囚われの姉妹姫を救え(作者 骨ヶ原千寿
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#アポカリプスヘル  #ヴォーテックス・シティ 


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#ヴォーテックス・シティ


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 悪徳の都、ヴォーテックス・シティ。
 其処では、暴力こそが唯一絶対の理であり、弱者は全てを奪われる。

「へ、へへっ。ホントに可愛らしい顔をしてるな、コイツらは…!」
 下卑た男の言葉が、地下牢に響く。
 牢の中に捕らえられているのは、艶やかな銀髪の若い娘たちだ。その数は十二。彼女たちの肌は雪のように白く、細い肢体は壊れ物のように美しい。姉妹である彼女たちの顔はそれぞれに似通っているが、瞳の色だけが異なっている。ある者は紅玉のような赤い瞳を、ある者は瑠璃の瞳を、翡翠の瞳をそれぞれが持っている。宝石のような瞳は恐怖に揺れていて、自分たちを奴隷として売り飛ばそうとする男たちを映している。

「―――これだけ数がいるんだ。ちょっとくらい『味見』しても…」
「馬鹿野郎ッ! 『兄貴』にバレたら全員消し炭になっちまう!」
「コイツらは姉妹揃って『一式』だからなァ。遺跡から掘り出した正真正銘の『新品』だ。指一本触れるんじゃ無ぇって『兄貴』も言ってたぜ?」

 鉄格子の向こうから不躾に注がれる視線に、姉妹たちは互いを守るように体を寄せ合った。


「―――キミたちに頼みたいのは、奴隷の救出任務だよ」

 集まった猟兵たちを前に、アストリッド・サンドバック(不思議の国の星占い師・f27581)は端的に依頼の趣旨を伝えた。折角だから、とアストリッドは猟兵たちにコーヒーとビスケットを勧めながら話を進めていく。

「場所はアポカリプスヘル……オブリビオン・ストームにより人類の大半が死滅した世界だね。その世界に、悪徳の都ヴォーテックス・シティと呼ばれる街があるんだ」

 ヴォーテックス・シティは、ある意味で最もアポカリプスヘルらしく発展した場所といえるだろう。「髑髏と渦巻」の紋章を掲げるヴォーテックス一族が支配するこの街は、あらゆる悪徳と退廃、混沌の坩堝だ。かつての都市の遺構、大型機械の残骸、大洞窟などが複合して形成された巨大都市は雑然としている。そこは強者が君臨し弱者から全てを奪うという、単純極まりない暴力で動く世界だ。

「今回、救出対象となる奴隷は、フラスコチャイルドの姉妹になるよ。―――なんでも、姉妹十二人が揃って売り飛ばされる直前のようだね。あの世界らしいとは思うけれど……予知で見えてしまったからね。どうか助けてあげて欲しい」

 『姉妹』が囚われているのは、かつて軍事施設であった遺構の地下部。施設内には大勢のレイダー達が居住しており、警備にも相応の人数が割かれている。潜入して彼女たちを救出するには、それなりの『策』が必要となるだろう。

「仮に救出が成功したとしても。今度はキミたちと『姉妹』が無事にヴォーテックス・シティから脱出する必要がある…。…相手のレイダーだって必死に追いかけてくるだろうけれど、街の外までは何とかして離脱してくれ」
 手段は問わない、とアストリッドは温度の無い声で告げる。レイダーたちは車両や二輪車などを利用し、機動力を活かして猟兵たちの逃走を阻むだろう。猟兵たちも車両を強奪するなり、放置された機械を利用する等して、逃走の為の『足』を確保することが望ましい。勿論、自前の能力で逃走する自信があるのなら、それでも構わない。

「そして、最後に。レイダーたちが『兄貴』と呼ぶ男もキミたちを追ってくる筈だ。……気をつけてくれ。彼はヴォーテックス・シティにおいても強者の一角、侮れない強さの持ち主だよ。その性質は苛烈にして酷薄。逃げるキミたちを潰す為なら何だってするだろう……どうか、死なずに戻ってきてくれ」

 無事を祈っているよ、とアストリッドが呟くと、彼女のグリモアが万色に煌めいた。猟兵たちを浮遊感が包み、転移が開始される……!


骨ヶ原千寿
 8作目です。コツガハラと申します。
 補足説明です。

 第一章は「奴隷の救出」です。
 囚えられた『姉妹』を地下の牢屋から助け出す必要があります。潜入、強襲、陽動…etc. 何とかして警備するレイダーたちを出し抜き、地上まで奴隷たちを連れて来てください。

 第二章は、追いかけてくるレイダーたちとの逃走劇です。彼らは車両、二輪車などを利用して追撃してきます。『敵の機動力に対抗する』プレイングにはボーナスが入ります。また、周辺には放置車両などの機械が存在する為、それらに乗り込んで逃走する事も可能です。

 第三章は、現時点では詳細不明です。
 『兄貴』と呼ばれている存在が現れます。『周辺被害の減少、奴隷たちの安全確保』に留意する必要がある…かもしれません。また、『超巨大兵器』が出現する可能性が示唆されています。

 十二人の姉妹姫について。
 とある遺跡で目覚めたばかりのフラスコチャイルドの姉妹です。全員が絶世の美少女で、外見年齢は上から下まで幅広く……プレイングでそれとなく記載いただければ、それとなく描写させていただきます。

 頑張って書かせていただきます。
 縁ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『セーブ・ザ・スレイブ』

POWレイダーを腕力で成敗する
SPD逃走経路を探し、秘密裏に奴隷を逃がす
WIZ自身もあえて奴隷となり、現地に潜入する
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


リアン・ブリズヴェール
【ソロ希望】【アドリブ歓迎】【WIZ判定】

「なんとか姉妹の皆さんを助け出したいです」

まずは【魅了変化】で20代前半の魔法少女姿に変身します、そして略奪をしているレイダーの前に1人で出てきて格闘戦をして懲らしめますが、あえて途中から数に押されて負けてしまい奴隷となります。
その時に拘束具による拘束や味見などをされても抵抗したり破壊したりせずに大人しく奴隷となってフラスコチャイルドのいる部屋にまで運ばれます

姉妹達に出会ったら、牢を破壊して脱出します
その時にレイダーに見つかっても自分が囮となって姉妹たちを逃がします

囮となって捕まっても、抵抗したりして姉妹達がなるべく遠くまで逃げるように時間稼ぎをします


 悪徳の都、ヴォーテックス・シティに平和は無い。
 そこにあるのは、常に誰かが誰かを一方的に殴り飛ばし、奪い尽くす事によって生み出される虚構の繁栄だ。此処で豊かな生活を送っている者は、例外なく他者から搾取することで成立している。ごく一部の『奪う者』と、その何十、何百倍もいる『奪われる者』という絶対の構造が、歪なまでに都市を巨大に変貌させる。食料、物資、知識、肉体、心、尊厳……あらゆる物は収奪によって財となり、そのヒエラルキーの頂点へ、『支配者層』へと集められる。奪われたくなければ奪うしかなく、優しさや美徳は何の役にも立たない。ただ『悪』となり、より強大な存在へと追従して暴虐の連鎖の一部として振る舞う事だけが、この『街』で賢く生き残る為の術なのだ。
 『基地』の周辺をうろついているモヒカン頭の男たちは、この『街』で実に上手く立ち回った者たちだ。彼らは他者からモノを奪えるくらいに強く、そして奪うことに呵責も葛藤も持っていない。アポカリプスヘルの厳しい環境では、他者へと分けるだけのパイは存在しない……であるならば、自己の生存を至上とするならば、短期的には他者から全てを奪い尽くすのが手っ取り早いのだ。そして、一度でも奪う側に回ってしまえば、その甘美な蜜の味は人間を狂わせる。

 そんな退廃を煮詰めた街の底で、一人の少女が歩みを進めている。その表情は酷く怯えているようで、内向的な心象を映し出しているように顔色は優れない。アポカリプスヘルにあっては『弱く、狙いやすい獲物』としか認識されない弱気さを隠し切れないでいるのは、リアン・ブリズヴェール(微風の双姫・f24485)である。

(なんとか姉妹の皆さんを助け出したいです)
 内心でリアンが考えるのは、この『基地』の地下に囚われている『姉妹』たちの事。その動機と感情に、リアン自身の過去が重ねられていたのかは定かではない。しかし、助けたいと思う彼女の想いは真実だ。

 ゆるやかな曲線を描く緑髪に、揺れる藍色の瞳。上等な衣服を身につけているともなれば、ヴォーテックス・シティでは高級店に所属する商売女か、あるいは有力者の情婦あたりにしか見られない容姿である。それ以外の美しい女は、街の底に沈められて二度と陽の目を見られないのが常だ。……故に、最初にリアンの姿を見留めたモヒカン頭の男が考えたのは、『兄貴』の新しい女かな?という胡乱な推理であった。彼は適当にかっぱらってきた酒瓶を呷りつつ、ぼんやりとした脳髄で少女然とした影を追っていた。

 その思考は、数瞬の後に裏切られる事になる。
 白き光を身に纏い、リアンの姿が大人びたモノへと変化する。身に纏う服は、異世界ならば『魔法少女』と呼称されるようなドレス姿。モヒカンが超常的な光景にあんぐりと口を開けると、リアンはユーベルコードの力を開放させて一歩踏み込んだ。一息で男の懐に飛び込み、軽く膝を曲げるようにして体重を前方へと移動させる。その勢いを殺さずに、背中から体当たりを打ち込めば―――生じるのは、痩躯からは想像もつかぬ衝撃力だ。

 モヒカンが横方向に飛んでいき、冗談のように壁へと叩きつけられた。
 周辺に居た男たちが、その光景を視認し、眼前の信じがたい状況を認識するのに数秒を要した。

「・・・ンだ、テメェ! 此処が『兄貴』のシマって知ってンのかコラぁ!」
「オレら『獄炎組』に盾突こうたぁイイ度胸じゃねぇか、このアマぁ!!!」

 モヒカンたちとて馬鹿では無い。無能な人間がのほほんと生き残れるほど、この悪徳の都は生易しくないのだ。脅威を認識すると同時に、周囲の数名が懐からナイフを取り出して吶喊する。正面から来る男は刃を腰撓めにしてリアンに突っ込み、左右後方に展開した男二人は後ろ手にナイフを隠したまま距離を詰めてくる。

 男たちの攻撃に、リアンは徒手空拳で立ち向かう。正面からの刺突は己の体の中心を左に逸らし、男の腕を取るようにして回るように捌く。男を勢いのままグルンと一回転させて投げ飛ばし、仲間の男と衝突させる。その動きに気を取られた隙に、もう一人へとリアンは相対する。一対多の鉄則は囲まれない事、そして動き続ける事だ。男たちが同士討ちを避けようとする程に、リアンは一対一の格闘戦を連続で行うことで何人ものモヒカンを地に伏せさせていく。その動きは流麗な型のように淀み無く、細い腕と脚が閃いてモヒカン男たちに痛打を与えていく。

「―――こ、コイツ。『ゴッドハンド』かッ! 畜生! 何処から来やがった!?」
 誰かが叫んだ声に、リアンを囲む男たちが色めき立つ。神の拳、とまで綽名される武術の達人。それは世紀末めいたアポカリプスヘルにおいては眉唾めいた噂でありながらも、誰もが畏敬を抱く存在である。己の拳のみを頼りに世を渡る無頼の侠客。こんな若い女が「それ」であるとは信じ難かったが、仲間たちがまとめて叩き伏せられたのは現実だ。

 だが、男たちは次第に冷静さを取り戻す。敵は女一人。たしかに強いが、数で勝る男たちが囲めば早々突破されることは無い。そして―――。

 数発の銃弾が、リアンの足元に着弾する。
 リアンに向けられているのは、無数の銃口だ。個としてリアンが強くあったとしても、男たちは数と武器で対抗する。増援は機関銃を携えて集結し、少し離れた地点からはライフルを構えた射手が、あるいはロケット砲を担いだ男が剣呑な視線を向けている。
 じ、と双方が睨み合う硬直の数瞬を経て、リアンは降参、とばかりに両手を挙げた。元より武器らしい武器を持っていないリアンであるが、そのジェスチャーを見て現場指揮官らしき男……眼鏡をかけた知的なモヒカン男……が姿を現した。

「―――女。何処から来た。何者だ」

 問い詰める口調は、尋問のそれだ。部下に手錠と鎖を用意させつつ、現場指揮官はリアンへと質問を投げかける。周囲を取り囲む男たちは銃口を向けたまま、一触触発のヒリつく空気だけが流れていく。無言のままのリアンに、現場指揮官は嘆息すると部下に拘束するように命じた。
「答えたくないなら、良いさ。それに―――」
 モヒカン男たちがリアンの手に手錠をかけ、足枷を嵌める。更には動きが取れないように太い鉄鎖でグルグル巻きにして、念入りにリアンを拘束する。
「―――それに、時間ならたっぷりあるからな。 ・・・連れていけ」
 無音のまま接近した現場指揮官が、リアンの首筋にシリンジを突き刺す。
 シリンジ内部の薬液が血管に注入されると、リアンの意識は混濁し、やがて暗転した。

 次に、リアンが目を覚ましたのは、狭い牢の中だった。

 衛生度はアポカリプスヘルにしては良好な牢獄。『基地』と呼ばれているだけあり、文明崩壊前の設備が一部で生きているらしい。空気の流れは澱んだモノではなく、換気扇か何かの空調設備が稼働している事を示している。鉄格子も錆一つなく堅牢な造りで、無機質なこの部屋だけを切り取ればUDCアースやヒーローズアース世界の同様な設備と遜色あるまい。

(ここは―――)
 リアンは、己の状況を確認する。
 手錠、足枷、そして体に巻きつく鎖は意識を失う前に見たのと同じ状態。服装も脱がされたり乱暴をされた形跡は無く、リアンが想定していた『最悪』よりは相当に良い待遇で運び込まれたようだ。
 その理由―――耳を澄ましたリアンは、周囲の床や壁を伝わってくる音から理由を察した。他の猟兵たちも、作戦を開始しているらしい。襲撃、陽動、潜入……様々な手段で、他の猟兵たちも既に動いているのだ。あちこちから響くのは爆発音と、応戦するモヒカンたちの怒鳴り声、そして銃声と警報だ。……そんな混乱の中、素性も判らぬ女一人、とりあえず放置しておけとリアンは牢に入れられていたらしい。

 ―――ならば、都合が良い。
 元より、リアンが派手にレイダーたちに攻撃を仕掛けたのは、わざと拘束されて、奴隷として潜入するためだ。ある種の『覚悟』をしてまで潜入する心算であったが、己の身が五体無事のまま『基地』内部に這り込めたのであれば十全である。唯一、誤算であったのは、フラスコチャイルドの『姉妹』とは別所に運び込まれてしまった事か。

 リアンは腕と脚に力を籠めると、拘束を玩具のように破壊する。自由になった両の手で鉄格子を握ると、飴のように曲げて牢から脱出した。
 ・・・その様子を見て、信じられないとばかりに目を丸くしていた警備のモヒカンが居た。声を出そうとする彼の口を手で塞ぎ、鳩尾に突きを入れて昏倒させる。泡を吹きながら崩れ落ちるモヒカンを横目に、リアンは基地内部で活動を開始する。

 ・・・『姉妹』が捕まっているのは何処か、まずは捜索から始めねばならない。妨害してくるレイダーの排除、および足止め。逃走経路の確保、時間稼ぎ……するべき事は無数にある。狭い通路で遭遇するモヒカンたちを殴り飛ばし、蹴り飛ばしつつ、リアンは『救出』の為に走り出した。
成功 🔵🔵🔴

月影・このは
フラスコチャイルド、作られた者として親近感を感じます
はい、対ヴィラン用量産型戦闘ロボ518号。これより奴隷救出任務に従事します


と言っても、そういった潜入工作技能を備えてはいないので…
(ブーストナックルによる『重量攻撃』【&誘導弾】)
はい、正面からの強襲で暴れ、他潜入する猟兵のために陽動となりましょう

攻撃をバトルホイールの回転にて受け流し月影重工製戦闘スーツで受け止め【盾受け】
遠い敵には目から放つレーザーにて牽制【援護射撃】
ブラストブーツの炸薬にて接近し【ダッシュ】
この両手足にて『グラップル』


正義の心なき力は暴力と言います
つまり暴力+正義は絶対の理

悪に負ける道理は無しです!


 ・・・時は少し遡る。

 『基地』正面、通常ならば金網や有刺鉄線、防護柵で厳重な警備が敷かれている筈の場所は、文字通りの戦場となっていた。

「―――はい、対ヴィラン用量産型戦闘ロボ518号。これより奴隷救出任務に従事します」
 そう呟きながら強襲を掛けたのは、月影・このは(自分をウォーマシーンと思いこんでいる一般ヤドリガミ・f19303)だ。彼は己の左腕を前方に向けると、その肘を右手で抑えるようにする。

「穿て正義の鉄拳! ブーストナックルッ!」
 叫びと同時、切り離された左腕がロケットの如くに飛翔して、入口の設けられていたゲートを粉砕する。爆発で数名の男たちが吹き飛ばされ、悲鳴と怒号が周囲を飛び交う。不意を撃つこのはの初撃は、見事にゲート周辺部を鉄火場へと変貌させたのだ。

 ―――今回の任務において、グリモア猟兵が例示として第一に挙げていたのは、『基地』への潜入である。大勢のレイダーが存在する施設であることが予想されており、突破するには何らかの『策』が必要になるであろう、とも。

 だが、このはは潜入工作技能を備えていない。それは、月影重工製の戦闘ロボであるという彼のアイデンティティでは所有せざる能力であった。『正義の為に戦う鋼鉄の戦士』である彼の役割には、こそこそと潜入したり、闇夜に乗じて暗躍するようなシチュエーションは想定されていなかったのだ。彼は、そうあれかしと望まれたがゆえに、そのように存在する被造物。正義であれと願われた想いの産物である。その点、同じく誰かに作られた者として、フラスコチャイルドに親近感を感じているのだが…。

(はい、正面からの強襲で暴れ、他潜入する猟兵のために陽動となりましょう)
 己の性能を理解した上で、彼は己の役割に徹する。胸に宿すのは正義の心、動力は電気、その身は鋼鉄にして敵を砕く。彼にとって、悪<ヴィラン>を相手に大立ち回りをする事は本望であり本懐だ。加えて、他の猟兵の潜入・工作の援護になるのであれば、自分が陽動を行うのは役割分担としても適任と思えた。他の猟兵の『策』を成就させる為に、このはは敵正面を派手に掻き乱す。

「ッけんなコラー!? 舐めてンのかコラーっ!!!」
「テメェら起きろッ。敵だっ、警報鳴らせーっ!」

 サイレンが鳴り響くと、どこからともなく男たちが現れた。地下に伸びる通路や穴から出てくるその様子は、巣を突かれたアリやハチを連想させる。彼らが鍛え上げられた腕に握るのは鉄パイプや鉈のような近接武器、あるいは銃器を持ち出す者も居る。それらを見て取りつつ、このはは一瞬だけ瞑目した。

 次の瞬間、彼は弾けるように前方へと飛び出す。―――否。足元の地面が『弾けた』……ブラストブーツに仕込まれた炸薬が起爆し、轟音と共に彼の身体を前方へと推進させる。爆風を巧みな身体制御で乗りこなせば、彼我の距離は瞬時に縮まって白兵戦の距離となる。
「んなァ……っ!?」
 咄嗟にモヒカンが反応し、手に握った斧を振り下ろすが……遅い。このはの手足に装着された動輪が高速回転すると、回し受けの要領で敵の凶刃の軌道を逸らす。そのまま、とん、と握り拳をモヒカンの胸板へと押し当て、裂帛の気合いを込めて両脚で大地を踏みしめる。

 発生したのは、零距離からの爆発めいた衝突だ。地面からこのはの両脚を伝い、右腕からモヒカンの胸板までを一直線に力が走る。このはの鋼鉄の身体から生じる質量と速度が、寸分のロスも無くモヒカンの胸部に吸い込まれる。その結果……モヒカン男を襲った衝撃は、アクセル全開の車両と正面からぶつかったのと同種同等のエネルギーだ。モヒカンは断末魔すら漏らせず「くの字」に折れ曲がって吹き飛んだ。

「この餓鬼がァぁあ!!」
 2m近い巨体の筋肉ダルマが、同じく巨大な鋼鉄製のハンマーをこのはへと振り下ろす。ガチリ、と金属が打ち合わされる音が響き、筋肉ダルマの表情が驚愕へと変わる。身長差にして80cm近く、体格だけを比べれば巨人と子供にも見える絶望的な差が……このはの右腕一本で止められたのである。
 しかも、ただ受け止められたのでは無い。このはの右腕はハンマーを正面から受け止め、それを五指を広げるようにして掴み取っている。筋肉ダルマがどれだけ力を込めても、鋼鉄のハンマーはこのはに押さえつけられて小揺るぎもしない。
「ば、化けモンか…ッ!?」
 思わず口走った筋肉ダルマに、このはの目が僅かに細められる。瞬間、影すら見えぬほどの二連の蹴撃が、筋肉ダルマの身体を空中へと打ち上げた。


「チっ! オラぁ寝てんじゃねェ野郎共! 銃だ、銃持って来い! コイツ強ェえぞ…!!!」
 近接戦では勝ち目が無い。そう判断したモヒカン頭の警備班長は、それなりに有能ではあった。彼らは散弾銃や小銃を手に取ると、嵐のようにモヒカンたちを吹き飛ばしているこのはへと銃口を向ける。
 ……彼らに誤算があったとすれば、このはも射撃攻撃が可能だったという事だろう。
 遠距離から狙撃しようと試みていた男を視認すると、このはの眼がキラリと輝いた。そこから発生するのは、眼球に埋め込まれたレーザー照射機による熱線の一撃である。彼にとっては、『見る』事と『狙いをつける』事は限りなく同義だ。自分を狙う射手を認識した次の瞬間には、正義のレーザー光線が相手を射抜いている。

「正義の心なき力は暴力と言います……」
 底冷えするような声が、『基地』正面ゲートに響いた。少年の姿をした戦士が、周囲を睥睨する。……この街に蔓延っているのは、暴力だ。力を振るう男たちに他者を思い遣る心は無く、女子供や老人を、弱き者を救う為に力を尽くす者はいない。

 力無き正義は無力だ。だが、正義無き力は暴力でしかない。―――故に、少年は拳を握りしめる。彼の身体は想いで構成されている。正義であれと願われたそのカタチが、金属装甲と戦闘スーツを身に纏う。ただ燃える心が動力炉を最大出力で駆動させ、周囲に満ちる暴力へと立ち向かわせる。
 なぜならば。力と正義の組み合わせこそが、彼の信じる絶対の理であるからだ。正義は負けない。正義は挫けない。正義は……必ず勝つのだ。
「―――悪に負ける道理は無しです!」

 地面を割り砕き、狙い澄ました矢の如くに、このはの身体は飛翔した。あとに続くのは応戦する銃撃の嵐。戦いの音が『基地』を包み、ヴォーテックス・シティの一角を揺るがしていく…!
成功 🔵🔵🔴

 ―――『基地』各所で警報音が鳴り響き、レイダーたちに襲撃を知らせる。

「何だァ!? どこの『組』がカチ込みかけて来やがった!?」
「知るか馬鹿! ンなコトより応戦しろ、突破されッぞ!」
「とんだ厄日だな畜生め!!!」

 筋肉隆々としたモヒカンたちが武器を手にして駆け出していき、『獄炎組』の戦力の過半が謎の襲撃への対処に回される。怒号が行き交い、『基地』の警備にも混乱と狂騒が伝染する。銃声は絶え間なく鳴り、前線への指示と未確認情報が錯綜する。

「マズいな…。襲撃の規模が大きい。敵の狙いは……まさか、『内部』か?」
「仕方無ェ! 隔壁閉じろッ。集められるだけ、外から兵隊持ってこい!」

 慌ただしく走り回るモヒカンたちが恐れるのは、襲撃による被害―――では無い。
 『獄炎組』が唯一恐れるのは、自分たちの『兄貴』の逆鱗に触れる事、ただ一つなのだから。

「・・・『商品』は地下に隠せっ。持ってかれたらタダじゃ済まねぇぞ!!」
「『奴隷』は逃げないように独房へ叩き込め! 脱走するようなら撃ち殺せ!」

 フラスコチャイルドの十二姉妹が、モヒカンたちに牢から出されて連行されていく。彼女たちは、今の基地内部で最も高価な商品だ。値打ちがあるモノを襲撃者に奪われてなるものかと、レイダーたちは彼女たちを別場所へ、姉妹を別々の個室へと連れ出していく。彼女たち全員を奪われるなどすれば、警備の面子は丸潰れである。何より、怒りに燃え狂う『兄貴』など考えたくもない。フラスコチャイルドの姉妹は離れ離れにされ、別々の部屋に鍵を掛けられて監禁される。

「―――絶対に、コイツらを外に出すんじゃねェぞ!」


(想定よりも多くの参加をいただきまして、リプレイ執筆期限であったプレイングを
 一旦、お返しさせていただいております。もし宜しければ、再送いただけましたら幸いです。)
エドゥアルト・ルーデル
美人姉妹!早急にお助けせねばでござるねデュフフフ!!

入り口から遠くの壁を【破壊工作】、具体的には爆破なりで派手に音を立てて入り口の警備が薄くなってから堂々と侵入ですぞ
牢屋までの道中は【ダンボール】を被り【忍び足】でスニーキング、どうせ後で戦になるだろうしステルスキルして数を減らしつつ進みますぞ!

変形させた【流体金属】に牢屋の解錠をさせつつ人質を安心させるとびっきりの笑顔を見せながらご対面!ハァイ調子いい?
内なる興奮を抑えながら救出対象のお持ち帰…護送する際も一緒のダンボールを被って脱出でござるよ
ドゥフフ…もっと密着してくれてもいいのよ

どころで何だが拙者ロリっ子がいると滾るでござるよ


 軍事施設とは、その特性上、敷地及び建物における出入口・導線が定められている。この『基地』であれば、正面ゲートが正規の入口だ。

 警備とは、人員をピンポイントに配置する事により、施設全体の安全を確保する為に実施されるものである。広い施設の全てに警備を割り振るなど不可能であるし、そんなコトをすれば人員が幾らいても足りない。故に、警備を実施する人間が考えるのは、人員を何処に配置すれば最も効率的か、という点になる。そこで、外部と内部を隔てるために高い壁やフェンス、有刺鉄線などを利用し、唯一の出入口であるゲートに人員を集中投入するのである。
 もし、正規のルート以外で入ろうとする者がいたとすれば、それは不審な侵入者であると判別される。有事になれば内外の境界となる箇所をピンポイントに封鎖し、外部からの敵を即座に区別できるようにするのが警備・防衛における基本である。―――だが、それを徹底させるには、相応の錬度と規律が必要である。

 突如、『基地』地上部の建造物、その側面が爆発により吹き飛ばされた。
 当然ながら、壁が崩れ落ちてしまえばそこから建物内部に侵入することが可能となる。また、爆発によって負傷した人員を後方に下げ、別の人員を再配置する必要も出てくる。被害状況の確認も必要であるし、その情報を伝達する事も速やかに行わなければならない・・・何が発生するかといえば、現場の人間は大混乱に陥るのである。
 警備をしているモヒカン男たちは多少腕っぷしに自信があり、銃器や暴力の扱いに長けている人間かもしれない。しかし、彼らの専門は『奪う事』だ。足を止めて防衛線を構築することに慣れていないし、冷静に規律とマニュアルを遵守してインシデント対応するような訓練を受けている訳でも無い。彼らの中には右往左往する者がおり、持ち場を離れてしまう者があり、注意や警戒が疎かになってしまう者が出るのである。

 故に、建造物の側壁が爆破された時に、それが派手な陽動であると見抜ける者はいなかった。本来であるならば交代要員の到着や別命あるまで死守しなくてはいけない入口が、僅かな時間、無防備となる。そこに不敵な笑みを浮かべた男が、正面から堂々と侵入を果たす。彼こそが警備の目を爆破による陽動で逸らした本人、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)である。彼は『基地』に馴染むような迷彩服を着込み、慌てふためく警備を尻目に内部へと歩いていく。

「―――美人姉妹! 早急にお助けせねばでござるねデュフフフ!!」
 思わず彼の脳から漏れ出すのは、この地下で囚われているであろう、件のフラスコチャイルドの姉妹の事である。全員が世間知らずの美少女で囚われの身、十二人の姉妹<シスター>で姫<プリンセス>とか属性盛りすぎでござるな。マジかよアポカリプスヘルの昔の研究者、あいつら未来に生きてんな。姉妹揃って無知シチュとか夢が広がりんぐでござる……などと、胡乱な想像を膨らましている。だが、彼のブーツは音を殺して踏みしめられているし、表情の笑みには余裕は浮かんでも油断は無い。歴戦の傭兵であると事有る毎に嘯くエドゥアルトの歩く姿は、非常に自然なモノだ。必要以上の気負いも緊張も無く、こんな事は数え切れないほど当然に成功させてきたと、音と気配を『基地』に溶け込ませている。
「拙者、ロリっ子がいると滾るでござる…!」
 グリモア猟兵から伝え聞く限りにおいては、例の『姉妹』の年齢は上から下まで選り取り見取り。であるならば、ロリィな幼女もいるに違いない―――と、エドゥアルトは俄然に奮起して笑みを深くする。その笑みの性質は、なんとも胡散臭く、UDCアースその他の世界では、うっかり官憲へと通報されてしまいかねない種類の笑顔だ。彼がこれからする事は救助である筈なのだが……浮かんだ笑顔の裏側で、どのような内心が潜んでいるのかは推し測るしかない。


 『基地』の廊下は、さほど広くない。人間が六人ほど横並びに歩ける程度の幅の路を、モヒカン頭の男たちが駆けていく。
「今度は何だァ!?」
「もう地下に入られてるッ! 余ってるヤツは出口を固めろ、出すんじゃねぇ!!!」
 一々と叫ぶようにして喚く彼らの横で、ずるずると廊下を這っていく一つの影がある。それは、さほど広いとは言えない廊下にありながらも、なぜか誰にも見咎められず、また蹴飛ばされる事も無く、こっそりと廊下の片隅を進んでいく。
 その影の姿を、知る者はこう呼んだであろう。・・・段ボール、と。

 段ボールは、廊下をこそこそと正面から進んで侵入していく。無論、その内部に入っているのはエドゥアルトである。彼は段ボールを被るようにして身を隠し、潜入しているのである。見た目には、どう考えても一瞬でバレるような、子供騙しにしか見えぬ偽装であるのだが、どういうことか周囲のモヒカンたちには全く気付かれる事なく侵入することが可能となっている。・・・段ボールそのものに伝説的な来歴があるのか、或いは術者であるエドゥアルトのユーベルコードによる超常の神秘パワーであるのか……それは不明であるが、ともかく、段ボールの隠密性は最高である。モヒカンの横を堂々と通ろうが、どう見ても不審な位置に段ボールが停止していようが、誰にも止められることも無い。時々、流石に不審な視線を向ける警備兵も存在するのであるが、彼らも「なんだ、ただの段ボールか…」と呟いてそのまま放置し、別の場所へと向かってしまう始末である。

 正面から入り込み、段ボールを被って進み続けるエドゥアルトの進路は、『侵入』『潜入』という言葉からは信じがたい経路を通過している。地下から地上へと走っていくモヒカン男たちと逆に、その奥へ奥へと進んでいくのである。誰にも気取られていないだけで、ルートとしては完全に正面突破を許しているのと同義だ。絵面が非情にシュールである事を除けば、段ボールの隠密性能を最大限に活かしたステルスアクションといえるだろう。段ボールは廊下をするすると進んでいき、時には警備をやり過ごすために停止する。ある時には警備兵たちが別所に移動するまで苛々しながら待ち、ある時には儀式めいた挙動でグルグルと床上を滑るように回転する。段ボールが目指す進路は、ただ一か所、ロリっ子が閉じ込められている牢である。

 ―――扉の前で、一人のモヒカン兵士が銃を携えて警備していた。
 その背後に、無音のまま出現する髭面の男が一人。エドゥアルトは慣れた手つきで背後を取ると、その口元を押さえて声を出せないようにした。モヒカン男の身体が硬直した瞬間には、その首は捻り折られている。見事なまでの暗殺<ステルス・キル>。音も無く、血すら流さず、エドゥアルトは一人の男の命を刈り取った。段ボールで安全な道中であったとはいえ、彼は何人もの警備を『始末』している。その理由は「どうせ後で戦いになるだろうし、先に数を減らしておいた方が楽」という単純明快なものだ。彼の漆黒の瞳には、酷薄なまでの冷静さのみが宿っていた。

 エドゥアルトは施錠された扉の鍵穴に、流体金属を流し込む。意志を持つ金属生命体がその姿を変化させ、硬化する。どんな鍵穴だろうと、この流体金属の前には無意味だ。彼の潜入技能との組み合わせは極悪である。

「・・・ハァイ調子いい?」
 ひょっこり、と扉の中を覗き込むエドゥアルトの表情は、先ほどの酷薄な色から一転して、とびっきりの笑顔である。中にいる少女を安心させるように、彼は努めてにこやかな笑顔を浮かべる。
「おじさま、誰…?」
 部屋の中に居たのは、一人の少女である。前髪を切りそろえたショートボブの銀髪に、初雪のような白い肌。少し舌ったらずな口調。一般的な人間種族ならば十歳ほどに見える外見で、その背も低い。おどおどと、突然現れたエドゥアルトに少女は視線を向ける。その瞳は紅玉髄<カーネリアン>にも似た赤橙色だ。

 要救助者1名発見、と。エドゥアルトの脳の片隅に一瞬だけ冷静な言葉が浮かぶ。尤も、それは一瞬で、彼の脳内は「ロリっ子来た―――!!!」という喜びと興奮に満たされるのだが。なけなしの理性でエドゥアルトは内なる興奮を押さえつつ、少女を助けに来た事、他のお姉さんたちも救助されるであろうことを端的に伝える。その様子に、少女は耳を傾け、こくんと頷いて立ち上がった。

「あたし、ネリア。『紅玉髄』のネリアよ。―――ありがとう、おじさまっ!」
 身長差から自然と上目遣いになり、ぎゅっとエドゥアルトの足に抱き着いてくる姿は紛う事無き幼女のそれである。原義的に言えば、ティーンエイジなロリータよりも更に年若く幼いので、ロリィと呼べる範囲よりも更に幼い。セーフかアウトかで言えば、間違いなくアウトである。抱き着かれて更に笑顔になるエドゥアルトの表情は、第三者が見れば中々に不審者のように見えただろう。
「ドゥフフ…もっと密着してくれてもいいのよ…?」

 ・・・だが、彼の言葉は、あまり嬉しくない形で叶えられることになった。
 地下に降りてきたのであるから、今度は地上へと戻らなければならないのは道理である。段ボールの中にネリアとエドゥアルトは一緒に入り、こそこそと地上へと歩いていく。段ボールおよび彼のユーベルコードの効果範囲は、エドゥアルトとプラス1名であるから、これについては問題ない。密着している幼女のぷにっとした肌や子供体温、恥じらいも知らないネリアの子供らしい大胆さに、エドゥアルトが役得めいたモノを感じたのも、とりあえずは置いておこう。
 問題となるのは、移動時の体勢である。段ボールは、当然ながらそこまで巨大な物体では無い。その中に二人が入っているのであるから、必然的に狭く、動きは制限されるものとなる。―――そして、エドゥアルトの身長は190cm近い長身であり、ロリ少女であるネリアとは犯罪的な身長差が存在するのである。
 結果、何が生じるかというと―――。

「あ、人がいなくなったわ! いきましょ、おじさまっ!」
「ちょ、ちょっと待つでござる…! 腰、腰が…ッ!」
 そこには、地上に無事に戻るまで中腰の体勢のままで動くことを余儀なくされたエドゥアルトの姿があった。ロリィなネリアには、おじさまがそろそろ腰が限界を迎えそうなことなど理解できない。彼女は、子供らしい無邪気さと冒険心で、この段ボールでの移動をウキウキと楽しんでいるだけである。子供に遠慮や自重という文字は無く、早く行こうと瞳を輝かせてエドゥアルトを急かしてくる。
 幼女に密着された姿勢のまま、エドゥアルトの腰が悲鳴をあげた。
大成功 🔵🔵🔵

ベルベナ・ラウンドディー
●偵察・変装・演技
レイダーに変装しつつユーベルコード使用
索敵能力で彼らと最低限の接触で情報を入手しつつ姉妹の場所まで潜行します
一か所に密集、行動範囲が極めて狭い12の反応…アタリを付けるならそんなところか
念話で我々が来た旨は伝え、接触~脱出まで展開が滞らぬよう期待します
動きやすい着替え(変装道具)はあるので着替える準備はお願いしますよ



●破壊工作・目立たない
決め手は時限爆弾、その設置や使い方です
遺構内各部に設置する陽動用
壁をブチ抜く逃走経路の確保用の2種を想定


シティ脱出の際、私はバイクを使います
背の低く体重の軽そうな1人か2人なら此方で預かれます
どうぞ紹介を


出来れば宇宙に持ち帰りたいくらいですよ


 擾乱を担当する猟兵が敵前線を攻撃すれば、その隙に何名もの猟兵が内部へと入り込む。
 ベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)も、その一人だ。彼は、普段の生活においては竜派のドラゴニアンであるが、今回の潜入任務では人派の姿を取っている。もっぱら変装としての用途になってしまっている彼の人派の姿は、どこか優男風な容姿である。厳つい強面やムキムキ筋肉を誇るモヒカンが大多数であるこの『基地』の男たちに紛れるには、少しばかり彼の顔は整いすぎているようにも見える。
 だが、それが功を奏したのかもしれない。レイダーに変装するため、トゲトゲの肩パッドがついたマントを羽織ったベルベナの姿は、どことなく『組織の若手幹部』風な外見になったのである。モヒカン頭や筋肉ダルマなら下級兵士に大勢いるが、ベルベナのように涼やかな目元と艶やかな長髪を持つ若い男は極めて稀である。「なんか見たことないけど、この有事に出てきたんだからきっと偉い人間なんだろう」……そんな雑な認識を、モヒカンたちはベルベナに対して抱いたのである。

 ヴォーテックス・シティにおいて、上位の人間の命令は絶対だ。支配者層の不興を買えば即座に首が飛び、失言をすれば次の瞬間には死ぬ。そんな理不尽と無慈悲の極北こそがこの街である。この街で生き抜いてきたモヒカンたちは、ある意味で自己保身能力に優れた者たちだ……つまり、偉い人間、強い人間とは基本的にあまり関わりたくないのである。
 ベルベナが襤褸を出さないよう言葉少なくモヒカンたちに接触すると、勘違いした彼らは怯えながら情報を話し出す。姉妹たちは地下の別部屋に収容し直し、その部屋の前には警備を張り付かせている……と。その言を聞いたベルベナが神妙に頷くと、モヒカン男たちは怯えたように走って逃げ去っていった。

「・・・み、見たコト無ぇけど、すげぇ冷静なヒトだったな…!」
「ああ…! きっと、『兄貴』のダチか何かだぜ…」
「たぶん、『組』の危機に助っ人として来てくれたんだな…!」

 ベルベナとしては侵入者としてバレないように口数少なく、動揺が伝わらないようクールに振る舞っていただけなのだが、騒がしい連中の多い下っ端な彼らにとってはそれも『大物っぽい』『頭が良さそう』という印象になったようである。まさか、目の前にいるのが敵である猟兵だとは露ほども思わず、少しばかり頭が足りないモヒカン男たちはベルベナの背を憧憬の目つきで見送った。


(さて・・・。彼女たちの居場所は…)
 人の多い通路は避け、場合によっては会話で誤魔化し、地下階まで降りたベルベナが確認を取ろうとしたのは『姉妹』の捕らえられている部屋の所在だ。彼の超能力由来の知覚が、地下の通路を、部屋を暴き出す。通路に配置されている警備の位置、人の動く流れ、大きな部屋と小さな部屋……彼の超知覚が、エコーロケーションのように周囲の状況を捉えていく。

《―――どうせ大した襲撃じゃねぇんだからよぉ、大袈裟に騒がなくていいんじゃねェの?―――》
《―――違ぇ無ぇ! 『兄貴』が出てきたら、どうせ全部消し炭だぜ、キャハハハっ!!!!――》
 二人の男が、つまらなそうに歩哨に立ちながら益体の無い話をしている。危機意識が極めて足りていない彼らの会話に、重要そうな情報は無さそうだ。次、とベルベナは別所へと意識を向ける。

《―――防衛ライン、B区画まで下げろ。隔壁は…全部閉じたか? 糞っ、どいつもこいつも動きが悪い…!》
 制御室めいた大部屋で、部下に指示を出す男が一人。眼鏡をかけた知的なモヒカン男は、混乱する状況に躍起になって対応している最中の様だ。彼が指示を出せなくなれば、警備の動きが一層悪くなるかもしれない。此処に爆弾を仕掛け、彼を倒すことで基地警備を機能不全に陥れれば効率的だろう・・・次。

 ベルベナは意識を走らせ、各所の探知を進めていく。脳内で広げられた地下階の地図に、部屋の配置と警備の様子が描かれていく。探すのは、動く範囲が極度に狭い生体反応だ。彼女たち『姉妹』は囚われて閉じ込められている。ならば、その行動範囲は殆ど動かない点のようなものだろう。超能力によって広げられていく脳内の見取り図の中で、条件に該当する反応を絞っていく。アタリをつけていく。

《―――ねぇ、ラピス。私たち、どうなるのかしら―――》
《―――わからないわ、ラズリ。でも、きっと、私たちはずっと一緒よ―――》
 小さな音量で、二つの声が話し合っている。身を寄せ合うようにして、二つの人影が互いを励ましている。その声は震える少女のもので、ベルベナたち猟兵が探し回っている対象のものであることは疑いが無い。
 此処だ。見つけた、と内心で呟いたベルベナは、彼女たちへと念波を飛ばした。


 鍵のかかった独房に、二人の少女が閉じ込められていた。
 彼女の片方はラピス、もう片方がラズリだ。だが、その区別を外部からつけるのは極めて難しい。彼女たちは完全に瓜二つ、同じ顔と声をした双子である。瞳の色は、透き通るように澄んだ瑠璃色。肌は練絹のように白く艶やかだ。鏡写しにしたような彼女たちは、自分を慰めるように、相手を慰めるように、目の前の片割れを励ましている。

「・・・、・・・!」
「・・・、・・・っ!?」
 ふ、と二人がほぼ同時に互いの顔を見合わせ、そして錯覚では無いと理解した。
「誰、誰なの?」
「どこから話しているの?」
 彼女たちの心に話しかけてきた『何か』―――それは、不可思議な方法で念話を送ってきているのである。混乱、困惑、疑念…複数の感情が彼女たちに浮かび上がるが、念話を送ってくる『誰か』は、ラピスとラズリを安心させるように話してくる。君たちを助けに来た、と。信じてくれ、と。
 二人の姉妹は、再び顔を見合わせると、同時に頷いた。信じるしかない。地の底に差し伸べられた一本の蜘蛛糸を前にしたように、二人は念話の内容に耳を傾けた。真偽と真意は横に置いておくとしても、拘束されて閉じ込められている現状よりは『マシ』になると信じるしかないのだ。

 やがて、喧騒が近づいてくる。男たちの怒鳴り声、悲鳴。銃の発砲音と、金属を打ち鳴らすような甲高い音。ラピスとラズリは、それらの物音が通過していくのを感じながら、ただひたすらに狭い室内で救助を待っていた。喧騒は次第に移動し、二人が拘束されている部屋へと接近してきた。

「―――お待たせしました。急いで、早く!」
「分かったわ。私がラピス、こっちがラズリよ」
「私がラズリ、そっちがラピスよ。着替えるのね、分かったわ!」
 ベルベナが到着して部屋の戸を破壊すると、3人は事前に念話で打ち合わせたように動き始める。少女二人は、身につけていた飾り気の無い貫頭衣を脱ぐと、ベルベナが持ち込んだ変装用の衣服に着替える。その間、ベルベナは廊下側の通路に立ち、敵兵士の増援が来ないように周囲を警戒する。

「では、行きますよ…!」
 接触から変装までをスムーズに完遂させ、ベルベナと合流した二人の少女は脱出を開始する。ベルベナが探索途中で『基地』各所に仕掛けた時限爆弾が次々と炸裂していき、警備の目を逸らす。地下通路に設置されたいくつかの爆弾は警備のモヒカンたちを吹き飛ばし、『基地』内部の敵戦力を削っていく。それら爆発の混乱に乗じて、ベルベナたちは地上へと向かう。
『奴隷が・・・逃げたァ!?』
『警備は何をやっていた! ええい、追いかけろ。最悪、殺してしまっても構わん。決して許すな!!!」

 地下の底から、逃亡した二人を追いかけるように追手が駆けてくる。その追跡の動きを超能力で先読みで回避しながら、ベルベナは地上へと続く階段へと到達した。
「・・・これで」
 念力によって起動させられた最後の爆弾が、『基地』の壁をブチ抜いて逃走経路を作り出した。陽動用とは異なる破壊を撒き散らしながら、警備の一角に穴をあける。そこから這い出すようにして、ベルベナと双子姉妹は脱出した。用意されてあったベルベナのバイクへと乗り込むと、アクセルをフルスロットルにして加速する。

(しかし―――本当に可愛らしい。出来れば宇宙に持ち帰りたいくらいですよ)
 バイクを走らせるベルベナは、自身にしがみつくように同乗している双子の体温を感じていた。庇護欲を誘う小柄な身長、羽のように軽い華奢な体格。彼女たちの全てが、他者からの愛情や欲望を喚起するように形作られているかのようである。人形のように整った、まるで区別のつかない双子の容姿は神秘的であり、両方から同じ声と口調で話しかけられれば脳がくすぐられるような心地よさが発生する。彼女たち姉妹が十二人揃ったとすれば、そこは或る種の理想郷めいた場所になるのは間違いない。……このまま二人を連れ去ってしまえたら、と不意に浮かんだ邪念を振り払うように、ベルベナは更に加速した。基地を脱出し、疾走する―――!
成功 🔵🔵🔴

トリテレイア・ゼロナイン
準備は念入りに…

通風口から妖精ロボを侵入させ施設構造を●情報収集
同時並行で陽動用の爆弾を各所に設置し●破壊工作
生きている回線があればロボ経由で●ハッキング
セキュリティや照明に細工を施したいですね

●防具改造で駆動部の消音処理と暗色外套を纏い潜入
センサーでの歩行音や呼吸音等の●情報収集で警備の位置●見切り、遠隔●操縦する妖精ロボで騒音を出し移動させた隙に突破
接触が避けきれぬなら曲がり角での●怪力●だまし討ちで血を出さぬよう無力化

ご安心ください
騎士として皆様を無法者の手からお救いする為参上いたしました

…怖かったことでしょう
もう大丈夫です

陽動用の破壊工作を起動
警備を混乱させ姉妹をかばいつつ脱出


 少しずつ、『姉妹』の救出作戦が進行していく。

 各所に入り込んだ猟兵たちはそれぞれが役割を果たし、数名ずつ彼女たちを外へと連れだしていく。その進捗状況を、遠隔操作の画面越しに把握している猟兵がいた。白き機械鎧の騎士、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)である。彼は『基地』の各所へと侵入させた自律式妖精型ロボットを操作することで、その内部状況を把握していく。

(準備は念入りに……)
 妖精ロボは通風孔など、本来なら出入口とは見做されない狭い場所から建物内部へと入り込む。中に入ってしまえば、あとは複数のロボットを同時操作できるトリテレイアの面目躍如だ。通風ダクトを妖精ロボが通り抜け、陽動用の爆弾を各所に設置していく。同時に、妖精ロボが備える各種センサーが周辺の情報を収集。妖精ロボたちの指令塔であるトリテレイアへと情報をフィードバックしていく。

(……ふむ。回線は生きていますが、随分と年季の入った代物ですね…)
 『基地』内部の機器制御・設備を掌握しようとハッキングを試みたトリテレイアであるが、そこで見つかったシステムのあまりの骨董品ぶりに嘆息する。アポカリプスヘルが文明崩壊を起こす前ですら、おそらく『時代遅れ』となっていたであろう古びた制御系の機器ばかりである。スペースシップワールド出身のトリテレイアからすれば、もはや骨董品を通り越して遺産<レガシー>級のシステムが現役で稼働している。機器間を繋ぐ線はアナログのメタル線で、入出力の端子はそれぞれに異なるインターフェースだ。ハッキング、などという上等な言葉で表現できるほど高度なシステムを備えた機器の方が少なく、電圧のオンオフなどで動くシンプルな機構の物が大半である。
 ・・・だが、それが却ってトリテレイアの細工の邪魔になっていた。基地内部のシステムへ接続してセキュリティシステムに介入、各地点の隔壁や電気系統を掌握できれば最善であった……のだが。機器類を結ぶネットワークも、一括して制御している中央プログラムも存在しないのでは話にならない。結果的に、妖精ロボが隔壁まで移動して物理スイッチを押下し、活線を切り、数十個ある基板上のピンの二か所を結んで電圧をかけ……と、非常にローテクな対応を余儀なくされてしまう。オペレーティングシステムが普及する前の時代の電子機器は、こういう時には地味に不便で、同時に融通が利かないから妙な場所で強いのである。

 トリテレイアの苦闘はさておき、彼の下準備によって『基地』各所のセキュリティは少しずつ解体されていった。一度閉じた筈の隔壁は開かれて、もう開閉できないように信号線が切られてしまう。空調系の大型ファンは爆弾で破壊され、煤煙の煙が充満して警備の視界を悪化させる。電灯系の電力盤は物理的に損傷し、一部通路の照明が滅灯する。
(―――ここまで壊せば、あとはいいでしょう)
 トリテレイアは下準備を追えると、本格的な潜入を開始するために動き出した。

 暗くなった地下の通路を、3メートル近い巨体が慎重に進んでいく。暗色の外套を身に纏い、各駆動部の動作音を最小レベルまで消音したトリテレイアの姿である。彼の大きな身体は発見されやすそうにも見えるが、彼は可能な限りに身を闇に隠して潜入していく。警備の配置はリアルタイムで把握しており、廊下の向こうから走ってくるモヒカン男たちの足音、呼吸音に至るまでを高精度のセンサーで知覚している。トリテレイアは彼らの動きを読み、警備と鉢合わせしないように通路を選定して進んでいく。場合によっては、通風ダクトやメンテナンス用の天井裏の空間から、妖精ロボが騒音を出すことによって警備兵の意識を逸らし、警備の配置を移動させることで突破する。
 ・・・それでも接触が避けられない時には、強行突破するしかない。曲がり角からの不意打ち、騙し討ちでモヒカン男たちの意識を刈り取って無力化する。トリテレイアの機械仕掛けの膂力が振るわれれば、男たちは碌な抵抗もできずに叩きのめされ、そのまま崩れ落ちて再起不能となる。彼が極力、相手の血を流さぬように打ちのめすのは、部下のモヒカンたちを必要以上に痛めつける必要が無いこともあるが、女性を助け出そうというときに己の身が血濡れでは怯えさせてしまうだろうという配慮の一環でもある。

 そして、最後の警備を―――フラスコチャイルドの少女が一人囚われている部屋の前の、警備兵たちをトリテレイアは薙ぎ払った。機械の腕がモヒカンたちの胴を打ち据え、果敢にも武器を向けてくる彼らを歯牙にもかけずに制圧する。何の超常の力も無い刃物、銃器でトリテレイアの鎧にダメージを与えるのは困難だ。ナイフ一本でも逃げずに謎の機械鎧に挑んだモヒカンの胆力は評価されるべきかもしれないが、それは蛮勇の類であっただろう。

 無機質な小部屋の扉が開く。
 内部に捕らえられていたのは、一人の少女だ。まず視界に飛び込んでくるのは、吸い込まれそうな翡翠色の瞳だ。病的なまでに白い肌には静脈が透けて見えるようで。腰近くまで伸ばされたふわふわの銀髪は、儚げな印象を一層強調させている。肉体年齢は、おそらく一般的な人間種族でいうならば十七歳ほど。少女は翡翠の瞳を驚きで見開くと、突然に現れた機械騎士へ質問を投げかける。
「もし。どなたか存じませんが、貴方が今の騒動を起こしている方ですか…?」
「はい、ご安心ください。騎士として、皆様を無法者の手からお救いする為参上いたしました」
 トリテレイアは少女の前に跪くと、貴婦人に対しての礼を取った。囚われの姫を救い出すのは、古今東西の物語でも人気の題材である。御伽話の騎士の如くに振る舞おうとするトリテレイアにとっては、このように麗しい少女に礼を尽くすのは当然の事。奇も衒いも無く、極めて自然に彼は傅きながら言葉を紡いだ。

「……その、御親切な方、私の姉妹たちについてはご存知かしら…?」
「私と同じように、別動隊が救出中です。皆様十二人、全員が揃って『基地』を脱出できるように作戦が実施されている最中になりますね」
「そう、そうなのね。良かった…。……申し遅れましたね。私はヒスイと申します、親切な騎士様」

 思わず涙ぐむヒスイに、トリテレイアは跪いた姿勢のまま手を差し出した。巨大な彼の体格では、膝を床についたとしても少女を見上げるような姿勢にはどうしてもならず、立ち上がったヒスイと同じくらいの目線で言葉を継いでいく。
「………怖かったことでしょう。もう大丈夫です」
 安心させるようにトリテレイアが告げれば、ヒスイは涙を拭いながら、差し出された手に応じて右手を重ねた。

 あとは、脱出をするだけだ。ヒスイの柳のような腰に腕を回し、トリテレイアは彼女を掻き抱くようにして地上へと向かおうとする。・・・所謂、『お姫様抱っこ』にも近い体勢であるのだが、二人の体格差から『トリテレイアの機械の腕に、ヒスイが横向きに座りながら掴まっている』と表現した方が実情には近い。ヒスイが確りと己が身に掴まったのを確認すると、トリテレイアは発進する。起爆信号が基地各所に設置された爆弾を起動させ、警備を再び混乱へと叩き落とす。

「では、行きますよ…!」
 トリテレイアは脚部のスラスターを器用に操り、床を滑るようにして疾走を開始する。視界に映る敵影に、トリテレイアの超速演算が脅威度を判定していく。無視していい敵、此方を攻撃してくる敵、排除しなくてはならない敵。時折飛んでくる弾丸からヒスイを庇いつつ、トリテレイアは地上へと最短ルートで向かう。鋼鉄の身体で銃弾を防ぎ、妨害してくる警備を吹き飛ばしながら『基地』を離脱していった。
成功 🔵🔵🔴

シホ・エーデルワイス
《華組》


隔壁があるのね…
すぐ姉妹を助けに行きたい所ですが
脱出をスムーズに行うには放置できませんね


【潜霊】で『詩帆』に基地の警備システムへ侵入してもらい
隔壁を操作できる警備室の様な場所へ案内してもらう

『聖笄』で透明になり
燦の先導と指示に従い
<忍び足と目立たない>で進む

スルーできない敵は消音属性攻撃の誘導弾で気絶攻撃


目的地に着き可能であれば部屋の扉は閉めて敵に邪魔されない様にする
不可なら光学迷彩とオーラ防御の結界術で燦も含めて姿を隠し流れ弾も防ぐ

詩帆は警備システムの情報収集を続け
燦のハッキングを手伝ってもらう

詩帆、隔壁の操作に必要なパスワードは調べられそうですか?

救助した奴隷や姉妹は【救園】へ匿う


四王天・燦
《華組》

物影や通気口から潜入
罠使いや視力でセキュリティを看破
自動機銃とかシホの銃の腕なら破壊できるかな?

端子が見つかれば七つ道具内の端末からハッキング
あわよくばコントロールセンターなどから施設を掌握するよ
地図をダウンロードしたり、他所のカメラで様子を見たり

あらぬ場所の警報を過剰起動させ敵が集まったら隔壁を閉じて封印☆

混乱を起こして下層を目指す
追手対策に余分な車輛にカウントダウンも仕掛けておこっと
異世界の言語で『エンジン掛けたら爆発』と書いておく

スルーできねえ敵は百鬼夜行で忍び寄り喉を掻っ捌いて暗殺

姉妹も奴隷も解放だ
銃殺を恐れるな、アタシたちが絶対護る!と鼓舞&慰め
姉妹が惚れそうな笑顔を向けるよ


 同じ頃、『基地』地上部の通気口から内部へと侵入する二人の影があった。

 一人は、引き締まった肢体を持つ妖狐の女性、四王天・燦(月夜の翼・f04448)である。金の瞳に灰の髪。アポカリプスヘルにあっては、歴戦の女丈夫と認識されるような雰囲気を纏う女性だ。彼女は身軽な身体能力を活かして狭い通気口を容易く潜り抜けると、もう一人の相棒へと手を差し伸べる。手を引かれて侵入を果たすのは、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)だ。シホは対象的に、この世界では滅多に見られないような令嬢然とした楚々とした空気を纏っている。輝く銀糸の髪と、蒼穹のような青い瞳が相まって、どこか神秘的な印象を漂わせている。

 二人の服装は、この潜入に際してアポカリプスヘル世界に紛れ込むような物となっている。燦の服はまるで女レイダーのようなワイルドな装束に、シホは新たに囚われた女奴隷のような質素な白ワンピースを着ている。いざとなれば、『基地』関係者を偽装して言い逃れられるようにという変装の一貫である。

 二人は気配を殺しつつ、地下への探索を開始する。既に先行して潜入している他猟兵の活躍もあって、いくつかの障害は無力化済みになっている。燦の鋭敏な視力が通路を見渡せば、そこには破壊された回転式銃座〈ターレット〉が煙をあげていた。場合によっては、相方に罠を射撃してもらって破壊、排除をしなくてはと考えていたが、当初の想定よりも警備はザルだ。爆発に巻き込まれたと思しきモヒカン頭の男たちは血を流したまま倒れ伏しているし、建物のあちこちは爆砕されて壁ごと崩壊している。

 スムーズに『姉妹』や『奴隷』を救出するには、各所で通路を塞いでいる隔壁を開けなくてはいけない……それが二人の共有する認識だった。確かに、グリモア猟兵から告げられたのは『姉妹』十二人の救出のみ。だが、この悪徳の都の様相を見聞した二人は、叶うならより多くの人を、取りこぼすことなく救おうと考えたのである。たとえ救出の難易度が上がるとしても、それは二人の意志を曲げる理由にはならない。アポカリプスヘルでは当然のように罷り通る圧政と非道から、二人は目を逸らさずに立ち向かっていく。

「詩帆、お願いできますか?」
 通路を進むうちに、彼女たちの行く手を阻むのは各所を遮断する鉄の隔壁である。足を止めたシホは、己の内に呼びかけるように小声で囁く。応えるように、陽炎のような不透明な姿で出現したのは、彼女の名と同じ響きを持つ潜霊、情報の海を泳ぐ電子幽霊である。
「うん…やってみる…」
 応える声は、『基地』内部の機器に潜り込むようにして薄れ、中々に年季の入った『基地』のシステムを内部から操作・探索しようと電子基板と回路を走査する。
(・・・う、うわぁ…)
 電霊である詩帆に見えるのは、あまりにもアナクロな世界だ。今までは3DCGの美麗なヴァーチャル世界を泳いでいたのに、いきなりドット絵のレトロゲームの世界に放り込まれたような感覚。詩帆の力で操作することは可能なのだが、いかんせん機器そのものが旧式だ。……あまりに低速の電子世界に、詩帆は目眩にも似た感覚を覚えた。これはあとで、シホに対価をいつもの倍は要求しなければなるまい。

 一方、隔壁をこじ開けられないかと試行錯誤していた燦が目にしたのは、もはやレガシーデバイスとなった旧式の端子である。
「嘘でしょ…」
 燦は苦笑いしながら七つ道具の端末を取り出してみるも、直接に挿せるケーブルは無い。仕方無しに規格を確認して、変換ケーブルを二つも噛ませて無理矢理に接続する。繋がりさえすれば、命令を直接に叩くことで操作は可能だが、此処から『基地』全てを掌握するのは無理そうだ。―――彼女たちの技能・能力をもってすれば『基地』のセキュリティを突破することは容易。ただし、そのための手段が少しばかり面倒……そんな塩梅になっている。
 二人が四苦八苦した甲斐あって、隔壁がゴウンゴウンと音を立てて上昇していく。此処から更に奥へ行き、制御室に類する場所を制圧しなければならない。……彼女たちは無言で顔を合わせて頷くと、暗い通路の奥へと足を向けた。

「……。……何人残った!?」
「ウチの隊は半分ってトコです。奴さん、思ったよりも『やる』ようで…Bラインが抜かれました。これ以上は下がるのは…」
「まさか、こんな事になるとはな…」

 可能な限りの重装備を携えた部隊が、地下の通路を駆けていく。いかにも下っ端な雰囲気のモヒカン男たちとは違う、物々しい気配を漂わせた兵士たちである。手にした武装は突撃銃、迷彩服の上から防弾ベストを着込んだ彼らは、慌ただしく長靴の音を響かせながら前線へと向かっていく。
 ・・・その横の通路に一旦退避し、遮蔽物の影へと燦は身を隠していた。その傍らで、気配と姿を消しているのはシホだ。燦は身体能力と鋭敏な感覚を活かし、通路をステルス・アクションめいた動きで突破することができる。一方のシホは、文字通りに『見えなくなる』能力を用いる事で警備の目を掻い潜る。
 燦が通路の曲がり角を覗き込み、安全を確認してから後方へとハンドサインを送る。足音を可能な限り抑えながらシホが追従し、二人は『基地』の奥へ……この先に存在している、制御室めいた大部屋へと進んでいく。電子の海を泳ぎまわる詩帆がその部屋までの道筋をナビゲートしていけば、彼女たちの連携に怖い物は無い。それぞれの得意分野<ストロング・ポイント>を最大限に用いて、彼女たちは『基地』の中心部へと向かう。

 ・・・当然ながら、重要な区画というのは警備が厳重である。警備人員が削られるように減っていく『基地』内部においても、目的地である大部屋の周囲には複数のモヒカン男たちが守りについていた。彼らは廊下を右に左に、神経質そうに薄暗い通路を見渡している。仲間たちが次々と侵入者に倒されていく状況は芳しく無いが、それでも士気が崩壊する事も無く警備に就いている。

 ここは建物内の地下であるが、『基地』各所で発生している騒動の余波で、周囲には様々な物音が発生している。遠くで爆発物が炸裂する音、連続する銃声、悲鳴と怒号……あらゆる混沌が混ざり合って、通路に立つモヒカン男たちの聴覚を鈍らせている。だから、彼らは数発の銃声が自分たちに向けられた射撃によるものであると、即座に気付けなかった。
 遮蔽の影から白黒二挺の拳銃を構えていたのは、シホだ。彼女の持つ銃器は、その発砲音を抑え込んで目立たないモノに変えている。―――戦場において、減衰させられた発砲音というものは脅威だ。何処から撃たれたのか、誰が撃たれたのか。そして、敵と自分の距離はどれくらいなのか。そういった情報が判然としなくなるのだ。
 加えて、付け加えるならば。シホの撃ち出した弾丸は誘導弾だ。それは、銃弾は直進するという当然の類推を否定する魔弾である。本来ならば射線が通っていない地点からでも、シホは弾丸の軌道を歪曲させて彼らを的確に射抜く。・・・彼女が手心を加えたため、弾丸は非殺傷の衝撃をモヒカン男に与え、彼らは昏倒して倒れていく。

「―――く、クソっ!? ど、どこだ? どこから撃って…!?」
 何人かの警備が銃を構え、薄暗い廊下の先へと銃口を向ける。その方向は見当違いで、身を隠しているシホの姿を捉える事は出来ていない。
 そして、彼らの誤算はもう一つ。敵は、見えない射手だけでは無い。

 滑る影が、モヒカンたちの背後に現れる。燦の操る符術、『百鬼夜行』<ミッドナイトウォーカー>・・・そう名付けられた超常の力が、哀れな犠牲者の無防備な背中を捉えた。忍び寄った影は無音のままモヒカンの口を押さえ、呻き声さえ出さぬようにしてから喉を掻き斬った。突如、血を噴き出して倒れる同胞に男たちが気づいた時には、既に影は別の者の背後へ、次の獲物へと凶刃を向けている。全てを合わせても十秒ほどの刹那を、影が縦横無尽に疾走した。混乱が狂騒へと変化するよりも早く、何も理解できないうちに彼らの全てが終了する。刃が閃く回数と同数の命が潰え、生じる音は物言わぬ肉体が床へと倒れるドサリという鈍い物音のみ。
 とぷん、と影が闇に溶けた。影から現れ、影に消える魔技。その性質は『暗殺』と呼ぶのがこの上なく相応しい。

 燦の技は、警備を排除するだけに留まらない。部屋の扉の隙間から『影』が侵入し、内部に居た数名を排除してしまえば、彼女たちを止める者はどこにもいなくなる。
 やがて、障害を排除した二人は大部屋へと入った。
 扉を閉め、細工をする間は敵から邪魔の入らないようにする。二人が一旦安堵の息を吐いて確認すれば、そこは『基地』の中央部とでも呼ぶべき部屋だった。制御室、監視室……その呼称は不明だが、操作用のコンソールが何個も並び、監視のカメラやモニタなどが設置されている。
 詩帆が自分の出番、とばかりに古いコンソールへと飛び込んで、そのまま『基地』の情報を抜き出していく。燦は施設内部の見取り図を入手すると、各地点を映し出している画質の悪い監視カメラを切り替えながら状況を把握していく。

「詩帆、隔壁の操作に必要なパスワードは調べられそうですか?」
「もちろん! でも、帰ったら黄身ボーロだからね!」
 どんなセキュリティも、電子の幽霊である詩帆ならば突破するのも容易だ。彼女は古い機材だろうとお構いなしに、その超常の力を振るうことで突破する。物理的なデバイスや制約から解き放たれている詩帆は、概念や論理に近い部分で機械を動かす。スーパバイザ権限を奪取するとディレクトリの全てを総覧する。そこから平文で格納されていたテキストを探し出し、燦の端末へと送付する。
「―――よし! じゃ、あとは・・・」


 警報が鳴り響き、重大な事態が発生していることを各所の警備へと告げる。先ほどから鳴りやまなくなったサイレンとも違う、重要区域が突破されたことを示す特一級の非常警報だ。
『なんだ!? こ、こいつら、首を切られてやがる…!』
『こっちも全滅だ、畜生め! もうここまで陥ちたのかよ、信じられねぇ…!!!』
 シホと燦が倒した警備兵たちの惨状を目にして、急行した増援が絶句する。もはや『基地』中枢すら敵に攻められている現状に半ば絶望しつつも、彼らは武器を握り直して部屋へと突入する。その部屋の内部には、情報を集めていた二人の猟兵が―――。

「―――誰も、いないだと?」
 アサルトライフルを構えたまま、分隊長であるモヒカン男が油断なく大部屋を確認していく。内部にいた人員は全滅…だが、想定していたほどに破壊もされておらず、機器類もまだ生きている。ここまで侵入を果たしたのであれば、一切合切を爆弾で破砕するか、全機能を喪失させてもおかしくないのだが―――。

 分隊長の懸念は半ば当たりで、半ば外れだった。・・・破壊するよりも効果的な罠を、彼女たちは仕掛けている。
 分隊が全員部屋に突入したタイミングを見計らって、燦が隔壁を閉じる。内部から開けようとしても、詩帆がすぐさま操作を取り消し、隔壁の機能を不全にさせる。重たい鉄の隔壁が分隊を完全に閉じ込めて無力化した。
 これと同様のトラップが、ここから先の隔壁各所で行われることになるのだ。ただでさえ減っていた警備の人数が分断されることで、『基地』の内部はいよいよ人手不足が深刻となっていく。機器の機能を復旧させようにも、その喉元は詩帆に押さえられている―――物理的実体の無い彼女に電子戦を挑むくらいならば、隔壁を吹き飛ばして通路を開通させる方がまだマシだろう。

 故に、彼女たちの歩みを阻むものは、もはや無い。

 コツ、コツ、と廊下を歩む音が聞こえてきた。
 その僅かな音を耳で捉えたのは、儚げな一人の少女だ。腰まで届く白銀の髪と、整った白皙。その表情は拘束によって疲れ果てた色が滲んでいて、薄青色の蛍石に似た瞳にも力が無い。
 やがて、不意に開いた扉から人影が入ってくると、少女の瞳が微かに揺れた。
「―――もう大丈夫ですよ。私達は猟兵、皆さんを助けに来ました」
 優しい口調で告げるのはシホ。彼女は力の無いフラスコチャイルドの少女の傍らに膝を突くと、その手をそっと握りしめる。
「でも、まだ私の『姉妹』が―――!」
「ええ、そちらも、直ぐに。誰も見捨てません」
 優し気なシホの口調の背後にあるのは、『助けたい』という強い意志だ。控えめな態度の裏には、何よりも他者を慮る激情が潜んでいる。その声色に、フラスコチャイルドの少女は強張っていた身体を弛緩させ、シホの手を握り返す。
「私は、フローラ。『蛍石』のフローラです。……お姉さまを、妹を、どうか助けて…!」

 同じタイミングで、燦は牢の鉄格子を斬り飛ばしていた。
 その内で捕らえられていたのは、『姉妹』の中では年上の少女だ。瞳には水宝玉の輝きが宿り、長い髪の色は真珠のように透明感のある純白。驚きと共に燦の顔を少女が見詰めれば、燦はニコリと気風の良い笑顔で答える。
「アタシが助けに来た・・・自由になろうぜ!」
 燦の表情は快活で、男前という形容が似合う笑顔だ。見る者の心を鼓舞するような、そんな力強い笑み。その笑顔に萎えた心が励まされたか、少女も立ち上がって口を開く。
「・・・あたしは、『水宝玉』のマリン。ねぇ、あなたたちが『猟兵』さん……?」

 ―――ここまでが、本来の『任務』だ。
 だが、彼女たちはそれを良しとしない。救えるものを救う、より多くを助ける。その為ならば、超過労働も厭わない。むしろ、進んで多くを背負っていこうとする。
「・・・銃殺を恐れるな、アタシたちが絶対護る!」
 地下の牢獄で、燦が声をあげる。その声を聞くのは、鉄格子の奥に閉じ込められた何人もの奴隷たちだ。彼らは、逃げ出すことで殺されることを恐れている。恐れが彼らの動きを止め、自由になる事を躊躇させる。
 だが、燦は言葉を止めない。その姿は堂々と、声は人々の心を動かしていく。絶対に護る、と燦は言った。言ったからには、彼女たちはそれを履行する。
 シホが彼らの身の安全を保護するべく動き出す。こんな澱んだ地の下ではなく、明るい地の上へと人々を救い出すために。彼らが傷つけられることのないように……救いの手を差し伸べていく。

 そして、彼女たちは『基地』を脱出する。
 より多くを助け出すため、彼女たちが考えられる最善を以って手を打った。追手を差し向けようとしたモヒカンたちが車両に乗り込み、エンジンをかけて追走を開始しようとする。その結果、発生したのは爆発だ。燦の仕掛けていた爆弾が、最後の最後まで追撃を遅延させる。後方で巻き起こる爆風と、ガソリンに引火したことによる炎上を尻目にして、彼女たちは悪徳の都からの脱出劇を開始した。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

防人・拓也
アルバート・マクスウェルと一緒に行動

姉妹達の救出のため、指定UCを発動。部隊を展開し、アルバートからの連絡を待つ。連絡が来たら
「誰が白馬の王子様だ、全く…。この身なりが王子様に見えるとは到底思えんぞ」
と返答し、移動を開始。情報を共有し、アルバートの指示があれば物陰に隠れて止まる。ただし、自身で対応せざるを得ない時は、ナイフで手早く静かに暗殺。姉妹達がいると思われる場所に着いたら隊員たちにハンドサインを送り、入口前に張り付かせ、フラッシュバンを中へと投げ入れさせる。その後、隊員たちと共に突入し、敵を素早く銃などで始末し、姉妹達を救出。
「待たせたな。助けに来たぞ」
と姉妹達に声を掛ける。
アドリブ可。


アルバート・マクスウェル
防人・拓也と共に行動

高所から拓也達の様子を『UDCK-110 SASS』のスコープで見る。指定UCは既に発動状態で、6人をBチームとして拓也達の脱出経路を確保。自身を含めた残りの5人のAチームは拓也達の援護。
「こちらブラックパンサー1。リーパー1、そちらを確認した。いつでもいいぞ、白馬の王子様」
と冗談を交えながら、無線で拓也に言う。返答が来たら
「ふっ、お姫様達はこんなおじさんよりも若いお兄さんの方がいいに決まっているさ」
と言いつつ、作戦開始。拓也達の移動先に敵を見つけたら、拓也達を止めて構えた狙撃銃で隊員と共に敵を狙撃する。情報は拓也と無線で共有。Bチームからの状況報告も共有する。
アドリブ可。


 地上は、地獄絵図となっていた。
 吹き荒れるのは銃弾の嵐だ。二個分隊分の火力が、銃器を持って対抗しようとするモヒカン男たちを蹂躙していく。そこに存在するのは、奇しくもこの悪徳の都・ヴォーテックス・シティに通底する論理と同じモノだ。―――暴力に対抗するのは、より大きな暴力である。力には力を、暴力には暴力を。銃に対抗するには銃を。そして、この場に立つ猟兵が持ち出した火力は、『基地』防衛に持ち出された銃火器よりも洗練されていた。兵の質、銃の性能、そして練度で上回る部隊が、『基地』正面を制圧しながら進んでいく。

 少しずつ戦線を押し上げていく部隊の中、ヘッドセットから聞こえてくる情報に耳を傾けるのは一人の男、防人・拓也(コードネーム:リーパー・f23769)だ。彼の身を包むのは軍装。迷彩柄の戦闘服にヘルメット、ゴーグルに各種銃器……その装備に甘いモノなど何一つない。作戦を遂行するための、シンプルにして強力な装備で身を固め、彼は突入のタイミングを計っている。

『こちらブラックパンサー1。リーパー1、そちらを確認した。・・・いつでもいいぞ、白馬の王子様』
 無線越しに聞こえてくる声に、拓也は僅かに眉を動かした。ゴーグルで隠されて窺えない彼の表情は、軽口めいた冗句に微かに渋面を形作る。
「誰が白馬の王子様だ、全く…。この身なりが王子様に見えるとは到底思えんぞ」
『いやいや、囚われの姫君をお救いあそばすんだ。それに、吊り橋効果だってあるんじゃないか?』
 揶揄うように無線越しに声をかけるのは、アルバート・マクスウェル(TF(タスクフォース)101司令官・f29495)だ。彼は既に高所を押さえ、『基地』入口を見下ろすようにして陣取っている。彼の周囲に展開しているのは、4人の狙撃兵だ。背の高い建物から見下ろすようにスコープを覗き込み、姿を晒した敵を撃ち抜いていく。

『そっちこそどうなんだ。五十を越えて男らしさも枯れ果てたか?』
「ふっ、お姫様達はこんなおじさんよりも若いお兄さんの方がいいに決まっているさ」
 彼らが叩くのは、あくまで軽口だ。ガチガチに硬くなるよりも、適度な緊張を維持することが作戦の成功率をあげることを彼らは知っている。緩みすぎず、張り詰めすぎず、適切なコンディションを保つことがプロフェッショナルに要求される能力だ。それに、彼らにとっては『この程度』の戦場は、今まで経験してきた死線の数にも入らない。

 アルバートがスコープを覗き込む。手にしている銃は『UDCK-110 SASS』……市街地戦で目立たぬように塗色を変更した半自動小銃の銃口が、眼下の警備を排除していく。彼らは遮蔽に身を隠している心算だろうが、手や足、頭を不用意に出せば即座に命取りだ。ボルトアクション方式の狙撃銃に迫る精度と、セミオートマチックの連射性能がモヒカン男たちの抵抗を削いでいく。発砲音とマズルフラッシュはサプレッサーで極力抑え込み、細かく射撃位置を移動することで撃ち返してくる敵の銃撃から身を躱す。アルバートに追従する他の兵士も同様だ。基地を見下ろす建物の屋上を腹這いになりながら、アルバートたちは数で勝るモヒカン男たちの軍勢を足止めし、釘付けにする。

『OK・・・GO!』
 耳元でアルバートの声が響くと同時、拓也以下16名の兵士が突入を開始した。銃撃の嵐に頭を伏せていた敵は、その動きの質が変化したことに対応できずに戦線を喰い破られる。慌てて頭を出せば、それはアルバートたち狙撃班の良い的だ。後方からの支援射撃と、拓也の迅速な動きが敵の防衛ラインを電撃的に突破する。

 敵の射線をスモークグレネードの煙幕で遮りつつ、彼らは敵中を走り抜ける。『基地』の入口へと辿り着けば、分隊は更に二手に分かれる。拓也と10名の兵は内部へ潜入、救出を担当する部隊。残りの6名、アルバート指揮下の兵は退路の確保だ。彼らは、モヒカンたちのように大声で叫んだりはしない。必要な情報はヘッドセット経由の無線で行うし、動く・止まる・撃つなどの意思伝達はハンドサインで十全に可能だ。彼らは無言のままに有機的な連携を発揮し、それぞれの役割を果たしていく。

『侵入ポイントに到着。これより基地内部に突入する』
「了解。健闘を祈る。―――12時の鐘が鳴る前には戻って来いよ? カボチャの馬車の魔法が切れちまう」
 最後まで軽口を告げて、アルバートは軽く笑った。彼の役割は、拓也がお姫様を救い出して脱出するまで膠着状態を維持する事。そして、脱出のための経路を確保し続ける事だ。アルバートがスコープで覗き込んだ先で、モヒカン頭が7.62mm弾に撃ち抜かれてザクロのように脳漿を零れさせた。


 『基地』内部では、交戦距離が極端に短くなる。
 多くの部屋、通路、曲がり角。そういった建物の構造があり、警備と出合い頭に交戦する可能性もある。故に、彼らはチームワークを発揮して通路を警戒して進んでいく。先行して前方の状況を確認する者、背後を警戒する者、互いが目となり耳となり、周囲の脅威を排除していく。
 建物内部は多くの猟兵の破壊工作によって、本来の防衛能力を喪失していた。地下へと向かって伸びる通路の隔壁は既に開けられており、逆にそれ以外の隔壁は閉じて警備要員を閉じ込めてしまっている。多くの場所から、開けてくれと叫ぶ声がむなしく響き、ドンドンと冷たい鉄扉を叩く音のみが反響している。侵入してきた拓也たち部隊に相対するのは、もはや集団としての統制も取れてない兵のみである。敵の抵抗は散発的で、彼我の練度は絶望的なまでに隔絶していた。元より、拳銃やナイフ程度の装備の身しかもたないモヒカン男も多く、彼らは抵抗とも呼べぬ無謀な戦いに身を投じて散っていった。

「・・・こちらリーパー1。内部は想定よりも抵抗が薄い。そちらはどうだ?」
『こちらブラックパンサー1。そいつは重畳。こちらは相変わらずに入れ食いだ。……こう、人数ばかり多いとはな』
「その年でモテモテとは結構じゃないか」
『どうせモテるならセクシーな美女か、可憐な少女でお願いしたいね…』
 くく、と拓也は無線越しに喉を鳴らす。『基地』地上部の前線に集結しているのは、むくつけき男共の集団である。げっそりしたような声色のアルバートの視線の先には、相も変わらずにモヒカン男や筋肉ダルマ男がわらわらと集まっていることだろう。
『なるべく急いでくれ、リーパー1。持ちこたえてはいるが、弾薬の減りが早い。撃っても撃っても出てくるぞ」
「了解。―――地下への階段を発見した。以降、無線が通りにくくなる。交信終了<オーバー>」

 地下への階段を進んでいけば、通路の灯りもまばらになり、薄暗い通路の数が増えていく。血を流して倒れている男や、崩れた壁、そしてどこからか燻る煙の臭いが漂ってくる。
 ふ、と先行していた隊員が足を止める。ハンドサインで、後続へと状況を伝える。
《しばし待て、八名、敵、ドア》
 状況は、モヒカン男たちが鍵のかかった扉を開けて、中へ入ろうとしている所だ。だが、その様子は今まで見てきた警備兵とはどこか異なっている。表情は恐怖に歪みながらも、どこか興奮したように尋常ではない。加えて、碌な武装も無いのに、徒党を組んで部屋へと入る―――その姿に、拓也は嫌な予感めいたモノを感じた。

「・・・へ、へへっ! こうなりゃ『獄炎組』も終わりだ…! なら、役得くらいはいただかないとなァ…!」
 部屋に押し入ったモヒカン男が、ナイフを片手に舌舐めずりをする。目の前で震えているのは、純白の穢れ無き少女だ。処女雪の如き無垢な肌に、白銀の髪。その表情は恐怖で一層蒼白となり、ウサギのように紅色の瞳は怯えて揺れている。
「や、やめて…っ!」
「やめて、だァ!? 『やめてください、お願いします』だろ、あァん!? テメェ、自分の立場わかってねぇよなァ!!?」
「ひ…っ。やめて、ください…。お願いします…っ!」
 震える声で少女が哀願すれば、モヒカンたちは下卑た笑みを浮かべて嘲笑う。

「馬っ鹿だな~? そんな言葉で止めるワケないじゃん?」
「そうそう、これからお兄さんたちとイイコトしましょうね~」
「ヤったらどっかに売り飛ばしちまおうぜ。散々『商品』も盗まれたんだ。一匹くらいチョロ撒かしてもバレねぇだろ!!」

 男たちの下品な欲望だけが膨れ上がり、『商品』を閉じ込めていた牢であったはずの部屋で、薄汚い下劣な行為が開始されようとしていた。この男たちには、もはや自分たちの『兄貴』への畏怖は無く、己の数日先の未来すら見えていない。ただ捨て鉢になり、場当たり的に目の前の弱々しい生き物へと情欲をぶつける事だけが、彼らの脳を支配している。事が終わった後のことなど彼らの頭には何も無いが、それだけに彼らの突拍子もない行動は無軌道で誰にも止められない。

 身を捩るようにして少しでも抵抗する少女の腕を、モヒカンの太い筋肉質な腕が押さえつける。少女の些細な抵抗はモヒカン男たちの前では無力で、このまま無惨にも穢されてしまう―――そのように、見えた。少女はぎゅっと眼を閉じて、心の中で姉妹たちへと助けを求める。
(だ、誰か…っ。助けて……っ!)

 瞬間、室内を閃光と轟音が包んだ。
 それは、特殊部隊などが人質救出作戦などで用いる非殺傷兵器、スタングレネードの炸裂である。非殺傷、という言葉からは想像し難いが、その威力は恐るべき物である。人間の感覚器は一定レベル以上の強い刺激を受ければ麻痺し、場合によっては意識レベルの低下すら引き起こす。……神経とは非常に繊細なものだ。光の明滅で失神する事例もあり、耳の不調から方向感覚を喪失することもある。それらを人為的に引き起こすのがスタングレネードだ。強すぎる光と音が、室内にいる人間の視覚・聴覚を完全に奪い取る。
 ほぼ同時に踏み込んだ拓也は、少女に覆いかぶさるようにしていたモヒカンを引き剥がすと、その喉へとナイフを突き立てる。拓也の目にはゴーグルが、耳にはヘッドセットが装着されており、味方の閃光音響弾の影響を最小限にしている。何より、特殊部隊は人質をとった立てこもり事案のような状況も想定し、訓練をしている。室内に突入<エントリー>し、要救助者と敵を判別、誤射を避けながら敵を制圧・無力化する……その為のノウハウを、彼は所持していた。
 ほぼ同時に、彼に続いた隊員が他の男たちを容赦無く射殺する。突入作戦時に怖いのは人質への誤射だが、そのリスクは拓也が少女に最も近かった男を排除することで無くなっている。であるならば、何も出来ずに立っているだけの標的に時間を与える慈悲は無い。卑怯卑劣な振舞いの男たちには、冷たい鉛弾がプレゼントされた。

「―――大丈夫か?」
 吹き荒れる暴威の後で、拓也は少女のそばに屈んで声を掛けた。心理的動揺状態にある被害者に、いきなり距離をゼロにするのは推奨されない。場合によってはパニックを起こし、繊細さが要求される作戦に影響を与える可能性もあるからだ。特に、乱暴をされかけたという動揺の直後に、異性である拓也が再度踏み込めば劇的な反応を誘発しかねない……そういった懸念が、彼の思考の片隅にはあった。
 だが、我を取り戻した少女は、拓也の顔をぽぅっと眺め、それから顔を恥じらいに赤らめた。乱れかけた貫頭衣を整えて、自分を助けてくれた男へと相対する。・・・助けて、という声に応えるように登場し、悪い人たちをやっつけてくれた。ゴーグルで目は見えないけれど、きっと優しい表情をした人なのだろう。いや、そうに違いない。永い眠りから目覚めて日の浅い彼女が思い描くのは、彼女を『造った』造物主から与えられた知識による想像だ。それは昔々の御伽話、女の子を助けに来てくれるのは―――。
「は、はいっ。大丈夫です……お、王子様…!」
「・・・は?」

「っははははッ! おいおい、まさか本当に白馬の王子様になるとはな!」
『笑い事じゃない…。それより、脱出口は確保できているのか?』
 地下階から上がって無線が復旧するなり、状況を聞いたアルバートは噴き出していた。今でも、拓也の隣には救出された少女……辰砂<シンシャ>がべったりとくっついて離れないのだという。雛鳥のインプリンティングのように、拓也を頼れる存在として認識したらしい。ひとしきり笑った後に、アルバートは真面目な声色に戻る。

「で、助けたのは嬢ちゃん一人か?」
『いや。別の部屋に、同じように閉じ込められていた娘がいた。名前は――』
《あ、アタシはセレナでーっす!》
『―――だそうだ。そちらも救出済み。これから予定通り、基地から出る」
「了解。出る直前に一度無線を吹いてくれ。合図はこちらで出す」

 アルバートの眼下で、モヒカンたちの最後の抵抗が圧を増す。既にアルバートたちが占拠していた建物の位置は敵に露呈している。屋上へと昇ってこようとする男たちの対応に2名を割き、階段を上って来ようとする敵群にフラググレネードを投擲。その爆発によって接近を遅らせている。だが数分内には敵が大挙として押し寄せ、この狙撃地点である屋上も危うくなるだろう。
 それまでに、アルバートは退路を切り開いたうえで脱出せねばならない。彼のSASSが火を噴くと、敵が対抗して繰り出してきたスナイパーを逆に撃ち返す。……敵射手を無力化<タンゴ―ダウン> 別動隊として『基地』脱出口を確保していた兵がスモークグレネードで煙幕を張り直し、敵が潜む遮蔽の奥へとフラググレネードを投げつける。

『・・・ポイントに到着。いつでも行けるぞ』
「OK。待て」
 スタンバイ、と無線越しに伝えて、アルバートは最後の狙撃手を射殺した。もう彼の背後からは、次第に迫りくる敵の怒号が届いている。そろそろ潮時だ。アルバートは部下に撤退のサインを出すと同時に、無線の先へ、拓也たちに指示を飛ばす。

『OK、GO!』
 ヘッドセットから聞こえた言葉に弾かれるように、拓也たちは『基地』から飛び出した。そちらへと銃を向ける敵兵を、アルバートたち狙撃班がありったけの残弾を連射することで押さえつける。精度よりも弾数を優先し、弾幕を張るようにして脱出する友軍の支援にあたる。脱出経路を確保していたBチームも合流し、彼らは先行して確保しておいた移動用の足……『基地』に停められていた車両へと走っていく。
『MOVE! MOVE!』
 兵士たちは駆けながら銃床を腰にあてて引鉄を引く。弾をバラ撒いて進路を切り開き、彼らは車両へと乗り込んだ。

「―――っ、そっちは!」
『今、離脱する!』
 建物の屋上から、アルバートたち狙撃班も脱出する。屋上へと接近してくる敵兵を躱すように、上から垂らしたロープを伝って数階分の高さを滑るように降り下る。数発の銃弾が掠め、建物の外壁を穿っていく。僅かな時間とはいえ身を晒しながらの脱出にヒヤリとしながらも、アルバートを含んで5人の狙撃班は地上へと戻ってきた。
 あとは、全員で車両に乗り込んで離脱するだけだ。運転を担当する者、後方へと銃を向けて牽制射撃を続ける者……何人もの兵士が参加した作戦は、何とか脱出までを無事に成功させた。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

ジュリア・ホワイト
いいとも
犯罪者に囚われた市民の救助はヒーローの十八番さ!
「では速やかに成し遂げよう。ヒーロー、オーヴァードライブ!救助活動を開始する!」

地下施設、ならば地底から潜入しよう
「手近な洞窟から穴を掘って、一気に施設地下に乗り込む。最短かつ安全だね?」
そう、このスコップで。穴を掘ろう!
掘る前に偵察して、大雑把な位置関係だけは把握しておかないと

無論スコップは土を掘る物
施設の金属壁は破れない、が…逆に言うと、行き当たったらゴールに着いたという事だね?
「そして猟兵なら、金属壁の一枚や二枚破壊できて当然。地下なら地上より薄いだろうし」

動輪剣で壁を切断
施設に侵入して姉妹たちを探すよ
「助けに来たよ!もう安心さ!」


 ・・・『基地』の警備は、半壊していた。
 否。猟兵たちに正面から戦った人員は殆ど損耗していたと言っていい。各地で発生した戦闘・銃撃戦による被害も甚大だが、それよりも彼らに打撃を与えたのは猟兵たちが仕掛けた爆弾による被害である。陽動の為の小規模な爆発、戦力を削るための大規模な破壊工作……それらによって、基地施設には復旧困難なレベルの傷痕が刻まれていた。また、文明崩壊後、何とか生きていた各システム・機器類が破損し、それらを直すことは不可能となっている。
 つまり、単純に『姉妹』たち奴隷を失っただけでは無く、彼らの利用していた『基地』はその機能の大部分を喪失したのである。それも、ただ一度の襲撃を受けただけで、である。アポカリプスヘルにおいては、強者である事だけが生き延びる要件。一敗地に塗れ、戦力を削られ、面子を潰された組織が今後どうなっていくのか―――それは、火を見るよりも明らかだ。他の大組織に吸収され、服従することで命を繋ぐことに賭けるか。それが出来なければ、敗者として屍を晒すか……その二択だ。

「・・・だが、全部を失ったワケじゃ無ェ…!」
 残存する武器と人員を集め直し、部隊を再編するモヒカン部隊長には、まだ希望の芽があった。隔壁に閉じ込められて動けなかった兵が、地下の施設内で被害を免れた物資が、まだ利用価値のある『商品』が、それなりの数は残っているのだ。今までのようにヴォーテックス・シティの一角で気炎を吐くことはできないかもしれないが、それでも相応の規模の組織としては存続できる可能性はある―――そう、思っていたのである。

「た、大変だッ!!! ち、地下の『商品』が…ッ!!?」
 そう、泡を吹いて駆けこんでくる、部下の報告を受けるまでは。

 『基地』地下、『商品』を閉じ込めていた部屋。
 そこは、既にもぬけの殻となっていた。拘束して放り込んでいた『商品』、美しいフラスコチャイルドの姿は何処にも見えなくなっている。
「おい…。コイツは…」
「嘘だろ。信じられねぇ…」
 次々に集まったモヒカン男たちが呆然と呟くのは、その部屋の信じがたい状況によるものだ。彼らとて、扉に鍵を掛け、その前に警備を配置して可能な限りの対応を取ってはいたのだ。だが、結果として、彼らは鍵を開けて『商品』の無事を確認する瞬間まで、中にいたフラスコチャイルドが逃走したコトには気付かなかったのである。
 その理由。壁に開けられた大穴が、ぽっかりと暗い闇を広げていた。


 少し、時間を遡る。
 『基地』から少し離れた地点の洞窟に、一人の猟兵の姿があった。
 彼女はジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)、通りすがりのヒーローを名乗るヤドリガミである。
 ジュリアは『基地』の位置を偵察して確認した後、この洞窟へとやってきたのである。他の猟兵たちが『基地』攻略に、『姉妹』救出に向かっている最中にジュリアは何故こんな離れた地点に居るのか。その理由は、勿論、彼らと同じく『姉妹』を助け出すためである。犯罪者に囚われた市民の救助はヒーローの十八番だ。ヒーローを自認するジュリアにとっても、この依頼は気合の入る依頼である。

 ただ、ジュリアが選んだ救出方法は、他の猟兵のモノとは大きく異なっていた。彼女の手に握られているのは、大きなスコップである。
(手近な洞窟から穴を掘って、一気に施設地下に乗り込む。―――最短かつ安全だね?)
 橙色の瞳にやる気を燃やし、青味かかった色素の薄い髪を揺らす彼女は、その外見から想像されるよりもアクティブな作戦を敢行しようとしていた。つまり、この洞窟から施設地下までを掘り進むというダイナミックな作戦である。事前に偵察を実施したのは、大まかな方向を把握する為である……流石に、地下を明後日の方向に掘り進んでいては目も当てられない。方向と勾配を慎重に確かめて、ジュリアはスコップを振るい始めた。
「では速やかに成し遂げよう。ヒーロー、オーヴァードライブ! 救助活動を開始する!」

 ・・・そこからは、しばらく地味な作業が続いたので途中経過については省略する。
 ジュリアが実施しているトンネル掘りは、敵要塞や城を攻める際の手法としては存在する技法ではあるものの、通常ならば非常に時間のかかる手段である。一応、人質救助で使用された事例が存在するのは事実だが、とても一般的な方法とは言えない。だが、そこは不可能を可能にする猟兵、神秘の力を駆使して凄まじい速度で土を掻きだし、一直線に地下を掘り進んでいく。
 そして、何よりも、ジュリアは蒸気機関車のヤドリガミである。その細い身体から発揮されるパワーは、俄かに信じられぬほどの馬力を発揮する。ジュリアは彼女に可能な限りの全力を持って、スコップを動かす。その速度、パワーは猛烈に突進する機関車そのもの。その機関をフル回転し、全身を超過駆動<オーバードライブ>させて掘って掘って掘りまくる。
 やがて、ガチリ、とスコップが何かにぶつかり、固い感覚をジュリアに伝えてくる。それは岩盤ではなく、その奥に人工物が存在することを伝える衝撃だ。コンクリ―トと金属の壁という、目標地点に辿り着いた事を示す証拠を発見して、ジュリアは会心の笑みを浮かべた。

 ややあって、視点は基地施設内部へと移る。
 狭い部屋に閉じ込められて、退屈したようにぼんやりとしていたのは、一人の少女である。陰りのある灰白銀の髪は跳ね気味で、肌の色は不健康な青白さだ。瞳の色は、他の『姉妹』と異なる黒々とした輝きを湛えている。深夜の暗闇の中に煌めく硝子のような、深い漆黒でありながらも艶やかな色彩だ。

(・・・つまんない)
 少女は、拘束されたままの己の身体を恨めしく眺めると、諦めたようにゴロンと床に転がった。どうせ、『姉妹』全員で売り飛ばされてしまうのだ。いや、自分だけは黒い瞳の所為で仲間外れになってしまうかな…。…なんて、仕様の無いコトをつらつらと考えていた。つまり、彼女は暇だったのである。
 床から伝わってくるのは、『基地』全体を揺るがすような振動だ。爆発の音。人が叫ぶ声。色々な音が、少女の耳をすり抜けていく。今、この場所で何が起きているのかはわからないが、どうせ碌なコトでは無いのだろう。下手をしたら売られる前に死んでしまうかも、などと益体の無い想像を膨らませる。

(・・・。・・・?)
 少女は、むくり、と身動きすると、再び耳を澄ませた。幾重にも重なった騒音の中で、何か別の新しい音が混じったのだ。カツン、カツンと。規則的に響いていく音。少しずつ、その音は少女の拘束されている部屋へ近づいているようにも思える。気のせいだろうか、いや、その微かな音はゆっくりと、確かな速度で此方へと向かっている。
(助けが、来た。なんて、都合の良すぎる妄想よね…)
 ゴロン、と転がり直して、少女は無機質な天井を見上げる。どうせ、此処には、自分には希望も何も無い―――。

 その数秒後、少女の居る部屋の壁が斬り飛ばされた。
「―――、―――は?」
 素っ頓狂な声をあげた少女の先に、一つの影がある。その影は無骨なチェーンソー剣の駆動を止めると、予想外の光景に固まる少女へと快活な笑みを返した。
「助けに来たよ!もう安心さ!」

 救出に来たジュリアから話を聞いた少女は、頭を抱えた。まさか、警備の誰も、外部からトンネルを掘って一直線に来る人間がいるとは思っていなかっただろう。そのお陰で助かる身としては文句は無いのだが、その破天荒さを無視できるほどに少女のスルースキルは高くなかった。
「ああ…もう。いいわよ。あたしはコクヨウ。『黒曜石』のコクヨウよ。・・・お願いね、ヒーローさん」
 諦めたように呟いたコクヨウは、ジュリアへと手を伸ばす。

 こうして、地下を掘削するジュリアの作戦は、無事に成功したのだった。
大成功 🔵🔵🔵


第2章 集団戦 『ロケット・レイダー』

POW ●ガベッジボンバー
単純で重い【上空まで運んだ瓦礫やドラム缶 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD ●バラッジアタック
【上空】から【短機関銃の掃射攻撃】を放ち、【頭上から降り注ぐ激しい弾幕】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ ●永遠ヒコウ宣言
【永遠にヒコウ(飛行/非行)を続ける宣言】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


*再補足です。第二章は、追いかけてくるレイダーたちとの逃走劇です。
 彼らは車両、二輪車(バイク)、そしてロケットで空を飛んで追撃してきます。『敵の機動力に対抗する』プレイングにはボーナスが入ります。また、周辺には放置車両などの機械が存在する為、それらに乗り込んで逃走する事も可能です。

 第一章で『姉妹』を救出した猟兵さんが参加された場合、そのまま引き続き描写させていただきます。陽動などで参加してくださった猟兵さん、二章から参加される猟兵さんには、未登場の『姉妹』が登場することになります。

 執筆タイミングの都合上、おそらくプレイングを再送いただく可能性が大になります。少しお時間をいただくと思います。

―――――――――――――――――――――
ミリャ・ウィズ
ドローンの偵察と情報収集によると何人かの人質は救助出来たようだがまだ残っている様だ。
混乱に乗じて【呼び出し・軍団】で道中の警備を退治し救助に向かう。牢の鍵はパチンと右手の指を鳴らし鍵開けの魔法を使って開ける。

「……優しい人がいいな。」独り言を言うと右手でスマホをタップ。軍団を召喚した。

救助出来たら逃走用の足を探す。装甲の厚そうなトラックタイプが望ましい。……乗り心地は悪いが我慢してもらおう。
逃走ルートを先程情報収集と偵察をしていたドローンに誘導してもらい運転。追手は残りの軍団を全部召喚し対処する。

逃げ切った後しんどそうだったら背中でもさすった方がいいかな……?


アドリブ連携歓迎


 『基地』地下にて。
 フラスコチャイルドの姉妹たちが次々と救出されて離脱していったその場所に、佇んでいる一人の影があった。
 その影の持ち主は、女性だ。大き目なサイズのコートを羽織り、琥珀色の瞳を猫のように細めたその猟兵は、自らが呼び出した『軍団』で情報収集と敵警備の排除をテキパキと終えると、その指をパチンと鳴らした。
 その音と同時に、かちゃりと僅かな音を立てて牢の鍵が開けられる。その女猟兵が事も無げに用いたのは、鍵開けの魔法だ。神秘と魔力で構築された、アポカリプスヘルとは別の世界に由来する不思議の技である。彼女にとっては呼吸にも等しい児戯である『それ』を終えると、彼女は独り言を呟いた。
「……優しい人がいいな」
 果たして、この牢に閉じ込められているのはどんな娘だろうか、と。
 それだけを考えながら右手でスマートフォンを軽くタップ。己の『軍団』を追加召喚しつつ、彼女は牢の扉を開けた。


 ・・・猟兵たちの逃走劇の最後尾は、一台のトラックだった。
 小型のトラックに有り合わせの装甲と銃座を取りつけたその車両は、そこそこの防御力と攻撃能力を備えた簡易戦闘車両である。軍用車両ほどの走破能力も武装も存在しないが、このヴォーテックス・シティにおいては極めてありふれた車両の一つである。
 その車両の運転席に座り、アクセルを踏み込んでいるのはミリャ・ウィズ(タブレットウィザード・f28540)だ。『魔女』である彼女が運転席に置いているのは、一枚のタブレット型端末である。その表面の液晶パネルに映し出される光の点を横目で見遣りながら、ミリャはアクセルを全開にしたまま限界速度で曲がり角に進入した。ハンドルを一気に切り、慣性とステアリング操作だけでタイヤを横滑りさせるドリフト走行。横方向に急激に引っ張られる感覚を受けながらも、ブレーキは極力踏まずにミリャはヴォーテックス・シティを駆け抜けていく。

 彼女が急いでいる理由は唯一つ。
「「「ヒャッハ―――! 俺らロケット・レイダーズは永遠に不滅だぜェェェっ!!! いつだって前のめりィぃい!!!」」」
 背後から喧しく接近してくる、暑苦しいロケット男たちの存在である。
 追跡してくる彼らの移動手段は、背に括り付けたロケットである。アレでよく操縦できるものだと感心するが、彼らは自分の脚部や臀部がロケット噴射で焼け焦げるのも何のその、その飛行能力と速度を活かしてミリャの運転するトラックを猛追してきているのだ。

「・・・しつこいっ!」
 トラックのタイヤがスリップするギリギリを見極めながら、ミリャは可能な限りの全速力で車を飛ばす。ミリャが唯一持つアドバンテージは、周囲に先行して飛ばしていた『軍団』・・・ドローンによる逃走ルートの把握である。車載ナビなんて便利なモノは積んでいないこのトラックだが、彼女がスマートフォンを駆使して操作する無人機群が最適な経路を選択、迷い無く道路を最高速度で突っ走る事によって追走を振り切っている。敵が道路を封鎖しようと試みれば、リアルタイムに別ルートを再計算して横道に曲がる。彼我の位置はタブレット上に表示してあり、ミラーで背後を確認するまでもなく追撃してくる敵の接近を把握することができる。アクセルは常に踏みっぱなしで、急カーブの連続でタイヤが悲鳴をあげる。

「・・・う、うぇ…」
 ミリャの座る運転席の横で、助手席に座る少女が呻き声を出した。少女―――ミリャが救出したフラスコチャイルドの少女は、ただでさえ白い肌を更に蒼白にしながら、荒っぽい逃走で生み出された嘔吐感を必死で耐えている。
「アンバー、大丈夫?」
「だ、大丈夫……でもないかもしれないかも。もうアンバーは此処で駄目かもしれないかも……」
 今にも死にそう、と声色だけで伝わってくる蚊の鳴くような声が、ミリャに答えを返す。
「・・・お、おねーさんはアンバーを置いて逃げた方がいいかもしれないかも。このままじゃ追いつかれて、おねーさんも死んじゃうかもしれないかも」
 そんなの嫌かもしれないかも、と涙ぐむ少女の目には涙が浮かんでいる。瞳に宿す輝きは、奇しくもミリャと同じ色をしていた。思わず零す涙の理由は、恐怖や疲労だけではない。先ほど、出会ったばかりの相手の身を慮って涙ぐんでいるのである。身体年齢はミリャより少し年下、という外見をしている少女は、しかし精神年齢はそれよりも幼い。もし少女一人を置き去りにしたところで彼らの追撃が止む保証も無いのだが、それにも思い至らずにミリャに自分を車から降ろすように提案してくる。

「ここで降ろしたら……またアイツらに捕まっちゃうよ?」
「うん……それは嫌かも。でも、おねーさんが捕まっちゃうほうが嫌かも」
「きっと非道いことされちゃうよ? お姉さんとか妹さんにも会えなくなるよ?」
「・・・う、うう。でも、でも……そんなの、どっちも嫌かも」

 そう、と応えるミリャは、口元を猫のようにフフンと曲げた。ぎゅんとヘアピンじみた急カーブを速度を落とさずに曲がり、隣で可愛らしく悲鳴をあげる少女へと言葉をかける。
「大丈夫。ボクが、アンバーを助ける」
 元より、猟兵であるミリャは少女たちを助ける為に来たのだ。ここで投げ出して、放り出すなんてしないし、できない。それに、横に座っている少女の性根は善性だ。それが世間を知らぬが故の、無垢として形作られたが故のモノであったとしても。それは不法と無法に溢れたアポカリプスヘルにおいては稀有な他者への優しさであろうから。
「―――絶対に、助ける」
 そして、ミリャの運転するトラックは、一本の大通りへと突入した。

「「「ヒャッハーーー! 俺らは永久不滅に飛行/非行するゼぇぇえ!!!」」」
 煩い声で叫びながら、飛行するモヒカン男たちがその眼下にミリャのトラックを捉えた。彼らの手に握られているのは短機関銃だ。それを彼らが連射すれば、その狙いは雑で滅茶苦茶だ。だが、それでも何発もの銃弾がトラックの装甲に命中する。車両後方から響くイヤな音に、アンバーが耳を塞いで身を縮める。
 トラックが疾走する大通りは、道幅こそ広いものの路面が一直線に伸びているだけだ。先ほどまでの急カーブと細道を繰り返して追撃を回避する方法はもう使えない。男たちが背負うロケットは、小回りこそ苦手とするが、直線コースではミリャのトラックよりも速度が出る。直に追いつかれ、短機関銃で蜂の巣にされてしまうのは明白だ。

「ここで終わりだァァ! 手間かけさせやがってよォォォ!!!」
 モヒカン男の一人がトラックと横並びになるまでに接近し、その短機関銃を運転席のミリャに向け―――。
「―――そうね。ここで、終わり」
 ミリャが呟くと同時に、そのモヒカン男の姿が後ろへと吹き飛ばされた。

 モヒカン男を吹き飛ばしたのは、ミリャの『軍団』、空中を飛ぶドローン群だ。
 先行してミリャの逃走ルートをナビゲートしていたドローンは、この直線道路の地点に再集結するとモヒカン男たちを待ち構えていたのである。男たちが飛行するロケットは、速度に優れるものの急制動や減速に難がある。ならば、先に待ち構えて滞空し、彼らが突入してくると同時に罠にかければ一網打尽にできるとミリャは考えたのである。
 空中に静止するようにホバリングする小型ドローンが、ロケットで突入してくるモヒカンたちに体当たり攻撃を仕掛ける。ロケット噴射で飛行する彼らは急に止まる事はできず、その突撃を急カーブして躱す事も叶わない。結果、発生するのはロケットとドローンの空中正面衝突だ。生身で事故を起こしたモヒカン男たちは次々に墜落していき、やがて地面に激突して爆発、炎上していく。
「あ、あばばババーーッ!?」
「ぎ、ぎぎゃばぁぁぁアああ!!?」
 劈く悲鳴と爆音を後ろへと置き去りにして、ミリャのトラックが追尾を振り切り突破する。

 これで一先ずは良し、とミリャがタブレットを確認し、敵を示す光点が遠ざかっていくのを確認する。ふ、とミリャは息を吐いて、横目で助手席を確認する。そこに座るアンバーは、逃げられた事を安堵すればいいのか、さっきまでの荒い運転の混乱が戻ってきたのか、表情を百面相に変えながら身を縮ませたままだ。
 ―――これは、逃げ切った後で背中でもさすった方がいいかな、とミリャは心の中で思った。そして、ほんの少しだけアクセルを緩めた。
大成功 🔵🔵🔵

ジュリア・ホワイト
ふははははは!
囚われになっていた人達は全員救出成功!
ならば、後はさっさと撤退して涙の再会と洒落込もう!

「ところで、荒野を走る機関車というのは実に浪漫がある。そうは思わないかな?」(荒野に放置されたスクラップやらを跳ね飛ばして突き進みながら)

自身の本体たる器物、蒸気機関車の姿でコクヨウさん(と、他に居れば捕われていた人々や他の猟兵達)を載せて荒野を爆走
車両で追いかけて来ようが、空を飛んでこようがボクに追いつけるものか
なにせほら、UCの力で向こうは速度5分の1だ

「大船に乗ったつもりで居て欲しいな。レールはないけど、この道の先は希望に続いているんだから」
(コクヨウさんに希望のドリンクをサーブしつつ)


 無人の荒野を、機関車が征く。
 その黒い車体は、それが元々あった世界―――ヒーローズアースにおいては既に旧式化した車両である。だが、その艶やかな黒色の車体は見る者に重厚な印象を与え、どこかノスタルジックな浪漫を感じさせる。リズミカルなシリンダー排気のブラスト音を響かせ、煙を後方に棚引かせつつ進むその機関車は、文字通りに無人の野を疾走していた。

「ふははははは! 囚われになっていた人達は全員救出成功!」
 その車内で、朗らかに笑って見せるのはジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)である。彼女の本体である蒸気機関車の食堂車の椅子に座りながら、にこやかに隣に座る少女へと語り掛ける。対するフラスコチャイルドの少女……コクヨウは、ものすごく形容しがたい表情を浮かべながら恩人である筈のジュリアの顔を見遣っていた。

「ところで、荒野を走る機関車というのは実に浪漫がある。そうは思わないかな?」
「―――ええ、そうね。途中で、色々と撥ねたり轢いたりしなければ、だけど」

 じと、っとジュリアの顔を呆れたようにコクヨウが眺めながら呟く。車窓から見えるのは、アポカリプスヘルの荒野。そして、時折、蒸気機関車の進路上に存在した廃棄車両や機械の残骸が跳ね飛ばされ、それらが鉄屑に変わって視界の後方へと流れ去っていく光景である。

「はぁ…。あなた、破天荒だとは思っていたけれど。ここまで無茶苦茶だとは思わなかったわ…」
 頭が痛い、とばかりにコクヨウが額に手を当てても、ジュリアは何処吹く風だ。そもそも、無人の荒野にレールは存在しないのだ。つまり、この機関車は軌道も枕木もない道なき道を突き進んでいるのである。当然ながら車内は相応に揺れる。地下を掘り進むという予想外の方法を採る時点で、この命の恩人が突拍子もない存在だとは思ってはいたものの、それであっても機関車で逃走するなんて方法はコクヨウの想像を超えていた。

 加えて、当然ながら蒸気機関車には自発的に曲がって進路変更をする能力は存在しない。・・・つまり、その進路上に存在する物は全て『跳ね飛ばす』『轢き潰す』というダイナミックにもほどがある解決策を採用しているのである。出発地点が街から離れた位置であったからよかったものの、そうでなければ途中で人身事故が発生していた事は想像に難くない。・・・いや、車やスクラップを跳ね飛ばす事が決して良い訳ではないのだが、人を轢殺することがなかっただけマシだろう。

 こほん、と誤魔化すように咳払いするジュリアと、ジト目のコクヨウは数秒互いの顔を見合わせる。やがて、溜息と共に、まぁいいわ、とコクヨウが諦めたように呟いた。口調こそ『姉妹』の中では珍しく捻くれた物言いをするコクヨウだが、命の恩人を邪険にするほど性根が歪んでいる訳ではないのである。

「―――それで、あいつらは追いかけてきてる…のよね?」
 窓を開けて、コクヨウは後方を見遣る。機関車の後方に見えるのは、『基地』から追いかけるように出てきたとおぼしき複数の車両とロケットだ。荒野を走る蒸気機関車なんてあまりに目立つ代物、てっきり直ぐに捕捉されて追撃を受けるとコクヨウは思っていたのだが、追いかけてくる敵影は近づいてくる様子は無く、むしろ遠ざかって点のように小さくなっていく一方だ。
 ふふん、と自慢気に微笑むジュリアの姿に、コクヨウは『・・・また碌でもない事でもしたのかしら』と失礼な感想を抱いた。茶菓子に、と出されたクッキーを指で摘まんで食べながら、この目の前の猟兵の不思議な力に思いを馳せる。きっと、このヒーロー様が何かしてくれたのだろう。

「ま、大船に乗ったつもりで居て欲しいな。レールはないけど、この道の先は希望に続いているんだから」
「汽車だけどね。それに、レールが無いのが不安なんだけど」

 憎まれ口を叩きつつも、コクヨウは表情を緩ませる。もう一口、とクッキーを口の中に放り込むと、その甘い味に蕩かされたように幸せそうな顔になる。
 その様子を、ジュリアは微笑ましく眺めていた。試しに食堂車のメニューを手渡してみれば、黒曜石の瞳をキラキラとさせて興味深そうに読む少女の姿がある。

「・・・こ、このミルクセーキ、って…?」
「ミルクと卵黄、砂糖とバニラエッセンスを混ぜ合わせた飲み物だね。甘いよ?」
 ジュリアの言葉に、コクヨウの表情がぱぁっと明るくなる。それから、ふと我に返ったように口を尖らせて、
「じゃ、じゃあ、それで良いわ」
 ―――などと、冷静さを取り繕ったように宣うのだった。

 ・・・無論。ミルクセーキを飲んだコクヨウの表情は、花が綻んだような笑顔で。
 美味しい菓子と飲み物に舌鼓を打ちながら、二人の奇妙な旅路は進んでいく。車窓から見えるのは、見渡す限りの荒野だ。だが、その先には必ず希望がある。アポカリプスヘルの大地に賢明に生きる人々にも、この『姉妹』たちにも。生きている限りは希望と未来が必ずあるのだ。差し当たっては、この姉妹たちが感動の再会を果たして安堵の涙を流せるように、蒸気機関車は一直線に道を切り開いて進んでいくのだった。
大成功 🔵🔵🔵

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※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
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シホ・エーデルワイス
《華組》

救助した人達は【救園】へ匿うが
姉妹は見届ける事を希望すれば沿う


姉妹は先に乗車させ
光学迷彩を纏った人払いの結界術で壁を作って車ごと隠し
燦と車に触れつつ『聖笄』で改造音も消す


『詩帆』は運転のナビを担当

フローラさんには周囲を警戒してもらい
敵の位置情報を教えてもらう


航空戦力の撃墜を優先

足止めされると厄介ね…

私もオーラ防御で車を包み
誘導弾を早業で撃つ

空中戦闘知識を活かし
祈りと念動力による天候操作で下降気流を発生させ飛び難くし
噴射炎を目印に火属性攻撃でロケットを部位破壊

車はタイヤを貫通攻撃でスナイパー

障害物の多い所に差掛れば
目潰し属性攻撃の煙幕手榴弾を投げる

視界が悪くなれば
事故に遭いやすいでしょう


四王天・燦
《華組》

装甲車を拝借
シホ、10秒稼いで欲しい!
鍵開け&ハッキングでエンジンをかける
更に稲荷符をぺたり…敵弾を弾くべく武器防具改造でオーラ防御・結界術を付与し装甲を強化

荒っぽい運転になるんで何かに掴まるよう、舌噛むなよと警告して逃走開始

おっと車の代金だ
窓からカウントダウンや撒菱を後方にばら撒くぜ

ナビの詩帆に微笑みかけ
良い顔になったよ

車輛系に追いつかれたり左右挟撃されたら、急ブレーキで追突・同士討ちさせてやる
煽り運転は危険なのだ

ロケットうぜえ
直進だけになったらマリンに運転交代
屋根に登って迎撃に出る

フォックスファイアを操作し敵の回避方向を誘導
シホに撃ち落としてもらうよ
直接ロケットを狐火で加熱もいいね


「シホ、10秒稼いで欲しい!」
 言うなり燦はその辺に停められていた装甲車の鍵を難なく外し、ついでエンジンをかけていく。その姿を隠すよう人払いの結界を展開したシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)が、後部座席の扉を開けてマリンとフローラを座らせた。不安げに顔を見合わせ、他の姉妹を案ずる様子の二人を安心させるように、シホは少女たちの手に自身の手を重ねる。
「大丈夫です。私たちが何に代えても守ります」
 それに、いざとなったらより安全な退避場所もある。必ず姉妹全員を助け出すと誓うように自身の十字架のペンダントを示してみせ、シホもまた、燦の稲荷符で強化を施された装甲車の助手席に乗り込んだ。
「悪いが荒い運転になる。そのへんにしっかり捕まって、舌噛まないように気を付けろ!」
 叫ぶなり燦がアクセルを踏み込めば、途端に結界の範囲外へ飛び出した装甲車にモヒカン達が追いすがる。中でもどうやら元々この車の運転手だったらしい男が何やら口汚く喚きながら改造バイクで突っ込んでくるのを確認し、燦はにやりと口の端を上げた。
「おっと車の代金だ」
「アバーーッ!!」
 窓越しに後ろへ放ったのは、科学技術を凝らした箱型時限爆弾。ものの見事に前輪を吹っ飛ばされ、そのまま派手にクラッシュするレイダーを振り向きもせず、燦はぎゃりぎゃりと車輪を唸らせる。
「詩帆、次どっちだ!」
「左! あと上方気を付けて、ロケット背負ったのが来てる!」
「良い顔になったよ」
 燦の言葉が自身に向けられたものと気付いて、電子幽霊の詩帆はふいと横を向く。ナビゲートをそのまま彼女に任せ、シホは助手席の窓からぐいと上半身を乗り出した。
「成程、ロケット……足止めされると厄介ね……」
 モヒカンのつんざくような雄叫びが鼓膜を抉るように打つ。不快な響きに表情を歪めつつ、祈りの力で気流の動きを導いて、彼女はロケットレイダーを上空から押さえつけていく。
「落ちて……ください!」
 狙い撃った火の弾丸が、レイダーの背負ったロケットを砕いて地面に叩き落とす。ひと息つく間もなく十字路の両側から飛び出して来ようとするレイダーの車を前方に認めて、燦はこれでもかとばかりにブレーキペダルを強く踏んだ。このまま猟兵達が突っ込んできたところを挟撃しようというレイダーの目論見は水の泡、そのまま鼻先からぺしゃんこになる二台の車に手を振って、猟兵と少女を乗せた装甲車は電光のように突き進んでいく。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

エドゥアルト・ルーデル
拙者はよくやってきた!拙者はデキる奴だ!
そして今日も!これからも!腰がヤバくても!ネリア氏がいる限り挫ける事は絶対に無い!

その辺の車を拝借して走り出しますぞ!ネリア氏シートベルトはキチンと締めてくだされ!音楽は好きかい?
ご機嫌な【BGM】を流しつつ運転、敵が見えたらこのオウガメ…【流体金属】君に運転代行をさせて拙者は屋根の上へ迎撃へ出ますぞ!
なに急に運転とか無茶振りがすぎる?可愛い子の為だから頑張れ❤頑張れ❤

一発で沈めてやりますぞ!
物を落とされる前に上空のレイダーを狙撃し、重量物とロケットの雨を陸の敵に降り注がせて同時キルを狙いますぞ

適当に蹴散らしたら再び運転席へ
楽しいドライブの続きでござるよ


「拙者はよくやってきた! 拙者はデキる奴だ!」
 そして今日も! これからも! 腰がヤバくても!!
 そんな風に己を鼓舞しつつ、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)もまた、救出したネリアをそのへんで拝借した車に押し込んでいた。――絵面が完全に攫う側と言ってはいけない。
 実際、自身を基地から救い出してくれた『おじさま』に対して、ネリアは心を開いている様子だ。素直に車に乗り込む少女に、男は運転席から呼びかける。
「ネリア氏シートベルトはキチンと締めてくだされ! 音楽は好きかい?」
「はーい、おじさま!」
「オゥケェェイ!」
 エンジンが重く唸りを上げる。助手席にぽんといつものツールを置けば、そこへ重ねるようにキャッチーな音楽が流れ出す。そして、弾丸のように車は悪徳の都市を駆け出した。
「おおっと前方上空に敵影アリ。マジで飛んでんのねえアレ」
 ならばどうする。エドゥアルトが選んだのは、自ら車体の上に上がって迎撃に出ることだった。――運転どうするのかって? 大丈夫、やればできる子流体金属君に何とかしてもらう!
「一発で沈めてやりますぞ!」
 ドラム缶を落とされる前に落とす。宣言通り、エドゥアルトの狙撃は見事にロケットレイダーを地上に撃ち落とした。そしてその下にいたのは、バイクに跨るレイダー軍団。
 降って来たロケットの爆発に巻き込まれて吹っ飛ぶモヒカン共をバックに、エドゥアルトは悠々と『ドライブ』に戻るのだった。
大成功 🔵🔵🔵

防人・拓也
前回と同様にアルバートと行動。

自身の分隊はバン3台に分かれて、自身と姉妹が乗るバンをR1、その他をR2、R3と呼称。R1は運転席と助手席に隊員、真ん中の席に姉妹、一番後方に自分が乗る。
移動中は考え事で静か。アルバートに質問されたら
「ああ、少し考え事をな。安全な場所へ送り届けるのはいいが、その後に彼女達は行く当てがあるのかと思ってな」
と答える。
敵を確認後、姉妹に頭を下げるように指示した後に
「R2とR3は前方を警戒しつつ、R1を援護。フラッシュバンも使え」
と隊員に指示。自身は『OB-D4カービン』で応戦。
横や後方につこうとする敵車両や二輪車のタイヤ、敵のロケット部分を撃って動きを止める。
アドリブ可


アルバート・マクスウェル
前回と同様に拓也と行動。

自身の分隊はバンを3台に分かれて乗り、自身が乗る車をB1、その他をB2、B3と呼称。
「いやぁ、救出した2人を見てみたが…2人とも美人でスタイル抜群だな! 特に辰砂ちゃんなんてボンキュッボンッだ。…おい、拓也。何か静かだが大丈夫か?」
と拓也に言う。返答を聞いて
「…さぁな。それ以上のことはアストリッドに任せておけばいいさ」
と答える。
敵を確認したら
「おっと、もう追手が来たか。B2、B3はB1と共に後方を守れ」
と言い、フラッシュバンとEMPモードにそれぞれセットされたグレネードを敵に投げる。動きが止まったところを前回と同様に狙撃する。
「ゲスどもはここでねんねしな」
アドリブ可


 土煙を巻き上げて、六台のバンが暴風のように走って行く。その一台の後部座席の窓を開け、アルバート・マクスウェル(TF(タスクフォース)101司令官・f29495)は張り付くように隣を走るバンへと呼びかけた。
「いやぁ、救出した二人を見てみたが……二人とも美人でスタイル抜群だな! 特に辰砂ちゃんなんてボンキュッボンッだ」
「……」
 仲間の軽口に、呼びかけられた防人・拓也(コードネーム:リーパー・f23769)は怒るでも同調するでもなく俯いていた。まるで言葉を発しない彼に、アルバートもいくらか声のトーンを落として。
「おい、拓也」
「ん……ああ、少し考え事をな。安全な場所へ送り届けるのはいいが、その後に彼女達は行く当てがあるのかと思ってな」
「……ああ」
 保護された二人の少女は、拓也の乗るバンの中央座席に匿われている。まずは姉妹全員と会わせてやるのが目的となるだろうが、――その後は?
 さぁな、と低く返し、更に何か続けかけて、アルバートはふと鷹のように目を光らせる。拓也もまた、『そのこと』に気付いたようだった。伏せろと姉妹に声と手振りで伝え、拓也はすかさず自身の指揮する三台のバンに指示を下す。
「R2とR3は前方を警戒しつつ、R1を援護。フラッシュバンも使え」
「B2、B3はB1と共に後方を守れ」
 それぞれのバンを駆っているのは、二人の召喚した精鋭兵の霊たちだ。こうした状況にも充分に対応できる。視線だけで頷き合い、そうして二人の男はほぼ同時に後方の窓から顔を出した。
「ゲスどもはここでねんねしな」
 アルバートの放ったグレネードが爆ぜ、後方から迫る車両のタイヤを止める。そこを逃さず運転席に弾丸を叩き込む戦友に後方を任せ、拓也はOB-D4カービンを上方に向けた。
「悪いが格の差を知ってもらうぞ」
 上空からロケットで突撃してくるレイダーが、一体、また一体と落ちていく。尾を引くような怒号と悲鳴を背にしながら、そうして車両は悪徳の都の出口に迫りつつあった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第3章 ボス戦 『ブレイズフレイムのガルバ』

POW ●ブレイズフレイム・デストロイヤー
レベル×1tまでの対象の【体すら吹き飛ばし、焼き尽くす紅蓮の炎】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD ●ブレイズフレイム・ランバージャック
【なぎ払うように】放たれる【紅蓮の炎】が命中した対象を切断する。
WIZ ●ブレイズフレイム・クリムゾン
【体から噴出し、敵を焼き尽くす紅蓮の炎】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ガトウ・ガドウィックです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ルドルフ・エルランゲン
※連携、アドリブ大歓迎

ほぅ、この男がレイダーたちの言う兄貴ですか。なるほど『兄貴』ってツラですね
でも、いくら炎を纏ってても素肌にジャージ?スウェット?、夏ならまだしもこの寒いのにナンセンスだわ(言いくるめ、精神攻撃)

自身は戦場から1キロぐらい離れた位置に登場
キャバリア群に偵察ドローンいくつか混ぜて戦況確認、敵と対話する必要があれば立体映像で対話(撮影、情報収集)

■機兵八陣の計:wiz
キャバリアで取り囲み、敵の射程を探り、包囲網におびき寄せつつ集中砲火を浴びせかける(集団戦術、おびき寄せ、騙しだまし討ち、援護射撃、戦闘知識、一斉発射、他)

…また壊されたキャバリア買い足さなきゃ…やれやれ出費が…


シホ・エーデルワイス
《華組》

第六感で危険を感じ
敵の兄貴の射程へ入る前に
フローラさん達を【救園】に匿い
下車

これで心置きなく戦えます


敵の攻撃は天候操作で私達に炎が届き難いよう風を起こし
第六感と聞き耳による読心術で狙いを見切り残像回避

広範囲を焼き尽くしてきたら火炎耐性のオーラ防御結界を張って凌ぎつつ
炎に巻かれた演技の悲鳴を上げ
『聖笄』で光学迷彩を纏い目立たなくなる

塵すら残さず燃えたと思わせる

忍び足で敵の死角に移動し機を見て燦の援護射撃
氷結属性攻撃の誘導弾で
足をスナイパーし貫通攻撃して部位破壊

少しはこれで頭を冷やしては?


戦後
救出した人々の避難先は
そうね…私達が今まで助けてきた拠点はどう?

私達が見守っている事を忘れないでね


四王天・燦
《華組》

姉妹をシホに任せて車から飛び降り、前衛としてガルバに立ちふさがる
同じ炎使いとして滾る…なんてね

なぎ払いを見切り、ジャンプや果てには体を逸らして回避するぜ
接近したらなぎ払いを堰き止めるべくフォックスファイア・玖式は四ノ型たる大盾『灼熱障壁』を生成
矛と盾どちらが強いか、どっちの炎が熱いか比べようぜ

結界・オーラ防御全開
大盾でランバージャックに耐えきってやる!
シホが焼かれたと見るや狂乱して雑な戦い方になる…
演技だよ、シホがやられないと信じてるもん

シホのスナイプに続いて神鳴抜刀して騙し討ちで一閃さ
兄ちゃん、熱くなり過ぎだぜ

終われば姉妹達と気のいい拠点を探しに行くよ
幸せになれる場所を見つけようぜ


ジュリア・ホワイト
あれが親玉かな?
いいとも。帰りがけの駄賃に成敗して、後顧の憂いを断とうじゃないか
「なにせ、今日はボクに期待してくれているオーディエンスが居るんだ。みっともない戦いはできないとも」

連れているフラスコチャイルド……コクヨウさんは巻き込まないようちょっと離れた場所で待機してもらって
ボクは件の『兄貴』とやらに戦いを挑むさ
「どんな悪事も緊急停止!ヒーロー、オーヴァードライブ参上!」

道中散々燃料は食べたんだ
UCで自身の身体能力がアップするから、それで格闘戦を挑むよ
ボクのスコップは炎に強くてね
まとう炎も切り裂いて打撃を入れられるという訳さ!

「ヒーローは負けないよ。後ろに守るべき人がいる限りはね」


エドゥアルト・ルーデル
んもーネリア氏と楽しく遊んでたのにー
お前モテねぇだろ、しつこいと女の子から嫌われるんでござるよ

目眩ましに土煙と煙幕を張りつつ【流体金属】君に車両の操縦を任せますぞ!さっきも出来ただろ!
車は【薙ぎ払いの炎】と大型マシンへの囮なので拙者とネリア氏は途中下車でござる
ネリア氏…"勝利の呪文"を頼む…
こう上目遣いで「頑張って!」とか元気が出るやつで応援してくだされ!

気合が十二分に入った所で大型マシン目掛けて【グラビティ】を連続発射、爆発で不意打ちでござる
ヌゥゥゥゥ!やる気充填120%ォ!Feuer!

マシンが止まったらネリア氏をお姫様抱っこして逃走!野郎なんぞにこれ以上かまってられないでござるからな!


 そうしてレイダーどもを振り切り、今や猟兵たちはヴォーテックス・シティの出口を目前に捉えるまでに至っていた。
 だが、ふと後方が静まり返る。否、音が消えたわけではない。ただ、異様に張り詰めたような緊張感がそこを支配していた。
「どうやら親玉のご登場かな?」
 これまで(文字通り)蹴散らしてきた敵など比ではない圧の方向を機関車の窓から見やり、ジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)は座席上のコクヨウを振り向いて『安全な場所にいて』と合図しかけて――ふと、窓を叩く音に再びそちらを向いた。見れば己の翼を広げたシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)が、首に下げたペンダントを示している。
「やあ、君も皆を助けに?」
「はい……! 私のユーベルコードで、フローラさんとマリンさんはこちらに匿ってあります」
「! ……姉さんたち、無事なのね」
 漆黒の瞳に、にわかに希望の灯がともる。その横顔に微笑んで、ジュリアはなるほどと頷いた。
「行っておいで。どうやら安全なシェルターでお姉さんたちが待ってるみたいだ」
 そして、ボクも行くとしよう。軽快な動きで開いた窓からそのまま飛び降りれば、既に他の猟兵たちがその男と相対していた。
「ハ、テメエらがここらを荒らし回ってくれた連中か。ここが誰のシマだか分かってやってんだろうな、ええ?」
 凄む男は、存外に若く整った顔立ちをしていた。だがその表情に浮かぶのは他者を己の所有物と定める傲慢さと、己の物に手を出した者は誰であれ殺すと言わんばかりの暴力性だ。そんな男の姿を、やや遠方からドローン越しに観測する猟兵が、ひとり。
「ほぅ、この男がレイダーたちの言う兄貴ですか。なるほど『兄貴』ってツラですね」
 だが、あんなナンセンスな服装を好き好んで選ぶようでは相手も相手だ。眼鏡のフレームを指で押し上げ、ルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)はやれやれと肩をすくめた。――所詮は、暴力で全てを支配するだけの荒くれか。
 対話の必要は恐らくない。せいぜい聞き出したいことができたら、話半分にそれを尋ねるか尋ねないか程度だ。ならばとルドルフは映像通話用の機材を一旦止めたままにしておき、キャバリア群に搭載したAIたちに指令を飛ばす。さあ、作戦開始だ。
 ――視点を炎纏うレイダーの親玉が猟兵とぶつかり合おうとするその場に戻そう。
 自身の『所有物』を奪われ、怒りの色を隠さない男の全身を舐めるように、紅蓮の炎が膨れ上がりながら走る。その真正面にずいと踏み込みながら、四王天・燦(月夜の翼・f04448)はへえ、と唇に舌を沿わせた。
「お前も炎使いか。これは同じ炎使いとして滾るってもんだ」
「ほう、俺様と『同じ』ときたか。大した思い上がりだが――本当にテメエごときと同じかどうか、ここで分からせてやるよ!」
 一閃した男の腕から、なぎ払うような炎が猟兵に食らい付く。けれどその一撃を飛び越え、続くもう一撃を潜り抜け、獣のようにしなやかに、燦は男に肉薄していく。
「御狐・燦の狐火をもって炎の武具を成す。四ノ型――」
 祝詞のように響く声に応じて、あかあかと輝く炎が盾を成す。果たして本当に、互いの炎が『同じ』かどうかを知れ? ――上等だ。
「矛と盾どちらが強いか、どっちの炎が熱いか比べようぜ」
「ふざけろォ!」
「おっと」
 男の全身から噴出する炎を、狐火の盾が食い止める。そして燦がそのまま飛び退るのと入れ替わるように、鋭利なスコップが荒野に降る陽光を受けてさながら黒曜石のように煌いた。
「なまくらめ!」
「そうかな?」
 金属武器の一撃ならば焼き潰し、壊してしまえば届かない。そう判じ、全身に男が纏った紅蓮の鎧は、けれど漆黒の軌跡に易々と切り裂かれる。そのまま男の頭蓋に強烈な打撃の一発を叩き込み、ジュリアはスコップをくるりとバトンのように回してみせた。
「どんな悪事も緊急停止! ヒーロー、オーヴァードライブ参上!」
 今日はことさら、みっともない戦いはできない。ヒーローとして猟兵として、目の前の悪はきっちりカッコよく成敗しなくては!
 ちっ、と殊更高く舌打ちが響く。なめるな、と叫んで男が懐から取り出したのは――制御装置、だろうか。
「超巨大兵器――!」
 誰からともなく、その言葉が零れ出る。この男は、敵を叩き潰す為であれば手段を問わないと言っていた。スイッチを押し込み、唾を飛ばして『基地』の支配者は哄笑を上げる。
「ああそうとも! 既にこいつはテメエらのお仲間をまずは一台木っ端微塵に踏み潰してる! ここまで来るのももうすぐだなァ!」
 猟兵の視線が、地響きじみた駆動音の方へ投げられる。果たしてまだ、『お仲間』と呼ばれた男は踏み潰されてはいなかった。
「おっと――どうやらお出ましですかな。んもーネリア氏と楽しく遊んでたのにー」
 片目を細め、口の端を上げて、装甲車のハンドルを流体金属に預けたエドゥアルトは先ほど密かに生身で飛び込んだ瓦礫の陰から不敵に呟く。どうやら上手いこと、敵の秘密兵器を引き付けられたようだ。
「というわけでネリア氏、拙者らはここで途中下車なわけですが」
 短時間であれば流体金属の操作でもこの車両をどうにかできるのは実証済みだ。向こうは未だ、運転手が変わったことにも乗員が既にいないことにも気付いていない。――ならば。
「ネリア氏……『勝利の呪文』を頼む……」
 耳打ちされた言葉に、少女はこてりと首を傾げる。あっその仕草だけで結構やる気充填された。具体的には100%くらい。それはそれとして、エドゥアルトは親切に(?)ネリアへのお願いをもう少しわかりやすく翻訳する。もちろん小声で。
「こう上目遣いで『頑張って!』とか元気が出るやつで応援してくだされ!」
「! ……ええ、勿論! おじさま、頑張って!」
「ヌゥゥゥゥ! やる気充填120%ォ!! Feuer!!!」
 限界突破完了。今やエドゥアルトの昂りを止められる者などいない。車両を追ってそちらへ砲撃を放ちながら移動する巨大兵器の背面目掛けて、完全に不意打ちのサイコフォースが景気よくどかどかと叩き込まれた。派手な爆発の光は――恐らく、向こうにも見えたはず。
「援護しますよ」
 ルドルフもまた、自身の指揮する無人のキャバリアたちを対巨大兵器隊として展開させ、その包囲の輪をここぞとばかりに縮めていく。元より5メートルの巨体を持つキャバリアの軍団に八方から隙なく囲い込まれ、集中砲火を浴びせられては、遺跡から引きずり出された超技術の兵器と言えども無事では済まない!
「……クソがッ!」
 切り札を別動隊の猟兵に封じられたことを悟り、男は目と歯を剥いて怒声を上げる。その太腿を、氷の弾丸が貫いた。
「ギャアッ!?」
「少しはこれで頭を冷やしては?」
 シホの声は、聖者のそれとは思えぬほどに冷ややかに響く。否、人々の救済を使命とする聖者ゆえに、か。破れかぶれのように男の放った炎が、代償のようにシホの全身を悲鳴ごと焼き飛ばし、無に帰したかに――そしてそれを目にした燦の動きが、明らかに狂った。ように見えた。
「……なんてな。兄ちゃん、熱くなり過ぎだぜ」
 足を射抜かれ動きの鈍った敵の背に回り、『神鳴』を鞘から抜き放つ。紅の電流を纏うその一閃が、燃え盛る炎を潜り抜けて男の骨にまで至る。 迷彩を解いたシホの無事を確認するようにちらとそちらへ一瞬視線を走らせて、ジュリアもまた、凛と笑って得物を振り抜いた。
「ヒーローは負けないよ。後ろに守るべき人がいる限りはね」
 繰り出した一撃が、オブリビオンの頭蓋骨を叩き砕く。制御の尽きた炎がたちまち骸を焼き、灰に変えていく。
 そうして吹き抜けた風が、基地の王であったものをどこへともなく運んで行った。

 猟兵の手により、囚われの姉妹は、そして奴隷たちは無事に救い出された。彼ら、彼女らのこれからは、分からない。
 けれど確かに、猟兵は彼らに希望を――そして何より、未来をもたらすことに、成功したのだ。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年01月15日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵