迷宮災厄戦⑱-17〜バトル・オブ・ミラー・イメージ
「8月もそろそろ下旬やけど……猟書家の戦力削りも順調やね」
と言いながら、各務・瞳子(七彩の聴き手・f02599)の表情は些か複雑か。
「オウガ・オリジン2回目のパワーアップや。前回で、猟書家の真似っ子が出来るようになって……今回は、色々と面白い、もとい、厄介な世界を創り出したようや」
現実改変ユーベルコードを駆使した『オウガ・オリジン』は、不思議の国ひとつ分はあろうかという、広大な「鏡のラビリンス」そのものに変身したのだとか。
「で、ラビリンスに侵入した猟兵の『鏡写しの私(そっくりさん)』を召喚して、攻撃してくるって寸法やね」
既に制圧されている「過ぎ去りし日の闘技場」では、猟兵の「昨日の姿」と戦わなければならなかったが、今回の相手は『鏡写しの私』。
「鏡写しなだけあって、猟兵本人と能力は全く同じなんやけど……『姿が左右対称』で『性格が正反対』なんやって」
つまり、「自分と正反対の自分を攻略する」必要がある。
「上手い事『鏡写しの私』が斃されていけば、鏡のラビリンスも崩壊して、オウガ・オリジンも倒せるっちゅう訳や」
『鏡写しの私』に対する解釈も様々あろう。
「姿が左右対称」「性格が正反対」なら戦闘力は同等だと、真正面から戦うも良し。
「姿が左右対称」である事に着目して、速攻で攻略するも良し。
「性格が正反対」である事を利用して、策を巡らせるも良し。
「『何処か別の自分』と戦う物語も色々あるけど、ホンマ、色んなバリエーションがあるんやなぁ……そしたら、仕度が整った猟兵さんから転送していくさかい、今回も頑張ってな!」
柊透胡
こんにちは、柊透胡です。
『迷宮災厄戦』10作目。オウガ・オリジンとの対決であり、『鏡写しの私』との戦いです。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「迷宮災厄戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
本シナリオは「⑱-17『オウガ・オリジン』と鏡の私」です。
『オウガ・オリジン』が、現実改変ユーベルコードで広大な「鏡のラビリンス」そのものに変身しました。ラビリンスに侵入した猟兵の「鏡写しの私(そっくりさん)」を召喚して、攻撃してきます。
鏡写しの姿は本人(猟兵)と全く同じ能力を持っていますが、「姿が左右対称」で「性格が正反対」です。
この「鏡写しの私」が倒されいくと鏡のラビリンスも崩壊し、引いてはオウガ・オリジンを倒せる事になる訳です。
●プレイングボーナス
このシナリオには、下記の特別な「プレイングボーナス」があります。これに基づく行動をすると、良い結果を得られる確率が大幅に上昇します。
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プレイングボーナス……「鏡写しの私」を攻略する。
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それでは、皆さんの熱いプレイングをお待ちしています。
第1章 冒険
『「鏡写しの私」と戦う』
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POW : 「姿が左右対称」「性格が正反対」だけならば、戦闘力は同じ筈。真正面から戦う
SPD : 「姿が左右対称」である事を利用して、攻略の糸口を見つけ出す
WIZ : 「性格が正反対」である事を利用して、攻略の糸口を見つけ出す
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――鏡のラビリンスは、オウガ・オリジンそのもの。
現れる敵は――「鏡写しの私」。
本人と全く同じ能力を持ちながら、「姿が左右対称」で「性格が正反対」。
似て非なる、ミラーイメージ。
レイ・アイオライト
嘘でしょ……あたしの正反対とか死にたくなるんだけど。
逆ってことは、あたしと違って清楚で、臆病で、正々堂々で、相手へのリスペクトを忘れない上品なお嬢様みたいな……(自分で言ってて悲しくなってくる。そして敵を見て羞恥MAX)
その顔で上品な動作やめてくれない!?本当に死にたくなるからやめなさいよ!?
臆病で警戒心もあんまりないなら、あたしが魔刀で脅してるところで【朧ナル潜影ノ従僕】を使って真後ろから『暗殺』を試みるわ。……とは言っても、こっちの戦い方はあっちも知ってるはず。
背後から暗殺すると見せかけて後ろへ振り向いたところを、あたし自身で『目立たない・暗殺』するわ。
……いや、本当に早く消えて。本当に。
「嘘でしょ……」
唖然の呈の呟きが、レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)から零れる。
(「あたしと正反対の性格とか……」)
清楚で、臆病で、正々堂々で、相手へのリスペクトを忘れない、上品なお嬢様みたいな……自ら挙げ連ねるだけ、悲しくなってくる。
「……」
その姿は、左右対称であるだけだが……元より潜影ノ衣は、素早く動くべく肌に密着するデザインだ。
「……」
スタイルが露になる装束が恥ずかしいのか、鏡像は頬をうっすらと染めてもじもじと。
「その顔で恥らうとか止めてくれない!? 本当に死にたくなるから!?」
居たたまれない。思わず魔刀・篠突ク雨を抜刀し、脅すように突き付けるレイ。
「…………」
怯えて泣きそうな表情に、更に怒鳴り付けそうになるのも我慢我慢。既に「朧ナル潜影ノ従僕」は、鏡像の死角に転移しているだろう。このまま、真後ろから暗殺してしまえば。
「後ろ、気をつけたほうがいいわよ」
「……っ!?」
鏡像が振り返ったのは、レイの言葉に応じたのか、或いは……一応は、周囲を警戒していたのか。
(「こっちの戦い方は、あっちも知ってる筈なんだし」)
後者であって欲しくはあるが、そうだとしてもまだ読みが甘い。すかさず、雷竜真銀鋼糸が煌めくや――一閃が首を切断する。
「……いや、本当に早く消えて。本当に」
心底、切実なる懇願であった。
成功
🔵🔵🔴
馬県・義透
四人で一人の悪霊。生前は戦友。
第一『疾き者』忍者
一人称:私 のほほんだが…?
対応武器:漆黒風
左右対称ということは、相手は主に左手で投擲してきますよねー。
ただねぇ、性格…反転してもろくなことにならないんですよー。
あんた、『鬼』の冷徹になりきれない熱血漢だ。
だからこそ、一手が遅れる。それを利用させてもらう。
私は死角からの攻撃も容赦なくする。
さて、『鏡写しの私』は、それができるか?おそらく、できない。
…三人に出会う前。ある意味、昔々に『なりたかった私』なんですよねー彼。
忍者ではなく、武士になりたかった、がむしゃらに前へ進める。
まあ、とっくの昔に諦めましたけど。
それに、今は吹っ切れましたからー。
表に顕れたのは、第一の『疾き者』。
(「左右対称ということは……ああ、確かに左で投擲してきますよねー」)
鏡像が放った棒手裏剣の軌道は、確かに左手からの方向だ。小さく頭を振る馬県・義透(多重人格者の悪霊・f28057)。
(「ただねぇ、性格は……反転しても、ろくなことにならないんですよー」)
義透の正体は、4人で1人の悪霊。『疾き者』は、唯一の忍びだ。そして、がむしゃらに前へ進める武士になりたかった。
(「……3人に出会う前。昔々に『なりたかった私』なんですよねー、ある意味」)
――――!!
何処か真っ直ぐな攻撃を躱し、義透は躊躇いなく鏡像の死角へと回り込む。
「あんた、『鬼』の冷徹になりきれない熱血漢だ」
「……!」
静かな指摘に、息を呑む音。同時、漆黒が風を切る。
「まあ、とっくの昔に諦めましたけど、私は」
癒えない傷は、呪詛と化す。『鬼』は一撃で引導を渡しながら、何処か惚けた風に笑みを浮かべる。
「それに、今は吹っ切れましたからー」
成功
🔵🔵🔴
一ノ瀬・千智
連携アドリブ歓迎。
POWで判定するぜ。
…姿が左右対称で性格が反転、ねぇ。
自分で言うのも何だが、何とかなるだろ、これ。
とりあえず余裕を持った態度で向かうぜ。
そして現れたら【希望剣】を発現。
…ぶっちゃけ俺の反対の性格とか戦闘向けじゃなくね?と思うわけで。
無手なら間合いを離して【希望剣】を伸ばして間合いに入れさせないようにする。
UCまで同じもんを使ってくるなら、ドスを効かせつつ【怪力】でがっつんがっつん打ちあうぜ。
その際、相手に心を折る勢いで怒号を飛ばして委縮させようとするぜ。
気分はスパルタ指導員だな。
【希望剣】は能力に疑念を抱くと大きく弱体化する。
その性質までコピーしてんならこれで行けるだろ。
「……姿が左右対称で性格が反転、ねぇ」
鏡のラビリンスを歩きながら、一ノ瀬・千智(エスペランサ・f19318)は独りごちる。
「ま、何とかなるだろ」
正反対の性格なら、戦闘向けじゃないだろうと思うから。
(「自分で言うのも何だけど」)
荒っぽい性質なのは自覚がある。粗暴の反対は、柔和。だから、態度にも余裕が出るというもの。
果たして、通路の向こうに現れたのは――パジャマの合わせが逆の幼げな少女。ちなみに、そう指摘されるのは、18歳の千智にとって相当腹立たしい。
「我が思い描く、希望の剣っ!」
すぐさま、希望剣を発動する千智。鏡像は無手だ。このまま伸縮自在の間合いで――。
『我が思い描く、希望の剣っ!』
鏡像も又、同様の剣を創造する。そう言えば、能力は全く同じだった。鏡像も、千智のユーベルコードは使えるのだ。
だが、千智は怯まない。
「そんなナマクラ、俺に通用するかよ!」
やはり幼さ残る声でドスを利かせても、客観的にはあんまり怖くはない。だが、キッと強気に睨み付け、少女の外見に違う膂力でがっつんがっつん打ち込めば。
「ハンッ! ピィピィ泣けば、俺が許すとでも思ってんのか!」
穏やかで優しく、きっと荒事には程遠い、そんな性格なら案の定。今にも泣き出しそうな鏡像の表情に、千智は更に追い込む怒声を上げる。
(「気分はスパルタ指導員だな」)
正しく、心を折る勢いで――希望剣は無敵の剣。だが、疑念を抱けば大幅に弱体化する。
「……ヒッ!?」
委縮したような及び腰に容赦なく踏み込み、千智は大上段から剛撃を振り下ろす。
――――!!
軟な手応えの希望剣ごと、鏡像を叩き斬った。
成功
🔵🔵🔴
禍神塚・鏡吾
技能:呪殺弾、演技、逃げ足、地形の利用、闇に紛れる、迷彩、時間稼ぎ、だまし討ち、ハッキング
私の性格の正反対というと……小細工は使わず、逃げ隠れせず、正面から挑んで来るのでしょうか
普段の自分が、いかに卑怯な戦い方をしているかがよくわかります、はい
ともかく、まずは正面から戦います
そっくりさんがUCを使ったら戦意を失った風を装って姿見の中に逃げ込む……と見せかけて、その近くで身を隠します
相手は姿見に飛び込むか、姿見を攻撃するか。いずれにしても時間は稼げる筈
その隙に相手のUCをハッキングして、逆に攻撃させましょう
元々自分のデバイスと同じ物を使っているのですから、セキュリティなどあって無きがごとしです
(「私の性格の正反対というと……」)
――小細工は使わず、逃げ隠れもせず、挑むのも真正面から。
(「普段の自分が、如何に卑怯な戦い方をしているかがよくわかります、はい」)
禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)の常の笑顔に、苦さが混じるのも致し方ないか。
ともあれ、最初は逃げも隠れもせず、鏡のラビリンスを往く鏡吾。そうして、遭遇した鏡合わせの鏡吾は、周囲に無数の鏡を浮かべるや、声高らかに詠唱する。
――鏡は光を集め、光は熱を呼び、熱は刃となる。
(「アルキメデスの鏡か!」)
案の定、鏡の反射光を集めた熱線が奔る。鏡の通路ならば、単純に逃げても、彼方此方に反射して大変な事になりそうだ。
「これは、拙いですね!」
敢えて声を張り、慌てた風で姿見を取り出す鏡吾。
「大丈夫、ジャバウォックはいませんし!」
鏡像ならば、鏡の国に通じる「アリスの姿見」なるユーベルコードも把握しているだろう。戦意喪失の呈で姿を消せば、鏡像も姿見に飛び込むか、或いは攻撃するか。
(「まあ、私は『外』にいますけど」)
ミラーハウスめいた鏡のラビリンスは、数多の死角が生じる幻惑の空間。鏡合わせの狭間に身を潜め、鏡吾は「電子の鏡界」を取り出す。
(「さて、ユーベルコードをハッキング出来るか、という話になりますが」)
鏡吾は咎人殺しである一方、電脳魔術にも通じている。ハッキングだって、それなりに。
(「鏡像は、私のデバイスと同じ物を使っているのですから……セキュリティなど、あって無きが如しですね」)
警戒の面持ちで姿見に近付く鏡像を後目に、電脳世界に干渉する鏡吾。
――――!
果たして、エレクトロレギオンを召喚するや、鏡像の背後からだまし討ち。圧倒的物量で圧殺した。
成功
🔵🔵🔴
プリンセラ・プリンセス
連携・アドリブ可
性格が正反対であるならば元気で前向きでアクティブで、でもそれは虚勢で、そんな自分となるはず。
であるならば虚勢を張るために真正面から来るに違いない。
収納魔法から取り出すのは影響がびっしり書かれたノート
筆記詠唱:数時間
ずっと聞いていたイヤホンから流れてくるのは詠唱の呪文
MP3プレイヤーを利用した多重詠唱兼機械詠唱:数時間
●高速詠唱による口頭詠唱
身振り手振りによる動作詠唱
これら全ての詠唱時間をつぎ込んだ皇竜閃燼黒光破を放つ
無論、●演技で詠唱失敗したかに見せかけ充分に●おびき寄せ●だまし討ちで放つ。
「私もそうなりたかったのかもしれません」
数多くの兄や姉に愛された末姫は、淑やかにして何処か受動的。そして、実はおてんばで。
(「性格が正反対であるならば……元気で前向きでアクティブ、でもそれは虚勢で、という自分となるはず」)
故に、プリンセラ・プリンセス(Fly Baby Fly・f01272)は確信する。鏡像は、虚勢を張る為に真正面から来るに違いない、と。
「来ましたね」
果たして、鏡の通路の向こうに現れた鏡像を遠目に、プリンセラが『収納』魔法を解除して取り出したのは、分厚いノート。
「ボルト・レード・ペック・ラスタ 朱焔の竜よ吼え哮れ 覇王の契約の元に 全て……全て、あら?」
そうして、声高に詠唱した呪文は途中で途切れ、慌てたように口を抑えるプリンセラ。
鏡像も、ユーベルコードは把握していよう。皇家に伝わるその魔法は、詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する。故に、詠唱失敗したプリンセラの様子に、鏡像は勝ち誇った笑みさえ浮かべて近付いてくる――。
――ボルト・レード・ペック・ラスタ 朱焔の竜よ吼え哮れ 覇王の契約の元に 全て灼き滅ぼす黒炎を纏い 我が剣となりて全ての敵を絶ち斬れ
それがよもや、真っ向から破壊光線を浴びせられようとは。
さり気なく、プリンセラが開いていた分厚いノートには、実に数時間掛けた詠唱の文言が、びっしりと書き連ねられている。
更には、MP3プレイヤーを利用した多重詠唱兼機械詠唱も数時間――ずっと、イヤホン越しに呪文を流し続けてきた。
プリンセラ・プリンセス――剣と魔法の世界に生まれた姫君は、異世界の文明の利器をも駆使して、奇襲を果たす。
それは、界渡る猟兵ならではの戦い方であったかもしれない。
元気で前向きでアクティブで――そんな鏡像の裏を掻く形で、勝利を収めたプリンセラ。
「けれど、私も……そうなりたかったのかもしれません」
小さく吐息を零し、瞑目した。
成功
🔵🔵🔴
アルゲディ・シュタインボック
まぁ、美人がいるわ…
え、私なの? ふふ、トーゼンよね!(謙遜しない)
あらやだ、何オドオドしてんのよ
まさかビビってる?
何と言うか、ウジウジしてるの見てると自分と同じ姿だけに余計に腹立たしいわね
やるなら来なさいよ、もう!
(往復ビンタやら杖で打つとかヒールで踏むとか容赦なく)
まぁ、喜んでるの!?
信じらんない!
けど私も何だか快感覚えてる自分を否定出来ないわ
さぁ、地面に這いつくばって私の真似をした大いなる罪を悔やむが良いわ!
(ドSで容赦ない自信家エルフに対して、ドMで自信の無い臆病陰気な鏡像が出現した模様)
…あれ?
ってことは私はあの逆ってコトよね
どーいう事なのかしら…
まぁ私は強い女って事にしときましょ
「まぁ、美人がいるわ……」
艶やかな金髪、柔らかな緑の瞳、白皙の肌。金刺繍が美しい純白のローブを纏い、水晶球煌めく護杖を握り締める。左右のバランスは真逆であるが、傍から見れば良家の御令嬢、或いは淑やかなクレリックか。
「え、あれって私なの? ふふ、トーゼンよね!」
鏡像の様子も誇らしげに、大いに胸を張るアルゲディ・シュタインボック(白金の癒杖・f03929)。謙遜を美徳としない、それが彼女だ。
「……あらやだ、何オドオドしてんのよ」
だが、すぐに不満そうに眉根を寄せた。
「まさか、ビビってる?」
基本黙ってないし、エルフだけど思い切り世間擦れしているし。良くも悪くも自分に正直、好き嫌いも明確で喜怒哀楽も豊かなら、行動も言葉も直情径行。
そんな性格の真逆なら、ねぇ……?
「何と言うか……自分と同じ姿だけに、余計に腹立たしいわね」
だんまりのまま、アルゲディからオドオドと目を逸らす鏡像は、ウジウジと三つ編みの先を弄っている。
案の定、アルゲディは切れた。
「やるなら来なさいよ、もう!」
ツカツカと詰め寄るや、音高く往復ビンタ。実は鈍器として最適の聖霊の護杖で殴り倒し、ハイヒールでグリグリと踏みにじる。
「まぁ、喜んでるの!? 信じらんない!」
足下で、何処か恍惚と頬染める鏡像の表情に、怖気を振うアルゲディ。一方で、何だかパチリとピースが合ったような、阿吽の呼吸の心地好さも否定出来ない。
「さぁ、地面に這いつくばって、私の真似をした大いなる罪を悔やむが良いわ!」
――数分後。
アルゲディはすっきりさっぱりした表情で仁王立ち。勿論、鏡像もすっきりさっぱり消滅している。
(「……あれ? 私、あの逆ってコトよね。どーいう事なのかしら……」)
ぶっちゃけてしまえば――ドSで容赦ない自信家エルフに対して、ドMで自信の無い臆病陰気な鏡像が出現したというお話。
不思議そうに小首を傾げるのも束の間。すぐ気を取り直した彼女は、崩れ出した鏡のラビリンスを歩き出す。
「まぁ、私は強い女って事にしときましょ」
瓦解した鏡の欠片を踏み越え、意気揚々と帰還した。
成功
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