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愛は惜しみなく奪う

#カクリヨファンタズム #妖怪横丁

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#カクリヨファンタズム
#妖怪横丁


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 バァーン!!轟音!!
 妖怪横丁は今、絶体絶命の危機に瀕していた。
「ちょっとアナタたち、一体なんのつもりかしら!?」
「うっせーババア!いいからよこせっつってんだろ!」
「アタイたちこれから合コンなんだからさァ、こんくらいくれてイーじゃん!」
 西洋妖怪マダム・バートリーの妖怪コスメブランド『アイアンメイデン』のセレクトショップになだれ込む妖怪ヤマンバギャルの群れが、店内の棚を打ち壊しコスメを略奪する!その隣ではデザイナー魔女ヴィヴィが経営する妖怪ファッションブランドショップ『ヴィヴィ・ウェストサイド』もまた同様にヤマンバギャルたちに攻め込まれていた。
「ウェーーイ!」
 その一方、路上ではギャル男おにたちがマジテンアゲ↑のテクノ&ユーロ般若心経をガンガンに響かせ踊り狂う。
「このままギャルたちと朝まで般若波羅蜜多パーリナイ!」
「ウェーーイ!オモチカエリィ↑!ワンチャンアルッショー!!」
 それはもはや混沌の坩堝であった。
「フフ……みんなとってもたのしそうね。きっと愛でいっぱいの世界になるわ」
 そして、横丁の看板の上から狂乱を見下ろす者がいる。
「わたしも理想の愛を見つけなくっちゃ……ウフフ。待っててね、私の旦那様♡」
 そのオブリビオンは口の端に狂気じみた笑みを浮かべると、看板を蹴って夜の闇に紛れていった。
 ――このままではこの混沌が瞬く間にカクリヨ全体に伝播し、「理性」の消えた「無秩序の世界」になってしまうだろう。

「うぇーい。わんちゃんあるっしょー」
 ロスタ・ジーリード(f24844)はマジテンアゲ↑でハンズアップした。
「とゆーわけで、いまカクリヨがとってもフィーバーしてるのよ。とめてきてちょうだい」
 そして表情をもどすと、にこやかに猟兵たちへと告げる。
 曰く。
 またしてもカクリヨ世界の滅亡の危機である。
 なんでも、今回の案件は『愛情』に強いこだわりをもつ強力な骸魂が世界に影響を与えているのだという。その力に染められた妖怪たちは骸魂に入り込まれ、女性であれば妖怪ヤマンバギャルに、男性であれば妖怪ギャル男おににされてしまうのだ。どちらの骸魂妖怪も恥じらいと慎みと理性の一切を欠如しており、享楽的かつ刹那的で更に不純異性交遊を何よりも好んでいる。
「このままほうっておけば、理性をもたない妖怪だらけの無秩序な世界になって、なんやかんやでカクリヨは崩壊してしまうのよ」
 というわけで、あとのやることはシンプルである。
 行って、やっつけろ。以上だ。
「で、戦場になるのはいま一番さわぎが大きくなってる妖怪横丁のど真ん中よ。周りにお店とか建物がたくさんあるんだけど、あんまり壊しすぎないようにね」
 ロスタは更に補足説明を加えてゆく。
「敵の首魁もそこに潜んで、状況を見ているはずなの。横丁のギャルとギャル男をやっつけたら、計画を邪魔するみんなを排除するために出てくるはずよ」
 ――というわけで、あらためて説明を補足しても話はシンプルだ。とにかく、やっつけろ。
 以上である。
「それじゃ、がんばってやっつけてきてね。……それからねー、お仕事が終わったら、そのあとは横丁でお買い物とかしてきていーわよ。夏物処分セールとか、期間限定妖怪スイーツの最後のチャンスとか、いろいろやってると思うわ。おしごとのあとはお楽しみがないとね?」
 最後まで説明を終えて、ロスタは一度頷いた。
「はい。それじゃ、説明はおしまいよ。あとはよろしく頼んだわね」
 ――かくして、猟兵たちは現場に向かうのである。


無限宇宙人 カノー星人
 ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
 この度もまた侵略活動を進めさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『山姥ギャルとギャル男鬼』

POW   :    オヤジガリ・レイド
技能名「【略奪・恫喝・武器落とし・恐怖を与える】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD   :    ガングロ・サンシャイン
【紫外線たっぷりの妖怪太陽光線】を降らせる事で、戦場全体が【日焼けサロン】と同じ環境に変化する。[日焼けサロン]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    波羅波羅・ダンス・ヘブン
【激しいユーロビートに合わせて踊るパラパラ】を披露した指定の全対象に【一緒に踊ってアゲアゲになりた~い!】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ウェーーーーイ!!」
「ヘーイカノジョ!カンパイしよォぜ!」
「イェーーーイ!」
 パリピ!
 理性なき鬼たちが激しく狂乱しながら歓声をあげる。そこは混沌の坩堝である!
「貪鬼(どんき)からお酒パクってきたよォ!」
「でかした!」
 更に無秩序な骸魂妖怪たちは横丁の様々な妖怪ショップを襲い、次々に略奪をしているのだ。貪鬼豊店(どんきほうてん)や魂備仁(こんびに)商店といった食品や酒類を置く雑貨商店もまたその犠牲となっていた。
「ウェーーイ!ここからは代わって泥児詠(でいじえい)を引き受けるぜ!さあみんな、レッツパーリナイ!」
 泥児詠とは、歌や詩を詠むことで人々を熱狂させ、こどものように騒いだり、あるいは泥のように酔いつぶす妖怪乱痴気騒ぎの主導者役のことである。現代パリピ文化に残されたDJという役職と決して無関係ではないだろう。
「ねェ、カノジョぉ。今からオレと一緒にフケてさあ、褥行かねえ?」
「ええー❤️どうしよっかなー❤️」
 その一方で乱痴気会場と化した横丁は不純異性交遊の温床となっていた。ギャル男鬼が盛る!ヤマンバ妖怪が盛る!肉食男子のダンディズム!こうした男と女のラブゲームは会場のそこかしこで勃発していた!このままではカクリヨのみならず全年齢向けコンテンツの平和もまた危ない!!

 猟兵たちよ、速やかにこの状況を鎮圧するのだ!
神羅・アマミ
ぷちょへんざ!ぷちょへんざ!
寝ても冷めてもハードコア盆踊りな世界観とかゴキゲンすぎんじゃろ。
どうしても止めなきゃダメ?
崩壊されても困るし三日で飽きそうだからやるか…

しかし…妾の溢れるパッションはどうにもならない!
トゥナイトだけはパーリナイ!
という体で群衆どもへ飛び込むように踊り狂う!
そんで景気よく七色に光るゲーミング感溢れる謎の浮遊物をバラ撒く!
鬼どもも「え~?何これマジ超ヤバくな~い?」とか更にアゲアゲ間違いなし!

しかしこれなるはUC『吊込』にて錬成されたトラップよ!
戦場へほどよく罠が行き渡ったところで速やかにスイッチオン!
踊れ踊れ~!スタンガンダンスじゃ~!
当然真っ只中にいる自分も痺れる。


神樹・鐵火
なんだこのだらけた空間は!
ズボラな弟子でもここまでだらしなくはないぞ?

生憎私はこの通り何も持っていない、ゆすっても何も出んぞ? って、触んな
煩い音楽も私の趣味でない、もっと情緒ある...だから触んな
おっと男漁りも興味ないな、私は凛とした強い男が――
触んなつってんだろ戯け者が!!(ブチ切れ【力溜め】の【衝撃波】)

酒屋のビールケース(中身の有無は問わない)や台車等を
UC【蛮神乱舞】で片っ端から掴み振り回し、骸魂共に叩き付ける
掴みかかってきたら【ダッシュ】【ジャンプ】【見切り】で避ける


ガンズ・ハルモニア
こちとら8歳じゃ。後10年ほしいな!
ガンキューブに搭乗、操縦。
空中浮遊で空からやってくる。

どうも、ミラーボールです。おはよう、こんにちは、こんばんは。
くす玉ではありません。びかー(ビームキャノン発射・焼却熱線)
繰り返します、くす玉ではーありません。(ガンマシンキャノン・制圧射撃)

『フルバースト・マキシマム』発動。武装一斉発射。
こらダンスを辞めなさい。時間と場所と相手を選べ!後マスクつけろぉ!
ええい、私はディスコボールではない。ミラーボールだ。
違う!ガンキューブだ!くす玉じゃないっていってるだろうぅうううう!!

……ごめん。本当はミラーボールじゃないんだ。
でも、一度名乗ってみたかったんだ…



「ウェーーーイ!!」
「イヤッホー!次のナンバーいっくぜぇ!」
「イエーーーーッ!」
 路上に展開されたブースで、ギャル男鬼が般若心経ディスクを回しながら叫ぶ。アルコールドリンクで乾杯するギャル男鬼たちとヤマンバギャル妖怪が快哉を叫んだ。
「なんだこのだらけた空間は!!!」
 そこに繰り広げられる光景のあんまりにもあんまりな無秩序さに、神樹・鐵火(f29049)は激怒した。
「私の弟子も相当にズボラだが……いくらなんでもここまでだらしなくはないぞ!」
「エーッ!イイジャンイイジャン。オネーチャンもさあ、ここはリラックスして……ほら……」
 憤る鐵火のそばにそっと寄り添うギャル男鬼が優しくささやきかけた。
「やめろ。触んな」
 ぐいー。鐵火は手で押しのける。
「……なあ!君もそう思わないか!」
 ギャル男鬼を袖にしながら、居合わせた猟兵へと向けて鐵火は叫んだ。
「Put your hands up!Put your hands up!……なんじゃ?」
 ギャル男鬼たちにまざってマジテンアゲ↑で般若心境ロックに踊る神羅・アマミ(f00889)は、呼びかけに気づき振り返る。
「……何をしているんだ!?」
「見りゃわかるじゃろ!!!踊っとるんじゃ!!!見よ妾のこのステップ!そしてBody‐Movin’!」
「ウェーーーイ!お嬢ちゃんアゲアゲ↑じゃーん!」
「おーよォ!寝ても冷めてもハードコア盆踊りな世界観!ゴキゲンすぎんじゃろ!」
 ぷちょへんざ!ぷちょへんざ!両腕を掲げ踊るアマミはゴキゲンなビートに身をゆだねながらギャル男鬼たちと意気投合!
「よーしじゃ今からオレらと褥行っちゃう?」
「いやそれはアカンじゃろ。ここ全年齢向けコンテンツじゃぞ?」
「そっかァ」
「いやいやいやいや」
 混沌の路上パーティー会場にすっかりなじんだアマミの姿に、鐵火は力の抜けるような感覚にとらわれる。
「まあまあ、ほら、オネーチャンも楽しんで楽しんで!気をらく~にしてさ、リラックスリラックス……」
 そこにすかさず絡むギャル男鬼!!
「おい、やめろ!生憎私はこの通り何も持っていない、ゆすっても何も出んぞ――って、触んな」
 ぐいー。鐵火が再びギャル男鬼を押しのける。
「しかしじゃぞ、ここは本当に素晴らしい世界ではないか……どうしても止めなきゃダメ?」
「ダメに決まってるだろう!?」
「でもほら、見よ!あそこにミラーボールまで出てきたではないか!」
 アマミは踊り狂うギャル男鬼たちと一緒にステップを刻みながら、妖怪横丁の空を指した。
「ミラーボール!?!?」
「どうも、ミラーボールです」
「喋ったんだが!?!?!?」
 そこに降臨するミラーボール――もとい、ガンズ・ハルモニア(f17793)はきらきらと輝きながら降臨し、空中に浮かんだ。
「ヒューッ!!!喋るミラーボールとか最高じゃねえの!!」
「ウェーーーーーーイ!!」
「どうもどうも、ミラーボールです。おはよう、こんにちは、こんばんは」
 そしてギャル男鬼たちは空中に浮かぶ鋼鉄の自称ミラーボールを深く考えることなく受け入れて喝采した。
「どうもどうも。くす玉ではありません。ぴかー」
 ぴかー。
 擬音語と共にガンズはその躯体に搭載したビームキャノンを乱射した。
「グアーッパーリナイ!!」
「グアーッくす玉!!」
「グアーッ焼却!!」
 光を浴びた骸魂たちが次々に燃え落ち、宿主妖怪の身体から離れて消滅する!
「グアーッパーリナイ!!」
 巻き込まれたアマミが黒焦げになりながら悲鳴をあげる!
「繰り返します。くす玉ではーありません」
 ガガガガガガガッ!!更に自称ミラーボールはマシンキャノンを起動し弾丸を撒き散らした!更に悲鳴をあげてギャル男鬼たちが爆散してゆく!
「いやいやいやそういうレベルじゃないだろうこれは――」
「ヘーイカノジョー!いまかなりイイ感じじゃない???テンションアガるぅ↑踊ろうぜぇ!」
「黙れ。煩い音楽も私の趣味でない、もっと情緒ある――だから触んな!!」
 ぱーん!なれなれしく手を出すギャル男鬼を鐵火がひっ叩いた!

 現場は既に更なる混沌に包まれていた。
 引き続き大音量でガンガンにかけられるポップ般若心経に踊り狂うギャル男鬼たちとヤマンバ妖怪たち。そこに混じり、溢れるパッションに従ってステップを刻むアマミが指を立てながらイカしたポーズを決める!
「トゥナイトだけはパーリナイ!」
「ウェーーーイ!!」
「さーもっと盛り上がっていこーではないか!ガハハ!」
 そしてアマミはどこからともなく引っ張り出した謎の浮遊物をばらまいた!七色に光るゲーミング謎の物体は派手な光を放ちながら空中に浮かぶ!
「え~?何これマジ超ヤバくな~い?」
「ヤバ~!超アガる~↑!」
「じゃろ~???」
 意気投合するヤマンバギャル妖怪たちとアマミ!更にテンアゲ↑しながらハイタッチする!
「ねェカノジョぉ、一人ぃ?いいじゃん、オトコ探しに来たんじゃないのぉ?だからさあ、俺と一緒に褥行こうぜ?褥」
「おっと、男漁りも興味ないな、私は凛とした強い男が――」
 その一方で鐵火はまたしてもギャル男鬼に絡まれていた。しかし、しつこく迫るギャル男鬼がそっと鐵火の身体に指先を這わせる。
 ――そして。
「触んなつってんだろ戯け者が!!」
 ここでとうとう鐵火がキレた。鐵火はそのへんにおっこちていたガラス製の酒瓶を手に取ると、フルスイングでギャル男鬼の脳天を殴打したのである。ぱぁん!!派手な音と共に砕け散るガラス瓶!
「グアーッ脳震盪!!」
 たまらず昏倒するギャル男鬼!
「ハア……ハア……もう我慢の限界だ……!これ以上つきあってはいられん!一人残らず叩きのめして反省させてやろう!!」
 しかし、怒り心頭の鐵火はヒートアップしたままにそのへんに放置されていた酒屋のビールケースや台車に目を付け、そしてそれをぐいと掴む。【蛮神乱舞】!もうどうしようもないくらいマジギレした鐵火が手近なところの鈍器になりそうな何かしらを片っ端から掴むと、目についたところにいるギャル男たちに手あたり次第叩きつけ始めたのである!
「グアーッ頭蓋骨!!」
「グアーッ複雑骨折!!」
「女と戯れたいなら母なる大地と抱擁でもしていろ!!」
 ガオンッ!!更に轟音!ビールケースを叩きつけられたギャル男鬼が大地に沈む!
「――そろそろだね」
 更に、空中でその様子を見守っていたミラーボール、もといガンズが静かに頷いた。
「では――時間になりました。全員ダンスをやめなさい」
 ミラーボールがアナウンスする。
「は?ディスコボールのくせに俺らに指図するワケ?」
「まだパーリナイ終わってないんだけど?」
「そうじゃそうじゃ。妾まだ踊り足りておらぬぞ!」
 しかし反発!ギャル男鬼たちがガンズへとブーイングを送る!
「いいから!こら!ダンスをやめなさい!そもそも近所迷惑だよ!時間と場所と相手を選べ!後マスクつけろぉ!ソーシャルディスタンスを遵守しろぉ!」
「うるせーくす玉!」
「俺らのパーリナイを止められると思うんじゃねえ!」
「そうじゃぞ!!」
「くす玉じゃない!違う!」
 更に重なるブーイングの声!完全なアウェー!浮かぶガンズへと向けて、ギャル男鬼たちが野次を飛ばす!
「くーす玉!!くーす玉!!くーす玉!!」
「違う!ガンキューブだ!くす玉じゃないっていってるだろうぅうううう!!」
 ここでガンズもキレた。
 【フルバースト・マキシマム】。ガンズの躯体である兵器ガンキューブに搭載された火器のすべてがフルオープンし、最大火力が眼下に撒き散らされたのである。ガガガガガッ!!ギャリギャリギャリギャリ!無数の火砲が火を噴き、ギャル男鬼たちへと弾丸の嵐を浴びせかけた!
「グアーッくす玉!!」
「グアーッくす玉じゃー!!」
「くす玉じゃない!!」
 そして次々と倒れてゆくギャル男鬼たち!
「よ、よ~し……い、いい頃合いじゃし妾もそろそろじゃな……そーれ踊れ踊れ~!」
 その最中、ここまでの戦いの中で深く傷つきながらも強い信念と覚悟によって膝を屈しなかったアマミが拳を突き上げながら叫ぶ。しかして、その所作は起動スイッチであった。
「スタンガンダンスじゃ~!!」
 ――それは、先ほどアマミが周囲に散らして浮かべた七色に発光する謎の物体……すなわち、アマミのユーベルコードによって編まれた設置型トラップである。【吊込】!アマミの合図に応じて、七色に発光する物体が一斉に電光を放つ!
「グアーッ電撃!」
「グアーッ感電!」
 ばちばちと音をたてて爆ぜる電光が路上のパーリナイ会場を包み込んだ。踊り狂うギャル男おにたちやヤマンバギャル妖怪たち、そしてアマミを巻き込んで閃光が走る!
「グアーッ妾も痺れる!!!」
 アマミも感電!
 そして混沌は加速する!自分で呼び込んだ電光に悲鳴をあげるアマミ。制圧射撃を繰り返すガンズ。そしてそこから逃れようとする骸魂たちを片っ端から酒瓶で殴り倒す鐵火――。少なくとも、場の状況はここに在るオブリビオンたちに対しては、一切の容赦はないようであった。
「……ごめん。本当はミラーボールじゃないんだ」
 そんな最中、十数人目のギャル男鬼を仕留めながらガンズがぽつりとつぶやいた。
「えっ。なに。なんの話?」
 突然に話をフられ、なんのことだかまったく理解できない鐵火が首をひねる。
「でも、一度名乗ってみたかったんだ……あの、光を受けてキラキラひかるミラーボールみたいに、私も輝いてみたいって……」
「えっ。アッハイ、そうなんだ……」
 どう答えていいかまったくわからないまま、鐵火はあいまいに頷いていた。

 かくして、妖怪横丁におけるパリピ退治は始まったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

グウェンドリン・グレンジャー
【桜鴉】
(腰からクランケヴァッフェの翼を生やした、青薔薇と和ゴスのお化けカラス娘スタイル。オトモ幽世蝶を連れて)
私達、アイアンメイデン、行きたい、のに……

わぁ、ヤマンバ、だ、ギャルの、オスも……いる
映像記録、でしか……みたことない、珍種
ひとまずこいつら、なんとかしないと……いけない

「だっさーい」
存在感、で、声、目立たせて、誘き寄せる
オヤジガリ……は、狂気耐性で、恫喝と恐怖、対処
武器は、身体から、生えてる。落としようがない……し、奪えない

Imaginary Shadow、虚数の影、の、念動力、で、集まってきた、奴、なぎ倒す
エリシャ、今だよ
同時に、Feather Rainを放って、一斉制圧


千桜・エリシャ
【桜鴉】
夜桜の和ゴスに蝶を添えた特盛フリルの鬼姫コーデ
ふふ、これが原宿かわいいというふぁっしょんですのね
あら、折角お洒落なお店にお邪魔できると伺いましたのに

や、山姥?
私が知っている山姥と随分違うような…
それになんですの!?この軽薄な殿方は!?
私と同族の鬼だとは思いたくないのですが…
そうですわね
ここはご退場願いましょう

あら、そんなグウェンさん
本当のことを仰っては可哀想ですわ、なんて
む?見たこともない舞ですが
舞には舞で対抗しましょう
とくとご覧あれ
桜とともにふわりと舞って
惚けている隙に御首をいただきますわ
…私好みの首ではありませんけれども

ええ、お任せを!
最後は息を合わせて一網打尽にしてしまいましょう



「あら、折角お洒落なお店にお邪魔できると伺いましたのに……」
「……アイアンメイデン。来たかった、のに……」
 千桜・エリシャ(f02565)とグウェンドリン・グレンジャー(f00712)は途方に暮れた。
 今日の2人は共に気合の入った和風スタイルを取り入れたコーデ。エリシャのファッションは、黒の布地に桜が映える夜桜デザインの和ゴススタイル。フリル爆盛りの中に差し挟まれた蝶の意匠がアクセントを利かす姫コーデだ。一方、グウェンは薄紅の桜とは対照的に青薔薇の意匠を織り込んだスタイルである。その周囲には、彼女の力の片鱗でもあるカラスアゲハがひらひらと舞う。
「今日はハラジュクカワイイもおどでお買い物の予定でしたのに……これではどうしようもありませんね」
 妖怪横丁でのショッピングにあわせ、2人はカクリヨの世界に合わせた和ゴス・カワイイスタイルで気合を入れてきたのだ。よもや、それがこんなことになってしまうだなんて。エリシャは柳眉をゆがめた。
「……となりのおみせも、ひどい、ね」
 グウェンが視線を向けた先では、看板から店の内装までずたずたに破壊し尽くされた妖怪ファッションブランド『ヴィヴィ・ウェストサイド』のショップの惨状が目に入った。
 しかし、その時である。
「――ア!?ンだよテメーラ!なに見てんだコラ!」
 ヴィヴィ・ウェストサイドのショップから、妖怪ショッパーバッグを抱えて飛び出してくるヤマンバギャル妖怪。彼女は近くに立っていたグウェンとエリシャの姿を視界に入れると、まず真っ先にメンチを切った。
「ええ……?なんですの、これ……」
 そしてエリシャは困惑した。――目の前に現れたこれは、彼女の持ちうる知識の中に存在しない文化の産物である。いわゆるヤマンバギャル妖怪というのも、既に廃れた一過性の流行の産物でしかないのだ。彼女がそれを知らぬのも無理のない話であろう。
「わぁ、ヤマンバ、だ……」
 なお、グウェンは映像記録で見た記憶があった。到底、きれいには見えないな――と思ったことを思い出す。
「や、山姥……?私が知っている山姥と随分違うような……」
 そしてエリシャは更なるカルチャーショックに困惑を深めた。
「うん……もう、絶滅した……珍種」
「はァ!?珍種てなによ珍種て!!」
 グウェンの言いように激昂したヤマンバギャル妖怪がショッパーバッグを振り回しながら叫ぶ!
「ウェーーーイ!!なになに?どうしちゃったワケ?」
「こんどはなんですの……?」
 ――それを聞きつけてやってきたのはよく焼けた肌のギャル男鬼である!
「オッ!なにそのファッション!マジヤバじゃん!ゴスロリ?イイネー!ねえねえ2人とも、今からオレと褥行かない?褥」
 そしてギャル男鬼はまっさきに2人に絡んだ!
「褥!?行きませんわ!!なんですの!?この軽薄な殿方は!?」
「ギャルの、オス…………つまり、ギャオス?」
「ギャオスですの!?」
「ウェーーーイ!!チョチョ待てよ!俺、鬼なんですけドー!?」
 グウェンのコメントにギャオスもといギャル男鬼が抗議する!
「鬼……?えっ、これ鬼なんですの……?」
 その一方でエリシャは愕然とする。なんとも言えない表情でギャル男鬼をおそるおそる二度見したエリシャへと、ギャル男鬼は軽薄なスマイルと一緒にダブルピースをウェイ語で応じた。
「あの……私と同族の鬼だとは思いたくないのですが……」
「エッ!マジ!!カノジョも鬼なの?グウゼーン!じゃあさ、せっかくであえた偶然に乾杯して俺とどっかしけこまない?褥行こうぜ、褥」
「いえ行きません」
「そっか……」
「……ひとまずこいつら、なんとかしないと……いけない」
 ここでグウェンは咳ばらいしてから話を元に戻し、軌道修正をはかった。
「……そうですわね。このギャル男とやらも、あの……ええと、山姥……?ヤマンバ、ですわね。ええ、それもまとめてここはご退場願いましょう」
 エリシャは頷いた。そろそろ戦う方向に話を戻さないとシナリオが進まないのだ。物わかりよく2人は話を進めにかかる。
「さっきからなんなんだよテメーらさあ!?」
 ここで蚊帳の外に置かれていたヤマンバギャル妖怪がショッパーバッグを振り回しながら抗議!
「だっさーい」
 辛辣!――ヤマンバギャル妖怪の声に反応を返したのは、グウェンのシンプルでかつ辛辣な罵倒であった。
「は?」
 あまりもド直球ストレートな物言いに、ヤマンバギャル妖怪があっけにとられる。
「あら、そんな……グウェンさん。本当のことを仰っては可哀想ですわ」
 畳みかけるようにエリシャがのっかった。襲い掛かるディスにヤマンバギャル妖怪がこめかみに青筋をたてる!
「テ、テメエ……初対面っつーのにいきなりアタイをダッセェって、どういうことだよ……!」
「あー、どしたのカノジョ!まーまーまー!落ち着いてここは!ネ!」
 静かに怒りをあらわにするヤマンバギャル妖怪を、ギャル男鬼が抑える。
「ネ!ここはほら、一緒に踊ってアガってさ!メンタルリセットしようぜ!ネ!」
 ギャル男鬼はぱちりと指を鳴らす!たちまち周囲へとなだれ込むようにギャル男鬼の仲間たちがブースごとやってきた!泥児詠(でいじえい)がかけるゴキゲンなナンバー!グルーヴィーなテクノ般若心経が響き渡り、猟兵たちの立つ路上はたちまちダンスフロアと化した!
「ウェーーーイ!!」
 波羅波羅ダンスヘブン!摩訶般若波羅蜜多!フレーズに合わせギャル男鬼たちとヤマンバギャル妖怪が踊り狂う!
「なんですの、これは……見たこともない舞ですが」
 そこに披露される見慣れない文化の色に、エリシャは再び困惑する。――しかし。
「……では、舞には舞で対抗しましょう」
 エリシャは気圧されることなく、ダンスフロアへと進み出た。一歩踏み出す度に散る桜のはなびらが淡く光りながら、その存在感を示す。
「とくとご覧あれ」
 ふわり。――エリシャは緩やかに、そして華やかに舞った。誘惑の舞踏。圧倒的な巧緻でもって紡がれるその演舞は、たとえオブリビオンであってもたちどころに魅了する。
「ヤバ……なにこれ……エッモ……」
「超アガる……」
 【仙年桜舞/コノハナ・デイドリーム】。広がる桜吹雪が、ギャル男鬼たちの魂を捕らえたのだ。
「……ッざけんじゃねえ!そんなもんで!」
 だが、そこに突然横からヤマンバギャル妖怪が突撃!
「こっちの出番を食うんじゃねえッ!」
 フロアの主役をかっさらうエリシャへと、激昂したヤマンバ妖怪が刃物を抱えて突撃したのだ!暴力に訴えようという魂胆である!
「……だめ」
「グアーッ死ぬ!」
 しかし、その進路を阻む漆黒の羽根!――この状況をはじめから見越していたグウェンが、いつでも敵を叩けるよう準備していたのである。【Feather Rain】!鋭く刃と化した羽が、文句を付けに来たヤマンバギャル妖怪の骸魂を叩き落とした。骸魂の呪縛から逃れた一般妖怪が目を回して昏倒する!
「では、こちらも――」
 ひゅ、っ。風切りの音。
「そろそろ御首をいただきますわ」
 桜散る中に、白刃が閃いた。エリシャが剣を抜き放ったのである。光を照り返す刀身は踊るように軌跡を残し、手近なところに居たものからオブリビオンを屠り始めた。
「グアーッ首狩り!!」
「……私好みの首ではありませんけれども」
 ざ、ッ、――続けて墨染の太刀が次々に跳ね上がり、そして骸魂を断ち切ってゆく。あとに残るのは骸魂から解放された一般妖怪ばかりだ。
「なんなんだ……!?こいつら、メチャクチャ強い……!」
「やべえよ……やべえよ……」
 苛烈な猛攻に押し込まれた残存ヤマンバギャル妖怪と残存ギャル男鬼たちは、恐れおののき攻撃の手を止め、そして後退り始めた。
「……敵も、ひるんでる。エリシャ、今だよ」
 だが、グウェンはそれを見逃すことなく翼を広げる。
「ええ、お任せを!一網打尽にしてしまいましょう!」
 呼吸を合わせ、グウェンとエリシャが敵の群れの中へと飛び込んだ。一人残らずここで成敗する腹積もりだ。2人は容赦なく全力を尽くす!
「では皆さま――ご退場願います!」
「うん――もう、おやすみ」
 そして、制圧。
 黒い羽根と薄紅色の花弁が暴風のように吹き荒れ、かくして骸魂妖怪たちを叩きのめしたのであった。
 ――戦いの趨勢は、猟兵たちの側に傾きつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

スピーリ・ウルプタス
「実に惜しいっ。享楽快楽は諸手を上げるところですが。
 あと少し…理性という名の耐え忍ぶお気持ちがあれば、『焦らしプレイ』や『悶え』という新たな扉が待っておりますのに」
ギャルボーイミーツガールたちとは、別ジャンルの変人
横丁内の惨状に無意味に嘆いている

妖怪太陽光線には恍惚
「ああ…じりじりと焼かれる感覚と本体の危うさ…感じます(痛みを)」
UC発動
自分以外のお仲間様を召喚大蛇を日陰にして光線から守ったり

「とはいえ、ダイ様(蛇の名前)はすでにこのうえ無く美しい黒さですので。
 これ以上の日焼けは辞退させていただきたく」
自らを囮にしては、大蛇にて牙や締め付け攻撃(締め付けられてる敵さんには若干羨ましそうに)


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、まさに『乱痴気騒ぎ』という言葉がぴったりですねぇ。
それでは、参りましょうかぁ。

『F●S』3種を展開、【銀翼袍】を使用して飛行しつつ『崩壊の波動』を放射しますぅ。
此方は『弱い認識阻害』を伴いますから、アルコールの入ったところにこれを重ねて更に状況を混沌とさせつつ『崩壊』のダメージを与えて参りますねぇ。
この状態で飛行する私に気づいた方が居り、『空にいる相手』に対して有効な攻撃手段が有るようなら『FSS』による防御&[砲撃]、『FBS』の斬撃で『仕掛けて来た方』から迎撃しましょう。
『FRS』の[砲撃]は、脱出を試みたり、他の店舗へ略奪に向かおうとする方から狙いますねぇ。


鍋島・小百合子
POW重視

なんじゃこのイキがっている山姥と鬼男は
この地に生きる妖怪がそのような出で立ちでよいのか?

「脅しているつもりじゃろうがそんなものでわらわは怯まんぞ!そこに直るがよい!お灸を据えてやろう」
己の勇気を振り絞り相手の恫喝にも怯まない態度を崩さずUC「黄金勇霊装」発動
勇気の発現で生み出された黄金の甲冑を纏い、威風堂々と敵に果敢に挑む
敵の攻撃を薙刀の武器受けで防御しつつ、薙刀で切り込み切り伏せていく(なぎ払い、範囲攻撃、吹き飛ばし、破魔併用)
そのはしたない装いを鎧砕き(神罰込み)にて粉砕してくれるわ
敵が武器落としを狙ってくれば見切り回避を重視、喰らえば懐の小太刀にて咄嗟の一撃を叩き込む


荒谷・つかさ
……。
…………。
何なのこの騒ぎ。
(真顔のまま困惑するつかささんであった)

敵のノリにはついていけないけれど、とりあえず戦う
武器は持たず、素手で対応
絡んできた奴を優先して【破邪入魂拳】でぶん殴り、骸魂へダイレクトアタック
一発でダメなら「怪力」で襟首締めあげながら【破邪入魂拳】を連打
(腹パンでも往復ビンタでも顔面パンチでも何でもOK)

私に対して恫喝してくるとか、良い度胸ね
いい機会だし、本当の暴力ってやつを教えてあげるわ
大丈夫、傷つくのは悪いモノ(骸魂)だけだから単にすごく痛いだけ
安心して殴られなさい、意識が飛んだら解放してあげる



「ウェーーーーイ!」
「イエーッ!」
「……」
 その惨状を前にして、荒谷・つかさ(f02032)は絶句した。
「…………何なのこの騒ぎ」
 真顔で困惑するつかさ。しかし、その困惑を気にすることなくパリピ鬼たちが寄ってくる!KY!
「なんじゃこのイキがっている山姥と鬼男は……」
 鍋島・小百合子(f04799)もまた目の前で展開される妖怪横丁の大騒ぎに困惑と苛立ちがないまぜになったなんとも言えない感情をおぼえた。
「まあまあそんなつれないこと言わないでさあ?オレらと一緒にたのしも!それとも褥行く?契り交わす?」
「行かぬ!!交わさぬ!!」
「グアーッ平手打ち!!」
 すぱーん!電光石火の早業で小百合子は近寄る鬼男をノックダウン!
「なんじゃこいつらのこのだらしなさは……ありえぬ。しかもあの……面妖ないでたち。この地に生きる妖怪がそのような出で立ちでよいのか?」
「ダメでしょうね」
 つかさは頷いた。
「いやまったくもってそう思います。たしかにかれらはダメです……!」
 スピーリ・ウルプタス(f29171)もまた、ぐっと握り固めた拳を震わせる。
「うむ。奴らは……」
「実に惜しいっ!」
「は?」
 口を開きかけた小百合子の言葉を遮って、スピーリは叫んだ。
「享楽快楽は諸手を上げるところですが……あと少し……理性という名の耐え忍ぶお気持ちがあれば、『焦らしプレイ』や『悶え』という新たな扉が待っておりますのに」
 スピーリは熱っぽく語る。
 彼は変態であった。
「……」
「……」
 あっこれ近づいちゃダメなやつだ。つかさと小百合子は静かにアイコンタクトし、頷き合う。そっとしておこう、と2人は無言のままに結論づけた。
「成程……これはまさに『乱痴気騒ぎ』という言葉がぴったりですねぇ」
 その一方で、夢ヶ枝・るこる(f10980)もまた戦場へ降り立つ。
「ワオッすげえおっぱい!!!!」
 すかさず色めき立つギャル男鬼たち!
「チョットー!さっきからなんなのあんたら!アタイらの存在かすんじゃってんだけど!?」
 ここで更にヤマンバギャル妖怪たちが文句をつけた!
「そう言われましてもぉ……」
「えーと……相手にするだけ無駄でしょ」
「そうじゃな……斯様な連中、すぱっと凝らしめてやるとしよう!」
「ええ、ええ……そうですね、彼らを真の快楽へと導いて差し上げなくては……!」
「……」
「……」
 つかさと小百合子はそっと目を逸らした。
「……それでは、参りましょうかぁ」
 気を取り直してるこるが号令をかける。かくして、ここに戦端は開かれた!

「ンダテメッコラーッ!!ザッケンジャネーゾ!!」
「テメェチョーシコイテットカッサバイテハラワタクイチギッゾコラ!!」
 恫喝!!先手を打って猟兵たちへと仕掛けてきたのは激怒するヤマンバギャル妖怪たちだ。発せられる呪文めいたオニ・スラングは彼女たちがかつて人間を狩る際に唱えていたという邪悪な警句である!
「私に対して恫喝してくるとか、良い度胸ね」
「うむ。まったくじゃな。脅しているつもりじゃろうが……そんなものでわらわたちは怯まんぞ!」
 しかし、猟兵たちは怯むことなく対峙した。小百合子の掲ぐ薙刀の銘は竜王御前!その刃がぎらりと光る!
「そこに直るがよい!お灸を据えてやろう」
「ええ、いい機会だし……本当の暴力ってやつを教えてあげるわ」
 一方でつかさは掌に拳を打ち付ける。包拳礼めいた所作で堂々と前に進み出ると、呼吸とともに格闘戦の構えを見せた。
「なんだこいつら……ゼンゼンビビらねえぞ!?」
「まあ、あなたたちくらいの骸魂でしたらいくらでも相手にしてきてますからねぇ」
「グアーッ爆死!!」
 そして爆発。――空から光が骸魂妖怪たちを襲ったのである。その正体はFRS。るこるの展開した遠隔操作型の戦闘ユニットだ。FRSは空中を踊るように機動しながら光線砲をターゲッティングした骸玉妖怪たちへと浴びせかけた!更にるこるはユーベルコードを励起する。【銀翼袍】を纏うるこるは不可視の翼を広げて空中へと飛び立った。
「な、なんだあれ!トんだぞ!」
「パネェ!」
「はぁい、とんでまぁす。だからぁ、逃がしませんよぉ」
「グアーッ崩壊!!」
 空中機動によるアドバンテージを利用して、るこるは眼下に集まったギャル男鬼たちとヤマンバギャル妖怪の群れへ更なる追撃の光を降らせる。逃げ惑う骸魂妖怪たち!横丁の店の中へ逃げ込もうとする妖怪や戦闘区域外へと逃げ出そうとするものから狙い、撃ち漏らさぬようにるこるは丁寧に砲撃を繰り返した!
「クソ!ビビってんじゃねー!ここは共同作業でいいトコみせよーじゃんな!」
「やっちまおうぜ!」
「おー!」
「俺らの絆見せてやろうじゃーん!」
「我等友情絶対不滅フゥー!」
 しかし、ここで骸魂妖怪たちは団結する!その身に宿した妖力のエネルギーを一斉に放射し、それを収束させて練り上げ始めたのだ!そこに顕現するのは――ヤマンバギャル妖怪たちとギャル男鬼たちの浅黒い肌をかたちづくる妖怪太陽である!
「これは……すごい紫外線ですぅ」
「く……っ!なんという光じゃ!」
「これじゃ日焼けしちゃうじゃない……!」
 強力な日サロ光線!猟兵たちを戸惑わせそれぞれの皮膚のメラニン色素を刺激すると同時に、この空間に適合している骸魂妖怪たちはそのパワーを増大させる。夏のバカンスでもないのに日焼けを強要する邪悪な太陽だ!
「ああ……これは、素晴らしい……じりじりと焼かれる感覚と本体の危うさ……感じます……」
 だが、スピーリはその太陽光線を全身で力いっぱいうけとめていた。ヤドリガミであるスピーリの人間としての躯体はロマンスグレーのシブいおじさまとして顕現したヤドリガミであったが、その身体は強力な紫外線を浴びることでたちまちウクレレとアロハシャツが似合う色黒の南国おじさんと化す!
「しかし、このままではいけませんね……。日焼けした肌も健康的で悪いものではありませんが、美白を是とする文化では忌まれるもの……。ここは私とダイ様でひと肌脱ぎましょう」
 【蛇締め/スネーク・ストレイン】!アロハおじさん化しながらも、スピーリはユーベルコードを励起した。陰の中から鎌首をもたげるように、現出するのは漆黒の鱗を煌めかせる巨大な蛇だ。
「ご存じですか。蛇は太陽の化身であり、また、太陽を呑む夜の化身でもあるのですよ。……それではダイ様、よろしくお願いいたします」
 黒き大蛇が唸るように音を鳴らす。その巨体が立ち上がり、猟兵たちを庇うように妖怪太陽へと対峙しながらその背後に日陰をつくりだした。
「……とはいえ、ダイ様はすでにこのうえ無く美しい黒さですので、これ以上の日焼けは辞退させていただきたく」
「グアーッ縛りプレイ!!」
「グアーッ緊縛!!」
 そして、大蛇の躯体が滑るように馳せた。手近なところから骸魂妖怪へと襲い掛かり、その牙で喰らいつき、長く伸びた身体で締め付け、次々に骸魂を葬り去ってゆく!
「アアー……イイーッ……いいですねぇ、私もあとでぜひダイ様に締めていただきたいものです……」
「……」
「……」
「……」
 小百合子とつかさとるこるは顔を見合わせてアイコンタクトした。
 ――触れないでおこう。味方であったとしてもヤバい奴はそっとしておくのに限る。無言のままに意思を疎通させた3人は頷きあい、そしてあらためて骸魂妖怪へと向かい合った。
「――とにかく!成敗じゃ!」
「ええ!根性叩きなおしてやるわ。歯を食いしばりなさい!」
 気を取り直した小百合子とつかさがあらためて飛び込んでゆく!まず敵陣へ切り込んだのは小百合子であった。戦いを恐れず挑む勇気が黄金の光となって彼女の身体を包み込む。【黄金勇霊装】!
「そのはしたない装いを粉砕してくれるわ!」
「グアーッスッピン!!」
「グアーッ化粧崩れ!!」
 薙ぎ払い、ッ!竜王御前の刃が閃いた。力強い踏み込みと裂帛の気合がまとめて10体ものヤマンバギャル妖怪を薙ぐ!弾かれたオブリビオンたちが半ば廃墟と化した店の軒先に頭から突っ込んで骸魂を蒸発させながら昏倒した!
「反省しなさい反省!」
「グアーッ奥歯!!」
「グアーッ頭蓋骨陥没!!」
 続けて叩き込まれる【破邪入魂拳/イノセント・フィスト】!つかさの拳が次々に骸魂妖怪の顔面をブッ飛ばし、次々に反省させてゆく!
「ヒエーッ!?なんだなんだ、どうなってんだ!?俺らのパーティーどうなってんの!?」
 気付けば既に骸魂妖怪たちの姿はほとんど残ってはおらず、ただ路上には骸魂から解放された一般妖怪たちが転がるばかりであった。
「……よし、あとはあなただけね」
「うむ。たるんだ根性、叩きなおしてやらねばならぬな」
 残る最後の骸魂妖怪、路上ブースでディスクを回していたチャラ男鬼へと猟兵たちが詰め寄る。
「え、えーっと……」
「大丈夫、傷つくのは悪いモノだけだから。……単にすごく痛いだけ」
「ヒエッ!あ、あの!俺マジ反省してるんで!見逃してくれません!?」
 ブースを飛び降りたチャラ男鬼が素早く逃げ出そうとする――それを再び光が遮った。空中から見下ろするこるが、女神のように穏やかに微笑む。
「だめですぅ」
「エーッ!?」
「安心して殴られなさい、意識が飛んだら解放してあげる」
 ぎゅ、っ。つかさが拳を強く握りしめる音がした。
「――ああ、よい拳です。さぞや素晴らしいパンチが飛び出すことでしょう……」
 そして、スピーリだけがうっとりとした表情でその様子を見つめていたのである。

 ご、ッ。
 強烈な打撃の音が響いて、ここに妖怪横丁の暴動は鎮圧された。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『恋獄姫アヤラ』

POW   :    ウィッチクラフト・プロポーズ
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【呪い】属性の【愛の言霊】を、レベル×5mの直線上に放つ。
SPD   :    恋獄の縛り
命中した【恋】の【視線】が【対象を魅了する呪詛】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ   :    愛の結晶
無敵の【対象と自身との間に産まれたベイビー】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナギ・ヌドゥーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――かくして、妖怪横丁を支配していた骸魂妖怪たちは猟兵たちの手によって叩きのめされ、町並みには静寂が戻った。
 しかし――まだ、この事件が終わったわけではないのだ。

「まあ」
 風に乗って、やわらかな声が猟兵たちの耳に届いた。
 ふわりと軽やかな様子で打ち壊された横丁のストリートに降り立ったのは――乙女であった。
「まあ、まあ、まあ――たいへん。かわいそうに。みーんなやっつけられちゃったのね?」
 かくりと首を傾いで、女は目を細める。
「ひどいわ。せっかくわたしがここを夫婦の営みと愛に満ちたラブラブファンタズムに変えようと思ってたのに……邪魔するなんて…………」
 そして、女の双眸が猟兵たちの姿を捉えた。
「……」
 わずかな沈黙が場を支配する。
 そして。
「好き♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
 女の骸魂妖怪――此度の事件の首謀者たる『恋獄姫アヤラ』は、アヤカシファンタズムあらためラブラブファンタズム世界全土に響き渡る声で叫んだ。
「あの子たちを全滅させるなんて……♡ あなたたち、とってもつよいのね♡♡♡」
 アヤラはその双眸に♡を映しながら、猟兵たちへとにじり寄る。
「わたし、あなたたちみたいなつよくてすてきなひとを待ってたの……♡ すき……♡ ね、わたしといっしょにしあわせな家庭をつくりましょうね♡♡♡♡♡」
 ――熱烈かつ強力な♡を撒き散らしながら、恋獄の姫はいろんな意味で猟兵たちへと迫る。
 かくして、猟兵たちとオブリビオンによる結婚を前提としたお付き合いが幕を開けるのであった!
(※上述の描写内において「カクリヨファンタズム」と表記すべきところを誤って「アヤカシファンタズム」と誤記しておりました。文面を以下のように訂正いたします)

誤:女の骸魂妖怪――此度の事件の首謀者たる『恋獄姫アヤラ』は、アヤカシファンタズムあらためラブラブファンタズム世界全土に響き渡る声で叫んだ。

正:女の骸魂妖怪――此度の事件の首謀者たる『恋獄姫アヤラ』は、カクリヨファンタズムあらためラブラブファンタズム世界全土に響き渡る声で叫んだ。
鍋島・小百合子
WIZ重視
真の姿発動
絡みアドリブ可

ええい気色悪い!
先ほどのちゃらい者共といい敵方にはうつけたわけしかおらぬのか!

「女子同士で赤子を為せるわけなかろうが!」
真の姿たる黒鋼甲冑に変身すればUC「神鏡浄化光」発動に備え高速詠唱す
敵の生み出した赤子を避けるように薙刀にて相対する(なぎ払い、乱れ撃ち、咄嗟の一撃併用)
戦の最中で「本当にわらわとの間にできた子か?この場の猟兵達と取り違え等なかろうな?」「髪の色や顔つきが違う」「目元に黒子が付いておらん」等の疑問(というツッコミやいちゃもん)をぶつけていく
敵に隙が生じた瞬間に「神鏡浄化光」発動
破魔と神罰の祝福が込められし光を両目から放つ(鎧無視攻撃併用)


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
これが噂に聞く『やんでれさん』という方ですかねぇ?
済みませんが、遠慮させていただきますぅ。

『直線型の攻撃』『詠唱時間が重要』でしたら『詠唱の間に線から外れる』のが良さそうですぅ。
『FBS』を四肢に嵌め飛行し【耀衣舞】を使用、『FRS』『FSS』は『光の結界』へのエネルギー供給に回しますねぇ。
そしてやんでれさんが詠唱している間に『側面』を目的地にした『光速突進』で射線から外れ、続けての[2回攻撃]で彼女を狙い『光速突進』を行いますぅ。
衝撃で『詠唱』を妨害出来ればよし、妨害出来なくても私に注意が向くなら上記同様の『光速突進の応用による回避』と『光の結界』で囮になりますねぇ。


荒谷・つかさ
……。
…………。
(敵の言ってる事に脳筋つかささんの頭は処理落ちを起こしている!)
……ええ、そうね。とりあえずどつき合いでもしましょうか。
(思考放棄して雑に返事を返して戦闘態勢に入る)

【鬼神剛腕砲】発動
顔面狙いでその辺に転がってるブツ(チャラ鬼達の持ち物とか最後に潰したブースの残骸とか)を投擲、兎に角速射を狙い言霊をブツ切りにさせてやる
また出来る限り横移動で効果範囲から逃れつつ接近を狙う
(射角の狭い直線攻撃は目標が近ければ近いほど狙いずらい筈なので)
最終的には敵の口にその辺で拾ったモチを詰込み黙らせつつ捕獲
【鬼神剛腕砲】を投げ技として発動し適当な所(地面とか味方とか空の果てとか)にぶん投げて攻撃



「これが噂に聞く『やんでれさん』という方ですかねぇ?」
 夢ヶ枝・るこる(f10980)は首を傾げた。
「うふふ♡病んでないわ♡あなたのことがだいすきなだけ……♡♡」
 しかしその一方、対峙する骸魂妖怪・恋獄姫アヤラは微笑んで猟兵たちへとにじり寄る。
「……」
 荒谷・つかさ(f02032)は無言のままに相対していた。
 より正確に表現すればあんまりにもあんまりな敵の言動に思考が処理落ちを起こしていた。今回の案件のオブリビオンはエキセントリックな奴しかいないのか。愁いを帯びたその横顔は虚ろに虚空を見つめる。
「その表情もすてき……なんてすてきなのかしら……結婚しよ♡」
「ええい気色悪い!!!!」
 ここにきてようやく鍋島・小百合子(f04799)がまともにツッコんだ。
「先ほどのチャラい者共といい……敵方にはうつけたわけしかおらぬのか!」
「うふふ……♡あんしんして♡人はだれしも愛と恋にうつつを抜かすたわけたいきものに違いないの♡だからあなたもわたしといっしょにたわけましょう♡」
「断る!!!」
 全力でもって拒絶の意を示し、更に真なる力の一端である漆黒の黒鋼甲冑まで展開する小百合子であったが、しかし双眸に♡を灯したアヤラは物怖じすることなく迫りくる。恋は盲目であり、そして障害があればあるほど愛は燃え上がるのだ。
「済みませんが、私も遠慮させていただきますぅ」
「だいじょうぶ♡イヤヨイヤヨモスキノウチ!あたしちゃーんと知ってるわ♡」
「ひええ、まったく意思の疎通ができてないですぅ」
 るこるはかるくヒいた。そして理解する。――いま目の前に立っている彼女は、時折現れるタイプのどうしようもなく話の通じないオブリビオンだ。まともに付き合っていたら精神が摩耗するだろう。
「……ええ、そうね」
 ここでつかさが重々しく口を開いた。
「とりあえずどつき合いでもしましょうか」
 つかさは思考を放棄していた。何事も暴力で解決するのが一番だ。
「まあ!愛(こわ)してくれるのね♡わたしもちからいっぱい愛(ころ)すわ♡♡♡♡♡」
「あーはいはいそうね」
 興奮し始めるアヤラをよそにつかさは雑な返事を返しながら戦闘態勢をとった。
「なんという狂人よ……これはここで確実に退治し、禍根を残さぬようにせなばならぬ!」
 ざ、ッ!小百合子は薙刀を構え、そして殺気を込めた視線で敵を射抜く!
「アッ♡♡♡いい♡♡♡その凛々しい瞳……♡♡♡すてき♡キュンとしちゃった……♡♡あかちゃんできちゃう……♡♡」
 逆効果!!アヤラは頬を赤らめ蕩けた顔をしながら下腹部をさすり始めた。
「女子同士で赤子を為せるわけなかろうが!」
「愛があればデキるわ♡♡ほら、みて♡わたしたちの【愛の結晶】……あなたの子よ♡」
 完全にキマったツラでアヤラは周囲の空間に無数の♡を撒き散らしながら、その手の中に光を宿した。
「あうー」
 そこに現れたのは、かわいいかわいい赤ちゃんである!
「えっ……まさか……」
「あなた……ひょっとして……」
 るこるとつかさは信じられない者をみるような目で同時に小百合子を見る!
「何もしておらぬわ!!!!!!!!」
「あーうー」
「ね、そんなこと言わないで……認知して♡マパ♡」
「マパ!?」
 燃え上がる愛!アヤラが赤子を抱いたまま小百合子へと迫る!
「ねぇ、ほら……見て♡マパ♡かわいい男の子よ♡涼やかで凛々しい目元がそっくり……♡」
「あーうー」
 そしてアヤラの腕の中から、かわいいあかちゃんがひょいと浮かんでカクリヨの大地へと降り立つ!
「……マパうえ。ご認知を」
「喋った!?」
「かしこい子ですねぇ」
「もうこれまじめに相手しない方がいいわね?」
 その最中、つかさは真面目に相手をすると絶対にろくなことにならないと確信していた。意識がこちらに向けられていないうちに、とそっと距離を開く。
「あーん♡だめ♡ちゃんとわたしのことを見て♡好き好き好き好き愛してる♡♡♡ね♡♡結婚しよ♡死が二人を分かつまでずっと愛してあげるしわたしのことも骨まで愛して♡♡」
 だが、そうは問屋が卸さない。間合いを開いた位置に陣取ろうというつかさの姿を見逃さず、アヤラは呪いめいた愛の言霊を高速詠唱!
「すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡」
 ウィッチクラフト・プロポーズ!赤黒く可視化された邪毒めいて揺らめく呪わしき愛の言霊が暴れまわる!
「きこえませぇん!」
 るこるは放射された言霊の呪詛を躱しながらユーベルコードを励起。同時に浮遊型のビット兵装を身に纏うことで空中へと逃れながら反撃の態勢を整える。
「あーあーきこえなーい!」
 一方、つかさは側面へと飛び退いて言霊を躱す!2秒までまでつかさが存在していた空間は爆発する愛の呪詛で粉々に砕け散った!
「だめだよぉ♡ちゃんとうけとめてくれないとぉ♡」
「受け止められないわよ!!」
 抗議の声をあげるアヤラへとつかさはそこらへんに転がる何かしらを適当にひっつかんで放り投げた!【鬼神剛腕砲/オウガアーム・カタパルト】!その強靭な腕力はただ適当なものを放り投げるだけでもユーベルコードとして機能するのだ。酒の空瓶!店の看板!ビール瓶ケース!昏倒している一般妖怪!つかさの剛腕が次々とアヤラへ適当なものを投げつける!
「ンアーッ♡♡いたいのもイイ♡♡♡」
 アヤラは投げつけられたものを全身で受け止めながら悲鳴をあげる!
「こっちもいきますねぇ」
 ――追撃!アヤラが隙を見せたその瞬間に、側面からるこるが迫る!その身に宿る光の【耀衣舞】。ユーベルコードによって極限まで加速したるこるが身体ごとアヤラへと激突する!
「み゛ゃ゛ーッ!」
 悲鳴!アヤラは衝撃に吹き飛んで横丁の雑貨店へと頭から叩き込まれる!一方るこるは反動で後退しながらも更なる攻撃の構えを見せる。
「マパうえ。認知はしていただけませぬか」
「くどい!赤子といえど容赦はせぬ。それにお主はあの女が一人で勝手に産んだに過ぎぬ!あとマパうえとはなんなのじゃ!?」
 その一方、小百合子は息子を自称するかわいいあかちゃんに対峙していた!
「というか、本当にわらわとの間にできた子か?この場の猟兵達と取り違え等なかろうな?」
「えっ……そんな……わたしとあなたの愛の結晶を疑うの……?」
 崩れ落ちた雑貨店から這い出ながら、愛しい我が子を否定されるアヤラはショックを受ける。
「よく見よ、髪の色や顔つきが違う」
「でもこの凛々しいおめめなんかはそっくりよ……♡」
「否、その目元。わらわと違って黒子がついておらん」
「そんな……マパうえ……」
 一刀両断!その存在を否定された赤ちゃんは自身の存在に疑念を抱かざるを得ず、認知されぬままその存在を維持できなくなる。その姿が陽炎のようにゆらめいて消えた。
「ああ……♡なんてひどい……でもそういうところもすてき……♡」
「ええいやかましい!戯言もここまでよ!わらわのこのふたつまなこは貴様の虚飾と妄執を払う!我が身に宿せしは神鏡に当てられし聖なる光!」
 ――そして、小百合子の双眸が光った。
 【神鏡浄化光】!虚偽を見抜き、いつわりを否定し、そして真実を映し出す言葉こそ、神鏡の力を引き出す詠唱に他ならない。「あなたの子よ♡」などという荒唐無稽な虚言を否定し続けた言葉こそが、その力となったのである。破魔の力を秘めた光線がその目から放たれる!
「成敗!」
「きゃーっ♡」
 そして、爆発。破壊光線に宿る光の破壊エネルギーが空間を破壊することで破壊的な爆発がそこに発生したのである。横丁の建物をふたつみっつ巻き込みながら爆発した空間はアヤラを直上に吹き飛ばす!
「えーいっ」
 エリアルレイヴ!空中で待機していたるこるが、浮き上がったアヤラへと追撃を仕掛けた!再びの体当たりである。光をまとう躯体が、オブリビオンに激突し再びカクリヨの地へと叩き落とす!
「はいはい、お灸をすえるとしましょうね!」
 ――そして、墜落地点で待ち構えていたのはつかさである。その手には打ち壊された魂備仁(こんびに)店跡から引っ張り出してきたモチを構える!つかさは落ちてきたアヤラを片腕で乱暴にキャッチ!
「まあ♡受け止めてくれたのね♡やっぱり愛のもぎゅっ」
「あーあーきこえなーい」
 つかさはアヤラが何か言うより先にその口めがけてモチを押し込んだ。これ以上愛をささやけぬように口を閉じさせたアヤラを、つかさは足首を握ってバットのようにスイング!砲丸投げの要領で放り投げる!
「もごごごごごご♡♡♡♡もごーっ♡♡」
 くぐもった悲鳴とともにカッ飛んでゆくアヤラ!そしてその躯体は轟音とともに妖怪雑居ビルに突き刺さった!
「……どうじゃ。終わったか?」
「うーん……まだ元気そうね」
 小百合子とつかさは、壁に突き刺さったまま足をじたばたさせるオブリビオンの姿を仰ぎ見た。
 ――ダメージがなかったわけではないが、まだ終わるつもりはない様子だ。2人は顔を見合わせて微妙な顔をした。
「だいぶ疲れる相手ですねぇ……」
 そしてるこるもまたその様子を見上げながら、短くため息を吐くのであった。

 カクリヨ世界を理性なきラブラブファンタズムへ変貌させようという骸魂の邪悪な野望はいまだ潰えていないのだ。
 かくして、骸魂妖怪アヤラと猟兵たちの結婚を前提とした戦いは続く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ガンズ・ハルモニア
乳酸菌飲料の原液みたいな人だなぁ byはるもにあ。
ガンキューブに引き続き搭乗、操縦。
この箱を愛せるものなら愛してみな!お断りです!ごめんなさい!
タイプじゃないんです!(ハイビームキャノンの焼却熱線発射)

ごめんやっぱ訂正。
薄めすぎた乳酸菌飲料みたいな人だなぁ byはるもにあ
『ガンフリーマシン』発動。
焼却熱線を切って早業、高速転移で攻撃を回避。回避。あ、おはようございます。回避。こんにちは。回避。こんばんは。回避。

色んな人に声かけてるし、
実はさっきのウェーイ達と中身あんまり変わらないのでは????
私はいぶかしんだ。ボンバイェイ。
ガンマシンキャノン及びガンビームで制圧射撃。


神樹・鐵火
ええい、愛が重い

ほう、貴様も強い奴が好きなのか、私も同じだ
だが、ふしだらな奴は論外だがな

呪詛は【読心術】で何を言うつもりなのか先読みした上で【見切り】で適当に聞き流す
徹底的に塩対応だな
詠唱合間に横槍を入れて途切れさせ、威力減退(【部位破壊】)
適当な頃合いを見て【残像・ダッシュ】で敵の死角に移動し
【鬼神蹴撃】で遠くへ蹴り飛ばす

神に向かって軽々しくお付き合いだと?寝言も寝て言え


神羅・アマミ
性の多様化大いに結構!
しかし想像妊娠で害毒を撒き散らすメンヘラにはキッチリお灸を据えてやらんとな!

なればこそ彼奴のイタい部分を突くべし。
真の姿・ツインネックギター形態へと覚醒、発動せしUCは『柿落』よ!
果たして相手がどんな赤子を生み出すかは知らぬが、【野生の勘】にて致命傷さえ外した防御を一度でも行えれば手はずは整う。
さすれば使い魔が卵を排出し、全く同じ赤子を生まれ出よう!

無敵と無敵、ぶつかりあったところで決着がつかぬことは目に見えておる。
しかし…「ケツから生み出された赤子は強いのう!ま…まさか!其方もケ…ケ…いやーッ不潔よーッ!」とか大仰に煽れば、精神に揺さぶりをかけられるやもしれぬ!



「すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡」
【ウィッチクラフト・プロポーズ】!呪詛めいた愛の言霊と共に、虚空を貫くユーベルコードが宙を切り裂いた。
 すんでのところで危うく躱して猟兵たちであったが、その背後で愛の直撃を受けた建物が爆発四散する。
「ええい、愛が重い……!」
 神樹・鐵火(f29049)は短く舌打ちしてから敵の姿へと視線を戻す。
「乳酸菌飲料の原液みたいな人だなぁ」
 ガンズ・ハルモニア(f17793)は視覚センサーに捉えたアヤラの戦闘挙動を分析しつつ、対峙する。
「……しかーし、この箱を愛せるものなら愛してみな!」
 そして挑発に出た。ガンズ・ハルモニアの現在の姿は青い鋼鉄の塊。一般的に言えば、到底恋愛対象になど望めぬ姿だ。
「のぞむところよ♡♡♡♡♡」
「えっマジです?」
 しかし望むところであった。愛さえあれば種族の差も出身世界の違いもクリア。障害なんて欠片もないよね♡恋獄姫アヤラはまるで構うことなく突き進む。
「ぜんぜんイケるわ♡♡♡さ♡わたしとしあわせな家庭を築きましょう♡」
「お断りです!!ごめんなさい!!」
 ガンズは即刻後退した。躯体に搭載したブースターに火を入れながら、迫りくるオブリビオンから離れるように機動する。
「タイプじゃないんです!!」
 更に放つ鋭い言葉の刃!同時にガンズの躯体の内部で起動する主砲オブリビオンバスター!焼却熱線が三行半めいてアヤラへと突き付けられる!
「きゃーっ♡愛が熱いっ♡♡」
 ごう、ッ!しかしてアヤラはその熱量に身を焦がしながらも、獣めいて愛を叫びそして猟兵たちへと迫る!
「いやーしかし、妾ら女しかおらぬがええんか彼奴」
 神羅・アマミ(f00889)は目を細めた。
「いいのよ♡♡昨今は個人のジェンダーとセクシャリティに寛容な世の中だもの♡♡」
 愛に性別は関係ないの。アヤラは煌めくように笑顔を見せる。
「うむ……たしかにその通りじゃな。性の多様化大いに結構!」
 アマミは腕組みして頷いた。なるほど。現代の世の中ではたしかにその主張は正しい。同性同士であることを理由に拒絶するのは非常にセンシティヴな社会的問題に発展する道徳的に正しくない行いとなってしまう。この戦いの中においては発言に非常に注意を払わなくてはなるまい。
「……では、ここはお主のパーソナリティから糾弾してやらねばなるまいな!」
「いいわ♡♡どんな風にしてくれるの……?わたし、あなたのつよーいところたくさん見たいな……♡♡」
 わたし、つよいひとがだいすき♡恍惚の表情で蕩れるアヤラは、期待すら込めた視線を猟兵たちへと送る。
「……ほう。そうかそうか。貴様も強い奴が好きなのか……ああ、私も同じだ」
 しかして、ここで鐵火はアヤラの前へと立ちはだかった。
「まあ♡気が合うのね……♡わたしたち、相性ばっちりってこと?きゃ♡それじゃ結婚ね♡♡♡♡」
「いや、しない」
 蕩れるアヤラへと向けてぴしゃりと言い放つ鐵火は、お手本のように徹底した塩対応をしていた。
「ええ……♡そんなひどいこと言わないで……♡♡こんなに好きなのよ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
 怪光線めいた♡の呪詛が鐵火へと襲い掛かった。しかし鐵火はつとめて冷静にその軌道を見切り、回避機動をとる。
「黙れ。そもそも神に向かって軽々しくお付き合いだと?」
「軽々しくないわ♡♡♡本気よ♡♡♡それに、ひとと結ばれた神の逸話なんていくらでもあるじゃない♡♡♡」
「私は違う。寝言も寝て言え。それに――」
 鐵火は更に呪詛の♡を躱しながら間合いを詰めた。――側面!身を沈めるような所作でもって、鐵火はアヤラの死角へと潜り込む!
「貴様のようにふしだらな奴など、論外だ!」
「きゃーーっ♡♡♡DV♡♡♡♡♡♡」
 【鬼神蹴撃】、ッ!鋭く重く、跳ね上がる蹴り足がオブリビオンの躯体を捉えた。強烈な蹴り足を叩きつけられた骸魂妖怪の躯体は物理法則を無視したかのようにその衝撃で跳ね上げられ、空中に高く放り上げられる!
「――さきほどの発言、やっぱ訂正です」
 ――追撃!宙を舞うアヤラへと、空中を機動するハルモニアのガンキューブ躯体が追い縋る!
「薄めすぎた乳酸菌飲料みたいな人だなぁ」
「言葉の意味はよくわからないけど、わたしの愛はそんなにうすくないわよ♡♡」
 がきん、ッ。ガンキューブ躯体の内部で、内蔵された火砲が音をたてて起動した。
 一方、アヤラもまた迎撃態勢をとる。空中で身を翻したアヤラは、その口の中で素早く愛の言葉を無尽蔵に囁いた。
「すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡すき♡」
 先手をとって反撃したのはアヤラである!♡の呪詛が激しく撒き散らかされ、周囲の空間を巻き込んで爆発する!
「ああ、いけませんいけません」
 しかし――Blink!ハルモニアのガンキューブ躯体は短距離テレポートめいた高速転移によって呪詛を躱した!【ガンフリーマシン】の発動である。ハルモニアは更に回避機動をとりながら、オブリビオンめがけて弾丸を吐き出す!
「すきすき♡」
「はい。おはようございます」
「すき♡」
「はい、こんにちは」
「すき♡」
「はい、こんばんは」
 かくして妖怪横丁上空は♡と火線飛び交う修羅場と化した。アヤラの呪詛が花火めいて炸裂しながら撒き散らされ、それを躱しながらハルモニアのガンキューブ躯体が呪詛を掻い潜り反撃の火砲を叩き込む。どこかシュールな言葉のやりとりとは裏腹に、そこに展開されていたのは激しい撃ち合いであった。
「しかしあなた、さきほどから色んな人に声かけてるし、実はさっきのウェーイ達と中身あんまり変わらないのでは????」
 ハルモニアはいぶかしんだ。
「あの子たちもわたしも、求めているのは愛とつながりなのよ♡」
「はあ、そうなんですか」
 交わす言葉の応酬の最中、ここでガンキューブ躯体は敵の動作の中に僅かな隙を見出した。――逃すことなく、そこへ火砲を叩き込む!
「あーっ♡」
 衝撃!弾頭を全身で受け止めたアヤラは先ほどと真逆に地面へと向けて真っ逆さまに落下する!――衝撃!轟音!妖怪横丁の店舗をひとつ潰しながら、隕石めいてアヤラはカクリヨの大地へと落下した。
「おっ、やったか!」
 すかさずアマミが様子を伺う――しかし!
「うふふ……♡わたしはしなないわ……だって♡」
「だあ」
 ――アヤラは未だそこに健在であった。そして、その腕の中にはかわいいかわいいあかちゃんが抱かれている!
「ここにわたしたちの【愛の結晶】があるんだもの……♡」
「あーうー」
「おわっ、出た出た。ウワサの想像妊娠じゃ……」
 だが、その姿を見つめるアマミの視線は実に冷ややかであった。
「……うむ。これはいわば本人の性格に起因する問題じゃな。叩いても問題なかろう。……よし!想像妊娠で害毒を撒き散らすメンヘラにはキッチリお灸を据えてやらんとな!」
「いやん♡そんなこと言わないで認知して♡♡」
「うるせー!お断りじゃぜー!!」
 ぎゅるん。アマミはここで戦闘形態を変える。その両手で構えるツインネックギター!弾いた弦がぎゅるぎゅると音を鳴らした。更に展開する5体のぬいぐるみめいた使い魔たち!
「まあ♡ベイビーちゃんとあそんでくれるのね♡」
「あうー?」
 対するアヤラはベイビーちゃんを掲げてみせた。――ベイビーちゃんは双眸を光らせる。そこから放たれたのはすさまじく強力な思念波!念動力による攻撃がアマミへと襲い掛かる!
「おわっえげつないことしてきよる!ぼうぎょたいせーい!」
 攻撃を察知したアマミの使い魔たちは前進し、そして簡易的な防壁を構築する!しかしベイビーちゃんの放つ思念波はまさに無敵のパワー。使い魔たちがつくる防壁は一撃で瓦解寸前まで崩れてしまう!
「あーうー」
「マパがあそんでくれてうれしいのね♡じゃあベイビーちゃん、もういっかい♡」
 アヤラとそのベイビーちゃんは更なる追撃を加えるべく、その力を再び収束させる――!
「おーっと!そうは問屋が卸さぬわ!!ここからが反撃の時間じゃぜー!」
 しかし、ここでアマミが反撃に打って出た!傷ついた5体の使い魔たちが集まり、そしてそのうちの一体が荒い呼吸を始めたのだ!短く二度息を吸ってから吐き出す!ラマーズ法!そして――使い魔がたまごを産む!
「――あーうー!」
 ぱき、ッ!すぐさま割れたその卵から顔を出したのは、同じくベイビーちゃんである!
「まあ」
「よーしよく生まれた!では早速じゃがかかれ!やっつけよー!」
 ユーベルコード、【柿落/コケラオトシ】!それは敵のユーベルコードをコピーして用いる術である。アマミはアヤラのベイビーちゃんの攻撃へ正面から向き合うことで、そのパワーを受け止めて借用したのだ。
「だあ」
「あーうー」
 かくして、ここに対峙する2人の無敵のベイビーちゃんたち。2人は凄まじい念動力でもって互いに激しく攻撃しあい、ぶつかり合う!戦いの余波は天変地異めいてカクリヨを揺るがした!
「ケツから生み出された赤子は強いのう!まさに完全無ケツじゃな!」
 その一方、アマミはアヤラを煽りながらギターを振り回す!
「えっ……ア(全年齢向けコンテンツでは不適切な発言)……?」
 アヤラは瞳を潤ませながらアマミのギターを躱し、そして頬を赤らめた。
「いやそこまで言っとらんが!」
「わたし、恥ずかしいけどそういうのが好きなら……♡」
「いやーッ不潔よーッ!」
「どういうやり取りだ、それは!!」
 ――その交錯の最中、横から入る蹴り足の一撃!ツッコミ不在の空間を修正するように、側面から再び鐵火が攻め込んだ!アヤラは咄嗟に回避動作をとり、直撃を避ける!
「うーん、そろそろ収拾を付けるべきなのでは?」
 更に火砲が降り注ぐ!ガンキューブ躯体の追撃である!炸裂する炎!これは躱しきれず、アヤラは炎に包まれた。
「きゃーっ♡」
 ――ここでアヤラはくるりと身を翻し、猟兵たちから逃れる方向へと進路をとった。炎を払いながら、アヤラは崩れた横丁の建材の上を跳ぶ!
「みんな積極的でとっても嬉しいけど……わたし、ちょっとだけ疲れちゃったわ♡休憩させてね♡」
「あーうー」
 そしてアヤラはぱちりと指を鳴らす。同時に自爆するアヤラのベイビーちゃん!時間稼ぎの目くらましだ。爆風に紛れてアヤラは一度後退する!
「あー!逃げおった!」
「……退いたか」
「どちらかと言えばヒいたのは私たちのほうだけど――とりあえず、追撃するしかなさそうだねぇ」
 だが、ここで彼女を取り逃すわけにはいかない。
 カクリヨの崩壊を防ぐため、猟兵たちの戦いは続く!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

グウェンドリン・グレンジャー
【桜鴉】
はえー、すっごい、カワイイな娘、でてきたー……
和ゴスの私達……と、仲良く……なれないんだね。しってた

(空中戦で、腰から生やした鴉の翼で飛び回り)
ふぇ……私、人間のメス……だから、メスに求愛……されても、困る……
いちおー、ほんのちょっと、気になる、人間のオス、いるんだよぅ
(頭上に虚数物質の困マークを浮かばせて)

エリシャー、これ、どう捌くー?
私は……力押ししか、できない、から……!

呪いの言霊、浄化……と、狂気耐性、で、対処しつつ、念動力で加速、空中戦で、避ける
歯、食い縛れー、せーの
(怪力を載せて、強かに脳天を蹴り飛ばすAngel's Hammer)

さて、散らかった……街、片付け、しなきゃ


千桜・エリシャ
【桜鴉】

あら、可愛らしい方ですこと
お近づきの印に御首をいただいてもよろしくて?

ふふ、私は見目麗しい方なら性別は問わなくてよ、なんて
まあ!グウェンさんに気になる殿方が?
詳しく伺いところですが…
い、今は目の前の方に集中しましょうか!

グウェンさんが力押しならば
私は搦手で参りますわ

まあ、この子が私とあなたの愛の結晶ですの?
可愛らしいこと…
けれどこんな危ないところにいてはいけませんわ
あなたも親ならばわかりますわよね?
私とあなたの幸せな家庭のためにも
ね?お願い
ふわり桜花を舞わして魅了して

さあ、グウェンさん!今ですわ!
彼女が蹴り飛ばした隙に接近して
御首をいただきましょうか

ふふ、美しい者の首
私好みで佳きこと…



「結婚しよ♡ ♡」
 急襲!瓦礫と化した横丁の建物の上を跳び、アヤラは再び猟兵たちへと襲撃を仕掛ける!
「あら、可愛らしい方ですこと」
「はえー……ほんとだ。すっごい、カワイイな娘……」
 しかし、猟兵たちに油断はない。再襲撃を予期していた千桜・エリシャ(f02565)とグウェンドリン・グレンジャー(f00712)はアヤラの襲撃を躱す。ベアハッグめいた腕は2人をすり抜け虚空をかき抱いた。
「えへへ♡かわいいって言われちゃった……♡これってプロポーズね♡きゃっ♡」
 しかしてアヤラは体勢を整えながら再び攻撃の構えをとる。空気が熱を帯びた。
「ふぇ……私、人間のメス……だから、メスに求愛……されても、困る……」
 困惑するグウェン。しかし、その困惑は別として彼女は既に迎撃体勢をとっている。腰部から広げたクランケヴァッフェの黒翼で、グウェンは瓦礫を蹴立てて宙に舞った。
「いまどきは多様性文化の時代よ ♡ ♡ ♡男の子は男の子同士でも ♡女の子は女の子同士でも恋愛していいと思うの ♡ ♡」
 だ、ッ!三角飛びめいた機動で空中のグウェンにアヤラが追い縋る!
「正論、だけど……あなたは、NG……」
「あーん♡ ♡ひどいっ♡でも恋はあきらめたら負けよ♡」
「でしたら、私と遊んでくださいませ」
 ひゅ、ッ!風切りの音とともに墨染の太刀がアヤラの路を遮った!代わってエリシャが対峙する。
「ふふ、私は見目麗しい方なら性別は問わなくてよ」
「まあ♡」
 アヤラは喜色いっぱいに顔をほころばせ、♡を撒き散らかした。その指先を鋭くエリシャの首元めがけて伸ばす。エリシャは巧みな体捌きで躱しながら間合いを取った。
「お近づきの印に御首をいただいてもよろしくて?」
「すてき♡わたしもあなたがほしいわ♡ ♡交換しましょ♡ ♡エンゲージヘッドね♡ ♡ ♡」
 アヤラは鋭く身を翻すと、再び瓦礫を蹴って跳んだ!ぎらぎらと光りながらショッキングピンクの♡を映す双眸がグウェンを狙う!
「でもあなたもほしいっ♡」
「それは……、こまる……!」
 ばさ、ッ!黒翼がアヤラを叩き落とす。グウェンは半回転し空中で姿勢を制御。反撃の態勢へと移行する。
「いちおー……、ほんのちょっと、気になる、人間のオス……、いるんだよぅ」
「まあ!グウェンさんに気になる殿方が!」
 ぽろり溢れた言葉にエリシャがいきり立った。
「じゃあわたし2号さんでもいいわ♡ ♡愛して♡ ♡それから略奪婚しましょ♡ ♡」
「しない……」
 諦め悪く追い縋るアヤラを躱しながら、グウェンはちらとエリシャにアイコンタクト。
「エリシャー……、これ、どう捌くー?」
「え?あ、はい!そうですわね、その、殿方のお話も詳しく伺いところですが……今は目の前の方に集中しましょうか!まず一旦こちらにおまかせください!」
「りょーかい……」
 エリシャが大太刀を構えなおし、その視線をアヤラへと再び向ける。交錯する視線。
「じゃあさっそくエンゲージヘッドの交換ね♡ ♡ああ……♡結婚よ……もうわたしたち婦婦(ふうふ)なのね……♡」
 恍惚とするアヤラはじりじりとエリシャににじり寄りながら下腹部を撫でた。
「おなかあったかくなってきちゃった……♡これもう孕んだわ……♡」
 想像妊娠!アヤラの脳内ではエリシャとの蜜月の新婚生活が走馬灯めいて爆速で駆け巡った。
「ええ……」
 一方グウェンは困惑した。
 しかしアヤラの暴走は止まらない!その結果、彼女の手の中には光が収束し、そこには元気でかわいいイマジナリーあかちゃんが誕生するのである!
「はあ……はあ……♡みて、マパ……♡うまれたわ……わたしたちの【愛の結晶】よ♡」
「あーうー」
「まあ……」
 エリシャはそのあんまりにもあんまりな妄言に息を呑み――
「可愛らしいこと……この子が私とあなたの愛の結晶ですの?」
 そして認知!マパであることを受け入れたのである!
「ええ……」
 グウェンは困惑した。
「ですが……」
 しかし、エリシャはここで表情を引き締めた。ゆっくりとアヤラへと詰め寄り、そしてイマジナリー我が子の頬を撫でる。
「まぱ」
 きゃっきゃと笑うイマジナリー我が子をもう一度撫でてから、エリシャはアヤラに視線を向けた。
「けれどこんな危ないところにいてはいけませんわ……あなたも親ならばわかりますわよね?」
「ええ……そうね……ママになったいまならわかるわ……」
「だぁ」
 エリシャは巧みな話術でアヤラを懐柔する。そして、その周囲の空間にはふわりと桜が散った。【傾世桜花/コノハナ・メロウ】。花びらがアヤラを幻惑する。
「ええ。私とあなたの幸せな家庭のためにもね?」
「うん……♡」
 そしてアヤラは頷いた。戦いはもはやこどもの情操教育に悪い。幸せな家庭を目指すアヤラはイマジナリーあかちゃんを抱いたままそっと戦場に背を向ける。
 その時である。
「さあ、グウェンさん!今ですわ!!!」
 エリシャは鋭く叫んだ。
「おっけー……待って、た……」
 力押しの番!空中で待機しながら力を蓄えていたグウェンは、その全身にユーベルコード出力を滾らせながら空中より急加速して最高速で降下する!
「じゃあ……、力押し、の……番……歯、食い縛れー」
「えっ♡なぁに♡」
 ――振り向く瞬間、激突、ッ!猛禽めいて襲い掛かったグウェン叩きつける一撃は必殺の【Angel's Hammer】!轟音!衝撃!直撃を受けたアヤラの躯体はきりもみ回転しながら宙に舞い上がった!
「……では、これで……終いといたしましょう!」
 ひゅ、っ――再び鳴る風切りの音。閃く墨染の刃。エリシャは素早くアヤラへと間合いを詰めると、その剣で首を刈り落とすッ!
「あーーーーっ♡ ♡ ♡」
 恍惚とした幸福な断末魔。イマジナリーあかちゃんを抱いたままの躯体は地面へと転がり、そして爆発四散。そこからまろび出たカクリヨの妖怪がぐるぐると目を回す。一方、落とされた首――恋獄鬼アヤラを構成していた骸魂の残滓は抜け目なくエリシャが回収!エンゲージヘッドを抱きながら、エリシャは瓦礫の街に降り立ち、そして剣を収めた。
「……これにて、一件落着、ですわね」
「うん……あと、散らかった……街、片付け、しなきゃ」
 そして地面に降り立ってグウェンが頷く。骸魂パリピ妖怪の大騒ぎとこれまでの戦いで、妖怪横丁はもはや廃墟同然の惨状であった。
「ええ、私もお手伝いいたしますわ。行きましょう、グウェンさん」
「うん……」
 かくしてここに戦いに決着はつき、邪悪な骸魂によるカクリヨ世界のラブラブファンタズム化は無事に阻止されたのである。

「ふふ、それにしても……美しい者の首……私好みで佳きこと……」
 そして、エリシャは戦利品として密かにエンゲージヘッドをお持ち帰りする。これもまた彼女の御首これくしょんのひとつにくわわるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『妖怪横丁へ寄っといで』

POW   :    妖怪横丁グルメを楽しむ

SPD   :    妖怪横丁ショッピングを楽しむ

WIZ   :    妖怪横丁催事を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 翌日のことである。
 カクリヨ世界特有の雑な世界再生力によって元の姿を取り戻した妖怪横丁には、再び賑わいが戻っていた。

「やれやれ、ひどい目にあったねぇ」
「本当にね……」
 妖怪横丁の一角、西洋妖怪たちの店が連なる軒先で2人の妖怪がため息をつく。
 かたや西洋妖怪ヴァンパイアのマダム・バートリー。かたや魔女のヴィヴィ・ウェストサイド。ともに横丁でコスメショップやファッションブランドストアを経営する妖怪たちである。
「とはいえ、無事で済んだんだ。まあよしとしようじゃないか」
「人面犬にでも噛まれたとでも思って?」
「そういうことさ」
 魔女のヴィヴィが肩を竦め、手を振って店へと戻ってゆく。その横を、同じく西洋妖怪の小さな魔女たちが通りがかった。
「こんにちはー!めいがす堂でーす!」
「すぎゆく夏を惜しみつつ、残暑をのりきるひんやりスイーツはどうでしょうかー!」
 彼女たちは雑貨店『めいがす堂』ではたらく魔女見習いたちである。西洋妖怪通りではマスコットのような存在であり、おしゃまな魔女、通称おシャ魔女などとも呼ばれている。雑貨店とは言いながら、店主は気まぐれで、雑貨店だったかと思えば突然ハーブや薬草や花を扱うフラワーショップになったりところころ業態を変えるのが特徴だ。どうやら今はパティスリーをやっているらしい。

「まあ、まあ、すてき。これで音が出るのね?」
「なんてことでしょう!」
 その一方、横丁の一角ではパリピ鬼たちが残したブースに興味を示す妖怪たちが集まりディスクをいじっていた。西洋妖怪のセイレーンや、東方妖怪の琵琶法師などが音響機材の使い方をチェックしてゆく。
「それならこれで今日は……なんだっけ?ぱーりない?」
「ぱーりない!」
 たちまち機材の扱いを覚えた妖怪たちは、ディスクを回し自ら歌い演奏し始める。にわかに賑わう横丁の一角は、突発的な妖怪フェス会場と化していた。

 それぞれが好き勝手に統制なく遊びながらも、それなりに面白く暮らす。これもまた、カクリヨ世界の妖怪横丁の姿である。
鍋島・小百合子
絡み・アドリブ可

だらしのない山姥や淫乱な女妖怪共を一堂に相手にして疲れたぞ……そう心にのう
美味そうな匂いの立ち込めるこの場で何か食べれば気が晴れるであろうが…ん?あそこで何やら催しでもあるのかえ?わらわも混ざってみるかの

どうやら妖怪に混じり飛び入りで参加ができるようじゃ
引き寄せられたのも縁であろうからわらわも混ざらせてもらおうぞ

巫女装束に早着替えし右手に祭祀扇を持てば、場の様子を見やって妖怪が好みそうなものをわらわの十八番と併せて舞おうてみようぞ(誘惑、ダンス、パフォーマンス併用)
戦いで疲れた心に一筋の癒しがひしひしと感じられるものよの…その気持ちを持って舞を披露する
飛び入りも歓迎するぞ


神羅・アマミ
毎日がお祭り騒ぎじゃと何が面白いのかさっぱりわからなくなってしまうが、月イチでも半年に一回でもこんな日があってもええじゃないか!
そう…祭りとは即ち祀り、本来は眠れる死者の祟りや怨念を鎮める儀式でもあったはず。
彼の者どもが再びオブリビオンとして蘇らぬよう、せめて今は祈ろうではないか!
そーれ同じアホなら踊らにゃソンソン!

というわけでツインネックギター形態でディストーションな音色をかき鳴らし、使い魔は狂ったように踊らせることでダンス会場に熱気と興奮の彩りを添える。
UC『吊込』のゲーミング感溢れるオブジェクトはさしずめ浮き灯籠、時に遥か上空へと飛ばし眩き閃光を放つ。
これぞ送り火、成仏めされよ!



「ああ――まったく。ひどい案件であった」
 鍋島・小百合子(f04799)はげんなりした顔でぼやいた。
 今回の事件はひどいものであった。だらしのない山姥や淫乱な女妖怪共――彼女の育った世界の常識に照らし合わせれば、どいつもこいつも頭のおかしいオブリビオンばかりだ。そんな連中ばかりが一堂に会する此度の案件は、小百合子の全身とその心に重たい疲労感を残していた。
「この場で何か食べれば気が晴れるであろうが……」
 横丁の通りを散策しながら小百合子は並んだ店舗を横目で見る。ふわ、と香るの甘い匂い。近くに菓子を提供する店舗でもあるらしい。
「ほう」
「こんにちはー!めいがす堂でーす!」
「ご試食されていきませんかー!」
 店の前で立ち止まった小百合子に、ちいさな魔女妖怪たちが飛び込んで試作品の新作スイーツを繰り出す。月見に合わせたおだんごであった。妖怪果樹園で採れたおばけぶどうや梨といった果実のソースを練り込んだフルーツ月見だんごである。
「ありがたい。ではひとつ頂こう」
 ちょうど心に潤いを求めていた頃合いだ。小百合子は遠慮なくひとつつまんで口にする。
「ああ……これは良い……。癒される……」
 舌の上に広がる芳醇なフルーツのフレーバー。もちもちとした食感と甘味が小百合子の疲弊した心を癒した。
「ありがとうございまーす」
「お気に召されましたらぜひお買い求めくださーい」
 めいがす堂のおシャ魔女たちはかわいらしい営業スマイルを向けながら、店の扉を示した。
「ふむ……土産にすこし買っていくのもやぶさかでは――ん?」
 その時である。通りの向こうから、にぎやかな音楽が小百合子の耳元に届いたのだ。
「何やら催しでもあるのかえ?」
「そうですねー。おまつりやるって言ってましたよ?」
「わたしたちもあとでいこーとおもってまーす」
「ほう……祭りか。では、せっかくの機会ゆえ少し覗いてくるかの」
 買い物にはまたあとで寄る、と言い添えて小百合子はおシャ魔女たちに手を振って、祭りの会場へと足を向ける。
「はーい。おまちしてまーす」
 その背中を、おシャ魔女たちが見送った。

「毎日がお祭り騒ぎじゃと何が面白いのかさっぱりわからなくなってしまうが――うむ!そうじゃな、月イチでも半年に一回でもこんな日があってもええじゃないか!」
「いえーっ!!」
 神羅・アマミ(f00889)が拳を突き上げながら叫ぶ。その声に応じて、音楽を愛するタイプの妖怪たちがコールした。
「祭りは好きかお主らーっ!」
「いえーっ!」
「祀りたいかお主らーっ!」
「いえーっ!」
「よォーし!同じアホなら踊らにゃソンソン!アゲて鎮めていくぞーっ!」
「いえーっ!!」
 『祭り』とはすなわち『祀り』である。それは神格に祈りを奉納する行事であることもあれば、あるいは死者の祟りや怨念を鎮めるための儀式でもあるのだ。
 世界を侵した骸魂であっても、慰みがあってはならないということはない。アマミは此度の事件において相対した者たちに対しても、オブリビオンとして蘇らぬように祈りを奉ぐべきだと考えていた。
 特に今回は、彼らが好んでいた音楽というツールを用いてである。
「なるほど、そのようなまつりということか」
 祭りの会場と化した広場にたどり着いた小百合子は、なるほどと合点する。
「じゃあまずはこう、アレじゃ!メロウなリズムで鎮魂歌(レク)っていくぞー!」
「おーっ!」
 しれっとまつりのM.Cポジションにおさまったアマミが会場に呼びかければ、琵琶妖怪たちやセイレーンたちといった音楽好きの妖怪たちが穏やかなサウンドを奏でる。
「そうか……そうじゃな。あ奴らとて、この世界に生きておったわけじゃからな」
 小百合子は僅かに瞑目し、そして再び目を開いた。ば、と音を立てて広げる祭祀扇。巫女装束に着替えた小百合子は、妖怪たちの奏でる音に合わせ、優雅に舞い始める。
「――弔いの一つもしてやらぬのは、不作法というものよ」
 緩やかに流れるような所作で小百合子は踊る。そして、この戦いで散っていった骸魂たちが浮かばれるように祈りを捧げた。
「おーし、んじゃ次はアップテンポでいこーではないか!連中も派手にブチあげる方が好きだったじゃろーしな!」
 ぎゅいんッ。ここでアマミがギターをかき鳴らした。電気妖怪が激しく太鼓を叩き発電し、アンプに電力を供給する。アマミの鳴らすギターサウンドがディストーションな音色を響かせる。更にアマミの遣わす4体の使い魔が会場内を狂ったように踊りながら飛び回った。巡る光と響く音色が会場の熱気をガンアゲし、サウンドを変えてゆく!
「さあさあどんどんアガっていくぞー!」
「いえーっ!」
 迸る閃光!アマミのユーベルコードに由来するガジェットが空中に放り出されたのである。ゲーミングアイテムめいて1680万色に輝くガジェットはぎゅるぎゅると回転しながら宙を舞い、まばゆく光を撒いた。
「おお……」
 その光を小百合子は見上げ、短く息を吐いた。
 ガンガンに鳴らされるサウンドは正直なところ好みとは異なるが、カクリヨの空で輝く光は見事な美しい情景であった。
「……イイじゃん」
 熱狂の最中、小さな声が小百合子の耳に届く。ふと視線をやれば、そこにはチャラいギャル男鬼が一人佇んでいた。
「貴様……」
「あー、大丈夫大丈夫。こんだけやってもらったし、今から成仏すっから」
 骸魂の残滓であるギャル男鬼は、半透明に透き通った姿で手を振ってだらしなく笑った。
「あ、でもその前に俺と褥行かね?」
「行かぬわ!!」
 最後まで疲れさせる奴らめ!小百合子が一喝すると、だらしない笑顔のままで骸魂の残滓は空へと吸い込まれるように浮かび上がっていった。
「これぞ送り火、成仏めされよ!」
 ギャーン、ッ!アマミのギターサウンドが力強く響き渡る。そうして、骸魂の残滓は光の中に消滅した。
 かくして始まった祭りは、妖怪たちを巻き込みながら更なる盛り上がりをみせてゆくのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

神樹・鐵火
【御魂除霊事務所】で同行

神治、私は荷物が持つのが嫌だからお前を呼んだのだ
修行だと思え

失われたものが流れ着くこの世界なら「沙帝(さてい)」はあるだろう
一度行ってみたかったのだがな、いつの間にか消えたと聞いている
......何だ?神が庶民のしょっぴんぐもぉるに行くのは変か?

買うもの?清酒に決まってるだろ、あれは私にとっては水だ
水は大事だろ?
(と、いいつつビールや缶チューハイも買ってる)
支払いはお前の便利な「魔法の札」でよかろう
引き落とし額が大変だと?知らんな


御魂・神治
【御魂除霊事務所】で同行

はぁ、荷物持ちかいな...
力ある癖に一人で持てれるやろ...

どこ行くんや?「沙帝(さてい)」?
えらい庶民的なんやな、神さんやのに
師匠知らんやろけど、沙帝はなんやかんやあって社名が――って此処やと現役かい...

師匠、金、あるん?
は?魔法の札?...それ、ワイのクレカや!
やめて!今月仕事道具のメンテ費用で引き落とし額が...
あっ、でもここはレトロな世界やからクレカは通用......すんのかい!
えっらい古い読み取り機出してきよったぞ!なんでもありかい!
『天将』!お前のハッキングで支払いキャンセルしてや!
天将「いやです」
ア"ーーーーーーー!!(悲痛な叫び)



 神樹・鐵火(f29049)は横丁をずんずんと突き進む。
 その後ろを、既にひどく疲れた顔をしてついてゆくのは、彼女の弟子である御魂・神治(f28925)であった。
「それで、師匠。なんでワイが呼ばれましてん?」
 ワイもう帰りたいんやけど。喉のところまで出かかった言葉を懸命にも呑み込んで、神治は眉間にわずかなしわを寄せた。
「神治、私は荷物が持つのが嫌だからお前を呼んだのだ」
「荷物持ち」
「そうだ」
 当然のように鐵火は頷きながら、速度を落とすことなく横丁を進む。
「はぁ……、荷物持ちかいな……」
「修行だと思え」
「はいはい、わかっとりますよ」
 ――力ある癖に、とか。一人で持てれるやろ、とか。そうした文句を言いたげな顔で神治は眉間の皺を深めた。
「なにか言いたげだな」
「いえ、なんもありません」
 神治は緩々と首を横に振る。
 それから一拍置いて、再び口を開いた。
「それで、師匠。どこ行くんや?」
「沙帝(さてい)だ」
「『沙帝(さてい)』?」
 沙帝――沙帝商店とは、かつていずこかの世界において庶民の生活を支えた大型商店である。しかし、今ではその姿を見ることはできない。現在では既に失われた幻の店舗なのである。
「失われたものが流れ着くこの世界なら『沙帝(さてい)』はあるだろう」
「……あの沙帝商店」
「一度行ってみたかったのだがな、いつの間にか消えたと聞いている」
「えらい庶民的なんやな、神さんやのに……」
「何だ?神が庶民のしょっぴんぐもぉるに行くのは変か?」
「いや、ええと思いますけど……けど師匠知らんやろけど、沙帝はなんやかんやあって社名が――」
 そう。沙帝商店は現在においてはその姿を見ることはできない。沙帝商店は『鋳恩(いおん)』という大型の商店に吸収され、その姿を残していないのだ。かつて沙帝であった商店は、いまではいずれも鋳恩商店傘下となっている。
「あったぞ」
「あるんかい!」
 しかして、ここカクリヨでは話が違う。カクリヨ世界は現世にて失われたものが行き着く場所でもあるのだ。そう考えれば、消えたはずの沙帝商店がここ妖怪横丁に店を構えていたところでなんら不思議はないだろう。
「此処やと現役なんかい……さすがやなカクリヨ……」
「神治、なにを呆けている。さっさと入るぞ」
 強引!鐵火は神治を引っ張って、店内へと足を進める。
「いらっしゃいませえ」
 旧世代の制服に身を包んだろくろ首がまず2人を出迎えた。
「沙帝商店へようこそ。本日はなにをお探しですか?」
 丁寧な応対。妖怪スタッフが店内の案内板の前でにこやかに微笑む。
「……せや、師匠。なに買いにきましてん?」
「買うもの?清酒に決まってるだろ、あれは私にとっては水だ」
「はあ」
「お酒でしたら、三階にコーナーがございまーす」
「よし。わかった、行くぞ神治」
「はあ……あ、どうも、おおきに」
 一目散に売り場へと向かう鐵火。神治は案内ろくろ首に一言礼を述べてから、鐵火を追って店内を進んだ。
「水は大事だ」
「はい」
 がしゃん。ごとん。かくして酒類販売コーナーに至った鐵火は、買い物かごの中に次々と酒類を放り込んでゆく。
 妖怪たちの中にも酒好きは多い。更に、祀られていた経験をもつ神や竜神たちにとっても、酒は奉納物として捧げられる特別なものだ。カクリヨにおいて、酒類の需要は非常に高く、必然、商店の中での売り場面積もその多くを占めている。
「師匠、水とちゃうもん入ってますが」
「気にするな」
 昭和デザインの瓶ビール。UDCアースにおいては既に生産を終了したチューハイ。鐵火は神治のツッコミをガン無視しながら次々と買い物かごに放り込む。
「……師匠。こんなに買うだけの、金、あるん?」
「問題ない。支払いはお前の便利な『魔法の札』でよかろう」
 ぴっ。鐵火が掲げた手の中には、一枚のカードが燦然と輝いていた。
「は?魔法の札?」
 輝くカードを神治はまじまじと見つめる。その札に刻まれていたのは、十数桁の数字と――『SHINJI MITAMA』の名義である!
「ワイのクレカやないか!!!!!!!!!」
「うむ。献身的な弟子をもって私は幸運だ」
 カードを掲げながら鐵火はレジスターへと至る。レジ打ち妖怪がにこやかにいらっしゃいませ。そして買い物かごの中身をチェックしながら、袋詰めを開始した。(※カクリヨ世界の文明は現世に大きく遅れているため、レジ袋は無料で配布されている)
「やめて!今月仕事道具のメンテ費用で引き落とし額が……」
「知らんな」
 無慈悲!鐵火は眉一つ動かすことなくレジを進む!
「お支払い、合わせまして114,514円になりまーす」
「うむ。カードで」
「いやいや『うむ』ちゃうやろ!!」
 ――しかし、神治はここでひとつの勝算にいたる。ここカクリヨは過去が集うレトロワールド。クレジットカードは通用しな「はーい!カードでお支払いですねー」
「通用すんのかい!!!」
 叫ぶ神治の目の前でレジ打ち妖怪は旧式のカードリーダーを引っ張り出す。
「なんじゃ……しごとかのお……」
「喋った!?」
 それはカードリーダー妖怪であった。ヤドリガミめいた器物妖怪の一種である。
「はいはい。おじいちゃん、ちゃんと読んでくださいねえ」
「うむ……」
 旧式カードリーダー妖怪は眠たげな顔であくびしながら神治のカードを咥えた。ぴーっ。読み取り成功の音が鳴る。
「なんでもありかい!」
 いくらカクリヨだからってこんなのはあんまりにもあんまりだ。神治はぐぬぬと呻き、そして細まった目をぱちりと開いた。
「そんならワイかてなんでもありや……!ここは抵抗させてもらうで!『天将』、出番や!」
 抵抗を続ける神治は、術式を繰り式を喚ぶ。ふわり浮かぶように姿を見せたのは、青白く光る人工式『天将』であった。
「頼むで『天将』!お前のハッキングで支払いキャンセルしてや!」
「いやです」
「ファッ!?」
 無慈悲!招聘された天将は主人の命令をすぱっと拒否!
「なんでや!?!?」
「はい。その行為は犯罪にあたります。また、今回の案件については対オブリビオン作戦任務などの状況下ではないため、不法行為にあたる能力行使は不適切だと判断されました」
 焦る神治とは対照的に、冷徹に告げる天将。
「ほう、なかなか優秀な式ではないか」
 その物言いに、鐵火も感心したのである。
「おかいあげありがとうございまーす」
「ア゛ーーーーーーーーーーーーッ!!!」
 そして審判は下る。抵抗むなしくも神治のカードには、この買い物の支払いの記録がきっちりと残されてしまうのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
これは楽しそうですねぇ。
折角ですし、お邪魔させていただきますぅ。

【豊饒現界】で[大食い]を強化した上で、食べ歩きに参りましょう。
『残暑を乗り切る食べ物』が出ているのでしたら、『ひんやりスイーツ』以外に『スタミナ系の食べ物』も有りそうでしょうかぁ。
他ではあまり食べられない品も有るでしょうし、楽しみですぅ。
盛り上がりからの『催し』の中に『大食い大会』が有りましたら、其方も出場させていただきますねぇ。

逆に『パーティ料理』等が不足しそうであれば、強化した[料理]で『料理役』に回りますぅ。
その際は『この世界の方々が食べた経験が少なそうな品』をお出ししたいですねぇ。


荒谷・つかさ
(ベンチに腰掛けつつ)
……疲れたわ、色々な意味で。
やっぱり話の通じない相手には暴力で解決するに限るわね。

ややげっそりとしつつ、妖怪フェスを眺めながらベンチで酒盛りを始める
その辺の商店で適当に買い漁ったもの(焼き鳥とか豆類とか)をつまみに、大瓶のビールをぐいっと呷る
騒ぎには参加する方じゃないけれど、ああいうのを外側から見て楽しむ分には嫌いじゃないし
もし酒好きの妖怪が酒盛りに参加してくるなら拒まない
つまみ等を融通し合って、仲良く飲み明かすとするわ
話の内容は……概ね今回の話聞かないアイツが如何にやべーやつだったのか、になりそうだけど
(詳細はお任せします)
(酒にはかなり強いです)



「……疲れたわ、色々な意味で」
 荒谷・つかさ(f02032)は、カクリヨの空を仰ぐ。
 腰かけた場所は、いままさにフェスが開催されている広場にほど近い場所につくられた横丁の中の休憩所だ。普段は妖怪マダムたちの井戸端会議などで用いられる憩いの場であったが、今はちょうど空いているタイミングであった。つかさはそこに腰かけて、短く息を吐き出す。
 その胸に去来するのは、今回の事件――その中でも特に印象深く残ってしまった、話の通じない連中のことであった。
「やっぱり話の通じない相手には暴力で解決するに限るわね……」
 思い返せばギャル男おにからヤマンバ妖怪から首魁オブリビオンにいたるまで、まともな意思疎通が可能な骸魂はいなかった。つかさの経験してきた戦いの中でも、今回の案件はひどさでいえば五指に入るだろう。
 ――それを洗い流すように、つかさは大瓶を呷った。ビール瓶でラッパ飲みする。
「わかる」
「だよなあ」
 自棄酒めいて酒精を呷るつかさの横で、しれっと酒飲みに混ざってきた妖怪たちが頷いた。空いているスペースにぽんぽん座って相槌を打つ。
「いやー……わかる?わかるでしょ」
「わかりますとも……」
「俺も昨日の一件はひでえ目に遭いやしてなあ……」
 ――話を聞くに。
 ここにしれっと混ざってきた妖怪たちは、今回の騒ぎで骸魂妖怪に略奪された貪鬼(どんき)のスタッフ妖怪であったり、酒屋の旦那なのだという。
「うちもビールの在庫がありったけやられちまった」
「うちもよ。かーっ、また酒の集めなおしよぉ」
「……飲んで忘れましょう。……あ、おつまみ欲しいわね」
 妖怪たちの愚痴を聞きながら2本目の瓶に口をつけ、つかさが視線を迷わせる。
「それでしたらぁ、ちょうど持ってきたところですよぉ」
 ちょうどそこを通りがかったのは、夢ヶ枝・るこる(f10980)であった。
 るこるはえげつないくらいの量の食品を抱えていた。
 半魚人妖怪の経営する焼き鳥串屋と、その斜向かいで営業する鳥人妖怪の川魚の串焼き店のおみやげセット(余談であるが、この二店舗は敵対関係にある。どちらも互いに「焼き鳥/焼き魚で食品シェアを制圧することで焼き魚/焼き鳥の食文化を根絶し、同族を護る」という思想のもとで営業している)
 西洋から流れ着いた自称“伯爵”の経営する『わらきあ屋』の串焼き肉。河童屋青果店の冷やしキュウリに宇都宮餃子怪人のご当地餃子、更にひとだまの天ぷらといった人気メニュー。成人妖怪十数人分はあろうかという凄まじい物量が、酒盛りの場にどすんと置かれたのである。
「うわすっごい」
「食べ歩きをしようとおもって色々買ってたんですよぉ」
 るこるは空いているスペースに腰かけると、買い集めてきたテイクアウト食品の一部を提供する。
「おっ、半魚どんトコの焼き鳥か。いいじゃねえの」
「有名なんですぅ?」
「おうよ、なんてったってここは塩の質がいいからねぇ」
「じゃあ私も一本もらおうかしら」
 つかさは頭を下げて軽く礼をしてから串を一本拝借する。塩でシンプルに味付けた焼き鳥は実際ビールとも絶妙に相性がいい。瞬く間に二本目の瓶を飲み干してしまった。
「いい飲みっぷりですねぇ」
 一方るこるは未成年。酒を飲むにはまだ早い。かわりにと開封するラムネで乾杯。瓶の中でからころとビー玉が音を鳴らす。
「……今日は飲まなきゃやってられない気分なのよ」
「ああ……たいへんなお仕事でしたもんねぇ。『乱痴気騒ぎ』に『やんでれさん』に……」
「おお……ありゃあすごかったよなあ」
「んだんだ」
 遠い目をするつかさの様子をみやって、るこるは3本目のラムネの瓶を開けながら納得しながら頷いた。追従するように酒飲み妖怪たちもしみじみと頷いて相槌を打つ。
「あー、もうそれ聞くだけで憂鬱になるわ……。もう一年分くらい『♡』浴びた気がするわね……」
 しばらく『♡』が出てくる仕事は勘弁してほしいくらいよ、とつかさは力なく笑う。
「そしたらぁ、リフレッシュするのが大事ですよぉ。……ほら、あちらで催しもやってるみたいですし」
 るこるは7本目の串焼きを平らげながら、フェスの開催されている広場へと視線を向けた。
「私はいいわ。ああいうのを外側から見て楽しむ分には嫌いじゃないんだけど――騒ぎには参加する方じゃないの」
 こっちならいいんだけどね、と瓶を揺らすつかさへと、酒飲み妖怪たちがすかさず杯を掲げる。ちいんとぶつかる音が鳴って、乾杯の声が唱和した。
「そうですかぁ……でも、楽しそうですからねぇ。私はちょっと見に行ってきますよぉ。折角ですし、お邪魔してきますぅ」
「わかったわ、行ってらっしゃい」
 10個目のひとだま天を飲み込んで席を立ったるこるは、フェス会場へと足を向ける。ビジネスチャンスとばかりにフェス会場に売り込みにきていためいがす堂のおシャ魔女たちからベリーソースがけの雪女アイス(※東方妖怪・雪女が丹精込めて冷やしながら手作りしたアイスクリームである。カクリヨ世界では一般的な氷菓のひとつだ)をバケツ一杯ぶん購入しながら、るこるはフェス会場へと入っていく。
 その背中を見送って、つかさと酒飲み妖怪たちはすっかりできあがった雰囲気の中で再び乾杯の声をあげた。

 街角の店で食べ物を買い、道端で酒を飲み交わし、そして気まぐれに始まった催しで歌い踊り愉快に楽しんで過ごす。
 これもまた、猟兵たちが取り戻したカクリヨの日常風景のひとつである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ガンズ・ハルモニア
はた迷惑なオブリビオンはいなくなった。さーて甘い物ー
胸焼けするような甘い物が良いなー

狙うは限定妖怪スイーツ
目玉とか、河童の皿とかあったりするのかなぁ…?
あ、目玉ください!目玉すいーつくださいなー!

屋根の上で買い込んだ目玉スイーツ食べる。
………むぐ。目玉を見るとガンキューブを思い出す。
何故だろう?

ジッとすいーつを見る。宙に浮くガンキューブを見る。
……そうか、目が似てるのか。…あ、もしかしてガンキューブのガンって眼の方か!銃の方だと思ってたー!一つ自分の事を知れた気がする!
今日は気分が良いなー♪でもちょっと食べ過ぎた。

胸焼けするぅー
喧騒を余所に屋根の上に寝転がる。けたたましさも離れて聞けば子守唄よ



「はた迷惑なオブリビオンはいなくなった」
 平穏と活気を取り戻したカクリヨの風景を横丁の屋根上から望み、機動兵器ガンキューブから身を乗り出すガンズ・ハルモニア(f17793)はカクリヨの風に髪をなびかせた。
 激しい戦いだった。今も彼女の胸には今日の戦いの記憶が思い起こされる。物憂げに瞳を細めたガンズは短く息を吐き出してから――
「さーて甘い物ー」
 前言を撤回しよう。戦いのことはもはや彼女の思考回路上にはなく、今や平和を取り戻した横丁の妖怪名物のことばかりが考えられていた。
「胸焼けするような甘い物が良いなー」
 ふわり。浮かぶガンキューブが横丁の通りへと降りる。ガンズが向かう先は、横丁の中でも妖怪菓子職人や妖怪パティシエたちが日々しのぎを削り合う横丁酔蜜通りだ。古式ゆかしい小豆洗いの和菓子店から西洋悪魔パティスリーまで多くの店舗が軒を連ねる中を彼女はゆっくりと練り歩いた。
「目玉とか、河童の皿とかあったりするのかなぁ……?」
「ラッシャイラッシャイ!はんごろし!はんごろしはどうだい!うちの自慢だよォ!」
「ただいま新作のひとだまスイーツもございまーす!」
「ごいっしょにかっぱ堂のきゅうりレモネードはいかがですかー!」
「一つ目屋のアめだまでーす。期間限定のおばけすいか味は今週までとなっておりまーす」
 ぷらぷら通りをゆくガンズへ、横丁の呼び込み妖怪たちが元気に声をかける。
「……あ、目玉だ」
 その中で、ガンズはふと足を止める。一つ目妖怪の飴屋が扱う『アめだま』――すなわち目玉を模した飴玉に、ガンズは興味をひかれた。
「うん。目玉ください!目玉すいーつくださいなー!」
「あいよー!」
 声をかけられた一つ目妖怪はすぐさま店内の商品からいくらかを見繕い、ガンズへと引き渡すのであった。

「むぐ」
 かくして目的であった菓子の入手に成功したガンズは、再び横丁の屋根上にいた。
 機動兵器ガンキューブから降りたガンズは、横丁の屋根上にごろりと寝そべりながら限定商品のすいか味アめだまを口の中でころころと転がす。清涼感のある甘味が彼女の舌先を楽しませた。
「……」
 アめだまの甘味を楽しみながら、ガンズはぼんやりと考えた。手にした袋の中にまだ残るアめだま――つまり目玉を見ると、彼女はなんとなく自分の機動兵器を思い出すのだ。
「……何故だろう?」
 眉根にしわを寄せながら、ガンズは手元のアめだまとそばに浮かせたガンキューブを見比べた。
 じっとめだまのスイーツを見る。宙に浮くガンキューブを見る。幾度か視線を行き来させたところで――気付いた!
「……そうか、目が似てるのか」
 ガンキューブ躯体中央に刻まれた意匠が、めだまを描いたように見える、ということに彼女は思い至った。
「あ、もしかして……ガンキューブの『ガン』って、『眼』の方のガンか!」
 となるとネーミングの由来は『眼球』だったりするのか。てっきり『銃』を意味する『Gun』だと思っていた――ひとつ自分のことを知れた気がする、とガンズは微笑んだ。
 そう、彼女は自分自身の由来について記憶をもたない。自分探しこそが今の彼女の生き方なのだ。――今日の気付きは些細なことであったが、僅かな前進であるともいえなくはない。ガンズは上機嫌で3つ目のアめだまを口に放り込む。
「今日は気分がいいなー♪」
 歌うようにガンズは声をあげると、アめだまの味を楽しんだ。
 ――でも、ちょっと食べすぎかもしれない。きっとあとで胸焼けに苦しんでしまうことだろう。

 屋根上にごろり寝そべったまま、ガンズは静かに息を吐き出した。
 遠くに聞こえる祭囃子のようなフェスの喧騒。間近で聞けば熱狂のそれも、離れて聞けば子守唄のようなもの。
 戦いの疲れはまだ少々残っているし、胸やけはするしおなかもいっぱいだし、今日はもうしばらく寝ていよう。
 おやすみなさい。そうしてガンズは目を閉じた。

成功 🔵​🔵​🔴​

グウェンドリン・グレンジャー
【桜鴉】
(バトルで乱れた髪を直して、袖や裾をポンポンと払って)
やっと、お買い物、できるねー

『アイアンメイデン』とか『ヴィヴィ・ウェストサイド』とか、いろいろ、ウィンドーショッピング、しよー

化粧品、秋の限定色……の、マニキュア、とか、アイライナーとか、欲しいなー
どんな色、置いてあります、かー?
エリシャ、この色、似合いそう(青みピンクに、妖怪ホログラムの煌めくマニキュアを手に取って)

お洋服、はねー……んー……ハロウィンの準備、とか、ここで、できるかなー
真っ白い、フワフワー、な、ドレス……とか
幽霊ゴス……みたいな、やつ
普段使い、出来る、お洋服、とかも、欲しいなー
エリシャ、凄い、似合ってるー(拍手)


千桜・エリシャ
【桜鴉】

お買い物をするのも一苦労でしたわね…
まあ、戦利品も手に入ったからいいのですが…
いえ、こちらの話ですわ

ええ、ええ!
うぃんどーしょっぴんぐと洒落込みましょう!

まにきゅあとは爪紅のことだったかしら
私も欲しいですわ
この爪は生まれつきなのですが
たまには違う色で粧ってみたくなるものですから
あら、素敵な色…それになんだか不思議な光り方をするのね
ではこれをいただこうかしら

そういえばもうすぐハロウィンでしたわね
私はそうですわね…
店主さんみたいな魔女コーデをしてみたいですわ
あの大きな三角帽子に前から憧れていましたの!
試着してグウェンさんの前へ現れて
ふふ、どうかしら?
またカクリヨへ赴く際に着ていけますわね



「おはよ、エリシャ……」
「おはようございます、グウェンさん」
 グウェンドリン・グレンジャー(f00712)と千桜・エリシャ(f02565)は布団から起き出した。
 昨日の戦いを終えた後、妖怪旅籠に宿を取った二人は横丁でのショッピングに備えて身体を休めていたのである。
「やっと、お買い物、できるねー」
「ええ。ようやくですわ……。お買い物をしに来たつもりが一苦労でしたわね……」
 寝間着から今日の装いへと着替え、お出かけの準備を整えながら二人はしみじみと頷きあった。
「まあ、戦利品も手に入ったからいいのですが……」
 エリシャは部屋の端に置いた一抱えほどの大きさの布包みを見やる。
 どよりとした陰氣の気配と、時折大気中に漏れ出る♡の呪気。それはエリシャの御首これくしょんに新たにくわわったひと首であった。
「……まだ、買い物してないけど……戦利、品?」
 グウェンは不思議そうに首を傾ぐ。
「いえ、こちらの話ですわ」
 話を打ち切ってエリシャはこんどこそお買い物用のハラジュクカワイイ・もおどに袖を通す。特盛のフリルがふわりと揺れる姫コーデが華やかに舞った。
「うん……それじゃ、いこっか。『アイアンメイデン』とか『ヴィヴィ・ウェストサイド』とか……、いろいろ、いろいろ、ウィンドーショッピング、しよー」
 その一方で着替えを終えたグウェンが拳を突き上げる。青薔薇を揺らす和ゴススタイル。クール&キュートなデザインラインのコーデをなびかせ、グウェンは部屋を後にした。
「ええ、ええ!うぃんどーしょっぴんぐと洒落込みましょう!」
 続いてエリシャが旅籠を出てゆく。――かくして、二人の目的であったショッピングがようやく始まるのである。

「あら、いらっしゃい。はじめましてのお客さんね?ようこそアタシのビューティーラボ『アイアンメイデン』へ!」
 西洋から渡ってきたという妖怪、吸血種のマダム・バートリーは妖怪横丁ではその名を知らぬ者はいないと言われる『美の追求者』である。
 彼女のもたらしたヴァージンブラッド・カラーは女妖怪の魅力を跳ね上げる奇跡の色として一大ブームを巻き起こしたこともあるのだ。
「さあ、お求めの品はどんなのかしら?
「秋の限定色……の、マニキュア、とか、アイライナーとか、欲しいなー……」
「まにきゅあとは爪紅のことだったかしら……私も欲しいですわ」
 グウェンとエリシャは主人であるマダム・バートリーに希望を伝える。
「どんな色、置いてあります、かー?」
「うーん……そうねぇ、うちで扱ってるのはやっぱり赤が多いんだけど……」
 マダムは2人の姿を交互に眺め、そして首を傾いだ。
「あら、その爪いい色してるわね。どこのブランド?」
 その中で、マダムはエリシャの爪先に目をとめた。
「この爪ですか?この色は生まれつきなのですが……たまには違う色で粧ってみたくなるものですから」
「ふうん、なるほどね……。まあいいわ。とりあえず、今年の新作いくつか出すから、好みの色がないか見て頂戴」
 続けざまにマダムは店のカウンターの内側へと入る。ストッカーから何色かのマニキュアを引っ張り出して、カウンターの上へと並べ始めた。
「あ……これ、好きかも」
 そこでグウェンはいくつかの商品に目をとめた。新作のブルーブラッド・カラーだ。艶やかに青く輝く瓶を、グウェンは手に取る。
「……あ。エリシャ、この色、似あいそう……」
 続けてグウェンは別色の小瓶に視線を落とす。青みがかったピンクのカラーライン。妖しくホログラムの煌めく艶やかな一色だ。
「あら、素敵な色……それになんだか不思議な光り方をするのね」
 エリシャはその瓶を手に取ると、じっと眺めて考える。
「はい。気に入りましたわ。これをいただこうかしら」
「私も……買う」
「お目が高い。どっちも人気の新色よ。おうちに帰ったらぜひ試してみてね!」
 ぱちりとウインクしたマダムは手早く袋詰めした商品を二人へと手渡す。
「ありがとうございましたー!」
 これで一軒目。マダムの営業スマイルを背に受けながら、2人は隣の店へと移動する。

「……おや、こいつは珍しい。外からのお客だね?」
 ――ファッションブランドショップ、『ヴィヴィ・ウェストサイド』。
『星』と『環』をモチーフにしたブランドアイコンが目印の妖怪ファッションブランドである。店主であるヴィヴィ・ウェストサイドは今年で800歳を数えるおばあちゃんであったが、しかして同時に意気軒高に活躍し続けるおしゃれ魔女でもある。
「それで、今日は何をお探しかな?」
 しわしわの顔を愉快そうに歪めながら、ヴィヴィは微笑んだ。
「んー……ハロウィンの準備、とか、ここで、できるかなー」
「ハロウィンかい。……そうか、そうだねぇ、そういえばもうすぐそんな時期だったよ」
「まあ。たしかにそうですわ。もうすぐハロウィンでしたわね」
 グウェンとエリシャは顔を見合わせて頷きあう。
「真っ白い、フワフワー、な、ドレス……とか……幽霊ゴス……みたいな、やつ」
「あるとも」
 ぱちりと指を鳴らすヴィヴィ。応じて店内のクローゼットがばんと音をたてて開き、白くはためく布切れを吐き出した。否、それは単なる布切れではない。ひと針ひと針丁寧に術式を込めて縫い上げられた芸術作品なのだ。“死者の花嫁”をモチーフにしたドレスである。
「わあ」
「なるほど……。魔女の店というだけのことはありますわね」
 グウェンとエリシャは息を呑む。グウェンは目の前に提示された白のドレスを手に取り、その縫製の出来や細かな衣装を確かめた。
「それで、そちらさんは?」
「あ、はい……」
 声をかけられたエリシャは、一瞬視線をさ迷わす。
「私はそうですわね……店主さんみたいな魔女コーデをしてみたいですわ」
「なるほど?」
 ふうむ、と思案気にする店主は、一度首を傾いでから杖を一振りした。ばん、と音をたてて、再びクローゼットが衣装を吐き出す。
「たしかに、黒は女を美しく見せるからね?」
 ばさ、と音をたててエリシャの前に飛び出したのは、いわゆるAラインと言われるタイプのデザインに近いワンピースタイプのドレスと、クラシカルなデザインのケープコート。そして三角帽子のセットであった。
「オーソドックスというのは『王道』って意味さ。それを着こなしてこそ、一丁前のオンナだよ。……わかるね?」
「まあ、すてき!」
 エリシャは目の前に浮かぶ魔女の黒衣セットを目にしながら、にこやかに微笑んだ。三角帽子を抱き寄せて、その双眸に喜色を浮かべる。
「このおおきな三角帽子に前から憧れていましたの!」
「そうかいそうかい。そいつはよかった」
 よければ試着しておいで、と店主は二人を促した。グウェンとエリシャは頷きあって、店の奥の試着室へと駆けこんでゆく。
 ――少し時間を置いて。
「ふふ、どうかしら?」
「わ……エリシャ、凄い。……似合ってるー」
 それぞれに出された服装に着替えた2人は、互いに装いを変えた姿を見ながら拍手する。
「お気に召したかい?」
「ええ、とっても!着心地もいいし、本当に気に入りましたわ。またここに赴く際に着ていけますわね」
「うん……。これ、私も、好き。……あー、でも。普段使い、出来る、お洋服、とかも、欲しいなー……」
「そうですわね。私ももうちょっと見ていきたい気がしますわ……」
 2人は衣装を着たまま、店内の商品の物色を続けることにする。――ヴィヴィ・ウェストサイドは服のみにとどまらず、靴やバッグ、帽子やリボンといった小物も豊富に取り揃えている。探せばいくらでも気に入る品が見つかることだろう。
「そうかい。まあ、好きなだけ見ていくがいいさ」
 そんな二人の姿を眺めながら、店主の魔女は笑顔で算盤を弾いていた。


 かくして、猟兵たちは横丁での平穏な時間を過ごし、そしてそれぞれの日常へと回帰してゆく。
 骸魂の企てたラブラブファンタズム化計画は水泡に帰し、カクリヨの世界は現状維持をつらぬくこととなったが――そんな変化など起きなくても、この世界は優しさと平穏に満ちているのだ。
 妖怪横丁は、今日も通常営業である。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年09月18日


挿絵イラスト