●アリスラビリンス
「ええいっ! 猟兵達は、まだか! まだ、ここに来ないのか! ピザ屋だって、もう少し早く来るぞ! それなのに、私をこんなに待たせるとは、どれだけドSなんだ! ひょっとして、アレか。放置プレイか! そんな事をして許されると思っているのか! 例え、私が許しても、我の鉤爪が、そんな事は許さない! その証拠に、ほら……こんなに荒ぶっているではないか! べ、別に、私が動かしている訳では無いからな! これは、アレだ。我の鉤爪が怒っているのだ! すっごく、すっごく怒っているのだ! ああ、もう、こうなってしまうと、闘争以外で、我の鉤爪を落ち着かせる事なんて出来ない。さあ、どうする、猟兵達よ! このまま放っておくと、大変な事になるぞ! 我の鉤爪が夜な夜な玄関の前にフンをするかもしれないぞ? それでも、いいのか! シャレにならないぞ! さあ、どうする! さあ、さあ、さあ!」
猟書家『鉤爪の男』は、暇だった。
猟兵達が現れる事を想定して、何パターンも台詞を考えているのだが、どれもしっくり来ない。
そうしているうちに、だんだんネタ寄りになっているため、鉤爪自身も『大丈夫か、コイツ』と言わんばかりに不安そうな感じであった。
「……駄目だ! こんなんじゃ駄目だ! もっと、こう恰好よく、クールでスタイリッシュで無ければ! ……ならばアレか。『今宵の鉤爪は飢えている』って、パクリかーい!」
そのため、ノリツッコミまで覚えてしまったが、それでも猟兵達は現れない。
そうしているうちに、だんだん寂しくなってきたが、話し相手と言えば鉤爪だけ。
「ひょっとして……迷子か? 雰囲気重視で、森の中に選んだ事が間違いだったという事か!? だからと言って、看板を立てていくのもなぁ。いっそ、鉤爪に猟兵達の案内を……って、いやいやいや、そういうマスコット的な存在じゃないし! うぐぐ……、一体いつまで待たせるんだ。早く私に闘争を! 血湧き肉躍る闘争を!」
そして、鉤爪の男は禁断症状に苦しみながら、猟兵達を待って、待って、待ち続けるのであった。
●ガジルからの依頼
「みんなに頼みたい事があるんだよ」
ガジル・コリアンダー(キマイラのスカイダンサー・f00907)が真剣な表情を浮かべ、今回の依頼を説明した。
今回の目的は、猟書家『鉤爪の男』を倒す事。
鉤爪の男は不思議の国を拠点にしており、量産型の侵略蔵書と、ロボット化された『鉤爪』で、猟兵達に戦いを挑んでくるようだ。
その目的はオウガ・オリジン亡き後のアリスラビリンスを支配する事。
鉤爪の男は闘争に生き甲斐を感じており、戦いに身を投じる事に悦びを感じているようだ。
そのため、闘争のない場所では、禁断症状が出てしまうらしく、かなりストレスが溜まっているらしい。
そう言った事を踏まえた上で、鉤爪の男を倒す事が今回の目的である。
ゆうきつかさ
この依頼は戦争シナリオです。
敵は必ず先制攻撃を仕掛けてくるので、対抗手段を考えておきましょう。
第1章 ボス戦
『猟書家『鉤爪の男』』
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POW : プラズマ・クロウ
命中した【左腕】の【鉤爪】が【超電撃放出モード】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD : インサニティ・ブレイド
自身に【体を失っても極限の闘争を求める狂気】をまとい、高速移動と【鉤爪からの真空波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 量産型侵略蔵書
【侵略蔵書で書き換えた『不思議の国』の太陽】から、【奴隷を捕縛する鎖】の術を操る悪魔「【アリス狩りオウガ】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヴィクター・グレイン
アドリブ、連携ご自由に
「おい、迷子。手を貸してやろうか?」
背後から声を掛ける。
「そう言えば一つ聞きたいんだが、此処に鉤爪の男が居ると聞いたんだが知らないか?」
と敵意がない様に近づく。
(この辺で良いだろう。)
相手の顔面めがけて殺意を込めた一撃を放つ。
その後は追撃をする。
黒髪・名捨
●
こんどは鉤爪の男…か。
禁断症状って…ふッ若いな(合法阿片を吸って『ドーピング』しつつ)
●
こいつは受けるのはヤバいな。
左腕に注意して、『存在感』あふれる『残像』を囮に『見切り』回避する
必殺分身殺法!!
●
さて、今度はオレ達の番だ。
スタングレネードを『投擲』閃光と音で『目潰し』して『恐怖を与える』
それがお前の感じる最後の恐怖だぜ。
しっかり感じなッ
愛用のアーラーワルを取り出して、『槍投げ』して体を『串刺し』して貫いてやる。
さて、覚悟は出来たか。
出来てなくても関係ないが(指パッチンを合図に)幻爆起動!!
汚物(オブビリオン)は『焼却』だ
あばよッ!!
大豪傑・麗刃
わたしは相手の精神を乱す戦い方がメインなのだが、既に乱れた相手とは。これはこれでおもしろいのだ。
先制対策。
相手は鉤爪を繰り出してくるらしい。これはガードしたらまずいやつだ。回避しかない。
まずは勇気をもって鉤爪をギリギリまで引き付ける。でパフォーマンスで身に着けた早着替えを応用した早脱ぎ。脱いだ服に存在感のある残像をまとわせデコイにし、わたしは鉤爪から逃れるって寸法。
ユーベルコード解禁後は服脱いだままで戦う。この姿自体が既にネタ。
さらに追い討ち。
なるほどきみは闘争がしたいのかね。
よろしいお相手をしよう。
(刀と槍を構え)
刀槍にて!!
これで相手に喜怒哀楽恐の感情を呼び起こし平常心が崩れた所を斬る。
尾崎・ナオ
先制攻撃確認しつつ『喋る』よ!
「頭の弱そうなイケメンさん♪『待て』も出来ないなんて、犬以下ですね☆」
「よく猫と犬は同格って言うじゃないですかぁ。ということは、犬以下の存在であるアナタは、猫であるナオちゃんより格下って事ですよねぇ」
「誰もいない場所に向かって遠吠えするのは楽しかったでちゅか~? 煩いったらありゃしない。ナオちゃんのように気品をもってスマートに佇んでないと、品性が疑われますよ~?」
罵倒、煽り、自画自賛を含めて挑発(UC発動)
視力で鉤爪の動きを確認、敵攻撃を回避する事に専念。
攻撃は、最後に1発。
UC+クイックドロウ271+早業67の高速射撃!
狙いは目玉。眼帯してるから両目見えないね☆
司・千尋
連携、アドリブ可
ごっめーん!
待ったぁ?
みたいなテンションが良いのか
退屈なんだろ?
俺と遊ぼうぜ
の方が良いのかわからない…!
敵の先制攻撃は鳥威を複数展開
オーラ防御も鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
速度や威力を相殺し『翠色冷光』で迎撃
間に合わない時は双睛を使用
鉤爪に当たらない事を最優先で行動
手持ちの武器も使いつつ『翠色冷光』で攻撃
回避されても弾道を操作して追尾させる
死角や敵の攻撃の隙をついたりフェイント、2回攻撃等を駆使
確実に当てられるように工夫
敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
回避や迎撃する時間を稼ぐ
無理なら防御
本体が無事なら何度でも再生できる
気が済むまで遊んでやるよ
バニッシュ・インヴィジブル
アドリブ・連携歓迎
「フフフ、私の姿は見えてないようですね。」
(自身も衣服もその肉体に触れるものは全て透明になる。この鉄パイプでさえ)
「卑怯とは言うなよ?」
不意の一撃、相手から見たら突然ダメージを喰らうことになるだろう。
しかも男の大事な部分に。
鉄パイプを思いっきり振り上げる。
見えないことを良いことにヒットアンドアウェイ戦法を繰り返す。
「見えないってのも悪くないですね。」
●森の中
「おい、迷子。手を貸してやろうか?」
ヴィクター・グレイン(闇に潜む真実の探求者・f28558)は、森の中で何やらブツブツと呟く鉤爪の男に声を掛けた。
「……って、私は迷子じゃないぞ! 断じて、迷子では……ない! そもそも、ここは庭のようなモノだ。そんな場所で迷う訳がないだろうが!」
鉤爪の男がムッとした様子で、ヴィクターに反論した。
どうやら、待っている時間が長すぎたせいで、言葉がトゲトゲしく、何やら殺気立っているようだった。
「ごっめーん! 待ったぁ?」
そんな中、司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)が、愛想笑いを浮かべて、鉤爪の男に駆け寄った。
「大丈夫、いま来たところだから……って、カップルの会話か!」
鉤爪の男が、とりあえずボケて、すかさずツッコミを入れた。
しかし、千尋が男性である事に気づき、『いや、これは話の流れで、そうなった訳で、別にそう言う訳じゃ……』と言った感じで、鉤爪に言い訳をし始めた。
「そう言えば一つ聞きたいんだが、此処に鉤爪の男が居ると聞いたんだが知らないか?」
ヴィクターがフレンドリーな感じで、鉤爪の男に問いかけた。
「……知らん! と言いたいところだが、私も待ちくたびれているからな。この私こーそーが! 鉤爪の……男だァ!」
鉤爪の男が無駄に恰好をつけて、スタイリッシュにポーズを決め、乙女ゲー顔負けのイケメンスマイルを浮かべた。
だが、ウザイ。
非情にウザイ。
ウザイがスーツを着こなし、螺旋階段の手すりに乗って、華麗に滑り落ちてくるくらいウザかった。
「頭の弱そうなイケメンさん♪ そんなに隙だらけでいいんですか? こっちは戦いに来ているんですよ? そんなに無防備な背中を見せていたら、『殺してくれ』って懇願しているようなモノですけど」
そんな空気を掻き消す勢いで、尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)が鉤爪の男の背後に立った。
「まあ、確かに、それは……一理ある! しかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁし! 私は待った! 待って、待って、待ちまくった! だから、一発や、二発喰らったところで、それは挨拶代わりのモーニングパンチのようなモノだ。笑顔で喰らってやればイイだけの事。その一発で、私のハートに火がつくのであれば、安いモノだ! そのくらい私は闘争に飢えている! 飢えて、飢えて、飢えまくり、飢餓状態に陥っている!」
鉤爪の男が、まるで舞台に立っているかのような振る舞いで、舞い踊りながら自らの考えを語っていった。
だが、その目は激しくギョロついており、落ち着きがない様子であった。
「禁断症状が出ているのか。ふッ、若いな」
その事に気づいた黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)が、合法阿片を吸ってドーピングした。
「ああ、若いさ。ピチピチだ! だから、どうした、文句があるのか! 私にとって、闘争こそ生き甲斐! 闘争こそ、すべて! その事を考えるだけで、気持ちが昂ってしまうからな!」
鉤爪の男がウットリした様子で、左腕の鉤爪に頬擦りをした。
それとは対照的に、鉤爪はドン引き。
全力で拒絶し、鳥肌の如く、錆を立たせていた。
「わたしは相手の精神を乱す戦い方が得意なのだが、既に乱れた相手とは……。これはこれでおもしろいのだ」
そんな中、大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)が、自分自身を納得させた。
おそらく、鉤爪の男はストレスがピークに達し、頭の中にあった大切な何かが壊れてしまったのだろう。
そのため、本来であれば、オプション的な立ち位置にあるはずの鉤爪が、至極マトモに思えてきた。
(フフフ、私の姿は見えてないようですね)
一方、バニッシュ・インヴィジブル(透明な記者・f29280)は透明の状態で、含みのある笑みを浮かべた。
いまのところ、鉤爪の男は、まったく気づいていない。
それどころか、無防備な背中を晒して、熱く闘争について語っていた。
「とにかく、だ! 私は闘争に飢えている! 闘争無き世界など、私にとっては砂漠同然! 例え、肉体の一部を失ったとしても、闘争さえあればイイ! 故に、お前達には死んでもらう! せいぜい、足掻け! 私を愉しませるために!」
次の瞬間、鉤爪の男が極限の闘争を求める狂気を纏い、鉤爪から真空波を放射した。
それは辺りの木々を薙ぎ倒し、猟兵達に迫ってきた。
「これでも喰らっとけ……」
その間に、ヴィクターが死角から回り込むようにして距離を縮め、鉤爪の男の顔面を狙って、【殺意を込めた一撃(サツイヲコメタイチゲキ)】を叩き込んだ。
それは鉤爪家代々の御先祖様が、走馬燈となって総出演する程の破壊力。
鉤爪の男自身も、御先祖様達との再会を喜ぶ暇がないほど、大ダメージ。
顔面の形が変わるほどダメージを受けたせいか、鉤爪さえも『どちら様ですか?』と見上げてしまう程だった。
「あはは、調子に乗っているから、そんな事になるんですよぉ! 格好をつけて放った一撃も、まわりの木々を薙ぎ倒しただけですしぃ。いっそ、木こりにでもなった方が、世の中の奴に立つかもしれませんよぉ~」
その途端、ナオが鉤爪の男を見つめ、腹を抱えて笑い出した。
「うぐぐ! 黙れ、黙れ、黙れ!」
これには鉤爪の男もイラッとしたのか、こめかみを激しくピクつかせて、再び真空波を放射した。
だが、ナオには当たらない。
怒りで我を忘れているせいで、避ける事はアクビをするほど、簡単な事だった。
「まだ話の途中なのに攻撃を仕掛けてくるなんて、正気ですかぁ? 犬だって『良し』って言うまで、ジッとしてますよぉ。それとも、まさかアレですかぁ? 犬以下ってヤツですかぁ? よく猫と犬は同格って言うじゃないですかぁ。ということは、犬以下の存在であるアナタは、猫であるナオちゃんより格下って事ですよねぇ。それなのに、さっきから偉そうにワンワン、ワンワン吠えていたんですかぁ? 煩いったらありゃしない。ナオちゃんのように気品をもってスマートに佇んでないと、品性が疑われますよ~?」
そこに追い打ちをかけるようにして、ナオが【煽りは任せろ(イエーイ)】を発動させ、自画自賛をする事で相手を馬鹿にする軽口マシーンに変身し、煽って、煽って、煽りまくった。
「そ、そ、そんな事を言われたら……興奮するだろうがああああああああああああああ!」
しかし、鉤爪の男は、ドMだった。
『もっと言ってください! もっと、激しく……罵って!』と言わんばかりに、興奮状態。
「……」
その視線に気づいたナオがゴミを見るような目で、【拳銃早打ち(クイックドロウ)】を発動させ、黒い拳銃で高速射撃をして、鉤爪の男の左目を傷つけた。
「クギャアアアアアアアアアアアアア! め、目がああああああああああああああ!」
その一撃を喰らった鉤爪の男が、悲鳴を上げてゴロゴロと転がった。
「そんな事をしたら、オシャレアイパッチを外さなきゃならんだろうがあああああああああああああああ!」
そして、逆ギレ。
アイパッチを地面に叩きつけ、右目をカッと見開き、吠えて、吠えて、吠えまくった。
「……単なる飾りですか。だったら、こちらも飾りですか?」
その隙をつくようにして、バニッシュが鉤爪の男の背後に迫り、【不可視の一撃(フカシノイチゲキ)】で鉄パイプを振り上げ、股間のジュニアを破壊した。
「ぐきゃあああああああああああああ! 誰だ! いま不意打ちを仕掛けた奴は! そんな事をして、許されると思っているの! まったく失礼しちゃうわ! ムカムカするゥ!」
その影響で鉤爪の男(?)が内股で身体をクネクネさせながら、犯人探しをし始めた。
「例え、肉体の一部を失ったとしても、闘争さえあればイイんだろ? だったら、俺達と遊ぼうぜ!」
千尋がオーラ防御を展開しながら、鳥威を複数展開した。
「ええ、闘争さえあれば……他は何もいらない!」
鉤爪のオネエ……もとい、男が、ほんのり頬を染めつつ、小さくコクンと頷いた。
この時点で波が引く勢いで、のわりがドン引きしているものの、鉤爪の男はサーフィン感覚で無駄に乗りこなしているようだった。
「さて……それじゃ、いくわよぉーん♪」
次の瞬間、鉤爪の男がセクシーキュートにポーズを決め、猟兵達めがけて左腕の鉤爪を飛ばしてきた。
「これはガードしたら、まずいやつだ。回避しかない」
麗刃が色々な意味で危機感を覚え、勇気を持って鉤爪をギリギリまで引きつけた。
それに合わせて、名捨が存在感溢れる残像を囮にして、勢いよく迫ってきた鉤爪を見切った。
続いて、麗刃が早脱ぎすると、脱いだ服に存在感のある残像を纏わせた。
それを囮にして、麗刃が服を脱いだまま、不自然な土煙を纏って、鉤爪の射程内から離れていった。
「女の子が駄目! そんな恰好をしたら、駄目よ!」
その事に気づいた鉤爪の男が、バサッと上着を脱ぎ捨て、麗刃に被せようとした。
だが、麗刃は断固拒否!
生まれたばかりのネタを護るため、必死であった。
「さて、今度はオレ達の番だ」
その隙をつくようにして、名捨がスタングレネードを投擲し、閃光と音で鉤爪の男を目潰しすると、シャレにならない程の恐怖を植えつけた。
「め、目が……見えない! でも、ここで退く訳にはいかないの! 闘争を前にして、逃げる訳にはいかないの!」
鉤爪の男が目を閉じたまま、乱暴に鉤爪を振り回した。
「……なるほど。きみは闘争がしたいのかね。よろしいお相手をしよう。刀槍にて!!」
すぐさま、麗刃が刀と槍を構え、【ネタキャラとしての矜持(ソレデモワタシハギャグヤネタガヤリタイ)】を発動させ、ネタキャラとして、ある種のプライドを籠めたギャグによる一撃で、肉体を傷つけず、シリアスな空気や平常心で戦闘に挑む姿勢を破壊した。
それに合わせて、千尋が【翠色冷光(スイショクレイコウ)】で、周囲の影響を受けない高威力の青い光弾を放ち、鉤爪の男を牽制した。
「だ、だから、見えないでしょ! 前が……見えないの! ただでさえ、右目は見えづらいのに! ハッキリ言うけど、みんな豆だから! あまりにも見えないから、豆を相手にしている感覚だったから!」
そのため、鉤爪の男が困った様子で、無駄に身体をクネらせた。
「……気が済むまで遊んでやるよ」
そこに追い打ちをかけるようにして、千尋が再び鳥威を複数展開しながら、【翠色冷光(スイショクレイコウ)】で青い光弾を放って、鉤爪の男を牽制した。
「だから見えないでしょ! 何も見えないの!」
鉤爪の男が駄々っ子の如く、地面を何度も踏みつけた。
だからと言って、足元に何かスイッチがある訳でもないため、見えない事に変わりはなかった。
「見えないってのも悪くないですね」
その間に、バニッシュが鉄パイプを握り締め、ヒット&アウェイで、振って、振って、振り下ろした。
「痛っ! 痛っ! 痛いから! こっちは何も見えないの! それなのに……酷い!」
鉤爪の男が涙目になりつつ、乙女チックに悲鳴を上げた。
「さて、覚悟は出来たか。まあ、出来てなくても関係ないが……。汚物(オブビリオン)は『焼却』だ。……あばよッ!!」
それと同時に、名捨が愛用のアーラーワル(短槍)を投げて、鉤爪の男を串刺しにすると、【幻爆(ゲンヴァク)】を仕掛け、環境に安全な小規模核融合爆発を起こして消し炭に変えた。
そして、最後に残ったのは、鉤爪であった。
鉤爪は猟兵達に深々と御辞儀をすると、家族の待つ森の中に姿を消した。
大成功
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