迷宮災厄戦⑱-7〜『オウガ・オリジン』と無限増殖
●アリスラビリンス
「おのれ『猟書家』どもめ!」
『オウガ・オリジン』は、ハラワタが煮えくり返るほど、怒り狂っていた。
猟書家達の策略によって書架牢獄に閉じ込められた挙句、現実改変ユーベルコードまで奪われてしまったのだから、冷静でいられる訳がない。
しかし、猟書家達が倒された事によって、ごく一部ではあるが、現実改変ユーベルコードの力を取り戻す事が出来た。
この力さえあれば、猟書家達に復讐する事が出来るだろう。
だが、その前に……。
「……猟兵達を放っておく訳にはいかぬ」
少なくとも、猟兵達は味方ではない。
倒すべき相手が同じであっても、共闘する事など出来ない。
それだけは間違いなく、断言できる事。
共闘する事が出来ない以上、邪魔なだけ。
その上、猟兵達の数は多く、放っておく事の出来ないレベルであった。
それ故に、猟書家達よりも、厄介な存在であると言えた。
●ガジルからの依頼
「みんなに頼みたい事があるんだよ」
ガジル・コリアンダー(キマイラのスカイダンサー・f00907)が真剣な表情を浮かべ、今回の依頼を説明した。
今回の目的は、『オウガ・オリジン』を倒す事。
オウガ・オリジンは、現実改変ユーベルコードの力によって無限増殖しており、ケダモノのようなユーベルコードを駆使して、大群で襲い掛かってくるようだ。
ただし、無限増殖したオウガ・オリジンは、通常のオウガ・オリジンと比べて弱く、その性格は『かつて忠臣さえも戯れに殺したほどの鬼畜・自己中心的』。
それ故に、増殖した者同士で、いがみ合う可能性も高いため、それを上手く利用すれば、勝機があるという事だった。
そう言った事を踏まえた上で、オウガ・オリジンを倒す事が今回の目的である。
ゆうきつかさ
この依頼は戦争シナリオです。
敵は必ず先制攻撃を仕掛けてくるので、対抗手段を考えておきましょう。
第1章 集団戦
『『オウガ・オリジン』と無限増殖』
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POW : トランプストーム
【鋭い刃のような縁を持つ無数のトランプ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : わたしをお前の血で癒せ
自身の身体部位ひとつを【ライオン型オウガ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : フラストレーション・トルーパーズ
自身が【苛立ち】を感じると、レベル×1体の【トランプ兵】が召喚される。トランプ兵は苛立ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:飴茶屋
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
火土金水・明
「流石は、オウガ・オリジン。こちらも全力を出して戦わなければいけませんね。」
相手の先制攻撃に対しては、【見切り】【野生の勘】【第六感】の技能を駆使して回避を試みます。
【POW】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡め【限界突破】した【ファイナル・フレア】で、『『オウガ・オリジン』と無限増殖』を攻撃します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
黒沼・藍亜
なるほど。こんな力があったら“一人”でも良い訳っすね
……でも個々の我が強いなら、付け入るスキなんかいくらでも
最初はスカートから体内のUDC「昏く暗い黒い沼」を足元に広げ防戦主体で。
近づくトランプ兵を沼からの触腕で捕縛したり触腕を盾にしたりして凌ぐっすよ
で、隙を見てUC【あなたのきずながくずれるおと】
オウガ集団に「味方と認識される」幻影を紛れ込ませ
「味方の裏切りにしか見えない」不意打ちを仕掛けるっす
同時に記憶消去銃でマヒ攻撃や気絶攻撃、場合によっては記憶も飛ばしちゃおう
反撃と同時に「沼」から触腕を伸ばして手当たり次第触れたやつを捕まえ生命力吸収、
可能なら沼に引き摺り落として沈めてしまうっす
ラモート・アンゲルス
「助けて良いですか?」
お姉さんの姿で挑む。
UC対策
白剣をインド武術の長剣ウルミに変化させて前方に向けてふるいトランプを弾くなり斬って落とす。それでも防げない分は盾で致命傷は防ぐ。
あとは説得。持てるものを全て使って貴方を助けようと語りかける。そしてその一心でUCを発動する。アリスに戻せるのなら、フォーミュラの重荷を下ろしてあげられるのなら後のことは考えない。
助けたいと思うのは私に与えられた閻魔大王としての過去。閻魔は人間で最初に命を落とし、後に続く子孫を死後裁くことになった。だからアリス=オリジンは私の子孫。そして子の身を案じるのは親として当然の事。
オルヒディ・アーデルハイド
先に呼び出されたトランプ兵に対抗するために
『槍騎士ムシャリン』を召喚して呼び出す
そうとうの苛立ちをおぼえているのだろうね
癇癪おこして同士討ちとかしてくれないかな
自分と同じ姿を見ると苛立つことあるよね
同族嫌悪みたいな感じで
ムシャリンの飛翔能力で上手い具合に誘導して同士討ちを狙う
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
まるで着の身着のままで、
サファリパークに突っ込まれたような気分だね。
こんだけライオンが多いのもなかなかにキッツい物がある……けど、
自己中な奴ら共だってんなら、思い切りおだてて煽ってやろうかねぇ?
盛大に怖がる『演技』をして逃げ回りながら、
『コミュ力』を駆使してオリジンに話しかけるよ。
「おお怖い怖い!こんだけの強い奴らに囲まれたらひとたまりもないさ。
けれども一つ聞きたいな、アンタ達の中で誰が一番強いんだい?」ってね。
自尊心の塊だろうし、そうして『言いくるめ』て一押しすれば、
喧嘩を始めてくれるかねぇ?
その隙に怪我した奴の『傷口をえぐる』ように追撃して、
数を減らしてくよ。
●無限増殖
その場所は、『オウガ・オリジン』で溢れ返っていた。
辺りを埋め尽くすほど大量のオウガ・オリジンは、自分こそ世界の支配者に相応しいと言わんばかりに自己中心的。
それ故に、隙あらば相手の上位に立とうとして、互いに牽制し合っているようだった。
だが、本物のオウガ・オリジンは、たったの一体。
それ以外のオウガ・オリジンは、現実改変ユーベルコードの力によって増殖したニセモノだった。
しかし、本人達に、その自覚はない。
弱いモノこそ、ニセモノ。
何故なら本物は自分だから……!
「……なるほど。こんな力があったら“一人”でも良い訳っすね。でも個々の我が強いなら、付け入るスキなんかいくらでも……」
その事に気づいた黒沼・藍亜(人間のUDCエージェント・f26067)が、含みのある笑みを浮かべた。
その間も、オウガ・オリジンは増殖しており、見渡す限りオウガ・オリジン、振り返ればヤツがいるレベルで、オウガ・オリジンだらけになった。
「まるで着の身着のままで、サファリパークに突っ込まれたような気分だね」
数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が、乾いた笑いを響かせた。
これだけライオン的な存在が多いと、自分が獲物になったような心境に陥ってしまうものの、だからと言って簡単に喰われるつもりはない。
場合によっては相手の喉元に食らいつく勢いで、覚悟を決めているようだった。
「あはは、獲物、獲物!」
「殺そう、殺そう、みんな殺そう!」
「だったら、私がみんな殺してあげる!」
「いや、アタシよ、アタシ! だから邪魔をしないで!」
「……と言うか、みんな余の玩具じゃ!」
その途端、オウガ・オリジン達が興奮した様子で、猟兵達に近づいてきた。
みんな、猟兵達を殺す気満々。
頭の中では、猟兵達を痛めつけ、拷問し、バラバラにしているらしく、笑い声には狂気が含まれていた。
「相手は、オウガ・オリジン。こちらも全力を出して戦わなければいけませんね」
火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)が、警戒心をあらわにした。
「大丈夫、怖くない、怖くないから!」
「……って、嘘、嘘! すっごく痛いよ。苦しむから!」
「いっその事……頭を、もいであげようか?」
「そんなの、つまんないでしょ。センス悪っ!」
その間も、オウガ・オリジン達が、好き勝手な事を口にした。
だが、みんな自己主張が、自分中心。
誰も相手の意見を聞いていない。
「……救えるものなら、救いたいところですが……」
そんな中、ラモート・アンゲルス(生きた概念・f18548)が、複雑な気持ちになった。
それは、ある意味で……賭け。
しかし、試してみるだけの価値はある。
例え、結果がどうであれ、やらないという選択肢は存在していない。
「わたしを助ける?」
「今から殺されるって言うのに、随分と余裕ね」
「それって、まさか……命乞い?」
「あはは、あはは、面白い」
それでも、オウガ・オリジン達の気持ちは変わらない
頭の中で歪に膨らんだ妄想を現実のモノにするため、興奮が収まらない様子であった。
「でも、何処を見ても同じ顔……って、そうとうのストレスだよね? そのせいで苛立ちを覚えているの?」
オルヒディ・アーデルハイド(アリス適合者のプリンセスナイト・f19667)が、何やら察した様子でオウガ・オリジンに視線を送った。
「確かにストレス」
「そうそう、ムカツク」
「顔も見たくないくらい」
「でもでも、目の前に玩具があるから!」
「今は仲良し!」
「……表向きは、ね」
オウガ・オリジン達が、黒い笑みを浮かべた。
こうしている間も、互いに牽制し合っているのか、仲良く見えて険悪な感じであった。
「おお、怖い、怖い! こんだけの強い奴らに囲まれたら、ひとたまりもないさ。けれども一つ聞きたいな、アンタ達の中で誰が一番強いんだい?」
そんな空気を察した多喜が、大袈裟に演技をしながら、逃げ腰になりつつ、オウガ・オリジン達に問いかけた。
「それは、私!」
「いや、わたし!」
「何を言っている、余に決まっているだろ!」
「なんだと、コラ! ぶっ殺す!」
その言葉が引き金になり、あっと言う間に、殺し合い。
血で血を洗うバトルロイヤルに、発展した。
それは辺りに血の池が出来るほどの壮絶バトル。
「ああそうそう、ちょっと聞きたいんだけどさ? これってチャンスじゃない? いや、こっち側の……って意味で」
その隙をつくようにして、多喜が【罪暴く言の葉(ディテクティブ・ロイヤー)】を仕掛け、死に掛けたオウガ・オリジン達の傷口をえぐって、次々とトドメをさした。
「「「「「騙されたああああああああああああああああ」」」」
その事実に気づいた瞬間、オウガ・オリジン達が、ブチ切れ。
利き腕をライオン型オウガの頭部に変形させ、ヤル気満々。
「……と言うか、やるんだったら、徹底的にやらなきゃ!」
「そうよね。そうそう、絶対に、そう」
「出でよ、トランプ兵!」
それに加えて、オウガ・オリジン達が苛立ちを隠せない様子で、次々とトランプ兵を召喚した。
召喚したトランプ兵は隊列を組みながら、猟兵達に襲い掛かってきた。
「……そう簡単に倒されるつもりはないけどね」
それを迎え撃つようにして、オルヒディが【槍騎兵ムシャリン(ファランクス・ランツィーラー)】で、フワリンの額にイッカクを生やし、トランプ兵に突っ込ませた。
その指示に従って槍騎兵ムシャリンが、イッカクで突き刺し、トランプ兵を放り投げた。
「ちょっと失礼……む、じろじろ見るものじゃないっす。スカートの『中身』を覗くなんて、手痛いお仕置きが待ってるっすよ」
その間に、藍亜が【昏く暗い黒い沼(クラククライクロイヌマ)】を発動させ、スカートから黒い粘液の沼を滴り広げ、沼から触腕を伸ばして、触腕を盾代わりにしつつ、トランプ兵を捕縛した。
「何をやってる、トランプ兵!」
「私を護れ!」
「いや、戦え!」
オウガ・オリジン達が警戒心をあらわにしながら、トランプ兵達に指示を出した。
しかし、命令がいい加減過ぎるため、トランプ兵が、オロオロ、あたふた。
誰の命令に従っていいのか分からず、困り果てている様子であった。
「おやおや、何だか雲行きが怪しいっすね。しかも、そっちには自分だけは絶対に生き残るって考えの奴がいるようっすよ」
藍亜がオウガ・オリジン達を煽りながら、【あなたのきずながくずれるおと(シンジルモノハスクワレル)】で、相手に味方と認識される幻影を作り出し、味方が裏切ったとしか思えない不意打ちを仕掛け、混乱と不信感を植え付けた。
それはまるで伝染病の如く広がっていき、オウガ・オリジン達が再び同士討ちをし始めた。
「それじゃ、こっちはこっちで、やらせてもらうね」
その隙をつくようにして、オルヒディが槍騎士ムシャリンに指示を出し、トランプ兵を蹴散らした。
「……って、まさか!?」
「また騙されたァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
「嘘、嘘、嘘! マジで腹が立つんだけど!」
「殺す、殺す! 絶対、殺す!」
オウガ・オリジンが殺気立った様子で、無数のトランプを放ってきた。
それは鋭い刃のような縁を持っており、少し触れただけでも、皮膚を切り裂くほどの破壊力があった。
「一体、何処を狙っているのですか? 当たったのは、すべて残像ですよ?」
すぐさま、明が無数のトランプを見切り、野生の勘と第六感を駆使しつつ、オーラ防御を展開しながら、残像をバラ撒いて、すべて避けた。
「いくら数が多くても、当たらなければ意味がありませんね」
それに合わせて、ラモートが白剣をインド武術の長剣ウルミに変化させ、それを振るう事でトランプを弾いて、斬り落とした。
「う、嘘……!」
オウガ・オリジンが信じられない様子で、声を震わせた。
その上、残っているのは、自分だけ。
他のオウガ・オリジンは、同士討ちをしている間に、猟兵達の手でトドメをさされ、足元の血溜まりに沈んでいた。
「残っているのは、あなただけ。つまり、あなたが本物のオウガ・オリジンです」
それと同時に明がオウガ・オリジンの前に陣取って、【ファイナル・フレア】を仕掛け、全ての魔力を込めた一撃を放った。
「ぐわああああああああああああああ!」
その一撃を喰らったオウガ・オリジンが悲鳴と共に宙を舞い、クレーターが出来るほどの勢いで地面に落下した。
「もう終わりにしましょう。私はあなたを助けたい。アリスに戻せる事が出来るなら……フォーミュラの重荷を下ろしてあげられるのなら、後のことは考えない!」
ラモートが真剣な表情を浮かべ、オウガ・オリジンに語り掛けた。
「わたしを助ける? お前が、か? ならば、わたしの餌になれ! わたしにとって、それが何よりの救い! それに、いまさらアリスになったところで何になる。お前も知っているはずだ。何故、アリスがオウガになるのか。オウガにならなければならなかったのか、をな! それでも、救いたいというのであれば……好きにしろ」
オウガ・オリジンがケモノの如く勢いで、ラモートに吠えた。
「それがアリスとしての言葉なのか。オウガとしての言葉なのか分りませんが……救います。助けさせてください!」
ラモートが【人としての願い。神としての暴走。(アンゲルスノネガイゴト)】を発動させ、猟兵としての力を代償に、因果を無視した奇跡を籠めた一撃を、オウガ・オリジンに放った。
「き、貴様ァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
その途端、オウガ・オリジンの中から、何か黒いモノが飛び出し、木っ端微塵に弾け飛んだ。
それはアリスの中に宿った歪んだ魂。
その魂から解放されたアリスが、糸の切れた人形の如く倒れ込んだ。
「お腹……減った……」
だが、その代償は大き過ぎるモノだった。
オウガ・オリジンは、オウガであって、アリスでもある。
その両方である以上、どちらかが欠ければ、その負担はもう片方が背負わなければならない。
しかし、いまのアリスに、オウガ並の空腹を満たす術はない。
底なしの空腹を満たす事が出来ぬまま、アリスが永遠に目覚める事のない深い だが、これで二度とオウガ・オリジンになる事はない。
その解放感からか、眠るようにして亡くなったアリスの死に顔は、実に安らかなものだった。
大成功
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