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学園焼失計画

#UDCアース

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#UDCアース


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 ――学校なんて、焼けてしまえばいいのに。

 儀式に参加する人物は五人。
 一人目は女子生徒・青谷。優等生という人物像を求められるのが嫌だった。
 二人目は男子生徒・赤山。失恋の痛みからすべてが嫌になった。
 三人目女子生徒・黄島、四人目男子生徒・白井は愉快犯。
 五人目男性教師・黒田は我儘な生徒たちに疲れ果てていた。
 儀式は、じきに完成するだろう。
 蝋燭を手紙で包み、教室のどこかに隠すだけなのだから。

 ――ああ、カレイド様。どうかこの学園を焼き尽くしてください。

 彼らの儀式が完成すれば、何かが現出するはずだ。

●学園焼失計画
「UDCアースで事件だよ」
 ルビナ・ベイビーブルー(スペースノイドの電脳魔術士・f01646)が説明を始めた。
「そこは都会から少し離れた場所にある中高一貫の学園だよ。電車で通っている生徒が多いようだね。その学園でね、UDC怪物が召喚されようとしているの」
 ルビナによると、学園内に不満を持つ人物たちが手紙で包んだ蝋燭を教室のどこかに隠すということらしい。
「その人物は全部で五人だよ。五つすべての蝋燭を隠し終えたら儀式は完了しちゃうんだよね。そうしたら、完全体のUDC怪物が召喚されちゃうんだよ」
 そこでUDC怪物の完全召喚を阻止してほしい、というのが今回の依頼のようだ。
「教室はたくさんあるようだし、儀式をしようと思っている人を止めるしかないと思うんだよね。五人のうち誰か一人でも説得できれば、敵の完全召喚は出来なくなるよ。もし説得をするのが苦手なら、隠された直後に蝋燭を回収しても良いかもしれないね。その場合はバレないように後をつけて、即座に回収してね」
 学園の校舎はごくありふれた造りをしている。
 儀式を行う五人はすぐに分かるだろう。学園で違和感なく聞き込みを行うことができれば、なお効率は上がるはずだ。
「ただし気を付けて! 蝋燭を無理矢理奪おうとすれば、すぐに火がついて火事になっちゃうよ。呼び出されようとしているのは炎を司る邪神に取り込まれてしまった少女なの。だからかな」
 UDC怪物の完全召喚を防ぐため、誰かを説得するかうまく蝋燭を回収しなければならないようだ。
「もし完全召喚阻止に成功したとしても戦いになるかもしれないよ。でもそれはまだ先の話。まずは儀式を行おうとしている五人を何とかしてね!」
 一人目は女子生徒・青谷。優等生という人物像を求められるのが嫌だという。
 二人目は男子生徒・赤山。失恋の痛みからすべてが嫌になったそうだ。
 三人目女子生徒・黄島、四人目男子生徒・白井は愉快犯。楽しいと迷惑をはき違えている。
 五人目男性教師・黒田は我儘な生徒たちに疲れ果てていた。
「それじゃあ、みんなよろしくね! UDC怪物が完全体で召喚されちゃったら大惨事だよ。学園全体が燃えちゃうし、被害は甚大だよね。できる限り阻止できるよう頑張って! お願いします」
 そう締めくくり、ルビナは頭を下げた。


陵かなめ
 UDCアースでの事件です。
 第1章:冒険(儀式を阻止し、UDC怪物の完全召喚を防ぐ)
 第2章:集団戦(???)
 第3章:ボス戦(???)
 を予定しております。
 第1章では、学園に潜入し儀式を行おうとしている人たちの説得をお願いします。蝋燭を穏便に回収する方法も可能です。無理矢理蝋燭を奪おうとすれば、蝋燭に火がついて大変なことになりますのでご注意ください。
 学園で違和感なく聞き込みや行動ができれば、なお効率は上がるとのことです。
 第2章以降も、学校である点を活かし行動することによってプレイングボーナスが付きます。

 それでは、プレイングお待ちしております!
 プレイングは9/06 8:31から受付ます。
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第1章 冒険 『UDC召喚阻止』

POW   :    UDCの発生原因となりそうなものを取り除く

SPD   :    校内をくまなく調べ、怪しげな物品や痕跡がないか探す

WIZ   :    生徒達に聞き込みを行い、UDCの出現条件を推理する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヘンリエッタ・モリアーティ
【ともだち】
あーかーやーまーくんっ♡
こんにちはぁ、「マリー」ちゃんでーす!
ねえねえ、学校燃やしちゃうってマジ?
ヤバすぎない?
やりたいならやればいーじゃんって思うけど
でもさー、なんで燃やしたいの?それによるかも!

女の子ってその子だけじゃないじゃん
世の中にはこーんなエリィみたいな可愛い女の子もいるし
なんなら女の子よりかわいー男の子だっているし?
それと比べたら、燃やして全部台無しって
チョーバカバカしくなってこない?

っていう――【鵲の橋】で一番話が通じそうな相手に
テレポートして説得する流れ
失恋のコンプレックスなんて!
はーあ、ばっかばかし。そう思わない?エリィ
恋してるうちは愛してもらえないのにね!ウケる


エレニア・ファンタージェン
【ともだち】

アーカーヤーマーくん!初めまして、エリィはエリィよ
やだ、表情がすごく暗いわ?
嫌なことがあったのね?それで学校を燃やすのね!
エリィなら先にスプリンクラーとか報知器を壊しておくけど…あら?そうね理由をまず聞かないと

失恋?失恋したから学校を燃やすの?学校さん可哀想
そんなに燃え上がるような恋をしたのかしら
その子マリーさんより可愛いのかしら!
億が一にもそうだとしたら貴方幸運な人だから棒に振るのはおやめなさい
そうじゃないならこれからの人生の方がもーっと長くてチャンスもあるから次に期待よ
…ちゃんと勉強して卒業して稼げる大人にならないと将来モテないわ?

マリーさんと一緒に彼の新しい恋を応援します



●もしも恋が破れたとしても
 都会から少し離れた場所にある学園は、ごくありふれた学校のようだった。
 放課後は部活動が行われており、ほとんどの生徒が学園に残っている。
 ヘンリエッタ・モリアーティ(悪形・f07026)とエレニア・ファンタージェン(幻想パヴァーヌ・f11289)は、廊下でウロウロしている男子生徒を見つけた。
「あーかーやーまーくんっ♡」
「アーカーヤーマーくん!」
 目当ての人物に、当然のように声をかけるヘンリエッタとエレニア。
「な――」
 突如目の前に出現した二人を見て、赤山は目を白黒させた。
「こんにちはぁ、『マリー』ちゃんでーす!」
 ヘンリエッタが笑顔で手を振る。
「え、あの?」
「初めまして、エリィはエリィよ」
 エレニアは微笑んで赤山を覗き込んだ。
「やだ、表情がすごく暗いわ?」
「――っ」
 そう指摘され、赤山が弾けるように顔を上げる。
 ヘンリエッタが畳みかけるように質問を飛ばした。
「ねえねえ、学校燃やしちゃうってマジ? ヤバすぎない?」
「そ……」
 言いながら、男子生徒の様子を見る。
 エレニアが指摘した通り、赤山の表情は暗く沈んでいた。猫背気味に大きなバッグを抱きしめ、じりじりと後退り始めている。
「嫌なことがあったのね? それで学校を燃やすのね!」
 エレニアも、心底不思議そうに赤山の表情を見た。
 そして後退る赤山の退路を断つように、半歩後ろに回り込んでこう続ける。
「エリィなら先にスプリンクラーとか報知器を壊しておくけど……」
「え?」
 確実に学校を燃やし尽くしたいのなら、まずはそこだとは思う。
 スプリンクラーや報知器には気づいていなかったのか、赤山は言葉に詰まり俯いた。
 ぎゅっとバッグを握り締めたところを見ると、大切な何かが詰まっているのだろう。
「やりたいならやればいーじゃんって思うけど」
 ヘンリエッタはにこやかに話を続けた。
「でもさー、なんで燃やしたいの? それによるかも!」
「いや、それは……」
「あら? そうね理由をまず聞かないと」
 もっともなことだとエレニアが頷く。
 二人に見つめられ観念したのか、赤山は自身の境遇について二人に語り始めた。
 曰く、同じ委員会に入った女子がいた。一緒に作業をしているうちに、相手が優しい子だと分かった。優しく話しかけてくれるのだから、きっと自分のことが好きなんだろうと確信した、と。
「だからっ、わざわざっ、つ、付き合ってやろうって……言ってやったのに……!」
 ヘンリエッタとエレニアが秘かに視線を交わした。『少し優しくされてのぼせ上ってしまった』というところだろう。
「お、オレ、断られて。それから目も合わせてくれなくて!! サイテーだよ。傷ついたんだ!!!」
 赤山は主張する。
 だがその手は震えていて、どこか自分に非があるのだと怯えているようにも見えた。
「失恋? 失恋したから学校を燃やすの?」
 ずばりエレニアの言葉に、赤山は顔を赤らめる。
「学校さん可哀想」
 エレニアは沈痛な表情で校舎の壁に指を這わせた。そんなに燃え上がるような恋をしたのだろうか。はなはだ疑問ではある。
 さて、ヘンリエッタは話を聞いてカラカラと笑い飛ばした。
「女の子ってその子だけじゃないじゃん」
「……っ」
「世の中にはこーんなエリィみたいな可愛い女の子もいるし、なんなら女の子よりかわいー男の子だっているし?」
 ニコリと、最高の笑顔で赤山を覗き込んだ。
「ぅ、あ、その……」
「その子マリーさんより可愛いのかしら!」
 エレニアは、まさかそんなと思いながら、ぐっと堪えて言葉を続ける。
「億が一にもそうだとしたら貴方幸運な人だから、棒に振るのはおやめなさい」
「いや、億が一って……」
 俯いていた赤山が再び顔を上げた。
 その表情を見て、ヘンリエッタが頷く。エレニアの言葉に緊張がほぐれたのか、ヘンリエッタの笑顔に負の感情が吹き飛んでいったのか、その両方か。判断は難しいけれど、赤山の顔から緊張の色が抜けていくのが分かる。
「燃やして全部台無しって、チョーバカバカしくなってこない?」
 そう言ってウィンクしてやると、憑き物が落ちたように赤山が息を吐き出した。
「そうよ、これからの人生の方がもーっと長くてチャンスもあるから次に期待よ」
 エレニアも応援するように赤山を見る。
「次か……」
 赤山は乾いた笑いを吐き出した。
「……ちゃんと勉強して卒業し、て稼げる大人にならないと将来モテないわ?」
 諭すようにエレニアがそう言うと、観念したように赤山はバッグを肩から降ろす。
 そして差し出された蝋燭を、ヘンリエッタが受け取った。

 帰宅していく赤山の背を見送り、ヘンリエッタがエレニアを見た。
「失恋のコンプレックスなんて! はーあ、ばっかばかし」
 そう思わない? と。
「恋してるうちは愛してもらえないのにね! ウケる」
 エレニアは小首を傾げて小さく笑った。
「エリィも彼の新しい恋を応援するわ」
 少なくとも、自らこの蝋燭を差し出した赤山の姿は、闇に囚われてはいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陰白・幽
う〜ん……悩み事があるのは分かるけど……変なもの?に頼るのはどうなんだろう……
う〜む、やっぱり大人って分かんないや。責任も後悔も全部自分に返ってくる…‥自業自得なのによく分かんない変なもの?に頼るなんて変なの。
説得は難しそうだし、ボクはこっそり回収をしていこ〜っと


上手に忍び込まなくては〜……学校に兄が通っているみたいな感じで学校に潜り込んで、兄の知り合いを捜す感じで今回の召喚に関わる人の居場所とか、様子を聞いてみようかな。

対象を見つけたら、蝋燭を隠すのを見届けたら鋼糸を使って何かを動かして大きな物音を立てて注意を引いてその隙にUCを使って蝋燭の位置まで行って一気に回収をしていくよ〜



●瞬間移動の回収劇
 陰白・幽(無限の可能性を持つ永眠龍・f00662)は正面玄関から堂々と学園に入り込んだ。
 すれ違う人々にそれとなく『この学園に兄が通っている』ことをアピールしながら探索する。
「お兄ちゃんを探しているの?」
 世話好きそうな女生徒が屈み込んで幽を見た。
「ううーんと、兄の……先生、かな」
 可愛らしく首を傾げながら考える。
 確か儀式を行おうとしている人物は全部で五人だ。『兄』の知り合いを探すなら、男性の方が良いだろう。となると男性教師・黒田などが適当だと思った。
「先生かあ、名前は分かる?」
「名前は……黒……なんとかだよ」
「黒……。黒田先生? それならええと、実験室かな」
 女生徒は何の疑いも持たずに黒田の居場所を教えてくれた。
「そう、黒田せんせい。……こわい、かな?」
「えー、うーん。怖いって怒鳴るわけじゃないんだよね。でも、いっつも睨んでくる……って、ああ、これは内緒だよ!」
「うん。ありがとう」
 慌てて取り繕うように笑う女生徒に礼を言い、幽は実験室を目指す。
 玄関にあった案内図を思い出し、考え考え階段を上がった。
「う~ん……悩み事があるのは分かるけど……変なもの? に頼るのはどうなんだろう……」
 それが五人も集まったというから驚きだ。
 やはり、大人って分からないと思う。
「責任も後悔も全部自分に返ってくる……、ぜんぶ自業自得なのに……」
 カレイド様とやらが学園を焼き尽くしてくれるなど、どう考えてもあやふやで曖昧で、誰もよく分からないモノだろうに。
「よく分かんない変なもの? に頼るなんて変なの」
 実験室に近付いた幽は、静かに腰を落とした。
 そっと扉に耳を当てて様子を確認する。中から成人男性の呟きが聞こえて来た。
 気づかれないよう、注意しながらそっと覗き見る。
「……これで、すべて焼き尽くされる。もうこんな場所嫌だ。実験室には燃料がいくらでもある。燃えろ、燃えろよ。ひひ、ヤバい薬品に引火すればいいのになぁ」
「……やっぱり、大人って分かんないや。説得は難しそうだねえ」
 あれが黒田だと確信し、幽は鋼糸を伸ばした。
 蝋燭は教壇の裏に隠されたようだ。それならと、廊下の展示棚の中身をいくつか拝借し、壊れないよう地面に叩きつける。
 派手な音が廊下に響き渡った。
「誰だ!!」
 黒田が教室前方の扉から飛び出してくる。
 幽は全神経を集中させ、『永眠龍の夢現』を発動させた。
「眠れる我を……今ここに……」
 教壇を視認し、黒田と入れ違いになるタイミングで後方の扉から一気に距離を詰める。
 一つ目の呼吸で蝋燭を確保し、次の一瞬で窓から飛び出た。
「……これで回収完了だよ」
 軽やかに着地して、胸に抱いた蝋燭を確認する。
 それはまさに一瞬の回収劇だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲

接触前にクラスメイトとかに青谷ちゃんの印象とか普段の様子とかを聞いて『情報収集』しとこう
必要があったら、卒業生の母校訪問って体で…
人となりを調べて、それから接触

その後は彼女と接触
やっほやっほ、青谷ちゃん
突然ごめんねー、怪しい者だけどちょいっとお話したいなって
変な儀式するそうじゃん?思いとどまらないって話
他人に人物像求められるのが嫌なのはよーっく分かるよ…
でも焼く前にさ、一歩踏み出してみるのが先じゃない?
もっと自分出して行こうよ!私みたいにさあ
簡単じゃないのは分かる、でもねその方が絶対楽しいから!
それに人生楽しんでる方が、きっと君の魅力も色々伝わるよ?
だからさ、その蝋燭…こっちに頂戴?


サンディ・ノックス
まず学園で聞き込み
話に合わせ相槌を打って話を引き出し
他人が思う青谷さんの人物像を掴む

青谷さんを見つけて
「こんにちは。少し相談があるんだ…」
と声をかける
嫌気が差していても優等生を演じ続けるヒトなら断れない筈

「俺、優等生を演じるのに疲れたんだ
(続けて学園で聞いた彼女の評判を基にどんな優等生を演じているか言う)
俺は本当はそんな人間じゃない
もううんざりだ!今を壊してしまいたい!
…それじゃいけないと思うから
皆に立派と言われている青谷さんのアドバイスを聞きたくて」
共感を与えて彼女の想いを聞きだす

たぶん彼女は一人で抱えて苦しんでいる
同類が居ると知れば極論からは逃れられると思う
俺が悩んでいるのは嘘じゃないもの



●もしもイメージだけが歩いていても
「それじゃあ、青谷さんって本当に真面目な人なんだね?」
 サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)が声をかけたのは、廊下で他愛ない話に花を咲かせていた女生徒たちだった。
「いつも教科書全部カバンに入れて登校してるイメージ!」
「わかる。昼休みに一人で予習してるよね」
「生徒手帳百回くらい読み返して暗記してそう」
 女生徒たちは様々な話を聞かせてくれる。
 特に気になった情報を頭に叩き込みながら、サンディは穏やかに相槌を打った。
 それは彼女たちが直接見た事実と、想像を膨らませた物語とが入り混じった話だ。
 なるほどこれでは、イメージだけが先行して雁字搦めになっていても仕方がないと思う。
 女生徒たちも悪気があって言っているのではない。頭の中では、そのイメージこそ青谷という人物なのだろう。
 サンディは女生徒たちに別れを告げ、青谷がいつも放課後使用しているという教室へと向かった。

 一方、月夜・玲(頂の探究者・f01605)も青谷の人となりについて聞き込みを行っていた。
「いつも物静かってことなのかな?」
「そうですね。確かに。なーんか、話しかけづらいよなあ」
 青谷と同じクラスだという男子生徒たちはそう言って苦笑いを漏らす。
「教室の中で笑い話をするタイプじゃないってことだよね」
 玲が言うと、男子生徒たちは慌てて手を振った。
「あ、別に、いじめとかそういうんじゃないですよ」
「用事があれば普通に話すし、な」
 この学園の卒業生を装っての聞き込みだ。男子生徒たちは玲の顔色を窺うようにかしこまる。
「わかったよ! 協力ありがとう。この学園も懐かしいな」
 男子生徒たちから離れると、玲は堂々と廊下を歩いた。
 すれ違う生徒たちに余裕の笑みを向け青谷の教室へと向かう。人となりを知る調査は上手くいった。
 すぐに三階の教室にたどり着く。中を見ると、先に到着したサンディの姿が目に入った。
 それなら自分はタイミングを見てと、玲は目立たぬよう教室の手前でしゃがんだ。

 三階の教室では女生徒が一人ポツンと自主学習をしていた。
「こんにちは、青谷さん」
 相手を刺激しないよう、柔和な微笑みを浮かべサンディが声をかける。
「えっと……?」
 青谷は顔を上げサンディを見た。警戒の色が浮かんでいる。
 サンディはゆっくりと青谷に近付き、目の前の椅子に座った。
「少し相談があるんだ……」
「え……、相談?」
 頷いて、相手の様子を見る。
 嫌気がさしていようとも、優等生を演じ続ける彼女なら断らないと思うのだが。
「何かしら?」
 思った通り、青谷は持っていた筆記用具を机に置いて姿勢を正した。
「俺、優等生を演じるのに疲れたんだ」
「……え」
 突然の、しかし核心を突いた相談。
 青谷は驚いたように目を見開いた。
「いつも真面目に勉強しているとか、校則は絶対に守っていそうとか、ずっとイメージが付いて回るんだよね」
「それは……」
「俺は本当はそんな人間じゃない。もううんざりだ! 今を壊してしまいたい!」
 ぎくりと青谷が机の中に手を入れた。
 その様子を見ながら、ふっとサンディが息を吐き出す。
「……それじゃいけないと思うから、皆に立派と言われている青谷さんのアドバイスを聞きたくて」
 そして真っ直ぐに彼女を見た。
 自分が悩んでいるのは嘘ではない。
 だからこそ、彼女の共感を得られるはずだと。
 しばらく待つと、困ったように青谷が俯いた。
「……それは……、私は立派じゃない。私だって。……同じかも。私も本当は優等生じゃないのよ」
 お互い辛いよねと、かすかに青谷が笑う。
 同じような悩みを抱えている者を見て、すこし心が落ち着いたようだ。

 そのとき、教室の扉がガラリと開いた。
「やっほやっほ、青谷ちゃん」
 入ってきたのは玲だ。
「あなたは?」
「突然ごめんねー、怪しい者だけどちょいっとお話したいなって」
「怪しい人なんだ」
 サンディとの会話で緊張がほぐれたのか、青谷がふふと笑った。
 玲はそんな彼女の様子を見て、ずばり切り出す。
「変な儀式するそうじゃん? 思いとどまらないって話」
「どうして、それを……?」
 驚愕の表情を浮かべる青谷。玲は当然のように話をつづけた。
「他人に人物像求められるのが嫌なのはよーっく分かるよ……」
 青谷が思わず立ち上がる。ぎゅっと、制服の袖を握るのが見えた。
「でも焼く前にさ、一歩踏み出してみるのが先じゃない?」
「……そ……」
「もっと自分出して行こうよ! 私みたいにさあ」
 そう言われて、青谷は力なく笑い声を漏らした。
「それは、とても難しいわ。特に、私には」
「簡単じゃないのは分かる。でもね、学校を焼くよりその方が絶対楽しいから!」
「確かに、焼くよりは簡単そうだね」
 おとなしく聞いていたサンディが相槌を打つ。
「そう……かな?」
 青谷は戸惑いながら二人を見比べた。
「そうだよ。それに人生楽しんでる方が、きっと君の魅力も色々伝わるよ?」
「優等生じゃない私に魅力なんて……」
「今分からないなら、これから教えてよ!」
 玲が笑って手を差し伸べた。
「だからさ、その蝋燭……こっちに頂戴?」
 しきりに机の中を気にしていたのはすでに気づいている。
 青谷がもう一度サンディを見る。サンディは大きく頷いてやった。
「……分かったわ」
 観念したように机から蝋燭を取り出し、青谷はそれを二人に差し出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『棒人間ソルジャーズ』

POW   :    棒人間デリバリー
【貧弱な武器】で武装した【これまで倒された棒人間ソルジャーズ】の幽霊をレベル×5体乗せた【ダンボール箱】を召喚する。
SPD   :    棒人間ブレード
【武器による貧弱な一撃】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    棒人間あるある
【棒人間あるある】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●棒人間ソルジャーズ
 五つの蝋燭のうち三つが回収された。
 猟兵の活躍により、UDC怪物の完全召喚は回避されたのだ。

 ――おのれ、邪魔をする者がいるのか

 召喚を控えていたUDC怪物がギリギリと悔しさをにじませる。

 ――いや、まだだ!
 ――いけお前たち!! 欠けた蝋燭を、速やかに配置しろ!!

「さー、いえっさー!」
 UDC怪物がそう言うと、配下の棒人間ソルジャーズたちが飛び出した。
「運べ運べ蝋燭運べ! ええと、教室ってどこだ? 教室ってどうやって入る?」
「分からないけど、とにかく運べ!」
 棒人間ソルジャーズたちは、儀式に足りなくなった蝋燭を抱えて散っていった。

※第2章は棒人間ソルジャーズとの集団戦になります。
 彼らは蝋燭を抱え学園の四方八方に飛び出しました。ただし学校という場所に慣れていないため、どのように走って良いのか分かりません。玄関から発生して、グラウンドや体育館、中庭など見当違いの場所へ進んでいきます。

 【1】教室に入り込まれないようにしながら、彼らを次々殲滅してください。
 【2】残りの蝋燭が気になる方は、彼らと戦いながら回収してもOKです。
 【3】生徒が残っていますので避難させてあげてもOKです。

 それでは、よろしくお願いします。

※プレイングは9/11 8:31から受付ます。
サンディ・ノックス
お前達を教室には行かせないよ
と真剣な顔で言いながらグラウンドに向かった棒人間からUC解放・夜陰で始末していく
グラウンドに行かせないように必死になっている姿を【演技】してみせれば、そこが教室と騙されてグラウンドに多く集まってくるはず
余力があれば別の場所に向かっている棒人間にもUCを飛ばして駆除しておこう
…これ、魂あるのかな
力を使うとお腹減るんだよね、ちょっと試してみよう
と戦闘の合間に魂啜り
(※この行動はおやつを食べるのをイメージいただくとこちらの想定と近いと思います)

俺は棒人間じゃないし棒人間あるあるには共感できないなぁ
それで奴らが元気になっても気にせずそれ以上の力で叩き潰せばいいよね



●空に浮かぶ闇
「運べ運べ! 蝋燭運べ!」
 棒人間たちがわらわらと散っていく。
 サンディは敢えてグラウンドの入り口に立ち、真剣な表情で宣言した。
「お前達を教室には行かせないよ」
 まるで自分の背に大切なものがあるかのように演技する。
「何だお前!」
「さては、教室とやらが近くにあるんだな!」
 学校の造形に詳しくない棒人間たちは、サンディの思惑通りグラウンド目指して群がって来た。
 守るべきものがあるからこその真剣な表情なのでは? といったところだ。
「何体集まってきても無駄だよ。絶対にこの先には行かせないから」
 集まってくる棒人間たちを見ながら、サンディが掌を掲げる。
 闇属性の魔力を練り、ユーベルコード『解放・夜陰』を発動させた。
 瞬間、空にずらりと400を超える漆黒の水晶が並ぶ。
「最初はどこからかな」
 手を振り下ろすと同時に水晶が舞った。鋭く、素早く、棒人間めがけて飛んでいく。
「なんだとー! やる気かー!」
 棒人間たちが構えを取った。
 だが、その端から水晶が彼らを吹き飛ばして穿つ。
「は?!」「あーれー?」「たーすーけーてー」
 適当な造形の表情を驚きに染め、棒人間たちは吹き飛んで消えていった。
「そこ、次はこっちだね」
 サンディは攻撃の手を緩めない。
 あっという間に周辺の棒人間を一掃すると、さらに近づいて来る敵に狙いを定め水晶を飛ばした。
「やるなあ!」
「それじゃあ、棒人間あるあるー!」
「ちょっとした衝撃で、すぐ吹き飛ぶよねー!」
「「「「あるあるー!」」」」
 棒人間たちが互いの苦労に共感し傷を癒していく。
「……そんなものなのかな? あんまり共感はできないなぁ」
 一方、サンディは少し首を傾げただけだった。
 少しばかり元気になったようだが、それならそれ以上の力で叩き潰すまで。
 水晶を操り、一気に棒人間の群れを貫いた。
 闇の力にくし刺しにされ、あっという間に棒人間が力を無くす。
 ふと気になり、消えそうな棒人間を一体摘まみ上げた。
「……これ、魂あるのかな」
 何せ、力を使うとお腹が減る。
 気を失ってぐるぐる目を回している棒人間の魂をちょっと啜ってみた。
「うーん、こんなものかな?」
 さしてうま味も無い。
「あ~れ~……」
 棒人間は抜け落ちた魂に引かれるように干からびて消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘンリエッタ・モリアーティ
【ともだち】
あらあら、エリィ、見える?
うじゃうじゃ出てきちゃったの。困っちゃうわねえ
んー。私が【全能の逆説】で風を起こすから、エリィが殲滅する形でもいーい?
生徒たちも避難してもらったほうがいいみたいだし
バラバラにするのはエリィのほうがきっと上手だもん。ねえ?

廊下に強風をブワーッと撒いちゃいましょ
体が軽いだろう棒人間たちはまきあがってしまうけど
人間をふきとばしたりはしないしね
さあ、生徒諸君、若さは健康の証!どんどん走ってー!
あ、スカートに気をつけてね?上から下に風圧を加えるから!

下らない有象無象の相手はもう沢山
そうよね?エリィ
やっぱりダンスの相手は「上物」じゃないと
盛り上がらないわ


エレニア・ファンタージェン
【ともだち】
あら、あら…何か、居るわね!なにこれ?線みたいに見えるけど合っている?
マリーさんがこれを吹き飛ばしたら…エリィは刈れば良いわね!
マリーさんありがとう、好きよ

【蹄音の小夜曲】で召喚した愛馬に騎乗して、大鎌に変えたSikándaで薙いで刈り取るわ
刃に呪詛を、馬の蹄に炎の属性攻撃を纏わせるのも忘れずに
走る生徒さんたちの後ろを護衛…と見せかけて、飛び越えてその先の敵を騙し討ちとかね
あら、お嬢様がた、スカートにはご用心
マリリン・モンローみたい!っていうんでしょ、そういうの

そうね、そうだわマリーさん
ダンスパーティーの有象無象にしたってお粗末なこんなの要らないわ
もっとマシなのを狩りに行きましょ



●風に乗る
 グラウンドへ向かった棒人間たちは吹き飛ばされ消えていく。
 だが、棒人間たちは続々と湧き出て学校中に広がっていっているようだ。
「あらあら、エリィ、見える?」
 ヘンリエッタが背伸びをして、玄関からあふれ出る棒人間たちを眺めた。
 エレニアは目を細めてうごめく棒たちを確かめる。
「あら、あら……何か、居るわね! なにこれ? 線みたいに見えるけど合っている?」
「そうじゃない? 動いて広がってるし。……うじゃうじゃ出てきちゃったの。困っちゃうわねえ」
 そう言っている間にも、あっという間に敵が校内へ雪崩れ込んできた。
 二人は軽やかに跳び、廊下の先に躍り出る。
「んー。私が風を起こすから、エリィが殲滅する形でもいーい?」
「マリーさんがあれを吹き飛ばしたら……エリィは刈れば良いわね!」
 棒人間の波が押し寄せてくる。
 周辺の生徒たちは目を白黒させて異様な光景を見ているようだ。
「生徒たちも避難してもらったほうがいいみたいだし」
 これを放置すれば混乱が起こるかもしれない。
 ヘンリエッタは廊下の幅・長さ、そして生徒たちの数をざっと試算しながらエレニアを見た。
「バラバラにするのはエリィのほうがきっと上手だもん。ねえ?」
「マリーさんありがとう、好きよ」
 そう答えて、大鎌に変わった『Sikánda』を手に取るエレニア。
「さあいそげー!」
「きょうしつはどこだー?」
 棒人間たちがわらわらと走り来る様子が見える。
 ヘンリエッタは彼らの真正面から、大きく風を巻き起こした。
「――約束されるのは達成よ」
 ユーベルコード『全能の逆説』を発動させ、廊下の端から強風ですべてを流す。
 突然の風に、居合わせた生徒たちが髪やスカートを抑え悲鳴を上げた。
「うわ?!」「ええっ、す、スカート!!」
 だが、この風では人間は飛ばされない。
「あ~れ~」「とーばーされーるー!」
 吹き飛ばされたのは、棒人間たちだ。
 軽い身体は強風に耐えられるはずもなく、あっという間に廊下の上部へ舞い上がった。
「さあ、生徒諸君、若さは健康の証! どんどん走ってー!」
 廊下に、よく通るヘンリエッタの声が響く。
 避難しなければならないことに気づいた生徒たち。彼らは風にのまれないよう思い思いに走り出した。
 ヘンリエッタがエレニアに視線を送る。
 エレニアは頷き、ユーベルコード『蹄音の小夜曲』を発動させた。
 昏い炎を纏った黒馬を召喚し、ひらりと飛び乗る。
「蹴散らしなさい」
 愛馬はエレニアを乗せて颯爽と廊下を駆け抜けた。
 一呼吸で、舞い上がった敵たちの最中へ飛び込む。
 エレニアは手元の大鎌を振るい、周囲の敵の身体を斬り裂いた。刃には呪詛をたっぷりと乗せてある。
「うわー!」「だめだー!」
 斬られた棒人間があっという間に消えていく。
 残った棒人間を黒馬が蹴とばすと、呆気なく炎に巻かれて崩れ落ちた。
「あ、スカートに気をつけてね? 上から下に風圧を加えるから!」
 ヘンリエッタが制御していた風にひと工夫加える。
 すると今まで直線だった風が吹き荒れ、廊下中の流れが変わった。ぐるぐると風が循環し、ますます勢いが増していく。
 それに合わせるように、生徒たちのスカートが大きく膨れ上がった。
「わわっ」「ちょ……っ」
 必死で裾を抑える女生徒の頭上を、エレニアがひらりと飛び越えていく。
「あら、お嬢様がた、スカートにはご用心」
 スカートを抑えるセクシーな姿は、有名な女優のようだと聞いたことがある。女生徒たちの仕草は、まさに足元からの風にスカートを捲られた、かの女優のようなのだろう。
 さて、生徒たちの先には舞い上がった棒人間たちの姿。
「まーわーるー!」「うごけーなーいー」
 ますます吹き荒れる風に翻弄されているようだ。
「エリィ、その辺りで舞っているのでひとまず最後ー!」
 ヘンリエッタが声をかける。
 エレニアは口元に笑みを浮かべ頷いた。そして、強風の中大鎌を振り下ろす。
 風に腕を取られることも無い。愛馬はしっかりとした足取りで支えてくれている。
「いつのまにー、ここにきたー?」
「気づいていなかったの? それは残念ね」
 生徒を守る位置から飛び出してきたのだが、敵にはその動きすら見えていなかったようだ。
 エレニアは、ぐるぐる目を回す棒人間を斬り捨てた。

 風の凪いだ廊下に、ヘンリエッタとエレニアが並んで立つ。
 すでにこの廊下に棒人間はいない。
「下らない有象無象の相手はもう沢山。そうよね? エリィ」
「そうね、そうだわマリーさん。ダンスパーティーの有象無象にしたってお粗末なこんなの要らないわ」
 ヘンリエッタの言葉にエレニアが答える。
 これは二人にとって、あまりにも当たり前の勝利だった。
「やっぱりダンスの相手は『上物』じゃないと盛り上がらないわ」
 少なくとも、簡単に風に飛ばされる棒人間ではないとヘンリエッタ。
「もっとマシなのを狩りに行きましょ」
 『Sikánda』を納め、エレニアは頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
さあて、出てきた出てきた
これまた可愛らしい敵だことで
じゃ、まずはこいつ等の殲滅といきますか


《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
さて、どう守ろうか…まあアホそうだからなー…うーん
ま、ちょっと雑だけど範囲攻撃で守ろっか
教室はまず戸締りしっかりと、飛び込みエントリーされても困るしね
後は仕上げに【光剣解放】を発動
890本の光の剣を10本単位で運用して教室の周囲に配置
遠くても20mよりは離さずに配置しとこ
後は近づいて来た棒人間をオートで攻撃するように設定しとくだけ…と
集中突破を掛けてきたら、私も武器を持って迎撃かな
それ以外の状況なら教室近くで敵の動向を観察しとこ

●アドリブ等歓迎



●ディフェンスゲーム
 グラウンドや校舎内の棒人間の数は減っている。
 玲は、三階の教室の戸締りをしながら廊下を回っていた。
「さて、どう守ろうか……」
 ちらりとグラウンドの様子を見る。棒人間たちは良いように呼び寄せられ、吹き飛ばされて貫かれていた。下の階では、斬り刻まれた敵の破片が窓から飛び出て消えている。
 その様子を考えると……。
「まあアホそうだからなー……うーん」
 その間にも、三階を目指す棒人間たちの足音が聞こえてきている。
 下の階の戦闘に巻き込まれないようなルートを偶然見つけたのだろう。
「機能解放、光剣よ舞い踊れ!」
 玲はユーベルコード『光剣解放』を発動させると、890本の光の剣を周囲に浮かべた。
「10本ごとで良いかな」
 言いつつ、教室の周囲に光の剣を配置していく。
「攻撃対象は近づいて来た棒人間とする、と」
 とにかく教室に入る前に仕留めたら良いのだ。
 万が一光の剣をすり抜けて飛び込まれないよう、もう一度戸締りを確認する。
 そして教室近くに身を潜め、敵の接近を待った。

「めざせ教室ー!」
「だいぶのぼったからなー! さぁ蝋燭をおくぞ!」
 ゾロゾロ列をなして棒人間が三階へやって来た。
 玲はそっと様子を窺う。
 先頭の棒人間が教室の入り口付近に近付いた。
 瞬間、光の剣が棒人間を串刺しにする。
「……え?」
 刺された敵はあっという間に崩れ落ちた。
 周辺の棒人間がざわつく。
「てきじゃないか?!」「刺されるぞー!」「いそげいそげ」
 歩いていた集団が一斉に走り出す。
 だが次の瞬間、待機していた光の剣が根こそぎ集団を斬って捨てた。
「……律儀に廊下を真っすぐ来るんだね」
 次々光の剣の餌食になる棒人間を見て、玲がため息を吐く。
「おっと、さすがにあの量だと10本をすり抜けるかな」
 とは言いつつも、敵の物量は意外と侮れない。
 10本の光の剣を潜り抜け、第二・第三の波が一度に廊下を走った。
「ここが教室かー?」「うーん、これは、開かないな」「次の場所に走れー」
 と、開かない教室のドアを諦め、次の教室を目指す棒人間たち。
 すると、少し離れた場所から光の剣が降り注ぎ彼らを順に串刺した。
 最初の教室前で消える棒人間。そこをすり抜けた集団は次の光の剣に刺されるという寸法だ。
 しかしながら、運良く二番目に配置された光の剣を潜り抜ける棒人間も一応はいた。
「そんな時は、私が刺すよね」
 玲が剣を振るう。
 そうして、数少ない生き残りの棒人間も消滅した。

 流れ作業で棒人間を次々消し、玲は校内の様子を確認する。
「これで、一掃できたかな?」
 その言葉通り、儀式の成功を命令された棒人間は見事に殲滅された。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『灼けた女『カレイド』』

POW   :    獄炎
【掌での鷲掴み】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握りしめた掌より出でる地獄の炎】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    クトゥグアの閃光
【炎の瞳から放つ怪光線】が命中した対象を燃やす。放たれた【神経を搔き毟る狂気の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    地獄炉の乙女
【全身】から【まとわりつく炎】を放ち、【火傷による激痛】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠枯井戸・マックスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●灼けた女『カレイド』
「おのれ、おのれ……」
 地獄の底から絞り出すような底冷えする響き。
 儀式は中途半端に終わったけれど、UDC怪物はついに顕現した。それは、全てを焼き尽くす女の執念か。
「この……、力が軽減されている、と?」
 だが、本来の力を出すことができず、カレイドはギリギリと歯を鳴らす。
 中途半端な召喚儀式では、灼けた女の全ての力を引き出すことはできなかったのだ。
「いいや、まだだ!」
 轟轟と、敵の手のひらの上で火が躍った。
「全てを焼き尽くし、全ての慟哭を糧にし、力を取り戻す!」
 全身から炎を滾らせ、女は叫ぶ。
「さあすべて燃えてしまうがいい! 人よ、焼けただれる瞬間、痛みと恐怖で私を満たせ!」
 バチバチと火花が飛んだ。
 灼けた女『カレイド』は校舎内に残る生徒たち目掛けて、突進していった。

※第3章は灼けた女『カレイド』との戦いになります。
 2章でかなりの生徒を逃がすことができました。
 ですが、一部校舎に残った生徒がいるようです。彼らを庇うか避難させてあげるのも良いでしょう。
 敵だけに集中するのも、もちろんOKです。
 本来の火力を出せないとはいえ強敵です。思い切り戦ってください。
 よろしくお願いします。

※プレイングは9/17 8:31から受付ます。
ミルディア・ディスティン(サポート)
「サポート?請われれば頑張るのにゃ!」
 UDCでメカニックして生計を立ててるのにゃ。
 『俺が傭兵で出撃して少し足しにしてるがな?』
 ※自己催眠でお人好しで好戦的な男性人格に切り替わりますがデータは変わりません。

 ユーベルコードはシナリオで必要としたものをどれでも使用します。
 痛いことに対する忌避感はかなり低く、また痛みに性的興奮を覚えるタイプなので、命に関わらなければ積極的に行動します。
 公序良俗は理解しており、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。むしろ積極的に助ける方です。
 記載の無い箇所はお任せします。よろしくおねがいします。



●打撃と炎と
 灼けた女『カレイド』がついに姿を現した。
 炎を散らし、生身の人間を狙ってくる。
 ミルディア・ディスティン(人間のシャーマン・f04581)は、学生たちに迫る敵の前に跳び出した。
「あれは熱そうにゃ! あたしも手助けするにゃ」
 あの炎はすぐにでも校内を焼き尽くしそうだ。そうなれば周囲の学生たちも無事では済まないだろう。
 そのうえ、敵は学生たちを狙っている。
 ミルディアは猫耳ヘアを揺らして走った。
「ほお、さっそく邪魔が入るか!」
 敵が拳に炎を集める。
 その独特の構えで、ミルディアの接近を待っているかのよう。
 日頃はUDCでメカニックをしているミルディアだ。だが、この時ばかりはクランケヴァッフェを伴ってカレイドへ仕掛ける。
 さらに深く踏み込んで敵との距離を詰めた。その呼吸の間に、自己催眠で人格を切り替える。
 日頃は確かにメカニックで生計を立てているのだが――。
「俺が傭兵で出撃して少し足しにしてるがな?」
 と。
 切り替わった人格で言う。
 まるで好戦的な男性のようだ。
 敵の構える拳がはっきりと見えるが、構わずその懐に飛び込んで行く。打撃用にクランケヴァッフェを振り上げた。
「甘いぞ」
 そのとき流れが変わる。
 今まで構えるだけだったカレイドがいきなり一歩大きく踏み出した。
「そ……」
 間合いが大きく詰まる。
 ミルディアが武器を振り下ろすより早く、敵の腕が伸びた。
「ぅ、が」
 敵の拳がミルディアの首を鷲掴み、そのまま激しい炎を放つ。
 地獄の炎があっという間に全身に広がった。
「焼けてしまえ!」
 敵の笑うような声。放り出されたミルディアが廊下の壁に体をぶつける。
 全身に衝撃が走った。
「ふふ、そこで静かに焼け落ちろ」
 余裕を見せる敵の声が降って来る。
 だが。
 ミルディアは口元に小さく笑みを浮かべていた。
 痛みも焼ける熱さも、我慢して叫ぶ。
「にゃぁぁぁ! 助けてご主人さまー!」
 ユーベルコード『ご主人さまの加護』を発動させると、護衛の騎士を召喚した。
 護衛の騎士はすぐさま敵の懐に飛び込み、大きく振りかぶる。
「な――」
 勝ちを確信していたカレイドは、とっさに動けない。
 騎士の一撃がカレイドの身体を打った。高い戦闘力を持つその一撃で、敵の身体が吹き飛ぶ。
 今度は敵が壁に体を打ち付けられる番だった。
「これくらいの痛みなら、ぜんぜん大丈夫にゃ!」
 ミルディアは小さく微笑みながら立ち上がった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サンディ・ノックス
【ダッシュ】で校舎内へ
襲われている生徒がいたら【かばう】
魔力を高めて【オーラ防御】をする時間があればいいけど無ければ迷わず生身で
もちろん熱いよ
でもひとたまりもない生徒に当てるわけにはいかない

朔を【投擲】、お前の炎で焼いてみる?と軽口
焼けないって自信があるからだけどね
これは黒騎士の異形化の一つで俺自身から発生した武器だから…
そんな武器を追加しようか
右手で朔を持ち拘束したまま左手で指定UCを発動、肉体をチャクラムに変換し投擲

俺を煩わしいと思わせて生徒が狙われなければいい
敵の攻撃はオーラ防御と【火炎耐性】で軽減しながら熱くても熱くないと笑ってやり
俺が動ける限りお前の思い通りにはならないよと言ってやる



●炎激しく
 ぱらぱらと、崩れた壁の屑が落ちる。
 カレイドは口元を厳しく引き締め歩き出した。一撃喰らったが、さすがにそれでは落ちないようだ。
「やってくれる!」
 憎悪を力に変え、さらに猛々しく炎を呼ぶ。
 グラウンドにいたサンディは校舎内へ走った。
 加速に加速を重ね生徒たちの間を走り抜け、敵の元へと向かう。
「まあいい。まずは燃やしてやろう」
 その間に、敵が生徒たちに目を付けた。
「あ、ああ」
 狙われた生徒は、動くこともできずに立ち尽くすだけ。
「そうはさせないよ」
 敵が拳を振り上げた、瞬間サンディが間に割って入る。
 魔力を高め、できる限りオーラを纏って敵の一撃をその身に受けた。
 衝撃と、そして襲い掛かる炎。もちろん熱い。だがここで生徒をやらせるわけにはいかないと強く思った。
 サンディは穏やかに微笑みを浮かべ、背に庇った生徒へ声をかける。
「真っすぐ走って、逃げてね」
「あ、ありがとうっ」
 弾かれるように逃げていく生徒。
「また邪魔か」
 敵は燃えるサンディを見て大きく舌打ちをした。
「さあ、でも俺が動ける限りお前の思い通りにはならないよ」
 炎を振り払いサンディは笑う。
 オーラの防御に加え火炎耐性もあるのだ。ある程度は耐えることができるはず。だがもちろん痛みや熱さがなくなったわけではない。それでもサンディは余裕を見せつけて走り出した。
「なるほど、戦いたいということか!」
 カレイドも拳に炎を這わせ構えを取る。
 サンディが取り出したのはフック付きワイヤー『朔』だ。
「お前の炎で焼いてみる?」
 軽口を叩きながら投擲し、相手の身体に絡ませる。
「ああ、焼いてやるさ!」
 敵の身体から炎が立ち上った。
 炎が『朔』の周りを伝って迫りくる。
 けれどサンディは構わず『朔』の端を握り締め、ユーベルコード『伴星・傲慢な飛輪』を発動させた。
「身体も心も刻んであげる」
 黒の甲冑姿からチャクラムを生み出す。漆黒のチャクラムが左手に納まった。右手には変わらず『朔』の端。
 敵は巻き付いたワイヤーへ炎を走らせているようだが、『朔』が焼き切れることはなかった。
 それだけの自信がサンディにはあるのだから。
「今の状態じゃ逃げられないこと、分かっているのかな?」
 サンディが左手からチャクラムを飛ばした。
「何を――」
 炎でワイヤーを焼こうとしていた敵が目を細める。瞬間、チャクラムが敵の腕を切り刻んだ。
「斬り刻まれるだけだよってことだね」
 サンディの言葉を聞きながら、敵が腕を庇うようによろめいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
ありゃ随分と熱そう
放置したらそのまま燃えカスにならないかな…ならないよね…
まあ戦って良い感じのデータが取れればいいか
炎使いのデータも面白そうだしね


目からビームとか個性的かよ…
相手の視線に注意して光線を回避、避けきれないものは【オーラ防御】で逸らして当たらないように動く
他に被害が出る前に、一気に動いてこっちに釘付けにすれば良いだけだよ
『Code:C.S』を起動
時間加速の封印を解いて、加速しながらカレイドへ接近
二刀流による『二回攻撃』を連続で繰り返して追い詰めていこう
接近してしまえばこっちのもの
要するに頭を地面に叩きつけてしまえば、こっちに有利って訳だ
目からビームは撃たせないよ?

●アドリブ等歓迎



●加速
「ありゃ随分と熱そう」
 猛々しく燃える敵の炎を見て玲が言った。
 放置したらそのまま燃えカスにならないだろうか。
「……ならないよね……」
 言いながら兵器を二振り、手に取る。
「おのれ、また邪魔者か!」
 カレイドが玲の姿を見て忌々しそうに声をあげた。そして、全身の炎を更に燃え上がらせる。
「まあ戦って良い感じのデータが取れればいいか」
 炎を使う者のデータというのも面白そうだ。玲はユーベルコード『Code:C.S』を起動し、床を強く蹴った。
「封印解除、時間加速開始」
 走りながら時間加速の封印を解除。あっという間に距離を詰めていく。
「そこかっ!」
 敵が炎の瞳からクトゥグアの閃光を放った。
 その怪光線は、神経を搔き毟る狂気の炎となって相手を焼くだろう。
「目からビームとか個性的かよ……」
 一直線に向かってくる怪光線を見て、玲が右足に力を入れた。走る先を左に移したところで、怪光線が身体の右側を抜けていく。
 次の光線は、武器に這わせたオーラで弾いた。
「くっ、まだだ、まだ!!」
 それでもカレイドは次々と光線を放つ。
 こんな攻撃を続けていれば、やがて周囲に被害が広がってしまうだろう。
「他に被害が出る前に、一気に動いてこっちに釘付けにすれば良いだけだよ」
 冷静に攻撃を避けながら、玲は武器を構えた。
 特製のガジェットは既にオンライン。いつでも予定通りの力を出すことが可能だ。
 玲は加速したまま兵器を一振り横薙ぎに振るった。
「ほら、そこ、がら空きだよ」
「なっ」
 腹に一撃、次の一振りで足元にも攻撃を叩き込む。
 炎を出すことも忘れ、敵がたたらを踏んだ。
「このタイミングだね。接近してしまえばこっちのもの」
 玲は床を蹴り、敵の首から更に一撃打ちつける。
「がっあ、ああ」
 カレイドは勢いよく前へ倒れ、床に転がった。
 すぐに起き上がろうとしたところを、兵器で押さえつける。
「要するに頭を地面に叩きつけてしまえば、こっちに有利って訳だ」
「こ、の――」
 何とか顔だけでも反転させようとするカレイド。
 床に伏したこの体制では、炎の瞳から怪光線を放つこともままならない。
「目からビームは撃たせないよ?」
 言って敵をさらに押さえる力を強めた。
 やがておとなしくなってきたところを蹴り上げ、吹き飛ばす。
「かはっ」
 壁に体を打ち付けた敵は、苦しげな声を吐き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘンリエッタ・モリアーティ
【ともだち】
――ねえエリィ。ホットな女って物理的なのってちょっと暑苦しくなぁい?
もうちょっとさあ、こう、可愛く世界征服が言えないわけぇ?
すごく三下っぽいわよあなた
RPGでいうところの中ボス。ソシャゲのボスのほうがもっといいこと言えるのに
人なんて燃やしてなにするのよ?
勝手に死んだら燃えるものに盛ってんじゃないわ

【女王乱舞】で近接戦に出るわ
燃え広がったら嫌だし
私の肌を焦がしたい?いいわよ、やってみて?
倍で返してあげる。やられたらやり返す、八つ当たりこそ最高の返礼でしょ
BLOODYLADYでぎったぎた
いっぱい赤い血見せて?

ほんと、――ダッサ。
女のガワしてんなら、もうちょっとデカいタマ狙いなさいよねぇ


エレニア・ファンタージェン
【ともだち】
まぁ、そうだわマリーさん!やっと残暑も和らいだのにこの人、すごく…暑苦しい!
ねえきっと世界征服なんて無理なのよね?手に入らないから全部燃やしたいのかしら?
この人どっちも無理だからどうでも良いけど

自身とマリーさんに痛覚遮断の呪詛を施す
近付きたくないから千年怨嗟で亡者の手で攻撃
近接するマリーさんが熱くないように氷の属性攻撃でも纏わせようかしら!
だって暑苦しいんだもの
Adam&Eveに敵を絡め取らせて足止めを
こうしたらマリーさんが斬り易いかしら
うふ!

そうよねえ、女の子ならもう少し涼やかな方がエレガントかも
力があるなら無力な生徒達よりもっと強者を狙うべきだし、ええと…そう!半端なのよ、貴女



●赤と闇と
 生徒たちが避難し今は誰もいなくなった廊下で、傷付いた敵の身体からそれでもなお炎が立ち上る。
「邪魔をする者は、全て燃やす」
 灼けた女『カレイド』が最後の力を振り絞るように吼えた。
「――ねえエリィ。ホットな女って物理的なのってちょっと暑苦しくなぁい?」
 敵の勢いを受け流し、ヘンリエッタが困ったような笑顔を浮かべてエレニアに話しかける。
「まぁ、そうだわマリーさん! やっと残暑も和らいだのに」
 エレニアがちらりと敵の姿を見た。
「この人、すごく……暑苦しい!」
 と、口元を手で押さえる。
「っ、おのれ、お前たちも燃えろ……燃えてしまえ!!」
 カレイドは大きく体を反らせ、全身から炎を放った。
 その姿を見てヘンリエッタが走り出す。その手にはチェーンソー剣『BLOODY-LADY』。
「もうちょっとさあ、こう、可愛く世界征服が言えないわけぇ?」
「世界征服? 笑わせる。そんなことよりも炎だ。全てを燃やす、炎」
 構えを取るカレイドを見てヘンリエッタがため息を吐く。
「すごく三下っぽいわよあなた」
 と。
 RPGでいうところの中ボス程度なのだ。ソシャゲのボスのほうがもっといいことを言えるというのに。
「炎を喰らえ」
 カレイドはヘンリエッタの言葉を遮るように炎を這わせた。
 壁から床から炎が襲い来る。
 その炎を、亡者の手がなぎ払った。
 遠くからエレニアがユーベルコード『千年怨嗟』を放ったのだ。
「マリーさん、安心して斬って来てね」
 300を超える亡者の手が広がって廊下を覆う。
 同時に自身とヘンリエッタには痛覚遮断の呪詛を施した。
 影のような亡者の手が廊下を叩きつけ、ヘンリエッタの道を作る。
「ありがとうエリィ。さあ、――赤に染まりましょ?」
 ヘンリエッタは一気に敵の懐に踏み込んでぎらぎらとした刃で斬りつけた。
 カレイドはその刃を素手で受け止め鷲掴みにする。
 飛び散る血飛沫。
 血と炎で垢に染まる廊下。
 返り血を浴びたヘンリエッタの髪も顔も、点々と赤がこびり付く。
 辺り一面があっという間に地獄と化した。
「!! だが、掴んだぞ!!」
 掌を刻まれながら、敵が笑う。
 瞬間、握りしめた掌から地獄の炎が迸った。
 爆発的に肥大した高威力の炎が、目の前に迫る。
 だがヘンリエッタは、口元に笑みを浮かべた。
「私の肌を焦がしたい? いいわよ、やってみて?」
「たいした自信だな。燃えてしまえ」
 炎がさらに大きくなり、ヘンリエッタの身体を包み込む――。
 その瞬間、ヘンリエッタの動きが加速した。
 炎を寸でのところで避けると、『BLOODY-LADY』を振りかざし敵の体を斬り刻む。炎は追いつけない。敵の血が更に周囲へ飛び散り、ヘンリエッタの髪を濡らした。
 ユーベルコード『女王乱舞』を発動しているため、敵の血を浴びるほどに強く疾くなる。ヘンリエッタはますます動きを速め、大きく武器を振るった。
 周辺から亡者の手の援護もある。亡者の手は氷を纏い、敵の炎を相殺しながら敵を何度も叩いた。
「だって暑苦しいんだもの」
 亡者の手を操りながらエレニアが言う。
 ヘンリエッタが近接で戦うのなら、熱くないように氷属性を纏わせたのだ。
 確かに、ヘンリエッタの足元はそれほど熱くない。
 炎に囲まれている戦場だが、熱で溶ける様なことはなかった。
「人なんて燃やしてなにするのよ? 勝手に死んだら燃えるものに盛ってんじゃないわ」
 敵を斬り刻みながらヘンリエッタが笑う。
 廊下を蹴って跳びあがると、敵の頭上からも攻撃を仕掛けた。
「っ、させるか!!」
 カレイドは咄嗟に腰を落として体を反転させ回避を試みる。
 その足に、突如二匹の大蛇が影より這い出て絡みついた。
「な――」
 敵がバランスを崩しよろめく。
 それはエレニアの『Adam&Eve』、毒牙を持つ大蛇だ。
「こうしたらマリーさんが斬り易いかしら」
 エレニアが涼やかに微笑む。
「うふ!」
 二匹の大蛇はエレニアの意のまま、敵の足を巻き込んで離さない。
「くそ、離せ!!」
 敵は藻掻くが、びくとも動かないのだ。
 それならと、カレイドが炎を呼んだ。
「遅いのよ」
 それは、天井からのヘンリエッタの声。
「いっぱい赤い血見せて?」
「そ――」
 有無を言わさず、切り裂いて捨てた。
 敵が放つはずだった炎がちろちろ燃えている。
 それをエレニアの亡者の手が叩いて消した。

「ほんと、――ダッサ」
 武器を納めてヘンリエッタが言う。
「女のガワしてんなら、もうちょっとデカいタマ狙いなさいよねぇ」
「そうよねえ、女の子ならもう少し涼やかな方がエレガントかも」
 それに同意するように、エレニアが頷いた。
「力があるなら無力な生徒達よりもっと強者を狙うべきだし」
 消えゆく敵が、何か言いたげに口をパクパクと動かした。
「ええと……そう! 半端なのよ、貴女」
 だが、エレニアにぴしゃりと言われ、言葉を無くす。
 そのまま、カレイドの身体は崩れ落ちていった。

 猟兵たちの活躍により被害は出なかった。学園の平和は保たれたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月25日


挿絵イラスト