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カネ食う虫も好き好き

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「ああ、これも駄目になってしまったか」
 アックス&ウィザーズの小さな村で、男がぽつりと呟いた。彼の手の中には数枚の金貨があったが、そのどれもがボロボロになっている。
「村長さんに相談してみましょう。魔法とかで直してもらえるかもしれないし」
 彼の妻と思しき女が励ますように言う。自分達ではこの金貨はどうしようもないのだから、上の者に頼るのが筋であろう。
 二人は家の中に金貨を置いて、早足で村長の元へと向かう。少し心配ではあったが、ボロボロになって価値を失った金貨を盗む者などいないだろうし。
 しかしそれは検討違いだった。家の中に何かが忍び込んだのだ。
「愚かな村人よ、ワシにとってはこれも価値がたっぷりよ」
 大きな動物の骨を被った男が、夫婦の置いていった金貨を片手にほくそ笑む。
「このまま続けていけばこの村は財を失い痩せ細る。略奪の時が楽しみじゃ」
 金貨を懐にしまい込み、不気味な笑い声をあげながら男はどこかへ消えていく。その時に小さな虫を村の中に落としていったが、その虫に気付く者はまだ現れなかった。


「大変だよ、アックス&ウィザーズで事件だよー!」
 グリモア猟兵のユェン・ウェイ(M.Y.W・f00349)が慌ただしく告げる。集まってきた猟兵へ資料を渡していき、一段落すると改めて皆へ向き合った。
「えっと、改めて。集まってくれてありがとう。今回はある村をオブリビオンから守って欲しいんだ」
 鹿の耳を揺らしながら話すユェン。彼女が渡してきた資料には小さな村の地図が載っていた。
「この村で最近『金を使った物がボロボロになって数日のうちに消える』って事件が起きてるんだ。アクセサリーとかも消えているそうなんだけど、一番たくさん消えているのは金貨だね。ボロボロになったのを肌身離さず持っていても、いつの間にか消えるようになって……原因はこれなんだ」
 ユェンは別の資料を提示しだす。そこには黄金色の小さな虫の写真が。
「金食い虫って言って、お金を勝手に食べちゃう虫なんだ。これ自体はオブリビオンじゃないんだけど……これを使ってお金を盗んでいってるオブリビオンがいるみたい」
 どうやらそのオブリビオンは人々からお金を盗み、徐々に村を弱らせていったところで配下と共に攻め込み略奪を行うつもりらしい。
 それを防ぐにはまず金食い虫による村への攻撃をやめさせる必要があるようだ。
「金食い虫が仕事をしなくなれば、しびれを切らしたオブリビオンから襲ってくるよ。その時に返り討ちにしちゃおう!」
 腕をぶんぶんと振りながら言うユェン。お金を盗む卑怯なオブリビオンに怒り心頭を発しているようだ。
「それで、金食い虫なんだけど……ともかく駆除していくしかないみたい。小さな虫だけど皆がしっかり観察すれば見つけること自体は難しくないよ。黄金色でちょっと目立つしね」
 金食い虫を退治するには地道に駆除していく、生態を研究して罠を作る、巣を探して一気に駆除する等様々な方法を取ることが出来る。
 最終的に駆除しきるか村から追い出しきればいいから、方法は皆に任せるよとはユェンの言だ。

「ああ、それと問題のオブリビオンなんだけど……金に目がない山賊の頭目みたい。配下としてモンスター化した山賊達を従えているよ。何にせよ悪いヤツだから思いっきりぶっ飛ばしちゃって!」
 再び腕を振りながら話すユェン。そのまま転移の準備にも入りはじめた。
「ああ、そうそう。報酬として金貨を何枚かくれるそうだよ……もちろん金食い虫に噛られてないものをね」
 最後に少し悪戯っぽく告げるユェン。
 村の平和だけでなく報酬の金貨を守るためにも、猟兵達は問題の村へと転移していった。


ささかまかまだ
 こんにちは、ささかまかまだです。
 今回はアックス&ウィザーズを舞台にした事件です。
 お金を盗んでいくような卑怯な盗賊達を頑張って退治していただければと思います。

 このシナリオではまずは【金食い虫】の退治から始まります。
 金食い虫の詳細なのですが、今回のシナリオでは「黄金色のカメムシのような虫」として扱わせていただきます。詳しい生態等は必要に応じて調査していただければと思います。
 2章では山賊との集団戦、3章では頭目とのボス戦が待ち構えています。
 オープニングでも言いましたが、悪い奴ですので思い切り倒してやって下さい。

 それでは今回もよろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『お金はごはんじゃありません』

POW   :    出てきた【金食い虫】を片っ端から駆除する

SPD   :    研究のために【金食い虫】を出来るだけ捕獲してみる

WIZ   :    【金食い虫】の巣や卵などがないか情報を集め、調査する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ビジュ・ラマン
「オ゛ォ゛……」

……この虫はただ生きているだけ。生態を悪用し、己が私腹を肥やすなど、嘆かわしいことだ。
嗚呼、許してくれ、小さき虫よ。
身勝手極まりない行動だが──明日を生きる者達の未来が奪われる事は看過できないのだ。

幸い、私の「視界(め)」は広い。虫を見つけるのが少しは楽になるだろう。
基本的には、己が肉体を拳に変化させて、衝撃波、なぎ払い、範囲攻撃などで出てきた虫を押し潰し一掃しよう。
村や農作物に被害が無いと判断できれば、グラウンドクラッシャーを使用する。

この見た目では、同業者及び村人達との会話は殆ど不可能であろう。
もし、声をかけられれば、駆除に協力したいところであるが──




 金食い虫、この虫達はただ生きているだけ。生態を悪用し、己が私腹を肥やすなど、嘆かわしいことだ。
 ブラックタールの男、ビジュ・ラマン(汚れた手・f02437)は悲しげな表情を浮かべつつ村を訪れた。
 日はまだ高く遠くに村人の姿が見える。彼らと協力すべきか迷ったがまずは一人で行動する事にした。猟兵は世界の加護を受けているため、自らの姿で住民に違和感を与える事はない。だがそれでも同業者は怖がらせてしまうだろう。
 ビジュはどろどろとした黒水により形成された身体を震わせ、身体中についた目で金食い虫を探していく。自分の身体は好きではないが、今この瞬間は「視界(め)」の広さが有難かった。

 しばらく村を動き回ると、虫達が何匹も潜んでいる岩場を発見出来た。
 嗚呼、許してくれ、小さき虫よ。今から私が行うのは身勝手極まりない行動だが──明日を生きる者達の未来が奪われる事は看過できないのだ。
 心の中で懺悔の言葉を呟きつつ、ビジュは自らの身体を巨大な拳へと変形させる。『汚れた手』を形容しているそれを虫達へと振り下ろせばあっさりと彼らは押し潰される。悲しい行為だ、だがやるしかない。
 ビジュは村の隅を移動し更に虫を探していく。自らの身体を何度も振り下ろし、時に『グラウンドクラッシャー』を使って徹底的に。
 日が傾く頃にはかなりの数の虫を駆除していた。

「あんた、冒険者かい?」
 後ろからふいに声をかけられた。声の主は村人のようだ。ビジュは身体をビクンと震わせ、声の方へそっと振り返る。
「オ゛ォ゛……ア゛ァ、冒険者、です」
 世界の加護があるとはいえ、ふとした瞬間に彼を怖がらせてしまうかもしれない。ビジュにはこう応えるのが精一杯だった。
「村長さんから話は聞いてるよ、ありがとう疲れたらうちで休んでくれよ」
 じゃあな、と手を振って村人は去っていった。なんとか会釈を返し、ビジュも再び金食い虫探しに戻っていく。
 胸の内には彼を騙してしまったような罪悪感と、どこか充足した気持ちが湧き上がってくる。
 不思議な気持ちを抱えつつ、ビジュは更に虫探しに勤しんでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アズール・ネペンテス
【選択:SPD】
金を食う虫ってのは頂けねぇ…まぁ生態的なもんっていうならしゃあねぇけどよ。駆除…するのもいいんだがこの手の生物に対して研究して論文だかなんだか書く学者ってのもいそうだしそれはそれでそいつらに売りつけりゃ金になるだろうから(ここ重要)

いっちょ柄になく真剣に捕獲してやろうかね…
ともすりゃあよ。一番捕獲にもってこいなのはおびき寄せて一網打尽だからポケットマネーから金貨を出して囮に使うのが一番だな

それ蟻んこの如く寄って来いってんだ




「金を食う虫ってのは頂けねぇ……まぁ生態的なもんっていうならしゃあねぇけどよ」
 ヒーローマスクの男、アズール・ネペンテス(禁忌の成果・f13453)はどこか不機嫌そうな雰囲気を出しながら呟いていた。シーフであり実はレア物ハンターでもあるアズールにとって「金を食い荒らす存在」というのは非常によろしくない。敵である。
 だがそんな虫達にも利用価値自体はあるはずだ。この手の生物に対して研究して論文だかなんだか書く学者ってのもいそうだし。
 ならば自分がすべき事は単純だ。金食い虫をたくさん捕まえ学者達に売りつける。村から報酬は貰えるし、学者達からもお金が貰える。一石二鳥の良いアイデアだ。
 そうと決まればやることは一つ、金食い虫の捕獲を始めるためにアズールは自分の懐を確認し始めた。

「一番捕獲にもってこいなのは……これだな」
 アズールが手にしているのは一枚の金貨。大事なポケットマネーだがこれを使うのが一番だと判断し、地面にとりあえず金貨を置いた。そしてその周りに虫を捕獲するための虫かごを設置すると、近くの茂みへ身を潜めた。遠くからでも紐を引けば虫かごの扉が閉まる仕掛けになっている。
 今日の彼はいつになく真剣だ。金貨を使ってまで行う作戦だ。成果と報酬に対する期待は大きい、気合を入れて捕まえなければ。
 そんな事を思いつつ罠を観察していると、一匹の金食い虫が金貨の方へと飛んできた。しばらくすると別の虫も飛んでくる。
(そうそう、それ蟻んこの如く寄って来いってんだ)
 おびき寄せが順調に進んでいるのを確認し思わず笑みがこぼれる。だが大切なのはこれからだ。
 罠から繋げてある紐を勢いよく引けば、虫かごの中に金貨ごと虫達を入れる事が出来た。虫達はそんな事に気付かず金貨を齧り続けている。
「よしよし、あとはこれを持っていくだけだな」
 虫かごを回収しアズールは嬉しそうだ。喜び勇み村へ報告に行くと村人たちが大喜びしてくれた。
 まずは虫達の退治の報酬を受け取り満足げな笑みを浮かべるアズールであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

コトト・スターチス
課金はてきどにがモットーのコトトです!
どの世界でもおかねはだいじですから、ワルモノのたくらみは必ずそししますっ!

虫のあいてはバーチャルMMORPGでなれてますから、ぼくは巣を見つけたいです!(WIZ)
まずは村人のみなさんに金食い虫の被害について話をききますね
(コミュ力にて信用を得てから情報収集)
被害がおおい所や時期をしらべて、特に最初のころに食べられた場所のちかくで、人目につきにくいところを中心に調べはじめますね
巣を見つけたら、ジャッジメント・クルセイドか、もし身近なアイテムで殺虫剤をつくれたら使います!
(情報収集・医術・世界知識を活用)
食べられた金の回収がすこしでもできそうなら試してみます!




 バーチャルキャラクターの少女、コトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)は使命感に燃えていた。
 課金はてきどにがモットー、どの世界でもおかねはだいじ。ワルモノのたくらみは必ずそししますっ! そんな心意気で件の村に訪れていた。
「こんにちはっ! この村でこまっている事があるって聞いておてつだいに来ました!」
「こんな小さな子も冒険者をやっているのかい? 大変だねぇ」
 まずは情報収集のために村人へと声をかけたコトト。自前のコミュ力も相まって村人達からすんなり話を聞く事が出来た。
 最初に被害が出たのは村の東、酪農を営んでいる夫婦の家だった。そこから徐々に被害が広まり、今では村全体に被害が出ている。雨が降った日は特に被害が大きくかなりの数の金貨が齧られてしまっているようだ。
 コトトはこれらの情報を元に虫の巣を探す事にした。バーチャルMMOでも虫の退治はよくやっているし、巣の退治だってやっている。ゲーム好きの彼女らしい考え方だ。

 夫婦の家の近くまで移動すると今度は物陰や建物の裏を観察していく。人目につかない場所に巣があるだろうという推察だった。
 実際コトトの考えは当たっており、大きな岩の下の方に巣と思しき物体が存在していた。中を見ると金食い虫が巣食っているのも確認できる。
 巣を発見出来たならあとはそれを駆除するだけ。猟兵としての力の見せ所だ。
「それじゃあ……やりますよっ」
 気合を入れて『ジャッジメント・クルセイド』を発動。巣へビシっと指を向けると、眩い光が落ちてくる。天からの光により巣は駆除されていき、虫達が拾っていたであろう金貨だけがその場に残った。
 金貨はかなり齧られているがそのまま捨てるのは勿体無い。
 コトトはそれらをいそいそと回収して村人へ返していく。村人達は大喜びだ。
「おかねはだいじですからねっ! こまったらまた呼んでください!」
 にこにこ笑顔で話すコトトを見て、村人は更に笑顔になった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイル・コーウィン
き、金貨を食べちゃうなんて、なんて恐ろしい虫なの……!?
硬貨のヤドリガミとして、これは由々しき事態よ! 早急に対処しなくちゃだわ!

私は虫には詳しくないから、出来るだけ捕獲する事に専念するわね。
とにかくしらみ潰しに探して、見つけたらピンセットで掴んで瓶の中へと入れて、後で詳しい人の元へと持って行きましょうか。

え? 直接手で捕まえないのかって?
金貨を食べちゃう虫を素手では、ちょっと……。
いえ、私の本体は銀貨だし、手で触れるだけなら平気なのは分かってるけど、やっぱり気分的にね?

あら、こんな細い溝に金貨が落ちて……ひいぃっ!? 金貨を食べてる!?
わ、私の前で硬貨を食べないで!! この虫でなし!!




「き、金貨を食べちゃうなんて、なんて恐ろしい虫なの……!?」
 ヤドリガミの少女、アイル・コーウィン(猫耳トレジャーハンター・f02316)は恐れおののいていた。
 アイルは銀貨のヤドリガミ。そんな彼女からすれば自分と似た存在を食べる金食い虫はとても恐ろしい、由々しき事態!
 ならば早急に対処しなくちゃだわ! そんな気持ちで準備を進めていた。

 まずは『レプリカクラフト』によりいくつもの道具を作り出し、万能ポーチへしまっていく。ある程度の数が用意出来たら行動開始だ。
(私は虫には詳しくないから、出来るだけ捕獲する事に専念しようかしら)
 用意したピンセットをカチカチと鳴らしながら虫を探すアイル。耳と尻尾をゆらゆら揺らしながらの探索だ。
 虫達を見つけたら捕獲、小瓶に入れて持ち帰っていく。
 捕まえた虫はあとで学者の元へと持っていくつもりだ。更に捕獲していくだけでも村から報酬が貰えるらしい。
「悪い虫はやっつけられて、報酬も貰える。良い事ね!」
 嬉しくて思わず笑顔になるアイル。ちょっと手を上げてみて……指先が虫に触れそうになった。
 きゃあ、と思わず悲鳴を上げてしまう。虫が嫌いだからではない、これが金食い虫だったからだ。
 勿論自分は人の姿を取っていて、更に元々は銀貨だ。金食い虫に手で触れるくらいなら問題はないが……。
「やっぱり、気分的にね?」
 思わずため息をつくアイル。しかし彼女の受難は更に続く。

 村の側の細い溝、シーフの彼女からしたら見逃せない場所があった。
 その予想は正しく、溝の中には一枚の金貨が。
「これも拾っておけばいいわよね……ん?」
 思わず金貨に手を伸ばしたアイルだが、どうも様子がおかしい。その金貨には既に何匹かの金食い虫がくっついている。彼らが金貨を齧っていたのだ。
「ひいぃっ、金貨を食べてる!? 私の前で硬貨を食べないで!! この虫でなし!!」
 涙目になりながら金貨から手を引くアイル。だがきちんとその虫達も捕獲していった。
 こうして悲惨な状況を目にしつつもしっかりと虫達を持ち帰り、きちんと報酬を貰って一安心のアイルだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

花巻・里香
先ずは宝石の体を隠すように人間の姿に変装しておきましょうか
後々利用できるかもしれないしね

私は【魅惑の外装人形】によるフェロモンで周辺の動物や虫達を誘き寄せ、金食い虫について話を聞いてみましょ、虫達も動物だものね。
金食い虫そのものを誘き寄せた、あるいはみつけられたならフェロモンによる対象を自由に操る魅了と金貨で金食い虫を誑かし、その暮らしぶりや苦手なもの聞き出して巣や卵を潰しに行くわね。
聞き出したことを村の人に伝えれば、今後の対策にもなるでしょ。

…金食い虫達を魅了し操る姿は犯人扱いされるかもしれないけれど、その時はその時、色仕掛けで堕としておきましょうか




 クリスタリアンの少女、花巻・里香(クリスタリアンの人形遣い・f05048)は人間の姿に変装しながら村の近くへと訪れていた。
 彼女が今纏っているのは『魅惑の外装人形』だ。ユーベルコードによって生み出されたその人形からは強いフェロモンが放たれており、まずはこれを使って調査を試みるのだ。
「まずはこれで……さあ、どのくらい集まってくれるかしら」
 フェロモンを放ちながら村の近くを歩き回ると、彼女の側に動物や虫達が集まってきた。村の犬や猫、野生のネズミ、蟷螂達……里香がふっと微笑むと、表情の見える生物達がドキリとする様が伝わってきた。フェロモンと動物会話の技術により彼女は一瞬で彼らを従える事が出来たのだ。
「貴方達、金食い虫の事は知っているかしら?」
 彼女の呼びかけと共に何匹かの動物や虫が飛び出し、あっという間に戻ってきた。金食い虫を捕まえてきてくれたのだ。
 里香は他の生物と同じように金食い虫を魅了し情報を聞き出しにかかる。
「貴方達について教えて欲しいの。どんな風に暮らしているかとか、好きなもの嫌いなもの……私に教えて?」
 金食い虫達はすぐさま情報を吐いてくれた。雨が降ると動きやすい、一番大きな巣は村の倉庫の後ろなどなど。十分な情報を引き出せたのを確認し、里香は彼らへ労いの言葉を投げかけた。
「おかげで上手く仕事が出来そうよ。ありがとう」
 彼女はすぐさま倉庫へと向かい大きな巣を発見した。そこへ向かって『フォース・ストリング』を放ち糸を引くと、巣とその中身は一瞬で崩れ落ちる。
 残酷かもしれないが、これがきっと正しいのだろう。そう思いながら別の巣へ向かおうとした時……。
「あんた、さっき金食い虫と話してなかったか?」
 近くの村人が疑いの目を向けてきた。しかし彼女は動じない。フェロモンを発しながら彼に近寄り、妖艶な笑みを浮かべながら対応する。
「私は冒険者よ。大丈夫、巣の在り処や苦手なものを聞いていただけだから」
「そ、そうか。じゃあそれは村長に伝えておくよ。お礼もしっかり受け取ってきな」
 動物たちほど簡単ではないが、彼の事も魅了して場を乗り切る事が出来た。
 情報の伝達も上手く行ったのを感じ、里香は再び巣の方へと向かっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達の対応により村から金食い虫は駆逐された、
 その異変に気付いた山賊達が続々と村に集まってくる。
「虫達じゃやっぱり駄目か」
「いいや冒険者だろう。しょうがない、もう村ごとやっちまうか。全部奪っちまおうぜ」
 下卑た話をしながら村へ向かう山賊達。もちろん黙って彼らを待つ道理もない。
 彼らの襲来に備えて村人達は準備をしている。

 村の近くには広い草原が広がっている。
 迎撃するならここがいいだろう。
 戦闘に備え、猟兵達は各々武器や道具を手にとった。
アズール・ネペンテス
虫の次は賊とはまた良く狙われるとこだな…いや虫仕向けたのが賊か?

どっちにしても賊が略奪すんならやり返すまでだろ。

つーかコイツらアホやってないでまともに稼げば倒されも捕まりもせんかっただろうに…ま、楽して儲かる稼ぎなんてねぇっていい教訓になったんじゃねぇか?
(アドリブ歓迎




「虫の次は賊とはまた良く狙われるとこだな……」
 戦場となる草原で、村へ迫りくる山賊を確認し呆れたように呟いていたのはアズール。戦闘に備えて食べていた乾パンを水と共に飲み込むと、立ち上がって山賊の方をじっと見つめる。
 そういえば虫を仕向けたのも盗賊達だっただろうか。面倒な事をしやがるな、そう思うと呆れの気持ちは大きくなる。
 それならばその気持ちを相手にぶつけるだけ、賊が略奪すんならやり返すまでだ。そう思って気合を入れると懐から一本のダガーを取り出した。相手の得物は自分と似たものだろう、それなら格の違いを教えてやる。

「おい、なんだお前?」
「今から倒される奴に教える必要あるか? ま、冒険者だよ」
 一気に盗賊に接敵したアズールは素早くダガーを振り払った。しっかりした手応えを感じ、相手の身体から血の臭いも伝わってくる。冒険者を侮っているのだろうか、どうやら相手はしっかりした装備を身につけていないようだ。
 それなら隙を見つけてしっかり攻撃していけばいい。今ほど攻撃した盗賊が地に伏したのを横目で見つつ、今度は別の盗賊へと向き直す。
「てめぇ! 何しやがる!」
 怒りのまま斬りかかりにくる盗賊をじっと観察。得物は同じくダガー、乱暴な攻撃だがまともに喰らうと肉体へのダメージは大きい。それならばその勢いを利用させてもらうまでだ。
「悪いがその技……盗らせてもらうぜ?」
 手にしたダガーで相手の攻撃を受け流せば、盗賊は体勢を崩し転倒しかける。その一瞬、無防備になった背中へ目掛けてアズールはダガーを振り下ろした。
 双方の勢いが乗った刃は深々と突き刺さり、盗賊に致命傷を与える。これがアズールのユーベルコード『技能:略奪者』、相手の技を利用する技だ。。
 ダガーを引き抜けばこの盗賊もドサリと倒れ込む。コイツら、アホやってないでまともに稼げばこんな目には遭わなかっただろうに。
「ま、楽して儲かる稼ぎなんてねぇっていい教訓になったんじゃねぇか?」
 そう言いつつ倒した山賊を一瞥すると、アズールは別の盗賊へ向かって駆け出していく。相手の数は多い、次々に倒していかなければ。そう思って再び気合を入れる彼の顔にはどこか楽しげな表情も浮かんでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

花巻・里香
私は【魅惑の外装人形】のフェロモンと色仕掛けで山賊達を誘惑し誘き寄せましょ。
だって多勢に無勢だもの。まともにやりあっては持たないわ。
それならもっとも生き延びる道(罠)を選ぶのが冒険者というものでしょ?
例え距離があってフェロモンの効果が薄くても思考の鈍化で判断力を僅かでも奪い誑かしていくわね。
さあ一緒に楽しみましょ?(狩りの時間を)
そうして色仕掛けで昂らせたのならだまし討ちするように【蟲惑魔法】を発動。
例え斬撃から生き残っても、この呪詛は貴方を蝕み逃さない。あなたの中の男を終わらせてあげる。
そういえばちょっと聞いておきたいことがあったのよね。あなた達のボスは金貨と宝石と女、どれが一番好きなの?。




 里香は引き続き『魅惑の外装人形』を身に纏っていた。独特の甘い香りを漂わせながら敵を待つ彼女の表情に緊張の色はない。
 だって多勢に無勢だもの。まともにやりあっては持たないわ。それならもっとも生き延びる道を選ぶのが冒険者というものでしょ?

 そしてとうとう山賊襲来の時間がやってきた。山賊は男ばかり、青年から中年が多いだろうか。ならば里香にとって彼らは格好の餌だ。踊るように戦線へ加わると、手招きと共に強いフェロモンを彼らへ向けた。
「さあ、一緒に楽しみましょ?」
 戦場に似つかわしくない乙女の手招きに近くにいた山賊達も少しざわめく。
 女だ、しかも上玉だ。彼らの思考はこんな風に単純だ。ならばもっと単純にしてやればいい。
「もっとこっちへいらっしゃい?」
 蠱惑的な笑みを浮かべながら近づいてくる里香に山賊達はすっかりメロメロだ。フェロモンの効果も加わり彼らは完全に彼女の指示に従うようになった。
 それが里香の狙い。そしてユーベルコードの発動条件。
「蟲惑魔法――」
 誘いとは別の、ぞっとするような詠唱の声。山賊達はそれに気付かず彼女の所作を見届け……そして蟷螂の腕に身体を刻まれていた。一瞬の間に里香の腕がからくり人形のものに変わり、山賊達を一気に切り裂いたのだ。
「こ、この女……!」
「私からのプレゼントよ、受け取ってちょうだい」
 急所を切り裂かれた者は即座に地に伏し、致命傷から逃れた者も身体の変調に震え始めた。彼女のユーベルコード『蟲惑魔法』には「相手の性的終焉を告げる呪詛」が含まれている。先程までの彼女への昂りが一気に消え失せ、身体の大事な感覚がなくなっていく事に山賊達は恐怖していた。
 そんな彼らの様子を気にせず、里香はしゃがみこんで山賊の目をじっと見つめる。
「そういえばちょっと聞いておきたいことがあったのよね」
「お前に話す事なんかねぇよ!」
「いいえ、話してもらうわ。あなた達のボスは金貨と宝石と女、どれが一番好きなの?」
 再びフェロモンを発しながら問う里香。至近距離でぶつけられては山賊の残った部分が彼女に従ってしまう。
「ぼ、ボスは……金貨が一番好きだよ。だから今回の計画を立てたんだ」
「そう、ありがとう」
 答えを聞き届けたならばすぐさま相手の身体を斬り裂く。その山賊はしばらくすると動かなくなった。
「なるほど……金貨ね。参考にさせてもらわないと」
 あまり表情を変えずに次の作戦を考える里香。彼女の戦いはまだまだ続く。

成功 🔵​🔵​🔴​

コトト・スターチス
虫たいじのあとは、盗賊たいじですねっ!
絶対に村へは近づけさせませんっ!

村を襲おうとやってくる盗賊たちに向かって、はなことばでまとめて攻撃します!
今日のおはなはシャクヤク
ちなみに花言葉は恥じらい・はにかみですっ
大量の花吹雪で盗賊の顔をつつんでおたけびを封じて、コメント弾幕のような勢いで村とは反対の方向に吹き飛ばします!
飛ばされたいきおいで気絶してくれるならラッキーですっ
すぐに動ける人数を減らせたら、あとはメイスでガツンと叩いて気絶させておきましょう!
「ヒーラーでも攻撃はできるんですっ!ぼくをあなどらないでくださいねっ!」
ある程度盗賊を倒したら、黒幕があらわれるかもなのでまわりを警戒しておきますっ




「虫たいじのあとは、盗賊たいじですねっ!」
 可愛らしい『リトルホワイト』の裾を揺らしながら、コトトは山賊の襲来を待ち構えていた。
 わるい盗賊たちは絶対に村へは近づけさせませんっ! 草原から先を見つめる彼女は気合十分だ。

 いざ山賊が襲来すると、コトトは全力で駆け出し彼らの元へ参上だ。
「なんだぁ? ガキが迷い込んでやがるぞ。人質にでもしてやろうぜ」
 目の前に現れたのが小さな少女だったことを山賊は笑い出す。彼女が立派な猟兵であり冒険者だとは思いもしないのだろう。
「ぼくの大好きなゲームでは小さな冒険者さんだってたくさんいますっ!」
 元気いっぱいそう叫ぶと、『メイス+7』を構え山賊へと向ける。勿論山賊達はコトトが猟兵としての術に長けているとは知らず、どうやって彼女を気絶させるかしか考えていないようだ。
「おいおい、物騒なモノ持ってるんじゃねぇぞ。ガキが、甘く見るな……よ!?」
 仲間と共に下卑た大声を出そうとしていた山賊の口が、突然何かによって塞がれた。次の瞬間には彼の視界も塗りつぶされ、どさりと地に伏せてしまう。他の山賊が慌てて確認すると周りに無数のシャクヤクの花びらが飛んでいるのだ。そして花びらは次々と飛んでいき、何人もの山賊を気絶させていく。
「動画に草を生やしたら、花が咲きましたっ! ここにもお花をいっぱい咲かせますっ!」
 花びらの発生源はコトトだ。彼女は手にしたメイスを花びらに変え山賊へ向かって飛ばしている。花びらはふわふわと舞うのではなく、強い風に吹かれているように一つの方向へ向かってまっすぐと飛んでいた。
 これが彼女のユーベルコード『はなことば』。キマイラフューチャーで流行りの動画のコメントのように花びらを飛ばす技だ。
「このガキ、冒険者か! しかも魔法みたいな技を使いやがる!」
「ぼくはヒーラーですっ! でも攻撃はできるんですっ! ぼくをあなどらないでくださいねっ!」
 相対していた山賊を全て『はなことば』で気絶させる事は出来なかった。しかしそれも予想済みだ。
 コトトは急いで花びらをメイスの姿に戻すと、残った山賊へ向かって振りかぶった。腹部に凄まじい衝撃が加えられ、発生した可愛らしいエフェクトに包まれながらその山賊も気絶する。
 これで彼女の周りの山賊は全て地に伏した。他の猟兵の方を見ると村を襲撃に来た山賊の数はかなり減っているようだ。
(きっとあと少しで黒幕が現れます……ちゃんとこらしめないとっ!)
 辺りの警戒を怠らず、次の戦いに備えるコトト。その姿は小さくとも立派な冒険者のそれであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加。

ここでも調子に乗っている悪党共がいるようだね・・・救援要請を受けてきたよ。遅れてすまないね。今では大したことなくても、何をしでかすか分からない連中は即急に潰した方がいい。

数だけは多いみたいだから真紅の竜を呼び出して【騎乗】正面突破は奏に任せて、【目立たない】と【忍び足】で敵の集団の後ろに回り込んで【ダッシュ】で敵の集団に飛び込んで、【先制攻撃】【二回攻撃】【範囲攻撃】で攻撃。近接攻撃は【武器受け】して【カウンター】を試みる。竜で敵を轢くのも容赦なくやろうか。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

人々は日々の糧を得るのに必死なのですよ?その気持ちに付け込むだけでも許せませんのに、糧を略奪しようとは、典型的な悪党ですね。その野望はここまでです!!覚悟してください!!

響母さんが後ろから回り込みますので、私は正面から敵集団に挑みます!!もちろん、トリニティエンハンスで防御力を強化して、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】で被害を減らして、【属性攻撃】【二回攻撃】【範囲攻撃】で攻撃しますね!!遠距離攻撃が必要なら【衝撃波】を使います。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

遅参失礼します。やっている事が大きくなるといずれも多大な被害が出るので、早めに対処した方がいいでしょう。護るべきは人々の日常の営みです。

僕は主に遠距離支援を。響母さんと奏が集団に飛び込んでいきますので、【高速詠唱】【全力魔法】で氷晶の矢を【範囲攻撃】で【援護射撃】します。【二回攻撃】で攻撃回数も増やして、【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】も乗せますね。2人の戦いの邪魔はさせません!!





 戦闘が続く草原にて、三人の男女が新たに現れた。
「ここでも調子に乗っている悪党共がいるようだね……。今では大したことなくても、何をしでかすか分からない連中は即急に潰した方がいい」
 勇ましい雰囲気を纏った女性、真宮・響(赫灼の炎・f00434)は愛用の『ブレイズランス』を片手に、山賊達を睨みながら駆けていく。戦装束の裾を靡かせ走る彼女はとても頼もしさを感じさせる。
「人々は日々の糧を得るのに必死なのですよ? その気持ちに付け込むだけでも許せませんのに、糧を略奪しようとは典型的な悪党ですね」
 彼女の隣で共に走るのは真宮・奏(絢爛の星・f03210)。響の娘でありあどけなさを感じさせる面持ちをしている奏だが、バスターソード『ブレイズセイバー』を手に走る姿は立派な戦士のそれだ。
「やっている事が大きくなるといずれも多大な被害が出るので、早めに対処した方がいいでしょう。護るべきは人々の日常の営みです」
 更にその隣に続くのは神城・瞬(清光の月・f06558)。落ち着いた雰囲気の青年だが、彼もまた山賊から人々を護らんという意志をその瞳に宿している。『六花の杖』を強く握りしめ、家族である二人をサポートするべく呪文の準備も続けている。
 三人は既に戦場で戦っている猟兵達に遅れてすまない、と声をかけていくと早速戦線へと加わった。

「まずは私が!」
 奏が二人より前に躍り出ると呪文の詠唱を開始する。『トリニティ・エンハンス』により自らの魔力を高めると、それを鎧のように身に纏わせていく。
「おっと、まだ若いが良い女じゃねぇか! ボスの土産にちょうどいいな!」
 若い娘が現れたと分かると山賊達は下卑た笑い声をあげた。しかし奏は怯えない。大切な家族や頼もしい仲間が側にいるのだ。山賊達に遅れを取る事は決してない。
「貴方達の野望はここまでです! 覚悟してください!!」
 サーコートを翻しながら山賊達へと突っ込んでいく奏。ブレイズセイバーを振るうと何人かの山賊を一気に薙ぎ払っていく。
 精霊の力を借りた素早い斬撃は的確に山賊達に傷を与え、戦力を削いでいった。
「こ、このガキ……!」
 なんとか奏の剣撃を逃れた山賊が抵抗しようとダガーを振り上げるが……それが振り下ろされる事はなかった。
 山賊の後ろ側から飛んできた氷の矢がダガーを叩き落としたのだ。
「さて、これを見切れますか?」
 氷の矢を放ったのは瞬だ。瞬は『氷晶の矢』で更に氷の矢を生み出すと次々に山賊へと放っていく。
 一本一本の矢で致命傷を与える事は出来なくとも、その氷塊は確実に山賊達の動きを阻害していった。
「ありがとう、瞬兄さん」
「ええ、援護なら任せて下さい」
 長年の付き合いがあるからこそ呼吸のように連携が取れる。兄妹はお互いの無事に安堵しつつ戦闘を続けていく。
 山賊からするとそれが面白くない。こんな状況で仲睦まじい家族愛を見せられるとは……そう思った所でふと気付く。そういえば母親は?
 気付いた時にはもう遅い。山賊達の後ろに赤い影が迫っていたのだ。
「さて、一緒に行くよ!! 気張りな!!」
 影の主は響だ。大きな竜に乗った彼女はブレイズランスを構え山賊達へと突っ込んでいった!
 竜の飛び込みと響の槍捌きは次々に敵を蹴散らしていく。『真紅の竜』により互いの命と力を繋いだ彼女達はまさに巨大な力の塊のようであった。
「奏、瞬! まだいけるね!」
「はい、響母さん! わたし達も頑張ります!」
「サポートは僕が。二人の戦いの邪魔はさせません!!」
 勇ましく声をあげる真宮家の三人。それぞれが人々を護るという思いを胸に抱き、更に武器を振り回していく。
 響の槍と竜が山賊をなぎ倒し、奏の剣が敵を振り払い、瞬の魔術が二人を支える。
 三人が大立ち回りをし終える頃には山賊はほとんど退治されていた。

「よかった……これで一安心かしら?」
「いえ、きっとまだ親玉が残っています。ここからが正念場ですね」
「何が来てもアタシ達や皆がついてるさ、あと少し頑張ろうじゃないか」
 もうじき訪れるであろう親玉の襲来に備え、三人は再び武器を握り直す。
 一体親玉はどのような者だろうか。そう思いながら草原の先を見る三人の眼差しは力強くあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『呪飾獣カツィカ』

POW   :    呪獣の一撃
単純で重い【呪詛を纏った爪 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    呪飾解放
自身に【金山羊の呪詛 】をまとい、高速移動と【呪いの咆哮】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    カツィカ・カタラ
【両掌 】から【呪詛】を放ち、【呪縛】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。




 戦場から生き残った山賊が、隠れていた男へと報告しに走る。
 猟兵達から負った怪我も厭わず走っていた山賊だが、彼の体は大きな爪によって潰された。
「ぼ、ボス……! 冒険者の集団が……あいつらを殺して下さい……!」
「虫から辿られてしまっておったか……貴様らも役には立たなかったようじゃな!」
 ボスと呼ばれた男――『呪飾獣カツィカ』は山賊の体に更に深く爪を突き立てその命を奪ってしまった。
 血で濡れた爪は不気味な輝きを増し、カツィカは黄金の仮面越しに満足げな笑顔を見せる。
「無能な部下でも呪詛の糧くらいにはなるようじゃな。まあいい。ワシが直々に冒険者を殺し、財を奪ってこよう」

 カツィカはまっすぐに草原を抜け、猟兵達の前へと現れた。
 彼の姿は完全にモンスターのそれだ。長い間殺戮と略奪を繰り返した彼は既に心身共に獣と化している。
「冒険者共よ、貴様らの防具やら財やらはワシが有効活用してやろう。奪われたくなければワシを殺せ!」
 血に濡れた爪を振り上げ、猟兵達を睨みつけるカツィカ。
 彼を倒せば今回の依頼は無事に完遂出来るはずだ。
 それぞれの目的のため、戦いの火蓋が切り落とされる。
真宮・響
【真宮家】で参加。

本当に酌量の余地も無い真の悪党だね・・・。欲望に身も心も闇に染まってるようで。もう堕ちるとこまで堕ちているようだし、これ以上殺戮と略奪をする前に始末しようか。


敵の攻撃の性質から接近戦は難しそうだ。奏に護りを任せ、瞬に援護を頼み、【目立たない】と【忍び足】【残像】で敵の視線から逃れつつ、【槍投げ】で遠距離から攻撃。上手く槍が当たったら、ドラゴニックエンドで攻撃するよ。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

本当に分かりやすい悪党ですね。他人は最早自分の欲望の糧でしかないんですね。これ以上奪い尽くす前に倒しますよ!!ええ、覚悟するのは貴方の方です。

トリニティエンハンスで防御力を高めるのを選択。【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】で爪と移動攻撃は防いでみせます。放射攻撃と呪詛攻撃は【拠点防御】【かばう】も併用して響母さんと瞬兄さんの代わりに受けたいですね。攻撃手の2人が呪縛で動けなくなると大変ですので、私が盾になりますよ。敵のメインとする呪詛攻撃は【呪詛耐性】と【激痛耐性】で耐えてみせます!!余裕があれば【属性攻撃】【二回攻撃】【衝撃波】で攻撃のサポートを。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

貴方の策とやらも足が付いてしまったようですよ?もう闇に染まり切った貴方はこの世界に居場所はありません。さあ、終わりの時間です。

奏の負担が大きいので、【高速詠唱】【全力魔法】で多数の氷晶の矢を生み出し、【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】も乗せて、容赦なく敵の身体を貫いて敵の動きを鈍らせます。【二回攻撃】で攻撃回数も増やしますね。本命は響母さんのドラゴニックエンドですので、確実に当てれるように敵に隙を作らせましょう。


花巻・里香
金貨が好き、とは聞いていたけれどコレなら。
捕食炉の封印を1段階解き【捕食衝動】を発動、からくり人形の真の姿を解放し、からくり人形と十指の糸を超強化。
人間への変装を解き、宝石の体を晒して金貨に変えればどれ程のモノになるのか誘惑して誘き寄せ。
周囲の風景に溶け込ませた十指の糸で攻撃の軌道を見切り、罠を仕掛ける様に騙し討ち。
そして糸をボスに絡めたら抵抗する間も与えずに【蟲惑の小部屋】へ送るわ。

そこは、金貨に擬態した蟲達の小部屋。
さあ望みの金貨(獰猛な蟲達)よ、存分に楽しみ(喰らい)なさい。

コレで終わらない可能性もあるでしょうけど、小部屋から脱出してきたのなら、からくり人形で更に騙し討ちを仕掛けるわね。




 いよいよ敵の大将と相対した猟兵達。
 まず真宮家の三人が強い怒りを示し、己の得物をしっかりと握りしめる。
「本当に酌量の余地も無い真の悪党だね……」
 まるで欲望に身も心も闇に染まってるようで。響はカツィカに憐憫も含めた視線を投げかけている。
「本当に分かりやすい悪党ですね。他人は最早自分の欲望の糧でしかないんですね」
 奏は怒り心頭といった表情を浮かべ、これから始まる戦闘に備えている。
「もう闇に染まり切った貴方はこの世界に居場所はありません」
 瞬はあくまで冷静に、だけど怒りも示した目つきで武器を握りしめる。。
 一方真宮家の三人とは少し離れた場所で、里香は静かにカツィカを観察していた。
「金貨が好き、とは聞いていたけれどコレなら」
 事前に山賊から聞いた話を踏まえ、からく人形に備え付けられた『捕食炉』を操作しだす。相手に合う攻撃はきっとこれだろう、そう予測を立てながら。
 そして四人の猟兵は顔を見合わせ、カツィカが接近してくるまでの間にそれぞれの役割を考える。
 山賊との戦闘や己の得物、それらを組み合わせる事で効果的に戦える事を確認すると一言二言言葉を交わし、それぞれが配置についていく。
 最後の戦いはここからだ。

「悪党がこれ以上奪い尽くす前に倒しますよ!!」
「惑わせるのは得意なの。まずは私達に任せてちょうだい」
 まずは奏と里香が駆け出していく。美少女達の登場にカツィカも思わず嬉しそうな声をあげた。
「おお、売ったら金貨になりそうな女共じゃ。冒険者も捨てたものではないのう」
「本当に酷い考えをしていますね……私も里香もとても強いんですからね!」
 カツィカの下卑た思考に憤慨しつつもしっかりと魔法を発動する奏。『トリニティ・エンハンス』で自らの守りを固め、真っ先に敵前へと躍り出た。
 カツィカもすかさず血に濡れた大爪を振り下ろすが、奏の『ブレイズセイバー』にしっかりと受け止められ彼女に傷を与える事は出来ない。しかし呪いは彼女の体に伝わっていく。それらもオーラと呪術への耐性で耐えるが、無傷という訳にはいかないようだ。
「くっ……何度も食らったらまずそうです……!」
「大丈夫よ、二発目は打たせない」
 奏の後ろから里香が飛び出した。先程までしていた人間の変装を解き、宝石の体を曝け出すとカツィカの目の色が変わった。
「ほう……宝石の美女か。良い、良い。いくらになるかのう」
「話の通り単純なのね」
 歓喜する敵を余所に里香は腕を振るう。奏が攻撃を受け止めている間に十指の糸を仕込み、罠を張っていたのだ。
「封印解除――」
 『捕食衝動』詠唱と共に里香の側に立つからくり人形が姿を変える。捕食炉の封印を解き真の姿を晒した人形が腕を広げ、炉から粒子を放ちだしたのだ。あとはこれに続く技を放ち、敵を拘束するのだが……。
「ワシがただ見惚れていただけだと思うたか?」
 カツィカが両手から呪詛を放ち、粒子を無効化しにかかったのだ。広がる呪詛は二人にダメージを与えはしなかったが、このままだと拘束が上手くいかない。
 だが戦っているのは二人だけではない。相手が呪詛を得意としていることは予想済み、ならば更にそれを打ち消せばいい。
「奏達を傷付けさせはしません」
 二人の後ろで術の用意をしていた瞬が冷たく言い放った。彼の『六花の杖』から眩い光が溢れ、大掛かりな魔術が発動される。
「さて、これを見切れますか?」
 声を共に無数の氷の矢が降り注がれた。『氷晶の矢』によって生み出された矢達は次々と飛来し、カツィカの腕に突き刺さっていく。
 数は多くとも仲間には当てないように。互いの連携し合う事でカツィカだけに的確にダメージを与えられていた。
「お、おのれ……!」
 腕を攻撃された事で発せられていた呪詛が消え、再び捕食炉の粒子が敵を覆った。それでもカツィカは諦めず脚を呪詛で強化し逃げ出そうとする。
「おっと、逃げるなんて許さないね。もう堕ちるとこまで堕ちているようだし、これ以上殺戮と略奪をする前に始末させてもらうよ」
 カツィカが逃げようとした方向には響が待ち構えていた。全力の攻撃を当てるべく立ち回っていた彼女だが、それが功を奏したようだ。
 赤熱する『ブレイズランス』を全力で投げつけると、ランスはまっすぐにカツィカの胴へと突き刺さった。激痛で思わず脚を止めるカツィカに十指の糸が絡まっていく。
 これを好機と里香がユーベルコードを発動!
「蟲惑の小部屋――さあ、あなたの望むものをあげるわ。存分に楽しみなさい」
 『蟲惑の小部屋』によりカツィカは小部屋へと誘われる。小部屋の中は金貨で溢れており、敵も罠だと分かりつつも歓喜せざるを得ないようだ。体にランスが刺さったままだがそれも気にする余裕はない。
「お、おお! 金貨じゃ、金貨じゃ!! こんなに沢山、幸せじゃのう!」
 思わず金貨に手を伸ばすと……すぐに鋭い痛みが体を襲う。金貨の正体は擬態した蟲達。獰猛な彼らは一気にカツィカの体へ喰らいついた。
「さあ獰猛な蟲達よ、存分に喰らいなさい」
 部屋の外から声が響く。だがカツィカにそれを気にする余裕はない。体を噛み千切られる痛みと金貨に囲まれた喜びで頭がいっぱいだからだ。

 一瞬か永遠か分からない時間が過ぎ、小部屋が解除されると中から血塗れのカツィカが落ちてきた。
「さあ、これで最後の仕上げだね。これで……終わりだよ!!」
 ブレイズランスがしっかり刺さっているのを確認し、響が得物に魔力を籠める。『ドラゴニック・エンド』によってランスは赤い竜に姿を変えると燃え盛る息吹でカツィカを焦がし尽くす。
「響母さん、サポートします!」
「貴方の策とやらも足が付いてしまったようですよ? さあ、終わりの時間です」
 奏と瞬も母を支えるべく、風と氷の魔法でカツィカを追撃していく。
 三人の魔力の奔流は悪党の体を完全に覆っていき……最後には消滅させた。
 猟兵達は無事に山賊一味に勝利たのだ。


 戦闘後、猟兵達は改めて村人達から感謝の言葉と報酬を貰う事が出来た。
 報酬の袋を開けると中から何枚もの金貨が出てくる。もちろんどれも綺麗なものだ。
 村はしばらく祝賀の雰囲気に包まれており、夜には猟兵達を労う宴が開かれた。
 宴に参加する者、そのまま帰っていく者、あるいは別の何かをする者。
 村人も含め皆笑顔を浮かべている。
 一つの村を救えた事の安堵に包まれ夜は更けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月07日


挿絵イラスト