4
迷宮災厄戦⑱-18〜さいきょうのてき【!?】

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #オブリビオン・フォーミュラ #オウガ・オリジン #イマジンモンスター

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#戦争
🔒
#迷宮災厄戦
🔒
#オブリビオン・フォーミュラ
🔒
#オウガ・オリジン
🔒
#イマジンモンスター


0




●想像力の国
「ああっ! もう! 本当に猟兵というやつは信じられないくらいにわたしの邪魔ばかりする! 許し難い!」
 オウガ・オリジンは癇癪を起こしたように、その金色の髪をぐしゃぐしゃにかきむしる。 顔のない顔であるが、その暗闇の奥は苛立つような気配を如実に伝えるほどに、その金色の髪が怒髪天を衝く勢いで逆毛立つ。
 その腕、足、骨格の全てが軋みを上げるような苛立ちはついに頂点に達する。
「こうなれば、もはや何の躊躇いもない。現実改変ユーベルコードの全てを使って、猟兵共を駆逐する……! わたしの思い描く最強の存在……! イマジンモンスターとなって、全ての猟兵を虐殺する!」
 ぐにゃりと空間が歪む。
 それは現実改変ユーベルコードが発動し、今持てる力の全てを振り絞ったかのような強烈なるユーベルコードの輝き。
 その輝きの果に現れるのが、オウガ・オリジンの思い描く最強のモンスター。

「さあ―――遊びは終わりだ、猟兵共!」
 ―――!?

●迷宮災厄戦
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回は―――」
 そこで不自然に言葉を区切るナイアルテ。
 彼女の表情はなんとも筆舌に尽くしがたい微妙な……予知した内容をどのようにして猟兵たちに伝えようかと考えあぐねているような、そんな表情だった。
 しかし、意を決してナイアルテは口を開く。グリモア猟兵は予知した情報を猟兵たちに正しく伝える責務がある。
 その情報に誤りがあったり、勘違いするような内容があってはならないと考えるが故に、今回の情報をどう伝えるのかためらっていたのだ。

「……今回オウガ・オリジンが現れるのは『想像力の国』と呼ばれる不思議の国です。オウガ・オリジンの持つ現実改変ユーベルコードですが、その力を振り絞って、オウガ・オリジンは彼女が思い描く最強の存在へと変貌したイマジンモンスターと呼ばれる姿となって皆さんに襲いかかってくることでしょう」
 そこまで一息に説明するナイアルテに猟兵たちは顔を見合わせる。
 なにか躊躇うような様子であったのはなんだったのだろうかと。

「『想像力の国』は、その国にある者の能力を増幅する国であるのです。みなさんもまた、みなさんが考える『ぼくが考えるさいきょうのそんざい』に変身し、戦うことができるのです。いえ、むしろ、この特性を利用しなければ、オウガ・オリジンが変身したイマジンモンスターに対抗するのは難しいでしょう。なぜならば―――」
 ごくり。
 ナイアルテの喉が生唾を飲み込んだ。それは彼女にとってオウガ・オリジンが変身したイマジンモンスターの恐ろしさを物語っているようだった。
 それほどまでに凄まじい『さいきょうのそんざい』へと変貌を遂げているのであれば、彼女のあの躊躇いもまた理解できるというものだ。
 二の句を告げようとするナイアルテを急かすこと無く猟兵たちも、ごくりと喉を鳴らす。

「なぜならば、オウガ・オリジンが変貌した姿は―――」
 いやにひっぱる。
 猟兵達の何人かは、嫌な予感がしたかもしれない。第六感というやつだ。

「―――ツッパリ番長・イマジンモンスターです」
 ―――!?
 なんて?
 ツッパ……? ん? ツッパリ? 番長? 猟兵の何人かは聞き慣れぬ言葉に首を傾げただろう。UDCアース出身の者であれば、聞いたことがあるだろう。
 不良少年。無頼の輩の長。そればツッパリ番長である!
 ―――!?

「オウガ・オリジンの顔のない顔のままに金髪をポンパドール……フランスパンのように長いリーゼントヘアー蓄えた髪型に、長ラン、ボンタン……さらに胴にサラシがきつく締め上げられた姿をしているイマジンモンスターへと姿を変えているのです。手にはメリケンサック、釘付バット……とても恐ろしい姿をしています」
 あまりに真面目な顔でナイアルテが言うものだから、猟兵達の何人かは話に付いていけないだろう。喋ってる内容とナイアルテの真剣な表情があまりにもかけ離れているからだ。

「ツッパリは怖いのです。どれだけ叩きのめされても立ち上がってくる不撓不屈の精神……一本通った精神性は、まさに男気そのもの。そんなオウガ・オリジンとはかけ離れた凄まじき精神性と圧倒的武力を備えた存在。それがツッパリ番長・イマジンモンスターなのです」
 内容はともあれ、イマジンモンスターへと変貌したオウガ・オリジンの力は本物だろう。
 どれだけ頭上に『!?』と付きそうな見た目であっても、油断はならないということだけは理解できただろう。

「これにみなさんも、みなさんが思い描く、さいきょうのそんざいに変身して立ち向かいましょう。どうか、お願いいたします……いえ、どうか夜露死苦、です!」
 ―――!?


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『迷宮災厄戦』の戦争シナリオとなります。

 想像力の国にて現れるさいきょうのてきを打倒しましょう。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……さいきょうのそんざいに変身する。

 それでは、迷宮災厄戦を戦い抜く皆さんのキャラクターの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
273




第1章 ボス戦 『『オウガ・オリジン』とイマジンモンスター』

POW   :    イマジンモンスター・ギガンティック
【現実改変ユーベルコード】を使用する事で、【全身からオウガ達の頭部】を生やした、自身の身長の3倍の【イマジンモンスター】に変身する。
SPD   :    イマジンモンスター・スピード
【現実改変ユーベルコードを使用する】事で【イマジンモンスター】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    イマジンモンスター・ディフェンス
対象の攻撃を軽減する【イマジンモンスター】に変身しつつ、【身体から溢れ出すトランプ】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:飴茶屋

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

姫川・芙美子
私の考え得る最強の存在、ですか。
ならばUCとイメージを併用して、八岐大蛇に変化します。山の様な巨体の八頭八尾の大蛇。大自然の脅威を具現化した山神にして水神です。
巨体で【踏みつけ】【怪力】で締め上げ噛み砕きます。

番長がそれ以上に強いのならば考えを改めます。怪物がいかに強くても、それに打ち勝つ最強の存在は人間なのですね。
番長の反撃で引き裂かれた蛇体の中からセーラー服の少女の姿で出現。やはりこれが私の最強の戦闘服です。
大蛇の残骸からイメージで産み出した剣を引き抜きます。神通りの力、天叢雲。人の力に神の力が加わって更に最強です。
真正面から全力で斬擊。貴方の根性と私の正義、どちらが強いか真っ向勝負です。



 イメージする最強の自分。
 それは言葉にすれば簡単なものであったことだろう。言うは易く行うは難し。最強とはつまり、そういうものである。
 如何なるものを持って最強と為すのか。それは結局の所、本人の思い描くイメージの強烈さに左右されるのであろう。
『想像力の国』。その不思議の国において、一人立つは黒い長ランはためかし、膨らんだボンタンが、その身長のなさを贖って有り余る迫力を醸し出すオウガ・オリジン。
 さらに綺麗にサイドから盛り上げられたリーゼントヘッドが金髪のせいもあってか、凄まじい威圧感を放っていた。
「来るがいい、猟兵。我が現実改変ユーベルコードの全てを振り絞った力―――ツッパリ番長・イマジンモンスターの力、篤と……いや、いうなれば―――なめてんじゃねぇぞ!?」
 ―――!?

 その謎のプレッシャーを感じながら、姫川・芙美子(鬼子・f28908)は同じく古めかしい学生服のスカートを風に靡かせながら対峙する。
 両者の姿は近しいものがあれど、決定的に違う。オウガ・オリジンが素行不良少年、無頼の輩の長であるとするならば、芙美子の風体は風紀委員長。
「ふん―――中々イカしたマブなスケである! だが、猟兵である以上、容赦はせぬ!」
 ―――!?
 ごっ! と凄まじいプレッシャー受け、芙美子は考える。
 自身が考え得る最強の存在。
 それは自身の持つユーベルコード、骸合体「ヤマタノオロチ」によって合体する骸魂ヤマタノオロチの姿。
 山のような巨体の八頭八尾の大蛇。
 それは大自然の脅威―――つまるところ、大洪水を具現化した山神にして水神の偉容である。その想像力は、芙美子のユーベルコードと相まって、さらに強大なる怪異となってオウガ・オリジン……否、ツッパリ番長・イマジンモンスターへと襲いかかる。

「この巨体! 怪力……そして、この強靭な顎であれば、如何なオウガ・オリジンと言えども―――!」
 その八つの首がツッパリ番長の体を強かに打ち据える。鋼を打ったような硬い感触。これが想像力の力であり、現実改変ユーベルコードによる強化を受けたオウガ・オリジンの力なのだろう。
 締め付けたとしても、その巨体を物ともせずに振りほどき、一度振り払われてしまえば、その超スピードを捉えることはできない。
「応―――! そちらが、そのつもりならば、わたしは―――! 怒・根性である!」
 凄まじい勢いで八つの頭の内の一つを強かに打ち据えるリーゼントごとの頭突きが見舞われる。その衝撃波凄まじく、周囲の地形が変形するほどの威力。

 くらくらと目が廻るような思いをしながら、芙美子はぐらりとたたらを踏む。
「くっ―――怪物が如何に強くても、それに打ち克つ最強の存在は人間なのですね……ならば!」
 頭突きによって砕かれた頭蓋を引き裂いたオウガ・オリジンへと中より飛び出すのは、セーラー服姿の芙美子。
 そう、いつだって怪物を倒すのは人間の役割である。どれだけ自分が思い描く最強の姿であっても、怪物である以上倒されるが定め。
 間違っていたのだ。

 だから、芙美子は考えを正す。
 常にイメージするのは、怪物ではない、正義の味方である自分!
「やはりこれが私の最強の戦闘服です―――!」
 その手にするは、ヤマタノオロチの遺骸より抜き放たれた最強を司るイメージの剣。その剣は天叢雲剣。
 人の力に神の力が加わり、さらに力をましていく。怪物を断ち、神の通る力を発言する最強たる力。
「顕現した、この力で決めます―――!」
 ツッパリ番長・イマジンモンスターへと正面から剣を振るう。オウガ・オリジンもまた手にした釘バットを構え打ち合う。
 だが、その大蛇すらも切り裂く剣は、芙美子の想像力の塊だ。こうであったらいいという絶対に負けない正義の味方の力。

 その想像力の剣が今、オウガ・オリジン最強のイメージを切り伏せる。
「貴方の根性と私の正義、どちらが強いか真っ向勝負です!」
 釘バットが軋み、それごと両断する剣。
 袈裟懸けに刻まれた傷跡のままにオウガ・オリジンが失墜していく。荒い息を吐き出しながら、芙美子は、それを追うこともできないほどに消耗していた。
「最強の私は、私自身―――……正義の味方たらんとする私こそが、私にとっての最強の存在なのですね……!」
 それは紛れもなく、彼女の思い描く理想であり、最強の自分。
 信じることの出来ない者に勝利が訪れるはずもない。それを、芙美子は最強の自分で持って証明したのだった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「オリジンちゃんがぼっち拗らせて遂におかしくなっちゃった…。」
え、いやマジでどうしてそうなった。

UCで魔人モードに変化。
あっちが番長なら、こっちは魔王で対抗しよう(?)
魔王の前には全てがひれ伏すんだよ。例え番長であってもね。

今の僕なら視界内全てを凍り付かす事もできるし、敵さんの身体から出てくるトランプを全て凍らせて、動きを鈍くして躱しやすくしてみようか。
トランプを封じたら、後は敵さんも凍らせつつ全力で殴る。
周囲全てを凍らせて、僕の領域に変えていってやろうー。

「後でうがーって頭抱えてごろごろしそうだけど、今は全力で殴る。」
うん、強めのお酒を飲んでおいて正解だったね。



 最強たる存在ではなく、最強の自分が振るう剣によって、ツッパリ番長・イマジンモンスターたるオウガ・オリジンは袈裟懸けに切り伏せられた。
 その傷は深く、傷口から次々にトランプが噴出し、嵐のようにツッパリ番長・イマジンモンスターの体を包み込む。
「わたしの、最強が敗れるだと―――? いや、まだだ、私の怒・根性はまだ! 燃え尽きてはいない!」
 ―――!?
 まさに今までのオウガ・オリジンとはひと味もふた味も違う。これまでのオウガ・オリジンであれば癇癪を起こして力をやたらめたらに振りまいただけだろう。
 だが、彼女の思い描く最強の存在。男気溢れる不撓不屈たる精神を一本の柱として持つイマジンモンスターにとって、この程度のことで倒れ伏すことなど、肉体が許しても魂が許さない。

 吹き上がるトランプの嵐の中から現れるオウガ・オリジン―――否、ツッパリ番長・イマジンモンスターは、その乱れた金髪のリーゼントをアイロンコームでぴしりと整えて、須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)の前に対峙する。
 逆に莉亜にとって、その姿は驚愕そのものであった。
「オリジンちゃんがぼっちこじらせて遂におかしくなっちゃった……」
 え、いやマジでどうしてそうなった。
 本当にどうして。そんなふうに莉亜が狼狽するほどの変わり様である。悪辣たる自己中心的性格であったはずのオウガ・オリジンとは思えぬほどの義侠心と男気に溢れる姿は、似ても似つかないし、どこで結びついたのかもわからない。

「ごちゃごちゃと細かいことはいいから、わたしとタイマンを張るのか張らんのかはっきりしろ!」
 ―――!?
 ごっ! と凄まじき重圧を放つ姿は冗談でもなんでもないらしい。腕を組み仁王立ちをしたままのオウガ・オリジンの前に莉亜も、それに応えるべく、最強の自分をイメージする。
「あっちが番長なら、こっちは魔王で対抗しよう。魔王の前には全てがひれ伏すんだよ。例え番長であってもね」
 ユーベルコード、地獄顕現【悪魔大王】(ジゴクケンゲン・ルチーフェロ)によって顕現せしは万物凍結と再生の能力を併せ持つ魔人たる姿。三対六枚の悪魔の翼は、正しく魔王そのものである。

「ならば、やってみせるがいい。互いの意地の張り合い! タイマン夜露死苦ッ!!」
 放たれる傷口からあふれかえるトランプの嵐。
 それは牽制というにはあまりにも凄まじき威力であった。当たってしまえば、それはかすり傷でも重傷を負わされるほどに凄まじい力。
 だが、ユーベルコードと創造の力によって強化された魔王・莉亜にとって、それは対処可能な力に過ぎなかった。
 万物凍結の力によって、視界の全てのものを凍りつかせることができる。
「生っちょろい! その程度の凍結能力でわたしをとめられると思うな!」
 放たれるはメリケンサックのはめ込まれた鉄拳。
 凄まじい勢いのラッシュを凍結能力で鈍らせなければ、躱すことも出来なかったことだろう。

 周囲全てを凍らせ、己の領域へと変えていく。凄まじき飛翔能力を得た莉亜とオウガ・オリジンの攻防は一進一退であった。
 血風吹きすさぶ拳と拳の乱打戦は、まさにタイマン上等。喧嘩上等!
 意地と意地の張り合いである。
 身体が吹き飛び、即座に再生し、それでもなお殴り続ける。
「魔王たる僕と張り合うなんて、大したものだよ! だけど!」
 互いの額がぶつかり合う。
 鈍い音が響き、互いの額が割れる。血が吹き出し、それでもなお、莉亜は殴り続ける。殴打の応酬は凄まじき音となって周囲に響き渡り、その戦いの凄まじさを物語っていた。

「今は全力で殴る!」
 青春の1ページ。
 まるで不良漫画の決闘シーンのようであり、夕日が沈む河原で気の済むまでケンカを続ける番長同士の戦いのようなシーンは果たして……。

 ぐらりと身体が傾き、ツッパリ番長・イマジンモンスターの身体が失墜していく。
 それを追うことも出来ないほどに疲弊した莉亜の視線が追う。
 ケンカ……タイマンは彼の勝ちだ。だが、彼の杞憂は後から襲ってくる。なんとも小っ恥ずかしいほどのコテコテのタイマン勝負。
 此れは後で絶対思い出して、恥ずかしくなって頭抱えてゴロゴロとベッドの上を転げ回るやつである。―――!?

「……うん、強めのお酒を飲んでおいて正解だったね」
 お酒がなければ、羞恥でおそらく勝てなかった。
 それほどまでの激戦を制したのだ、後で莉亜は存分にゴロゴロするといい―――!?

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴木・志乃
UC発動
ツッパリに対抗する最強の存在……
というかそういう現実的なあれこれに最も強い者がいます。

変身。O K A N!!
アンタこんなところで何してるの!! 人様に迷惑かけて!!
今すぐ帰らないとアンタの晩飯抜きにするからね!!
洗濯物だって一切洗ってやらない!
小遣いだってやらないんだから!
アリスを傷つけるような酷い子に産んだ覚えはありません!!

どうしても言って分からないって言うならお母さんだって考えがあるんだからね!!
これからのご飯はアンタが毎日作るのよ!!
毎日栄養と好き嫌いと冷蔵庫の中身考えるの大変なんだから!!

UC発動。ツッパリに自炊が出来るとは思えません。
頭が良いとも思えません。
倒れろ。



 ツッパリ。
 それは無頼の輩である。だが、その一本筋の通った精神性があれば、それは任侠なる者として、誰かのために戦うものであり、不撓不屈なる精神と肉体を持つ者でもある。
 そこに理屈は介在せず、それが故に最強。
 倒れぬものを倒せる者などいないように、オウガ・オリジンが変じたイマジンモンスターは、まさしくオウガ・オリジンから最も遠い精神性を持ち合わせた最強の怪物であるのだ。
「これしきの殴り合いでわたしが倒れるものか―――わたしを倒したければ、この十倍はもってこいというのだ!」
 金髪のリーゼントヘアーが揺れる。かおのない顔であるが、オウガ・オリジンは今、ツッパリ番長・イマジンモンスターである―――!?
 今のオウガ・オリジンに常識は通用しない。
 あるのは男気だけである。
「喧嘩上等―――!」

 ごぁっ! 重圧は突風となって想像力の国に吹き荒れる。
 そんなオウガ・オリジンの目の前に対峙するのは、鈴木・志乃(ブラック・f12101)であった。
「ツッパリに対抗する最強の存在……というか、そういう現実的なあれこれに最も強いものがいます」
 彼女の思い描く対ツッパリ最終兵器―――!? それは、彼女の想像力を受けて想像力の国が生み出すのは―――。

「変身。OKAN!!」
 ―――なんて?
 まさに聞く者がいれば、そうツッコまざるを得ない。そんな場違いな言葉。OKAN。即ち、オカン。いや、まだわからない。
 どろん、と志乃が変身したのは、くるくるパーマヘアーにつっかけ、穴柄エプロンに、なんともこう……丸太のようなフォルムの女性の姿だった。
 ―――!?
「アンタこんなところで何してるの!! 人様に迷惑かけて!!」
 ごぁっ!!
 凄まじいプレッシャー。それはオウガ・オリジンが変身したツッパリ番長・イマジンモンスターが放つプレッシャーに負けず劣らず……否。それを超える圧倒的プレッシャーを放つ存在。
 そう、これこそが世界が求めたオカン。生命あるものは全て母より生まれ出る。
 ならば、オウガ・オリジンとて例外ではあるまい。
「うっせー! ババア! 俺らの狼怒(ろーど)を邪魔すんじゃねー!」

 カチンときた。
 オカン、とても悲しい以上にカチンときた。確かにオカンである。それは相応の年齢である。だが、ババアとは!
「アンタ! 親に向かってババアとはなんなの! 今すぐ帰らないとアンタの晩ごはん抜きにするからね!! 洗濯物だって一切洗ってやらない! 小遣いだってやらないんだから! アリスを傷つけるような酷い子に産んだ覚えはありません!!」
 その一息で叫び倒す声には親の情が籠められていた。
 あんなに大切に育てたのに、どうしてこんな酷いことを言う子に育ってしまったのだろう。悲しい。お母ちゃん悲しい!
 そんな、様々な悲喜こもごもが籠もった叫びはオウガ・オリジンに届くのか―――!?

「うるせー! 老後どうするつもりだ! 誰に世話になると思ってんだああん!?」
 老後。
 それは確かに由々しき問題である。だが、ここでオカンも引けない。ここで退いては、この子のためにならない。
 心を鬼にするしかない。
「どうしてもわからないって言うならお母さんだって考えがあるんだからね!! これからのご飯はアンタが毎日作るのよ!! 毎日栄養と好き嫌いと冷蔵庫の中身考えるの大変なんだから!!」
 戦場全体に広がる志乃のユーベルコード、あの日味わった惨状を私は忘れない(ナンノヘンテツモナイキッチン)。
 それは敵に失敗料理を無限に食わす厨房で出来た迷路に引きずり込むユーベルコード。この迷路に引きずり込まれたオウガ・オリジンはオカンの気迫に圧されて、厨房で調理をさせられる。

 なんだ、なんの時間だこれ―――!?
 そう思うのも無理なからぬことでる。あまりにもシュールな光景であった。ツッパリ番長・イマジンモンスターとオカンに変貌した志乃が彼女の監督の元、失敗し続ける料理を無理矢理食べさられているのだから。
 作っては、食べ。作っては、食べ。
 味の好みもへったくれもない料理を食べ続けなければならない苦行。
「うぷ……もう、むり……げふっ」
 お腹パンパンになって動けないオウガ・オリジン。もう入りませんと涙目になるまで続けられるそのユーベルコードは、今尚健在そのもの。

 そう、まだ泥棲狼怒(ですろーど)は始まったばかりだった―――!?

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリエラ・レイクベア
最強の存在…ッ!
私にとっての最強の存在とは、やっぱり騎士ですよね!
ですが大変困った事がありまして…騎士って、どんな感じなんでしょう?

残念!マリエラの知識では、最強の騎士を想像できなかった!
で、では家のお伽話に聞いたあれです!『湖幻の怪』
熊変身。グォオオオ!
熊の怪力パンチで番長を打ち据える。が…ダメ!

くぅ…、やっぱり私自身が最強と思えなければ…
どうすればあの騎士様みたいな凄い騎士に…

…!そうですよ!騎士様!あの騎士様ならば!
最強の騎士様なら、どんな強敵が相手でも!

おぼろげな記憶の中の、白いマントを纏った騎士様の姿に変身
騎士剣を構え、番長の拳と剣を交え打ち合う!
最後には必ず勝つんだぁあああ!!!!



 最強の存在、それは誰しもが心の中に一度はイメージする理想の姿である。
 そこに一切の理屈や理論はなく、現実という枷を振りほどいた空想の翼が羽撃かせるのは、あらゆる不条理を、理不尽を吹き飛ばすものだ。
「最強の存在……ッ!」
 マリエラ・レイクベア(駆けだしマリー・f26774)にとって、彼女の中にある想像する最強の存在とは、やはり騎士なのである。
 だが、困ったことに彼女の知識の中では最強の騎士は想像できなかった。
 なにせ、彼女自身が騎士という存在に対して未だ確固たるイメージを持ち得なかったからだ。

 ここ、『想像力の国』において、イメージの強さは、そのまま実体化した最強の存在の強さに比例する。
 故にオウガ・オリジンが思い描く最強の存在―――ツッパリ番長・イマジンモンスターは、猟兵達の攻撃を数多受けても尚、不撓不屈たる精神でもって立ち上がってくる。
 どれだけ傷つけられようとも、どれだけOKANに今日の晩ごはん抜き! と脅されようとも、それでもなお喧嘩上等と言わんばかりに立ち上がってくるのだ。
「オカンが怖くてツッパリなんてやっていられるものか―――! わたしはツッパリ番長である! これしきの艱難辛苦など、朝飯前よ! 私の狼怒(ろーど)は、まだまだこれからだ!」
 凄まじい重圧。
 その重圧の前にはマリエラの思い描くふわっとした騎士像はかき消されてしまう。

「で、では家のお伽話に聞いたあれです! 湖幻の怪(レイク・ウェンディゴ)!」
 彼女のユーベルコードと混ざりあった想像力の国の力が、マリエラを大熊の姿へと変身させる。
 彼女の故郷、農村近くの湖にいたという大きな大きな熊。その村の名はレイクベアという……つまるところ、彼女の名の由来でもある。
 その巨大なる熊の姿は、彼女が幼き日に聞いたお伽話のそれ以上に巨大なる熊となって、オウガ・オリジンに立ち向かう。
 放たれる熊の怪力パンチ。だが、その一撃を額で受け止めるツッパリ番長。
「―――ぬるい」
 ―――!?
 渾身の一撃。さらには想像力の国の力を受けて何倍にも膨れ上がった膂力で放たれた一撃であるというのに、その一撃をツッパリ番長はこともなげに、しかも額で受け止めたのだ。

「拳というのは、男気を籠めて放つものである―――!」
 メリケンサックのはめられた拳が、巨大な熊であるマリエラを強かに打ち据える。ボディに凄まじい一撃が放たれ、あまりの衝撃に悶絶する。
「がっ、はっ―――くぅ……やっぱり私自身が最強だと思えなければ……」
 変身が解け、ユーベルコードの力は消え失せる。
 それは事実上、マリエラの敗北であった。オウガ・オリジンの想像力……ツッパリ番長・イマジンモンスターの力の前に屈するほか無いのか。
「どうすればあの騎士様みたいなすごい騎士に……」
 マリエラの脳裏に蘇るのは、白いマントを翻した騎士の姿。
 決して屈しない。どんな強敵にも果敢に立ち向かい、勝利を手にする騎士。その姿に憧れたからこそ、彼女は棋士を目指した。
 その原点。オリジンを、彼女の胸に抱いた最初の憧れこそが―――!

「……! そうですよ! 騎士様! あの騎士様ならば!」
 立ち上がる。
 もしも、自分が最強の騎士であるのならば。あの白いマントの騎士であるのならば、ここで屈するわけがない。敗北を是としない。何度でも立ち上がる。それができるできないではない。
 やらなければならないのだ。
 己のこの身を騎士とするのならば、この程度の敗北など乗り越えなければならない。

「最強の騎士様なら、どんな強敵が相手でも!」
 蘇る記憶。未だおぼろげなる記憶であったとしても、そのイメージは鮮烈そのものであり、強烈なものであった。
 子供の頃に抱いた原体験。それが『想像力の国』において、どれだけの力を齎すのか、マリエラは知る。
 自分自身が、あの日憧れた騎士の姿へと変貌を遂げる。白きマント、騎士剣。それを携え、駆け抜ける。
「今更二番煎じの想像をしたところで―――!」
 迫るツッパリ番長・イマジンモンスターのメリケンサックの拳。
 その拳と騎士剣がぶつかり合って火花を散らせる。凄まじき拳と剣の応酬。押し負けない。大熊の時は一発で押し負けてしまったというのに、騎士の姿は一歩も退かない。

 それはマリエラが抱く最も大切なイメージ。
 目指す夢の先にあるものだからこそ、決して覆らない。その想像力、想いの強さに後押しされるようにして振るった剣が―――。
「―――最後には必ず勝つんだぁあああ!!!!」
 袈裟懸けにオウガ・オリジンの胴を切り裂く。
 その一撃はまさに最強の騎士そのもの。
 マリエラは、再び嘗ての憧れた騎士と出会う。それは、つかの間の邂逅ではあったけれど、再び彼女の騎士魂に火を付けるのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
やっべー…虐め過ぎたか…
頭オリジンちゃんかよ…
オリジンちゃんだわ


最強の存在かー…
え?私じゃね?
正確に言うと頂に至ったパーフェクトな私じゃね??
まいったな…絵面が冴えない…
とりあえず何か最強なオーラを背負った真の姿をイメージしとこ…

副腕も完全開放
模造神器四刀流こそ私の考える最強…!
ついでに能力も4倍増しくらいにしといてよね

【Code:C.S】を起動し時間加速の封印を解除
此処から先は私の時間
完全開放の神器は時を支配するらしいよさいきょうだからね!
スピードじゃなくて流れる時間の速度が違うから
まるで止まって見えるよ…よっしゃリーゼント何かこう前衛芸術的な髪型にカットしてやろ

似合ってるよツッパリ番長…



 騎士の一撃がオウガ・オリジン―――ツッパリ番長・イマジンモンスターの胴を切り裂く。再び刻まれた一撃は、先行した猟兵達の一撃と合わせて十字傷のごとく刻まれる。
 だが、倒れ伏したとしてもツッパリ番長・イマジンモンスターが完全に消えることはない。その不撓不屈なる精神は、イマジンモンスターと言えど本物である。
「倒れるものか―――わたしは、わたしこそが、ツッパリ番長であるから!」
 凄まじいプレッシャーとともに起き上がるツッパリ番長・イマジンモンスターの力は凄まじい。
 オウガ・オリジンが思い描く最強の存在であるだけのことはある。
「こんなところで私の死・狼怒(です・ろーど)は終わらない。全てを泥棲斗露威(ですとろい)し、猟兵たちを威猛汰琉(イモータル)するまでは!」
 ―――!?
 もう何がなんだかわからない位、謎の語感を響かせるツッパリ番長・イマジンモンスター。これがヤンキー言語……!

「やっべー……虐めすぎたか……頭オリジンちゃんかよ………オリジンちゃんだわ」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、再び立ち上がるオウガ・オリジンの姿に戦慄……と言って良いのか微妙な感情を覚える。
 微妙に噛み合っているような、噛み合っていないような、奥歯の奥に何かキャラメル的なものが詰まっているような、そんな微妙な顔になってしまうも致し方ないことであったのかもしれない。
 なにせ、彼女の目の前にいるオウガ・オリジンは、今まで戦ってきたオウガ・オリジンとはあまりにも縁遠い姿をしているからだ。
 金髪のリーゼントヘアーはフランスパンかよって言いたくなるほどに見事にごゆんごゆん揺れているし、長ランは裾がボロボロになって異様に決まっている。手にした釘バットやメリケンサックは、エプロンドレスを来ていた頃の彼女からは到底及びもつかない。

 だが、それでも『想像力の国』において、彼女は最強の存在である。生半可なイメージでは逆に叩きのめされてしまうのはわかりきっていた。
 故に玲が思い描く最強の存在とは―――。
「最強の存在かー……え? 私じゃね?」
 ちん! と思いついたのは、自分自身という結論であった。
 正確に言うのであれば、頂に至ったパーフェクトな自分。だが、玲は考え込んでしまう。絵面が……。

 ―――?

「絵面が冴えない……! 代わり映えしない―――!」

 ―――!?
 そう、自分自身が最強の存在であるとイメージするのであれば、普段と変わらぬ自分である。それではあんまりにも冴えないのだ。せっかく『想像力の国』に来たのだから、何かこう……他の猟兵たちにも負けぬくらいに派手派手なのが良い。
 けれど、玲が思いついたのは何か最強なオーラを背負った真の姿のイメージのみ。

 斯くして顕現せしは頂に至った完全なる自分。模造神器の力を十全に、否、それ以上の出力で持って稼働することのできる凄まじき力。
 それこそが、玲の思い描く最強の存在にして自分。模造神器の副腕が開放され、その手にした模造神器の四刀流こそが、彼女の真なる姿。
「いつもの能力の四倍……! 刀剣が四つだから、力も四倍!」
「ぬかせ! 高々腕が二本増えた程度でイキられても―――! ナメんじゃあねぇー!」
 ツッパリ番長・イマジンモンスターが圧倒的なスピードで持って間合いを詰める。

 だが、その超スピードであっても玲のユーベルコードの前には無意味に等しく時間が停止しているかのごとく。
 Code:C.S(コード・クロノシール)。それは模造神器に施された封印を解除し、時間加速の力を十全に振るう。
「封印解除、時間加速開始―――此処から先は私の時間」
 クールに決まった。
 流れる時間はすでに玲の支配下。完全開放たる力を有する模造神器は、模造であったとしても神の器に相応しき力。
 どれだけツッパリ番長・イマジンモンスターが超スピードで動こうが、流れる時間の速度すらコントロールする今の玲にとっては意味がない。

「まるで止まって見えるよ……―――」
 四刀による最高速の斬撃によって、オウガ・オリジンを切り刻む。
 その速度はあまりにも速く、常人に知覚できるものではなかった。だが、玲が行ったのは斬撃であっても、その肉体を傷つける斬撃ではなく―――。

 ―――!?

 そう、見事なリーゼントヘアーを前衛芸術もかくやという程の盛りに盛った、デコラティブな髪型にカットしたのだ。
 まるで巨大なる……とぐろを巻いたアレにしか見えなくする。
 さらにいろいろな飾りが付け加えられ、玲は一仕事を終えたように息をつく。

「ふぅ……似合ってるよツッパリ番長……」
 耳元にそう囁いて、即座に離脱する玲。そこあったのは、どこかのホステス嬢もびっくりなデコラティブで、前衛的な、芸術性爆発の髪型になったツッパリ番長・イマジンモンスターが残るのみであった。

 どこからか遠く聞こえてくる「クソァ―――!」という叫び声を聞いて、玲は満足げに微笑むのだった―――。

 ―――!?

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋山・軍犬
最強を超える存在、それは
胃袋を掴む者…つまり料理人

という訳で
本日は美味しい拉麺を作る屋台の親父をやりまっす

オリジンちゃんは
毒とか入った料理じゃないとダメージを受ける
らしいので、そこを想像の国の力と【指定UC】で
普通の美味しい料理を普通に食べられる
感じにしまっす、フードファイターとして
食べる人が傷つく料理など作ってはならぬのだ!

あとは拉麺の美味しさ素晴らしさで
料理漫画的リアクションをとらせる程に
オリジンの心を打てるかどうか

つまり不良バトル漫画に見せかけた
料理バトル漫画展開ですね
もしかしたら不良を卒業してラーメン屋を
志す展開があるかもですね

え? 軍犬が負けたら?
そら軍犬の修業が足りないだけっすよ。



「クソァ―――!」
 それはオウガ・オリジンならぬツッパリ番長・イマジンモンスターの荒ぶる声であった。先行した猟兵が生み出した最強の存在のイメージによって、見事だったフランスパンの如きリーゼントヘアーを乱され、デコラティブな髪型にされてしまった髪を必死に解いてアイロンコームで整えているツッパリ番長・イマジンモンスターの姿は、攻撃を受ける以上の精神的ダメージを負わされながら、体面を整えるのであった。

「……最強を超える存在、それは胃袋を掴む者……つまり料理人」
 そんな必死に髪型を整えるツッパリ番長・イマジンモンスターを尻目に、独自の解釈から、最強の存在へとイメージを膨らませたのは、秋山・軍犬(悪徳フードファイター・f06631)であった。
 彼にとって食事とは欠かせぬものであり、美味しい料理を掴んで胃袋をぐっと掴むことこそが、戦い傷つけるよりも効果的であると考えたのであろう。
 想像力の国において、イメージとは即ち力である。
 強い思いが宿れば宿るほどに、己のイメージする最強の存在へと昇華していく。

「という訳で。本日は美味しい拉麺を作る屋台の親父をやりまっす!」
 ねじり鉢巻に腹巻き。頑固一徹な眼光に、腕組した姿。それはまさに昭和の頑固親父。その頑固さ故にこだわりもまた凄まじい。
 だが、オウガ・オリジンは毒の入った料理でないと食事をしない。そうしなければ、勝手にダメージをうけてしまうのだ。
 そんなことは美味しい料理(オイシイリョウリ)がさせるわけがない。軍犬にとって、それは敗北を意味する。戦う前から負けるわけにはいかぬと、ユーベルコードの力と想像力の力を合わせて、オウガ・オリジンに美味しい料理を普通に食べられるようにしようというのだ。

「何を巫山戯たことを―――」
 ぬ、とオウガ・オリジンがその漂う匂いに顔のない顔の眉根が寄るような気配を醸し出す。
 屋台の拉麺屋。
 それこそが、軍犬の思い描く最強の存在。夜食の拉麺、美味しいもんね……。
 ―――!?

「フードファイターとして、食べる人が傷つく料理など作ってはならぬのだ!」
 それが彼のこだわりであり、譲れぬものであり、変身した最強の存在、ラーメン屋の頑固親父の流儀である矜持なのだ!
「ふん! わたしに料理を味合わせるだと? やってみせるがいい、猟兵! わたしの舌は完璧だ―――!」
 どかりと屋台の椅子に座るツッパリ番長・イマジンモンスターと化したオウガ・オリジン。いつもであれば、きっと問答無用で攻撃を加えて屋台をボコボコにしたことだろう。
 だが、今のオウガ・オリジンはツッパリ番長である。ツッパリ番長は、食べ物を粗末にしないし、雨の日に捨てられている子犬に傘を差してあげたりするくらい精神的に凄まじいのだ。そんな酷いことはしない!

「へいおまち―――!」
 軍犬にとって、料理とは生きる糧でありながら、勝負の場でもある。
 この拉麺の一杯を持って、料理漫画敵リアクションを取らせるほどにオウガ・オリジンの心を打てるかどうか、それこそが、軍犬の戦いであるのだ!
 出された拉麺はシンプルなものであった。
 醤油ベースにカツオの香りおる魚介系。麺は縮れ麺。チャーシュー、メンマ、海苔……そして味玉。

 いざ、実食―――!

 ずぞぞぞっ! といつもなら聞こえるはずのない麺をすする音が想像力の国に響き渡る。
 レンゲでスープを掬い口に運ぶ。
 ずず! ずっ! ず! はふはふ! ずるるっ!
 それはある意味異様な光景であった。戦いの場であるというのに、食事を提供し、食事をしている。
 それは本当にオブリビオンと猟兵が同じ場所に存在しているとは思えぬほどの光景であった。

 だが、これでいいのだ。
 何も切った張っただけが猟兵の戦いではない。数多の世界があるように、数多の猟兵がいる。そんな中の一人が料理でもって、料理によってオウガ・オリジンの心を揺さぶろうとしていたのだから―――!

 パァン!!

 それは唐突に響いた柏手であった。
 みれば、オウガ・オリジンは完食完飲していた。汁の一滴まで残さず、綺麗に。どんぶりの底に記された『ありがとうございました』の文字が見えるほどにすっかりと食べきっていた。
 音を立てて屋台の上に代金が置かれる。

「ごっそうさん、美味かったよ―――」

 それはオウガ・オリジンから出た言葉とは思えぬほどに清廉なる食への感謝。
 あ、いや、今はツッパリ番長・イマジンモンスターだからであろうか、その感謝の言葉は確かに、軍犬の勝利として、響き渡るのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
ごめん、意味がわからない

なら私が出ますの
想像する最強の存在は封印される前の私ですの

単に争うのも面白くありませんの
テレビで見たチキンレースというのをやってみたいですの

神気を収めてバイクと特攻服を創りますの
度胸試しを挑まれてまさか逃げたりしないですわよね

場所の作成は任せますの
崖でも壁でも現実改変で用意して欲しいですの

ブレーキで停まれる限界を超えてアクセルふかしますの
怖いのでしたら停まっても大丈夫ですわ
お先に失礼

自分はラインぴったりで体とバイクを固定して停まりますの

オリジン様はどうなるのかしら
嫌いではありませんけど戦争には向かない性格だと思いますの

勝てたら走って戻りますの

…面倒だし考えるのをやめよう



 屋台の拉麺やから出てくるツッパリ番長・イマジンモンスター……オウガ・オリジンの顔のない顔は、晴れやかなものであった。
 あの禍々しいほどに毒々しい美食家であるオウガ・オリジンが、ただの美味しい拉麺を食べて、爽やかに代金を払って礼を述べて出てくる光景に、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は、思わずつぶやいた。

「ごめん、意味わからない」
 それは困惑以上の意味を持って、晶に衝撃をもたらしていた。
 ツッパリ番長・イマジンモンスター。それだけでも理解不能である。フランスパンの如き見事な金髪のリーゼントヘアーに、長ラン、ボンタン。さらにはメリケンサックに釘バット。
 そんな昭和の不良少年、無頼の輩の長の如き番長スタイルで晶に対峙するオウガ・オリジンに困惑以上に混乱しきってまともに戦うどころではなかった。
「喧嘩上等ぅ―――!」
 美味しい拉麺を食べて、気合い充分なツッパリ番長・イマジンモンスターの気迫に晶はなんとも言えない表情を浮かべたまま、その身に宿す邪神とバトンタッチする。
 ユーベルコード、邪神覚醒(ウェイク・アップ)。
 それは自身と融合した邪神が本来持つ権能を全て使用可能とした邪神そのもの。

「なら私が出ますの。そうですね、想像する最強の存在……それは」
 禍々しきオーラが溢れ出す。
 この身と融合する前に封印された力よりもはるかなる原初、封印される前の己の力、その全盛を持って晶と融合した邪神は最強の存在とイメージする。
 それはまさに邪神と呼ぶに相応しき力。
 一点の曇りもない、自身の権能を講師するためだけに設えた身体であった。

「ほう……これは戦い甲斐のある者が現れたな―――だが、それで勝てると思うなよ。わたしの怒・根性はこんなものではない!」
 ごっ! と重圧が風圧となって解き放たれる。びりびりと肌をひりつかせる完食は、まさに最強の存在。
 ここに最強と最強がぶつかり合う、一触即発の限界バトルが繰り広げられようとしていた―――。

 だが、邪神から提案された勝負は意外なものだた。
「単に争うのも面白くありませんの。テレビで見たチキンレースというのは如何でしょう……」
 そういった邪神が神気を収め、バイクと特攻服を作り出す。
 不敵に笑う邪神にツッパリ番長もうなずきを返す。ここに来て言葉は最早不要である。ツッパリと特攻服。その二つが揃った時、何が行われるのかは両者ともに理解していた。

 想像力の国に生み出されるドラッグレース会場。
 一直線に作り上げられた路面は所々ひび割れているが、その先は崖である。どこまで続くか分からぬ虚空が穴を覗かせる落ちればタダでは済まない命懸けのレースが今、始まろうとしていた。
 エギゾーストパイプから排気ガスが吹き出し二台のバイクが唸りを上げる。
「怒羅愚麗棲(どらっぐれーす)……開始だ!」
 邪神とツッパリ番長・イマジンモンスターの二台のバイクがドラッグレースのアスファルトを疾走する。
 互いにアクセルは全開。譲る気はなく、止まる気もさらさらなく、己の度胸を試すためだけに生命をベットするその気概は正しく狂気であったことだろう。
「怖いのでしたら止まっても大丈夫ですわ―――お先に失礼」

 邪神のバイクがさらなる加速を見せ、オウガ・オリジンを挑発する。その挑発に釣られるようにして、オウガ・オリジンのバイクまた一気に加速し猛追する。
 だが、これはチキンレース―――いや、血禁麗棲(ちきんれーす)!
 スピードで競うのではなく、如何にギリギリのラインで止まれるかを競う度胸試しであれば、それは駆け引きであったのだ。

 凄まじいブレーキ音とともに邪神のバイクは白線ギリギリのところで止まる。
 それは一瞬の出来事であった。腕を組み仁王立ちするようにツッパリ番長・イマジンモンスターの乗ったバイクが崖へと飛び込んでいく。
 ブレーキする音すら無かった。
「あ―――」
 それはなんともあっけない結末であり、崖下へと落ちていくオウガ・オリジンを見送る邪神。
「嫌いではありませんけど、戦争には向かない性格ですの。こんな形でなければ―――」
 あるいは。
 そんなことを考えてしまうのは邪神故であろうか。崖下に消えていった好敵手を見送り、邪神はバイクをターンさせて走りゆく。
 風が、嫌に湿っぽい……そんな気がした。

「……」
 そんな光景を見ていた晶は、なんとも言えない顔のまま、こう呟くのだ。
「……面倒だし考えるのやめよう」

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
あの独特な風体…もはや化石の如き存在とどう結びついたのか疑問は尽きませんが…
ですが、纏う覇気に精神性は高潔な武人その物!

ならば私は理想の御伽の騎士として相対するまで!

アリスラビリンスに住まう全ての善良な人々に代わり
オリジン、貴方へ決闘を申し込みます!

その前に正々堂々とした勝負を私は望みます
(抜き放った剣が魔法っぽく光ってオリジンの傷を癒し)
この一騎打ちの間だけの効果ではありますが…

いざ、勝負!

剣で釘バットと切り結び、武器落とし
剣で騎士は番長に負けはしません!

例え変身しようと…『怪物に騎士は負けはしない』のです!
一歩も引き下がらず、身一つで立ち回り
紫電一閃、一刀両断

嗚呼、夢のような時間でした…



 崖下に響く凄まじい爆発音。
 それは血禁麗棲(ちきんれーす)の敗者の末路が上げる断末魔のようであった。先行した猟兵との戦いに敗れたツッパリ番長・イマジンモンスターたるオウガ・オリジン。
 だが、その結末がこんなもので終わるはずがない。
 どれだけの傷を覆うとも、決して倒れ伏すことはない。それこそが番長たる者の資質、不撓不屈たる精神こそが、その身に宿りし最強の存在としての力の根源である。
 崖下から這い上がってきたツッパリ番長・イマジンモンスターを出迎えたのは、機械騎士―――トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)であった。

「あの独自な風体……もはや化石の如き存在とどう結びついたか疑問は尽きませんが……ですが、貴方の纏う覇気に精神性は高潔な武人そのもの!」
 そう、トリテレイアは感動していた。
 いや、本来であれば、オウガ・オリジンの性格は悪辣なる自己中心的なものであり、トリテレイアにとっては唾棄すべき存在であったのかもしれない。
 だが、今の最強の存在として『想像力の国』にて力をふるい、数多の猟兵達の攻撃にも耐え、倒されたとしても底の見えぬ崖下に落ちたとしても、這い上がってくる気概は、トリテレイアにとって、高潔なる武人に思えたのだろう。

 事実、ツッパリ番長・イマジンモンスターとなったオウガ・オリジンの精神性は、その想像力に引っ張られ、昭和の無頼の輩の長としてふさわしい精神性で持ってトリテレイアと対峙していた。
「応ともさ―――ならばどうする、機械騎士よ」
 心做しか言葉遣いすらも悪辣さが抜け落ちているような気さえしてしまう!
 トリテレイアは、それに震えるように宣言する。
「ならば私は理想の御伽の騎士として相対するまで!」

 想像力の国において、イメージとは即ち力である。
 そのものがイメージする像が鮮烈であり、強烈である程に力を増す。それこそが、現実改変ユーベルコードの全てを振り絞って、己を最強の存在、ツッパリ番長・イマジンモンスターへと姿を変えたオウガ・オリジンのイメージの力の凄まじさを物語っている。
「アリスラビリンスに住まう全ての善良な人々に代わり、オリジン……いやさ、ツッパリ番長・イマジンモンスター! 貴方に決闘を申し込みます!」
 それはイメージで作られた白い手袋だった。当然機械騎士たるトリテレイアが持っていたものではない。
 それを投げつけ、一対一の決闘に臨もうというのだ。

 ツッパリ番長・イマジンモンスターの顔のない顔が不敵に歪む気がした。
「いいだろう、喧嘩上等。機械騎士、酉手麗悪(とりてれいあ)よ。いざ―――」
 互いの獲物を抜き払う。
 ツッパリ番長・イマジンモンスターは釘バットを。
 トリテレイアは抜き払った剣が魔法剣のごとく光を放つ。その光は、オリジンの傷の尽くを癒やし尽くす。
 敵に塩を送るわけではない。あくまでもトリテレイアが望んだのは正々堂々たる戦いである。そこに負傷の度合いは含まれてはならないのだ。
 その行為を汲んだのか、ツッパリ番長・イマジンモンスターが呟く。
「どうなっても知らねぇぞ―――」
 
 だが、トリテレイアは気にしなかった。それでこそとさえ思ったのだ。
「いざ、勝負!」
 互いの攻撃は苛烈そのものであった。
 打ち合う剣と釘バットがありえぬほどに火花を散らし、電光石火の如き釘バットの連撃を受け止め続ける。
「やっぱり傷を癒やさなければよかったと思わなかったか、酉手麗悪(とりてれいあ)よ!」
 そこにあったのは、ただ闘争に明け暮れる純粋なる闘志。
 悪辣たるオウガ・オリジンとは思えぬ……いや、実際にはオウガ・オリジンではない、ツッパリ番長であるのだが、気持ちの良い青年と戦っているような錯覚をトリテレイアは覚えた。

 それ故に彼は全力で応える。
「いいえ! 剣で騎士は番長には負けはしません!」
 打ち上げた剣が釘バットを弾き飛ばす。
 だが、ツッパリ番長は意に介した様子もなく、そのメリケンサックを装着した拳をトリテレイアへと振るう。
 あまりの連撃、けれど、トリテレイアは一歩も退かない。
「例え、変身しようと……『怪物に騎士は負けはしない』のです!」
 放たれる紫電一閃。
 それはトリテレイアにとって渾身の一撃であった。
 一刀のもとにツッパリ番長・イマジンモンスターの金髪のリーゼントヘアーが両断される。

 ばさり、と落ちるリーゼントヘアー。
 それをもって、騎士と番長の戦いに終止符が打たれる。それは見事な決闘。命のやり取りではない。
 けれど、爽やかささえ感じさせる結末。
「嗚呼、夢のような時間でした……」

 それは騎士道精神を矜持として持つまがい物の機械騎士にとって、得難い経験。
 互いの死力を尽くした戦い、人道のもとに争うこと、その経験を持って、騎士と番長の戦いは終わりを告げるのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・テルキーネス
……………それ発想が昭和ですよね。
この状況をあえて例えるなら…番長ウォーズ?

えーっと、ボクが考える最強とは…
ずばり『ドラゴン』です。それも前回の群竜大陸に出たような負け犬じゃありません。
こー某怪獣王みたいな立派な奴です。
がおー!!
しかし、ドラゴンvs番長…昭和映画のノリですね完全に…。

と、とりあえず。巨体から繰り出す『怪力』『重量攻撃』でマグマも砕けるパンチで攻撃します。




知っていますか?
ボクはまだ変身するたびにパワーを増します。
それをまだ残しています。
魔獣飛翔を使用します。
伝説の魔獣『テュポーン』に変身したボクを止められるものなら止めて見せるがいい…ところで、何でタライが落ちるのでしょうか?



「ふっ……いつでも喧嘩上等である……」
 それは爽やかな一陣の風の如き結末であった。機械騎士との決闘、それは互いの死力を尽くした戦いであり、勝利は機械騎士が得た。
 しかし、敗北したからと言って番長たるツッパリ番長・イマジンモンスターの戦いはまだ続くのだ―――!
「……それ発想が昭和ですよね。この状況を敢えて例えるなら……番長ウォーズ?」
 そんなエピローグをぶった切るように、ステラ・テルキーネス(バイオモンスターのミュータントヒーロー・f19520)のつぶやきが『想像力の国』に響く。
 それはまさしく、そのとおりであった。
 アリスラビリンスらしからぬ雰囲気、いや、だからこその奇想天外なる世界観であったのかもしれない。
 ただ、なんというか、どこまでいってもついていけそうにない雰囲気にステラは若干引いたのだ。

「わたしが番長でるのなら、わたしに対抗できるのもまた番長。ふむ、言い得て妙だな。番長有皇図(ばんちょううぉーず)」
 なんかヤンキー言語にアウトプットされている気がしたが、ステラは無視した。
 ここは想像力、イメージが力を持つ国である。あちらの雰囲気に飲まれてしまっては、イメージの力すら飲み込まれてしまう。
 ここは自身が考える最強をイメージすることこそが、戦いの勝利を掴むための鍵だ。
「えーっと、ボクが考える最強とは……」
 イメージする。最強の自分。その言葉は言わば、己の心のなかに鮮烈に残っているものであると言ってもいいだろう。
 ステラの胸中に去来するのは竜。それは彼女にとって力の象徴である。そのイメージの力は強い。

「すばり『ドラゴン』です」
 想像力の国に流れ込むステラのイメージ。それは帝竜戦役に現れた帝竜たちのようなものではない。
 彼女のイメージするドラゴンとは怪獣の王である。
 あらゆる破壊の権化。
 それを象徴する咆哮が想像力の国に響き渡る。世界を震撼させるほどの咆哮は、そのイメージの力強さを物語っている。
 誰にも負けない、誰にも殺せない。不滅にして破壊の化身。それこそが、ステラの思い描く怪獣の王、ドラゴンとしてのイメージそのものであった。

「なるほどな、それだけの偉容、相手にとって不足なし―――いざ、ゆくぞ、怪獣王!」
 それに呼応するようにツッパリ番長・イマジンモンスターの体躯も三倍へと膨らみ上がっていく。
 姿はそのままに膨れ上がった姿で怪獣の王と対峙する姿は、まさに―――。

「しかし、ドラゴンVS番長……昭和映画のノリですね完全に……」
 怪獣大決戦の様相を呈してきたが、イメージの力で押し負けるわけにはいかない。放たれる釘バットの一撃を受けてぐらつく身体を整え、ステラの怪獣王が果敢に拳を振るう。
 その一撃は巨体から繰り出されるが故に、圧倒的な怪力で持って放たれ、凄まじき重さの拳はまさにマグマすら噴出させる程の衝撃となってツッパリ番長・イマジンモンスターを打つ。

「知っていますか? ボクはまだ変身する度にパワーを増す……それをまだ残しています。これしきの一撃でやられるわけにはいかないのです」
 とうっ! と裂帛の気合から空中へと飛び出すのは、ステラのユーベルコード、魔獣飛翔(ステラ・テュポーン)による力。凄まじきスピードで空を飛翔する。
「伝説の魔獣『テュポーン』に変身したボクを止められるものなら停めて見せるがいい……!」
 圧倒的スピードに翻弄されるツッパリ番長・イマジンモンスター。
 だが、それ以上に困惑させられるのは、凄まじいスピードで駆け抜けるステラと共に落ち続ける光放ち輝く金ダライの数々。
 ごすん! と鈍い音を立ててツッパリ番長・イマジンモンスターに落ちる度に何とも言えない気持ちにさせられる。

「……ところで、なんでたらいが落ちるのでしょうか?」
 ―――!?
 しかも、当の本人もまた預かり知らぬところであるというのだから、この状況は誰であっても収拾することはできないだろう。
 けれど、大怪獣頂上決戦は続く。
 互いに疲れ果ててしまうまで……それこそ、夕日の川原で大の字になって互いに友情を深め合うラストシーンまで続くのだった―――!

 なんで―――!?

大成功 🔵​🔵​🔵​

塩崎・曲人
くくく、テメーがツッパリ番長か
亞流蛇羽(アルダワ)でツンツンヘッドと呼ばれ恐れられたオレ様に喧嘩売るたぁいい度胸だコラ
「ちょっと追い詰められたぐらいでグレた程度のにわかツッパリがよ!生粋ヤンキーのオレ様に勝てるわきゃねぇだろうが!」

という強い思い込みと共に、『オレ様』にイマジンチェンジ
「イメージするのは、最強の自分――(イケメンボイス)」って奴だ
(!?)
見た目は変わらねぇかもしれねぇが、ヤンキーオーラって奴が違うのよ

当然、攻撃もヤンキー流だ
鉄パイプでぶん殴る!
「ホンモンの、"喧嘩"って奴を教えてやるぜ」(!?)
喧嘩ってのはビビったら負けよ
"気合”入れてぶん殴る以外の事は考えねーぜ



 その凄まじき金ダライの落ち続ける大怪獣大決戦の舞台は、ツッパリ番長・イマジンモンスターと猟兵の戦いが終焉を迎えることによって幕を閉じた。
 だが、戦いはまだまだ続く。ツッパリ番長・イマジンモンスターにとって、戦いとは喧嘩であり、喧嘩上等を謳う以上、それは常在戦場。
 いついかなる時にでも、タイマンは受けて立つ。
 それこそが、オウガ・オリジンの思い描いた最強の存在としての矜持であったのだ。そこにオウガ・オリジンの悪辣たる自己中心的性格は介在しない。むしろ、無意味ですら合ったのだ。

「くくく、テメーがツッパリ番長か。亞流蛇羽(アルダワ)でツンツンヘッドと呼ばれ恐れられたオレ様に喧嘩売るたぁいい度胸だコラ」
 そこに現れたのは、目付きの悪いチンピラ、ならぬ、塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)であった。
 その風体はまさに無頼。
 何者にもおもねることのない、見事なる立ち振舞。それこそがツッパリたる本領であると言わんばかりの曲人の態度にツッパリ番長・イマジンモンスターもまたゆらりと立ち上がる。
「なるほど、亞流蛇羽(アルダワ)の突運突運経怒(ツンツンヘッド)の曲人とはお前のことであったか……フン、喧嘩上等。そう言ったはずだ―――!」
 ツッパリ番長・イマジンモンスターとなったオウガ・オリジンにとって、互いの縄張り、つまるところシマ、世界を巡って争うは必定。
 そこにもはや言葉は必要なく、互いの矜持でもって決着を付けるほか無い。

「ちょっと追い詰められたくらいでグレた程度のにわかツッパリがよ! 生粋ヤンキーのオレ様に勝てるわきゃねぇだろうが!」
 それは曲人の強い思い込みである。だが、この『想像力の国』において思い込みというイメージの力ほど、強いものはないだろう。
 真に迫るイメージであればあるほどに、その力は増し、強大になっていくのだから。曲人の姿は『オレ様』としてイマジンチェンジ。
 そう、常にイメージするのは最強の自分―――!

 なお、無駄にイケメンボイスである。―――!?

 見た目は変わらないが、想像力の国によってイメージの力に補填された力は莫大である。纏うヤンキーオーラが違う。
 何がどう違うのかと言われたら説明に難しいのだが、なんというか、覇気というか、オーラというか、ともかく相手をやってやんぞ! という気持ちに満ち溢れているのだ。
「その気迫、良し―――! だが、わたしもツッパリ番長と呼ばれた身! 貴様を打倒して亞流蛇羽(アルダワ)も頂く!」
 振るわれる釘バットの一撃を鉄パイプで受け止める曲人。鉄パイプは、さっきそこで適当に拾ったものである。
 だが、まるで長年使い込んだかの如く手に馴染んだ鉄パイプによるヤンキー流鉄パイプ術による攻撃の練度は凄まじい。

 それこそが、曲人のユーベルコード。
 喧嘩殺法(ケンカサッポウ)である!
「ヒャッハー! ブッ込み行くぜオラァ!」
 難しいことは何も考えない。あるのはただ、喧嘩上等であるということのみ。
「ホンモンの“喧嘩”ってやつを教えてやるぜ」―――!?
 喧嘩はビビったら負けである。
 その点、曲人とツッパリ番長・イマジンモンスターは格が違った。風格と言っても良い。チンピラとはもう言わせない。
 あるのは武侠たる心。鋼のごとく不撓不屈たる心である。鉄パイプの一撃を受けても、釘バットの一撃をくらっても、互いに一歩も退かない。
 流血したからなんであるというのか。

「“気合”入れてぶん殴る以外、何があるってんだよなぁ! 喧嘩ってやつはよぉ―――!」
 互いの武器がひしゃげ、使い物にならなくなったら、今度は拳である。
 互いの拳が顔に、腹に、胸に打ち込まれる。
 何度血反吐を吐いたかわからない。それほどまでに血風遊ぶ喧嘩であった。互いに一歩も退かぬ、どつき合いは、まさに殴り愛宇宙。心が通いそうな錯覚を覚えるほどの殴り合いの末に、地面に倒れ伏したのは―――。

「ぜ、はぁ―――、はぁ―――、はぁっ! オレ様の、勝ちだ―――!」
 激闘の末、喧嘩に勝利したのは、曲人だった。
 拳を勢いよく天に突き上げ、勝利を咆哮する。血まみれになりながら、それでもなお掴み取った勝利、それこそが、男の花道である―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒髪・名捨

最強の存在ねぇ。
なにを指して最強なのやら…。


変身完了。
え?変わってない?
はッ!!このオレが最強だッ(注:身長が+50cmされている)
オレに不足してた身長が足した。つまり究極!!(注:意味不明である)


さいきょうのそんざいを求めた。
つまりてめぇは最弱だった。そんな奴にオレが負ける道理はねー。

『マヒ攻撃』+『毒使い』を込めたアーラーワルを『槍投げ』して生えているオウガ頭部に『串刺し』『部位破壊』する。
哀れだな。
そんな仮初のイメージをすがらないと戦えない。
そんなてめーがな。身長伸ばしてるだろって?
あー聞こえねー

そーいや、番長って言ったら殴り合いか?
『怪力』+『破魔』を込めた神無だ。
おらぁッ!!



 血風が嵐の如き殴り合いを巻き起こす。
 殴り合いの末、勝利を収めたのが猟兵であったが、再び立ち上がるはツッパリ番長・イマジンモンスター。
 そう、このイマジンモンスターこそが、最強の存在。オウガ・オリジンがイメージの力によって生み出した、不撓不屈たる存在である。
 故に、何度でも立ち上がる。
「喧嘩……上等……!」
 咆哮するイマジンモンスター。その咆哮はあらゆる傷を癒やす勢いで放たれ、その咆哮を聞いた黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)は、僅かに考え込むことになった。

「最強の存在ねぇ。何を指して最強なのやら……」
 それは当然の思考の帰結であったのかもしれない。
 最強を求めるのであれば、最強がなんであるのかを知らなければならない。最強が何であるのかを知らぬままに徒に走り続けることこそ、時間の浪費そのものでしかない。
 最強とは何か?
 その問いかけに正しき答えを持つ者はいない。
 腕力か? 知力か?
 どちらも欠けても最強とは言い難いだろう。よくて最良である。ならば、腕力、知力以外の何が合わされば最強足り得るのか。
 その答えが今、名捨のイメージにより、解答とされる―――。

「変身完了……」
 頭に乗っかっていたしゃべる蛙の寧々がぺちっと名捨の頭を叩く。その姿はイメージする前と何ら変わっていない。
「―――え? 変わってない?」
 ええ……とどう反応していいかわからない。せめて、―――!? とか付けばそれらしいのだが、それすらないとはどういうことか。

 だが、そこで名捨は気がつく。
 いつもと視界の高さが違う。そう、今の名捨はイメージされた最強の存在。それは己自身。
「はッ!! このオレが最強だッ! そう、オレに不足してた身長をたした、つまり究極!!」
 ―――!?
 そう、なのだ。
 このイメージの中の最強の存在、つまり名捨に足りぬ身長……おおよそ50cm。これこそが、腕力、知力だけでは最強に届かぬ真理。身長なのである!
 ―――!?

「……」
 ツッパリ番長・イマジンモンスターの顔のない顔が、なんとも微妙な空気を醸し出す。
 けれど、視界の高さを気に入った名捨にとって、それは関係のないことだった。
「さいきょうのそんざいを求めた。つまりてめぇは最弱だった。そんなやつにオレが負ける道理はねー」
 駆け抜ける身体。
 互いに交錯する拳とメリケンサック。打ち込まれる拳は互いの拳を砕かんと放たれ、火花を散らす。
 だが、名捨は一歩も退かない。退いてしまっては、ツッパリ番長・イマジンモンスターに飲み込まれる。
 この最強の存在を前にしてイメージの力は絶大である。絶対に退かない、絶対に斃れない、そのイメージこそが、『想像力の国』にて力を増すきっかけである。

 巨大化するツッパリ番長に生えるオウガの頭部に短槍を叩き込む。
「哀れだな。そんな仮初のイメージに縋らないと戦えない。そんなてめーがな―――」
「いや、おまえも―――」
「あー聞こえねー!」
 最強の存在をイメージして、自分の身長に+50cmもしている名捨には言えたことではなかったかもしれないが、そんなツッコミを無視して名捨の身体が空へと舞い上がり、巨躯へと変じたツッパリ番長・イマジンモンスターへと迫る。

「そーいや、番長っていったら殴り合いか? だよなぁ!」
 放たれる一撃は、神無(カンナ)。その拳に宿りしは破魔の力。その絶大なる膂力で持って放たれる一撃必殺の拳は、あらゆる地形すらも破壊する絶技。
「必殺を超えた必殺の一撃。これがオレの奥の手だーッ―――おらぁッ!!」
 拳で引き起こされる風圧が、あらゆるものを吹き飛ばしていく。
 巨躯へと変じたツッパリ番長・イマジンモンスターの身体を打ち据え、想像力の国に凄まじき破壊の痕跡たるクレーターが刻まれる。

 その中心に立ち、名捨は、己の身長が元の数値へと戻ったことを、下がった視界によって知る。
 元の木阿弥。
 なんとなくそんな言葉が聞こえたような気がしたが、名捨は悲しくなんて無い。
 だってまだまだ成長期ですから。
 ―――!?

大成功 🔵​🔵​🔵​

本・三六
アドリブ等自由

……君は面白いね!今度はツッバリかい?
笑ってな、いや笑ってるけど、違うって。
見た目はらしくないけどさ、

唯我独尊、最強は己のみ。……そういうことだろ?

静かにヘッドギアを取り出し、
ボクの最強は、もちろん。彼らだ。
バトルキャラクターズが合体し、想像力を借りて形を変える
しなやかに動く黒い鉱石のような体。数字は勿論『∞』
手には鋭く巨大な『鉄芥』
最強を決めるんだ、いいだろう?

【早業と怪力】で致命打を狙う
君も何でもするといい。相棒は怯まないよ。
不意打ちには早業で鉄芥を武器改造して対抗
ある強打で鉄芥が飛ぶ。しかし、君の動きはーー
【見切って拳で鳩尾にカウンター】が狙いだ。どうだい、相棒は強いだろ?



 凄まじき拳の一撃によって穿たれた『想像力の国』にあるクレーターから這い上がってきたのは、オウガ・オリジンがイメージの力によって変じた最強の存在―――ツッパリ番長・イマジンモンスターであった。
 その姿はすでにボロボロであるが、クレーターから這い上がってまずやることと言えば、乱れた金髪のリーゼントヘアーをアイロンコームによって整えることだった。
 身だしなみとは、己の威容を知らしめるものである。故に、己の金色のフランスパンの如きリーゼントヘアーは常に整えられていなければならない。
 ツッパリとは、そういう生き物であるのだ。
「……君は面白いね! 今度はツッパリかい?」
 本・三六(ぐーたらオーナー・f26725)は、目の前に這い出したツッパリ番長・イマジンモンスターを見て、笑いをこらえていた。

「いかにも。だが、わたしのこの龍鰔漸斗頭髪(りーぜんとへあー)を笑って生きていた者はいない。つまりは喧嘩を売っているということだな? そういうことだな?」
 ビキビキィ! と血管が(ないけど)ちぎれていくような音を立てて、ツッパリ番長・イマジンモンスターの怒りは頂点に達しようとしていた。
「笑ってな、いや笑ってるけど、違うって。見た目はらしくないけどさ、唯我独尊、最強は己のみ……そういうことだろ?」
 そう言って三六はゲームでいバイスとヘッドギアを装着する。
 ここが『想像力の国』であるというのならば、ここでの戦いは武力よりもイメージの力がこそが全てである。
 三六の信じる最強、それは―――。

「ボクの最強は、もちろん、彼等だ―――!」
 ユーベルコード、バトルキャラクターズ。それは額に数字の刻印された戦闘用ゲームキャラクターたち。
 次々と数字の刻印が打刻されていくのは、彼等が合体していく身体。数字が跳ね上がっていき、さらに三六の想像力のちからを変えて形が変わっていく。

 しなやかなる黒い鉱石のような身体。人型をしているのがかろうじて分かるほどの威容であり、次々と消えては打刻されていく数字はどんどん上がっていき、999を越えた瞬間、その打刻される数字が一瞬消え―――底に刻まれていたのは『∞』。つまりはインフィニット!
 その手に持つは鋭く巨大なメカ鈍器、鉄芥。あらゆるメカのパーツが知恵の輪のように組み上げられた鋭き鈍器を振るうインフィニット・ゲームキャラクターがツッパリ番長・イマジンモンスターと対峙する。
「最強を決めるんだ、いいだろう? 君も何でもするといい。相棒はひるまないよ」

 互いの視線が交錯する。
 それはお互いが自身を最強であるという自負によってのみ成り立つ決闘であった。
「いいだろう、外威無鬼夜羅苦汰悪(げーむきゃらくたー)……貴様を倒して、わたしが最強であると宣言しよう!」
 互いの身体が肉薄する。
 放たれる鉄芥の一撃一撃が釘バットによって防がれる。だが、その攻防の間に鉄芥は徐々に削り取られている。
 それだけの技量がツッパリ番長・イマジンモンスターにはあるのだ。打ち込まれた釘が知恵の輪のように重なった鉄芥の鈍器を構成するメカパーツを削ぎ落としているのだ。

「やるね―――! でもさ!」
 三六のゲームデバイスがコマンドを入力する。即座に削ぎ落とされたメカパーツが再構成され、再び鉄芥を構成していく。
 どれだけ削ぎ落とそうとしても無駄だ、と三六が思った瞬間、ツッパリ番長・イマジンモンスターのメリケンサックの一撃が鉄芥を空へと舞い上げる。
「削ぎ落とせないのであれば、その手から離せばいい」
 だが、それは三六の駆け引きであった。あくまで攻撃の手段は鈍器である鉄芥。そう、意識を集中させた。
 戦いとは力と力のぶつかり合いであるが、何も力だけで対抗するものではない。駆け引き。相手の隙をこじ開けるのもまた戦いの手段である。

 釘付けにされた意識は、その意識の外より放たれる攻撃の前には無防備である。
 放たれたインフィニット・ゲームキャラクターの拳の一撃がカウンターの要領で凄まじき一撃となってイマジンモンスターのみぞおちを貫く。
 それは今まで猟兵たちが積み重ねてきた攻撃の集大成。

 決して斃れぬ武侠たるツッパリ番長であったとしても、不撓不屈たる精神をもっていたとしても、限界はある。
 その現界の一撃を打ち込まれて、イマジンモンスターは消えていく。その最後までツッパリ番長としての矜持を持ちつ受けた残影に三六は呟く。
「どうだい、相棒は強いだろ?」
 それは、己の相棒をどれだけ強く信じているかを示していた。
 それこそが、この『想像力の国』において、あらゆるものを凌駕する力となるのだから―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月21日


挿絵イラスト