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吸血お嬢様の恐怖のお茶会

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●怠惰なお嬢様、思いつく
「お嬢様、紅茶をお持ち致しました」
「ありがとう。テーブルの上に置いておいて頂戴」
「かしこまりました」
 執事のような振る舞いの青年は、主の少女がぼんやりと窓の外を見つめる中、ティーカップに紅茶をこぽこぽと注ぎ、ティータイムの準備を始める。
「……ねぇ、何か面白いことはないかしら?」
 少女の視線は未だ窓の外。背後で給仕をこなす青年へとぞんざいに言葉を投げかけるが、立場を弁えた青年は嫌な顔一つせず答える。
「では、街道に出ては如何でしょう? 最近、行商人が護衛をつけ始めたと聞きました。護衛なれば多少は手練れ、お嬢様のお眼鏡にかなう者も、一人や二人はいようかと」
「んー……護衛は楯突いてくるでしょう? そうなればただ殺すだけ。そういうの、少し飽きてきたのよねえ。もっとこう、人が兢々とする様を見たいのよ」
「それなら、村に赴かれるのは如何ですか? お嬢様のお姿を見れば、人間はきっと戦慄することでしょう」
「私がわざわざ足を運ぶほどの価値が……そうだわ! 私が行くのではなく、人間達がここに来ればいいのよ! そうね、口実は……お茶会がいいわ! 早速準備に取り掛かりなさい!」
「仰せのままに」

●お茶会へのお誘い(参加できるとは言ってない)
「皆さん、お茶会に興味はありますか?」
 と、ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は集まった猟兵達へ問いかけた。
 ロザリアはグリモア猟兵だ。故に、猟兵達に投げかけられる質問は、必然、依頼への誘導である。
「今回の事件は『ダークセイヴァー』で発生するものになります。ある吸血鬼が自分の屋敷へ近隣の村の住人を招待してお茶会を開くようなんですが……オブリビオンが開くお茶会です。当然、ただのお茶会ではありません」
 皆さんをあまり楽しい日常へお連れできなくてすみません、とロザリオは言葉を添えて、手元の『ぐりもあのーと』を開く。
「どうやら、吸血鬼が人間を恐怖させ、その様子を眺めて楽しむことを目的としているようです。おそらくそれだけ楽しんで帰すということはなく、存分に楽しんだ後は、あっさりと命を奪ってしまうことでしょう」
 予知を元に、ロザリアは沈痛な面持ちで語っていく。
「そうなっては取り返しがつきませんので、皆さんには住人の方々の救助と、その屋敷の吸血鬼の撃破をお願いしたいんです」
 話を聞く猟兵達の反応を見つつ、ロザリアは新たなページを開く。
「状況をお伝えしますね。屋敷に集められた住人はすぐ何かされる、というわけではないようです。一応はお茶会の体裁を取りながら、吸血鬼が好みの人間を見つけたら会場から連れ去り、一旦屋敷のどこかに監禁するみたいですね」
 住人の命は、猟兵達が行動を開始する時点では失われていないようだが、ロザリアは難しい顔をする。
「皆さんが現地に到着する頃にはすでにお茶会が始まっていて、会場から連れ去られている人もいるはずです。ですので、屋敷にうまく潜入するなどして、まずは捕らわれてしまった人達を救出してほしいんです」
 会場内にいる住人も気になるところだが、そちらを優先してしまうと吸血鬼に動きを感づかれ、捕らわれた住人の命は確実に失われることになる。会場にいる限りは命の保証はされているので、まずは命の保証がない住人を優先してほしいとのことだ。
「吸血鬼以外のオブリビオンについては、必要であれば接触することも可能かと思います。どのような形で接触するかはお任せしますが、なるべく事を荒立てない方がいいでしょう」
 強くはないので一人で相手をすることも可能だが、普通に戦えば仲間を呼ばれてしまい猟兵の存在が露呈する。戦闘に持ち込むなら、昏倒させるなどして存在を知られないように動きたい。
「全員救出できたら、後は屋敷のオブリビオン達を倒していくことになります。先に動くのは屋敷のあちこちで吸血鬼の世話をしているオブリビオンかと思います。皆さんの存在がわかれば屋敷中から集まってくると思いますので、その集団を倒して、さらに吸血鬼と戦う、ということになるでしょう」
 集団、そしてボスという連戦になる。まずは数を相手に、次に強敵、となるため、それぞれで違った戦い方を求められるかもしれない。
「知っている方もいるかと思いますが、『ダークセイヴァー』の人々は皆、オブリビオンに虐げられながら生きています。そういった方々の窮状を少しでも緩和するためにも、どうかよろしくお願いします」


沙雪海都
 第六猟兵が始まって一か月以上が経ちました。
 早いものですね。沙雪海都(さゆきかいと)です。
 今回は『ダークセイヴァー』での事件になります。今回が依頼七作目であり、これで全ての世界を見てきたことになりますね。
 今後の予定は考え中ですが、まずは目の前の事件を解決していきましょう。

●第1章でやること
 屋敷に潜入し、捕らわれた住人を救助すること。
 何らかの方法で直接探すことも可能でしょうし、情報を引き出すことで後の猟兵に繋ぐような形でも目的達成に近づくことでしょう。
 フラグメントの行動方針なども見つつ、考えてみて下さい。

●お茶会会場内の住人
 基本的に安全で、猟兵達が到着してから新たに連れ去られるということはないと考えていいです。
 なので積極的に接触する必要はありませんが、何か住人が持っていそうな情報を引き出したいなら、接触及び行動を起こすことは構いません。
 なお、吸血鬼は会場内にはいませんが、何らかの方法で会場内を見ています。不審な行動は即気付かれますのでご注意頂ければと思います。

 会場内の住人を含む全ての住人の最終的な避難は第二章開始時点のつなぎくらいで描写予定です。
 なんやかんやでうまくやって集団戦に移行すると思いますので、第一章のプレイング内でこの辺の行動を考える必要はありません。
 捕らわれた住人の救出に専念しましょう。

 以上、長くなりましたが、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『ティータイム・ウィズ・ヴァンパイア』

POW   :    哨戒や見張りの不意を打ち昏倒させる、持ち物を奪う

SPD   :    館内を隠れながら巡り、怪しい場所や臭い、物音などを探る

WIZ   :    素性を偽り、哨戒や見張りから情報を引き出す

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アーレイラ・モンクスフード
吸血鬼からすれば、文化的に楽しんでいるのでしょうが、それを認めるわけには参りません。

「まるで押しかけ強盗ですね。それで良心が痛まないというのも歪な状況ですが。」

まずは、一般人の振りして紛れ、連れ去られる人の目星を付けましょう。
口説くなり、モノかな何かの優遇で連れ去るとかするのか
トイレに立ったとかで独りの所を連れ去るかどちらかかな?と予測立てて、現場を見てありそうな方で当たります。

現場を確認したら、ユーベルコードを発動。
浚われる人を対象に後を付けさせ監禁場所を暴きます。

直接侵入や監禁場所から救出に向く猟兵の方も居ると思うので、プランが無いようなら
情報共有して救出率を上げたいと思います。


甲斐・ツカサ
【WIZ】
人間ならこの世界にいてもおかしくないし、オレはお茶会に来た子供の振りをしようかな!

ねえねえ、見てよこの赤いマント!吸血鬼みたいでカッコいいでしょ!
お茶会開いてくれるなんてやさしい領主さまだし、もしも会えたら、ボク、メシツカイにしてもらうんだー!

そんな感じで明るく元気で無邪気なお子様として住人やヴァンパイアの手下に接しながら、他のみんなに目がいかないように領主たちにアピールしちゃうぞ!

もしも領主が女の子だっていうのを村人が知ってたり、手下から教えてもらえたら、俄然喜んでトモダチにしてもらいたいなー、って更にアピール!


本当に友達になれたなら、それは凄く良い事なのかもしれないんだけどね……



●紅茶もスコーンも真実は語らない
 吸血鬼が開くお茶会。広いホールに赤いカーペットが敷き詰められ、適度な感覚で設置された丸テーブルの上には、スコーンやクッキーといったお菓子にケーキやサンドイッチなど、様々な食べ物が振る舞われていた。
 事前情報の通り、お茶会の体裁は取られている――が。
(吸血鬼からすれば、文化的に楽しんでいるのでしょうが、それを認めるわけには参りません)
 調査のため、会場へと潜入していたアーレイラ・モンクスフード(真昼の白夜・f02061)は手にしたカップの中で揺れる紅茶を見つめつつ、このお茶会の真意を否定する。
 人々を吸血鬼の享楽の犠牲としないために、まずは捕らわれた住人の救出。そのために会場内へ乗り込んだわけだが。
「まるで押しかけ強盗ですね。それで良心が痛まないというのも歪な状況ですが」
「仕方ないよ。オレたちが相手しようとしてるのは、人間じゃなくてオブリビオンなんだから」
 アーレイラの横で、スコーンが載った皿を持つ甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)が答える。
 吸血鬼の企みを潰すため、お茶会の客に扮して正面からやってきた。吸血鬼からすれば、屋敷に押し入って略奪を働く強盗のようなものかもしれない。
「さて……そろそろ動くとしましょう」
「オッケー。じゃあオレ、色々回って皆の気を引いておくからさ。捕らわれた人の居場所探しは頼むね」
「ええ、ありがとうございます」
 アーレイラとツカサはそれぞれの目的のため、一旦別れて行動を始めた。ツカサはスコーンの皿をテーブルに置くと、早速手近なところにいた初老の男性へ、いかにも子供らしく振る舞い話しかける。
「ねえねえ、見てよこの赤いマント! 吸血鬼みたいでカッコいいでしょ!」
 よく見えるようにくるっとその場で回りながらマントを靡かせ、大げさに声を上げて存在をアピールしていく。
「ほぉぉ、いい物を持ってるんだねぇ」
 男性はまるで孫でも見ているかのように目を細め、ツカサの話を聞いていた。
「お茶会開いてくれるなんてやさしい領主さまだし、もしも会えたら、ボク、メシツカイにしてもらうんだー!」
「おや、まだ見てないのかい? 最初、何度かここに来ていたんだけどねぇ」
「え、来てたの? オレ、ついさっき来たばかりだから見てないんだー。どんな人だったか教えてよ!」
「君と同じくらいの年齢の、髪の長い女の子だったよ。肌が真っ白で驚いたけど、話してみれば威厳があって立派な方だったねぇ」
「領主さまって女の子なの!? うわぁ~!! ますます会ってみたくなっちゃった!! きっと可愛いんだろうなぁ~!! それならメシツカイになるより、トモダチにしてもらいたいな!!」
「君なら、きっといいお友達になれると思うよ。もし次にここに来たら、教えてあげるからね」
 ツカサは男性と約束を交わし、また別の住人のもとへ。そこでも言葉と動きでうまく存在を印象付けていく。
 その様子をアーレイラはじっと見つめる。厳密には、ツカサを追いつつこの場に残されている住人達へと目を向けていた。
(連れ去られる人の目星をつけたいところですね。それには、残されている住人についても、ある程度把握しておく必要がありますか)
 残されている住人は、ツカサが最初に話しかけた初老の男性の他に、そろそろ隠居も見えてくるかという壮年の男性、杖をつきながらも、滅多にないお茶会を楽しんでいそうな老夫婦。後は、口にクリームをつけながらケーキを頬張る少女など。
 一通り会場を眺めていくと、見えてくるものがある。
(比較的若い男女の姿はあまり見えませんね……招待客をあえて偏らせている可能性は否定できませんが、そうでなければ、おそらく……)
 姿がないのは、すでに会場から連れ去られてしまっているから。このお茶会はある程度真実味を持たせるような配慮が為されていることを考えれば、違和感を与えぬよう、積極的に標的としない者達も呼んでいる、という仮定はそれなりに信憑性がありそうだった。
 後は、連れ去るための手段。何らかの形で住人を誘惑したか、一人となったところを狙って連れ去ったか。推測の方向性はいくつか立てたが、その決め手となるようなものが見つからない。
「どう? 何かわかった?」
 考え込むアーレイラのもとに、会場を一通り回ってきたツカサが戻ってきた。
「吸血鬼の狙いはおおよそ。あとは連れ去る手段がわかれば……」
「そういえば、吸血鬼はオレたちが来る前、何度かこの会場に来てたみたいだよ。もしかしたら、誰かが何か見てるかもしれないね」
「なるほど、少し聞いてみますか」
 今度はアーレイラも情報収集のため、住人に話を聞いて回る。面と向かって吸血鬼がどうのこうの、とは聞きにくいので、ツカサに倣って領主と称することにした。
「領主の方と話をしている人がいたか、見てませんか?」
「若いモンと一緒にいたようなのは見たな。笑いながら話してて。それから領主様がいなくなって少しした後、若いモンも部屋を出て行ったなぁ……そういや、あれから姿を見てないが、帰っちまったんかな」
 正確な連れ去り現場ではないが、有力な情報だ。話を聞かせてくれた男性に礼を言い、その場を離れる。
「やっぱり、その人って」
「えぇ、帰ったのではなく、吸血鬼に捕らえられた、と考えるのが自然でしょう」
 手段の一端を掴んだ。これでこれから連れ去られそうな住人の目星は付きそうだ、と思った矢先。
 会場から屋敷の奥へ続くドアへ向かって、一人の青年が歩いていく姿が目に留まった。
「ねぇ、あの人、もしかしてさ」
「かもしれませんね。ユーベルコードで追跡します」
「使うの見つかったらまずいよね。オレ、また行ってくる!」
 ツカサは会場を小走りで回り、あえて声を張り上げ、周囲の者達の目を引きつける。
『夜の帳の眷属よ、我が呼びかけに応じ現れよ』
 周囲の目はツカサに向けられているが、それでも注意深く、詠唱は小声で『薄暮を歩く者』を召喚した。今まさにこの場所を抜け出そうとしている青年の後をつけさせ、アーレイラはそこから情報を拾うべく感覚を研ぎ澄ませる。
 ドアの向こう側は細い通路。と言っても人がすれ違うくらいの余裕はある。壁に等間隔に燭台があり、仄かな光が通路を照らす。
 青年はきょろきょろと通路を見回し、曲がり角があればその先を覗くように顔を出す。何かを探しているようだ。
 少し進んだ先、階段が見えた。青年は立ち止まり、階段の先を見上げる。そして、ゆっくりと一歩、段に足をかけて――。
「どうなさいました?」
 給仕の一人が通りかかり、青年に声をかけてきた。その視線は青年にのみ投げかけられており、アーレイラが追跡していることは気付かれていないようだ。
「えっと、トイレは……」
「それでしたら、ここを戻ったところに。ご案内致しましょう」
 青年は単にトイレを探していただけのようだ。青年が給仕と共に歩くのに合わせ、『薄暮を歩く者』もまた、引き返すように追跡を続行する。
 何てことはない帰途のように思えたが。

 ――ガタ、ガタン!

「……?」
「最近、上の階にネズミでも住み着いたようでして。無論、皆様のお目には触れることのないよう十分に配慮致しますので」
 天井からの物音。不思議そうに見上げた青年に、給仕はそう説明していた。
 だが、音はネズミが動き回るにしては大きすぎるようにも思えた。
 結局、青年は無事会場へ戻ってきた。捕らわれなかった、というのはひとまず良いことではある。
「ふぅ、さすがにちょっと疲れたね」
 ツカサがスコーンの乗った皿を手に戻ってきた。アーレイラの動きを周りに悟られないよう、今まで必死に動き回っていたのだ。
「助かりました。それで、捕らわれた人の監禁場所ですが……おそらく、上の階のどこかですね。追跡中、物音が聞こえました。給仕はネズミと言ってましたが……捕らわれた人が暴れたか何か、したのではないかと」
「じゃあ、それを他の人に伝えれば、やりやすくなるね」
「そうですね。ちょっと行ってきます」
 アーレイラは集めた情報を仲間に伝えるべく、会場を抜け出していく。
 その姿を見送りながら、ツカサはふと、持っているスコーンに視線を落とした。
 給仕に勧められ、怪しまれないようにと受け取ったものだ。ここまで口はつけておらず、作られたままのスコーンが未だに皿の上にある。
「トモダチ、か……」
 住人達にアピールすべく、幾度となく叫んでいた。

 ――トモダチにしてもらいたいなー!

 相手は吸血鬼、オブリビオンだ。夢物語にも程がある。
 ただ、目の前にあるスコーンは、見れば見るほど普通のスコーンで。
 これが住人をもてなすためだけに作られたスコーンであったならば。
「本当に友達になれたなら、それは凄く良い事なのかもしれないんだけどね……」
 言ってはみたが、やっぱりこのスコーンに手を付ける気にはなれなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フォルター・ユングフラウ
【WIZ】

やはり吸血鬼は、我と似た嗜好の者が多いな…人間を殺すのには飽きて来た、というのは同感する
故に、オブリビオンである貴様が我の新たな玩具よ

【古城】で参加
我は吸血鬼の友人として招かれた者、トリテレイア(f04141)は我の護衛…という体で行動する
屋敷の中を堂々と散策し、出会った使用人なりに「迷ったので案内を頼みたい」と、誘惑や催眠を用いて語り掛ける
これで堕ちれば、UC:ヴィーゲンリードも使い「人質の場所まで案内しろ」と命じて先導させよう
道中で別の使用人なりに出会った場合はトリテレイアに対処を任せ、我はこの傀儡の扱いに集中する
用が済めば失神させて縛り上げ、見つかりにくい場所に転がしておくか


トリテレイア・ゼロナイン
【古城】として参加

その矛先がオブリビオンに向く限り、私は戦友としてフォルター様と共に戦いましょう

「礼儀作法」を活かし、吸血鬼の客人として振舞い潜入するフォルター様の護衛役として共に屋敷に潜入。
見張りのオブリビオンを誘惑し情報を得るフォルター様をカバー、不審な動きを気づかれた他の見張りを隠し腕による「だまし討ち」で口を塞ぎ、「怪力」で無力化します。

住人の監禁場所を把握出来たら「優しさ」で安心させて落ち着いて脱出できるように図りたいですね

フォルター様には威厳たっぷり振舞って頂き私はそれに追従する演技でいきます
それにしても…(フォルターの手管を見て)敵に回さずにすんで幸運というべきなのでしょうか…



●ダンピール女王とウォーマシン従者
 捕らわれた人々は上の階に連れ去られている。
 先に屋敷内に潜入した猟兵からもたらされた情報をもとに、他の猟兵達も動き出す。
 その中で、フォルター・ユングフラウ(嗜虐の乙女・f07891)とトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)の二人は、吸血鬼の友人として招かれた者、及びその護衛、という体で屋敷への侵入を試みる。
「ここの主とは旧知の仲でな。茶会を開くから、と招かれたのだ。通っても構わないな?」
「もちろんでございます。お嬢様もお喜びになられることでしょう。ところで……後ろの方は?」
 屋敷の入り口に立つ見張りへ声をかけ、フォルターは素性を偽って入館の許可を得ようとした。その目論見はうまくいったように見えたが、見張りはフォルターの背後に控えるトリテレイアに目を付けた。
 疑いを向けられているかはまだはっきりしない。トリテレイアは役の通りに受け答える。
「私はフォルター様の護衛の者にございます。この度は格式高いお茶会の場でございますので、侍従の役目も兼ねております」
「ということだ。問題ないな?」
 トリテレイアの返答に次いでフォルターが見張りへ同意を求める。赤い視線をその目へぶつけ、言葉を引き出しにかかった。
「えぇ、問題ございませんよ。どうぞ、ごゆっくり」
 トリテレイアの堂に入った礼儀作法を見せて、軽く催眠で後押しすれば、見張りは何の疑いもなく二人を館へ引き入れた。
 お茶会が今も開かれている会場には目もくれず、二人は屋敷内を堂々と散策していく。
「住人の監禁場所は上の階にある、という話でしたね」
「そうだな。さっさと階段を見つけるか……あるいは使用人でもいれば、案内させるのも良いな」
 敵さえも自らの目的の糧としようとするフォルター。それは彼女の技量に裏打ちされる自信だが、二人が先に遭遇したのは階段のほうだった。
 廊下と同じように燭台の炎が階上を照らす。上って辿り着いた屋敷の二階は左手に廊下が長く伸びる場所。
 そして右手には。
「扉……だな」
 突き当たりを埋めるように大きな扉が一つ。この階段は廊下の端付近に位置しているもののようだ。
「何の扉でしょう?」
「この配置、ただの客間ということはあるまい。虱潰しとなるのは好かんが、一つくらいは開けておくか」
 フォルターは静かに近づき扉に手を掛ける。鍵は開いていたようで、力を入れて押し込むと、ギィィ、と扉が動いた。
 中は広間になっていた。木目調の床に、真四角の窓が等間隔に並ぶ壁。部屋を支える太い柱には、緻密な装飾が施された傘の中で揺れる柔らかな光。天井からもシャンデリアのようなものがいくつも吊るされ、広間全体を輝かせている。
「ダンスホールといったところか。らしからぬ趣味か――いや」
 先に中へ入っていたフォルターが、広間の奥に何かを見つけ、間近で見ようと歩み寄る。トリテレイアも後に続き、二人は目的の物の前で立ち止まった。
「これは……吸血鬼でしょうか」
 二人が見つけたのは一枚の大きな絵画。描かれているのは白い肌に赤い目を持つ少女の姿。真紅のドレスを身に纏い、翼を生やした姿は紛れもなく。
「だろうな。この屋敷の主、というわけか」
 吸血鬼の吸血鬼らしい肖像を前に、フォルターは口角を吊り上げて笑む。
 絵画の中の少女は、自身の体ほどもありそうな巨槍から血を滴らせ、そこから指で掬い取り、舐めて嬌笑を浮かべていた。
「やはり吸血鬼は、我と似た嗜好の者が多いな……人間を殺すのには飽きて来た、というのは同感する」
 フォルター自身、吸血鬼の父親を持っていたダンピール。血への欲望、それに通じる感情に対しては、通常の人間とは異なった感性を持っていた。
 この絵は事実を基にして描かれたのか。事実であれば、殺め、血を直に啜る快楽はどれほどのものだったのか。
 敵ながら、若干の羨望も湧いたが。
「故に、オブリビオンである貴様が我の新たな玩具よ」
 フォルターは絵画の中の少女に向けて、不敵な笑みと共に宣戦布告をしてみせた。
 それから二人は念のため広間の中を調べてみたが、別段怪しい場所も、声も音も何もなく。
「ここにはいないようですね。他を当たりましょうか」
 フォルターが先に広間を抜け出し、後のトリテレイアが出てから丁寧に扉を閉めていく。
 と、そこに。
「おや、このような場所で……如何いたしましたか?」
 二人が上ってきた階段から、屋敷の使用人が一人、階下よりやってきて声を掛けてきた。
 応対の様子は今のところ普通に見える。フォルターはすかさず行動に移る。
「茶会に来ていたのだが、この屋敷は不慣れでな……」
「フォルター様は多忙を極めておられますので、このお屋敷にもなかなか訪れることが叶わず……私も、ここに付き添わせて頂くのは初めてですので、恥ずかしながら、迷ってしまいまして」
 さも真実そうな虚言をつけて、トリテレイアは目的を悟られないよう取り繕う。
 その甲斐あって、使用人は柔和な表情を見せて、
「そうでしたか。お茶会にご参加されているのでしたら、ご案内致しますよ」
 と階下を示す。怪しむ様子がないのを見て、フォルターは徐に近づくと、そっと使用人の手を取って、
「我は汝に、『この階』の案内を頼みたい」
 囁くような声を、耳元にかけた。
 二人は使用人の反応を待つ。まるで電池が切れたかのように使用人は固まっていたが、やがて意識を取り戻し、
「……どちらを、ご案内致しましょう?」
 使用人は違和感なく答えていた。
 普通には通らぬ要求。それを通したのは、フォルターが持つ計り知れない誘惑の技量。ただ一言、声をかけるだけで、その心を捕えてしまう。
 そうなれば後は意のままに操るのみ。
『我にその身を、その心を委ねよ。背徳の悦びに震え、絶頂させてやろう』
 使用人の眼前へ手を差し向けて魔法陣を召喚する。使用人にはただ手をかざされているだけに見える状態だが、その魔法陣からは拘束魔術が具現化した糸が無数に伸び、使用人の体を雁字搦めに縛り上げ、フォルターの傀儡へと変えていった。
 見た目には何も変わらない。だが、もはや何があろうと、この使用人はフォルターの言葉以外に従うことはない。
「さて……この屋敷の吸血鬼が捕らえた人質の場所へ案内せよ」
「……わかりました」
 脱力し、腕をだらりと下げた使用人がとぼとぼと歩き出す。その後につくフォルターのさらに後ろで、
(それにしても……敵に回さずにすんで幸運というべきなのでしょうか……)
 フォルターの鮮やかな手管にトリテレイアは舌を巻く。フォルターが味方であることに心底安堵し、畏敬の念を抱きながらその姿を見つめていた。
 長く続く廊下には部屋がいくつも並んでいた。聞けば、これらは舞踏会用の客間として使われているとのこと。催しがなければただの空き部屋らしいのだが。
「……こちらに、お一方、おられます」
 ある扉の前で使用人は立ち止まり、そう二人に告げた。
 中に入ると、そこはホテルの一室を思わせるような小部屋で、戸棚や椅子、テーブルといった家具が置かれ、隅にベッドが据えられていた。
 そのベッドの上、ひどく盛り上がったシーツの中で、何かがもぞもぞと動いている。
「陳腐な隠し方だが……まあいい。トリテレイア」
 フォルターが言外に求めたことを悟り、トリテレイアがベッドに近寄ってシーツを引っぺがすと、縄で蓑虫の様にぐるぐる巻きにされ、口に布を思い切り詰め込まれた若い男の姿があった。血の気が引き、目に涙を溜めた姿が痛々しく映る。
 口の布をとってやると、男は咳込みながらも自由な呼吸を取り戻す。縄の結び目をほどき、端からゆっくりと外していくと、がっちり食い込んで血が滲んだ腕が見えてきた。
「お辛かったでしょう……私達が助けに来ましたので、もう大丈夫ですよ」
 縄を取り去って、トリテレイアは男に優しく声を掛ける。過酷な状況に置かれていたからか、男は声を取り戻すまでに少し時間がかかったが、やがて小さな声で感謝をトリテレイアに伝えていた。
「他に捕らわれた者はいないのか?」
 一通り見届け、フォルターは使用人に尋ねる。
「……隣に、もうお一方。この階には、そのお二方だけです」
「なるほどな……」
 男を一旦部屋に残して使用人が言う隣の部屋に向かうと、そこには十代後半程度と思われる少女が捕らえられていた。トリテレイアが同じように解放していく。
「トリテレイア、この使用人はここで用済みだ。解いた縄で適当に縛って、ベッドの下にでも転がしておけ」
「ですが、使用人の話し振りでは、他にも捕らわれた人がいるように思いますが」
「我らの他にもこの屋敷に潜入している猟兵はいる。それに、解放した二人を連れたまま行動し続けるわけにもいかぬだろう?」
「確かに、そうですね」
 トリテレイアは未だフォルターのかけた魔術が効いている使用人を一撃で昏倒させ、身動き一つできないように縄で拘束し、ベッドの下に押し込んだ。
「では、行くとするか」
 救出した二人はトリテレイアが一人を背負い、もう一人を腕に抱えて、フォルターの先導のもと、脱出を図るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天星・零
『(ふふ、本当‥この世界は悪趣味だ)」

【情報収集】技能を活用し
UC【変幻自在の影の住人】にもオブリビオンに化けてもらい、哨戒や見張りから情報収集
必要なら都度姿を変えて違和感のないよう

情報は依頼にいる他の猟兵にも影の住人に伝達させる

可能ならUC【変幻自在の影の住人】で接触を試みる
敵が油断したら敵の背後にUC【首狩り女王の死刑執行】を召喚し【騙し打ち】
この時、殺害した方が良い場合は殺害、しない方が良い場合は昏倒させ、出来れば気づかれないように物陰などに隠す

使える技能は指定以外も持てる限り使用

首狩り女王(ディミオス)の口調
私+貴様、お前、零のことは名前で+-だ、だよな、だろう?と女王様らしい喋り方



●見張りは何を見ていたか
 お茶会の会場に乗り込んだ猟兵達が情報を集めて回っているのと時同じくして。
 天星・零(多重人格の霊園の管理人・f02413)もまた、捕らわれた住人に関する情報を集めようと画策していた。
 ただ、彼の場合は見張りのために立つ者など、敵側の者からの情報収集だ。
『さぁ、悪夢の時間だよ。影の住人は何もかもを奪い去ってしまうよ』
 早速ユーベルコード【変幻自在の影の住人】で『影の住人』を召喚する。召喚直後は輪郭がゆらゆらと揺れ動く、宙に浮かんだシルエットのような存在だが。
「……あれがよさそうですね。では、お願いします」
 たった今、見回りを終えて屋敷に戻ろうとしている吸血鬼の配下と思しき者。零は『影の住人』へ、その者へと偽装するよう告げた。すると、その輪郭はぐにゃぐにゃと波打ち始め、程なく同じ姿を形作る。
「これで、宜しいですか?」
「うん、バッチリです。後は情報を引き出せそうな相手を……」
 屋敷を囲む塀伝いに移動して、零は新たに、見張りのために立つ者を見つけた。裏口と思われる屋敷の扉があり、そこを守っているようだ。
 あの者は何か知っていそうな気がする。一目見て、零はそう直感した。
「頼みましたよ」
 『影の住人』を送り出し、零自身は近くに身を潜める。裏口がある側には茂みの深い森が広がっており、都合がよかった。
 『影の住人』が先に声をかけたようで、見張りがそれに応じている。違和感なく話をしている様子を見ると、感づかれてはいないようだ。
 今なら油断がある。零は気付かれないよう、見張りの背後を取れる位置まで音を立てないように近づく。その間も『影の住人』と見張りは会話を続けていた。
『おいで、僕のお友達。首狩りの女王が求めるのは汝の首と血なり……』
 見張りの背後に現れる黒い闇の溜まり。それが音もなく、巨大な骨の山羊の姿をした、禍々しい人の形をしたものへと変わっていった。
 それが首狩り女王、ディミオス。放たれた鎖はたちまち見張りを締め上げ、生命力を奪って昏倒させる。それから周りに他の敵がいないことを確認し、召喚した者達と合流する。
「ありがとうございます。それで、この見張りからいい話は聞けましたか?」
 収穫が不十分なら、再度接触が必要になるかもしれない。そのため、一旦は昏倒させるという形を取った。
 『影の住人』はその姿に相応しい穏やかな口調で、しかしどこか楽しそうに語る。
「えぇ、興味深い話を聞けましたよ。かの吸血鬼の令嬢はお気に入りの物を身近に置く習性があるようです。ですから、お茶会の中で目当ての人物を見つけたら、自分の近く――すなわち、屋敷の上層へ連れていくのではないか、と」
「上層……二階とか、三階とか、そういうことですね」
 この屋敷は窓の配置から、三階以上であることは容易に確認できた。
「場所については何か言ってましたか?」
「屋敷には小部屋……いわゆる客間のようなものが多くあるということです。他の吸血鬼などが屋敷を訪れた際に使わせることもあるようですが、専ら人間の監禁用、という話でしたね。最近は人間を連れてきて少しの間『飼った』後、殺すというような趣向も取り入れていたと」
 『影の住人』の信用度はかなり高かったようで、『プライベート』な情報も聞き出していた。あまり耳に良い話ではないが……ともかく、住人が捕らわれている場所の目途はついた。
「君は他の猟兵の人達に、今の情報を伝えて下さい」
「承知しました」
 零の指示に、『影の住人』はその場を離れる。
 それからディミオスに、昏倒させた見張りを茂みの奥へ放り込ませて。
「僕達は行くとしよう」
 屋敷内を探索すべく、裏口の扉を開いた。
 目に飛び込んできたのは、鮮血が飛び散ったかのような紅い壁と天井の、狭い通路。
 強烈な色彩に、一瞬息を呑んだが、
(ふふ、本当……この世界は悪趣味だ)
 主の趣味嗜好を存分に主張する屋敷の中を、零は心の中で冷笑しながら駆けてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジャン・クロニエミ
「おっさんも静かにお茶でも飲んでいたいもんだねぇ。もう隠居だよ、隠居」

念動剣抜くとちょいと面倒だからね、まぁ手堅くいこうか。
まずは色々ふらふらしながら、見張りの配置とルートを確認しよう。
仕留めるにしても見られるのは避けたいからねぇ。見えないところに動いたら、だねぇ。
死角に入ったら、サイコキネシスで首を折っちまおう。それで死ななきゃ体の骨、片っ端からへし折っちまおうか。外傷は避けたいねぇ、血の始末なんかおっさんできないし。
済んだら持ち物を調べて、鍵なり巡回表なり探してみようか。
死体は…見えないところにうまいこと押しやっとこう。
お屋敷ならデカいツボとか花瓶とかあるでしょ。折りたたんで入れとくよ。


ニィナ・アンエノン
にぃなちゃん、残念ながら透明になったりは出来ないけど速さには自信あるんだよね♪
という事で石でも投げて見張りを【おびき寄せ】て、その隙に【ダッシュ】で館に潜りこむ!
【スナイパー】な一面もあるから狙いもばっちり!
後はゴーグルで【視力】を上げて暗い所も【暗視】で見ちゃう☆
ついでにユーベルコードで二人になって【情報収集】かな?
ニンジャっぽいにぃなちゃんが来るといいな☆
館の中は【ダッシュ】と【ジャンプ】を駆使して素早く、尚且つ見張りの目を掻い潜って探索するよ。
見つかったら【地形の利用】をしたりして隠れようかな?
念のためにスパナを持ち込んで、どうにもならなくなったら【グラップル】で戦って【気絶攻撃】!


リネット・ルゥセーブル
成程、酷く傲慢だな。
だがその傲慢さが隙となる。

【忍び足】で、【聞き耳】を立てながら進んでいく。
理由は2つ、警備の巡回や使用人に見つからないようにするため、
そして、人が脱出しようと足掻く音を聞き落とさないようにするため。

警備の順路的に遠からず見つかりそうになったら、
進行方向とは反対方向に人形を一つ投げ込み囮にする。
知らない人形を無視するような警備は無能だし、
そうでないからこそ【時間稼ぎ】として成立する。

囚われた人を見つけたら解放していく。
【鍵開け】の心得もある、多少の鍵なら解錠できるだろう。

わたしに人は救えない。
けれど、救われる手助けぐらいはしても良いはずだ、きっと。



●救った命、託された意志
「人間を『飼って』から殺すとは、吸血鬼もここに極まれり、って感じかねぇ」
「成程、酷く傲慢だな。人は家畜以下の存在に過ぎんということか」
 猟兵の使いを自称する人物から話を聞き、ジャン・クロニエミ(フォースナイト・f10018)とリネット・ルゥセーブル(黒ずきん・f10055)は心の内を漏らす。
 彼らが口にしたのは吸血鬼の『プライベート』な一面だが、それ以外の、捕らわれた住人に関わる情報もしっかり受け取っていた。
「さっき出てきた人も似たようなことを言ってたし、捕らわれた人が上のほうにいるのは決まりみたいだね♪」
 ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)はポンと胸の前で手を叩きながら言う。複数の方向から猟兵達が集めてきた情報は特に矛盾なく、彼らが向かうべき場所への手がかりとなっていた。
 合わせて裏口の存在を知り、三人は侵入経路に選択した。だが、裏口に差し掛かろうかというところで見えた、見張りの姿。
 先にここへ来ていた猟兵が無力化したという話だが――新たな見張りを立てたのだろうか。
「相手は一人……三人がかりで襲い掛かれば仕留められるか?」
「それでもいいけど、ここはにぃなちゃんにおっまかせー☆ してみない?」
「何かいい案でもあるのかい?」
「あるよあるよー☆ にぃなちゃん、残念ながら透明になったりは出来ないけど、速さには自信あるんだよね♪」
 ニィナは足元に転がっていた石を拾い上げると、見張りの視線の動きを観察して、思い切り高く放り投げた。
 空の中に一旦消えていった石は、丁度見張りが、三人がいる場所とは逆の方向へ視線を向けたところに落下して茂みの中に吸い込まれた。がさがさと葉を揺らし、見張りの意識に強く訴える。
 不審に思い、見張りが裏口を離れ茂みに近づいていくのを見計らい、ニィナは一気にダッシュ。
「今のうちにいっくよー☆」
「事を荒立てないほうが見つかりにくい……か」
 リネットは難なくニィナの後を追い、裏口へ向かう。一方、ジャンは、
「いいねぇ若い子は。おっさん歳だからなぁ」
 そんなことをぼやきながら、ニィナの飛び出しに少し遅れてついていった。

 裏口から屋敷内へ。目に優しくない色彩の廊下を抜ける。遠くが少し騒がしいのは、未だ住人達がお茶会を楽しんでいるからだろうか。
「おっさんも静かにお茶でも飲んでいたいもんだねぇ。もう隠居だよ、隠居」
「そこまでの年齢なのか? 自称する分には構わないが」
 ジャンの自虐的な話にそれなりの反応を見せつつ、見つけた階段を駆け上がり、三人は一気に三階へ辿り着いた。ここまではほとんど一本道で、運よく屋敷内の者達と出会うこともなかった。
「ここからは三手に分かれた方がいいだろう。今はあまり長居すべきではないだろうから、効率を重視した方がいい」
「にぃなちゃんはおっけーだよ!」
「じゃあ、十分後くらいにまたここで落ち合う、ってことでいいかい?」
「それで構わない」
 まずは左右と真っ直ぐ伸びる廊下。三人は目的のため、それぞれの道を行く。

 ニィナは『アビエイターヘルム』に付属しているゴーグルをしっかり装着。さらに、どこかの世界にいる別の自分を呼び寄せる。
『頼りにしてるよ、どこかの自分! かもーん!』
 両手を上げて、ぱあっと召喚。目の前に現れたのは、黒い忍び装束を纏ったもう一人のニィナ。顔立ちはさほど変わらないが、身長が若干ニィナ自身より高い。
「やった! ニンジャっぽいにぃなちゃん!」
「お呼びでござるか?」
 忍者ニィナはどことなくへりくだった印象だった。生まれた世界は違えど互いに同じような存在だが、呼ぶ者と呼ばれる者、という上下関係に似たような意識があるのだろう。
 尤もニィナにとっては、忍者の姿の自分がやってきたことへの喜びが大きく勝り、口調や態度は些事に過ぎなかった。
「ここのどこかに人が捕らわれてるから、探すの手伝って!」
「御意」
 ニィナは屋敷に入る時に見せた加速力で屋敷内を巡る。忍者ニィナも遅れることなくついていき、見つけた扉は二人で一通り開けてみた。
「こっちは物置だったー。そっちはどう?」
「珍妙な調度品がいくつも並んでおりますが……人の姿は見えぬでござる」
 今のところ当たりはない。そうして駆け回るうち、吹き抜けの通路に出た。柵から下を覗くと、二階部分の床が見える。
「下も見たほうが……あっ!」
 何かに気付き、素早く身を伏せる。二階にいる屋敷の者が陰から現れたのだ。
 忍者ニィナと共に床にへばりつく。ニィナがじっと耐えている間、階下の人物はふと三階の通路を見上げていたのだが、身を伏せることでうまく死角に入り込んだニィナの姿は見つかることなく、その人物は去っていった。
「危なかったね。ここ、あまり近づかないようにしたほうがいいねー」
 人目に付きやすい通路は避けて、ニィナは探索を続ける。
「……この扉、鍵がかかっているでござるな」
 忍者ニィナが見つけたとある扉。これまでと同じく開けようとしたのだが、開かない。
「なんだか怪しそう……あ、上に窓があるね♪ もしかしたら、見えるかなー?」
 扉の上の小窓。ニィナの身長だけでは届かないので、一段ジャンプ。さらに扉の取っ手を足場にさらにジャンプ。窓枠に手を掛け、中を覗く。
「……あー! 見つけた!」
 部屋の中で、縄で縛られた人間が一人、床に転がされていた。
「しかし、扉は開かないでござるよ」
「そうだねー……ちょっと戻って、相談してみよっか☆」
 この部屋の場所を忘れないようにして、ニィナは一旦集合場所に戻る。

「闇雲に動き回るのは少々まずいね。まぁ手堅くいこうか。念動剣を抜くようなことにはなるべくなりたくないしねぇ」
 ジャンは美術館の見物客のように、屋敷の内装を眺めながら歩いていた。それも、自由気ままにふらふらと。
「……おっと、こっちは見張りの巡回がある……か」
 それでいて、警戒は怠らず、危険な場所は一旦避ける。この階の構造自体も歩き回りながら頭の中に描いているので、それと確認した巡回の様子を合わせれば、少しずつ敵の配置が見えてくる。
「……そろそろ仕留め時か。確か、巡回が他から死角に入るような場所があったなぁ……」
 ジャンはただ、構造と敵の配置を確認するためだけに歩き回っていたわけではない。
 そもそも屋敷は広いのだ。単に足で回るだけでは骨が折れる。
 ジャンが狙うのは巡回表。ルートが記載されているようなら、それは自ずと屋敷の地図にもなる。他にも何か有用なものを持っているなら奪う算段だ。
 目を付けた見張りはゼンマイ仕掛けのロボットの様に同じ場所を行ったり来たり。その中で、廊下のある部分、突き当たり付近にある部屋の前を通る時が、見通せる通路もわずかで最も人目に付きにくい。
 ジャンはわずかな隙を突いて見張りの目を潜り抜け、まずその突き当たりに潜んだ。ついでに近くの部屋を覗いてみたが、そこはただの空き部屋のようだ。
「さて……お勤め、ご苦労さん」
 扉を閉めて数秒も経たず、見張りがジャンのいる突き当たりに入ってきた。瞬間、見張りは身構えようとするも、ジャンのサイコキネシス早撃ちが先んじて見張りの自由を奪い、そして――。
 ゴキン、と太い物が折れる音がこもったように響き、見張りは首をだらりと垂れて動かなくなった。サイコキネシスで今や肉塊となった見張りの体を引き込み横たわらせ、ぺたぺたと触って感触から持ち物を探る。
「いいもの持ってるといいんだけどねぇ……お、これこれ」
 胸の辺りに固い手応えを感じ、内側に手を差し入れてするりと抜いたのは、一本の鍵と折り畳まれた小さな紙だ。広げていくと、部屋の配置が書かれた図面。その中の、通路と思われる部分に線がいくつも引かれているのと、二点、赤い印がつけられていた。
「線は巡回……ってことは、この印は監禁場所ってところかい? この位置だと、二人がそれぞれ向かったほうに近いか……」
 鍵と巡回表の入手に少し時間を使ったこともあり、ジャンはまず集合場所に戻ることにして。
「こいつの始末は……そういえばこの部屋、壺があったか」
 扉を開けた時に見えた大きな壺。ジャンはサイコキネシスで骨を砕き、筋を断ちながら見張りだったものをぐしゃりと折り畳み、壺の中に詰めて扉を閉めた。

 リネットは音に注意し廊下を進む。忍び足で音を立てずに、聞き耳で音を逃さずに。しっかり対応していれば、効果は表れる。
(……この先、誰かがいるな)
 分かれ道の手前、壁際でじっと音が去るのを待つ。先を覗き見ることもリスクが伴うため、リネットは音だけを頼りに、見えぬ者達の動きを追った。
 次第に近づき、そして遠のいていく足音。わずかな響き方の差も鋭敏に捉えていた。不意に音が消えたところで、リネットはその先に進む。
 歩いていた者は、おそらく先の角を曲がったのだろう。そこには何者の姿もない。
 足音は不気味なほどに単調だった。ペースを乱すことなく、見張りの者達は淡々と巡回しているようだ。だからこそ、捉えやすくもあった。
(これなら見つかる心配はなさそうか。あとは、囚われた人の居場所だが……)
 部屋はいくつも見かけている。だが、音がない。そのため、リネットはほとんどの扉を見逃していた。住人が全く身動きの取れない状態で監禁されていることも考え、気まぐれに一つ二つ開いてはみたがただの空き部屋。そんなことを繰り返せば結局虱潰しと同じ状況になるので、まずは自身の耳を頼ることにした。
(また足音……いや)
 聞こえてくる音にノイズが入る。何かイレギュラーな音が混ざっているようだ。リネットは目を閉じて余計な情報を排除し、聴覚を極限まで集中させる。
 そうして聞こえてきた、何かを叩くような音。遠くの足音にも注意を向けながら、音のありかを探る。
 そうして辿り着いた一つの部屋の前。扉に耳を近づければ、中からコツン、コツンと乾いた音が聞こえてくる。
 何者かがいるのは間違いない。リネットは扉に手を掛けた――が、開かない。鍵がかけられている。
(さすがにここは厳重か……)
 リネットは手持ちの道具を使い、扉の開錠にかかる。その間も周囲の警戒はしていたが、この場所はどうも見張りの巡回からは遠いようだ。
 しばし鍵穴と格闘し、リネットはこじ開けることに成功した。扉を開けると、そこには後手に縛り上げられ、うつ伏せに倒れていた男が一人。足も拘束され起き上がることができず、辛うじて膝を曲げられたので爪先で床を打っていたようだ。
「大丈夫か?」
 拘束を解いて安否を確認する。鬱血して青黒くなった跡が残っているが、外傷はなく、健康状態もそれほど問題はなさそうだった。
「……ん?」
 男を介抱する最中、部屋に据え付けられたベッドの下に何かが落ちているのが見えた。手を伸ばして取ると、それは手帳だった。聞けば、その男の物ではないと言う。
(前にここにいた者が落としたのか……?)
 いつの物かはわからないが、開いて中を検める。

『もうここに閉じ込められて五日になる。早く帰りたい。だが、あの吸血鬼は私をここから出してはくれないだろう』

 短文が並ぶ。監禁された者の手記のようだった。リネットは黙って次のページをめくっていく。

『吸血鬼は、明日は私の番、と告げた。私はきっと、八つ裂きにされ、喰われることになる。私はどうすればいい』

 誰に宛てたものかもわからない。そこで手記は途切れるかと思ったが、もう一ページだけ続いていた。

『今日は吸血鬼が来なかった。私の命は一日延ばされたのだ。この機会を何かに生かしたい。私が生きた証の一つとして』

 そのページには短文がもう一つ。

『扉の向こうの誰かが漏らした。今日は雷が降ったから吸血鬼はここに姿を見せないだろう、と。吸血鬼は雷に怯えるようだ。これを私が生きた証として、後に託そう』

「……わたしに、託されてもな」
 リネットはそっと手帳を閉じる。読み終えると、手帳がやけに重く感じられた。

 男はなんとか自分で動けるようだったので、リネットは連れて一旦集合場所に戻った。
 そこにはすでにジャンとニィナの姿もあり、それぞれが入手した情報を合わせていた。
 ジャンが入手した巡回表に、リネットが救出した男がいた部屋の配置、そしてニィナが見つけた鍵のかかった部屋を合わせたことで、赤い印は捕らえた人間の監禁場所であることがはっきりする。
 この階にいるのは二人。残る一人がいた部屋の鍵は、ジャンが入手した鍵で開いた。
 捕らわれた二人の救出を果たし、三人は屋敷からの脱出を図る、その中で。
「吸血鬼に、雷ねぇ……」
「雷が怖いんだー、意外なのかなー?」
「さぁな。ま、もしかしたら今後の役に立つかもしれない。……わたしがしてやれるのは、これくらいだ」
「ん、どうかしたのかい? リネットちゃん」
「……何でもない」
 以降は警戒を強める意味もあって口を閉ざし、三人は無事、住人の奪還に成功したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『オーバースト・フックス』

POW   :    ツヴァイ・クラールハイト
自身と自身の装備、【己の分身】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD   :    ブルート・イルズィオーン
【流し目】から【紅光】を放ち、【血まみれの臓物に縛られる幻覚】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    フェアエンデルング・シュヴェールト
【血をすすり形状を変える吸血牙の剣】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●オブリビオンを殲滅せよ
 お茶会の会場から連れ去られていた住人を全て救出した猟兵達は、会場内にいる住人達の避難にも着手する。住人達は最初戸惑っていたが、手足に捕らわれた跡をつけた住人の姿を見ると、猟兵達の言葉に従って会場を飛び出していく。
 屋敷の敷地内を逃げる道を作る者。追っ手が来ないか確認する者。
 猟兵達は役割を分担し、住人達の避難に成功する――が。
「こっちにいたぞ!」
 吸血鬼の配下のオブリビオンが猟兵の存在に気づき、集まってくる。
 住人達を屋敷から遠ざけた猟兵達は、二度とこのようなことが起こらぬよう、屋敷のオブリビオン達との直接対決に臨む――。
ルセリア・ニベルーチェ
・アドリブ歓迎ですの

・さてさて、住人さんは既に屋敷から遠ざかっているようですし
 暴れさせて頂きましょうか?ルセリアさん、荒事は得意です!

・敵の透明に対しては生命力吸収・範囲攻撃の
 生命感知のレーダーで対応しますわ。

 紅光は見切り・残像・第六感で避けろルセリアさん!ですなの

 敵が近接攻撃を挑もうものなら、ユーベルコード【破壊の暴君】
 を敵の武器なり、身に叩きつけてあげるわ。
 半端なグロ画像にならないよう、加減せず消し飛ばしてあげないとね。


ニィナ・アンエノン
潜入って黙ってないといけないからちょっと窮屈なんだよね……
でも戦いなら、ここからはにぃなちゃんのステージだ!
とにかくまずは近くに止めてたバイクに乗って、スピードで追い込むよ☆
剣や幻覚じゃにぃなちゃんは止められない!
とは言っても流石に血塗れの内臓は怖いよぉ……やっぱり【ダッシュ】で速く動いて当たらないようにすべきかな?
そしていっぱいいるのならこれの出番、ミサイルをばら撒いて一気にやっつけてあげる!
味方に当たらないように注意しないと……
撃ち終わったら後はグッドナイトをライフルにして【スナイパー】っぽく【援護射撃】!
乱戦でも【誘導弾】を使えばちょっぴり安心かな?
そんなのなくても外さないけどね☆


フォルク・リア
住人達の避難を確認してから
オブリビオンを迎え撃ち。
「下らない茶会の幕は既に下りた。
それでも足りないなら。」
魔力を高めたロッドを構え
「次に踊るのは、お前達だ。」

敵の動きを見切って先手をとり、
拘束する闇の黒鎖で動きを封じ
次の瞬間無防備になった処を狙い
接近魔力を込めたロッドで急所を打ち、倒す。
「体術は得意じゃないんだけどね。
今回は大サービスだ。
魔の苦しみと打の痛み存分に味わってくれ。」
その後も黒鎖で動きを封じてからの
ロッド攻撃を連続して放ち。
その場にとどまらず敵に的を定めさせないとともに
乱戦の中で、近接した敵を他の敵からの攻撃の盾に利用。
「お前らとの戦いに卑怯だ何だと
気にする程純情じゃないんでね。」


リネット・ルゥセーブル
さて、当面の危機は去ったが……どうにも、此処を去るにはまだ荷物が重すぎる。
少し掃除していくか。

私に【呪詛】で勝負を仕掛けるか。
負ける負けないは兎も角、ただで済むとは思うな。

そもそも【呪詛には耐性】があるから、早々縛られる事も無いだろうが、過信は禁物だ。
要するにあの眼光を用いた制約の類だろう?
ならば直接見なければ良い。

自分自身は【目立たない】よう物陰に隠れつつ、一瞬目視で捉えた相手を、『総ての路は業を示す』で後ろから追尾。
他の敵を発見した所でその相手の後ろに付きつつ、『茨の園より哀を込めて』で絞殺。
この繰り返しで一方的に倒していこう。

ルビィの腕が捻じ切れる前に倒しきれると良いのだが。


アーレイラ・モンクスフード
さてさて、悪徳ですね?
お宝は全て持ち出しました、奪い返されないように家人を始末するだけです。

「オブリビオン…吸血鬼も、自分が正しいと思っているのでしょう。私たちも、自分が正しいと思い行動します。悪など無く、勝者と敗者が居るだけです」

ユーベルコードを発動、星霊を召喚
「ふふ、いつも雑用ばかりでごめんなさいね。今回は戦闘です、啄みなさい」

吸血剣を発動したら、星霊を向かわせます。

数を重視して攻撃回数増やすなら当てにくく、命中重視なら数の暴力で、攻撃重視はどうせ耐久無しの論外で
血も吸えない相手で囲んで叩きます

「おやすみなさい」
星霊の攻撃をフェイントに、銃形態の武器で連続射撃の二回攻撃、
倒せるだけ倒します


ジャン・クロニエミ
「まぁそりゃすんなりとは終わらんよなぁ。おっさん歳だからさぁ、優しくしてくれや」

近距離型みたいだし、念動剣の間合いで戦って良さそうだねぇ。
念動力強めに張り巡らせて、念動剣の出力を上げとこうかね。
斬撃は上中下段を不規則に斬りつけて、敵の態勢を崩していこう。まぁ無理せず堅実に攻めてよう。
どれかを相手してる時に別の個体が不意をつこうと狙ってくるなら、三の太刀でカウンターを叩き込むとしよう。
警戒して距離を取る敵には、念動剣を念動力で操作してブーメランのように投げるとしよう。その間に来た敵には、隠し銃で零距離射撃だ。
敵意ってのはどうやっても滲み出るもんさ。こういう時は念と第六感の囁きを信じるよ。


天星・零
UC【オルタナティブ・ダブル】零と夕夜で戦う
万が一に備え【第六感】、【情報収集】で戦況を常に把握

零は【毒使い】を活かしマフェッドスレッドとグレイヴ・ロウ、Øを用いて

相手が傷を負ったらアヴィスの懐中時計を媒介に【呪詛】を用いて呪いを放つ

味方・自分の状況が不利な場合は星天の書・零の霊術で【オーラ防御】
回復が必要な場合はU C【生命を愛した黒猫】で回復


夕夜はPunishment Blaster、Øで接近と、遠距離を臨機応変に戦う
敵との距離によっては前者で【零距離射撃】


口調ステシ参照

赤い目の黒猫(アッシュ)の口調‥一人称はアッシュ、二人称貴様、お前(零だけは名前)-だ、だにゃ、だぞ。『な』の発音がにゃ


甲斐・ツカサ
こっから先のオレはただの元気なお子様じゃあないよ!

でも、流石に血まみれ臓物に縛られるのはキモチ悪いや

だけど、お陰でハッキリ分かった
こういう事をお茶会に来ていた人や、その他の大勢の人にしてきたんだよね
それはやっぱり許せないし、そういうヤツらとは友達になれない

ユーベルコードを使用して、高速で動いて眼で捉えられないように
マントで視界を遮れば、流し目だって出来ないかもしれないしね!
それに、もしまた臓物に縛られても、オレの纏う風が吹き飛ばしてくれる!っていうイメージがあれば幻覚だって何とかなるかもしれないし!

透明にもなるみたいだけど、それも風を周囲に放ったり、思いっきり薙ぎ払えば当たるんじゃないかな!


フォルター・ユングフラウ
【WIZ】

【古城】にて参加し、引き続きトリテレイア(f04141)と共に動く
大人しく振る舞うのは飽きたのでな…丁度良い、精々我を愉しませろ
物言わぬ屑肉と成り果てるまで踊り続けるが良い

透明化が厄介ではある…が、何か色のついた液体、例えば血を浴びせかければどうだ?
UC:アップグルントで我の血をかけ、奴等の挙動を掴んでやる
トリテレイアには各種のセンサーがある、血の印があれば多少の助けになるかもしれぬ
アップグルントをあえて外す事で生じる霧で目を眩ませ、剣での攻撃も封じていきたい
如何に頑強と言えど、前衛に立つ事で傷は増えていく筈だ
トリテレイアの被害が嵩んでいれば、黒の小瓶に収めた回復薬を投げてぶつけよう


トリテレイア・ゼロナイン
【古城】で参加

さあ、残酷なお茶会はこれっきりにしていただきましょう。取り巻き達を排除します。

自身や分身を透明化するUC…姿が消えても存在が無くなるわけではありません。その弱点を突かせていただきます。センサーで熱、音、振動を検知して位置を【見切り】隠し腕を打ち込んで動きを封じてしまいましょう。フォルター様の血のマーキングがあればさらに把握は容易です。封じたら【怪力】で振るう剣と盾で仕留めます。
フォルター様や後衛型の猟兵への攻撃は【武器受け】【盾受け】で【かばう】ことで援護、行動に集中してもらいましょう。

フォルター様、この血と闘争の饗宴は楽しまれていますか? ……そうですか…(複雑な感情の声)



●吸血鬼の忠実な僕
 騎士風、と言えば聞こえはいい。金髪で端正な顔立ちの青年。
 しかしそれは、吸血鬼に仕える護衛の軍勢。
 お茶会から住人が逃げ出したことを知り、屋敷からぞろぞろと現れる。
「まぁそりゃすんなりとは終わらんよなぁ」
 ジャンは目深にかぶった黒のスパニッシュハットの鍔を軽く持ち上げ、細身の剣を携えて向かってくる護衛達を見据える。
「さてさて、悪徳ですね? お宝は全て持ち出しました、奪い返されないように家人を始末するだけです」
 お茶会の会場から住人達を避難させる一端を担ったアーレイラ。遠く小さくなる住人達の後姿を見送り、護衛達へと向き直った。
「こっから先のオレはただの元気なお子様じゃあないよ!」
 ツカサもまた、助け出した住人達の無事を見届け、護衛達へと立ち向かう。会場内では一貫して子供らしい振る舞いを見せていたが、猟兵としての本領を見せるべく、声を上げて気合を入れていた。
「さて、当面の危機は去ったが……どうにも、此処を去るにはまだ荷物が重すぎる」
 捕らわれた住人の救出に一役買ったリネット。だが、猟兵としての責は未だ彼女の双肩に。
「少し掃除していくか」
 後腐れなくこの場所を去るには、まず目の前の敵を排除するしかなさそうだ。
「大人しく振る舞うのは飽きたのでな……丁度良い」
「残酷なお茶会はこれっきりにしていただきましょう」
 もはや、この屋敷の者達に自身を偽る必要はない。残虐な女帝の本性を見せ笑うフォルター。その横には、戦闘に備えてセンサーを起動させるトリテレイアがいた。ここまで二人での行動を主としていたが、トリテレイアは戦場に集まる他の猟兵達の状況確認も怠らない。
「精々、我を愉しませろ」
 この場は前座と言わんばかりに、フォルターは尊大に言い放った。
「『僕達』も、やらないとね」
 屋敷の中では住人脱出のサポートに回っていた零は、【オルタナティブ・ダブル】でもう一人の自分、夕夜を出現させる。容貌は零とさほど変わらないが、銀髪にシルバーとマリンブルーの瞳を持つその姿は、陽に対し陰の如き、零の裏返しの姿。
「よっしゃあ! 俺の出番だぜ!」
「頼りにしてるよ」
 二人で一人。こん、と拳の甲を合わせて健闘を誓う。
 役者は揃ったか――? 否、さらに飛び込んでくる者達がいる。
「潜入って黙ってないといけないからちょっと窮屈なんだよね……でも戦いなら、ここからはにぃなちゃんのステージだ!」
 ニィナは住人達と屋敷を脱出した後、すぐさま近くに止めていたバイクを回収。ギュンギュン唸るエンジン音を轟かせて颯爽と登場し、猟兵の戦列に加わっていく。
「下らない茶会の幕は既に下りた」
「さてさて、住人さんは既に屋敷から遠ざかっているようですし、暴れさせて頂きましょうか?」
 住人達の避難を確認したフォルク・リア(黄泉への導・f05375)とルセリア・ニベルーチェ(吸血鬼嬢は眠らない・f00532)が最後に合流し、猟兵達の護衛迎撃準備が整った。
「荒事は得意です! どれだけ数がいたとしても、ルセリアさんにお任せよ!」
 シュッと両手に取り出したるは二本の黒剣。だが、それだけではない。念動力を駆使し、ルセリアの周りに展開された十刃の領域。十二刀流が牙を剥く。
 フォルクは敵陣を睨み、魔力を高める。
「だが、まだ興が足りないと言うのなら……」
 ウィザードロッドが魔力を湛えて怪しく輝く。そして、その先端を突き付けて、
「次に踊るのは、お前達だ」
 その言葉が口火となり、戦場は一斉に動き始めた。

 護衛達は津波の様に猟兵達に押し寄せてくる。その中で、色を失うようにすうっと姿を消していく者達があった。護衛達が持つユーベルコードの一つ【ツヴァイ・クラールハイト】は自身と装備、そして己の分身一体を透明化するもの。
 地を踏む音は聞こえる。近づけば体温も感じられるだろう。だが、普段から視覚に頼らず生活する者でもなければ、それだけで正確な位置関係を把握するのは難しい。
 だが、
「姿など見えなくても『いる』なら問題ありません!」
 ルセリアは『黒式・鮮血鼓動』を手に空虚な敵陣へ走り込んで、
『ルセリアさんを怒らせると、怖いのよ?』
 振りかざした『黒式・鮮血鼓動』を地面に叩きつけた。切っ先が地面に辿り着いた瞬間、【破壊の暴君(グラウンドゼロ)】の名の通り、ルセリアを爆心地として周囲の地形へ放射状に亀裂が広がり崩れていく。
 一点へ注ぎ込まれた膨大なエネルギーは地面を破壊するだけでは吸収しきれず、衝撃波となって周囲に伝播していた。【破壊の暴君】は本来一点集中型のユーベルコードだが、ルセリアはそれを範囲攻撃へと転化。景色が歪むほどの振動が護衛達の体を裂き、そこから生命力を奪っていく。
「……見えたわ! そこと!」
 奪った生命力の出所、第六感が働く。まずは『黒式・鮮血鼓動』で虚空に斬り込んだ。何かに接触する感触は一瞬。ボン、と弾けるような音と共に、黒剣が振り抜かれた。
 力を失って姿を現す間もなく、護衛が一人、消滅していた。
「そこと!」
 立て続けに、『黒式・刹那世界』で空間に刃を入れる。ルセリアにはそこにいる者が見えている。
「そこと、そことそことそことそことそことそことそことそこと――」
 念動力で宙に浮かべた残りの黒剣を操り、遠い間合いの護衛へ向けて刃を飛ばす。そのどれもが地形破壊級の凄まじい威力を持ち、黒剣を見舞われた護衛達は消滅の瞬間を知られることなく戦場から消えた。
 一本一殺。そして最後に、
「そこね!」
 お気に入りの『黒式・過去<0>と未来<1>の狭間』は空中から手に取って、自らの手で護衛の体に突き入れた。
 ズン、と重く響く音と共に、護衛は放射状に吹き飛んだ――ような気がする。
 見えていないのだ。何となくそんな風だった、とルセリアの第六感は告げていた。
「派手にやっているな」
 フォルターは黒剣を次々に振り回すルセリアの様子を見つつ、傍らのトリテレイアに声を掛ける。
「トリテレイア、『見える』か?」
「はい、感度は良好、問題ありません」
 たとえ姿が消えようと、熱、音、振動といったものは消すことができない。それらをセンサーで感知すれば、発生源が浮かび上がる。
「取り巻き達を、排除します」
 トリテレイアはフォルターの前に出て、『重質量大型シールド』で透明な剣を受け止める。剣そのものは熱を帯びておらず護衛達よりは不鮮明だが、護衛の動きを見ていれば自ずと軌道を予測できた。
「あなたのユーベルコードの弱点は……物音や体温を消せない。違いますか?」
「……くっ」
 姿を消した護衛が発した声は、確かにトリテレイアの耳に届いた。その瞬間、腰装甲から特殊電流を流すワイヤ制御隠し腕が出現し、その体を捕らえていく。同時にユーベルコードが解除され、姿を現す。
「では、仕留めさせて頂きますよ」
 『儀礼用長剣・警護用』を頭上に掲げる。隙の多い動きだが、目の前の護衛は完全に動きを封じられており、今や処刑の時を待つのみ。
 怪力で振り下ろされた剣がその体を断ち、さらに盾で横殴りにして護衛を一人、消滅させた。
「調子はよさそうだが……念には念を入れても問題あるまい」
 そう言って、フォルターは徐に『黒の爪鞭』を手にした。革紐の先端についた爪を手首に当てて、
『貴様が沈むのは、この霧よりもなお暗き場所。絶望に迷い、逝け』
 飛沫は紅く空を彩る。自らの血液を武器とするユーベルコード【オラヴァの夜は未だ明けず(アップグルント)】により、鮮血を浴びた護衛達の体が次々に浮かび上がってきた。
「ぐあああぁぁぁ!!」
 頭からかぶった護衛達は皆、顔を押さえて苦しみだした。血の印をつけるべく放ったものだが、元々敵への攻撃手段としても使えるもの。フォルターの血液が酸のように護衛達の肌を焼いていく。
「やはり脆い……が、愚かしくも我の前に立ったのだ。せめて物言わぬ屑肉と成り果てるまで、踊り続けるが良い」
 もがき苦しむ様を踊りに見立て、フォルターは護衛達が息絶える様を見物する。やや耐久力が高く、フォルターに迫ろうとする者もいたが、
「我まで辿り着くか……ならば、特別に褒美をくれてやろう」
「――ぁがっ」
 手で血濡れた護衛の頭を鷲掴みにする。そうなれば当然、噴き出す血は――。
「おぼっ……ぼほっ……」
 護衛はしばし血に溺れ、絶命する。その体をフォルターはぞんざいに投げ捨てた。
「トリテレイア、問題はないか?」
「えぇ、フォルター様の血の印のおかげで」
 フォルターの血飛沫がわずかでも付着すれば、たとえそのダメージが軽微でも、血の印とセンサーを頼りにトリテレイアが精度良く仕留めていく。
「……! フォルター様!」
 トリテレイアのセンサーが新たな敵性反応を察知した。血を撒き散らし、護衛が踊る様を優雅に眺めるフォルターの背後。血飛沫を浴びぬよう、ゆっくり時間をかけて回ってきたのだ。
 トリテレイアは目の前の敵を盾で叩き伏せて剣を突き刺すと、すぐさま身を反転させてフォルターに駆け寄った。一歩、二歩。踏み出す足に力が入り、トリテレイアが駆けた跡が地面に残る。盾を掲げて割って入ろうとするが、フォルターの死角を取った護衛はすでに剣を振り上げて――。
 ガチン、と剣と盾がかち合い火花が散った。あと一瞬遅ければ、というところだったが、トリテレイアの足が勝った。すかさず反撃に回り、護衛の腹辺りに剣を突き立て、倒していく。
「フォルター様、御無事で」
「……後ろにいたか」
 トリテレイアの動きは見えていたはずだ。自分に危機が迫っていたこともわかっているはずだが、フォルターは特段動じる様子も見せない。
「小賢しい奴もいるようだな……ならば、その剣すら封じてくれよう」
 フォルターはあえて血を地面に放つ。攻撃手段ではあるが、たとえ外しても地形に影響を及ぼすことができるのが特徴だ。血が昇華することで発生した黒霧が地表を覆うように広がっていく。
「これが我の世界だ。ここからは指一本触れさせはせん」
 黒霧の中でフォルターは高笑いを見せる。
「フォルター様、この血と闘争の饗宴は楽しまれていますか?」
「ああ、一時の余興程度に思っていたが……なかなか愉快な見世物だ」
「……そうですか……」
 フォルターは楽しんでいるようだが、トリテレイアはこの状況を喜ぶべきかわからず、複雑な表情を見せていた。

「誰も彼も派手にやるねぇ。おっさんは歳だからさぁ、優しくしてくれや」
 そんなことをルーチンワークのようにぼやくジャンもまた、姿を消す護衛達に挑む。どう相手取るか悩んだが、フォルターが血の印をつけ始めたおかげでそれを頼りに護衛達の位置を把握することができた。
「近距離型みたいだし、念動剣の間合いで戦って良さそうだねぇ」
 ジャンは手の中に唸りを上げる剣を取る。実体を持たない、紫色のサイキックエナジーでできた『念動剣』。長く連れ添った業物か、はたまた誰かから受け継いだものなのか――年季が入り、深みのある色を醸し出している。
「ちょいとばかり数が多いか……念動剣の出力を上げとこうかね」
 血の印がついた護衛は見える範囲でも十はいるか。ジャンが念動力を強めに送ると、念動剣の紫の発光がさらに色付き強くなっていく。
 血の印が素早く動き始めた。音もあり距離感は掴めるが、それでも全ての動きを追っているわけではない。見えない部分は第六感に頼る。
「おっ……と。真正面ならわかりやすくて、おっさんも助かるねぇ」
 剣の軌道は雰囲気で察した。体を開いた眼前を風が通った。斬り込みが外され前傾になったであろう護衛に向け、鞭を打つように念動剣をしならせる。上段、下段、中段と渦を描くように不規則に斬りつけると、どさりと何かが倒れる音が足元に響いた。
 そこに印のついた第二の護衛が、馬鹿の一つ覚えのようにまた真正面からジャンに剣を振るう。それも軽くあしらおうとして――ジャンの第六感が警鐘を鳴らした。
「……歳食っちゃいるが、小細工程度でやられるほど耄碌した覚えはないんだよ」
 眼前の剣へ、あえて避けず身を低くして、自分の体に刃が到達する前に念動剣を振り抜き、無力化する。その勢いで体を回転させて、隙を突き背後から斬りかかろうとした別の護衛へ、
『師曰く「斬れるなど当然。神速を貴べ。触れられぬ剣には剛剣も柔剣も敵いはしない」とさ』
 ジャンが説いた師の教えを、護衛は身を以って知ることとなる。軸にした足の爪先で地面を思い切り蹴り、飛び出した勢いを乗せて念動剣を加速させ、振り抜かれる剣のさらに下、地面スレスレから振り上げ斬った。剣を持つ腕を飛ばし、その傷口から燃え上がった紫炎がじわじわと護衛の体を燃やしていく。
 最中、辺りに霧が立ち込めてきた。フォルターが撒いた黒霧が広がってきたのだ。
 付近で戦う者の視界を隠すことになるが、第六感が冴えるジャンにとっては好都合。念動剣を片手に黒霧の中を駆け巡る。姿は見えないが、自分に向けられる敵意を黒霧の中から掴み取り、念動剣で焼き斬っていった。
 一人、二人、三人斬り飛ばしたところで、敵意が遠く霞んでいく。
「おっさん、怖がられちゃったかい? そいつは残念だよ」
 遠い間合いの敵を消す次なる手。念動剣を振りかぶり、ブーメランの要領で投げ飛ばすと、紫の発光を頼りに念動力で操作して敵意を纏めて消し去った。
「敵意ってのはどうやっても滲み出るもんさ。こういう時は、念と第六感……自分が信じてきたものを信じ続けるのがいいんだよ」
 大きく円を描いて手元に戻ってきた念動剣を掴み取り、ジャンは自分に言い聞かせるように言葉を吐いた。

「やっふ~☆ 剣や幻覚じゃにぃなちゃんは止められないっ!」
 戦場は広い。ニィナはバイクを乗り回し、敵陣をかき乱す。さすがの護衛もこれではニィナに追いつけそうにない。
 そこで護衛達は剣を振るのを諦め、今度は視線でニィナを追う。バイクはそこからも逃れようと走っていたが、彼らのユーベルコードにとってはそのほうが都合がよかった。
 ニィナに向けられる流し目の視線。そこから紅光が迸り、ニィナに襲い掛かっていく。
「わぁ! 当たったら危ないやつだよね!? 血塗れの内臓は怖いよぉ」
 紅光を避けるように、ニィナはスピードを上げて戦場を駆け回っていた。
「流石に血まみれ臓物に縛られるのはキモチ悪いや」
 ツカサもまた、敵の視線から発せられる紅光を避けて回る。
『過去も未来も、何処にでも。吹き抜ける風を見せてやる!』
 詠唱が風を呼ぶ。ツカサはニィナのバイクに迫る勢いの高速移動の力を得て護衛達の視線を引き離しにかかった。
 臓物に縛られる幻覚を見せる――今は幻覚だが、もしかしたらどこかの村の住人には、それを現実のものにしていたのかもしれない。
(ハッキリ分かった。こういう事をお茶会に来ていた人や、その他の大勢の人にしてきたんだよね。それはやっぱり許せないし、そういうヤツらとは友達になれない)
 目の前の護衛達は言わずもがな。話のみで聞いている吸血鬼の少女とやらが、たとえどんなに美しいものであったとしても、ツカサにとって許せない一線を確実に踏み越えている存在だろう。
 己の信念を曲げてまで媚びる気はない。
 ツカサは高速で動きながらマントを広げ、紅光から逃れ続ける。今はまだ幻覚に縛られることはないが……縛られたとて、風が吹き飛ばしてくれると、ツカサは信じている。
 その心持ちもまた、幻覚を弾き飛ばす一助となっていた。
「呪詛で勝負を仕掛けてきたか。負ける負けないは兎も角、ただで済むとは思うな」
 リネットは二人とは対照的に、目立った動きを見せていない。ニィナとツカサが激しく戦場を動き回り、護衛達の意識を強く引き付けているからこそ、リネットが自由に行動できるだけの隙が生まれていた。
「さて……」
 赤いドレスを纏った少女のあみぐるみ『ルビィ』を手に、ニィナとツカサへ紅光を放つ護衛達の背後へ回る。状況によっては何らかの追尾策をとることも考えていたが、この場では特に必要はなさそうだ。
 護衛達にとってリネットの存在は今や完全に意識の外。その攻撃など防ぎようがない。
 意識は敵へ。万が一気付かれる可能性に対する警戒に加え、視認することそのものがユーベルコード【罪禍解放-茨の園より哀を込めて(ノーリターン・リカージョン)】のトリガーの一つ。全てではないが、それでも多くの護衛達を視界に入れた。
『我が罪を以てかの者を断罪する。其は囚われ祈りを捧ぐ者。其はその願いと共に朽ち果てし者。地よりも深く、穿て』
 詠唱と共にルビィの腕を絞り上げると護衛達の足元から茨の鎖が伸び、地獄に引き込まんとするかの如くその体に絡みつく。ルビィが受けた仕打ちを再現するかのように鎖はギリギリと絞り上げ、肉を引きちぎる様に食い込んでダメージを与える。
「光が止んだかな? じゃあ、これの出番だね♪」
 リネットに拘束され紅光を放つどころではなくなった護衛が多く、ニィナとツカサへ向けられた視線が減っていく。それに乗じてニィナは叫ぶ。
『目標、射程範囲全部ろっくおーん! カーニバルだよ、れっつだーんす!!!』
 出現させた無数の高機動マイクロミサイルが空をかっ飛び、護衛達の頭上へ流星の如く降り注ぐ。絨毯爆撃のような形でミサイルを浴びた護衛達はついに鎖から解かれることなく役目を終えていった。
 だが、この射程に入らなかった護衛が反撃の視線を飛ばそうとする。
 と、そこに、
「その攻撃はもうナシだよ」
 纏った風を圧縮し、ツカサは攻撃を仕掛けようとした護衛に狙いをつけて押し出すように放った。通り道でさらに周囲の空気を巻き込んで成長した風の砲弾は土煙を巻き上げて護衛に直撃、その体を吹き飛ばす。
「そもそも呪詛には耐性があるから、そうそう縛られる事も無いだろうが……過信は禁物、当たらないに越したことはないか」
 受ける準備はできていたが、結果的にはツカサに助けられる格好となった。
「よ~し、残ったのはこれでいくよ!」
 ニィナが『グッドナイト:ガジェッティアーズランチャー』を変形させてライフル形態へ。誘導弾を装填し、銃口を護衛達へ向けた。
「動きくらいは止めておこう。だが、そろそろルビィの腕が捻じ切れそうだ……早めに頼む」
 ルビィの腕をぎゅっと絞ったリネットの力で護衛達は拘束され、空中に浮かぶ的として鎖に吊り上げられる。
「わかった! オレも風で薙ぎ払うよ!」
 ツカサは纏った風を腕に集中させ、巨大な刃を作る。力が凝縮され、仄かに蒼く色づいていた。
「せ~のっ☆」
 ニィナは掛け声と共に引き金を引いた。赤い閃光が迸り、射出された弾丸に、ツカサが放つ蒼き風の刃が重なる。風が弾丸を押し、弾丸の回転が風にうねりを生む。護衛達の体に開いた風穴は竜巻へと変貌した風の刃で抉られて。
 ぷらぷらと、皮と少しばかりの肉が辛うじて上と下を繋いでいるところに、
「……終わりだ」
 リネットが拘束の鎖を強く締め上げると、それは簡単に千切れて消滅した。

 また別の護衛達は吸血牙の剣を取り、猟兵達に襲い掛かる。その刃はそれぞれ赤く、青く、また緑色に仄かな光を帯びている。
『巡り廻る星の子ら、数多にして独りなる者よ、その一握を我が前へ』
 アーレイラは護衛達の力を確認すると、【百にして一なる星霊(スターライトレギオン)】を発動し星霊を召喚した。空の星屑の如く、星霊がアーレイラの周囲で瞬く。
「ふふ、いつも雑用ばかりでごめんなさいね。今回は戦闘です、啄みなさい」
 差し向けた手を辿るようにして星霊は流れ、護衛達に纏わりつく。一つ一つはそれほど大きな力を持っていないが、多数であらゆる方向から突撃していくことで護衛達と対等な戦いを繰り広げていた。
 損傷を受けつつ、漂う星霊へ剣を向ける。護衛達は皆、同じような対応だったが、剣が帯びた色で様子は少し違った。赤い剣は大振り、一撃で何体もの星霊を潰していく。青い剣は威力こそ大きくないが、小さな星霊を確実に斬っていた。緑の剣は素早く小刻みに、何度も星霊の群れの中を往復する。
「あの剣の色で、それぞれ何が強化されているかわかる、ということだな」
「そのようですね。赤が攻撃力、青が命中率、緑が速度……攻撃回数、と言ったところでしょうか」
「それがわかれば、少しは戦いやすくなりそうですね」
「そいつはいいことを聞いたぜ!」
 フォルク、零、そしてもう一人の人格、夕夜が星霊にもがく護衛達へと仕掛けていった。
 攻撃力を強化している護衛は威力こそ大きいが動きに隙が大きい。そこを見切ってフォルクは攻撃の終わりを狙う。
『影より現れし漆黒の鎖よ。その魂を闇へと堕とせ』
 護衛へ向けた指先から影の鎖が生み出され、宙を泳ぎながらぐるぐると護衛の周囲を回る。何が来たか、と動く鎖の先端を目で追う護衛の周りには、その軌跡を示すように鎖が何重にも巻き上がっていく。
「体術は得意じゃないんだけどね。今回は大サービスだ」
 指先から伸びる鎖を握り締め、ぐい、と引いて護衛を締め上げ動きを封じた。そのまま引き寄せたところに、接近魔力を込めたロッドを用意する。
「魔の苦しみと打の痛み存分に味わってくれ」
 向かってきたところにカウンターの要領でロッドを振り抜いた。こめかみを打ち抜かれて直角に折れ曲がった首はもう戻らない。
 その近くで、零は服に仕込んだ鉤爪付きワイヤー『マフェットスレッド』を護衛達に叩きつける。空中に放たれたワイヤーは視認が難しく、護衛達は何の前触れもなく傷つき破壊される自身の装甲を見て戸惑いの色を浮かべている。
「まだまだ、こんなものじゃないですよ」
 ワイヤーを手元で引いて鉤爪を器用に操作。装甲が破壊され、露出した護衛達の腕や足を引っ掻くようにして鉤爪で傷つけていく。わずかな裂傷に見えて、そこに仕込まれた毒が護衛達の体に瞬時に回り蝕んだ。
「動かなくなればこっちのもんだな!」
 そこへ、狙い澄ましたかのように夕夜が『Punishment Blaster』による遠隔射撃で護衛の頭をぶち抜いた。顔のない護衛達は身動き一つせず、人形のように倒れていく。
「やったぜ……って、おい、零! 近くに来てるぞ!」
 うまくワイヤーを潜り抜け、零のもとへ接近する護衛が一人。緑色に輝く剣を振りかぶり、ワイヤーを伸ばす腕を狙う。夕夜の声で気づいた零は咄嗟に後ろへ跳び、護衛の一太刀から逃れてることができた。だが、ワイヤーは剣で押さえつけられてしまっている。
 護衛の目が零の顔へ向く。剣がぴくりと動き次の攻撃に移ろうとしているのを察知し、零は瞬時に虚空から『Ø』を抜いて護衛の胸に刃を叩きつけた。ずぶり、と固く抵抗する感触の中で力任せに押し込んで、目の前の護衛を葬る。
「……! 夕夜、そっちにも!」
 骸骨の頭から砲弾を護衛目掛けて放り込んでいた夕夜に迫る凶刃。零は護衛に刺さったØを抜くと、夕夜へクナイの要領で投げつける。風を切って飛んでいくØを夕夜は一切確認することなく空中でつかみ取り、剣を振り下ろそうとしている護衛の懐に潜り込んで下から突き上げた。動きが止まり、その手から剣が零れ落ちていく。
 Øはいつしか姿を変え、切っ先が護衛の体を貫通していた。だらりともたれかかってくる護衛の体を蹴って押し出し、刃を引き抜く。
「ふぅ、助かったぜ!」
「それならよかった。もし怪我をするようなことがあれば言ってよ。アッシュもいるからね」
「おう、頼むぜ!」

 ――何かあったらアッシュに任せるのだ。

 零と夕夜のやりとりの中で、そんな声が二人の脳裏に響いていた。

「オブリビオン……吸血鬼も、自分が正しいと思っているのでしょう。私たちも、自分が正しいと思い行動します。悪など無く、勝者と敗者が居るだけです」
 星霊を放ちつつ、アーレイラは思う。善悪は所詮、主観による判断に過ぎない。誰かにとって良いとされる行動が、万人にとって良い行動などということはほとんどないだろう。現に、アーレイラを始め猟兵達が護衛達と戦っているのは、住人を救い出すという猟兵としての正しき行動が、彼らにとっては迷惑な行為に他ならないからだ。
 互いの正義がぶつかり合い、結果として衝突が起こる。どちらかが完全に折れぬ限り、戦いは終わることがない。
 無論、折れる気などないアーレイラは、敵の特性を見極め星霊の動きを変える。攻撃回数を重視する者へは星霊を素早く動かし翻弄、命中率を高めた者へは数で襲い掛かり、攻撃力を重視する相手には何も考えず囲んで叩く。耐久などもとよりないのだ。
 動きを変えながら、チクチクと突き刺さってくる痛みが鬱陶しい。アーレイラの策にはまり護衛達は思うように動けずにいたが、星霊の攻撃だけでは致命傷には至らない。
 次から次へと溢れてくる星霊には構わず、アーレイラに剣を向ける者が出始めた。星霊を引きずりながらアーレイラを睨みつける。
「もう少しだけ……相手をお願いね」
 掌の上から新たに召喚した星霊を飛ばす。一瞬チカチカした視界に動きを強張らせた護衛へ、自身の力【エピックベイン】を顕現させて作り出した儀礼銃『エピックベイン・キャスター』から間髪入れず銃弾を撃ち込んだ。
 護衛の体に描かれた弾痕の星座は鈍く輝き、護衛の死を告げる。
 倒した護衛に纏わりついていた星霊はふわりと集団で浮かび、一目散に他の護衛へ飛んでいく。それを目くらましにアーレイラは棒立ちの標的を倒していく。
「数はかなり減ってきたようだな」
 戦場に空間が目立つようになった。フォルクは五本の指から伸ばした鎖で五人の護衛を捕縛した状態でアーレイラに話しかける。
「そうですね……屋敷から出てくる者はもういないようですし」
 開戦直後は溢れるように増えていた護衛達も、今や屋敷はしんと静まり、戦場の剣戟や銃撃の音と共に護衛達の断末魔がこだまするのみ。
「なら、後は目の前のこいつらを倒せば終わり、ってわけだよな」
「もう一息だね、夕夜」
 砲撃ユニットを構え、またワイヤーを伸ばし、夕夜と零も最後の仕上げに入る。
 フォルクは鎖を引きながら走り出し、捕縛した護衛にロッドで殴り掛かっていく。一撃加えて無力化してから放り出し、さらに次の護衛を捕縛。その連続で一気に戦場を混沌に陥れた。
 フォルクが無力化したもの、また零が鉤爪から毒を与えたものは一つ残らずアーレイラと夕夜の餌食となった。それぞれ得意な距離を保ち、次から次へと生成される的を破壊していった。
 途中、鎖で絡め捕りきれなかった護衛には無力化した護衛をぶつけていく。振りかざした剣がフォルクの盾となった護衛に突き刺さったところを見計らい、殴打して叩き伏せていく。
「お前らとの戦いに卑怯だ何だと気にする程純情じゃないんでね」
 戦場に余計な情は必要ない、とフォルクは戦いぶりで示す。
「これで最後だぜ!」
「ええ、最後ですね」
 鎖から上空へ飛ばされてきりもみ回転する最後の護衛に向けられた銃口は実に五つ。贅沢なまでの一斉射撃が火を噴いて、穴だらけの物体が地面に落ちていく。
「……おやすみなさい」
 アーレイラはそっと言葉を添えて、銃を下ろしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『リーシャ・ヴァーミリオン』

POW   :    魔槍剛撃
単純で重い【鮮血槍】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ブラッディ・カーニバル
自身に【忌まわしき血液】をまとい、高速移動と【血の刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    魔槍連撃
【鮮血槍による連続突き】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●吸血鬼リーシャ
「外が騒がしいと思っていたら……とんだ邪魔者がいたようね」
 護衛との戦闘を終えた猟兵達の前に、翼をはためかせて上空から降りてきたのは一人の少女。真っ白な肌に鮮血で染めたような瞳とドレス。髪は長く、背格好だけなら十歳になるかどうか、というくらいの少女に見える。
 だが、この少女こそ屋敷の主。
「でも、私の配下を全て倒せるのだったら、殺し甲斐は十分。せっかくだから、屋敷の主として歓迎するわ」
 左手に持っていた巨槍を一旦地面に突き立てて、少女は恭しく猟兵達にお辞儀をしてみせる。
「ようこそおいで下さいました。私はこの屋敷の主、リーシャ・ヴァーミリオン。せっかくいらしたのですから、どうぞ存分に――」
 顔を上げた吸血鬼、リーシャの瞳は鋭く光り、その口元には吸血鬼特有の牙を見せた邪悪な笑みを浮かべて、
「私を楽しませて――そして死んでいって頂戴」
フォルク・リア
「現れたか、館の主。
いや、この災厄の元凶が。」
と、先ほどまで使っていたロッドを
命を喰らう漆黒の息吹を発動させ
黒い鳳仙花の花びらに変化させ。
「楽しませて、か。
まあ、お前のような外道にも
今際の際の一時を楽しむ自由くらいはあるだろう。」
もちろん、此方が死ぬ気も毛頭ないが。

花びらを鮮血槍まわりに展開し
敵の攻撃を妨害。
更に自身の周りでは防御用に
花びらを使用。
魔槍連撃の初動に注意し
発動の瞬間を見極めつつ回避。

勝機を見極め、敵を仕留められそうなら
花びらの全てを一転に凝縮、自身の魔力を込めて
発射、敵の眼前で一気に力を開放して
最後の一撃とする。
「ここまでだ。
まだ足りないなら
冥府で悪魔とでも戦ってくれ。」


リネット・ルゥセーブル
私には属性攻撃は出来ない。
だが、この手帳に込められた思い<のろい>は、私が届けよう。

最初は人形を【盾受け】にしつつ、【フェイント】をかけて回避を図る。
ある程度攻撃の事前モーションが読めた所で仕掛けよう。

戦闘の合間に、片手でスマートフォンを操作する。
体で隠し、【目立たない】ように気をつける。

目当ては既に入れてあった効果音の一つである、雷鳴の音。
音量を最大化し、事前モーションに合わせて再生を開始しよう。
【恐怖を与え】られれば、『悪魔の保証書』の射程内だ。

そら、『また雷が鳴るんじゃないか?』(【呪詛】)
種は私の手の内だ、その恐怖を拭い去るには私を殺すしかないが、
君は既に雷鳴に囚われている。



●牙持つは猟兵のみにあらず
「現れたか、館の主。いや、この災厄の元凶が」
 もてなしの言葉に見せかけた宣告を受け、フォルクが一歩前に出る。リーシャは巨槍――鮮血槍を引き抜くが、それから何をするでもなくじっと視線を送っていた。
「楽しませて、か。まあ、お前のような外道にも今際の際の一時を楽しむ自由くらいはあるだろう」
「あら、私はいつだって自由に生きてるわ。今だって……そう、あなたを生かすも殺すも私の自由よ!」
 翼を一度、二度羽ばたいて、空を切りリーシャが迫る。
『よく見ておけ。これが、お前の命を刈り取る手向けの花だ』
 迎え撃つフォルクは今まで近接武器として扱っていたウィザードロッドを無数の冥界の鳳仙花の花びらに変えていく。触れれば生命を喰われ息絶えるその花びらを纏い、冷静な目でリーシャに臨む。
「此方とて死ぬ気は毛頭ない」
「ふふ、嬉しいわ」
 フォルクは纏った花びらを嵐に変え、リーシャに向けて吹きつけた。狙うはリーシャが掲げる鮮血槍。【魔槍連撃】を繰り出し閃く切っ先に張り付いてその勢いを奪っていく。
 それでもリーシャは強引に穂先をフォルクへ突き出してきた。フォルクはさらに、残りの花びらを自分の前面へ展開し壁を作り、槍を防ぎにかかる。
 ガン、と、らしからぬ衝突音が響く。固めた花びらが穂先を堰き止めるが、リーシャは二の穂、三の穂と突き続けた。
「そう、これよこれっ!」
「――っ!」
 花びらを支える力に亀裂が入る。リーシャの細腕から込められる槍の力は花びらで吸収してなお強大な力を持っていた。密集した花びらが花火のように散り、黒の閃光が迸るのを――フォルクは紙一重、一瞬早く花びらの盾を放棄して逃れた。
「力を『喰って』この威力か……」
 フォルクの頬を冷や汗が伝う。花びらは風に乗って川となり、フォルクのもとへと戻ってくる。
「さすがに一筋縄ではいかないようだな」
 フォルクとリーシャの攻防を目の当たりにしたリネットが呟いた。力を削いでも猟兵と互角の戦いを見せるリーシャを前に警戒を強めつつ、うまくリーシャの視界から体で隠した手の中で、器用にスマートフォンを操作していた。
「フォルク、少し時間が欲しい。私も出るが……どうしても受けに回らざるを得なくなるだろう」
「何か策があるのか?」
「まあな」
 リネットはもう片方の手で一つの手帳を握りしめる。住人が捕らわれていた部屋に取り残されていた、ある犠牲者の最後の思念。
(私には属性攻撃は出来ない。だが、この手帳に込められた思い(のろい)は、私が届けよう)
 リーシャは獲物が二人に増えた喜びで真紅の瞳を煌めかせている。リネットが持つ手帳に何が書かれているのか、隠した手の中に何があるのか、全く気付いている様子はない。
「こそこそ話して……命乞いの相談でもしてるのかしら?」
「そうだとしたら、君は受け入れてくれるのか?」
「そうねえ、一週間くらいは聞いてあげて……そして殺すわ」
「……だろうな」
 期待はしないし、会話の中身など意味がない。
「あなたはどれくらい私を楽しませてくれるのかしら……教えて頂戴!」
 会話に飽きたか、リーシャは次にリネットを狙い、槍を向けた。リネットは人形を盾の代わりとしながら、小刻みにステップしリーシャの狙いを外すようにフェイントをかける。
 鋭く突き出された槍がリネットを捉え――その残像を貫いた。
 初撃を外したが、それもリーシャの想定内か、表情を崩さず槍を引き、すかさず次の一撃を突き込んだ。
 さらにリネットの体の近く、衣服を掠めて通り抜ける。次は穿つ、と訴えるのはリネットに向けられたリーシャの視線。
 だが、リーシャが槍を再び引いたところに花びらの風が吹いた。フォルクが撒いた花びらがリーシャの狙いを惑わしていく。
「俺を忘れてもらっては困るな」
「この……鬱陶しいわね!」
 同じ攻撃に苛立ちを見せ、リーシャは鮮血槍で薙ぎ払って花びらを細切れにしていく。その隙にリネットは一旦鮮血槍の射程を脱し、操作していたスマートフォンを確認した。
 目当ての画面が映る。準備は整った。後はしかるべき頃合いに、再生するのみ。
 今は迫るリーシャにフォルクが花びらを撒き、リーシャが槍で切り刻む一瞬でうまく位置を変え、間合いを保って攻撃をうまくあしらっている。
 この場から仕掛けるのも悪くはないが、やはり至近からの一撃が効果的、とリネットは見た。
「私を貫くのではなかったのか?」
「えぇ、そんなに貫いてほしいなら、望み通りにしてあげるわ!」
 フォルクが放つ花びらを振り払い、リーシャは身を翻してリネットへ突撃してきた。遊びはいらない、一突きで仕留め、その先はひたすらにその体へ穴を開けていくだけ。
 そんな最上の娯楽を想像したか、リーシャはニィと不敵に笑い――力を溜めるべく鮮血槍を握り締め、突き出そうとした瞬間。
 リネットはここまで隠していたスマートフォンの画面をタップした。

 ――ガラガラガラガラ!!

「いやあああぁぁぁ!!」
 突如、けたたましく響く雷鳴音。リネットのスマートフォンから最大音量で流されたその音にリーシャは過剰なまでの反応を見せた。鮮血槍を取り落とし、頭を抱え込むようにして耳を塞ぐ。
 ある犠牲者が手帳の中に残した、リーシャ撃破の鍵。
 リーシャは雷に怯える。
 リネットが図らずも託されたその『思い(のろい)』は今、確かにリーシャに届き、今、彼女の心に一つ、大きな傷をつけた。
「うぅ……貴様ァ!!」
 吊り上がり怒りに燃える瞳をリネットに向け、リーシャは素早く槍を拾い上げ突きを放つ。だが、雷の音に恐怖した心がリネットにつけ入る隙を与えていた。
『なんでうまくいくと思った? また、雷が鳴るんじゃないか?』
 呪詛を込めたリネットの詠唱に触れ、リーシャの体がびくりと強張る。その穂先はふらふらと宙に逸れ、役目を果たさなくなってしまった。
「種は私の手の内だ、その恐怖を拭い去るには私を殺すしかないが、君は既に雷鳴に囚われている」
「――!! うるさいわね!!」
 むきになって叫ぶリーシャだったが、揺らぐ瞳、震える手に、精神がひどく揺るがされているのは誰の目にも明らかだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天星・零
【甲斐・ツカサ】さんと連携
呼び方→甲斐さん


UC【オルタナティブ・ダブル】を使い連携しながら戦いつつ、現場にいる甲斐さんとも連携を取りながら戦う。
基本的な戦闘方針は2章と同じだが、甲斐さんの援護ができる様に【情報収集】を用いて戦況を把握しておく。

【追跡】の技能を用いて、敵や味方を見失わない様にしておく

可能なら天星の書・零で【オーラ防御】も使い防御など臨機応変に



・甲斐さんのUC【暁運ぶ風の道程】が発動したら

夕夜『おぉ、素敵な冒険譚じゃねぇか!出来ればこの依頼の後に聞かせて欲しいくれぇにな!』

零「僕もその冒険譚には興味があります。この世界に昼があるならそれは素敵な世界になりそうです」

と共感


甲斐・ツカサ
雷に怯える様子なんかは、まるっきりただの女の子みたいだよね
そんな普通の女の子の感性を持っているなら、ひょっとしたら…

語るのは、今は夜と闇に閉ざされたこの世界の、かつての、そしてこれから先に望む姿
昼には太陽が大地を照らして生命を祝福し、
夜には星月の光が神秘を柔らかく包み込む
そんな、人と神秘が隣り合う世界を旅する者達の話

もしも彼女がこの物語に共感すれば、戦闘は苦しく、けれど彼女との関係に希望が見いだせるかもしれない

けれど、もしも彼女がこの物語を厭うなら、やっぱりトモダチにはなれないんだろうね

その時は零くんや夕夜くん、他のみんなの力を増して立ち向かうだけ
勿論オレだって、明るい未来の為に彼女を斬るよ!



●かの者に光はあるか
「雷に怯える様子なんかは、まるっきりただの女の子みたいだよね」
 未だ立ち直れていないリーシャに、ツカサはわずかな希望を抱いていた。
 普通の女の子のような感性。邪悪で強大な闇の中に見えた、一筋の光明。
 果たして掴み取れるものなのか、確かめなければならない。
「少しだけ、オレの話を聞いてくれないかな?」
「何よ、いきなり……」
 リーシャは拒絶の意思を見せなかった。聞く気があるからなのか、それとも――。
 真意はわからないが、ツカサにとってすべきことは変わらない。
 語るのは、この世界の過去を紐解き、そして未来を紡ぐ冒険譚。今はまだ深く暗い夜の世界で、人は光を求め、旅をする。陽の光が大地を包む、その暖かさは人が繋ぐ生命への祝福。
 夜は絶望の世界か――いや、光が、希望が、空には無数に散りばめられているではないか。数多の星屑は人が願う小さな希望。それを柔らかく包み込む光は、生命の尊さを知っている。
「おぉ、素敵な冒険譚じゃねぇか! 出来ればこの依頼の後に聞かせて欲しいくれぇにな!」
「僕もその冒険譚には興味があります。この世界に昼があるならそれは素敵な世界になりそうです」
 ツカサの語りに、傍で聞いていた夕夜と零が共感の声を上げる。他の猟兵達もまた、優しい語り口と、太陽と星と月、世界の神秘と人との関わりを描く冒険譚に聞き入っている様子だった。
 そして、ツカサはリーシャの反応を待つ。
「……何か私に、話せと言うの? そうね……人間達がもう少し希望を持つ存在だったら、もっと殺し甲斐が……あるのだけど」
 共感、ではない。結局リーシャにとっては、人は自らの享楽のために奪う対象でしかないのだ。
「……やっぱり、トモダチにはなれないね」
「甲斐さん……」
 力なく笑うツカサに対し、零はかける言葉が見つからない。
 最後の最後まで、決して望みを失わなかったのだ。その姿勢は敬意を表すべきものであり、仕方ない、の一言で片づけていいものではない。
「おい……大丈夫か?」
「大丈夫……これで心置きなく、戦えるからさ」
 ツカサはそう、はっきりと口に出した。

「話は……終わりのようね!」
 リーシャは槍を手に、風を切ってツカサへ突っ込んでくる。そこに零がワイヤーを飛ばし、先端の鉤爪を利用して槍を絡め捕りにかかった。毒も仕込んでおり、先の護衛達に比べればリーシャは肌の露出がある。わずかな傷でも与えられれば有効打になりそうだが、リーシャは角度をつけて飛んできた鉤爪を穂先で弾く。
「こいつは避けられるか?」
 挟撃するように、夕夜はPunishment Blasterの砲撃ユニットを四体全て揃え、一斉射撃。熱線が無防備の肩や脇腹を狙っていた。
 鉤爪と同じように槍で防ぐことはできないと見たか、リーシャは飛び立って逃げようとするも、熱線の一つがじゅっと翼の端を焼いた。
「……っ」
 眉間に皺を寄せ、リーシャは小さく呻く。そこに再び零がワイヤーを放った。息つく間もない二人の連撃。だが、零の追撃は少し矛先が逸れていて。
「甘いわね……っ!?」
 弾くまでもない。リーシャはわずかに体をずらし、鉤爪をすり抜けて零に迫ろうとした――が、零の狙いは初めからリーシャではなく、リーシャが持つ槍にあった。引き戻した鉤爪が槍の周りを飛行し、ワイヤーが引っかかれば後は勢いでぐるぐると巻き付き宙に固定していく。
 虚を突かれたリーシャは取られまいと槍を握る手に力を込めるが、それにより零の狙いにまたも嵌る。零はワイヤーで槍を絡め捕った状態を保ったまま大きく戦場を走っていった。奪い取るつもりこそないが、大きく引いて槍の向きを変えていった。
 必然、リーシャの体も槍に引っ張られる形となる。足元がおぼつかずふらついたところに。
「甲斐さん! この隙に!」
 ツカサが『黒ノ鋭刃(クロノエッジ)』を手に、さらに蒼く透き通る風を纏って瞬時に間を詰めていく。普段なら槍を向けるところだが、それは零に絡め捕られて動かせない。
「……オレは、明るい未来の為に、みんなと一緒に戦うよ! だから……斬らせてもらうよ」
 静かな決意。ツカサがリーシャへ向ける刃に迷いはなかった。
「この……!」
 槍の自由を戻せず、リーシャは咄嗟に腕でかばう。真一文字に振り抜かれた黒刃は真紅の衣を引き裂いて、空へ鮮血の華を咲かせた。
「やったわね……!」
 リーシャは噴き出した自らの血を纏い、紅き刃を作り上げて三人へ放つ。迫る刃をツカサは風の力を生かして回避し、夕夜も間合いを取っていたことと、刃の狙いがやや甘かったことが利いて難なく避けた。
 零も『星天の書・零』の力で正面にオーラの壁を作り出すが、刹那、ワイヤーがピンと張りつめた。リーシャが槍を強く引き、零のバランスを崩しにかかったのだ。
 遠くに見えるツカサと夕夜の姿。刃を避けるために距離を取ったその位置関係からは追撃の前に零自身が崩されかねない。
 戦場の様子から瞬時に判断し、零は槍を放棄して防御に徹した。血の刃もただ正面から受けるのではなく、オーラの壁に角度をつけていなすように。
 刃が壁に衝突し、削れて鮮血の火花が散る。零は壁を支える手に力を込め、うまく刃を弾き出し、事なきを得た。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
【古城】で参加

これ以上無力な人々の血を貴方に飲ませて楽しませるわけにはいきません。ここで果てていただきます。

フォルター様はヒュドラを使うみたいですね。小回りの利かなさを私がカバーしましょう。
遠隔「操縦」で呼んだ機械馬に「騎乗」しヒュドラの体の大きさを利用して吸血鬼に見つからないよう体躯の上を走りながら、期を伺います。
吸血鬼の動きを「見切り」、死角からの隠し腕による「だまし討ち」で「怪力」を用いた拘束を行い、ヒュドラの10本目の首として攻撃のチャンスを作りましょう。

フォルター様の変身が解けたら「手をつないで」馬上に引っ張り上げつつ怒った吸血鬼の追撃から「武器受け」「盾受け」で「かばい」ます。


フォルター・ユングフラウ
【WIZ】

【古城】で参加
引き続きトリテレイアとの連携で動く

ふん…あの温い雑兵共が歓待とは笑わせる
所詮は小娘の考える事だな
我も一統治者よ、歓待の作法という物を貴様の身体に教え込んでやる

搦め手を使わぬ身体能力を活かした戦法か、面白い
では、我もUC:ヒュドラにて応えよう
力には力で以て応え、叩き潰す
ふふっ…屋敷内で大人しくしていれば、巨体故に発動は控えたものを
死角からの攻撃は、我の上に陣取るトリテレイアに任せる
隠し腕で目障りな小蠅が拘束されれば、噛み砕き、叩き落すのみ
体力が減れば、変身を解除して後方に下がろう
黒の血玉より召喚した使い魔による吸血や生命力吸収で体力を賄い、遠距離戦に転ずる

※アドリブ歓迎


アーレイラ・モンクスフード
「これはご丁寧に。名乗るほどでも無い、強盗です。」

果てるそのときまで楽しいのならば、吸血鬼は滅び、猟兵は勝ち、人々は助かる、なんと理想的なのでしょう。

まずは、他の猟兵の方とかち合わぬように、遠距離からの銃撃支援。

他の方の戦い方に合わせますが、翼狙いの機動力封じ、顔や心臓狙いの防御行動取らせて隙を作るのを主軸に。

隙が出来るか、こちらに向かってくるのならユーベルコード発動

「…あの子は、我が主は貴女のような者を許さないでしょう。」

銃を大鎌形態に変形させダッシュで距離を詰め

「日輪の破魔の力にて浄滅せよ!!薄汚く血に塗れた吸血鬼!!」

祈りましょう、犠牲になった方への、せめてもの慰めにまりますように。


ジャン・クロニエミ
「おいしいお茶とケーキでも貰えたら最高だったんだけどねぇ。そういうの、ないのかい?」

あーやだやだ、強そうだねぇ。
無理に受け止めるよりかは、念動剣でいなしていくほうがよさそうだ。
馬鹿正直に全力をぶつけるなんて、そんな疲れそうなことはしないさ。
だからここはぜひとも、向こうのやる気を利用させてもらおうか。
向こうさんが大技を使ってきたら、そこに二の太刀を合わせるよ。おっさんがターゲットだったらいいけど、他の子狙ってるようなら、そこに走りこんで割り込むとしよう。
そして即座にそっくりそのまま同じ技を叩きつけてやるさ。ご自身に大層な自信があるようだし、ご自慢の技がそっくり返されたら冷静さはかけるかね。


ニィナ・アンエノン
何でこうオブリビオンって可愛い子が多いかなぁ。
にぃなちゃんやり辛いんだけど!
でもまぁ仕方ないよね、敵だし……あっちもこっちの事やる気満々だし。

槍かぁ、じゃあにぃなちゃん付き合っちゃう☆
スパナを構えて【ダッシュ】で懐に飛び込むよ!
【武器受け】や【グラップル】で槍をいなしながらぶん殴る!
出来たら【武器落とし】や【気絶攻撃】、【吹き飛ばし】のどれかを狙いたいな。
その方が他の皆も楽になりそうだし♪
相手の槍は強いから出来たらかわしたいけど……
無理なら【オーラ防御】と【激痛耐性】で我慢!
血塗れになったって負けないんだから!
隙が出来たらそこに一発、新しい技でどーん!
綺麗な顔だけど……上に乗っちゃうね☆


ルセリア・ニベルーチェ
アドリブ歓迎
他の猟兵さんとの協力も歓迎よ

屋敷の主、じきじきの歓迎とは嬉しい?ですね
ではでは存分に楽しませてあげましょう!
吸血鬼の戦いと言えばやはり血、リーシャさんもそう思うわよね?

真の姿と共に【吸血鬼嬢は眠らない】で吸血鬼に覚醒
戦闘力を爆発的に増大させ、吸血鬼同士の戦いと参りましょう。
挨拶代わりに、力比べ。敵の魔槍剛撃に対し【破壊の暴君】を撃ちこむ

戦闘スタイルは複数の黒剣による十二刀流
手元に無い剣は念動力で運用、大技は透過の能力ですり抜け
斬り合いながら互いの血で舞台を赤く染めましょう?

敵の血は黒剣で喰らい【真祖の晩餐】を都度発動
斬撃耐性と再生能力の無限ループで傷を瞬時に回復し持久戦を優位に



●その身滅ぶまで
「屋敷の主、じきじきの歓迎とは嬉しい? ……ですね」
 手負いのリーシャへ、ルセリアが言葉を投げかける。
 彼女が言う『じきじきの歓迎』とは……果たして真に歓迎されていたかは謎なのだが。それでもリーシャの態度は一時的ながら気品があったのでルセリアはひとまず良しとする。
「でも、まだ少し怯えてるのね……ではでは、ルセリアさんが存分に楽しませてあげましょう! 吸血鬼の戦いと言えばやはり血、リーシャさんもそう思うわよね?」
 ルセリアの妙に友好的な問いかけに、リーシャは訝しげな視線を送る。その瞳には呪詛が残り、かすかに揺らぎがあるように見えた。
「……何が言いたいのよ」
「こういうことです♪」
 ルセリアはにっこり微笑み、両手を広げて力を開放していく。
『骸の海に沈みゆけ、塵は塵に、過去は過去に』
 増幅する力の奔流に煽られ、銀色の髪がゆらゆらと宙に靡く。あらゆるもの・能力をすり抜ける透過の力に覚醒したルセリアは、やがて真の姿を現し、ヴァンパイアへと変貌を遂げた。
「それでは、吸血鬼同士の戦いと参りましょう」
「……言ったわね!」
 受けた恐怖の余韻を堪えてリーシャは風に乗った。翼による低空飛行からルセリアへ鮮血槍を大きく薙ぎ払う。行動は単純、故に込めるべき力はただ一点に。破壊力の増した斬撃に、ルセリアは力比べ、と黒剣で迎え撃つ。
 ユーベルコード【破壊の暴君】もまた、一撃を最大限に強化し相手にぶつけるもの。地形を破壊するほどの強大な力がぶつかり合って、二人の足元は鉄球を叩きつけられたかのように大きく凹み、放射状の亀裂が地面に幾重にも走った。
「……っ!!」
 ルセリアの力が勝り、リーシャの体は大きく弾かれ飛んでいく。そこに追い打ちをかけるべく黒剣をリーシャの周囲に舞わせた。念動力でひらりと舞いながら襲い掛かる黒剣をリーシャは右へ左へと翻弄されながらも、何とか穂先をぶつけていく。
 一斉に襲い掛からせることもできただろうが、ルセリアは楽しむように黒剣を操っていた。
「斬り合いながら互いの血で舞台を赤く染めましょう?」
「染めるのはあなたの血だけで十分よ!」
 苛立ちを見せるリーシャは強引に黒剣のダンスを掻い潜って再びルセリアに迫る。振りかぶる槍はやはり力強く、ルセリアに迫っていく――が。
 大きく風を切って、リーシャの槍はルセリアの体を通過した。血はおろか、糸屑一つ舞うことなく。攻撃行動を取らない限り、ルセリアの体はあらゆる物を透過する。
「不思議な力ですね。では、どうかそのままに」
 攻撃がすり抜け、目を見開くリーシャに向けて、アーレイラが容赦なく弾丸を放った。ルセリアがいようと、透過するのであればその狙いはリーシャのみ。翼や顔、心臓など急所となる部分を撃ち抜くべく射出された弾丸に槍を引き、いくつか弾く構えを取りながら、リーシャは地を蹴って離れる動きを見せる。
「あなた……何なの!?」
「名乗るほどでも無い、強盗です」
 アーレイラは飄々とした態度で、リーシャを追い立てるように弾丸を放ち続ける。動く相手に顔や心臓と言った点は狙いにくく、それならばと広げられた翼に集中して銃弾を向けた。
 左右の翼を器用に狙われ、リーシャは強引に踊らされるように戦場を回る。そこへ、『スタナースパナ』を構えて飛び込んできたのが、
「オブリビオンって可愛い子が多くて、にぃなちゃんやり辛いんだけど! でもまぁ、敵だから仕方ないよね♪」
 ニィナだった。リーシャはアーレイラの銃弾を避けるのに意識を割きすぎた。接近を許したニィナの姿の先にアーレイラの銃口が光る。スパナをかわしてやり過ごすことはできないと判断し、リーシャは槍をニィナに向けた。
 ニィナが壁になる、としてリーシャはやや力強くスパナを受ける。
 ただのスパナなら、それで押し切れるはずだった。
「えいっ☆」
 バチン、と大きな火花。流れる電流がリーシャの体を大きく弾きとばした。
「あぐぅっ!」
 痛みに思わず目を閉じたリーシャの強張る体が地面に叩きつけられ、ぐるんと転がり土煙を上げて止まる。
「こ、今度は本物……!?」
 青ざめるリーシャに、ニィナは笑顔で詰め寄っていく。電撃が雷を彷彿とさせ、リーシャは身動きが取れずにいる、そこへ、
「綺麗な顔だけど……上に乗っちゃうね☆」
 リーシャの眼前まで走り込んでジャンプと同時に足を首に回し、締めつける。そのまま真横にひねるように回転して、ニィナはリーシャの体を強引に押し倒した。
「ぐぇっ」
 喉を塞がれ、カエルの鳴き声のような濁った声を漏らす。着地したニィナはリーシャを離し、前転をくるんと決めて遠ざかっていく。
「この……ま、待ちなさ……いっ……」
 上半身を強く打ち、痺れる体を槍で支えながら立ち上がるリーシャ。食いしばる表情はどこか泣き顔のようにも見えたが、屋敷の主、土地を統べる吸血鬼、そしてオブリビオンとしての意地か、その身が滅ぶまで決して武器は下ろさない。
 離脱したニィナを追って槍を差し向ける。そこへ、紫の閃光が迸り、リーシャの行く手を阻んだ。
「おいしいお茶とケーキでも貰えたら最高だったんだけどねぇ」
 ジャンの念動剣がリーシャの視界を眩いほどに照らす。
「ふっ……ざ、けた、ことを……っ!!」
 怒りに任せた突きがジャンを襲う。肌は血に染まり赤く、また切り裂かれて、紅いドレスも擦り切れリボンなどとうに千切れて消えた。それでも――仮に良い言い方をするのであれば、リーシャは諦めを見せない。
 だが、高速の連続突きは冴えを見せず、念動剣の前に敗れていた。何のことはない。穂先に合わせて剣を置けば、それだけで止まったのだ。
 見た目以上に消耗し、呪詛や電撃による恐怖が力を奪っていた。
「いかに大技と言えど、本調子じゃなけりゃこんなもんかねぇ」
「黙り……なさい……!」
「おー怖い。……じゃあ、反撃といこうかね」
 念動剣に映るリーシャのユーベルコード。
『師曰く「剛に対する柔は凡百の兵法。剛は同等の剛を以て制する」だとさ』
 ジャンが会得している【二の太刀】と呼ばれるユーベルコードは、受けた技を念動剣の刃に映し、一度だけ自らのものとして使いこなすことができるもの。
 リーシャの攻撃が止んだのを見るとすぐさまジャンは念動剣を引き、まさに槍のようにリーシャ目掛けて切っ先を放っていった。その鋭さはリーシャの全盛にも劣ることなく、その体を穿っていく。
「いっ……こ、の、真似を……っ!」
 自分の技だ。動きはわかるのだが、それに対応するだけの力がない。腕や顔をぱっくりと裂かれ、長い髪も一房、二房と突きの余韻で散らされた。
 最後の強烈な一撃は辛うじて槍で受け――いや、あえてジャンがそうしたのかもしれない。リーシャの背後に今や遅しと待ち構える者が見えて、後を託すかのように押し付けた。
 よろめいたリーシャの体は雪崩れるように倒れていく。
「ふん……歓待も温ければ、己も温い。所詮は小娘か」
 見下すような視線を向けるフォルター。その傍らに控えているはずのトリテレイアは、今は少し距離を取って二人のやりとりを見守っている。
「我も一統治者よ、歓待の作法という物を貴様の身体に教え込んでやる」
 そうしてフォルターは口ずさむ。
『光栄に思え─―この威容を目に焼き付けて逝ける事を』
 重く響くその声にフォルターは自らの身を委ね、巨大な大蛇へと姿を変えた。九つの首がゆっくりと傾き、リーシャの姿を眼下に見る。
「ヒュドラになられましたね……では、私も」
 フォルターの考えを察して離れていたトリテレイアは遠隔操縦で『機械白馬「ロシナンテⅡ」』を呼ぶ。どこからともなく現れた機械馬に乗り、トリテレイアはリーシャに悟られぬよう、ヒュドラと化したフォルターの体躯を駆け上がる。
 リーシャの姿は見失わぬよう位置取りを気に掛ける。トリテレイアの側から見えるということは、リーシャからも見えるということにはなるが、今、彼女の目は、真上から逃さぬように睨む九つの首、十八の瞳に釘付けとなっていた。
「ふふっ……屋敷内で大人しくしていれば、巨体故に発動は控えたものを」
「はっ……わ、私が、逃げるわけ……」
 威勢はいいが、リーシャの体は悲鳴を上げている。槍を杖代わりに支えようにも、その腕まで震えるのだから、もう力尽きるのも時間の問題のようにも見える。
 だが、それを待つ猟兵達ではない。フォルターはもたげた首で威嚇しながら、大口を開けてリーシャの小さな体を噛み砕きにかかった。
 襲い掛かる毒牙をふらつきながらも弾き返す。フォルターは牙を打たれた頭を一旦退き、反対から別の牙を向けて。
 激しい攻防のようで、それはフォルターがリーシャを弄んでいるようにも見えた。一気に攻め立てはせず、じわじわと体力を削っていく。
 最中、一瞬リーシャの周囲から全ての頭が退く瞬間が生まれて。
「その体じゃあ……逃げられっ――」
 追い打ちのように頭を追って飛んだリーシャだったが、飛び込んだ先は蠅取りの罠。フォルターの巨体に身を隠していたトリテレイアが機械馬を走らせて、
『騎士の戦法ではありませんが……不意を討たせて頂きます』
 見えないよう装甲に格納されたワイヤー制御隠し腕がフォルターの頭を追うリーシャ目掛けて放たれ、あっけなく翼ごとくしゃりと揉み潰されるようにリーシャは捕獲された。
「これ以上無力な人々の血を貴方に飲ませて楽しませるわけにはいきません。ここで果てていただきます」
 トリテレイアは怪力で拘束した体を締め上げる。一つ力を加える度に、リーシャはかすれるような声で呻いた。
「この程度の策で捕まるとはな。……トリテレイア、後は我に任せよ」
「では」
 フォルターの声に、トリテレイアは反動をつけてリーシャの体を空中へ放り投げる。怪力に潰された翼は広がらず、軽々と宙を舞うリーシャに、今度こそフォルターは、まさに獲物に喰いつくように牙を突き立てた。
「あ……あぁ……」
 もはや悲鳴も上がらない。大穴の開いた体から溢れる血液が涎のように大蛇の口元から零れていく。一噛みでリーシャの体を砕いたフォルターは、首を振り、吐き出すように地面へ捨てた。
 隕石のように落下するリーシャの体がボールのように跳ね、転がり、横たわる。槍はすでに手を離れ、遥か遠くに飛んでいた。
「……そろそろか」
 ヒュドラの姿も、いつまでも保ち続けられるものではない。頃合いを見計らい、フォルターは変身を解除する。そこにトリテレイアが駆けつけて、
「フォルター様」
「もはや危険はなさそうだが……まあ、構わぬか」
 トリテレイアが差し出した手を取り、フォルターが機械馬に乗る。もとは反撃を警戒してのものだが、リーシャはすでに息絶えたか――。
「……よく、も……」
 もう声は猟兵の耳には届いていないが、リーシャの意識は辛うじて残っていた。動く指を突き立てて、地面をざりざりと削る。大きく穴の開いた胴。翼はひしゃげ、墜落の衝撃で片腕も折れた。もう片方の腕で、這いつくばるような恰好でなお、目の前の敵を滅ぼそうとする。
 勝機があるかないか、という判断はない。ただ、指一本でも動く限り、己に課せられた宿命のために動くのみ。
「あなたは今、楽しいですか?」
 霞む視界の中、顔を上げたリーシャを前に、アーレイラは問う。だが、答えを聞くことはない。
「果てるそのときまで楽しいのならば、吸血鬼は滅び、猟兵は勝ち、人々は助かる、なんと理想的なのでしょう。ですから……ここで終わらせて差し上げます」
 アーレイラは銃を変形させ、大鎌を手にする。
 これで全てが終わる。だが、終わったとて、還らぬものもある。
「……あの子は、我が主は貴女のような者を許さないでしょう」
 アーレイラの心もまた、主に寄り添うものだろうか。倒れたままのリーシャへ、大鎌を低く構えて走り、
「日輪の破魔の力にて浄滅せよ!! 薄汚く血に塗れた吸血鬼!!」
 浄化の力を持つ紅炎が弧を描く大鎌の刃に走る。そのままアーレイラは掬い上げるように振り抜いた。
 リーシャの体をするりと刃が抜け、浄化の炎が傷口から瞬く間に広がっていく。何かを求めるように虚空を掴もうとした手は、炎に巻かれて力なく落ちた。
 やがて吸血鬼は灰となった。この地で人々が犠牲になることは、もうないだろう。
「祈りましょう、犠牲になった方への、せめてもの慰めになりますように」
 大鎌を収め、アーレイラは祈りを捧げる。犠牲者の魂が昇っていったであろう天の世界は――ここではまだ暗く、晴れない闇が広がっているが。
 猟兵達の活躍があれば、いずれ光が地を照らす日が、来るのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月06日


挿絵イラスト