迷宮災厄戦⑱-4〜カフェ・プワゾンへようこそ
●花園の毒花
ざ、と。
少女の形をした存在――オウガ・オリジンが立ち尽くす。
その足元、その周囲を包むのは、様々な色彩をまとい咲き乱れる美しい花々。
禍々しきモノが存在するには異様であり、だからこそ美しいとすら思える。
そんな、場所だった。
●花園の毒茶
「許さない!!」
いつになく真摯な表情で、愛鷹・あさひ(桜の精のパーラーメイド・f23344)は訴えた。
「みんなに向かってもらうのは、花咲き乱れる不思議の国なんだけど、そこでオウガ・オリジンはアリスを……みんなを待ち構えているの。そこで行われるのはお茶会だよ」
だが、それがまっとうなお茶会であるはずがない。
そして、実際にそうであった。
「オウガ・オリジンは、ユーベルコード「紅茶の時間」を最初に必ず使用して、毒入りの紅茶を支給してくるのね。それを楽しまないと行動速度が5分の1になってしまうんだ。……楽しむ人を幸せにするお茶を、そんなふうに扱うなんて!」
普段はパーラーメイドとして客に幸福な時間と甘美な味覚を提供しているあさひにとって、それは耐えがたいことなのだろう。
手にするトレイの上でカタカタと茶器が鳴り、グリモア猟兵ははっと我に返る。
「ごめんなさい……でもね、「毒入りの紅茶を楽しむ」というのは、飲むことだけに限らないから、やりようは色々あると思うの」
たとえば、毒入りの時点で「飲ませる意図はない」と判断し、オリジンにかけるなり逆に礼儀正しく飲ませようとするなり、いろいろな対抗策が考えられる。
もちろん、正直に毒入り紅茶を飲んでやる道理はないし、毒入りを毒入りのままにしておく必要もない。
そこはみんなの発想次第だと、あさひが言い添える。
「いい? 必ずオウガ・オリジンに「正しいお茶会はこういうものだ」ときっちりしっかり臓腑に刻みつけてやってね。絶対……お願いね!」
空いている手をぐっと握って、あさひは猟兵たちに告げると、
「それじゃあ、いってらっしゃい! 『楽しい』お茶会を!」
鈴木リョウジ
こんにちは、鈴木です。
今回お届けするのは、花園の毒。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●花園と毒のお茶会
美しい花に満たされた、普通の不思議の国に現れたオウガ・オリジンは、ユーベルコード「紅茶の時間」を最初に必ず使用し、【毒入りの紅茶】を支給してくるので、それを楽しまないと行動速度が5分の1になってしまいます。
うまく対応して、オウガ・オリジンを出し抜いてください。
また、このシナリオには以下のプレイングボーナスがあります。
=============================
プレイングボーナス……ユーベルコード「毒入り紅茶の時間」に対応する。
=============================
なお、🔵が成功数に達すると判断して以降のプレイングの採用を見送らせていただく場合があります。
また、同日にプレイングが集中した場合は、可能な限り失効に間に合わせるよう努力しますが、再送をお願いする可能性があります。
ご了承ください。
それではよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『『オウガ・オリジン』と紅茶の時間』
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POW : 女王様のご命令
【クイーンのトランプ】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : 毒入り紅茶の時間
【毒入りの紅茶】を給仕している間、戦場にいる毒入りの紅茶を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ : 毒の上に君臨するもの
【ぶちまけた毒入りの紅茶】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【から毒を帯びたオウガを出現させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:飴茶屋
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
エアリーネ・シルベンスタイン
ええと……毒入り紅茶を「楽しめ」ばいいんですよね?
ではまず、紅茶をカップからガラス容器に移して……
……え?何をしているか、ですか?
毒物ですよ?
異世界の毒物ですよ?
しかも異世界の強者の用意した毒物ですよ?
調べるにきまってるじゃないですか(情報収集)
加熱してみたり冷やしてみたり通電してみたり(属性攻撃)
帝竜戦役で手に入れた古竜の骨の欠片とか
オウガから奪っ……もらった四葉のクローバーとか入れてみたり
試しにダガーに塗って(毒使い)
【シーブズ・ギャンビット】で手近なオウガを試し切り
そのまま口に流し込んだりしてみます
すいません、持ち帰りたいのですがまだ紅茶あります……?
あと材料とか製法とか、吐いてください
ニコリネ・ユーリカ
レディ、お招き下さりありがとうございます
百花斉放の花園も素晴らしく
しがない花屋には光栄にございます
おほほほほ!!(がんばってる)
★毒対策
UCで体の全部をカルミア・ラティフォリアに
愉快な仲間のように動いて紅茶を飲んじゃう
私も毒耐性があるし、この子が持つ毒で毒を制すわ
貴女も蜂蜜を入れて飲んでね
あとは愉しくお話を
カルミアはツツジ科の植物
ツツジが草冠をつけず「躑躅」と書くのは
食べた羊が足をもつれて死ぬからなの
カルミアも強毒性があって
少量でも摂取すれば嘔吐から始まって筋弛緩し、昏睡して死ぬ
そして
貴女の紅茶に注いだ蜂蜜はこの子から作られたものよ
花言葉は「裏切り」
アテネの騎士クセノポンも倒した毒を召して頂戴
リーヴァルディ・カーライル
…ええ。折角のご招待ですもの。ありがたくいただくわ?
吸血鬼風のドレスを着てお茶会に参加
礼儀作法を心掛けて挨拶して着席した後、
カップを手に取り香りを堪能するように顔に近付け…飲まずにテーブルに置く
…ふふ。ごめんなさい。貴女のお茶が飲めない訳じゃないのよ?
ただ、こうするともっと美味しくなると思わない?
指先から魔力を溜めた血を一滴、紅茶に垂らしUCを発動
密かにカップの中身を【常夜の鍵】の異空間に転移した後、
遥か上空に魔法陣を展開して紅茶を転移させる
…うん、良い匂いね。やっぱりこうした方が美味しそうね?
後は紅茶を飲んで楽しむ演技をしつつ、
彼女の頭に毒紅茶が落ちてくるのをワクワクしながら待つわ
カネリ・カルティエ
フォーミュラの茶会にご招待頂けるとは光栄です。
毒入りの紅茶なんてゾクゾクしてしまいますね。そういうの、好きですよ私。
※オウガ・オリジンには【礼儀作法】で対応
紙の面を被っているので、紅茶は面の下から頂きます。
素敵なティーカップですね、どちらのものですか、なんて話をしながら、まずは紅茶の色や香りを楽しみます。
どんな刺激的なお味なのでしょう。それは、それは素晴らしい苦しみを与えてくださるのでしょうね。
面の下で見えませんし、飲むフリだけするか、口に入れる場合はブラックタールなので体の外に適当に出しておきます
そうそう、この子達用に茶菓子を頂戴しても?
と、細工箱から妖精を解放。
素敵な声を聞かせてくださいね
「さあ、お茶会を楽しもうではないか」
顔なき顔に薄ら笑みを浮かべるオウガ・オリジンに招かれて、エアリーネ・シルベンスタイン(びんぼうエルフ・f26709)はテーブルに着く。
(「ええと……毒入り紅茶を「楽しめ」ばいいんですよね?」)
楽しむ。なるほど。
彼女が紅茶を楽しむのなら。
「ではまず、紅茶をカップからガラス容器に移して……」
「いやいやいやいや」
さっそく実験器具を取り出し何やら始めようとするエアリーネにオウガ・オリジンが待ったをかけた。
「唐突に何をしているんだ」
「……え? 何をしているか、ですか?」
焦った様子を含ませて問う彼女に、エルフの探求者はきょとんとする。
「毒物ですよ?」
「ああ」
「異世界の毒物ですよ?」
「うん」
「しかも異世界の強者の用意した毒物ですよ?」
「はい」
「調べるにきまってるじゃないですか」
どこからともなくずらあっと取り出された各種道具。
「あの、これは紅茶を楽しむお茶会なんだが……?」
「ええ、ですから紅茶(の調査)を楽しんでいますよ」
それはもうワクワクドキドキしながら。
成分を調べるのはもちろん、その毒性や特性について調べたり。
加熱してみたり冷やしてみたり通電してみたり。
「帝竜戦役で手に入れた古竜の骨の欠片とか、オウガから奪っ……もらった四葉のクローバーとか入れてみたり」
「今なんて言った?」
なんか不穏な名称がいくつか出た気がする。
それはさておき。
「試しにダガーに塗って」
えい。とばかりに手近なオウガを試し切り。
突然斬りつけられた上にその毒でやられて動けないオウガにそのまま口に流し込んだりしてみたり。
呆然とするオウガ・オリジンの前でメモを書き記しながら、エアリーネが告げたのは。
「すいません、持ち帰りたいのですがまだ紅茶あります……?」
「そういった目的では提供していないのだが!?」
ずいっと詰め寄られたオウガ・オリジンは全力で逃げるもすぐに捕まってしまう。
「あと材料とか製法とか、吐いてください」
「いや材料とか製法とか言われても」
「さあ早く」
「いやだから」
「さあ!」
じりじりと追い詰められるオウガ・オリジンになぜか猟兵たちは憐憫を感じ、どれだけ問い詰めてもエアリーネは毒入り紅茶の材料と製法を知ることはできなかった。
それでも彼女なりにこのお茶会を楽しんでいるのだと理解し頭を抱えるオウガ・オリジンに、
「レディ、お招き下さりありがとうございます」
ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)が礼を告げる。
「百花斉放の花園も素晴らしく、しがない花屋には光栄にございます」
おほほほほ!! とがんばってそれらしく振る舞うが、少々無理があった。
もっとも、そんなことを気にする相手ではない。
「ほう、花屋か。花にも花の入用にも様々あるが、どんな花屋だ?」
「花屋は何にだってなれるわ。貴方が求める、何にでも」
問いへの答えは詠唱。
体の全部を不思議な五角形の花を吊るカルミア・ラティフォリアに変え、愉快な仲間のように動いて紅茶を飲む。
その紅茶には毒が入っている。供するオウガ・オリジンは当然知っていて、顔なき顔でほくそ笑むが。
「私も毒耐性があるし、この子が持つ毒で毒を制すわ」
だから、毒の効かぬままお茶会を楽しめる。
告げられてつまらなさげな様子を見せる相手をニコリネはなだめ、楽しみましょうと微笑んだ。
「貴女も蜂蜜を入れて飲んでね」
すっと差し出したそれをオウガ・オリジンはじっくりと見つめてから自身のティーカップへひとさじ落とす。
静かに溶かし混ぜられたのを確かめ、あとは愉しくお話を。
「その姿の花は?」
「これはカルミア・ラティフォリア。カルミアはツツジ科の植物よ」
優しくベルを鳴らすように花を揺らしてみせる。
「ツツジが草冠をつけず「躑躅」と書くのは、食べた羊が足をもつれて死ぬからなの」
「……ほう?」
「カルミアも強毒性があって、少量でも摂取すれば嘔吐から始まって筋弛緩し、昏睡して死ぬ」
そして。
「貴女の紅茶に注いだ蜂蜜はこの子から作られたものよ」
愛らしい花をつけるツツジ科の毒性による中毒症状の多くは、その蜜によってもたらされる。
カルミアの花言葉は「裏切り」。
「アテネの騎士クセノポンも倒した毒を召して頂戴」
「……っ」
オウガ・オリジンがどのような表情を浮かべているかは分からない。
ただ、この猟兵を歯噛みして睨みつけていることは確かだった。
明らか動揺する様子に、吸血鬼風のドレスをまとうリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が笑みを浮かべた。
「……ええ。折角のご招待ですもの。ありがたくいただくわ?」
礼儀作法を心掛けて挨拶して着席した後、所作だけは優雅に紅茶が注がれるのを見つめる。
差し出されたカップを手に取り香りを堪能するように顔に近付け……飲まずにテーブルに置く。
眦を下げるような間を置いて、オウガ・オリジンは試すように問うた。
「わたしの紅茶が楽しめないと?」
「……ふふ。ごめんなさい。貴女のお茶が飲めない訳じゃないのよ?」
こちらも試すように答え、指し示すように指を向ける。
「ただ、こうするともっと美味しくなると思わない?」
指先から魔力を溜めた血を一滴、紅茶に垂らす。
そうしてオウガ・オリジンから見えないよう傾け、密かにカップの中身を【常夜の鍵】……彼女の血液により作られた魔法陣によって異空間に転移した後、遥か上空に魔法陣を展開して紅茶を転移させる。
殺意も敵意も存在しないただの行為を、相手は気付いただろうか?
「……うん、良い匂いね。やっぱりこうした方が美味しそうね?」
「紅茶に入れるのに、砂糖でもミルクでもなく血の一滴を好むとは。奇矯なものだ」
感心する相手に紅茶を飲んで楽しむ演技をしつつ、彼女の頭に毒紅茶が落ちてくるのをワクワクしながら待つ。
「フォーミュラの茶会にご招待頂けるとは光栄です」
全身をローブに包み顔を面で隠した長躯のカネリ・カルティエ(ブラックタールの探索者・f10978)は、オブリビオン・フォーミュラに対しても礼儀正しく振る舞う。
「毒入りの紅茶なんてゾクゾクしてしまいますね。そういうの、好きですよ私」
そう続ける異様な風体と趣向の彼のなかで、表情どころかその意味すら読み取れない面に興味を持ったらしい。
光なき顔以外の姿ばかりは無垢な少女のそれであるオウガ・オリジンは、薄く笑んだ様子でティーポットから紅茶を供する。
「毒を好むのは変わっているほどではないが、しかし変わった面をしているな」
「ええ。これは雑面と言いまして、紙を用いて作ったものです」
紙の面を被っているので、紅茶は面の下から飲むことになる。それは布石だ。
オウガ・オリジンは興味深そうに、カネリの仕草を眺める。
「素敵なティーカップですね、どちらのものですか」
「さて……カップで紅茶の味が変わるとは思わんのでな」
なんて話をしながら、まずは紅茶の色や香りを楽しむ。
カップを満たす香り高く美しい水色は、一見すれば毒など含んでいるように思えない。
「どんな刺激的なお味なのでしょう。それは、それは素晴らしい苦しみを与えてくださるのでしょうね」
面の下で見えないから、あたかも紅茶を口に含みその毒をも楽しんでいるように見えるだろうか。
或いはその素振りを見せないので、オウガ・オリジンは毒を無効化でもしたかとつまらなさそうな気配だ。
ふと。
リーヴァルディのゆっくりとカップを傾けるが干すタイミングに違和感を覚え、しかしどこか浮ついた様子に、オウガ・オリジンは周囲の異変を探る。
何かがおかしい。何がおかしい? なぜ気付かなかった?
そのきっかけが蜂蜜だったとも気付けず。
「な……っ!?」
ざあッ!!
空を裂いて、オウガ・オリジン目掛けて紅茶が降り注いだ。
遙か上空からの落下速度も併せて凶器と化した液体は、カップ1杯分であっても充分な脅威になる。
静かに侵すカルミアの毒に感覚が惑わされて反応が遅れ、針の鋭さを持つ毒の雨に射し貫かれ顔なき少女のオブリビオン・フォーミュラが悲鳴を上げた。
不意をつかれ椅子からまろび落ちのたうち回るその姿に、顔色も明かさずカネリが問う。
「そうそう、この子達用に茶菓子を頂戴しても?」
問うても答えを待つことなく、細工箱から妖精を解放する。
少し危ないですよと猟兵たちを離れさせ、妖精が潜む小箱(シガヒソムコバコ)をテーブルに置いた。
「さぁ、お食事の時間ですよ」
詠唱に促され数多に現れたのは、肉を食らう妖精たち。
反撃のため体勢を立て直そうとするオウガ・オリジンの姿を、覆い尽くす。
「素敵な声を聞かせてくださいね」
告げた残酷は、あくまでも礼儀正しく。
「おのれ……おのれえええええええええええええええええああああああああああああああああああああッ!!!!」
猟兵たちの環視するなか、呪詛が響いた。
大成功
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