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竜の時、人の時

#カクリヨファンタズム #童話調

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#カクリヨファンタズム
#童話調


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 むかしむかし、小さな竜の女の子がおりました。
 偶然友達になった、人の女の子と、それは幸せに遊んでいました。
 しかし、種族の違う2人は、命の長さも別々でした。
 人の子はどんどんと老いていきましたが、竜の子はこどものままでした。
 やがて人の子は儚くも天に召され、竜の子が残されました。
 ですが、その記憶が色あせる事はありません。
 別の世界に来た今でも、住まいとする湖にて時折、楽しかったころの夢を見るのでした。

「……??」
 ある日、竜の子は、声を聞いた気がしました。
「気のせいかな」
 いいえ、間違いありません。友達だった人の子の声です。
 ですが、このカクリヨで、聞こえるはずがありません。それでも信じて見上げれば、そこにあるのは骸魂。
 竜の子にはわかります。この骸魂こそが、あの人の子だと。
「また会えた。会えたね」
 再会を喜ぶように飛び回っていた2人は、やがて1つとなりました。
 現れたのは、愛らしい姫です。人の子に似ているのは、竜の子の思いの表れかもしれません。
 これでもう2人が分かたれることはありません。もはや時すらも2人の手の中です。
 そして竜姫は、新たに得た声で、こう告げます。
「『時よ止まれ、お前は美しい』」
 けれどそれは、世界に滅びをもたらす言葉でした。


 タビタビ・マタタビ(若き猫黒騎士・f10770)によれば、カクリヨファンタズムで、新たな終末が予知されたという。
 その元凶は、骸魂に呑まれた妖怪。しかもその骸魂は、妖怪にとって大切な人が転じたものらしいのだ。
「だから、骸魂だってわかっていても、妖怪さんは受け入れちゃったんだね。つらいけど、骸魂を壊して、元の姿に戻してあげなくちゃいけない」
 たとえそれが、再びの別れとなるとしても。
 タビタビの示した目的地は、妖怪……竜の子のいた湖だ。
「行く手には、行燈がたくさん現れるよ。過去を見せてくる厄介な奴なんだ」
 楽しい過去は足止めに、つらい過去は足枷に。
 いずれにしても、この行燈を突破しなければ、オブリビオン……『伐折羅姫』の元にはたどりつけない。
「無事、竜の子さんを助け出すことが出来ても、その心はきっと傷付いてるはずだよ。だから、戦いが終わって世界が元に戻ったら、竜の子さんと一緒に遊んであげて欲しいんだ」
 新しくて、楽しい思い出を作るために。


七尾マサムネ
 再会は、滅びの始まり。

●一章
 オブリビオンの元を目指しつつ、過去を見せる行燈に立ち向かいます。
 なんとかして灯を消すことが出来れば、行燈も一緒に消えます。

●二章
 滅びの元凶となったオブリビオン『伐折羅姫』と対決します。
 骸魂に飲み込まれている竜の子に訴え掛け、うまく説得することが出来れば、弱体化させられるかもしれません。(プレイングボーナスが発生します)
 なお、竜の子も人の子も、どちらも女の子です。

●三章
 傷心の竜の子を慰めるため、平和が戻った世界で、妖怪縁日を一緒に楽しみましょう。

 それでは、皆様のご参加、お待ちしております。
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第1章 冒険 『行燈フィーバー!』

POW   :    吹き消す!!

SPD   :    水を掛ける!!

WIZ   :    燃える素を取り除く!!

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ほろほろと、大地が崩れます。
 足場をなくした妖怪が、虚空に吸い込まれようとしたところを、飛べる妖怪が助け出します。けれど、いつまでも支えているわけにはいきません。
 急いで湖を目指す猟兵たちの前に、無数の灯火が浮かび上がります。
 過去誘いの行燈です。
 その灯りを見てしまった妖怪たちは、過去に囚われてしまって、逃げる足が止まっているようです。しっかり!
 妖怪たちの目を覚まし、避難してもらうためにも。行燈の灯りを消さないといけません。
 たとえ、猟兵自身が過去と対峙することになっても、です。

(※このシナリオのリプレイは上記のように「~です、~ます」調でお届けします)
鈴久名・紡
足を止めてる妖怪達の為にも
行燈の火を消さないと……

境遇的に……実の親の顔を知らないっていうのは
中々に不遇な気もするけど
それでも辛いとかそういう記憶はない
それは全部、叔父が傍に居たからだろう



誘われる過去は酷く平和で穏やかなもの
無邪気に、叔父の懐で寝こけたり
美味しいものを美味しいと頬張って笑ったり
何時だって、それを見守るのは叔父で

以前、世界はあの人と自分という構図だった

けれど、成長するにつれ判る
心無い言葉も
純血種の竜神ではない俺への侮蔑の眼差しも

そうしたものから護られていた事を
ずっとその庇護下に居られない事も

それでも、そんな時間があって今がある

天候操作で雨を降らして
過去を映す火を消そう



 鈴久名・紡(境界・f27962)は、避難も忘れてその場に立ち止まる妖怪たちを揺さぶりました。
 ですが、反応はありません。
 やはり元凶は行燈です。世界の滅びより先に、これを何とかしなければ、妖怪たちが緊急に危ないです。
 紡は、意を決し、行燈と対峙しました。
 ぼう、と浮かぶ、郷愁を誘う灯りは、悪意も敵意もなく、ただ紡を懐かしい時間へと誘います……。

 気づけば紡は、別のところにいました。
 叔父の懐です。安心安全な場所です。
 紡は、実の親の顔を知りません。世間的には不遇であると言えるでしょうが、紡自身に辛いという記憶はありません。
 叔父が傍に居たという事実が、幸いをもたらしてくれたからでしょう。

 事実、叔父と過ごす日々は、酷く平和で穏やかなものでした。
 叔父の懐で寝こけたり、美味しいものを美味しいと頬張って笑ったり。
 紡のあれこれを見守るのは、いつだって叔父でした。

 かつて、紡の世界は、『叔父と自分』という構図でした。
 けれど、成長するにつれ、世界は幸せばかりで出来ているわけではない事も、わかってしまいます。
 心無い言葉も、純血種の竜神ではない紡への侮蔑の眼差しも。
 わかったからこそ、気づくのです。
 そうしたものからずっと護られていた事を。そして、その庇護下にずっと安住していられない事も。

「それでも、そんな時間があって今がある」
 惑わしの灯りの中、紡が目を開きます。
 いまだ周りに映し出された過去にすがることも、拒むことも、どちらもせず。
 招来するのは、雨雲です。
 ざあっ、と降る雨が、行燈の灯りを、過去を映す火を消していきます。
 雨は涙……そのようにたとえられることも多いですが、この雫は、紡の決意の表れに他なりません。
 竜神の雨に溶かされて、過去が消えていきます。
 ですが、叔父との思い出は不変。
 紡は、目覚めた妖怪たちに、早く逃げるよう促します。
「助かったー」
「ありがとう!」
 妖怪たちが、口々に感謝を告げます。
 紡はそれを、ただいつも通りの不愛想で……少なくとも表向きは……受け止めると、先を急ぐのでした。

成功 🔵​🔵​🔴​

マナン・ベルフォール
確かに大切な友との永劫の別離は辛いもの。偽りにすがる気持ちもわからないではありませんが…。

なんで言いつつも過去すら朧げな己を顧み口元にはなんとも言えない笑みが浮かぶ

崩壊されては困りますし見捨てるのも寝覚が悪くなりそうですし

魅入られて動けなくなっていたり足場が無くなりそうな妖怪がいれば動ける者に託したり【神通力】で助けたり

ひとまず行燈付近を【天候操作】【浄化】で雨を降らせてみますか
魅入られている者の気つけにもなるかもしれませんしね

それでだめなら死返玉で撃ち抜いてみましょうか【スナイパー】

過去の幻
ふむ、何が出るのやら
とむしろ興味深く
(それなりに現れるがどれも心を惹くほどでもなく)

アドリブ
絡み歓迎



 行燈のバーゲンセール。
 同時に過去の大盤振る舞いでもある滅びの光景を目の当たりにして、マナン・ベルフォール(晴嵐・f28455)は肩をすくめました。
 種族を越えた友情が、世界を壊すことになろうとは。
「確かに大切な友との永劫の別離は辛いもの。偽りにすがる気持ちもわからないではありませんが……」
 竜の子へ寄せる気持ちは、同じ竜の血の為せるものでしょうか。
 しかし、カクリヨに崩壊されてはさしものマナンも困りますし、何より、見捨ててしまっては、寝覚めが悪くなって困ります。

 さて、マナンの行く手に現れるのは、すやぁ、と眠りに就き、過去を夢に見る妖怪たち。
 これはよほど、居心地が良いのでしょう。過去の朧げなマナンは「羨ましい」と言葉にしましたが、それとは裏腹に、口元に浮かぶのは、何とも言えない笑みでした。
 マナンは、動けなくなっている小さな妖怪を抱きかかえると、その場から跳躍しました。すぐ後、地面が崩れて、虚無が顔を出しました。
 小妖を、まだ意識のある別の妖怪に託すと、マナンはその力を振るいました。
 雨雲が生まれ出ます。ざあっ、と降り始めた雨は、行燈の灯りを次々と消していきます。
 雨に秘められた浄化の力も相まって、過去に魅入られた妖怪たちの意識を取り戻していきます。
「ありがと……あっ」
 妖怪の1人がマナンにお礼を言いかけて、後ろを指さしました。
 マナンが振り返ると、そこは今ではありませんでした。

 過去です。マナンを包む、一面の靄です。
「ふむ、何が出るのやら」
 むしろ興味深げに、マナンは過去を待ち構えました。
 ですが、どれも曖昧でつかみどころがなく、そこからくみとれる思い出は、どれもマナンの心を惹くものではありませんでした。
 行燈の呼び覚ます過去は、その人の強い思いに基づいたものでないといけないのかもしれません。でなければ、過去の牢獄に捕らえることはできないのですから。
 それなら、長居は無用です。
 マナンは、ふう、と息を吐いて、灯りを吹き消しました。
 朧げな過去は消え。
 代わりに、用をなさなくなった行燈がたたずんでいるだけでした。

成功 🔵​🔵​🔴​

鷲生・嵯泉
ニルズヘッグ(f01811)同道
ああ、有り触れたよく聞く話だ
だが幾ら想い定め様とも、心とは痛み迄をも断ち切れはしないものだろう
――勿論だ。歪んでしまった物語の続きを終わらせよう

枷となる幻なぞ知れている
護るべきもの総てを灰燼へと変えた焔の記憶
だが忌まわしい其の疵は、未だ此の身に刻まれた侭
だからこそ、幻なぞに惑わされずに済む

況してや今は伴に未来を望む友が居る――過去に捉われてやる理由が無い
――殲遍萬猟、水氣を纏え
水を含んだ斬撃を飛ばし、悉く斬り消してくれる
私なら心配要らん、お前こそ……否、此れも要らぬ心配か

避け得ぬ別れを知っている――ならばこそ
悔い無き想いを遺してゆこう
ああ……寂しくない様に、な


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
嵯泉/f05845と

どっかで聞いたような話だな
覚悟してたって辛いのは分かるよ
それでもまあ、話の最後はめでたしめでたしじゃないと、良い気はしない
な、嵯泉。手伝ってくれる?

炎が見せる過去は決まって同じ
姉さんの手で故郷が燃えて尽きて、姉さんも一緒に火を呑んだ日
……「私が死ねば良かった」なんて、もう言わないよ
今は――生きて良い場所があるんだからさ

隣に嵯泉がいるんだ
呑まれるなんてことありはしない
天罰招来、【氷霜】
水でも氷でも消せれば一緒だ
嵯泉、大丈夫?とっとと消しちまおう
私だって、そこまで弱くはないよ

――この先、例えばどうしようもない別れがあるとしたって
私はここで生きるんだ
うん、……一緒にな



 ニルズヘッグ・ニヴルヘイム(竜吼・f01811)は、竜の子と人の子の別れに思いを馳せておりました。
「どっかで聞いたような話だな。覚悟してたって辛いのは分かるよ」
「ああ、有り触れたよく聞く話だ」
 そう言って、鷲生・嵯泉(烈志・f05845)は頷きます。
「だが幾ら想い定め様とも、心とは痛み迄をも断ち切れはしないものだろう」
 覚悟があるからこそ、別離は確かな痛みとなって、心を穿つのかもしれません。
 嵯泉の柘榴色の隻眼が、かすかに揺らめくのを察したニルズヘッグも、知っています。人と人にも別れは訪れるもの。竜と人でも、それは変わりません。
 ですが、それを運命の一言で片づけてしまうことは、ニルズヘッグにはできませんでした。
「話の最後はめでたしめでたしじゃないと、良い気はしない。な、嵯泉。手伝ってくれる?」
「――勿論だ。歪んでしまった物語の続きを終わらせよう」
 嵯泉たちが進む道行を、行燈の灯りが照らしています。
 既に過去の虜となった妖怪たちは、あちらこちらにとどまっているようです。
 滅びの化身でしょうか、オブリビオンの想いの産物でしょうか。
 数多並ぶ行燈の灯りは、ニルズヘッグたちをも、過去へと誘います……。

 ゆらり。
 妖しく揺れる炎が見せる過去は、ニルズヘッグの予想通りのものでした。
 炎です。
 ニルズヘッグの姉の手で故郷が燃えて尽きて、そして姉自身も一緒に火を呑んだ……あの日の光景です。
 覚悟はできていました。ですから、そのまま平然でいられたなら、どんなにか楽だったことでしょう。

 嵯泉の傍らからも、ニルズヘッグは消えて、代わりに過去が沸き上がります。
(「枷となる幻なぞ知れている」)
 護るべきもの総てを灰燼へと変えた、焔の記憶。
 それが幻の檻となって、嵯泉を閉じ込めようとします。

 何度も何度も、呪いのように繰り返される過去。うつむくニルズヘッグは、しかし、過去に沈む事はありませんでした。
「……『私が死ねば良かった』なんて、もう言わないよ。今は――生きて良い場所があるんだからさ」
 ニルズヘッグは、ふと傍らに目をやりました。
 隣に、嵯泉が現れました。いいえ、ずっとそこにいたのです。
「それなら、過去に呑まれるなんてことありはしない」
 過去の炎は途端に薄れゆき、ニルズヘッグの瞳に、『今』が映ります。
 掲げたその手に、冷気が集まって。
「天罰招来、【氷霜】」
 無数の氷柱が、行燈へと降り注ぎ、灯りを次々と消していきます。
 水だろうと氷だろうと、消すことが出来れば同じことです。
 ニルズヘッグの瞳に映った行燈は、またたく間にその力を失いました。

 嵯泉もまた、過去の束縛に甘んじているつもりはありませんでした。
 焔は、嵯泉の心をさいなみ続けようとします。
(「だが忌まわしい其の疵は、未だ此の身に刻まれた侭」)
 この疵があるからこそ、幻に惑わされずに済むのです。
 そう、この過去は、事実であり幻。
(「況してや今は伴に未来を望む友が居る――過去に捉われてやる理由が無い」)
 嵯泉の意思が友と繋がった瞬間、幻牢は一瞬で消え去りました。
「嵯泉、大丈夫? とっとと消しちまおう」
 嵯泉のニルズヘッグへの返答は、超常の力の発動でした。
「――殲遍萬猟、水氣を纏え」
 嵯泉の凛とした声とともに、行燈が幾つも真っ二つになりました。
 水を含んだ斬撃を繰り出した後、嵯泉は、ニルズヘッグを気遣う視線を返します。
「私なら心配要らん、お前こそ……」
「私だって、そこまで弱くはないよ」
「確かに、要らぬ心配だったか」
 ニルズヘッグは、生真面目な返答の嵯泉に笑みをこぼすと、金と燃ゆる瞳で行く道を見すえます。
「――この先、例えばどうしようもない別れがあるとしたって私はここで生きるんだ」
 ニルズヘッグの確固たる決意に、嵯泉もまた、ともに歩み始めます。
「避け得ぬ別れを知っている――ならばこそ。悔い無き想いを遺してゆこう」
「うん、……一緒にな」
「ああ……寂しくない様に、な」
 そう答えた嵯泉が、ニルズヘッグには、微かに笑ったように見えました。

 そうして2人は過去を越え、滅びの元凶へと向かいます。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『竜幻公女『伐折羅姫』』

POW   :    火途
【炎を吐く竜の姿】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【心を増幅する地獄の炎】を放ち続ける。
SPD   :    刀途
【神の筆で自身の封印を解く】事で【刀剣や弓矢で武装した鬼神の姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    血途
対象の攻撃を軽減する【大人になった自分の姿】に変身しつつ、【描いたモノや呪文が実体化する神の筆】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠喜羽・紗羅です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちがたどりついた場所は、もはや湖と呼べるものではありませんでした。
 異界の概念でいうならば、ブラックホール。
 カクリヨを組み立てているあらゆる要素が、黒く染まった湖へ吸い込まれていっているようです。
 その中心に浮かぶのは、幼い女の子です。
 竜と人の子が1つとなって生まれたオブリビオン。『伐折羅姫』です。

『邪魔をしないで』

 伐折羅姫の口の動きに合わせて、思念が頭の中で響きます。

『もう二度と別れたくはない』

 それは、竜の子の願いです。
 姫の背後、浮かぶ竜の子の幻影は、人の子に抱かれていました。
 しかし、心の目を凝らせば、人の子は禍々しい骸骨の姿。竜の子を縛り付けているようにさえ見えます。
 今や骸魂と成り果て、竜の子と共にあった人の子とは、別物です。そのことに、竜の子は気づいているのでしょうか……。

『楽しくて、楽しい。そんな時間のままでいたいの』

 人の子と、いつまでも並んで歩いていければそれでいい。たとえ世界が滅んでしまっても。
 けれど猟兵たちは、強い拒絶の中に、小さくも確かな、もう一つの願いを見出します。

『わたしを止めて』

 大事な人とともにいるためなら、世界を犠牲にしてもいい。
 大事な人とともにいるためだけに、世界を犠牲にはできない。
 2つの反する思い、どちらも真実です。
 ですが、猟兵に叶えられる願いは、1つしかありません。
 だから、今はそれだけを。
鈴久名・紡
時間の流れが異なる種同士であるなら
共に過ごせる時間は有限で別れは必定……
理屈ではそう分かっていても感情は別のもの

友達であってくれたらいいのに、そう思うのは悪い事じゃない
楽しい想い出をもう一度紡ぎたい、そう思う事も悪い事じゃない

それでも……その子はキミの『友達』じゃない
キミの大好きな『友達』は
自分達が良ければ良い、そんな事をいう子じゃないだろう?
自分達と同じ思いを産み落とすのを良しとするような子じゃないだろう?

だから、止めさせて貰う

かりそめの記録使用
葬焔と禮火を弓と矢に変えて射る
最初の一撃は命中さえすればいい
以降は見切りと残像で対応しつつ葬焔と禮火で攻撃

叔父も、そうだったりするんだろうか……


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
嵯泉/f05845と

あァ――止めてやるとも
世界の愛と希望を証明するのが、私の使命だ
うん。やろう、嵯泉

現世失楽、【悪徳竜】
私の仕事は嵯泉のサポートだ
あいつが一撃喰らわせるのに、最高の状況を作れば良い

見えもせず、触れられもせず
怖いか?寂しいか?その想いはよく分かるさ
置いて逝かれる覚悟を決めたところで、一息に飲み干せるような傷にはならん
――だがそれで世界を犠牲にするのは許せんのだよ

本当に何もかも壊して良いのかを考えろ
そいつと行った場所も、そいつがくれたものも
何も遺らん二人きりに価値があるのかを

永劫なぞあってはならん
生きて死ぬのはこの世の摂理だ
遺される責任ってのは
思い出を守って、愛して、生きることだよ


鷲生・嵯泉
ニルズヘッグ(f01811)同道
其れが叶わぬ願いであると知っている
だからこそ護るべきものを違えられないという事も
……止めるぞ

――弩炮峩芥、術理を砕け
視線等の向きから攻撃の方向を見極めて見切り躱し
衝撃波での攪乱交えた斬撃を加える
お前にとっては非道の輩――だが其れでも構わん
私には私の護りたいものがある
だがお前とて、大切な想い出の眠る世界を壊したい訳ではあるまい

理が違えば伴に在り続ける幸せを叶える事は出来ぬもの
ならば遺されるものが過去に縛られぬ様にするのが遺す者の務め
未来へと生きる翼の上へ置いて逝くのは、想い出だけで良い
枷では無く支えと成る様にと、大切なものへの祈りを籠めて
そうしてくれると、信じて


マナン・ベルフォール
大切な友、ましてや異なる長さの時を生きるものにとって共にある、というのはかけがえの無いもの

ずっと
変わらずに

そう願う気持ちがわからない、とは言いません

しかし、よぉくごらんなさい
貴方の隣にいるそれは、本当に貴方の大切な友ですか?その方は、本当にこれを望むような人なのですか?

あくまで穏やかに
されど容赦なく

同じ龍神として語りかけ

必要に応じて【言いくるめ】

止めて欲しい、というのも本音でしょうがそれ以前に、友と心を許した相手を見誤ったままというのはあまり気持ちがよくないでしょうからね

【浄化】を込めた【天候操作】による雨で炎を弱めつつ【神罰】よろしく確りと狙いを定め攻撃を

アドリブ、絡み歓迎


木元・祭莉
うん。聞こえた。
小さな小さな声だったけど。

止めてほしい気持ちも、嘘じゃないよね?
それなら。
おいらが悪者になってあげる!

出たな、骸魂!
妖怪さんを返して!

キミは会えて嬉しいかもしれないケド。
このままだと、この世界が滅んじゃうんだよ。

おいらたちは、世界を崩壊させるわけにはいかないから。
お帰りは一人でね、伐折羅の姫様!

空を飛ぶ竜を目で追って。
上空に来たところで、進行ルート上に舞扇を呼び出して、爆破。

骸魂にも、絆は見えるかな?
妖怪さんは、どう?

地獄の炎の中でも、妖怪さんをこの世に引き戻す絆は途切れない。
キミの居場所は、骸の海じゃなくて、ここカクリヨだからね!

一度だけでも、会えた。
奇跡は奇跡。大事にね?




 みるみる崩壊してゆく大地の欠片を、軽快に渡りながら。
 マナン・ベルフォールは、行く手に待ち受ける伐折羅姫の存在を、しかと視界に収めました。
「大切な友、ましてや異なる長さの時を生きるものにとって共にある、というのはかけがえの無いもの」
 思いを携え、決戦に臨むマナン。
 鈴久名・紡もまた、黒い穴と化した湖の上に浮かぶ、伐折羅姫との邂逅を遂げます。
「時間の流れが異なる種同士であるなら、共に過ごせる時間は有限で別れは必定……理屈ではそう分かっていても感情は別のもの」
 人と竜と。
 共にありたいと望むもの同士が重ねた力は、しかし、紡を押し潰そうとします。
「けれどこれは、歪んだ絆だ」
 伐折羅姫の発する妖気へと抗いながら、紡は語り掛けます。
「友達であってくれたらいいのに、そう思うのは悪い事じゃない。楽しい想い出をもう一度紡ぎたい、そう思う事も悪い事じゃない」
『なら放っておいて。わたしたちの世界に入ってこないで』
「それでも……その子はキミの『友達』じゃない。キミの大好きな『友達』は自分達が良ければ良い、そんな事をいう子じゃないだろう? 自分達と同じ思いを産み落とすのを良しとするような子じゃないだろう?」
『…………』
 わずかに、伐折羅姫の圧が弱まります。
 紡の訴えに揺らいだ竜の子の心が、滅びの権化となってしまった骸魂を抑えたのかもしれません。
 そうした影響もあり。ニルズヘッグ・ニヴルヘイムは、伐折羅姫の濁った心の内に、一粒、真珠のように煌めく、竜の子の想いを掬い取りました。
「あァ――止めてやるとも。世界の愛と希望を証明するのが、私の使命だ」
 世界を飲み込む、渦の如き湖を見据え。
 鷲生・嵯泉もまた、災禍の化身との決戦に臨みます。
『2人の時は、このまま、このまま』
 嵯泉は、繰り返す伐折羅姫の姿に、竜の子の願いを垣間見ました。
 二度と別離が訪れぬよう、ずっと時を止めてしまいたいと。
 その切なる願いを噛みしめるように、嵯泉は、しばし瞼を伏せました。
「其れが叶わぬ願いであると知っている。だからこそ護るべきものを違えられないという事も……止めるぞ」
「うん。やろう、嵯泉」
 そこへ。
 木元・祭莉(かしこさが暴走したかしこいアホの子・f16554)も、踏んだそばから崩れていく地面を駆け抜けながら、湖へとたどり着きました。
「うん。おいらにも聞こえた。小さな小さな声だったけど」
 黒の湖に吸い込まれそうな木の妖怪さんを、引っ張り上げて、放り投げ。その反動で、祭莉は、伐折羅姫との対面を果たします。
「止めてほしい気持ちも、嘘じゃないよね? それなら。おいらが悪者になってあげる!」
 しゅたっ、と着地した祭莉が見上げれば、伐折羅姫が、妖気をこちらに向けて放つところでした。


 同じ竜の因子を持つ者として……マナンは、伐折羅姫の内なる竜の子へと呼び掛けます。
 骸魂に飲み込まれ、力と思いを歪められた竜の子へと。
「ずっと、変わらずに。そう願う気持ちがわからない、とは言いません。しかし、よぉくごらんなさい」
 マナンが指し示すのは、伐折羅姫に重なる幻影。竜の子と、寄り添う人の子です。
「貴方の隣にいるそれは、本当に貴方の大切な友ですか? その方は、本当にこれを望むような人なのですか?」
『…………』
 伐折羅姫が沈黙します。
 容赦なく、残酷な事実を突きつけながらも、マナンの口調は、あくまで穏やかなものです。
 止めて欲しい……竜の子のこぼした願いは、本物でしょう。
 ですが、それは世界を救うことにはなっても、竜の子の心を犠牲にしたものです。
 友と心を許した相手を見誤ったままの決着というのは、あまり気持ちがよくないでしょう……マナンはそうも思うのです。
「……俺たちが、止めさせて貰う」
 『葬焔』と『禮火』は、紡の意志に応えて、それぞれ弓と矢へと姿を変えます。
 漆黒の弓に、白銀の矢をつがえて。伐折羅姫へと射かけます。
『邪魔。邪魔をしないで』
 袖から取り出した筆で、姫が自らを彩ります。
 多数の武具をまとった鬼神となると、まずは紡へと飛びかかります。
 ですが、その執念とは裏腹に動きは鈍く、紡の一矢が肩を捉えました。
 怯む姫へと、紡は弓を鬼棍棒に、矢を神器に戻して、接近戦を挑みます。
 伐折羅姫も、己が刀や矢を操りますが、どれもが空しく紡の残像を切り、すり抜けるばかりです。
 なおも崩れゆく大地を蹴って。
 黒の湖へ吸い込まれる世界の破片をすり抜け、伐折羅姫へと立ち向かう嵯泉の背中を、ニルズヘッグが後押しします。
「――弩炮峩芥、術理を砕け」
 嵯泉の侍刃『秋水』が、闇を反射して閃きます。
 武装の鬼神へと変生した伐折羅姫は、続いて、嵯泉たちを討ち果たしにかかります。
 雨と降る矢の猛攻を見極めかわし、あるいは刃にて払い。前進する嵯泉を、ニルズヘッグの助力が追い越します。
「現世失楽、【悪徳竜】」
 伐折羅姫へと向かう嵯泉を、冷気の霧が援護しました。ニルズヘッグの呼び起こした魔竜の霧です。
 伐折羅姫は、鬼神の覇気にて、霧を払わんとします。
 しかしそれは、妖の力を以てしても消し去ることは叶わず。それどころか、伐折羅姫の視覚を封じ込めてしまいました。
『いずこ、いずこに』
 視線を彷徨わせる伐折羅姫の体を、衝撃が振るわせました。
 嵯泉の斬撃が、連続します。この場に満ちる妖風……それすら震わす衝撃波が伐折羅姫を再三襲い、しかして本命の太刀が、その肉にまで辿りつきます。
『みえない、みえない!』
 ニルズヘッグの耳を、幼姫の怒声が叩きます。
「見えもせず、触れられもせず。怖いか? 寂しいか? その想いはよく分かるさ」
 幼子に語り掛けるが如く。
 ニルズヘッグの声は、オブリビオンへかけるものとは思えぬ程優しさに満ちていました。
 けれど。
「置いて逝かれる覚悟を決めたところで、一息に飲み干せるような傷にはならん。――だがそれで世界を犠牲にするのは許せんのだよ」
 語気が強まると同時、ニルズヘッグの顔つきもまた引き締められました。
『わたしたちが永遠でいられるために、世界を犠牲にするだけでいいのなら、わたしは』
 世界すら『だけ』と言い放つ伐折羅姫を、ニルズヘッグは一喝しました。
「いいか。本当に何もかも壊して良いのかを考えろ。そいつと行った場所も、そいつがくれたものも。何も遺らん二人きりに価値があるのかを」
 ニルズヘッグの訴えが、伐折羅姫の心の深い部分を突きました。
 何もない世界で、2人はどんな思い出を紡ぐ事ができるでしょう。
 何を見て、何を感じて笑いあうことができるというのでしょう。
 そのことに、伐折羅姫……いいえ、竜の子は思い至ったようです。
 けれど、骸魂は、ニルズヘッグたちの説得を掻き消そうとします。


「スベテ、ムニキスルガイイ」
 マナンは、伐折羅姫の声を聴きました。
 思念ではないその肉声は、骸魂の発するもの。
 骸魂は、竜の子の心をねじ伏せてしまったようです。ですがそれは、オブリビオンが追い詰められた証に他なりません。
 愛らしい幼子の姿を捨て、竜と化します。魔性を剥き出しにしたその姿は、竜の子とは似ても似つかぬ、悪神そのものです。
「オマエタチモ、ヨワキココロヲサラケダセ」
 地獄の炎をまき散らしながら、マナンへと襲い掛かる悪竜へと、雨が吹きつけます。
 マナンに呼び起こされた雨雲が、伐折羅姫の妖気を浄化していきます。
「しかと友ならざる姿を確かめられたでしょうか。それなら」
 マナンは伐折羅の竜へと向かい……拳を振り抜きました。
 その致命の一撃は、あたかも神罰の如く。悪竜の全身を衝撃で貫きました。
 迸るマナンの竜氣は、飛び込んできた祭莉を通すよう、道を開けました。
「骸魂! 妖怪さんを返して!」
「ワタシハワタシデワタシタチ」
「??」
 伐折羅姫の頓智のような返答に、祭莉は混乱しました。
「キミは会えて嬉しいかもしれないケド。このままだと、この世界が滅んじゃうんだよ」
「ソレクライデナクナルセカイナンテ、ホロビテシマエバイイ」
 フフッ、とあざ笑う伐折羅姫に、祭莉は、凛とした怒りを向けました。
「おいらたちは、世界を崩壊させるわけにはいかないから。お帰りは一人でね、伐折羅の姫様!」
 黒の湖の外縁を駆け回りながら。祭莉は、滅びの色に染まった空を翔ける竜を、目で追いかけます。
 炎を吐き出そうと力をこめた時、竜の体が爆発しました。
 伐折羅の竜がうねる空の先、祭莉が呼び出した舞扇の幻影が待ち構えていたのです。
 それも、ただの爆発ではありません。
「骸魂にも、絆は見えるかな? 妖怪さんは、どう?」
 祭莉の問いに、伐折羅の竜は、怪訝そうに体をよじりました。
 目を凝らせば、祭莉と竜の間には、不思議な色の糸のようなものが繋がっていました。それは、絆です。
 他の猟兵にも見えないかもしれません、なぜならこれは、オトナには見えないものだからです。
「地獄の炎の中でも、妖怪さんをこの世に引き戻す絆は途切れない。キミの居場所は、骸の海じゃなくて、ここカクリヨだからね!」
 祭莉の声を受けて、伐折羅の竜に、もう1つの竜の影が浮かび上がります。
 絆に結ばれたそれ、竜の子のものです。
 刹那止まった伐折羅姫へと、紡の双の武器が浴びせられます。
 先ほどの矢を布石として、導かれるようにして姫へと命中していきます。
 紡の攻撃は、次第に、伐折羅姫の存在する力そのものを削り取っていきます。
 竜の子の葛藤と、それを促した自身の言葉。
 それは、紡にもある思いを抱かせます。
「叔父も、そうだったりするんだろうか……」
 幸か不幸か。
 紡のこぼしたつぶやきは、伐折羅姫に届くことはありませんでした。その存在に、いよいよ限界が来ていたからです。
 骸魂を祓い、人の子の魂を解き放つ。嵯泉は、竜の子の想いを利用して世界を失わせようとする骸魂を討つべく、刃を振るいます。
 必中の斬撃乱れ舞う戦場、嵯泉もまた伐折羅姫……いいえ、竜の子へと語り掛けます。
「お前にとっては非道の輩――だが其れでも構わん。私には私の護りたいものがある。だがお前とて、大切な想い出の眠る世界を壊したい訳ではあるまい」
 嵯泉の言葉に、姫が、はっ、と息をのみました。正しくは、竜の子の魂が。
「理が違えば伴に在り続ける幸せを叶える事は出来ぬもの。ならば遺されるものが過去に縛られぬ様にするのが遺す者の務め」
「ワタシハ、ワタシハ……!!」
 もがき、あがく伐折羅姫へと、嵯泉は渾身の一刀を研ぎ澄まします。
 ニルズヘッグの霧が晴れ、嵯泉へと道を示します。
「未来へと生きる翼の上へ置いて逝くのは、想い出だけで良い。枷では無く支えと成る様にと、大切なものへの祈りを籠めて。そうしてくれると、信じて」
 嵯泉の刃が、伐折羅姫の胸へと吸い込まれました。音もなく。
「嵯泉の言う通り。永劫なぞあってはならん。生きて死ぬのはこの世の摂理だ」
 嵯泉が刀を引き抜くさまを見届けながら、ニルズヘッグは語り掛けます。まだ生きる定めを持つ、竜の子へと。
「遺される責任ってのは思い出を守って、愛して、生きることだよ」

「バカ、ナ……」
 伐折羅姫の全身が黒の粒となり、骸の海へと還っていきます。
 霧散した姿の内より現れたのは、竜の子本来の姿と、光る小さな球でした。
 球は、竜の子に寄り添うと、人の子へと変わりました。骸魂の呪縛から解き放たれたようです。
『あー助かった。ありがとね』
『ああ、やっぱりキミだったんだね』
 竜の子の瞳から、大粒がこぼれます。
 人の子は、そんな親友の頭に、ぽん、と手を置きます。
『そんな情けない顔しないの。いいから、これからはもっと楽しそうにしてなさい。私の分までね』
 つん、と竜の子の額を指ではじいた人の子は。
 無数の光の粒に弾けると、天に召されて行きました。
「もう一度だけでも、会えた。奇跡は奇跡。大事にね?」
 天に魂、地に竜。
 2つに別れていく友たちを、猟兵たちと共に見守りながら。
 祭莉が、にぱっ、と笑顔になりました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『懐かしの縁日』

POW   :    たこ焼きや綿菓子など屋台の食べ物を食べ歩く

SPD   :    射的や輪投げを楽しむ

WIZ   :    縁日特有の空気を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 伐折羅姫の消滅とともに、黒く染まった湖が、世界を吐き出しました。
 飲み込まれた大地に空、海、そして妖怪たちも。
 全てが解き放たれ、世界が元に戻っていきます。

 元のたたずまいを取り戻した湖のほとりで、小さな妖怪が体を丸めています。竜の子です。
 東洋の竜たるその姿は、子と呼ぶには大きく。しかし、再び大切な人の存在を失ったことで心なしか小さくも見えました。
 ちょうど、体育座りのように体を丸めた竜の子は、猟兵を見て目を細めました。
「ありがとう。よかったんだ、これで」
 自身の心を慰めるように。竜の子はよかったと繰り返します。

 やがて、湖の向こうから、歓声が響きます。カクリヨの復興を祝うお祭りが始まったようです。
 メインとなるのは、大きな神社で開かれる、盛大な縁日です。
 射的にくじ引き、わたあめ、やきそば……。綺麗な花火も打ち上がるようです。
 古今東西、和洋折衷。様々な妖怪が集まるカクリヨのお祭りですから、ちょっと変わった出し物なんかもあるのかもしれません。
 せっかくです。竜の子を誘って、一緒に遊びにいくのもいいでしょう。
 難しい顔をしていたら、あの子が、彼岸から叱りつけに来てしまうかもしれませんしね。
鈴久名・紡
竜のお嬢さん
祭りに行かないか?

屈んで、彼女と出来るだけ目線を合わせ
祭囃子のする方を指し示して誘う

楽しそうにしてなさい、私の分まで
そう遺したあの子の言葉がこの子を立たせるだろう
そんな事を想いながら手を差し伸べて

辛い事かもしれないと思いながら
一番印象に残っている二人の『幸福』な想い出を聞いてみよう
俺にも、分けてくれるかな?
キミの楽しい思い出を
どんなに素敵な友達だったのかを

俺にも竜神の血は半分流れているから
多少は永く生きるだろう
俺が生きてる限り、君の友達を憶えているのは
キミだけじゃない……

そんな事を想いながら彼女に瓶のラムネをご馳走しよう
話疲れて喉が渇いているかもしれないから
ありがとう、話してくれて



「竜のお嬢さん、祭りに行かないか?」
 寂しげな竜の子に声を掛けたのは、鈴久名・紡でした。
 屈んで、目線を合わせながら、祭囃子の聞こえてくる方を示します。
(「『楽しそうにしてなさい、私の分まで』天…そう遺したあの子の言葉がこの子を立たせるだろう」)
 そんな事を想いながら、紡は、手を差し伸べました。
 竜の子は少し逡巡していましたが、紡の誘いを受け入れて、体を起こしました。

「わあ……」
 竜の子が思わず声を漏らすほど、縁日は、賑わいに満ちていました。
 提灯や灯籠の妖怪が、ここぞ!とばかり張り切って、境内を照らしています。
 立派な鳥居に参道、屋台の数々が、紡たちを迎えます。
 竜の子も、芳ばしい匂いや愉快な喧騒を含む空気に、そわそわしています。
 ふと紡は、辛い事かもしれないと思いながら、竜の子に問いかけました。
「一番印象に残っている二人の『幸福』な想い出は何だろうか」
「幸せな……?」
「そう。俺にも、分けてくれるかな? キミの楽しい思い出を、どんなに素敵な友達だったのかを」
 紡に促され、竜の子は語り始めました。
 2人が出会った時のこと。
 怪我をしていた自分を、異種族と恐れることなく、手当してくれたこと。
 仲良くなって、時折、空の散歩に出かけていたこと。
 けれど、うっかり迷子になって、想像以上の冒険になってしまったこと……。
 次第に、竜の子の口調は、熱を帯びていきます。
「そんな楽しい時間を過ごせたなんて、羨ましいな」
 紡が目を細めると、竜の子は照れたように身じろぎしました。
(「俺にも竜神の血は半分流れているから、多少は永く生きるだろう。俺が生きてる限り、君の友達を憶えているのはキミだけじゃない……」)
 そんな風に思う紡を、竜の子は不思議そうに見て、首を傾げました。
「どうしたの? もしかして、退屈だった?」
「その逆だよ」
 それから紡は、一つ目妖怪の屋台で瓶ラムネを買い求めると、竜の子に渡しました。
「ご馳走するよ。話疲れて喉が渇いていないかい?」
「あっ、ありがとう」
「こちらこそありがとう、話してくれて」
 2人並んで、ベンチに腰を下ろし。
 ラムネでのどを潤す様子は、傍から見ると、友達のようでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
ニルズヘッグ(f01811)同道
此れで一先ずは落ち着いた事だろう
竜の娘、我等と少しばかり時間を共に過ごしてはみないか?
……いや、其の辺りに関しては私には何も云えん

未だに祭りの喧騒には馴染みが悪い身だが
お前の賑やかに巻き込まれると正直どうでもよくなるな……
――そういう事にしておこうか

屋台の実演に釘付けになる後ろ姿に似た者同士と思いつつ
可能なら作らせて貰ってみてはどうだ、と提案を
美味しく食べてくれる者の腹へと納まった方が綿飴も嬉しかろう

寂しいと辛いと思う事も、決して悪い事では無い
だが人の子がお前に遺してくれたのは、幸せへ向かう種の筈
大きな花を咲かせる為に、沢山笑って、楽しい気持ちを注いでやると良い


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
嵯泉/f05845と

一件落着だな!
後は――お、いたいた
レディ、少し私たちと遊ばんか?
……嵯泉。今のさ、ナンパっぽく聞こえたりした?

縁日って何回来ても飽きないんだ
色々あるんだよなあ
へへ、楽しーだろ?

レディ、あそこで綿飴作ってるぞ!
嵯泉を引っ張りレディを呼んで
ザラメがもこもこになるのをきらきらした目で見詰め
えっ、作ってみても良いの!?

無事に出来上がったらレディにあげよう
私たちは……甘いのが得意じゃあないからな
食べてくれると嬉しいよ

沢山笑って楽しむと良い
大体楽しくて、会えないって思い出すとたまに悲しくて――それで良いんだ
今が楽しい心に、ずっとあの子の記憶の居場所を作ってやれば
きっと、それが一番だよ



 鷲生・嵯泉は、再構成され、元の姿を取り戻した世界を見回し、胸を撫で下ろしました。
 湖に吸い込まれていた妖怪たちも、無事、ほとりに戻ってきています。
「此れで一先ずは落ち着いた事だろう」
「一件落着だな!」
 ニルズヘッグ・ニヴルヘイムも、にこりと破顔して、事態の解決を喜びます。
「後は――お、いたいた」
 ニルズヘッグが見つけたのは、竜の子です。
「レディ!」
「我等と少しばかり時間を共に過ごしてはみないか?」
 嵯泉たちに誘いかけられた竜の子は、おずおずと頷きました。
「よかった! ……嵯泉。今のさ、ナンパっぽく聞こえたりした?」
「……いや、其の辺りに関しては私には何も云えん」
 そっ、と耳打ちして来るニルズヘッグに、嵯泉は至極真面目な顔つきで応えました。

 縁日の会場は、何とも賑やかでした。
 行き交うのは、姿かたちもバラバラな妖怪たちです。
 ニルズヘッグが、色とりどり、様々な屋台を見回します。すっかり、童心にかえっている様子です。
 傍らの竜の子も、あまり表には出さないようですが、そわそわしています。
「縁日って何回来ても飽きないんだ。色々あるんだよなあ」
 ニルズヘッグのつぶやきに、遠慮がちながら、頭を縦に振る竜の子です。
一方。
 どちらかと言えば静かな場所を好む嵯泉としては、祭りの会場は少しばかり……正直、かなり騒々しい場所でした。
 ですが、今は1人ではないわけで。
「未だに祭りの喧騒には馴染みが悪い身だが、お前の賑やかに巻き込まれると正直どうでもよくなるな……」
 それに竜の子が楽しんでくれているのなら、それに越したことはありません。
 苦笑する嵯泉に、ニルズヘッグがたずねます。
「へへ、楽しーだろ?」
「――そういう事にしておこうか」
 嵯泉がそう答えると、竜の子も心なしか喜んでくれているようでした。
「だが、あまりはしゃぎすぎては……」
 嵯泉が言い終わるのを待つより先に、ニルズヘッグが走り出しました。
「おっレディ、あそこで綿飴作ってるぞ!」
 ニルズヘッグは、竜の子を呼びつつ、嵯泉を引っ張り寄せました。
 風神の店主が、慣れた手つきで串にわたあめをまとわりつかせていきます。
 追加したザラメが、あっという間にもこもこになっていくのを、竜の子とニルズヘッグは、きらきらした目で見つめています。
 嵯泉から、実演に釘付けになる後ろ姿を、似た者同士と思われながら、です。
「大変だな、保護者ってのも」
「保護者、か」
 店主の表現に、嵯泉は、その単語を口の中で転がしてみました。
「どうだい、そんなに興味あるなら、試しに作ってみるかい?」
「えっ、良いの!?」
 店主の思わぬ申し出に、ニルズヘッグは思わず聞き返しました。
「折角の機会だ。作らせて貰ってみてはどうだ」
 嵯泉に後押しされたニルズヘッグは、竜の子と顔を見合わせました。
 なら!とニルズヘッグは腕まくりをして、わたあめづくりに挑戦してみることにしました。
「割と難しいな……」
 嵯泉や竜の子が見守る中、ニルズヘッグはなんとかやり遂げました。
「ほら、ちょっと不格好だけど、味はお墨付きだ」
「そりゃ、オレが選んだ材料を使ってるからな!」
 自慢気なニルズヘッグに、腕組みした店主が笑いました。
 出来たわたあめを、竜の子に差し出します。
「え、いいの?」
「私たちは……甘いのが得意じゃあないからな。食べてくれると嬉しいよ」
「美味しく食べてくれる者の腹へと納まった方が綿飴も嬉しかろう」
 嵯泉からも勧められ、竜の子は、ふわりとわたあめを舐めました。
「……美味しい」
 竜の子が、笑います。
「そう、沢山笑って楽しむと良い。大体楽しくて、会えないって思い出すとたまに悲しくて――それで良いんだ」
 竜の子の頭を、ニルズヘッグが優しく撫でます。
「今が楽しい心に、ずっとあの子の記憶の居場所を作ってやれば、きっと、それが一番だよ」
「寂しいと辛いと思う事も、決して悪い事では無い。だが人の子がお前に遺してくれたのは、幸せへ向かう種の筈」
 嵯泉の言葉に、竜の子は真剣に耳を傾けます。
「大きな花を咲かせる為に、沢山笑って、楽しい気持ちを注いでやると良い」
 笑顔を咲かせる竜の子につられて、いつの間にか自分の口元も緩んで。
 ……そのことに、嵯泉は気づいていませんでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と

湖から戻ってくる一群を眺めて
いた、まつりん(たたたと駆け寄り)
おかえりまつりん
さ、縁日いこ
はぐれないようにぎゅっと手を繋いで

くじ引きの景品は…串肉
わたしの本気をみせてあげる……とうっ!
※引いたくじの結果はおまかせ

わたがし、やきそば、お好み焼き、イカにタコ焼き
器用に全部持ち、ふと見上げると、提灯の柔らかな明かりに目を細め

ん、まつりんのお手並み拝見
楽しそうだけど、ピンと張るしっぽを見れば真剣そのものなのがわかる
ふふ、がんばれ

…あれは、竜の子?
こんにちは
今ひとりということ、それが、湖の顛末の証
それはわたしにもわかる事実

…泣いていいよ
竜の子の顔をそっとなでて


木元・祭莉
わーい、アンちゃん(f16565)も来たー♪

ん、縁日やってるんだって。
さあ行こー♪(つないだ手をぶんぶん)

え、くじ引くのー?
じゃあ、おいらもー♪

あ、当たりだって! わーい♪(何かの串を受け取り)

タイ焼きかじりながら、アンちゃんにウサギのお面をかぶせて。
おいらは、ホワイトタイガー! がおー♪

あ、ヨーヨー釣りやってる!
釣り針を濡らさないように……もうちょい、もうちょ……
よっし! あ。

(おまけでもらったのをびよんびよんしながら)
あとは、何しよっかー?

あ、花火はじまった!
ぴかぴかだー♪

アンちゃん?
あ。絆の子だ。

うん。
我慢ばっかりしてるとね、苦しくなるからね?

わーんって泣こー!
その後で、わははって笑お!



 妖怪縁日の会場となっている神社。
 鳥居の元、木元・杏(だんごむしサイコー・f16565)は、湖の方から戻って来る妖怪さん達の一群を眺めていました。
「いた、まつりん」
 杏はその中に知った顔を見つけて、たたっ、と駆け寄ります。
「おかえりまつりん」
 杏に気づいた木元・祭莉も、ぱっと笑顔でダッシュします。
 2人で元気にハイタッチ。
「わーい、アンちゃんも来たー♪ 今、縁日やってるんだって?」
「ん、いこ」
 たくさんの妖怪たちの中、はぐれないように、杏はぎゅっと祭莉の手を繋ぎます。
 祭莉は、つないだ手をぶんぶん振って、神社に突撃しました。

 お祭りムードは、何度味わってもわくわくするものです。
 そんな杏たちに、屋台から誘いの声が掛けられました。
「フホホ、お嬢ちゃんたち、くじ引いてけ?」
 仙人のような風貌のご老人です。怪しげですが、それが妖怪ですから問題ありません。
「妖怪くじ引いてけ……景品には何が……」
 杏の目の色が変わりました。
「……串肉」
「やるかね?」
「もちろん」
「え、くじ引くのー? じゃあ、おいらもー♪」
 ふんす、と鼻息の荒くなった杏につられて、祭莉も挑戦します。
 まずは杏です。謎の箱に手を差し入れます。
「わたしの本気をみせてあげる……とうっ!」
 気合一発。
 果たして、杏の結果は!
「わわ、アンちゃん、お肉当たり! おいらは……あ、またまたお肉当たりだって!」
「フホホ、続けて二度当たりとは、ワシにとっては厄日かの?」
 どや顔と向日葵笑顔。それぞれの嬉しさを見せるきょうだいに、店主が景品を進呈です。
「仲良く喰えよ」
「ありがとう」
「わーい♪ ありがとー」
 景品の串を受け取り、祭莉も大喜びです。
「……でもコレなんの肉??」

 わたがし、やきそば、お好み焼き、イカにタコ焼き……。
 杏は、目につくもの皆買い求めました。
 しかも、それらを器用に全部持っています。マスター縁日。
 ふと見上げると、提灯の柔らかな明かりが、杏たちを照らしています。
 あたたかみのある灯りに、思わず目を細めると、
「どうだい、明るいだろ?」
「な」
 提灯に顔が浮かび上がりました。妖怪さんだったようです。
「びっくりした……」
「ん? どしたの? はいアンちゃん、これどぞー♪」
 タイ焼きをかじりながら、祭莉は、杏にウサギのお面をかぶせました。
「おいらは、ホワイトタイガー! がおー♪」
 ノリノリです。

「あ、ヨーヨー釣りやってる!」
 目ざとく見つけた祭莉は、のっぺら坊さんのお店にやってきました。
「挑戦してみーるかーい?」
「やるよー♪」
「ん、まつりんのお手並み拝見」
 腕まくりする祭莉を、ウサギお面を横に被った杏が見守ります。
 祭莉、いかにも楽しそうですが、ピンと張るしっぽを見れば、真剣そのものなのがわかります。
「ふふ、がんばれ」
「釣り針を濡らさないように……もうちょい、もうちょ……」
 手応えアリ。
「よっし! あ」
 ぽちゃん。
「あー……」
 祭莉の声が萎みました。

「あとは、何しよっかー?」
 おまけでもらった水ヨーヨーをびよんびよん。
 機嫌をよくしながら、祭莉が次の楽しみを探していますと。
 どぉん!
「あ、花火はじまった! ぴかぴかだー♪」
 皆が空を見上げる中、杏は、1人うつむく妖怪を目に留めました。
「……あれは、竜の子?」
「アンちゃん? ……あ。絆の子だ」
 祭莉も、そちらに行きます。
「さっきぶり! こんばんはー」
「……こんばんは」
 猟兵たちと遊んで回った後のようですが、今は1人です。
 そう、傍らに誰もいないということ、それが、湖の顛末の証。事情を深くは知らない杏にもわかる事実でした。
 杏は迷わず、竜の子に寄り添いました。
「……泣いていいよ」
 竜の子の顔を、杏はそっと撫でました。
 すると、それがきっかけとなって、竜の子は泣き始めました。
 哀しく響く声は、花火の音が掻き消してくれています。
 祭莉も、竜の子を見守ります。
「うん。我慢ばっかりしてるとね、苦しくなるからね?」
 ちらりっ、と祭莉に視線を向けた竜の子が、こくりと頷きます。
「わーんって泣こー! その後で、わははって笑お! そしたら涙に虹がかかって明日はお天気!」
 いつしか始まった祭莉の歌が、竜の子の心を癒します。
「それじゃー次は何して遊ぼっか??」
 竜の子を加えた祭莉たちは、再び縁日に繰り出すのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マナン・ベルフォール
おや、これは賑やかな

祭りの喧騒に目を細め
そして蹲る龍の子に視線を移し

あまりあぁいった催しには詳しくなく
よければ案内をしてくれませんか?

あくまで穏やかに幼き同胞に声をかけ

私自身も楽しみつつ、彼女の案内の元、祭りをまわろうかと(気分が乗らない様なら隣に腰掛け)
ついでに、彼女との思い出なども引き出せる様にさり気なく心がけ

「なるほど…。
聞いた話ですが、「人は二回死ぬ」という説があるそうです。一つは肉体の、そしてもう一つは誰からも忘れられた時。
貴女の話を聞き納得しました。彼女は貴女の記憶の中で共に生きているのですね」

さて、人型になる様なら肩車なりしてやる事もできそうでしょうか

アドリブ
絡み歓迎



 老いも若きも、動物型も器物の化身も。
 神社には、妖怪縁日の趣を楽しむマナン・ベルフォールの姿がありました。
「おや、これは賑やかな」
 祭りの喧騒に目を細め、それからマナンは、竜の子に視線を移しました。
「あまりあぁいった催しには詳しくなく。よければ案内をしてくれませんか?」
「わ、わたしによければ」
 マナンから、穏やかな調子で声を掛けられた竜の子は、こくんとうなずいて、先導を始めました。

 顔見知りの妖怪もいるらしく、竜の子に、時折声が掛けられます。
「おっ、今日は1人じゃないんだな!」
「たまには辛気臭い顔してないでぱーっ、と遊んじまいな!」
 人見知り気味なのでしょうか。
 マナンの陰に隠れる竜の子を見て、マナンは微笑みます。
「おやおや、人気者ですね」
「そ、そうなのかなっ?」
 よくわかっていない様子の竜の子。
 ですが、周りからちやほやしたくなる気持ち、マナンにもなんとなく理解できます。
「おっ、竜の! うちで遊んでかないかい?」
 射的屋の主人が誘いかけました。主人は、鉄砲のツクモガミのようです。
 折角です。マナンは竜の子と2人、挑戦してみることにしました。
 鉄砲を持つのに、竜ではちょっぴり不便だったので、竜の子は人の姿に化身しました。
 艶めく黒髪を腰まで伸ばした、着物の女の子です。
「これまた可愛らしい姿ですね」
「あの子と一緒に練習したんだよ」
「なるほど、いい先生だったようですね」
「うん、教え方、とっても上手だった」
 竜の子の思い出に耳を傾けつつ。
 マナンの放った一発は、見事景品を倒しました。

 そうしてひとしきりあちこち回った2人は、休憩処に腰を下ろしました。
 竜の子の思い出話の続きを聞いた後、竜の子は晴れやかな表情になっていました。
「ずいぶんと良い顔になりましたね。それと、これは聞いた話ですが」
 マナンは、竜の子に1つ、語ることにしました。
「『人は二回死ぬ』……そんな説があるそうです。一つは肉体の、そしてもう一つは誰からも忘れられた時。貴女の話を聞き納得しました。彼女は貴女の記憶の中で共に生きているのですね」
 マナンに言われて、竜の子は、自分の胸をそっと押さえました。
「さて……少しお腹がすきませんか? 何か美味しいものを探しに行きましょう」
 そう言って、マナンは竜の子を肩車すると、再び喧騒の中に紛れていくのでした。

 時の流れは、残酷です。
 しかし同時に、絆を、思い出を、より豊かなものに変えてもくれるのです。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月21日
宿敵 『竜幻公女『伐折羅姫』』 を撃破!


挿絵イラスト