迷宮災厄戦⑱-17〜反転鏡像
「オウガ・オリジンが新たな形態を披露したよ! 『鏡のラビリンス』に変身したオウガ・オリジンを撃破してほしい!」
翡翠色のドレス姿のグリモア猟兵、シスカはグリモアベースに集まった猟兵達にそう呼びかけた。
戦争中様々な姿へと変化してきたオウガ・オリジンだが、今度はなんと不思議の国一つ分はあろうかという、巨大の鏡の迷宮に変化したらしい。
「もちろん単なる迷路じゃない。この迷宮に足を踏み入れると、鏡から猟兵のそっくりさんが召喚されて攻撃してくるんだ。
鏡映しだから外見は本当にそっくりだけど、鏡像なので姿は左右対称だよ。あと、性格も『正反対』みたい」
オウガ・オリジンが召喚する『鏡写しの私』は猟兵自身と全く同じ能力を持つ厄介な敵だ。
しかし、その性格はオリジナルとは真逆のものとなる。
慈悲深く、聖者のように愛に溢れた者であれば、残忍で冷酷な悪魔のような自分が。
上品な平和主義者であれば、真逆の、下品で好戦的な性格の鏡像が召喚される。
もしかしたら逆のパターンもあるかもしれないが。
「互角の力量を持つ鏡像は強敵だけど、性格や左右が入れ替わっている所に付け目があるかもしれない。なんとか攻略法を見つけ出してほしい。ある程度の人数が鏡像を破壊できれば、鏡のラビリンスが崩れて変身しているオウガ・オリジンもたおせるはずだ」
鏡の国で繰り広げられる自分との戦い。苦戦が予想されるが、必ず付け入る隙はあるはずだ。
「オウガ・オリジンを完全に倒すまでは戦争は終わらない。みんなの力でアリスラビリンスの平和を取り戻そう! じゃあ頼んだよ!」
大熊猫
こんにちは。大熊猫です。オブリビオン・フォーミュラ戦ですが、集団敵フラグメントの依頼となります。オウガ・オリジンによって召喚された自身の鏡像を撃破しましょう。
●連携について
シナリオの性質上、今回はいわゆる野良連携は発生しません。リプレイでの描写もグループ参加の場合を除いて一人ずつお返しする形になります。
合わせプレイングの場合は対戦相手を仲間同士で入れ替えたり、連携攻撃で攻略してもOKです。
●ユーベルコードについて
判定には選択ユーベルコードを使用しますが、プレイング上の合理性があれば複数のユーベルコードを使用するのは別に構いません。
●プレイングボーナス
「鏡写しの私」を攻略する。
●文字数省略用記号
アドリブ歓迎→☆、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。童話っぽい文体で→♯。
●合わせプレイングについて
グループ参加の場合は、迷子防止の為プレイング冒頭にグループ名をご記載下さい。3名以上の場合はどなたか合計人数をご記載頂けると助かります。
●プレイング受付について
オープニング公開時からシステム的に閉まるまで受付いたします。リプレイ執筆開始は木曜日の予定です。
※全採用は確約できません。また、採用は先着順ではありません。
以上です。皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『「鏡写しの私」と戦う』
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POW : 「姿が左右対称」「性格が正反対」だけならば、戦闘力は同じ筈。真正面から戦う
SPD : 「姿が左右対称」である事を利用して、攻略の糸口を見つけ出す
WIZ : 「性格が正反対」である事を利用して、攻略の糸口を見つけ出す
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒影・兵庫
俺の正反対の性格...なら敵は虫さんだけに戦わせて自分は高みの見物ですかね
(「腹立つ!そんな奴のために命かけないわよ!アタシ!」と頭の中の教導虫が憤る)
そうか!敵の脳内でせんせーも性格が反転してるはず!
ならば...
『オーラ防御』壁で身を護り『限界突破』レベルまで高めた『第六感』での予測による攻撃の回避と『呪詛』と『浄化』を付与した『衝撃波』での迎撃、さらに『ダンス』して挑発すれば
敵は苛つき責任の押し付け合いで敵の脳内で大喧嘩が勃発するはず!
その隙にUC【蠢く霊】を発動し
霊体状態の強襲兵さんに『目立たない』ように
敵の死角に回り込んでいただき
俺と強襲兵さんで挟み撃ちにしましょう!
●似て非なるもの
黒影・兵庫が鏡のラビリンスに足を踏み入れると、近くにあった鏡の中からぬっと、鏡映しの黒影が姿を現した。その姿は左右が逆ながらも、黒影と瓜二つだ。
「こいつが俺のコピー……」
(気を付けなさい、アタシもコピーされてるはずよ)
脳内に宿る教導虫……「せんせー」が黒影へと警告を発した。
「はい、せんせー!」
黒影は破砕警棒を油断なく構え、コピーと正面から向き合う。自分達の複製ならば、実力も互角のはずだ。黒影が慎重に様子を伺っていると――。
「行け! 強襲兵虫共よ!」
コピーは黒影と同じ破砕警棒を振りかざし、霊体化した鋼鉄をも噛砕する羽虫達をけしかけてきた。
「くっ!」
黒影はオーラの防壁で全身を包み、虫たちの強襲に必死に耐える。
食い破られそうになるたび、オーラを補填して必死に防壁を維持しつつ、浄化の力を籠めた破砕警棒で虫達を次々と迎撃していく。
だが、しばらくして、違和感に気付いた。
(俺のコピーが攻撃に参加してこない?)
黒影のコピーは虫達をけしかけた後、自分は呑気に後方で腕組みをしていた。
(虫さんたちをけしかけて、自分は高みの見物か!)
自分ならば絶対にやらない戦い方だ。黒影は虫の群れと共に戦う戦士だが、虫たちの力を借りている身だ。自分だけ安全圏で見ているなんて考えられない。
(腹立つ! そんな奴のために命かけないわよ! アタシ!)
黒影の頭の中で教導虫も憤っている。コピーの卑劣な戦い方は、彼女も腹に据えかねたらしい。
(そうか! 敵の脳内でせんせーも性格が反転してるはず! ならば…)
ゴウッ!
羽虫の群れの攻撃を第六感で予測し、ひらりと回避した黒影は破砕警棒を渾身の力で突き出し、衝撃波で羽虫を一気に吹き飛ばし、後方で待機しているコピーに攻撃を仕掛けた。
「あがっ!?」
油断しきっていたコピーは防御が間に合わず、衝撃波の直撃を受けて額から血を流した。
「へいへーい! 俺たちのコピーの割には大したことないね!」
黒影はワイルドに手と尻を振り、愉快なダンスでコピーを挑発した。
(ちょっと! 何やってんの! 完全に舐められてるじゃないの!)
「うるせえ! アンタの采配が悪いんだろ!」
たちまち、黒影コピーの脳内でコピーと教導虫の大喧嘩が勃発した。
二人は脳内で醜い責任の押し付け合いをしているらしい。
「今だ! せんせー! 虫さんたち、行きますッ!」
完全にコピーの動きが止まった隙を突き、黒影は目立たぬように霊体化した強襲兵羽虫達を召喚した。虫達には死角に回り込んでもらい、自身は一直線にコピーに攻撃を仕掛けた。
(ちょっと、敵が来てるわよ! 囲まれてる!)
「何ッ!? しまっ……! 逃げ場がねえ! ぎゃああああああ!」
黒影の一撃にコピーの頭部を吹き飛ばされ、コピーはあえなく消滅し――。
ビシィッ!
ラビリンスの鏡に、一筋の亀裂が入った。
成功
🔵🔵🔴
アリス・セカンドカラー
◎#
私の反転だと?大人の包容力をもって、天使の如き慈悲深さで、寄生させてくれる存在?何その自称ミュージシャンのヒモにカモられてそうな存在は……私も養って♡
あー、反転した私いいかも。よし、シャーマンとして心通わせて“なかよし”になりま……ばち?え、なになにエッチなのはいけないと思います、おしおきが必要ですね?あ、まってまってその神罰はまずいから、浄化されちゃうー!
(反転アリスの秘跡により邪な心が浄化されました。何ということでしょう、あれ程煩悩にまみれていたアリスがキレイなアリスに)
破壊の衝動が消えた反転アリスと煩悩が消えたキレイなアリスはお互いの秘跡により“なかよし”になりました。めでたし?
●貴女と二人で
あるところに、アリス・セカンドカラーという名の美しい少女がおりました。
少女はおとぎ話のヒロインのような可憐な容姿をしておりましたが、中身はけっこうヘンタ……。アレでした。
アリスはある日、鏡の国で鏡映しの自分と出会いました……。
「我が映し身よ。私の愛で貴女を癒しましょう」
アリスの反転鏡像は柔らかな微笑みを浮かべ、両手を広げて言いました。
「私の反転だと? 大人の包容力をもって、天使の如き慈悲深さで、寄生させてくれる存在? 何その自称ミュージシャンのヒモにカモられてそうな存在は……私も養って♡」
アリスは聖母のようなオーラを醸し出す自分の反転鏡像を見て、うっとりと言いました。
「我が映し身よ。あなたがそれを望むのならば、私はそれを受け入れましょう」
反転アリスは穏やかに言いました。少女のような幼い外見にも関わらず、圧倒的な包容力です。
きゅん♡
そのギャップに、アリスは色々昂りました。
「あー、反転した私いいかも。よし、シャーマンとして心通わせて……」
反転鏡像を倒すのではなく、お持ち帰りしたくなったアリスは、シャーマンとしての力を発動しました。
彼女はオブリビオンと心を通わせることで、お友達になれる不思議な力を持っているのです。
ブゥンブゥンブゥンブゥン……。
アリスは反転鏡像に向けて、オブリビオンの破壊衝動のみを攻撃する精神波を放ちました。
「はうっ!」
これで反転アリスはもう、『オブリビオン』ではありません。もはや退治する必要はないのです。
「さあ、私と”なかよし”になりま……」
バチィッ!
その時、二人の間に稲妻が走りました。
「我が映し身よ。貴女の心が私の中に流れこんできました。エッチなのはいけないと思います! おしおきが必要ですね」
どうやら、アリスのいけない妄想がユーベルコードを通じて反転アリスに流れ込んでしまったようです。
アリスとは違い、見た目通りの貞淑な淑女である反転アリスは、猟兵の行く手を阻むオブリビオンとしてではなく、新たな「友」としてアリスにおしおきを決意しました。
バチチチチチチチッ!
「我が映し身よ、貴女の悪しき心を清めましょう。神罰を受けるのです!」
「あ、まってまってその神罰はまずいから、浄化されちゃうー!」
ピシャー! ゴロゴロゴロゴロ!
アリスは反転アリスの放った稲妻に打たれました。
何ということでしょう、あれ程煩悩にまみれていたアリスは、キレイなアリスになってしまいました!
「あら? なんだか心が澄み渡っているわ。まるで悟りを開いたような……」
「さあ、共に歩みましょう。我が映し身よ。いやらしいことはいけませんよ」
「ええ、いやらしいことはよくないわ」
二人のアリスはしっかりと手を繋ぎました。
こうして、破壊の衝動が消えた反転アリスと煩悩が消えたキレイなアリスは、お互いの秘跡により“なかよし”になりました。
めでたし、めでたし?
成功
🔵🔵🔴
エアリーネ・シルベンスタイン
◎
私の、反対……
声が大きくて、気が強くて、一方熱中すると周りが見えなくなったりしない?
……ちょっと「後、家が汚部屋じゃなく浪費癖もなくついでに外道でもない」ってどういうことですか……?
前二つはともかく最後、私が外道って言いたいんですか……?
ああもう、すごくむっとしますし、何よりうるさいです……
人道がどうの倫理がどうのとわたしを外道畜生みたいに……
……少し、黙っていてください。
【フィールドサイレンス】を発動、そしてうるさいアレに対し
粛清の光や黙らせる(物理)の合間に「武器落とし+盗み攻撃」で相手の武器道具全て取り上げもう騒げないよう
黙 ら せ ま す
嫌がらせという意味では大成功ですねまったく……
●リバース
「私の、反対……」
エアリーネ・シルベンスタインは鏡の中から出現した鏡像をまじまじと見る。
「声が大きくて、気が強くて、一方熱中すると周りが見えなくなったりしない?」
ぽつりと呟く。自分の性格の特徴を裏返しにすれば、そんな感じだろうか。
「後、家が汚部屋じゃなく浪費癖もなくついでに外道でもない」
エアリーネの言葉に被せるように、エアリーネの反転鏡像は大きな声で言った。
「ちょっと、どういうことですか……? 前二つはともかく最後、私が外道って言いたいんですか……?」
エアリーネは鏡像に対し語気を荒げた。最後の一つだけは聞き捨てならない。
「そうよ! あなたの生き方は人道に背いているわ! 倫理観が壊れているのよ! だいたい……」
反転鏡像はびしりとエアリーネに指を突き付け、ドヤ顔で説教を始めた。エアリーネと同じ声で。
「ああもう、すごくむっとしますし、何よりうるさいです……。人道がどうの倫理がどうのとわたしを外道畜生みたいに……」
反転鏡像のご高説を聞かされ、エアリーネは急速に腹が立ってきた。
「……少し、黙っていてください」
パアアッ。
エアリーネの苛立ちに呼応し、光と共に数十体の天使が現れる。彼らはエアリーネがやかましいと思ったものを粛清する範囲静寂魔法の使徒達だ。
「ちょっ……。まだ私の話は終わって……。あとそれ静寂魔法じゃなくて物」
「黙 ら せ ま す」
カッ!
天使達の放った粛清の光が、反転鏡像を包み込む。
光に紛れ、一瞬にして反転鏡像の元に踏み込んだエアリーネはロッドで鏡像の武器を叩き落した。
バキドカボクッ! ビシビシビシッ! ドゴォ!
数十体の天使達は反転鏡像を袋叩きにし、物理的に黙らせた。エアリーネの苛立ちを体現するかのように、天使達の動きは絶好調だった。
エアリーネは地面に倒れた反転鏡像から身ぐるみを剥いで無力化しつつ(金目のものをガメたともいう)、溜息を吐いた。
「嫌がらせという意味では大成功ですねまったく……」
ピシ。
また一人鏡像が倒されたことで、迷宮の鏡にひびが入った。
大成功
🔵🔵🔵
アルファ・ユニ
正反対ってなに、愛を軽視する尻軽ぶりっ子女でも出てくるっていうの?
姿が反転してるって言っても見た目はほぼユニなんだし…不愉快なんだけど
ユニが時の魔術を使えるのは想いの力があってこそ
魔術の知識量は同じかもしれないけどユニの体にある魔力量は元々少ない、"想いを込めた"時計から力を借りてるの
UCで時魔力を軸に据えたトンファーによる近接攻撃を仕掛ける
精霊でも応戦してくるだろうから、それは読み合い少しでも有利に精霊同士でぶつけて
時間停止による瞬間移動や老朽化によるステージ破壊、長く続けていればあっちの魔力が先に枯渇する筈。そこを突きたい
強く深く1人を愛すことも、それを求めたことも無さそうだね
可哀想に
◎
●不協和音
「正反対ってなに、愛を軽視する尻軽ぶりっ子女でも出てくるっていうの?」
アルファ・ユニがずかずかと鏡のラビリンスに足を踏み入れると、ユニの反転鏡像が光と共に鏡の中から姿を現した。
「はーい! 私ユニでーす! よろしくね♡」
反転ユニは登場と共に、キラッと左手で横ピースを決めた。
「姿が反転してるって言っても見た目はほぼユニなんだし……。不愉快なんだけど」
反転ユニのあざとすぎる振る舞いに、ユニはたちまち不機嫌になった。
「終わらせるよ。──スケジュールが詰まってるんだ。『刻限指揮』(テンポブレイカー)」
さっさと終わらせよう。ユニはユーベルコードを発動し、魔力を籠めたトンファーで反転鏡像へと殴り掛かった。
ギュルルルルルル!
トンファ―に注ぎ込まれた魔力が時の流れを加速させる。ユニのトンファーは常識を遥かに超えたスピードで回転し、円の軌跡を描いた。
「よーし★ 私だって!」
鏡像もユニを真似、同じようにトンファーを魔力で加速させる。
(ユニが時の魔術を使えるのは想いの力があってこそ。魔術の知識量は同じかもしれないけど、ユニの体にある魔力量は元々少ない、"想いを込めた"時計から力を借りてるの)
ガィンガィン!
ユニのトンファ―が反転ユニのトンファーがぶつかり合い、硬質の金属音を奏でる。
殴り合いでは決着がつかないと見た反転ユニは、精霊サムヒギンで牽制を仕掛けてきた。精霊での攻撃を呼んでいたユニは同じようにサムヒギンをけしかけ、攻撃を相殺した。
時間を止めて敵の背後に回る。敵にはこちらが瞬間移動したように見えるはず。しかし、ギリギリで躱された。
今度は向こうが瞬間移動してきた。ユニは命中寸前に一瞬だけ時を飛び越え、トンファーの一撃をやり過ごす。
ユニと反転ユニは何度も時を操り、互いの隙を突こうと激しく打ち合った。
――戦いは長引いたが、先に魔力が枯渇したのは反転ユニの方だった。
キィン!
猛スピードで唸るユニのトンファーが反転ユニの後頭部を捉え、ついに反転ユニは倒れて動かなくなった。
消えていく鏡像を見下ろしながら、ユニは呟く。
「強く深く1人を愛すことも、それを求めたことも無さそうだね。可哀想に」
成功
🔵🔵🔴
浅葱・シアラ
☆
鏡よ鏡
それは己を映す鏡面の幻
映るのは、私であって私じゃない
「真面目で大人しい、内気で臆病な私」の鏡像は、
「不真面目で落ち着きのない、誰よりもでしゃばりな私」
だからこそ、手に取るようにわかるんですよ、貴女の対策が
私のように後ろで魔法を使ったりしない
貴女は絶対に前に出て直接攻撃を仕掛けてくる
確かに、フェアリーの私にとって何よりもそれは脅威なもの
だけど!前しか見えていないんですよ、貴女!
「エレメンタル・ファンタジア」発動!
【闇属性】と【吹き付ける突風】を融合!
包むような闇の突風が、気付かぬうちに貴女を切り刻む!
間に合いませんよ、いくら速くても、私の【高速詠唱】
貴女が一番その恐ろしさを知ってるでしょ
●幻を乗り越えて
「鏡よ鏡。それは己を映す鏡面の幻。映るのは、私であって私じゃない」
呟きながら、浅葱・シアラは鏡の中から出現した己の姿と向かい合う。
「貴女が私の映し身ね。シアラ、絶対負けないんだから!」
鏡像の自分はシアラを嘲るように、ひらひらと不規則に周囲を飛び回っている。
この敵はシアラと同じ姿。左右対称になっていること以外は、シアラとそっくりだ。
けれど、その内面は決定的に異なっている。
(「真面目で大人しい、内気で臆病な私」の鏡像は、「不真面目で落ち着きのない、誰よりもでしゃばりな私」だ)
だからこそ、シアラには反転した自分の対策が手に取るようにわかる。
恐らく鏡像は自分のように後ろから魔法を撃ったりはしない。
きっと反転した自分が仕掛けてくる攻撃は――。
「えいっ!」
ヒュンッ!
反転シアラは両手でシアラの全長ほどもある大剣を抜き、シアラへと躍りかかってきた。
(やっぱり!)
確かに、白兵戦はフェアリーのシアラにとって何よりも脅威なもの。
「だけど! 前しか見えていないんですよ、貴女!」
シアラは短く「闇」と「吹き抜ける突風」の呪文を複合詠唱する。
高速詠唱の達人たるシアラの詠唱は、間合いに入った剣士の攻撃速度をも上回っていた。
『エレメンタル・ファンタジア!』
『エレメンタル・ファンタジア!』
シアラは反転シアラの剣が自身に触れるより速く、『エレメンタル・ファンタジア』を何度も発動した。
闇を孕んだ吹き抜けるような突風が、前後左右から反転シアラに迫る!
「きゃあっ!」
精緻に制御された黒い風の刃は反転シアラの全身を切り刻んでいく。
反転シアラが気づいた時には、すでにその身は黒い風の檻の中だ。
鏡像は慌てて自身も風の魔法を使い、闇の風を吹き飛ばそうとするが――。
「間に合いませんよ、いくら速くても、私の高速詠唱。貴女が一番その恐ろしさを知ってるでしょ」
それも読んでいたシアラはすでに詠唱を終えていた魔法をぶつけ、反転シアラの風を掻き消した。
「きゃああああ―――!」
悲鳴だけを残し、反転シアラは本物に一矢報いることなく、闇の中に消えていった。
ピシッ。
ラビリンスの鏡に、また一つ亀裂が生まれた。
成功
🔵🔵🔴
夢幻・天魔
◎
※厨二であれば全てご自由に
ククク……最強のこの俺が反転すれば、即ち最弱となる
フハハハハハ!! 最早勝負にもなるまい! 蹂躙してやろうではないか!
※最強は自称しているだけなので、相手は別に最弱では無い
※スーパー厨二病の反対で、鏡像は自信の無い現実主義者になります
フッ……そんなザマでどう戦おうというのだ?
せめて一撃の下に葬るのが慈悲というものか……
最弱の俺よ、消え失せろ!
シャイニング・ノヴァ!!
※『異世界での最強にして無敵なる伝説的な俺』で
かつて異世界で常闇の女帝を倒した(と言う設定の)太陽の戦士へと変身
灼熱の火球で全てを滅する
※妄想を信じるほど強くなるUCなので、この相手の性格ではクソ弱くなる
●最強VS最弱
「ククク……。最強のこの俺が反転すれば、即ち最弱となる。フハハハハハ!! 最早勝負にもなるまい! 蹂躙してやろうではないか!」
鏡のラビリンスに高笑いが響く。
己が鏡像を前に哄笑している男の名は、夢幻・天魔と言った。
「自分との戦いか。嫌な相手だなあ……。勝てるかなあ……」
自身なさげに呟く反転鏡像。スーパー厨二病患者の天魔とは正反対に、反転鏡像はひどく気弱なようだ。
なお、天魔の「最強」は自称であり、オウガ・オリジンの反転鏡像は「性格」は反転しても、肉体に宿る「性能」自体は互角である。しかしー―。
「行くぞッ! この一撃、躱せるかッ!」
天魔の力は自身を最強無敵と信じる精神力(もうそう)を根源とする力。自分を信じられない鏡像に勝ち目などない!
天魔は究極神剣『リヒト・ドゥンケルハイト』を振りかぶり、己の鏡像へと叩きつけた。
反転鏡像は天魔の剣を受け止めるが、気持ちで既に負けている鏡像の力は弱弱しく、あっさりと地面に叩きつけられた。
「くっ……! さすがは僕……! つ、強い……!」
「フッ……そんなザマでどう戦おうというのだ?」
天魔は大仰なポーズで髪を掻き上げ、倒れ伏した分身を見下ろした。その姿はまるで発展途上の勇者を蹴散らす魔王のようだ。
断っておくが、やられている方がオブリビオンである。
「くっ……!」
反転鏡像は剣を支えにしてよろよろと起き上がった。
「せめて一撃の下に葬るのが慈悲というものか……」
天魔は呟くと、右腕を天へと掲げた。
「フハハハハ!! 冥土の土産だ! かつての俺が異世界で【常闇の女帝】を倒した最強の力を見せてやろう!!!」
天魔は太陽の戦士へと姿を変え、灼熱の大火球を掌に生み出した。
なお、彼が「異世界で常闇の女帝を倒した」というのは彼の脳内設定である。
「なんて凄まじい大火球……! 僕も同じ技で相殺を……! ダメだ、僕にはできない! 僕にそんな過去なんて無い!」
現実主義者である天魔の反転鏡像は、自身が異世界転生したかつての勇者であるなどと信じることはできなかった。
「最弱の俺よ、消え失せろ! シャイニング・ノヴァ!!」
ゴオオオオオオッ!
「うわああああああああああああ!!」
天魔は灼熱の大火球を解き放ち、鏡像を跡形もなく焼き尽くした。
パキパキパキパキパキィン!
「ぎゃあああああああ!」
オウガ・オリジンの断末魔の叫びが鏡の国に響く。猟兵達の手で全ての反転鏡像を退けられたことで、オウガ・オリジンはもはや鏡の国を維持できなくなったのだ。
「フッ……やはり俺の方が王として格上だったようだな、オウガ・オリジン」
クソ雑魚へなちょこコピーとの戦いしかしていないとはいえ、オウガ・オリジンを破ったことには変わりはない。
天魔はオブリビオン・フォーミュラを撃破したことに満足しつつ、崩壊しつつある鏡の国から立ち去るのであった。
大成功
🔵🔵🔵