迷宮災厄戦⑱-16〜トランプ・タワー・ディフェンス
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「戦争もそろそろ大詰めだ、こっちも敵さんも疲弊してる。ここらが分水嶺になるだろうから、頑張ってくれ」
グリモアベースにて、サイボーグのヨム・キプール(贖罪の日・f21620)はそのように述べて皆を激励し、今回の作戦の概要について話し始めた。
「今回の敵は、オウガ・オリジンが変身したトランプの巨人兵の軍団だ。前にオウガ・オリジン自体が分裂したことがあっただろ?だが、高慢ちきなオウガ・オリジンは分身同士でいがみ合うからまるで統率が取れていなかった。今回はそれを省みて、まずは自分に忠実な部下であるトランプの巨人兵に変身し、そこから分裂を始めたってワケだ」
勿論、トランプの巨人兵の力はオウガ・オリジンよりも下回る。しかしその統制は分裂したオウガ・オリジンの比ではなく、それによって個々のパワーを補ってくるようだ。
「奴らはファランクスと呼ばれるものに近い陣形を組んでいる。本来は槍の陣形だが、コイツらはバカデカい剣を代わりに使ってるな。これは前方に対しては攻撃力も防御力も半端じゃない陣形だ、真っ向勝負じゃ苦戦は間違いないだろうな。だが、この陣形は側面攻撃に対して酷く脆い。どうにかして左右に回り込んで陣形を崩し、各個撃破してくれ」
グリモアが輝き、世界を亘る門が開かれる。
「統率力は大したモンだが、さっきも言ったように個々の力はオウガ・オリジンをかなり下回る。陣形さえ崩せれば俄然有利になるってことは良く覚えていてくれ。それじゃあ、検討を祈るぜ」
ヨムは釘を刺すようにブリーフィングを纏めると、門を維持しながら猟兵達を見送るのであった。
鶺鴒
こんにちは、或いは初めまして。鶺鴒(せきれい)と申します。
皆様の活躍を精一杯描写させて頂きたく思います。
本シナリオは一章完結の戦争シナリオとなっております。全体のルールはトップページを参照下さい、シナリオとしてのルールに変化はございません。
今回はオープニングにもあります通り、『敵の陣形を攻略する』ことで、プレイングにボーナスが付与されます。
逆に対策が不十分だった場合、結果が強制的に苦戦や大苦戦になることもありますので、ご注意をお願いします。
それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちさせて頂きます。
第1章 集団戦
『『オウガ・オリジン』とトランプ巨人団』
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POW : 巨人の剣
単純で重い【剣】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : トランプ兵団
レベル×1体の、【胴体になっているトランプのカード】に1と刻印された戦闘用【トランプ兵】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : バインドカード
【召喚した巨大なトランプのカード】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:はるまき
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アリシア・マクリントック
こういう相手なら……扉よ開け!マリシテンアーマー!マリアはマリアクロス・アーチャーモードへ!
ゲンジュツ・プロジェクターで分身したように見せかけて、マリアはそちらから攻撃を。有効打にはならないでしょうが、無視もできないはず。それで十分。
敵が分身とマリアに注意を向けているスキに私はカミカクシ・クロスで姿を隠して側方へ回り込み、敵陣に潜入します。狙うは大将首!
暗殺に失敗しても陣形の内側に敵がいる可能性を印象付けられればそれで良し。敵が来るであろう「前方」がどちらか確かでなくなれば陣形の力も弱まるでしょう。離脱のついでに大規模な陣形ならいるであろう小隊長を見つけて倒せればより混乱させられそうですね。
エル・クーゴー
●WIZ
敵軍の正面よりの到来/接近を目視で捕捉しました
躯体番号L-95
当機は野戦築城に高い適性を発揮します
コール――『マネギ・カーペンターズ』
・大工仕事上手なデブ猫をMAX84体召喚
・敵軍の行く手に、不思議の国の素材ありあわせで超高速築城を敢行
・ファランクスは平地の合戦でこそ真価を発揮する陣形だろう
・ならば「深く幅広い堀」「狭隘な門」「曲がりくねった城下」と、行軍の威を殺ぐ地形を敷いて迎え撃つ
・アームドフォート等、己の搭載武装をバラして陣地内各所に配置(メカニック+武器改造)
・【迷彩】で視認性を低めたガンカメラ等の射撃装置トラップとして運用、敵の進軍の都度に砲火を浴びせん(撮影・砲撃・蹂躙)
「敵軍の正面よりの到来・接近を目視で捕捉しました」
「こういう相手なら……扉よ開け!マリシテンアーマー!マリアはマリアクロス・アーチャーモードへ!」
「躯体番号L-95……当機は野戦築城に高い適性を発揮します」
エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)とアリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)は、各々の得意分野(厳密にはその中の一つ)とする撹乱と野戦築城に焦点を絞り、防衛という観点で敵軍を攻略開始した。正にタワーディフェンスの様相である。
「タスク第二位“団を保全しろ”――実行します」
アリシアが隠密行動を得意とするマリシテンアーマーに変身する傍らで、エルは『マネギ』と呼ばれるドローンを大量に召喚する。太った猫に羽が生えたような姿のそれは、合計で80以上。指令に応じて不思議の国の素材を用い、瞬く間に建設作業を行い、堀や門に覆われた、曲がりくねった道を形成していく。
「陣形に設置された罠の配置図です。参考までに」
「ありがとう、エルさん。それでは、私の攻撃に合わせて起動して下さい!」
二人は着々と、準備を進めていった。
「…………」
それから数分後。トランプ巨人団は明らかに困惑していた。墨俣一夜城よろしく、先程まで何もなかった場所に狭隘な陣地、明らかに自分達の陣形の威力を削ぐであろうそれが形成されていたからだ。しかし、彼らは性質上、行動ドクトリンを易々と変更はできない。そのまま無理を押し通し、進軍する他なかった。
「敵発見、迎撃用意!」
その時、門の上部に銃器とゴーグルを装備したマリア、そしてアリシアの姿があった。マリアの銃撃と同時にトランプ巨人団は大盾を構え、その攻撃を防ぐ。だが、同時に周囲に設置されていた、エルが自身の武器を即席で改造し、設置したアームドフォート等の武装が射撃も開始され、巨人団に混乱を招く!
「落ち着け!足並みが乱れればこの陣形の効果はグッと低く……ぐあッ!!?」
その時、周囲に指示を飛ばしていた個体に斬撃が浴びせられた。カミカクシ・クロスで姿を消し、期を窺っていたアリシアが敵陣に潜入して暗殺を試みたのだ。
「何だ、どうなっている!?」
「敵は一人ではないぞ、構えろ!」
「門の上の微動だにしない女の仕業か!?」
「こちらからも銃撃が!!」
門の上に構えるアリシアはゲンジュツ・プロジェクターによる紛い物。本物はとっくに離脱しており、追撃にエルによって迷彩が施され、設置された射撃装置がトラップとして起動された状況だ。陣形が十全に機能しない中での撹乱攻撃によって、トランプ巨人団は大きな損害を受けることとなった。
大成功
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玉ノ井・狐狛
※アドリブお任せ、連携など歓迎
タワーディフェンスってのは受け身になりがちだが、別にこっちから手を出しちゃいけないってルールも、ここにァない
さて、事前情報からすると――巨人どもは、あくまで「忠実」で「統率がとれている」だけだな?
とどのつまり「練度の高い兵士」と似たようなモンさ
これがただのロボットなんかだと話も違うけどな
幻術(UC)で連中の感覚と思考を乱す
完全に狂わせる必要もない、むしろ個体によって影響が違うくらい雑な掛けかたでイイ
普段どおりの認知と判断ができなくなりゃァ、密集陣形なんかまともに動かせないだろ?
無理に突っ込んでくるヤツがいたら結界で止める
トランプタワーってのは崩れやすいんだぜ
播州・クロリア
反省しても性格を改めるのではなく別人になるという発想は大胆すぎますね
(肩幅ほどに足を開き、深く息を吐きながら全身の力を抜いた後{霹靂の旋律}で『ダンス』を始める)
このリズムは一瞬です
瞬きする間に終わりますので
目を離さないでください
(ダンスに乗せた『催眠術』による認識阻害で生み出した自身の『残像』を囮にして『オーラ防御』壁で空気抵抗を無くした状態で『衝撃波』を使った瞬間移動を行い軍団の側面に回り込む)
そのまま前を向いたまま
骸の海に沈んでください
(UC【蠱の宴】を発動と同時に{霹靂の旋律}で生み出した雷を纏わせた『衝撃波』で『属性攻撃』を行う)
ティノ・ミラーリア
纏まりのなかったオリジンが、こうも変われるものなんだね。
でも、個々はより弱くなっているみたいだし…対多数は得意だから……
接近される前に「狩猟銃」の『呪殺弾』で『鎧砕き』の『先制攻撃』。
ダメージは無くても命中した時点で【影の支配】を発動し、拘束と追加攻撃を付与。
支配下に置いた影を「纏影」として操作して、他のトランプ巨人を『串刺し』攻撃する。
ファランクスみたいな陣形は密集していて影も豊富。なら回避される心配もなく、
内部から「纏影」、外部から「狩猟銃」で攻撃し【影の支配】の対象を増やしていこう。
倍々の勢いでUCの効果対象を増やせば陣形を『蹂躙』する『範囲攻撃』の勢いで影に呑み込んでしまえるかな。
リューイン・ランサード
正面は強いが側面は弱い軍勢。
シマドゥ島民の出番ですね。
事前にUCでシマドゥ島民を創造。シマドゥ島戦法の釣り野伏実施を依頼。
(島津家の得意戦法。全軍を三隊に分け、二隊を左右に埋伏。
中央部隊のみ敵に正面から当たり、敗走を装って後退。
敵が追撃してきたら左右両側から伏兵に襲わせ、中央の部隊は反転し逆襲に転じて三面包囲殲滅)
リューインを含む中央部隊がぶつかる寸前に後退。
リューインは殿を務め、翼による【空中戦】で低空飛行しながら、【多重詠唱・高速詠唱】による【地と水の属性攻撃・全力魔法】で敵足元に泥濘を作り出して遅滞させつつ伏兵部隊まで誘引。
「チェスト」と叫び、刀を振るって首を獲る軍勢により三面包囲殲滅。
「おっ、来たみたいだぜ。大分損耗してるな、アリシアとエルは上手いこと戦力を削いでくれたようだな」
玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)が疲弊したトランプ巨人団の様子を確認し、残りのメンバーへと告げた。
「それにしても、反省しても性格を改めるのではなく別人になるという発想は大胆すぎますね」
「纏まりのなかったオリジンが、こうも変われるものなんだね」
播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)とティノ・ミラーリア(夜闇を伴い・f01828)は、未だに統率の取れた様子を見てそう述べる。
「で、どうする?ちょちょいと幻術をかければそれだけで足並みが崩れそうなモンだが」
「ああ、それは少し待って下さい。僕にいい考えがありますので」
狐狛の提案にリューイン・ランサード(竜の雛・f13950)が待ったをかけて、『いい考え』の概要を皆へと話す。
「なるほどな、そのタイミングなら確かに効果的だろうぜ」
「私も異論はありません」
「僕もそれでいいよ。元々、対多数は得意だし」
皆の了承を得られたリューインは、とあるグリードオーシャンの依頼によって目の当たりにした(そして良くも悪くも心に焼き付いた)シマドゥ島民を数百人、想像力から創造する。
「それでは、僕が最初に接敵します。皆さんは手筈通りの順番で追い込みを!」
開戦の合図は、一発の銃弾で始まった。トランプ巨人団は足を止めることなく、進軍しつつ状況を確かめ合う。
「……敵発見!我々の状況は?」
「損傷は20%を超えているが、しかし我ら士気高揚!」
「ならばこのまま蹴散らすのみ!」
リューインとクロリア以外はシマドゥ島民で構成された中央部隊とトランプ巨人団がぶつかり合う。だが、正面からの攻撃力と防御力は確かなもの。中央部隊は呆気なく退却、逃走を始めた。
「逃すな、追え!」
トランプ巨人団は追撃を開始するが、既に罠は仕込まれていた。殿を務め、低空飛行するリューインの水の術式による泥濘が足に絡み、クロリアの踊りによる催眠術が着実に精神を蝕んでいく。そうして判断力が鈍ったところに、唐突に左右に新たなシマドゥ島民による部隊が現れた!
「敵襲、敵襲!左右より奇襲を確認!」
「何だと!?」
それは『釣り野伏』と呼ばれる彼らの得意戦法であった。まずは部隊を三つに分け、中央の部隊が接敵し、敗退するフリをして敵の深追いを誘う。そこに残り二つの部隊が取り囲むように現れて、三方向から囲んでタコ殴りにするというものだ。
「くっ、落ち着け!こちらも部隊を分けて急ぎ対応を……な、何だこの黒いものは!?」
見ると、部隊の何割かが動く『影』のようなものに襲われ、纏わり付かれ、幾人かは串刺しにすらされているではないか。
「ファランクスのような部隊は影がたくさんあるから、避けられる心配もないね」
それは戦いの火蓋を切って落とした最初の銃撃を放ったティノの声。ティノは第二部隊に属して機会を窺っていた。初めに放ったそれは呪詛を込めていた呪殺弾であり、包囲が決まったタイミングで影の掌握と支配を開始したのだ。
「落ち着け、冷静になれ!何故だ、何故統率が取れん!あり得ん、全て『私』だというのに!」
慌てふためくトランプ巨人団に、第三部隊に属していた狐狛はニッと歯を見せるように口角を吊り上げた。
「そりゃ、アタシがそれぞれの認識がバラバラになるよう、雑に幻術をかけてるからな。クロリアの催眠術もあってやりやすかったぜ?」
「狐狛は楽しんでますか?私は楽しいです。リアです」
「ああ、ま、ボチボチってとこだな」
クロリアが音もなく狐狛の前に現れ、ユーベルコードと衝撃波による攻撃を行う。第二部隊からはシマドゥ島民の突撃に合わせてティノの銃撃が放たれ、その度に影の浸食率は上がっていく。そしてリューインの指示を以って、全てのシマドゥ島民が独特な叫び声を上げて、武器を掲げて突撃した。
「「「「「チェストォォォォ!!!!」」」」」
ファランクスという陣形が横方向に弱いという以前に、ここまで囲まれていては手も足も出ない。『大勢で囲んで殴る』というシンプルな戦術だが、これを超える戦術をどの世界の、どの種族も未だに編み出してはいないのだから。どれ程に優秀な戦術家の著書であっても、その能書は如何に敵を囲むかに絞られている。かくして、元々の損害もあったこともあり、トランプ巨人団はものの見事に壊滅し、猟兵の勝利が決まったのであった。
大成功
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