3
結婚式

#ダークセイヴァー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ダークセイヴァー


0




 皆さま、聞いてください。私はダンピールの聖者×精霊術士、赤月・句穏です。たった今、ダークセイヴァー世界で事件が起きることがわかりました。

●ダークセイヴァーの世界
 この世界では、今も尚オブリビオン達の完全な支配下にあります。100年ほど前に蘇ったヴァンパイア達はオブリビオンを呼び寄せ世界を破滅に導こうと活動しているのです。人々は、ヴァンパイア達に圧政を強いられ支配される中ひっそりと生きています。

●ヴァンパイアの街
 深い霧が漂う森を抜けるとこの世界にしては、そこそこに大きな街があった。この街には珍しく靴や服、装飾を担う職人もいる。―もっとも、領主であるヴァンパイアの娯楽の為に残されているに過ぎない。人々の顏は怯えたようにびくびくとしており、表情は暗い。昼だというのに、子供が外で遊ぶ姿を見ることもない。民家の窓は固く閉ざされて、人がいるのかも分からない状態だった。

●レジスタンス
 古びて閉店したままの酒場があった。その裏手の空っぽの樽をどけると、地下へ続く道がある。細々と蝋燭の灯かりを頼りに細く長く続く階段を下る。やがて、その先には小さなドアが一つあった。一人、また、一人とフードを深く被り、顏を隠した者達がドアを潜り集まっていく。その数は次第に増えていった。領主による圧政に苦しみ、家族や守るべき人を失った者達、理不尽な『現状』からの解放を訴え活動するレジスタンス―。異様な空気の中、―彼らの『集会』は始まった。

 地下の部屋に集まった人数はおよそ、50人を超える―。
「みんな、聞いてくれ!俺たちの仲間のハンスが情報を手に入れた!」
リーダーであろう男の言葉に集まった者達がどよめく。
「内容は、こうだ。領主が、近々結婚式をあげるらしい。今はその準備で屋敷が混乱しており、警備が手薄だという。今しかないっ!屋敷に攻め入って領主の首を取り!この街を取り戻すんだっ!」
リーダーが情報提供者であるハンスを皆の前に立たせ、説明を引き継ぐ。
「先日、うちの靴屋にお屋敷から使いがきたんだ。ち、近々ご領主さまがご結婚されるから、お祝いで新しい靴を56足用意するように…と、我々も婚礼の準備で忙しいため、ちょ・・直接、屋敷に届けて欲しいといわれたんだっ。」
ハンスの言葉に、それぞれが聞き入る。すると、リーダーの男がハンスの言葉を続けた。
「屋敷に侵入するまたとない機会だっ。俺たちはこれに乗じて侵入し、屋敷を落としたい!各々、意見があるだろう。皆の命もかかっている事だ、十分に話し合ってくれ!」
それは、またのない機会。普段なら屋敷への侵入も困難だろう―。仲間達が議論をはじめる。そして―最終的に彼らは屋敷への侵入を決定する事になるのだ。

●願い
 句穏の表情はどこか暗い。重々しく自分の予知を反芻するように、ゆっくりと唇を開く。
「恐らく、罠でしょう。」
彼らはこの後、侵入した屋敷で捉えられ拷問の後、全員が皆殺しにあう。女は『贄』に、男達は『玩具』にされる。句穏は青い瞳を伏せ、言葉を探した。
「…ヴァンパイアのやる事です。彼らは何らかの方法を用いレジスタンス達を嵌めようとしているのでしょう。皆さまには、このレジスタンスの作戦の実行を阻止、思い留めさせて頂きたいのです。でなければ、彼らは死にます。」
レジスタンス。ヴァンパイアに圧政を強いられ、それでも―希望を捨てずに立ち上がろうとする者達。しかし、心だけではオブリビオンには勝てない。このままでは、彼らは無駄死にである。句穏は猟兵達に願い出る。
「今であれば、間に合います。」
句穏には、此処で祈る事しかできない。
「どうか、お力をお貸しください。よろしくお願い致します。」
集まってくれた仲間達に向きなおり、頭を下げるのだった。


月灯
 月灯です。今作で5回目となります。よろしくお願い致します。

 今回は、ダークセイヴァーの世界です。情報はOPに出ているものが全てとなります。1章にてレジスタンスの信頼を勝ち取れば優位に行動が進められるかもしれません。自由に行動してください。頑張って書かせて頂きます。
13




第1章 冒険 『レジスタンス達を止めよう』

POW   :    実力でねじ伏せて言うことを聞かせる

SPD   :    領主を討つ以外の行動を提案して行動の矛先を変えさせる

WIZ   :    情に訴える

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

聖護院・カプラ
【WIZ】
赤月さんの予知の内容から考えて、十中八九罠でしょうね。
オブリビオンも姑息な行いをするものです。

ですがしかし、猟兵や予知を知らぬレジスタンスの方にはそれを直接伝えて納得していただくのは難しいでしょう。
彼らの前に『存在感』を示しながら現れ…
抑圧され爆発しそうになった感情を宥めてから、理詰めで情報の粗を指摘し『説得』する事にしましょう。

襲撃する……という話を小耳に挟んだもので。
私も叛逆の狼煙を立てんとする”猟兵”の一員故、お気持ちはわかります。
ですがその一件、私達にお任せ願えないでしょうか?

ハンスさんが聞かれたという情報、屋敷の者から齎されたもの。
準備に忙しい様を直接見た訳ではないですね。



●視線の先―
 彼は其処に居た―。聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)は、その圧倒的な【存在感】を以て其処に立っていた。予知の内容から考えて、十中八九罠だと悟ったカプラは思う。
(オブリビオンも姑息な行いをするものです。)
そこにいるレジスタンスの視線を一心に浴びつつカプラは思索を巡らせる。
(ですがしかし、猟兵や予知を知らぬレジスタンスの方にはそれを直接伝えて納得していただくのは難しいでしょう。)
彼らの前に【存在感】を示しながら現れようと、カプラは部屋の中央へ歩みを進めた。ただ、現れる前からその【存在感】に、レジスタンスも釘付けだっただけで…。しんと静まり返った部屋。ただ食い入るように見つめられるカプラ。どうしても、カプラから目を離せない。抑圧され爆発しそうになったレジスタンスは、カプラを前に思考を停止してしまっていた。奇しくも、『聴く』態勢は整っている。あとは、理詰めで情報の粗を指摘し『説得』する事だけだ。

 乳白色の肌に緑に輝く瞳、仏のような出で立ちのカプラはレジスタンスの前に出る。一般人にとって、猟兵の姿がどんな姿でも違和感を与えることはない。
「襲撃する……という話を小耳に挟んだもので。私も叛逆の狼煙を立てんとする”猟兵”の一員故、お気持ちはわかります。ですがその一件、私達にお任せ願えないでしょうか?」
正攻法ともいえる説得に、リーダーが口を開く。
「猟兵?聞いたことがないが…我々と意思を同じくする者なのか?」
そうですと、礼儀正しくカプラが応じた。そして、ゆったりとした声で説得を続ける。
「ハンスさんが聞かれたという情報、屋敷の者から齎されたもの。準備に忙しい様を直接見た訳ではないですね。」
ハンスはごくりと唾を飲み込んだ。
「あ、ああ。でも、確かに忙しいと、そうきいている。…実際、手伝いだといって俺の家内も連れていかれたから…。」
その言葉にリーダーの顔色が変わったきがした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

嶋野・輝彦
【POW】実力でねじ伏せて言うことを聞かせる

地下の部屋の扉蹴破って
存在感、コミュ力、恫喝

「何やってんだゴラァ!!」

先制攻撃、だまし討ちで
リーダーっぽい奴に飛び蹴り

全員ボコボコにする
基本素手ゴロ対応

刺されたりしても
激痛耐性、覚悟で耐える、つーか顔色変えずに
存在感、コミュ力、恫喝
「この程度で反乱とか舐めてんのか!?ぶち殺すぞ」
反撃してボコボコにする
最初から覚悟完了、態勢が出来てたら顔に出ねぇだろ?
ジャマだから反乱する気へし折る方向で行く

ボコボコにした連中並べて
存在感、コミュ力、恫喝
「ホント舐めてんのかお前ら、この程度で反乱とか頭湧いてんのか?」
「クソの役にも立たんわ、ジャマだ、帰れ!!」



●説得物理
 部屋の扉を蹴り破る音が響き渡る。レジスタンスの誰もが警戒する中、一人の男がリーダーらしき男へ【先制攻撃】、【だまし討ち】するように飛び蹴り。
「何やってんだゴラァ!!」
その【存在感】に、周囲が後ずさる。自身の特技である【コミュ力】と【恫喝】でリーダーを黙らせようとする嶋野・輝彦(人間の戦場傭兵・f04223)は、構わず拳を振るった。鈍い音と共にリーダーが殴られている。ざわざわと騒がしくなる室内。
「おいっ。やめろ!」
我に返ったように周りのレジスタンス達が輝彦を止めようと割って入った。次いで、輝彦はリーダーから周りのレジスタンスに向かって殴りつける。例え、刺されたとしても、全員の戦意を挫くまで殴る。どんな反撃にあっても【激痛耐性】で顏色も変えず全員ボコボコにしなければならない。【覚悟で耐える】所存だ。―そうでなければ、こいつ等は死ぬ。輝彦は予知でそのことを知っていた。
「この程度で反乱とか舐めてんのか!?ぶち殺すぞ」
不器用ながらにも、輝彦のやり方は血の気の多いレジスタンス達の心を掴んでいった。
(全員ボコボコにする、だが・・俺は素手で相手をしてやる。)
「ホント舐めてんのかお前ら、この程度で反乱とか頭湧いてんのか?…クソの役にも立たんわ、ジャマだ、帰れ!!」
乱闘に縺れ込もうという中、ついに、刃物を握った仲間をリーダーが止めた。
「やめろ!殺す気ならこいつは最初から俺たちを殺している!」

 武器を持たずに喧嘩を挑むその熱意にリーダーは敵ではないと思った。彼らは次第に冷静になり手をとめる。輝彦がボコボコにしたレジスタンスも横に並び治療を受けはじめた。
「あんたの熱意は分かったよ、もう一度。考え直す。話も聴こう。」
リーダーが一度決めた事を話しなおすと申し出る。その様子に、輝彦もまた拳を降ろすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーレイラ・モンクスフード
罠でしょうね、私もそう思います。

「お聞きしますが、まさかレジスタンスの人数って56人ではないですよね?靴の数と一緒なんて、歓迎されてますよ?」

「情報も漏れてます。もし内通者の方いらっしゃれば、名乗り出た方が良いですよ?『同様に歓迎する』つもりでしょうし。」

靴の数違っても、情報が漏れている可能性示唆して調査をオススメしましょう。

「平穏を諦めろと言うのではありません。」

ユーベルコード発動、星霊を100体召喚して浮かべ、拾った石か煉瓦か投げて破壊して見せます。

「賭けてみませんか?少なくとも私は人間の味方で吸血鬼の敵ですから。」

余った石を投げて、大鎌で切断、変形させ銃での二回攻撃で砕き力を売り込みます



●内通者
 漆黒の長い髪をゆらし、アーレイラ・モンクスフード(真昼の白夜・f02061)はレジスタンスの前へ一歩でる。 
「罠でしょうね、私もそう思います。」
先の、猟兵達の説得でレジスタンス達は素直にアーレイラの言葉に耳を傾ける。
「お聞きしますが、まさかレジスタンスの人数って56人ではないですよね?靴の数と一緒なんて、歓迎されてますよ?」
その言葉に、レジスタンス達が騒めいた。
「え?何人だったっけ??56人?そのくらいかな???」
「いやいや、違うのではない?」
リーダーが手を上げる。すると、室内のレジタンスが静かになっていく。リーダーは、ハンスの方をちらりと見た。
「情報も漏れてます。もし内通者の方いらっしゃれば、名乗り出た方が良いですよ?『同様に歓迎する』つもりでしょうし。」
アーレイラの推理が進む中、明らかに挙動不審なハンスは落ち着きなくあちこちに目を泳がせる。
「靴の数違っても、情報が漏れている可能性は充分にありますよ?」
リーダがハンスの様子を見て、アーレイラを遮った。
「だが、罠でない可能性もあるのだろう?罠であったとしても、だとしたら侵入はできるのではないのかっ?」
リーダーは罠であっても乗り込む機会になるのではないかとアーレイラに説く。しかし、アーレイラは首を横にふった。もしかしたら、も万が一にも彼らに勝機などないのだ。しかし、彼らにはそれがわからない。分かった時には、もう取返しがつかないだろう。
「平穏を諦めろと言うのではありません。」
アーレイラは静かに目を伏せた。
『巡り廻る星の子ら、数多にして独りなる者よ、その一握を我が前へ』
ユーベルコード、『百にして一なる星霊』を発動させる。百もの星が地下にある部屋に眩く灯った。幻想的な光景にレジスタンスは息をのむ。
「みていて下さい。」
アーレイラは落ちていた石を拾い星霊に向かって投げる。すると、石は簡単にその姿を失った。手品にも見えたかもしれない。
「賭けてみませんか?少なくとも私は人間の味方で吸血鬼の敵ですから。」
アーレイラは続けて石を投げる。狭い室内で大鎌をなんなく振るうとその石を綺麗に切断、次いで変形させた銃で石を【二回攻撃】で粉砕させる。
「まだまだ、必要であれば力をお見せ致しますよ。」
アーレイラの言葉にリーダーはよろめく。
「此処のメンバーの数は57人だ。だから、靴の数は関係ない。…いや、罠なんだろうが。」
そこで、リーダーは言い淀む。
「57人ですか…。」
アーレイラはハンスを見る。そして、気が付いてしまった。内通者の数を引いたら、その数は―。アーレイラは口を開く。だがその先をリーダーは留めた。
「俺が一人で乗り込むっ。靴を56足持っていけばいいのだろう?ハンス。」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ライラ・ムスタリンナ
POW

・アジトに入りながら自己紹介
「あんた達がダークセイヴァーの民にしては度胸があることはよくわかったけど、世の中には『蟷螂の斧』『餅は餅屋』って言葉があってね」
「悪いけどヴァンパイアはアンタ達の手に負える相手じゃないわ」
「安心して、あたしはライラ・ムスタリンナ、レジスタンス代行」
「ヴァンパイアから生まれたヴァンパイア退治のプロよ」
・自己紹介を終えると同時に血統覚醒を使った後、懐に忍ばせた自然石を握り潰して反抗作戦を思い止まるよう説得というか恫喝
「反抗作戦の予行演習やってみる?」
「ここにいるアンタたち全員束になってあたしに勝てるんなら止めないわ」
「聞いた感じガバガバ作戦もいい所みたいだけど?」



●レジスタンス代行
 壊れたドアから長い黒髪に切れ長の赤い瞳がライラ・ムスタリンナ(邪なる絶壁・f00844)が入ってくる。ライラは真っ直ぐリーダーの元まで歩く。阻むものは誰もいなかった。
「あんた達がダークセイヴァーの民にしては度胸があることはよくわかったけど、世の中には『蟷螂の斧』『餅は餅屋』って言葉があってね。」
リーダーは僅かに首を傾ける。『ダークセイヴァー』という単語が分からなかったようだ。しかし、そんな些細な事はどうでもよかった。
「あんたも同じ事をいうんだな。」
どこか、疲れたようにリーダーはアリアをみた。
「悪いけどヴァンパイアはアンタ達の手に負える相手じゃないわ。」
思ったよりも反発はなく、リーダーの男は真摯に受け止めているようだった。アリアはその様子に少しだけ気をゆるめる。
「安心して、あたしはライラ・ムスタリンナ、レジスタンス代行、ヴァンパイアから生まれたヴァンパイア退治のプロよ。」
レジスタンス代行。言葉の選び方がよかったのか、他のレジスタンス達が成程と、彼女の言葉に頷いた。―きっと、そういう商売もあるのだろう。ライラはリーダーに目配せすると、ユーベルコード『血統覚醒』を発動させる。瞳が紅く燃える様に光ったた。ヴァンパイアの力―。その片鱗を彼らに見せる事によって認めさせようと、【力溜め】たその手で懐に忍ばせた自然石を取り出す。
「これが、私の力よ。」
自然石を周囲に見える様に握った。固く大きな石は、軽々と、彼女の【怪力】の前に、音を立てて潰れていく。石であったそれは無残に粉々に床に落ちた。
「反抗作戦の予行演習やってみる?ここにいるアンタたち全員束になってあたしに勝てるんなら止めないわ。」
【恫喝】を乗せてアリアはレジスタンスに忠告をする。
「だがっ…。」
リーダーの男の歯切れが悪い。
「聞いた感じガバガバ作戦もいい所みたいだけど?」
鋭い眼光がリーダーを睨みつける。男は何かを押し殺す様に、額を抑えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​


●レジスタンス代行
 壊れたドアから長い黒髪に切れ長の赤い瞳。ライラ・ムスタリンナ(邪なる絶壁・f00844)が入ってくる。ライラは真っ直ぐリーダーの元まで歩いた。阻むものは誰もいない。
「あんた達がダークセイヴァーの民にしては度胸があることはよくわかったけど、世の中には『蟷螂の斧』『餅は餅屋』って言葉があってね。」
リーダーは僅かに首を傾ける。『ダークセイヴァー』という単語が分からなかったようだ。しかし、そんな些細な事はどうでもよかった。
「あんたも同じ事をいうんだな。」
どこか、疲れたようにリーダーはライラをみた。
「悪いけどヴァンパイアはアンタ達の手に負える相手じゃないわ。」
思ったよりも反発はなく、リーダーの男は真摯に受け止めているようだった。ライラはその様子に少しだけ気をゆるめる。
「安心して、あたしはライラ・ムスタリンナ、レジスタンス代行、ヴァンパイアから生まれたヴァンパイア退治のプロよ。」
レジスタンス代行。言葉の選び方がよかったのか、他のレジスタンス達が成程と、彼女の言葉に頷いた。―きっと、そういう商売もあるのだろう。

 ライラはリーダーに目配せすると、ユーベルコード『血統覚醒』を発動させる。瞳が紅く燃える様に光る。それは、ヴァンパイアの力―。その血を持つが故の輝き。力の片鱗を彼らに見せようと、ライラは、【力溜め】たその手で懐に忍ばせた自然石を取り出した。
「これが、私の力よ。」
自然石を周囲に見える様に握る。固く大きな石は、軽々と―彼女の【怪力】の前に、音を立てて潰れていく。石であったそれは無残に粉々に床に落ちた。
「反抗作戦の予行演習やってみる?ここにいるアンタたち全員束になってあたしに勝てるんなら止めないわ。」
【恫喝】を乗せてライラは重ねて、レジスタンスに忠告をする。
「だがっ…。」
リーダーの男の歯切れが悪い。
「聞いた感じガバガバ作戦もいい所みたいだけど?」
鋭い眼光がリーダーを睨みつける。彼は何かを押し殺す様に、額を抑えた。
シーザー・ゴールドマン
【POW】
集会場に乗り込み
「私たちの様な部外者に君たちの計画が知られている。
おかしい事とは思わないかね?これは罠だよ」
と警告した上で
「何、暴政に甘んじろという訳ではない。君たちの代わりに私たちが領主を討つという話さ。
とは言え私たちの実力が分かるまい。模擬戦をしようじゃないか」

『ソドムの終焉』で射程範囲に入った者を全ての足元を同時に抉ります。
(当てませんよ!)

「私達に任せておきたまえ。悪いようにはしない」



●地を揺るがす
 深紅のスーツに身を包んだ男が部屋に乗り込んできた。集会は、猟兵達の説得によって重々しい空気になっている。シーザー・ゴールドマン(ダンピールのフォースナイト・f00256)は集会場に乗り込むと、レジスタンスに向けて説得を始める。
「私たちの様な部外者に君たちの計画が知られている。おかしい事とは思わないかね?これは罠だよ。」
混乱するレジスタンス達は猟兵達に改めて警告を受けて『襲撃』の実行の再検討をしていた。シーザーの警告は彼らを踏み止ませるに足る内容。殆ど全てのレジスタンスが今回の襲撃を諦めようとしていた矢先―。
「ま、待ってくれ!…今、此処で踏みとどまったら、つ、次の機会はないかもしれない。此処で行かないなら今まで何のために準備してたんだ!」
声を上げたのはハンスだった。戸惑うレジスタンス達、彼らにも引けない理由がある。大切なものを奪われた人々にとって、今回のチャンスは命を張っても構わないと思える、千載一遇のチャンスなのだ。
「何、暴政に甘んじろという訳ではない。君たちの代わりに私たちが領主を討つという話さ。とは言え私たちの実力が分かるまい。模擬戦をしようじゃないか。」
シーザーがユーベルコードを発動させる。ソドムの終焉―。
『邪魔だな』
床が軋む音。亀裂が入るとともに、彼らはバランスを崩す。【複数の魔力の閃光】がレジスタンスの足元を抉った。加減がされているのか怪我人はいないものの、部屋としての使用は不可能かもしれない。間違いなく修繕が必要となるだろう。だからこそ、彼らへのインパクトは絶大だった。
「私達に任せておきたまえ。悪いようにはしない。」
自信に帯びたシーザーの声は明るい。しかし、ハンスは引かなかった。
「だ、騙されるなっ。こんな、力で俺たちの積年の願いをそのチャンスを、他人の手に預けていいのか!?預けられるのかっ?」
震える声、だが彼の言葉は仲間であるレジスタンス達の心を揺さぶる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・秋星
「悪いがこの先に進んでもらう訳にはいかない。」

レジスタンスの前に立ちはだかる。それと同時に、自身の本体である黒瘴を抜き放ち、シリンダーに銀弾を装填。妖剣解放を使用。
赤黒い怨念を身に纏い、【殺気】を放ちレジスタンスを威圧する。
それでもやってくるのであれば、徒手空拳での制圧。刀は決してレジスタンスには向けない。彼らはこの身が伐るべき対象には非ず。故に何があろうと伐ることはない。
フォローは他の猟兵に任せる。
「この先の悪を断つのは、俺達の役目だ。任せてもらおうか。」



●悪
 全ての猟兵の説得が終わる。レジスタンス達が各々、意見を話しあっていた。襲撃の中止―。ハンスの必死の説得を前にして、その多くは反対派となっていた。だが、リーダーが、ハンスの言葉に頷いた。
「皆は参加しないでいい。俺はこいつと城内に入る。…良い偵察になるかもしれない。」
青ざめて動けないでいるハンスの肩をリーダーは叩く。そして、連れ立って部屋を出ようと促した。
「悪いがこの先に進んでもらう訳にはいかない。」
静かな、鋭い声。扉の外に、彼は立っていた。叢雲・秋星(悪を削ぐ太刀・f02120)は、猟兵である仲間達の説得の間、部屋の外で待機していた。そして、今―外へ出ようとするリーダーとハンスの前に立ちはだかる。刀が抜かれた。ヤドリガミである秋星の本体『宵星・黒瘴』、黒一色の長刀だ。その鍔にあるシリンダーへ銀弾が装鎮される。秋星は【妖剣解放】した。赤黒い怨念が秋星の身体を包む。普通の人間ならば近づく事もできない。血が凍てつくような【殺気】に晒されて、彼らは動けない。秋星もまた動く気配はない。刀を抜かれている―だが、秋星はそれをレジスタンスには向ける気などなかった。
(彼らはこの身が伐るべき対象には非ず。故に何があろうと伐ることはない。)
故に、此処で彼らが引けば良し。
(それでもやってくるのであれば…。)
普通では動けないであろうこの【殺気】の中でハンスはリーダーの腕を掴み、そして一歩踏み出した。対する秋星は徒手空拳だ。軽く遮られただけでその場にへたりこんでしまった。俯いたままのハンスは、秋星を前にぽつりと口を開く。
「ど、どいてくれよ。‥‥家内がまっているんだ。」
自分ひとりでも迎えに行かなければ、家内の命がない。ハンスは泣き崩れる。仲間の命と家族の命。両天秤にかけて、そして―。ハンスは全てを語る。誰も彼を責める者はいなかった。静まり返ったその場所で、秋星がそっと踵を返す。
「この先の悪を断つのは、俺達の役目だ。任せてもらおうか。」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『ヴァンパイアの夜会』

POW   :    真っ正面から敵に戦いを挑んだり建物等を破壊してまわる。

SPD   :    罠の設置や先回りして生贄のダッシュを行います。

WIZ   :    変装して侵入し話術によって敵を撹乱します。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●56足の靴
 時を遡る―。領主の使いがハンスの前に注文を持ってきた。黒いフードに覆われたその姿は果たして人間かどうかも怪しい。
「ハンスよ、お屋敷でご領主さまが結婚式をおこなう。とても忙しいので城までこれを届けるように―。」
注文の内容は56足の鉄の靴。
「こんなに、でございますか。」
驚き、目を見開く。
「ご領主さまは祝いの席に56足の鉄の靴をご所望された。一人で運ぶのは大変だろう。仲間に手伝わせるとよい。ご領主さまもそれを望まれている。」
ぎょろりとした目をフードから覗かせる。そして、ハンスの後ろで控えていた女の腕を掴んだ。
「っひっ。」
恐怖に歪む女の顔、ハンスの家内だ。
「城は忙しい、人手も女も足りない。この女は連れて行こう。なに、無事に納品されるまで手伝わせるだけだ。」
下卑た声で女を荷馬車に乗せる。
「お、お待ちください。家内は今お腹に子がっ・・。」
慌てて止めるハンスに使いは楽しそうに笑った。
「靴は56、よいか?無事に届けたのであれば、この女はかえしてやろう。」
念を押す様に伝えると使いは馬車を屋敷へ向かって走らせていった。

●領主の結婚式
 屋敷では準備が行われていた。綺麗に飾りつけられた庭園に宴の支度。美しい花々は飾られ、悪趣味な見世物も準備されていた。『生贄』の入った檻の中には飾り付けられた女達―。
「飲み物は、この位でいいだろうか。」
給仕を任された領主の配下が檻の中の女達をみる。そこに、ハンスの家内もいた。
そして給仕は、赤々と燃える石の山の様子をみる。
「絶やさず燃やせ、靴が届くまで。」
満足そうに給仕は頷く。
そして、台座に乗せられた美しい人間の女。今回の花嫁である。
「準備は、主の留守中のうちに、すべて滞りなく―進めなければ。」

●宴席の破壊
レジスタンス達の説得に成功した猟兵達。それは、明らかに領主の罠だった。ハンスは泣きながら猟兵に懇願する。
「どうか、家内を―。助けてください。」
アーレイラ・モンクスフード
「…」逡巡。人を助けるなら猟兵だけで挑むのが良い、関わらせない方が良いのでしょうが…それでも、人を信じたい。私のエゴで、考え、言います。

「助けて下さい?いいえ。助けるのは貴方です」
化物たるこの身で、人の気持ちなど分かりようもありませんが
奥様はハンスさん自身に助けてほしいのではないでしょうか?

「檻と敵は引き受けます。貴方の足と手で未来を、希望を掴んでください。」

会場近くまで移動したら、ユーベルコード発動、ハンスさんに十字架渡し透明化

檻に近づいたら解除、大鎌で檻を切断。ハンスさんが奥さんを連れて逃げるまで、他の檻と一緒に守りながら立ち回る!

「はっ、鉄靴を焼きますか?履くのは貴方達ですよ!」



●真昼の白夜
 頭を下げるハンスを前に、黒く長い髪のアーレイラ・モンクスフード(真昼の白夜・f02061)は逡巡する。
(人を助けるなら猟兵だけで挑むのが良い、関わらせない方が良いのでしょうが…それでも、人を信じたい。私のエゴで、考え、言いましょう)
それは、彼の事を考えた決断、危険であることは間違いない。アーレイラはその事を承知の上でハンスに声をかける。
「助けて下さい?いいえ。助けるのは貴方です。」
ハンスの肩が揺れた。
「化物たるこの身で、人の気持ちなど分かりようもありませんが奥様はハンスさん自身に助けてほしいのではないでしょうか?」
アーレイラの【祈り】は言葉となり、ハンスに【勇気】を与える。ハンスは、もう一度、アーレイラに頭を下げると、縋るように彼女をみつめる。
「やれる事はなんだってやります。やらせて下さい。」
ハンスの言葉に、アーレイラは微笑み頷いた。

●ヴァンパイアの屋敷
 屋敷前、庭園の中央に、檻が並んでいる。
「家内がっ。」
直ぐに、ハンスが反応した。警備が緩いといったのは偽りで、恐らくそのまま乗り込むのは困難だろう。アーレイラは警備の様子を確認し、静かにハンスに告げる。
「檻と敵は引き受けます。貴方の足と手で未来を、希望を掴んでください。」
『黎明の神』を奉じる修道女として活動するアーレイラはハンスに十字架を差し出す。アーレイラの言葉にハンスは十字架を受け取った。共に戦おうとする意志が彼の目には確かに宿っていた。
『いと尊き黎明の神よ、汝の衣で我らを隠したまえ』
彼女のユーベルコード、黎明なる者の衣が発動する。アーレイラとハンスの姿が透明化した。周りの視界から消える。
「行きましょう。物音は消せませんので慎重に参ります。」
ハンスの手を引きゆっくりと屋敷の、―庭園の中へ侵入、囚われた檻へと急ぐ。

 透明化の力は、その恩恵と引き換えにアーレイラに疲労を蓄積させていく。物音に気を付け先を進んだため、それなりに時間がかかったが、難なく檻まで辿り着く。
「ハンスさん、頭を下げていて下さい。」
檻を前に鉄格子を外そうと掴みかかったハンスにアーレイラは透明化を解除する。アーレイラの身体に封じられた力の顕現した。星々を思わせる宝飾の大鎌『エピックベイン・クリーヴァー』が振るわれる。―それは瞬間的な事だった。鎌が、大きく空を凪ぐと鉄格子が滑らかに切断され崩れる。【範囲攻撃】で檻を破壊したのだ。同時に、庭園内の警備が檻の様子に気が付いた。アーレイラは、直ぐにハンスに囚われた人々を連れて逃げる様に促すと、悪趣味な熱された石の山を前ににっこり口元を微笑ませた。
「はっ、鉄靴を焼きますか?履くのは貴方達ですよ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
【POW】
趣味の悪い事だね。
生贄は無事に救出されて、吸血鬼はその配下ともども殺される。
そういうシナリオにさせて貰おう。
戦術
他の猟兵が生贄救出をしやすいよう陽動を行おう。
屋敷の『檻』から程よく離れた部屋を【ゴモラの禍殃】で燃やします。
消火あるいは警備に現れる敵はオーラセイバーを振るって排除。
(2回攻撃、鎧無視攻撃、怪力、見切り、オーラ防御等を活用)
余裕がある限りどんどん延焼させます。可能なら屋敷全焼。
勿論、生贄たちの周辺への延焼は許しません。
「良い炎だろ?鉄の靴――君たちのやろうとしたことは想像がつくが、こちらの方が余程良い見世物さ」


聖護院・カプラ
ハンスさん、お任せください。その為に私達はここへ参ったのです。

ヴァンパイアは恐らく納品させた鉄の靴を人間に履かせて、石の山の上を歩かせようという趣向と魂胆なのでしょう。
そんな事をすればどうなってしまうか、自明の理。

人質が靴無しで趣向が実行されないよう、こちらへ気を引かねばなりません。
ならば正面から押し入り『存在感』を発し、私自身に攻撃を集中させましょう。
手痛い損傷を受けるかもしれませんが、嗜虐に満たされている内は人質に手を出さない筈。
その間にどうか討伐をお願いします。

人質に怪我人が居れば、『生まれながらの光』を患部に照らし治療致しましょう。無事に帰すとハンスさんに誓いましたからね。



●屋敷前―
 屋敷の正面玄関に聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)は立っていた。その【存在感】に屋敷の使用人達が集まってくる。なぜだか彼らもカプラから視線を外せない。
「ヴァンパイアは恐らく納品させた鉄の靴を人間に履かせて、石の山の上を歩かせようという趣向と魂胆なのでしょう。そんな事をすればどうなってしまうか、自明の理。」
赤々と燃える石の山に視線を向けてカプラは言う。
「趣味の悪い事だね。」
シーザー・ゴールドマン(ダンピールのフォースナイト・f00256)がカプラの隣に並び立って言葉を返した。
「人質が靴無しで趣向が実行されないよう、こちらへ気を引かねばなりません。」
カプラが選んだ作戦は正面から押し入る、堂々としたものだった。当然、敵はカプラを集中攻撃するだろう。自らは、囮りに徹し、その間に仲間の猟兵に生贄の救出をしてもらう算段である。
「手痛い損傷を受けるかもしれませんが、嗜虐に満たされている内は人質に手を出さない筈。その間にどうか討伐をお願いします。」
カプラの言葉にシーザーが頷いた。
「生贄は無事に救出されて、吸血鬼はその配下ともども殺される。そういうシナリオにさせて貰おう。」
深紅のスーツに身を包んだシーザーは【存在感】そのものであるカプラに、にやりと笑いかけ、これから侵入する―否、押し入る予定の屋敷を見据えた。

●守る者
 檻に囚われた妻の手を引き屋敷の外に出ようと、ハンスは走った。石畳みの庭園を真っ直ぐに出口に向かう。しかし、ヴァンパイアの部下と思しき者達が黙って通してくれるわけはなかった。鋭い槍がハンスの目の前に振るわれる。ハンスは妻を庇うようにしてぐっと目を閉じた。だが、ハンスがいつまで待っても、自身を襲うはずの痛みはやってこない。ゆっくりと、瞳をあけるとそこにはカプラがいた。
「ハンスさん、お任せください。その為に私達はここへ参ったのです。」
槍とハンスの間に立ちはだかるように立ったカプラは、ヴァンパイアの使用人らしき者を払いのける。妻の手を強く握り、カプラを前に短く懺悔するハンスは頭を下げる。そこには後悔と苦悩、そして踏み止まる勇気をくれた猟兵達と許してくれた仲間への感謝があった。カプラは全てを許すように仏のような慈愛でハンスを促す。
「さぁ、早く行きなさい。怪我があるのであれば見せてください。」
幾人かの傷を確認したカプラが淡く光りを帯びる。彼の『生まれながらの光』が周囲にいる人間達を等しく癒していった。瞬時に癒える傷口に驚きを覚えつつも周りの人々はカプラを拝むように礼を繰り返すと屋敷の外へと逃げていく。カプラは、敵を牽制しながらハンス達の壁となる。
「無事に帰すとハンスさんに誓いましたからね。」

●炎上
 シーザーもまた、他の猟兵達が生贄を救出するための陽動となる為、屋敷の『檻』から程よく離れた部屋の前にいた。
『燃やし尽くせ』
シーザーの言葉に、無詠唱で放たれた魔神の炎が灼熱する。真紅の炎が燃え上がる。シーザーの持つユーベルコード、【ゴモラの禍殃】が発動した。敢えて、現場から離れた場所に火の手が上がれば当然、人員は割かれる。シーザーの機転が功を奏した。
「火の手があがっているぞ!?」
ざわざわと、屋敷内が騒がしくなる。消火で集まる警備達を前にシーザーの手が光った。それは、そのまま光の剣となり具現化する。一閃―シーザーの『オーラセイバー』だ。【2回攻撃】で振るわれる光の剣は【鎧無視攻撃】で相手の防御を無視して斬り込まれる。次いで、【怪力】で以て一刀で両断した。敵の反撃を難なく【見切り】、【オーラ防御】で守りを固める。シーザーは楽し気に燃える屋敷をみた。炎はどんどん燃え広がる。彼の操る炎は燃え広がっても捕らわれた人々を傷つける事はなく、屋敷を包んでいく。―可能であれば屋敷の全焼をシーザーは望んでいた。
「家事、だと。」
狼狽するヴァンパイアの手先達。
「良い炎だろ?鉄の靴――君たちのやろうとしたことは想像がつくが、こちらの方が余程良い見世物さ。」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アサノ・ゲッフェンルーク
「え、水鞠さん遊びたいの?もちろんいいよ!!お好きに遊んじゃってくださいかな、かな!!」
エレメンタルロッド『泡沫ノ長杖』の気まぐれな水精霊『水鞠』さんの可愛いお願いを聞いてあげるべく、レッツゴーかな!

POWで挑戦。
【全力魔法6】【範囲攻撃6】【属性攻撃11】で強化
【高速詠唱6】【スナイパー4】で補助
水鞠さんに全力で遊んでもらうためにフルパワーで支援しちゃうよ!!

「こんにちは!!ゲッフェンルーク宅急便です!!」
真正面から敵地にはいって水刃の乱射を行って
場を混乱ないし引っ掻き回すよ!!
水鞠さんの素敵な可愛い遊びを配達する仕事人だよ!

水鞠さんが愛らしく遊ぶ姿を見れれば私は満足かな!
アドリブ大歓迎!



●白耀の魔筆士
 長い白髪を大きなリボンで飾った真っ白い装束の魔術士が一人屋敷の門の前に立っていた。
「え、水鞠さん遊びたいの?もちろんいいよ!!お好きに遊んじゃってくださいかな、かな!!」
アサノ・ゲッフェンルーク(白耀の魔筆士・f00499)はその手にあるロッドに向かって語りかける。深い青色を称えるロッドは美しい水底を思わせた。彼女のエレメンタルロッド、『泡沫ノ長杖』である。そして、『泡沫ノ長杖』に向かって大きく頷いた彼女は、気まぐれな水精霊『水鞠』さんの可愛いお願いをきいてあげるべく大きくロッドを掲げた。『泡沫ノ長杖』から伝わる感情にアサノは微笑む。『水鞠』さんのご機嫌はとても良いようだ。
「レッツゴーかな!」

●水鞠さん
 ゆったりとした足取りで屋敷の門をくぐる。すると庭園があり、その先に飾り付けられた宴席、そして1番奧にある屋敷。そして、何故だか屋敷は盛大に燃えていた。だが、水鞠さんのお願い最終戦のアサノはそんな些細な事は気にしない。
「こんにちは!!ゲッフェンルーク宅急便です!!」
元気の良い、とく通る声は庭園に響き渡った。
『水鞠さんの今の気分はいかほどかな?』
泡沫ノ長杖を優しく撫でる。返事はもう、分かりきっていた。直ぐに空気が湿り気を帯び、そして―。幾つもの水滴が集まりそれは、『水鞠』さんとなる。空気を楽しそうに揺蕩えば、アサノの周りを慕う様にくるくるくるくる。渦を作って飛び跳ねる。それから、『水鞠』さんは屋敷の方を気にしだした。
(素敵な遊び場所!)
『水鞠』さんの感情がアサノに伝わると、同意するように頷いた。ゆるゆると、人の形をつくる『水鞠』さん。彼女のユーベルコード『蒼硝子との遭遇』が放たれる。水鞠がクスクスと楽し気に笑った気がした。―水鞠から、水刃が現れると、それは庭園を、屋敷を破壊していく―。くるくると、踊るように楽し気に。まるで空に、庭園に、お絵かきでもするように水鞠は水刃を放つ。
「場を混乱ないし引っ掻き回すよ!!」
100を超えてしまいそうな水刃は建物を切断する程に鋭利だ。
「何者だ!?」
敵、警備の者が駆け付ければアサノはにっこりと笑む。
「水鞠さんの素敵な可愛い遊びを配達する仕事人だよ!」
水が凪いだ―。アサノの周りに、アサノに悪意を持つ存在が居る。水竜巻のように水鞠はアサノの周りに集まり戻る。そして、直ぐに敵は排除された。水に押し流されるように遠くへ跳ね飛ばされたのだ。
「水鞠さんに全力で遊んでもらうためにフルパワーで支援しちゃうよ!!」
愛し気にアサノは、水鞠さんに声をかける。自身の特技、【全力魔法6】【範囲攻撃6】【属性攻撃11】で強化を施し、【高速詠唱6】【スナイパー4】で補助する。
まだまだ、彼女達は『遊び』足りなそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・秋星
「…潜入工作などが得手でないのは流石にそろそろ頂けないな。…かつての主の技能、せめて少しでも習得できるように努力しておくか。」

とはいえそれは次回以降だ。正面から立ち回る。使い、敵、建物、纏めてだ。他の猟兵や一般人を巻き込まないようには最大の注意を払う。
【妖剣解放】を使用、黒瘴を赤黒い怨念で纏い、【衝撃波】を最大に放つ。
横薙ぎに振るった斬撃波で建物ごと敵を切り捨てる。
部屋も屋敷も両断し、道を作り上げる。

「…こんな真似をしなければ、こんなものも切れないか…。主の高みは、彼方先か…。」

自身の未熟を嘆き、先へと向かう。

アドリブ歓迎



 燃える屋敷―。叢雲・秋星(悪を削ぐ太刀・f02120)は真っ直ぐにそれを、見据える。
「…潜入工作などが得手でないのは流石にそろそろ頂けないな。…かつての主の技能、せめて少しでも習得できるように努力しておくか。」
ヤドリガミである秋星の過去の使い手、主達を思い浮かべる。彼が尊敬して止まない使い手達―。何れも高みに達した者達だった。その名も主達から拝借したモノ。今も、彼らの生き様を追いかけるように秋星はただ、悪を刈り取る。
「とはいえそれは次回以降だ。」
屋敷には既に他の猟兵が先行している様だった。捕らわれた人々の脱出も既に行われている。

●倒壊
 正面から堂々と―、秋星は刀を構えた。同時に【妖剣解放】させると、黒瘴を赤黒い怨念で纏う。他の猟兵や一般人を巻き込まないように注意を払い、意識を研ぎ澄ませる。断つべきモノを切断し、残すべきモノを生かす、細い針に糸を通すような細やかな集中―。その先で、逃げる人々、敵の動き、破壊すべき建物を見分ける。秋星は目を閉じる。屋敷の敷地全てに全神経を傾けた。

 ―刹那の一閃。放たれた【衝撃波】は最大限に練り上げられた一撃、その一刀に屋敷が軋み悲鳴をあげた。吹き飛ぶような風が吹いたように感じただろう。赤い赤い炎は渦のように燃え上がり、崩れ落ちていく建物を飲み込み、地鳴りのような音が響き渡った。
「…こんな真似をしなければ、こんなものも切れないか…。主の高みは、彼方先か…。」
自身の未熟を嘆く秋星。屋敷は、見事に両断されていた。横薙ぎに振るった斬撃波は、秋星の目の前を綺麗に、斬り伏せていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『往生集め『エルシーク』』

POW   :    賢者の双腕
見えない【魔力で作られた一対の腕】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    蒐集の成果
自身が装備する【英雄の使っていた剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    幽暗の虫螻
【虫型使い魔】の霊を召喚する。これは【強靭な顎】や【猛毒の針】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エルディー・ポラリスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


暗く澱んだ灰色の雲へと真っ黒い煙の渦があがる。瓦礫の山と化した屋敷が、孕んだままの炎で周囲を照らしていた。庭園を含め猟兵達はヴァンパイアの屋敷を倒壊させている。最早、結婚式の会場は原型を留めてはいなかった。領主の屋敷に乗り込むはずだったレジスタンス達はこの場には集まらず、唯一人同伴したハンスも妻を連れて無事逃げおおせている。しかし、猟兵達は腑に落ちない。ここまで暴れて出てきたのは雑魚ばかり、この屋敷の主の姿がない。突如の突風に花嫁衣裳だろうか、細かな刺繍が施されたドレスの切れ端が飛ばされる。灰色の空から、ぽたり、と雨が―降ってきた。冷たい雨が屋敷を濡らす。

ずん、と地面が揺れた。立っていられない程の揺れだ。背中を走る悪寒、町から悲鳴のような声があがる。猟兵達は目を見開いた。大きな影がそこに立っていた。

大きな角は歪な形をしている。動物の頭の骨は異常に大きい。山羊のようであり馬のようでもある。黒くぬらぬらと動く大百足は真っ赤な触覚を動かし、カサカサと身の毛がよだつ様な嫌な音をさせて這いまわっている。それを首飾りにように巻き付けてソレは現れた。
「猟犬か、随分暴れてくれた。我はエルシーク。勇気あるモノ達を招く余興にこの場を借り受けたというに、とんだ邪魔が入ったものだ。」
くぐもった低い動物の唸り声は人知を超えていた。
シーザー・ゴールドマン
【POW】
「ハハハ、面白い事を言うね。
 勇気がある者ならここに沢山いると思うが。
 それとも『抵抗する力を持たない者』をお望みかな?
 君には勇気がないようだね。
 ――ああ、だから勇気を持つもの達を害したかったのか
 持たぬ者は持つ者を憎悪する場合があるそうだからね」
戦術
『シドンの栄華』で自身を強化。
近距離ではオーラセイバーを振るい(有用な技能を駆使)
中遠距離では聖なる属性を賦与した衝撃波で戦います。
防御面はオーラ防御、見切り、第六感、各種耐性等



● 
 窪んだ眼窩がぎょろりと、深紅のスーツを捉える。類まれな美貌の持ち主であるシーザー・ゴールドマン(ダンピールのフォースナイト・f00256)は、余裕たっぷりに笑みを深めた。
「ハハハ、面白い事を言うね。勇気がある者ならここに沢山いると思うが。」
シーザーが周りの仲間に視線を流し、明朗闊達に肩を竦めせみせる。
「それとも『抵抗する力を持たない者』をお望みかな?」
口元に宿るのは嘲笑。まるで、残念なモノを見る様にシーザーはエルシークを見下した。
「挑発のつもりか。愚かな、我の余興を潰した猟犬め。我がコレクションに加えるは56の頭蓋よ。勇敢に花嫁とされる贄を助ける勇者―。なかなか良いシナリオであろう。それを…貴様らが台無しにしおった。」
エルシークは自分の台本を語る。筋書通りに進まない事に、憤りを感じているのか…低い地を這うような唸り声となって、空気を震わせた。
「君には勇気がないようだね。」
溜息交じりにシーザーは、エルシークを見る。そして、合点がいったようにポンと手を叩いた。
「――ああ、だから勇気を持つもの達を害したかったのか、持たぬ者は持つ者を憎悪する場合があるそうだからね。」
空気が波立った。
「おのれ、猟犬如きがっ。身の程を知れ!」
怒りの波動―。エルシークの鬣が逆立つ。『賢者の双腕』が、死角を狙った様に、背後から、シーザーを捕らえる。そのまま首を掴むと、上空に引きずり上げた。190cmを超える偉丈夫なシーザーの足が宙に浮く。
「造作もないー。このまま首を圧し折られ散るがよい。」
エルシークは、見えない【魔力で作られた一対の腕】に力を込める。
「だが、猟犬の首などコレクションにするのも憚られる。器にでもしてヴァンパイアどもの土産にでもしてやろう。恐怖に慄き死ぬ。」
ぼきり、と首が圧し折れ血が滴るはずだった。【第六感】でエルシークの動きを【見切り】、寸で【オーラ防御】によるダメージの軽減を果たしていた。シーザーは不敵に笑む。
「その程度なのか?」
シーザーの金色の瞳がエルシークを映し込む。余裕たっぷりな態度に苛立ちを隠せないエルシークは叫んだ。
「おのれ、痩せ我慢をっ!!」
シーザーの首を圧し折るべく、力を籠めるエルシーク。だが、それは叶わなかった。
『私に勝てるかね?』
ユーベルコード『シドンの栄華』により【創造の魔力】、【維持の魔力】、【破壊の魔力】が、シーザーの力を強化する。
「なん・・だと!?」
ミシミシと音を立てると、『賢者の双腕』を強引に引き剥がす。自由になったシーザーは【空中戦】でもするかの様に、空を蹴った。―【ジャンプ】で高く舞い上がると、清らかな光を放つ【衝撃波】を繰り出す。聖なる【属性攻撃】がエルシークの身を斬り裂いた。揺らぐエルシークはすぐさま飛び退こうとする。だが、一歩遅かった。シーザーの攻撃は一回ではない、卓越した技は一振りであって、【2回攻撃】されている。次いで、接近―。実体を持たない魔力でできた剣で斬りつけた。
「っぐ。おのれ―。」
雨の中、瓦礫の上に着地したシーザーはくるりと反転し、敵を見据える。
濡れた黒髪から輝くような金の瞳が細められる。明るく、朗らかな印象のまま、しかし目だけは笑っていない。その判断は単純にして明確だった。
「君の首、刈り取っておくべきだな。」
その瞳は、獲物をみつけた獣に似ていた―。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・秋星
「断つべき悪、捉えさせてもらった…。黒瘴抜刀、銀弾装填。」

会敵と同時、本体の妖刀を抜きざまにシリンダーから銀弾を装填、撃鉄が落ちる。妖剣解放によって赤黒い怨念を纏い、交戦。
近接剣戟戦を主体に行動。離れていれば衝撃波を放ち、高速機動で行動。敵の操作する剣を切り落とし、踏み込む。
敵との会話は行わない。何か言われても反応はしない、ただ敵を屠る刀でしかない。
自身の備えた技能によって最適効率で立ち回る。

「この身はその首を断つに非ず、咎を削ぎ落す物なり。」

アドリブ、ダメージ描写歓迎



● 
 黒く長い髪を一つに束ねた青年が瓦礫の中に立っていた。降ってくる雨が髪を濡らして、ぽたりと雫が滴る。叢雲・秋星(悪を削ぐ太刀・f02120)は瞬きすらせず、静かにエルシークを見ていた。突如現れた動物の頭蓋の化け物が、戯言を煩く喚いている。しかし、秋星の表情には何の感情も見て取れない。
「断つべき悪、捉えさせてもらった…。黒瘴抜刀、銀弾装填。」
『宵星・黒瘴』を手に、その刀を抜く—鍔の部分にあるシリンダーが銀弾を装填、撃鉄が落ちる。―黒い長刀が姿を現した。鬣を逆立てるエルシークに向かい、【妖剣解放】する秋星。
「成程。猟犬め、一匹ではなかったか。」
赤黒い怨念が纏わりつくように揺らめく。何処までも暗い赫色の闇、—怨念。
「よかろう。特別に相手をしてやろう。」
エルシークが、干からびた枝のような歪な腕を振り上げた。『蒐集の成果』、それはエルシークが勇者と呼ぶ被害者達から奪った武器だ。現れた武器は形も形状もそれぞれが違う。秋星を囲むように自在に動くと、エルシークの合図で一斉にバラバラに動き始める。
「‥‥。」
無造作に秋星を狙い、飛んでくる武器を弾き返した。『宵星・黒瘴』を振るい、一刀で武器を斬り払う。刈り取るべきは—その先にいる。構わず地面を蹴り上げ、空を跳んだ。幾重にもエルシークを守るように顕現する武器。—響き渡る剣戟。向かってくる武器、『英雄の剣』を弾き落としながら秋星は、エルシークの隙を慎重に狙った。だが、全ての『英雄の剣』を弾き続ける事は至難だ。秋星は、急所を外し、残りはその身体に受けるしかない。ヤドリガミであれ、ダメージを負えば傷がつく。血があれば流れ、それに伴う痛みがその身を走るだろう。―しかし、戦場を駆ける彼が、気に掛ける事は負傷による戦力の低下。より効率よく、敵を削ぎ落す事だけである。
「口ほどにもない!」
勝ち誇ったようなエルシークの叫びの中、構わず秋星は自身そのモノである長刀を振るう。遠距離から風を薙ぎ払う様な衝撃波。次いで、間合いを詰めてからの一閃。『英雄の剣』を切り落とし、エルシークとの間合いを詰めるべく、踏み込む。夜を映したような瞳が、刈り取るべき者を捕らえた。
「ックハハハハ。猟犬にしておくには惜しい、怨念を纏いし者よ。その黒き長刀、私のコレクションにしてやろう。貴様も所詮、血を流す道しか選べぬのであろう?」
長い黒髪が揺れる。エルシークの前に立つ猟犬は、しかし何も応えない。
「応えられぬのならば、その身にきいてくれる!」
赤黒い怨念がその濃さを増す。より暗く赤く―。『宵星・黒瘴』は、ただ敵を屠る刀でしかない。其れは、かつても現在も等しく同じ。かつての主達と同様に―。
「この身はその首を断つに非ず、咎を削ぎ落す物なり。」
戦場と化した屋敷が静まり返る。雨音が煩く耳に響いた。
「ぐぁああぁあああ!おのれぇぇぇぇ。猟犬め!」
エルシークの頭蓋の角が、ごとりと地面へと転がり落ちていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

九条・文織
「何とか間に合ったようだね。」
白いロングコートに刀を携えて屋敷の外から現れ。

「勇気ある行動には、それなりに見合ったハッピーエンドがあったほうが良いってものだよ。誉も勲もない、悲劇と恐怖もそろそろ飽きた事だし。」
刀を抜いて、エルシークに向かって冷たく微笑。

「これ以上その剣を不本意な血で穢させるのは、忍び無いからね。『その剣は刃にて人を害す事能わず。』」
エルシークが『蒐集の成果』を使用してきたら、【残像】でかく乱し『絶望の福音』で予測した英雄の使っていた剣を【見切り】で回避する。

「さあ区切りをつけようか、エルシーク。」
【フェイント】【二回攻撃】【破魔】を使用した『句切』で斬りつける。




 雨が勢いを増す。転がり落ちる大きな動物の角を踏みつける女がいた。美しい銀の髪は濡れて肌に張り付いており、覗く片色違いの瞳は、紅い鮮血を思わせるそれと、冷やかな青いそれ。
「何とか間に合ったようだね。」
白いロングコートを身に纏い、腰には刀を携えている。そして、転がる角を無造作に蹴り飛ばした。
「勇気ある行動には、それなりに見合ったハッピーエンドがあったほうが良いってものだよ。誉も勲もない、悲劇と恐怖もそろそろ飽きた事だし。」
刀に手を掛け鞘から抜くと、艶やかな唇で微笑を作った。エルシークに向けられた九条・文織(界渡りの旅行者・f05180)の微笑は背筋が凍る程に冷やかだ。
「また、新手のご登場か。猟犬は余程、暇とみえる。よかろう!小娘がっ、相手をしてやろう…我を退屈させるでないぞ!」
枯れた枝のような両腕を広げると、エルシークはユーベルコード、『蒐集の成果』を発動させる。無数の【英雄のつかっていた剣】が現れ、軌道を読み切れない程にバラバラに動くと、一斉に文織へと牙をむいた。
「これ以上その剣を不本意な血で穢させるのは、忍び無いからね。『その剣は刃にて人を害す事能わず。』」
言葉が事象を制する。『英雄の剣』が文織に無数に穿たれる―しかし、手応えはない。『英雄の剣』が貫いたのは文織の【残像】だ。【残像】を貫いた剣は、空しく地面に転がり消える。文織は自ら抜いた刀、『句切』を手に、エルシークの攻撃を避け、瓦礫の中を駆ける。エルシークもまた、文織を逃がすまいと、『英雄の剣』が自在に動かせ、その動きを追った。―彼女のユーベルコード『絶望の福音』は10秒先の未来を見る。エルシークの攻撃も彼女にとって避けるのは難しい事ではない。【残像】で攪乱し、エルシークの操る攻撃【見切り】、立ち回る。白い影が戦場に舞い翻る。身軽な身のこなしに加え、優雅な動きは、卓越した剣士故のものだろう。
「小賢しい。小娘めっ。」
なかなか当たらない攻撃に、苛立ちを隠せないエルシークは、さらに『英雄の剣』を顕現させた。エルシークによって収集された勇者の剣。その全ては、エルシークやヴァンパイア達によって無残に葬られた勇者の遺物。このオブリビオンが持ったままでは、安らかに眠る事さえできはしないだろう。帰るべき場所に、帰る事もできないまま、その魂はエルシークに囚われ続けている。赤い瞳が怒りに細められる。
「さあ区切りをつけようか、エルシーク。」
落ち着いた低くも高くもない声。静かな侮蔑を孕んだ声で、文織はエルシークを見据えた。女性らしい柔らかな体躯で、刀を振り上げる。繰り出されるのは剣戟―。【フェイント】を織り交ぜた【二回攻撃】だ。刀の眩い光はそのまま【破魔】の力を宿し魔を退ける。それは一瞬の隙、文織の刀―『句切』がエルシークの片腕を一閃、切断した。唸るような悲鳴が轟く―。動物に似た、地面を揺るがすような声。切り落とされた腕から崩れ落ちるように崩壊が始まる。
「許さぬ。許さぬぞ!猟犬ども!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アーレイラ・モンクスフード
骸の海から染み出た存在は、自身の筋書きしか見えないのですね。
この場を借りた、というのも気にはなりますが…

「勇気なら既に在ったじゃないですか。」
自身の裏切りの告白に、人の身で化け物屋敷から人を、大切な者を救った、その勇気が。

「その眼には…映らないのでしょうね。」
侮蔑、敵意を抜きにして純粋に
「憐れみます。」

ユーベルコード発動
大鎌に紅炎纏わせ、ダッシュで肉薄
大振りでのなぎ払い、振り抜いたらその勢いのまま武器をメイスに変形させ、メイスで二度目の攻撃叩き込み、その何も見えない眼の頭を打ち砕く!

「愛しき人の子らに、朝と夜の祝福を。」

レジスタンスも、ハンスさんも
立ち向かう勇気を抱いた者達よ
末永く輝いて下さい


聖護院・カプラ
姿を現しましたね、往生集め『エルシーク』。
命を弄ばんとするその行い、改めさせてみせましょう。
…そして、今一度だけ問いかけましょう。
悔い改め行いを正す気はないかと。

正す気がなかったり、『賢者の双腕』を使った騙し討ちを行うようなら最早語る術では如何し様もありません。
『経法』を唱える事によってエルシークを浄化し、来世への手向けの言葉に代えさせていただきます。

一件落着とできたならば、村の方に事態の終息を報告に行きましょう。
ああ。
それと、もしあのような邪悪が再度現れ出でるなら……
私達のような”猟兵”にお任せくださいな。



● 
 雨の中、戦闘は続いていた。動物の頭蓋を持つエルシークは真っ黒く窪んだ眼窩で、アーレイラ・モンクスフード(真昼の白夜・f02061)を捉える。
「おのれ、猟犬め!我の求むは勇者であり、貴様ら犬ではないわ!そもそも、猟犬などに頼りおって、もはや勇者でもなんでもない。貴様らを始末した後は皆殺しにしてくれる!」
苛立った声を上げ吠えるエルシーク。
「骸の海から染み出た存在は、自身の筋書きしか見えないのですね。この場を借りた、というのも気にはなりますが…。」
この場を借りたというのは、屋敷の元来の主と思わしきヴァンパイアだろう。退屈を持て余す彼らが遊び場を提供しあった。恐らく、目の前の敵を倒してもその先を追うことはできないだろう。
「勇気なら既に在ったじゃないですか。」
アーレイラの頭をよぎるのは、レジスタンス達。
「自身の裏切りの告白に、人の身で化け物屋敷から人を、大切な者を救った、その勇気が。」
真摯なアーレイラの言葉に、鼻で笑うような返答がかえる。
「はぁ?くっはははは。寝ぼけたことを、勇気とは武勇!死が訪れると解っていて尚、剣を以て向かってくる者!その様なものは勇者などと呼ばぬわ!」
エルシークが腕を広げる。その枯れ木のような手、頭蓋、身体から湧き出すように現れる有象無象の【虫型の使い魔】達―。小さな無数の虫達が一斉に羽音を立て、アーレイラに向かい放たれる。『幽暗の虫螻』、エルシークが使う【虫型使い魔】の霊を召喚する攻撃だ。【強靭な顎】と【猛毒の針】を持つ虫達がアーレイラの身体に群がろうとする。
「その眼には…映らないのでしょうね。」
静かに、アーレイラを濡らす雨、冷たい雨の中、侮蔑や敵意を抜きにして純粋に、エルシークに憐憫の眼差しを向ける。
「憐れみます。」
アーレイラの漆黒の美しい髪が照らし出された。彼女の持つ大鎌が紅炎に包まれる。黎明を思わせるようなその眩い炎を手に―【ダッシュ】。彼女を覆うべく襲い来た虫達は炎に焼かれ落ちていく。一気に距離を詰め、肉薄に持ち込む。
「貴様っ!?」
態勢を崩す、エルシークの身体に大鎌が、大きく【なぎ払い】、大振りに振りぬかれた。星々を思わせる美しい装飾が流れるように空を凪ぐ。次いで、勢いのまま大鎌は黄昏の光を放つメイスに変形、何も見えない空虚なエルシークの眼窩を抉るように打ち砕く。
「愛しき人の子らに、朝と夜の祝福を。」
黎明の神を奉じる修道女が祈りを捧げる。
レジスタンスも、ハンスさんも、立ち向かう勇気を抱いた者達よ。―末永く輝いて下さい。)
彼女の祈りを聞き届けるようにエルシークの頭蓋は半壊したのだった。


 頭蓋を壊され身体が半分に分断されたエルシークが唸り声を上げる。地面が、町全体が悲鳴を上げる様に揺れた。崩れた頭蓋のまま大きな百足が暴れまわる。そして、―むくり。とエルシークは起き上がる。
「往生集め『エルシーク』。命を弄ばんとするその行い、改めさせてみせましょう。」
崩れかけた身体を持ち上げ、ぐるぐると唸るエルシークは聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)を砕けた眼窩でぎょろりと睨む。
「改める、だと。」
目の前にいるのは、『オブリビオン』だ。どこまでも慈愛に満ちたカプラの言葉が果たして届くだろうか。
「…そして、今一度だけ問いかけましょう。悔い改め行いを正す気はないかと。」
淡々と彼から発せられる言葉に、しかし―、無視ができないようにエルシークは釘付けになる。それは、攻撃を忘れる程に圧倒的なカプラが持つ【存在感】が成せる技だといえた。静かな空間に雨音だけが響き渡る―。どれ程の時間が経っただろう。
「ックハハハハハハハ。笑止。我は主等が敵!猟犬ども。かかってくるがよい!」
エルシークの【賢者の双腕】がカプラを襲う。その腕がカプラの足を掴み引き倒そうと動いた。
「最早語る術では如何し様もありません。」
カプラがエルシークに向き直る。
『他力本願、承りました』
彼の言葉が発せられると同時に、【浄化の光】がエルシークの身体を包みこむ。カプラは『経法』を唱えエルシークを浄化させていく。
「…来世への手向けの言葉に代えさせていただきます。」
果たして、彼が戻る先は骸の海なのか、それとも―。エルシークに『来世』が在るかは解らない。カプラは消えゆくエルシークを前にもう一度祈りを捧げた。

一件落着。無事の姿を伝えるべくレジスタンス達に会いに行くカプラ。
「ありがとうございました。」
全てのレジスタンス達は無事である。ハンスも、ハンスの妻とお腹の子も猟兵達に感謝を伝えた。
「ああ。それと、もしあのような邪悪が再度現れ出でるなら……。私達のような”猟兵”にお任せくださいな。」
カプラのその強い【存在感】で皆、釘付け状態である。だが、カプラがレジスタンス達にそう言い含む。この世界には『猟兵』の存在を知る者はいない―。だからこそ、なのかもしれない。

彼らに一握りの『希望』を残し、カプラは帰還するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月15日


挿絵イラスト