【Q】開通間近? 拠点をつなぐ交易路!(作者 大神登良
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●芋と弾丸
 こと、とテーブルの上に置かれた木の器からは、ほかほかと湯気が立っていた。その湯気の主は、ジャガイモとサヤインゲンを塩でゆでて味付けしただけの、簡素なスープである。
 それでも客人は大きく目を見開き、感嘆の息を吐いた。
「生の野菜から作った料理……いつ以来か思い出せないくらいです」
「ははは、喜んで頂けるなら幸いです」
 客人の前で、老爺はにこやかに笑った。
「しかし、まだまだ作れる野菜の種類は多くありません。種や苗木を手に入れる手段も限られておりますから」
「こんな時代ではね。我々も、そういった物資のアテはありません」
 短く刈られた髭に覆われた口元をかきつつ、客人は苦笑する。
「提供できるのはもっぱら、アレばかりです」
 す、と客人の動かした視線の先には、十丁ほどのアサルトライフルが収納されたラックケースがある。
 武器と弾薬。必要ならば、人手も。それが、取引の対価として客人が提示した『商品』だった。
 いえば、老爺は武力、暴力の類は好きではない。だが、人外の脅威もはびこるこのアポカリプスヘルで、武力に頼らずして生き延びることなど不可能だと理解もしていた。質の良い火器が安定して手に入るようになるなら、それはこの拠点(ベース)にとって紛れもないメリットである。
「ネットワークが拡大すれば、いずれ苗や何かのやりとりも可能になる……かもしれません。いつのことになるかはわかりませんが」
「まったくです。しかし、千里の道も何とやらと申しますでな」
「ええ、その通り」
 老爺の言葉に、客人は口の端を大きくつり上げる。
「ですから、まずは一本。我らの拠点をつなぐ交易路を造りたいのです」

●道を阻むものは
 オブリビオンストーム吹き荒れる終末世界アポカリプスヘルにおいて、舗装道路などこしらえたところで破壊されるのは目に見えている。が、それはもう仕方ないこととして割り切り、利用者が破損箇所を見つけ次第修繕するという前提で、道を通そうという考えなのだという。要は、途切れ途切れになったとしても、最低限「それをたどれば拠点に着く」というモノがあれば良いというわけだ。
「道っつーか、道標っつった方が近いのかもな」
 そう、大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)は言った。
 技術的、物資的な制限があるため、道路は石や砂利などを押し固めるという簡素な工法によるものが精一杯となる。コンクリートで舗装された本格的な道路だの、山を貫くトンネルだのは造るのは不可能である。また、よしんば猟兵たちがオーパーツを持ち込んで施工したとしても、整備、維持ができないという点から鑑みて、無意味といえる。
「まあそういうわけで、その道を造る作業を手伝ってほしいんだ。で、わかってるかもしれないけど、猟兵の皆に出張ってもらうってことは、例によってオブリビオンが出るのが予知できたからなんだわ」
 まずは、砂漠に適応した種のネズミの群れ。ネズミといって、その体長は平均して一五〇センチを越えるかなり大型のものであり、感覚としてはツキノワグマあたりが近いだろうか。オブリビオン化したそれらが、作業の合間の食事時を狙って大挙して押し寄せるのだから、まあかなりの脅威なのはいわずもがなである。
 次に現れるのは、筋骨隆々の元ゴッドハンドのオブリビオン。生前は高潔な精神の持ち主だったらしいが、今は強敵を求めてさまよう戦闘狂に成り果てている。予知においては護衛に当たっていた自警団員たちに決闘をふっかけ、酸鼻を極めた光景を生み出すことになる。
 それを阻止するため、まずは猟兵が先発して、現場の『整地』を済ませなければならない。
「拠点にも戦闘のできるメンツはいるけど、ネズミにしろ元ゴッドハンドにしろ、ちょっと手に負えないレベルでね。正直、足手まといにしかならんから、彼らには今回は留守番を頼むことになる。猟兵の皆ならまあ大丈夫とは思うが……それでも、決して油断が許される相手じゃねえ。十二分に気を引き締めて臨んでくれ」


大神登良
 オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。大神登良(おおかみとら)です。

 アポカリプスヘルで、拠点同士をつなぐ道路を造るため、その障害物となるオブリビオンを討伐していただきます。
 なお、これらの拠点は拙作『狩るか狩られるか?~』『衣食足りてる?~』に登場するものを想定していますが、これらについての知識がなくとも問題なくご参加いただけます(本作の舞台は両拠点の間にある荒野であって、各拠点との直接の絡みはありません)

 第一章は、荒野の整地です。拠点間の大雑把な地図情報は受け取っているものと考えてくださって結構です。またオープニングで述べられている通り、他世界の技術などを持ち込んでの施工はできませんので、その点はご留意願います。
 第二章は、集団オブリビオンとの戦闘です。
 第三章は、ボスオブリビオンとの戦闘です。

 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 冒険 『荒野を切り開け』

POW道路を敷く為、荒れた地面の整地を行う
SPD鋭い調査や直感によって、周囲の危険を避ける
WIZ知恵や知識によって、最適な交通ルートを割り出す
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


クロゼ・ラビットクロー
【兎爪】
ラブリーのことはラビィと呼び普通の口調
他の人には敬語。混ざっても問題無し

道路か。
まず考えられるのは最短距離に岩とかあったら邪魔だよね。
崖とか大きすぎる段差は避けるとして、
小さい障害物はグレネードで爆破して回ろうか

今回は小型戦車で普通の荷運びトレーラーを牽引してきたので、
凹みを埋める砂利とかが必要ならこれで輸送しよう。
下ろす時は荷台を傾ければいいけど、積むのは人力なんだよね。
僕には普通にしんどい作業だ

途中立ちくらみがしたり腕がぷるぷる震えたり、
何故か地面にあったビー玉を踏んで転んだりするかもしれないが、
戦車やトレーラーのタイヤでしっかり踏み固めて
転ぶ人が出ないようにしておきたいと思う


ラブリー・ラビットクロー
【兎爪】
クロゼの事はししょーと呼ぶ

じじ
みんな
元気にしてるかな?お野菜沢山できてるといーなん?
【“じじ”にメッセージを作成します。宛先が見つかりませんでした】
ううんなんでもないのん
ししょー
今日も頑張るなんな!おー!おー?

道路なん
まず考えられるのは沢山働いたらお腹空いちゃうなん
喉も乾いちゃうし暑いと大変
ラビットギアに沢山缶詰と水を積んで来たぞ
みんな疲れちゃったららぶがかんびょーしてあげるのん
おわー!いつもゴロゴロしてるししょーが汗を流してるぞ?いつもゴロゴロしてるししょーが岩砕いたり砂利乗せたりしてるなん
ししょーがんばれー!
よーし
らぶも道路にビー玉を蒔いてお手伝い
キラキラ光る可愛い道路を作っちゃえ


アリス・ラーヴァ
アドリブ・連携歓迎

この交易路ができあがったらみんなご飯を食べられるよーになるのかなー?
アリスも腹ペコだと悲しくなるしみんなの為にがんばってつくっちゃおー!

たぶん車両も通るよねー?先の事も考えてー広めにしておきましょー
まずは道の経路を綺麗にするのー
妹達と【団体行動】で、ルート上のおーきな瓦礫や岩などの障害物を自慢の鋏角で砕くのよー
砕いた砕石はそのまま道路の路盤につかいましょー
それからみんなで並んで地面を整地してー
砕いた砕石を【運搬】して地面にぱらぱらー
砂利や小石をおーきな岩で叩いてアリスの糸で固めましょー
仕上げに修復用の砕石を一定間隔毎に置いたら完成ー!
これでみんな喜んでくれるかなー?


●きらきらの道
 猟兵は世界の救済者である。
 その言葉が大げさでない証拠の一つが、世界からの加護とされる存在認識の補正だ。世界にとって異質であるはずの猟兵は、それにも関わらず世界の構成存在――要は、現地人――に違和感を与えないという特性がある。世界の救済者たる猟兵が世界に排斥されないための、いわば神の計らいとでもいおうか。
 これに似た特性は、実は猟兵同士にも働く。何者であれ、猟兵同士は顔を合わせた途端、お互いが猟兵だということを理解できる。己の暮らしてきた世界の常識と照らし合わせてどれほど奇妙に思えるはずの外見を持つ相手だろうが、「敵かもしれない」などという発想など一瞬たりと持つことなどなく、仲間意識を共有できるのである。
 ゆえに、ガスマスクを付けた少女たるラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)と、巨大な蜘蛛めいた体を持つアリス・ラーヴァ(狂科学者の愛娘『貪食群体』・f24787)が、どことなくウサギっぽいシルエットを持つ小型戦車の上に一緒になってへばりついていても、誰も不思議に思ったりしないのである。
「この交易路が完成したら、みんながご飯食べられるよーになるってこと?」
 ギチギチと鋏角を鳴らしつつアリスが言う。端から見れば、捕食しようとしているかのようにも映りそうな――いや、神の計らいによって、誰が見たとてその類の勘違いは起こらないという、不自然な自然さを誇る光景なのだが。
「そーいうことなんな。じじやみんなが作った野菜、いっぱい食べてもらうのん」
 ラブリーはそう言ってうなずきながら、ふと宙へと視線をさまよわせた。老爺や、彼とともに農場を切り拓いた人々の顔が、脳裏に浮かんだためだ。
「……みんな、元気にしてるかな」
【“じじ”にメッセージを作成します。宛先が見つかりませんでした】
 ラブリーの手にあるスマートフォン型端末が、不意に機械音声で告げてくる。
 命あらざる人工知能に「気を遣う」という行動原理があるのかは、わからない。が、ラブリーがそれと指示していないのに、時折そうとしか思えないような『誤作動』を起こすのが、このビッグマザーだった。
 一瞬だけ目を丸くしたラブリーは、端末を柔らかくポンポンと叩いた。
「なんでもないなん、マザー」
【下書きを破棄します】
 あのつぶやきからどんなメッセージを書いたのやら若干気になるところではあったが、さておき。
 会話からややあったころ、ラビットギアの運転席からクロゼ・ラビットクロー(奇妙なガスマスクの男・f26592)の声が上がった。
「このあたりで一作業するとしようか」
「おー。おー?」
 ラブリーの返答と同時、戦車が停車する。
 ラブリーとアリスがややつんのめりつつ周囲を見回してみると、そこはどんな現象を経て実現したものやら、大岩がいくつも転がっている場所だった。
「ここで作業っていうことは、ここらの岩を壊しちゃうってことー?」
 ぬばたまの黒瞳を輝く顔を斜めに傾がせ、アリスが言った。
「ええ。拠点間を一直線で結ぶのは流石に不可能ですけど、それでも、拠点外の危険な道行きは短いに越したことはありません。よっぽど無茶な地形でない限り、迂回路はなるべく避けたい」
 クロゼはそう答えながら、砂色の軍用コートの裾をはためかせつつ戦車を降りる。
「これくらいなら、まあ、どうとでもできるでしょう」
 事もなげに言う。常人であれば、この大岩地帯を見て「どうとでも」などという感想は生まれ得ないはずだが、そこはそれ、超常存在たる猟兵を基準にすれば話が変わるというものである。
「そうねー。それじゃあアリスの鋏角の出番ねー!」
 嬉々としたギチギチ音を響かせつつ、アリスが大岩へと挑みかかる。
 まあ挑むといって、決着は一瞬だった。頑強なるアリスの鋏角、つまりアゴは、大岩をクッキーか何かの塊のようにあっさりと砕いてみせた。
「簡単ね。どんどん行くわよ、みんな」
 どこに向かってともなくアリスが呼び掛けると、わらわらとアリスに似た大蜘蛛たちが集まってくる。それらはアリスに比して二回り、三回りほど小さいながら、アリスに負けない鋏角の強さを見せ、瞬く間に大岩を砂利の山へと変えていく。
「……これは、思ったより早くに片付くかな」
 アリスの様子に感心しつつ、クロゼ自身も休まず手を動かしている。
 可愛らしいウサギのプリントが施された、ステンレス製の小型の水筒――としか見えないようなデザインだが、その実それはグレネード。猟兵由来の超常たる破壊力を誇るそれらを大岩に仕掛け、発破によって粉々にしていく。アリスのような人海戦術でこそないが、水際立った手腕によって互角の処理速度を発揮している。
「おわー! いつもゴロゴロしてるししょーが汗を流して岩砕いてるなん?」
「……そんな大声出すほど珍しい光景じゃないと思うんだけど」
 弟子だか妹分だかの言葉に、クロゼは何やら傷付いたような声を出した。ガスマスクの下の表情は外からは見えないが、少しだけ憮然としている。
「二人ともがんばれー。でも適当に休憩もしないとダメなん。水と缶詰はいっぱい積んでるぞ」
「わー、それはありがたいわー。アリス、腹ペコだと悲しくなるものー」
 ギチギチと手を振るアリスに同調するように、アリスの妹たちも一斉に手を振る。
(……足りるかな?)
 流石の人数の多さに、一瞬だけラブリーの脳裏に不安がよぎったりもしたが。
 そんな中でふと、アリスが言う。
「これ、砕いた石はそのまま舗装に使えるわよねー。道路ができたら、一定間隔で積んでおいたらいいんじゃないかしらー?」
「? ああ、なるほど」
 クロゼは一瞬だけ考え込んだ後に、手をポンと叩いた。
 つまり、道路が完成した後に破壊された際に、修理用の資材として行く道々にキープしておこうというわけである。
 道を利用する人々は、交易用の物資、自衛用の武器弾薬や資材、食料など、それでなくても大荷物を強いられる。その上で道路の補修用の砂利を積んで歩くのは大変に違いない。石の山を積んでおいたとてオブリビオンストームが来れば吹き飛ばされるには違いないだろうが、それでも少し戻るなり進むなりすれば補修資材のアテがあるという状況は、心強いに違いない。
「妙案ですね。ここの舗装を一通り終えたら、そうしましょう」
 クロゼが賞賛すると、アリスはギチギチと嬉しげに身を揺らした。
「よーし、らぶも手伝うなん。ビー玉たくさんはめこんで、きれーな道路にするなん」
 ラブリーはそう言うなり、舗装用の砕石にざらーっとビー玉を混ぜ込んだ。
 その拍子に、いくつかのビー玉がこぼれ落ち、きらきらと陽光を跳ね返しながら転がっていく――ちょうど、岩の一つにグレネードを仕掛け終わり、爆発範囲外に退避しようとしていたクロゼの足元へと。
「あ」
 場にいた全員の声がハモった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

故無・屍
…まずは土台の舗装から、か。
まァ、こういう道が出来るなら俺らの仕事がやりやすくなることもあるだろ。


アイテム【アビスウォーカー】に搭乗し、
運転、運搬の技能を使用にて砂利や石材の運搬を補助する。
舗装は早業、掃除の技能にて、作業も後始末も迅速に。

大き過ぎる石材や土の塊はUCにて使用可能な状態にまで粉砕する。

モタモタしてりゃ面倒なのに絡まれた時に補填が面倒だ、とっとと進めるぞ。


第六感、見切り、聞き耳にて周囲の状態は常に警戒。
可能であればトラックの中には水分及び塩分、糖分を摂取出来る物品を積み込んでおく。


…疲れた奴は補給して少し休んでろ、逆に作業効率が悪くなる。
休むことを怠るんじゃねェぞ。


●プロフェッショナル
(なるほど。舗装が要るわけだ)
 トラックを運転する故無・屍(ロスト・エクウェス・f29031)は胸中でつぶやいた。
 アビスウォーカーの名を持つ彼のトラックは、高度な悪路走破性を実現させるべく改造、改良を施された逸品である。それをもっての道行きでさえ、屍に伝わる揺れは相当のものだった。凡百の車両では、車酔いするだの疲れるだのという以前に、車両そのものが保たないだろう。
 元より、アポカリプスヘルにおいては拠点間の移動には多大な危険を伴うため、戦車や装甲車など、充分な武装を備えた頑強な車両を使うのは必須ではあろだろう。とはいえ、それでも悪路を行けば相応にダメージは蓄積される。舗装路の設置は現地の人々にとっても歓迎されるべき事象には違いない。
(それにまァ、俺らの仕事も少しはやりやすくなるだろうしな)
 一際岩肌のごつごつした地帯で、屍はトラックを降りた。地図を見ながら軽く周囲を走ってみた感じ、この辺りの整地は必須だろう。
 整地といって、屍が使うのはツルハシだの何だのの工具ではなく、黒い婉曲した刀身を持つ大剣だった。扱いついての慣れがあるという点もさることながら、ごく純粋な『粉砕力』についても、並の工具など足元にも及ばないほどのものを持っている。
「……ッ」
 無音の呼吸と同時、漆黒の剣影が地を奔る。と、ゾリ、と氷菓子がスプーンで削られるような音がして、岩の肌にあっさりと亀裂が刻まれた。
 なおも、無造作とも見えるような所作で縦横に剣が振るわれる。その都度に亀裂が幾重にも増え、岩が石に、石が砂利にと姿を変貌させていく。
 十数分ほども過ぎたころ、周囲一帯の風景は一変していた。どの地点に立っても真っ直ぐになれないほどに凹凸の激しい岩肌だった地面が、未舗装の駐車場にも似た砕石敷きの様相を呈していた。
 地表に足を滑らせるようにして細かさの程度を確かめると、屍は「ふむ」とうなずいた。
「あともう一手間ってところか」
 もう少しきちんと平らにならし、しっかりと圧を掛けて固めれば、マカダム舗装の道路が出来上がることだろう。
(……だが、その前に)
 一旦トラックの運転席に戻って、あらかじめ用意していたスポーツドリンクを飲む。
 休息を怠れば、かえって作業効率は落ちる。それを知るゆえに、適切なタイミングを図って補給を行う。それが、玄人の――屍の仕事の流儀である。
成功 🔵🔵🔴


第2章 集団戦 『大砂ネズミの群れ』

POW ●踏み荒らすネズミたち
【更に大量の大砂ネズミの群れ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD ●突進するネズミたち
【大量の大砂ネズミの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【もっと大量の群れ】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ ●喰い荒らすネズミたち
戦闘中に食べた【物】の量と質に応じて【大砂ネズミたちの細胞が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ラプソディ・アット・ランチ
 道路の舗装作業が一段落したころにふと天を見上げると、ちょうど日の位置が最も高きに至ったところであった。
 それがきっかけであるとでもいうかのように、猟兵たちの周囲の空気がざわめく。
 元より警戒を怠っていなかった猟兵たちは、来るべき時が来たことを理解し、周囲に鋭く視線を巡らせた。
 その目が捉えたのは、ネズミの群れ。ただし、デザインは確かにネズミのそれではあるが、一体一体の大きさは熊ほどもある。
 偶然なのか否かは不明だが、ともかく人が弁当を広げようかという時間を狙い澄ましたかのように、たっぷりの飢餓感を蓄えた獣たちが牙を剥く。無論、弁当を分けてやれば大人しく引き返してくれるなどということはあり得まい。それらの昼食は弁当だけでなく、猟兵たちの血肉も含まれているだろうことは明らかだからだ。
クロゼ・ラビットクロー
【兎爪】
ラブリーのことはラビィと呼び普通の口調
他の人には敬語。混ざっても問題無し

大砂ネズミ、この辺にも出るんだなー。
親の顔より見た連中だ。
ラビィの宿敵でもあるんだっけか。
特に因縁のエピソードとかは無いらしいけど…
あと僕は大砂ネズミと血縁はありません。
似てる?そうか…?

数が多いので焼夷弾で殲滅するか。
僕らはガスマスクを付けているので
ガスの心配は無用だが、
味方を巻き込まないよう注意したい。
焼夷弾の範囲を抑える場合は戦車で轢いたり
普通のグレネードで戦う必要もあるだろう。

ラビィが一箇所に誘導しようとしているな。
上手く行けば一網打尽に出来るかもしれない。


ラブリー・ラビットクロー
【兎爪】

出たのん!大砂ネズミ!
ホンモノは初めて
でも思ったより可愛くねーのん
大砂ネズミはししょーのおかあさん?
よく解んないけどらぶもししょーのお手伝い頑張るぞ

思ったより沢山いるなん
出来るだけ纏ってくれればししょーの爆弾で退治できるのに
なんとか飛び回って誘き寄せたり
スプレー缶でアートして注意を引きたいな
うーん
数が多くてあんまり上手くいかないかも
あれ?なんだかさっきばら撒いたビー玉に集まって来てるんだ?
大砂ネズミは何でも食べちゃうってししょーから聞いた事あるぞ
じゃあきらきらぁーって光らせたらきっと美味しそうに見える筈なんな!
よーし
残りのビー玉も全部ばら撒いちゃお!
今だししょー
どかーんってやっちゃえ!


●百戦錬磨
 周辺に視線を一巡りさせたクロゼ・ラビットクロー(奇妙なガスマスクの男・f26592)は、見慣れた獣のシルエットを認めた。
「……大砂ネズミか」
 昼食の干しジャガイモを飲み下し、つぶやく。
「親の顔より見た連中だ」
「んー? 親?」
 脇にいたラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)が、頬にいっぱいジャガイモを詰め込んでリスめいた顔になりつつ、言った。
「大砂ネズミは、ししょーのおかーさん?」
「誰もそんなこと言ってない」
 微かに引きつった顔を作り、クロゼはラブリーを見据える。
「そもそも、僕と大砂ネズミは似てないよね?」
「ううん。似てるなん」
「……」
 ラブリーにあっさり即答され、クロゼは絶句した。
 ついで、「どの辺が?」と問い詰めたい気持ちにもなったが、再びあっさりと具体的なところを答えられても困る――し、問答している時間も惜しい。こちらの食事の匂いを嗅ぎつけた大砂ネズミは、間もなく包囲網を狭めてくるだろう。食欲に忠実な彼らは、およそ危険に対する躊躇というものがない。
「ラビィ、マスクを」
「おー? わかったのん」
 ごきゅん、頬の中にあったジャガイモを一飲みにして、ラブリーはガスマスクを装着した。
 クロゼ自身も愛用のガスマスクを顔に当てるや、懐から銀の筒を取り出す。
 岩の破砕にも使ったグレネード――と、形状やデザインこそ共通だが、中身は少々違う代物だ。着弾地点に超常の毒ガスをまき散らす、ユーベルコード由来の擲弾たる【焼夷弾(モロトフカクテル)】である。
 数が相手なら、広範囲への攻撃による一網打尽が常道。そして、戦場が焼夷弾のガスに満たされれば、ガスマスクをしているクロゼとラブリーが相対的に地の利を得られる。
(――とはいえ、今回は……)
 安全レバーに指を引っかけるような形で両手に三つずつグレネードを持ちながら、クロゼは一瞬ならず、いずこに投げたものか迷う。
「思ったより数が多いなんな」
「……何してるんだい、ラビィ」
 ふとクロゼがかたわらを見やると、愛弟子が何やら手近の岩にスプレーを吹き付けている。
「チーズ描いてるなん。ネズミ、集まるかなと思って」
 言われて見てみると、なるほど黄色のスプレーをメインに岩に描かれているのは、いかにもカートゥンめいた穴あきチーズのイラストだった。
 ネズミがチーズを特に好むというのは、俗説に過ぎないともいわれる。だが、雑食性のネズミ、ましてや実り少ない砂漠で生き抜くため、より何でも食べられるように進化した大砂ネズミにとって、見かければむしゃぶりつきたいごちそうに違いない。
 とはいえ、絵に描いたチーズに引き寄せられる性質があるのかと問われれば、否と答えざるを得ないのだが。
 イラストを完成させたラブリーが、とりゃっ、とばかりに岩を蹴っ飛ばす。
 美味しそうな穴あきチーズがごろごろと転がっていくが、大砂ネズミらがそれに群がるということもなく、べしんと平手打ち一発であらぬ方へと弾き飛ばされる。
「むー、無理っぽい?」
「まあ、そうだろう。反応するとしたら、僕らが食べてた干し芋の匂いとか……」
「お? それだけじゃないっぽいぞ」
「……ん?」
 ラブリーの言葉に首を傾げ、クロゼは改めて大砂ネズミらの様子を見やる。
 と、確かに二人の持つジャガイモ弁当の方に、あるいは動物性の栄養の詰まった彼ら自身にばかり注意を向けているわけではないのが知れる。
 大砂ネズミらの視線がちらちらと動く先を注意深く観察しているところ、クロゼに先んじてラブリーが声を上げた。
「ビー玉見てるなん」
「ビー玉……?」
 先刻、ラブリーが良かれと思ってばらまいたビー玉が、そこらに転がっている。どうも、それらに興味を持っているらしい個体がいくらかあるようだった。
「単に光るものが気になってるだけ……いや、何かの食べ物と勘違いしてる?」
 ぱっと浮かぶ可能性は、甲虫あたりか。大砂ネズミにとっては貴重なタンパク源だろうから、艶やかな外骨格の照り返しに鋭く反応するような本能があったとしても不思議ではない。
「ラビィ、残りのビー玉を使って誘導できる?」
「おー、わかったのん!」
 快活な返答と同時、ラブリーはピンクのパーカーをばさりとはためかせた。刹那、どこにどうやって隠し持っていたのかまるで不明な、大量のビー玉が裾からこぼれ落ちる。
 そのビー玉は【しょーにんの心得その1(ミーニングフルトレード)】によって、魔性の輝きを放つ代物であった。超常の輝きにあてられて正気を失った大砂ネズミらは、今度こそ目の色を変えてビー玉に群がった。
 そして、我先にと鋭利な前歯を突き立てて【喰い荒らす】――が、やはりというか何というか、どうやら彼らの求めていた『質』とは異なったらしい。さほどの細胞活性も適わず、「話が違う!」とでも言いたげに天に向かってギイギイと吠え立てた。
 が、騒いだとてもう遅い。
「今だししょー! やっちゃえ!」
「上手く行ったもんだ」
 ビー玉目がけて密集した大砂ネズミの群れの上に、クロゼの手から放たれたいくつものグレネードが投げ落とされる。
 その次の瞬間、一帯の空間を爆炎が埋め尽くし、白熱した猛毒の気の網によって絡め取られた大砂ネズミの群れは、纏めて殲滅された。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

アリス・ラーヴァ
アドリブ・連携歓迎

ふー、よく働いたわー、そろそろお昼かしらー
今日の昼食はどーしよー?
うーん?向こーからネズミさん達が走ってきているのー
丁度いいーわねー、今日のお昼はネズミさんにしましょー
ご飯の配達ご苦労様でーす(と【ダッシュ】で突撃)
妹達を沢山呼んで、【団体行動】で半包囲するのよー
そのまま所定の場所まで追い込んで回り込んで待ち伏せした本体で狩りとってしまいましょー
あら?【更に大量の大砂ネズミの群れ】が現れたわー
こちらも更に妹達を呼んで対抗するのよー
ネズミさん達の牙を自慢の甲殻で受け止めて、前肢や鋏角で切り裂いて【捕食】しましょー
みんなー、ご飯は沢山あるから慌てず仲良く分け合うのよー


キャロライン・メイ(サポート)
ダークセイヴァーの貧民街の生まれ。生きるため、悪事に手を染めてきた。ある日商人から一振りの剣を盗み出す。剣は呪われており、その邪悪な魔力によって、呪われし黒騎士へとその身を堕とす。その冷酷な様を人々はアイスドールと呼ぶ。

自身の半生に強いコンプレックスを持ち、心の中では常に自己を否定し続けている。死に場所を探しているかのような言動をとることがある。

ダーインスレイヴ~漆黒の魔剣による強力な一撃。
ライフドレイン~魔剣の血塗られた鉄鎖が無数の棘に変形し敵に突き刺さる。

「私は泥の中で生まれた。泥の中であがいて、泥の中で朽ちて消えるだけさ。」

エロやグロに巻き込まれなければ、どんな展開でも大丈夫です。


●食物連鎖
「ふー、よく働いたわー」
 妹たちとともに周囲一帯の岩をことごとく砕石に変えたアリス・ラーヴァ(狂科学者の愛娘『貪食群体』・f24787)は、蜘蛛めいた前肢で爽やかに額をこすった。
「そろそろお昼休憩かしらー?」
「さて……休んでいる暇があるかな」
 アリスの横で、氷のような白銀の長髪をなびかせたキャロライン・メイ(アイスドール・f23360)が言う。その手には、彼女自身の背丈ほどもある、漆黒の巨大剣が握られていた。
「むしろ、今までより骨の折れる仕事を始めねばならんようだ」
「うーん?」
 軽く周囲に目を向ければ、さしたる労もなくその「仕事」の相手は認められる。元より隠密に事を進めるつもりなどないのだろう、派手な砂埃を巻き上げつつ、大砂ネズミの大群がこちら目がけて突進してきている。
「あらー、丁度いいわねー。お昼ご飯はネズミさんにしましょー」
 あっさりと言うアリスに、キャロラインは一瞬だけ目を丸くしてから、ふっと薄い苦笑を浮かべた。
「……は、それはまた豪毅なことを」
 いえば、アリスのそれはさほど不釣り合いな発言でもない。
 熊ほどの体躯を誇る巨大なネズミといったところで、その体長はせいぜい一メートル半前後。一方のアリスは二メートルをゆうに超える巨大な大蜘蛛である。見た目の迫力といおうか、捕食者としての風格に関して、アリスの方が圧倒的に上位にある。
 加えて、彼女の周囲には。
「みんなー、ご飯の配達よー。たくさんあるから、仲良く分け合いましょー」
 ギチギチギチギチギチ!
 一帯にたむろしていた数十ものアリスの妹たちが、喜悦を示すように一斉に鋏角を鳴らす。
 ネズミどころか、獅子の群れであっても恐怖を感じるに違いない光景であった。それでも、元々の習性なのかオブリビオン化による凶暴性のなせることかは判然としないが、大砂ネズミらは足を緩めることはなかったが。
 対する大蜘蛛の群れは、確たる号令もなくして一糸乱れぬ動きで三日月状に展開し、大砂ネズミらの突進を受け止め、包囲した。
 砂利を蹴散らし、荒れ野を踏み荒らし、群れと群れが激突する。
 大砂ネズミの足が大蜘蛛の顔面を踏みつける。負けじと大蜘蛛はノコギリめいた前肢を振るってネズミの胴を斬り裂く。大砂ネズミの前歯と大蜘蛛の鋏角がぶつかり合い、火花が散る。
 砂埃と血煙が雲霞のごとくわき上がり、視界と鼻孔に充満する。
「あらー……?」
 アリスとしては、群れの力をもって大砂ネズミらを押し込み、追い立てるつもりだったのだが、ネズミらの圧力と数は予想以上だった。
 押し負けるというほどでもないが、押し勝てるというほどでもない。
 と。
「――はぁっ!」
 鋭い気勢を上げ、漆黒の大剣【ダーインスレイヴ】を肩に担いだキャロラインが舞う。
 一足で大砂ネズミの群れのど真ん中に躍り出たキャロラインは、着地と同時に大剣を一閃させた。
 一弾指の間に、剣が一周する。即ち、刀身が及ぶ範囲に存在した大砂ネズミらは、その一瞬に何が起きたのかを理解する暇さえ与えられず両断されたということ。大蜘蛛の群れの方に注意をやっていたためとはいえ、ダーインスレイヴの尋常ならざる切れ味と、キャロラインの常識外の膂力なくしては実現しえない業である。
 唐突に顕現した暴威に、恐れ知らずだった大砂ネズミらがわずかに浮き足立つ。そして、キャロラインを当面の最大の脅威と断じたのだろう、後続にあった大量の大砂ネズミの群れが、キャロライン目がけて殺到する。
「ぬ……!」
 降るがごとく上から覆い被さってくるネズミは、剣の腹を盾にして受け止める。地を蹴立てて突進してくるものには真正面への蹴りを見舞う。無骨なレッグアーマーに覆われた足による蹴りは相応の威力を誇ったが、それでもネズミの圧力すさまじく、支えることかなわずじりりと後退する。
 が、キャロラインが拮抗を破ったことで、天秤は猟兵有利に傾いていた。
「今よ! 斬り刻んじゃえ~!」
 アリスの号令一下、勢いを増した妹たちが攻勢を強める。
 さらにアリス自身も後方に回り込んで、自慢の鋏角を振るって大砂ネズミを斬り裂いていく。
 勢いについで数でも敵を凌駕するようになると、そこから殲滅まで持って行くのにさほどの時間は要しなかった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

ヴィリヤ・カヤラ(サポート)
「やるなら頑張らないとね。」
ユーベルコードは指定内の物を適宜使用。
武器は黒剣の宵闇、鋼糸の刻旋、媒介道具の月輪を良く使うかな。
戦場の状況は出来る限り確認しながら動いて、
誰かが攻撃されそうなのに気付けたらフォローに入るかな。

吸血行為は無理矢理にはしないけど、敵に対しても同様で
相手の許可が無ければしないよ。
父様から同族(ダンピール)と
自分の血を吸うのはダメって言われてるからNG。

一般人は依頼内で救助の必要性があると
明言されているならなら助けるけど、
そうでない場合は状況によっては見捨てる判断もするかな。

楽しめそうな事は思いっきり楽しむけど、
夏の強い日光は苦手かな。
味覚は苦い物と酸っぱい物は苦手。


メフィス・フェイスレス(サポート)
デッドマンのグールドライバー×フードファイター

普段の口調(私、アンタ、ね、よ、なの、かしら?)
敵には(私、お前、ね、わ、~よ、~の?)

澄まし顔でスプラッタなハラペコ発言をするが敵以外には冗談で済む範疇で味方やモブに危害は加えず、呼びかけがあれば連携する協調性もある
吸血鬼又はそれに類する敵に特に強い敵意を示す

・戦闘スタイル
体から滲み出る黒い粘液を敵にけしかけて噛みつかせたり自爆させたり足止めしたり偵察に使ったり
血が毒性・腐食性を持ち飛散させて攻撃したり
上記で撹乱しつつ体から突き出した骨の刃を振るい、噛みつきで捕食する中~近接戦を好む
痛覚が鈍いので多少の傷には無頓着、手足の1、2本は平気で使い潰す


●飛花落葉
 大砂ネズミの大群が形成する巨大ドーナツ状の包囲、その中央にありながら、シトリンに似た黄金色の四つの瞳は、絶望に濁ることなく光を放っている。その光の主は、ヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)と、メフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)の両者である。
「壮観ね」
 微かな笑みを浮かべたヴィリヤが、軽口のように言う。
 食物の乏しい荒野だというのに、これほどの大柄な哺乳類が大群が出来上がるだけの餌がどこにあるのかと思わないではない。が、この場にいる大砂ネズミは骸の海から発生した怪物ことオブリビオンであって、自然の産物ではない。当たり前の生物のように、食べて繁殖して数を増やしたのではない可能性が高い。
「オブリビオン……命なき怪物の厄介さよね。私が言うのも何だけど」
 肩をすくめつつ言うメフィスは、デッドマン――一度死を経験し、それを乗り越えた存在である。いや、複数の人物の死肉を継ぎ合わせることで身を成す彼女の場合、それを『一度』と勘定してしまって良いものかどうか定かではないが。
 まあ何であれ、世界の破壊者たるオブリビオンと、研ぎ澄まされた理性をもって猟兵として戦っているメフィスとでは、死を越えたという程度の共通点があるからといって同列にすべきものでないのは間違いない。
 淡い苦笑を一つメフィスに向けてから、ヴィリヤは大砂ネズミの群れへと視線を戻す。
「来るよ」
 何が機ということもなく、大砂ネズミのドーナツが狭まり、必然的にそれに比例して密度を増し、二人を押し包みに来る。
 真紅に血走った双眸が、ナイフのような白い前歯が、短いながらも鋭い爪が、凶猛さを反映するかのように輝く。
 幾十、いや幾百にも及ぼうかというそれらの標的にされ、一瞬だけ迷う。防いだとして数体、他のネズミが死角から食い破りに来る。回避するとして隙間はない――いや。
「がぁッ!」
 悲鳴のような咆吼と同時、メフィスが真上に跳躍する。
 さらに同時、メフィスの背中から肉と布のちぎれる耳障りな音が鳴る。瞬き半分の間にメフィスの背中から長大な尖った骨が左右に広がるように飛び出し、血肉を皮膜として翼竜めいた翼を成す。
「ぁぁああぁぁ!」
 そのまま真上に飛翔しながら【醜翼を翻す】。残像すら目に残すことを許さないような高速の羽ばたきに従って、メフィスの身に流れる死の毒を含んだ血がまかれる。血煙は濃霧のごとくになって戦場を包み込み、メフィス目がけて殺到していた大砂ネズミたちは、彼女の足下で先刻までとは違う意味で目を血走らせる。
「やっぱり、そうよね」
 一方のヴィリヤは軽やかな仕草で跳躍するなり、そのまま宙を蹴飛ばすようにして上空に留まっていた。
 雰囲気こそ対照的ながら、メフィスにせよヴィリヤの【跳飛】にせよ、『上への回避』を選択したということである。どれほど圧倒的な数を誇ろうが、大砂ネズミは空を飛べないし、対空射撃の手段もない。たとえ地を埋め尽くされようと、空に逃げてしまえば脅威でも何でもないのである。
「まあ、こっちだって永遠に飛んでいられるわけじゃないけど、も!」
 上向きに足を振り上げ、宙を蹴る。
 加速によって自由落下ではない急速降下が実現する。ただでさえ凡庸なオブリビオンには反応しがたい超速、加えてメフィスのユーベルコードによって弱体化している大砂ネズミは、ヴィリヤの影すら捕捉することができない。
「はぁっ!」
 夜闇の色をした黒剣が大砂ネズミの背中に突き立ち、絶命せしめる。
 その周囲の大砂ネズミがすかさずヴィリヤに襲いかからんとする――が、「すかさず」と呼ぶにはその所作は鈍い。鋭利な前歯がヴィリヤのいた空間だけを斬り裂いた時には、ヴィリヤはすでに黒剣を引き抜いて再び空に戻っていた。
「遅いわよ」
 言い捨てるついでに、宙返りめいた姿勢から鋭く黒剣を一閃させ、器用に大砂ネズミの首をはね飛ばす。
 さらに宙を蹴って高みへと逃げつつ、ヴィリヤはふと、戦場の空を超高速で飛び回るメフィスに声を掛ける。
「おかげでこっちは楽させてもらってるけど、貧血にならない程度で控えてくれていいのよ?」
「問題ないわ」
 一瞬にて急停止してから、メフィスはヴィリヤに視線と声とを送る。背中の翼から、あるいは体中の縫合の痕から血をにじませてはいるものの、その表情は平生と変わるところがない。
「少し血が減ったり傷が増えたりした程度でどうにかなるほど、柔な体じゃないし。それに……」
 己の血煙を置き去りにメフィスは急降下した。猛禽のごとく、頭を下にして。
 次の刹那、迎え撃とうと振るわれた爪持つ前脚をかいくぐり、喉笛を噛みちぎった。
 ギィ、と断末魔の声が大砂ネズミの口から漏れ出る頃には、メフィスはすでに空中の人である。
「足りなくなったら、補充するから」
「わお、ワイルド」
 ヴィリヤは口笛を鳴らしつつ、再び黒剣を振るう。

 それから十数分ののち、雲霞のごとくであった大砂ネズミの大群は、そのことごとくを猟兵によって討伐されたのだった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴


第3章 ボス戦 『首骨圧折左衛門』

POW ●首骨圧折つかみ投げ
レベル×1tまでの対象の【首】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD ●首骨圧折チョップ
【チョップ】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ ●首骨圧折あごつかんで首コキャってするやつ
【あごと頭をホールドして捻ること】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ルイーゼ・ゾンマーフェルトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●その名は首骨圧折左衛門(くびほねへしおりざえもん)
「見事! 見事!」
 戦場に、喜悦の大音声がこだまする。
 その音源に目をやってまず最初に目に留まるのは、山のような筋肉だろうか。
 異形の跋扈するオブリビオン界隈にあっては、割と人間くさい方ともいえる、スタンダードな人型。ナチュラルに鍛えて至れる領域ではない、恐ろしく肥大化した腕、肩、胸の筋肉。また比較的目立たないながら、下半身の筋肉の発達ぶりも異様そのもの。
 そして何より正気ではない――いや、正常ではないと一見して理解できる、白一色に濁りきった双眸。
「猟兵! 正直、期待していた以上の猛者たちであるな! ああ、ようやく血湧き肉躍る闘争に巡り会えた!」
 白茶の長髪を振り乱しながら、邪悪な歓声を上げる巨漢のオブリビオン。
 誰が呼んだか、首骨圧折左衛門。 
 それに出会えば何者であっても首の骨を折られるといわれる、狂った暴威の化身。
 そこにいるのは、そういうモノであった。
キャロライン・メイ
「く・・・なんて力だ、化け物め・・・!」

あんな化け物と真正面から戦ってはいられない。ダーインスレイヴのリーチを生かして、なるべく間合いを取って戦闘を行う。

・・・戦闘狂。なるほど、楽しんでいるわけだ。

氷のような瞳で、敵をにらみつける。・・・どうにか奴の動きを止められないものか。

「魔剣よ・・・血を欲するならば、その力を貸せ!」

魔剣に毛細血管のように絡みつく鉄鎖が、無数の棘に姿を変え、敵に突き刺さる。

「捕まえたぞ!・・・この一撃を受けてもらおう!」


クロゼ・ラビットクロー
【兎爪】
強そうなのが出てきたけど
僕はネズミくらいにしか勝てないんだよな…
ラビットモービルは武器を積んでないし
振り返れば砂利を降ろしたトレーラーしかない。
よし、トレーラーをぶつけよう。
勢いを付けてから戦車との連結を切り離す感じで。
こんなんで倒せれば苦労は無いし、
チョップで破壊されるのがオチだと思う。
ただし、このトレーラーの側面は
“爆発反応装甲”という特殊な装甲で覆われている。
強い衝撃を受けると起爆して装甲を外側に吹き飛ばす仕組みだ。
本来防御用だけど近付くと非常に危ない。
僕も結構危ない

隙を作れればグレネードなり戦車で轢くなりできるかもしれないが


ラブリー・ラビットクロー
【兎爪】

ししょー
あのモヒカン(らぶにとっては人型の敵は皆モヒカン。モヒカンじゃなくてもモヒカン)すっごく熱苦しい…
そしてなんで笑ってるんだ?
やだ
近寄りたくねーのん
あ!ししょートレーラーに逃げてく!
ズルいなん!
うぎゃあ!らぶの方にこないで!ししょーの方にしてえ!

こんなの堂々と戦うなんて絶対やだ!
翼でふわふわ逃げ回るのん!
場所は
ビー玉が散らばってる所がいーかも
足場が悪ければらぶを追いかけ辛くなる筈なん
捕まらないよーに足場が悪い所ばっかり飛んでイジワルしちゃえ
もし捕まりそーになったら金貨とか砂とかビー玉とかバットとか兎に角何でも投げつけて全力拒否なん!

ぎゃ!ししょーの車もキタ!らぶはお空へ脱出なん


アリス・ラーヴァ
アドリブ・連携歓迎

ふー、今日の昼食はなかなか美味しかったわー
意外と食料豊富な世界ねー
それでは続きを…あらー?何かおーきな人がやってきたのー
しかも殆ど裸ねー、あれがパパが言っていた変態さんかしらー?
妹たちの教育に悪そーだし、排除しちゃいましょー
という事で、【ダッシュ】で突撃ー!
『首骨圧折左衛門』さんが首を掴もうとしてきた所を【野生の勘】のひらめきでかわして…首?
アリスには首は無いわよー?首に当たりそうな所には触肢があるわねー
では、伸びてきた手を触肢でつかんで鋏角でガブリと嚙みつくのー
そのまま【マヒ攻撃】しながらびったんびったん叩きつけるのよー
アリスは力持ちだから力比べでは負けないんだからー


●デスペラード
 気色の悪い笑い声を轟かせる筋肉の塊、即ち首骨圧折左衛門を目にしたラブリー・ラビットクロー(とオフライン非通信端末【ビッグマザー】・f26591)は、じりっと一歩退いた。といって、強敵を前にして怖じ気づいたというわけではなく、もっと根源的な忌避感によったいうべきか。
「何、あのモヒカン……すっごく熱苦しいなん」
「モヒカン?」
 ラブリーの言葉に、キャロライン・メイ(アイスドール・f23360)は首を傾げた。圧折左衛門の頭髪はほぼ真ん中分けの長髪であって、モヒカン刈りではない。
 と、クロゼ・ラビットクロー(奇妙なガスマスクの男・f26592)が肩をすくめながら、キャロラインに言った。
「ああ、気にしないでください。この子は人型の悪者を呼ぶとき、実際の髪型に関わらず『モヒカン』と言うんです」
「……そうなのか? 善良なモヒカンが聞いたら泣きそうな話だが」
 あまり行儀の良い髪型とはいえないかもしれなが、単なる一つのファッションに過ぎないというのも事実であって、モヒカンヘアの善人など探せばいくらでもいるだろう。仮にそういった人物に出会ったとしたら、ラブリーは何と呼称するのか……などと、ふと思ったものの、今はそんなことを気に掛けている場合ではない。
「さあ、いざ正々堂々と勝負だ、猟兵たちよ!」
 砕石で満たされた地面をサイのような屈強な素足で踏みしめ、圧折左衛門が駆けてくる。
「うぎゃあ! 近寄りたくねーのん!」
 ラブリーが絶叫する。
 しかし、一帯は猟兵によって整地されたばかり。障害物になりそうな岩だの何だのは壊し尽くされているし、地面はこれまでより平坦になっているため、地を駆ける敵にとってはむしろすこぶる近寄りやすい環境といえた。
 その突進の軌道上に真っ先に躍り出たのは、アリス・ラーヴァ(狂科学者の愛娘『貪食群体』・f24787)である。
「妹たちの教育に悪そーな格好してる人は、排除しなきゃねー!」
 上半身が真っ裸で、下半身も肥大化した筋肉に負けてデニムがビリビリになっている様を指してのことらしい。張り切って鋏角を鳴らし、圧折左衛門に食らいつきに行く。
 それに対し、圧折左衛門は速度を緩めず直進を保つ。
「異な事を。むしろこの私を力の何たるかの教材とせよ!」
 交錯の刹那、圧折左衛門は鋏角に左腕をつっかえ棒のように差し挟んだ。
「――!?」
 土塊同然に岩を斬り裂くアリスの鋏角だったが、圧折左衛門の怪腕はそれをがっちりと受け止め、骨まで至らぬ程度の切り傷で留めてしまう。超常存在オブリビオン、中でもいかにもパワー系に長じている者ならではの頑強ぶりである。
 さらに間髪入れず、圧折左衛門は右手でアリスの頭部を鷲づかみにかかる――が、寸前にアリスは顔の脇にある触肢で右手を捉えた。
「力自慢なら、アリスだって負けないわよー!」
「ほう、面白い!」
 笑う圧折左衛門がアリスの触肢をつかみ返した。
 ぎじり、と両者の全身に力が満ちる。人知を越えた拮抗によって空間が悲鳴を上げ、亀裂が烈風と化して周囲に奔る。
 体格は互角か、あるいはアリスの方がやや勝っているかもしれない。が、単体の膂力では流石にボスオブリビオンの方に分があった。
「う――!?」
「素晴らしい剛力だが、この私には及ばぬ!」
 触肢と、自らの腕に食い込む鋏角とを支えにしてアリスの体を頭上に持ち上げる。
 そのまま真っ直ぐ振り下ろすようにしてアリスを地面に叩きつけ――よう、としたところで。
「させん!」
 黒き大剣ダーインスレイヴをビリヤードじみたスタイルで構えたキャロラインが、矢のように駆け寄った。
 そして柄尻を右手のみで握り、最大リーチの刺突を放つ。
 狙いたがわず、その一閃は圧折左衛門の胴に突き刺さった。鉄塊を積み重ねたような腹筋を突き立ち、しかし、突き破るまでは至らない。
 それでも圧折左衛門は大きく体勢を崩し、その手からアリスが離れた。
「この!」
 畳み掛けるように連続して突きを放つ。常識的に考えてそう軽やかに扱えるような重量の剣ではないはずなのだが、桁外れの怪力と剣技の腕とを持つキャロラインならではの離れ業であった。
「ふ、見事、見事よ!」
 キャロラインの刺突に対し、圧折左衛門は手刀の形にした左腕を繰り出して弾きに弾く。頑強な肉体を誇るとはいえ、皮膚が裂け、肉が切れる。だというのに、圧折左衛門の顔は喜悦に満ちていた。
「く……化け物め!」
「このっ!」
 不意に頭上から声が降る。
 いや、降ってきたのは声だけではなく、金銀様々に輝く幾枚ものコインもだった。もっといえば「降ってきた」などという生やさしい勢いではなく、星が弾丸と化したがごとき超速を持っていた。
「むっ――!?」
 圧折左衛門が気付いたときには、顔といわず胴といわずにベシベシとコインがヒットしていた。
 すわ、何かの魔導具か呪いの媒体かと身構える――が、特に何が起きるということもない。拍子抜けした圧折左衛門に一瞬の虚が生まれた。
「はぁっ!」
「つぶれちゃえー!」
 その一瞬に、キャロラインの渾身の唐竹割りと、アリスの槍のような前肢による刺突が重なる。
 前進あるのみだった圧折左衛門だが、流石にこれは受け難しと断じたらしく、後方に大きく跳躍して回避した。
「ふ……つまらぬ小細工と言いたいところだが、してやられた以上はそうも言えぬか」
 口角を大きく吊り上げ、圧折左衛門が言う。その視線の先は、上空にて三対六枚のえらく神々しい翼を広げたラブリーである。コインを投げ付けて圧折左衛門の注意を引いてみせたのは、彼女だった。
「あのモヒカン、どうしてずっと笑ってるんだ?」
 圧折左衛門の様を見やるラブリーが、薄気味悪そうにつぶやいた。
「おかしなキノコでも食べたのかしらー?」
「いや、単に戦闘狂だからだろう。戦いを楽しんでいるというわけだ」
 キャロラインが歯がみする。楽しむ余裕を与えているということが業腹だというのもあるが、自身も呪いによって邪悪な戦闘狂に堕した経験がある彼女にしてみれば、圧折左衛門の精神性は嫌悪を禁じ得ないものだった。
「かといって、猪突猛進というわけでもない。並の攻撃じゃびくともしないタフネスだけじゃなくて、まずいと思えば避けるだけの戦術眼と俊敏さもある」
 クロゼは言いつつ、視線を後方に送る。
 そこにあるのは、バイク大の戦車のラビットモービルに、砂利を降ろして空になったトレーラー。重量のあるそれら自体を凶器として使えば、圧折左衛門とてダメージは必至だろうとクロゼは踏んでいるのだが。
「最低限、奴の動きを止めなければならないというわけか」
 クロゼの意図を察したのか、大剣を構えつつキャロラインが言う。
「よし、何とかしてみせよう。アリス、奴の左に回ってくれるか」
「うん? わかったわー」
 示し合わせると同時、アリスは圧折左衛門の左、キャロラインは右にから回り込むようにして駆けていく。
「ぬ……!」
 わずかに圧折左衛門が焦ったような挙動を見せる。
(やはり、奴の右腕は麻痺毒にやられていたか)
 剣撃を捌く際に右腕をまるで使っていなかったことから、そんなところだろうと踏んでいた。
 それはアリスの麻痺毒が圧折左衛門に通用していることを証明している。そして圧折左衛門の方でも、左腕も封じられることを嫌っていないわけがない。
「猟兵を相手にいつまでも笑っていられると思うな!」
「むう!」
 キャロラインが放った鋭い刺突を、圧折左衛門は身をかがめてかわす。
 間を置かずアリスが噛み付きに来るのを、縮めた身を一気に伸ばしての大跳躍で回避する。
「甘い――」
「ぎゃー!」
 刹那、圧折左衛門の眼前には空舞うラブリーがいた。
 それは互いに不意討ちめいた状況だった。が、次の一瞬を制したのはバットを投げ付けようとしていたラブリーだ。スカイハイと名付けられたそれを握り直し、圧折左衛門の顔面に打ち下ろした。
 ごきん、と鈍めの音が響く。
 頭部も相応に頑丈な圧折左衛門、ラブリーのとっさの一撃ではさほどのダメージもなかったが、しかし跳躍の勢いは死んだ。
 その刹那に、頭を巡らせたアリスが圧折左衛門の左足に跳びつき、鋏角を食い込ませる。
「捕まえたわー」
 さらに同時、鋏角のみならず触肢が絡み付き、麻痺毒を流し込む。その一瞬後に、ぐんと引いて地面に叩き付けた。
 砕石の地面に鋼の筋肉塊が炸裂し、馬鹿げた轟音が鳴る。砕石がさらに砕かれて砂と化し、烈波が砂を押しのけ穴を成した。
「ぐお――おッ!」
 アリスが再度振り回すより先に、圧折左衛門はアリスの触肢目がけて右足の踵を叩きつける。
「い、だっ!」
 めぎりと嫌な音が鳴って、アリスが引きはがされる。
 とはいえ、圧折左衛門が立ち上がって何かするより先に、とうにキャロラインが迫り切っている。
「魔剣よ、力を貸せ!」
 ダーインスレイヴが袈裟懸けに振り下ろされる。
 圧折左衛門はとっさに左腕を盾状に構えてそれを受けるが、刀身が腕に食い込んだ途端に、剣の柄本に絡み付いていた鉄鎖がヘビのごとき動きで圧折左衛門に襲いかかる。
「何――!?」
 鎖は瞬時に圧折左衛門を雁字搦めにした上、無数の棘を生やす。強固なる防御力を誇る圧折左衛門の肉体が相手では皮膚に引っ掛かる程度だが、それでも左足の麻痺と相まって暫時動きを封じるには充分だ。
 その暫時を逃さず、クロゼの操るラビットモービルがトレーラーを牽引しながら突進してくる。
「あ、アレは……逃げるなん!」
 慌てたラブリーが呼び掛けるが早いか、アリスもキャロラインも全速力で離脱する。
「――行け!」
 クロゼが叫び、ラビットモービルが急カーブを切る。
 同時、遠心力によって唐竿よろしく振り回されて連結を切られたトレーラーが、派手なドリフトをかましつつ圧折左衛門にその側面を激突させる。
 同時、一帯が閃光と轟音に支配され、場にいた全員の視覚と聴覚を奪う。
 地面がえぐれて土と砂利が凶器の嵐と化し、トレーラーを木っ端微塵にする。爆心地に最も近かったラビットモービル及びクロゼもかなり危うい挙動を描いたが、そこはクロゼのコートの頑丈さと見極めの絶妙さが勝ち、無傷にて切り抜けおおせる。
 爆発反応装甲。爆風によって敵の攻撃を相殺することを期した、扱いに慎重を要する危険な防御機構。
 しかもクロゼのトレーラーに施されていたそれは、オブリビオンのユーベルコードによる攻撃を想定した、超絶の代物である。
「やったか?」
「ししょー! それフラグなん!」
 上空の安全圏に逃れていたラブリーが怒鳴る。
 しかし、もうもうたる土煙を囲うようにして身構える猟兵たちの前に圧折左衛門が飛び出してくることもなく、呼吸一つ、二つ――と時間が過ぎ。
「……やってたみたいねー」
 土煙が晴れた頃、アリスが言う。
 圧折左衛門は骸の海に還ったらしく、そこに跡形は遺っていなかった。

 かくして死闘の幕は、猟兵の勝利にて閉じる。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年09月29日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵