ぶくぶく沈む海底のせかい〜それは取り戻す戦い
●建設中の海底の居城
そこは別の世界。ここは複数の小さな『世界』が繋がり合う不思議な迷宮、アリスラビリンス。
海水に満たされた不思議の国。
ここは地上と同じく呼吸できるものの、遥か空まで海水に満たされ星も月も水中に浮いていた。その景色は本来であれば美しい世界であっただろう事が伺える。
しかし……今この世界はひとりのオウガに支配されていた。
魚や貝に手足が生えた姿の『愉快な仲間たち』は疲れ切った表情で海底を耕しては、生えてきた樹木を伐採して運搬していく。
その先には建築途中の大きな城。
オウガの部下と思われる別のオウガたちが彼らを監視し、手が止まった者を容赦なく槍で突きまわしていた。
そんな中、ひとりの部下が作りかけの城へと泳いでいく。
その奥で報告を受けるのは化け猫の魔女のオウガ……この世界を支配しているオウガだ。
「ふぅん……結局、ヒトデたちは行方知れずなのね。故郷を捨てた愛の無い者はどうでも良いわ」
部下の報告を聞いたオウガは興味が無さそうに答える。
「そんな事より、オリジン様の後ろ盾が無くなったから守りを固めないと。生命の始まるたる海、母なる愛の海に、私の堅牢な城を……。魚たちはまだ居るんでしょ? 働かせるペースを上げなさい」
部下へ作業のペースを上げさせるよう指示したオウガは満足気に微笑む。
「私を保つために、生命と存在を私にささげるの。私はその犠牲を愛するわ。住民が尽くしてくれるほどに、私は長く生きることで愛を示すの」
●オウガを倒し、海の底の国を奪還しよう
「集まってくださり、ありがとうございます! アリスラビリンスでオウガ・オリジンが倒れたことで、それぞれの『不思議の国』でオウガ達の支配体制が揺らぎ始めているようです」
グリモア猟兵のユーノ・エスメラルダ(f10751)はグリモアベースに集まってくれた猟兵たちにお辞儀をすると話を続けていく。
「これは、おそらく『不思議の国』を奪還していくチャンスです」
ユーノは、続けてノートとペンを取り出すと絵で詳しい説明を開始した。
「今回、奪還できそうなのはこの海底の世界……全て海の水で満たされて空も、星も、全部が海水の中にある世界です。ここは呼吸は地上と同じように問題なくできますが、動きに水の抵抗があったり泳げだりと呼吸以外は海水の中と非常に近い特性がある様です。火はうまく使えず、氷は浮き、電気は味方ごと感電してしまうでしょう」
続けて描かれるのは、立ち上がったヒトデのような星型の生物。
「この世界は以前に『ふわふわ浮くくらい世界』で引っ越しをしていたヒトデさんたちの故郷の様です。そして、その無重力の世界に旅の時計ウサギさんが訪れています」
ヒトデの隣にウサギの獣人の姿が描かれる。
「なので、この時計ウサギさんの助力の元に無重力の世界から海底の世界へと、攻撃を仕掛けよう、という話です!」
過去に助けられた事もありヒトデたちは猟兵に非常に協力的だ。なので現地での話もスムーズに進みすぐに海底の世界に赴くことになるだろう。
続けて、猫耳の生えた黒い服の人物が描かれる。
「今回、この海底の世界を支配しているのは『ケット・アヴァロン』さんです。ケットさんは化け猫の魔女で、普段は生命と不死を象徴するリンゴに『アリス』を吸わせて自分の力にしている様ですが……今回は、オウガ・オリジンが倒れたことで自身の拠点作りに注力している様子です。時計ウサギさんの協力もあり、今回は彼女の座る『玉座の真上』から一気に奇襲を仕掛けることが可能になっています!」
こういうことが可能になったのも、恐らくはオウガ・オリジンの影響が無くなったためだろう。この好機、逃す訳にはいかない。
「このケットさんは、『相手の無意識から愛しい存在を召喚』して召喚した存在に攻撃をさせたり、相手の『情報を得て的確に弱点を突いて』きたり、『手元のリンゴを魔術的に相手に見立てて』ナイフで刺すことで遠隔攻撃を行ったりと厄介な能力を持っています。他にも植物を操る術に長けていますが搦手ばかりで威力は低く、分かりやすく急所を狙ってくるので防御は難しくないと思います」
●不思議の国を取り戻すため
「予知で解った内容は、これでぜんぶです。愉快な仲間たちを救うため、そしてこのオブリビオンを倒すために、皆さんの力を貸してください」
ユーノは説明に用いたノートを仕舞うと、祈りと共に魔法陣が展開した……この上に乗って転移することで、協力者たちと合流できるだろう。
「ユーノはみなさんを転移させなければならないので、同行はできません……。どうか、みなさまに幸運がありますように……」
ウノ アキラ
はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
迷宮災厄戦お疲れさまでした。戦後のシナリオとなります。ウノ アキラです。
このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。
●お得情報
マスター紹介ページにもあるとおり執筆は主に土日になるので、プレイングを安定して受け付けられるのが【毎週木曜の8時30分から土曜の午後まで】の間になりますことをご了承ください。
章がクリアにならず引き続き参加を募る場合も木曜から土曜にかけてが採用しやすいです。
他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。
●依頼について
アリスラビリンスの依頼となります。今回はアリスは居ません。
一章がボス戦。二章は日常。三章は集団戦となります。
ざっくりと、雷系は扱いに注意が必要で、炎系は効果が下がる場所になります。
一章はボス戦です。
今回は先手を必ず取れますが、相手もUC以外の手段で最初の一撃を凌ごうとしてきます。
概念とか見立てとかの屁理屈で魔術を成立させてくるのでこちらも魔術的な屁理屈で返せば割と無効化できます。
また、キャラの過去の掘り下げに利用しても楽しめると思います。
二章は日常です。
ボスを倒した後、ヒトデ型の『愉快な仲間たち』と共に、魚型や貝型たちを助けつつ復興していきます。
海の中で綺麗な星空の元での作業です。
綺麗で楽しい感じの国に出来ると三章が有利になります。
三章は集団戦です。
異変に気付いた部下たちがやっと集まってきます。
オリジンが居なくなった影響なのか『世界そのものが味方してくれる』様です。なので二章で設置したオブジェなどあれば伸びたり縮んだりしてオウガとの戦いを手伝ってくれます。
よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『愛情と生命の魔女『ケット・アヴァロン』』
|
POW : 愛しいからこそ奪われないように壊す…そうよね?
対象への質問と共に、【無意識の中】から【連想した愛しい存在】を召喚する。満足な答えを得るまで、連想した愛しい存在は対象を【絞首またはクラッキング】で攻撃する。
SPD : あなたには……これが効きそうね
【禁断の知恵の実】から【高次元を通して相手の情報を得る魔術】を放ち、【その知識を活用した魔術の行使】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : こんな魔術はどうかしら?
【生命の象徴のリンゴを、敵に見立て刺す事】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【命の脈動】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠リサ・ムーンリッド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●転移直後〜攻撃開始前
転移を終えた猟兵たちは現地のヒトデたちと接触すると、さっそく滞在していた旅の時計ウサギを紹介してくれた。
「なるほど、確かにウサギ穴を作れる場が以前より自由になっている様子……。あなた達がオウガを倒せるというのでしたら、私も協力をしましょう」
無重力の世界でふわふわ浮きながら、旅の時計ウサギは了承してくれた。
「それでは、今から開きましょう。穴の中は私が先導しますので、海底の国へついたら後はみなさん宜しくお願いします」
時計ウサギは頭に乗せたシルクハットをとり一礼するといつの間にか作った空間の穴へピョンと飛び込んだ。
穴を抜ければそこは呼吸の出来る不思議な海の世界。しかもオウガの頭上だ。
即座に攻撃をしたり、一度身を隠して準備をするなど、先手の有利を活かした行動ができるだろう。
村崎・ゆかり
&&&
あのヒトデたちのいた国か。三次元で動くところとか、確かに似てるわね。
じゃあ、ここのオウガを討滅しましょう。
炎も雷撃も難しい上に、符術も呪符がへにゃへにゃになって使えないし投げつけるのも難しい。まさにアウェーって感じ。
いいでしょ、多少のハンデがあった方が楽しめるわ。
巫覡載霊の舞。水を切るように泳いで、オウガの眼前へ。そして水中衝撃波で弁舌を語る間もなく初撃を叩き込むわ。
リンゴが生命の象徴? それは知恵の実じゃなかったかしら?
(生命の象徴としても伝わっていることはガン無視)
何かに見立てて仕掛けられる前に、ただの果実のリンゴとして、水中衝撃波で破砕してあげるわ。
とどめは「串刺し」の一撃で!
マリオン・ライカート
&&&
・心情
さあ、理不尽を切り拓こう
この世界を開放する為に
・行動
水中戦か…厄介だね
でも呼吸に差し障りが無いなら、水を泳ぐのも空を飛ぶのも変わりないんじゃないかな?
『ドレスアップ・プリンセス』で変身するよ
…こっちの格好だと、矢張り口調も引き摺られるな
ユーベルコードの飛翔能力に、「Saint-Esprit de Lune」の【砲撃】を推進力とした【ランスチャージ】を加えて縦横無尽に立ち回る
本命の攻撃は強化された「秘心:Obscurite」だ
こう言った戦術を取る以上、持久戦では攻撃精度が上がっていく相手に分があるな
だから私は速攻戦を心掛けるとしよう
【存在感】を消して潜み、攻撃射程に入ったら奇襲攻撃だ
●敵陣への切り込み
「生命の始まりたる海、母なる愛の海に、私の堅牢な城を……。魚たちはまだ居るんでしょ? 働かせるペースを上げなさい」
オウガ『ケット・アヴァロン』はそう部下に伝えると、指示を受けた部下が出ていくのを満足気に微笑み椅子へもたれかかった。
浮力であまり椅子の意味が無い状態ではあるが……この玉座に腰掛ける行為は、ケットが操る魔術の性質上意味のあるものではある。
東洋西洋を問わずいくつかの呪術や魔術で見られる、見立てという考え。
そういう場を疑似的に作り、真似ることで『そういうモノ』だというルールを補強する術。
故に、この玉座はこの不思議な海底の世界で支配力を強めるための儀式の一部――。
そんなケットの頭上から、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)が水をかき分け接近していた。
(あのヒトデたちのいた国か。三次元で動くところとか、確かに似てるわね)
ユーベルコード『巫覡載霊の舞』で神霊体へと変身したゆかりは薙刀『紫揚羽』を振りかぶる。
「――水中での衝撃波、喰らいなさい!」
先手の一振りは周囲の水を巻き込み、渦をつくり水を切り裂く様にケットを襲った。
「な……!?」
その奇襲に不意を突かれたケットは咄嗟にナラの木の短杖を取り出し防御をする。そこに書かれし文字は、オガム。守りを高める呪文がオーラの守りを発現させ、ダメージを軽減させた。
(耐えた……ならもう一撃!)
続けてゆかりは二振り目を叩き込むとケットをその衝撃で吹き飛ばす。
「ぐっ……猟兵……! 一体何処から……」
部屋の壁に叩きつけられたケットは、苦悶の声を上げながらも周囲に何かをばらまいていく。
それは小石を重しにした木片……ハンノキやヒイラギといった樹木信仰で用いられる木の木片は、そのものに込められた魔術的な意味と効力によって持ち主の保護の力を高めていく。
同時に、それは儀式的な場という結界の簡易な構築でもあった。
これにより木片が散らばる一帯が簡易な疑似的な森林となりケットが持つナラの木に刻まれたオガム文字の守りの効力が高まっていく。
続けて薙刀を振るい衝撃波を放つゆかりだが、ケットの纏うオーラの守りは強まっており二発目は防がれてしまう。
(水生木か。水が相生の効果でこの場そのものが木の魔術をより高めてる……陰陽的にも厳しい状況ね)
ゆかりが専門とする陰陽道の観点上でも、この状況では魔術的な有利は少ない。
(炎も雷撃も難しい上に、符術も呪符がへにゃへにゃになって使えないし投げつけるのも難しい。まさにアウェーって感じ)
しかし相手が行使する樹木信仰の魔術は、守りや生命力増進に関する物が中心で攻撃に不向きであり、敵も攻勢に出られずにいる様だった。
さらには敵は玉座から動いたことでこの世界に対する支配という概念上の要素をひとつ失っており、力は削られている。
(いいでしょ、多少のハンデがあった方が楽しめるわ)
ゆかりは油断なく薙刀を構えた。
●三次元の戦い
水中でどのように移動するか……この海底の世界での戦いは呼吸の問題がクリアされてもなお、この課題が付きまとう。
その問題に対しマリオン・ライカート(Noblesse Oblige・f20806)は『砲撃』による推進を得ることで解決をした。
ドン、と鈍い音が響き渡り水が震える。
同時に水をかき分けて柱の陰から迫るのは、先ほどまで存在感を薄めて潜んでいたマリオン。
ユーベルコード『ドレスアップ・プリンセス』でドレス姿に変身したマリオンは、飛翔能力に加えて精霊砲を備えた斧槍の『Saint-Esprit de Lune』の砲撃による加速で一気に『ケット・アヴァロン』との間合いを詰め、奇襲を仕掛けた。
「これで、どうだ!」
「……っ!?」
不意を突かれたケットは十分な準備が出来ないまま手にしたナラの木の短杖で受ける。
守りの呪文が書かれた杖はオーラの守りで刃は防いだが、その勢いまでは殺せない。
「くっ……」
ケットはそのまま構築した簡易的な概念上の森から弾き飛ばされた。
「詳しい理屈は解らないけれど、さっき木片をばら撒いたら守りが固くなった。ならばそういうことなのだろう? 結界で能力を高めるのなら、そこから動かせば良い!」
マリオンは精霊砲による砲撃で再加速を行い息をつく間もなく次の一撃を叩き込もうとしていく。
その時だ。マリオンの足が僅かに裂けた。
(……!?)
二度目の斧槍の一撃がケットを捉え、包むオーラの守りごと海底へと叩きつける。この時ケットは片手にリンゴを持っていた。
「やっぱり、条件が足りないと効果が薄いわね……」
「ぐっ……」
攻撃を受けたケットはマリオンをどうにか蹴飛ばして距離を離すと、呟いた。
傷を負いながらも、片手にはリンゴを、もう片方の手には先ほどの一撃を受けた時に引き抜いていたマリオンの髪の毛を数本握っている。
その髪を一本リンゴの切り口へと差し込むケット。
「……あなたの身体の一部が入ったわ。これでこのリンゴは呪いの人形。同じ傷が出来るほどに貴女そのものになっていき、やがて生命の象徴たる実は貴女の心臓となるの」
ケットが手にしたリンゴを刺すと、マリオンの足に刺し傷が発生した。
痛みをこらえながら、マリオンは冷静に状況を理解する。
(なるほど……こう言った戦術を取る以上、持久戦では相手に分があるな)
攻撃する度により急所に近づいて命中と威力が上がる技……。やられる前にやるべきかとマリオンがさらなる攻撃を仕掛けようと考えたその時だ。
「リンゴが生命の象徴? それは知恵の実じゃなかったかしら?」
衝撃波が周囲の水を巻き込みケットの身体を再び吹き飛ばす。
「……っ!?」
「そこだ!」
精霊砲で加速するマリオン。ユーベルコードで得ていた飛翔能力も用いて水流に巻き込まれたケットへと水中を飛翔して素早くリンゴを奪っ取る。
リンゴを奪われて舌打ちをするケット。
「入手した毛髪は、まだあるわ!」
再びリンゴを取り出すが、しかし泳いで頭上を取っていたゆかりが新たに取り出されたリンゴを薙刀で砕いた。
「何かに見立てられる前に。ただの果実のリンゴとして、破砕してあげるわ!」
そこへ旋回したマリオンが戻ってくる。
「さあ、理不尽を切り拓こう。この世界を開放する為に!」
振るわれる斧槍。ケットは咄嗟に防御をしたが、防ぎきれずにそのまま海底へと叩きつけられた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
汐見・由緒(サポート)
「おういえ」「ちぇけら」等ユニークかつ淡々とした振る舞いながらも、弱いものを護ること・善いものが長く続くことを愛する王子様。
半眼気味のジト目、マイペース、浮世離れ。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
月山・カムイ(サポート)
すいません、少々遅れましたが援護に参りました
既に戦いに入っている猟兵達の援護に入る形で参戦
集団戦なら攻撃のきっかけになるように、縦横無尽に切り結び
ボス戦なら他の猟兵がトドメを刺す為のサポートを行う
武器を切り裂く、受け止めたり逃がすべき相手を空を跳んで抱えて逃したり
上記の様な行動で現在戦っている猟兵が活躍出来るよう動かしていただければありがたいです
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
天宮院・雪斗(サポート)
『なせば大抵なんとかなる』
妖狐の陰陽師×ビーストマスター、7歳の男の子です。
普段の口調は「子供(ぼく、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、怒った時は「子供(ぼく、呼び捨て、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
甘えん坊で、頭撫でられるの好き、お姉ちゃんたちに甘えるのも好き。あとはおまかせ(アドリブ・行動OK)です。よろしくおねがいします!
火奈本・火花(サポート)
人探しや潜入を得意とする、UDC組織所属のエージェントです
■平時
『大切な人達の光の為に、私達が闇に立ち向かいましょう』
普段は礼節を弁え、理知的で物腰穏やかな対応を心掛けます
世間一般に「紳士的」とされる態度と相違ありません
■戦闘時
『我々は人類を邪悪や狂気から守る。その為には冷酷を貫く事も厭わない』
UDCや関連団体に相対した時は、非情に徹します
一人称は誇りをもって「我々」と呼称します
■行動傾向
日常・冒険:変装や演技、Dクラス職員や組織の支援を駆使した情報収集が得意です。自らの身を削る事にも躊躇しません
戦闘:機動部隊との連携を基本に、火器や状況を利用した奇襲・速攻を得意とします。ヤドリギは奥の手です
●海底の森
この海底の国を支配するオウガ『ケット・アヴァロン』は海底へと叩きつけられた。
地上と同じように呼吸が出来る海底の国。
ここで樹木を用いた陣地を構築中だったオウガは、猟兵たちに先手をとられ個々の魔術も対応をされて追い詰められていく。
そこにはらりと海中を舞う、桜の花びら。
ソレは水中であるにも関わらずまるで風に舞う吹雪の様に辺りの景色を染めた――このような常識を覆す現象は、ユーベルコードに他ならない。
その花弁の源流は汐見・由緒(謳歌・f23367)の放つユーベルコード『桜の癒やし』。
「流れは出来たというやつですね。このまま眠れば、苦しみません。たぶん」
魔法のウサギ穴から出るや動きを止めるための援護を行う由緒。
「しまっ……」
奇襲のユーベルコードによる眠気で意識が途切れかけるケット。眠気覚ましのハーブを使い対抗するが、モヤのかかった意識では次に来る攻撃を防ぐ事ができない。
動きの止まったケットへ振り下ろされるのは刃渡り二尺の小太刀。それは月山・カムイ(絶影・f01363)の持つ『絶影』。
「はあっ!」
ユーベルコード『無空跳躍』で虚空を蹴り加速したカムイは、眠気で動きが鈍いケットを袈裟切りにした。
切りつけた直後に足元から伸びた反撃の樹木の根を避け、カムイは一度距離をとる。
「すいません、少々遅れましたが援護に参りました…」
対するケットはナラの木の短杖を掲げて魔力で植物を伸ばし周囲へ張り巡らせていく。
もう片方の手に持つ知恵のリンゴから得た情報を元に、カムイのユーベルコード――虚空を蹴ることによる移動――の使用が難しい程の短い間隔で格子状へと樹木を伸ばしていく。
「これで、その移動は使いにくくなるわ」
その言葉にカムイは静かに穏やかに答えた。
「確かに『私の』動きを大きく削るための対応ですね」
(ですが彼女は目先の情報に目が向きすぎている様です)
――その伸びる樹木は、自由な移動を制限するが同時に近づく猟兵の姿も見えにくくしてしまう。
●それは無いはずの木
延びる樹木を黄金のライオンが音を立てない様に忍び足で木々を伝って移動していた。
その背に乗るのは天宮院・雪斗(妖狐の陰陽師・f00482)。
ユーベルコード『ライオンライド』で召喚した2.4mほどのライオンはスルスルと木の間を移動し『ケット・アヴァロン』の頭上の樹木へと到達した。
(さっきまで一緒だったお姉ちゃんは無事に回り込めたかな?)
雪斗は、先ほどまで一緒にいた火奈本・火花(エージェント・f00795)を気にしてその行方を探してみたが、伸びる樹木という地形がつくる闇をうまく利用して紛れているのか見当たらない。
雪斗が見下ろすと眼下のケットは守りを固めながら魔術による回復を行っていた。
散りばめた木片で内部に結界を張り桜の花弁が生み出す眠気を弱め、回復の魔術を行使している。
「こういう狭い場所だと怪力でごり押ししやすいんだよね。なせば大抵なんとかなる。いくぞ~!」
雪斗は頭上から黄金のライオンと共にオウガへ攻撃を開始した。
守りを高めるオガム文字の呪文がオーラの守りを発現させ、黄金のライオンの爪を防いでいる。
しかし準備が整わない魔術では覆いかぶさる大柄なライオンを押し留めるので精一杯だった。
雪斗はケットが動けないのを見るとライオンから降りて『地星鎖』を用い、大地から情報を吸い上げ相手の魔術のカラクリを調べる。
「お姉ちゃんが操る木、元々ここの木じゃないみたいだね」
この城の外で行われている労働……畑を作り栽培するという工程も、これら樹木が本来この世界に無いものだからこそなのだろう。吸い上げた情報でそれを知った雪斗は濡れるのも構わず『霊符』を大地に張り付けた。
その強い呪力は魔力の流れを妨害し、守るように周囲に生えていた樹木をすこしずつ枯らしていく。
しかしケットも黙ってやられる訳にはいかない――リンゴを知恵に見立てて得た情報を元に雪斗を無力化しようと一計を講じる。
「ねぇかわいいボウヤ。私に甘えてみない?」
それは雪斗の性格を利用した、誘惑を込めた言葉。
●最後の抵抗
黄金のライオンの攻勢が一瞬弱まった。
誘惑を込めた言葉で生じた迷いに乗じて種子を撒くと、ケットは雪斗とライオンの動きを封じるための魔術――蔦を急成長させ絡ませる――を行使した。
「うわ~!?」
「よくもやってくれたわね! あなたのお陰でこの辺りに仕込んだ防衛用の種が全部ダメになったわ!」
手持ちの手段の大半をつぶされたケットは、新たに取り出した種に魔力を注いで即席の槍を作ると拘束した雪斗へと迫る。
「させませんよ」
そこへカムイが割って入り槍を『絶影』で切断した。
続けて返す手でカムイはカウンター気味にケットの傷口を抉るように斬る。
「……っ!」
「ここまで来るのにすこし手間がかかってしまいました。このまま畳みかけましょう」
カムイは続けて雪斗を拘束する蔦を斬ると、ケットへ向けて武器を構えた。
そこへ由緒の桜吹雪も吹き込んでくる。
「眠気を遮る結界も無くなり視界良好。すぱっと倒し塩分でガビガビになる前に帰りたいですね。おういえ」
黄金のライオンが襲撃した時点で眠りに対抗する結界の木片は散ってしまっていたのだ。
故に、再び吹き荒れる桜吹雪がケットを眠りにと誘おうとする。
「そろそろ倒させてもらいます」
カムイは『絶影』を殺戮捕食態へ変化させた。清廉な印象の小太刀はその形を獲物を食いちぎる牙を髣髴とさせる刃へ変えていく。
その刀の姿はまるで血肉に飢えるかの様。
カムイは大地を蹴ると『無空跳躍』でさらに虚空を蹴って加速した。
対するケットは眠気から動きが遅れてしまう。咄嗟にナラの木の短杖を突き出すが、守りのオーラを展開出来ていない。
敵のオーラ防御の展開が間に合っていない――そう気づいたカムイは、刃の軌跡を変えた。
急所を守る杖を避け、その刃は足をえぐる。
「――ぐぅっ!」
姿勢を保てず倒れ込みながら、ケットは植物の種子を撒いた。それは魔力で急成長し蔦を伸ばしながらケットを中心とした敵を拒むドームを作っていく。
「――届け!」
カムイはもう一閃浴びせようと『無空跳躍』で虚空を蹴り方向を変えたが……二撃目はあと一歩で届かなかった。
●樹木の魔術
「閉じこもられてしまいましたね……」
カムイは油断なく『絶影』を構えたまま蔦のドームを見る。
そこへよいしょと木々を乗り越えて由緒がやってきた。
「これがオウガの新たな住居。新たなステージというやつですね。このまま地道に削っれば壊せそうですが、お腹が空きます。そしてそろそろねむたんです」
ボーっとした感じで蔦のドームを見ながら、懐からガサゴソとおやつを取り出す由緒。
「蔦のドームが出来る瞬間に誰か中に入るのがちらっと見えましたし、援護はしたいです。まずはエネルギーを補給しておなすいを解消……はて、おやつのリンゴがざっくりと。なんだこれ」
取り出したおやつにざっくりついた刺し傷を見て、由緒は頭をひねった。
「命の脈動が感じられない……何かの身代わりで防がれたかしら」
蔦で周囲を囲った暗闇の中、ケットは生命に見立てたリンゴへナイフを突き立てていた。
しかし手ごたえを見るに空振りしている。
より強力な概念……リンゴそのものに偶然攻撃を吸われたとは思わずにケットはナイフとリンゴを仕舞う。
相手がより強力な対策を用意したのだろうと考え、この攻撃はもう使えないと思ったためだ。
「外に散っている部下たちが異変に気付けば逃げる隙くらいはできるかも……このままどこまで耐えられるかしらね」
そう呟くと、ケットは回復の魔術で傷を癒し始める。
しかし、この密閉空間にはもうひとり――火奈本・火花が紛れ込んでいた。
「ここまで観察できた情報から貴女の手の内は解っています。UDCアースに存在するケルトの樹木信仰の魔術……それに似たもの」
張り巡らされた木々が作る暗がりに紛れて様子を伺っていた火花は、蔦のドームが生成される瞬間にケットを追跡して中へ入り込んでいたのだ。
「森と紐づける要素も尽き、手持ちの木片の触媒も尽きかけでしょう。回復はさせません」
火花は『自動式9mm拳銃』を構え狙いを定め引き金を引いた。
激しい銃撃の音が鳴り響き、衝撃がケットの張るオーラの守りを削っていく。
「く……」
「さあ、観念してください」
火花は暗視の特技によりこの暗がりでもある程度見えていた。故に、距離の近さもあり外すことが無い。
その時だ。逃げ場のない手負いのオウガが妖しい笑みと共に語りかけてきた。
「……貴女、もう一度会いたい人はいない?」
●惑わす者と、終わらせる者
その質問と共に誰かが現れた。
その人物の顔は暗闇で良く見えない……しかしその人物は、火花が生き延びたあの時に永遠に会えなくなってしまった人に似ている。
「このまま、一緒に居たいと思わない?」
ケットの声が響いた。
現れた誰かは、火花へゆっくり近づいていく……それは人の心を惑わせ、混乱と共に判断を奪う魔術。
――それは『UDC怪物の一部がとる手段と類似』していた。
「『我々』に『それ』は通用しない」
火花は現れた人物を躊躇せず撃った。
撃ち抜かれて倒れ、足元で蠢くモノへ続けて銃弾を浴びせると火花は底力による拳を叩きつけてトドメを刺す。
障害を排除したUDCエージェントは、その発生源たる魔女へ銃口を向けた。
「愛する人の姿が召喚されたはず……どうしてそんなに躊躇なく殺せたのかしら」
オウガ……『ケット・アヴァロン』は愛情と生命の魔女としての質問を口にする。
エージェントは答える。
「悲運や理不尽によって大切な誰かを失う事はある。だがそれはただの運命だ。そしてUDCの中には、お前の様に感傷を用いて罠に嵌めるものも居る」
胸の内に秘める感情は本人の口から語られるまでは分からない。しかし、その言葉からは似た手段を用いる存在への強い敵対心が感じられる。
「どうやら……私は最後に触れてはいけないものに触れてしまった様ね」
そう呟いた魔女は、直後に頭を撃ち抜かれ『処理』された。
この海底の国を支配していたオウガ『ケット・アヴァロン』は猟兵たちによって倒された。
彼女の魔力が消えたことで魔術による植物が徐々に枯れて朽ち始めていく。
魔力の供給が断たれたことで蔦のドームも枯れ、ほどけていく……そして作りかけの城が崩れる前に猟兵たちは城の外へ脱出した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第2章 日常
『満天の星空の下で』
|
POW : 星空を全身で楽しむ
SPD : 星空を道具を用いて楽しむ
WIZ : 星空を風流に楽しむ
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●二章についてのお知らせ
一章へのご参加、ありがとうございます。
引き続き二章のプレイングの受付は予定通りに木曜の09月17日(木)からとなる見込みです。
途中参加も問題ありません。特に言及がなければ初めから居た扱いになります。
よろしくお願いいたします。
●取り戻した世界
「とても素晴らしい! あのオウガを倒してしまうとは」
旅の時計ウサギは猟兵たちを絶賛した。
続けて『魔法のウサギ穴』からヒトデ型の『愉快な仲間たち』が無重力の国から移動してくる。
「ああ、またここに戻ってこられるだなんて。ありがとうございます」
崩れた木造の城の周辺で働かされていた魚型や貝型の『愉快な仲間たち』も、猟兵たちにより次々と解放されいった。
「ありがとう。皆さん本当に、ありがとう」
しかし全てのオウガを倒せたわけではない。
このボスの部下たちがこの国の各地に居るはずだ。
魚とヒトデはこう言った。
「部下のオウガたちは異変に気付いたらやがて集団でここにやってくるでしょう」
「それまでに復興できるところまで復興させて、私たちの国を取り戻します」
彼らの話によると、オリジンの影響が消えた今この世界が楽しく愉快な空間になるほど『世界そのものが味方してくれる』様な脅威を退ける力が発生するらしい。
ぶくぶく海底の国。
けれど呼吸は出来る不思議な国。
空には綺麗な星が瞬いている。
復興の作業を始めよう。
村崎・ゆかり
ヒトデさんたちもお久しぶり。頑張って、一緒に復興させていきましょう。
笑鬼召喚。「拠点防御」を活用して、楽しくて有効な防御陣地を作りましょう。
ガチガチに硬い、チョコレートの防壁はどうかな?
物見櫓は必要よね。ゲーム感覚で、そこから射撃出来ればよし。
本丸はたっぷりのお菓子でデコレーションしましょう。
城壁の中には馬溜まりを用意して、乗騎になるお魚さんと騎乗するお魚さんの訓練を。
――うーん、どうにも発想が貧困だわ。アイデアが飛躍しない。
そうである以上、物理的に堅固な城塞を目指すしかないのよね。
オウガ達は泳いでくるだろうから、進行ルートの予測なんて出来ないし。
でも、海を泳ぐのはあなたたちの方が上手でしょ?
百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生
正義感が強く困っている人は見過ごせない
とりあえずなにか食べられるならよほどのゲテモノでない限り喜んで食べる
やっぱり病院のご飯よりお外で食べるもののほうがおいしいよ…
イベントなどでわちゃわちゃする場合も乗って動く
ボクこういうのはじめて!すっごく楽しみだな!
(ずっと病院にいたのでお祭りとかイベントごとはあまり遊べなかった)
あとはやることに対してわーきゃー喜んだり
アドリブ絡み歓迎
テト・ポー(サポート)
はいどーも、テト・ポーだよ。
ていうかおなかすいたしごはんやおやつ食べよ?
いいなら「空腹の充足」を使いながら【厳選おいしいごはん】や【お手軽レトルトパウチ】、【食料カバン】からいろいろ出して食べるからね。
あ、これは「暴食の堪能」でもいいかも。
もしくは、「食欲の使徒」で敵を食べてもいい。
人型の敵だから難しい? 【お気に入りレシピノート】で人型の食べ方はわかる。
食べちゃだめなら「食欲の主張」「暴食の飢餓」で暴れるから。
戦闘がなくて、探し物とかなら「食料の応援」でタピチャンに応援してもらおう。
……いや、モチベーション的な意味で。
とにかく、ごはんはすべてを解決する。
食べよう。
分けあうともっとおいしいよ。
マリオン・ライカート
&&&
・心情
故郷を取り戻す…
言葉とすれば単純だけど、そこに込められた想いは計り知れないね
・行動
やあ、ヒトデ君達
久し振りだね
元気だったかい?
一緒に楽しく愉快な世界を復興させようじゃないか
どういったコンセプトが良いかな…
…そうだ
空に綺羅星が瞬く様に、水の中にも星を瞬かせるのはどうかな?
「海の星」とも呼ばれる君達の国らしいと思うんだけれど…
明滅する星型の照明を沢山並べて…っと
折角だし立体的に配置したいな
大きさや明滅のタイミングも統一しない方が楽しいかな?
テーマは『天の川』だよ
空の天の川を泳ぐ事は難しいけれど、泳ぐ事が出来る天の川があったら素敵だと思うんだ
星の海ならではのものだと思うんだけどどうかな?
●取り戻した世界
「出発の時はちょっとドタバタしてしまったからね、改めて挨拶をさせてもらうよ。やあ、ヒトデ君達。久し振りだね、元気だったかい?」
マリオン・ライカート(Noblesse Oblige・f20806)は『魔法のウサギ穴』からやって来たヒトデ型の『愉快な仲間たち』へと声をかけた。
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)もまた、同様に声をかける。
「ヒトデさんたちもお久しぶり」
二人は過去にヒトデたちが無重力の世界へ引っ越す際の手伝いをしたことがあった。
残る者、逃れる者、それぞれの選択があっただろう……そしてヒトデたちは逃れる選択をしていた。
その逃れた先で猟兵たちとの縁が生まれ、その縁がいま故郷を取り戻すことに繋がったのだ。
再会を喜び合うヒトデたちと手足がある魚や貝たちを見てマリオンは微笑む。
(故郷を取り戻す……言葉とすれば単純だけど、そこに込められた想いは計り知れないね。彼らの希望を、未来へと繋げることができたことを喜ばしく思うよ)
「近くにいた手下は大体倒したよ。遠くに散っているやつに気付かれるまでは安全かな」
精霊属性を宿す魔法剣『ルーンソード』を仕舞い、百地・モユル(ももも・f03218)は周辺を見渡した。
サイボーグの身体に備わる『サイバーアイ』で敵の有無を確認したモユルは重力に任せてゆっくりと降りていく。
そんなモユルと一緒に脱力した感じでゆらーりと降りて来るのはテト・ポー(腹ペコ野郎・f21150)。
「はいどーも、テト・ポーだよー。持ってきたご飯を食べながらといっても、やっぱり暴れるとおなかがすくね。これでゆっくりごはんが食べられるかな」
この世界を支配していたオウガだけでなく、近場の手下たちもまた猟兵たちによって倒されていた。
各地に散っている手下が異変に気付いて集まってくるまで、しばらくの間は安全だろう。
「それじゃ、頑張って、一緒に復興させていきましょう」
ゆかりはそう言うと、白紙のトランプカードのような霊符『白一色』を取り出し式神を召喚した。
●材料はお菓子
『ガハハハッ!!』
子鬼の姿をした馬鹿笑いする式神の群が、崩れた城から木材や砂のレンガを引っ張り出していく。
それはゆかりがユーベルコード『笑鬼召喚』で呼び出した式神たち。
小鬼たちは素材を運び出しては新たな壁を組み立てていった。
その作業を見ながら、ゆかりはこの世界の『愉快な仲間たち』から聞いた話を思考の中で反芻する。
「この世界が楽しく愉快な空間になるほど『世界そのものが味方してくれる』……ね。襲撃に備えて防御陣地は作りたいのだけれど……」
ゆかりが作ろうとしているのは、物理的に堅固な城塞。
楽しく愉快な遊園地のような場所になれば防衛力は上がる。とはいえ……防衛の専用設備も欲しいとゆかりは考えていた。
それ故に、楽しく愉快にという条件がゆかりを悩ませる。
「――うーん、どうにも発想が貧困だわ。アイデアが飛躍しない。チョコレートの防壁にする? 物見櫓は必要よね。ゲーム感覚で守れるような……」
「チョコレート。良いね。ごはんはすべてを解決するよ」
ゆかりの一言に反応するテト。
テトは『食料カバン』からおにぎりを出してもぐもぐ食べていた。
本人曰く、周辺の海水の塩っ気が良い感じにごはんにしみて美味しいらしい。
けれど、そのチョコは壁に使うのだとはたと気づくとテトは残念そうな表情になった。
「けれど防壁にするなら食べちゃダメかー。うーん」
「材料が余ったら少し食べるくらいは良いんじゃないかしら。とりあえず材料のチョコの調達だけど……」
ゆかりは旅の時計ウサギをちらりと見る。
「お菓子の国に行けば調達できるでしょう。『魔法のウサギ穴』を開きますよ」
「ありがとう、助かるわ」
「僕も手伝うよ、荷物持ちなら怪力にお任せ。ついでにいろいろ味見できれば最高だね」
「たーぴ! たぴー!」
テトが召喚した生きたタピオカの『タピチャン』もどこか楽しそうに声を上げている。
「不思議の国だし、タピちゃんの友達も出来るといいね」
そう言い、テトは材料の調達のためにウサギ穴へと入っていった。
その姿を見送ったゆかりは、式神たちに新たな指示を出す。
「城壁の材料を変えるから木材やレンガは別の場所にまとめておいてくれるかしら。あと他に有効な防御陣地は……」
●海の星
楽しく愉快な空間に――聞く話によるとより楽しいことがより強固な守りにつながるらしい。
おそらくはそれが、オリジンの影響が無くなった本来のアリスラビリンスの性質なのだろう。
「どういったコンセプトが良いかな……」
マリオンは考えを巡らせた。見上げた空には、星の海。
(そういえば、あの無重力の世界のほうは月のみで、星は特に見当たらなかったな……)
月はこの海底の世界にもあるが、こちらでは天を満たすほどの星々がより印象的だ。
「……そうだ。空に綺羅星が瞬く様に、このあたり全てに『星』を瞬かせるのはどうかな? 海の様な星空が、そのまま海の中にも広がる……この国らしいと思うんだけれど……」
マリオンのアイディアに旅の時計ウサギが乗りかかる。
「では、輝く石の国へ行きましょう。そこから材料が調達できる筈です」
「助かるよ。それじゃちょっとボクは『星』を採取してこよう」
海藻を編んだ籠を手にマリオンがウサギ穴をくぐろうとしたところにモユルが手伝いを名乗り出る。
「荷物を運ぶなら、人数は多い方が良いよね。ボクも運ぶの手伝うよ! お祭りの準備みたいで、こういうのすっごく楽しいんだ」
「ありがとう、宜しく頼むよ。テーマは『天の川』なんだ。泳ぐ事が出来る天の川にしたいから、たくさん用意しよう」
「任せて! パワーには自信があるんだ」
ウサギ穴を通して光り輝く石を手に入れた二人は、それらを星形に加工していく。
「点滅する石もあったのは良かった。本当に、アリスラビリンスはいろんな世界があるね。あとはこれを水中に並べるだけだけど……」
「それなら、これはどうでしょう」
手足がある魚の『愉快な仲間たち』のひとりがマリオンへ話しかける。
彼が手に持つのは、風船のような海藻。
「この海藻に石を縛り付ければ、水中に浮かび上がると思います」
「ありがとう。確かにこれなら最適だ」
マリオンが風船のような海藻に点滅して輝く石を括り付けると、モユルがそれを手にとった。
「じゃあここからは飾り付けだね。すごくイベントって感じがする!」
●できあがる楽しい場所
ぶくぶく海底の国。
かつてオウガが支配し、お城が造られていた国。
けれどそのお城は崩れ落ち、お城だった木材や砂のレンガの山を中心にあたりはキラキラした空間へと変わっていくく。
「わー! すげー!」
海中に流されてぐるりとまわるモユル。
ウォータースライダーのようにくねくねと加速すると流れの無い場所へと飛ばされて、ゆらゆらと海底の砂に着地した。
その様子をゆかりと式神の小鬼たちが観察する。
「壁を利用した海流のウオータースライダー、悪くない出来ね」
それは泳いで来ると思われるオウガの手下たちに高所を取られないための、移動の妨害も兼ねた遊具。
手足がある魚たちや小鬼達から得た助言を元に、ゆかりが細かい仕様を詰めたものだった。
「笑鬼たちが作った壁で海流を制限してチューブの滑り台みたいな限定的な流れを作る……これなら、楽しさと防衛を兼ねられそうだわ」
遮蔽物の多い海底側にはチョコレートにクッキーや飴をデコレーションした壁の迷路、そして海中へと浮かべば海流のウォータースライダーが待ち構えている。
敵が攻めてきてもその進行ルートはだいぶ限定的になりそうだった。
「ごはんがおいしいのは良いことだよ、みんなも食べよう」
テトは建てられた屋台で提供される料理をもぐもぐ食べていた。
そこでは手足がある魚たちが、普通の形の魚を調理している。
猟兵たちからはほぼ同じ存在に見えるが……彼らが言うにはただの魚と『愉快な仲間たち』である手足が生えた魚は、人とタコくらいには明確に違うらしい。
そんな手足が生えた魚は、海底火山から採取できるという熱々の石を用いて串に刺した魚を茹でていく。
そこへはしゃぎすぎてお腹を空かせたモユルもやってきた。
「お外で食べるものはやっぱり美味しい……」
塩水で茹でられた魚をじっくり味わうモユル。テトはその様子を見ると口元を緩ませた。
「みんなで分け合って食べるシチュエーションも、美味しさの秘訣だね」
二人が魚を食べていると、手足の生えた貝が、果物に似た海藻を持ってきた。
どうやらこの世界独自の食材らしい。それはフルーティーで爽やかな味。
お菓子の迷路に海流のスライダー。空にはキラキラ輝く石が煌いて星の海を泳ぐことが出来る。
さらにはあちこちに屋台も出来て、遊んだら美味しいごはんも食べられる。
かつて作りかけの城が立っていた周辺はちょっとしたイベント会場のようになっていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第3章 集団戦
『トランプ兵』
|
POW : 『女王直々の召集令状である!』
【ハートの女王】から【の令状を読み上げ怒号】を放ち、【令状に従い組み付くトランプ兵】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : 『赤く赤く、染めねばなるまい!』
【ハートのスピア】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : 『――このままでは首を刎ねられてしまうッ!』
自身が【ハートの女王に対する恐怖】を感じると、レベル×1体の【ハートのトランプ兵たち】が召喚される。ハートのトランプ兵たちはハートの女王に対する恐怖を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●三章についてのお知らせ
二章へのご参加、ありがとうございます。
引き続き三章のプレイングの受付は予定通りに木曜の09月24日(木)からとなる見込みです。
途中参加も問題ありません。特に言及がなければ初めから居た扱いになります。
よろしくお願いいたします。
●そこは楽しい海底の国
ボスが居た筈の城が崩れ、連絡もつかない。
ボスに何かがあったのだ――手下であった『トランプ兵』たちは集結するとそのまま大群となり城があった場所へと押し寄せていった。
しかし。
「うわあああっ!?」
海藻が伸びて絡まり、海流が理不尽に押し流す。
さらには光る石がボコボコとぶつかり、世界そのものが彼らを妨害するような出来事が頻発した。
それは、楽しいことや愉快なものを壊す存在は要らないという意志を世界そのものが示しているかの様である。
ろくな連携が取れずひたすら翻弄される『トランプ兵』たち……。
世界に拒否されたオウガたちを完全に排除するため、この世界における最後の戦いが始まる。
村崎・ゆかり
この国を真に解放する時が来たわね。攻めてくるオウガは、一人残らず討滅する。
最前線は任せて。それからあたしが戻ってくるまで、戦場に近づかないように。
城壁の上に陣取って、「全力魔法」「高速詠唱」酸の「属性攻撃」「範囲攻撃」「結界術」で広範囲に紅水陣を展開。
地上だと血の雨になるけど、ここだと水自体が変質するのね。
あたしは「オーラ防御」と「環境耐性」で酸を無効化して、強酸に苦しむトランプ兵を薙刀の「なぎ払い」で片付けていくわ。
酸性化した海水は「結界術」で外に漏れないようにしておいて、戦闘が終わったあとに「浄化」で無害にする。この国に戦いの傷痕を残すわけにはいかないものね。
これでめでたしめでたしと。
姫神・咲夜(サポート)
桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。
あとはおまかせです。よろしくおねがいします!
マリオン・ライカート
&&&
・心情
世界が味方…か
こう言った要素は敵に回ると厄介だけど、味方になってくれるのはとても心強いね
さあ、行こうか
『自由を我らに!』
・行動
<真の姿を開放>
再び『ドレスアップ・プリンセス』で変身するよ
飛翔能力を活かして水中を舞い、「Saint-Esprit de Lune」の【砲撃】を推進力とした【ランスチャージ】と、強化された「秘心:Obscurite」でヒット&アウェイだ
追ってくるトランプ兵は【砲撃】で迎撃しよう
折角世界が味方をしてくれるのだから、光石の天ノ川地帯を活用したいところだな
…そうだな、天ノ川に誘い込めば私は自由に戦えるが、数が多い敵は動きを封じ込められそうだ
君達の国に平和と自由を
アラン・スミシー(サポート)
基本突然現れて仕事を終えたら去っていく人物です。
基本的に【乱戦】か【銃撃戦】での援護がメインとなります。
他の猟兵の手の足りない所に現れては銃で攻撃し、気を引いたり足止めをしたり敵の頭数を減らしたりします。
説得や交渉等が必要ならなんか良い感じの言葉を言います。
例:君の正義は分かった。しかしその正義は君を救ったかい?
ユーベルコードのセリフを参照し、MSの言って欲しい都合の良い言葉をアレンジしてやってください。
大体無意味に格好いいこと言ってます、割と適当に。
状況次第では不意打ちとかもするかもしれません。適当にお使い下さい。
ハズキ・トーン(サポート)
「仮面って邪魔だよねぇ」
どこか暢気な話し方をする、仮面をつけた男です。別に仮面が外れようが気にしません。邪魔ならすぐ外します。仮面は帽子感覚。
攻撃する。という行為が驚くほど苦手な為、野生の勘やら逃げ足やらを駆使して避けつつ、
『生まれながらの光』で負傷者等の救助を優先とした行動が多め。
回復の必要がなければ他UCも使用します。
説得で回避できるならば話し合いを試みます。
自身の多少の怪我は厭いません。
あとはおまかせします。連携歓迎。
リリスフィア・スターライト(サポート)
優しく術が得意な人格のフィアとして行動
アドリブOK、NG行動はなし。
他の猟兵達との連携も可。
天体破局で大洪水を引き起こして
敵対する者達を洗い流しますね。
1体でも多く巻き込めて、仲間が被害を受けない
タイミングを狙いますね。
敵に近づかれましたら術の発動まで防戦に徹して凌ぎます。
ピンチの仲間がいましたら、積極的に援護します。
苦しい状況に陥っても諦めずに活路を見出しますね。
「せめて苦しまないように・・・」
「これぐらい大丈夫です!」
●残党の襲来
水の流れが変わった。
頭上にまたたく天の川のような石たちの明滅が激しくなり、その石を括り付けた風船のような海藻が浮き沈みを始める。
そんな海藻たちのざわめきに姫神・咲夜(静桜・f24808)が気が付いた。
「何か……良くないものが来ますね」
桜などの植物とは違うけれど、綺麗な景色を好んで山や森を訪れることが多い咲夜。死霊術士としての能力も合わさり彼女は物言わぬ存在の訴えに比較的敏感だった。
お菓子の飾りつけを手伝う手を止めて海中に目を凝らすと、そこにはこちらへ向かってくる『トランプ兵』たちの集団の姿がある。
そのオウガの群れの接近にハズキ・トーン(キマイラの聖者・f04256)もまた野性的な勘でいち早く気づいてた。
「おやまぁ、あの様子では説得で回避……と言うのも難しそうですね」
ハズキはそう呟くと復興の手伝いの手を止め、気分を変えるために仮面を付け替えた。
この海底の国を支配していたオウガを倒して周辺の復興を進めたならば、迫りくるのは部下のオウガたち。
彼ら『トランプ兵』は上司にあたるオウガの、さらに上の存在に脅えていた。
「なんてことだ。ハートの女王さまにケット・アヴァロンさまを補佐するよう言伝を受けていたというのに――このままでは首を刎ねられてしまうッ!」
そのハートの女王は、すでにオウガ・オリジンに戯れに殺されもうこの世には居ない――しかし刻み込まれた恐怖が『トランプ兵』たちを突き動かしていく。
けれどもかれらの進軍は、伸びる海藻や渦巻く海流などに阻まれ思う様に進まない。
それはまるで、世界そのものがオウガに敵対しているかの様である。
「世界が味方……か。こう言った要素は敵に回ると厄介だけど、味方になってくれるのはとても心強いね」
不思議な現象に翻弄される『トランプ兵』たちの様子を見たマリオン・ライカート(Noblesse Oblige・f20806)はそう呟く。
敵の数は多く、けれどこの地に訪れた猟兵たちがすでに対処に動き始めていた。
それは大まかに四方向。
マリオンは天の川方面から迫る敵へ向うと、ユーベルコード『ドレスアップ・プリンセス』でその姿を変えた。
「さあ、行こう。『自由を我らに!』。そして君達の国に平和と自由を」
●始まる最後の戦い
「最後の仕事だね」
電脳ゴーグル『フェイス・ワールド』を通して迫る『トランプ兵』たちを確認したリリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)はゴーグルを額へ上げた。
「フィア、お願いだよ」
リリスフィアがもうひとりの自分に語りかけると、人格を入れ替えるキー『カラーコード』によってその姿が変わっていく。
「任せてください」
……髪は金のショートから銀のロングへ。服装も活発な印象を与える動きやすい服からレースの装飾が多い服へ。
『フィア』は向かい来るオウガたちの集団に向けて得意の術を放つ準備を進める。
「唸れ雷光、轟け嵐、渦に飲まれ――」
『フィア』の詠唱と共に海中に渦が生まれ始めた。
「――全てを灰燼に帰せ! ……せめて苦しまないように!」
生み出された渦が『トランプ兵』たちを巻き込んでいく。
それはユーベルコード『天体破局』の力……属性と自然現象を合成したその現象が、世界を味方につけてより強力な自然現象として周辺の『トランプ兵』たちを巻き上げていった。
そんな中でも渦から逃れて海底の岩に張り付きながらジリジリ前進する『トランプ兵』も居た。
「こんなことで……ぐわっ!?」
しかし渦を避けて岩を伝う『トランプ兵』は、先に仕掛けられていたトラバサミやバネなどの仕掛け罠に襲われる。
「妨害の罠を仕掛けさせてもらったよ。私は攻撃という行為がどうも苦手だからね」
ハズキはそう言いながら、後方へと下がりながらユーベルコード『レプリカクラフト』を用いた罠を追加で設置していく。
「さて、罠を事前に仕掛けられるのもこの辺りまでですね。もしもここまで敵がたどり着けたら、その時はどうしましょうかねぇ」
そう呟きながら、ハズキは罠で跳ね上げられた『トランプ兵』が渦に巻き上げられていくのを眺めていた。
リリスフィアとハズキが対処する方角とは別の方向。
そこでは迷路の入口の壁の上に村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)が陣取っていた。
「この国を真に解放する時が来たわね。攻めてくるオウガは、一人残らず討滅する」
ゆかりは白紙のトランプカードのような霊符、『白一色』を手に術式を展開する。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん――」
展開されるのは強酸のモヤ、それは絶陣の再現。
●酸のラビリンス
海底の世界に散っていた『トランプ兵』たちが今、集結して全戦力で猟兵を倒そうとしていた。
けれど海底の国は本来の姿を取り戻しつつある……そのためか、まるで世界に意志があるかのようにオウガを妨害する不思議な自然現象が多発していた。
「――我が呼びかけに応え、世界を真紅に塗り替えよ!」
ゆかりのユーベルコード『紅水陣』によってあらゆるものを腐蝕させる赤いモヤが展開された。
するとその能力を助けるように周囲の海流がうねり、『トランプ兵』たちを包んでいく。
「よ、鎧が溶ける……!」
モヤから逃れようと散り始める『トランプ兵』……しかしその進路は透明な壁に阻まれた。
それはアラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)によるユーベルコード『ガラスのラビリンス』。
「まだ帰るにはまだ早いんじゃないかい? パーティーは始まったばかりだ、もうすこしゆっくりしていってくれ」
芝居がかった口調で話しながら、アランは腰掛けていたお菓子の壁から立ちあがるとゆかりへ軽く手を振る。
「やあご同輩、調子はどうだい? ……まあ私が何もしなくても『この世界』が逃がすとは思わないけれど。それは、それだ」
アランは海流の流れに身を任せてガラスの迷路の出口の方へと向かっていった。
「この迷路は人生ほど複雑じゃあないからね。すぐにゴール付近の開けた場所に出るだろう。さあ、『仕事』を進めよう」
透明なガラスで出来た迷路の中は海水が無く、独自の空間になっている。
「あたしは結界で術式の範囲を区切れるし、他にも対抗する手段があるから酸を無効化できるけど……あなたはどうする?」
オーラも重ね、酸のモヤに対する対策をしたゆかりはアランに尋ねる。
すると彼は肩をすくめ顔を横に振った。
「そこはなんとか立ち回ってみるさ。私は銃撃戦がメインになるから赤いモヤに突っ込むこともあまりないだろうし。けれど、もし気にかけてくれるなら私にも結界を分けてもらえると嬉しいね」
「オッケー、じゃあこれを渡しておくわ」
ゆかりは術式の効果を区切る結界の霊符をアランへ渡す。
「ありがとう。これで愛用のコートがボロボロにならずに済みそうだ」
「それじゃあ、この辺にも酸の結界を張るわ」
入口のないガラスの迷路。その唯一の出口に繋がる広間でゆかりは再び紅水陣を展開した。
すると大広間の中が再び赤いモヤで満たされていく……。
酸に苦しみながら出口へと向かう『トランプ兵』たちがガラス越しに絶望の表情を見せていた。
●トランプ兵への追撃
「結界の調子も良い様だ、これなら乱戦でも動ける」
あらゆるものを腐蝕させる赤いモヤの影響が無い事を確認すると、アランは懐からショットガンを取り出して構えてみせる。
「怪物退治にはこいつが都合がいい。これが活躍する姿をスクリーンで何度も見たよ」
ちょうどその時、『トランプ兵』たちが迷路を抜けてきた。
「とても良いタイミングだ。早ければ準備が慌ただしくなっていたし、遅ければ私のお喋りが止まらないところだったとも」
アランに続きゆかりも武器――薙刀の『紫揚羽』を手にした。
赤い酸のモヤに満たされたガラスの迷路。
そこはまるで切り取られたような海中に出来た水の無い空間。
酸に苦しみ出口を求める『トランプ兵』たちを相手に、ゆかりはアランの援護を受けながら薙刀をなぎ払って倒していく。
「この酸も戦いが終わったら浄化で無害にする。オウガももちろん倒す。この国に戦いの傷痕を残すわけにはいかないものね」
(いい感じ。こっちはこのまま倒していけそうね)
戦いの最中、ゆかりはガラスの壁越しに他の戦場をちらりと見る。
そこではリリスフィア――の人格のひとつ『フィア』が放つ海の渦が『トランプ兵』たちの数を減らしており、今は渦を逃れた少数を相手している様子だった。
そこではハズキが『トランプ兵』たちの注目を集めている。
「どうでしょう、このあたりでこの国から完全に撤退してみては。ほら痛いの嫌じゃないですか」
戦いが苦手なハズキは、『フィア』が放った海流の渦で敵の数が減ったこのタイミングなら戦いを回避できるのではないかと声をかけていた。
同様に、なるべく苦しませずに倒そうと考えていた『フィア』もハズキに賛同して攻撃の手を止めていたのだが――。
「そのハートマーク素敵ですね。ハートマークのみだと13種類なのでしょうか。キングやクイーンを除けば10種類? 痛っ。突かないでください、痛いです!」
亡きハートの女王に刷り込まれた恐怖の方が上回る様で、『トランプ兵』たちは不利を理解しながらも攻撃の手を止めずハズキを狙っていく。
そんな槍の突きから逃げながらも喋り続けるハズキ。
このままではハズキが危ないと判断した『フィア』はこの一帯に残った残党の各個撃破をもう一人の自分に託した。
「リリス、お願いします……!」
人格を入れ替えるキー『カラーコード』によりリリスフィアの姿が再び変化していく。
……髪は銀のロングから赤みを帯びたロングへ。服も動きやすく、スマートにまとまったモノへ。
「任されたわ」
緋色に輝く魔剣が振るわれた……その一閃はハズキを追いかける『トランプ兵』を一体、また一体と両断していく。
●海の星空の中で
四方向からくるその物量に対し猟兵たちがそれぞれ対応していた。
一方はゆかりとアランが。もう一方はリリスフィアとハズキが。
別の方面もボスとの戦いや復興の作業で共に過ごした猟兵たちが対応している。
そして最後に残る、光る石がちりばめられた天の川の一帯ではマリオンと咲夜が対応していた。
ユーベルコード『ドレスアップ・プリンセス』でドレス姿となったマリオンは真の姿となり、斧槍の『Saint-Esprit de Lune』を手に海中を飛翔する。
(折角世界が味方をしてくれるのだから、この天ノ川地帯を活用したいところだな)
マリオンは斧槍による精霊砲の砲撃を『トランプ兵』たちへ浴びせこちらに注目を向けると、風船のような海藻に括り付けられた浮く光り輝く石がぷかぷかと浮く、天の川の様な一帯の奥深くへと誘い込んでいった。
「待て……! くっ、石が邪魔だ」
マリオンを追う『トランプ兵』たちはこの石の体当たりで移動を妨害されて、集団を活かせず次第にただの塊となっていく。
「そろそろ頃合いだな……ここだ!」
マリオンは斧槍の精霊砲を推進力として方向転換をすると、そのまま武器を構えて加速し敵の塊へと突進していった。
この一撃で輝く石の川の中へと散っていく『トランプ兵』たち。
しかし、何体かがやられてしまったがこの突撃を逆に好機と見た『トランプ兵』が反転するため速度を落としたマリオンを狙う。
「くっ……チャンスをみすみす逃すとは」
その動きは輝く石によって妨害され、そして……。
「場は整った様子ですね。であれば、私もお手伝いしましょう」
咲夜のユーベルコード『リザレクト・オブリビオン』によって召喚された死霊が『トランプ兵』を襲った。
死霊の騎士が跨る蛇竜が身をくねらせて海中を優雅に泳いでいく。
咲夜は海藻に守られながら召喚した死霊へと力を注いでいた……味方となった世界が起こす現象でも埋めきれない数の差。その最後の一手を咲夜の死霊が補う。
●不思議の国に嫌われたオウガたち
オウガの『トランプ兵』たちを妨害するように動く輝く石たち。
その石のひとつひとつが咲夜の召喚した死霊とマリオンの邪魔にならないように動いていた。
「平和的な解決が出来れば良かったのですが……あちらの攻撃の意志は固い様子。戦わざるを得ないというのならば、躊躇はしません」
戦うという選択しかないことに胸を痛めながら、咲夜は死霊の力を借りて『トランプ兵』を打ち倒す。
マリオンの砲撃を推進力とした一撃離脱の動きが敵をかき乱しており、敵の隙を突くのは容易かった。
時おり天の川の様になっている輝く石の一帯から抜け出した『トランプ兵』が咲夜を狙うが、彼らは咲夜を守る様に伸びる海藻に絡めとられ無力化されてしまう。
「まるで呪いや祟りの様……あなた達はよほどこの世界に嫌われているようですね」
やがて死霊の蛇竜と騎士が追い付き敵を両断した。
これほどまで明確に世界に嫌われた彼らは、この世界で、愉快な仲間たちの命をどれほど奪ったのだろうか。
もしかするとすでにアリスも犠牲になっているかもしれない……。
失われた命の無念に咲夜が思いを馳せていると。
「――これで、ラストだ!」
マリオンの槍が最後の『トランプ兵』を貫いた。
●解放された海底の世界
猟兵たちの活躍によりこの海底の世界はオウガの手から完全に開放された。
脅威が無くなり、薄暗かった海底の世界が明るくなっていく……それは頭上の星々の輝きを受けキラキラと輝く様だ。
倒れた『トランプ兵』が骸の海へと還り消えていく傍らで、星々の光に照らされた岩の隙間から花のような赤い珊瑚が頭を覗かせていた。
オウガ・オリジンも倒れ、オウガたちはその勢力を後退させている……潜む脅威が動き出すまではつかの間の平和が訪れるだろう。
猟書家たちが動き出す前に、どれほどの世界を取り戻せるだろうか?
……この世界での猟兵たちの戦いはまだ終わってはいない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴