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迷宮災厄戦⑱-10〜para bellum

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #オブリビオン・フォーミュラ #オウガ・オリジン

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 オウガ・オリジン。
 強大なオブリビオン・フォーミュラの最大の武器――それは、無限の想像力。
 自分から力を奪い取った猟書家にすら完全に『変身』してみせるほどの。
「彼奴は"鉤爪の男"の能力、戦闘パターン、果ては思考すらも完全に模倣してみせた。
 つまりオヌシらには、"鉤爪の男"本人をそのまま相手にしてもらうも同然になる」
 グリモア猟兵、ムルヘルベル・アーキロギアは淡々と言った。
「彼奴はもはやほとんどの力を取り戻し、存在感を増し続けておる。
 猟書家どもも気になるが、これ以上彼奴の増長を座して待つわけにはいくまい。
 危険な戦いではある。しかしどうか、オヌシらの力を貸してはくれぬだろうか」
 思考すらも完全にコピーしたオウガ・オリジンは、まるで本人かのように振る舞う。
 つまりあらゆるユーベルコードに先制する強大な戦闘力もまた動揺。
 無限の闘争を追い求める鉤爪の男の力は、けして易い相手ではないだろう。
「彼奴の攻撃をいかに凌ぎ、そして反撃するか。それをよく考えて挑んてほしい。
 ここでオウガ・オリジンを確実に撃破し、その力を減じる……それこそが、
 このアリスラビリンスをカタストロフから救うために必要なことだ。どうか頼むぞ」
 汝平和を欲さば、戦いの備えをせよ。
 闘争に酔いしれる怪物を打ち倒すには、冷静な戦いが必要となるだろう。
「ワガハイはオヌシらを送り出すしかない――しかし、オヌシらの勝利を信じておる。
 この世界を救うために、これまでと同じようにその力を見せてくれ。健闘を祈るぞ」
 その言葉が、転移の合図となった。


唐揚げ
 ゆで卵です。オウガ・オリジンとの決戦シナリオですよ!
 猟書家『鉤爪の男』に変身したオウガ・オリジンを倒しましょう。

 プレイング締切は設けず適当なタイミングで執筆するつもりです。
 数によっては完結後同じフレームのシナリオを出すと思いますので、
 当方の対書架の王戦などで不採用になってしまった方なども、
 お気軽にご参加くださいませ! お待ちしております!
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第1章 ボス戦 『『オウガ・オリジン』鉤爪の男』

POW   :    プラズマ・クロウ
命中した【左腕】の【鉤爪】が【超電撃放出モード】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    インサニティ・ブレイド
自身に【体を失っても極限の闘争を求める狂気】をまとい、高速移動と【鉤爪からの真空波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    量産型侵略蔵書
【侵略蔵書で書き換えた『不思議の国』の太陽】から、【奴隷を捕縛する鎖】の術を操る悪魔「【アリス狩りオウガ】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

天御鏡・百々
オウガ・オリジン……
猟書家と瓜二つとは、現実改変ユーベルコードの力は恐るべしだな
だが、どんな姿になっても倒すのみだ!

太陽の書き換えからの悪魔召喚に交渉と手間が多い
悪魔が動く前に行動出来れば僥倖
捕縛されたとしても、ユーベルコードが封じられなければ構わぬ

『天神遍く世界を照らさん』でこの地を『清浄なる神域』に変えるぞ
(破魔114、浄化20、結界術20、祈り10)
悪魔と言うのであれば、これで術も維持出来ぬであろう

あとは天之浄魔弓(武器)で鉤爪の男を射抜いてやろう
(破魔114、誘導弾25、スナイパー10、鎧無視攻撃10)
自在に動く光の矢は、汝の防御の隙間を貫こう

●本体の神鏡へのダメージ描写NG


館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎

闘争と狂気すら現実改変で再現するなら
俺も怒りと狂気で対峙してやる
さあ、先に存在を刈り取られるのはどちらだろうな?

鉤爪からの真空波は鉤爪の動きや真空派の軌道を「視力、戦闘知識」で「見切り」
「第六感」も頼りにしながら跳躍やスライディングも駆使し回避
間に合わなければ「早業」で黒剣を振って「衝撃波」を放ち相殺するか「オーラ防御」で軽減し少しでも被ダメージ軽減

回避したら反撃したいが、高速移動が厄介か
【魂魄解放】発動後「ダッシュ」+高速移動で接近
「2回攻撃、鎧砕き、部位破壊、怪力」で両腕に狙いをつけ一閃
真正面から両腕とも落としてやる
そらそら、死は間近まで来ているぞ!?


神元・眞白
【POW/割と自由に】
闘争か逃走か。戦いを望む方がいれば戦いは終わらないのでしょう。
必要な終わりには必要な終わりを。望むのであれば致し方ありません。

相手の主武装は鉤爪。分かりやすい攻撃の方は受けやすいですね。
引き付けて引き付けて、この際片腕は捨て置きましょう。
何分人形ですから電撃や痛みの耐性はありますし……必要なら痛覚の遮断を。
あまり人から遠ざかるのはよくありませんが飛威には目をつぶってもらいます。

とはいえ何回も攻撃を受けることはできませんし、他の私へ攻めはお願いしましょう。
……というのは建前に、欠けたパーツを周りの私からもらって転進を。
勝利は泡沫。その為にはだまし討ち、奇襲は1つの手段として


アルトリウス・セレスタイト
これもオリジンか
既に自分が何か解っていないとも見えるな

先制含む攻撃はオーラに『刻真』を作用させ対処
自身を包む無数の薄膜状に分割展開、触れた攻撃を部分的に加速または減速し、「自然に」自身から逸らす
複数の攻撃はそれら同士がぶつかるよう調整し自身含む味方の攻める機に
足りぬ分は自身を無限加速、ないしオーラに巻き込み「終わらせて」回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から汲み上げる

攻め手は天印にて
『天光』で捉え無限加速による一撃をオリジンへ
触れさえすれば事は足りる
行動も能力も封じれば全て剥がれ落ちた本体が立ち止まっているばかり

どうせ抜けてくると想定し、止まっても継続して撃ち込み封殺を図る

※アドリブ歓迎



●光をも狂気にて塗り潰し
「――ハハハハハハッ!!」
 鉤爪の男としてのペルソナ、能力、思考を手に入れたオウガ・オリジンは、
 まさしくその本人のように鉤爪をわななかせ、猟兵たちの来訪を歓喜した。
「私を滅ぼしに来たな猟兵! 闘争を否定しながらも闘争によって私を滅ぼしに!!
 さあ、私に地獄のような闘争を味わわせろ。貴様らのその力でなァッ!!」
「……闘争と狂気すら再現する現実改変か。どこまでも度し難いな」
 館野・敬輔は眉根を寄せ、しかし双眸に怒りをたたえて黒剣を構えた。
「なら、俺も怒りと狂気で対峙してやる。そしてお前の羨む死を与えてやろう!」
「いい啖呵だ、そうこなくてはな――さあ、起きろ我が鉤爪よ!!」
 狂った笑みを浮かべる鉤爪の男の左腕が、めきめきと音を立てて変異した。
 普段の禍々しいフォルムからさらに怪物めいたシルエットに変貌した左腕。
 それはさながら全能神ゼウスを驕るかのごとく、バチバチと電光を迸らせる。
 さらに空を見よ。ぎらつく太陽は塗り替えられ、オウガどもが来たる。
 一体どころではない。猟兵たちを絡め取らんと鞭めいた鎖を打ち鳴らして!
「オウガ・オリジン……否、こうなってはもはや"鉤爪の男"と呼ぶとしよう。
 汝がどれほどの力を振るおうと、我は正しき天光を以て汝を照らすのみだ!」
 天御鏡・百々は毅然と胸を張り、悪夢じみた軍勢を前に高らかに言った。
「ほざけ!! 我が頭上に君臨するは、燃え尽きるまで焦がれる太陽のみよ!
 さあ悪魔どもよ! オウガども!! 獲物を縛り上げ頸を並べろォ!!」
 オウガの群れが来る! その鎖はユーベルコードをも封じる超常の鋼だ!
「……戦いを望む方がいる限り、戦いは終わらないというのに。
 いえ、終わらない戦いをこそ望んでいるのかしら。理解できないですね」
「どうあれ敵ならば滅ぼすまでだ。主義も信条も知ったことか」
 憂いを帯びた神元・眞白に対し、アルトリウス・セレスタイトはシンプルだった。
 彼は敵の事情など勘案しない。ましてやそれがフォーミュラならば。
 世界を滅ぼさんとするオブリビオンの王。はじまりのオウガにしてアリス。
 過去はきっと凄絶で、陰惨に尽くしがたいものだったことだろう。
 だからどうした。それで、やつがしでかしたことが正当化されるとでも?
 ゆえに滅ぼす。そこに変わりはない。揺らぐこともまた、ないのである。

 そして一方的な闘争の火蓋は、狂った哄笑と稲妻の飛沫によって叩き落された。
 鉤爪の男はその狂乱の闘争心によって、風を纏いすさまじい速度で飛び出す!
 竜巻じみた回転から放たれる無数の真空波! それは鋼鉄をも切り裂く!
 そこに空からの鎖攻撃までも来るとなれば、回避余剰空間はほぼ皆無……!
「避ける隙間すらもないのならば、それを生み出せばいいだけだ」
 アルトリウスは冷静に手をかざし、原理式『刻真』を分割展開した。
 目に見えぬ時間制御術式は鎖や真空波が触れると青ざめた光に輝く。
 それは因果よりもなお根源的な式に干渉し、攻撃を"逸らして"しまうのだ。
 加速も減速も、この程度の飽和攻撃に対してならば自由自在である。
「小賢しい障壁を張るものだ、しかし私の鉤爪はその程度では満足しないぞ!!」
 展開された見えざる原理を引き裂いて、鉤爪の男本体が猛然と迫る!
「先に存在を刈り取られるのはどちらだろうな、鉤爪の男ォ!!」
 敬輔が真っ向迎え撃った。電光纏う鉤爪と黒剣が激突――そして!
「ぐ……!!」
 迸る電光と真空波の残滓が、鎧ごと敬輔の身体を切り裂き血を撒き散らす。
 鍔迫り合いの状態にもつれこむが、容赦ない電光が敬輔の膝を焦がし裂くのだ。
 額に血管が浮かぶほどに力みながらも、敬輔はこらえることが出来ない……!
「どうした猟兵よ。私の存在を刈り取るのではなかったかァ……?」
「……は、ハハハ。こんな程度で、俺を殺せると思ってるのか……!?」
 互いの血で両者の相貌は赤く染まり、ともに悪鬼じみた表情である。
 しかし敬輔の笑みは、心から狂気に浴した鉤爪の男のそれとはまったく違う。
 己を強いて鉄面皮を笑みに歪めているような、悲壮な表情だった。
「黒剣よ……喰らった魂を、力に替えて……この敵を、討ち滅ぼせ……!!」
「させると思うか愚か者! このまま我が鉤爪に引き裂かれて死ねェ!!」
 鉤爪の男は左腕を大きく広げ、敬輔をその剣ごと圧潰せしめようとする!
 次から次へと落ちてくるオウガの攻撃により、インタラプトは出来ない……!

 ……かに思われた、が。
 鉤爪の男は、己を照らす忌々しいほどに清浄な天光に違和感を抱いた。
 戦いの最中であることも忘れて空を振り仰ぐ。すると、そこには!
「我、天神として遍く世界を照らさん――邪悪なる魔よ、ここより去れ!」
 アルトリウスの援護で術式を完成させた百々のユーベルコードだ!
 もはや病んだ太陽はそこになく、そしてアリス狩りのオウガも絶えていた。
 戦場をあまねく照らすは清冽なる御鏡の神光。邪悪を退ける後光なり!
「これにてこの地は神域と化した。さあ悔改めよ、狂乱の戦士よ!」
「貴様……戦場を愚弄するか!? 血湧き肉躍る闘争を! 否定するか!!」
「我はそのようなものを肯定したことは、この世に生じて一度とてない。
 そしてこれからもな――汝のようなものこそ、我が照らすべき悪なり!!」
 光はいくつもの矢に凝縮され、鉤爪の男に降り注ぐ。
 鉤爪の男は光の矢を相殺しながら大きく飛び退る。隻眼がぴくぴくと痙攣した。
「闘争の本質を何一つ理解しない愚か者が!!」
「――ならあなたは、戦いの本質を理解しているというの?」
「!?」
 いつのまにか、鉤爪の男の眼前には眞白が立っていた。
 武器を構えもせず、力を使うこともなく、人形の瞳が狂熱を見返す。
「終わらない戦いの意味を、その価値を、あなたは知っているの?」
 普段の鉤爪の男ならば――それが模倣とて――一笑に付したろう。
 貴様の生命でそれを証明してやると嘯き、獲物をバラバラに引き裂いただろう。
 だがなぜだ。こちらを映す人形の瞳は、どこまでも澄んでいて恐ろしい。
 まるで己の空っぽな本質を見透かされ、そして射抜かれるような……。
 降り注ぐ後光がためか? あるいは、所詮模倣に過ぎぬからか……。
「黙れェッ!!」
 鉤爪の男は、その困惑と激昂と憤懣によって塗り潰した。
 狂気を心の奥底から汲み上げ、怒りとともに眞白に振るう!
 眞白は片腕でそれを受ける。所詮人形の腕、壊れても直せばいいだけだ。
「あなたには、私しか見えていないのね」
「何を――」
「ここに居るのは、私だけではないというのに」
「!!」
 しまった。鉤爪の男が我に返り身構えようとした、その時。
 風のように踏み込んだアルトリウスの拳が、脇腹を打ちのめした。
「がはぁっ!!」
「無限加速の一撃、よく味わえ。お前を滅びに送る原理の力だ」
 打撃は一度。しかし繰り返される因果は絶え間ないダメージをその身に刻む。
 終わらぬ苦痛に悶え苦しむ鉤爪の男。それは喜びであり誉れだったはずだ。
 だが、ああ。降り注ぐ神の光が。狂熱を払い己の真実を映し出そうとする――。
「あなたの力を貸して、私」
『ええ、私。欠けたものは私が補いましょう』
 そして平行世界から現れた眞白が、破壊された眞白の片腕となり彼女を補う。
 束の間彼女は戦術器としての本質を開放し、生命啜る掌打を叩き込んだ!
 光の矢はなおも降り注ぐ。偽ることも覆い隠すことも許されない!
「わかったか、鉤爪の男よ――お前の身に迫るもの。それが"死"だ」
 そして、敬輔の斬撃。
「お前の死は、喜びに満ちたものでもなければ何かの爪痕を遺すものでもない。
 お前はただ当然のように、残骸と成り果てて滅びる。ただ、それだけだッ!!」
 弧を描く斬撃が、鉤爪の男の肩口をばっさりと裂いた!
 闘争の狂気を浴びながらも、敬輔はその主導権を狂気に渡すことはない。
 手綱を握るのは己自身。それが、敵と己の違いなのだ……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

カタリナ・エスペランサ
その姿は闘争を求める猟書家だったかな
いいよ、付き合ってあげる
でも戦いってのは強くなる為の糧、その先に願いを叶える為の通過点でしかない
早々に終わらせてお払い箱に叩き込むとしよう!

敵の先制は《第六感+戦闘知識》の直感と理論を組み合わせて《見切り》、《属性攻撃+先制攻撃+カウンター》の雷撃を合わせ反動でアタシ自身を《吹き飛ばし》て緊急回避。《空中戦》への移行に繋ぐよ

反撃は…狂気の限り戦い続けるってなら仕方ない
手段を選べる相手でもないしね。【堕聖の偶像】発動
加速はおまけ、この化身の真髄は精神干渉能力だ
姿、声、魔力。向ける視線から付けた傷まで全てが狂気を削り取る幻惑の暗示さ
終わりの無い闘争に幕を引こう


リーヴァルディ・カーライル
…今度は鉤爪の男ね。大した変身能力だわ
だけど、その男の動きは既に見ているもの

同じ技が二度も三度も通じると思わない事ね
特に私のような狩人には、ね

今までの戦闘知識と第六感を頼りに敵の殺気や気合いを捉え、
不可視の攻撃を残像として暗視して見切り回避に専念してUCを発動

…確かに速くて鋭い。だけどそれは闘争の狂気があってこそ

…ならば、その狂気を封じられてもまだ、
同じ力を発揮できるかしらね?

敵の攻撃を●オーラで防御しつつ●ダッシュで懐に切り込み、
●破魔の●力を溜めた掌打を放ち●防具改造
敵に"狂気避けの呪詛"を施して●狂気耐性を付与して正気に戻し、
●怪力任せに大鎌をなぎ払い●生命力を吸収する2回攻撃を放つ


須藤・莉亜
「全力の殺り合いの中でこそ、渇きを癒す一滴があるかもしれないよねぇ。」
ま、コピーにはわからないかもしれないけど。

鉤爪が変形するまでには、ちっとは時間があるだろうし、当たった部位を切り落とすか削げ落とすかして電撃を喰らわないようにしてみようか。攻撃を受ける時はなるべく手足にしとく。胴体とかだと治すのがめんどいしね。

「身体がちっと削れたぐらいで、戦いを止めるなんて事はないよねぇ。」

攻撃を凌いだら、UCで吸血鬼化。先ずは負傷を治してっと。
んでもって、強化された戦闘能力と再生能力を駆使して敵さんを攻撃。
今の状態なら大概のことじゃ死なないし、斬り落とした部位を基点に再生して攻撃したりするのも面白いかも?



●喜悦満ちる終わりのために
 サー・ジャバウォック。
 レディ・ハンプティ。
 そして……書架の王。
 オウガ・オリジンからすれば、それは忌まわしい邪魔者どもだ。
 だが"鉤爪の男"にとっては、羨望を向けるべき先駆者たちだった。
 思考すらも模倣したオウガ・オリジンは、鉤爪の男と同じように考える。
 すなわち。
「おお――士爵よ、淑女よ、そして王よ。貴様らは満ち足りて死んだのだな」
 天を仰ぎ血の涙を流した。
「なんと妬ましい! 私もかくのごとく、喜悦に満ちた終わりを求めるぞ!!」
 滅びた同胞の死すらも、鉤爪の男にとっては羨望し嫉妬すべき歓喜なのだ。

 すべてを切り裂く竜巻が渦を巻いた。鉤爪が巻き起こす範囲攻撃だ。
「貴様らはどうだ、猟兵よ!? 貴様らは私を滅ぼせるかッ!?」
「……闘争を求める猟書家に、心からなりきっていると。大したものだね」
 カタリナ・エスペランサは吹きすさぶ真空波の嵐を飛翔して回避し、呟いた。
「けど、いいよ。そこまで死を求めるならば、アタシは付き合ってあげよう。
 ただしキミを満たすためじゃない。アタシはアタシのためにキミを殺すッ!」
「闘争の本質は孤独とエゴにこそある! それを躊躇う理由があろうか!?」
「理解できなくはないけど、なんていうか君、寂しいやつだねー」
 須藤・莉亜は紫煙をくゆらせながら言い、間合いに飛び込んだ。
 変形した鉤爪と恐るべき電光が迎え撃つ。そして大鎌と激突。
 飛沫は煮え立つマグマめいて身をよじり、莉亜の身体を灼き焦がした。
「そりゃあ全力の殺し合いのなかでこそ、渇きを癒す一滴はあるんだろうねぇ。
 けどさ――君、"それだけ"だよね。その先がないし、考えてもいないじゃん」
「それがどうした。闘争の歓喜にそんなノイズは不要だ!!」
「だから僕と君って、ウマが合うようで水と油なんだよねぇ」
 莉亜は絶え間ない渇きに突き動かされ、強敵との死合を心から望む。
 だがそれは、目の前の男のように満ち足りた死を求めてのことではない。
 彼は死ぬつもりなどさらさらなく、強者を打倒してこそ満足を得られるのだ。
 たとえどれだけ怠惰と厭世に耽溺したとて、莉亜は生きることは放棄しない。
 ……正直なところ、ここまで"行き果てた"男の存在は、羨ましくもある。
 なんら悩みを抱くこともなく、苦痛もなく悲しみも憎しみも抱くことなく、
 ただ豚のようにハイエナのように闘争の歓喜だけを追い求める生。
 それはきっと奴の言うように、純化された生であり懊悩などないのだろう。
 己の本能を抑え込むために苦慮することも、すれ違いを味わうこともない。
 渇きに苦しみ悶えることもない。それすらも楽しめるならまさしく最高だ。
 "だからこそ"そこだけは否定せねばならなかった。己が己であるために。
 莉亜も結局のところ、オブリビオンではなく猟兵だったということだ。
「……私はあなたを、いいえ、本来のお前をすでに見て、味わってきた。
 だからこそ言いましょう。その望みは、決して叶うことはないのだと」
 対してリーヴァルディ・カーライルは、狩人の双眸で鉤爪を弾いた。
 電光を拒絶するように黒炎が束の間燃え上がり、双眸の奥で闇が揺らぐ。
「私はお前を狩る。お前は野を走り回り暴れる獣のなかの一体でしかないわ。
 狂気を燃やす程度では辿り着けない狩人の境地を教えてあげましょう……!」
 返答代わりに、頸を刈る真空波が三度同時に繰り出された。
 リーヴァルディは全神経を研ぎ澄ませ、その攻撃を躱し、掻い潜る。
 不可視の攻撃も、彼女ほどの狩人が経験をもとに予測すれば回避は容易い。
 問題はその量と、速度だ。踏み込めば全身をずたずたに切り裂かれる!
「体がちっと削れたぐらいで、戦いを止めるなんてことはないよねぇ!」
「当然だとも、同類よ!! 貴様もまた最期まで戦い続けろォ!!」
 災禍の中心に一番に踏み込んだのは莉亜であり、もっとも負傷したのも彼だ。
 だが莉亜はダンピールとしての強力な再生力で、それを強引にねじ伏せる。
 血が流れ渇きが増す。それを癒やしてくれる敵が目の前にいる。
 莉亜の瞳が炯々と輝いた。リーヴァルディは、その性を忌まわしく思った。
 彼女もまたダンピールであり、一方で彼女はその本能を克己しているからだ。
 しかし、今は肩を並べてともに戦う猟兵。信条にとやかくは言うまい。
「その狂気、封じてしまえばどうなるかしらねッ!?」
 傷を恐れずリーヴァルディが踏み込む! そして吸血鬼狩りの業を開花!
 術式換装により狂気避けの呪詛を大鎌に付与し、横薙ぎに振るう……が!
「甘いぞ猟兵! "私に与えた攻撃が私に通用するとでも思ったか"!?」
「……く!?」
 鉤爪の男の隻眼がリーヴァルディを見返す。それは攻撃完了の合図!
 遅れて真空波がその身を切り裂く。敵は攻撃を予測して待っていたのだ!
 たしかに鉤爪の男を模倣したその行動様式は、リーヴァルディの知る通り。
 その力も思考も何もかも本物と同等であるがゆえに本物を超えることはない。
 逆に言えば、一度通用した攻撃が二度三度と通じるとは保証出来ないのだ……!
「とどめを刺してやる! 死ね!!」
 鉤爪の男は狂った笑みを浮かべ、リーヴァルディを引き裂き殺した。
 だが、手応えが妙だ。男は災禍の中にありて、呆然と己の爪を見下ろした。
 鉤爪を染めるべき鮮血はない。……そして気付く。これは幻だと!
「猟兵! 貴様の仕業かァ!!」
「さすがに気付くのが早いね。けど、もうアタシの術中だよ!」
 頭上! みつあみを解き魅了の権能を開放したカタリナが不敵に笑う!
 その視線、姿そのもの、声、魔力――何もかもが敵を惑わす幻の兆しだ。
 鉤爪の男は、知らずして夢魔の掌のなかに籠絡されていたのである!
「幻などで! 私が!! 満ち足りてたまるものかッ!!」
「狂気が尽きぬ限り戦い続ける……そりゃあ、アタシの幻も塗り潰すだろう。
 ――けどね鉤爪の男。いいや、オウガ・オリジン。覚えておくことさ」
 カタリナはなおも不遜に笑う。
「アタシたちもまた――キミたちを滅ぼすためならば、幾度でも立ち上がると!」
「!!」
「その隙、もらった……!!」
 血まみれのリーヴァルディが立ち上がり、大鎌の斬撃を再び放つ!
 避けられるはずの一撃。だが幻が、彼我の相対距離感覚を狂わせた!
 狂気をも退ける鬼狩りの刃は、ついに鉤爪の男に届いたのである!
「お、おおおお……!?」
 視界はぐにゃりと曲がり前後不覚に陥る。汲み上げるべき狂気はもはや遠く。
 怜悧になった思考は、己の死が徐々に近づきつつあることを悟った。
 おお、その目を見返すは金色の瞳。原初の血筋に覚醒した莉亜のそれ!
 真空波でバラバラに裂かれた体を、沸騰する血で再生していく!
「全力で殺してあげるよ――だから君も、耐えてみせてね?」
 連撃! 鉤爪の男は負傷しながらもこれをいなし、莉亜を殺す!
 殺した、はずだ。頸を刎ね飛ばし腕を斬り足を切断した。だが。
 ――背後。ごろりと転がった腕の切断面が沸騰し、莉亜が"生えた"。
「このぐらいじゃ、死んであげられないなぁ!!」
「バカな……!!」
 狂熱に浮かされた男すら驚愕させるもの、それは幻ではなく現実の"鬼"。
 背後からの斬撃がその身を切り裂く。男は転がり、泥濘に塗れた。
 敗北。その可能性に心は震えない。忘れたはずの恐怖が湧き出てくる。
 己が恐怖しているという屈辱こそが、鉤爪の男の総身を震わせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

鷲生・嵯泉
戦う事を無上の歓びとする手合いか……私には理解出来んな
其の性の齎す被害を見過ごす事も出来はしない
他の地へ行く事もさせはしない――お前が行ける先なぞ1つだけだ

五感全てで得た情報使い、極限まで第六感を集中し
攻撃の起点軌道を見極め見切り躱し
致命部位への攻撃さえ通さず於ければ後は構わん
――伐斬鎧征、血符に応えよ
瞬き1つの間とて眼を離しはしない、息1つ分だろうが止まりはしない
お前を斃すまで血反吐吐こうが膝なぞ付かん
刹那の隙をも抉じ開け、其の素っ首へと斬撃を叩き込んでくれる

私の刃は護る為に、為すべきを成す為に在る
唯闘争を求めるだけの力なぞに折れる訳が無い
――潰えろ、過去の残滓。闘争の時は終わりだ



●斬り、拓く
 勝利に酔いしれるならばわかる。勝利の美酒は甘やかなものだ。
 敗北をもたらすことに呑まれたならば、それもまだわかる。醜くはあるが。
 だが奴は――鉤爪の男は、どちらでもありどちらでもない。
 闘争そのもの。それ自体に重きを置き、それ自体を求め続ける。
 鷲生・嵯泉にとっては、何一つ理解できないタイプの狂人であった。
 戦いは虚しいものだ。勝利の美酒が甘く敗北を味わわせることが愉悦だとしても。
 戦いなど、しないに越したことはない。こんな苦しみを味わう必要はない。
 ……だからこそ己は戦うのだ。そんな苦悶を押し殺せる者として。
 闘争を振りまこうとする狂人など、嵯泉が捨て置けるはずもなかった。

 ――風が来る。
 見えず、聞こえず、しかもその速度は音に匹敵するほどに疾い。
 かつ、切れ味はそこらの名刀をはるかに超える。鋼すら断ち切る真空波。
「どうした猟兵! 貴様も酔いしれろ、この闘争の愉悦に――!!」
 それを嵐のごとく撒き散らしながら、恐るべき速度で鉤爪の男が来る。
 先触れめいた風に頬を、あるいは肩口を裂かれながら、嵯泉は不動であった。
 躱すべくを躱し、防ぐベくを防ぐ。時として不動こそがそれをなす。
 彼には見えていた。敵が放つ殺意の白々とした線、頸を刎ねようとする刃が。
 下手に回避しようとすれば、手足を薙いで咎める牢獄じみた軌跡。
 嵯泉は不動である。不動のまま、静かに愛刀を引き抜いた。
「私はお前に付き合うつもりはない。その醜悪で馬鹿げた趣味にもな」
「ハ! 戦場に立ちながら何を言う! 貴様とて闘争を求めてきたのだろう!!」
「――否。私は、一度とて闘争を求めたことなどありはしない」
 私が戦う理由があるとすれば、それは。
「お前たちが、戦うほかに道のない度し難い莫迦どもだからだ――!」
 嵯泉は睨む。ぐんぐんと近づいてくる狂熱の輩を。
 そして柄に手をやる。勝負は一瞬、先んじても遅れても待つのは死である。
 風が強く吹いている――刃じみた風が身を裂く。嵯泉は動かない。
「ならば死ね。己の不足を悔いながら!!」
「それは、こちらの台詞だ」
 音が届いたのは、はたして交錯のあとか先か。
 ふたつの影が、瞬きほどの速度ですれ違った。

 ……どしゃり。
「がはぁっ!!」
 派手に転げ回って血を吐いたのは、鉤爪の男のほうである。
 嵯泉は剣を振り抜いた姿勢のまま。全身のあちこちに傷が生じ血が迸る。
 だが、生きている。そして負傷の程度は、どうみても鉤爪の男のほうが上!
「お前を倒すまで、血反吐を吐こうが膝など突かん」
 嵯泉は苦悶する男を振り返り、壮絶な眼差しで睨みつけた。
 それは仁王、否、まるで閻魔羅闍の如き……。
「私の刃は護るために、為すべきを成すためにある。お前とは違うのだ」
 なによりもしなやかで堅強たるは、刃でも身でもなく、その意思だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アロンソ・ピノ
※アドリブ歓迎
闘争好きなあ…
ユーベルコードは冬唄。
使用中は全身血が出るほど痛えが、鉤爪の男が出す真空波と…その狂気を斬る。
身体の中にあっちゃどこにあるんだか分からねえが、
今は「纏って」るんだろう?見えなかろうが、朧げだろうが有るのが分かれば斬れる。それが冬唄だ。んでお互いの我慢比べに持ち込む。
ただ最初の一撃が早い分、最初に攻撃貰っちまったら【気合】【覚悟】【見切り】で耐える。

悪いな、オレは。お前が大好きな闘争が好きなんじゃ無い。刀をもっと。もっと上手く振りたいだけだべ。だから、悪いな。
オレは、お前とは「闘い」をしてやれない。これはただのオレの、研鑽で、我慢比べだ。
―――春夏秋冬流、参る。



●そこに在るならば

 ――何が、起きた?

 鉤爪の男は、崩れ落ちる自信を認識し、そして苦痛を認識した。
 次に襲いかかったのは喪失感。身を守る「何か」を斬られたという実感。
 何が起きた。斃れながらも鉤爪の男は、相対していた男を見やる。
 アロンソ・ピノ。体のあちこちを斬り裂かれながら、剣を振り抜いていた。
 異様なのはその刀身だ。隙間がないほどにびっしり書き込まれた文言。
 それが何かしらの破魔ないし呪詛効果をもたらしていることは、わかる。
 だが何が起きた。自分はいま、奴を"バラバラに引き裂いてやった"はずだ。
 風を纏い烈風を起こし、我が鉤爪で握り潰して砕いたはず。
 なのに、なぜ。どうして"己が斃れている"。
 どうして"己が横薙ぎの剣を受け、こんな苦痛を浴びている"。
 ……どうして"苦痛を苦痛と認識している"のだ?
「がはっ!!」
 主観時間が現実に追いつく。鉤爪の男は塊のような血を吐いた。
 アロンソは野太く息を吐き、魔剣を返してかぎ爪の男を睨み、見据える。
「これが、"冬唄"だ。その身でたっぷり味わったろう」
 アロンソの言葉が、鉤爪の男の脳裏に直前の記憶を呼び起こした。
 疾風を纏い飛びかかる自分。対してアロンソは剣を抜いた。あの魔剣を。
 斬撃などどれほどのものか。負傷したところで自分は蚊ほども痛痒を覚えない。
 そうたかをくくって襲いかかり……そして、相打ちになった。

 はず、なのだ。
 だがダメージはこちらのほうが明らかに大きい。何が、起きた?
「悪鬼羅刹に魑魅魍魎」
 アロンソは謳う。朗々と。
「妖怪変化に怨霊怪異」
 ぎらりと、何の変哲もないはずの刀が鈍く輝いた。
「仇なす力は見えずとも、一太刀振るって調伏せん」
 ……そして理解する。風は絶え、己を渦巻く狂気も消えたことに。
 斬ったと、言うのか。
 風を。
 狂気すらも。
 あの刀一本で。
 傷つくのも恐れずに、斬ってみせたというのか。
「――唄えや唄え、冬の夜長を。冬の型、弐の太刀……冬唄さ」
 アロンソの双眸がぎらりと刃の光を受けて輝いた。
「悪いが、オレは、お前が大好きな闘争が好きなんじゃないんだ。
 刀をもっと――もっと上手く振りたい。ただそれだけでここに居るべ」
 アロンソが腰だめに構える。
「オレは、お前とは"闘い"をしてやれない。これはオレの、ただの研鑽で」
 アロンソはおくびにも出さない。全身を襲う凄まじい苦痛を。
「オレとお前の、"我慢比べ"だ」
「……ふざ、けるな」
「ふざけてねえよ」
 鉤爪の男は立ち上がる。アロンソは、口訣めいて唱えた。
「アロンソ・ピノ。春夏秋冬流、参る」
 ここからが本番だと、その名乗りが告げていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
◆リア(f04685)と


受け切るつもりで申し出たんだろう
初撃の対応は“任せる”
俺がすることは、それを視て、聴いて、憶えて
反攻への布石にすることだ
――正直、素直に頷きたくはなかったけど
甘いことを言っていられないのだって、わかってる

――ああ、任された
お前が作った時間を無駄にはしないさ
信頼に応えるだけの仕事はするよ

先制の一撃だけでも十分な情報だ
ある程度までは読めるようになってるはず
動き出しを制するように射撃を重ねながら
更に敵の癖を憶えていくよ
十分な情報が得られるまでは持久戦
その先に訪れる一瞬の隙を逃さずに
致命の一撃を叩き込む

ここにあるのは二人分の意思だ
借り物の姿で振るう力に、負けるわけにはいかない


リア・ファル
◆匡にーさん(f01612)と

模倣したのは、鉤爪の男か

鉤爪の一撃に合わせ、カウンターで『グラヴィティアンカー』を巻き付ける
(カウンター、ロープワーク、捕縛)
アンカーのナノマシンを通電するように電脳魔術で細工して地に差し電撃には対応して
(ハッキング)
相手の一撃は『メビウス』を展開し受け止める
(オーラ防御、盾受け)

防ぐだけでも厳しかったかもしれない
だが、生身のにーさんに任せるワケにも行かない

それに、初撃を凌げば……負ける道理はない

ところで、にーさん、二丁拳銃とか扱える?
じゃあ、後は任せて良いかな?

UC【献げる乙女は世界に挑む】
我が身は貴方の為の銃

その狂える刃は軽薄
受け止める重みも痛みもないのだから



●我が命を君の双肩に/我が身を貴方の掌に
「……それじゃあ。"任せる"ぜ、リア」
 鳴宮・匡は、彼女の……リア・ファルの目をまっすぐに見つめて、言った。
 それは意思表示であり、最後通牒めいた意思確認でもある。
 俺はお前に命を預ける。だから――と、言葉でなく視線で確かめるのだ。
 リアはそのまっすぐな眼差しを受け止め、こくりと頷いた。
 鉤爪の男。オウガ・オリジンが模倣したその肉体は、強大かつ強靭だ。
 闘争を求め続ける狂気。どれほど傷つこうが、それは煉獄の炎めいて尽きない。
 ゆえに、奴は完全崩壊まで何度でも立ち上がる。そう、何度でも。
「大丈夫さ、匡にーさん。だからボクが役目を果たしたあとは、"任せる"よ?」
「…………ああ」
 匡の本音を汲むならば、彼は素直に頷きたくはなかった。
 チームであれリアであれ、あるいはほかの誰かであれ、仲間を盾とする。
 その戦術は、どれだけ合理的であっても――いや、合理的だからこそ頷き難い。
 かつての己ならば躊躇は抱かなかった。"だからこそ"だ。
 感情を切り捨てて沈めてきたことの揺り戻し。合理性への強い忌避感と拒否感。
 それが最適であるとわかっているからこそ、選びたくないという矛盾。
 それは翻って、匡がいままで歩んできた合理性の道のりを際立たせる。
 お前は所詮、命すらも勘定に入れる化け物に過ぎないのだと何かが囁くから。
 ……けれども、リアの瞳はどこまでも輝いていて、澄んでいた。
 この人の命を預かれるならば、そして自分の命を預けられるならば。
 それほど本望なことはない――瞳が、そう語っていた。
 相棒のように。あるいは、ほかの仲間たちのように。
 なら……応えてみせるのが、きっと"ひと"らしさなのだろう。
「信頼に応えるだけの仕事はするよ。さあ、来るぜ」
「うん。オウガ・オリジン……いや、鉤爪の男! まずは、ボクが相手だ!!」
 鬼火めいてぎらつく隻眼が、ふたりを睨みつけ、喜悦に歪んだ。

「猟兵ァアアッ!!」
 鉤爪の男の咆哮は歓喜であり、憎悪であり、渇望でもあった。
 猟兵。我が仇敵、我らが天敵! お前たちの、その力をもっと味わわせろ!
 地獄のような闘争を、痛みを、悦びを! 私によこせ!!
 餓狼のごときすさまじい表情は、笑みと喜悦と執着がないまぜになったもの。
 血と電光を撒き散らしながら、鉤爪の男は猿(ましら)のように飛びかかった。
 左腕は怪物じみたフォルムに変形し、大蛇のような紫電を迸らせる。
 鉤爪はいかなる鋼をも引き裂き、電光はどんな生物でも焼き殺してしまう。
 さりとて避けるにはあまりに疾い。ゆえに――受け止めるしかない。
(生身の匡にーさんに任せるワケには、いかない――だから、ボクが!)
 リアは電脳体破損の恐怖を理性の力でねじ伏せて、両手を突き出した。
 左腕からはグラビティアンカーが、右腕からは次元干渉シールドが出現。
 グラビティアンカーは敵左腕の付け根に巻き付き、さらに八方向へ分裂展開。
 特殊合金を構成するナノマシンが、アンカーを通じて電撃を地面に流す仕組みだ。
 積層展開された次元干渉シールドは、鉤爪の物理的衝撃を受け止める盾となる!
「この程度の! 屑紙のような障壁で――私の鉤爪を、阻めるものかァ!!」
「ぐ、ぁああ……っ!?」
 鉤爪とシールドがぶつかり合う。電撃が四方八方に飛び散った!
 そして見よ……男の言葉通り、鉤爪はシールドをゼリーめいて引き裂いていく!
 ホラー映画でダクトから獲物を狙う怪物の牙めいて、鉤爪がわなないた。
「死ね! 猟兵!!」
「――!!」
「…………」
 匡は身構えたまま動かない。彼女に"任せた"のだから。
 代わりに見つめるのは敵の一挙一動。その運動能力と執念の源。
 どう殺せばいいか。どう攻めればいいか。それを、学び続ける。
「この、ぐらいで……死ねる、もんかぁあああ!!」
「何……!?」
 リア! 逆に次元干渉シールドを爆弾めいて炸裂させることで反動を生み出した!
 鉤爪の男とリアは互いに逆方向に吹き飛ぶ! 熱波がリアの体を灼いた!
「匡、にーさん……!!」
「――ああ」
 リアの身体を受け止めた匡は、もう一度リアの瞳を見返した。
 もう言葉は要らない。敵の情報は出揃い、好機があり、命が残っている。
 リアは匡に抱きかかえられた状態のまま、自らの電脳体を"再定義"した。
 デジタルストリームに還元されたマテリアルボディが再び現実化する。
 匡はそれを――無骨だが流麗なフォルムの二挺拳銃を、躊躇わずに掴み取った!
「ぐ、う……くだらん、くだらんぞ猟兵! 闘争の本質は命を奪い合うことこそ!
 誰かを守り命を繋ぐなど、闘争の本質からかけ離れた愚かな行為だ……!!」
「そう思うなら、お前はその間違いを抱えたまま骸の海に沈めよ」
 匡は言った。そしてトリガーに指をかける。
 我が命を君の双肩に。我が身を貴方の掌に。かくして反撃の機会が整う。
「借り物の姿で振るう力に、"俺たち"の意思(ちから)が負けるわけはないさ」
 ――BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
「が、は……!?」
 弾丸は狙い過たず、鉤爪の男の生身の部分を撃ち抜いていく。
 リアが繋いだこのチャンスを、その身を変じた銃によって死神が刈り取る。
 互いの痛みを背負って、命の重みを預け合う。これが。これこそが!
「リアならきっとこう言うんだろうな。"お前の刃は軽薄だ"って」
 信頼という名の、未来を築く力なのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

清川・シャル
なるほど、完コピなんですね
手強い敵なのは間違いなさそうです
ちょっとこう、笑いたくなりますね、戦いたくって。ちょっと1戦交えて貰えません?
電撃耐性と激痛耐性で備えます
加えてオーラ防御と全力魔法の多重障壁も展開、受けるなら右手で
私は左利きですからね、動けば何とかなります
そーちゃんを片手に反撃開始、呪詛を帯びたなぎ払い攻撃です
たっぷりお喰らいあそばせですよ
チェーンソーモードにしてがりがりと削ります
櫻鬼の仕込み刃で連撃も加えて
袖の下に忍ばせたSoulVANISHで咄嗟の一撃を
通常敵攻撃には第六感で避けてカウンター反撃します


ユヌ・パ
身体の制御は全て「相棒」に任せるわ

あのオウガなら食いでがあるんじゃない、相棒?
うまく働いたら1ポンドと言わず、怪我した肉も血も全部あげる
さあ。のこらず喰いつくしなさい

※左拳打撃が主の、荒い近接格闘
傷も死も厭わない、人よりも獣じみた動き

敵の攻撃線上に飛びこみ、「髪の毛」で作った巨大な複数の手を盾代わりに
髪が焼けようが切れようが、次々と髪を繰りだす
一瞬でも隙ができたなら、鉤爪男の至近距離へ
「狼の頭に変形させたオウガの左拳」で鉤爪男の首へ喰らいつき
動きを封じることで誰かに繋げられたなら

あんたがオウガ・オリジンだろうと鉤爪の男だろうと関係ないわ
あたしは、相棒との契約を果たすだけ

※アレンジ共闘連携可


ツムギ・オーギュスト
役になりきるって言うけど、中も外も完コピとは恐るべし!
…が!
なんのなんの!ツムギちゃんはツムギちゃんのままでも、まっったく引けを取るつもりはありませんとも!

鉤爪のついた左腕とは逆の腕…右腕の外側から背後に回り込むように、[ル・ソレイユ]でホバーダッシュ!
腕というからには届く範囲に限度はあるはずだからね!
背後だったり、体の外側にいる相手を捉えようとするなら…体の向きを変える必要があるよね?
鉤爪ちゃんの体の捻り、足の踏み込みから<見切り>…捕まる前に圧縮大気で<ジャンプ>!

無茶な方向転換に次ぐ転換だけど…他でもないあたしがこの一撃を届かせたい!
空から勢いと願いを乗せた一撃…いっけー!!



●鉤爪が掴むもの
「――……まだだ」
 ボロボロの鉤爪が変形し、稲妻じみた電光をあちこちに迸らせる。
「まだだ!! 私はまだ生きているぞ猟兵! この通りにな!!」
 銃痕、裂傷、擦過傷、切傷、火傷痕……。
 全身くまなく傷を帯びながら、人間であれば死んでいるはずの血を流しながら、
 鉤爪の男は笑っていた。笑いながら、次なる敵を求めていた。
「役になりきるってレベルじゃないねこれは、完コピとは恐るべし……!」
「……あれがオウガ・オリジンだろうが、鉤爪の男だろうが、関係はないわ」
 驚くツムギ・オーギュストと対照的に、ユヌ・パはどこまでも冷静だった。
 否、正しく言えばユヌは、相手の正体や背景に興味を抱いていないだけだ。
 青い炎の形を取って、ユヌに憑依(より厳密に言えば同化)したオウガが起きる。
 ユヌが考えること。それは、一心同体の"相棒"との契約を果たすことだけだ。
「どちらにせよ、手強い敵なのは間違いなさそうですね」
 清川・シャルはそう言ってから、ふう、とため息をついた。
「……正直言うと、ちょっと私笑っちゃいそうなんですよね。この状況で」
「えっ、どうして!? まさかこう、緊張でアレんなっちゃったとか」
「ちーがーいーまーす! ……闘いたくて闘いたくって、仕方ないんですよ」
 ツムギは、シャルの身体がかすかに震えていることに気付いた。
 そしてシャルの表情を見る。そこにあるのは怯えではなく、期待だった。
 待ち望んでいたお祭りがいよいよ始まる、その前の日の子供のような表情だ。
 であればあの体の震えは、いわゆる武者震いというやつか。
 かたや無表情、かたや期待。ユヌとシャルの反応はまさしく両極端である。
 ツムギは己の頬をパンパンと叩いて気合を入れると、どちらとも違う表情をした。
 期待や高揚からではなく、真っ向から迎え撃つ天真爛漫な笑みという形で。
「なんのなんの! ツムギちゃんだって、ツムギちゃんとして闘いますとも!
 相手が完コピだろうと、フォーミュラだろうと、引けは取るつもりなし!」
「……来るわよ。相棒、身体の制御は任せるわ」
 ユヌの言葉通り、鉤爪の男は身を深く沈めてスタート体勢を取っていた。
 殺意が膨れ上がり、空気は張り詰める。ロケット発射前に似た緊張感。
 ユヌの身体を、内側から燃え上がる青い炎が覆い尽くす。オウガの意思が。
 シャルは愛用の桃色棍棒『そーちゃん』を肩に担ぎ、オーラ障壁を展開。
 ツムギはレガリアスシューズ『ル・ソレイユ』のつま先で、地面を叩いた。
 そして、両の足でしっかりと地面を踏みしめる。六つの瞳が敵を見据えた!
「――行くぞ、猟兵ァアアッ!!」
 そしてヒトの形をした災禍が、真正面から少女たちに襲いかかる――!

 どれほど鉤爪の男が化け物じみていたとしても、所詮は片腕だけの攻撃。
 ならば敵から見て右側に避ければよい……ツムギの作戦は道理ではあった。
 しかしその道理を、力と異能によって捻り潰すのがオブリビオンというもの。
 ましてやオウガ・オリジンというオブリビオンの始原(フォーミュラ)が、
 その全力を使って模倣した強大な存在――猟書家が相手なのである。
 右半身側にホバーダッシュしたツムギを、跳び上がるより疾く切り裂くなど、
 奴にとっては容易いこと……爪が270度の間合いを薙ぎ払いながら迫る!
(やばっ、このままじゃ捕まる!?)
 ツムギはとっさに圧縮空気を噴出させ上空に逃れようとする。
 しかし、彼女自身もわかっていた。タイミングがわずかに足りない。
 彼女の作戦が悪いわけでも、ツムギの能力が足りなかったわけでもないのだ。
 敵はそれだけ強大だったということ。つまりは、"仕方ない"という話。
 現実は非情である。だから彼女は、このままバラバラになって死ぬ。それだけだ。
(……そんなの、認めたくないっ!!)
 けれどもツムギは、押し寄せる無常感と現実のままならなさを拒絶した。
 足りないとわかっていても最善を尽くす。0を1に変えて可能性をこじ開ける。
 敵が力によって道理をねじ伏せるならば、その無理を意思の力で叩き潰す。
 ツムギはスローになった主観時間の中で、精一杯に抗おうとした。
 ゆっくりと爪が迫る――だがそれが、ツムギの身体に触れることはなかった。
 思いが通じた? 否、そこまで現実はヒトに優しくはない。
 だが彼女があがいた意味はあった。諦めなかったからこそツムギは空に舞えた。
 ではなぜ、ツムギを引き裂くはずの爪が、わずかに届かなかったのか?
 その答えは簡単だ。彼女には、ともに戦う猟兵がいた――ただそれだけのこと!
「私とも遊んでくれませんか、鉤爪の人!!」
 シャルだ! 猛然と敵の眼前に突っ込み、金棒による強烈な打撃!
 ツムギを引き裂くと見えた鉤爪は、桃色の金棒とぶつかり弾かれた!
「邪魔をするな! 貴様から死にたいのか!?」
「死ぬつもりなんてないですよ。あなたを倒しますから」
「ほざけェ!!」
 狂乱に陥った鉤爪の男は、狙いをシャルに変えて鉤爪を振るった。
 正面に見据えての爪撃はあまりに疾い。オーラ障壁も容易く裂かれる。
 シャルは右半身を前に出す形で、利き腕である左手をかばっていた。
 それを一瞬で看破した鉤爪の男は、強引に守りを切り崩そうとする!
「まるで、獣のような戦い方をするのね。奇遇だわ、相棒もそうなのよ」
「何ッ!?」
 追撃を防いだのはユヌ――正しく言えば彼女の身体を乗っ取ったオウガだ。
 自分の身体を支えに、鉤爪による攻撃を押さえつけるという無謀!
 当然のように鋭利な刃めいた鉤爪は肉に食い込む。ユヌは顔色一つ変えない。
「うまく働いたら、その血も肉も全部あげる。喰らいつくしなさい、相棒」
 獣じみて飛びかかるユヌの戦い方と、冷静沈着な声音はアンバランスだ。
 彼女は身体制御のすべてをオウガに任せている。それは信頼ゆえ? 否。
 運命共同体という名の因縁はもはや呪いに近い。これは合理的判断である。
 のたうつ稲妻を髪の毛で構成した巨大な手で弾き、拒絶し、食らいつく。
 鉤爪の男は己の命に頓着しない。それが闘争の果ての死なら望むところだからだ。
 対してユヌは、とっくに死んだ身。すなわち悪霊であった。
 ゆえに彼女は自らの傷も死も厭わず、逆に求めることもしなかった。
 違いがあったとすればそこだろう。――ユヌの左手が、男の喉元に届いた!
「ぐ!!」
「喰らいなさい、相棒……!!」
 左手を中心に集まった青い火は、狼の頭部めいた形に変わり、そして!
「――!!」
 鋭い牙を突き刺した! 鎖骨周辺と頸動脈を穿孔し、身の奥深くへ!
「わたし、を、食らう、か……ハハ、ハハハハ!!」
 鉤爪の男は狂った笑みを浮かべ、返礼代わりにユヌの身体を左手で抱きしめた。
 狼の牙と稲妻の爪。それが互いの肉を抉り骨を砕き血を啜る。壮絶!
「ならば、貴様も、死ね……!! 我が鉤爪に、喰らわれて……!」
「――そうもいかないみたいだわ」
「な、に」
 頭上。無茶な方向転換の対G衝撃から復帰したツムギ。
 右側面。がりがりと地面に爪を突き立て減速し、身を深く沈めたシャル。
「行く手を阻むものはなし――この一撃、あたしが届かせてみせるっ!!」
「さっきは痛かったので。たっぷりとお喰らいあそばせ、ですよ」
 ツムギはきりもみ回転し、竜巻となって鉤爪の男めがけて落ちていく!
 そしてシャル! 左手に持つ金棒の棘がギャルギャルと高速回転!
 鉤爪の男は理解した。ユヌは、このために己の身を差し出したのだ。
 しかし鉤爪は抜けぬ。首根っこに食らいついた牙もまた同様!!
「いっけぇー!!」
「呪詛入りの攻撃、耐えられるものなら耐えてみてくださいねっ!!」
 ツムギの対地蹴撃! 超スピードから繰り出されるシャルの頭部打撃!
 身動きが取れぬ鉤爪の男を、Z軸に交錯する同時攻撃がついに捕らえた!
「莫迦な、こんな……オオオオオオオッ!?」
 やつの自慢の鉤爪が、その一撃に繋がる最大の楔となってしまったのだ。
 少女たちの意地と信念と覚悟は、ついに鉤爪の男を捉えた――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

浅葱・シアラ
フェルト(f01031)と共に
これが平和のための戦いと言うのなら
ここで貴方を確実に止めること、それが私たちの正しき闘争です!

先制攻撃への対応
敵は巨大な左腕の鉤爪から電撃放出モードで突き刺してくることでしょう
ここはフェアリーの体躯を活かし、当たる前にジグザグに飛行して回避を
当たったら最後ですから必ず当たらぬように

隙を見て反撃を
代償なき力で誰かを守ることはできない
痛みなく平和を目指すことはできない!
「血塗れの虹翼蝶」!

この血を限界ギリギリまであげます!
虹翼蝶!その魔力を最大まで高めて目の前の鉤爪の男を砕いてください!

フェルト……血を限界まで流した私はしばらく動けませんから……虹翼蝶と、後を頼みます


フェルト・フィルファーデン
◆シア様と
ええ、全てを救うためにわたし達は戦う。その邪魔をするのなら、消えなさい!

まずは敵の攻撃に対処するわ。
鉤爪が左手なら右手側への攻撃はワンテンポ遅れる。
と、いうのは承知済みでしょうね。
故にそこを突く。右手側に行くと見せかけて離れるわ。
【フェイント】

一撃でも当たれば終わり。だったらここは慎重に搦手で……シア様!?
どうして、そんな無茶を……


障壁蝶よ、わたしはいいからシア様を守って。
これ以上シア様が傷つかないために、シア様の命を守るために、この命を賭けて今すぐ敵を打ち倒す。
さあ、虹翼蝶よ。わたしに続きなさい!!


また、心配させてしまうわね……それでも、ここで大切な騎士を、友を失うくらいなら……!



●para bellum
「シア様……!?」
 フェルト・フィルファーデンは、悲鳴に近い声をあげた。
 そして倒れた浅葱・シアラに急いで飛び寄る。相手など知ったことか。
 幸いにして鉤爪の男は、シアラがカウンターで繰り出した攻撃により怯んでいた。
「シア様、どうしてこんな無茶を……!?」
「……代償なき平和で、誰かを護ることは出来ない、から」
 シアラはフェルトをかばい、その小さな体で鉤爪の一撃を受け止めたのだ。
 "一撃でも喰らえばそれで終わり"。他ならぬシアラが言っていただ。
 なのに彼女は、その身を呈してフェルトを守った……フェルトは困惑する。
「だ、だからって……だからって、わたしなんかを……」
「……"なんか"だなんて、そんなことは言わないで?」
 シアラは青ざめた顔で微笑む。血が急速に抜けて、身体の力も抜けていく。
 霞む視界の中であの子が泣いている。それだけがシアラの意識を繋いでいた。
「……"汝平和を欲さば、戦いに備えよ"……きっと、同じこと、なんです。
 平和を目指すには、痛みがなければ……何かを犠牲に、しなければ……」
「それなら! わたしが犠牲になればよかったのよ! わたしが攻撃を受ければ、
 シア様はその間に攻撃できていたもの……! かばう必要なんて……!!」
「……ともだちを、守りたいと、思う、ことは……間違い、ですか?」
「…………!!」
 泣きじゃくるフェルトは、シアラの言葉にはっと目を見開いた。
 ……友達。守られるだけではなく、護るだけでもなく、共に守護し合う。
 そうして肩を並べて戦ってきた。世界を護るため、平和のために。
「……だから、わたしなんか、だなんて、悲しいことは……言わない、で」
 血の海に沈んだシアラが笑う。震える指先が、フェルトの頬をなでた。
「だい、じょうぶ……この血は、平和の代償……あなたを、護る、力……」
 ぶくぶくと血の海が泡立ち、そして一体の蝶精霊を生み出した。
 鮮血に濡れた羽は虹色に輝き、大きく大きく翼を広げる。
「虹翼蝶、よ……私の代わりに、大事な友達、を……お姫様、を、守って」
「……いいえ」
「……え?」
 フェルトは頬を撫でる手に手を重ね、そっと横たわらせた。
「これ以上シア様が傷つかないために、シア様の命を護るために、わたしも戦う。
 わたしは守られるだけじゃない……わたしも命を賭けるから。待っていて」
 誰かの後ろで震えているような"お姫様"でいることは、もうやめたのだ。
 ばっ、と光の障壁蝶が舞い踊る。それらが、傷ついたシアラをドーム状に覆った。
「虹翼蝶よ、わたしに続きなさい! あの敵を、倒すために!!」
「……フ、クク、ハハハハハ……!!」
 立ち上がった鉤爪の男は、ぎらぎらと隻眼を輝かせ、フェルトを睨む。
「護るだの、守らないだの、くだらない! 何も理解していないぞ、猟兵ども!
 闘争とは己のため、他者を踏みにじるためのもの! それこそが本質なのだ!!」
「アナタの理屈など、わたしたちの知ったことではないわ!!」
 フェルトは光の風となった。虹色の輝きがそのあとに続く!
「さあ、倒れなさいオウガ・オリジン――わたしの、大事な友達のために!!」
「……!!」
 シアラは目を見開く。そして遠のいていく光に何かを言おうとした。
 けれどもそこで意識は途切れる。戦いの決着を見留めることはなく。
 フェルトは独りだ……いや、違う。独りなどではない。彼女は顔を上げた。
 鉤爪の男はその光を引き裂こうとする。だが、出来ぬ!!
「なぜだ!?」
「アナタにないものを、わたしたちは持っているからよ――!!」
 そして光と虹色は螺旋を描き、弾丸のように鉤爪の男を貫いた――!
『なぜ、だ……この姿でも、勝てないと、いうのか……!?』
 鉤爪の男の姿はオウガ・オリジンのそれとなり、やがて塵に変わっていく。
 フェルトはそれを見届ける。光の蝶たちは癒やしの力となり、シアラの体内へ。
「……わたしはもう、何も喪いたくないの。友も、大事なひとも……」
 その言葉は風に消えていく。
 シアラの鼓動が風に乗って届いた時、フェルトはようやく笑顔を見せた。
 心からの安堵の微笑み。こぼれた涙もまた、風に乗って遠くへ消えていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月26日


挿絵イラスト