迷宮災厄戦⑱-18〜おおきいことはつよいことだ!
●白き巨大天使
「忌々しい猟兵ども、猟書家どもが……っ」
アリスラビリンス奥深くの領域で、『オウガ・オリジン』は吐き捨てた。
思い通りにゆかぬ戦況に苛立ち、その原因たる猟兵と猟書家への憎しみを募らせる。
しかし敵同士が相食みあっている現状は、オウガ・オリジンにとっても好機であるのは間違いない。
「猟兵に平らげられた猟書家ども、とんだ道化であったな! 彼奴等が奪った我が力、今この身に漲っているぞ……!」
オウガ・オリジンの姿が弾け飛び、身の内より溢れた白光が際限なく膨張していく。
……ここは「想像力の国」。誰もが「最強」へと変貌することを可能とする不思議の国。
現実改変ユーベルコードの全てを振り絞ったオウガ・オリジンの姿は、白く輝く巨人へと変貌していた。
純白の翼、純白の肌、純白の髪。その肢体はオリジン本来の幼い少女のものではない、蠱惑的な曲線を描く大人の女性。
清純な色気を宿す、神々しい巨体の天使。
その顔面だけは、相変わらず黒く塗りつぶされたまま。
「さあ、来るが良い、猟兵ども! 我が全力を持って踏み潰してくれよう──!」
高らかな哄笑が、想像力の国に響き渡った。
●グリモアベース:ゲネ
「オウガ・オリジンも色々やってくるな。今度は『イマジンモンスター』だそうだ」
ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)は二枚のホロモニターにそれぞれ別々の女性を映し出した。
一人は、猟兵には見慣れた無貌の少女、『オウガ・オリジン』。
もう一人は、白肌白髪白翼を持つ天使の如き無貌の女性。
「これがそれぞれ使用前・使用後ということになる。現実改変ユーベルコードと「想像力の国」のコラボで出来上がった『イマジンモンスター』……ま、要するに「ぼくが考えるさいきょうのそんざい」というヤツだ」
肩をすくめつつ、ゲネはモニターの縮尺を変えた。少女は小さく、女性は大きく。両者の対比は、普通の少女といわゆる巨大変身ヒーロー程度の差があるらしい。
想像力の国では変身能力が増強される。オウガ・オリジンにとってこの時最も強いと信じた姿が、この白き巨大な天使だったわけだ。
巨大=強いというのは単純な気もするが、シンプルであるがゆえに普遍的な強さを宿す。巨大だからと言って鈍重なわけではなく、むしろ素早さもその他諸々の能力も跳ね上がっているので注意が必要だ。
「この「想像力の国」の恩恵は、実は猟兵にも与えられる。諸君も「ぼくが考えるさいきょうのそんざい」に変身できるってわけだ! 巨大化して怪獣大決戦を繰り広げるもよし、小さなままで巨大敵と対抗してみるもよし。「さいきょう」感が強ければ強いほど戦いでは有利になるぞ!」
二枚のモニターが反転し、重なりあって転送術式を燦然と輝かせる。
「オウガの親玉に一矢撃ち込む好機! 各々が各々に思う「さいきょう」を存分に思い描き、巨大化したオウガ・オリジンを撃破してくれ!」
そらばる
迷宮災厄戦、『オウガ・オリジン』とイマジンモンスター。
「ぼくが考えるさいきょうのそんざい」に変身して、巨大な天使(?)と化したオウガ・オリジンを撃破してください!
●プレイングボーナス
このシナリオでは、特別なプレイングボーナスが発生します。
=============================
プレイングボーナス……さいきょうのそんざいに変身する。
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上記に基づく行動をすると有利になります。
●ボス戦『『オウガ・オリジン』とイマジンモンスター』
オウガ・オリジンが巨大な天使に変身しています。白い肌、白い髪、白い翼、無貌、大人の女性の肉体。巨大変身ヒーロー級の体長。
このシナリオ中はずっと変身した姿のままです。
UCの「イマジンモンスター・ギガンティック」は巨大天使からさらに大きくなるイメージでお願いします。
執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
第1章 ボス戦
『『オウガ・オリジン』とイマジンモンスター』
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POW : イマジンモンスター・ギガンティック
【現実改変ユーベルコード】を使用する事で、【全身からオウガ達の頭部】を生やした、自身の身長の3倍の【イマジンモンスター】に変身する。
SPD : イマジンモンスター・スピード
【現実改変ユーベルコードを使用する】事で【イマジンモンスター】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : イマジンモンスター・ディフェンス
対象の攻撃を軽減する【イマジンモンスター】に変身しつつ、【身体から溢れ出すトランプ】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:飴茶屋
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
片桐・公明
「最強の姿、ね。」
そう呟きながらイメージするのは自身の宿敵の姿
普段の装いに黒のフード付きのロングコートを羽織っている
普段よりわずかに身長が高くなり、肉体が女性らしくなっている
そして、殺意が普段よりひどく漏れ出ている
「…やっぱりこんな風になるのね。」
達観したように、身体の具合を確かめるように右手を開閉させる
【POW】
相手の攻撃については格闘の一撃で相殺する
体格差に臆することなく、急激に上昇した自身の出力に戸惑うことなく、
相手に接近してUCを使用して相手の攻撃を回避・相殺して攻撃する
「死ぬまで殴りつければ、そのうち死ぬでしょ。」
淡々と、無表情に攻撃を続ける
(絡み、アドリブ歓迎です。)
ティエル・ティエリエル
SPDで判定
【ライオンライド】で呼び出したライオンくんと一緒に想像力の国にやってきたよ♪
ようし、ライオンくん、一緒に「さいきょう」のライオンナイトに変身だ♪
気が付いたら巨大化したオウガ・オリジンにも負けないくらい巨大な姿に変身完了だよ!
ボクは黄金のライオンくんに負けないくらい金ぴかの鎧を纏った巨大な姫騎士姿に変身!
わわっ、ライオンくんも大きくなって鬣はまるでお日様みたいになってとっても自慢げだ!
ライオンくんとのコンビネーションでオウガ・オリジンのスピードに対抗したら
最後はお日様をいっぱいに浴びてパワーアップ!レイピアを構えて突撃だ☆
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
●黒コートの暗殺者と黄金のライオンナイト
純白の巨人が荘厳な白い翼を広げる。その顔面が黒々と虚無で塗りつぶされていなければ、きっとそれは天使と呼ぶに相応しい姿だったのだろう。
「最強の姿、ね」
敵にとっての「さいきょう」を見上げ、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は呟く。
その脳裏に思い描くのは──自身の宿敵の姿。
たちまち公明の身の内から黒々としたオーラが溢れ出し、全身を覆い満たした。
オーラはやがて黒いロングコートへと固着した。目深に被ったフードの下から見える目線は、いつもよりも高い。体つきもずいぶんと女性的に……
そして、抑えようもなく漏れ出す、強烈な殺意。
「……やっぱりこんな風になるのね」
達観したような仕草で自分の右手を開閉させ、身体の具合を確かめる公明。
拳をきつく握りしめ、改めて敵を見上げた瞳は、尋常ならざる殺意に満ちている。
「来たか猟兵……そんなみすぼらしい姿でわたしに敵うと思ったか──!」
神秘的な天使の姿で悪意をばらまくオウガ・オリジン。その全身が大きく膨れ上がり、勃然と、白い肌を割って瘤のようなものが生え出てきた。ありとあらゆるオウガの頭部だ。雑魚も強敵も、見覚えのあるものもないものも、混沌と入り混じっている。
ギアァァァァ──ン!!
全ての頭部が咆哮する。さらなる巨大化を果たしたオリジンが、獣のごとき四つん這い走行で猛然と襲い来る。
公明を掴み取ろうと伸び迫る巨大な手。
しかし公明は悠然と構え──敵の掌打を回し蹴りの一撃で相殺した。巨大な手を勢いよく撥ね退けられ、オウガ達の頭部が絶叫じみた咆哮を上げる。
しかし敵の追撃も速い。矢継ぎ早に仕掛けられる野蛮な攻撃を、公明は体格差に臆することなく、急激に上昇した自身の出力に戸惑うことなく、次々と格闘術で対抗していく。
異常な巨大天使を目前にして、恐れを知らぬ者がもう一人。
「ここが想像力の国だね!」
ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は青い瞳で元気いっぱいに戦場を見渡すと、下方に視線を向けて相棒を見やった。
「ようし、ライオンくん、一緒に「さいきょう」のライオンナイトに変身だ♪」
ティエルを背に乗せる黄金のライオンは心得たとばかりに軽く牙を見せると、たちまち溢れ出す燦然たる輝きに輪郭を失った。
膨張していく黄金色の光。それは巨大天使に匹敵するほどの巨体を誇る黄金のライオンへと収束した。その背にはもちろん、巨大な姫騎士姿に変じたティエルの姿もある。鎧はライオンに負けないほどの金ぴかだ。
「わわっ、ライオンくんも大きくなってる! 鬣はまるでお日様みたいだね☆」
褒められたライオンは胸を張って顎を上げ、とても自慢げだ。
その燦然たる輝きに、オリジンが気づかぬはずもない。
「……厄介な」
呟くと同時、オリジンは固めた拳で地面を叩き、足元に巨大なクレーターを生じさせた。
公明は咄嗟に後退して事なきを得た。オリジン自身もすぐさま背後に退き大きく距離をとるや、全てのオウガの頭部を引っ込め、手足や腰からも翼を生やし始めた。スピードモードだ。
「スピードアップしたみたいだね! ボクらも行くよ、ライオンくん! コンビネーション見せつけちゃうよ☆」
力と命を共有したティエルと黄金ライオンは、矢羽根の如く飛来するオリジンの突撃をすんでで回避し、スピード勝負を挑んでいく。目にも止まらぬ速さの攻防。オリジンの翼から放たれた大量の羽根が追尾してくるが、ライオンのスピードと巧みな体捌きは羽根一枚の接触も許さない。
「小癪な!」
己が命を焼べた速さでオリジンは再び飛翔する。音すら後方に置き去りにした突撃。
しかしその軌道を、「さいきょう」のライオンナイトは見抜いている。
「ライオンくん、突撃だ☆」
太陽の光をいっぱいに浴びていっそうの輝きを放射しながら、ライオンナイトは人馬一体となってオリジンへと突進した。
速度と速度、質量と質量の正面衝突。大量に散る白羽。
「……ぐ、あ……っ」
激しい衝撃と轟音ののち、明らかになった視界には、ティエルの構えたレイピアに腹部を抉りこまれた巨大天使の姿があった。各部位に増殖していた翼がみるみる散っていく。
レイピアが引き抜かれた瞬間を捉え、駆け込む小さな影が一つ。
「しぶといな。……でも」
黒コートの人影は、その接近を嫌って咄嗟に踏み潰そうとした巨人の足を体術一つで弾き飛ばしたのち、踊るような足捌きで巨大な足元に武術を仕掛けた。
「死ぬまで殴りつければ、そのうち死ぬでしょ」
身も蓋もない一言から繰り出される、流麗な舞闘。腹を貫かれた衝撃を残すオリジンは、その連撃に圧倒され流されるまま。
小人と巨人のダンスの果てに、地面に崩れ落ちる巨人。その向こうに垣間見えた公明は、どこまでも淡々と無表情だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
神代・凶津
でか過ぎだろッ!?
だが、この国はイメージすれば最強になれるんだってなッ!
イメージしろ、あのデカブツに対抗できる最強の自分・・・見えたッ!
(鬼面がオウガ・オリジンと同じ位に巨大な『胸にタイマーを付けた大鬼』になる)
全身に漲る破魔の霊力ッ!
強靭なボディッ!
さしずめ今の俺は『ウルトラマガツ』だぜッ!
相棒、危ないから下がってなッ!
「・・・なんか見たことのある見た目だね。」
先制攻撃で一気に距離を詰めてぶん殴ってやる。
そのまま敵の攻撃を見切りつつ怪獣プロレスと洒落混もうやッ!
必殺技は全身の霊力を十字にクロスさせた腕に収束させ解き放つ『レイリョクニュウム光線』だぜッ!
消し飛べえええッ!!
【アドリブ歓迎】
●大鬼ヒーロー
巨大さは強さ。それは普遍的な一つの価値である。……が。
「──でか過ぎだろッ!?」
巨大天使が体勢を立て直そうとするずしりずしりという動きを見上げて、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は少女の手の中でキレの良いツッコミを入れた。
「だが、この国はイメージすれば最強になれるんだってなッ!」
威勢の良い鬼面に、無口な少女がこくりと頷く。
凶津は鬼の口許をニヤリと笑わせた。
「イメージしろ、あのデカブツに対抗できる最強の自分……見えたッ!」
カッ、と面の目の奥を輝かせ、凶津は少女の手から飛び出した。身の内から湧き上がる大量の火花に彩られながら、拳を突き上げた巨大な人影が戦場に躍り出る。
凶津にとっての最強の存在──それは、オウガ・オリジンの巨体に匹敵する体躯持つ『胸にタイマーをつけた大鬼』である。
「全身に漲る破魔の霊力ッ!」
輝く力こぶを作る大鬼。
「強靭なボディッ!」
タイマーのついた胸元を頼もしく叩く大鬼。
「さしずめ今の俺は『ウルトラマガツ』だぜッ!」
スーツアクターめいた仕草で大見得を切る大鬼。
「相棒、危ないから下がってなッ!」
「……なんか見たことのある見た目だね」
ぽそりと禁句を零しつつ、少女は促されたとおりにしずしずと後退した。
凶津が変身している間にオリジンもまた変態を遂げていた。大量のオウガの頭部を生やした巨大天使が、獣じみた全身を反らして咆哮する。
敵が攻撃動作に移る前に、大鬼は先制攻撃とばかりに一気に距離を詰め、拳で無貌の横っ面を殴りつけた。回転するほどにねじれる白い首。
が、オリジンはゴムの如き気色の悪い復元力で勢いよく首を正面に戻すと大鬼へと殴りにかかった。
「いいぜ、怪獣プロレスと洒落込もうやッ!」
振りぬかれた拳を紙一重で避け、さらなる追撃を捌いて躱して巧みに立ち位置を入れ替え、豪快な蹴りを背後に避けて。
適度に距離を置くと同時に、両腕を十字にクロスさせる大鬼。
必殺技は、名付けて『レイリョクニュウム光線』。
「消し飛べえええッ!!」
全身に漲る霊力が十字に集束し、水平に走る光の雨となって巨大天使へと打ち付ける。
オウガ達の大絶叫が幾重にも重なり耳をつんざいた。
大成功
🔵🔵🔵
レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
おぉデッカいにゃあ。ここはあえて更に小さな存在に、一寸法師の様な3cmの子猫に変身するにゃ。
相手が大きい程強くなる【ブレイブ】の力も合わさって、対巨大種特効の最強の存在に仕上げてくにゃん。
ブレイブオーラの特性によって「増加した攻撃回数」を2回分残して、あとは全て代償に戦闘力を圧縮強化。
髭感知で見切り、空に飛ばれたらミュージックエナジーの爆音による気絶攻撃で落とし、敵の行動に伴う衝撃波や風には波に乗る様にオーラサーフィンで滑り接近・攪乱してくにゃ。
ブレイブオーラ防御を纏った肉球を盾に、攻撃を盾受け流して押し返すシールドバッシュ。限界突破の二撃必殺にゃあ!。
●巨人VS子猫
「おぉデッカいにゃあ」
巨大天使を見上げながら、レフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)の上げる声はのんびりと間延びして響いた。
「ならば、ここはあえてさらに小さくなってみるかにゃ」
レフティの身体が白い光に塗りつぶされて、その体積が見る間にしぼんでいく。打ち出の小槌を振る姫はいないが、想像力の国なら誰でも伸縮自在。
光が静かに弾けたその場所には、一寸法師の如き3cmほどの子猫が現れ、にゃぁんと鳴いた。
「はっ、小さき者がさらに小さくなることを選ぶとはな──己が愚を思い知れ!」
オウガ・オリジンは速度強化を選択し、身体の様々な箇所から翼を生やして大きく飛翔した。こちらに突っ込んでくるつもりだ。
「小さいからこそ良いこともあるんだにゃあ。……今ここに子猫の勇者は哮る――全てを解き放ち唯一つ竜となれ」
子猫の全身を、圧縮強化された力強いオーラが覆う。
と同時、レフティはひげをそよがせ、弾丸の如く突っ込んでくる敵からひらりと身を躱した。
巨大天使の通過によって巻き起こされた風は、子猫の身体には衝撃波にも等しい。しかしレフティは波乗りの要領で風に乗じ、自在に滑走して敵の視界を攪乱していく。
「ちょこまかとッ!」
全ての翼をはためかせ、上空へと飛翔するオリジン。
余波で暴れる風をなんとか乗りこなしながら、レフティはすかさずミュージックエナジーを発動させた。爆音が矢の如く宙を疾り、オリジンの聴覚を瞬間的に貫く。
ギァッ! 甲高い悲鳴の直後、昏倒したオリジンが浮力を失って空から墜ちる。しかし失神していたのはわずか数秒。
「──っ、く……やってくれる……!」
意識を取り戻したオリジンは落下速度をそのまま乗せて一気に降下してくる。
激しい気流を風の刃の如く纏う巨大天使を迎えうつのは──体長わずか3cmの子猫の、さらに小さな前脚。
天使の巨体とオーラを纏った小さな肉球が、正面から激突する。
「限界突破の……二撃必殺にゃあ!」
大質量を巧みに受け流した子猫の、研ぎ澄まされた爪が閃く。その先端に、体格差があればあるほど昂る力を輝かせて。
わずか数ミリの爪先に力強く引っ掻かれた胸を押さえ、巨大天使が耳障りな絶叫を上げた。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
それは悪夢を終わらせる伝説。
目を閉じると現れて、目を開けると既にいない。
夜明けを告げる騒々しき足音。
豪華絢爛たる舞踏。
特別なモノは何もなく、ただ、他の者より、少しだけ速く動き、少しだけ早く判断し、少しだけ強いだけの存在。
何の変哲もない武器を手に、鍛え上げた肉体と技術だけを頼りに理不尽に立ち向かう者。
人の姿をした化性……英雄(ヒーロー)。これが私の想像する最強よ☆
第六感と読心術で先読みし、早業の先制攻撃でオリジンの行動の機会を略奪し、ジャイアントキリング(捕食)を為す限界突破した技量で蹂躙してあげましょう。
限界突破してリミッター解除した継戦能力によるスタミナ&耐久力で耐久持久戦は得意なの♪
●絢爛なる舞踏
──それは悪夢を終わらせる伝説。
目を閉じると現れて、目を開けると既にいない。
夜明けを告げる騒々しき足音。
豪華絢爛たる舞踏。
特別なモノは何もなく、ただ、他の者より、少しだけ速く動き、少しだけ早く判断し、少しだけ強いだけの存在。
何の変哲もない武器を手に、鍛え上げた肉体と技術だけを頼りに理不尽に立ち向かう者。
人の姿をした化性……英雄(ヒーロー)。
「これが私の想像する最強よ☆」
そう言って小悪魔的に微笑むアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)は、とりたてて普段と変わらぬ何気ない佇まい。
「……無策か? 舐めるな猟兵ッ!!」
数多の翼を生やしたオウガ・オリジンが襲い来る。硬化させた翼で巨大な刃と成した腕を振り上げる。その速度、軌道、いずれも正確無比。
だが、アリスの姿は、翼刃が振り下ろされる寸前、オリジンの視界から消えた。
「何──!?」
「まさにジャイアントキリングといったところかしら」
聞こえた声は、心臓を刺すほどの間近。
アリスの姿をオリジンが捉えることはない。限界突破した技量で捕食され、一方的に蹂躙されるのみ。
それでいながらアリスは特別なことなどしていない。ただオリジンより少しだけ早く思考し、少しだけ速く動く。戦場の混乱の中、たった一本存在する正解の糸の上で踊っているだけ。
それは目蓋持たぬオリジンにさえ、瞬きの間に現れ目を開いたときにはすでにいない、オブリビオンにとっての悪夢を体感するに十分な戦いぶりだった。
「ぐ、ぬぅ……っ」
たまらず形態を変化させるオリジン。防御に特化した肉体から、己を護るようにトランプが溢れ出す。
しかし膨大なトランプの防護も、アリスを捉えることはできはしない。読心能力と冴えわたる直感は、自動的にばらまかれるトランプという、カオスな変数すら超越してみせる。
「悪いわね。耐久持久戦は得意なの♪」
とじめやみに閃く美しい光が、幾重にもオリジンの生命力を食い荒らしていった。
大成功
🔵🔵🔵
リコリス・ガレシア
普段はおっとりした穏やかな少女。
戦闘時は天叢雲剣に宿るクールな鬼の少女。
帽子を押さえながら天使を見上げて
「うわぁ、大きいです」
「けど、負けられません。行きますよ!」
帽子を脱ぐと、夜のような黒髪、血のような赤眼、彼岸花模様の着物、帽子の代わりに般若の面を斜めに被った少女に姿が変わる
「最強の自分か。いいだろう」
UC使用。自分に宿る天叢雲剣の霊気を解放し、少女を心臓の位置に巨大な大蛇を召喚する。
自分が思う最強の姿、世界の理が蛇神をさらに巨大化させる。
「これが、俺の『最強』だ」
八つの頭から放つ炎と毒のブレスで周囲を薙ぎ払い、敵の動きが止まったら尻尾を叩きつける。
8つの首で肢体を絡め取り、締め付ける。
●おろちの抱擁
敵は、動けば風さえ巻き起こす白い巨体。
「うわぁ、大きいです」
気流の乱れに帽子を押さえて天使を見上げ、リコリス・ガレシア(多重人格者の神器遣い・f28348)はおっとりと感心の声を上げた。
「けど、負けられません。行きますよ!」
豪快に帽子を脱ぎ捨てるリコリス。
空に舞い上がる帽子の向こうから現れた少女は、まるで別人だった。
波打つ桃色の髪は夜のような黒髪に、穏やかなブラウンの瞳は血のような赤眼に。纏う衣装は彼岸花柄の着物。帽子の代わりに般若の面を斜めに被った、怜悧な印象の鬼の少女。
天叢雲剣に宿るもう一人のリコリスだ。
「最強の自分か。いいだろう」
不敵に呟き、リコリスは身の内に宿した天叢雲剣の霊気を解放した。
少女の全身を覆いつくしてなお膨れ上がる強大な霊気が、長大な実像を結んでいく。もたげた鎌首一つだけでも天使の体長に及ばんばかりの、八つ首の巨大な大蛇の姿へと。
これが、リコリスの思う最強。世界の理たる蛇神がさらなる巨大化を果たした姿。
すなわち、ヤマタノオロチ。
「これが、俺の『最強』だ」
霊気の輝きに透けるその心臓部に浮かびながら、リコリスは不敵な眼差しで敵を射抜いた。
オロチの八つの頭が一斉にあぎとを開き、大量の炎を辺りに吐きつけた。
オリジンは大量のトランプを盾のように展開し、炎の津波を押しとどめる。が、高熱を退けてなお、その身を蝕む不快な感覚が……
「っ……毒か……!」
急激に喉元にせり上がった灼熱感が白い血として吐き出され、脅威を悟るオリジン。
明白な動揺に動きが止まったわずかな隙を、ヤマタノオロチは炎で押し切った直後、身を翻して尾を振り上げた。
トランプの嵐を割って鋭く叩きつけられる巨大な質量。正面からの甚大な衝撃に、巨大天使が叩き伏せられ体勢を崩す。その全身を八つ首が絡め取り、ギリギリと締めつける。
「ガッ……はな、せ……放──」
──ゴキャリ。
複雑に絡みつく大蛇の肢体に抱かれて、白い巨体のかしこがあらぬ方向にひしゃげる。
命の限りを尽くした絶叫が、不思議の国を蹂躙した。
成功
🔵🔵🔴
シャムロック・ダンタリオン
ふん、「でかければ強い」か。実に単純な思考だな。
さてオリジンよ、一つためになる雑学を語ろうか。
巨体を誇った恐竜がなぜ滅びたか――諸説あるなかでこんなものがある。
「当時としては未知の微生物によるもの」というものだ。
つまり何が言いたいかというと――
「「さいきょうのそんざい」は実は「微生物」だった」というわけだ。
というわけで、「黴」の「豪雨」に打たれて悶え苦しむがいい――ああ、ちなみにその黴は致死性の猛毒を含んでいるぞ(【属性攻撃・全力魔法】)。
(トランプ攻撃は軌道を【見切り】躱したり、【オーラ防御】で防ぐ)
※アドリブ・」連携歓迎
●細緻なるものの勝利
オウガ・オリジンの変わり果てた姿を、シャムロック・ダンタリオン(図書館の悪魔・f28206)は鼻で嗤う。
「ふん、「でかければ強い」か。実に単純な思考だな」
「が……っグゥ……オの゛れ゛、猟兵……っ」
あちこちをひしゃげさせたオリジンは、九十度に曲がった首を無理やり傾けてシャムロックを睨みやる。
彼女の発想がいかに短慮であるかは、すでにオリジン自身の惨状において立証されているようなものだ。
シャムロックは軽く肩をすくめ、駄目押しをくれてやることにした。
「さてオリジンよ、一つためになる雑学を語ろうか」
シャムロックを中心に、うっすらと魔力が渦を巻き始めた。
オリジンが警戒も露わに大量のトランプを飛ばしてきたが、シャムロックはその軌道を見切り、巧みに躱しながらも言葉を途切れさせない。
「巨体を誇った恐竜がなぜ滅びたか――諸説あるなかでこんなものがある。「当時としては未知の微生物によるもの」というものだ。つまり何が言いたいかというと――」
トランプもまた途切れることなく、仕舞いには怒涛の如く押し寄せ逃げ場を断ってきた。
咄嗟に両手を前に掲げた瞬間、シャムロックの姿はトランプの津波に呑まれて見えなくなった。
一切の抵抗がなくなったトランプの海へと、不気味な動作でぎこちなく歩み寄るオリジン。
「……矮小な存ザイがワタしに敵ウ道理など……」
シャムロックが転がっているであろう場所へと、巨大な白い足が踏み下ろされ──
「──「さいきょうのそんざい」は実は「微生物」だった」というわけだ」
──突如巻き起こった膨大な魔力の爆発によって、オリジンの足は押し返された。
激しく巻き上げられるトランプの嵐の中心には、手の中で見開いた書物に魔力を漲らせるシャムロックの姿があった。額や手足の皮膚に細かい切り傷があるものの、オーラによってほとんどの攻撃を凌いだのだ。
書物がひときわ燦然と輝くや、にわかに風雨が吹き荒れた。それはオリジンのみを取り巻く嵐。
「というわけで、「黴」の「豪雨」に打たれて悶え苦しむがいい――ああ、ちなみにその黴は致死性の猛毒を含んでいるぞ」
「な゛ニ──!?」
突き刺すように降りしきる雨粒は白い肌に染み入り──瞬く間にその皮膚を紫色へと変色させていく。
その微細な存在を防ぐ手立てなど存在しない。
黴が巨体を侵食し、天使の全身を猛毒に冒していった。
●さいきょうの最期
「グ……ガァァァァ──ッ!」
オウガ・オリジンが吼える。維持の利かなくなった天使の巨体が解けていく。
「ごのワたシが……っ、ツヨさ、うつくシサ、おオきざ、つべテおてニいレタわタシ、が、マケ、るナドとぉォォ……──ぐぶ」
喉を掻きむしる指までが変色し形を失った頃には、その全身は床に溶け広がる白い水溜まりへと変じ、やがてそれも消えていった。
猟兵達が勝利を得た瞬間である。
しかしオウガ・オリジンは未だ余力を残し、猟書家の企みも潰えてはいない。
猟兵達はさらなる戦場を探し、アリスラビリンスを行き交うのだろう。
成功
🔵🔵🔴