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ぶらり湯煙、洞窟紀行(作者 屋守保英
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●その島は温泉の多い島です
 グリードオーシャンに浮かぶその島は、「鴇崎島(ほうざきしま)」と名が付いていた。
 UDCアースの中部地方由来と思われる、山が連なり少しの平地と崖のようになった海岸線が特徴的な島だ。
 この鴇崎島には温泉が湧き、各所の湯舟は島の住民の憩いの場になっている。
 今日もまた、島の海岸沿いに設えられた源泉かけ流しの湯船にて、二人の人間男性が笑い合っていた。
「いやあ、まさかこんなところにまで温泉が湧き出しているとはなぁ」
「全くだ。僻地まで足を運んだ甲斐があったというものさ」
 そう言って湯船に浸かりながら、彼らは互いに視線を交わしている。周囲の草木が風に揺られる音、眼下の岸壁に波が打ち寄せる音、いずれもこの温泉を引き立てる要素になっている。
「しかし、なんでまた急に湧き出てきたんだろうな」
「さてな? 大方、先月の地震の時に湧きだしたんじゃないか」
 首を傾げながらも、彼らの表情はゆったりしていて。
 まさか草木が揺れたその向こう、岩山にぽっかりと開いた洞窟の前で、小さな影が彼らを睨みつけているとは露ほども知らず。
「鋭い目でふーっ、まさか目ぼしい穴を掘っていたら温泉にぶち当たるとはな。だがこれはチャンスだ、島の連中は温泉にかまけてこっちには来ねえ……今こそ、メガリス目指して突っ走るぞ!」
 そう言葉を零しながら、赤いスカーフとブーツが目を引くケットシーの青年は、洞窟の奥へと駆けて行った。


「喜びなお前たち、このアタシがグリードオーシャンから、新鮮な依頼を持って来てやったよ」
 グリモアベースにて、エラ・フィンチ(波打ち際の青尻尾・f26169)は姿を現して開口一番、居並ぶ猟兵たちにそう告げた。
 いつものように笑みを浮かべつつ尻尾を振る彼女の前に猟兵たちが集まれば、彼女は急に難しい顔をし始めた。
「島の名前は……えーとなんだっけ、なんか難しい字を書くんだよねぇ。ホーザキ、って読むんだっけ?」
 どうやら、今回事件を予知した島の名前を、思い出すのに時間を要したらしい。説明を早々に諦めたグリモアから彼女が映し出したのは島の看板。
 プラスチックらしい素材の薄板に、ゴシック体で記された文字は「鴇崎島」。なるほど、漢字では読めなくても仕方がない。素材を見るに由来はUDCアースか。
「で、なんでその島に向かってもらうかと言うと、そこの島の洞窟に、メガリスがあることが分かったんだ。それを賊が狙っていて、住民に気付かれず秘かに奪おうと暗躍している」
 そう話しながら彼女はグリモアから移す映像を切り替える。真っ黒な炎から浮かび上がったのは、金の毛並みに翠玉の瞳を持つ小さな猫獣人だ。
「賊の名前はロジャー。ケットシーの男で、『赤足』の異名を持つ海賊だ。無論、とっくに死んでて、この度コンキスタドールとして蘇ったってわけさ」
 ケットシーの海賊。その言葉に何人かの猟兵が目を見開いた。
 グリードオーシャンにはあらゆる世界から「島」が落ちてくる。アルダワ由来の種族が住まい、海賊をやっていたとして不思議な話ではない。しかし、それがコンキスタドールとして蘇るなら、話は別だ。
 エラも何とも言い難い苦笑を浮かべながら、片方の口角を持ち上げる。
「ちっこい見た目に反して残忍で残虐な野郎でね、ナイフで首を掻っ切って殺した相手を、平気で足蹴にするって悪評が立っていたよ。おかげで奴のブーツはいつも血まみれ、『血塗れ靴のロジャー』なんて呼び名もついてたくらいだ」
 そして彼女の口から発せられた説明は、なんとも血腥いものであり。小さいからと言って、油断は禁物だ。そういう相手ならば、そうやって侮られるのも嫌がるだろうし。
「このホーザキって島は温泉が有名でね、島のあちこちに湧き出している。住民は島の温泉を楽しみながら、日々のんびりと過ごしているんだが、メガリスが奪われたらそれがどう崩れるか、分かったもんじゃない。勢いづいたロジャーが島の人間を殺して回る可能性だってあるんだ」
 メガリスを手に入れたコンキスタドールが何をするか、分かったものではないし、分かるわけにはいかない。
 彼の次の行動がどうあれ、島の住民を助けるためにもロジャーを放置しておくわけにはいかないのだ。
 猟兵たちが真面目な表情になるのを確認して、エラは説明を再開する。
「ロジャーは、この島の山のどこかにある洞窟に潜っているらしい。その洞窟にはマシンハンターズってサイボーグ兵士たちがわらわら居て、侵入者が来ないか警戒に当たっているようだ。こいつらの排除も、しっかりやっておくれ」
 オーバーテクノロジーで限界まで強化された兵士たちだ。その攻撃力と機動力は目を見張るものがある。とはいえ、洞窟の中にいるし、単独行動を取っている様子。油断しなければ対応は容易なはずだ。
 兵士たちを退け、洞窟の最奥部に到着する頃には、ロジャーがメガリスの隠された部屋への道を探して四苦八苦しているだろう、とエラは言う。その最奥部の大部屋が、ロジャーとの戦闘の場所だ。
「ロジャーの武器は手にしたナイフだ。そいつを対象に突き刺して抉って傷を広げたり、魔力で多数のナイフを構築して周辺にばらまいたりしてくる。後は、不可視のロープを使って足を捕らえてくることもあるね」
 それなりの広さのある場所でまみえるとはいえ、洞窟の中だ。回避が思うようにいかないこともあるだろう。
 そこまで話すと、エラは手に持った篝火を掲げた。光を放つ篝火の向こうに、青い海と高い波が見えてくる。
「準備はいいかいお前たち、出発だ!」





第3章 ボス戦 『『赤足の』ロジャー』

POW ●ロジャー流惨殺術『軛返し』
命中した【ナイフ】の【切っ先】が【返しの付いた形状】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD ●ロジャー流捕縛術『インシデント』
見えない【ロープ】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ ●ロジャー流殲滅術『ベルナデッタ』
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル✕10本の【魔力で作ったナイフ】で包囲攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ロスティスラーフ・ブーニンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●猫は探す
「くそっ、くそっ!」
 洞窟の最奥部、広い部屋に到着するや、そこには既に先客がいた。
 金色の毛並みをして、赤いマフラーを纏ったケットシーの青年が、岩壁を何度もナイフで斬りつけていた。
「ありやがらねぇ……どこだ? どこに入り口はある!?」
 焦った様子で声を荒げ、乱暴な口調で悪態をつく。彼が、件のコンキスタドールであることは間違いない。
 と、ケットシーの彼が動きを止めた。ゆっくり後ろを振り返れば、エメラルドの瞳で猟兵たちをねめつける。
「は……チッ、もう追手が来やがったか。テメェら、猟兵だな?」
 ゆらりとこちらに向き直りながら、手にしたナイフのように鋭いまなざしを突き付けてくるコンキスタドール――『赤足の』ロジャー。
 彼はその小さな身体からは想像もつかないほどの威圧感を露わにして声を張り上げた。
「ここのメガリスは俺が最初に手を出そうとしてるんだ。後から掠め取ろうなんてマネはさせねぇからな!!」
 そう言って、ロジャーはナイフを握りながら駆けだした。メガリスを狙うコンキスタドールと猟兵の激突が、ここに始まろうとしていた。
木常野・都月
このケットシーがロジャーか。

俺自身はメガリスに興味はない。
でも、コンキスタドールにメガリスは渡せない。
むしろ骸の海に帰って欲しい。
骸の海に、過去に存在したマタタビとかあったりしないのかなぁ。

とはいえ、相手は海賊。
油断は出来ない。
しっかり倒しておかないと。

[野生の勘、第六感]で、敵の動きに注意したい。

UC【黒の狐火】でロジャーを燃やしたい。
精気は8割乗せ。
しっかりローストしていきたい。

敵のナイフは[高速詠唱]でお願いした、雷の精霊様の[属性攻撃]のの[カウンター]で対処したい。
ナイフは金属だろう?
雷の精霊様の電磁波で金属は全部吸い寄せて落としてしまいたい。


●狐は気を付ける
 小さな身体で距離を一気に詰めてくるロジャーに、都月は杖を握りしめながら相対した。
「俺自身はメガリスに興味はない。でも、コンキスタドールにメガリスは渡せない」
 小柄な相手でも海賊は海賊、命のやり取りに何の呵責も持たない相手だ。
 事実、きっぱりと言いながら杖を向けてくる都月を、ロジャーは鼻で笑う。
「ひよっこが吠えやがる。邪魔をされるなら、押し通るのが海賊ってもんだ!」
 都月が杖を振って精霊を呼び出せば、ロジャーがその攻撃を躱してさらに距離を詰める。
 その俊敏さたるや特筆すべきものがあった。さすがはケットシー、というところだろうか。
「骸の海に、過去に存在したマタタビとかあったりしないのかなぁ……」
「ハッ、出涸らしのマタタビキメたところで、テメェにやるもんなんざ質の悪い気持ち悪さよ」
 猫妖精相手にそんなことを呟く都月に、ロジャーは小馬鹿にするように言葉を返した。
 そして、ロジャーの赤い靴が一気に地面を蹴飛ばす。
「オラ、そこだ!」
「雷の精霊様!」
 ロジャーの握り込んだナイフが煌めき、都月に迫る中、都月は足元に雷の精霊を召喚した。
 精霊が発する電磁力によって、ロジャーのナイフが都月の足元へと吸い寄せられる。
「なにっ、俺のナイフが!?」
「今だ、全力で行く!!」
 武器が手から離れて出来た隙を、都月は見逃さない。黒の狐火を作り出して一気にロジャーに叩きつけた。彼の身体が黒い炎に包まれていく。
「が……くそっ」
「むしろお前には、骸の海に帰って欲しい。俺たちをどうにか出来ると思うな」
 炎から抜け出すも、少なくないダメージを負ったロジャーに、都月は再び杖を突き付けた。
成功 🔵🔵🔴

キング・ノーライフ
真の姿解放、機械の翼と肩当てを装着。
そもそも見つけてもない、
かつて拾ってもいない物の占有権を主張されてもな。
ああ、そうか。コンキスタドールは過去何度か会ってきたが、お前も含めて皆愉快な頭の持ち主だったな。

さて、これだけ挑発すればムキになって来るだろう。
縄の対処は任せたぞ狐塚、
見えなかろうと周回する狐炎を何個か生み出せばよほど精密に操らないと燃えて終わりだからな。尤も、【ノーライフ】による【制圧射撃】で精密操作をさせない位に我が攻め込むのだがな。

珍しく狐塚と我と二人だけの組み合わせの戦い、
案外連携も悪くないな。これからも狸塚達と一緒に頼むぞ。


●神は共闘する
 憎々し気に猟兵たちを睨みつけるロジャー。彼に対しキングは心底からおかしそうに、口元を歪めた。
「そもそも見つけてもない、かつて拾ってもいない物の占有権を主張されてもな」
「なっ」
 その言葉に、ロジャーの頬がさっと赤みを帯びる。そこに畳みかけるように、キングがさらに挑発を重ねた。
「ああ、そうか。コンキスタドールは過去何度か会ってきたが、お前も含めて皆愉快な頭の持ち主だったな」
「ご主人様、あれっすよ。世界憎さに囚われて思考がバカになっちゃうんっすよ」
「なっ、テ、テメェ……!!」
 さらに突き付けられた雅紀の言葉に、ロジャーは憤懣やるかたない様子。拳をぶるぶると震わせながら、大きく口を開けてがなり立てた。
「黙っていりゃあベラベラとふざけたことを! 許さねぇ、二人まとめてふんじばってやる!!」
 そうまくし立てながら、彼は右手をさっと振った。それだけならただの動作であっただろうが、彼の手には不可視のロープが握られている。
 すぐさまに、キングと雅紀は二手に分かれた。
「縄の対処は任せたぞ狐塚」
「了解っす!」
 キングの呼びかけに頷いた雅紀。こちらもさっと手を振れば、ロジャーの周囲を旋回するように狐火が複数現れる。
「なにっ!?」
「ほらほら、気をつけて操らないと狐火が燃え移って熱いっすよ?」
 見えないといえどロープはロープ。火に突っ込めば燃える。ロジャーは一気に、難しい操作を要求されることになる。
「くそ、この程度で――」
「おっと、大人しく精密操作をさせると思ったか?」
 歯を食いしばりながらロープを繰る彼だが、そこにキングのノーライフによる弾幕が迫りくる。
 これでは相手を捕縛するどころの話ではない。たまらずロジャーはロープを手放して飛び退いた。
「チッ、くそっ!」
「狐塚と二人だけの連携は珍しいが、案外悪くないな」
「へへっ、これからも頑張るっすよ!」
 連携がしっかり取れたことに、安堵した様子でキングと雅紀が顔を見合わせる。
 他二人の従者を加えた連携も含め、今後ともいい付き合いが出来そうな二人であった。
成功 🔵🔵🔴

ギルバルド・ガイアグランデ
こやつが、コンキスタドールか。
ならば、どうにかせぬとな。
身軽で素早い攻撃とな。
なかなかに当たらんのがきついのじゃが、こうなれば、一か八か、奥の手を使うわい。
なに、来たら、突き刺そうとしたらカバンを前に持って展開、突き刺させておくわい。
その間に、右手に持った斧でUC、デストロイハンマーを繰り出させてもらうわい。
とっておきのを喰らえぇええええぃっ!!

これでどうじゃあっ!!

アドリブ歓迎


●騎士は振り抜く
 改めてナイフを構え直すロジャーを見やり、ギルバルドは憎らしげに眉間にシワを寄せた。
「こやつが、コンキスタドールか。ならばどうにかせぬとな」
 コンキスタドールは世界に害をもたらす。世の中の人を傷つける。それは、排除されねばならない。
 そんな彼の決意を、ロジャーは鼻で笑った。
「どうにか、だと? その鈍重な武器と鎧で、俺の姿を捉えられるもんならやってみろ!」
 そう吠えるや、ロジャーがギルバルドに向かって駆け出す。と思いきや直前で方向転換して跳びのき、また駆けては跳びのき。
 その縦横無尽で素早い動きに、ギルバルドは唸った。敵の身体が小さいのも相まって、これでは攻撃を当てられない。
「ぬぅっ、予想通り身軽で素早い。これは攻撃を当てるのも骨じゃな」
 斧を構えたまま微動だに出来ずにいるギルバルドへと、ロジャーの笑い声が飛ぶ。
「はは、手も足も出ねぇってか? そこだ、くたばりなっ!」
 と、いつの間にか彼の背後に回り込んでいたロジャーが、その首筋にナイフを突き立てようと振りかざす。刃がギルバルドに迫った瞬間。
「ぬんっ!」
「何っ!?」
 ギルバルドはすぐさまに「何か」を持ち上げた。ロジャーが突き出したナイフが「何か」に刺さり、刃に返しがついて抜けなくなる。
 それは革製の鞄だった。荷物がたくさん詰まり、大きく膨らんでいる。ロジャーのナイフが、深く突き刺さってもなお、ギルバルドの身体には届いていなかった。
「くそっ、鞄を盾にしやがったか!」
「狙い通りじゃ! とっておきのを喰らえぇええええぃっ!!」
 歯噛みするロジャーへと、ギルバルドは振り向きざまに斧を振り抜いた。小さく素早い敵でも、動きを止めているなら当てやすい。
 とっさにナイフを手放して跳びのくロジャーだが、その腕に斧の刃がぶつかった。骨が砕ける音がする。
「ぐっ……!」
 右腕をだらりと垂らしながら葉を食いしばるロジャーに、ギルバルドは改めて斧の切っ先を向けた。
成功 🔵🔵🔴

サエ・キルフィバオム(サポート)
猫かぶりな妖狐で、直接的な戦闘というよりも、情報を集めたり、不意打ちやだまし討ちのような奇襲を得意とします

猫をかぶってる時は「あたし」と自身を呼び、語尾に「~」が入るような間延びしたしゃべり方をします
真剣な時は「私」呼びになり、口数は少なくなり、語尾の間延びは消え、気に食わない相手には結構キツめの口調になります

「ごめんなさい、あたし道に迷っちゃってぇ~……」
子供らしく振舞って油断を誘う、色気を出して魅力で釣るなど、あの手この手を使います

「は?私がそんな事許すと思った?」
本性を現し後ろから絞殺糸を巻き付けるようなイメージです

基本的に行動はおまかせします
アドリブや絡み歓迎です
よろしくお願いします


●狐は欺く
 憎々し気にこちらを見てくるロジャーの前に、一人の女性が立った。
 サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)はその豊かな胸元を見せつけるようにしながら、ロジャーに悠然と歩み寄っていく。
「あらぁ~、お兄さん、ボロボロのズタズタじゃなぁ~い?」
「なんだ、テメェッ……」
 訝しみながらもロジャーの視線は、サエの胸元から外せずにいる。男というものの悲しい性かな。こういう時にも欲望には素直らしい。
 そうしたギラギラした瞳の輝きが、より一層サエの興味を惹き付ける。
「ふ~ん、結構あたしのタイプかも~。ねえお兄さん、あたしさっき、向こうの部屋に繋がってそうな道を見つけたんだけどぉ~、興味ない?」
「なんだと……!?」
 誘うような、サエの甘い言葉に、ロジャーの緑の瞳が大きく見開かれた。腕が折れているにもかかわらず、サエの肩をしっかと掴む。
「早く、教えろ! その道はどこだ、どこに――」
「焦らない焦らない~。あたしが連れてってあげるからさぁ」
 そうされる間もサエはにっこり笑顔だ。指さす方向にロジャーが目を向ければ、そこには岩がいくつも積み上がっている。あそこは見たか。いや、見なかったような気もする。
 自然と彼の獣の顔には笑顔が浮かんだ。歪んだ笑みで、猟兵たちに高らかに笑う。
「ハッハ……見たか猟兵ども! 俺はまだ運に見放されちゃいねえ!」
 そう言いながら、サエの手を引いて駆け出したロジャーだが。猟兵たちが何を言うより早く、サエがロジャーの首を絞めた。
「ぐ……っ!?」
「はい、あっさりかかってくれてお疲れ様。私がそんなこと許すと思った?」
 首が締まり、もがき苦しむロジャー。サエが暫く締め上げて糸を引き絞る手を離せば、地面に頽れるロジャーの背中に大きな岩が落ちてくる。
「ぐ、あ……!」
「世の中、そんなにうまくツキが回ってくることなんてないのよ、海賊さん」
 背中を打たれて苦しむ海賊へと、サエは冷たい視線を突き刺しながら、そう言った。
成功 🔵🔵🔴