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地下大空洞の冒険

#ダークセイヴァー #辺境伯の紋章 #番犬の紋章 #地底都市

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#地底都市


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●ダークセイヴァー地下大空洞
「そこの貴方」
「ひぃ……!」
 光る苔類や魔法のガスに照らされた地底都市。
 人通りも疎らな路地を足早に歩いていた男が声を掛けられる。声の方を向いた男は絶望の悲鳴を漏らす。そこにいたのは巨大な鎌を手にした聖職者の装いをした女。
 自らを天使と称するこの女に声をかけられることはこの街では死を意味する。
「何故、怯えるのです? 貴方に救済をもたらそうというのに」
 男は踵を返して逃げようとするが、それより早く鎌が振るわれ物言わぬ死体となる。
「死した者は幸いである。もはや、苦難も絶望もない……片づけなさい。今日の救済は終わりです」
 息を呑んで見守っていた人々に声をかけ、女は去っていく。女の姿が消えるのを待って哀れな犠牲者を人々がかたづける。その顔に浮かぶ表情は諦観だった。

●グリモアベース
 吸血鬼達に支配される夜と闇の世界ダークセイヴァー。
 人間が家畜同然に支配され、戯れに命を奪われる世界だが、猟兵達の活躍により、徐々に風向きが変わってきている。
 まず、猟兵達の戦う姿に希望を得た人々が『闇の救済者』を名乗って吸血鬼の支配に抗い始める。
 その活動の結実として、辺境地方に小さいとはいえ吸血鬼に支配されない人類の活動圏、『人類砦』が幾つも誕生した。
 しかし、此処に来て吸血鬼も反撃を始める。辺境伯と呼ばれる強力な存在達が人類砦壊滅の為に動き出したのだ。
 だが、猟兵達はこの辺境伯達をも次々と撃破。
 逆に彼等を強力な存在たらしめていた寄生虫型オブリビオン『辺境伯の紋章』を数多く捕獲することで、
 その紋章を配布した者達に関する予知を行うことに成功するのであった。

「それが『隠された地底都市』の存在です」
 青髪のグリモア猟兵ステラ・リデルが予知で得られた情報を目の前の猟兵達に伝える。
 彼女の話を纏めるとダークセイヴァーには広大な「地下空洞」があり、そこには地上と遜色ない「地底都市」が幾つも存在するという。
 そして、そこには吸血鬼だけではなく、地上の存在すら知らない人々も暮らしているということだ。
 紋章を配布した者達は地上世界だけではなくこの地下世界も支配しているという。
 ただ、彼等が棲むのはこの地底都市より更に地下奥深くの様だが、残念ながら現状ではこれ以上の情報を予知することは不可能なようだ。
「こういう状況ですからまずは地底都市に暮らす人々を少しずつでも救い、地上に連れ出して欲しいと思います」
 そうすることで敵の勢力を少しずつ削げば、いずれ更なる深層の予知も出来るようになるはずだ。
 もちろん、それだけではない。地上の存在も知らずに隷属を絶対とされた人々を救うこと、それ自体に意味があるはずだ。

「障害は大きく二つあります。一つ目にして最大の障害となるのは地底都市に近づけば現れる『門番』です」
 門番とは『番犬の紋章』という寄生虫型オブリビオンを体のどこかにつけたオブリビオンのことをいう。
 紋章の力により大幅に戦闘能力を向上させており、『同族殺し』等でも一太刀で屠れる程の実力を持つという。
 また、如何なる働きか「番犬の紋章」以外の箇所への攻撃はまともなダメージを与えることはできない。
「私が予知した『門番』は赤錆色の甲冑に身を包んだ双剣の騎士です」
 紋章は黒い犬を意匠化したもので、胸部甲冑に張り付いているのが見えるだろう。
「この騎士は何処かの国の騎士団長だった存在が吸血鬼と化した存在の様です。
 生前もかなりの腕前だった様ですが、吸血鬼となり、身体能力が向上したところにさらに紋章の力を得て強大化しています」
 まさしく難敵ですね、とステラは言う。

「そして、この赤錆の騎士を退けて地底都市に入ることができても、次の障害が皆さんの邪魔をします」
 死こそ救済と嘯く偽りの天使、『破滅の使徒』の集団。
 使徒たちは騎士に比べると戦闘能力は低いが、数が多く侮れない。
 だが、この使徒たちを倒せば、この地底都市にオブリビオン勢力はいなくなるという。
「騎士、そして使徒達を滅ぼせば皆さんの邪魔をする存在はいません」
 とはいえそれは一時的のことだとステラは言う。やがて異変を察知した別の地底都市からオブリビオンがやってくるだろう。
 それまでに、地底都市にすむ民衆を地上に誘って欲しいとステラは言う。
 地上に連れ出した後は彼女の知る人類砦が受け入れを表明してくれているとのことだ。

「彼等は地上を知りません。隷属を諦めと共に受け入れているのです。しかし、貴方達の戦いは必ず彼等に勇気を与えることとなるでしょう」
 勇気を与えた皆さんの言葉なら彼らの心に届くはずです。希望を知らない地下の人々に地上のことを教えてあげてください。
 そう締めくくり、希望者を送るためにグリモアを展開する。

「ご武運を。敵は強大ですが、皆さんならばうち砕けると信じます」

 ステラに見送られて地下都市に猟兵達が挑む。


淵賀
 17回目のシナリオをお送りいたします。
 舞台はダークセイヴァー。新たに発見された地下大空洞です。
 よろしくお付き合い願えれば幸いです。
 それでは、今回のシナリオについて纏めます。

 第一章について。
 ボス戦となります。非常に強力な個体です。戦場は都市外です。
 ボスを強力たらしめている紋章(直径10㎝ほどの円形)は胸部装甲に見られます。
 そこを突くプレイングはボーナス対象となります。

 第二章について。
 都市内での集団戦です。救済と称して死を振りまく者たちとの戦いですが、この戦いを都市の住人たちが見守っています。
 勇気や希望を与える活躍の仕方次第では第三章のプレイングボーナスとなります。

 第三章について。
 日常です。一時的にオブリビオンの空白地となった地底都市で、そこに住み人々に地上のことを教えて、誘ってください。
 人類砦が受け入れを表明しているため、生活基盤0からのスタートにはなりません。
 このことは参加者の皆さんには周知の事実となります。
 なお、この第三章中にオブリビオンが新たに来ることはありません。

 以上です。
 プレイングの受付は公開後即スタートですが、できれば深夜から早朝(0:00~8:30)の送信は避けていただければ幸いです。
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第1章 ボス戦 『赤錆の騎士』

POW   :    強撃
【瞬時に間合いを詰め、二刀の剣】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    致命へと繋がる
【剣による打ち払い】が命中した対象に対し、高威力高命中の【刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    切り裂き詰める
対象のユーベルコードに対し【超常すら切り裂く斬撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフィーナ・ステラガーデンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●赤錆の騎士
 一人の男が地底都市の門の前に立っている。
 赤錆色の甲冑を身に纏った騎士然とした、その男は微動だにしない。

「……」

 彼は『門番』と呼ばれる存在だ。
 それは外敵から街を守る存在でもあり、中の者を外に出さない為の存在でもある。
 番犬の紋章が彼の胸部で蠢く。自身の力を強大にしているソレだが、『番犬』とはまさに自分の立場を現しているとの自嘲に似た思いも浮かべる。
 彼は随分と長い時間、この役割を果たしてきた。
 長い時の間に『生前』の無念も忘れかけていたが、何故か今日はそれを思い出す。

 何かが起きる予感。それを感じていた。
秋山・小夜
アドリブ、絡み歓迎
「騎士が相手なら、本気を出しても大丈夫ですね。」

牽制用もかねて80cm超電磁加速投射砲グスタフ・ドーラの二門、胸のやつへの狙撃、近接戦用に二〇式戦斧 金剛を展開し、遠慮なく攻撃を叩き込んでいく。UCは最初から発動しておく。
可能なら使用していない武装を使ってUC【千本桜】も発動し、戦闘を有利に運べるような試みをしてみる。




 魔法のガスにより薄ぼんやりと照らされた広大な地下空洞。その大地に突如として二門の巨大な砲台が姿を現した。
 砲台の名称は『80cm超電磁加速投射砲グスタフ・ドーラ』という。
 異なる世界の巨大列車砲の名を冠されたそれは、その名に恥じない大きさだ。
 かなり離れた位置にある今回の目的地である地底都市からも視認できるほどに。

 現れた二門の巨大砲台。それをかなたに見た瞬間、赤錆の騎士が動き出す。
 あきらかな異常事態である。
 敵であれば排除しなければならないし、そうでなくとも確認は必要であろう。
 しかし、赤錆の騎士には奇妙な確信があった。
 あれは敵。それもとびきり危険な敵であるという。

「動き出しましたね」

 門前からもの凄い速度でこちらに向かってくる騎士を見て、秋山・小夜(お淑やかなのは見た目だけ。またの名を歩く武器庫。・f15127)は目を細める。
 二門の巨大砲台を出現させたのは彼女だ。

「騎士が相手なら、本気を出しても大丈夫ですね」

 そう言って彼女は二大砲門からこちらに向かってくる騎士めがけて80㎝砲弾を投射する。轟音と共に飛翔する砲弾。
 10m以上のコンクリート防壁をも粉砕する威力を持つソレは狙い違わず騎士に直撃したと思われたが。

「嘘でしょ」

 見えたのは騎士が双剣を振りぬいた姿。音速を超えて飛来する砲弾を叩き落としていた。そして、小夜の姿をはっきりと視認して向かってくる。戦慄すべき姿だが、小夜は逆に闘志を燃やす。

「剣戟の響きは円舞曲 響き渡る雄叫びは観客の歓声 舞い散る鮮血は最高のドレス。さぁっ、一緒におどりましょう? 華麗なる大円舞曲!」

 ワルツの始まりのステップを踏むことで発動するユーベルコード『華麗なる大円舞曲』。これは寿命を削ることを代償に爆発的にスピードと反応速度を増大化させ超高速戦闘を可能とする。
 UCを発動し、巨大な戦斧を構えた頃合いに騎士も彼女のもとにたどり着く。

「先ほどの砲撃、貴様か、小娘」
「そうだ、行くぞ!」

 敵を前にすると荒々しい気性が前面に出る小夜。
 問答無用と戦斧を騎士に叩きつけるが、騎士は双剣の片方でそれを逸らすと、残りのもう一方で超高速の刺突を放つ!
 普通なら致命の一撃。
 だが、超高速モードになった小夜はそれを紙一重で回避する。

「やるな!」
「あんたこそ!」

 双方とも長々と喋る余裕はない。
 赤錆の騎士の怒涛の斬撃は一撃一撃が異常に重く迅い。対する小夜は速度で上回る。ギリギリで致命の一撃を逸らし、回避して反撃を与える。
 だが、『番犬の紋章』以外への攻撃は有効打になりえない。
 騎士もそこが弱点と分かっており、防御が厚く、突くのは難しい。
 しかし、それは小夜にとって想定内だ。
 何度か打ち合って、互いの距離が離れた瞬間。

「千本桜――!」

 歩く武器庫の異名を持つ小夜。彼女はあらかじめ戦場に様々な武器を振りまいていた。騎士は戦闘中に持ち替えるつもりかと気にも留めなかったが。
 小夜の言葉と共にそのすべてが無数の花びらに変じて騎士に襲い掛かる!

「何だと!?」

 意表を突かれた騎士だが、完璧に反応して見せる。
 押し寄せる花びらを全て双剣で払いのけたのだが。

「――見えた。そこだ!」

 花びらへの切り払いで双剣が左右に振り払われた瞬間。小夜の戦斧が火を噴く。
 『二〇式戦斧金剛』。この巨大な戦斧は57㎜砲を放つ機能を兼ね備える。

「グオッ」

 戦斧としての機能しか把握していなかった騎士は流石にこの一撃への対処が遅れ、番犬の紋章に痛撃を受けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エウロペ・マリウス
それ(死)がキミ達の言う救済ならば
ボクもそれを以てキミ達を救済するとさせて貰うよ

行動 WIZ

相手のユーベルコードに対応できるとしたら……これかな

「虚実を喰らう獣。纏い・砕かれ・混濁に沈み、朔に眠れ。華鏡は虚月に彷徨う(ルナ・スペクルム)」

動きを封じられたならば、その隙に
【属性攻撃】の氷属性による火力強化をした
【高速詠唱】で手数を増やした
【誘導弾】で命中率を共に強化して胸部装甲にある紋章を攻撃するよ

相殺されるのは恐ろしいけれど……それも攻撃に違いないからね
虚実を喰らう獣とは、キミ自身
月も見えない、闇に眠るといいよ




 赤錆の騎士と対峙するのは氷の美しさを擬人化した様な少女、エウロペ・マリウス(揺り籠の氷姫・f11096)。
 騎士は外見上は万全に見えるが、先程の猟兵との戦いで負ったダメージは確実に蓄積している。だが、それをおくびにも出さず、目の前の氷姫に話しかける。

「千客万来だな。何をしに来た?」
「キミ達は死を救済と言っているそうだね?」
「あの天使共の戯言か。だが、事実であろう。家畜同然の生に何の救いがある?」
「それがキミ達の言う救済ならば、ボクもそれを以てキミ達を救済するとさせて貰うよ」
「――出来るのであればやってみろ」

 やってみろ、その言葉に何故か騎士の期待を感じたエウロペ。
 彼女はそれに多少の違和感を感じながらも詠唱を始める。

「虚実を喰らう獣。纏い・砕かれ・混濁に沈み、朔に眠れ。華鏡は虚月に彷徨う(ルナ・スペクルム)」

 詠唱と共に地底世界の虚空に巨大な万華鏡が出現する。月を映すそれから顕れたのは幻想的な龍。龍は咆哮を上げながら赤錆の騎士を襲う!

「ふん、この程度で救済をなすつもりか? ――ハァ!!」

 気合と共に双剣を振るう赤錆の騎士。
 それは超常すら切り裂く斬撃、迫りくる龍を容易く切り裂く。

「――何!?」

 この程度かと思った次の瞬間。切り裂いた龍は砕け散り、万華鏡の様な幻想的な光が騎士を包む。その中から迫るのは――。

「私だと!?」

 それは自分。それもかつて吸血鬼で挑んでいた頃の。

「ええいっ、消えろ!!」

 力任せの一撃でかつての自分を切り裂く。
 しかし、それは幻だ。幻に集中したその一瞬は致命的な隙となる。
 幻が消えた瞬間に騎士が見たのは自らに迫りくる無数の氷弾。
 エウロペにとって龍を切り伏せられるのは予定通り。それにより生じる幻による騎士の拘束に勝負を賭けて、全力で氷弾を詠唱して放ったのだ。
 それでも、騎士は氷弾の大半を双剣で弾き飛ばすが、幻に囚われた一瞬分を取り返すには至らない。剣の結界を掻い潜った数発が遂に『番犬の紋章』を抉り撃つ!

「虚実を喰らう獣とは、キミ自身。月も見えない、闇に眠るといいよ」
 
 騎士の力とエウロペの知。エウロペの策がこの場を制したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイビス・ライブラリアン
同行者: 紅雪(f04969)
ダークセイヴァーに地下都市、ですか
幾度か訪れていますので、驚きが強いですね
……さて、あれが門番、ですか

属性魔法と衝撃波で紅雪をサポート
強敵相手に楽しそうですね
紅雪が作った隙を使って、紋章部分に狙いを定めます
高速詠唱+破魔+念動力をあわせた攻撃なら届くでしょうか

(突然の紅雪の変身に少し驚きつつ)
相手が剣士なのでずっと戦うかと思いましたが……
たまには一緒にやりましょうか
(といってUC+魔力溜め+範囲攻撃+全力魔法を発動)

……一緒に魔法を、というのが珍しくて
少し張り切ってしまったでしょうか……

アドリブ歓迎


蓮・紅雪
同行者:アイビス
地下都市があったなんて驚きよね。あまり代わり映えしない風景だけれど、何だかワクワクするわ。

で、あれが門番?
確かにただならぬ気配ね(妖刀を抜く)
ステラが言っていた紋章は胸のあれかしら。ならば…!
(強く地を蹴って斬撃を放つ。しかし相殺され)なる程、かなりの手練ね。尚更面白いわ。
(再び刀による攻撃。隙を見てUC発動、猛攻をかける)
鬼の力ならばお前の斬撃など弾き返せる(斬り結んで隙を作る)

(敵から離れてUC解除、魔法のペンダントを手に)さて、実戦で使うのは初ね…(緊張した面持ち)
マ、マジカルアクション!
(ぺかーと光って変身)
さあ、アイビスと一緒に魔法を乱射するわよ!(赤面)

アドリブ歓迎




 ダークセイヴァーの地下に広がる大空洞。そこに新たに転移してきたのは二人の少女。アイビス・ライブラリアン(新米司書人形・f06280)と蓮・紅雪(新雪・f04969)の二人だ。
 二人は良く行動を共にしており、ダークセイヴァーにも幾度となく訪れている。

「ダークセイヴァーに地下都市、ですか。幾度か訪れていますので、驚きが強いですね」
「そうね、地下都市があったなんて驚きよね。あまり代わり映えしない風景だけれど、何だかワクワクするわ」

 何度となく訪れた世界に地下大空洞があり、あまつさえ地上と遜色ない都市が築かれているとは!
 強敵が待ち受けていることは分かっているが好奇心が刺激される。
 いろいろと見て回りたいが、まずは門番を倒し、都市内のオブリビオンを蹴散らして都市の住民を助けなければならない。

「……さて、あれが門番、ですか」
「そうみたいね。確かにただならぬ気配ね……でも先客がいたみたい」
「その様ですね」

 二人が見つけた赤錆の騎士は連戦で負った傷を癒しているところだった。
 二人が気づいたのとほぼ同時に騎士も彼女たちの存在を察知する。

「ふん、まだ新手がいたか」

 騎士は思う。先の二人は自らと互角以上に戦った。この二人もそうだろうか?
 このような存在が次々と現れるのであればあるいは……仄かな期待が胸に湧くのを感じながら双剣を構える。

 一方の紅雪。油断なく騎士を観察して、『番犬の紋章』の位置を確認する。

「ステラが言っていた紋章は胸のあれかしら。ならば……!」

 妖刀を抜き放つと同時に大地を強く蹴る。一瞬で間合いを詰め、斬撃を放つが、容易く受け止められ弾き飛ばされる。
 紅雪を後方に吹き飛ばした騎士はそのまま追撃に入ろうとするが、間髪入れずに迫るアイビスの魔法攻撃に気づき断念。魔法を双剣で斬り飛ばす。

「なる程、かなりの手練ね。尚更面白いわ」

 アイビスの援護により態勢を立て直した紅雪は闘志を燃やす。再度、間合いを詰め連撃を騎士に向けて放つ!
 それに息を合わせてアイビスも魔法攻撃を騎士に向ける。
 しかし、この二人の怒涛の攻めを受けてなお、騎士は難なく対応。妖刀と魔法を双剣で受け流し、弾く。

「この程度か、ならば死ね!」
「――あなたがね!」
「何と!」

 騎士が必殺の一撃を放たんとした瞬間。
 紅雪の髪が白銀に染まる。『紅鬼招来』、災厄の紅鬼の顕現だ。
 双剣をいなし、返す刃で『番犬の紋章』を狙う。それを身を捻って躱す騎士。

「そんな力を隠し持っていたか。だが!」
「鬼の力ならばお前の斬撃など弾き返せる!」

 騎士の怒涛の攻めを災厄の紅鬼は真正面から受け、弾く。

「やるな!」
「あなたもね! でも相手は私だけじゃないわよ!」
「――!!」

 互角の剣戟。どうしてももう一人の敵に対する注意が疎かになる。そして、アイビスは見逃さない。狙い澄まされた魔弾が飛来して『番犬の紋章』を穿つ!
 魔弾は紋章を削り、騎士は思わず大きく飛びのいて紅雪との間合いを取る。

 後退した騎士を見て紅雪はここが決め時と災厄の紅鬼状態を解除する。
 そして、胸にぶらさげたペンダントを握りしめ……。

「さて、実戦で使うのは初ね……マ、マジカルアクション!」
 
 ペンダントが輝き、紅雪の体がぺかーとした光に包まれる!
 光が収まった時に現れたのは黒系のひらひらした制服っぽい姿に変身した紅雪!
 騎士に知識があればこう言っていただろう「魔法少女かよ」と。
 実際、魔法少女なのである。
 紅雪が手にしたペンダントは魔力が大幅に増大する代わりに魔法少女となる帝竜の秘宝、その複製。帝竜は何を考えているのだ、などと考えても意味はない。現実としてあるのだから……。

「さあ、アイビスと一緒に魔法を乱射するわよ!」

 心なしか赤くなった顔をして紅雪が言う。突然、光ったかと思えば魔法少女姿になった紅雪に驚いていたアイビスだが否はない。

「相手が剣士なのでずっと戦うかと思いましたが……たまには一緒にやりましょうか。魔導書よ、力を貸してください――エレメンタル・バースト!」

 増大した魔力をもとに遠慮なしに魔法を乱射する紅雪と極限まで魔力を高めて発動されるアイビスの地水火風の四属性を融合爆裂される大魔法。
 二つが合わさり紋章の位置など関係のない大爆発が赤錆の騎士を襲う!

 巨大なクレーターになった二人の魔法の炸裂した場所を見て、「一緒に魔法を、というのが珍しくて、少し張り切ってしまったでしょうか」とアイビスが言い訳の様に言ったのは少し後のことだ。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…こんな場所で永年門番を務めているところ恐縮だけど、
今日でお前の役目は終わりよ。私達が来た以上はね

…推し通らせてもらうわ。地下世界を解放する為に…

今までの戦闘知識から敵の双剣の死角を暗視して見切りUCを発動し、
"怪力、魔動鎧、韋駄天、暗殺者、闇夜、息止め"の呪詛を付与

●息を止め殺気や●存在感を消して●闇に紛れ、
●暗殺者のような早業で死角に●ダッシュして切り込み、
●怪力任せに魔力を溜めた大鎌をなぎ払い●防具改造

…生憎だけど、私は騎士ではないもの
使える物は何でも使う。例えそれが、敵の装備でもね

敵の鎧を●生命力を吸収する拘束具に変形させて動きを封じ、
紋章を乱れ撃つ銃撃で傷口を抉る二回攻撃を行う


アレクシア・アークライト
あの同族殺しを一撃で屠れる力
そして、紋章以外にはダメージが殆ど通らない
まったく、相手をするのが嫌になるような出鱈目な奴ね

でも、紋章以外にダメージが通らないって言っても、干渉することは可能な筈よね
だったら、私はみんなのサポートに回るわ

念動力で空中に移動
3層の力場を情報収集用に展開し、敵や味方の動きを把握
残りの力場、純粋な念動力、そしてUCの電磁力を、敵に順応されないように代わる代わる、又は複合して使用
敵の四肢や武器を掴み取って行動を阻害し、味方が攻撃を受けそうになったときは防壁を作りダメージを軽減させる
敵が弱ってきたならば、全力を用いて敵の動きを封じ、味方の攻撃をサポート

灰は灰に、錆は錆に
ってね




 深い傷が『番犬の紋章』の力で修復されていき、すぐに見た目は万全となる。
 だが、本当に見た目だけのことだ。
 生命力はごっそりと削られ、同程度の攻撃を後、何度耐えられることか……と、そこまで考えて自然とフルフェイスの兜の中で笑みを浮かべる。
 今日現れた敵たちは本当に強い。生前の自分などとは比べ物にならないほどに。
 そして、また新手の気配を感じる。

「クク、一体、何人いるのやら」

 その言葉には確かな喜色があった。

 赤錆の騎士が気配を察知する直前、二人の猟兵もまた騎士を捕捉していた。
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)とアレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)の二人である。
「あの同族殺しを一撃で屠れる力。そして、紋章以外にはダメージが殆ど通らない。
 まったく、相手をするのが嫌になるような出鱈目な奴ね」
「……それでも倒さなければならないわ」
「その通りよ。でも、紋章以外にダメージが通らないって言っても、干渉することは可能な筈よね。だったら、私はサポートに回るわ」
「……ん」
 短く打ち合わせをした後、二人は行動を開始する。
 アレクシアは空に舞い上がると力場を展開して戦場の把握を始め、リーヴァルディは真っすぐに向かってくる騎士と対峙する。

「……こんな場所で永年門番を務めているところ恐縮だけど、今日でお前の役目は終わりよ。私達が来た以上はね」
「大言壮語という訳でもなさそうだな。よろしい、やって見せろ」 
「……推し通らせてもらうわ。地下世界を解放する為に」

 リーヴァルディはその言葉と共に気配を消す。それを見て騎士は見事なものだと思う。彼女は先ほどまであえて存在感を誇示していたのだろ。それを唐突に完全に消し、己の死角に流れるような動作で滑り込む。
 わかっていても見失う、見事としか言いようのない動きだ。
 そして、虚を突く大鎌による一撃!
 その一撃を剣で受け止めるが思いの外、重い。華奢な少女とは思えない力の持ち主の様だ。

「だが、この程度ではな!」

 大鎌を撥ね上げ、もう片方の剣で胴を薙ぐ。回避を許さない速度で打つはずの一撃だったが、しかし、一瞬、腕に纏わりつき拘束しようとする何かを感じる。
 その何かを振り払い、剣を振りぬくが、一瞬の遅滞はリーヴァルディが反応するには十分。彼女は軽やかな動きで後ろに跳びそれを躱す。

「――貴様か!」
「そう私よ。この戦いは二対一、それを忘れないでね」

 空中を見上げて騎士が声を上げる。そう騎士の攻撃を妨害したのは空中に舞い上がったアレクシアの念動力である。
 完全に動きを止めるつもりが一瞬の遅滞を生むだけとは騎士の力は驚きではあるが想定内ではある。
 騎士も当然、アレクシアのことは把握していたが空中から援護の攻撃をしてくるとばかり思っていた。
 それ故に虚を突かれたが、見えない力による干渉を行ってくる。それが分かれば対処のしようもある。
 そう考えた赤錆の騎士だったが、アレクシアの力はそれだけではない。
 強大な念動力は騎士の動きを阻害するだけではなく、リーヴァルディに対する攻撃に対する防壁にも変じる。
 そして、妨害防御特化かと思えば『電磁操作』による電撃が飛ぶ。
 リーヴァルディの変幻自在な死角からの剛撃に加えてのアレクシアの多種多様な援護。二人は連携により赤錆の騎士と互角以上の戦いを繰り広げる。
 そして、分水嶺が訪れる。

「――今よ!」
「……ん!」

 アレクシアが勝負を賭ける。全力を振り絞っての念動力で赤錆の騎士の動きを一瞬、完全に止める。
 その隙を逃さずリーヴァルディが懐に入り『吸血鬼狩りの業・千変の型』を発動!
 騎士の全身鎧を何と生命力を吸収する拘束具に変化させる。

「使える物は何でも使う。例えそれが、敵の装備でもね」
「何と――」

 拘束具と化した全身甲冑。生命力が吸収されるのを感じる。『番犬の紋章』が輝き、呪詛を解き放とうとするが――。

「遅いです」

 素早く大鎌から銃に持ち替えたリーヴァイルが引き金を絞ると『吸血鬼狩りの銃』が火を噴き、放たれた弾丸が『番犬の紋章』を貫き穿つ!

「灰は灰に、錆は錆にってね」

 吹き飛ばされる騎士の姿に勝利を確信するアレクシアであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

七那原・望
門番が騎士ですか。らしいと言えばらしいかもですね。まぁ、どうでもいいです。

【第六感】と【野性の勘】で敵の動きや攻撃、ユーベルコード発動の予兆を【見切り】、回避。

それを待っていました。

敵がユーベルコードを発動しようとしてるのを確認したら【高速詠唱】【全力魔法】【Lux desire】発動準備。敵が距離を詰めてくると同時に攻撃力に重きを置いた【Lux desire】を【クイックドロウ】で【カウンター】。相手の剣がこちらに届くより速く撃ち抜きます。
【スナイパー】でしっかり胸部装甲の紋章を狙っていきましょう。

また、分離させたセプテットで胸部装甲目掛けて【援護射撃】を【乱れ撃ち】させましょう。




「門番が騎士ですか。らしいと言えばらしいかもですね」

 揶揄ともとれる言葉に赤錆の騎士はそれを言った少女を観察する。
 年端も行かぬ少女だ。頭部に赤いアネモネが咲いており、オラトリオであることがわかる。その周囲には複数の銃が宙に浮かんでいる。
 それが彼女の攻撃手段であろうか?
 また、異様なのは目隠しをしている点だろうか。
 だが、その動作に遅滞はなく、視覚を封印していることがハンデとなっている様子はない。少女、七那原・望(封印されし果実・f04836)は言葉を続ける。

「それにしても随分と消耗しているようですね。まぁ、どうでもいいです」

 本当にどうでも良いと思っている様子だ。
 確かにこれまでの戦いで著しく消耗しているが、少女にとって自分が万全であろうと消耗していようとどちらでも良いのだろう。
 それは万全の自分と戦っても勝つことができるという自信の表れか。

「確かにどうでもいい事だな。目が見えぬようだが、行くぞ?」
「お構いなく。いつでもどうぞ」

 吹けば飛ぶような小柄で華奢な少女だ。だが、赤錆の騎士に些かの油断もない。
 思い返せば今日、対峙した敵はみな、外見とは裏腹な強大な力の持ち主だった。
 ならば初手で決める。そう考えて騎士は動く。
 心の内にそれでも上回られることを期待しながら。

 瞬時に望との間合いを詰める騎士。放たれるユーベルコードは『強撃』。
 二刀の剣による連撃は竜すら一撃で屠る!

「それを待っていました」

 攻撃を放とうとした瞬間。騎士は望がニンマリと笑うのを確かに見た。

 どうでもいいです、そう余裕を見せた望だが、敵の強大さは認めている。
 油断すれば屍を晒すのは自分だろう。
 だが、自分は油断しない。ならば、此処で屍を晒すのは目の前の騎士だ。
 彼女は視界が封じられている。この為、他の感覚は鋭敏だ。
 それに加えて超感覚、第六感とか野生の勘とか言われるものにも優れている。
 その全てを騎士の一挙一動に集中する。
 そして、察知する。騎士が初手からユーベルコードを放ってくることを。
 騎士の攻撃が届く寸前、望の持つ黄金の果実、真核・ユニゾンが輝く。
 ユーベルコード『Lux desire(ルクス・デザイア)』の発動だ。

 膨大な光の奔流!

 その輝きは騎士の剣が望に届くより、刹那ほど早く騎士の胸部に存在する『番犬の紋章』に炸裂する。
 吹き飛ばされる騎士に自立して宙を舞う七つの銃が追撃を行い、勝敗を決定づけるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

霧島・絶奈
◆心情
敵が強大である程、愉しみも増すというものです
共に愉しみましょう、この『逢瀬』を

◆行動
【罠使い】の技能を活かし、「魔法で敵を識別するサーモバリック爆薬」を複数設置
気化爆発の【衝撃波】が齎す【範囲攻撃】は、密閉空間にでも逃げ込まない限り完全に防ぐ事等不可能です
加えて爆発も一度切りでは終わりません
さて、番犬の紋章とやらをどう守り続けるのか…見せて下さい

設置後は『反転』し戦闘
瞬時に間合いを詰める超高速の攻撃…
つまり貴方は「速く動く物」です
で、あれば、貴方は私にとって獲物に過ぎません

【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復




 赤錆の騎士。最早、『番犬の紋章』の力を以てしても損傷を完全に修復するのは不可能だ。滅びの時が近づいていることが本人にもはっきりと分かる。
 だが、戦闘能力は健在である。ならば、まだまだ戦える。
 この地に訪れた希望達との戦いは彼にとっては喜びであった。

 そして、今、彼と対峙する女性、霧島・絶奈(暗き獣・f20096)も彼が見る限り楽しげである。

「随分と楽しそうだな?」
「ええ、敵が強大である程、愉しみも増すというものです」
「ふん、戦いに淫するか」
「そう言うあなたも愉しんでいる様に見えますが?」
「……そうだな。否定はせん」
「それでは共に愉しみましょう、この『逢瀬』を」

 その言葉と共に絶奈の雰囲気が変わり、急速に湧き出た濃霧が彼女を覆う。

「――なるほど、人ならざるものか」

 騎士は息を呑む。濃霧に覆われた彼女ははっきりと視認することはできないが、先程までの女性の姿を保っていないことは分かった。
 今、濃霧の中にたっている存在は『人型の異形』だ。そして、その濃霧である。
 恐るべきことに霧の触れた草木が腐り落ちていることに気づく。

「さて、どれ程のものか」

 濃霧を纏う絶奈は動かない。語りかけてくることもない。
 ならば、こちらから動こう。赤錆の騎士が間合いを詰め、超高速の一撃を放つ!
 竜すら一撃で屠る斬撃。それは確かに絶奈を捉える。
 勝利を確信し、それと共に失望が去来する騎士だが、それはすぐに驚愕に変わる。
 絶奈が攻撃を受けながらそれに構わず反撃を行ってきたのだ。

 一撃で仕留められなかったのも驚きだが、さらに驚くべきはその反撃の強さ。
 咄嗟に剣で受けたものの衝撃波を伴ったその攻撃を完全に防ぐことはできず、大きく飛ばされる。

「……面白い!」

 失望はもはや消え去っている。双剣を構えて絶奈に攻め寄せる。
 騎士の攻撃に防御を捨てたかの如く攻撃で返す絶奈。
 激しい打ち合いが繰り広げられる。
 先に後退したのは赤錆の騎士だ。だが、それは敗北を意味しない。
 彼はこの短い戦いで絶奈の状態を把握していた。

「攻撃に……いや、動きに反応するか。理性はあるまい」

 絶大な攻撃力と耐久力を得る変わりに理性を失い、動く者を自動的に的にする。
 それが騎士の分析結果であり、絶奈の今の状態、ユーベルコード『反転(ゼノ)』の効果の本質を見切っていた。
 このまま、無策で打ち合えば負ける。
 だが――騎士は超常的な跳躍で連続で後方に跳ぶ。絶奈はついてくるが距離はどんどん離れる。どの距離までが認識範囲か。それさえ見切れれば余裕で対応はできる。
 そう思ってさらに跳んだ瞬間、騎士の体は爆発に包まれた。

「何――うぉ!!」

 爆発は一度だけではない。連鎖的に何度も爆発が騎士を襲う。
 何重もの爆発に『番犬の紋章』も損傷していく。
 そして、その時、爆発の影響範囲外で静かにこちらを見る絶奈を確かに見た。

「そうか――」

 その時理解した。彼女はあらかじめこの仕掛けをした後に自分と対峙したのだと。
 あの異形の状態で仕留められればよし、距離をおいてもこの爆発の罠が待っている、と。
 心の中で絶奈に称賛を送り、赤錆の騎士は爆炎の中に姿を消した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヘルガ・リープフラウ
・ヴォルフ(f05120)と
・アドリブ、他猟兵との連携歓迎

地底都市……この世界で生まれたわたくしたちもまだ知らない場所があるのですね
そしてそこでも、人々はオブリビオンに虐げられている……
行きましょう。これ以上の悲劇を繰り返さないために

祈りを込めて歌う
【聖霊来たり給え】と
ヴォルフや共に戦う仲間達が傷つかぬように
そしてこの先に待つ民衆を必ず救うという意志を込めて
たとえ敵の斬撃が襲うとも、怯むことなく歌い続けます
勇気を振り絞り、激痛と狂気に耐える覚悟は出来ています

敵の胸の紋章をヴォルフたちが効率よく突けるように
集中力が途切れないよう鼓舞し支え続けます

全ての人に、未来への希望と救済を……!


ヴォルフガング・エアレーザー
・ヘルガ(f03378)と
・アドリブ、他猟兵との連携歓迎

吸血鬼に魂を売り堕ちた騎士、更にその先には死こそ救済と嘯き恐怖と絶望を撒き散らす似非天使か……
相変わらず奴らの欺瞞には本当に反吐が出る
行くぞ、ヘルガ。今も虐げられる人々に、俺たちの手で「真の救済」を
過去の亡霊の呪縛を解き、希望の光をもたらすその日まで

敵の攻撃は野生の勘で察知し、30㎝以内に間合いを詰められぬようダッシュで見切り回避
体勢を立て直したら【獄狼の軍団】を召喚
炎の狼犬を2部隊に分けて敵の両翼からけしかけ牽制
敵の二刀流の攻め手を塞いで隙を作り、胸部ががら空きになったところを見逃さず、鎧砕きの力を込めた鉄塊剣の一撃を叩き込む


ナギ・ヌドゥー
かつて騎士団長を務めた程の者が今では番犬とはな……無念かい?
アンタを救えるとしたら……それは死しかあり得まい。

内なる武器『冥き殺戮衝動の波動』による暗黒オーラの結界を張る【結界術】
間合いに入ればその番犬の紋章も【呪詛】に侵され【継続ダメージ】を与えるぜ
死の祝福を受けたいなら全力で踏み込んで来い!
敵UCを【オーラ防御】で受け致命傷だけは防ぐ
受けと同時に体に巻いてある『邪絞帯』を作動
UC「咎狗無明縛」
番犬の紋章ごと邪絞帯で【捕縛】し問う
「アンタが本当に守りたかったモノは何だ?」
アンタがこんな門の為にオブリビオンになったとは思えなくてな
その紋章に【殺気・呪詛】を流し込む前に真実を知っておきたい




 ダークセイヴァーの地底世界に新たな猟兵達が降り立つ。
 その一人、ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)は地上と変わらぬ淡い光に照らされた周囲を見回しながら、傍らに立つ伴侶、ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)に語り掛ける。

「地底都市……この世界で生まれたわたくしたちもまだ知らない場所があるのですね。そしてそこでも、人々はオブリビオンに虐げられている……行きましょう。
 これ以上の悲劇を繰り返さないために」
「ああ、ヘルガ。吸血鬼に魂を売り堕ちた騎士、更にその先には死こそ救済と嘯き恐怖と絶望を撒き散らす似非天使。
 相変わらず奴らの欺瞞には本当に反吐が出る。
 行こう、今も虐げられる人々に、俺たちの手で『真の救済』を」

 虐げられた人々を救済し、希望をもたらす。その強い決意を胸に二人は地底世界を歩きだす。

 その二人が『門番』赤錆の騎士のもとにたどり着くほんの少し前。
 白髪の青年、ナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)が赤錆の騎士と対峙していた。

「かつて騎士団長を務めた程の者が今では番犬とはな……無念かい?」
「無念か……かつてとは比べものにならない力。そして、永遠の命を得た。
 その私が無念だと思うのかね?」
「否定はしないんだな。
 まあ、アンタを救えるとしたら……それは死しかあり得まい」
「ふん、私を救うか。やってみるがいい。……そこの二人と共にな」

 このタイミングでヘルガとヴォルフガングが到着し、赤錆の騎士と三人の猟兵の戦いの幕が上がる。


 戦場に美しい歌声が響いている。
 その歌声を背景音楽に最後の力を振り絞り、猛威を振るう赤錆の騎士にヴォルフガングとナギが真正面から挑み、激しい戦いを繰り広げている。
 ヴォルフガングは鉄塊剣を縦横無尽に振るい、ナギはあらゆる生命を蝕む暗黒のオーラを纏って戦う。
 ナギの暗黒のオーラ『冥き殺戮衝動の波動』は間合いに入ったもの全てに呪詛を与える危険なオーラだが、ヴォルフガングと息を合わせての連携に今のところ支障はない。ヘルガは戦場に響いている歌声の主だ。

 天使の歌声と称賛されるヘルガの歌。それは祈りである。
 人々を虐げる敵と戦う勇者、誰よりも愛しい伴侶、彼等が傷つかぬようにと。
 そして『門番』を倒し、この先に待つ民衆を必ず救うという意志を込めた歌は『聖霊来たり給え』を発動させる。
 この祈りは現実に影響を及ぼす。ヴォルフガングの勘は鋭くなり、ナギのオーラはその強度を上げる。

 赤錆の騎士もこの効果を早々に悟り、何度もヘルガを先に討たんとするが、その度にヴォルフガングの、ナギの牽制により果たせずにいる。

「厄介な歌だ」
「希望の歌だ」

 今もヘルガに向かおうとしたところを鋭く察知したヴォルフガングの鉄塊剣の大振りが阻む。
 ならば、と大振りでやや態勢を崩した巨漢に標的を変えた刹那、漆黒のオーラを纏ったナギの一撃が死角から迫る。
 それを蹴り上げることで防ぐが、その際、呪詛に蝕まれることは防げない。

「厄介な奴だ……!」

 ヘルガの歌により戦力の底上げを行われているヴォルフガングとナギの連携は赤錆の騎士を確実に上回る。
 熾烈な攻防が続くが着実に赤錆の騎士にダメージを蓄積させている。
 だが、猟兵側が完全に有利とも言えない。
 前衛の男二人に力を与えているヘルガだが、その奇跡の歌は甚大な集中力によるものである。
 それが途切れれば今は猟兵側に傾いている天秤が逆にならないとも限らない。

 もっとも長引かせるつもりは最初から毛頭ない。
 普段より研ぎ澄まされている感覚で騎士の必殺技『強撃』の起こりを察知して回避に成功したヴォルフガングはここを決め時と定める。

「忌まわしき魍魎共よ、己があるべき場所へと還れ! 何者も地獄の番犬の顎門から逃れる術は無いと知れ!」

 詠唱と共に地獄の炎を纏った狼犬の群れが出現。群れは二手に分かれて騎士を左右から襲う!
 しかし、騎士の動きは迅速を極めた。『強撃』の不発で崩れた態勢を即座に立て直し、左右に自在に双剣を振るって獄狼を蹴散らす。だが。

「がら空きだぜ!」

 獄狼達を蹴散らすことで生じた刹那の隙。それを最初からヴォルフガングは狙っていた。渾身の鉄塊剣の一撃が『番犬の紋章』を捉える!

「ガハァア――」

 吹き飛ぶ赤錆の騎士。それを呪いの紋様が施された包帯が追う。
 ナギの『邪絞帯』である。
 致命的な一撃を受けた赤錆の騎士にこれに抗う力はなく拘束される。

「グフッ、見事だ――」
「アンタが本当に守りたかったモノは何だ?」

 ナギが騎士に問いかける。
 アンタがこんな門の為にオブリビオンになったとは思えなくてな、と。
 真実を言えば拘束は解除され、偽ればダメージを与える『咎狗無明縛』というナギのユーベルコードだ。
 この状態でダメージを負えばすぐにも消滅することは免れないだろう。
 赤錆の騎士は、もはや消滅は時間の問題だが勝者の特権だろう、と口を開く。

「フフ、守りたいものか。そんなものはないさ。『門番』を務めていたのはそう命じられていたからに過ぎない。
 ……この答えでは不満か?
 そうだな、確かにかつてはあった。私がこの様な存在に成り果てる前にはな。
 だが、それも遥か昔に失われた。今の私にはそれをなぜ守りたかったかも思い出せないが……
 しかし、今は良い気分だ。私を超えるお前たちならあるいはと思う。
 ハハハ、自分でも何を言っているか分からない。
 だが、満足だ。お前たちの様な強い存在を知れてな……」

 その言葉を最後に赤錆の騎士は消滅する。最期の言葉に偽りはなく、故に『咎狗無明縛』によるものではない。
 度重なる猟兵との死闘で限界が訪れていたのだろう。

 赤錆の騎士が消滅した空間をしばし見つめた後、三人は守るもののいなくなった地底都市の門に目を向ける。
 都市の中には地上も希望も知らず絶望と諦観と共に暮らす人々がいる。
 彼等に救済をもたらさなければならない!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『破滅の使徒』

POW   :    死の抱擁
【魂狩の鎌】が命中した対象を切断する。
SPD   :    滅の壊刃
【魂狩の鎌】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    獣の行進
召喚したレベル×1体の【飢えた狼】に【鬼火】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●破滅の使徒
 普段は静寂が支配する地底都市。だが、今は喧騒に包まれている。
 猟兵達の侵攻である。

 都市の支配を任されているオブリビオン、破滅の使徒たちの動きは慌ただしい。
 たとえ異端の神や魔獣の群れが襲ってこようと『門番』の敵ではなかった。
 都市内に敵の侵入を許したことはこれまで一度もなかったのだ。

 誰が襲ってきているのか?
 門番は何をしているのか?

 混乱の中、それでも迎撃態勢がとられ侵入者たちを迎え撃つために動く。
 そんな支配者達の動きをじっと息を潜め、家屋から住民たちが注視ししていた。
秋山・小夜
アドリブ、絡み歓迎
「人々を、恐怖で抑圧するんじゃねえですよ。自称天使どもが。」

右手に妖刀 夜桜、左手に二〇式戦斧 金剛を展開し、可能なら再び周りに自身の所有する武装を散らしておき、時を見てUC【千本桜】を発動する。
他に、金剛にて射撃攻撃をしたのち、速度を生かし一切の手加減、躊躇もなく敵に襲い掛かり、近接戦闘に移行する。


「あなた方にとって死が救いなら、今からあなた方も救われることになりますよ。よかったですね。」


エウロペ・マリウス
(晒すのは、Bee絵師様の真の姿)
この姿を人前に晒すのは慣れていないけれど
全力を出さないと、ね

行動 WIZ

この姿で、あまり激しく動き回るのは苦手だから
敵も人海戦術のようですし、こちらも頼れる騎士達に頼るとしましょうか

「勇敢なる我が騎士よ! 尽きぬ忠義と、その武勇を以て我が眼前の敵を討ち滅ぼせ! 勇敢なる騎士の凱旋(フォルティス・リッター・トリウンプス)」

戦闘は騎士達にお願いし、
私は戦闘の余波で住人に被害が及ばぬようにしましょうか
【高速詠唱】と【多重詠唱】を併用し、
氷の【属性攻撃】による【誘導弾】で住人が巻き込まれるような広範囲な攻撃を迎撃
最悪、【結界術】と【かばう】で住人を護ることに徹します




 地底都市ビーラ・クン
 地上世界と何ら遜色のない城塞都市である。高い城壁に囲まれ、外界と行き来する城門は一つ。その分厚く巨大な門扉は開け放たれている。
 本来ならば強大な力を持つ『門番』がおり、閉ざす必要などなかったのだ。
 だが、『門番』は既に滅んだ。
 この都市に暮らす人々を救済するために訪れた猟兵達は悠々と城門を潜り抜ける。

「本当に地上と変わらない街並みですね」

 都市内に足を踏み入れた秋山・小夜がぐるりと周囲を見回して言う。
 ダークセイヴァー出身の小夜にとってこの様な都市が己の生まれた大地の地下に広がっているのは驚きであった。

「そうだね。あれが、領主……というかこの街を支配する者達の館かな?」

 小夜と同じく周囲を見回していたエウロペ・マリウスが、一点を指し示す。
 城門前の大通り。
 それを進んだかなり先に小高い丘がありその上に大きな館が見える。

「そうですね、急いで攻めましょう」
「同感だけど、どうやら向こうの方から来るようだね」

 館の方から集団が向かってくるのが微かに見えた。


 小夜とエウロペがその集団、破滅の使徒達と接敵した際、彼女達の姿は先ほどまでとは違っていた。
 小夜はその美しい銀髪を艶やかな濡羽色に変え、青い瞳も紅く変わっている。
 エウロペも背中の白い翼を冷厳たる氷の翼に変え、モノクルを外して氷肌玉骨の美貌を晒している。
 二人とも真の姿である。
 今から戦う相手は先ほどの『門番』に劣るとはいえ数は多い。
 また、市街地での戦闘ということで戦いの余波による住民への被害も考えなければならない。そのような条件の中なので初手から本気を出すという選択は彼女たちにとって当然のことであった。

「貴方達は何者です?」
「いえ、何者でも構いません」
「都市の治安を預かる私達にとってそれを乱す貴方達は敵」
「ですが私達は慈悲深い。敵である貴方達にも救済をもたらしましょう」
「「「「――死を――」」」」

 口々に勝手なことを口にして襲い掛かってくる使徒達。これに小夜も静かに怒る。

「人々を、恐怖で抑圧するんじゃねえですよ。自称天使どもが――エウロペさん」
「周りは気にしないで良いですよ、住民は私が護ります」
「よしっ! ――夜桜」

 愛刀である『夜桜』に語り掛け、速度を爆発的に増大させる『桜月夜(サクラヅキヨ)』を発動した小夜が地面を蹴る。
 まさに神速。
 小夜を迎え撃たんとした使徒の鎌は空を切り、夜桜の刃が使徒の腕を切り落とす。

「――っ、滅の壊刃!」

 しかし、使徒もそれでは終わらない。
 苦痛に顔を歪めながらも『滅の壊刃』を発動、大鎌を更に巨大化させ、片腕ながらも縦横無尽に振るう。
 だが、小夜には通じない。
 巨大鎌の連撃を夜桜といつの間にか取り出した戦斧により完璧に弾いて見せる。

「効かねえですよ!」

 ここで破滅の使徒達も目の前の敵が尋常ならざる存在だと認識する。
 そうなれば判断は速い。

「「餓狼たちよ!」」

 質で劣っているのであれば数で勝ればよいと複数の使徒達の『獣の行進』により、百を優に超える飢えた狼たちが召喚される。
 しかもその狼たちは鬼火を身に纏い、戦闘力を上げているうえに空を自在に飛ぶ。
 圧倒的な数。
 しかも、狼たちはあまり理性的には見えず、下手をすれば、この戦闘を屋内で見守っている住民たちに被害が及ばないとも限らない。
 一瞬焦る小夜だったが、すぐに凛とした声が聞こえてきて平静を取り戻す。

「勇敢なる我が騎士よ! 尽きぬ忠義と、その武勇を以て我が眼前の敵を討ち滅ぼせ! 勇敢なる騎士の凱旋(フォルティス・リッター・トリウンプス)」

 エウロペだ。彼女は人海戦術には人海戦術と守護騎士達の霊を召喚する。
 現れた騎士達はエウロペの意思に従い、飛翔する餓狼の群れを討たんと開戦する。
 数はそれでも餓狼が上回るものの騎士たちはそれぞれがエウロペの魔力で創られた氷属性の魔剣や魔弓を持ち、個々の戦力では餓狼を上回る。
 激しい戦いとなった。餓狼の牙を剣で受け止め、飛翔する餓狼を氷の矢が貫く。
 双方合わせて二百を超える軍勢のぶつかり合い。
 戦場は大通りを抜け、広場になっている場所ではあるが、その周囲に立ち並ぶ家屋への被害は避けられない。通常であれば、だ。
 しかし、現実では未だに家屋、そしてその中で震える住民たちに被害はない。
 それはなぜか。

「私が護ると言いました」

 エウロペの力だ。
 氷の魔弾である時は流れ矢を弾き、ある時は家屋に飛ばされる餓狼を墜とす。
 彼女は戦いを騎士達に委ね、自身は戦場を俯瞰。
 戦いの余波が住民たちを傷つけぬように、力を振るっていた。

 そうしているうちに集団戦の趨勢は徐々に騎士達に傾いていく。
 その頃、小夜と使徒達の戦いも終わりを告げようとしていた。
 すでに息をしているのは一人のみ。

「何故、救済を拒むのです?」

 この期に及んで主張を変えない使徒に冷たいまなざしを向ける小夜。

「あなた方にとって死が救いなら、今からあなた方も救われることになりますよ。よかったですね」

 冷厳に言い放って使徒の首を刎ねる。
 こうして、使徒達そして彼女たちが召喚した餓狼の群れも全滅した。
 この場での勝利を確認し、小夜とエウロペの二人は館に足を向ける。
 都市解放の時は近い。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…どうやら住民は家の中に避難しているみたい
これなら巻き込む心配はしなくても良さそうね

第六感が捉えた敵の殺気や気合いを戦闘知識に加え、
敵の行動を先読みして攻撃のタイミングを見切り、
大鎌を武器改造した双剣に限界突破した魔力を溜めUCを発動

…無駄よ。大鎌の間合いなら体に叩き込んでいるもの
そう易々と捉えられると思わない事ね

残像が生じる超高速の早業で敵陣に切り込み、
生命力を吸収する呪詛のオーラで防御を無視する双剣を乱れ撃ち、
無数の魔刃で傷口を抉る闇属性の2回攻撃を放ち敵陣をなぎ払う

…お前達を討ち果たし、この地底都市を解放する

…お前達が支配する時間は終わった
消えなさい、破滅の使徒達。この世界は人類のものよ


七那原・望
抵抗するのですか?そちらにとっては殺されるのが救済なのでしょう?
所詮は人殺しの為の言い訳ですか。

【果実変性・ウィッシーズガーディアン】を発動し、背中の翼で【空中戦】。
【第六感】と【野性の勘】で
敵や狼の動きや行動を【見切り】、攻撃を回避しつつ、水【属性】【浄化】魔法で鬼火を消しながら狼や破滅の使徒を【早業】で斬り刻みます。

また、分離させたセプテットに【浄化】の【魔力を溜めた】【神罰】の弾丸と【呪殺弾】を【乱れ撃ち】させ、狼の掃討をしつつ破滅の使徒も撃ち抜いていきます。

これが死です。
救いも何もない、唐突で理不尽な終焉。
喜びも未来もない、文字通りの絶望。
こんなものが救済であるはずがないのです。


霧島・絶奈
◆心情
個々の力は弱くとも、束ねる事で強さを増す…
そう言う「希望」もあるでしょう

◆行動
【罠使い】の技能を活かし、「魔法で敵を識別するサーメートの浮遊機雷」を戦域に複数散布
物理的限界高度がある以上、飛翔能力を十全に発揮出来るとは思えませんね

設置後は『暗キ獣』を使用
槍衾による【範囲攻撃】と、屍獣の遊撃による【二回攻撃】で蹂躙しましょう
飛翔能力だけあっても、近接攻撃手段しか持ち得ないのであれば待ち構えれば良いだけです

私は【空中浮遊】を活用しつつ【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
どれ程の数が居ようと、纏めて薙ぎ払うまでです

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復




 地上も希望も知らずに虐げられる人々を救う為に訪れた猟兵。
 今まで通りに絶望を以て支配を続けようとする破滅の使徒達。
 両者による地底都市ビーラ・クンでの戦いは続いている。

 小高い丘に見えるオブリビオンの本拠地と見られる館。
 そこを最終目的地としながらも討ち漏らしがないよう複数の進路に分かれて侵攻する猟兵達はそれぞれの場所で戦いを繰り広げる。


 中世的な街並みを銀色の可憐な影が駆ける。リーヴァルディ・カーライルだ。
 彼女は路地を駆けながら注意深く辺りを観察する。人気はない。

「……どうやら住民は家の中に避難しているみたい。これなら巻き込む心配はしなくても良さそうね」

 自分にしろ敵にしろ超常的な存在である。普通の人間が巻き込まれれば無事ではすまない。この為、人気があった場合、戦い方が制限されるのが今のところその心配はなさそうだ。

「……! 出てきなさい。無駄よ」

 リーヴァルディの優れた超感覚が路地裏から放たれる殺気を察知する。
 彼女の言葉に応えるように複数の破壊の使徒たちが姿を現す。

「「愚かな侵略者に救済を!」」
「……お前達を討ち果たし、この地底都市を解放する」

 不意打ちを防がれた使徒達だが気にした様子はない。『魂狩りの鎌』を振り上げてリーヴァルディに殺到する。
 だが、振るわれる鎌たちが彼女を捉えることはできない。
 リーヴァルディは華麗に舞うかの如く避け、逆に使徒達に斬撃を与えていく。

「……無駄よ。大鎌の間合いなら体に叩き込んでいるもの。そう易々と捉えられると思わない事ね」

 ここに至って使徒達もリーヴァルディが自分たちより格上であることを認める。
 数で圧倒しようと『獣の行進』のユーベルコードにより、数百の飛翔する餓狼を召喚するが。

「……その命脈を断つ」

 リーヴァルディは些かも慌てない。『吸血鬼狩りの業・乱舞の型』を発動し、大鎌を双剣に変じると恐れることなく敵陣に飛び込む。
 その後の彼女は死の旋風である。
 縦横無尽に双剣を振るい、当たるを幸いになぎ倒す。
 ほんの僅かな時間の内にみるみる数を減らす餓狼たち。
 これには使徒達も恐怖し、驚愕する。

「……お前達が支配する時間は終わった。
 消えなさい、破滅の使徒達。この世界は人類のものよ」

 彼女の宣言通りに破滅の使徒が消滅するのはこのすぐ後のことだ。


 また、他の路地での戦いも佳境を迎えようとしていた。
 無数の空飛ぶ餓狼の群れをものともせず、蹴散らすのは視界を封印したオラトリオ、七那原・望だ。
 彼女は『果実変性・ウィッシーズガーディアン』の力により、高速で飛行しながらも見えない視線を地上に向ける。そこには焦りを隠せない破滅の使徒たちがいた。

「なぜ、抵抗するのですか? そちらにとっては殺されるのが救済なのでしょう?」

 死を救済であるとうそぶき人の命を軽んじる破滅の使徒達の思想は望にとって許せるものではない。真実、そう思っているのであれば自死すればいいのだとさえ思う。それをしないのは。

「所詮は人殺しの為の言い訳ですか」

 そう結論付ける。
 望は狼たちの動きを完全に見切っている。
 牙で、爪で、襲い掛かる狼の攻撃を躱すと同時に水の魔法をぶつけてその身に纏う鬼火を消し去る。
 そうしておいて間髪入れずに紅き雷光を纏った黒白の双剣『夢奏・スタッカート』を振るい、一瞬で餓狼たちを斬り裂いていく。
 また、彼女の周囲の宙を舞う、複数の銃。
 分離した『銃奏・セプテット』からは神性を秘めた弾丸と魔性を秘めた弾丸が乱れ飛ぶ。今の望はさながらワンマンアーミーだ。

「化け物め!」

 悪態をついた使徒の眉間をセプテットの弾丸が捉え、崩れ落ちる。
 動揺する破滅の使徒達に望は冷たく言い放つ。

「これが死です。救いも何もない、唐突で理不尽な終焉。
 喜びも未来もない、文字通りの絶望。こんなものが救済であるはずがないのです」

 望によりもたらされる死。
 これを救済と使徒たちが最期まで信じたのか。それは誰にもわからない。


 空を飛ぶ餓狼。それが突然、爆発して消滅する。
 これは初めてではない。先ほどから何匹もの餓狼が犠牲になっている。
 彼らは知る由もないが、この戦場の空には霧島・絶奈により浮遊機雷が数多く散布されている。
 一定以上の高度に上がった敵を認識して爆発する兵器だ。
 むろん、数に限りあるが、それを餓狼たちが把握することはない。
 彼等に分かるのは一定以上空に上がると爆撃を受けるということだけだ。
 この為、おのずと動きが制限され、彼らは自由に飛ぶことが出来ながら地上からの攻撃が届く以上の高度をとることを避けるようになる。
 それは、絶奈の思惑通りだ。

「個々の力は弱くとも、束ねる事で強さを増す……そう言う「希望」もあるでしょう」

 衆の力を束ねて強力な個を討つ。
 悪い発想ではない。それどころか定石ともいえる。
 だが、この場には適用されない。それだけだ。

「闇黒の太陽の仔、叡智と狡知を併せ持つ者。
 私を堕落させし内なる衝動にして私の本質。
 嗚呼……、此の身を焦がす憎悪でさえ『愛おしい』!」

 絶奈の美しい声が紡ぐ異端の祝詞。
 それにより絶奈の姿は蒼白き燐光の霧を纏う『ナニカ』に変わる。
 それと同時に顕われる屍獣の群れと屍者の軍勢。

 餓狼の群れと屍獣と屍者の軍勢があちらこちらでぶつかり合う。
 ある場所では空中と地上からの連携で屍の群れを餓狼が圧すれば、他の場所では餓狼たちの襲撃に屍者たちが槍衾を以て抗し、その隙をついて屍獣の群れが餓狼を横撃して覆滅する。
 激しい乱戦となるが形成はすぐに屍の軍勢に傾く。
 餓狼の群れがその飛翔能力を十全に活かせないこと、そして何より絶奈の存在だ。
 浮遊する彼女は自由に移動しながらその周囲に破滅的な衝撃波を巻き散らす。
 餓狼たちはそれに抗することが全くできない。

「……あまり、愉しめませんね」

 蹂躙は嫌いではないが、強敵との命のやりとり、『逢瀬』とは比べるべくもない。 そう判断すれば長引かせる意味はない。
 餓狼の群れ、そして召喚した破滅の使徒達が消滅するのは時間の問題だった。


 破滅の使徒。彼女たちはこの地底都市の住民にとって絶対の存在であった。
 だが、その彼女たちが成す術もなく滅んでいく様を住民たちは隠れ潜んだ家屋の中で確かに目撃する。
 絶対の存在を容易く葬る者たち。
 彼らが何をもたらすのか。住民たちにはまだ分からなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蓮・紅雪
同行者:アイビス(f06280)
角の生えたシスターが鎌を持って走り回っているわ。
門番とは力の差が歴然ね。つまらないわ。

あ、鮫!本から鮫が出てきたわ!(最近鮫にご執心)
可愛いわね……(鮫と戯れようとしてアイビスの視線に気付きいそいそと戻ってくる)

さ、さて。
住民の目もあることだし速やかに、かつ被害を出さず片付けないといけないわね?
こんな感じかしら――”我ら来たれり、悪は去れ”と。
(古い本の一文を真似しつつ、すらりと刀を手にして天に掲げる)
(無言で雷を纏った刀を振りかざし、高速で戦場を駆け抜ける)

この見た目だと吸血鬼に近いけれど、
お伽噺の勇者のようになれたかしら。

アドリブ歓迎


アイビス・ライブラリアン
同行者: 紅雪(f04969)
角の生えたシスター、とは不思議ですね
そういう方もいる、ということでしょうか
……確かに、先程の門番とは実力が違いそうです
とはいえ油断せずにいきましょうか

主に属性魔法+範囲攻撃を
敵UCに関してはUCで対抗を
水に関する魔導書が詰まった本棚であれば有効かと
……たまに鮫が出てくる本もあるようですが、
私とは関係ないので、見なかったことにしましょう

紅雪の声とともに、雷(と破魔+浄化)の属性を刀に
あとはよろしくお願いいたします

アドリブ歓迎




 地底都市ビーラ・クンの騒乱もたけなわだ。
 都市内のあちらこちらで猟兵と破滅の使徒との戦いが繰り広げられている。
 今、此処でもそれが始まろうとしていた。
 高い建物の屋上に立つ二人の少女。
 その眼下を増援か迎撃かの目的を持った破滅の使徒達が走っている。
 屋上の少女達は猟兵。蓮・紅雪とアイビス・ライブラリアンだ。

「見て、アイビス。角の生えたシスターが鎌を持って走り回っているわ」
「角の生えたシスター、とは不思議ですね。
 そういう方もいる、ということでしょうか」

 ちらりと紅雪の頭部に生える黒曜石の角を見る。

「え、羅刹じゃないと思うわよ。多分……」
「そうですね、私もそう思います」

 自分の角を触りながら使徒を観察する紅雪。
 羅刹の角ではないわよね、と思いつつも真に測っているのは相手の力量である。

「門番とは力の差が歴然ね。つまらないわ」
「……確かに、先程の門番とは実力が違いそうです。
 とはいえ油断せずにいきましょうか」

 その言葉を合図に二人は同時に跳躍。破滅の使徒達の眼前に舞い降りる。

「貴方達も侵入者ですね」
「わざわざ私達の前に現れるとは」

 突然現れた二人に驚きはしたものの破滅の使徒達もすぐに戦闘態勢に入る。
 選択した戦術は『獣の行進』、鬼火を纏い飛翔する餓狼の群れの召喚である。
 それを見たアイビスの行動は迅速だ。『図書館召喚』を発動。その力により空中から本棚が雨の様に降り落ちる。
 それらは使徒と餓狼達を囲むように配置される。

「どうやら鬼火で力を増しているご様子ですね。
 ならば水の魔導書はいかがでしょうか?」

 振ってきた無数の本棚。
 その一つに詰まった本が次々に独りでに動いて飛び出し、頁が捲られる。
 それ等は水に関する魔導書。
 捲り開かれた頁から次々と水の魔法が飛び出して餓狼の鬼火を消していく。
 稀に開いた頁から鮫が飛び出してくることもあるが……水関係だからであろうか。
 顕われた鮫は餓狼を一匹喰らって姿を消した。
 その様子に興奮を隠せないのは紅雪だ。

「あ、鮫! 本から鮫が出てきたわ! 可愛いわね……あっ、消えた」

 最近、鮫にご執心な彼女。
 思わず鮫を撫でに近づこうとしたがすぐに消えてしまってガッカリだ。
 そして、そこでアイビスの視線に気づく。

「……たまに鮫が出てくる本もあるようですね」
「そ、そうなの。珍しいわね」

 何となく気恥ずかしい紅雪。コホンと一つ咳ばらいをして言葉を続ける。

「さ、さて。住民の目もあることだし速やかに、かつ被害を出さず片付けないといけないわね?」
「そうですね」

 余計なことを言わずに首肯するアイビス。
 紅雪はキリッとした表情を作って、刀を天に掲げる。

「我ら来たれり、悪は去れ」

 紅雪の朗々とした声が周囲に響くと、それと同時にその姿を銀髪血瞳の『災厄の紅鬼』に変える。アイビスはその変化に合わせて紅雪の刀に聖なる雷の力を付与する。まさに阿吽の呼吸だ。

 そこからは紅雪の独壇場だった。
 雷の刀を振るい縦横無尽に鬼神の如き戦いを見せる。
 その様はさながらお伽噺の勇者のようだ。

「今の見た目は吸血鬼に近いけれど――」

 自分の戦いがこれを見守る住民たちの希望になれればいい。
 そう願いながら可憐な勇者は舞う様に戦うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴォルフガング・エアレーザー
・ヘルガ(f03378)と
・アドリブ、他猟兵との連携歓迎

人々を恐怖で支配し、苦痛と絶望の果てに命奪うことが『救済』だと?……ふざけるな!
ならば俺たちの手で『救済』を与えよう
今まで虐げられてきた市民には、未来への希望と生命の喜びを
そして貴様ら似非救世主には……二度と愚を犯すこと無き『永久の終焉』を!

敵の攻撃は野生の勘で見切り、ダッシュで回避
避けきれない場合は「盾受け」で盾を犠牲にして直撃を避ける
体勢を立て直したら敵の隙を突き【獄狼の軍団】を召喚
地獄の番犬よ、あの似非天使共を一匹たりとも見逃すな
鎌を持つ手を食い千切り、その業火で悉く燃やし尽くしてくれよう

この炎は浄化の光
俺達人類の反撃の狼煙だ……!


ヘルガ・リープフラウ
・ヴォルフ(f05120)と
・アドリブ、他猟兵との連携歓迎

わたくしは忘れません
故郷を滅ぼされ家族や人々を惨殺された時の、苦悶と恐怖に歪んだ顔を
ここだけじゃない、今も恐怖と支配に怯える、この世界の人々の絶望を
こんなものが『救済』だなんて、断じて言わせない

神の慈悲を願い、祈りを込めて
歌うはレクイエム【怒りの日】
放たれるは審判の日に裁きを下す聖なる光
神罰の光輝は、鬼火纏う餓狼を、偽りを嘯き人々の命を刈り取る悪しき者共を、悉く打ち砕くでしょう

悲しみに穢された大地に、浄化と救済を
虐げられ怯える罪なき人々に、希望と慰めを

悪しき者を祓うこの光が、人々の希望の星とならんことを……




 地底都市ビーラ・クラ。『門番』との戦いで幕を開けたこの都市での戦いも最終局面を迎えている。
 都市各所で猟兵に撃破された破滅の使徒達は都市内の小高い丘にある領主の館に追い込まれていた。

「何ということでしょう」
「このままでは救済を成すことができません」

 この期に及んで救済をうそぶく破滅の使徒にヴォルフガング・エアレーザーの怒りが爆発する。

「何が救済だ!
 人々を恐怖で支配し、苦痛と絶望の果てに命奪うことが『救済』だと?
 ……ふざけるな!」

 ヴォルフガングの獅子吼。
 それに深く頷き、ヘルガ・リープフラウも毅然と言の葉を紡ぐ。

「わたくしは忘れません。
 故郷を滅ぼされ家族や人々を惨殺された時の、苦悶と恐怖に歪んだ顔を。
 ここだけじゃない、今も恐怖と支配に怯える、この世界の人々の絶望を。
 こんなものが『救済』だなんて、断じて言わせない」

 思い出すのは志半ばで倒れた人々の顔。
 彼等は死に瀕して救いや安らぎを感じていただろうか?
 断じて否だ。理不尽な死を嘆き、もっと生きたいと叫んでいた。

「死は救いです。死ねば絶望も恐怖もない。それが何故分からないのですか?」

 二人の言葉は破滅の使徒には届かない。今を生きる彼等と過去の存在であるオブリビオンの壁であろうか。
 最早、言葉はいらないとヴォルフガングは大剣を構える。

「いいだろう。ならば俺たちの手で『救済』を与えよう。
 今まで虐げられてきた市民には、未来への希望と生命の喜びを。
 そして貴様ら似非救世主には……二度と愚を犯すこと無き『永久の終焉』を!」

 ヴォルフガングの巨体が突進する。大上段から振り下ろされた剛剣は、それを防ごうとした鎌ごと破滅の使徒を両断した。
 声もなく絶命する使徒だが、彼女たちの数はまだ多い。
 命中した対象を切断する『魂狩の鎌』が仲間を両断したばかりのヴォルフガングを次々と襲う。
 しかし、ヴォルフガングは歴戦の戦士である。
 襲い来る鎌を躱し、逸らし、ダメージを最小限に抑えて態勢を立て直す。
 そして、間合いをとった瞬間。

「忌まわしき魍魎共よ、己があるべき場所へと還れ!
 何者も地獄の番犬の顎門から逃れる術は無いと知れ!」

 力強い宣言と共に地獄の番犬の軍団を召喚する。

「さあ、地獄の番犬よ、あの似非天使共を一匹たりとも見逃すな。鎌を持つ手を食い千切り、その業火で悉く燃やし尽くせ!」

 ヴォルフガングの命令を受け、獄狼の軍団が一斉に破滅の使徒達に襲い掛かる。
 自身も再び突撃し、破滅の使徒を蹴散らす。
 激戦の中、獄狼の業火が館に燃え広がっていく。

「この炎は浄化の光。俺達人類の反撃の狼煙だ……!」

 巨漢の戦士と獄狼の軍団の奮戦に戦況不利と見た破滅の使徒達はこちらも炎を纏った餓狼の軍団を召喚して対抗しようとする。
 これにより数の上では五分以上に持っていけるはずであったが。

「無辜の願いを冒涜し命を愚弄する者よ。何者も因果応報の理より逃れる術は無し。今ここに不義は潰えん。悪逆の徒に報いあれ」

 ヘルガのレクイエム『怒りの日』が美しい声で歌われる。
 それにより顕われるのは審判の日に裁きを下す聖なる光。
 無数に生まれた神罰の光輝は、餓狼の群れを、破滅の使徒達を包み込み、打ち砕いていく。

「悲しみに穢された大地に、浄化と救済を。
 虐げられ怯える罪なき人々に、希望と慰めを。
 悪しき者を祓うこの光が、人々の希望の星とならんことを……」

 ヘルガが神の慈悲を願い、祈りを込めた光。
 獄狼の炎で炎上する館とその奇跡の輝きは戦場を照らすだけではなく、丘の下から館を窺う住民たちの目にもしっかりと焼き付き、その心に希望を灯すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『闇に閉ざされた世界に、癒しの光を……』

POW   :    力仕事を手伝ったり、勇壮な英雄談を語る。

SPD   :    破壊させた施設を修復したり、軽妙な話術や曲芸で楽しませる。

WIZ   :    怪我や病気を癒したり、美しい歌や芸術で感動させる。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 地底都市ビーラ・クラのオブリビオン勢力は一掃された。
 この都市に住む人々に初めての平穏が訪れたのだ。
 しかし、これは束の間の平和に過ぎない。
 いずれ遠くない未来に再びオブリビオンが現れ、苛政を再開するだろう。

 猟兵達はその未来を防ぐべく住民たちに語り掛ける。
 地上のことを、希望のことを。
 それぞれの思いの丈をぶつけ、住民たちを地上へと誘うのだ。

※フラグメントは気にしなくて大丈夫です。
 皆さんが思いついた方法で住民たちを地上に誘ってあげてください。
 住民たちは今までの支配者が倒されたことを知っていますが、現状、喜びよりも戸惑いが強い状態です。
 ですが、オブリビオンと戦った皆さんの雄姿は焼き付いており、好意を持っていますし、実力も見ているため、信頼は極めて得やすい状態です。
七那原・望
今、あなた達に隷属を強いるヴァンパイアはいません。
あなた達は自由になったのです。
でも、いつかは新しいヴァンパイアが此処に来て、あなた達の自由はまた奪われてしまう。
だからあなた達は、自分の手でその自由を守る為に動かないといけないのです。
その為に、あなた達は地上の人類砦に……人類が人類の為に統治している場所に行かないといけないのです。

そこでならあなた達は誰にも隷属しなくていい。
なんでも好き勝手が許されるわけではないけど、自分の為にやりたい事が出来るのです。
空はどこまでも広いし、花はとても綺麗です。
自由に歌を歌うことだって出来るのです。
そこでなら、あなた達は生きることを諦めなくてもいいのです。


秋山・小夜
アドリブ、絡み歓迎

「さて、戸惑う気持ちはわからなくもないですが、私たちと一緒に地上に来ていただきますよ。」

戸惑いがだいぶあるだろうから、まず、地下にはない、地上にしかない楽しみや風景、文化などをがんばって紹介してみる。また、可能ならピアノ型音響兵器 Greatest musiC Hammerklavierを展開して兵器としてではなく、楽器として運用、何か曲を聞かせてみる。
「地上の方は、大変なことも多いですが、楽しいことはそれ以上にありますから、安心してください。」


霧島・絶奈
◆心情
其の一歩が、後悔無き希望の礎となれる様、尽力しましょう

◆行動
【優しさ】を込めて、少し話をしようと思います

貴方方は「地上」と聞いて何を想いますか?
其処もまた、此処と同じ様に今だ多くの地が吸血鬼の圧政に苦しめられています
ですが、地上には反抗の意思を持って叛逆の狼煙を上げた多くの同士が居ます
圧政からの解放…
となるかはわかりませんが、少なくとも此処よりは可能性は高いでしょう

…希望とは誰かが最初に形を示さなければならないものではあるのでしょう
ですが、其の希望と言う灯を維持するのは各々です
私達は道は示します
其れを歩む決心を持ち、希望を手に取るのは貴方方次第です

…では参りましょうか
希望を手にする為に…




 地上の存在すら知らずに隷属を当たり前と受け入れて暮らしていた人々。
 救済と称して命を奪う支配者達を憎まない者はいないと言って良い。
 だから、その支配者達を凌駕する力を持ち、討ち滅ぼしていく猟兵達の戦いを目撃した彼等は家屋の中に隠れながらも応援した。そして、支配者達は全滅する。
 これからどうなるのか?
 希望を知らなかった彼等には分からなかったが、ほのかな未来への期待が確かに芽生えていた。

 地底都市ビーラ・クンの大広場に多くの住民が集まっていた。
 猟兵達が呼びかけたのである。
 そこで知らされる「地上」のこと。
 猟兵達が語る地上は楽園ではないけれど人類砦と呼ばれる人類による活動圏の存在は人々を興奮させた。
 大まかな説明を終えた後、猟兵達は手分けして住民たちを地上へ誘うことにする。


 目隠ししたオラトリオ、七那原・望が彼女の周囲の人々に語り掛ける。

「今、あなた達に隷属を強いるヴァンパイアはいません。あなた達は自由になったのです」
「自由……?」
「でも、これからどうすれば」

 猟兵達によって齎された自由。しかし、悲しい事に地底都市の住民達にとっては未知のもの。
 支配者達による気まぐれな死に怯えずにすむのは喜ばしいが、戸惑いも大きい。

「はい、自由です。でも、いつかは新しいヴァンパイアが此処に来て、あなた達の自由はまた奪われてしまう」

 望の言葉に住民達は互いに顔を合わせる。何かが良い方向に変わると思えた彼等にとってそれは辛い未来だ。だが、望の言葉は続く。

「だからあなた達は、自分の手でその自由を守る為に動かないといけないのです。
 その為に、あなた達は地上の人類砦に……人類が人類の為に統治している場所に行かないといけないのです」
「そこでなら自由に生きられるのか?」
「奴等の気まぐれで殺されることも?」

 先程、説明を受けた人類砦。実感は湧かないが、猟兵達が言うのであれば本当にあるのだろうと思い始めている。
 望に尋ねる彼等の表情には期待があった。望ははっきりと頷く。

「そこでならあなた達は誰にも隷属しなくていい。
 なんでも好き勝手が許されるわけではないけど、自分の為にやりたい事が出来るのです」
「支配者たちがいない場所」
「好き勝手に出来ないのは当たり前だ。それでも奴等が決めたこと以外を出来るのなら」
「それに……地上を見てみたい」

 前向きなことを口にする人々。
 その中の地上を見てみたいという言葉に望はにこりと笑う。

「空はどこまでも広いし、花はとても綺麗です。自由に歌を歌うことだって出来るのです。そこでなら、あなた達は生きることを諦めなくてもいいのです」
「歌ですか?」
「そう、歌です……La~♪ La la la~♪ La la la la la~♪」

 抜群の歌唱力で歌って見せる望。
 その歌声は住民達に芽生えた希望を大きく育てるのであった。


「さて、戸惑う気持ちはわからなくもないですが、私たちと一緒に地上に来ていただきますよ」

 そう宣言するのは人狼の少女、秋山・小夜である。
 彼女の言葉に周囲の住民達は戸惑いを隠せない。
 無理もないだろう。先ほど初めて地上の存在を知らされたばかりなのだから。
 それでも否定的な住民がいないのは支配者達から解放してくれた猟兵達への感謝と彼女達の力に対する信頼からだろうか。

 一方、小夜としても彼等が戸惑うのは想定内だ。
 まずは地上のプレゼンテーションと地上にしかない楽しみや風景、文化などを彼女なりに頑張って紹介する。
 一生懸命な小夜の様子に住民達は好感を抱いている様だが、やはり口での説明だけだと分かりにくそうだ。そこで小夜は一計を案じる。

「すいません、少し離れてもらっても良いですか?」

 小夜の言葉に素直に従う住民達。彼等が下がって開けたスペースに小夜は『ピアノ型音響兵器 Greatest musiC Hammerklavier』を取り出して見せる。
 外見は完全にグランドピアノである。もちろん、ピアノとして使用可能だ。

「「おおっ」」

 住民達からすればこれ自体が魔法の様なものだ。彼等の注目の中、小夜はおもむろにピアノを弾き始める。
 明るく楽し気な曲。それに合わせて歌って見せる小夜。弾き語りだ。

「……ご清聴ありがとうございます」

 やがて、曲が終わり、小夜が挨拶すると周囲の住民達から拍手が湧き上がる。

「ありがとうございます。こんな感じの楽しい音楽がまだまだたくさんあるんですよ。地上の方は、大変なことも多いですが、楽しいことはそれ以上にありますから、安心してください」

 小夜の明るさと真摯さは地上への移住という気持ちの後押しになったようだ。


 優し気な口調で住民達に問いかけ、また質問に答えている女性がいる。
 霧島・絶奈だ。
 強敵との戦いを愉しむ彼女だが、弱き者に見せる慈悲もまた彼女の本質である。

「貴方方は「地上」と聞いて何を想いますか?」

 絶奈の問いに住民達は思い思いの言葉を返す。何分、地上の存在をしったばかりだ。突拍子もない意見も出る。
 とはいえ猟兵達が誘う世界である。悪いものではなかろうと前向きな意見が多い。
 それは楽観視ともとれる。
 地上に誘うのが目的ではあるが、騙し討ちのように連れ去るつもりは毛頭ない。
 しっかりと現実を教え、その上である種の覚悟を持って地上に来てもらわなければならない。

「残念ながら其処もまた、此処と同じ様に今だ多くの地が吸血鬼の圧政に苦しめられています」

 地上も此処と同じ。絶奈の言葉に表情を暗くする住民達だが彼女の言葉は続く。

「ですが、地上には反抗の意思を持って叛逆の狼煙を上げた多くの同士が居ます。
 圧政からの解放……となるかはわかりませんが、少なくとも此処よりは可能性は高いでしょう」

 絶奈が語る地上では彼女達の様な超常的な力の持ち主ではない、自分達と同じ存在が戦っているという。
 そのことに熱い何かを感じる住民達。その様子を絶奈はじっと見て言葉を紡ぐ。

「……希望とは誰かが最初に形を示さなければならないものではあるのでしょう。
 ですが、其の希望と言う灯を維持するのは各々です。私達は道は示します。
 其れを歩む決心を持ち、希望を手に取るのは貴方方次第です」

 言うべきことは言った。後は貴方方次第であると態度で示す絶奈。住民達は互いの顔を見合わせ頷く。そして、決意をもって地上への案内を絶奈に頼む。

「……では参りましょうか。希望を手にする為に」

 住民達の決意に莞爾として微笑んで絶奈は言うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
・ヴォルフ(f05120)と
・アドリブ、他猟兵との連携歓迎

心身ともに傷ついた人々を【生まれながらの光】で癒します
この暖かな光が皆さんの希望となるように、祈りと優しさ、慰めを込めて

闇に閉ざされたこの世界の中にあってなお暗いこの地下都市で、ずっとオブリビオンの恐怖に怯えて……さぞ辛かったでしょう。
でももう大丈夫。わたくしたちがついています

地上には「人類砦」…わたくしたちと同様に、圧政に抗い戦う人々の集う拠点があります
一人ではとても太刀打ちできぬ敵も、同じ志の者同士団結すれば、互いに支えあい抗える
かつて故郷を滅ぼされたわたくしが、ヴォルフに救われ変われたように

共にゆきましょう
明けぬ夜はないのですから


ヴォルフガング・エアレーザー
・ヘルガ(f03378)と
・アドリブ、他猟兵との連携歓迎

敵は一掃され、ひとまずの安寧と支配からの解放は成った
しかし、いずれまた別のオブリビオンがここの存在を嗅ぎつけ襲い来るだろう
地下に閉ざされたこの街には逃げ場はない
このまま留まり続けていれば、再び恐怖と屈辱に飲み込まれる

行こう、俺たちの同志が待つ「地上」へ
少なくともそこには共に戦う同志がいる
「理不尽な運命に抗う意志」がある
誰にも頼れぬ孤独と不安も解消されよう

動けぬ者は肩を貸そう
不安に怯える心を支え、共に歩もう
確かに「奴ら」は未だ強大で数も多い
だが決して「無敵」でも「不滅」でもない

もし再び脅威に襲われたら俺たちを呼べ
必ずや君たちを守り支えよう




 地底都市ビーラ・クンを解放した猟兵達による住民の地上への誘いは続いている。
 根気よく丁寧に伝えられたことにより、住民達もだいぶ地上に関する理解が進んできているようだ。
 手分けして彼等に説明する猟兵の中にヘルガ・リープフラウとヴォルフガング・エアレーザーの夫婦の姿もあった。

 ヘルガは聖者、言葉通り聖なる存在である。生まれながらに体内から放たれる光は、人々に癒しを与える。
 また、生まれに相応しい優しい心の持ち主でもあり、今も住民達の希望となるよう祈りを込めて光を放っている。
 そんな彼女に親身に語り掛けられ、今までの暮らしぶりを訪ねられれば、涙と共に今までの厳しい生活を口々に訴えるのは仕方のない事だろう。
 ヘルガは住民達の話を最後まで聞き、共感を持って頷き、語り始める。

「闇に閉ざされたこの世界の中にあってなお暗いこの地下都市で、ずっとオブリビオンの恐怖に怯えて……さぞ辛かったでしょう。
 でももう大丈夫。わたくしたちがついています」

 わたくしたちがついている、その言葉に住民達の表情は明るくなる。
 ヘルガの話は続く。

「地上には『人類砦』……わたくしたちと同様に、圧政に抗い戦う人々の集う拠点があります。一人ではとても太刀打ちできぬ敵も、同じ志の者同士団結すれば、互いに支えあい抗えます」

 かつて故郷を滅ぼされたわたくしが、ヴォルフに救われ変われたように……とヘルガは彼女を守るように傍らに立つヴォルフガングを見る。
 ヘルガの視線を受け、無言で頷いてヴォルフガングも住民達を見回す。
 彼等の表情を見れば人類砦に誘うヘルガの意思は理解しているものの、圧政下とはいえ、生まれ育った故郷を離れることに対する不安、未練が見える。
 ならば、とヴォルフガングは語り始める。

「敵は一掃され、ひとまずの安寧と支配からの解放は成った。
 しかし、いずれまた別のオブリビオンがここの存在を嗅ぎつけ襲い来るだろう。
 地下に閉ざされたこの街には逃げ場はない。
 このまま留まり続けていれば、再び恐怖と屈辱に飲み込まれる」

 確かにこの都市の支配者達はヴォルフガング達の手によって一掃されたが、この状態は永遠には続かない。
 それをはっきりと告げる。住民達も分かってはいるのだろう。黙って頷いている。

「だから、そうならない為に行こう、俺たちの同志が待つ『地上』へ。少なくともそこには共に戦う同志がいる。『理不尽な運命に抗う意志』がある。誰にも頼れぬ孤独と不安も解消されよう」

 力強いヴォルフガングの言葉に住民達の目に宿る光が強くなる。
 そこに再びヘルガが声をかける。

「共にゆきましょう、皆さん。明けぬ夜はないのですから」
「そうだ。一緒に行こう。動けぬ者は肩を貸す。不安に怯える心も支え、共に歩む。
 確かに『奴ら』は未だ強大で数も多い。
 だが決して『無敵』でも『不滅』でもない」

 それは先ほどの戦いで猟兵達が示した事実だ。
 ヘルガとヴォルフガングの言葉に住民達は地上、人類砦への移住を決意する。
 それでも不安はある。
 人類砦に行って戦う、それは良い。だが、果たして勝てるのだろうか。
 それにヴォルウガングは当たり前のように言う。

「もし再び脅威に襲われたら俺たちを呼べ。必ずや君たちを守り支えよう」

 その言葉には真実の響きがあった。彼はきっとその言葉を守り、実現するだろう。
 こうした会話の後、住民達は移住の準備をする為に各々の家に戻って行く。
 ヘルガとヴォルフガングの二人はその背を優しさをもって見送るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…私達は、この天蓋に覆われた地の上にある世界より来た

地底都市ビーラ・クラ。この地に住まう人々を解放する為に…

…確かに闇に覆われ、吸血鬼に支配された地上も決して安全とは言えない

…だけど、私達には志を共にする人達がいる
闇の救済者、この世界の闇を払うために立ち上がった者達が…

貴方達は彼らの下に…人類砦に向かって欲しい
少なくともそこならば、悪戯に生命を脅かされる事はない

代表者の下に向かい礼儀作法を意識して挨拶を行い、
猟兵や地上、人類砦について説明した後UCを発動
"大量の保存食"を取り出し地上に向かう時に使えと押し付けるわ

…見たことない物もあるかもしれないけど、
どれもれっきとした保存食だから安心して




 貴方達は何処から来たのでしょうか?
 それは地底都市ビーラ・クンに暮らす人々が超常的な力を以て支配者達から都市を解放した猟兵達への疑問だ。リーヴァルディ・カーライルは常と変わらぬ秀麗だが表情のない貌を質問者に向け答える。

「……私達は、この天蓋に覆われた地の上にある世界より来た。
 地底都市ビーラ・クン。この地に住まう人々を解放する為に……」

 地上世界。彼女以外の猟兵もその存在を伝えており、そこにあるという人類砦への移住を勧められている。
 しかし、話によればここと変わらない過酷な世界とも思えるが。

「……確かに闇に覆われ、吸血鬼に支配された地上も決して安全とは言えない」

 住民の不安にリーヴァルディもそれは事実であると認める。
 ざわめく住民達を静かに見やり、彼女は言葉を続ける。

「……だけど、私達には志を共にする人達がいる。
 闇の救済者、この世界の闇を払うために立ち上がった者達が」

 その者達が築いた希望の灯こそが人類砦。

「貴方達は彼らの下に……人類砦に向かって欲しい。
 少なくともそこならば、悪戯に生命を脅かされる事はない」

 静謐な表情で語り終えたリーヴァルディに住民達はしばしの相談の後に人類砦への移住を受け入れることを伝える。
 どこか安堵の窺える彼女は魔法陣を創り出し、そこから『大量の保存食』を取り出す。何もない空間から出されたそれらに驚く住民達に移住の際の食糧にと贈呈を申し出る。最初は流石に申し訳ないと遠慮する住民達だが。

「……見たことない物もあるかもしれないけど、どれもれっきとした保存食だから安心して」

 そんな彼等に照れ隠しの様に言って押し付ける。
 最後は住民達も感謝して受け取り、これによって餓える者を出さずに移住がなされるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エウロペ・マリウス
この姿で人と接するのは苦手ですけれど
そうは言っていられませんね

行動 WIZ

手持ちのアイテムのアスクラピウス(野営道具)を展開
簡易な野外病院で【救助活動】しつつ、【医術】による治療を行う
人々を【慰め】、【鼓舞】することも忘れずに

地上も、あくまで支配からの脱却が始まったところです
必要以上に、安全だと語るには抵抗があります
しかし、地下よりも猟兵の手が届きやすいはず
そっと【手をつなぐ】

「逃れられぬ死が訪れるその日まで。私は傷ついたあなたの傍らで、この詩を詠い、生を紡ぎ続けよう……メメント・モリ」

しっかりと回復させましょう

あなた方が、生を全うし、死を迎えるその日まで
その傍らで、私が詠い、護りましょう




 地底都市ビーラ・クンの大広場の一角に、つい先程までは存在しなかった建造物の姿がある。それは野戦病院。簡易ではあるがダークセイヴァーの文明レベルを考えれば十分以上に設備は整っていると言える。
 此処の主はエウロペ・マリウス。
 野戦病院は彼女がその魔力によって縮小していたものを元の大きさに戻したものだ。彼女は今も氷翼の美女――真の姿だ――として住民達に接している。
 本来はこの姿で人と接することを苦手としている彼女だが、都市解放に際してこの姿で戦っており、住民達の信頼を得やすいとの判断だろう。
 実際、彼女の戦う姿を見ていた住民達は多く、今も尊敬の眼差しを送られている。

 もっとも、その眼差しの理由は支配者達を倒したことだけではない。
 今現在、野戦病院を現出させ、エウロペは都市の病人怪我人の治療を行っているのだ。都市にも医者はいるとはいえ、彼女の医療レベルからは大きく劣る。
 エウロペの医療行為は歓迎を持って迎えられていた。
 診察、治療を行いながら住民達に『地上』や『人類砦』の話をする。

「地上も、あくまで支配からの脱却が始まったところです」

 まだまだ安全とは言い難い。それでもこの地下世界よりは猟兵の、自分の手が届きやすいのは間違いない。
 だから地上に、人類砦に行きませんかとそっと手を握って伝えれば、感極まった様な表情と共に頷いて受諾する住民達。

「よかった。それではしっかり治しましょう。
 逃れられぬ死が訪れるその日まで。私は傷ついたあなたの傍らで、この詩を詠い、生を紡ぎ続けよう……メメント・モリ」

 まさに奇跡の御業で癒されていく住民達。
 今まで諦めていた持病や古傷すら治癒され、エウロペに口々に感謝を伝え、住民同士で喜びを分かち合う。

「あなた方が、生を全うし、死を迎えるその日まで。
 その傍らで、私が詠い、護りましょう」

 その光景を優しい表情で見守りながらエウロペはそっと決意するのであった。 

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイビス・ライブラリアン
同行者: 紅雪(f04969)
終わりましたね
あとは地上にお連れするだけでしょうか
そうですね……

(と呟いてから、本棚をどんと出し)

……本は色々なことが書いてあります
しかしそれは閉じこもるだけでは書けず
様々なものを見るから、書けるのです
貴方達もこの本たちの著者と同じように
様々なものを見てみませんか?

この紅雪も、私も、色々なものを見ている途中です
皆さんもどうでしょうか

(本から出てきた鮫と戯れる紅雪を見なかったことにしている)

アドリブ歓迎


蓮・紅雪
同行者:アイビス(f06280)
いつまたあのシスターみたいな奴等がやって来るか分からな……どうして私の角を見るのかしら?(むっとした顔で角を手で押さえ)
今のうちに私たちと一緒に来ることをお勧めするけれど。
無理強いはしない、自分たちで決めなさい。
少なくとも今よりは幾分かまともな生活が出来るようになるとは思うわよ。

アイビス、後は任せたわ。
(後ろに下がる。最初はアイビスの話を聞いていたが、途中で雪華と紅雨を召喚して一緒に戯れる)

(本から鮫が出たのを目ざとく見つけ)
あ、鮫、鮫がまた出て来たわ!
ほら、こんなに可愛らしい生物も地上にはいるのよ!
どう?一緒に来る気になったでしょう(誇らしげ)

アドリブ歓迎!




 オブリビオンの支配から解放された地底都市ビーラ・クン。
 そこで暮らす人々を地上へと誘う猟兵達の活動は順調に進んでいる。
 一度、苛政から解放され希望を抱いてしまえば、また絶望の支配する生活に戻るのを厭うのは当然かもしれない。
 だが、それでも見も知らぬ土地に行こうとの決断に至れるのは猟兵達への信頼あってのことであろう。ごく短時間の内に確実に住民の信頼を得る猟兵達。
 これは超常的な戦闘能力にも匹敵する貴重な資質かもしれない。
 そんな猟兵達の中にアイビス・ライブラリアンと蓮・紅雪の二人の姿もあった。

 この街のオブリビオンは一掃されたが、周囲はオブリビオンの支配地だらけ。
 いずれ確実にその内の何処かからこの街に進出してくるのは間違いない。
 それを端的に説明する紅雪。

「いつまたあのシスターみたいな奴等がやって来るか分からな……どうして私の角を見るのかしら?」

 長らくこの街を支配していた破滅の使徒達は捻れた角を持つシスター姿であった。
 紅雪も羅刹であり、その頭部には一本の角が生えている。
 シスターみたいな、で住民達の視線がそこに向けられた気がしたのだ。

「いえ、何でもありません。お気に障ったのでしたら申し訳ありません」

 角と言えば同じだが形状が異なっているし、使徒達の酷薄な雰囲気は紅雪にはない。本当に何気なく視線が行ったのであろう。住民達は謝罪を口にする。
 紅雪も特に咎めるつもりはない。ならいいけど、と話を続ける。

「今のうちに私たちと一緒に来ることをお勧めするけれど。
 無理強いはしない、自分たちで決めなさい。
 少なくとも今よりは幾分かまともな生活が出来るようになるとは思うわよ」

 人類砦への移住を勧めるはするが強制をする気はないし、その意味もないと考えている紅雪。とはいえ移住して欲しいという思いがあるのも事実。
 その為にも自分よりも適任であると考えるアイビスに「後は任せたわ」と譲る。

 紅雪に突然場を譲られものの、彼女の性格を把握しているアイビスはこういう流れになることは想定内だ。

「そうですね……」

 と呟いてから、虚空から本棚をどんっと出現させる。
 おおっと驚く住民達を後目に本棚から本を取り出し、大まかに内容を説明する。

「ご存じの方もいらっしゃると思いますがこれは本というもので色々なことが書いています。例えばこの本は薬草に関してです。どの草がどの病に効くか、絵図付きで分かりやすいですね。またこの本は色々な料理の作り方を書いています。土地によってぜんぜん違うのですよ?」

 住民達の多くは殆ど本など読んだことのない者達だが、アイビスの豊富な知識に裏打ちされた説明を興味深く聞いている。
 そんな彼等にアイビスは興味がある本を手に取って読んでみて下さいと勧める。
 恐る恐る本に手を伸ばす住民達。
 アイビスのユーベルコードにより出現した本は不思議なことに彼等にも読める仕様になっている。それぞれが興味の惹かれる本を手に取り目を通してみれば、本の世界に引き込まれる。

 なお、この間の紅雪は初めの内こそうんうんと頷きながら聞いていたものの途中で飽きたのか雪華と紅雨(紅雪の守護霊である魔狼)を召喚して遊び始めていた。
 さらに先の戦いの際でも出てきた鮫を召喚する本を誰かが開いたのか、鮫の出現に興奮してはしゃいでいる。(彼女の中で今、空前の鮫ブームが到来しているのだ)

 しばらく本を読む住民達の様子を眺めていたアイビス(紅雪の行動はスルーした)だが、頃合いを見計らって声をかける。

「この様に本は知識の宝庫です。
 しかしそれは閉じこもるだけでは書けず、様々なものを見るから、書けるのです。
 貴方達もこの本たちの著者と同じように様々なものを見てみませんか?」

 この都市の住民にとって世界とは都市内で完結したものだった。
 だが、その外に広大な世界が広がっており、そこに行く自由が今の住民達にはあるとアイビスは言う。

「この紅雪も、私も、色々なものを見ている途中です。皆さんもどうでしょうか」
「そうよ、それにほら、こんなに可愛らしい生物(鮫)も地上にはいるのよ!
 どう? 一緒に来る気になったでしょう!」

 そこに鮫と戯れていた紅雪も何故か誇らしげな表情で加わる。
 アイビスと紅雪の言葉に住民達は地底都市を出る決意をするのであった。(鮫が理由の一つになったかは不明である)


 こうして地底都市ビーラ・クンの住民達は地上にある新天地、人類砦への移住を決めた。近隣から異変を察知してオブリビオンが来た時には無人の廃墟が広がるのみであったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月22日


挿絵イラスト