迷宮災厄戦⑱-5〜ハツはどこに置いてあります?
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「この包丁はよく切れそうだ。文房具、カッターに彫刻刀、鉛筆削り……は無理があるか。あっちは大型工具売り場? チェーンソーまであるのか! 本当に何でもそろうな!」
うきうき気分で超大型ショッピングセンターを歩き回る少女。遠目に見れば平和な日曜日の光景にも見えるかもしれない。ここが迷宮災厄戦真っ只中のアリスラビリンスでなく、少女の顔が真っ黒でなければ。
「まったくいくら時間と金があっても足りないな。さて、買い物ばかりでなくこちらも隠さねば……」
金を払うつもりも必要もないくせに楽しげに言いながら、少女……オウガ・オリジンは別の売り場へと移動していくのであった。
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「みんなー、おっきいスーパー行こー!」
グリモア猟兵ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)を装備した花園・ぺしぇが元気よくそう言った。今週だけは勘弁してという周囲の視線を感じたか、ミルケンは元気よく続ける。
「あのね、オウガ・オリジンが『お屋敷迷宮の国』ってのを現実改編ユーベルコードで作って、そこに隠れてるの。だから皆にはそこに行ってオウガ・オリジンをやっつけて欲しいの!」
つまりは迷宮災厄戦の依頼をするということか。それならばと猟兵たちは聞く姿勢に入るが、それにしてもスーパーとは。
「お屋敷って言うけどわりと何でもありみたいで、今回オウガ・オリジンが作ったのはちょーおっきなスーパーマーケットなの。うぇあはうすくらぶってゆーんだって! それを陳列棚とかを滅茶苦茶な配置にして、迷路にしちゃってるの!」
郊外などによくある、複数人前で売っているのが当たり前の巨大スーパーの事だろう。車で来るのが当前とか会員制とかが有名なアレのイメージである。ただし迷宮というだけあり、動線は考えられていない構造になっているようだ。
「で、そこにいるオウガ・オリジンをやっつけて欲しいんだけど、オウガ・オリジンはこの世界にいる間は完全無敵、どんな攻撃もきかないの!」
毎度様々な状況で強化、弱化されるオウガ・オリジンだが、今回は完全無敵と来た。ならばどう突破しろというのか。
「オウガ・オリジンは『心臓の小箱』って言うのをこの世界のどこかに隠していて、それを壊せば一発でやっつけられるの! ただしあっちもそれは分かってるから、無敵の体を活かしてこっちを捕まえようとしてくるよ、気を付けてね!」
つまり、超巨大スーパーの中で命がけの鬼ごっこをしながら探し物をしろということだ。
「オウガ・オリジンはスーパーにあるものを使って攻撃してくるよ。普通に殴っても強いはずなんだけど、向こうもこの世界を楽しんでるみたいだね。とにかく何でも売ってて物凄く広いけど、逆に言えば向こうから隠れる場所もいっぱいあるしってことだね。あと相手は無敵だけど足止めはできるから、隙を作るために攻撃するのは無駄じゃないよ。お店にあるものを使ってもいいけど、武器としてはみんなが持ってるものの方が強いから使い方は考えてね! それからオウガ・オリジンを倒したらこの世界にあるものは消えちゃうよ。本当にお買い物したい人は依頼が終わってからUDCアースとかに行ってね!」
一通り説明し終えたミルケンは今一度猟兵たちを見回し出発の確認をする。
「それじゃみんな、行ってらっしゃーい! お土産はオウガ・オリジンの心臓でいーよ!」
おそらくミルケンが主体になって言わせているのだろう、ボディに合わない物騒な言葉と共に、ミルケンは猟兵たちを送り出した。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。何歳になっても大きすぎる店に行くとテンションが上がります。
今回は超大型ショッピングセンター内をオウガ・オリジンから逃げ回りながら『心臓の小箱』というものを探していただきます。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『追いかけてくるオウガ・オリジンをうまく出し抜く』
オウガ・オリジンはマーケット内を徘徊し、色々な売り場から調達した武器で攻撃してきます。心臓の小箱を破壊しない限り彼女は無敵ですので、倒すことは出来ません。
店には大型のスーパーやホームセンターやディスカウントストアにありそうなものは大体売っており、商品を使うこともできますが持ち帰ることは出来ません。食べ物は食べられますが、当然調理が必要な品はそのままなので注意です。一応レジまで行けばレンジはあります。作戦に組み込むかはご自由に。
一人で全域探すのは無理があると思いますので、隠しそうなところを的を絞って探す、敵の動きから推理する、探すのは仲間に任せあえて足止めに徹するなど工夫した方がやりやすいかと。
オウガ・オリジンにとどめを刺せるのはシナリオ完結時の登場者のみですが、それ以外の方も(成功以上の判定ならば)大きなヒントを見つけるか、足止めには成功します。
またシナリオの性質上、プレイングの数や来た時期にもよりますが、複数人をアドリブで絡ませることが増える可能性があります。ご要望のある方はその旨の明記をお勧めします。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 冒険
『オウガ・オリジンと「心臓の小箱」』
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POW : 無敵のオウガ・オリジンの前に立ちふさがる(撃破は不可能ですが、時間を稼ぐことは可能です)。
SPD : 無敵のオウガ・オリジンから逃げ隠れしながら、「心臓の小箱」の在処を探す
WIZ : 「心臓の小箱」の隠し場所を推理し、可能性の高い場所を徹底的に捜索する
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
迅雷・電子
【心情】こんなでかい所で鬼ごっことはねぇ…まあ、私は逃げるのは苦手だし足止めに徹するか!その心臓の小箱とやらは他の仲間に任せるよ!
【作戦】オウガ・オリジンの前に堂々と飛び出し、四股を踏みつつ【挑発】。「お嬢ちゃん、ちょっと相撲とってかないかい?」相手が否定しても「まあそう言わずにさ!」と攻撃して足止めするよ!敵の色んな物の攻撃は【見切り】や【第六感】で回避し、そこをねこだましで【だまし討ち】した後に連続つっぱりを食らわせてみんなが探す隙を作るよ!「効かないんだろ!?わかってんだよ!」
(絡み・アドリブOK)
超大型スーパーマーケット内をルンルン気分で歩き回るオウガ・オリジン。
「どこだぁー猟兵。今日の私は機嫌がいい。この私が目利きした道具で殺してやるぞぉー?」
いつも半ば理不尽なレベルで猟兵や猟書家に怒りを撒き散らしている彼女にしては破格ともいえる機嫌の良さだが、やっぱり言っていることは物騒極まりない。
そんなオウガ・オリジンがスポーツ用品売り場へと入ったとき、彼女の前に第一の刺客が立ちはだかった。
「こんなでかい所で鬼ごっことはねぇ……まあ、私は逃げるのは苦手だし足止めに徹するか! その心臓の小箱とやらは他の仲間に任せるよ!」
迅雷・電子(女雷電・f23120)はオウガ・オリジンの前に飛び出すと、威勢よく四股を踏んで彼女の行く道をふさいだ。
「お嬢ちゃん、ちょっと相撲とってかないかい!」
まわしを締めた電子の誘いに、当然ながらオウガ・オリジンは難色を示す。
「断る! わたしがしたいのは買い物と猟兵殺しだ!」
言いながら彼女は傍らにあった金属バットを手に取り、電子に向かって構えた。どうやら今回の武器第一号はこれにするつもりらしい。だが断られるのは想定の内。電子は足止めのため、無理にでも試合に持ち込むつもりだ。
「まあそう言わずに……さっ!」
強引な取組開始の合図として放たれた張り手が、オウガ・オリジンの胸を打ち据えた。一瞬大きくのけぞったオウガ・オリジンに、間髪入れずがぶり寄る電子。
「そらそら、のこったのこった!」
組み付かれてはリーチの長さがかえって邪魔になるバットは使えない。バットを投げ捨て別のものを何とか手に取るオウガ・オリジン。
「ぶち割れろ!」
手に取ったボウリングの玉を電子の頭めがけて振り下ろすオウガ・オリジン。だが電子はそれを一瞬の見切りで彼女から離れてかわす。そしてもう一度強く踏み込み。
「そらっ!」
「うおっ!?」
突然のねこだまし。驚いて動きの止まったオウガ・オリジンに、そのまま【連続突っ張り】を叩き込む。
「どすこいどすこいどすこい!」
「ふん、今のわたしは無敵、こんな攻撃など……」
「効かないんだろ!? わかってんだよ! でもね……」
がしゃあん! と大きな音を立て、オウガ・オリジンが後ろの棚に突っ込んだ。そのまま載っていた商品が雪崩になり、小柄な彼女をその下に埋める。最初の張り手で確かめたことだ。ダメージには無敵でも、衝撃は防ぎきれるわけではない。
「決まり手、棚卸し、ってね!」
戦闘と生き埋め、これで時間は稼げた。電子はオウガ・オリジンが出てくる前にと、その場を離れるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
七那原・望
【Laminas pro vobis】にみんなをオウガ・オリジンから護るという望みを乗せて対峙します。
相手を撃破することは出来ない。であれば、無理に攻撃をする必要もない。
楽しそうですね。オウガ・オリジン。けれど、ここには色んな物が置いてある。それを使えばもっと楽しめますよ。
夏なのにお前はまだやっていないはずです。スイカ割りを。
どうせ無敵なのでしょう?それなら余興にどうですか?
もちろんわたしは敵なので指示はしないですけど、始まりのアリスなら余裕ですよね?
【第六感】と【野性の勘】で敵の動きや攻撃を【見切り】回避を。
スイカ割り後は更に違う遊びに誘い、断られた場合は魔法を使った戦闘で足止めをします。
大量にのし掛かってきたスポーツ用品をかき分け、どうにか脱出を果たしたオウガ・オリジン。
「おのれ……よく考えたらわたしはスポーツなどやらない! こんな売り場に用はなかった! 次へいくぞ!」
憮然としてそう言いながら次に向かったのは防災用品の売り場だ。そもそも災厄の塊のような彼女がこんな所へ来ること自体が何かの悪い冗談のような話だが、防災リュックを開けて中の乾パンを顔の暗闇に放り込んだり、ハザードマップに猟書家の名前を書き込んで危険箇所扱いしたりとここはここで楽しんでいる模様だ。
だがここでも、彼女を足止めする第二の刺客が立ちはだかる。
「わたしは望む……」
【Laminas pro vobis】にみんなをオウガ・オリジンから護るという望みを乗せ、現れたのは七那原・望(封印されし果実・f04836)だ。
望は礼服を身にまとった姿で緑と黒の縞を持った物体……スイカを手にオウガ・オリジンの前へ進み出た。
「楽しそうですね。オウガ・オリジン。けれど、ここには色んな物が置いてある。それを使えばもっと楽しめますよ」
望の言葉に、オウガ・オリジンは辺りを見回すようよう首を巡らせ、答える。
「ああそうだな。わたしは楽しむためにこの世界を作ったのだからな。お前にはこれで楽しませてもらおうか!」
そう言って手に取るのは巨大な防災斧。本来緊急時の脱出路確保や危険物破壊のために使われるそれも、彼女が持てば単なる殺人のための凶器だ。
そのぎらつく刃に臆することなく、望はスイカを見せつけるようさらに一歩前に出た。
「夏なのにお前はまだやっていないはずです。スイカ割りを。どうせ無敵なのでしょう? それなら余興にどうですか?」
オウガ・オリジンは遊び半分に猟兵を追い回している。相手を撃破することは出来ない。であれば、無理に攻撃をする必要もない。ならいっそ本当に遊ばせてしまえば。望のその考えにオウガ・オリジンは。
「……いいだろう。殺す前に少し遊んでやろう」
望の提案をのんだ。望が差し出した手ぬぐいを律儀に真っ黒な頭部に巻き、斧を構えるオウガ・オリジン。
「もちろんわたしは敵なので指示はしないですけど、始まりのアリスなら余裕ですよね?」
「もちろんだ。見ているがいい」
そう言うとオウガ・オリジンは数メートル離れた場所に置かれたスイカに早足で駆け寄り、斧を振り下ろして一撃でそれを粉砕してしまった。
あまりの早業に望が一瞬あっけにとられるが、直感が危険を告げ、とっさに身をかがめる。その一瞬後に、望の頭があった場所を斧の刃が通り過ぎた。
「スイカが動いたらスイカ割りにならないだろうが」
「見えてたのですか……」
そもそもオウガ・オリジンはあの顔全体で物を食べるし、現実改編でどんな姿にもなる。目の場所に本当に目があるのかさえ怪しいものなのだ。恐らく最初から、遊びに乗る振りをして不意打ちするつもりだったのだろう。
「本当はもっと遊びに誘うつもりでしたけど……えいっ!」
錫杖をふり、魔法を叩きつけ直接戦闘での足止めに切り替える望。だが、無敵であるオウガ・オリジンは避けることすらせず平然と体で受ける。
「スイカの種でも飛ばした方がまだ効くぞ!」
「ぬぬぬ、しかたありません……てりゃっ!」
望は予備のスイカを投げつけ、オウガ・オリジンがそれを斧で砕く。オウガ・オリジンがスイカの汁を浴びているうちに、望は撤退していった。
「ははは、所詮猟兵なぞこの程度か!」
すっかり機嫌をなおしまた歩き出すオウガ・オリジン。そもそも望の目的は足止めであり、彼女にかまけている時点でその策にはまっていたということには、ついぞ気づくことはなかった。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
UC発動第二人格『昨夜』で行動
いやっふうううううううう!!!
どうしよう、戦場なのにワクワクする。だって、だってスーパーだよ? 商品好き勝手にしていいんだよ? こんな楽しいことある!?
足止め足止め! 私足止めやりたいなーっ
他猟兵が捜索する範囲を邪魔されないように、ショッピングカートで簡易バリケード作るよ。私の念動力があればま、難しくはないでしょ。
さてさてオリジンはどこにいるのかな……こっちが追われる側じゃなく追う側になってれば、色々仕掛けやすいしね。
はーい念動力でバナナの皮ぽーい。滑れ。その先は洋服の山だ。突っ込め。
高速詠唱で刃物を光らせて、オリジンの注意を(好きな物で)惹いちゃう。
スーパーマーケット内を意気揚々と進んでいくオウガ・オリジン。だがこの世界に楽しみを見出しているのは彼女だけではなかった。
「いやっふうううううううう!!! どうしよう、戦場なのにワクワクする。だって、だってスーパーだよ? 商品好き勝手にしていいんだよ? こんな楽しいことある!?」
鈴木・志乃(ブラック・f12101)がハイテンションに声を上げ迷宮内を駆け回る。普段から配信者活動などをしておりイベントごとや遊びごとにもそれなりに積極的な彼女だが、それにしたって今日ははしゃぎすぎである。それもそのはず、今の彼女は普段の鈴木・志乃ではなく、別人格の『昨夜』がこの依頼のために現れているのだ。それを表すように、今の彼女は白い髪と赤い目をしている。
そんな志乃……もとい昨夜は、いくつかの売り場を軽く回ったのち、衣料品売り場に陣取った。
「さてさてオリジンはどこにいるのかな……こっちが追われる側じゃなく追う側になってれば、色々仕掛けやすいしね」
簡易バリケードを念動力で素早く作り、オウガ・オリジンが通る道を制限していく。もちろん彼女がその気になれば簡単に壊せるだろうが、それはそれで音で相手の位置が分かる。こうして昨夜は第三の刺客として、オウガ・オリジンをここで待ち受けるのであった。
果たして、時折破壊音を響かせながら、オウガ・オリジンがほどなく昨夜の陣取る場所へとやってきた。
「服……服もいいなぁ。白い服を着ている奴の首を掻っ切って赤く染めるなんて最高じゃないか。わたしはデザイナーの才能もあるか?」
服を物色するよう眺めつつそんなことを呟くオウガ・オリジン。その手にあるのは、隣の裁縫コーナーから持ってきたらしい巨大な裁ち鋏だ。
「来たねオリジン! あんたの好きそうなもの用意して待ってたよ!」
そう言って昨夜がぶちまけるのは、様々な売り場から調達してきた刃物類。大小さまざまな包丁に、十徳ナイフのような便利ツール。山岳用の鉈にディスクグラインダーまで用意済みだ。それを高速詠唱した光の魔法でギラギラと輝かせる。
「さあ、好きなのを選ぶといいよ!」
「そうだな……わたしの好きなのは……」
ぶちまけられた刃物を品定めするそぶりを見せるオウガ・オリジン。その足を前に踏み出し。
「胴から落ちたお前の首だ!」
一足飛びに刃物を飛び越え昨夜へと躍りかかった。そもそもこの迷宮を作った第一の目的は侵入者を殺すこと。凶器は確かに好きだが、それを使って誰かを殺すのはもっと好きなのだ。
「うおっ!?」
昨夜は勘においては志乃よりはるかに研ぎ澄まされていたこともあり、とっさに身をよじってそれを躱す。だがバランスを崩し転倒してしまい、オウガ・オリジンがふり返って再び鋏を振り上げた。
「滑れ。それから突っ込め」
だが、こうなることも昨夜の予測の内。念動力でバナナの皮をオウガ・オリジンの足元に放り投げると、彼女は見事にそれを踏み、思い切りすっころんだ。オブリビオン・フォーミュラにあるまじき失態だが、元々遊び半分でやっている節がある故の油断だろう。
オウガ・オリジンは何とか刃物の上に倒れることだけは逃れたが、そのまま大量の洋服の山へと突っ込み、本日二度目の生き埋めとなる。
「それだけありゃ一生試着には困らないだろ!」
やはり出てこないうちにと、昨夜は念動力でそこら中のものをそこにかぶせてから立ち去るのであった。
成功
🔵🔵🔴
月凪・ハルマ
……えらく楽しそうだなオリジン
まぁいいや。それより例の箱探しだ
まず、うっかりオリジンと鉢合わせしたくないので
【迷彩】で周囲の景色に溶け込み姿を消す
移動も【忍び足】で【目立たない】様に行う
で、箱を探す手段だけど
大型ショッピングセンターともなれば、監視カメラくらい
設置されてるだろ。されてるよな?
そしてカメラがあるなら、それらの映像を確認するための
部屋もある筈だ。まずはそこを探しだして侵入する
もしそこにオウガがいた場合は指定UCで眠らせる
装備している超多目的スマートフォンを利用し【ハッキング】
カメラの映像から、オリジンの映像を抜粋
店内をどう動いていたか確認した後、それらの場所を重点的に捜索
夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎
■行動
オウガ・オリジンさんがどこで『大型スーパー』を知ったのか、微妙に気になるような?
まあ、頑張ってみましょうかぁ。
こういう状況でしたら、臨機応変に方針を変えら『穴埋め』が出来るようにしておくのがよさそうですぅ。
【燦華】を使用、全身を『光』に変換しますねぇ。
『捜索役』が多いようであれば、『FRS』の[砲撃]で『スプリンクラー』等を狙って騒ぎを起こし、私のところにオリジンさんを集めて『光速回避』と『狭い場所に入る能力』を生かし囮になりましょう。
『囮役』が多いなら『光速移動』を生かして移動、捜索の手の入っていない場所を中心に探しますねぇ。
何とかなるとよいのですが。
このマーケットを模した世界で、様々な猟兵たちがオウガ・オリジンと戯れ……もとい足止めのための戦いを繰り広げていた。
だが、そもそもの目的はオウガ・オリジンと交戦することではない。どこかにある心臓の小箱を発見し、それを破壊してオウガ・オリジンを倒すこと。それを成すことができなければ、いくら足止めをしようと意味はない。
その役割は、二人の猟兵が担っていた。
「……えらく楽しそうだなオリジン」
事前に聞かされたこの世界での彼女の言動を思い出し、月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)は何とも言えない表情を浮かべる。本来怒りに燃えて全てに対し八つ当たりしているはずなのだが、楽し気なものが目の前にあると一時機嫌を直すのは彼女の幼児性故なのだろうか。
一方素朴な疑問を浮かべるのは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
「オウガ・オリジンさんがどこで『大型スーパー』を知ったのか、微妙に気になるような? まあ、頑張ってみましょうかぁ」
アリスは色々な環境から来たものがいるから、食らったアリスの記憶などから覗き見た者だろうか。あるいはそもそもアリスラビリンス自体が何でもありの不思議の国。そんな国が一つくらいあってもおかしくないのかもしれない。
ともあれ二人は探索班として、箱の捜索に向かう。まずハルマは、タウン用迷彩を着て忍び足で歩き、目立たないよう店内を進み始めた。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
一方るこるは、【豊乳女神の加護・燦華】を使い、その体を光へと変える。
二人が探索を開始した直後、スポーツ用品売り場からどすどすと何かを重くたたくような音と、巨大な破壊音が聞こえた。恐らくオウガ・オリジンはそこにいるのだろう。二人はその場所を避け、なるべく離れたところから探索するのであった。
「さて、このあたりは余り荒れていない感じですねぇ」
文字通りに光の速さで店内を巡回するるこる。先にオウガ・オリジンがいると分かった方向に近寄らないようにしつつ捜索の手が入っていない場所を重点的に探す。すると、店の荒らされ方に傾向があることが分かってきた。
オウガ・オリジンはやはりかなり乱暴に商品を漁り、気に入ったものを持っていっているらしく、彼女が通ったと思しき場所は相当に汚されていた。中には商品が壊されたり、棚自体がひっくり返されているものすらある。それをたどっていけば、さっき音の聞こえたスポーツ用品売り場と思しきところにつくのだろう。
つまりそれを逆にたどっていけば、オウガ・オリジンのスタート地点……つまり小箱のありそうな一帯へたどり着くことができるはず。そう考え、るこるは荒らされ方の少ない所を重点的に探し始めた。
そしてほとんど荒らされていない場所がすぐに見つかった。それは。
「これは……本当なら頂いて帰りたいくらいなのですけどねぇ」
食品売り場。キロ単位の塊な肉やチーズに、直径40センチ近くあるピザ、巨大なホールケーキと、すべての商品が一人で食べることを想定していないような特大サイズばかりだ。
いずれも食欲をそそる品だが、別の戦場で示されたオウガ・オリジンの好みは『見た目が美しく有害なもの』。つまりここにあるものはオウガ・オリジンにとって何ら見る価値のないものばかり。言い換えれば、利用しようと思ったら『何かを隠す』くらいにしか利用できないということだ。
「もしかしたら……」
そう考え、るこるは食品売り場を重点的に探索し始める。それと同時に、防災グッズ売り場から中身の詰まったものを割るくぐもった音がうっすら聞こえるのであった。
一方ハルマは、ある場所を目指し進んでいた。それがある場所は推定壁際。だからなるべく迷宮の外縁と思われる場所を進んでいく。ほどなくして壁に見えてくる、銀色の武骨な扉。
「ここだな……大型ショッピングセンターともなれば、監視カメラくらい設置されてるだろ。されてるよな?」
期待と共に扉を開け、ハルマはその中へ入り込む。はたして、そこは簡素な椅子の前に立て二列にモニターが置かれ店内の様々な場所を映し出す、まさにモニター室と言える場所であった。幸いにして見張りのような存在はいない。ハルマは早速モニターの前につくと、自身の持つ超多目的スマートフォンでハッキングを試みた。
次々と映像が切り替わり、その中のいくつかにはオウガ・オリジンの姿が認められる。ハルマはその映像だけを抜粋し、遡るよう確認していった。元々ここはオウガ・オリジンが生み出した不思議の世界。そこまで古い映像があるわけではない。最古の映像でも数時間前。そこには、食品売り場をうろつくオウガ・オリジンの姿があった。
「なるほど、この辺に隠したわけか。でも具体的にはどこに……」
こういった類のスーパーでは、食品売り場の広さは大きなアピールポイントの一つである。闇雲に探して見つかるものではあるまい。ハルマはさらに詳しくオウガ・オリジンの行動を観察する。
「あれ、この辺……」
普通の食べ物に興味がないはずのオウガ・オリジンが、特定の場所だけ定期的に訪れている。
「もしかして……」
ここに何度も訪れて確認しなければならない何かがあるのでは。そう感じたハルマはその場所へと向かおうとする。
だがその前に念のためと、モニターを現在の映像に切り替えてみる。そこには、服の山を掻き分け脱出するオウガ・オリジンの姿があった。
「急がないと……!」
ハルマはオウガ・オリジンがこちらの狙いに気づく前にと、辺りをつけた場所へ急ぐのであった。
「るこるさん!」
「ハルマさん、やはりこちらだとぉ?」
「ああ、それもあの辺……お菓子売り場だ!」
食品売り場の一角で合流したハルマとるこる。お互いに同じ結論が出たところで、その場所を重点的に探し始める。
「お前たち……そんなところで何をしている!」
そこに割り込むように聞こえるオウガ・オリジンの声。その声には今までのような楽しんでいた様子はなく、ある種彼女らしい焦りと怒りに満ちている。それはつまり、二人の推理が正解だということの裏付けだ。
「それはこっちの台詞だぜ」
「お菓子はお嫌いだったのではぁ?」
オウガ・オリジンに注意を向けつつも、二人は探す手を止めない。そしてハルマの手が大きなワゴン……複数種の菓子の入った店舗オリジナルの詰め合わせのコーナーへかかった瞬間、彼女は猛然とそちらへ向けて突進した。
「はなれろぉぉぉぉ!」
バーベキュー用の大きな串を振り上げ襲い掛かるオウガ・オリジン。だがハルマは一瞬早く、横に倒れ込んで躱しながら何かを放り投げた。
「るこるさん!」
「お任せをぉ!」
投げられたそれ……ハートの書かれた小箱を、光となったるこるの体当たりが貫いた。箱は割れ、中からリアルな心臓が転がり出る。その真ん中に、光線となったるこるが突き刺さった。
「ぎゃああああああああああ!!」
その箱が壊れた途端、絶叫して膝をつくオウガ・オリジン。そしてその声と共に、彼女は煙のように消えていった。
「詰め合わせならこんな店で小さいもの一つが混じってても不自然じゃない、ってことか」
「心臓ではなく箱の方で寄せてきましたかぁ」
オウガ・オリジンがここに隠した意図を推測する二人。だがそれが正解か確かめる術はもうない。この世界が完全に消えないうちにと、二人はスーパーの出口へ急いで向かう。
ウェアハウスクラブ、オウガ・オリジン倉庫店はこうして閉店の運びとなったのであった。
大成功
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