分かち合い、悲しみは半分に
この世界に住まう遍く人々に、希望の歌声届けと


ヴォルフガング・エアレーザー
・ヘルガ(f03378)と
・アドリブ、他猟兵との共闘歓迎

門番たる支配者は倒れた
あとはこの街に蔓延する疫病と悪しき亡霊を一掃するだけだ

ヘルガや仲間達を敵UCの効果範囲外に留まらせ
勇気と覚悟、そして【守護騎士の誓い】を胸に突入
狂気に陥らせる演奏と疫病の苦痛は呪詛耐性、激痛耐性、狂気耐性で耐え抜く

俺の背後には、恐怖に怯え救いを願う無辜の民がいる
盾として人々を守り支えるは騎士の務め
この程度で倒れてなるものか
何よりヘルガの歌声が、俺を癒し支えてくれる
恐れるものは何もない!

鉄塊剣に炎の属性魔法を纏わせ、2回攻撃で敵を一気になぎ払い焼却
この炎は邪悪を焼き払う地獄の業火
そして俺達人類の、反撃の狼煙だ!


春乃・結希
with!今日はBGM付きなんやって
ちょっとお得な気分やね
みんなと一緒に種蒔くために、もうひと頑張りしようね!

いくら音色で惑わそうとしても
私が狂気に陥るなんて有り得ません
私の心は、愛する『with』が護ってくれるから【勇気】
疫病が身体に回って動けなくなる前に
みんな叩き潰してあげる

『wanderer』の出力を全開【ダッシュ】
素早く距離を詰め、蹴り飛ばし、拳で殴りつけ【怪力】、大剣を叩き付ける【重量攻撃】
全身を武器にして、身体が言う事を聞かなくなるまで、ひたすら敵を過去に還していく【覚悟】

この世界に、希望を結んでいく人達。猟兵を信じてくれるかな…
うん。大丈夫だよ、with。まだまだ…戦えるから…!


リーヴァルディ・カーライル
…今日この時をもっお前達、疫病楽団の演目は終了よ
かつての過去と同じく、お前達の支配者と同じ道を辿るが良い

UCを発動して早業の●防具改造で各種呪詛を乱れ撃ち、
敵の演奏は強化した病●毒耐性と●狂気耐性で聞き流し、
全身を●存在感を消す●迷彩の●オーラで防御して●闇に紛れる

…これ以上、お前達の馬鹿騒ぎに付き合うつもりはないもの

…何が起きたかも分からない内に片付けてあげるわ

●地形の利用した疑似●空中戦機動の●ダッシュで死角に切り込み、
大鎌を武器改造した手甲剣を●怪力任せに突き刺して、
●生命力を吸収して●盗み体●力を溜め●暗殺して回る

…頭上注意よ。なんて、もう聞こえていないでしょうけど…


●守る者、闘う者
 戦線は徐々に街の内部へと食い込んでいく。
 広場に陣を敷いて展開する楽団の前へ、ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)は力強く踏み出した。
「門番たる支配者は倒れた。あとはこの街に蔓延する疫病と悪しき亡霊を一掃するだけだ」
 仕草でパートナーと仲間達を制して後方に留まらせたまま、ヴォルフガングは独り、走り出す。複雑に綾なす楽団の旋律のさなかへと。勇気と覚悟、そして『守護騎士の誓い』を胸に。
 重なる音色が心を揺さぶる。狂気を煽る。病で冒す。ヴォルフガングはただ耐える。呪詛も激痛も狂気も全てを耐えて耐えて耐え抜いて、ひたむきに敵陣へと突撃する。
 愛する者、無辜の民を守るのだ。その確たる決意のもと、我が身が窮地に追い込まれるほどに、ヴォルフガングの肉体は力を漲らせていく。
 迷いのないヴォルフガングの背を、ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)は様々な感情の入り乱れる眼差しで見送ったのち、静かに目を伏せた。
「歌は人の心に寄り添い、癒すもの。疫病を撒き散らし不幸と絶望をもたらすなど、あってなるものですか」
 瞼が持ち上がり、再び現れたその双眼には、毅然とした決意に輝いている。
「わたくしたちの手で、人々に希望と祝福を……!」
 歌うは『シンフォニック・キュア』。
 祈り、優しさ、慰めを籠めて響く美しい旋律が人々の心に届く。各々の戦場で戦う猟兵達、家屋に隠れて息を潜める住人達、そして、孤独な突撃を敢行したヴォルフガングにも。
 戦う者には疫病を癒す加護を。病に冒され絶望に心沈む人々には、浄化を。
「っ……俺の背後には、恐怖に怯え救いを願う無辜の民がいる……っ」
 ヘルガの歌を背に受けながら、ヴォルフガングの突進は重奏の深部へと至ろうとしていた。
「盾として人々を守り支えるは騎士の務め。この程度で倒れてなるものか……」
 疫病と狂気の重奏の分厚い力場に阻まれ、全身は酷く重い。激しい悪寒に脂汗がとめどなく噴き出てくる。
 だが、足を止めるなどという選択肢は、はなからヴォルフガングの辞書にはないのだ。
「何よりヘルガの歌声が、俺を癒し支えてくれる。恐れるものは何もない!」
 心に響く歌声に勇気と覚悟を奮い立たせ、肉体を癒す柔らかな輝きに最後の踏み込みを後押しされて、ヴォルフガングは振りかぶる鉄塊剣に炎を纏わせ敵陣へと突っ込んだ。楽師達がどよめきたたらを踏むが、もう遅い。
「この炎は邪悪を焼き払う地獄の業火。そして俺達人類の、反撃の狼煙だ!」
 炎の残像が弧を描いたのは、二度。
 身を寄せ合うように演奏していた楽団の一塊が、猛火に巻かれて塵も残さず焼却された。
 楽師と疫病を焼き払った炎が、禍々しいまでの黒煙を立ち昇らせる。あたかもそれが、反撃の狼煙であるかのように。
「明けぬ夜はない、止まぬ雨はない」
 燃え盛る炎を背景に屹然と佇むヴォルフガングの背を見つめるヘルガは、いつの間にか微笑んでいた。
「敵を焼き尽くすヴォルフの焔が反撃の狼煙となるならば。わたくしは、長い夜の終わりと朝の訪れを告げる、明けの明星となりましょう」
 喜びを分かち合い、悲しみは半分に。
 この世界に住まう遍く人々に届けと、希望の歌声は絶え間なく街を満たしていく。
「with! 今日はBGM付きなんやって。ちょっとお得な気分やね」
 楽団の演奏も、ヘルガの歌声も、皆ひっくるめて楽しんでしまうのが春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)だ。
「みんなと一緒に種蒔くために、もうひと頑張りしようね!」
 最愛の恋人である大剣さえ共にあれば、彼女は決して揺るがない。いくら音色で惑わそうとしても狂気になんて陥らないと、信じている。
「私の心は、愛する『with』が護ってくれるから」
 withがいるだけで無限に湧いてくる勇気。人に言わせればそれはもうとっくに狂気なのかもしれないけれど。
 心に一つ芯が通っているから、決してぶれることはない。
 だから、あとはもう、疫病が身体に回って動けなくなる前に、
「みんな叩き潰してあげる」
 前傾気味に低く重心を取った瞬間、出力全開にしたブーツの吐き出す蒸気を推力にして、結希の身体は大量の砂塵を上げながら敵陣へと飛び出した。
 距離を詰めるのはほんの一瞬のこと。直前まで演奏に没頭していた楽師達は、とてつもない衝撃に蹴り飛ばされるまで、あるいは拳の怪力に殴り飛ばされるまで気づかなかっただろう。立て続けに大剣を叩きつけられた楽師に至っては、何が起きたかすら理解できぬまま真っ二つに叩き割られ、煙の如く消滅し果てた。
「この世界に、希望を結んでいく人達。猟兵を信じてくれるかな……」
 居並ぶ数々の家屋は、未だ沈黙したまま。
「うん。大丈夫だよ、with。まだまだ……戦えるから……!」
 倒し、倒し、倒し尽くす。
 結希にとっては全身が武器。肉体が言うことを聞かなくなるまで、乱闘を演じ続ける。覚悟をもってして、ただひたすら敵を過去に還していく。
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)もまた、歌声を耳にしながら敵群と対峙していた。
「……今日この時をもって、お前達、疫病楽団の演目は終了よ。かつての過去と同じく、お前達の支配者と同じ道を辿るが良い」
 瞬間、リーヴァルディの纏う装束が刹那にして切り替わった。闇に溶け込もうかという黒々とした黎明礼装へ。
 多種多様な呪詛が黒き衣から解き放たれ、敵陣を乱れ撃つ。楽団に降り注ぐ禍々しい黒雨。
 楽団は回避するでもなく呪詛を耐え、演奏で対抗してくる。気が狂いそうなまでに大量の音を重ねに重ねた多重奏。
 リーヴァルディは強化された病そのものである演奏を耐性任せに聞き流しながら、建物の影に滑り込んで闇に紛れた。
「……これ以上、お前達の馬鹿騒ぎに付き合うつもりはないもの」
 追いかけてくるきらびやかな音色に向けて独りごちつつ、家屋の裏から裏へ、屋根から屋根へと駆け上がり、瞬く間に敵群の頭上へと躍り出た。
「……何が起きたかも分からない内に片付けてあげるわ」
 頭上を駆け抜ける人影に気づいた様子の楽師はいない。
 リーヴァルディは瞬時にして大鎌を手甲剣に変じさせ、真下に向けて一息に斬り込んだ。怪力任せの一突きが、一体の楽師の頭蓋をあっけなく割る。
「……頭上注意よ。なんて、もう聞こえていないでしょうけど……」
 蒸発していく楽師から生命力を吸い上げて、リーヴァルディはさらなる音の暴力に襲われる前にその場から離脱した。
 黒々とした暗殺者の影が戦場のあちこちを飛び回り、楽師達の命を順々に脅かしていく。
 希望の歌声が続く限り、あるいは全員が滅びるまで、楽師達の悪夢は終わらない。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵