最近クソ暑いしこの世の服という服を水着にしてやろうぜ!
UDCアース世界。極東の島国の、とある大都市。
「ここ数年のこの国は、暑すぎる!」
その街に居を構える高級ホテルの屋上、開業前の屋外プールに男の声が響く。
時刻は日が傾きはじめた午後6時。このまま日が落ち街を夜の帳が包んでも、蒸し暑さが落ち着く事は無いだろう。
……これがこの国の夏と、そう言われてしまえばしょうがないのだが。
「こんなに暑いというのに、人々は衣服に身を包み苦行に耐えねばならぬ! それの何と哀れなことか!」
声高に叫ぶ男の主張に、彼を取り巻く数人の同士達が深く頷く。
クールビズという概念。そして熱中症に対する理解が深まりつつあるこの国である。
故に多少の薄着となるのは『この時期ならば……』と黙認される程度には、理解も深まってはいる。
だが、しかし。男は言うのだ。まだ足らぬ、もっと気軽に薄着になれよ、と。
その意見だけならばまぁ、頷ける所もあるのだろうが……。
「だから今日! 我らは動く! この世界を変え、人々を暑さの苦しみから救う為に! 邪神の御力にて、世界の常識を書き換えるのだ!」
その主張が邪神の信奉者の物であるならば、話は別だ。
正気を失った瞳のままに、男が手に携えた棒を振り上げる。括り付けられた布が、ひらりひらりとたなびき踊る。
そのまま振り上げた棒を──。
「大いなる神よ! 我らの願いに応え給え!!」
地に描かれた魔法陣に、叩きつける。次の瞬間、夜闇に白光が満ちる。
目を開ける事もままならぬ白光の中、男と同士達は自らの身体が変質していくのを感じていた。
そして同時に、偉大なる邪神の力が地表に聳え立つ建屋全体にも広まりつつある事もまた、感じていた。
……男達に、後悔は無い。自分達の挺身により、きっと人々はこの暑さから解放される事になると信じるが故に。
薄れゆく意識。自身の身体に邪神が降臨し、自我が消える最後の瞬間に、男が叫ぶ。
「偉大なる邪神よ! この世の服という服を、水着に変えてくれ──!!」
……今際の際の言葉がそんなんでええんか、邪教徒。
●
「お集まり頂きまして、ありがとうございます」
グリモアベースに集まる猟兵達を、揺れて輝く銀糸の長髪が迎え入れる。
ヴィクトリア・アイニッヒ(陽光の信徒・f00408)の表情に浮かぶのは、常と変わらぬ穏やかな微笑み。
だが、良く見れば。その笑みの端にはどこか、困惑の色が見えるような気がする。
……はて、どういうことだろうかと思う猟兵達を他所に、ヴィクトリアが言葉を紡ぎ出す。
「今回皆さんに向かって頂くのは、UDCアース世界。極東の島国、日本国。都内の一等地に立つ、高級ホテルです」
暦の上では、そろそろ晩夏を迎えつつある今日この頃。だが暑さが収まるのはまだまだ先のようである。
そんな暑さに頭がやられてしまったのか、とある邪教徒の一団が暴走。
今回の舞台となる高級ホテルにて、自らの身体を依代とした邪神降臨儀式を成し遂げてしまったのだとか。
「降臨した邪神については、詳細は不明です。えっと、その……厄介な、結界の力に阻まれまして……」
微笑みを曇らせ、申し訳無さそうに頭を下げるヴィクトリア。だがそれ以上に、彼女の表情の困惑が強まっているような。
どうやら、その『厄介な結界』とやらが困惑の元であるようだ。
その正体を求める猟兵の言葉。その圧の前に、観念したかのようなヴィクトリアの答えは……。
「……結界内に踏み入った者を、その……『強制的に水着に着替えさせる』、というものでして……」
なんて言った? と聞き直してみても、ヴィクトリアの答えは変わらない。
……ヴィクトリア曰く。この結界はホテルの敷地内全域に及んでいるらしい。
その効力の程は、強力無比。どんな対策も無視し、性別も種族も関係なしに、効果を発揮するのだという。
着替えさせられる水着は、ランダムだ。派手なものから比較的健全な物、これは水着かと疑う様な物まで多種多彩であるらしい。
なお、最初から水着で踏み込んでもその効果からは逃れ得ない。別種の水着に強制的に着せ替えられるそうだ。
実に厄介、というか……なんでそんなモノを生み出した、と。頭が痛くなりそうだ。
「どうやら、邪教徒の願いと邪神の方向性が奇跡的に噛み合った結果、のようですが……」
とは言え、強制着替え以外に結界の効果はないそうで。戦闘に支障を来す事はほぼ無いはずだ、とヴィクトリアは語る。
……ともあれ、今回の依頼はそんな結界下での戦いとなる。
多少恥ずかしい目に遭う可能性はあるが……そこはまぁ、うん。必要な犠牲と割り切って頂きたい。
「んんっ……話を戻しまして、邪神の居所ですが」
空気を切り替えるかのように、咳払いを一つ。
肝心の邪神は、ホテル屋上にある屋外プール施設にいる。
だがしかし、邪神の眷属となる存在は……主の命を受けホテルの各地に散り、ホテルのスタッフや来客者を狙って動いているらしい。
その命とやらがどんなものかは、判らない。だが一般人を狙っているのであれば、看過してはいられない。
屋上に赴き邪神を討伐する前に、まずはホテルの各地に散った眷属の討伐が必要となるだろう。
「皆さんが邪神との戦いに専念出来ますよう、今回は私も現地に赴きまして、一般人の保護に当たります」
敵の実力は、未知数だ。故に猟兵達が戦闘に集中出来るようにと、ヴィクトリアも動くらしい。
……水着に着替えさせられるのは、ちょっとアレですが、と。恥ずかしげなヴィクトリアの言葉を聞けば、猟兵達からも小さな笑いが起きるだろう。
「なんとも特殊な状況での戦いとなるかと思います。ですが、心を揺るがさず戦えば……」
皆さんの御力を、お貸し下さい。
丁寧に頭を下げて、ヴィクトリアは猟兵達を送り届ける準備を進めるのだった。
月城祐一
水着姿の女の子が見れるのも、あと僅か。
どうも、月城祐一です。全ては夏の暑さが悪いのです(責任転嫁)
今回はUDCアース世界。エロにはならぬコメディ依頼。緩めの空気の予定。
水着に強制的にお着替えされる特殊環境での戦いとなります。
以下、補足となります。
第一章は集団戦。敵は『咎忍『水綿』』。
増殖と融合を繰り返す、不定形な怪異が相手となります。
戦場は、高級ホテルの各所。
皆さんにはホテル各所に散った『水綿』から一般人を守って頂きます。
一般人を守りきり、『水綿』を撃破する事が出来れば成功判定となります。
第二章はボス戦。敵の詳細は不明です。
章の進行時に情報開示を行いますので、ご了承下さい。
第三章も、現時点で開示出来る情報はありません。
二章同様、進行時に詳細の開示を行います。
……何とは言いませんが、ナイトプールって文化が流行ってるらしいですね?
○今回の特殊ルールについて
OPで触れている通り、今回の戦場には『強制的に水着に着替えさせる』という結界が張られています。
その効力・効果の程はOP文中の通り、非常に強力な結界となります。
着ることになる水着に関しては、ランダムです。
月城がダイスを振って、手元の水着表(非公開)からチョイスされる形になります。
……全てはダイスの神の御心のままに。当依頼に参加される際は、徳を積み上げた状態でご参加下さい。
特殊な結界により、強制的に装いを変えられる特殊な環境。
そんな中で蠢く邪神を、猟兵達は討ち祓えるか?
皆さんのご参加、お待ちしております!
第1章 集団戦
『咎忍『水綿』』
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POW : 忍法・沼鉄砲
【腐食性のヘドロ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 忍法・濁り霧
自身に【毒性のある瘴気】をまとい、高速移動と【不快な臭いの毒ガス】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 忍法・水泥ヶ淵
【千切った体の一部】を降らせる事で、戦場全体が【沼底】と同じ環境に変化する。[沼底]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:透人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
グリモア猟兵の導きにより現地に降り立った猟兵達が、ホテル内へと突入する。
瞬間、自らの身を包む衣服がキラキラと輝き姿を変えて……各々の身をキュッと絞る、水着へと変じたのを確認する。
よくよく周囲を見渡せば、ホテルのロビーにいる一般人やスタッフ達も皆、その形状や派手さに差異はあれど、一様に水着姿(一部、水着か疑わしいモノも混じってはいるが)だ。
成程、『例の結界』とやらは確かに機能しているらしい。なんとも厄介な事である。
……ともあれ、今このロビーに邪神の眷属が顕れている様子は見受けられない。
房飾りが胸元を彩るフリンジ・ビキニに衣装を変えられたグリモア猟兵をその場に残し、猟兵達はホテル各所に散っていくのだった。
政木・朱鞠
なんか、煩悩全開っていうか…『この夏は熱かったからね』では済まない事を仕出かしちゃってるね。
珍妙な結界だけど、水着なら見られても減る物じゃないし…問題無しだよね…。
とりあえず、咎忍『水綿』達にはホテル内を湿っぽい状態にした咎で骸の海へ一旦帰って貰おうかな。
戦闘【SPD】
『忍法・狐龍変化身』で真の姿を前借りして、足に集中的に強化した状態で『忍法・濁り霧』の高速移動に備えるよ。
毒ガスや瘴気に体が直接触れるのは危険かもしれないから、念のために得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使い敵の体に鎖を絡めつつ【傷口をえぐる】で絞め潰すダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
唐草・魅華音
任務、ホテル内に降臨した邪神の脅威の排除。任務了解だよ。
まずは、一般人に向かう脅威の排除だね。
現地に着いたら、ドローンを飛ばして敵を探索させます。敵の位置情報を他の仲間にも可能な限り通信で伝えつつ、敵を発見したら、まずは一般人の人を守るためヘアピンナイフを【投擲】して牽制し、割り込んで危害を加えられないように駆けつけます。
そうしてから敵の攻撃をイスとか机など置いてあるものを【(地形の)利用】して防ぎつつ、銃で【弾幕】張ったり刀で【なぎ払い】しつつ戦います。
……水着で恥ずかしくないか?感じなくもありませんが、傭兵の経験上、戦場でその甘さが命取りになる事は良く知っていますので。
アドリブ・共闘OK
鬼柳・雄
【アドリブ絡み歓迎】
この暑さだ、バカになるのも無理はねえ。けど流石にこれは呆れる。夏が終わったらどうすんだよ。そんな願いに答える邪神がいたってーのもまたバカな話だなぁオイ?
まぁ邪神絡みならしゃーねえ。幸い俺はサマナー、服装が変わっても特に問題はねえ。シア呼んでとっととやっちまおう。つーかシアまで水着にされてんのかよ。アホらしい力だけど無駄に強力だな。
敵は粘液、水分多めなら温度変化には弱いだろ。それに武器なんかは持ち込めるだろうしシアの力で凍らせて一緒に砕いて回る。「先制攻撃」「戦闘知識」「制圧射撃」。一般人を巻き込まないように「誘導弾」。もしも敵の攻撃が当たりそうになったら「かばう」
●
「──任務、ホテル内に降臨した邪神の脅威の排除……」
任務了解、と。ポツリと呟く唐草・魅華音(戦場の咲き響く華・f03360)のその声に応えるように響くのは、小さくも高い無数の駆動音。
その駆動音の正体は、魅華音が喚び出したドローンだ。
情報収集能力と解析能力に優れた端末達が、魅華音の意を受けホテル内へと散っていく。
(まずは、一般人に向かう脅威の排除ですね)
今回猟兵達に与えられた務めは、この地に降臨した邪神の討伐である。
だが、ただ邪神を討てば良いという訳ではない。この高級ホテルには、今も多くのスタッフや来客者がおり……そんな彼らを狙う邪神の眷属が、ホテル内を徘徊しているというのだ。
本番の前に、後顧の憂いは確実に立つ。その為に、魅華音は情報収集を重視し、動いたのだ。
(これで、ホテル内の状況は……む?)
各所に散った端末から次々と伝わる情報を、脳裏に描き纏め上げる魅華音の片眉が上がる。
結婚式後の披露宴が行われていた、宴会場。
纏う礼服が突然水着に変化し、混乱する参列者達。
そんな一般人が多く集まるその部屋に忍び寄る影が、魅華音には見える。
今、一番近くにいるのは……。
「──聞こえますか? すぐ側の、宴会場。そこに敵が迫っています」
共にこの戦いに挑んだ猟兵へと伝えつつ、合流する為に魅華音も走る。
色白の肌をキュッと包む、Uバックスタイルのワンピース水着。特に奇抜なデザインでもなく、清楚さと可憐さが両立する一般的なデザインだ。
……とは言え、水場でも無いのにこんな姿を晒す事になってしまえば、恥ずかしさを感じなくも無いが……。
(傭兵としての経験上、その甘さが命取りとなる事はよく知っていますので)
傭兵として、猟兵として。冷静に、冷徹に。与えられた務めを果たす、その為に。
羞恥の念を抑え込み、艶やかな長髪を靡かせながら。魅華音は上り階段を駆け上がるのだった。
●
背後の大扉の奥から聞こえる、甲高い悲鳴や困惑の声。部屋の前の案内看板を見れば、どうやら結婚式後の披露宴の最中であったらしい。
そんな部屋から聞こえる惨状に、並ぶ二人の猟兵が。呆れたように溜息を溢していた。
「いや、なんつーか。この暑さだし、バカになるのも無理はねぇ。けど、流石にこれはなぁ……」
「ホント、『この夏は暑かったからね』では済まない事を仕出かしちゃってるね」
いや事実、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)と鬼柳・雄(チンピラサマナー・f22507)は呆れていた。
高尚な事を宣いながら作り出した結界は煩悩全開であるし、そもそも仮に世の服という服を水着に出来たとして、夏が終わったらどうする気なのかと。
……邪教徒もアレだが、それに応えた邪神もいたというのが実に、こう……バカな話だなぁ、といった所だ。
「まぁ、珍妙な結界だけど。水着なら見られても減る物じゃないし、問題無しだよね?」
「あー……まぁ、幸い俺もサマナーだ。服装が変わっても特に問題はねぇ」
ともあれ、いつまでも愚痴ってはいられない。邪神絡みの案件ならば、尚の事だ。
褐色の肌を包む黒のバンドゥ・ビキニ。縁に光る橙の差し色が目に眩しい逸品の具合を確かめる朱鞠を横目に見つつ、ダイバースーツの如きフルボディ水着に身を包んだ雄がスマホ型のデバイスを構え、己と魂を通じ合わせた相棒に喚び掛ける。
「──来い、獰猛な雌狼にして戦士。黒き火炎の悪魔、マルコシアス!」
瞬間、デバイスから輝く白光。顕れ出るは、可憐で華奢な体躯の少女悪魔。氷と炎の力を振るう雄の相棒、大悪魔『マルコシアス』である。
……だがその姿は、いつもと少し変わっていて。
「……おいおい、シアまで水着にされてんのかよ」
そう、マルコシアスのその装束も、結界の力によって変えられていた。
デザインは、上下に別れたツーピース。両サイドを紐で結びあげる、所謂タイサイドビキニと呼ばれる物。
黒をベースにしつつも、紐がそれぞれ蒼と橙に染められたそれは、不思議とマルコシアスに良く似合っていた。
……いつもと違う装束に、どこかウキウキとした様子を見せる少女悪魔。楽しげな相棒のその姿に、雄の背に冷たい汗が流れ落ちる。
(……アホらしい力だけど、無駄に強力だな)
そう。それは邪神の張った『例の結界』の効力を改めて実感させられたから。
一般人だろうと、猟兵だろうと、大悪魔であろうと。この結界の力からは逃れ得ない。その大本の力は、どれほどの物だろうか。
……油断は禁物か、と。雄はまだ見ぬ強敵に、警戒を一段引き上げる。
──聞こえますか?
と、その瞬間。唐突に聞こえた声に、朱鞠と雄の視線が向く。
気がつけば二人の頭上には、一機のドローンが浮いていた。見たことのないモデルだが、猟兵達に声を掛けてきたという事は……恐らく、ご同輩の物なのだろう。
そしてその予測は、正しかった。二人のすぐ側にある宴会場に、邪神の眷属が迫りつつあることをドローンの主が知らせたのだ。
……あぁ、見れば確かに。通路の奥から迫りつつある気配を幾つか感じる。
淀む邪気、べちゃりと粘つくような音。ドローンの主の情報は、間違いないようだ。
「とりあえず、咎忍『水綿』達にはホテル内を湿っぽい状態にした咎で、躯の海へ一旦帰って貰おうかな?」
「だな。とっととやっちまおう」
迫りくる眷属、『咎忍『水綿』』のその存在を感知して、朱鞠と雄の戦意が高まる。
その戦意に反応するかのように、迫る邪気も膨れ上がり……。
──ズザザザザッ!
膨れ上がる瘴気と臭気を身に纏い、急加速して『水綿』が迫る。
迫りくる『水綿』のその先には、身構える朱鞠の姿。『何らかの縁』があるのだろうか、その突撃は雄の存在を無視するかのように一直線だ。
「抑えし我が狐龍の力、制御拘束術第壱式にて……強制解放!」
だが、縁があるのなら。その攻撃を既知の如く対処するのは、容易いことだ。
印を切り、己の奥底に眠る力の一部を解き放つ朱鞠。瞬間、脚に感じる強烈な力。
宿った強烈な脚力で地を蹴り、飛び上がり……迫る不定形の群れを、軽々と飛び越えて。
「瘴気が身体に直接触れるのは危険かもしれないから、念の為、ねっ!」
すれ違いざま、腕を振って放たれたのは鎖型の拷問具。
薔薇の様に棘を持つその鎖が次々と粘体に絡みつき、縛り上げ……その身に宿る、邪気を吸い上げて。
──バチュンッ!
限界を迎えたか、呆気なく爆ぜ散る『水綿』達。
だが飛び散るその粘体には、今もなお瘴気と臭気が漂っている。下手に壁や床に付着すればこの辺り一体が淀む沼底の様な環境へと様変わりしてしまうだろう。
そうなれば、一般人達では後々の処理が困難だろう。
「──やっちまえ、シア!」
そうはさせじと、吠えるは雄。
従う少女悪魔が振るうのは、蒼の右手。全てを氷に閉ざす、氷の刃だ。
(敵は粘液、水分多めなら温度変化には弱いだろ!)
マルコシアスの振るう氷剣が、飛び散り降り注ぐ『水綿』の破片を打ち払うかのように振るわれる。
瞬間、吹き抜ける身を切るような冷気。極寒の地を思わせるような寒風を前にすれば、眷属の残滓程度で抗う事など出来はしない。
次から次へと氷に閉ざされ、地に落ちる破片。後は適当に砕いてしまえば、問題はないだろう。
近くの階段から、階段を駆け上ってくる音が聞こえてくる。どうやらドローンの主……魅華音が辿り着いたらしい。
結果として魅華音は戦闘に間に合う事は無かったが、彼女からの情報が無ければ朱鞠と雄の戦いはこうまで一方的にはならなかったはず。
……合流したら、しっかりと労い礼を言おう。朱鞠と雄は顔を見合わせ、小さく笑みを溢すのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
篁・綾
アドリブ連携歓迎よ
何をどうしてこうなったのか…
そして随分この状態に不釣り合いな妖だこと…
普通の人の間に割り込みつつ抜刀、【呪詛】を乗せた【衝撃波】を放って奴らへの目眩ましにするわ。
目があるかは知らないけれど。
ともあれ、何度も攻撃を加え【おびき寄せ】るわ。
攻撃は【見切り、残像】で回避を。場合により【敵を盾にする】事もあるでしょう。
受ける場合は【オーラ防御、激痛耐性】を駆使。
その上で隙をよく見極め、【鎧無視攻撃、衝撃波】を用いて攻撃を。
…まとめて花びらに変えてしまったほうが都合が良さそうね。
対水着反応
布が少ない類→若干恥ずかしそうな反応をする
普通~かわいい系→普通
デザインが微妙な類→微妙な顔をする
佐伯・晶
暑さにやられるってこういう意味じゃない気がする
いや、確かに凄く暑いけど
水着はまともなのがくる事を祈ろう
加護はあるけど邪神の加護だからなぁ
機嫌がいい事を祈るよ
敵の姿からして水の出る所を重点的に探してみよう
近くに一般人が居たら使い魔の催眠術で
これから工事か清掃作業と思い込ませて遠ざけるよ
この人達自分の服装に疑問を持ってるのかな?
認識が歪められている方が恥ずかしくなくて楽なんだろうけど
敵の攻撃は毒耐性で耐えたり
神気で毒ガスの時間を停めて防いだりするよ
後者は僕なりのオーラ防御だよ
UCでタンクとウォーターガンっぽいものを創造
中身はよくわからないけど液体に触れると凍るみたいだから
動けなくして封じてしまおう
●
撒き散らされる腐食性の汚泥。通路中に蔓延する瘴気と臭気。
それを上から塗り替えるかのように。
「助けてくれる人がいるって、本当にありがたいね、っと……!」
──ブシャァァァァァ!!
吹き出される液体が、洗い流していく。
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)が携えたウォーターガンから放たれるその液体は、『液体に触れれば凍る』という、UDC組織が創り上げた特別製。
そんな特性を持つ液体ならば、粘性の身体……つまり、液体である『水綿』の身体には十分な効果を発揮するはずだ、と。
晶のその読みは見事に当たり、通路を埋めるように蠢く『水綿』達が次々と凍りつき、動きを封じられていく。
そうして動きを封じられた『水綿』達を。
「──散らせ、散らせ。その儚き花を」
篁・綾(幽世の門に咲く桜・f02755)が振るう古刀が打ち砕き、舞い散る桜吹雪へと変えていく。
二人がいるのは、屋上に程近い高層階にある大浴場に繋がる通路であった。
少しずつ日が傾くこの時間帯は、大浴場をゆったりと楽しみたい宿泊客達で賑わう場所である。
そんな多くの人々を守るために二人は力を振るい、迫りつつあった邪神の眷属を見事に打ち払ってみせたのだ。
(……それにしても、随分とこの状態に不釣り合いな妖だこと)
血振りをするかのように刃に付着した粘液を振り払う綾。そんな彼女の身を包む衣装は、やはり水着姿。
綾が着せられた水着は、モノキニ。前から見るとワンピース、後ろから見るとビキニと見える、いわゆる『つなぎビキニ』と呼ばれるタイプの物だった。
体の脇に水着のラインが来る為、纏う人の胴のラインを美しく見せるその水着は、布面積が多いように見えて実は少ない。
そのせいか、周囲からはちらりちらりと視線を感じる……様な気がする。綾の表情は落ち着かない様な、恥ずかしげな表情であった。
「はいはい、これから清掃作業に入りますからねー。申し訳有りませんが、一旦ロビーの方へ……」
そんな綾の視線の先では、晶が一般人達を誘導していた。
良く見れば、晶の傍らにはふわりふわりと浮かぶ使い魔の姿がある。使い魔の持つ力で、宿泊客を言い包めようとしているのだろう。
……普通なら、晶の言い包めは通じなかっただろう。清掃作業で宿泊客を立ち退かせるなど、普通はありえないのだから。
だが、突然の水着への強制着せ替えやら通路を漂う酷い汚臭やらで、宿泊客達は酷く混乱している。
そんな揺らいだ精神状態の相手であれば……思考を誘導し、退去させることなど造作も無いことであった。
「……ふぅ。何とかなったかな」
「お疲れ様。中々の手際ね」
エレベーターに乗り込み確保されている安全圏に降りていく宿泊客。その後姿を見送り一息ついた晶を、綾が労う。
他の猟兵から得た情報で、このフロアの一般人は今送り出した者達だけである事は判っている。
他のフロアがどうなっているかは判らないが、とりあえずこの階周辺で一般人が襲われる可能性は無くなったはずだ。
しかし、それにしても。
「しかし、何をどうしてこうなったのか」
「本当にね、暑さにやられるってこういう意味じゃない気がするよ」
いや、確かに凄く暑いけれど、と。ボヤく綾に答える晶のその声も、どこか疲れたような声色だった。
……そこでふと、晶の出で立ちを見た綾がボソッと呟く。
「それにしても、晶さん。あなたの水着……」
「お願い、言わないで」
が、しかし。綾の指摘を遮る様に、晶の口から飛び出たのは拒絶の言葉。
それというのも、晶の身体を包むのは……非常に布面積の少ないツーピース。所謂、『マイクロビキニ』であった。
しかもその水着、ただのマイクロビキニでは無い。ボトムはヒップラインを強調するかのようなTバックのデザイン……世に『ブラジリアンビキニ』と呼ばれる過激な物であったのだ。
中学生程度の身体に着せるには、中々に攻めたデザインである。どうやら晶の身体に宿る邪神の加護とこの結界が、とんでもない化学反応を仕出かしたらしい。
……正直、かなり眼福な光景ではあるのだが。着せられる当人である晶としては本当にもう、大迷惑の一言だ。
「……本当に、なんでこんな結界を」
自分の状況を再認識し、重く深い溜息を吐く晶。
そんな晶を労りつつも。
(……私にこの水着が来なくて、良かった)
綾はこっそりと、胸を撫で下ろすのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アリス・クイン
ふふ、ふふふっ、ふひひひひっ、クソみたいな呪いでマイクロビキニでひと夏を過ごしたアタシに怖いものはないわ!というかもっと布面積のある水着にチェンジできるなら望むところ!
それはそれとしてドロドロ共は、クロエ(f19295)と一緒にぶっ殺す!!
ヘドロまみれのドロドロとか絶対アレでしょマニアックなプレイが目的でしょこのヘンタイ特殊嗜好オブリビオン共!一人でくさってしね!!
UC【リアライズ・バロック】
先手必勝、絶対アタシにアレする気のアレ共をヌイグルミ型のバロックレギオンに追跡させて殲滅させるわ!
アタシのヌイグルミ達じゃ火力不足でも、それを道標に追ってきたクロエにまとめてドーンしてもらうって寸法よ!
クロエ・アスティン
ま、また水着に着替えさせられる依頼でありますか!?
って、いけません、アリス様(f24161)!それはフラグというヤツでありますよ!?
アリス様の愚痴を聞いて、ひぃ、そ、そんなことされちゃうでありますか!?と顔を真っ赤に!
けど、ヘドロをぶっかけられそうになっている人を見つけたら、い、今は恥ずかしがってる場合じゃないでありますと「盾受け」で「かばう」!
アリス様のUCで追い散らかして一旦落ち着いたら、助けた一般人にロビーまで逃げるように伝えてドロドロを追いかけます!
道標を頼りに追いついたら、ヌイグルミ達が押し合いへし合いしているところに【戦乙女の戦槍】を撃ち込んで殲滅してやるであります!
●
──ふふ、ふふふっ、ふひひひひっ!
グリモアベースで依頼の説明を聞きながら、怪しく嗤っていた少女がいた。
少女の名は、アリス・クイン(ビビり屋毒吐き姫・f24161)。その肩書の通り、ビビリ屋で毒吐きな少女である。
実はアリス、今回の一件とは地味に縁を持つ猟兵である。
アレは今を遡る事、凡そ二ヶ月ほど前。夏の始まりの辺りの事。グリモア猟兵としての力でアリスが予知し解決された事件が、今回のような『水着結界』の案件であったのだ。
……紆余曲折を経て、事件は無事に解決された。だがその結果、結界を作り出した邪神の呪いをアリスは一身に浴びてしまたのだ。
その、呪いの効果とは……『このひと夏に着れる服が、超マイクロビキニのみとなる』という物。
結果、アリスは水着のお祭りも超マイクロビキニで出ざるを得なかったし、日常生活も超マイクロビキニで過ごさざるを得なかった。
多感な年頃の少女が、そんな衣服で日々を過ごす。その心の傷は、いかばかりか……。
『で、でも、もうアタシには怖いものは無いわ!』
だが、そんな日々はもう終わる。夏はもう、間もなく終わるのだ。
そんな時に降って湧いた、今回の依頼。普通であれば、過去のトラウマから二の足を踏みそうなシチュエーションである。
……しかし、アリスは臆さない。ほぼ二ヶ月、超マイクロビキニで過ごしてきたアリスには、今更どんな水着が襲いかかろうと怖いものなどありはしないのだ。
むしろ、もっと布面積のある水着にチェンジとなる可能性もあるのなら……『水着結界』、望むところ! と言った心持ちであった。
そうして飛び込んだアリスであるが。アリスは、気付いていなかったのだ。
確かに、布面積のある水着に変わる可能性はある。だが、しかし。
……布面積が更に減った水着に変わる可能性だって、またある事を。
アリスは、見落としていたのだ。
「 」
その結果が、今まさに真っ白に燃え尽き茫然自失の体を晒すアリスであった。
ハイライトの消えた目で、俯き体育座りをするアリス。その姿は、傍目から見て……全裸にしか見えない状態である。
(……こ、言葉が見つからないであります……!?)
そんなアリスに何と声を掛けたら良いものか、と。
身体にジャストフィットな濃紺旧型スクール水着を身に纏うクロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)は、ただただオロオロするばかりであった。
……何せ下手に声を掛けよう物なら、逆上したアリスに襲い掛かられそうな状況である。
それほどまでに、アリスの着替えさせられた水着というのは……酷いものであったのだ。
(ハート型の前張り(ニプレス)に、アイバックショーツとは……!)
……そう。アリスが今身に纏うのは、胸の先を隠すニプレスと、デリケートゾーンを僅かに覆うような極小面積のショーツのみ。
意気揚々と乗り込んだその結果、アリスは超マイクロビキニよりもエグい水着(?)に着替えさせられたのだ。
……まぁアレだけ散々フラグっぽいのを立てていた訳だし、そりゃあ回収もするだろう。
それでも見事に40分の1を引き当てたのは、何というか……持ってるんだか、持ってないんだか。
その当たりの判断は、お任せしたいところである。
「──ふっ、ふひっ。ふひひひヒヒヒヒッ!!」
「あ、アリス様っ?」
……そうして、どれ程時が流れただろうか。
唐突に、アリスの口から奇妙な笑い声が飛び出した。
知人の突然の豹変に驚き、困惑を隠せないクロエ。
そんなクロエを他所に、ガバっとアリスが立ち上がり。
「ぶっ殺す! こんな結界作った邪神は、ぶっ殺す!! ヘンタイ特殊嗜好オブリビオン共は、絶ぇぇぇ対ぶっ殺す!!!!」
怒りを露わに、叫び出す。
……あまりの衝撃に、真っ白になったアリスの頭。だがその胸の内には、フツフツと燃え滾る物あったのだ。
それは、理不尽に対する怒り。何故自分ばかりがこんな目にという、今の状況に対する激しい怒りであった。
そんな激しい怒りを露わにすれば、アリスの周囲の空気が歪んで……顕れ出るは、ヌイグルミ型のバロックレギオン。
53体のヌイグルミを従え、怒りに燃えた瞳のままに。
「いくわよ、クロエ! 邪神も! ヘドロまみれのマニアックなプレイが目的なあのドロドロも! 絶対、ぶっ殺すわよ!」
「ちょっ、アリス様っ!? 自分たち、そんな事されちゃうでありますかぁっ!?」
声も高らかにアリスが吠え立て、走り出す。
その言葉の端々から漂う殺意の高さと言葉の内容に驚き、目を見開き顔を真っ赤にしたクロエの反応が遅れてしまったのは……まぁ致し方ないだろう。
「……あっ、お、お待ちくださいアリス様ー!?」
ヌイグルミを従え突っ走るアリスの背中を、慌てて追いかけるクロエ。
他の猟兵達からは随分と遅れてしまったが。二人は漸く、動き出すのだった。
……なお、怒りのままに突っ走るアリスであったが。
大盾を振るい身を挺したクロエの活躍により、アリスが考えていた【薄くて高い本】案件は起きなかった事だけは、ハッキリと書き添えておこう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
セフィリカ・ランブレイ
強制的に水着ね?
『伝説の防具も布切れに変えてしまう罠、と考えれば怖いわよ』
相棒の魔剣…シェル姉は真面目だ
私は可愛さ故何着ても似合うしね?
邪神チョイスの水着だって着こなすよ
下手に恥ずかしがるより堂々と見せていく!
要救助者がいる状況で各所に潜んでいる敵を叩く
人手がいるね?
『今私、嫌な予感がしてるわ』
【シェルファ顕現】で、シェル姉人モードと小型の飛行型ゴーレムを呼び出す。複数台のドローン。
高速突撃と機銃攻撃が得意な粋な奴だ
シェル姉も水着の洗礼を受けておいてね!
敵はゴーレムとシェル姉に任せるから、私は要救助者の避難を手伝うよ
それじゃ、行こう!
あ、ヴィクトリアちゃんの邪神チョイス水着も後で品評しよう!
●
着せ替えさせられた水着を見下ろし、セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)がふむと頷く。
セフィリカが着せ替えられたその水着は、極端に布地面積が小さなツーピース。ブラジリアン・ビキニと呼ばれるソレであった。
衆目の元で着るには、少々勇気が必要なほどの露出度の高さであるその水着。そんな水着に、セフィリカが動揺を見せる事は無かった。
(まぁ私は、可愛さ故に何着ても似合うしね?)
フフーン、としたドヤ顔を浮かべつつ、邪神チョイスのその水着をむしろ堂々と見せ付けていくセフィリカ。
自信満々に攻めていくその姿勢は、彼女自慢のボディラインの破壊力も相まってか実に蠱惑的。
ここが平和なビーチであれば、きっとセフィリカの周囲には一時の甘い夢を夢見る男達に囲まれていた事だろう。
……しかし、それにしてもだ。
「強制的に水着、ねー?」
『伝説の防具も布切れに変えてしまう罠、と考えれば怖いわよ』
「シェル姉は真面目だなぁ。ともあれ、うーん……」
ポツリと呟くその言葉に反応したのは、セフィリカが佩く魔剣に宿る姉と慕う女性人格。
生真面目な姉の分析にセフィリカの口から思わず苦笑が溢れるが……その認識は、セフィリカも同意見である。
突然の水着にホテルに滞在する一般人は混乱の最中にある。そんな要救助者が多数いる状況で、ホテル内の各所には弱者を狙う不届き者が多数潜んでいるのだ。
……可能な限り一般人を多く救う、その為には。
「……人手が、いるね?」
『今私、嫌な予感がしてるわ』
剣を鞘から抜き放ち、身体に宿る魔力を同調させる。剣に宿る姉の嫌そうな意思を感じるが、そこは無視だ。
そのまま刃の切っ先を床に突き立てれば、たちまち剣から目も眩む様な眩い光が溢れ出し……。
「それじゃ、よろしくね。シェル姉!」
顕れ出たのは、青の髪を持つエルフの女性と宙に浮く複数台の小型ゴーレム。
その正体は、セフィリカが姉と呼び慕う、魔剣に宿る女性人格。ヒトとしての姿を得た魔剣シェルファと、そのお付きのゴーレムである。
……任務遂行の為に、人手を増やす。セフィリカのその考えは、まぁ妥当と言えるだろう。シェルファとしてもそれは認める所である。
だが、しかし。しかしだ……!
「それはそれとして……シェル姉も、水着の洗礼を受けておいてね!」
「……セリカ、あんたまさか最初から……!」
シェルファが納得いかないのは、セフィリカのその態度。
手数を増やすだけなら、セフィリカには他にも手段があるはずだ。
それなのに自分を具現化させるとは……と、そこまで考えて。シェルファは一つの結論に思い至り、頭を抱えてしまう。
──この娘、最初から私に水着を着せる気であったのか!
「うんうん、良く似合ってるよシェル姉! 特に腰からお尻に掛けてのラインが実にセクシー!」
浮かれたようにシェルファの纏う水着、肩紐を首の前で交差させるデザインのツーピース水着を品評するセフィリカ。
……だが、セフィリカが目を付けたのはシェルファの胸を強調するようなトップスでは無い。
セフィリカが注目したのは、バックの布面積が極端に少ないVストリングと呼ばれる形状のボトム部分であった。
普段ヒトの姿で顕現する際は黒の長衣で顕れるシェルファ。そんな彼女のあられもないこの姿に、セフィリカさんはもう大満足と言った様子であった。
ともあれ、いつまでも遊んではいられない。今は務めを果たさねばならぬのだから。
「あぁ、もう。本当にこの娘は……遊んでないで、仕事をしなさいな!」
「おっといけない。それじゃ、敵はゴーレムとシェル姉に。私は要救助者の避難って事で……それじゃ、行こう!」
姉から雷を落とされて、半ば暴走していたセフィリカが我に返れば。後は手短な打ち合わせを済ませて、動くだけである。
駆け出すセフィリカ。その後に続くシェルファとゴーレム達。
手数を活かし、一般人の救助と誘導に専念したセフィリカ達の働きにより、多くの人々が無事に安全圏まで辿り着ける事になるのだった。
「……あ、ヴィクトリアちゃんの邪神チョイス水着も後で品評しよう!」
「絶対困惑するでしょうね……」
……お手柔らかに、お願いします。
大成功
🔵🔵🔵
リュドミーラ・シェスタコフ
み、水着にですか…どうしてそのような事に…
オブリビオンと守るべき人がいる以上、向かう理由は十分です。
衣服が水着に代わるその瞬間は服が無くなってしまったのではと、
すぐに水着を確認できるはずですが恥ずかしいですね。
水着を確認したら一安心…出来るかは形状次第かもしれませんが、
とくかくホテル内を進んで敵を倒し一般人を守りましょう。
敵を見つけたら「祈り」を込めた「全力魔法」の≪ジャッジメント・クルセイド≫で攻撃します。
なにやらホテルの中が沼のような雰囲気です…けれど、近付かずに撃ってしまえば…!
一般人には離れるよう促しますが、間に合わない時は「オーラ防御」の「結界術」で守り庇います。
アドリブ絡み歓迎です
六道銭・千里
あー……なんで邪教徒も、んな願いを……(顔を手で覆い)
ここ最近暑いからなぁ…脳が茹だっとったんやろうか……
まぁええわ…他所の世界で戦うことが多いからなぁ
たまには自分の世界のために働かせてもらおうか…
男やったら基本海パン系…まぁそんな変な水着にはならんやろうし(慢心)
(変な水着に当たったら)どうしてこうなった……
水着の上から六道銭羽織を肩にかけとく分には問題ないんやろうか?
『破魔』の力を籠めた冥銭を霊符に水綿を祓っていくわ
一般人は御縁玉の『結界術』で保護してな
おっと、足場が…
『式神』一反木綿の上に『空中浮遊』これで足場が悪いのを回避
んで、沼なら…下から迫りくる影鰐で喰ろうてもらおうか
●
「あー……」
六道銭・千里(冥府への水先案内人・f05038)の口から、疲れたような息が溢れる。
基本的に、他所の世界で戦う事が多い千里である。たまには自分の出身世界の為に働くのも悪くない。
今回彼が乗り込んできた理由は、そんな軽い理由だった。
……『例の結界』は少々厄介だが、女性陣には悪いが男なら基本は海パン系。
そんな変な事にはならんだろう、と。気も楽にホテルに飛び込んだ訳であるが……。
「どうして、こうなった……!」
その慢心の代償を、千里は今まさに払わされている最中であった。
千里が着せ替えさせられたのは、競泳用のタイトなデザインの物。布地面積を極力少なく、運動の際の妨げにならぬ様にと設計された……所謂、『ブーメランパンツ』と呼ばれる形状の物であった。
局部にピッチリと張り付くそのタイトさは、競技者の様に穿き慣れた物ならばまだしも穿き慣れない者には中々に厳しい。
それだけならまだしもこの水着、なぜだか妙に角度がエグいのだ。
……こんな水着をチョイスした結界にも、結界の主の邪神にも。どうしてこんなモンにしたと問い詰めたい所である。
「……邪教徒も、なんでこんな願いを……」
胸中を満たすなんとも言えない感情に、顔を手で覆う千里。
暑さで脳が茹だりこんな奇行に走った邪教徒に同情の念が無いではないが、彼らの行動の始末は付けねばならない。
嘆いてばかりもいられんか、と。肩から羽織る家伝の羽織物(お情けで残されたのかもしれない)を靡かせながら通路を往くと。
──カッ!
T字となった通路の奥、左から右へと迸る閃光が、一条、二条。
そして同時に感じ取るのは、清浄な神気を覆い包む様な、濃厚な瘴気と臭気。
恐らくは、猟兵と『水綿』が交戦中なのだろう。
(急が……っと、足場が……)
駆け出そうとした、その瞬間。足裏の違和感に気付くと同時に喚び出したのは、使役する式神『一反木綿』。
人を乗せ空を飛ぶこの式神を足場とすれば、沼と化した床に足を取られる事も無い。
スルッと飛び越え奥へと進めば……。
「──くっ、ぅ……!」
多数の『水綿』に追い詰められ苦悶の表情を浮かべる金髪碧眼の少女、リュドミーラ・シェスタコフ(機械仕掛けの女神官・f28286)がそこにはいた。
……良く見れば、リュドミーラの背には気を失い倒れ伏した一般人の姿が。
どうやらリュドミーラは、気絶して動けぬ一般人を庇う為、結界を駆使してこの場を維持し続けていたらしい。
(沼の様な足場では、後ろの方を背負って逃げる訳にも……!)
出来る事なら、この窮地から一般人をすぐに安全な場所へと連れ出したい。
だが、そう簡単に離脱は出来そうに無いのが現状だ。ならば、防御を捨てて攻撃に出るべきか?
いいや、それこそ悪手だ。猟兵である自分ならばこの環境にも耐えられるかもしれないが、一般人には、この瘴気と臭気漂う沼底の様な環境は厳しいだろう。
……最優先に考えるべきは、守るべき人の命。背中で倒れ伏す弱きいのちを守る、その最適解は……このまま結界を維持する事であるはず。
それに、この地には多くの猟兵が乗り込んできている。ならば、いずれ──!
「──喰らえ、影鰐」
救いの刻は、来るはずだ、と。そう信じ耐え抜いたリュドミーラの忍耐が、報われる時が来た。
青年の声……千里の声が響けば、沼と化した床の底から顕れたのは影の鰐。
強靭な鰐の顎門(あぎと)がその場に密集した『水綿』を咥えれば。たちまちの内に噛み砕き、弾けた粘体が通路に飛び散る。
一体、二体、三体……牙に砕かれ次々に消えていく『水綿』達。
「お疲れさん。よぉ耐えたね」
「あぁ……あ、ありがとうございます……!」
その姿を横目に見つつ、千里が労る様に声を掛ければ。リュドミーラもホッと安堵の息を漏らしてぺたりと座り込む。
……今回、この場に集まっていた『水綿』を掃討する決め手となったのは千里である。
だがその戦果も、リュドミーラの一般人を守るという意識の強さと守りの術あってこそである。
光の当たる目立つ活躍では無かったかもしれない。けれど、リュドミーラの献身が無ければ……今回の結果は逆転し、一般人は邪神の餌食となっていた事だろう。
(……それにしても)
ちらり、と。千里の視線が、リュドミーラの身体に映る。
清楚で清廉、そして柔和な表情の聖職者。だがそのスタイルは、小柄な体格とは思えぬ程の中々の物であるようで。
今、彼女の身体を包んでいるのは三角ビキニ。一般的にビキニと言われてイメージされる、基本形である。
だが、基本と侮る無かれ。肌を大きく晒しつつ一定の清楚さも光るこの水着をリュドミーラが着れば、その破壊力はかなりのもの。
しかも今、彼女は苦境を乗り越え荒い息を整えている真っ最中。頬を赤く染め、身体を伝う汗の雫が輝き……破壊力は更に倍、と言った所である。
……正直な所、健全な男子には中々に刺激がキツい光景である。
「あーっと……まずは一般人を介抱して、下の階に運んだ方がえぇやろか……」
「あ、はいっ。そうですね、そうしましょう」
誤魔化すかのように頬を掻く千里。その言葉に賛同し、今も倒れたままの一般人の介抱に移るリュドミーラ。
その後、二人の介抱を受けて意識を取り戻した一般人を連れて。二人は一旦安全圏へと退くのだった。
……なおリュドミーラが水着姿を異性に晒しているという現状に気付き、今度は羞恥に頬を染め上げるのは、5分ほど後の事である。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ルメリー・マレフィカールム
……水着結界。戦力を削ぐのが目的?
……理由は分からないけど、危険に晒される人がいるなら、助けに行かなきゃ。
まずは民間人を保護が優先。一刻でも早く見つけに行く。
見つけた人は安全な場所に連れていく。襲われているなら、逃がしてからオブリビオンと戦う。
戦うときは【走馬灯視】で[情報収集]。不定形の体の密度と初動から高速移動の方向を読んで、[早業]で仕掛けた『蜘蛛糸』で切断できるよう誘導する。
それでも動くなら、近づいてナイフで刺しに行く。瘴気を浴びるのは、覚悟の上。
……いつもの服じゃないから、ナイフをあまり持ち込めないのが厄介。
……装備を制限するつもりなら、確かに有効なのかも。
【アドリブ、協力歓迎】
秋月・信子
・WIZ
【太陽の家】
服だけが水着になって、身につけているホルスターやポーチはそのままですか
これはこれで、ちょっと恥ずかしいような…
『今更何言ってんのよ。男ってのは、そういうのがそそるものよ?』
屋上を目指して階段で登りつつ、各階に逃げ遅れた方が居ないかどうか部屋を可能な限り見て回ります
眷属が一般人を襲おうとしていたのなら、液体窒素と似た液剤を充填させた焙烙玉”彩”の【属性攻撃】で凍らせ【時間稼ぎ】を行います
その間に窓ガラスを割り、【影の迷宮】で作り出した屋上駐車場のロータリーのような緩やかな傾斜角度の非常通路を安全圏まで伸ばして【救助活動】と避難させながら、凍らせた敵のコアを撃ち抜き応戦します
●
(……水着結界。戦力を削ぐのが、目的?)
自らが纏う肌露出の多い衣服をしげしげと見つめながら、ルメリー・マレフィカールム(黄泉歩き・f23530)が小首を傾げる。
今ルメリーが纏うのは、肩紐の無いトップデザインのツーピース水着、オフショルダー・ビキニ。
デコルテラインを強調しつつ、小さな少女を可愛らしく飾るフリルがあしらわれた逸品である。
……酷いネタ水着を用意する一方、こういう中々の物も用意する例の結界と主の邪神。
本当に一体何を考えているのやら、と言った所であるが。ルメリーには何やら、不満があるご様子で。
(……いつもの服じゃないから、ナイフをあまり持ち込めないのが厄介)
その不満とは、常に纏うジャケットを着替えさせられた事で、持ち込む装備に制限を掛けられた事にある。
そぐわぬ場で水着に着替えさせられ肌を晒す羞恥より、戦闘の際に於ける不利を案じる。
それは全て、危険に晒されるかもしれない人々を助けたいと願う、ルメリーの正義感の強さ故だ。
……とは言え、少しは恥じらってもとは思うが。そこはまぁ、ご愛嬌と言った所だろう。
一方、そんなルメリーとは違い羞恥に頬を染める者もいる。
チューブトップのフロント部分が捻れたようなデザインの、ツイストバンドゥと呼ばれるタイプのビキニ水着を着せられた、秋月・信子(魔弾の射手・f00732)である。
信子のきめ細やかで色白い肌を映えさせるが如く、纏う水着の色は黒一色。恐らく信子の影に宿る『姉』の影響もあるのだろう。
……変に過激な水着では無く、まずは一安心。だが、それはそれとして……。
「身に着けているホルスターやポーチは、そのままですか……」
信子が妙に気になるのは、服の下に身に着けていた装備品がそのまま残った事にあった。
……装備品を持ち込めた事で、戦闘に支障は無い。それはまぁ、良いのだが。
「……これはこれで、ちょっと恥ずかしいような……」
黒い水着に覆われた豊かな胸を押し上げるかのように主張する、拳銃を収めたホルスター。
なんとも言えないミスマッチな組み合わせに、常識人の信子としては何とも言えない気分である。
『今更何言ってんのよ。男ってのは、そういうのが唆るものよ?』
「……なるほど、そういう武器の持ち込み方が」
そんな信子の頭に響く『姉』の声。そしてその手があったかと、僅かに目を見開くルメリー。
……どうやら、今この場には信子のこのモヤモヤに同意してくれる人はいないらしい。
小さな溜息と苦笑を溢す信子。そんな信子の反応に、首を傾げるルメリー。
どこか和やかな空気が漂うが……その空気は、長くは続かなかった。
──だ、誰かぁーっ!!
女性の声が、聞こえた。助けを請い求める、切羽詰まった呼び声だ。
抜けるような明瞭な声ではなく、くぐもった様に聞こえたのは、どこかの客室の内側からの声だからか。
……常人なら、その声の元を探り当てるのは簡単では無いだろう。だが、観察力と洞察力に優れた信子とルメリーであれば……声の聞こえた部屋を割り出す事など、造作も無い。
「──こっち」
「急ぎましょう!」
駆け出すルメリーと信子。
駆けて、駆けて……辿り着いた部屋の扉は、既に破壊されていた。
既に部屋の内側からは濃厚な瘴気とヘドロを思わせる悪臭が感じられる。
……最早、一刻の猶予も無い。逸る気持ちをそのままに、二人が部屋へ踏み込めば……。
「ぅ、ぁ……」
「や、やぁ……ぬるぬるして気持ち悪、ってひゃぁっ!?」
そこに居たのは、二人の女性に襲いかかる『水綿』のその姿。
まさか、遅かったのか……そう思ったが、何やら様子がおかしい事に信子とルメリーは気付く。
呻き声を上げ、『水綿』の不定形に身体を囚われた二人の女性。
だが二人の姿は……一糸も纏わぬ、生まれたままの姿であったのだ。
「え、えぇー……?」
「……信子。見て」
思わず困惑したような声をあげる信子に対して、『水綿』に向けて指を示すルメリー。
その指を指し示された『水綿』の不定形の身体の内には……女性用水着が、二着あった。
まさか、この女性達の水着を『水綿』が奪ったのか? 何故? 何の為に?
……浮かぶ疑問は尽きないが、それを追求するのは今は後回し。まずは急ぎ、一般人を救わねばならない。
気を切り替えて、まず動いたのは信子であった。
「牽制します! その隙に──!」
取り出したのは、液体窒素に似た冷気を充填させた焙烙玉。
放り投げた焙烙から放出された冷気が部屋に満ち、沼底へと変じていた部屋を固め、『水綿』の動きを縛っていく。
「──任せて」
急速な温度の低下に、女性を捉えていた不定形の身体が萎縮したように縮こまる。
その一瞬の隙を突き、距離を詰めたルメリーがナイフを振るえば……女性達の縛めは裂かれて砕かれ、その身に自由を取り戻す。
「こちらです! 早く!」
一瞬の出来事に、何が起きたのかと困惑したままの女性達。
そんな二人に声を掛け、肩を貸して。信子はそのまま部屋に一つだけの窓へと向かい。
「──っ!」
ホルスターから銃を引き抜き、発砲。音を立ててガラスが割れる。
……まさか、ここから飛び降りろと? 顔を蒼くする女性たちだが、そうではない。
「……影の迷宮よ」
瞳を閉じて信子が念じれば、ホテルの影が捻れて曲がる。そうしてそのままその形を変えて創り出したのは……安全圏まで続く、緩やかな傾斜の避難通路だ。
……【影の迷宮(シャドウ・ラビュリントス)】。影の迷宮を創り出す、信子のユーベルコードの一つである。
今回信子はその業を応用し、一般人を逃す為の非情通路を創り出したのだ。
「終点まで振り返らないで。安全圏まで続いていますから」
ベッドから回収したシーツを女性たちに羽織らせながら、安心させる様に微笑む信子。
そんな信子の柔らかな笑みを見れば、女性達も信じて影の迷宮へ飛び込んでいく。
……これで何とか、彼女達を危地から救うことは出来ただろう。だが、戦いは終わらない。
冷気に身体を凍らせた、『水綿』が蠢く。窓ガラスが割れた事で冷気が漏れ、身体の自由を取り戻したらしい。
瘴気と臭気を纏わせ、うぞうぞと身体を動かす『水綿』のその姿に……信子が思わず、纏う水着を胸で抱く。
「……」
そんな信子と対称的に、ルメリーはじっと身構えて動かない。
赤の瞳が見つめるのは、不定形の異形の一挙手一投足。死の間際の様に引き伸ばされた主観時間の中で、敵の様子を見極めて……。
──ズアッ!
動き出す、不定形。まるでルメリーを一飲みにしようかと言うように、伸びる不定形のその身体。
高速で迫る、邪神の眷属。だがそれでも、ルメリーは動じない。
あと少し、もう少し。冷静に、見極めて──今!
「──見えた」
銀閃、一閃。振るわれたナイフが煌めいて、不定形の身体のその核を見事に突けば。
──パンッ!
と、水風船が割れるような音を立てて。『水綿』の身体が、弾けて消える。
弾けた飛沫が、瘴気が、汚臭が。ルメリーの白い肌と銀の髪を穢していくが……こうなるのは、覚悟の上だ。
「……他にも襲われている人がいるかも。探しに行こう」
床に落ちた水着を拾い上げ、ルメリーが淡々と呟く。
そんなルメリーを、流石にそのままにはしておけず。信子は部屋に備えられたタオルで、ルメリーの穢れを拭ってやるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『水着弁慶』
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POW : 水着簒奪杖術
【手にした水着物干し竿】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : わたしこうなりたいんだ
【理想の緑髪の男の娘聖騎士】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 水着は食べ物
【女性用水着が欲しい】という願いを【有無も言わせぬ気迫で周囲】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
イラスト:くらりん
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「山梨・玄信」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
『強制的に水着に着替えさせる』という、実に頭の悪い結界に覆われた高級ホテル。
その結界の内側で暗躍する邪神の眷属を、猟兵達はその力を尽くし討ち倒し……混乱し惑う多くの人々を、救うに至った。
ホテル内に滞在していた宿泊客とスタッフの、安全圏となったホテル下層への退避は完了したのだ。
グリモア猟兵からその知らせを受ければ、猟兵達が一斉に動き出す。
目指すはホテル、最上階。屋上にある、屋外プール施設である。
その場には、打倒するべき邪神がいるはずだ。討ち祓う事が出来れば、こんな頭の悪い結界も消えてなくなるはずである。
階段を駆け上る猟兵達が、遂に屋上へと辿り着き……屋上へと、雪崩込む。
『むむっ、何奴!!』
そこにいたのは、筋骨隆々の大男。
だがその身に纏うのは競泳水着。手に携えた棒には幾つもの女性用水着が翻り、背負う籠には以下略。
……水着の類は、宿泊客から強奪したのか。それとも元々持っていたのか。
何にせよ、紛うこと無き変態がそこにはいた。
『誰が変態だ! 失礼な!!』
憤激する男。だがその格好は変態以外の何者でもないだろう。
……ところで、なんでこんな結界をと猟兵が問えば。男は怒りをひとまず横に置き、語り始める。
『この世の衣服を全て水着にという、崇高なる願い。それは我が目的とも合致するものよ! 世の衣服が水着ばかりとなれば、その目的を達する早道となろう!』
どこか威厳と威圧すら感じる男の語り。変態であっても、邪神の一柱であるという事か。
それで、その目的とは一体……?
『我が目的を知りたいか! ならば教えて進ぜよう! 我が目的とは……!』
数秒、言葉を貯めて邪神が叫ぶ。
『──理想の男の娘に! 緑髪の男の娘聖騎士となることよ!』
…………ん? うん???
猟兵達の頭に浮かび上がるクエスチョンマーク。あれ? なんか重要なところ、聞き逃したりしたっけ?
『我が目的を果たす為! 理想の男の娘となる為に! お主等の水着も、奪ってくれようぞ!』
困惑する猟兵達を他所に、変態……じゃなかった、邪神が動き出す。
何ともアレな空気の中、邪神『水着弁慶』との戦いが始まろうとしていた。
====================
●第ニ章、補足
第ニ章はボス戦。
ホテルの屋上にある屋外プールに降臨した変態……じゃなく、邪神との決戦。
敵は『水着弁慶』となります。
非常にアレな見た目と野望の為に動くアレな敵です。
ですが、結界の強力さなどから想像が付く通り、その実力は本物です。
見た目とアレな発言に惑わされる事なく、油断なく挑むと良いでしょう。
戦場となるのは、ホテル屋上の屋外プール。
プールサイドは広く、戦闘に支障を来す事はありません。
ただし、屋外プール各所にはこの時期のイベントの為に色々と物が置かれています。
あまり派手な戦いをすると、この後に問題が起きるかもしれません。
また、第二章中も皆さんの衣装は水着のままです。
一章参加者の方はそのまま。二章から参加の方もこちらでランダムダイスを振らせて頂きます。
途中参加をご希望の方は、徳を積み上げた状態でご参加下されば幸いです。
なお、『水着弁慶』は『女性用下着を大量に集めると理想の男の子になれる』と信じ込み、そこに至る事を目的としています。
当然、いくら水着を集めても理想の男の子になれるなどという事実はありませんが、無慈悲に事実を突きつけても彼は止まりません。
変態は殴り倒して止める他は無いのです。遠慮せずにやってしまえば良いでしょう。
水際に立つ、変t……でなく、おそるべきじゃしん。
猟兵達は敵を討ち倒し、野望を止める事が出来るのか。
それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております!
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●お詫びと訂正
上記補足にて、『女性用下着を大量に集めると理想の男の子になれる』と信じ込み〜とありますが、正しくは『女性用水着』の間違いです。
訂正して、お詫び申し上げます。
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六道銭・千里
邪教徒なアレな願い叶える邪神…まぁ、まともなんちゃうやろって思ってはおったけど…はぁ……(ため息)
ガタイはまぁしゃあない
ただ、髪はカツラなりでなんとかなるし、化粧で最近は顔も偽れる
そもそも聖騎士と水着の因果が分からん…
男の娘な知り合いがおる身としては一言
本気度が足らんな
まぁ邪神に言っても無駄やけど…
女性用水着を狙うなら俺が矢面に立つか
銭貫文棒を手に近接戦、物干し竿を『武器受け』
そっちが布ならこっちも、一反木綿を銭貫文棒に巻きつけ敵の竿と絡め動きを封じる【ロープワーク&捕縛】
この距離やったら逃げられんよな
霊符で強化した【破魔】この拳、存分に味わい
●
いきり立つ、『水着弁慶』。
彼が一歩こちらへ歩みを進めるその度に屋外プールに漂う圧力は増し、猟兵達の身体を邪気が蝕む。
……成程。確かに敵の力は強大なようだ。
だが、しかしだ。
「邪教徒のアレな願い叶える邪神……まぁ、まともなんちゃうやろって思ってはおったけど」
局部にぴっちり張り付くブーメランパンツに家伝の羽織物を羽織った男が、ボヤく。
千里のその呟きは、猟兵達が一様に抱いた感想であった。
『水着結界』などという頭の悪い結界を生み出した手合である。いくら強力な力を持っていようが、その性質がマトモな物では無いだろうという事は予想がついていた。
だが、それにしたって……相手のアレさは、想定の範囲を遥かに超える物で。
「……はぁぁぁぁぁ」
知らず、深く長い溜息が千里の口から漏れていくのも無理からぬ事であろう。
……ともあれ、相手のしたい事は判った。故にひとこと言っておきたい事が、千里にはある。
「とりあえず……あんたには、本気度が足らんな」
千里には、男の娘な知り合いがいる。
そんな知り合いのその姿と比べれば、目の前の変質者のその姿は何もかもが中途半端だ。
ガタイはまぁ、しょうがないとしても。髪はカツラなりで何とでもなるし、最近の化粧品と技術があれば、顔もある程度作り偽る事も出来るだろう。
そういった努力も無しに、他者の水着を奪ってどうこうなどと。お里が知れる、と言ったものである。
……そもそも、聖騎士と水着の因果が判らんし。ホント、どういう繋がりなのか。
『何を! 我が目的を愚弄するか!』
そんな疲れたような千里の糾弾の声を聞けば、『水着弁慶』はますます猛る。
その目に映るは、千里の姿ただひとつ。どうやら十分敵意を惹き付ける事が出来たらしい。
(女性用水着を狙うなら、俺が矢面に立った方がえぇやろ)
その状況は、まさに千里の狙い通り。
女性用水着を狙う敵の意識を惹き付けて、女性陣がアレな野望の毒牙に掛かる危険性を可能な限り遠ざける為の、自己犠牲の発露であった。
『その愚かさ、打擲してくれん!』
そんな千里の挑発に容易く乗って、振るわれる物干し竿。
その一撃を迎え撃つは、千里が護符を連ね束ねて創り上げた、変幻自在の銭貫文棒。
──ガッ!
棒が打ち合い、響く衝撃音。
『水着弁慶』の一撃は、鋭く、疾く、何よりも重い。
だがその打撃を真正面から受け止めた千里の棒捌きも見事なものだ。
『受けたか、見事……ぬっ!?』
邪神もそう感じたか、千里の棒術を褒め称えるかのように言葉を紡ぎ……次の瞬間、表情を変えた。
いつの間に、だろうか。交錯し力比べの状況となった物干し竿と銭貫文棒を結びつけるかのように、一枚の布が巻き付いていたのだ。
……その布の正体は、千里の使役する妖怪『一反木綿』。先程の戦いでは足場となったその妖怪を、今度は敵の竿の自由を奪う縛めとして、千里は活用したのだ。
「この距離やったら、逃げられんよな」
絡み合う棒に困惑し動きが止まった邪神のその懐へ、一歩踏み込む千里。
その掌の内には、一枚の霊符。ぐしゃりと握り潰すかのように拳を握れば、千里の身体能力が一段高まる。
身体強化は、千里の生家の十八番だ。そのお家芸で高めた力を、振り抜き放つ!
「──歯ぁ、食いしばりぃッ!」
ほぼゼロ距離で放たれた右拳。腰の位置から振り上げられた拳が狙うのは、『水着弁慶』の胴の中央。
いわゆる、ストマック・ブローと呼ばれるその一撃が……見事に、邪神の胴を穿つ!
『ガッ──!? グ、ゴッ、ぉ……』
胃に食い込んだ鋭い拳に、苦悶の表情を浮かべる『水着弁慶』。
一歩、二歩と脚を揺らして退くが……。
『この、程度で……我が目的は、潰えんわぁッ!』
響く咆哮。地を踏みしめる邪神の戦意は、未だ萎えず。
だが、先制の一打は見事に決まった。戦いは猟兵にとって幸先の良い形で、幕を上げたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
唐草・魅華音
わたしは比較的マシな方だったみたいですね……ものによってはさすがに羞恥に耐え切れなかったかもしれません。
…気を取り直し。目標、邪神改めただの変態。排除開始するよ。
変態に論理をぶつけても仕方ないけれど……水着を集めたければわざわざ他人のものを変えるより自分で作る方が効率良いのでは?
周りのものに配慮が必要みたいだし、刀中心で戦うよ。
【ダッシュ】で接近、銃を向けて撃つと見せかける【フェイント】をいれて戸惑わせた隙をつき「転ばせて、マメット」と<愉快な豆の木マメット>に声をかけて足に絡ませる【ロープワーク】でバランスを崩させ、UCの一撃を打ち込みます。
アドリブ・共闘OK
篁・綾
アドリブ連携歓迎だわ。
…知り合いに居るわね、それっぽい人が
…私のは構造的にそう簒奪出来ないでしょう
…ちょっとまって、どういう理屈で紐が―――!?
…と、ならないように指定UCを使用。
攻撃を受けそうになったら【残像】を残し無数の花びらになり(水着ガード)【目潰し】、
【カウンター】で【精神攻撃、催眠術、マヒ攻撃】を駆使して水着を奪えたという幻を見せておくわ。
…幻の中の私は大惨事かも知れないけど、私じゃないし別にいいわよね
あわよくば他の人からも簒奪し、緑髪の人になれた幻でもいいでしょう。
幻によって隙が出来たら【鎧無視攻撃、だまし討ち、呪詛、毒使い】を駆使してバッサリと。
いい夢は見れたかしら?
●
屋外プールに響く、邪神の咆哮。その雄叫びは、戦闘の激化を猟兵たちに感じさせる。だがそうなると、猟兵達にとって若干の不都合もある。
何故なら、今この場に集っている猟兵達の身は衣服は水着であるからだ。戦闘が激しくなり、同時に動きも激しくなれば……色々とまろび出てしまう危険性も、高まってしまう事だろう。
「そういった意味では、わたし達は比較的マシな方だったみたいですね」
「本当に、その通りね」
そんな猟兵達の中にあって、Uバックワンピース姿の魅華音と、モノキニ姿の綾が言葉を交わす。
猟兵達の中には、かなり際どい布面積の者も多い。それどころか、『それは本当に水着なのか?』と目を疑う様な物を着せられた者もいる。
……もし仮にあんな物を着せられていたら。流石に羞恥に身を縮こませて、身動きを取ることも出来なかっただろう。
「……気を取り直し。目標、邪神改めただの変態です」
「えぇ、変質者はさっさと討ち倒してしまいましょう」
ともあれ、今は戦いの時。眼の前の変態を討ち滅ぼし、この頭の悪い結界を解く事が最優先だ。
排除開始を告げる魅華音の言葉に同意するかのように綾が頷けば、二人は携えた刃を引き抜く。
……夜の水辺で、煌めく刃を携えて。戦意を高める水着姿の美少女が二人。何とも絵になる構図である。
『来るか! 水着を奪われる覚悟は出来ておるだろうな!』
そうして駆け出す魅華音と綾を、迎え撃つかのように『水着弁慶』が再び吠えた。
仁王立ちする頑健な巨躯。その手に携えた物干し竿が振るわれて、括られた女性用水着がはためく。
(……水着を集めたければ、他人から奪うよりも自分で作る方が効率が良いのでは?)
その光景に一瞬、魅華音の脳裏を疑問が過るが、その疑問はすぐに打ち消す。
……どうせロクな答えが返ってこない事など目に見えているし。変態に論理をぶつけても、仕方がないのだから。
「──踏み込む」
そんな魅華音よりも疾く、更に一歩踏み込んだのは綾だった。
残像を残すかのようなその歩法、その捷さは、まさに疾風。刹那の間に距離を詰め、抜き放った白刃を振るう。
が、しかし。
『遅いわぁっ!』
振るわれた剣閃は、物干し竿に阻まれた。
アレな外見な変質者とは言え、腐っても『弁慶』の名を持つ者か。戦闘に関する技量は、中々の物であるらしい。
お返しに、とばかりに振るわれる竿。ゾワリと背筋に走った感覚に、綾は相手の狙いを理解する。
──間違いない、水着を剥ぎ取りに来ている!
(……でも、私の水着(モノキニ)は構造的にはそう簡単には簒奪出来ないでしょう)
綾のその考えは、正しい。
モノキニ水着は、ビキニの変型の一種であるとは言われているが……その性質は、どちらかと言えばワンピースタイプの水着に近い。つまり、通常のビキニタイプの水着と比べれば、着脱には若干の手間が掛かるのだ。
……しかし、綾は忘れてはいないだろうか。猟兵とオブリビオンの戦いにおいて振るわれるその力は、『理外の力』である事を。
「……はっ?」
はらり、と感じた開放感に思わずと言った声を溢す綾。
気づけば背の紐が外されて、肩紐もまたズラされ外されていた。
「ちょっと待って、どういう理屈で紐が──っ!?」
慌てて声をあげるが、もう遅い。水着は容易く奪われて、綾の整った白い肢体が露わとなる。
……理屈を無視し、道理を超越し、女性水着を容易く奪う邪神。その力の、なんと恐ろしい事か……!
『ぐわっはっは! 水着一着、奪ったり! さて、次はお主の番ぞ!』
呵々大笑し、綾の纏っていた水着を掲げる変態。その食指が次に狙うのは、当然魅華音だ。
まさかの光景に顔を青くする魅華音。必死の抵抗を見せるも、そのUバックワンピースに竿が伸び……魅華音もまた、その白く可憐な肢体を晒すことになるのだった。
………
……
…
「──とならないように、幻を見せておいたのよ」
「成程……」
舞う桜吹雪の中、両の手を天高く掲げ酔ったように笑う変質者。その姿を白い目で見つめる、二人の少女。
並び立つ二人の正体は勿論、魅華音と綾である。二人が纏う水着もまた、健在であった。
「……まぁ、幻の中の私は大惨事かもしれないけど。私じゃないし、別にいいわよね」
吐き捨てるように一言呟き、改めて刃を構える綾。
視線の先で鼻の下を伸ばす変態の姿を見る目は、まるで動く汚物を見るかのように冷え切っていた。
……ここまで来れば、判るだろう。猟兵とオブリビオンの戦いが『理外の力』のぶつけ合いである事を、綾は忘れてなどいなかったのだという事を。
むしろ、その事実を深く理解していたからこそ。綾は、備えの一手を打ったのだ。
【朧桜化身(ロウオウケシン)】。綾の持つユーベルコードの一つである。
その特徴は、己の身体を『自在に集合離散可能な眠りと幻を齎す桜吹雪』へと変異させるという物。
……邪神の棒が、綾の水着を狙ったあの瞬間。綾はその力を使い、攻撃を躱していた。
その上で敵の意識を惑わし、水着を奪えたという甘い夢の中に邪神を落としていたのだ。
「それじゃあ、バッサリとやってしまいましょうか」
「ですね……転がせて、マメット」
綾のその言葉に頷いて、魅華音が呼びかけたのは自身の身体に共生する愉快な豆の木。
自在に伸縮吸着する豆の木の蔓が伸び、今も幻の中にいる変態の脚に絡みつき、動きを塞ぐ。
『おうっ!? 何が……むっ! 我が水着は、どこへっ!?』
その衝撃に、変態はようやく我に返ったようだが、もう遅い。
狼狽え、幻の中で手にした水着を求めて視線を巡らす変態に向けて……。
「「お前の水着じゃないでしょう!」」
嫌悪感にシンクロする少女達の声。そして同時に。
──斬ッ!!
二振りの怒りの刃が閃けば。変態の両脇が裂かれ、吹き出す鮮血が戦場を穢す。
魅華音と綾。二人の少女は、変態に確かな手傷を与えたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
政木・朱鞠
夢見ることは大事だけど…貴方の非道は見過ごせないんだよね。
『水着弁慶』の特殊嗜好が何の終末のトリガーに悪用されるかわからないけど…謎理論で未来を好きに喰い潰されるわけにはいかないんだよね。
貴方の邪な心ごと砕き折ってから骸の海に帰ってもらうよ。
戦闘【SPD】
行動を鈍らせる事に重きを置いてユーベルコード『咎力封じ』を使用して、理想の緑髪の男の娘聖騎士ごと動きを鎖で封じた後に武器でアタックだよ。
なんだか…体が直接触れるのは危ないので、念のために得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使い敵の体に鎖を絡めて【傷口をえぐる】で絞め潰すダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
ルメリー・マレフィカールム
……夢を持っているのは、素敵なことだと思う。
……でも、他の人を巻き込むのは駄目。あなたに恨みは無いけど、倒させてもらう。
まずは『死者の瞳』で[情報収集]。弁慶と騎士の位置や行動を観察して、繰り出す攻撃や隙を予測する。
相手の攻撃は、避けるかナイフを使って逸らすようにする。時々反撃もして、出来る限りナイフに注目させる。
騎士に隙ができたら、ナイフを急所に投擲して牽制。同時に[早業]で弁慶の懐に踏み込んで、【夢幻刀】で作った二本目のナイフで攻撃する。
「唯一の武器を捨てた」と思わせて、その虚をつければ良い。もし失敗しても、攻撃に対応させること自体が誰かのチャンスになるはず。
【アドリブ、協力歓迎】
●
『ぐぅぅ──墳ッ!!』
両脇から鮮血を吹き出す変態のその口から吹き出る、鋭い呼気。
次の瞬間、全身の筋肉が膨れ上がり吹き出ていた血が止まる。
どうやら筋肉を膨張させた事で傷口付近の血管を収縮させ、止血処置を施したらしい。
『我が夢、この程度の刀傷で阻める等と思うでないわ!』
吠え立てるその姿は、実に勇ましい。
夢の実現の為にと戦意を燃やすその姿には、共感を覚える者もいるかもしれない。
「……夢を持っているのは、素敵なことだと思う」
事実ルメリーの様に、その姿に何某かの思いを抱いた様な呟きを溢す者がいるのだから。
だが、だからと言ってだ。
「……でも他の人を巻き込むのは、駄目」
「そうね。夢見る事は大事だけど……貴方の非道は、見過ごせないんだよね」
その夢の為に、犠牲者を生み出すやり方を許容する事は出来はしない。ルメリーの反駁の言葉に、朱鞠も頷く。
……『水着弁慶』が抱え、実現へとひた走る夢。だがその夢と実現の為に生み出された『水着結界』のその力は、どんな終末のトリガーに転用され、悪用されるかは判らない。
「謎理論で未来を好きに食い潰される前に、邪な心ごと砕き折って躯の海に帰ってもらうよ」
「あなたに恨みは無いけれど、倒させてもらう」
咎を吸った鎖型の拷問具を、手に携えた無銘のナイフを。それぞれ構える朱鞠とルメリー。
金と銀の髪、褐色と白の肌。大人の色気と少女の愛らしさを際立たせた水着。
対称的な二人の猟兵であったが、その胸に宿る思いは一緒だった。
『おのれぇ……! 我が夢の素晴らしさを理解できぬ、愚昧な小娘どもめが!』
戦意を滾らす猟兵のその姿に、激する邪神。
その手に構えた物干し竿で、ドンッ! と地を叩けば……揺れ動き出す、屋上の空気。
『ならば、魅せてやろう! 我が夢が成し遂げられれば、どうなるか……その断片を!』
──参られい、我が理想! 緑髪の男の娘聖騎士よ!!
喚び声も高く、邪神が請えば。震える空気が歪み出し、顕れ出るは一人の人影。
華奢な体躯に纏うは、白銀の軽鎧。その手に携えるは二振りの聖剣。肩の辺りまで伸びた髪に、黄色の髪紐が映える。
……彼こそが、邪神『水着弁慶』が理想とする男の娘。『緑髪の男の娘聖騎士』の、その姿であった。
「……え、えぇー……?」
その姿を見て、朱鞠の口から溢れたのは……何とも言えない声であった。
なんかこう、どこかで見たことがあるような。具体的には、グリモアベースの辺りとかで。
小首を傾げ怪訝そうな目で見つめるルメリーも、きっと同じ様な事を思っている事だろう。
『ぐわっはっはっは!! 我が理想の姿の素晴らしさに言葉も出ぬか! そうであろう、実に可愛らしかろう!!』
そんな朱鞠とルメリーの態度に、何を勘違いしたのか。喜びの声をあげながら、変態が笑う。
『我は……いや。わたし、こうなりたいんだ! その為に……その水着、奪わせて貰おう……じゃなくて、奪わせて貰うよ!』
あまつさえ、出来る限り声色を高く変えて何やら妄言を叫びだす始末である。
……会話してると、頭が痛くなりそうだ。
「……さっさと殴って、終わらせようか?」
「……ん。そうする」
心底疲れ切った様な朱鞠の呟きに頷き返せば、ルメリーの赤い瞳が輝きを増す。
迫り来る変態と騎士は、騎士を前衛にした縦並び。恐らくは騎士の双剣は抑え役。攻撃の本命は変態の竿だろう。
引き伸ばされた主観時間の中で、敵の動きを見極めたルメリーが予測を付けて、動き出す。
……果たして、敵の動きはルメリーのその予測の通り。振るわれた刃の連撃を躱し、突き入れられた棒をナイフで逸らす。
(大丈夫。視えてる……)
次々と繰り出される攻撃を前に、ルメリーは冷静沈着だった。敵の攻撃は予測の範囲内の物でしか無く、手数の不利も苦ではない。
刃が来る。躱す。棒が突き出る。逸らす。また閃く刃を、打ち払う。上から振り下ろされた棒の軌道を、叩いてズラす。
(そして、この状況が続けば……こう、なる)
攻撃を捌かれ続けた事に痺れを切らしたか。騎士の振るう剣が、ほんの僅かに大振りとなる。
その瞬間を狙い澄まし、ルメリーの手が閃く。手に構えたナイフを投擲したのだ。
狙いは、騎士の首元。鎧の保護を受けていない人体急所の一つに迫るルメリーの刃を、騎士は慌てて剣で受けた。
『愚かな! 唯一の武器を捨てるとは……じゃなくて、捨てるなんてね!』
そのルメリーの行いを愚行と切って捨て、嘲笑うのは高い声のままの『水着弁慶』。
確かに、唯一の武器を失ったルメリーの行いは愚かであるかもしれない。だが、真に愚かなのはどちらであろうか?
こうして邪神の意識を惹き付ける事こそが。ルメリーの、真の狙いなのだから。
「──いま」
「任せて──!」
淡々と響く、ルメリーの声。その呼び声に答えたのは、朱鞠。
振るわれた手から放たれたのは、ユーベルコード製の拘束具。手枷が、猿轡が、拘束ロープが、騎士の身体を縛め縛り上げていく。
『おっ、おぉ……!? 何ということを……いや、これはこれで!』
拘束された理想の男の娘のその姿に、一瞬悲嘆の声を上げた邪神であったが、その声はすぐに明るく変わる。
どうやら何か新しい価値観に目覚めかけているご様子であるが……何に目覚めようとしているのか、想像するのもアレである。
(な、なんだか直接触れるのは危ないかなぁ……だったら!)
そんな変態の様子にドン引きしつつ、朱鞠が再び振るうは鎖の拷問具。
投げ付けられた棘付き鎖は、騎士と変態を同時に拘束。
「そんなに理想の男の娘が好きなら、一緒に潰されてなさいな!」
そうしてそのまま、二人纏めて縛り上げる。
ギチギチギチ、と音を立てる鎖。棘が身を穿ち、じわり、じわりとダメージを与えていき……。
「……まだ、終わりじゃない」
追い打つ様に、ルメリーがユーベルコードで生成したナイフを打ち込めば。
『わ、我が理想の男の娘と苦を共にする……おぉ、ぉおお……!』
立て続けのダメージに限界を迎えて消える騎士。
しかしそれを気にせずに。その場に残る変態は、謎の悦びの声をあげるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フェリクス・フォルクエイン
アドリブ&連携歓迎
「緑髪の男の娘聖騎士?」
いったいだれなんでしょうね。(棒読み)
「僕はごく普通の聖騎士ですっ!」
それ以上でもいかでもないです、たぶん
「ともあれ、ホテルの方に迷惑をかける存在を放置もできませんし早急に処置しましょうか」
「行きますよ、エミリア」
とサキュバス形態の愛馬に声をかけ戦闘へ。尚、ペガサスの姿で水着にされるよりはマシかと思っただけで他意はありません
「強制的に水着にされてしまうなら仕方ありませんよね」
とUCで水着姿に
「距離をとって遠距離攻撃に専念すれば――」
ラッキースケベ的な何かだって起こらない筈(フラグ?)
そのまま飛び回りつつ容赦なく男の娘砲で撃ちます
「何だか妙に疲れました」
●
(……うっわぁ……)
登場した『緑髪の男の娘聖騎士』、そして最期を見届けた、フェリクス・フォルクエイン(人間の天馬聖騎士・f00171)の瞳からハイライトが消える。肩まで伸びた緑の髪のツヤは無く、少女と見間違える様な愛らしい顔からも生気が完全に消えていた。
……正直、あの変態の言葉に嫌な予想はしてはいた。グリモア猟兵としての直感も、嫌な予感を告げていた。
その嫌な予感の通り……顕れた変態の理想のその姿は、フェリクスの姿と瓜二つであったのだ。
「緑髪の男の娘聖騎士? いったいだれなんでしょうね?」
ははは、と響く乾いた笑い声。自嘲するかのようなフェリクスのその声に同調する声は、無い。
いやホント、どうしてこんな敵を作ったと。大丈夫? 発注主と肖像権とかのトラブル発生してない? コンセンサス、取れてる?
……なんだかこう、第四の壁を超えた所の要らない心配が浮かんだりしてくるが。
『──おっ、おぉぉぉ……!?』
話をこの次元に戻そう。
響いた野太い声に視線を向ければ、変態の熱い視線がフェリクスの姿を捉えていた。
その瞳は熱く潤み、追い求めた存在との邂逅に感極まったかのよう。
……いや、事実。彼は今、感極まっていたのだ。
『その緑の髪! その華奢な体躯! その声! ……鎧姿でこそ無いが、まさしく我が理想の男の娘聖騎士!!』
「ち、ちがっ……僕はごく普通の聖騎士ですっ!」
暑苦しいその視線に思わず背筋が粟立って、否定するかのように慌てて叫ぶフェリクス。
だがその否定の声色は、ますます変態を心酔させるかのように響いたらしく。変態の目に篭もる熱が、更に一段高まるのをフェリクスは感じていた。
……これは、下手に関わりを持つとなんかアレな事になりそうだ。
そもそも、各所に迷惑をかける存在を放置もできないし。
「早急に、処理しましょう。行きますよ、エミリア!」
付き従う愛馬……サキュバス形態のエミリアに声をかける。当然、愛馬もまた水着姿である。
ちなみに解説すると。現在のフェリクスとエミリアが纏うのはほぼ共通のデザインのビキニタイプの水着であった。
ただし、違う点が一つある。それは、お互いのボトム部分にある。
フェリクスはホットパンツ状となったボーイレッグ。サキュバス形態の愛馬の方は、中々に攻めた浅さのローライズである。
ランダムに振られる水着デザインのはずだが、割と対称的な感じに収まったのは……これも一つの運命なのだろうか?
そんな水着姿のまま、フェリクスは数歩前へと進み出て……くるり、とその場で一回転。瞬間、周囲に漂うバラの花弁が踊り出す。
(強制的に水着にされてしまうなら……)
【渚のプリンセス(ナギサノプリンセス)】。フェリクスが持つ、ユーベルコードの一つである。その特徴は、『女性用水着姿に変身する事で敵を魅了する』という物だ。
……既に、邪神の結界の影響でフェリクスは水着姿となっている。ならば、このユーベルコードは有効であるはずだと判断しての行動であったが……。
「ぼ、僕の水着姿……どう、かな?」
『──ホッ、ホワァァァ! ◎△$♪×¥●&%#?!?!?』
フェリクスの魅了は、些か効き過ぎたか。変態が、叫ぶ。
極度の興奮状態に言語野が崩壊したのか、その叫びはまさに理解不能。
……いやそもそも、奴の行動とかも理解不能だったし。そう大して状況は変わってないのでは無かろうか?
「あ、あとは距離をとって遠距離攻撃に専念すれば……」
奇声をあげる変態のその姿にドン引きしつつ、ふわりと空に舞い上がるフェリクス。
そのまま取り出した『男の娘砲(光線銃)』を構え、狙いを定め……。
「──撃ちます!」
発砲。閃く一筋の白光が変態の身体を穿つ。
が、『理想の緑髪男の娘聖騎士』からの攻撃は変態にとってはご褒美であるのか。
そのまま数度射抜いた物の、変態は奇声をあげて大喜びするばかりである。
……なんだよコイツ、無敵か。
……撃っても撃ってもキリが無い状況に、一旦退くフェリクス。
その表情には、濃い疲れの色が浮かんでいたそうな。
成功
🔵🔵🔴
リュドミーラ・シェスタコフ
水着には少々取り乱してしまいましたけど、屋上までに落ち着いたのでもう大丈夫です。
邪神の見た目、言動にオブリビオンという敵として以外の怖ろしさを感じます。
どうして、あのような邪神が生まれてしまったんでしょうね……。
何かしらの影響を受ける前に『結界術』で『オーラ防御』『呪詛耐性』『狂気耐性』を付与します。
攻撃は『祈り』で『浄化』の力を込めた『全力魔法』の≪ジャッジメント・クルセイド≫を放ちましょう。
これはええ、私が直接の戦闘が苦手だからなので、近付きたくないという事ではありませんよ?
さあ、早くこのオブリビオンを撃退してしまいましょう。一刻もはやく。
アドリブ絡み歓迎
佐伯・晶
千着集めれば願いが叶うって?
あははははははは
こんな奴のせいで恥ずかしい格好する羽目になったのか
…よし、殴ろう
ガトリングガンで蜂の巣にしたいところだけど
プールを壊しそうなので諦めるよ
邪神の施しで自分を動く石像に変えてぶん殴ろう
石の拳で殴っても全く心が痛まないね
石像になれば水着も体の一部になるから
女性用水着として奪う事はできないんじゃないかな
そもそも賛同する人がいるかという問題は置いといて
身体能力を強化するから見た目と違い割と俊敏だよ
助走をつけ打撃を叩きこもう
跳び蹴りでもいいね
重量と硬度が増した分攻撃と防御も強化されてるから
痛いと思うけど加減する気は全くないよ
邪神に関わるとほんと碌な目に合わないな
●
悦びの声をあげ、悶える変態。
その有様は、有り体に言って気色悪いの一言。見る者を須らくドン引きさせる事だろう。
「ひぅっ……!?」
まさに今、その光景を見たリュドミーラが引き攣ったような声をあげて一歩退く。
己の身を包む、清楚と色気を両立した三角ビキニを守るかのように、両の手で胸を掻き抱く。
ふにょんと歪む豊かな双丘。その奥から響く心音と溢れる吐息は……先程までの羞恥のそれとは、別種の物だ。
……邪神のあの見た目。そして理解不能なあの言動。視覚と聴覚に訴えかける変質者の暴力に、リュドミーラはオブリビオンという敵として以外の恐ろしさを感じてしまっていた。
(ど、どうして、あの様な邪神が生まれてしまったんでしょう……!?)
己の内に湧き上がる、良く判らない感覚……生理的嫌悪感に戸惑うリュドミーラ。
慈悲と慈愛を体現したかのような少女に、そんな感覚を抱かせた。これだけで、目の前の変態の業の深さが窺い知れようと言うものだ。
「──あははははははは」
そんなリュドミーラの横で、乾いた笑い声が響く。今もマイクロビキニを纏ったままの、晶の声だ。
(千着集めれば、願いが叶う? その目的が、理想の男の娘になるだって?)
『水着弁慶』の語った目的。そしてそこに至る為の手段。それらは全て、晶にとっては理解の外にある。
だが、そんな理解の外の事であっても。晶にも理解できた事が、ホンの少しだけあるのだ。
それは、相手がロクでも無い類の手合であること。
そしてそんな奴のせいで。晶は今、ほぼ全裸と言ってもいいような……こんな恥ずかしい格好をさせられているということである。
「──よし、殴ろう」
「そ、そうですね。早く撃退してしまいましょう」
冷たい瞳のそのままで、乾いた殺意を晶が示せば。リュドミーラもまた同意するかのように頷いて、愛用の杖を振り翳す。
意識を集中し高めれば、リュドミーラの躰に宿る聖気が高まる。杖を持たぬ左手の指先を、天に向け。
「──ハァッ!」
響く裂帛の気合と共に撃ち出された聖気が、闇夜に昇り……驟雨の如き光の雨と変わり、変質者のその身体を穿つ!
『ぬっ!? ぬぉぉおおおおお!!?!?』
降り注ぐ光に、悦に浸っていた変態も漸く我に返ったか。物干し竿をぐるりと振り回し、光を払う。
だが、聖なる光の追撃は止まらない。更に一射、もう一射……リュドミーラは身体に宿る聖なる力を祈りで高め、浄化の想いを乗せて撃ち出し続ける。
「このまま牽制します! 一刻もはやく!」
よっぽど変態に近付かれたくないのか。いや、まさかそんな……。
ともあれ、必死の表情で敵を抑え込む光を撃ち続けるリュドミーラ。その呼び掛けに頷いて、晶が駆ける。
(ガトリングで蜂の巣にしてやりたいけど、プールを壊しそうだから……)
駆ける晶の身体は、華奢でありながら柔らかそうな少女の身体であるはずだが……今の彼女の身体は、違う。
飛び出すその瞬間、晶は自らの身体を変じていた。【邪神の施し(リビング・スタチュー)】のその力で、自らの身体を石像へと変えていたのだ。
……見た目には重そうな、石の身体。だがその身体は、邪神の力によるもので。見た目を裏切る素早さで、変態との距離を一気に詰める。
『ぐっ、む……! その水着を、寄越せぇい!!』
降り注ぐ光の驟雨に手間取る変態が、迫りくる石像に気付き叫ぶ。その叫びは、有無を言わせぬ気迫に満ちた物だ。
……ユーベルコードと化したその叫びは、荒唐無稽な願いを実現に至らしめる力を秘めた物である。
ならば、その叫びの通り。晶とリュドミーラの水着は、奪われるのだろうか?
──いいや、そんな事は有り得ない。
「「誰が、そんな願いに賛同する(もの / ものです)か!!」」
そう。その願いを実現に至らしめるトリガーとなるのは、賛同者の数である。
この場に集う猟兵達が、この変態の願いに同調することなど有り得ない。つまり、彼の叫びが果たされる事など、決して無いのだ。
重なる晶とリュドミーラの声。強い否定の叫びと共に、晶の身体は十分に助走距離を稼ぎ、地を蹴り飛び上がる。
助走と跳躍の勢いを活かし、繰り出すのは……変態の頭を狙う、飛び蹴りだ。
「──せいやぁぁぁぁぁっ!!」
『バカな──ぐっばぁぁぁぁぁっ!?』
助走により跳躍の勢いは最大限に稼げていた。更に石像と化した身体の質量は人の身体のそれより遥かに重く、硬い。
速さと重さと硬さが組合わったその飛び蹴りの威力の程は……吹っ飛び一回二回とプールサイドを跳ねた変態のその様子が、示しているだろう。
「……邪神に関わるとホント禄な目に遭わないな」
「全くですね……」
痛みにのたうち回る変質者。その姿を見下しながら、晶とリュドミーラは深い溜息を溢すのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鬼柳・雄
【アドリブ絡み歓迎】
この変態が邪神かよ、ただの変態じゃねえか!(バンッ)
わかっちゃいたがこうして目の当たりにすると本当に見たくねえって思うな。しかもなんだその目的。何言ってんのかさっぱりわかんねえよ、バァカ!!(心の底からの声)
だがバカでも邪神、力の強さは嘘じゃねえ。普段なら気にせずぶっ飛ばすけど周り気にして戦うのは結構骨が折れそうだな。
UC使用して格闘中心の戦闘。あまり派手に吹き飛ばさず床面にぶつけるようにします。物干し竿はリーチの差があるけど、逆に掴んで奪う、もしくはそのまま力比べで動けなくするとか竿ごと持ち上げて床に叩きつけます。
「あれ、変身したら姿どうなるんだ?……ええい、ままよ!」
●
痛みにのたうち回る、筋骨隆々の大男。それは良い。
だがその身に纏うのは肌にピッチリの競泳水着で、手の竿と背負う籠には女性用水着がこれでもかと。
うん、まぁ予想はしてた。こんなアホな結界を組み上げた手合が、マトモな相手では無いだろうとは。
でも、さぁ。目の前の、この邪神は……。
「──ただの変態じゃねぇか!」
地団駄を踏むように床を蹴り、雄が吠える。
「しかもなんだその目的! 何言ってんのかさっぱりわかんねぇよ、バァカ!!」
心の底から、湧き出た言葉を吠え立てる。
ただでさえ、理解し難い変態邪神である。その上その目的がコレとか。
札付きの不良ではあるが根は悪人ではなく、ある程度の良識も持っている雄からすれば。眼の前の変態は、目に入れたくも無いというレベルの相手である。
……ちなみに、雄の相棒である少女悪魔はと言うと。理解の外にある未知なる存在を目の当たりにした事で、思考が完全にフリーズ状態になったらしく。大宇宙の真理に触れた猫の様な表情を晒していた。
『て、程度の低い罵倒を……我が理想と目的を理解出来ぬとは、お里が知れるというものよ!』
そんな雄の罵倒を聞きながら、立ち上がる変態。
ダメージの影響かその膝がぷるぷると震えてはいるが、その威圧感は今も健在だ。
(……バカで変態でも、邪神は邪神。力の強さは嘘じゃねぇ、か)
向けられたその威圧感を真正面から受け止めながら、雄は思う。
相手は、ただの変態ではあるが邪神である。その強さは、これだけ猟兵の攻撃を受けてなお斃れていないという事実からも察しが付く。
……ならば、油断せずに全力で行くべきだろう。
(とは言え、今回の戦場はなぁ……)
ポンポン、とフリーズ状態の相棒の頭を叩いて意識を復活させつつ、雄の視線が周囲を見る。
屋外プールのプールサイドでは、何らかのイベントに備えてか。幾つかのテーブルやカウンターバー、DJブースなどといった設備がスタンバイされていた。
……この状況で、全力で行けば。これらの設備が巻き込まれてしまいかねない。
ならば、やるべき事は一つだけ。
「……骨が折れそうだが、しょうがねぇ。接近戦で行くぜ、シア!」
意を決し相棒の名を呼べば、意識を取り戻した少女悪魔がこくんと頷いて。その力を、解き放つ。
輝く光がプールに満ちて、少女悪魔のその身体が消える。偉大なる大悪魔の力が雄の身体に絡みつき、戦闘用のスーツと化して戦闘力を引き上げる。
(……あれ? この状況で変身したら、姿どうなるんだ?)
瞬間、雄の脳裏を疑問が過る。
今、この戦場は邪神の『水着結界』に支配されている。全ての存在の衣服を、水着に変えるという例のアレだ。
その力を前にして、雄はフルボディ型の水着を。少女悪魔はタイサイドビキニを着せられていた訳だが……この状況で変身したら、どうなるのだろうか?
……その答えは、すぐに明かされる。
「……な、なるほどなぁ。こうなるかぁ……」
黒を基調とし、胸や肩は白銀。左右の翼は蒼と橙に輝くその姿は、いつもどおり。
だが、そのスーツの上から、少女悪魔が纏っていたタイサイドビキニが装着させられていたのだ。
……全身スーツの上に、女性用水着。どうやら相棒はこの水着を随分と気に入っていたようだが……正直に言おう。なんだこのコーディネートは。
「えぇい、ままよ!」
『来るか!』
とは言え、戦闘には支障は無い。覚悟を固めて飛び込めば、迎え撃つかのように変態の物干し竿が唸りを上げる。
振り上げられた物干し竿が狙うは、スーツに付けられた女性用水着。疾風の如き物干し竿の突きが、迫る──!
「やらせねぇ、よ!」
だが、その突きが雄の身体を穿つ事も、少女悪魔お気に入りの水着を奪う事も無かった。
竿が迫る、その瞬間。雄は高まった戦闘能力で軌道を見切り、左拳で竿を掴み取ってみせたのだ。
……スーツに宿る相棒から、『水着を奪わせるな』的な思念も飛んでくるし。その辺りも、力に変わっていたのだろう。
『ぐ──! 何という膂力……!』
掴み取られ、ビクリとも動かぬ物干し竿。力比べは、雄の方が優勢か。
額に汗を浮かべる変態。その横っ面目掛けて……!
「おらぁっ!!」
握り込まれた右拳を、叩き込む!
拳から伝わる、確かに肉を打った重い衝撃。その勢いは凄まじく、変態の大柄な身体が竿を離さぬそのままに、宙でくるりと半回転し……。
──ドゴォッ!!!
そのまま、頭から床へと落下する。
見れば、床は僅かに砕けている。その衝撃の凄まじさは、どれ程か。
『ぐ、ぉぉぉ……ま、まだだ! まだ、我は斃れる訳には……!』
しかし、それほどの攻撃を受けてもなお。変態は、斃れない。
……己の夢の為に、不屈の精神を見せるその姿勢。普通なら、中々の美談となる所だが。
(……ただの変態、だからなぁ)
起き上がる変態を後退しつつ見守って、雄は静かに変身を解くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鬼河原・桔華
●POW
久しぶりにUDCアースの娑婆に出向いてみりゃ、とんだ外道が居たもんだ
にしても、ここまで来て服を水着って奴に変えるのかい
大した性根だこった
まぁ、泣く子も黙る地獄の獄卒相手に舐めたマネをしてくれた礼、たっぷりしてやんねぇとなぁ?
てめぇが落ちる地獄は十六小地獄の内、盗みを犯した水着ドロの行き着く黒縄地獄…いや待てよ
水着に対する異常な執着を倒錯した性嗜好とすりゃ『邪淫』の悪行が加わるから衆合地獄か
珍妙な説法を垂れながらチンケな物干し竿を振り回しやがってどうしよってんだい、アァ?
ハッ、この様子じゃ余罪はまだまだありそうだな
【閻魔断罪撃】、ちっと痛ぇだろうが歯ぁ食いしばれやぁ!!
●
「……久しぶりに娑婆に出向いてみりゃ、とんだ外道がいたもんだ……!」
膝を震わせ立ち上がる変態に突き刺さる、妙齢の女性の声。
怒りの色を隠そうともしないその声色の主は、藍色の髪を持つ長身の女夜叉。
名を、鬼河原・桔華(仏恥義理獄卒無頼・f29487)。眼光鋭い目つきを持つ、烈女であった。
『ぐ、むぅ、女鬼、とは……ふむ、中々に似合うておるではないか』
そんな怒りに燃える桔華を舐めるような視線で見やり、ふむふむと頷く『水着弁慶』。
だがそんな変態のその態度は……桔華の怒りの火に油を注ぐ物でしか無かった。
「てめぇ……この状況で水着に触れるかい。大した性根だこった……ッ!」
燃え上がる桔華の怒りの炎。だがその炎に含まれる成分は、単純な怒りの感情一色では無かった。
……今、桔華が身に纏う衣服は、『水着結界』の例に漏れず肌を大きく晒す水着である。
問題は、その水着。桔華が強制的に着せられたその水着は……胸と股間を貝殻で隠すだけという、所謂『貝殻ビキニ』であったのだ。
勇ましい性格の姉御肌。だがその実、桔華は意外と乙女であり、実は可愛らしいモノが好きだという一面もあるのだという。
そんな女性が、こんなイロモノな水着を着せられたとあっては……羞恥を燃料に怒りを滾らせる事になるのは、まぁ残念でもなく当然であろう。
「泣く子も黙る地獄の獄卒相手に舐めたマネをしてくれた礼、たっぷりしてやんねぇとなぁ!」
叫び、振るわれる鬼棍棒。夜叉の血族の有り余る筋力で振るわれるそれは、怒りの力も相まって、全てを砕く轟撃となる。
大上段から振るわれた凄まじい一撃。だが変態は手に携える竿で、がっちりと受け止める。
『巫山戯るで無いわ! 我は悪事など働いておらぬ! 全ては崇高な目的がため!!』
力比べとなる棍棒と竿。その向こうで叫ぶ変態のその言葉に、桔華の怒りが更に強く燃え上がる。
恐らく、この男は自分が悪だとは思っていない。自分の目的の達成こそが善で、その過程で生じる犠牲(というには少々アレだが)など気にも止めていないのだろう。
……その性質、地獄の獄卒として断じて許してはおけぬ物!
「てめぇが落ちるのは、十六小地獄の内の盗みを犯した水着ドロが行き着く黒縄地獄──」
全身全霊の力を篭めて、竿を弾く。結果、自らの体勢が崩れるが関係ない。
「──いいや、それに加えて水着への執着を『邪淫』と見れば! 妥当な所は衆合地獄か!」
型など、関係ない。とにかく今、桔華が考えているその事は。
……目の前の『自分が悪だと認識すらしていない、ドス黒い悪』に、この鬼棍棒の一撃を叩き込むこと。それだけだ。
「ちっと痛ぇだろうが──歯ぁ、食いしばれやぁッ!」
崩れた姿勢のままに振るわれる棍棒の軌道は、掬い上げるかのような逆風(さかかぜ)。
唸りを上げて、振り上げられた鬼棍棒。再び受けようと構えた変態のその竿を……真正面から、粉砕する!
『なっ──ごばっ!?』
驚愕に目を見開く変態。直後轟撃がその頬を痛打して、吹っ飛ぶ変態のその身体。凄まじい衝撃のままに宙を翔び地に落ちれば、口を抑えて苦悶の声を上げ始める。
……どうやら、その舌に棘が生えたらしい。桔華のユーベルコードが、効力を発揮したのだ。
「ハッ! どうやらその様子じゃ、余罪はまだまだありそうだなぁ?」
その様子を見下して、覚悟しな! と啖呵を切る桔華。
……少しずつ、変態との決戦は決着の時へと近づきつつあるようだった。
成功
🔵🔵🔴
セフィリカ・ランブレイ
水着を蒐集して?
理想の男の娘?
なんで???
『宇宙を見つめる猫みたいな表情よセリカ。まあ、理屈の繋がらない苦手よね、アンタ』
そうだけどアレはジャンルがちがうってーか…
よし、切り替えて行こう!
水着にしか興味ないのは安心だけどムカつく
今年は布面積少なめだったけど今のもっと布面積少ないから
ヤな目で見られると手が滑って思わぬ力が入りそうだし良いけど
周りを考えておしとやかめに行くよ、シェル姉!
【蒼剣姫】で行く
魔力壁の展開による相手の挙動の阻害と、壁を利用した三次元軌道で一気に攻めるよ!
水着が欲しいっていうけど!
水着の総評は着る人も含めて!
それに目を向けずに水着だけ欲しいってのはさあ!願いとして浅いのよッ!
●
戦いは、少しずつ終幕へと近づきつつある。
だがそんな戦況の中で……セフィリカは、呆然と動けずにいた。
──水着を蒐集して?
──理想の男の娘??
その理由は、変態の言葉。水着を集め、理想の男の娘になると語った、その言葉にあった。
意味不明なその発言。だが理解が及ばぬからと言って放置するのは、天才を自称するセフィリカとしては負けた気分となるものだ。
何とかその言葉の理屈を解明し、理解してみようと思索を巡らせてはみたものの……。
──なんで???
どれだけ考えても答えは見出だせず。セフィリカは大宇宙の真理に触れた猫みたいな表情を浮かべるに至っていた。
『……まぁ、理屈の繋がらないの苦手よね、セリカ』
「いや、うん。そーだけど。でもアレはジャンルがちがうってーか……」
響くシェルファ(魔剣形態に戻っていた)のその言葉に、うぅむと唸るセフィリカ。
……いや、うん。アレは理解しない方がいいのは判ってるんだ。でもそのままだとほら、やっぱ負けたみたいだし……?
「──よし、切り替えていこう!」
『それがいいわね』
再び思索の沼にハマりそうになったのを自覚して。努めて大きく声を出し、苦悶の声を上げる変質者を眺めてみる。
ここまでの様子を見てみると、あの変態は(極一部の例外を除いて)基本的には女性用水着以外に興味を示すことはない様子。
「水着にしか興味が無いのは……うん。安心だけど、ムカツクなぁ」
衣服とは、水着とは。その価値は、それ自体にだけではなく。着る人も含めての価値であると、セフィリカはそう考える。
故に、あの水着しか求めぬ変態は、セフィリカからしたら邪道も良い所の世界を生きる存在だ。
……いや、だからと言ってアレにじっくり今の水着姿を見られて品評されたいかと言われれば答えはノーだが。
只でさえ布面積の少ない状態だ。そんな状態で舐めるように見られれば、剣を握る手が滑って思わぬ力が入りそうだ。
「……いや、それは別に良いのかな? まぁそれはそれとして……行くよ、シェル姉!」
魔剣の刃を抜き放ち、プールサイドを駆けるセフィリカ。その肢体に蒼く輝くオーラを纏わせながら、軽やかに地を蹴れば……空中を一度、二度と蹴る三次元軌道を描いて変態に迫る。
躍動する身体。健康的な色気と可憐さが両立したその肢体を見ずに、立ち上がった変態が見るのはセフィリカの纏うブラジリアン・ビキニのみ。
……何やら口元をモゴモゴさせているのは、まだ言葉を紡げぬからか。だが変態のユーベルコードは発動しているようで、水着を引っ張るようなその力をセフィリカは感じていた。
(コイツ、どこまでも水着だけか!)
初志貫徹な敵の姿勢はあっぱれ(?)だが、やはりその姿勢はセフィリカとは相容れない。
「水着が欲しいっていうけど! 水着の総評は、着る人も含めて! それに目を向けずに、水着だけなんてさぁ……!」
怒りを燃やし、魔力壁を蹴る。
一気に懐まで潜り込んだセフィリカを迎え撃つように、変態が拳を振り上げる。
だが、しかし。
──ガッ……!
振り上げた拳が、何かに引っかかったように音を立てた。セフィリカが生み出した魔力壁に、引っかかったのだ。
目を見開く変態。その無防備な胴へ向けて……セフィリカが、剣を振るう!
──ズバッ!
空を切る剣戟の音は一度切り。だがその剣閃は蒼く輝く魔力によって無数に細かく分かれていた。
無数の刃を受け、切り裂かれる変態の身体。纏う競泳水着も細切れにされ……見るも無残な姿へと変わる。
「──願いとして、浅いのよッ!」
言い捨て、駆け抜けるセフィリカ。その背後で、血を吹き出し膝を付く変態。
最早、変態は満身創痍。勝利まで、後ひと押しだ。
成功
🔵🔵🔴
秋月・信子
●SPD
【太陽の家】
(突きつけられた現実に理解が追いつかなく暫し頭を抱える)
あっ…クロエちゃんにアリスちゃん、無事でした…k(絶句
『下手な慰めの言葉は余計に傷つけるだけよ。あの変態をサンドバッグにして、思う存分憂さ晴らしさせる手助けをしましょ』
ま、まずですね、相手は水着に執着しています
すでに回収済みの水着に穴を空けたり、魔弾の【属性攻撃】で燃やしたりすれば、そちらに注意を向けられると思います
『良い着眼点ね。でも、追い詰められた変態は無理やり理想の緑髪の男の娘聖騎士を作り出しかねないし、その相手は私がやるわ。夏らしく、レーザー砲の光でこんがり焼いて、汚らわしい理想を滅菌消毒してあげなきゃねぇ?』
アリス・クイン
あっちにも知ってる顔!二人よりいっぱいの方があんぜんね
【太陽の家】と行動するわ
他に一緒に動けそうな人いたら多いほうがいいわね
本当の目的? りそうのおとこのむすめ?
ハッ!語るに落ちたわねこのドヘンタイ下着ドロ男!!
UC【リアライズ・バロック】
あんたがヘンタイじゃなかったら、いったいナニがヘンタイなのよ!
水着を集めて願いを叶える?
アンタそれ着てるじゃない!しかもその、あの、ナニを!もっくりさせて!
ハァ!? もっこりしてない?十分もっこりしてるじゃない!
えっ、もっともっこ……ヘ、ヘンタイ!!しね!!!
ヌイグルミたちに叩きのめさせるわ!
というか一枚どころか1ミリの布地もよこさないわよこのドヘンタイ!
クロエ・アスティン
ア、アリス様、待ってくださいであります。
後ろから見ると全裸にしか見えないので目を逸らしつつアリス様を追いかけて、【太陽の家】と合流です。
屋上プールではアリス様の毒舌に思わずその部分に目が向いてしまって
ひぇ、ほ、ほんもののヘンタイであります、と思わず涙目になってしまいます。
これ以上は色々と危ないと水着を奪い取ろうとするヘンタイから味方を「盾受け」で「かばう」!
自分の着ているスク水ならそうそう簡単に脱がされたりしないでありますよ!
アリス様がヌイグルミで追い詰めたところに振りかぶって【ほーむらんであります!】を叩き込みます!
この、男の娘になりたいなら、その……あっ、あれをつぶしてやるでありますよ!
●
さて、戦いが遂に終局を迎えようとしている今から少し時間を戻そう。
相手のあまりにもアレな姿に、集まる猟兵たちは、ある者は呆れ、ある物は溜息を吐き、またある者は大宇宙の真理を垣間見た猫の表情となったりしたその頃の事である。
(……えぇぇぇぇぇ……?)
バンドゥ・ビキニに身を包んだ信子もまた、突きつけられた現実に理解が追いつかず、頭を抱えていた。
優等生な常識人である信子にとって、アレは本当に理解の外の存在だ。頭痛を感じるのもまぁ、致し方ない事だろう。
「……あっ、知ってる顔がいる!」
「あ、アリス様っ、待って下さいでありますぅー!」
そんな信子の背から響く声。
ちょうど階段を駆け上がってきたらしいその声は、信子も良く知る二人の声だ。
「あっ……クロエちゃんにアリスちゃん。無事でし、た……!?」
そんな声に振り向いて、二人の姿を視界に収めた信子の動きが、思考が止まる。
「二人よりいっぱいの方が、あんぜんね!」
「そ、そうでありますね~……」
階段を駆け上がる運動のせいか、紅潮した頬のクロエとアリス。それは良い。
問題は、二人の水着だ。濃紺旧型スクール水着のクロエはともかくとして、アリスのその格好は……ハート型のニップレスに、アイバックショーツという破廉恥極まる格好だ。
アリスの背後のクロエを見ると、恥ずかしげにアリスから目を逸らしている。どうやら後ろから見ると、アリスの格好は全裸にしか視えないらしい。
……アリスの目からは、正気の色が大分消えている。恐らくもう、自棄っぱちといった状態なのだろう。
(か、掛ける言葉が……)
そんなアリスの悲惨(?)な姿、割とマトモな水着を引き当てた信子としては掛ける言葉を見つけられない。
『まぁ、下手な慰めの言葉は余計に傷つけるだけよ』
そんな信子の頭に響くは、『姉』の助言。
言葉とは、時に残酷な刃ともなる。『時間がすべてを解決してくれる』、という言葉ではないが、時に時間を置くことも必要だ。
……だが、今回は時間に解決を委ねる必要はない。何故ならば……。
『──まさしく我が理想の男の娘聖騎士!!』
今回の件の元凶である変質者が、あそこにいるのだから。
今も変態は、少女の様な外見の華奢な猟兵に興奮の声を上げている。
あの変態をサンドバックにして、思う存分憂さを晴らさせるべきだろう、と。『姉』は言う。
「……そう、ですね。二人とも……?」
「ふむふむ……え? ……ひぇ、ほ、ほんもののヘンタイでありますぅ!?」
奇声を上げてヒートアップする変態のその姿にドン引く二人の少女に、今の状況を説明する信子。
その説明を聞けば、涙目となるクロエのドン引き具合は一層強く……。
「本当の目的? りそうの、おとこのこ……?」
アリスはふつふつと、怒りを滾らせる。
そりゃそうだ。あの変態の理解し難い目的の為に、今回最大の犠牲となったのはアリスである。
怒りを滾らせるのは当然だし、その怒りは正当なものだろう。
ならば……。
「ま、まずですね。相手は水着に執着していますから……私が水着を狙って牽制しますから」
「その隙に、アタシがあのド変態もっこり水着ドロ男をブッ殺せばいいのね!」
「も、もっこり……」
ホルスターから拳銃を引き抜く信子。殺意を前面に剥き出すアリス。そのアリスの言葉に変態の身体のとある部位を見てしまい、真っ赤になるクロエ。
三者三様の反応を示しつつ、太陽の名の下に集う少女たちが動き出す。
ピンクブロンドのエルフ少女の魔剣に膝をついた変態を仕留めるべく駆ける、クロエとアリス。その背を見守りつつ、信子が銃口を向ける。
銃口が指向するその先には、女性用水着の詰まった背負籠。燃え盛る真夏の太陽の如き、陽(火)の属性を魔弾に込めて……。
「──ッ!」
響く発砲音が、一発、二発、三発。飛翔した銃弾は狙い違わず背負籠を貫いて、発火炎上。多くの女性用水着を、業火に包む。
『ぐ、ぉお……止め、止めよッ! 我が、水着を……!』
その光景に、満身創痍の変態は苦悶の声を上げることしか出来なかった。
……最早、自分は動けない。だが、夢のためにここで朽ちる訳にはと。
縋るように、乞う様に。男が叫ぶ。
『ま、参られよ! 我が理想の──な、何故だ! 何故、反応が無い!?』
だがその言葉に応える者は、いない。変態の理想の、『緑髪の男の娘聖騎士』のその存在は、封じられているのだ。
『──成程。あの時の拘束って、そういう』
いつも何やら具現化していた『姉』(布面積小さめの眼帯ビキニにレーザー砲を担いだ状態だ)が、その光景を思い出す。顕れた騎士を縛めた、あの捕縛具の数々を。
そう、あの時の捕縛具はユーベルコードを封じる物。その力を受けたまま力を散らした影響か、変態の理想を具現化する能力は阻害されてしまっているのだ。
『これなら、私が相手をする必要は無いわね』
肩に担いだレーザー砲を下ろしつつ、ニヤニヤと笑う『姉』。
その笑みはまるで、『ザマァ無いわね』と変態を嘲笑うかのようだ。変態の表情が悔しげに動くが、最早彼は動けない。
それにもう、こちらに意識を向ける余裕も無くなるだろう。
「なにが、『我が水着』、よっ! ヘンタイ!」
『だ、誰が変態か!』
今まさに、二人の少女が変態に襲いかかったからだ。
怒りを露わに剥き出しにして、ヌイグルミ型のバロックレギオンを従えて。アリスが吠える。
「何が水着を集めて願いを叶えるよ! アンタ、それ着てるじゃない! しかもその、あの、ナニを……もっこりさせて!」
『ぐ、ぬぅ! もっこりなどしておらんわ!』
「ハァッ!? してない!? 十分してるじゃない! えっ、もっともっこ……!」
畳み掛けるようなアリスの罵倒に反論する変態。
だが、確かにアリスの言う通り。『水着弁慶』は女性用水着を身に付け、竿に括り、籠に詰め込み肌見放さず持ち歩いている。
その姿を変態と言わずして、何というのか。
「──へ、ヘンタイ!! しねっ!!!」
色々と限界を迎えたアリスの号令一下。襲い掛かるヌイグルミ達。
一体一体は強くはないが、数を纏めて襲い掛かれば中々に手強い。
そんなヌイグルミ達に対して、変態は負傷し、竿を喪い、抵抗の術はもはや無い。
だがそれでも……。
『ま、まだだ……まだ、我は死ねぬ!』
理想の為にと生き足掻く様に、地を転がって何とか距離を取る。
だが、その先には。
「そんなに、男の娘になりたいのなら……」
戦槌を全力で振りかぶる、クロエの姿があった。
足を開き、腰を捻り、肩の上まで振り上げられた愛用の戦槌。
限界まで力を蓄えた、その一撃を。
「そ、そのっ! アレを、潰してやるでありますぅっ!!」
叫びと共に、全力で振り抜く!
ゴルフのドライバーショットの様な軌道で振り抜かれた戦槌は。
『──っ゛ぅ゛お゛っ゛ぅ゛!?!?』
狙い違わず、変態のの下半身の中心点……男性特有の急所を撃ち抜いた。
激しい衝撃に言葉にならない苦悶の声をあげる変態。その目は一瞬で白目を剥き……遂に限界を迎えたか。サラサラとした塵となって、消えていく。
……男性としては、こう。非常に居た堪れない倒され方ではあるが。猟兵達は、見事に変態を討ち取ってみせたのであった。
……なお、邪神が討たれた事で結界は消えたが。
邪神チョイスの水着に宿った怨念の様な思いの強さはそれぞれに違ったせいか。
元の衣装に戻る者もいれば、邪神チョイス水着から姿が戻らぬ者もおり。悲喜こもごもと言った光景が展開されたのは、また別の話である。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第3章 日常
『ストレス発散で狂気を拭い去る』
|
POW : スポーツや大食いなどで、ストレス発散
SPD : ショッピングやゲームなどで、ストレス発散
WIZ : 読書や映画鑑賞などで、ストレス発散
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
顕れた変態──邪神『水着弁慶』は討たれ、ホテルを覆っていた『水着結界』は遂に解かれた。
頭の痛くなりそうな事件は、これでひとまず解決された。そう言っていいだろう。
「皆さん、お疲れさまでした」
屋外プールを後にしホテルのロビーに戻った猟兵達を出迎えたのは、この地に猟兵達を送り込んだグリモア猟兵、ヴィクトリアだった。
猟兵達の労をねぎらうように深く頭を下げる彼女の周囲には、現地組織の者らしい人間とホテルのスタッフが何やら作業を続けていた。
……周囲を見れば、宿泊客の姿が一人もいない。一体どうしたのだろうか?
「一応、邪神絡みの案件ですから。本日は一般客は立ち入り禁止として、諸々の後処理を行うそうです」
そう言われれば、成程と頷く猟兵達。確かにホテルの設備には細々とした被害が出ているし、邪神絡みの影響が出ないか調査は必要だ。
……しかし、そうなると。巻き込まれたホテルの売上が、気になる所である。
「そうですね。そこで、物は相談なのですが……ホテルの屋上で、遊んでいかれませんか?」
ふわりと微笑むヴィクトリアが、言葉を紡ぐ。
聞けば、今の時期のこのホテルの屋上プールでは『ナイトプール』と呼ばれるイベントが催されているらしい。
日が沈んだ夜闇の中、ライトアップされた大人な空間で水と親しむそのイベントは、近年人気が出てきたイベントであるらしい。
……そのイベントを貸し切って、少しでもホテルの売上補填に協力するのはどうだろうか、と。ヴィクトリアは、そう言うのだ。
「あぁ、もちろん皆さんからお金を集めるような事は致しません。お金は、私が持ちますので」
今日の依頼の、労いという意味もありますからね、と。微笑むヴィクトリアの表情からは、皆への慰労を第一にと言う思いを感じ取ることが出来るだろう。
……折角のお誘いだ。時間に余裕があれば、話に乗って楽しんでみるのも良いのではないだろうか?
「それでは、皆さん。こちらへ……」
屋上へと続くエレベーターへと、ヴィクトリアが誘う。
……なお、予知による邪神の計画の阻止を恨まれたか。ヴィクトリアの格好は、邪神チョイスの水着(房飾りが胸元を飾るフリンジ・ビキニ)のままであった。
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●第三章、補足
第三章は、日常章。
戦闘後のお楽しみ。『ナイトプール』を楽しんで頂きます。
舞台となるのは、先程までの戦場であったホテル屋上の屋外プール。
天気は晴れ。空には星が輝いており、そんな夜空の下でライトアップされたプールを楽しんで頂きます。
フラグメントは深く気にせず、思い思いにお楽しみ下さい。
戦闘時に気を使って頂いたので、備品の多くは無事に使えます。
浮き輪やチェア、軽食やソフトドリンクなどもお楽しみ頂けます。
備品や商品の提供などは、現地組織のスタッフが担当するそうです。お気軽にお楽しみ下さい。
……なおアルコールもありますが、未成年者には提供できません。公序良俗は遵守でお願いします。
また、多くの方は邪神チョイス水着の効力は解けていますが、一部にはまだその影響を受けている方がいます。
邪神チョイス水着のままか、もしくは好きな水着を持ち込むか(レンタルもあります)……その辺りは、皆様にお任せします。
またOPの通り、今回の諸費用はヴィクトリア持ちとなっています。
その辺りの管理の為か、三章はヴィクトリアも待機しております。
特に声が掛からなければ、プールサイドで皆様の姿を微笑ましげに見守っております。
もし何か声を掛けたい事がある方。交流しても良いかなとお考えの方は、ご遠慮無くお声掛け下さい。
☆プレイング受付について
なお、三章はプレイング受付開始日を設定させて頂きます。
プレイング受付開始日:2020年9月10日 午前8時30分より
それ以前にお預かりしたプレイングは高確率で流れるかと思います。
月城のスケジュールの都合による勝手なお願いとなりますが、何卒ご了承下さいますよう、お願い致します。
戦いを終え、一時の休息を楽しむ猟兵達。
夏の暑さを冷ます水の冷たさは、邪神の狂気を洗い流す一助となるだろう。
皆様の楽しいプレイング、お待ちしております!
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政木・朱鞠
行動【POW(?)】
妖狐にとって本当のご馳走は『甘やかし』で人から貰えるモノなんだけど…今回は人払い状態で一般の人は居ないのね…ちょっと残念かも…。
肌の傷はそんなに気にならないけど…ちょっと個性的な心のダメージを受けちゃったから、プールで体を動かして乗り越えないとね。
宴がある程度盛り上がった所で席を離れて…たぶん奇異の目で見られる自慰行為と思いつつ。
咎人を狩る者として魂に思いを向けて倒した者達へ弔いの祈りをしておきたいかな…。
『罪深いあなたが転生できる時がいつになるのか分からないけど…今度、未来を喰い潰す存在じゃなく生まれ変わったら、うっかりと仲良しの友達にでもなろうね…。』
アドリブ連帯歓迎
六道銭・千里
ナイトプールなぁ
綺麗な月、星を海でってのは楽しんだけど
まぁ、こういうライトアップされたプールちゅうんも悪くはないわな
流石お高いホテルだけあるわと、ノンアルコールのドリンクをグラスで口を濡らしつつ呟き
服装は上は六道銭羽織をそのまま羽織っぱなしで、下は普通の海パン
こういうの、ガチで泳ぐのはあまり良くないんやったか?
まぁ、ほんじゃあ基本的にのんびりと過ごさせてもらおうか
アドリブ・連携歓迎
篁・綾
アドリブ連携歓迎で。
ソフトドリンクを片手に、背もたれ付きの浮き輪に乗って流されながら涼んでいるわ。
尻尾は水を吸って大変な事になるからしまっておいてと。
…たまにはこういうのも良いわよね。
それにしても、水辺に集まって涼を取ったりするのは昔から万国共通なのかしら。
この手の催しや夏の海の様子をてれびで見ると、大体水周りに近づくのよね。
山の中等でも井戸の水で瓜を冷やしたりするし…
不思議なものね。
…それにしても、暦の上では残暑を過ぎているはずなのに、どうしてかしら…
唐草・魅華音
呪いが解けずにまだ水着のままですね……このまま戻るのはちょっと気になるので、解けるまで少しくつろがせてもらいますかね。
落ち着いてみると、確かに水着でも多少暑いですね。という訳でザバン、と軽く流すようにひと泳ぎ。水の冷たさが染み渡って気持ちいいですね。
水の中で涼み終わったら上がって…ふとプールの方を振り向き。
夜に泳ぐのを好む人がなぜいるのか今まで不思議に思っていましたが……水に映る明かり、綺麗なものなのですね。としばらくぼんやりと夜のプールの光景を楽しみます。
アドリブ・他者との絡みOK
●
陽はとうに西の空へと沈み、街は夜の帳に包まれる。
しかし、見下ろす街並みは明るいまま。高度に発展した文明の光が、夜の街を煌々と照らしていた。
だがそんな人々の暮らしを支える光とは、この場の灯りは別種のもの。
猟兵達が集まり、一時の憩いの場となった屋外プールに灯る光は……色とりどりの灯りで飾られた、幻想的な光で満たされていた。
「……ナイトプール、なぁ」
プールサイドで千里が呟く。纏う羽織は先程のままだが、穿く水着は流石に替えていた。
夜空に輝く綺麗な月と星々を、海で眺めて楽しむという経験は、過去にはあった。
だが、そんな自然が作る芸術と比して、この場はあくまでも人工の物。正直、それほど期待はしていなかったが……。
「まぁ、こういうライトアップされたプールちゅうんも悪くはないわな」
その期待は、良い意味で裏切られたか。手に持つグラスを傾け、唇を濡らす。
傾けるグラスに満ちるのはノンアルコールカクテル。遠い東の島の名を冠したそのドリンクを一口含めば、爽やかな酸味と果物の甘みが口に広がる。
……端的に言って、美味い。
「流石、お高いホテルだけあるわ」
幻想的な光と穏やかなBGM。供される食事もレベルが高い。
成程。ここまで雰囲気を壊さぬ様に、徹底しつつの細やかな心配りは、流石は高級ホテルの催しと言った所か。
自然の姿も良いが、こういう人の手による物も悪くはないな。
そんな事を思いつつ、千里はのんびりとした時を楽しんでいた。
(……たまには、こういうのも良いわよね)
そんなのんびりとした時を楽しんでいたのは、綾も同じ。
ソフトドリンクを片手に、背もたれ付きの浮き輪に乗って水上を流れる綾。
心地よさそうに揺蕩うその表情を見れば、穏やかなこの時間を満喫している事が伺い知れるだろう。
……なお、妖狐の尾はしまってある。濡れると水を吸って後々が大変な事になるからだ。
(──そう言えば、水辺に集まって涼を取ったりするのは万国共通なのかしら?)
水に揺蕩う意識の中で聞こえる仲間達の楽しげな声。その声に、ふとした疑問を綾が抱く。
夏というのは、とかく水に纏わる話題が多いもの。
猟兵達が今体験しているナイトプールに限らずだが……この手の催しや、夏の海辺の様子をテレビで見れば、多くの人々が水辺に集まっているのは見て取れる。
では山は違うのかといえば、然に非ず。川辺での水遊びや、井戸水で瓜を冷やす光景もまた夏の風物詩であったりする。
……幻想を置き去りに、高度に発展した社会にあっても。人々は涼を取る為に、水辺からは離れられないらしい。
「不思議なものね」
そんな人々の性を思い浮かべながら、ポツリと溢れた綾の言葉を掻き消すように、ビルの屋上を吹き抜ける風。
湿気を多く含んだその風は、夜風となってもまだ生温い。水辺でなければ、不快さに表情が歪んだ事だろう。
暦の上では、最早残暑・晩夏も過ぎて初秋と言った季節であるはずだ。それなのに、この暑さは本当にどうしたことか……。
「……本当に、どうしてかしらね」
うっすらと滲む汗を感じながらの綾の疑問に、答えられる者はいない。
ともあれ今は、このひとときを楽しもう。ソフトドリンクに口をつけ、綾は今暫く水上を揺蕩う……。
「ふぅ。気持ちよかったぁ」
「えぇ、水の冷たさが染み渡って……」
軽くひと泳ぎを終え、朱鞠と魅華音がプールサイドへと身体を上げる。
二人は今も、邪神の呪いの影響を受けたままであった。
こんな状態でこのまま帰路に着くのは憚られるだろう。それにアレな邪神のせいで体の傷はともかく、心の方に色んな意味で個性的な傷を負ってしまっている自覚も二人にはあった。
そんな傷を癒やし、清めるかの如く。二人は並んで、幻想的な光に彩られた水中を泳いでいたのだ。
(本当は、一般人を『甘やかし』てご馳走を貰えれば良かったんだけど……)
妖狐という種は、人の精気を得ることで若さを得る種族である。
故に朱鞠としても、精を得て回復を図りたい所であった。だが、今回は人払い状態で一般人は立ち入り厳禁状態だ。
少々残念ではあるが、まぁ事情が事情だから仕方ない……そうは思うのだが、思わず溜息が溢れてしまうのは、仕方がない事か。
「……綺麗なもの、なのですね」
そんな朱鞠の溜息は、幸いな事に魅華音の耳には届かなかったらしい。
魅華音の瞳に映るのは、光に照らされた屋外プールの全景であった。
……夜に泳ぐのを好む人が、何故いるのか。魅華音はその事を、常々不思議に思っていた。
だが、この光景を見れば。水に映る灯りが幻想的に輝く、日常の中の非日常とも言えるこの光景を見れば。
(この綺麗な光景に心奪われて、人々は集まるのでしょうね)
その理由の一端を、きっと魅華音も理解する事だろう。
ぼんやりと、だが魅入られたかのように水に浮かぶ光を見つめる魅華音。
そんな少女の姿を微笑ましく思いつつ。
(……罪深いあなたが、転生出来る時がいつになるかは分からないけど)
朱鞠が想うは、今日の戦いで討った者達の事。降臨した変態と、その眷属と……依代となった、邪教徒達の事である。
多くの者は、彼らに慈悲を向ける事は無いだろう。
だが、咎人を狩る者として。その咎へと、魂へと思いを向けて倒した者達に対して弔いの祈りを捧げるのは、大事なことであるはずだと。
……朱鞠はそう、考える。
(未来を食い潰す存在じゃなく、生まれ変わったら……うっかりと、仲良しの友達にでもなろうね)
……自慰行為と、奇異の目で見られるかもしれない朱鞠の思い。
しかしそんな中でも、凛と弔いの祈りを捧げる朱鞠のその姿は……何者よりも気高く、そして美しかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鬼河原・桔華
●SPD
この高そうな宿の屋上を一晩貸し切りねぇ
そいつは大盤振る舞いなこった
んじゃま、お言葉に甘えてご相伴に与ろうじゃないかい
あー、その前にだ
このざけた水着とオサラバしねぇとな
私のなりに合う水着は…っと
おっ、天竺柄の良いやつがあるじゃねぇか
こいつに…あン?
チビ達も水着を着てぇのか?
ハッ、遠慮すっこったねぇよ
今夜は無礼講だ
面白おかしく楽しもうじゃねぇか
どれ、いっちょ私が選んでやろうじゃねぇか
そうだな…こんなのはどうだ?
…あ?
総長も顔に似合わず意外と可愛いのを選ぶったぁ?
い、いいじゃねぇか!
てめぇらに似合うと思ってだな…ッ!!
…それなら、総長もこんなのはどうですかだって…?
バ、ババ…バッカヤロー!
●
「さてさて、私のなりに合う水着は……」
水着ショップの一角に響く、桔華の声。
鼻歌交じりに水着を選ぶその様子は、普段の外見鋭い烈女の面持ちからは想像も出来ない程に和やかなだった。
……まぁ、『貝殻ビキニ』とかいうふざけた水着とオサラバ出来たのだから。気が緩むのも、当然と言った所か。
(しかし、この高そうな宿の屋上を一晩貸し切りとは。大判振る舞いなこった)
チラリと周囲を見渡せば、細かい所まで清掃が行き届き、並ぶ水着も品が良い。
成程、流石は高級ホテル。そんなホテルの屋上プールを、今晩は猟兵達が貸し切って自由に出来るのだという。
……払いを一人に任せるのは気が引けなくもないが、せっかくの好意だ。お言葉に甘えて、ご相伴に預かるのも良いだろう。
「……っと。天竺柄、中々良い奴があるじゃねぇか。こいつに……あン?」
考えを巡らせながら見つけた逸品に手を伸ばしたその瞬間、服の裾を引っ張る感覚に視線を向ける。
そこにいたのは、桔華の舎弟……もとい、配下の子鬼と妖怪たちだ。
キラキラと光る眼で何かを訴えかけるかの様に見上げる配下達。どうやら水着に興味津々のご様子だ。
「チビ達も水着を着てぇのか? なら、いっちょ私が選んでやろうじゃねぇか」
そんな配下の期待に応えるのは、姉貴分足る者の務めと。ニヤリと笑い、桔華が子供用の水着に手を伸ばす。
普段なら、そういう事は出来ないだろう。だが、今日の場は猟兵達の貸し切りの場。つまり、無礼講だ。
折角の機会だ。面白おかしく、楽しみたいではないか。
「そうだな……こんなのはどうだ?」
選んだ水着を手に取って、配下の身体に合わせてみる。サイズの方は……うん、問題無さそうだ。
あとは似たような方向性の水着を適当に数着、と。
手を伸ばした瞬間、配下から響く、思念の波が。
「……あ? 総長も、顔に似合わず意外と可愛いのを選ぶ、ったぁ……?」
その意味を理解した瞬間、桔華の頬に熱が篭もる。
勇ましい姉御肌の烈女。だが繰り返しになるが……桔華は、意外と乙女らしい趣味を持つ一面も持つ。
そんな一面を、まさか配下から指摘されるとは思わなかったのか。羞恥の念が、桔華の頬を染め上げたのだ。
「い、いいかじゃねぇか! 私はなぁ、てめぇらに似合うと思ってだなぁ……ッ!」
頬を朱に染め反論する桔華の姿は、普段のイメージとはまるで正反対。
そんな姉御の姿に調子に乗ったか、配下が『それなら総長も、こんな水着はどうですか』と選びぬいた水着を持ってくる。
「ちょっ、おま……ば、ババ……バッカヤロー!」
響く怒声。楽しげな様子を見せる配下達。桔華と配下の関係は、中々に良い関係であるらしい。
……とは言え、もうちょっと上下ってのを叩き込まねぇとなぁ、と。
配下が持ってきたフリル満載のワンピース水着を視界の隅に抑えながら、桔華は息を吐くのだった。
大成功
🔵🔵🔵
セフィリカ・ランブレイ
あのさシェル姉
私、なに着てもこの布面積少なめの水着になっちゃうんだけど、なんで?
『あらそう?』
相棒の魔剣は人型をとる、いつもの姿
なんで?!
『恐らく、人型で水着の着用か可能な知性体が呪いの対象だったんでしょ。現に剣のままなら発動しなかったわけで』
つまり?
『途中で剣に戻った私の分もセリカが呪い受けたのよ。因果応報ね。もちろん仮説だけど』
うぐー!
いいけどね、私の可愛さに陰りがあるわけじゃなし
しょうがない、サービスしてあげるかぁ
よし、じゃあ折角だしプールを楽しもっと!
そうだ、ヴィクトリアちゃんの水着、チェックしにいかなきゃ!
じっくり観察してスリーサイズの謎でも解き明かして見せようかなー!
●
「……あのさ、シェル姉?」
プールサイドに響く、セフィリカの声。
だが、その様子にはいつもの覇気が無い。普段は溌剌としたその声も、今はどこか弱々しい。
それというのも……。
「私、なに着てもこの布面積少なめの水着になっちゃうんだけど、なんで?」
そう。それはセフィリカの今の姿がその理由である。
事件を終え、ナイトプールを楽しむ段となって意気揚々と水着を選び着てみたものの……何を着ても、邪神チョイスの例の水着に変わってしまうのだ。
『あら、そう?』
そんなセフィリカの嘆き節に、相棒の魔剣は何かを察したのか。
一声上げて、魔力が渦巻き輝いて。顕れ出た青髪エルフのその姿は……いつもの黒の長衣姿である。
「なんでぇっ?!」
その姿を前に、思わずと言った声をあげるセフィリカ。
そんなセフィリカの疑問に、魔剣シェルファの答えは淡々としたものだ。
「恐らく、『人型で水着の着用が可能な知性体』が呪いの対象だったんでしょ。現に私が剣のままなら発動しなかったわけで」
「……つ、つまり?」
「途中で剣に戻った私の分も、セリカが呪いを受けたのよ。因果応報、ね?」
もちろん、仮設だけど。言葉尻にそう付け足す姉貴分のその言葉は、「うぐー!」と唸るセフィリカには届かない。
水着結界の環境を利用して、シェルファに水着を着せてみる……いや、それはあくまで余録みたいなものだけど。
でも結果として、セフィリカの行動はそういう形となった。その行動の果てが、こういう形になって返ってきただけの事なのだ。
……シェルファの言葉ではないが、まさしく『因果応報』の言葉通りであろう。
「ま、まぁいいけどね。私の可愛さに、陰りがあるわけじゃなし……!」
だがそれで、へこたれ引き篭もらないのがセフィリカという女である。
そうだ。折角の機会だし……プールを楽しまないと、損ではないか。
サービスしてあげるかぁ、と。覚悟を固めて胸を張れば……母性の象徴が、柔らかく弾む。
「……あ、そうだ。ヴィクトリアちゃんの水着もチェックしにいかなきゃ!」
スリーサイズの謎でも解き明かして見せようかなー!
努めて明るく、声を出すセフィリカ。その背を魔剣が、苦笑を浮かべて追いかける。
……セフィリカが、ヴィクトリアの水着をどの様に品評したか。そしてそのスリーサイズを解き明かすことが出来たかは、ここで語る事では無いだろう。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
お言葉に甘えてのんびりさせて貰おう
なんか凄く疲れたし
もちろん水着は変えるよ
これは流石に無理…
いつもの黒いビキニに着替えるけど
このフリル満載の水着は
融合してる邪神の力で生成したもので
邪神の趣味なんだよなぁ
コンテストとか水着姿で人前に出る事あったから
だいぶ慣れてきたけど(遠い目
可愛らしい浮き輪に乗って楽しむ気分でもなし
プールサイドで軽食と軽いアルコールを貰ってのんびりしよう
見た目はともかく飲酒できる歳だからね
UDC組織に頼んで免許証をこの姿で作ってるから証明もできるよ
夜景でも眺めて不幸な事故は忘れよう
ヴィクトリアさんにお礼を伝えるよ
楽しい場を設けてくれてありがとう
可愛い水着だけど御愁傷様なのかな?
●
「……はぁ」
プールサイドに設置されたリクライニングチェアに腰掛けて、深々とした溜息を晶が溢す。
酷く疲れたようなその仕草であるが……事実、晶は酷く疲れていた。
「あの水着は……流石に無理だよ」
その疲労の原因は、水着結界で着せられた例のマイクロビキニ。布面積が極小の、非常に攻めたデザインのアレである。
……肌を過剰に晒すあの水着に、知らず晶の精神は削られ続けていたらしい。
着慣れた黒いビキニに着替えたことで、多少とは言え気持ちが落ち着きはしたが……。
(でもこのフリル満載の水着、邪神の趣味なんだよなぁ)
不運な事故の結果、邪神と融合させられた過去を持つ晶。着慣れたこの水着のデザインは、邪神の力により発現した物であり、邪神の趣味の表れでもある。
そんな水着を着て、落ち着き、慣れを感じているこの現状に。晶としては、遠い目をするしか出来ぬ状況である。
「……可愛らしい浮き輪に乗って楽しむ気分でもなし、のんびりしてよう」
そんな精神状況であれば、水場ではしゃぐ気にもなれず。
立ち上がる晶が出向いたのは、プールサイドに設置されたカウンターバー。軽食と軽めのアルコールを受け取って、再びチェアに腰掛ける。
……見た目は女子中学生程の体格であるが、晶はこれでも立派な成人だ。UDC組織の協力もあり、身分証明書もこの姿で発行済みである。
つまり、アルコールを嗜んでも社会的には何の問題も無い立場であるのだ。
(夜景でも眺めて、今日の不幸な事故は忘れよう……)
一口グラスを傾ければ、軽めとは言え確かに感じるアルコールが疲れた身体と心に染み渡る。
少しだけふわふわとした心持ちのままプールを見渡せば、楽しげな仲間達のその姿を見守るグリモア猟兵、ヴィクトリアの姿も目に入るだろう。
……その姿は、今もまだ可愛らしげな水着姿のままである。どうやら彼女もまた、邪神の呪いを継続して受けている者の一人であるらしい。
「……ご愁傷さま、なのかな?」
ふふっ、と口から小さな笑いを溢しつつ、再び立ち上がる晶。
今日の依頼の労をねぎらい、この場を設けてくれた事の礼を伝えねば。
歩みを進める晶の表情からは、ほんの僅かであるが疲労の色が薄れているようであった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・クイン
やったあああああ!ドヘンタイを倒したら水着が元に戻ったわ!
これぐらいの露出なら恥ずかしくもないわねフフン
【太陽の家】のヒトに誘われたなら、仕方ないわよねっ
ナイトプールで、写メ? それがイマドキってやつ? それなら、ほら、クロエ!
その水着よ水着! モデルになるならもっとハデハデな水着にしなさい!
幸い、お店もあるみたいだし水着はアタシが選んであげるから♪
ビキニでおへそを出してせいぜい恥ずかしがるがいいわ!
(感覚が麻痺して自分のマイクロビキニは恥ずかしくないと思ってます)
マコトがメイクを教えてくれるそうだからお願いして、それから写メしましょ!
これで、アタシもイマドキの女の子……ってやつね!
クロエ・アスティン
【太陽の家】
わわっ、アリス様おめでとうございます!
呪いが解けてよかったであります!(マイクロビキニの呪い?すっかり忘れてます)
信子様の提案で写メ?を撮ろうということでアリス様お勧めの水着に着替えます。
あの、でもこれ、布地が少ないような……いえ、アリス様に比べたらずいぶんマシなのであります?
というわけでアリス様よりちょっとマシな水着姿に着替えてきます。
ただ、プールサイドに出ると周りのスタイルのいい人達が気になって隠れるようにバスタオルにくるまってしまいますね。
信子様にメイクをしてもらったらヴィクトリア様も誘って写真をぱしゃり。
うぅ、や、やっぱり水着姿で写真を撮られるのは恥ずかしいでありますね……
秋月・信子
●SPD
【太陽の家】
『ヴィクトリアの好意じゃしかたないわね。盛大に遊ぶわよ』
「でも、ここ物凄く高そうなホテルですし、少し遠慮した方が…」
『何言ってるの。親のスネはかじれる時にかじっておくべきでしょ?甘えるのも親孝行のうちよ』
あの変態の水着センスはイマイチだったし、着替えてナイトプールに合う猟兵SNS映えするメイクをするわよ
ヴィクトリアは大丈夫として、クロエとアリスの二人は丁度いい機会だし教えてあげるわ
ほら、信子
無駄な抵抗は諦めて、そのジャケットを脱いでここに座りなさい
いい?基本は「薄暗いところでも映える明るいメイク」よ
リップは発色の良い物、睫毛も目元をパッチリにね
はい、完成
読モ顔負けじゃないの
●
時は少し遡り……変態との戦いを終えて、ロビーに戻った頃のこと。
「──やったあああああ! ドヘンタイを倒したら水着が元に戻ったわ!!」
「わわっ、アリス様おめでとうございます! 呪いが解けて良かったであります!」
ぴょんぴょん飛び跳ね喜び勇むアリスに、ニコニコ笑顔のクロエが拍手を送る。
いや、厳密にはアリスの身を蝕んでいる呪いは解けていない。
今のアリスは、超マイクロビキニ。この場に飛び込む前に掛けられていた呪いは、まだ生きているのだ。
だが、アリスは最早感覚が麻痺した状態であるし、クロエもまたビキニの呪いなど忘却の彼方である。
……二人の少女からいろんな物を吹っ飛ばした、前張りアイバックショーツの衝撃恐るべし、と言った所だろうか。
『ヴィクトリアの好意じゃ仕方ないわね。盛大に遊ぶわよ』
「でも、姉さん。ここ物凄く高そうなホテルですし、少し遠慮した方が……」
そんなアリスとクロエの姿に苦笑を浮かべつつ、信子と『姉』が言葉を交わす。
ホテルの売上の補填の為。そして猟兵達の心身を癒やす為。彼女達が世話になっている家主……ヴィクトリアが骨を折ってくれたという好意は、素直に嬉しい。
けれど、常識人である信子は思うのだ。こんな高級ホテルのプールを貸し切りにするのに掛かる費用は、いかほどだろうかと。
そしてその全額を負担するというヴィクトリアに、只でさえ居候である自分が甘えて良いものだろうか、と。
『何言ってるの。親のスネはかじれる時にかじっておくべきでしょ? 甘えるのも親孝行の内よ』
行く宛の無い自分を住まわせ、何くれとなく世話を焼いてくれる母親代わり。信子にとってのヴィクトリアは、そういう女性だ。
そんな母の愛を、素直に受け止める事こそが娘の仕事ではないか、と。『姉』はそう言って、笑うのだ。
……『姉』の言葉は微妙に露悪的に聞こえるが。でも、間違ってはいないはず。
アリスとクロエを呼び寄せる『姉』の背を眺め、観念したかのように信子は小さく息を吐く。
「写メ、でありますか?」
「それが、イマドキってやつ?」
『そーよ。ナイトプールに合う、SNS映えするメイクをして……』
そんな信子を他所に、少女二人を言い包めるかの如く、『姉』の言葉は止まらない。
合点がいっていないのか、キョトンとした表情のクロエ。だがアリスの方はといえば、目を輝かせて大乗り気である。
「それなら、ほら、クロエ! その水着、もっとハデハデなのに着替えなさい!」
『そうねぇ。あの変態の水着センスはイマイチだったし。レンタル、しましょうか』
「ちょっ、えっ、お、お二人ともっ!? ま、信子さま、お助け下さいでありますーっ!?」
片腕を、「アタシが水着を選んであげるから♪」と楽しそうに笑うアリスに。
もう片腕を、ニヤニヤと笑う『姉』に捕まって。ジタバタと藻掻くクロエが、水着ショップへ連行されていく。
そんなクロエの悲痛な姿に、信子はハッと我に返ると……慌てて三人の後を追いかけるのだった。
………
……
…
そんなこんなで、水着を替え、化粧を済ませた少女達が屋上プールに脚を踏み入れる。
水面に輝く幻想的な光に目を輝かせるアリスとクロエ。そんな二人を、信子と『姉』は微笑ましげに見守っていた。
……照明に照らされたプールは、灯りがあるとは言えやや薄暗い。だがそんな状態でも、四人の表情はハッキリと目立つ程に明るい。
『いい? 基本は「薄暗い所でも映える明るいメイク」よ』
『姉』の手により施されたメイクは、暗所での撮影に適したメイクの基本。
明るい発色のリップを塗り、目元が輝くかの様に睫毛の具合もバッチリだ。
……元の素体が良いのか。基本の基本を抑えるだけで、少女達の可憐さが更に際立つ。
「ほら、クロエ! タオルに包まってないで、おへそを出して恥ずかしがるが良いわ!」
「はわっ、ちょっアリス様っ!?」
周りのスタイルの良い女性陣に気後れしたのか、縮こまるクロエのタオルを剥ぎ取ろうとするアリス。
じゃれ合う二人の少女が着るのは、肌面積が少なめな攻めたデザインのビキニ。
呪い継続状態のアリスはともかくとして、恥ずかしがりのクロエにしては中々攻めた衣装であるが……どうやら二人とも、色々と感覚が麻痺しているらしい。
まぁその辺りもきっと良い経験になるはずだろう。
『ほら、信子。そのジャケット脱いで、ここに座りなさい。二人も、いつまでも戯れてないでいらっしゃいな』
そんな二人を他所に、『姉』が準備するのは背もたれ付きの浮き具。
水に浮かべて三人並んで腰掛ければ……。
──パシャリ。
『姉』の構えた端末から響くシャッター音。ひと夏の思い出が、切り抜かれる。
「うぅ。や、やっぱり水着姿で写真を撮られるのは恥ずかしいでありますね……」
「でも、これでアタシもイマドキの女の子……って奴ね!」
きゃいきゃいと賑やかな年少の二人のその姿は、どこまでも微笑ましい。
『後でヴィクトリアも誘いましょうね』
「そうですね、『姉さん』……」
そんな二人を見守りながら、信子と『姉』はくすりと笑い合うのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルメリー・マレフィカールム
……無事に終わって良かった。
……プールは初めてだから、とても楽しみ。
水着はレンタルする。拘りは無いから、種類はホテルの人にお任せ。
遊ぶ前に、ヴィクトリアのところに行く。プールのお代を払ってくれたことと、これまで事件を予知してくれたことに、お礼を言うために。
……ヴィクトリアのおかげで、助けられた人が沢山いたと思う。だから、ありがとう。
お礼の後は、プールに遊びに行く。泳いだことは無いけど、浮き輪があるから溺れはしない……はず。
【アドリブ、協力歓迎】
鬼柳・雄
【アドリブ絡み歓迎】
※本人は水着ピンのような姿、シアは邪神チョイス水着
くぁー終わった。なんつーか色々アレな事件だったけど酷え事にはならなかったしマシな方か。と、軽いアルコールドリンクを手にプールの方を見ながらのんびりします。
こうして役得もあったわけではあるし。鬼柳・雄とて若い男、女性の水着姿を見るのは楽しい。……流石に色物な水着を着せられたままの人がいたらそっちは見ないぐらいのデリカシーは持ち合わせているが。
あとはプールで水しぶきを上げて喜ぶシアを眺めたりとか。
ヴィクトリアさんお疲れーと挨拶した後「あ、スマホ写真良いっスか」と頼み込んでみたりとか。
夏の最後のひと時を楽しみます。
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屋上を吹き抜ける、夏の夜風。
晩夏だというのにまだ生温さを感じるその風であるが、しかし水場に在れば不快感は軽減されるのか。
灯りに照らされた屋上プールに響く声は、どれも楽しげで和気藹々とした物である。
「……ヴィクトリア」
そんな猟兵達の様子を、微笑み見守るヴィクトリアに掛かる声。
声の方へ向き直れば。そこにいたのは、青を基調にしたフリルワンピースに身を包む少女、ルメリーの姿があった。
「あら、ルメリーさん。今日はお疲れ様でした」
「……ん。無事に終わって、良かった」
戦いの労をねぎらうヴィクトリアに、こくりと頷くルメリー。
淡々とした表情と仕草。だがルメリーがこの事件の解決に心から安堵を覚えている事は、ヴィクトリアにならば伝わるだろう。
「折角の機会ですから。今日はゆっくり、楽しんでくださいね?」
「うん。プールは初めてだから、とても楽しみ……でも、その前に」
ふわりと微笑み、労りの言葉を口にするヴィクトリア。
その言葉にまたこくんと頷きつつ……ルメリーがヴィクトリアの瞳をじっと見つめる。
「……ヴィクトリアのおかげで、助けられた人が沢山いたと思う」
──だから、ありがとう。
無表情かつ無感動。淡々と物事をこなす効率派。余人が見るルメリーという少女は、きっとそう見えるだろう。
だが、違う。ルメリーのその本質は、素朴な年頃の少女である。正義感を燃やし、多くの人々を守りたい、救いたいと願い戦う、そんな少女なのだ。
……自分の存在が、根幹が不確かであっても。その思いだけは、決して揺らがない。
ルメリーのその真っすぐなその思いを感じ取り、ヴィクトリアの目に浮かぶのは深い感謝と慈愛の光。
「ルメリーさん。こちらこそ、ありがとうございます。今後も、お力をお借りすることがあるかもしれませんが……」
その時は、どうかよろしくお願い致しますね?
深々と丁寧に下げられる、ヴィクトリアの頭。
ルメリーの抱く思いと同質のまっすぐとした感謝の言葉を受ければ、無表情なルメリーの頬もほんの僅かに緩むだろう。
……その時だった。
「おう。ヴィクトリアさん、お疲れさん」
響いた低い声に、視線を向けるルメリーとヴィクトリア。
その視線の先に居たのは、鮮やかな橙のシャツに黒のサーフパンツという出で立ちの雄と、その相棒の少女悪魔。
……少女悪魔の方は、今も邪神チョイスのタイサイドビキニのままである。よっぽど気に入ったのか、時折くるりと回ったり随分と楽しそうな様子であった。
「あぁ、雄さんも。今日は一日、お疲れ様でした」
「やー、なんつーか色々アレな事件だったけど。酷え事にはならなかったし……」
頭を下げるヴィクトリアの言葉に僅かに視線を逸しつつ、片手に持つグラスを傾ける。軽めのアルコールが疲れた身体に染み入るようだ。
……多くの猟兵と同じ様に、雄も今日は一日かなり翻弄された猟兵だ。特に変態との戦いで変身スーツの上から女性用水着を着る事になるとは……あの瞬間まで、想像もしていなかった事だろう。
とは言え、だ。
(まぁ、俺も男だし?)
側にいるヴィクトリアの透き通るような白い肌に整った肢体。プールに視線を移せば至る所に負けず劣らずの美女・美少女揃い。まさに眼福の光景である。
今この場の役得を思えば、あんなアレやコレやと言った苦労も、まぁ……悪くはなかったのでは無いだろうか?
……一瞬、まだちょっとアレな水着を着てる者の姿が目に映るが、そこは意図して視界に入れぬように心がける。
それくらいのデリカシーは、持ち合わせているつもりなのだ。
そんな雄の視線に小首を傾げたルメリーが、自分の腕を引く存在に気付く。
「……?」
腕を引いていたのは、雄の相棒。可愛らしい水着に身を包んだ、少女悪魔だ。
……どうやら一緒に遊ぼうと、誘ってくれているらしい。
「あー、うん。迷惑じゃなかったら、遊んでやってくれねぇか」
「……うん。泳いだことは無いけど、浮き輪があるから溺れはしない……はず」
そんな相棒の願いを汲んだ雄の声にルメリーが頷きを返し、少女悪魔と並んで水場へ進む。
ぴょんっと飛び出しザブンと沈む少女悪魔。対してルメリーは恐る恐ると言った様子であるが、浮き輪の力も借りて水に身体を沈めていく。
「……楽しそうで何より、ですね」
「あぁ。ホント、そっスね……」
楽しげにはしゃぐ少女悪魔に、淡々と言った様子のルメリーも僅かに頬を緩ませて。
そんな二人の姿が何より和やかに見えて、大人二人も静かに笑い合う。
夏の最後のひと時が、過ぎていく。それぞれの思い出が、記憶の内に、写真の中に、刻まれていく。
邪神の引き起こした騒動は、少々アレであったが……それもまた、猟兵達の思い出の一ページへと変わっていく事だろう。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2020年09月13日
宿敵
『水着弁慶』
を撃破!
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