迷宮災厄戦㉔~プリンセス・エメラルド
●アリスラビリンス
「もうすぐ、懐かしの故郷が、私の手に……。この日を、どんなに待ち望んだ事か。そもそも、フォーミュラなど必要がないもの。存在する価値すらないモノだったのに……。銀河皇帝は何も分かっていなかった。その結果が滅びてしまったのだから、当然の結果であると言えるでしょう。……ですが、私は違う。自らスペースシップワールドに赴き、現実改変の力を使えば、すべてが……変わる。それは私にとって、理想の世界。そこに不要なモノなど何もない。私が皆を必要とし、皆が私を必要とする。私の考えに賛同し、私のためならば、命すら惜しくない。私だけを生き甲斐とする者達……。その者達を統べるのが、私の役目。ああ、想像しただけでも、心が震えてしまいそう。ただし、それを現実のモノにするためには、猟兵達の存在が邪魔ですね。銀河皇帝によって、滅茶苦茶にされた世界など、誰も必要としていないのに……。銀河皇帝がしてきた事を考えれば、一度滅ぼしておくべき世界なのに……。猟兵達は何も分かっていない。ならば、猟兵達も滅ぶべき。誰も望まぬ世界を存続させようと考える猟兵達こそ、この世にとって最も不要な存在なのだから……」
猟書家『プリンセス・エメラルド』にとって、今のスペースシップワールドは、不要な世界であった。
銀河皇帝によって穢され、醜く歪んでしまった世界など、誰も必要としていない。
故に、一度破壊した上で、作り替えねばならない。
少なくとも、彼女はそう思っていた。
それが、いかに歪んだ考えなのか、彼女は理解しようとしない。
そのため、考えを改めるつもりもなかった。
●ガジルからの依頼
「みんなに頼みたい事があるんだよ」
ガジル・コリアンダー(キマイラのスカイダンサー・f00907)が真剣な表情を浮かべ、今回の依頼を説明した。
今回の目的は、猟書家『プリンセス・エメラルド』を倒す事。
プリンセス・エメラルドは宝石だけで構成された国を拠点にしており、侵略蔵書『帝国継承規約』と、対象を透明化する能力で猟兵達に戦いを挑んでくるようだ。
彼女の目的は、スペースシップワールドに攻め入る事。
そうなったら、最後。
現実改変の力によって、スペーシップワールドが、彼女好みの世界に作り替えられてしまう事だろう。
そう言った事を踏まえた上で、プリンセス・エメラルドを倒す事が今回の目的である。
ゆうきつかさ
この依頼は戦争シナリオです。
敵は必ず先制攻撃を仕掛けてくるので、対抗手段を考えておきましょう。
第1章 ボス戦
『猟書家『プリンセス・エメラルド』』
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POW : プリンセス・エメラルド号
自身の【サイキックエナジー】を代償に、【宇宙戦艦プリンセス・エメラルド号】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【エメラルド色の破壊光線を放つ多数の砲】で戦う。
SPD : 侵略蔵書「帝国継承規約」
自身の身長の2倍の【皇帝乗騎(インペリアル・ヴィークル)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : クリスタライズ・オリジナル
自身と自身の装備、【敵に被害を与えうる、半径100m以内の】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
イラスト:鶸
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ミーナ・ヴァンスタイン
余裕と気品を漂わせる美女。性格は慇懃無礼。
「あなたもすぐに送ってあげるわ。皇帝のところにね」
眼鏡を外し真紅の魔眼の封印を解く。真実を見通す瞳で透明になっている相手を見抜く。
「透明になる能力。少し面倒ね」
もし、見づらくともダンピールの優れた聴覚と卓越した第六感でカバーし、敵の動きを読みカウンターで怪力の拳や蹴りでUCを打ち込み透明化を解除させます。
「先に言っておくわ。わたしの拳は痛いわよ」
『断罪の一撃』
敵や装備が死角から襲ってきたら、バニッシャーとイレイザーの二丁拳銃を即座に抜いて光の弾丸を放ち牽制する。
「礼儀がなっていない人には、お仕置きしなきゃね?」
「光の速さから逃げられると思わないことね」
ミレア・ソリティス
あの世界は未踏領域を、新たな世界を拓くのに忙しいのです。
亡国の自称皇位継承者の相手をする暇などありません
空戦・宙間戦用バイク型の「ヴィントシュトス」に騎乗、最初は残像を残しつつ回避に集中、僅かな敵攻撃の隙に《ハッキング》や《情報収集》を仕掛けます
効果が出てきたらUC【コード・テンペスト】により騎乗していたヴィントシュトスと合体・戦闘機形態に変形し、さらに相手の認識を狂わせるジャミングと、味方がいれば味方攻撃に合わせビットによる援護射撃を行います
最終的には機体下部に装備した対要塞・大型目標用ランチャー「ノヴァ・バスター」による《重力属性砲撃》で敵艦を沈め、敵本体へのビット一斉発射を仕掛けます
テリブル・カトラリー
今ある世界を否定するならば、プリンセス・エメラルド。
私も、貴女という銀河皇帝を否定しよう。
武器改造、超重金属のシールドに反射コーティングを施し、盾受け
アームドフォートのミサイル一斉発射
迎撃させ、射線が分散した隙に『ハイ・オーバーコート』
装甲は反射コーティングを施した躯体をブーストで加速
一気に最高速まで飛翔し、重量攻撃。敵艦に接近し、踏みつけ
足裏で戦艦を蹴りつけ、ブースト噴射でジャンプ。体勢を整える。
情報収集。素早くエメラルド・プリンセスを視認し、
機械刀を上から振り下ろして超高熱属性攻撃。超巨大武器での範囲攻撃
黒髪・名捨
●
スペースシップワールドねぇ。
そーいや、行ったことねーな。
うちゅーか…寒そうだな。
●
さて、宇宙船か…。
でけぇなぁ…。
『オーラ防御』と覇気による『武器受け』。そして寧々の『結界術』の三重防御だ。
これで凌ぐしかねーだろ!!。
あ、寧々。『天候操作』で雨降らして。ビームは水に弱いって話も聞いたことあるし…。
●
(合法阿片を取り出し…一服)ふーッ(『ドーピング』中)
よし『元気』出た。
よし反撃タイムだ!!
愛用のアーラーワルを取り出し、『槍投げ』『範囲攻撃』無数の槍が船と猟書家を『串刺し』だな。
よし刺さった。刺さったら…(指パッチン)幻爆!!
全て…『焼却』する…なんてな。
あばよッ
エルシー・ナイン
確かに銀河皇帝はSSWを滅茶苦茶にしましたが、その過去も7含めてワタシの生まれた世界なんです。なかったことになど、させはしません!
『ステルスクローク』の光学『迷彩』で『目立たない』ように攻撃をかわしつつ皇帝乗騎の背後に回り込みます。もし発見されてしまったら、『オーラ防御』で守りを固めましょう。
先制攻撃を凌いだら【銀河帝国製試作兵器】で試作型インペリアル・ヴィークルを呼び出します。試作機とはいえ同型機。戦力でそちらに引けはとりません。
『限界突破』した高速機動で相手の背後に付け、搭載火器の『一斉発射』『乱れ撃ち』で撃って撃って撃ちまくります。
あなた如きに銀河皇帝を名乗らせるわけにはいきません!
アイソラ・グランホエール
【心情】
「勝手なこと言ってるなぁ。けど、俺たちの世界を滅ぼされる訳にはいかないからここで倒さないとね。」
【行動】
WIZ
予めサイボーグの機械鎧姿の戦闘形態に変身してから戦闘へ
先制対策
【オーラ防御】に触れた瞬間に【見切り+カウンター+念動力】で捕縛を狙う
透明な敵に対してはユーベルコードで召喚したリトルフィッシュを体の周りを周回させてみよう(味方は避けるように)
リトルフィッシュが透明な敵にぶつかれば、そこに【高速詠唱+全力魔法+属性攻撃+2回攻撃】で集中攻撃だ
トリテレイア・ゼロナイン
永き時を生きる先達への敬意はあれど、宇宙を手にせんとするその野望は看過できません
騎士として、幾度でも立ち塞がらせて頂きます
機械馬に●騎乗し皇帝乗騎の機動力に対抗
遠距離攻撃は●盾受けで防ぎつつ
センサーでの●情報収集で敵の速度を●見切り、大地を●踏みつけての跳躍で突撃を回避
反撃として●格納銃器での●乱れ撃ち●スナイパー射撃で皇帝乗騎の接地面やプリンセスの操作する制御装置(操縦桿?)に浴びせ摩擦を無くすことで制御不能に追い込み
そこへワイヤーアンカーを射出し●ロープワークでエメラルドを拘束し引き寄せ、同時に●怪力でランスを●投擲し皇帝乗騎を破壊
あの乗騎は貴女には過ぎた物
取り上げさせて頂きました
剣を一閃
ミラリア・レリクストゥラ
あの世界は、私とは相容れませんが…
【WIZ】
世界の未来を良しとせず、自分の欲だけで書き替えようなんて、思い上がりも甚だしい!
似姿として、放ってはおけません!
消えた!?いえ、この【宝石の体】に伝わってくる僅かな震動…見えなくなっているだけ?
…看破は難しそうでしょうか。では、たとえ砕け散っても唄える私が【おびき寄せ】ましょう!
古い版の【単語辞書】を持ち、【暗号作成】で作った出鱈目な呪文で【言いくるめ】て危険な【存在感】をアピール。
アタックしてきた敵を、味方に迎え討ってもらいます!
…そのあと?
…多分、凄く痛くて移動できなくなってそうですが、その場で【地母の恵み】での回復支援を、できればなぁ…と。
カーバンクル・スカルン
うるせえ、住んでる人々が別の世界に渡る術を持たない限りその世界は望まれ、必要とされてるんじゃい。下々の者達を考えてない時点で為政者失格だよ、お・ば・あ・さ・ん。
さて、相手は武器ごと隠れているんだったか。でもその範囲は大して遠くはない。風呂に溜めた水を盛大にぶち撒け、そこへワニの電流を一気に流し入れて全体攻撃。武器にはショートしてもらう!
私もワニはそれなりに耐性あるけど、他人から見たら狂気の沙汰。それで恐怖を感じたら……姿を見せようと見せなかろうと【集団心理】の群衆があなたを包囲し、魔法を放つ!
選挙結果、落選。票数も足りないようですので……選挙費用は命で払っていただきます
火土金水・明
「相手は『猟書家』の一人。こちらも全力を出して戦わなければいけませんね。」
相手の先制攻撃に対しては、【見切り】【野生の勘】【第六感】【カウンター】の技能を駆使して回避と最初の一撃を試みます。
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡め【限界突破】した【銀の流れ星】で、『猟書家『プリンセス・エメラルド』』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
●宝石だけで構成された国
「あらあら、まさか、こんな時に御客さんが来るなんて……。先に連絡してくれれば、きちんと御持て成しをしたのに……。まあ、そんな必要はありませんね。だって、あなた達の命は、ここで御終い。嫌がっても無駄ですよ。だから無駄な抵抗を止めて死んでください。私はスペースシップワールドを作り替えなければいけないので……」
猟書家『プリンセス・エメラルド』は猟兵達の存在に気付くと、笑顔を浮かべて呟いた。
「つまり今ある世界を否定し、新たな世界を作るつもりという訳か。ならば、私も貴女という銀河皇帝を否定しよう」
テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)が、エメラルドをジロリと睨みつけた。
「あらあら、何か勘違いをしているようですね。私の考えが気に入らないのであれば、ここで死んでください。ただ、それだけの事です」
エメラルドが笑顔を浮かべたまま、落ち着いた様子で答えを返した。
だが、その目は冷たく、まるでゴミを見るような感じであった。
「確かに銀河皇帝はスペースシップワールドを滅茶苦茶にしましたが、その過去も含めてワタシの生まれた世界なんです。好き勝手に作り変えて言い訳がありません!」
エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)が、エメラルドの考えをキッパリと否定した。
「ご安心ください。私が作ろうとしているのは、理想の世界。きっと、あなた達も気に入ってくれるはず。よろしかったら、いらしてください。まあ、ここで運よく生き残れたら、の話ですが……」
エメラルドが天使のような笑みを浮かべつつ、ありったけの皮肉を混ぜ込んだ。
「そういや、そーいや、スペースシップワールドには、行ったことねーな。うちゅーか……、寒そうだな」
黒髪・名捨(記憶を探して三千大千世界・f27254)がまったく気にしていない様子で、ボソリと呟いた。
「あらあら、随分と余裕ですね。これから死ぬかもしれないって言うのに……。それとも、まさか生き残るつもりでいるのですか? まあ命乞いをすれば、その可能性もゼロではありませんね。それを望むのであれば、宝石の如く煌びやかに生まれ変わったスペースシップワールドに行く事が出来るかも知れませんが……」
エメラルドが猟兵達を見下すようにして、不気味な笑みを浮かべた。
「世界の未来を良しとせず、自分の欲だけで書き替えようなんて、思い上がりも甚だしい! 似姿として、放ってはおけません!」
そんな空気を察したミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)が、嫌悪感をあらわにした。
「それは誤解です! これでも、私は世界の事を考えているんですよ。あんな薄汚い世界よりも、私が作り直した世界の方が、数百……いや、数億万倍、素晴らしいのですから!」
エメラルドがキラキラとした瞳で、自らの正当性を訴えた。
「申し訳ありませんが、寝言なら寝てから言ってください。あの世界は未踏領域を、新たな世界を拓くのに忙しいのです。亡国の自称皇位継承者の相手をする暇などありません」
ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)が、皮肉混じりに呟いた。
「あらあら、酷い。私は真剣なのに……。未踏領域なんて、どうでもいいじゃありませんか。あなた達が望むのであれば、もっと素晴らしいモノを用意してあげますから……。あんな穢れた世界にこだわる事自体、間違っていると思いませんか?」
エメラルドが悪びれた様子もなく、猟兵達に問いかけた。
「うるせえ、住んでる人々が別の世界に渡る術を持たない限り、その世界は望まれ、必要とされてるんじゃい。下々の者達を考えてない時点で為政者失格だよ、お・ば・あ・さ・ん」
カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)が、イラついた様子で答えを返した。
「お、お、おばあさんですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 何か勘違いをしているようですけど、私……すっごく若いんですけど! おばあさんって言われるのは、もっと先! いえ、ずっと、ずっと、先ですから!」
その途端、エメラルドがムッとした様子で、カーバンクルに反論した。
よほど、おばさんと言われたのがショックだったのか、延々と自分の若さを強調しているようだった。
「何だか、さっきから勝手な事ばかり言っているけど、俺たちの世界を滅ぼされる訳にはいかないからなぁ。このままだと、何から何まで宝石にする気でしょ?」
アイソラ・グランホエール(サイバーサイキックサイボーグ・f09631)がサイボーグの機械鎧を戦闘形態に変身させ、ゲンナリとした表情を浮かべた。
「ええ、その通りです。もっと煌びやかにスペースシップワールドを作り変えて差し上げます! ……大丈夫。私に任せておけば、素晴らしい世界になる事は間違いありません!」
エメラルドが自信満々な様子で、瞳をランランと輝かせた。
「その考えが間違っている事に、なぜ気づこうとしないのですか! そんな事をしたところで、誰も幸せにはなれないのに……。永き時を生きる先達への敬意はあれど、宇宙を手にせんとする、その野望は看過できません。騎士として、幾度でも立ち塞がらせて頂きます」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が、エメラルドの行く手を阻んだ。
「あらあら、怖い、怖い! でも、そんな事を言ってもいいんですか? これから死ぬんですよ、あなた達は……?」
エメラルドが勝ち誇った様子で、不気味な笑みを浮かべた。
例え、どんな状況であっても、猟兵達に負ける事がないと思っているのか、その言葉に迷いはなかった。
「そう簡単に倒せると思ったら大間違いですよ?」
火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)が躊躇う事なく、エメラルドをジロリと睨みつけた。
「……でしたら、試してみましょうか。一体、いつまで持つか。口だけで、即死とか嫌ですからね」
エメラルドが不気味な笑みを浮かべながら、猟兵達の顔色を窺った。
その言葉には殺意が込められており、今すぐにでも殺したいという気持ちが、嫌と言うほど伝わってきた。
「あなたもすぐに送ってあげるわ。皇帝のところにね」
そう言ってミーナ・ヴァンスタイン(聖域の守護者・f00319)が眼鏡を外し、真紅の魔眼の封印を解いた。
「あはははは、面白い。だったら、送ってもらいましょうか。ただし、あなた達にそれだけの力があれば、の話ですが……」
すぐさま、エメラルドが侵略蔵書『帝国継承規約』を使い、皇帝乗騎(インペリアル・ヴィークル)に飛び乗った。
それに応えるようにして、インペリアル・ヴィークルが地面を勢いよく蹴りつけ、猟兵達に体当たりを仕掛けてきた。
「……随分と甘く見られたものですね」
それを迎え撃つようにして、トリテレイアが重質量大型シールドを構えた。
「あははははは! そんなモノで、インペリアル・ヴィークルの攻撃が防げると思っているのですか? ならば、望み通りガラクタに変えて差し上げましょう」
エメラルドが高笑いを響かせながら、インペリアル・ヴィークルを嗾けた。
その指示に従ってインペリアル・ヴィークルが、徐々にスピードを上げていった。
「……」
だが、トリテレイアはギリギリまで避けず、不動の如くインペリアル・ヴィークルの行く手を阻んだ。
「それじゃ、あっちの世界で、皇帝によろしく伝えておいてくださいな!」
エメラルドが皮肉たっぷりの言葉を吐き、トリテレイアめがけて突っ込んだ。
「!」
次の瞬間、トリテレイアが大地を踏みつけて飛び上がり、格納銃器を乱れ撃ち、【対襲撃者行動抑制用薬剤(ノン・フレクション)】で摩擦抵抗を極限まで減らした弾丸で、インペリアル・ヴィークルの頭を撃ち抜いた。
その途端、インペリアル・ヴィークルが暴れ馬の如く飛び跳ね、エメラルドの悲鳴が辺りに響き渡った。
「ちょ、ちょっと、こんなの、だ、駄目でしょ!」
これにはエメラルドも悲鳴をあげ、あたふたとした様子で文句を言った。
(……いっそ降りてしまった方が楽になれる気もしますけど……。この様子では、気づいていないようですね)
その間に、エルシーがステルスクローク(マント状の超薄型装甲)の光学迷彩で目立たないようにしながら、インペリアル・ヴィークルの背後に回り込んだ。
「んきゃ!」
それと同時にエメラルドがインペリアル・ヴィークルから振り落とされ、ドシンと派手な音を立てて尻餅をついた。
だが、そのダメージは大きく、草葉の陰でリバースしてしまう程だった。
「あなた如きに銀河皇帝を名乗らせるわけにはいきません!」
それに合わせて、エルシーが【銀河帝国製試作兵器(デンジャラス・プロトウエポン)】を使い、試作型インペリアル・ヴィークルを呼び出した。
それは正式採用されなかった試作品ではあるものの、限界突破してリミッターが外れているため、エルラルドが操るインペリアル・ヴィークルと比べて、速度も性能も上回っていた。
「ちょ、ちょっと待って! まだ気持ちが悪いの!」
だが、エメラルドは、休憩タイム。
一生のお願いとばかりに、涙目だった。
一方、インペリアル・ヴィークルは、頭のリミッターが外れているため、ロデオマシーンの如く荒ぶり方で、猟兵達に襲い掛かってきた。
「それ以前に、制御不能のようですが……」
その事に気づいた明が、インペリアル・ヴィークルの攻撃を見切り、野生の勘と第六感を駆使してカウンターを繰り出した。
しかし、インペリアル・ヴィークルは怯む事なく、ヤバイ薬でもヤッているのではないかと思うほど、危険な目つきで再び猟兵達に襲い掛かってきた。
「あの乗騎は貴女には過ぎた物。ここで完全に破壊します」
その隙をつくようにして、トリテレイアがワイヤーアンカーを射出し、ロープワークでエメラルドを拘束すると、力任せにランスを投擲し、インペリアル・ヴィークルの身体を貫いた。
それに合わせて、エルシーが背後に回り込み、搭載火器の一斉発射乱れ撃ちで、インペリアル・ヴィークルの身体に無数の風穴を開けた。
「……相手は暴走状態。念には念を入れておきましょう」
続いて、明が【銀の流れ星(ギンノナガレボシ)】を仕掛け、銀の剣による素早い一撃で、インペリアル・ヴィークルの機能を完全に停止させ、物言わぬガラクタに変えた。
「こ、こうなったら……!」
その事に危機感を覚えたエメラルドが、自らの身体を透明にした。
「……えっ? 消えた!?」
ミラリアが信じられない様子で、自分の目を疑った。
だが、宝石の体に伝わってくる僅かな震動。
それはエメラルドが消えた訳でなく、見えなくなっている事を意味していた。
「透明になる能力。少し面倒ね」
すぐさま、ミーナがダンピールの優れた聴覚と、卓越した第六感でカバーしつつ、真実を見通す瞳でエメラルドの居場所を絞り込んだ。
エメラルドは透明になったまま逃げ出すタイミングを窺っており、今にも走り出しそうな勢いだった。
「例え、砕け散っても、私が誘き寄せましょう!」
そんな中、ミラリアが覚悟を決めた様子で、古い版の単語辞書を開き、暗号作成で作った出鱈目な呪文を唱えて、危険な雰囲気を漂わせた。
それはエメラルドが不安になるほど、おどろおどろしく、気持ちが悪くなるほど不気味であった。
(えっ? 何あれ! ひょっとして、成仏しちゃう系? 私、このまま昇天しちゃう?)
その事に動揺したエメラルドが、あたふたとし始めた。
「……あの辺かな」
それに気づいたカーバンクルが風呂に溜めた水を盛大にブチ撒け、機械仕掛けのワニから一気に電流を流した。
「あばばばばばばばばばばー!」
その途端、エメラルドが妙な声を上げ、身に纏っていた装飾品が弾け飛んだ。
「……見つけた」
それに合わせて、アイソラが念動力を使って、エメラルドの動きを封じ込めた。
「先に言っておくわ。わたしの拳は痛いわよ」
次の瞬間、ミーナが【断罪擊(ジャッジメントブロウ)】を仕掛け、高密度の魔力を込めて光り輝く拳を、エメラルドにブチ込んだ。
「んきゃ!」
その一撃を喰らったエメラルドが、間の抜けた声を上げて、透明化を解除した。
それはエメラルドの意志ではなかったが、再び自らの身体を透明化させるだけの力は残っていなかった。
「電子の海より来たれ、勇敢なる小さき群勢」
続いて、アイソラが【召喚・群れ集う群体魚(サモン・リトルフィッシュ)】を発動させ、小型の戦闘用魚群型電子精霊の群れを召喚した。
召喚された戦闘用魚群型電子精霊の群れは、エメラルドに食らいつき、バリバリと不気味な音を響かせた。
「私が手を下さなくてもいいくらい、あなたは怨まれているんですよ。選挙結果、あなたは落選。票数も足りないようですので……選挙費用は命で払っていただきます」
それと同時に、カーバンクルが【集団心理(ミンナデワタレバコワクナイ)】で、召喚した大量の群衆を模した幻影でエメラルドを囲み、罵声の幻聴と、大量の石を模した魔法の弾で攻撃した。
「おばあさん!」
「おばあさん!」
「おじいさん!」
それはエメラルドの心と身体を傷つけ、恐怖と絶望の中、ヒビ割れ、砕け散った。
その途端、エメラルドの首が勢いよく転がり落ちたが、それでも口がパクパクと動いていた。
『私は御婆さんではない』と……。
ましてや『御爺さんでもない』と……。
そう訴えたかったようだが、その口から漏れたのは、エメラルド自身の魂であった。
そして、エメラルドの首は不満げな表情を浮かべたまま、木っ端微塵に砕け散った。
大成功
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