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科学の狂信者

#UDCアース

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#UDCアース


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「猟兵の皆、集まって貰ったばかりで悪いのじゃが、自体は急を要する、故に手短に説明するのじゃ」
 集まった猟兵達に緊張が走る、まだ資料が配られている最中にも関わらず、急いで説明を始める花子の様子に、自体の緊急性を肌で感じ取ったからだ。
「予知の内容は、火災が起きたデパートの中から邪神が復活する、と言うものじゃが…予知の内容から、事件の詳細を調べた結果、火災発生は間も無く起きると判明。とてもじゃないが、火災を起こす博士達を見つけ出して止めるのは不可能じゃ」
 間も無く、それは確かに時間がない…しかし、『博士達』?、実行する犯人は既に分かっているのだろうかと、猟兵達は口にする。
「左様じゃ、予知で見た邪神を呼び出した者は『氷室博士』…元UDCの科学者で、UDCを利用して、猟兵並の戦力を持つ特殊部隊を作り出そうと、危険すぎる実験で大事故を起こし、終了した筈の者じゃ」
 この場合の『終了』、それは命の終了を意味するUDC組織の隠語であり、その博士は危険すぎる実験が原因で死んだ…筈だったのだろう。
「だが、生きていた…のか、オブリビオンとして蘇ったのかは知らぬが、死んだ筈の博士と、実験で全滅した筈の特殊部隊の姿を、わしは予知で確かに見たのじゃ」
 博士と特殊部隊、その全てがUDC組織にバレずに生き延びた…という可能性は、先ず無いであろう、彼らはオブリビオンであると考えて問題はない。万が一、違ったとしても、危険すぎる存在には違いはないからだ。
「猟兵達よ、先ずは現場に直行し救助活動を行って欲しいのじゃ、現場には既にUDC組織の者が待機しておる、救助に必要な器具は直ぐに用意できるじゃろう…だが、人員の扱い方には、一つだけ注意をして欲しい、博士の特殊部隊と遭遇した場合、相手は実験で強化されている上に、オブリビオン化してると思われる、UDC組織の部隊では一方的に殺されてしまうじゃろう」
 そう、現場では火災が以外にも、特殊部隊と言う脅威が潜んでいるのだ…救助が進み生贄を減らされたとなれば彼らは動くかも知れない。
「おそらくは、デパートのビル内での死者が生贄となって邪神を呼び出される、と言う仕組みじゃろう、可能な限り死者を出さないように気をつけて貰いたいのじゃ」
 そうでなくとも、人死は可能な限り避けたいところだ…命の危機に晒される人々を救い、氷室博士の企みを止めるために、猟兵達は現場へと転送された。


マカロニ男爵
 二作目の投稿です。今回はやる事はシンプルに、敵も分かりやすくをもっとーに頑張ります。

 一章であまり死人を出しすぎると、ボスが強くなる予定ですが(描写だけに留めるかも知れない)、死人が出ないからボス戦なし…とかは無いので、安心して人命救助してください。
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第1章 冒険 『命を救え』

POW   :    障害物を破壊する

SPD   :    人々を救助する

WIZ   :    災害を鎮圧する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エメラ・アーヴェスピア
邪神を使って危険な実験する人物、多くないかしら…
文句を言っても始まらないわね…仕事、始めましょうか

…よりによって火災なのね…少し苦手なのだけど…そうも言っている場合じゃない、わね
監視カメラ、生きていてちょうだい…!【ハッキング】で逃げ遅れた人物を探してマップに記入
このデータは他の猟兵とも共有するわよ
私自身は外で猟兵達の連絡役を務めるわ

そして『我が工房に帳は落ちず』、七体一班編成の三班に
工兵には消防士の耐火服を着せてぱっと見人に見えるようにして救助活動よ
監視カメラが駄目になっても工兵のカメラで
人を見つけたら工兵越しにマイクから私が話して落ち着かせたりもするわ

さぁ、時間が勝負よ…手早く行きましょう



「…よりによって火災なのね…少し苦手なのだけど…」
 火災に嫌な思い出を持つのか…しかし、そのような事は行っている場合じゃないと言わんばかりに、エメラ・アーヴェスピアは誰よりも早く現場に急行した。
「ここが例のデパートね、まだ火は…っ!!?」
 駆けつけてからほんの数秒、大型デパートの姿を確認したとほぼ同時に、ビルのち上部の数箇所から火の手が上がる。着火の勢いが強すぎる、火が付いた箇所によっては炎と同時に窓ガラスが飛び散る勢いで爆煙が上がった程だ。
「…これは明らかに人為的ね…監視カメラ、生きててちょうだい…!」
 エメラが先ず取った行動、それは監視カメラへのハッキングだ。先ずはビル全体の実情を探ろうとする姿勢は、かつては情報戦を主戦場としていた故の判断であろう。
 この初動は正しいと言える、被害状況の確認もなしに飛び込むにはこのデパートは広すぎる…それに火災の不自然な起き方も気になる所だ。
(生きているカメラは…地下の方は全滅ね、生き残っているのは上の階だけ?、火の手は地下から起きたようには見えないのに…)
 外からビルを見て、火の手が上がったのは地上部分のみ、地下に火がついていないとは、現段階では言い切れないが…それでも不自然だ。カメラが全滅するような火が上がったのならば、地上からでも煙等の炎上の兆候は見られるはずだ。
「地上部の火の起き方も不味いわね、上の階に居る人の逃げ道は塞がれているわ」
 見事なまでに避難経路を塞ぐように上がっている火の手、しかも非常階段や廊下など、火種があるとは考えられない所から火が上がっている、分かっては居たが明らかに人為的、そして計画的な火災だと理解する。
「先ず、状況を確認して正解ね…火の手を消火するか、窓からの救出じゃないと一般人にこの炎は抜けられないわ」
 救助には消化するか、或いは被災者を窓など、別ルートから救出する手段を用いないと厳しいであろう。
 時間もあまりあるとは言えない、火災による煙、そして一酸化炭素が被害者を襲うであろう…かなり効率的にだ。
(さて、どうしようかしらね?)
 エメラはユーベルトコード【我が工房に帳は落ちず(コンバットエンジニア)】にて救助と、ダメになった監視カメラの代わりをやらせるつもりであった…が、ハッキングしてみて得た情報から悩みが生まれる。
 怪しいのは地下だ、監視カメラから下の階からの煙が上がってくる様子も見られない、なのに全てのカメラが破壊されている。何もない、なんて思う方がどうかしているのだが…
「ここは、人命優先と行くべきかしらね、監視は怠るつもりもないけど」
 地下には恐らく、件の博士と特殊部隊がいるであろう…自分の魔導蒸気人形だけでその地下に突入しても、破壊されるのが関の山だ。そこに工兵の労力を割くよりも、刻一刻と死が近づいている被災者の救助を優先しよう。
「各員、速やかに作業を開始なさい」
 エレナは工兵にUDC組織から貰った消防服を着させて、外観を消防隊員に見えるようにさせてから、全22体の内7人組3班、総勢21体は人命救助の為の情報収集、及びその作業に充てる、そして自身はこれから来るであろう猟兵達に情報を共有させる為の本部を設営、これにより効率的な救助作業が可能であっただろう、そして…
「あなたは、そこを見張っていなさい」
 一階、地下へ続く唯一の通路付近に残り一体の工兵を潜伏させる、もし下から特殊部隊が来るようであれば、即座に各員に連絡し、対応が取れるようにと。

成功 🔵​🔵​🔴​

テリブル・カトラリー
POW
戦争の為に作られた身だが、誰かを救う事ができるのならば、
喜んで協力しよう。

私は先行し安全確保と脱出口、通り道の確保を優先、
人々の救出は他の仲間達やUDC職員にまかせる。
また、もし特殊部隊と遭遇した時には人々を守る盾になろう。

ブーストダッシュを使用してデパート内を移動、
障害物は周辺を視力と聞き耳で確認、人を巻き込まないよう注意しつつ
戦争腕で換装した腕と怪力を使用して障害物を破壊するか吹き飛ばす。
また拾いエリアでは、誰か棚等の下敷きになっていないかも確認、
見つけ次第、救助を行う。


トリガー・シックス
目的は避難誘導及び避難対象の護衛。
一階まで先頭に立ち、避難誘導を行う。
最後尾にはフーシェンを追行させ、襲撃に備える。
スプリンクラーが作動してないようなら、ライフル『夢想』で狙撃して強制的に作動させる。

・戦闘
『ジョーカー5s』に切り替え、護衛対象に近づく敵勢力を排除する。
優先するのは護衛対象に最も近い敵から。
ユーベルコード『幽幻なる狩人』を発動させ、出るまでの時間稼ぎを行う


アイ・エイド
科学者って意味じゃオレは異端だが、コレはまた違うだろ?

【召喚魔法発動】
人々は火災と戦ってんだ!来いッ!!
カオスリング内のオーラが変化したようだな!
コレは狂気っつーより浄化か?
これなら炎や煙の勢いを抑えられる、上手くいけばどっちも鎮圧出来るかもしれねェ…。
よし!やるしかねェな!!
火災は地上部だけだったか?
そうなりゃ、オーラ防御の要領で地上部全体を気合いで包み込む!!

オレはちょいと動けねェと思うから、地図見ながら、中の状況を判断出来る猟兵がいたら、ソイツと通信取りながら、特に酷いと思うとこだったり、安全な避難経路を作りたかったら、そこにオーラを集中させるぜ!

【アドリブ・絡み大歓迎!】


エルーゼ・フーシェン
トリガーと一緒に救助に動くわ。
私は最後尾で、避難する人たちを護る役目みたい。
どこから襲ってきてもいいように、警戒はしっかりしないと。
障害物とかあれば、破壊して道を切り開く!
戦闘になったら、トリガーからは「避難を優先させろ」と言われてるから任せるしか。
初陣だけど、がんばろ


真白・白夜
罪のない人々を理不尽に殺す行為は見逃せません。僕の力は微弱ですけど、一人でも多くの命を助けないと。

人々の救助を行います。他の猟兵の方とも連携して、救出作業を進めます。
【オルタナティブ・ダブル】を使用し、残忍な性格の別人格にも手伝ってもらいます。
『人助けなんてつまんねぇことは止めて、敵殺しに行こうぜ?俺、そっちの方が気になるしよ。』
「たくさん人を助けたら、その分暴れていいから、今は僕を手伝って!」
『…しゃーねぇ。その言葉、忘れんなよ?』

なんとか別人格を説得して、救助者を外へ出します。敵の特殊部隊が妨害しないか警戒しつつ、もし妨害されても、避難優先で。人命最優先です。


ミニステリアリス・グレイグース
方向性はどうあれ、科学で想いを叶えたい気持ちは分かるつもりです
それでもこの有様は……一体誰の為の科学だったのやら

救助環境と監視体制が構築済みとは至れり尽せりです、災害鎮圧に専念しましょう
……本当に物理現象なんですかね、火の手の強さが気になります
魔術触媒《ウィルス》に《ニグレド》《アルベド》の機能を付与し地上部フロアに散布、炎を拡大する可燃物や火元は片っ端から【掃除】します

他の方が入り難い場所に要救助者がいれば、ユーベルコードで電脳空間に保護しましょう
余計なものを見ない様【ハッキング】で生体信号を操作、少しの間安眠して頂きますが

しかし火事……感覚共有も良し悪しですね
いえ別に炎が怖いというわけでは



「戦争の為に作られた身だが、誰かを救う事ができるのならば、喜んで協力しよう」
 本部が設営されつつある中、外との連絡手段を確保しつつ、ビルの中へと先行して突入したテリブル・カトラリー。
 UDC職員や本部及び、後からくるであろう猟兵達に救助活動は任せて、自分は避難経路と安全の確保の為に、ブーストダッシュにてデパートの中を駆け回る。
「予想以上の火の手、これでは…」
 火災が発生してから数分しか立っていないにも関わらず、必ず通らなければならない重要な経路に限って火の海に包まれている、ブーストダッシュを用いて抜けるにも、この火の手ではダメージは避けられない、なにより一般人では耐えるのはとても無理だ。
(流石は特殊部隊…と言った所だな)
 火災による破壊工作として見れば、戦場を渡り歩いたテリブルの目から見ても見事な手際と言ったところだ…厄介なことこの上ない、と感じた所で、異変…不思議な光がビル全体を包み込み火の手が若干弱まり…そして外部からの連絡が入った。

「おーい、俺は今、動けそうにもねぇ!!、内部の状態はどうだ!?、今、ビル全体をオーラで包んで火の手と煙を抑えてる!」
「こちらも本部と連携してビルの他のシステムもハッキング中です、でも、この火の勢い…本当に物理現象なのですかね?」
 本部からアイ・エイドとミニステリアリス・グレイグースからの連絡が入る、テリブルは二人に状況を説明し対策を練る。

「火災自体は物理現象、入念な下準備による物の様ですが…この勢いでは死者が出る前に鎮火とは行きませんね」
「オーラでビル全体が広すぎてな…だが、オーラを集中すればピンポイントでその地点の火は抑えらるぜ!」
「そうなると、アイは外部から火を抑え、突入した者が救助活動を行う方針で行こう…私は先ずは避難経路と安全の確保の為に突入してるのだが」
「おっし!、先ずは目の前の火の海を俺のオーラで抑えるから、テリブルはそこを抜けて避難経路を確保してくれ!」
「…今、本部と連携してビルの他のシステムもハッキング完了しました、どうやら三階の子供服売り場に避難用の滑り台が有るようです、それとUDC組織へ救助用のヘリを要請しました、運べる人数は少なめですが、壁さえ破壊すれば救助可能です」
「では、私は避難用滑り台の確保と、ヘリによる救助の為の穴あけを行おう」
「私も今から他の三人とビルへ突入いたします」
 方針は決まった、アイのユーベルトコード【召喚魔法(サモン・エラー)】によって生み出されたオーラが、テリブルの眼前の火の手を抑える…テリブルはブーストダッシュで目的の場所へと駆け出した。

(人助けなんてつまんねぇことは止めて、敵殺しに行こうぜ?俺、そっちの方が気になるしよ)
(たくさん人を助けたら、その分暴れていいから、今は僕を手伝って!)
(…しゃーねぇ。その言葉、忘れんなよ?)
「真白、頭をどうしたのですか?、大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫…今、話が付いたところだから…ねえ?」
「けっ、終わったら暴れさせろよな?」
 真白・白夜に瓜二つの人物が、突然現れる、口調も目付きも粗暴な雰囲気を纏うその人物は【オルタナティブ・ダブル】によって現れたもう一人の真白。所謂、別人格である。
「わ、真白がもう一人増えたよ、猟兵って不思議ね!」
「お前も猟兵だろうフーシェン、よくある事だから慣れろ…しかし暴れるか、確かに…」
 今回が初陣のエルーゼ・フーシェンは、初めて見る他人のユーベルコードに驚き目をパチクリとさせる。それに慣れろと蛋白に返すのが、同行者のトリガー・シックス。
 しかし、現れた別人格の言う事も気になる、『暴れる』…即ち戦闘の可能性である場所に目を向ける。
「確かに気になるな、フーションと俺は襲撃にも備えるか…そっちはどうする?」
「僕は避難優先、人命最優先で動きます」
「え?、待てよ俺は暴れたいぜ!?」
「地下から特殊部隊が出て来たときは、先ずは本部の蒸気魔導人形が抑えに入る予定です、全滅は必至ですが、時間稼ぎをしている間に私達が駆けつける、という段取りになっております」
「その時は私の『雨月』を斧型に変えて障害物を破壊するよ、そうすれば最短ルートで駆けつけられるから」
「となると、フーションは最後尾に配置だな、床を破壊しながら進めば素早く1Fまで戻れるだろう」
「ハハハッ、イイね、派手じゃねぇか、それじゃ、お楽しみまでは言う事聞いてやるか、つまらん人命救助とやらが進めば出てくるんだろう、奴らはよ」
「そうだよ、だから今は救助優先で…さあ、アイさんに頼んで、ここの火の海を抑えてもらって上に移動しよう」
 特殊部隊への対処法が決まった、では救助にと思った矢先、ミニステリアリスに連絡が届く。

「――ダメです。どうやら、この火の海は、私達でどうにかしなければならないようです」
「何があった?」
「テリブルさんが3Fの避難滑り台を展開した後、他の被災者の救助に向かったところ、4Fのフロアで多数の一般人が火の海に囲まれていて、壁を破壊してヘリでの救助を続けるも人数が多すぎて厳しい状態にあるようです」
「4Fの火の海を抑えるために、アンさんのオーラはここにまで回す余裕はないということですね?」
「そうです真白さん、故にこの火の海は私たちで対処…4Fまでたどり着ければ、一般人は私がなんとかできます」
「了解だ、ならばこれでどうだ?」
 状況を理解したトリガーは素早く、中遠距離単発式ライフル『夢想』を抜き出して、的確な射撃でスプリンクラーを破壊する、何かが詰め込まれ作動していなかったスプリンクラーから水が吹き出し、火にかかる…が、火の手はまだまだ収まらない。
「水が掛かると火が跳ね上がっています、どうやら油が撒かれているようです」
「なるほど、要所には何らかの手段で可燃物を撒いていたのですね、スプリンクラーなど消火装置にも異物…これらを『掃除』すれば…」
 ミニステリアリスの魔法触媒《ウィルス》に分解の機能を持つ《ニグレド》、増殖の機能を持つ《アルベド》を付与し、可燃物となっている可燃性の薬剤、及びに消火装置を阻害する詰め物を分解し始める。
「火が収まってきたわね、これぐらいだったら渡れるわ」
「完全鎮火させている時間が惜しい、ここは駆け抜けるぞ」
 力を合わせて火を弱めた猟兵達は直ちに上へと向かう、3階の被災者達は避難用滑り台から無事に脱出、無事に保護され、4Fより上…最上階である5Fの被災者は屋上からUDC職員がヘリで救出、火の手も及んでおらず問題はなさそうだ。そして問題の4Fでは――

「……」
 無言で淡々とテリブルがユーベルコード【換装・戦争腕(ウォーアーム)】にて壁や瓦礫を破壊、その破片を怪力で運び少しでも火の手が被災者に向かわぬよう、この作業を繰り返していた。
「お姉さんの腕すごーい、まるで正義のヒーローみたい」
「こ、こら!」
 そんなテリブルに子供が無邪気に話しかける、母親はそれを止めようとする…救助活動の邪魔をさせてはいけないし…大人達にとっては、簡単に壁を破壊する腕を持ち、無言で作業をするテリブルは、救助に来てくれたものだと分かっていても少し怖い存在なのだ…
「……いや、私は…」
 戦争の為に作られた存在、正義のヒーローなどと程遠い…そう自分を評価しているテリブルは子供の言葉を否定…しようとしたが…。
「違うの?」
「……」
 子供は不安な目を向けている、いや、大人達もだ…そう、平和な世界で生きていた筈のこの者達がこの状況で不安を感じていないはずはない。
 自分がどのような存在であろうとも、今はこの人達を助けるために飛び込んだ身、ならば不安にさせるような事を告げてどうする?、テリブルは自問したあとに、表情を和らげ、子供の頭を武器化させていない方の手でそっと撫でながら言葉を紡ぐ。
「私は…その様に自分を思った事はありません、でも助けたいという気持ちにも偽りはありません、それが正義のヒーロの証ならば心配はありませんよ…だって――」
 テリブルの言葉と、穏やかに変わった雰囲気に子供の表情は明るくなる、避難している他の大人達にも和らいだ空気が流れた。
 その空気に呼応するように火の勢いが急に弱まった所から一人の少女がこの場所に飛び込んできた。
「正義のヒーローは一人ではありません、皆さんを助ける為に多くの人が動いているのですから」
「何だかわかりませんけどその通りです、そして遅れて申し訳ありませんテリブルさんと被災者の皆さん…もう、大丈夫ですよ」
 飛び込んできたのはミニステリアリス、そして大丈夫と宣言した後にユーベルコード【裏:普遍を探る灰塵の徒(クアエシトール・グレイグース・マレフィキウム)】を発動させる。
「私の秘密の隠れ…じゃなかった、最新の救助装置です、皆様はここに入ってくださいすぐ外に出れますので」
 散布された、互換を共有する環境探査用ナノマシン…包まれた被災者達はミニステリアリスの『入ってください』と言う意味を直感的に理解する、イメージ的には書庫のような場所の続く扉、そこに吸い込まれそうな感覚を感じる。
「わーい、なんかすごーい」
 子供は抵抗することなく、その書庫に入る、続いて母親も子供を追いかけて慌てて駆け込むように吸い込まれていく…他の被害者も一人、また一人と恐る恐るながらもこの不思議な空間へと入っていく。
 事前にテリブルが被災者を安心させたのが功を奏したのか、ミニステりアリスが想定していたよりもスムーズに、書庫の中へと全員を収容できた。
「私は被災者の皆様をこのまま外へと連れ出します、テリブルさんは下へ、既に特殊部隊が動き始めています、他の皆も下に向かっています」
「了解した、戦闘を開始する」
 テリブルの表情も戦場のそれへと戻る、下から響く轟音、戦いは既に始まっているのだ…最も、その轟音を響かせているのは特殊部隊ではなく――。

「どっせい!、次の床を破壊したら1Fね!」
「ヒャッハー、いいぞ女!、ガンガン進めぇ!」
「隠密もクソもないなフーシェン…だが急がねばならないから仕方がないか」
「そうですね、特殊部隊を外に出したら、UDC職員や被災者に危険が及びます」
 エルーゼの【グラウンドクラッシャー】で次々と打ち抜かれる床板、正に突貫といった勢いで下に向かうのは、エルーゼ、トリガー、真白とその分身の四人…特殊部隊が動き出したとの報を受けて、ミニステりアリスと分かれて一気に1Fを目指し始めたのだ。

「敵、魔導蒸気人形の破壊を確認、生贄確保の為に外への進軍を…」
「「させるか」」
 銃撃戦の後に崩れ落ちる蒸気人形、撃破を確認した特殊部隊の数名が外に出ようと動き始めた瞬間、轟音と共に天井が爆ぜ、まず飛び込んできたのは真白ともう一人の真白だ。
「さぁ、殺戮の時間だぜぇ!」
「外には行かせません!」
 正反対の性格の真白と、もう一人の真白ではあるが、そのコンビネーションは流石の同一人物、真白がサイコキャノンで敵を撃ち抜き、もう一人の真白の拷問器具が逃れた特殊部隊員達を切り刻む。
「猟兵襲来、A班は猟兵に対処、B班は外に…B班応答せよ!」
「死人は応答などしない…しかし、隠密などないとは言ったが、派手すぎて逆に良い陽動となったようだな」
「な…て、っ撤収、本体と合流し…ぐあああああっ!!」
 派手に天井をぶち抜いて真白コンビが飛び込み大暴れ、余りに豪快な襲撃だった故に、それに隠れて発動させていたトリガーのユーベルコード【幽幻なる狩人】で呼び出されたアサシンの霊の仕事は楽であった…
 その存在に感づかえる事もなくB班を二本の短刀と弓にて暗殺、指揮官もトリガーの『ジョーカー5s』で射殺され、地上に出て来た特殊部隊は排除された。

「なんか思ったよりあっさりでしたね」
「本体はまだ地下に居るらしい油断するな」
「本部からの連絡です、被災者の救助は完了しました、テリブルさんもミニステりアリスさんもこちらへ向かってるそうです」
「俺もやっと動けるようになったぜ!、さあみんな!、敵の本拠地に乗り込んもうぜぇ!!!」
 地上部からは死者を出すことなく救出作業を終え、火を抑える必要もなくなったアンが勢いよくビルへと飛び込みエントリー!
 救助活動は無事に終わった、次はこの事件を起こした元凶を潰す為に地下で待ち構えている特殊部隊を蹴散らすのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『歩兵』

POW   :    武器使用
【装備している武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    制圧射撃
【合図をして】から【機関銃による連続射撃】を放ち、【弾幕】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    援軍要請
自身が戦闘で瀕死になると【追加の兵士】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「生贄の逃亡を確認、氷室博士、どういたしますか?」
「はい、では実戦にて実験を開始します」
「みな、『食事』は済んだか?」
 氷室博士と連絡を取る部隊長が部下の方を見る…特殊部隊はピチャピチャと音を立てて行っていた『食事』を止めて立ち上がる。
「完了です隊長、搾りかすの生贄でしたが多少は力になるでしょう」
「猟兵と戦うには心もとないが…しかし、それでも実験を成功させなければならない、諸君らの健闘を祈る」
「了解、全ては人類平和の為に」
「うむ、全ての世界を救うために、我らの手で博士の実験を実証しよう」
 『食事』…地下から逃げ遅れた人間だった肉塊が散乱する、そんな悍ましい場所に似つかわない言葉と共に兵士達は敬礼、後に猟兵達を待ち受けるために散開を始めた。

 人の形を持ち、人の言葉を話す『ひとでなし』の軍勢が猟兵達を待ち構える、彼らを蹴散らし、氷室博士の実験を止めるのだ!
真白・白夜
ようやく敵のお出ましですね。人々は避難しましたし、もう遠慮はいりません!
残忍な別人格に切り替えます。
「約束だ。思いっきりやって構わない。」
『待ってましたー!もう我慢するつもりはねぇ!全員俺がぶち殺してやるぜぇ!』

サイコキャノンからの【サイキックブラスト】を範囲攻撃で広げて攻撃します。衝撃波も追加して、敵に体勢を整えさせません。援軍を召喚しようとも、召喚した瞬間攻撃して吹き飛ばします。
『オラオラオラ!死にたい奴は前に出な!』
倒しきれなければ、敵を拷問具で串刺しにし、毒使いと傷口をえぐるでダメージを与えて仕留めます。
『死体が欲しいんならくれてやる!てめぇらが死体になりやがれ!』


テリブル・カトラリー
猟兵でもない人間が猟兵同様戦える様になる。
これだけならば、素晴らしい実験だろうが、その代償がこれではな……
実験に犠牲は付き物だろうと、これは既に看過できるものではない。
実験は終わらせてもらう。

二回攻撃、範囲攻撃、一斉発射、スナイパーでの銃撃を行う。また
見えない小型爆弾を操縦、目立たせないよう先行させ爆破。
敵軍を混乱させる破壊工作を仕掛け連携を妨害する。

皮肉なものだな……
人を殺す為に造られた私と、世界を救う為に戦う筈のお前達、
だと言うのに、どうしてお前達が人々を殺す為に戦って、
私が人々を救う為に戦っているのだろうな……

立場が逆だろうに。


エメラ・アーヴェスピア
良かった、何とか抑えられたようね
救助も完了したようだし…UDC組織の方、この場はお任せするわ
何をするかって?…助けられなかった人達の為にも…猟兵としての仕事を、果たしに行くだけよ

とりあえず他の同僚さん達との合流をしないといけないわね
『出撃の時だ我が精兵達よ』Lv6三体、Lv1五体の編成…先程の作業用の工兵とは違い、戦闘用よ
Lv1は盾と拳銃を装備させて壁とし、火器を装備したLv6兵士と私で射撃して攻撃するわ。猟犬は遊撃を
同僚さん達と合流できたなら全員援護射撃を主体ね

…部隊なのは貴方達だけではないという事よ
貴方達の実験はここで終わり…大人しく、骸の海へと沈みなさい…!

※アドリブ・協力歓迎


トリガー・シックス
地下へと突入し、特殊部隊を始末する。
銃撃戦となるのであれば、遮蔽物をうまく利用して移動しつつ『無心』で狙撃して攪乱させる。
ユーベルコード『幽幻なる狩人』を発動させたら別々の角度から攻撃、近接攻撃をしやすくする。
接近してくれば『ジョーカー5s』にて迎撃する。


ミニステリアリス・グレイグース
確か猟兵に匹敵する特殊部隊を作り出す実験でしたか
プロの戦闘集団がオブリビオン化……気は抜けそうにないです

となると各個撃破が望ましいですね
先程の兵士を見るに伝達手段は通信端末だけでしょうか?
そこを攻めてみましょう
戦闘は他の皆さんと協力して私は支援に回りますね
特製の鋼糸を駆使し、【敵を盾にする】【武器落とし】【範囲攻撃】で味方の被害を軽減しつつ兵士達を引っかき回します

でも主目的はあくまでこちら
ユーベルコードによる【情報収集】で兵士達が持つ伝達手段を探り当てます
可能なら《ニグレド》による分解か【ハッキング】でそれを無力化してやりましょう

……不謹慎ですがこういう悪戯、綺麗に決まると気持ちいいんですよ?


エルーゼ・フーシェン
トリガーが攪乱している隙を突いて、相手を蹴散らすわよ!
『トリニティ・エンハンス』を発動させて攻撃力を上げてから『ストライダー』を用いて一気に蹴散らす!
遮蔽物をうまく使え、とトリガーから言われてるから攻撃が来そうなら隠れるわ。
他の人たちとうまく共闘できるようにしないと。

※アドリブなどOK



「良かった、何とか抑えられたようね」
 確認するようにそう呟くと、エメラは席を立つ…今まで彼女の指示の元、救助活動を行っていたUDC職員は、席を立つエメラに口々に『何処へ?』と問う。
「救助も完了したようだし…UDC組織の方、この場はお任せするわ、助けられなかった人達の為にも…猟兵としての仕事を、果たしに行かないとね」
 助けられなかった人達…地下に居るであろう犠牲者の死に猟兵達の落ち度はない、此度の事件が予知され、転送された時点で既に手遅れであったろうから…
 しかし、だから気にはしない…などと思えるエメラでもなく、周囲のUDC職員もそれを察し、速やかに救助活動の命令系統を再編しながら…
「ご武運を…」
 今まで本部で救助活動の中核を担ってくれていたエメラを敬礼で送り、彼女が戦いに集中できるように各々の仕事に取り掛かった。

「約束だ。思いっきりやって構わない。」
 真白は、その言葉と共に目を瞑り…同時にオルタナティブ・ダブルの効果で現れた分身、もう一人も真白の姿がすぅっと消える。
『待ってましたー!もう我慢するつもりはねぇ!全員俺がぶち殺してやるぜぇ!』
 次の瞬間、真白の人格が切り替わった。好戦的な別人格は待ちかねていた戦闘に口角を上げ、嬉しそうに駆け出し先陣を切った。
「敵影、猟兵の一人が突出して攻めてきます!」
「総員、迎撃準備…くっ、はやいっ!!」
『おらおらおらおらぁ!!、まとめて吹っ飛びやがれぇ!!』
 真白の両腕から放たれるサイキックブラストは、電撃と共に衝撃波が広範囲に吹き荒れる。銃を構え、迎撃を試みた特殊部隊だが、衝撃波で壁に叩きつけられ、感電によって動けないものも出た、が…
『ちっ、上の奴らよりかはやるじゃねぇかっ!!』
 電撃を広範囲にばら撒いたせいか、感電による麻痺から脱する者が反撃を開始する、UDC組織謹製のアサルトウェポンが火を吹く、一般人用とは言え、対UDC用に改造された自動小銃の特殊詠唱弾頭は人体を容易く破壊する――が…
「がはっ…」
「くっ、撃ち方止め!、同士撃ちを狙われている!」
 撃ち抜かれ蜂の巣にされているのは、麻痺していた味方の身体だと気がついた特殊部隊は射撃をやめ散開…撃ち抜かれた味方には繊維の様な物が絡みついていた。

「突出しすぎです、真白さん」
『お前らがおせーんだよっ!』
 真白の窮地を救ったのはミニステりアリスの特殊ワイヤー《アキエス》、ナノマシンによって超高密度圧縮された強靭な糸は、容易く人体を引っ張り上げ、動けぬ敵兵を盾にしたのだ。
「まぁ、お前が派手にやってくれたお陰で…」
「いい位置に入れたよねトリガー!!」
 真白が大立ち回りをしている隙に、トリガーは遮蔽物で身を隠しながら狙撃ポイントに、エルーゼも同じく、自身が得意とする近接の間合いまで接近する事に成功していた。
「この距離なら銃より、私の『ストライダー』の方が早いわ!!」
 常人ならば持ち上げることも厳しそうな、大型の双剣『ストライダー』を振り回せば、敵兵の体は袈裟懸けのバッサリと切り落とされる。
「特殊防護スーツがまるで効かない!?、対UDC想定なんだぞ!?、なんて威力なんだ!?」
「クソ、散開せよ、撤収、て…ぐあっ!!?」
「あ、頭を下げろ、狙撃されるぞ!」
 【トリニティエンハンス】にて攻撃力を増強したエルーゼの『ストライダー』の前に防護スーツなど何の役にも立たなかった。エルーゼの致死の間合いから逃れるため退がろうとした敵兵には、トリガーの『無心』の狙撃が死をもたらす。

「これが…、これが猟兵か!、我らの目指す高みか!」
「されど、引けぬ、我らの理想の果てを、我らの狂気の果てを実証する為に!」
「人類の為に、世界の為に!!」
 されど、特殊部隊達の戦意は衰えず、アサルトウェポンによる一斉掃射がエルーゼとトリガーを襲う、二人共、遮蔽物を利用して上手く避けてはいるが…
「制圧射撃か、動けんな…」
「ちょ、ちょっと、タンマ、わっ、ここも壊れちゃう!!」
 一人、また一人と援軍が呼ばれ、激しい弾幕は遮蔽物を破壊されトリガーとエルーゼは後退を余儀なくされる。

『ちっ、多いな…手数が足りねぇ!』
「流石はプロの戦闘集団です、連携が見事ですね…」
 真白の【サイキックブラスト】と衝撃波、ミニステリアリスは鋼糸によって敵を盾にしたり、武器を奪ったり…と応戦するが敵の数が多すぎる。
「隊形を崩さんとどうにもならんな」
「うー、私は近づけないと攻撃できないわよ…」
 トリガーも敵との距離に応じて『ジョーカー5s』と『無心』を駆使し応戦するも限界がある、エルーゼも弾幕が激しすぎて接近する事が出来ない。このままではジリジリと後退していく事しか出来ない…と、その時二人の仲間が合流を果たす。

「手数が足りないのかしら?、なら、こうしましょうか?…さぁ出番よ、私の勝利の為に出撃なさい」
 本部から合流を果たしたエメラのユーベルコード【出撃の時だ我が精兵達よ(メイクアサリー)】が発動。
 左肩に『1』と刻印された23体の魔導蒸気兵を召喚する、その内が18体は3体の『6』と刻印された魔導蒸気兵となり重火器で武装される、合体していない蒸気兵は小銃と盾を持ち、弾幕の中皆の盾となるべく突入を開始した。
「援護するわ、安心して、フレンドリーファイアーなんて、間抜けな真似はしないから」
 その言葉とは裏腹に、両手には『魔導蒸気マスケット銃A型・S型』が握られ、周囲に『浮遊型魔導蒸気ガトリングガン』まで展開、両手の銃もマスケット銃なのは見た目だけであり、実際には自動小銃も顔負けの連射速度を誇る。
 そこに浮遊上記ガトリングに、『6』の魔導蒸気兵の重火器まで加われば、正に一人要塞、『号砲ロリ』の異名?に相応しい大火力であった。
『おいおいおいおい、本当に大丈夫なんだろうな!?』
「大丈夫みたいよー、凄いねエメラ!」
「この状況で、あっさり前に出るお前も胆力も大したものだ、エルーゼ」
 恐ろしい弾幕を展開しながらも、宣言通り味方を撃つ様なヘマをしない。とは言え前後からの凄まじい弾幕にも怯まずに、前に出たエルーゼ…まだ、ちょっとおっかないが初陣の緊張も解れて来たなと…トリガーは思いつつ、真白と共に後に続く。

「待て、それ以上は近づくな」
「え?」
 弾幕を防ぐ『1』の魔導蒸気兵を巧みに利用し前に進む3人に、合流を果たしたもう一人、テリブルの待ったがかかる。
『んだよ、このポンコツが壊れる前に進ませろよっ!』
 如何に戦闘用とはいえ…合体をしていない魔導蒸気人形が、何時までも対UDC用のアサルトウェポンを防いでくれるとは思えない、故に早く弾幕を突破したい真白から文句が溢れる、近接を得意とするエルーゼも同じ気持ちであろう。
「すぐ済む…」
 真白の反論に答えるわけでもなく、テリブルは静かにそう呟くは否や、敵陣から幾つもの爆発が起こる。
「ぐあっ!?、何だ!?」
「対UDC特殊スコープを付けろ!、見えない爆弾だ!、巻き込まれるな!!」
 既に放たれていた、テリブルのユーベルコード【爆破工作(ボムトラップ)】が敵陣で炸裂する、不可視の自走爆弾は特殊部隊の隊列の要所に既に潜んでいたのだ。
「不可視の爆撃でも対処して回避行動を取るか、流石に特殊部隊と言える…が、隊列は乱れたな」
 エメラの援護射撃とテリブルの破壊工作により、敵の隊列は乱れ弾幕に穴があいた、そこへすかさず…
「よし、エルーゼ、真白、突入だ!」
「わかったわ!」
『オラオラオラ!死にたい奴は前に出な!』
 トリガー、エルーゼ、真白の三人が突入する、隊列は切り崩され、戦況は射撃戦から乱戦へと移行した。

「銃なんて使わせないよっ!……きゃっ!?」
 『ストライダー』で敵兵の胴を真一文字に立つエルーゼ、一人を切り捨て後に銃を構えようとした兵に切り掛ろうとした瞬間、何かが足を掴んだ。
「人類平和の為に…我らは…実証する…」
 胴を切り離された敵兵が血のあぶくを吐きながらエルーゼの足を掴み、もう一方の手には手榴弾が握られていた…
「うそ…」
「我等は、我等は…実証する…戦えると!」
 手榴弾を握る手が振り下ろされ、自爆――、と思われた瞬間、何者かがその腕を切り落とし、そのまま抱え込んで運び、爆発と共に霧散した。
「エルーゼ、油断するな…こいつらは普通じゃない!」
「あ、ありがとうトリガー、気をつけるよ!」
 霧散したのはトリガーのユーベルコード【幽幻なる狩人(ファントムハンター)】のアサシンの霊、乱戦中にエルーゼの窮地に気がついたトリガーが身代わりにさせたのだ。
『オラ、死ねぇぇ!!』
 真白は拷問器具を敵兵に突き刺し、毒を流し込み、傷口を抉り、血飛沫を上げながら何度も念入りに突き刺し敵兵を殺す。
 単に別人格の残虐性がこの行動をとらせているのではない…単にオブリビオン化してるからでは済まされないほど、簡単には死なないからだ。
「まだだ、まだ…まだ…仲間の血肉を食らっても進め」
「贄があれば、まだ戦える…実証を、人類に希望を」
 原理は良く分からないが、死んだ仲間の死体すらも贄として回収し、致命傷を受けたはずの兵が立ち上がる。
『死体が欲しいんならくれてやる!てめぇらが死体になりやがれ!』
 あまりのしつこさに、その執念に苛立ちながら真白は敵兵を刻み、毒を注ぐ、何度立ち上がっても全てを殺すと言わんばかりに拷問器具を振るい叫ぶのだ。

「戦況は拮抗ですか、エメラさんとテリブルさんの介入で決すると思いましたが…そうなると、私も主目的を果たさねばなりませんね」
 銃撃戦に乱戦にと皆が激しく戦う中、ミニステりアリスだけは別の目的の為に動いていた…通信手段の破壊、もしくはハッキング…それを行うためにユーベルコード【普遍を探る灰塵の徒(クアエシトール・グレイグース)】を使用して、特殊部隊の連絡手段などを調べていたが…
(通信手段自体はUDC組織と同じ物ですが…ブラックボックス化しているコレが原因ですかね?)
 通常の通信システムの他に兵士達には正体不明のデバイスが取り付けられている、奇妙な力に守られていて、ハッキングは受け付けない…おそらくコレが兵士達の異様な再生力の原因、恐らくは氷室博士によって植え込まれたものだろう。
「《ニグレド》の分解…も時間がかかりすぎます、探査用のナノマシンで分析しつつ、先ずは当初の『悪戯』を実行しましょう」
 当初の目的…通信手段自体は普通なのだからこれをハッキングする事はミニステリアリスにとっては容易い。ふふっと思わず笑みが溢れる、不謹慎だけどこういう悪戯が上手く決まる時は楽しくなってしまうもの…らしい。
「!!?、なんだ通信が…くそ、妨害電波か!?」
 ミニステリアリスの手によって、突如通信を奪われた特殊部隊の連携が乱れる、如何にしぶとかろうが連携が取れなくなってしまえば、個の力では猟兵に大きく劣る彼等は徐々にその数を減らして行き戦況は決した。

「皮肉なものだな……人を殺す為に造られた私と、世界を救う為に戦う筈のお前達、
だと言うのに、どうしてお前達が人々を殺す為に戦って、私が人々を救う為に戦っているのだろうな……?」
 テリブルが力尽きた特殊部隊の隊長を見下ろし、悲しげにそう呟く…猟兵でない者も猟兵のように戦える、それを成し遂げられれば素晴らしい事ではあるが、その結果がこの狂気であると…
「……ふは、ふはははは…ハハハハハハハハハハ」
 その言葉を聞いた隊長は目を丸くし、その言葉を噛み締めるように、二度、三度目をパチクリさせた後、笑った…嘲りでもない、心から嬉しそうに笑うのだ。
「ははは、違うのだ、違うのだ猟兵殿…皮肉ではない、それは必然なのだ…それだ…それこそが我等の望み、狂気の果てに望んだ最後の光…なのだ……」
「望み?、どういう事だ?」
「……嬉しくて、嬉しくてな…猟兵殿…希望だ、それこそが…今の君の在り方……こそ……」
 テリブルの問いに答える間もなく、隊長の身体はドロリと溶け始めていく…それと同時に残された戦闘服、その中の通信機からノイズ音が聞こえる。

【…そこから先は私が答えよう】
 次の瞬間、通信不能だった筈の通信機、そしてナノマシンを通してミニステリアリスの頭の中に声が響く。
「ひゃあっ!?」
 悪いことはしていない…が、通信機を悪戯気分でハッキングしていたミニステりアリスは悪戯が発覚したときの様に思わず驚いた。

【…すまないが、こちらに来てくれないか、私はもう動く事はできない…それに時間も余りない…】
 恐らくは氷室博士だと思われる声の主は、猟兵を拒むどころか、むしろ招き入れる。溶けた隊長の体、部下の体が、血の河となり目的地と思われる場所へ流れ始める。
【時間がない、道中も説明しよう…私が開発したのは『サクリファイス・システム』…生贄による召喚の儀式が…何故、脆弱な人間の命が強大な邪神を呼べる力になるのか…召喚の秘密を解き明かす、それが私の研究だった…】
 博士の声からは正気が感じる、今更観念したのか?、それに『時間がない』とは?、複数の疑問が猟兵達の頭を駆け巡る。
【『サクリファイス・システム』は贄、即ち生命エネルギーを利用する技術…UDCの…邪神の召喚を核に組み立てられた…ああ、解っている、それは過ちだった…結果、私は…私と特殊部隊いー2”不屈の光”は狂信者と成り果ててしまった】
 懺悔の様に語られる博士の言葉、猟兵達は血の河の先に辿り付き理解する、『時間がない』、『成り果てた』…正にその通りであった。

「ご機嫌よう猟兵諸君、すまないねこの様な格好で……」
「……今のあなたは正気なのですか?、氷室博士…」
「何とか…記憶処理剤を脳に放り込んでなんとかね…ふふ、とっくに致死量の筈だが死ぬことも出来ぬよ」
 地下の一室、このデパートの施設とは思えない、正体不明の機材に囲まれた異形の甲冑…そして右肩から粘体と肉塊の中間のような物体と成り果てた腕…触手状の肉がその甲冑と繋がってしまっている、憔悴しきった顔の男…氷室博士はそこにいた。
「こうでもしないと、正気は5分と持たない…私が死んだ事故、その時に邪神に取り込まれてしまってね…情けない話だ、我々は君達に嫉妬していた、今までもこの地球を…UDCアースを守ってきたと言う自負が、歪んでいた…そこを付け込まれた…」
 猟兵が現れる前もUDCは存在していた、数は少なくともそれと命懸け戦っていた組織だ、そう言った感情が出てしまうのは仕方がないことだろう、そんな心の小さな闇でさえも邪神はつけこむのだ。
「一度死んだ私はもはやオブリビオンだ、生前の意志とは関係なく狂気に走り、凶行を行ってしまう人類の敵…だがね、だが、せめて、せめてもの抵抗として、私は、我々は狂う方向性だけは死守したのだ」
『方向性?、あいつらが言ってた『平和』だの何だのとか言う寝言か?』
 真白は呆れたように言う、残忍な人格の方の真白でさえ、あんなものを平和などとは呼ばない、狂っているし、そもそもそんな事をして意味はあるのかと。
「意味か、意味は一つだけある…彼も…隊長も言っていたが、それが君、君の存在だよ…」
「わたしが?」
 氷室博士も、テリブルに対してあの隊長の様に笑みを向ける…邪神と同化しつつある状態においてなお、嬉しそうに笑うのだ。
「君は、人を殺すために生まれたとい言ったね?、それなのに人を守っていると…それなのだよ、我等に、邪神に取り込まれた我等の正気が見出した最後の希望は!」
 既に骨を失い、形も人の物でなくなりつつある左手でテリブルの手に触れる…テリブルはそれを振り払えなかった、氷室博士がまるで自分に縋るかのように…その姿は神に祈る信者のようにも見えた。
「技術に罪はない、道具に狂気はない、罪を犯すのも狂気に陥るのも人間だけだ…だから科学に狂った、望んで『科学の狂信者』となったのだ…さすれば、さすれば、狂気の果てに残せる、技術を…私がどんなに罪深かろうと、生み出した技術だけは、それだけは人を救える可能性を秘めているのだ、君の様に!」
 それがテリブルの在り方こそ希望だと言った意味、邪神の一部と成り果ててしまった今、博士達に唯一出来た、ささやかな抵抗…未来の為に技術を残すことだったのだ。

「もう、これまでの様だ…最後に君達にこれを…そして私を、この愚かな罪人を『終了』させてくれ…」
 震える手で、リモコンのような奇妙なデバイスを猟兵達に手渡そうとする、その瞬間、肉塊の部分が急速に侵食を始める…
「■■■…」
 もはや声にならない声と共に、そのデバイスを離す、瞬間、氷室博士だった肉塊は甲冑に取り込まれ、甲冑は…いや、邪神は起動を始めたのだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『黒装の破壊者』

POW   :    砕け散れ
単純で重い【拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    贄となれ
自身の身体部位ひとつを【異形の大蛇】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    磔になれ
レベル×5本の【物理】属性の【邪神の肉で作った杭】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は麻生・大地です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「愚かなり、科学などに縋り、神の慈悲を受け入れぬとは、愚かなり」
 起動した邪神甲冑は猟兵達の方へと歩む
「力ある者よ、神の糧になる栄誉を与える…死して我が贄となれ」
 迫り来る邪神、黒色だった甲冑が濁った血のような赤色に変わり、博士の物と同じと思われる赤褐色の肉塊が触手の様に背から生える。

「…この様な玩具で神に抗おうとはな」
 氷室博士の残したものに気が付く、最後まで抵抗したのが腹立たしいのか…猟兵達の前にそれを砕かんと、デバイスに対して肉塊の杭を飛ばす…

 最終決戦だ、この邪神を撃破し氷室博士を『終了』させてあげよう。
エルーゼ・フーシェン
これで最後にしましょ!
『ストライダー』を連結させて薙刃形態に移行、『トリニティ・エンハンス』で攻撃力を上げて攻撃を行うわ。
【二回攻撃】でよりダメージを負わせて、【野生の勘】で危険を察知できるなら離れる。
怯んだり隙を見せたら『雨月』に代えて【力溜め】と【捨て身の一撃】で一気に叩く!
叩き込めたら、またストライダーに戻すわ。
他の人と連携しつつ、邪神を倒すわよ!

※アドリブOKです


エメラ・アーヴェスピア
行った事は…だったけど、それでも意地はあったのね
技術の良し悪しは使うもの次第…ええ、その通りよ、一技術者として同意してあげる
なら…そのささやかな意地を通す事だけは手伝ってあげましょう

だから、そのデバイスを壊させはしないわ!
肉塊の杭を銃撃して撃ち落とす
悪いけど確保はお願い、戦場の最前線に立てるような力はないのよ、私
だから私は支援砲撃に徹するわ!『我が砲火は…未来の為に』!
呼ぶのは大型の重砲(攻撃力重視)
隙を作り出す【先制攻撃】、同僚さんの隙を打ち消すように撃つ【支援射撃】
そしてチャンスに撃ち込む最大の一撃をもって戦うわ

同僚さん、支援は任せなさい…無粋な邪神には私の「技術」を持って対抗するわよ…!


トリガー・シックス
デバイスを破壊しようとする肉塊の杭を『ジョーカー5s』を抜き、【クイックドロウ】で撃ち落とす。
隙を伺い、デバイス回収できそうならやってみる。他にするものがいれば狙撃銃『偉大なる狩人』に切り替えて、【スナイパー】による【援護射撃】を行う。
他の猟兵とは離れ、単独で動く。一か所に留まっての狙撃は危険なため。
相手の動きに気をつけねば、こちらが危険になる。【見切り】で避けよう。
畳み掛けるときは『幽幻なる狩人』を発動させてから『アヴァランチ』を使用。射線が重ならないように気をつけねば。

初陣にしてはいいほうだろう。粗が多いが今後次第だな。

※アドリブOK


テリブル・カトラリー

反射的にブーストを吹かしダッシュ、ジャンプで肉杭からデバイスをかばう。致命傷は避ける努力はするが、デバイスを守る方に意識を割ける。

例えこのデバイスが意味の無いものだったとしても、これがあの博士にとっての希望だったのかもしれないと思うと身体が勝手にな。

デバイスを回収か、仲間へ投げ渡し、ブーストで後方へ退きながら
アームドフォート、ライトマシンガンで二回攻撃、
鎧無視攻撃併用で一斉発射
最後に戦場の亡霊を発動

……今の私の在り方が、希望か……その言葉は私には重すぎる。
…だが、覚えておこう。
そういえば、この戦場にはさっきまで戦いに向いた特殊部隊がいてな…。

可能ならば第二章で戦った歩兵達を亡霊として召喚する



「させるかっ!」
 誰よりも早く動いたのはトリガー、取り回しの早い『ジョーカー5s』による早打ちで肉杭を迎撃、軌道がそらされた肉杭はデバイスを外しコンクリートの床に突き刺さる。
「そんな玩具に拘るのか?、愚かなり」
 邪神は背中の触手から次々と肉杭を生成し、次々と猟兵、そしてデバイスに向けて射出をする。
「支援は任せない…無粋な邪神には私の「技術」を持って対抗するわよ…!」
 エメラはユーベルコード【我が砲火は未来の為に(オープンファイア)】を発動、強力な巨大重砲が火を噴き肉杭を蹴散らす、浮遊蒸気ガトリングも駆使し、肉杭の弾幕を迎撃するが…
「くぅ、想定以上の威力…誰かデバイスを…」
 重砲の威力ならばともかく、蒸気ガトリングの弾幕では止め切れない威力を誇る肉杭、猟兵ならばこの支援で回避は可能だが、動けぬデバイスは…
「…!」
 ブースターによって猛スピードで突っ込んできたテリブルによって庇われデバイスは無事ではあったが、代わりにテリブルが負傷をする。
「そんなガラクタの為に負傷を負うとはな、愚かな…まぁ、お前を壊す手間は省けたが…」
 身体が勝手に動いた…戦場では感情的になる事が少ないテリブルだが、例えこのデバイスが無意味な物であったとしても、これが博士達の希望であったのかもしれないと思うと、守らずには居られなかったのだ。
 そんなテリブルに、邪神は肉杭による集中砲火すべく、触手全てをターゲットの方へと向ける。
「させないっ!」
 この行為が邪神の肉杭による弾幕に隙を生む、射角が狭まった事により、エルーゼに側面からの接近を許す。『ストライダー』を連結させ薙刀形態にし、【トリニティエンハンス】をかけた一撃が邪神の脇腹に突き刺さる。
「テリブル、それを持って下がれ!」
「そのデバイスもテリブルさんもを壊させはしないわ!」
 その一撃に合わせ、トリガーの狙撃銃『偉大なる狩人』が邪神の装甲の脆い部分を探し当て、その弾頭が邪神の甲冑に亀裂を入れる。更に追撃のエメラの重砲が邪神の甲冑を破壊した。
「ぐぬっ…『贄』が足りぬか……だが…」
 砕けた邪神の甲冑、中身は赤黒い肉塊が不気味に鼓動を繰り返す…形を成せなかった、得体の知れない生命体が、甲冑という殻に詰め込まれた…そんな印象を受ける中身は邪神がまだ不完全である事を意味するのだろう。
「今よ、いけええええええええええぇぇぇっ!」
 怯んだように見えた邪神、そこにエルーゼが『雨竜』を構え突っ込む、その身の危険も顧みず、全力で振り抜かれる巨大な斧の一撃は、邪神の身体を床板ごと粉砕した。

「やったわ!」
「!?、エルーゼ、油断をするな、まだだっ!!」
 トリガーが叫ぶ。腹部が砕け散り大穴が空いた状態でも、邪神は悠然と立ち上がりエルーゼに拳を叩きつける。
「きゃああああっ!?」
 『雨竜』で受けても、その身に、骨に響くほど衝撃が伝わり、壁際まで叩きつけられるエルーゼ、損傷すら意に介さぬ一撃に傭兵達も困惑の感情がよぎる…
(攻撃が…効いていない?)
 先ほどの攻防で与えたダメージをあざ笑うかのように、床に刺さる肉杭が、飛び散った肉片が…氷室博士を取り込んだ時のように邪神に吸い込まれ、損傷が復元していく。
「不完全であろうが、人に神を滅ぼせる道理なし、我が贄となれ猟兵達よ」
「断る、ハァッ!、行け【幽幻なる狩人(ファントムハンター)】」
 不死身の邪神、有り得ない回復を目の当たりにし、よぎった不安…それを振り払うかの様にユーベルコードでアサシンの霊を召喚し、連携攻撃を図るトリガー…
 大口径機関銃『アヴェンジャー』の高威力な射撃、そしてアサシンの弓矢による攻撃が命中し邪神の身体を確実に砕いていっているが…
「無駄だ」
「くっ……何っ!?」
 それを意に介さぬまま肉杭を飛ばす邪神、その弾道を見切り回避するトリガーであったが、違和感を覚える。
(幽幻なる狩人の動きが鈍い…?)
「…我が供物となれ」
 アサシンの霊の様子がおかしい、何かに絡め取られている様な違和感を感じる。邪神は、腕を大口の大蛇に変えて、アサシンの霊を丸呑みにせんと迫り来る。
「っ!!?、戻れ【幽幻なる狩人】!」
 その瞬間、トリガーに悪寒が走る…このままでは食われる、【幽幻なる狩人】が邪神に奪われる、そんな嫌な予感を感じ、直感的にユーベルコードを解除する。

「何だったんだ、今のは…」
「無駄なり、此処に在る命は全て我が贄、我が糧なり」
「トリガー、下がれ!」
 困惑するトリガーに味方からの援護射撃、テリブルはブースターで邪神と距離を保ちながら、アームドフォードとライトマシンガンによる連続射撃行う。エメラの砲撃を加わり、着実に邪神の身体を砕いているのだが…

「だから、無駄だと言っておろう、貴様等に『希望』はないと!」
 猟兵達の攻撃を嘲笑うかのように邪神は再生を繰り返し、攻撃を回避する事なく反撃を加えてくる。
「もう、さっきの兵隊より更にしぶといじゃない!」
「しぶとい…で、済まされるレベルじゃないわね」
「この邪神、何かがおかしいぞ…」
 幾ら攻撃を加えても、水面に石を投げ入れるが如く復元する邪神に、三人の猟兵は脅威と共に違和感を覚える…先程の【幽幻なる狩人】もそうだ、何かが引っかかる…この邪神の再生力は何かがおかしいと。

(『希望』か…そう言えば、こんな私を『希望』と呼んでくれた者たちが居たな…)
 そんな中、テリブルは『希望』という言葉に、特殊部隊や博士たちが、自分のあり方をそう呼んだ事を思い浮かべる、その言葉は今のテリブルには重すぎる…が、忘れる訳にはいかない。
「そういえば、この戦場にはさっきまで戦いに向いた特殊部隊がいてな…」
 思い浮かべ序でにテリブルは【戦場の亡霊】にて彼等を呼ぼうと試みる、意趣返し…という側面もあるが、対UDCの兵士として優秀なのも確かだ…が、その試み『自体』は失敗した。
「発動しない?…いや、これは……そうか!」
 特殊部隊達は呼び出せなかった、だがユーベルコードで彼等に干渉しようとした事で理解した。彼等は呼べなかったが手応えはあった、邪神の身体の中に彼等は居る、そうだ、彼等は血の河になってこの邪神に、博士の様に取り込まれているのだ。
「何かわかったのかしら?」
「ああ、あの邪神の中に特殊部隊は囚われている、ユーベルコードで呼び出そうとしたが出来なかった…だが、ユーベルコードが発動しなかったわけじゃない…綱引きに負けただけだ…邪神、いや…氷室博士が作った『サクリファイス・システム』に!」
 テリブルはこの部屋にある機材を指差してそう断言した、システムに干渉した手応えが、魂を引きずり込み、そのエネルギーを邪神に流し込む背後の装置の存在を気付かせた。
 【幽幻なる狩人】か絡み取らる不可思議な現象も、のもこれが原因、生贄を…生命エネルギーを利用するシステムは、このビル内に居る生命エネルギー、即ち、魂を回収し、博士や特殊部隊の様に邪神の血肉へと変換される…そして、死者の魂から形作られている邪神の肉体をいくら砕いても、システムによって回収、再構築されてしまうのだ。

「ち…勘付いたか、だが神が人に負ける道理なし…貴様らもこのシステムに取り込んで我が一部に変えてやろう!」
 邪神は猟兵達から背後…、用途が不明だった不可思議な機材『サクリファイス・システム』を守るように立ち塞がる。
「散々『技術』を『科学』を馬鹿にしてた割に、機械に頼ってイキってたのね…なんて滑稽な『神』なのかしら」
 そんな邪神の姿をエメラは鼻で笑う、一技術者として邪神の物言いは気に食わなかったのだろう、玩具だの、ガラクタだの、と言ってた癖に機械に頼っていた邪神の姿を皮肉った。

 邪神の再生能力の種は割れた、背後の機材を破壊すれば『サクリファイス・システム』は止まるであろう…邪神を撃破し囚われた魂を救うのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

真白・白夜
…気に食わねぇおっさん共だったが、一番気に食わねぇのは…てめぇだ肉塊野郎!その人見下した態度と物言いが一番気に食わねぇ!

人格は残忍な俺のまま!
【オルタナティブ・ダブル】で共同攻撃だ!
「僕も行く!あの博士には色々言いたいことがあったけど…今は、こいつを倒す!人の弱みを食い物にする化け物め!」
『…たく…俺に任せときゃいいのによぉ…それじゃあいくぜ!』

だまし討ちを併用し、あいつはサイコキャノンで目潰し、俺は拷問具で串刺しにしてやるぜ!そのまま傷口をえぐると毒使いで攻める!

部位変化攻撃は、あいつが衝撃波で吹き飛ばし、威力を殺したところを俺の拷問具で拘束して串刺しにして潰してやるぜ!

アドリブ&協力OK


ミニステリアリス・グレイグース
技術に罪はない、道具に狂気はない……ですか
博士達がそういう風に思える方々と分かっただけでも、少し救われた気分です
――だからこそ

「……私、少し怒ってるんですよ」
基本的には味方の支援行動
鋼糸で触手を重点的に斬り落とします
杭の飛来には電子防壁を展開し全力防御

「壊しましたよね?そのデバイス」
厄介そうなのは拳と触手の攻撃ですね
敵の負傷に合わせて『普遍を探る灰塵の徒』を発動
治癒される前に「ウイルス」を傷口から侵入させ、触手や、腕部・背筋・足腰の様なパンチに重要そうな筋肉部位を探り出します

「それがあれば防げたのに」
ハッキングでその部位を中心に筋弛緩させる【全力】の電気信号を流し、思い切り弱らせてやりましょう



「やらせると思っているのか」
 邪神は『サクリファイス・システム』の破壊を阻止すべく触手を大きく広げ、小型の肉杭を広範囲に放とうとするが…
「ぐ、ぬぅあっ!?」
 突如、全身を襲う苦痛、強烈な電撃が体内から発生し邪神の動きが止まる、その隙を猟兵達が許すはずもなく、強烈な砲火が機材に浴びせられ破壊される。

「……私、少し怒ってるんですよ、壊そうとしましたよね、あのデバイスを」
 技術に罪はない、道具に狂気はない…狂気に染められ邪神に取り込まれて、なおも…博士達がそういう風に思える方々と分かっただけでも、少し救われた気分なれた、そんなミニステリアリスだからこそ、邪神の行為は腹立たしかった。
「貴様、何をっ!」
「内緒です、教えてあげません」
 先程の戦いで幾度も再生を繰り返していた邪神、それはナノマシンを扱うミニステリアリスにとっては隙だらけだった事を意味した。
 既に発動していたユーベルコード【普遍を探る灰塵の徒(クアエシトール・グレイグース)】のナノマシンは再生の度に邪神の体内に侵入し、その再生能力の秘密を探っていたが…味方がそれを解明した事により援護行動へシフト、この最高のタイミングで体内から全力の電撃を放ち、邪神の動きを阻害したのだ。

『よぉ、肉塊野郎…散々、人を見下してやがったが、今どんな気持ちだよ?』
「人の弱みに付け込んだ報い、今こそ受けてもらうよ!」
 あの博士達にも言いたい事は色々あった…が、それ以上に許せないのは眼前の邪神、【オルタナティブ・ダブル】で今度は主人格の方が権限し、二人の真白は左右から邪神に呼びかける。
「機械など無くとも、我は神、負ける道理はぁ!!」
『その戯言は』「聞き飽きたよ!」
 邪神の右腕が大蛇に変わる、しかしそれは既に見た攻撃…一方の真白が衝撃波でその大蛇を打ち据え動きを止まると、淀みのない連携で残忍な方の真白がその大蛇を拷問器具で突き刺す。
「ぐあああっ!?」
 邪神の傷はもう再生しない、大蛇となった右腕は拷問器具に串刺しにされ、床に縫い付けられる。
「…この距離では避けられ…ぐぁ」
 だが、邪神は串刺しにされたまま触手から肉杭を生やす、串刺しにしている真白から見ればほぼ零距離、このまま放てば外す通りはないのだが…その触手は無惨にも切り落とされる。

「怒っている、と言いましたよね?」」
「ぐああああっ、ぐうぅ…ば、馬鹿な…」
 ミニステりアリスが冷たくそう呟くと同時に指を動かす、連動して触手に絡みついた強固なる鋼糸『アキエス』が次々と職種を切り落としていく、反撃に殴りかかろうとする邪神だが串刺しにされた腕が動かない。
『どうだ、俺の毒の味はよ』
「あら、奇遇ですね…私も<ウィルス>を流し込んでおりまして…」
「き、貴様らぁ」
 真白は拷問器具から毒、ミニステリアリスはナノマシン<ウィルス>を邪神に流し込みその体を蝕んでいた、自由の効かない身体に邪神が忌々しげに二人を睨む。
「終わりだ化物」
 動けなくなった邪神の頭部を主人格の真白がサイコキャノン打ち砕く、気が優しい主人格でもこの邪神に対しては一切の容赦をするつもりはない…頭部を打ち砕かれた邪神は二度、三度痙攣をお越し、やがてその肉塊はドロドロと溶け始めた。

『やっとくたばりやがったか、人様を見下しやがって、ざまぁねえぜ』
「終わったよ氷室博士…貴方のした事は許されないことだけど…どうか、安らかに…」
 息絶える邪神に悪態をつく真白、博士達の冥福を祈る真白、二人の真白が勝利に対して真逆の反応を取る。

「このデバイス…『サクリファイス・システム』の研究レポートが入ってますね、生贄を前提にした装置ですから使いたくはないですが」
 ミニステリアスはナノマシンでデバイスの中身を調べる、技術に興味がある仲間達もそれを眺めに集まってくる。
「…なるほど、このシステムを応用した儀式の反転ですか、まだ理論の段階ですけど、実用化できたら儀式を食い止めたりするのに使えるかもしれませんね」
 氷室博士が残した小さなデバイス、そこに眠っていた『技術』は危険すぎる者も多いパンドラの匣、しかしながら確かに人の役に立てる可能性を持った『希望』も入っていた。
 実用化出来るかも、実際に役立つのかもどうかはわからない、しかし狂気に囚われ、科学の狂信者に成り果ててまで残した未来への『希望』は確かに受け取った。
 こうして、猟兵達の活躍によって氷室博士と特殊部隊達は本当の意味で救われったのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月30日


挿絵イラスト