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蒐集者の鐘が鳴る

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 ――その鐘の音が鳴り響く時、新たな骸を生むために亡者の戦士が現れる。

 その周辺の村々では、そう言い伝えられていた。実際に数年に一度、森の奥にある時計塔の鐘がなり、亡者の戦士が姿を現している。
 抗おうとする者もいた。しかし、それは新たな骸にされるだけだった。
 逃げ出そうとする者もいた。しかし、この世界はヴァンパイアによって支配される地。逃げ場など、どこにもなかった。
 だからこそ、人々は鐘の音に怯えて暮らすしか無かった。この世界に、闇の眷属以外が生きる場所は、あまりにも少ないのだから。

 前回、鐘の音が鳴ったのは三年前――次の鐘が鳴る日が、迫っていた……。

「往生集め『エルシーク』、それがあの時計塔を支配するオブリビオンの名じゃ」
 オブリビオンの犠牲となった者の遺体、遺品を蒐集するオブリビオンであると、ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は猟兵達に説明する。だからこその、時計塔なのだ、と。
「時計塔の鐘に対して、どう反応するか? エルシークはそれを見ておるんじゃよ。絶望の中で、仲間を助けようと戦う者の遺体こそを、あの時計塔のエルシークは好むらしい」
 だからこそ鐘を鳴らす、知らせるのだ。脅威が迫る中で、どう対応するのか? その中で自分が蒐集するのにふさわしい遺体を作り出すのである。
「――とはいえ、こっちが待ってやる言われはないのぅ。拠点がわかっておるなら、攻めるまでよ」
 髭を撫でながら、ガングランは言い切る。エルシークが最上階に住む時計塔は、全部で十階。八階まではスケルトンやさまざまなトラップが、侵入者を排除する。
「九階におるのは、エルシークが作成した亡者の戦士どもじゃ。ヤツめ、蒐集した遺体で戦士を作り、更に次の遺体を手に入れておるのじゃ」
 まずは、九階に至るまで。時計塔を攻略する必要がある。何にせよ、敵の本拠地に乗り込むのだから、準備と覚悟が必要だ。
「思い知らせてやるがよい。時計塔の鐘とは絶望を教えるものではなく、時を告げるものじゃとな」


波多野志郎
救いのない救いの話が大好きです。どうも、波多野志郎にございます。
今回はダークセイヴァー世界で、オブリビオンが潜む時計塔へと挑んでいただきます。

まずは、トラップやスケルトンが蔓延る時計塔攻略となります。



次に鐘が告げるのは希望か絶望か、皆様のご参加を心よりお待ちいたしております。
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第1章 冒険 『時計塔』

POW   :    大胆に進む

SPD   :    慎重に進む

WIZ   :    アイテムを活用

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヘンリエッタ・モリアーティ
【WIZ】(共闘、アドリブ歓迎です)

――時計塔。懐かしい、な。私の世界にもあった。
……忌々しさはどこでも同じ、ね。
だめだめ、気を取り直して……し、集中して……【親愛なる右腕】で【モラン】を召喚します。
私の手のひらに乗るくらいの大きさ、彼に先導を任せます。
この先トラップがないとも限らない、から。
危ないところがないかどうか【第六感】を私が働かせます。
もし、何かあった時のために【パラサイト・フレンド】は手に纏っておいたほうが、いいかな……。

大丈夫、……大丈夫、できる。まだ、【私】のままで、歩ける、から。
時計塔には、時計塔らしく働いていただかないと、ね。


ラッセル・ベイ
ふん、随分と悪趣味な奴がいた物だ。全く以て腹立たしい
生前も死後も人を玩具の様に扱いおって……断じて許さんぞ
私の武具達よ。邪悪を滅ぼす為、力を貸してくれ

●冒険(WIZ)
蔓延る敵はスケルトンか
ならば神聖属性の「聖杖セイント」の出番だ
塔に入る前に、神聖ポーションをセイントに付与して属性攻撃力を更に上げて置こう

塔内のトラップには「地盾グラウンド」での盾受けと見切りで対応
攻撃時は『ライフスティーラー』による神聖属性の光線を放つ
死者に生命は有らず。生命力吸収は出来ぬが、スケルトンを浄化する事は容易かろう
疲労が溜まってきたらセイントを用いて回復魔法も使い、何としてでも突破するぞ


宇冠・由
お母様(f00173)と参加

「ミイラ取りがミイラ、酷いはなしです……」
一気に9階まで駆け抜けたいところですが、相手も長年の準備をしているはず
でしたらこちらも相応の準備と覚悟が必要となりますわ

【十六夜月】で狼たちを召喚。その嗅覚と聴覚、索敵能力は頼りになります
そして私の燃える身体で暗所もばっちり。ランタン替わりです
闇に閉ざされたこの世界、光に対してのトラップがあるかもしれません、ですが私はブレイズキャリバー。炎はすぐに再生いたしますし、いざとなれば炎のオーラで防御しますの


宇冠・龍
由(f01211)と参加

過去は未来へと進むための糧なのです、過去の亡者が未来を奪っていいわけがありません
なにより死霊術士として放ってはおけません

「脅威が迫る中でどう対応するか、なるほど。でしたら私たち猟兵が“相手にとっての鐘の音”となりましょう」
より強い脅威が迫ることで、一体十階に居座る相手はどのような気持ちで座して待つのか

相手は狡猾で慎重深い相手でしょう、階層ごとに特異な罠があると見ます
【枯木竜吟】を各階層ごと使用し、その階を知りうる霊を召喚します
霊なら罠の位置、伏兵の位置が分かるでしょうし、隠し通路や階段等も教えてくれます

もしかしたら敵の首領のことも知っているかもしれませんがどうでしょう


金剛・狂
絶望の中で死んでいった遺体を集めるとか、悪趣味な奴っすね
こういったオブリビオンの考える事は理解できないっす
まあ、よろしくない事をやってるといのは私的には確定なので
ぶっ飛ばすのみっすよ!
絶望なんかしてやるもんか!

なんか色々仕掛けがありそうな時計塔っすね
大胆に行き過ぎても危ないし、
慎重に行き過ぎても遅くなると思うので
真ん中くらいで行きましょう
姿を隠す必要があれば【Shere With Us】で透明化しちゃうっす
誰かひとり巻き添えできちゃうので、必要とあらば使うっすよ
ちょっと疲れますけどね


聖護院・カプラ
【WIZ】
このような行い、オブリビオンの仕業以外にないでしょうね。
往生集め『エルシーク』。
人の機微を伺い、知る事ができながら……。

行いを改めさせるにしろ、浄化するにしろ、時計塔の主の元へ向かわねばならないでしょう。
私は石橋を叩いて進む程に慎重を期してみましょう。
スケルトンに対しては『存在感』を用いて『円相光』を放つ事で動きを止めやりすごし、
罠に関しては10フィート程度の長さの棒が入手できれば、階段を突いて調べながら進みましょう。

スケルトンに他の猟兵の方が手古摺っているようなら私が足止めを担いましょう。
後からすぐに追いつきますから、この場は私にお任せください。


パラス・アテナ
……正直、トラップ解除や探索は得意じゃないんだよ。
誰しも得手不得手はあるもんさ。
これだけ人数が揃ってるんだ。探索する猟兵の護衛にでも回って、さっさと上層階へと上がろうじゃないか。

トラップを探索する猟兵の邪魔にならないように、後方に控えさせてもらうよ。
その代り、周囲への警戒は怠らないね。
スケルトンが出てきたら、【クイックドロウ】【2回攻撃】で速攻片付けようかね。
腰骨と頭を撃ち抜きゃ、立ち上がれないだろうよ。
ついでにトラップも観察しとこうかね。
素人目で分かることがあったら、探索連中に声を掛けるよ。

相変わらずダークセイヴァーは救えないね。
小さな一手だが、夜明けのために一肌脱いでやろうじゃないか。


ヴィゴ・ストーム
時の流れに怯えながら過ごさなければならないなんて、想像するだけで辛い日々です。
穏やかな変化や成長を喜ばしく感じられる日々へと変える為に、精一杯努めたいと思います。

【SPD】
床や壁、天井など視認出来る範囲は、色の違いや汚れ、苔等の有無など不自然なところがないか確認しながら進みます。
罠と思しき箇所には印をつけて他の猟兵へも報せ、広範囲なら別の道を探し、狭い部位なら避けて通るようにします。

また足音や声などに注意を払い、敵の存在に気を配ります。
遭遇した場合は不用意に近寄らず、誘き寄せて倒します。

他の猟兵の方とは協力し合って進みたいと思います。
皆で希望を告げる鐘の音を鳴らしましょう。


夜暮・白
屋根まで飛び上がってから鐘のところまで降りたかったけど…… 届きそうにないなぁ。普通に登ろう。遺体があるらしいし、冥福をお祈りしてから入ります。

前にトラップが発動した痕跡がないか、変なところから隙間風が入ってこないか、妙なにおいがしないか、慎重に情報収集しながら忍び足で進もう。
地形の利用もしつつ進めるところはバウンドボディを使った跳躍も使うよ。あとは野生の勘頼りで避けるけど、もし仕掛けやスケルトンが向かってきたらダガーや当て身で応戦します。

村人が来ててケガしてたら、生まれながらの光を使おうと思ってるけど。3年前以前の助からなかった人しかいないんだろうな。もう増やさせないようにしなくちゃ。


クラム・ライゼン
……クッッソ悪趣味極めてるっすね。
ダークセイヴァーの災魔…じゃなかった。
オブリビオンはこんなんばっかっすか?
少なくとも、誰かのために戦おうとしたヒトは
死体になるために立ち上がった訳じゃねーっすよ!

・探索
恥ずかしながらトラップ対策はあんまり詳しくねーんすよね…。
周りの精霊たちに手伝って貰って
罠っぽいトコは避けて通る感じで何とかしたいなぁ


・戦闘
「現実再編。各種要請を承認…以下省略!ーー顕言。『光あれ!』」
スケルトン出現時は《追随する光精》使用。
〈高速詠唱〉〈全力魔法〉併用
複数ターゲットに取れるなら巻き込んで広範囲にばら撒く感じ

ユベコ以外の攻撃はディア(ドラゴンランス)かルフェ(短剣型ロッド)で行う


十六夜・月
罠や突然の敵襲に備えながら慎重に行動します。
できる限りコードBlue spell [Stella]を使い
トラップ、敵を見つけていきます
「『not.SANE five fimeless words』・・・危険因子の発見は任せてね~
できる限り支援するわ。」
私の今回の目的は先行支援。メインで戦うだろう仲間の
疲労をできる限り内容にすることである。



●時計塔は、ただそこに
 森の奥、そこに件の時計塔はある。一番近い集落からでも、徒歩では一日はかかる距離だ。その距離こそが、周辺の人々がどれだけ時計塔を恐れ、忌避してきたかを表していた。
「――時計塔。懐かしい、な。私の世界にもあった……忌々しさはどこでも同じ、ね」
 ヘンリエッタ・モリアーティ(獣の夢・f07026)は、ボソリとこぼす。10階というが、一階一階が高いのだろう。塔の高さは、かなりのものだった。森の中にあるため、時計の確認も難しい――本末転倒のような時計塔だ。
「屋根まで飛び上がってから鐘のところまで降りたかったけど…… 届きそうにないなぁ」
 夜暮・白(燈導師見習・f05471)は塔を見上げ、呟いた。その高さに加えて、上の方には窓がない。これは、意図したものだろうが。
「普通に登ろうか」
「行きましょう――not.SANE five fimeless words……危険因子の発見は任せてね~。できる限り支援するわ」
 十六夜・月(自由気ままなダンピール・f12574)は、目の前の扉に手を伸ばしかけ、止めた。十秒後、開けようとした扉に高圧電流が流れる罠がしかけられていたからだ。
「入り口からっすか……」
 呆れたのは、クラム・ライゼン(つぎはぎフリークス・f02003)だ。恥ずかしながらトラップ対策もあまり詳しくない自覚はあるが、そんなクラムでは入り口にしかけるというのはそう耳にするものではなかった。
「なら、こうするかね」
 パラス・アテナ(サトラレ・f10709)は、クイックドロウで熱光線を扉へ撃ち込む。一発、二発、三発――たっぷりと十を超える熱光線を叩き込むと、扉自体を蹴破った。
 閉鎖されて長いのだろう、内側から埃を含んだ風が吹き出してくる。そして、中の光景を見て、ラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)が言い捨てた。
「ふん、随分と悪趣味な奴がいた物だ。全く以て腹立たしい」
 中に踏み入って、猟兵達はソレを見上げた。それは、フロアの中心に立てられた骸骨で造られた全長三メートルを超える十字架だ。ご丁寧に上下反対の逆十字にしている事に、意味があるのかどうか。
「……クッッソ悪趣味極めてるっすね。ダークセイヴァーの災魔…じゃなかった。オブリビオンはこんなんばっかっすか? 少なくとも、誰かのために戦おうとしたヒトは死体になるために立ち上がった訳じゃねーっすよ!」
 クラムがこみ上げる感情のまま、吐き捨てた。命の価値だとか、生死の意味だとか、理屈など意味を持たない。ただ、内側から溢れる感情が目の前の光景を否定していた。
 ふと、逆十字の骨の中に、子供どころか赤子のものだろう頭蓋骨を見つけ、ラッセルも眉をしかめた。
「生前も死後も人を玩具の様に扱いおって……断じて許さんぞ」
「このような行い、オブリビオンの仕業以外にないでしょうね。往生集め『エルシーク』。人の機微を伺い、知る事ができながら……」
 聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)は、ただ真っ直ぐに逆十字を見た。意味はない、のだろうとカプラは察する。意味がない行為にこそ、きっと人は絶望しただろう――往生集め『エルシーク』は、そこを理解して行なっているのだ。
「時の流れに怯えながら過ごさなければならないなんて、想像するだけで辛い日々です。穏やかな変化や成長を喜ばしく感じられる日々へと変える為に、精一杯努めましょう」
 こんなオブリビオンが潜んでいる場所で生きる人々を、救わなくてはならない。ヴィゴ・ストーム(緑風浪・f09453)の言葉に、金剛・狂(は砕けない・f09749)が言った。
「よろしくない事をやってるといのは私的には確定なので、ぶっ飛ばすのみっすよ! 絶望なんかしてやるもんか!」

●行く手を死が阻む
「ミイラ取りがミイラ、酷いはなしです……」
 宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)の言葉に、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は小さく首を横に振った。
「過去は未来へと進むための糧なのです、過去の亡者が未来を奪っていいわけがありません。なにより死霊術士として放ってはおけません」
 宙に浮かぶ由は、龍の視線を追う。視線は上、天井の先にいるだろうオブリビオンへ向けられていた。
「脅威が迫る中でどう対応するか、なるほど。でしたら私たち猟兵が“相手にとっての鐘の音”となりましょう」
 一体、どんな気持ちでオブリビオンが十階で待っているのか? それを問いただすためには、十階へたどり着かなくてはならない。
「私に力を貸して」
 体内から炎を吹き出しながら、由は歴戦の狼達の群れを召喚。時計塔の内部へと、解き放っていく。そして、ヘンリエッタも片手を虚空へ差し出した。
「だめだめ、気を取り直して……し、集中して……」
 深呼吸を一つ、ヘンリエッタは優しく言葉を投げかける。
「いい子だわ、モラン。――私に、すべて教えなさい」
 現れたのは、ヘンリエッタの手に乗るサイズの飼い竜、モランだ。モランと五感を共有しながら、ヘンリエッタは歩き始めた。
「……む?」
 階段を一段一段、10フィート程度の長さの棒で確認しながら進んでいたカプラが動きを止める。
「危ない!」
 カプラの声に、ヴィゴが動いた。すかさず赤心を抜き放ち、自身に迫った大量の仕掛け矢を弾いたのだ。
「……? この音は――!」
 ヴィゴが、かすかに聞こえた音に息を飲む。物音に気を配っていなければ、聞き逃したかもしれない異音。からん、という軽い音に、即座にヴィゴが振り向いた。

「スケルトンです!」

 ヴィゴの言う通り、そこには頭を持たない、上半身だけのスケルトンがいた。だが、このスケルトンがどこから現れたのか? そのからくりを、実際に目にしていたパラスが舌打ち混じりに言った。
「仕掛け矢に、骨を仕込むとはね!」
 ――そう、もしもあの仕掛け矢を不注意にも受けていれば、そこに集まった骨が上半身だけのスケルトンとなり拘束していたのだ。骨、という事実だけを突き詰めた悪質な罠だ。
 パラスは、熱線銃を撃ち込み素早く上半身だけのスケルトンを駆逐する。しかし、パラスは銃口を下げなかった。
「次が来るよ! どこだい!?」
「――上です!」
 モランが感知して、ヘンリエッタが伝える。抑え込んだのなら、確実に殺しに来る――ならば、追加の戦力がいるはずだ。そのパラスの予想は的中した。
 槍を持ったスケルトンが三体、上から振ってくる。そのスケルトンをまず迎え撃ったのは、ラッセルだ。
「私の武具達よ。邪悪を滅ぼす為、力を貸してくれ」
 前に出たラッセルは、地盾グラウンドを頭上に掲げスケルトン達の槍を受け止める! ギギン! と火花を散らして受け流したラッセルは、聖杖セイントを掲げた。
「セイントよ。聖光を以て、私に仇なす者達の命を奪い尽くせ」
 放たれるのは、神聖属性の生命力を吸収する無数の光線だ。ラッセルのライフスティーラーに撃ち砕かれ、スケルトンの一体が崩れ落ちる。そこへ、クラムが右手をかざした。
「現実再編。各種要請を承認……以下省略! ――顕言。『光あれ!』」
 ヒュガ! とクラムの追随する光精(フィルギャ)が、光属性の魔法の矢となって降り注いだ。二体のスケルトンは後退する事で逃れようとするが、不規則な軌道を取った魔法の矢は追尾、背骨と頭蓋骨を正確に破壊した。
「……ここは、これで終わりみたいね」
「ここは、ですか」
 月の言葉に、抜きかけていたダガーを白は戻す。確かに、この時計塔は招かれざる客を歓迎していないらしい。猟兵達は、その事をしっかりと理解した。

●暗闇と漆黒の死
「待ってください」
 由の言葉に、猟兵達は足を止めた。階数はすでに七階までに来ているが、ここまで数多くの罠があった。こちらの足を止める物から、かかれば最後命を取ってくる物。実に殺意の高い、仕掛けの数々だったが……。
「七階は、部屋が真っ暗みたいです」
「そうみたいね」
 由が歴戦の狼達から読み取った情報を口にすると、月がBlue spell [Stella](ステラ)によって自分の視界が効かなくなるという事実を感知し同意する。
「あ、私の燃える身体で暗所もばっちり、ランタン替わりになります」
「便利なのね」
 狂は年下の由にそう微笑みかけると、由の方も小さく炎を揺らして喜んだ。そのやり取りを龍は優しい瞳で眺め、ふとそれに気付いた。
「……あら?」

 ――そして、準備を終えた猟兵達は七階へと踏み込む。地獄の炎で暗闇を照らす由を中心に、完全に密閉された室内を進んでいこうとした。
 この部屋は、他の罠よりも悪意に満ちた仕掛けがあった。それは、完全な暗闇の中で漆黒に染められたスケルトンが潜んでいるというものだ。ランタンや明かりがあれば脅威ではない、そう考えるだろう。だが、その悪意は思考の死角を付くものであった。

「……そう、あなたはそこにいるのね?」

 龍は、そう抱きかかえていた五つくらいの少女へと問いかける。それに、少女はコクリとうなずいた。
 枯木竜吟(コボクリョウギン)――触れた物質の思念や記憶を読み取った霊を出現させる、死霊使いである龍のユーベルコード。龍が拾った黒く染められた骨に宿っていた少女の霊こそが、この場に潜む悪夢の正体だ。
 すなわち、子供のスケルトンの群れ。それが、この部屋に潜んでいたのだ。ランタンは基本的に手に持つか腰に下げる、その高さを中心に光源が広がるため低い位置が死角になりやすいからだ。

「止めなさい」

 カプラが後光を放ち、その存在感に子供のスケルトン達がビクリと一瞬止まる。それを見て、バウンドボディの跳躍で高く跳んだ白がダガーで斬りかかっていった。
「ドォラララララララララララララララ!」
 そして、Shere With Us(シェアウィズアス)によって透明化していた狂が、聖拳(スティグマ)によってスケルトン達を破壊していった。あまりも軽く、脆い感触。その子供達の痛みを、狂は確かにその拳に刻んでいった。
「……わたしがみんなの分まで、ぶん殴ってやるからね」
 狂の言葉に、龍の腕の中にいた少女がコクリとうなずき、消えていく。最後に甘えるようにすり寄ってきた少女をしっかりと抱きしめ、龍は見送った。
「おやすみなさい。もう、苦しくないですからね」
「ええ、そのために僕達は来たのですから」
 子供達に黙祷を捧げ、白は目を開ける。もしも鐘がなれば、この子達のような犠牲者が増えるのだ……それは、決して許してはいけない。猟兵としてだけではなく、心ある生者として、だ。
 パラスは、鋭い視線で呟いた。
「相変わらずダークセイヴァーは救えないね。小さな一手だが、夜明けのために一肌脱いでやろうじゃないか」
「ええ、私たち猟兵が“相手にとっての鐘の音”となりましょう」
 龍の言葉には、強い決意がある。それは、この場にいた猟兵達も同じ想いだ。それだけのものを、ここまで見て来たのだから。

 猟兵達は、罠を踏み越えて先へ進む。そして、ついに時計塔の九階へとたどり着くのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『朱殷の隷属戦士』

POW   :    慟哭のフレイル
【闇の力と血が染付いたフレイル】が命中した対象に対し、高威力高命中の【血から滲み出る、心に直接響く犠牲者の慟哭】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    血濡れの盾刃
【表面に棘を備えた盾を前面に構えての突進】による素早い一撃を放つ。また、【盾以外の武器を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    裏切りの弾丸
【マスケット銃より放った魔を封じる銀の弾丸】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●勇気あるモノたちの末路
 九階は、往生集め『エルシーク』の作品置場だ。ただし、ここまでの道のりにいたスケルトンは廃品利用であったなら、ここにあるのは優れた材料から作った傑作だ。

 すなわち、戦う力と意志を持った死体から作った、朱殷の隷属戦士達だ。

 この亡者達は、時がくれば再び材料を集めるために狩りに出される。その時、この傑作達は、かつて愛し守ろうとした者達をその手で殺す事になるだろう。
 ――それがいい。それこそが、いい。亡者に愛はいらない、必要なのは妄執だけだ。自らの手で大事な者を踏みにじったとなれば、その魂も悲痛の涙を流すだろう。

 ああ、もうすぐだ。『私』の傑作達よ。その身ならず、その魂まで汚すその日は近いぞ……?
宇冠・龍
由(f01211)と参加

目の前にいる隷属戦士達、今は変わり果てた姿かもしれません
しかしかつては願いを救いを胸に塔まで足を運んだ勇者たち。その想いを踏みにじり弄ぶ塔の主は許してはなりません

地面や壁をそっと手でなぞると感じます
「ここには、無数の願いと叫び、そして無念がこびり付いています」

愛する者を自らの手でかけるよりも前に、その行いを止められるように助力をします
さきほど拾った「黒く染められた骨」、そしてこの塔に眠るかつての勇者たちの呪詛、その想いを【談天雕竜】にて解き放ちます
百にも及ぶ犠牲者の霊と、その装備を召喚し迎撃

自分自身の身体ですもの、戦い方やクセは本人がよく知っているでしょう


宇冠・由
お母様(f00173)と参加

私は他の方々をかばう盾となり、反撃のチャンスや大技までの時間稼ぎを行います
ただでさえ薄暗い戦場、燃える私は目を引くでしょうし、光源を潰す意味でも私から狙われる可能性が高いですもの

「さぁさぁ、あなた方の攻撃はその程度なのですか? 生前のほうがよっぽど強かったのでなくて? それとも、作ったお方が出来損ないだったのかしら!?」
挑発しながら戦場を舞い、味方への死角をつくります

この身体全てが地獄の炎、フレイルに付いた血は蒸発し、銀の弾丸は燃え尽きますわ
たとえこの身が傷つき欠損しても、ブレイズキャリバーの能力ですぐさま再生し、【七草繁縷】で逆に相手の動きを止めて見せます


ラッセル・ベイ
何と痛ましい姿か……
せめてもの慈悲だ。今すぐに束縛から解放してやる

「炎剣フラム」に火炎ポーションを付与し、火炎属性の威力を向上
「エレメントリング」と「ルーン辞書」も使って威力を極限まで引き出す
後は暗黒耐性ポーションを飲んで置こう
……さあ行くぞ

フラムよ、君の真の力を見せてくれ
【フラムブラスト】……鋼すら容易く溶かす炎、そして私の剣技
受けようとしても無駄だ、その鉄盾ごと肉体を焼き払ってくれる

……彼らの攻撃から絶望の慟哭が響いてくるな
暗黒耐性を得ている上、グラウンドの防御で軽減はしている
それでも尚、重い一撃だ
……「スティールアイ」で彼らから属性を抽出しよう
[復讐属性]、最後の戦いで必ず役に立つだろう


聖護院・カプラ
【POW】
この隷属戦士達……嗚呼、堪えますね。
フレイルの威力に、ではありません。
彼ら犠牲者の慟哭の声に私が嘆きと哀しみを覚えたのです。

亡者に愛は必要ないとでも言うのでしょうか。
否を返しましょう。
ヒトは生まれその身朽ち果てる時まで愛されているのだと。

隷属戦士にせめてもの手向けの言葉をこの『経法』で唱えます。
まだ貴方達は自らの意志を慟哭という形で伝える事ができる。
まだ貴方達の魂は汚れきってはいない。
まだ輪廻転生のループに戻る事ができるのです。

この階層を超えた先に居るエルシークの行い、必ずや改めてみせましょう。


ヘンリエッタ・モリアーティ
【WIZ】
傑作たちのお披露目というわけね……!
死んでまで使われる必要なんて、ない……あなた達の気持ちが嘘になる前に、――冒涜される前に、還してあげる。
本当に、悪趣味な主だこと……!

【謎を喰らう触手の群れ】で彼らの相手をします、弾丸が恐ろしいわね。
当たらないよう【見切り】、または腰からUDCの触手を伸ばしてで受けるしかないけど――、痛みがあるとよく「狗たち」は「吠える」から、出来れば、おとなしくやられて……!

この人たちは、ただただ、愛する人のために戦っただけなのに……無残に辱められて――いいえ、違うわねきっと。
このシチュエーションが「愉しい」のでしょうね、捕食者(オブリビオン)は。


ヴィゴ・ストーム
悪趣味にも程があります。
哀れにも利用され弄ばれる亡者の怨讐、ここで必ず断ち切ってみせます。

大切な人を傷つけることになってもいいんですか、等と亡者達へ声をかけながら戦います。
かつての人の心をわずかでも呼び覚まし、非道な業に抗ってほしいと願います。
悪虐の手先としてではなく、最期まで勇気を示した人として眠らせてあげたい。
もし彼らが穢れているというなら、僕達が祓います。

攻撃は長剣で行います。
敵の攻撃も長剣で受け、カウンターに繋げられるように。
他の猟兵の方が怪我をしたり狙われている場合は庇い、無敵城塞を発動して盾になります。

助けられなくてごめんなさい。
せめて亡骸だけ、魂だけでも、一緒に村へ帰りましょう。


クラム・ライゼン
【WIS】
…さっきの子たち、家の弟妹より年下だったかな。
別にさ、あの子たちは悪いことしたわけじゃないんだろ。
……なんで死ななきゃいけなかったんだよ。
…泣いてない。泣いてないからな!
「ーー頼むぜ。ルフェ。ディア。この人たちを止めて、それで…てっぺんでニヤついてるクソ野郎をぶっ倒そう」


・戦闘/ユーベルコード
《追随する光精》使用。
〈高速詠唱〉〈全力魔法〉併用
光属性の魔法矢を投射して攻撃
複数ターゲットに取れるなら巻き込んで広範囲にばら撒く感じ

・ユーベルコード以外の攻撃は主にディア(ドラゴンランス)で攻撃(〈薙ぎ払い〉〈串刺し〉
至近距離まで接近されたらルフェ(短剣型ロッド)で攻撃する


パラス・アテナ
鉄の塊かい
アタシの銃とは相性が悪いんだよ
見たところ鎧に継ぎ目も無さそうだし、攻撃は打撃の得意な連中に任せて、ここでも援護に回らせて貰うよ

作品置場なら、ラックくらいあるだろう
隷属戦士の動きをよく見て、進行方向にあるラックの足元へ【弾幕】を張るね
倒れたラックに足を取られて倒れたらしめたもの
仲間の猟兵に合図して一斉攻撃といこうか

「チャンスを逃すんじゃないよ!」

もし天井に大仰なシャンデリアでもありゃ、その鎖を狙って落として足を止めるね
足を止めたら攻撃に参加だ。【2回攻撃】で鎧の一点を狙って連射だ

「憎しみの連鎖を止めてやろうじゃないか。これは慈悲だよ、受け取りな」

傲慢な物言いだが、アタシは生来傲慢なのさ


十六夜・月
私のすることは、前回とあまり変わらない・・・
あくまでも、味方の援護、補助をすることだ。

[第六感][見切り][戦闘知識][野生の感]、コード【Blue spell [Stella]】
を使い攻撃を察知、皆に教えて優位に戦闘ができれば・・・
「強い攻撃が来るわ、みんな気を付けて!」

しかし、時には1人で対処しなければならないときもあるだろう。
その時は自分の有するできる限りの手段[早業][カウンター][2回攻撃]
で対処しなければ。単なる足れまといにならないように


夜暮・白
村の人たちを待ち構えていたんだよね。そんな悲しい日は来させない。

相手は重武装だし前に出るのはキツいな。後方で物陰を利用しながら攻撃を避けつつ、【生まれながらの光】でケガした人を回復しよう。この力は疲労するから目立ちたくないし、忍び足で駆け寄るよ。驚かせちゃったらごめんなさい。
もし近くに朱殷の戦士がいたら【バウンドボディ】で体当たりして、フレイルの軌道を変えたりマスケット銃を奪えたりしないか試してみよう。

この世界で安心してなんて言えないけど…… 君たちも過去になる時が来たよ。どうか、安らかに。


ガーネット・グレイローズ
隷属の戦士。……そうか、彼らが件の亡者の戦士というわけか。

あの盾の突進は厄介だな。距離を取りながら戦うか。
基本は〈念動力〉で鋼糸を駆使しての中距離戦。複数人からの突進は
見切りが困難なので、特に背部からの突撃には
〈第六感〉を働かせて対処。
ブレードワイヤーで足元をなぎ払い、盾のカバー範囲外を
狙って攻撃。フレイルのリーチに負けないように〈武器落とし〉で鎖を切断していく。
その大盾、かなり頑丈にできているようだな。
正面からの攻撃は通じにくそうだ。ならば……。

『打ち付けろ』
の声とともに、刀に宿った膨大な殺気を放出。
上段に構えた刀を振り下ろすと同時に、〈呪詛〉から
生み出した斬撃の雨を頭上から降らせてやろう。


金剛・狂
アンデェェェェッド!!!
なんでこうも趣味が悪いのでしょう。もう見てらんないっすね
プンプンです!
しかし、相手が死体ということなら、もしかしたら…
この光り輝く拳には癒しの力もあります
アンデッドに回復系が効くのは定番ですよね?ね?
【Shine On You】で光り輝く拳でぶっ飛ばしてやります
一切合切、何もかも、その柵すら吹き飛ばす
それが私の輝く拳です(ビシィっと謎のポーズを取りつつ)



●隷属の亡者
 八階から螺旋階段を登っていく。宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は、薄汚れた壁を触れて呟いた。
「ここには、無数の願いと叫び、そして無念がこびり付いています」
 よく見れば、壁には引っ掻いたような跡もあった。上に連れられていくのを拒んだ誰かの、文字通り爪痕だった。
 階段の行き止まり、扉を開けるとそこはただ広いだけの空間だった。そして十階に行く階段を守るように、血塗られた鎧を身にまとった亡者の群れが待ち構えていた。
「隷属の戦士。……そうか、彼らが件の亡者の戦士というわけか」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は、小さく呟く。
「ア、ア……ア……」
 ガシャリ、と動き出した朱殷の隷属戦士に、夜暮・白(燈導師見習・f05471)は身構えた。
「村の人たちを待ち構えていたんだよね。そんな悲しい日は来させない」
 白の目から見て、この亡者達の動きには意志は感じられない。まるで、プログラムされたようにしか動けない機械のような、全員が同じ動きをしている。だと言うのに、呻き声はバラバラだ。
 その濁ったはずの瞳を見ればわかる、彼らは体を操られながらその魂はまだ残っているのだ、と。
「……さっきの子たち、家の弟妹より年下だったかな。別にさ、あの子たちは悪いことしたわけじゃないんだろ。……なんで死ななきゃいけなかったんだよ」
 血反吐を吐くようにこぼしたクラム・ライゼン(つぎはぎフリークス・f02003)の頬に、不意に触れるものがあった。それはディアの舌であり、すり寄るルフェだ。
「……泣いてない。泣いてないからな!」
 クラムは俯き、そして視線を上げた。迫る哀れな亡者達に、怯まず立ち塞がる。
「――頼むぜ。ルフェ。ディア。この人たちを止めて、それで…てっぺんでニヤついてるクソ野郎をぶっ倒そう」
 それに応え、ルフェが短剣型ロッドに、ディアが炎のようなグレイブに変化する。
「何と痛ましい姿か……せめてもの慈悲だ。今すぐに束縛から解放してやる」
 ラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)が炎剣フラムに火炎ポーションを付与、エレメントリングをはめた手でルーン辞書を開き炎の威力を底上げする。そして、暗黒耐性ポーションを飲むとラッセルは前に出た。
「……さあ行くぞ」
「傑作たちのお披露目というわけね……! 死んでまで使われる必要なんて、ない……あなた達の気持ちが嘘になる前に、――冒涜される前に、還してあげる」
 決意を込めて、ヘンリエッタ・モリアーティ(獣の夢・f07026)が言い放った。そして、朱殷の隷属戦士達へとヘンリエッタは右手ヲかざす。
「――可愛い私の狗たち。狩りの時間よ!」
 召喚した夥しい触手から放たれる、無数の狗が朱殷の隷属戦士へと襲いかかっいった。

●亡者達の悪夢
 ヘンリエッタの謎を喰らう触手の群れ(ハウンド・ドッグ・レギオン)によって、三体の朱殷の隷属戦士が足を止める。盾を前に構え、狗を受け止めるものの衝撃までは殺しきれない。前進がわずかに鈍った瞬間、パラス・アテナ(サトラレ・f10709)が熱線銃の銃口を向けた。
「鉄の塊かい、アタシの銃とは相性が悪いんだよ」
 パラスは、視線を周囲に走らせる。相手は鋼鉄製の鎧に身を包み、関節部も固めている。普通に撃っても効果は薄い――だから、別の手段を探したのだ。パラスは視界の隅に映ったそれを認識すると、即座に引き金を引く。
 ドドドドドドドドドドォ! と熱光線の弾幕が撃ち抜いたのは、クレーンによく似た滑車付きのフックだ。そのフックを止めていた金具を破壊すると、一体の亡者を頭上から鋼鉄製のフックが押し潰した。
 倒れた朱殷の隷属戦士が立ち上がろうとするより早く、後ろの亡者が踏み砕いていく。そこに仲間意識などない、いっそ蟻のような純粋な機能だけで動く存在の無慈悲さがそこにはあった。
「ア、アア、ア……」
 一体の朱殷の隷属戦士が、フレイルを振るう。無造作に振りかぶった、高速の打撃。それを迷わず前に出た聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)が受け止めた。
「この隷属戦士達……嗚呼、堪えますね」
 その威力に、カプラの装甲が軋む。しかし、そこにあったのは体の苦痛ではなかった。
「フレイルの威力に、ではありません。彼ら犠牲者の慟哭の声に私が嘆きと哀しみを覚えたのです」
 カプラは、フレイルに恐れる事なく間合いを詰める。そして、真っ直ぐに涙をこぼす朱殷の隷属戦士の目を見た。
「亡者に愛は必要ないとでも言うのでしょうか。否を返しましょう。ヒトは生まれその身朽ち果てる時まで愛されているのだと」
 浄化の光を受けて動きを止めた朱殷の隷属戦士が、カプラの手向けの言葉にその場に崩れ落ちる。その瞳がどこか穏やかであったのは、目の錯覚であったろうか?
「さぁさぁ、あなた方の攻撃はその程度なのですか? 生前のほうがよっぽど強かったのでなくて? それとも、作ったお方が出来損ないだったのかしら!?」
 挑発して敵を引き受けるのは、宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)だ。地獄の炎による体は、朱殷の隷属戦士が振るうフレイルにこびりついた血を蒸発させ、銀の弾丸さえも怯まない。完全に防御を固めた由を抜くのは、困難だ。
「アア、ア、ア……」
 一体の朱殷の隷属戦士が、盾を眼前に構えて突進してくる。強引に押し切ろうというのだ、だがしかし、そこへ金剛・狂(は砕けない・f09749)が死角から突っ込んできた。
「輝け! もっと輝け! この自慢の拳で!!」
 狂のShine On You(シャインオンユー)による光り輝く拳が、朱殷の隷属戦士を吹き飛ばした。
「この光り輝く拳には癒しの力もあります。アンデッドに回復系が効くのは定番ですよね? ね?」
 立ち上がる事ができず、崩れ落ちた朱殷の隷属戦士に、我が意を得たりとビシィっと謎のポーズを取りつつ狂は言ってのける。
「一切合切、何もかも、その柵すら吹き飛ばす。それが私の輝く拳です」
 ――なお、別にアンデッドに回復系が効いている訳ではない。ただ、力技でぶん殴って倒しただけである。少なくとも、そこにツッコミ入れる余裕のある者はこの場にはいなかったが。
「強い攻撃が来るわ、みんな気を付けて!」
 十六夜・月(自由気ままなダンピール・f12574)の声に、猟兵達は身構える。月のBlue spell [Stella](ステラ)は、十秒後の未来を見てきたように動ける――だからこそ、その攻撃に気付いた。
 四人の朱殷の隷属戦士が横並びになって、盾を構えて突撃してくる! 一糸乱れぬその突進は、横へ逃れるには範囲が広すぎた。だからこそ、ガーネットが右手を振るう。ヒュオン! とスラッシュストリングのワイヤーが横一閃、朱殷の隷属戦士達の足に巻き付いた。
「現実再編。虚構構築・収束を開始。権能拡張・侵食拡大要請を承認。発動までの時間を推測。消費開始。――顕言。『光あれ!』」
 そこへ、クラムが放った無数の魔法の矢が放たれた。体勢を崩した朱殷の隷属戦士達を、光属性の魔法の矢が後方へと押しやっていく。
「フラムよ、君の真の力を見せてくれ」
 ラッセルの炎剣フラムによる剣撃が、迫る朱殷の隷属戦士を薙ぎ払う。しかし、いくら炎で鎧を切り裂き体を焼こうと、亡者は止まらなかった。その姿を見て、ヴィゴ・ストーム(緑風浪・f09453)は強く踏み込んだ。
「大切な人を傷つけることになってもいいんですか」
 ヴィゴは振り下ろされるフレイルを長剣で軌道を逸らし、胴を薙ぎ払った。その瞳にこもる正気がわかるだけに、ヴィゴの長剣の柄を握る手に力がこもる。
「体の主導権は、往生集め『エルシーク』に奪われているようですね」
 白はカプラの傷を生まれながらの光によって治癒しながら、言った。どこまでも、彼らは犠牲者なのだ。救いは、そこに一切ない――ない、はずであった。

「悪鬼百鬼と数えれば、七転八倒列を成す」

 その言葉と裏腹に、龍の声は穏やかで優しい。ぎゅっと握られた黒く染められた骨、そしてこの塔に眠るかつての勇者たちの呪詛、その想いを談天雕竜(ダンテンチョウリュウ)によって解き放ったのだ。
 次々と、幽霊達が召喚されていく。そこに生まれたのは、勇者達の霊だ。幼子の幽霊が、朱殷の隷属戦士を見上げる。亡霊はフレイルを振り上げ――ゆっくりと、下げていった。

「終ワラ、セテ……ク、レ……」

 その言葉に、猟兵達は全力で応えた。

●悪夢の終わり
 だらりと、朱殷の隷属戦士達が武器を下げて動かくなる。強い魂の揺さぶりが起こした奇跡、しかし、それは決して長くはもたない。
「その想い、無駄にしないっすよ!」
 狂は真っ直ぐにヒジカタさんの輝く拳のラッシュで、一体の朱殷の隷属戦士を粉砕した。砕ける瞬間、目が笑ったように見えたのは、狂の錯覚ではないはずだ。
「打ち付けろ」
 ガーネットが振り上げた赤く刀身の輝く妖刀・アカツキを振り下ろす。膨大な殺気を放出する妖刀・アカツキに従うように、斬殺領域(ザンサツリョウイキ)による妖刀の雨が朱殷の隷属戦士達を貫いていった。
「フォローするわ」
「チャンスを逃すんじゃないよ!」
 月のver.pgl【162L-S】と、パラスの弾幕が朱殷の隷属戦士達を捉えていく。
「憎しみの連鎖を止めてやろうじゃないか。これは慈悲だよ、受け取りな」
 傲慢な言い方かもしれない、しかし、それがパラスの生来の性格だ。銃弾と熱光線を受けてよろける朱殷の隷属戦士達へと、ヘンリエッタは謎を喰らう触手の群れ(ハウンド・ドッグ・レギオン)によって狗の群れを放った。
「……お願いします」
「うむ」
「ああ」
 ヘンリエッタの呟きに、ラッセルとカプラが前へと出る。ラッセルは袈裟懸けにフラムを振るい、朱殷の隷属戦士を切り伏せた。
「その絶望の慟哭、確かに受け取った」
「まだ貴方達は自らの意志を慟哭という形で伝える事ができる。まだ貴方達の魂は汚れきってはいない。まだ輪廻転生のループに戻る事ができるのです」
 ラッセルの横で、カプラの経法(キョウボウ)によって朱殷の隷属戦士が崩れ落ちる。「ディア! ルフェ!」
 クラムがディアを薙ぎ払い、ルフェを鎧の隙間に滑り込ませ断ち切っていった。そして、ヴィゴが赤心を巧みに操り、朱殷の隷属戦士を両断した。
「助けられなくてごめんなさい。せめて亡骸だけ、魂だけでも、一緒に村へ帰りましょう」
 次々に、朱殷の隷属戦士達は倒れていく。最期の一線で魂が穢されずにすんだ、その感謝の念を抱きながら――。
「あれが、最後の一人ですね」
 白の呟きに、由が龍を振り返る。龍は、一つうなずきを返した。幼子の幽霊が、朱殷の隷属戦士に抱きつく。そして、朱殷の隷属戦士は幼子を抱きしめるように、その一撃を受けて崩れ落ちた。
 それを見届け、龍は上へと視線を向ける。
「彼らの想いを踏みにじり弄ぶ塔の主は許してはなりません」
「この階層を超えた先に居るエルシークの行い、必ずや改めてみせましょう」
 龍の言葉に、カプラも肯定する。ヘンリエッタも、涙を堪えるように震える声でこぼした。
「この人たちは、ただただ、愛する人のために戦っただけなのに……無残に辱められて――いいえ、違うわねきっと。このシチュエーションが「愉しい」のでしょうね、捕食者(オブリビオン)は」
 この救いのない状況を生み出したモノがいる――それを、決して許す事はできなかった。
 ふと、ラッセルはそこで燃え尽きた位牌にスティールアイを触れさせる。そして、禍々しく輝くスティールアイを見て、言った。
「[復讐属性]、最後の戦いで必ず役に立つだろう」
 彼らの心は、一緒に連れて行く――猟兵達は、十階への階段へ歩き出した。その中で、白は振り返り、囁くように言う。

「この世界で安心してなんて言えないけど…… 君たちも過去になる時が来たよ。どうか、安らかに」

 ――悲劇は、覆らない。過去は決して変えられない。だからこそ尊い今を、未来を守るために、猟兵達は往生集め『エルシーク』へと挑むのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『往生集め『エルシーク』』

POW   :    賢者の双腕
見えない【魔力で作られた一対の腕】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    蒐集の成果
自身が装備する【英雄の使っていた剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    幽暗の虫螻
【虫型使い魔】の霊を召喚する。これは【強靭な顎】や【猛毒の針】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エルディー・ポラリスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●救いを断つモノ

「ク、ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!! あー、もったいない。一度も使わずにご破算か!」

 時計塔の十階、その部屋にいたモノこそが『私』――往生集め『エルシーク』だ。面白いものは見れた、そう思う。寒気がするほどのお涙頂戴の笑劇に、腹がねじれる思いだった。
 あんなものは、救いではないと『私』は思う。終わったモノに、救いはない。亡者として正しいのは、過去ではなく未来を憎む心だ。自分にはない未来を持つ生者を羨み、憎み、自分と同じにしてしまおうと醜くしがみつくべきなのだ。
 だからこそ、楽しみだ。今度の連中は、活きが良い。奴らで造る亡者は、さぞ多くの命を奪うだろう。あの連中の魂がその時、何を思うのか? それを想像するだけで、もうたまらない!

 さぁ、歓迎しよう。『私』の最高傑作となるはずの者達よ。救いのない悪夢を、ずっとずっと続けよう……!
ラッセル・ベイ
貴様がエルシークか、復讐の時が来た様だ
無論、私ではなく彼等のな
彼等の代行者として、貴様を叩き斬ってくれる

●戦闘(WIZ)
猛毒耐性ポーションを飲み、虫型使い魔の毒を軽減
更に「ストレングス・ルーン」を装備して、戦闘能力の増強を図る

さあ、復讐開始だ
【グラウンドトーテム】を召喚し、[復讐属性]を付与
大地の加護だけではない、彼等の心が此処に在る
我等が武器に彼等の憤怒を。邪悪を破滅させよ
我等が防具に彼等の意志を。今一度、仲間を守り給え
……エルシークよ、彼等の心は貴様の不幸を願っているようだぞ
地獄に落ちろ、とな

フラムよ。度重なる強化を経て、君の炎は最大限まで達した
彼等の怒りと共に、奴を蒸発させてやろう


ガーネット・グレイローズ
私はあの毒虫を抑えようか。〈念動力〉で鋼糸を操り、体液を浴びたり毒針や牙を受けないよう距離をとって攻撃。高速振動させて〈衝撃波〉を生み出し、硬い外皮を切り裂いてやる。【サイキックブラスト】を放って、高圧電流による〈マヒ攻撃〉を与えて動きを封じたら、首を落としてやる。使い魔を片付けたらエルシークと交戦する仲間に加勢。UCと各種武装を使い分けて攻め立てよう。再び召喚する隙を与えるとでも?

ここで起きた悪夢は、やがて終わりに向かうだろう。だが、お前の悪夢は始まったばかりだ。完全な滅びを迎えるその日まで、私たちが何度でも殺し続けてやる。お前に救いは与えない。


十六夜・月
この元凶の総締めとならば、かなりの強さであろう・・・
改めて気を引き締めて、自分のできる「役割」を務めなくてはね。

戦闘開始時、武器ver.pul【1610L-BFS】にて[スナイパー][援護射撃]を
行いけん制を仕掛ける。これで仲間が優位な立ち位置に移動できれば良し。

後に私も接近戦に参戦する・・・多少の無茶は承知の上だ。
コードAwakening The 【Exist】で、一気に仕掛ける。
寿命を削るならば[生命力吸収]で時間を少しでも長くのばせばいい・・・
対象の攻撃は非常に危険だ。[第六感][野生の勘][見切り]や
[武器受け]で確実に回避しないとね。

「私はどれくらい通用するやら。やってみますか!」


宇冠・龍
由(f01211)と参加

「さぁ、エルシーク。今度は貴方が鐘の音を鳴らされる時間です」
終わったものに救いはない。ならば終わった過去である貴方にも、また救いはないのですよ

過去は未来を変えるための糧なのです。だから私はこの力と共に、夫の霊と共により良き未来へと進みます
「私達の呪詛(おもい)と貴方の呪詛(たのしみ)、どちらが上か勝負といきましょう」

【竜逢比干】で夫の霊を召喚、先制攻撃として風の槍で一薙ぎ
虫型使い魔には氷のブレスを放ち全て凍てつかせます

相手は空を飛ぶ様子、自分だけ安全圏でずっと愉しんでいた性格から、夫の槍が届かない距離まで浮かんで逃げるでしょう
しかしそこは由の射程範囲となります


宇冠・由
お母様(f00173)と参加

【七草芹】で能力を強化
もうこれ以上エルシークの思い通りにはさせません

炎のオーラを戦場全体に散布
時に味方をかばう盾となり、また見えない賢者の双腕の位置を知らせます

相手はずっと自分の有利さを保とうと、安全圏から遠距離で攻撃してくるでしょう。例えば、天井近くの高いところから
「ずっと高みから見て嘲り笑うその性格、戦い方も似ると思いましたわ」
空を舞ったり飛べるのが自分だけだと思わないことです
炎の腕で叩き落として地面に返してやりますの


戦いが終わりましたら鐘を鳴らしましょう
散っていった方々へと今も恐怖に怯えている方々への、終わったことを告げる祝福の鐘の音を


金剛・狂
出やがったな、悪の親玉
死体を集める趣味は、どうやっても理解できないけど
こいつをぶっ飛ばさなければいけないということは理解できるね!
何が楽しいのかわかんないけど、その気色悪い笑い声も出せないくらいに
メッタメタにしてやるっす!
…主に、このヒシガタさんがね!(ビシィっと背後を指す)
【Stand By Me】が発動
背後に燦然と輝く筋肉の塊、ヒシガタさんが顕現する
身体も暖まってきたし、ヤツをぶっ飛ばす準備も万端!
さあ、終わらせよう
この下らない演劇に幕を下ろしてやるっす!(上手い事言ったつもり)


聖護院・カプラ
往生集め『エルシーク』よ、貴方の行いを改めに来ました。
相容れない思想を持っていると理解していますが、それでも今ここで敢えて言いましょう。
「遍く者に救いの手は差し伸べられる」べきだと。
そしてその手の先には貴方も含まれています。
澱んだ負の死生観を断ち切り、正しき生々流転を成し遂げます。

幽暗の虫螻は毒蟲の霊体を操る力ですか。
ならば私の生涯で貯蔵した徳エネルギーを功徳として霊体へ向け放出します。
霊体を天に還すことができたなら、次は貴方の番です。
全方位に向けていた存在感の指向性を高め、往生集め『エルシーク』に向け再度、徳エネルギー曝露での浄化を狙います。


ヘンリエッタ・モリアーティ
【WIZ】
最高傑作、ですって?――ああ、『やっぱり』見立て通り、人間の命は物に感じてしまうのね。
【恐怖の谷】、教えて、マダム。彼と言う生き物を。
「……彼の放つ虫型の使い魔はまるで、標本のように私たちを刺したいのだろうし、餌のように食い破りたいのだろう。君の見立て通りだヘンリエッタ」
――私が、彼なら。私が弄びたいのは、心だわ。標本にするなら、肉体を、手に入れたいのは、未来を恨んだ心。心を、縛り付けてしまいたい。
「では、君が彼を倒すには?」
【モラン】を槍に変えて、真っ向から彼の使い魔を貫く。数は多いでしょう。でも、後退などしない。――そして、絶対に絶望しない!
磔になるのは、あなたよ。エルシーク!


ヴィゴ・ストーム
人の心を弄ぶ災魔こそ救いがないというものです。
悪夢はここで終わらせます!

他の猟兵との連携は可能な限り心掛けます。
敵の挙動などを観察し、攻撃のタイミングを計りながら戦います。
物理的な攻撃は長剣で受けてカウンターを狙い、
それ以外は無敵城塞を発動し極力ダメージを受けないように。
負傷した猟兵が標的になるような場合は積極的に庇います。

攻撃のチャンスがあれば、ライオンを召喚しつつ長剣で斬り払い、
二度と絶望の鐘を鳴らせないようにしてやります。
人の命や心は玩具ではないということ、分かって貰えないのが残念ですが。

全て済んだら、犠牲になった方達の形見になるような物を村へ持ち帰れたらと。
どうか、これからは安らかに。


クラム・ライゼン
よーーやく着いた!!
猟兵のセンパイ方も、下の階にいたヒトたちも!
ちゃんとみんなで帰るためにエルシークは此処でぶっ飛ばす!



戦闘/ユーベルコード
・WIS
「虚構構築。簡易接続完了…以下省略!ーー契言。『出番だぜ、我が愛しき激情の君!』」

〈高速詠唱〉+〈全力魔法〉併用
慟哭する女性型の精霊を呼び出し行動阻害狙い
先輩方(※猟兵)と協力できるならこの間に集中攻撃を叩き込んで貰うっす

攻撃にはディア(ドラゴンランス)を使用
〈属性攻撃〉で武器に炎か光属性を付与しつつ戦う(串刺し、薙ぎ払い、属性攻撃
至近距離の場合はルフェ(短剣型ロッド)に持ち替え


※対他猟兵は◯◯センパイ呼び。〜っす、〜っすよなどの崩れた敬語


夜暮・白
カプラあの人がエルシーク…… 開幕の鐘は鳴らさせないよ。

なんだか嫌な感じがするし、狙いをつけられないように動きます。飛んでくる剣はダガーで受け流し、虫の霊は綺羅針(投げナイフ)で床や壁に縫い付けよう。何かに掴まれたら【バウンドボディ】で伸びて、さらにナノマシンで一部硬化、高い弾力性で戻り思いっきり痛めつけます。
ケガした人がいれば【生まれながらの光】で回復するよ。ここに来た猟兵達なら使う機会も少ないはず。疲れは気にせずにいこう。

亡者の解説は死霊術士に任せるけど、きっと生者と同じでいろいろです。そんな勝手な脚本、僕達で打ち切らせてもらいます。



●往生集め
 最上階、時計塔の十階は狂気の園だった。骨で作られた奇っ怪なオブジェが立ち並び、時計の歯車が見える骸骨の王座に座していた影が、喉を鳴らした。
「クククッ、ようこそ? 勇気ある者達よ」
「貴様がエルシークか」
 ラッセル・ベイ(ドワーフのルーン鍛冶師・f12407)の押し起こした声に、顎に手を付き、エルシークはうなずく。
「ああ、そうだが?」
「復讐の時が来た様だ。無論、私ではなく彼等のな。彼等の代行者として、貴様を叩き斬ってくれる」
「ヒャヒャッ、復讐と来たか、笑わせる」
 エルシークは、ゆらりと立ち上がる。その青白い両手を広げ、歌うように言った。
「復讐など、死んだ者が望むとでも? ましてや、お前達に何の関係がある? ん? ただ、気分が悪いから元凶の私を殺してスカっとしたい――理由など、その程度だろうに」
 クスクスと笑みをこぼし、エルシークは嘲る。
「出やがったな、悪の親玉。死体を集める趣味は、どうやっても理解できないけど、こいつをぶっ飛ばさなければいけないということは理解できるね!」
 金剛・狂(は砕けない・f09749)は、真っ直ぐに言ってのける。狂に難しい事はわからない、それでもわかる――目の前のコレは、邪悪だと心が言っている!
「何が楽しいのかわかんないけど、その気色悪い笑い声も出せないくらいに、メッタメタにしてやるっす! ……主に、このヒシガタさんがね!」
 ビシィっと背後を指す狂に、エルシークは肩をすくめる。
「意見の相違だなぁ、そいつは。そもそも勝手に乗り込んできて、私の最高傑作達を壊してくれたお前達が善良だとでも? 居直り強盗か? ん?」
「最高傑作、ですって?」
 ヘンリエッタ・モリアーティ(獣の夢・f07026)は、エルシークの言葉にこぼす。
「――ああ、『やっぱり』見立て通り、人間の命は物に感じてしまうのね。【恐怖の谷】、教えて、マダム。彼と言う生き物を」
 ヘンリエッタの嘆きのような問いに、『マダム』が答えた。
「……彼の放つ虫型の使い魔はまるで、標本のように私たちを刺したいのだろうし、餌のように食い破りたいのだろう。君の見立て通りだヘンリエッタ」
 ヘンリエッタの口から漏れる的確な返答に、エルシークは興味深げに呟く。
「ほう、一つの体に魂が複数? いや、一つの魂が割れて成り立っている……?」
「――私が、彼なら。私が弄びたいのは、心だわ。標本にするなら、肉体を、手に入れたいのは、未来を恨んだ心。心を、縛り付けてしまいたい」
「では、君が彼を倒すには?」
 『マダム』の問いに、ヘンリエッタはモランを黒く豪奢な槍へと変えて言った。
「数は多いでしょう。でも、後退などしない。――そして、絶対に絶望しない!」
「クヒャヒャヒャヒャヒャ! その魂、調べさせてもらおうか!!」
 噛み合っているのか、噛み合っていないのか定かではない言葉を交わし、エレシークはムカデの姿をした虫型使い魔を召喚する。

「興味深い! 今度はお前達を私の最高傑作にしてやろう!」

 エレシークの宣言と同時、幽暗の虫螻が群れとなって猟兵達へ襲いかかった。

●おぞましき戦い
 ムカデの群れが、猟兵達へと挑みかかる。それをヘンリエッタはモランの刺突で貫いていった。
「させるか」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が、念動力で操ったスラッシュストリングを横一文字に振り払う。高速振動によって生み出された衝撃波が、硬い甲殻を切り裂いた。
 ビチビチと断ち切られてなお這おうとするムカデへ、夜暮・白(燈導師見習・f05471)は綺羅針を抜いた瞬間、投擲した。
「開幕の鐘は鳴らさせません」
 ダン! と宝玉のついた豪奢なスローイングダガーが、ムカデを床へと縫い付ける。それを見て、エルシークは笑った。
「ハハハ! 串刺しはいいな! 標本のようでいいな!」
「喜ばせるつもりはありません」
 テンションを上げるエルシークを、白は一言で切り捨てる。
「虚構構築。簡易接続完了……以下省略! ――契言。『出番だぜ、我が愛しき激情の君!』」
 クラム・ライゼン(つぎはぎフリークス・f02003)の刻んだ魔法陣に召喚されたのは、慟哭する女性型の精霊だ。

「ひ、いい、いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

「ぬ!?」
「今っすよ!」
 クラムの召喚:断末魔の女神(ヒステリック・ハニー)に、エルシークが一瞬動きを止める。それを見て、クラムが叫んだ。その声に最初に応えたのは、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)だ。
「さぁ、エルシーク。今度は貴方が鐘の音を鳴らされる時間です」
 龍の背後に現れるのは、武装した竜型ドラゴニアン――亡き夫の霊を召喚する龍の竜逢比干(リュウホウヒカン)だ。亡き夫の霊が、「氷」属性のブレスを広範囲へと吐き出した。ゴォ! と床を白く染めていく氷のブレスに、ムカデの群れが集まって盾となる!
「ク、ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ! 芸達者よな! その妄執、悪くない!」
「お母様とお父様には、近づけさせません」
 強い決意と共に、宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)は炎のオーラを戦場全体に散布していく。その炎は、彼女の家族を守る、味方を傷つけさせない強い信念の現われだ。
「さあ、復讐開始だ」
 ドン! と石造りの床を突き破り、ラッセルの背後に現われたのはグラウンドトーテムによる、大地属性のトーテムポールだ。しかし、エルシークはそのトーテムポールに宿るものが大地の力だけでないことを、目敏く見破った。
「その念――復讐心か!」
「そうだとも」
 ラッセルが真っ直ぐに、炎剣フラムに大地と復讐の属性を宿して斬りかかる。エルシークは、大量の剣を召喚。ガキン! と火花を散らし、虚空で切り結んだ。
「私はどれくらい通用するやら。やってみますか!」
 十六夜・月(自由気ままなダンピール・f12574)がver.pul【1610L-BFS】を構え、狙撃。剣の群れを掻い潜り、エルシークの眉間を捉え――切れない! 見えない魔力で作られた一対の腕が、エルシークを包んでいたのだ。
「ヒャヒャヒャ!」
 エルシークが両手を振るえば、剣の群れを自在に疾走させる。それを真っ向から狂が迎え撃った。
「私は許そう。だが私の背後に立ってるコイツが許すかな!」
 Stand By Me(スタンドバイミー)――傍らに立つ者、ヒジカタさんの光を帯びた拳の連打が、剣の群れを一本一本を撃墜していく!
「ドララララララララララララララララララァ!!」
 その間隙、ヴィゴ・ストーム(緑風浪・f09453)が黄金のライオンの背に乗り跳躍した。
「悪夢はここで終わらせます!」
「終わらぬよ、命がこの世ある限りなァ!!」
 上から襲い来るヴィゴの赤心による一撃を、エルシークは賢者の双腕で受け止める。間合いを測るエルシークに、聖護院・カプラ(旧式のウォーマシン・f00436)が前へ出た。
「往生集め『エルシーク』よ、貴方の行いを改めに来ました」
「……何?」
「相容れない思想を持っていると理解していますが、それでも今ここで敢えて言いましょう――「遍く者に救いの手は差し伸べられる」べきだと。そしてその手の先には貴方も含まれています」
 静かな、カプラの宣言。それは敵であるエルシークでさえ、救う対象だと告げるものだった。その時、猟兵達は初めて――否、『この』エルシーク自身が初めて聞く感情が声に宿る。
「……救いだと? 亡者にそんなものがあると思ったか」
 それは、間違いなく怒りだ。ふつふつと腹の底から煮えたぎる、抑える事の出来ない憤怒。エルシークの怒りを、カプラは真正面から受け止めて、言った。
「澱んだ負の死生観を断ち切り、正しき生々流転を成し遂げます」
「驕るな、生者!!」
 それは、このエルシークの忘れていた感情――エルシークは、その想いを燃やし、見えない双腕で周囲を薙ぎ払った。

●過去の亡者に、救いはあるか?
 エルシークの元から、剣の群れが解き放たれる。ヒュガガガガガガガガガガ! と自身が殺した英雄達の剣を念力で操り、猟兵達に襲いかかった。
 だが、剣の群れが散るよりも速く。クラムが一気に駆け込んだ。
「みんなの元には、行かせない!」
 光属性を付与したディアで剣をことごとく薙ぎ払い、打ち漏らした剣もルフェによって確実に叩き落とす。
「今っすよ! 金剛センパイ!」
「はいっす! 身体も暖まってきたし、ヤツをぶっ飛ばす準備も万端!」
 全力疾走する狂の背後で、ヒジカタさんが拳を握る。
「さあ、終わらせよう。この下らない演劇に幕を下ろしてやるっす!」
「馬鹿の一つ覚えを!」
 ヒジカタさんが放つ渾身の一撃を、エルシークは見えない双腕で受け止めた。しかし、威力は殺しきれない。エルシークが、後方へと弾き飛ばされた。
「馬鹿力めが!」
 着地と同時に、エルシークは幽暗の虫螻よって虫型使い魔の群れを召喚する。だが、それをカプラが余裕を持って迎撃にあたった。
「これが行いへの報いです――次は貴方の番です」
 カプラの功徳(クドク)による徳が、虫達を押し返していく。そのままエルシークさえも徳エネルギー曝露での浄化を狙うカプラだが、エルシークはこれを否定した。
「救いなどない! 亡者に、そんなものなどない事を私が一番知っているとも!」
 エルシークが、賢者の双腕によって自分を宙へと釣り上げる――だが、その頭上へ炎の腕が待ち構えていた。龍が、笑みをこぼして言う。
「夫の槍が届かない距離ですが、そこは由の射程範囲ですよ」
「ずっと高みから見て嘲り笑うその性格、戦い方も似ると思いましたわ」
 由の炎の腕が、エルシークを殴打する。ドォ! と炎の腕と見えない腕が激突、強引にエルシークを床へと叩き落とした。
「私達の呪詛(おもい)と貴方の呪詛(たのしみ)、どちらが上か勝負といきましょう」
 そして、龍の元から亡き夫の霊が疾走。風をまとった槍の連撃が、エルシークを捉えていった。
「ガ、ハ!」
「亡者の解説は死霊術士に任せるけど、きっと生者と同じでいろいろです。そんな勝手な脚本、僕達で打ち切らせてもらいます」
 死角から滑り込んだ白が、ダガーでエルシークの脇腹を切り裂く。そして、白が後方へ跳んだ直後、ライオンを駆ったヴィゴがエルシークの左腕を切り落とした。
「その腕が、鐘を鳴らしていたのでしょう? もう二度と、絶望の鐘を鳴らさせません」
「吼える、なあああああああああああ!!」
 エルシークが、右腕を振るおうとする。その右の掌が銃弾に撃ち抜かれ、肩まで貫通した。
「が、ああああああああああああああああああ!!」
「いい的だ」
 月はver.pul【1610L-BFS】を構えたまま、そう言い捨てる。両腕を失ったエルシークは、賢者の双腕を狂ったように暴れさせ、部屋の中を破壊していった。
「おのれ、おのれおのれおのれおのれおのれ! 生者どもがあああ!」
「ああ、虫が鳴いているヘンリエッタ」
 見えない腕をマダムの指示で掻い潜り、ヘンリエッタはモランの切っ先を構え走る!
「磔になるのは、あなたよ。エルシーク!」
 ドン! とエルシークの胸をヘンリエッタのモランが貫く。ヘンリエッタはそのまま走り抜け、エルシークを壁へと磔にした。それに合わせ、ガーネットが両手をかざす。
「ここで起きた悪夢は、やがて終わりに向かうだろう。だが、お前の悪夢は始まったばかりだ。完全な滅びを迎えるその日まで、私たちが何度でも殺し続けてやる。お前に救いは与えない」
 ドォ! とガーネットのサイキックブラストが、エルシークを撃ち抜いた。高圧電流に内側から焼かれながら、それでもなおエルシークはもがいた。
「生者を、殺す、のだ……我ら、過去と、同じ……亡者、に、落とすのだ……!」
 滅ぶその瞬間まで、エルシークの怨嗟は薄れない。その地の底から呪うような声を聞きながら、ラッセルが前へ出た。
「……エルシークよ、彼等の心は貴様の不幸を願っているようだぞ。地獄に落ちろ、とな」
 燃え上がるフラムを掲げ、ラッセルは静かにエルシークの前に立つ。その姿は、死刑執行人と罪人のそれに似ていた。
「フラムよ。度重なる強化を経て、君の炎は最大限まで達した。彼等の怒りと共に、奴を蒸発させてやろう」
 フラムが、想いに応える。振り下ろされたフラムの一撃が、エルシークを炎で包み灰も残さず燃やし尽くしていった……。

●そして、祝福の鐘は鳴る
「どうか、これからは安らかに」
 遺骨や遺品を手に、ヴィゴが呟いた。これらの遺品は、近隣の村へと持ち帰るつもりだった。せめて、死んだ後には安らぎを……そう思わずにはいられなかった。
「鐘を鳴らしましょう」
 由の言葉に、仲間達は視線を向ける。由は、凛とその想いを口にした。
「散っていった方々へと今も恐怖に怯えている方々への、終わったことを告げる祝福の鐘の音を」

 ――その日、三年ぶりに時計塔の鐘が鳴った。その音に近隣の村々は恐怖に陥ったが、すぐにそれが杞憂であった事を知る。時計塔を支配していた往生集め『エルシーク』の討伐、その事実が広がったからだ。
 だからこそ、彼らその鐘の音を忘れない。悪夢の終わり、明日への目覚めを告げた鐘の音を……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月05日


挿絵イラスト