5
ドラゴンステーキは火力が命!

#アックス&ウィザーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ


0




「ドラゴンステーキはお好きですか? リムは猟兵に出撃を要請します」
 前後の文脈がおかしいことをのたまってから、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は今回の依頼内容を説明し始めた。
「アックス&ウィザーズにて、人里を襲うワイバーンの出現を予知しました」
 ワイバーンはドラゴンの亜種だが、その戦闘力は非常に高い。放置すれば人里に多大な被害が出ることは間違いないだろう。
「加えてワイバーンの出現に触発されたのか、多数の炎の精霊がモンスター化し、暴れているのが確認できています」
 ワイバーンに加えてこんなものに同時に襲われたら、町ひとつが瓦礫と炎の下に沈んでもおかしくない。その世界の住人にとって深刻な危機と言える。
「ですので、皆様はモンスターが人里に接近する前にこれを迎撃し、撃破してください。戦場となる座標までは、リムが直接転送します」

 ――ここまではメインの依頼の話。
「ここからは依頼後の後始末の話です」
 オブリビオンには死後消滅するケースと死体等が残るケースがあるが、今回のワイバーンは後者らしい。
「人里の近くに大きな飛竜の死体が転がっていても邪魔でしょう。リムはワイバーンの調理を提案します」
 調理って、つまり食べるのか。そう問いたげな視線にリミティアはこくりと頷き。
「こちらにリムがA&Wで入手した『おいしいドラゴンの食べ方:飛竜編』があります」
 あったのかそんな本。
「この本によると、ワイバーンの肉は熱に強く、とにかく強火で焼くのが美味しいステーキを作るコツだとか。とにかく火力だ、ひたすら燃やせ、もっと熱くなれよ! と書いてあります」
 信用できるのかその本。
「ちょうど近くには炎の精霊もいますし、捕まえれば火力には困らないでしょう」
 精霊使いの荒い話だが、精霊術士の彼女が言うのだから問題はない、はずだ。多分。

 まあ、少々変わったお楽しみが待っているだけで、内容自体はシンプルな依頼である。
 手のひらにグリモアを浮かべて、リミティアはA&Wへの道を開く。
「転送準備完了です。リムは狩猟の成果に期待します」



 こんにちは、戌です。
 今回の依頼はアックス&ウィザーズにて、襲来するモンスター達の撃退となります。
 基本的にはシンプルな戦闘シナリオです。1章で炎の精霊との集団戦、2章でワイバーンとの決戦になります。

 無事に戦いに勝利すれば、残ったワイバーンの肉でドラゴン(亜種ですが)ステーキを作って食べられます。
 レアでもミディアムでもウェウダンでも、好きなように焼いて食べましょう。
 リミティアは基本的に登場しませんが、もし要望があればプレイングでお申し付けください。もっと火力が欲しい時にでもどうぞ。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
281




第1章 集団戦 『炎の精霊』

POW   :    炎の身体
【燃え盛る身体】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に炎の傷跡が刻まれ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    空駆け
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    火喰い
予め【炎や高熱を吸収する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

影守・吾聞
『』:技能
【】:ユベコ

モンスターをハンティングして上手に焼いて食べる…
ゲーマーとしても浪漫溢れる話だね!
乗った!人里に被害を出すわけにもいかないし
ワイバーンにはお肉になってもらおう!

っと、まずは炎の精霊を何とかしないとね
【トリニティ・エンハンス】を発動、水の魔力で攻撃力を強化して迎撃だ!
敵の攻撃は『野生の勘』『ジャンプ』『ダッシュ』を駆使して回避に集中
一撃を入れるチャンスを待つよ

敵の隙が見えたら魔法剣で攻撃に転じる
水の『属性攻撃』を乗せた『2回攻撃』で畳み掛けるよ!


アマータ・プリムス
ドラゴンのお肉は食べたことがありませんので興味がありますね

数がいる相手でも一纏めにしてしまえば関係ありません
まずはUCを使い【範囲攻撃】で周囲の相手の拘束を試みます
その後【敵を盾にする】要領で味方の攻撃に誘導
他の方が戦いやすいように調整します

当機自身もトランクを【武器改造】で大型消化器に変形させ精霊相手に掃射。消化を試みます
「燃えている相手にはこれが一番です」
ついでに周囲に火が燃え移っていればそれも消化して【掃除】してしまいましょう

「さて、下ごしらえは済みました。次は本命のドラゴンですね」

※アドリブ、連携歓迎です


神宮寺・絵里香
≪心情≫
・飛竜のステーキか。そう言えば今までも何回か倒してきたが、
 そういうのはやったことがなかったな。
 ま、折角の機会だ。食えるかどうかだけ確かめるか。
・炎の精霊の対応も経験済みだ。問題なく捕縛するとしよう。
 ま、オレ向きの依頼だろう

≪戦闘≫
炎の精霊は一度対応済み。その時の【戦闘知識】を基に
的確に動きを【見切り】対処していく。
【高速詠唱】【祈り】の技能を使いUCを発動。雨を降らせる。
基本的には【水属性】を纏わせた黒蛇剣と擬槍蛇乃目の二刀流。
黒蛇剣で【薙ぎ払い】傘で【武器受け】
精霊の捕縛は【電気属性】の短槍を【槍投げ】して【麻痺攻撃】で
痺れさせるか。【高速詠唱】した『因達羅乃矢』で【麻痺攻撃】


月島・彩希
【精霊との戦い】
他の猟兵達と連携をして敵を倒す
スピードによる敵の撹乱を優先して味方を支援
【ダッシュ】と雷迅槍(UC)を用いて高速戦闘
雷の魔力で強化した身体能力と【怪力】を用いて槍で敵を【なぎ払い】
敵の攻撃には【残像】による【フェイント】を交ぜることで行動を読ませないようにして回避
回避後はすぐさま【カウンター】として攻撃を繰り出す
戦闘中、【戦闘知識】として敵の動きを把握し効率よく行動をしていく
空駆けの敵には、加速によるスピードと【怪力】を手にしている槍に乗せつつ【野生の勘】で感じ取った最適のタイミングで敵を【串刺し】にするべく槍を【投擲】し、【槍投げ】で攻撃
油断はせずに1体1体確実に倒していこう


星群・ヒカル
バーベキューだイヤッホォォォ!
まずは火力の確保というわけだな!この超宇宙番長に任せろッ!
(銀翼号にキャンプセットを積み込んで準備は万端だ!)

【ワンダレイ】メンバーと行動
超宇宙望遠鏡「ガントバス」と神経融合し、敵の密集地帯を「地形の利用」「視力」で発見するぞ
広い戦場の移動は宇宙バイク「銀翼号」で迅速に!
咲凛、こっちに向かって敵を撃ち落としてくれ!
敵がこっちに集まったら超宇宙・真眼光波動で一網打尽!
ふふふ、見たか、超宇宙番長とワンダレイメンバーの、輝かしいコンビネーションを!

残り火はオイルランプに移して、バーベキューまで取っておこう
さあ、待ってろステー……じゃなかったワイバーン!


壥・灰色
この雑な感じの案内、おれは好きだよ
竜を食ったら、どんな味がするんだろう
それが気になるばっかりに、リミティアの求めに応じて現地へ飛ぶ

炎の精霊相手に、拳をがんと打ち合わせ
きみらに恨みはないけれど、ちょっと落ち着いてもらおうかな
あとから肉を焼くのを手伝っても欲しいしね

壊鍵、起動
脚に「衝撃」を籠め、炸裂と同時に疾駆
衝撃の反作用に依って加速する、彼独特の歩法
燃えさかるその身体に物理的打撃が効くものかと心配されるかも知れないが、心配ご無用
おれの打撃は、空間を揺さぶる

拳、脚の打撃に伴い、「衝撃」が発露する
拳を中心に空気が揺さぶられ、熱の固まりたる精霊らを霧散させるが如く働く!

大人しくしてくれ、殺したくはない


赫・絲
ワイバーンのステーキかー
どんなんだろ、すっごく大きいイメージだけど……ちょっと興味あるなー
でもまずは目の前のコトに集中しないとね!

炎の精霊って言ってもうちのさくらとは全然姿が違って興味深いや

茜、力を貸してね。
囁くは、契交わした雷司る精霊の愛称
糸に雷纏わせての【属性攻撃】
雷の高熱を吸収されないように、できれば一撃で仕留めたい
敵の攻撃を【見切り】の技術も使って避けながら機を伺う

チャンスが来たら手元の糸を瞬時に射出
周囲の敵の首元をまとめて狙って巻き付けて、締め落とす勢いで糸を絞りながら
糸に纏わせた雷の威力を【全力魔法】で増幅
絞め落とせなくても、その雷で沈めてみせる

さ、大人しくしててよね!


ウィルトス・ユビキタス
炎の精霊を捕まえるということは倒してはならないんだな。
難しいオーダーだが、挑戦してみるか。

【エレメンタル・コード】で水属性の雨、まあ普通の雨を降らせよう。
倒さない程度に弱めるためにも広範囲に降らせる。
こっちに突っ込んでこないように、【ラディウス・ナトゥーラ】で牽制射撃を行おう。
他の猟兵が抑え込むようなら【イクリプス・フリティラリア】を銃形態にして援護射撃を行う。


メンカル・プルモーサ
【ワンダレイ】のみんなと一緒に…参加……
バーベキュー……楽しみ……まずは火種の確保…

【現実を侵せし狩猟団】を召喚……みんなの援護や護衛につかせる……
その間に炎の精霊のUCを解析……
【崩壊せし邪悪なる符号】で……空中ジャンプしてる精霊の空駆けを解除して地上に叩き落としたり…
炎の身体で出来た地形の炎の傷跡を解除していく……

地上で仲間が撃ち漏らした精霊には…【尽きる事なき暴食の大火】を叩き込んで……
炎の精霊を燃料に燃え盛る炎を作る……周囲に延焼しないように維持しておけばバーベキューの火種になりそうかな……強火で焼くのが良いらしいし…


月守・咲凛
【ワンダレイ】のメンバーとして行動。 「空中戦ですね、負けませんよー!」 空中ジャンプして来るトラに対抗意識を燃やして、上空からガトリングを放って撃ち落とします。 脚を狙って機動力を落とすようにして、基本的に飛んでいる敵を優先的に狙って地上の相手は仲間に任せます。
「1号ちゃん、そっちからお願いしますねー!」
対空戦闘機の1号ちゃんにも手伝って貰って、挟み込んで追い込み漁です。
「番長さんわかりましたー、いっぱい行きますよー!」
ついでに尾守さんと夜暮さんの方にも落ちていくように調整しておきます。


夜暮・白
【ワンダレイ】のみなさんと一緒にバーベキューしに来ました! まずは火の準備です。手荒になりますけど、炎の精霊さんはよろしくお願いします。

野生の勘で精霊さんがたくさんいるところを目指して、バウンドボディで思いっきり地を蹴って移動します。空中戦はできないからほかの人にお任せ。やけどをした人がいたら聖なる光で治すよ。

そういえばダガーはきくのかな? だめだったら素早く横を通り抜けて風圧をかけるくらいしかできないけど…… たぶんなんとかなるよね。咲凛さんが撃ち落とした精霊さんに逃げられないように、進路を横切って邪魔をします。追い込めたらあとは超宇宙番長さんに任せました!


尾守・夜野
ワンダレイの皆と行くぜ!
空にいる?あたらねぇ?んなのは関係ねぇな!

どうせ俺の攻撃は牽制だ!
Nagelの弾丸に、毒と呪詛を込めて打つ!

月森の方に誘導するぜ!
バーベキュー…まってろよ!
未知の攻撃に恐怖を持たせられればいいな。

何なら別に俺の方に来てもいい。
攻撃のチャンスになるんだからな
近くに落ちたら吸血と生命力吸収しつつぶったぎる


レイ・アイオライト
【ワンダレイ】のメンバーとして行動。「空中戦?そんなの許されると思ってるのかしら?」空中ジャンプで高い場所まで飛んでいる精霊に『交錯ノ魔絲』を放って拘束、そのまま地面に引きずり下ろすわ。精霊相手に毒が効くとは思えないけど、炎の体に直接触れることはないでしょ。ヒカル、後は頼んだわよ!もし可能だったら咲凛が撃墜した精霊をヒカルの方にうまい具合に鋼糸を放って(『投擲』)引き寄せるわよ。



●まずは火力の確保から
「バーベキューだイヤッホォォォ!」
 相棒の宇宙バイク「銀翼号」に跨って、戦場に降り立ったのは星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)。
 その後部スペースには積み込まれたキャンプセット。後のお楽しみの事まで含めて、仲間と共に準備万端駆けつけたのが分かる。
「まずは火力の確保というわけだな! この超宇宙番長に任せろッ!」
 威勢のいい宣言の後、彼はもう一つの相棒たる超宇宙望遠鏡「ガントバス」と神経融合。
 強化された星写す魔眼の超視力が捉えるのは、火の粉を撒き散らし空中を乱舞する、肉食獣のカタチをした炎の精霊の群れ。
 オブリビオンの影響によって我を忘れ、凶暴化しているようだ。
「見つけたぞッ!」
 銀翼号のエンジンをふかし、炎の精霊が特に密集する地帯へと目掛け、ヒカルは一直線に駆けていく。

「バーベキュー……楽しみ……まずは火種の確保……」
「手荒になりますけど、炎の精霊さんはよろしくお願いします」
 戦闘用プログラムガジェット部隊【現実を侵せし狩猟団】を引き連れて、ヒカルの後を追うのはメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)。
 その隣には、バウンドボディに変形した夜暮・白(燈導師見習・f05471)がぽいんぽいんと地を跳ねながら続く。
 その後からも次々と姿を現す猟兵たちを認識した炎の精霊たちは、彼らを"敵"と認識して一斉に襲い掛かってきた。

 敵は燃え盛る爪牙を武器とし、自在に空を駆ける精霊。
 それに対抗意識を燃やした月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)は、あえて敵と同じ土俵での勝負を挑んだ。
「空中戦ですね、負けませんよー!」
 機甲の翼を背負い自在に空を翔る少女は上空からガトリング砲の銃撃を放ち、精霊の脚部を射抜いていく。
 機動力を奪われた精霊は空中でバランスを崩し、地上へと墜ちていく。
「1号ちゃん、そっちからお願いしますねー!」
 同時に、飛空戦艦ワンダレイから呼び寄せた自律型攻撃機「1号ちゃん」も、咲凛の動きに呼応して炎の精霊と激しいドッグファイトを繰り広げる。

 地上にいる者たちも、ただ空中の戦いを見守っているだけではない。
「食らいな!」
 尾守・夜野(群れる死鬼・f05352)は愛銃Nagelの弾丸に毒と呪詛を込め、上空の炎の精霊に向けて撃つ。
「ガウッ?! ガ……ガゥ……ッ!!」
 着弾を受けた精霊は、全身を痙攣させながら悶え苦しみ、やがて力尽きて墜ちていく。
 その禍々しき呪毒の力を見た周囲の精霊たちは本能的な恐怖を感じ、ざわりと炎の毛並みを逆立てる。
「月守、そっちに誘導するぜ!」
 夜野は素早くNagelの次弾を装填し放てば、炎の精霊は蜘蛛の子を散らしたように射線から逃げていく。
 これ以上は当たらなくても関係ない。脅威を認識させることで、仲間の援護と牽制ができれば十分だと夜野は笑う。

「咲凛、こっちに向かって敵を撃ち落としてくれ!」
「番長さんわかりましたー、いっぱい行きますよー!」
 ヒカルの呼びかけに応じて、咲凛は1号ちゃんと共に炎の精霊に銃弾を浴びせながらその周囲を旋回する。
 地上と上空からの銃撃を避けようと駆け回る精霊たちは、次第に空中の一箇所に纏めて誘導されていく。
 それはさながら追い込み猟のように。

 敵が十分に密集したのを見計らって、準備していた魔術を発動させたのはメンカル。
「邪なる力よ、解れ、壊れよ。汝は雲散、汝は霧消。魔女が望むは乱れ散じて潰えし理」
 紡がれた【崩壊せし邪悪なる符号】は炎の精霊の構成情報を分解し、その飛行能力を解除する。
「ガ、ガウゥ?!」
 突如、足場を失ったように空中で四肢をばたつかせる精霊たち。
 そこに、地上から放たれた無数の鋼糸が、彼らの身体に絡みつく。
「空中戦? そんなの許されると思ってるのかしら?」
 鋼糸の主はレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)。彼女の奥の手たるその絲は、精霊たちがどれだけもがこうが引き千切れず、焼き切れもしない。
 そして、レイが地上から力いっぱい糸を引くのと同時、咲凛が1号ちゃんと共に上空から銃弾を浴びせれば。
 まるで降り注ぐ炎の雨のように、精霊たちは一斉に地に叩き落とされた。

「グゥゥッ……」
 落下した炎の精霊は再び上空へと駆け上がろうとするが、そこに妨害に入ったのは白。
「逃がしませんよ!」
 俊敏な身のこなしで精霊の進路を塞ぎながらダガーで斬りつければ、確かな手応えと共に精霊の悲鳴が上がる。
 精霊と言えども実体化している以上、物理攻撃は有効なようだ。白はそのままダガーで相手の動きを牽制し、仲間たちのいる方へと追い込んでいく。

「俺の方にも来たか」
 夜野は目の前に落下してきた炎の精霊に容赦なく黒剣を振り下ろす。
 剣に生命力を奪われた精霊は、鮮血の代わりに火の粉を撒き散らしながら消えていく。
 得られた生命力は大した量ではないが、これは下準備であり前菜のようなもの。本命はまだこの先にいる。
「バーベキュー……まってろよ!」

「こっちにも……来た……」
 メンカルは他の仲間から逃げてきた炎の精霊を狩猟団に足止めさせると、再び呪文を紡ぎ。
「貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ。汝は焦熱、汝は劫火。魔女が望むは灼熱をも焼く終なる焔」
 放たれたのは万象を燃料に変えて燃え盛る白炎。それは炎の精霊さえも例外なく焼き尽くし。
「維持しておけばバーベキューの火種になりそうかな……強火で焼くのが良いらしいし……」
 周囲に延焼しないよう気をつけながら、精霊を糧にして一回り大きくなった白炎をメンカルは眺めるのだった。

 こうして各個撃破され、あるいは誘導されていく精霊たち。
「あとは任せました、超宇宙番町さん!」
 追い込みを完了させた白がぽいん、とバウンドボディでその場から退避し。
「ヒカル、後は頼んだわよ!」
 一箇所に纏められた精霊を、レイが再び鋼糸を放って拘束し、その動きを封じる。

「この時を待ってたぜッ!」
 飛空戦艦ワンダレイの仲間たちが作ってくれた一網打尽のチャンス。
 ヒカルの星写す魔眼が輝く。それはさながら地上の星の如く。
「その目に焼き付けろ。これが……超宇宙番長の輝きだッ!」
 放たれるは超宇宙・真眼光波動。真眼光波動と書いてメンチバーストと読む。
 目を開けていられない程の強烈な魔力光の波動が周囲を埋め尽くし、炎の精霊を吹き飛ばしていく。
「ふふふ、見たか、超宇宙番長とワンダレイメンバーの、輝かしいコンビネーションを!」
 光が収まった時、そこに立っていたのは会心の笑みを浮かべたヒカルであった。

●炎、のち雨
 ワンダレイのメンバーの戦いと平行して、少し離れた戦場でも、猟兵と炎の精霊の戦いは繰り広げられていた。
「捕まえるということは倒してはならないんだな。難しいオーダーだが、挑戦してみるか」
「炎の精霊の対応は経験済みだ。問題なく捕縛するとしよう」
 ウィルトス・ユビキタス(武闘派デスクワーカー・f01772)と神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)はそう呟くと、それぞれの得物を天に向けてユーベルコードを発動させる。
「不条理を以て不条理を覆せ」
「大いなる水を司りし白蛇の神よ! 汝が巫女たるこの我に恵みの雨を与え給え! 急急如律令!」
 属性と自然現象を操るエレメンタル・コードと、恵みの雨を呼ぶ水神への祈りが同時に天へと達し。
 それまで晴天だった空がにわかに掻き曇り、しとしとと篠突く雨が戦場に降り注ぐ。
「グ、ウゥゥッ……!」
 炎の精霊にとって、相反する属性である水は最も苦手とするもの。
 突然の雨に打たれた精霊たちの火勢は明らかに弱まっていく。
 敵の動きが鈍ったのを見て飛び出したのは、近接戦を主体とする猟兵たちだ。

(ワイバーンのステーキかー。どんなんだろ、すっごく大きいイメージだけど……ちょっと興味あるなー)
 そんなことをふと考える赫・絲(赤い糸・f00433)は、今は目の前のコトに集中、と意識を切り替える。
「茜、力を貸してね」
 絲の囁きに応えて、契を交わした雷の精霊が彼女の手繰る鋼糸に力を与える。
「グルルッ!」
 牙を剥き襲い掛かる炎の精霊の爪牙を、最小限の動きで見切り、かわして。
「さ、大人しくしててよね!」
 交錯の一瞬、放たれた雷纏う鋼糸が炎の精霊の首元に巻き付く。
 精霊に窒息という概念があるかは分からない。だから、重ねてもう一手。
 絲は鋼糸を強く絞り上げながら、茜に呼びかけて増幅した雷を相手に流し込む。
「ガ……ッ!」
 まるで落雷に打たれたようにビクッと体を震わせると、炎の精霊はどう、とその場に崩れ落ちた。

「きみらに恨みはないけれど、ちょっと落ち着いてもらおうかな」
 がんと拳を打ち合わせ、炎の精霊と対峙するのは壥・灰色(ゴーストノート・f00067)。
「あとから肉を焼くのを手伝っても欲しいしね」
 竜を食ったら、どんな味がするんだろう。そんな興味に引かれてここにやってきた彼は、その身に刻まれた魔術回路を始動させる。
「壊鍵、起動」
 脚に籠められた「衝撃」が炸裂し、地面が弾けるのと同時に灰色は駆ける。
 衝撃の反作用に依って加速した彼の身体は、瞬時に炎の精霊の懐へと肉迫し。
「大人しくしてくれ、殺したくはない」
 拳足と共に放たれる「衝撃」が、精霊を打つ。
 単なる物理的な打撃ではない。空間そのものを揺さぶる「衝撃」は、熱量の固まりである精霊の実体の「芯」にまで響き。
 実体を保てなくなった精霊は、弱々しい幽火となって霧散していくのだった。

「モンスターをハンティングして上手に焼いて食べる……ゲーマーとしても浪漫溢れる話だね! 乗った!」
 ウキウキと楽しげな笑みを浮かべながら、影守・吾聞(先を読む獣・f00374)はトリニティ・エンハンスを発動。
 水の魔力で攻撃力を強化しながら、襲い来る炎の精霊を迎え撃つ。
「ガウッ!!」
 雨に打たれた炎の精霊は、まるで手負いの獣のような激しさで飛び掛ってくる。
 だが、獣の勘ならこちらにだって備わっている。
 ギリギリまで相手を引き付けてから、吾聞はぴょん、と跳躍して、勢い余った精霊の背後に回りこみ。
「隙あり!」
 水流を帯びた魔法剣が、息を吐く間もなく二度閃く。
 火属性には水属性で対抗。ゲーマーであれば一度は経験するであろう黄金の法則。
 その法則に違わず、弱点属性の攻撃を受けた炎の精霊は真っ二つになって消滅していく。

「グルルルルゥゥッ……!!」
 次々と同族が消滅、あるいは無力化されていく中、残った炎の精霊は一箇所へと集まっていく。
 散り散りのままでは各個撃破されると本能で悟ったか。
 あるいは、この降り注ぐ雨の下で、身を寄せ合うことで火勢を保とうとしているのか。
 いずれにせよ決着の時は近付いていた。

「行きます」
 口数少なく他の猟兵に告げて、精霊の群れに飛び込んだのは月島・彩希(灰色狼・f12810)。
 その手には凍気を纏う灰狼の槍。その穂先と自らに雷の魔力を纏うと、彼女の身体は雷光の域にまで加速する。
「グルッ?!」
 驚く精霊たちが遮二無二爪を振り回しても、捉えるのは雷光が過ぎ去った後の残像ばかり。
 その次の瞬間には、反撃にと突き出された槍が精霊を切り裂いていく。

 彩希が敵を翻弄している隙に、群れに近付いたのはアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)。
 彼女はその指先から幾本もの鋼糸を放つ。
「数がいる相手でも一纏めにしてしまえば関係ありません」
 数体の精霊をまとめて縛り上げると、くい、と糸を手繰って誘導し。
「そこだ」
 そこに遠距離からウィルトスが狙撃鎌イクリプス・フリティラリアで、拘束された精霊を狙撃する。
 致命傷となり得る胴体や頭部はあえて狙いから外し、捕獲のために四肢のみを正確に撃ち抜いていく。

「ガァウッ!」
 捕まった仲間を助けようと――あるいは単なる攻撃衝動かもしれないが――鋼糸の標的から外れた精霊はアマータに襲い掛かる。
 しかし、振り下ろされた炎の爪を受け止めたのは、絵里香が横合いからすっと差し出した仕込み傘だった。
 その動きは過去に見切っている、と言わんばかりの所作で、彼女は精霊の爪を傘で受け流すと、もう一方の手に握った黒蛇剣を振るう。
「ギャゥ?!」
 慌てて炎の精霊が飛び退いて距離を開けば、即座に指先を向けて真言を唱える。
「ナウマク・サマンダ・ボダナン・インダラヤ・ソワカ!」
 直後、雨雲に覆われた空から降り注ぐのは因達羅の矢――魔を滅ぼす青白い稲妻。
 落雷の直撃を受けた炎の精霊は、プスプスと煙を上げてその場で気を失った。

 絵里香が敵を引き付けている間に、アマータは残った精霊を掃討すべく、銀色のトランク型ガジェットを改造変形させ。
「燃えている相手にはこれが一番です」
 出来上がったのは大型消火器。シューッ、と勢い良く噴出する真っ白い泡が、炎の精霊を包み込んでは鎮火させていく。
「グルルルルルッ……!!」
 おそらく消火器など見たこともないだろう精霊は、その未知の泡から逃れようと再び空を駆け――
「狼の牙から逃げられると思わないで……ッ!」
 そこに狙い済ましたように、彩希が投げ放った灰狼の槍が、炎の精霊を串刺しにした。

「――グゥ」
 ぼとり、と力を失って墜ちてくる炎の精霊。
 それが、戦場に残っていた最後の一体であった。


 炎の精霊との戦いに勝利した猟兵たちは、まだ息のある精霊を手早く捕獲し、次の戦いに備える。
「やけどをした人はいませんか?」
 白は体から聖なる光を放ちつつ、怪我をした猟兵がいないか見て回る。
 幸いにして大した苦戦もなかったおかげで、負傷者はいないようだったが。

「炎の精霊って言ってもうちのさくらとは全然姿が違って興味深いや」
 捕獲された精霊を見て感想を呟くのは絲。
 彼女が契を交わした焔の精霊は狼の姿。対してこちらは虎に近い。
 自然が様々な側面を持つように、精霊の在り方も一様ではないのだろう。

「ドラゴンのお肉は食べたことがありませんので興味がありますね」
 大型消火器を手に、延焼した精霊の火の後始末をしつつ、アマータはふと呟く。
「今までも何回か倒してきたが、そういうのはやったことがなかったな」
 絵里香もそれに頷く。経験豊富な猟兵たちにとってさえ、竜の肉というのは未知の食材らしい。

 だが、それを知る機会はすぐに訪れる。
「来たぞッ!」
 精霊の残り火を移したオイルランプを片手に、ガントバスで見張りを行っていたヒカルが、彼方より飛来する巨大な影を見つけ、警告を発する。
「来ましたか。さて、下ごしらえは済みました。次は本命のドラゴンですね」
 消火活動を終えたアマータは、トランクを元の形状に戻し。
「ま、折角の機会だ。食えるかどうかだけ確かめるか」
 そう言って絵里香も再び戦闘態勢に入る。
「人里に被害を出すわけにもいかないし、ワイバーンにはお肉になってもらおう!」
 意気揚々と吾聞が宣言する。他の猟兵の中にも、期待に胸を膨らます者は多く。
「さあ、待ってろステー……じゃなかったワイバーン!」
 高まる期待を抑えきれず、ヒカルは銀翼号のアクセルを吹かすのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ワイバーン』

POW   :    ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ワイバーン。それはアックス&ウィザーズの世界でも、強者と分類されるドラゴンの亜種である。
 その翼は自在に天を舞い、その爪牙は鋭く得物を引き裂き、その尾には毒を持つ。
 並みの冒険者であれば「逃げろ」とまず教えられる。そのような脅威がオブリビオンと化し、人里に迫っているのだ。
 これを危機と呼ばずしてなんと呼ぼう。

 ――それはそれとして、この世は弱肉強食。
 勝てば食い、負ければ食われる、それが自然の掟。

「ギャオオオオオオオオオッ!!!!!」

 その大翼を広げ、ワイバーンが咆哮する。
 食うのは翼竜か、それとも猟兵か。今こそ決戦の時である。
影守・吾聞
『』:技能
【】:ユベコ

出たな、ワイバーン!
お腹空いてきたし、速攻で狩ってお肉にしてやる!

他の猟兵さんとも連携を心掛けるね

自慢のSPDで勝負だ!
ワイバーンの顔目掛けて短剣を『投擲』するよ
たぶん飛竜の知恵で回避されちゃうと思うけど、この攻撃は囮!

敵が短剣に気を取られて体勢を崩したら
【某配管工の真似】を発動して、身体へ飛び乗るよ
『騎乗』『クライミング』も駆使して振り落とされないようにしつつ
魔法剣を突き刺して『マヒ攻撃』
バステ付与して動きを鈍らせてやる!


神宮寺・絵里香
〈心情〉
・飛竜は3頭目か。こいつについては大分研究ができている
 ま、個体差もあるから油断はしないがな
・では、オレの役割をしっかりと果たすとする

〈戦闘〉
オレの役割は飛竜を地面に叩き落とすことだ
今までの戦闘経験による【戦闘知識】から飛竜が天から攻撃されることを
想定していないことを知っている。味方の行動によって注意がそちらに向いている飛竜に対して【力溜め】をした【全力魔法】の【麻痺攻撃】UCを発動。痺れと上から殴られた衝撃で地面に墜とす
もう一度空を飛ぶ時に備えて【力溜め】【全力魔法】でUCをチャージ。
地から逃げようと羽ばたいた時を狙って2度目のUCを撃ち込む
敵の攻撃は【戦闘知識】を基に【見切り】回避



「出たな、ワイバーン! お腹空いてきたし、速攻で狩ってお肉にしてやる!」
 悠然と天空を舞う標的に刃を向けて宣言するのは吾聞。
 地を這うしか能のない者が何を吼えるかと、強者の風格をもって威圧するはワイバーン。
 驕り昂ぶったその出鼻を挫くため、吾聞は手にした短剣を投擲する。

 ワイバーンの頭部目掛けて矢のように飛来する短剣。
 しかし、飛竜は上空より眼下のすべてを俯瞰する。地上からどのような攻撃が飛んで来ようとも、それを予測し見切るのは容易いこと。
 ぐっと首を傾げて旋回し、投じられた短剣の射線から逃れる。まるで嘲笑うかの如く牙を剥き出しながら。

 しかし吾聞にとってその攻撃は囮。ワイバーンが短剣に気を取られた隙を突いて、自らのユーベルコードで天へ駆け上がる。
「ヒア、ウィ、ゴー!」
 テテッテッテテッテン。軽快な足音と共に一段、二段、三段と連続ジャンプで空を舞い、そのままワイバーンの背中に飛び乗った。
「?!」
 驚愕したのはワイバーン。突如として背中に増えた重量感を振り払おうと、急上昇やきりもみ飛行で空中を暴れまわる。
 しかし吾聞は赤い岩壁のような飛竜の背にしがみついて、決して離れない。
 数十秒間のせめぎ合いの後、先に息を切らしたのはワイバーン。その動きが鈍ったタイミングを見逃さず、吾聞は電撃を纏った魔法剣を突き立てた。
「バステ付与して動きを鈍らせてやる!」
「ガァッ?!」
 電流が体内を迸り、ワイバーンの動きが更に鈍る。

「飛竜は3頭目か。こいつについては大分研究ができている」
 地上よりその攻防を見ていた絵里香は、印を結び、真言を唱える。
「ナウマク・サマンダ・ボダナン・インダラヤ・ソワカ!」
 彼女は知っている。個体差はあれど、自在に空を飛んで地上の獲物を襲う生活を送るワイバーンは、自分より上空からの攻撃を想定していない傾向にあることを。
 背中に飛び乗られてあれだけの動揺を示したのも、その証左。ならば今度は更に上空からの追撃を見舞う。
「神々の王の裁きよここに! 魔を滅ぼせ因達羅の矢よ!!」
 絵里香がワイバーンを指差し、意図を察した吾聞が背から飛び降りる。
 直後、天から降り注いだ青白い稲妻が、飛竜の肉体を貫いた。
「ガァァァァァァァァッ?!」
 閃光と衝撃を浴びたワイバーンは空に留まる力を失い、ズシン、と大きな音を立てて地上に落下する。

 恐らくは初めてであろう、このように土埃に塗れ泥を食む経験は。
 急ぎ空に舞い戻ろうとするワイバーンだが、二度に渡る電撃を浴びた影響で思うように体を動かせず、翼を羽ばたかせることもままならない。
「マヒってるマヒってる。チャンスだ!」
 ここぞとばかりに追い討ちをかけるのは、空中ジャンプから華麗に着地した吾聞。
 ダメージの通りが良い場所はどこだろうと考え、やはり頭部だろうとゲーム知識に従い集中攻撃をかける。
 短剣と魔法剣の刃が、ワイバーンの顔面に幾つもの傷を刻む。

「グォォォォォォッ!!」
 苦悶にのけぞるワイバーンは、麻痺中でも比較的自由のきく長い尾を乱雑に振り回す。
「うおっと!」
 毒液をしたたらせる尾から吾聞が飛び退いた隙に、まだ痺れの残る両翼に力を込めて、己の土俵である空に逃げ戻ろうとする。
 だが、ワイバーンが大きく翼を羽ばたかせた瞬間、その時を狙って力を溜めていた絵里香が再度、因達羅乃矢を発動させる。
「逃がすか!」
 浮き上がった直後に落雷の閃光で目が眩んだワイバーンは平衡感覚を失い、衝撃と電流を受けて無様に落下する。
 そして再び繰り出される頭部への斬撃。その間にも絵里香は三度目の雷矢を落とす準備を整えている。
「グ、ウゥゥ……ッ!」
 このままでは延々とパターンに嵌まる、そう察したワイバーンは絵里香が真言を唱え終わる前に、強引に力を振り絞って離陸を試みる。
「オオオオオオオオッ!!」
 咆哮による衝撃と羽ばたきが生む爆風が周囲に吹き荒れ、吾聞と絵里香は咄嗟に防御と回避を余儀無くされる。
 その隙を突いてどうにか空へと舞い戻ったワイバーンだが、その飛び方は当初の悠然としたものではなく、傷ついた獣の荒々しさに満ちていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レイ・アイオライト
ワイバーンの肉は熱に強い……ってどこまで強いのか試したくなっちゃうわ。【ワンダレイ】の皆で参戦。ヒカルと咲凛が撃墜したワイバーンを『追跡』して狩るわよ。UC「紫電奔る雷霆の孤狼」で相棒に騎乗して、皆が攻撃して傷ついた箇所を、雷撃とガルンの爪とあたしのダガーで、『傷口をえぐる』わ。解体ショーって感じかしら?……えーと、雷撃で肉、焦げちゃったりしないかしら。雷の威力を抑えろ、って命令しても、ガルン容赦ないから、まあ……ぶ、無事な箇所の肉だけ拝借出来ればそれでいいわよね?み、皆そんな目で見ないでよ!


月守・咲凛
【ワンダレイ】のメンバーとして行動。 「お肉はいりました!」 ニコニコ顔でワイバーンさんをお出迎えです。 さて、ワイバーンさんに空は自分の物ではない事を教えてあげる必要があります。 ワイバーンの上を取るように動いて味方と同時に動きを見る事ができないようにして、こちらを見ている時は基本的に回避しながら射撃で攻撃、他を見ている時は思い切ってビームチェーンソーの鎧無視攻撃でなぎ払い、とにかく最初は羽根を狙います。 フェイントを仕掛けてくるようなら、見切って逆に斬りかかるフリをして急停止、ミサイルを撃ち込んであげます。
地面に落ちたワイバーンさんには空中からドヤ顔をしておきましょう。


メンカル・プルモーサ
【ワンダレイ】のみんなで参加……
空からの衝撃波の対策として【愚者の黄金】で遮蔽を作るから回避に自信にがない人はこっちこっち……

……動きを観察するかぎり……主な攻撃は急降下二種……
つまり……【空より降りたる静謐の魔剣】を『下から』『急降下を邪魔する軌道とタイミング』で発射する……主に狙うは……右半身…半身を凍結させることでバランスを崩す……

……地上に落ちたら【鳴り止まぬ万雷の拍手】で動きを封じて仲間のフルボッコタイムの延長狙い……
……竜は地上に落としてから動きを封じて倒せ、古代の書物にもそう書いてあった……

……竜種の肉は引き締まってて美味しいとは聞くけど……ワイバーンはどうかな…きになる…


尾守・夜野
【ワンダレイ】の皆と参加。
基本俺には対空能力なんぞねぇ。
…だから、スキットルの血を頭から被り囮になりつつ相手からの攻撃を待つ。
っ!今だ!
振り下ろされる爪を避け、足にしがみつく。
足が無理なら尻尾だな。
避けられねぇ場合は、頭部等だけ庇い、受けるまでだ。

毒?以前、別個体の飛竜とやりあった時に取り込んだ耐性を信じるのみ。
しがみついたまま、攻撃したり、血抜き(吸血)、後はしがみつく体力維持のために生命力吸収。

空中や高所から狙ってる皆にヘイトいかねぇようにそっちに飛びそうになったら威圧(恐怖を与える )し強制でこっちを向かせる。

よう…てめぇの相手は俺だっての!


夜暮・白
【ワンダレイ】のみなさんと一緒に、お肉を狩りにいきます!

空中戦は得意じゃないし、【生まれながらの光】で回復役をしてます。ケガした人がいたら治すよ。それ以外は衝撃波が当たりそうな位置を避けて、目立たないように物陰を移動します。

ワイバーンってどこが美味しいんだろう? バラかな。タテガミかな。テールとか固そうだよね。(動きを観察して情報収集)

手にダガーを持って警戒は怠らずに。急降下してきたら【バウンドボディ】で急上昇して攻撃を避けます。


星群・ヒカル
狩りの時間だー!
強敵のようだが、(バーベキューへのモチベーションで)団結したおれたちの前にはそんなの関係ない!

【ワンダレイ】の皆で参戦するぜッ
まずは「超宇宙・強襲流星撃」でおれが先陣を切る
咲凛とのコンビネーションで敵を翻弄しながら、ガトリングガンで翼を狙って行くぞ
地上に待ち受けてる仲間たちの元にうまく誘導して落とせるといいな
その後は「騎乗」で銀翼号で戦場を駆け回りながら援護射撃を繰り返す

美味しいところ……やっぱりモモ肉とかじゃないか?ほら、トカゲって鳥と近いっていうし。
どんな味だが今から楽しみだが、油断は禁物だッ!
最後まで仕留め切るまで全力攻撃だ!



「お肉はいりました!」
「狩りの時間だー!」
 空中へと逃げ戻ったワイバーンを追うのは、流星の如く空を翔ける咲凛と、銀翼号に跨り地を駆けるヒカル。
 機動力に長けた二人の猟兵は瞬く間に獲物を射程に捉えると、相手が体勢を整えるより早く追撃を仕掛ける。

「強敵のようだが、団結したおれたちの前にはそんなの関係ない! そのご自慢の翼、蜂の巣にしてやるよ!」
 バーベキューのモチベーションでやる気MAXなヒカルの、銀翼号に搭載されたガトリングガンが火を噴く。
 敵が飛行能力を持つのなら、まずは翼を狙うのは常套手段。しかし己の強みを理解しているワイバーンもまた、どこが狙われやすいかは熟知している。
「くっ、デカいくせにチョコマカと……!」
 相手の狙いを予測しながら、自身の動きを読ませない変幻自在の機動を見せて、ガトリングの弾幕から逃れ続けるワイバーン。
 その眼光には再び余裕めいた輝きが浮かぶ。

 だが、その余裕は慢心であったと飛竜はすぐに理解することとなる。
「隙あり、です!」
 ワンダレイの空中戦担当・咲凛は、敵が地上からの弾幕に気を取られているのを見るや、ビームチェーンソーを構えて吶喊した。
 唸りを上げて回転するビームの刃。間一髪で奇襲を察知したワイバーンは咄嗟に翼を翻すが、避けきれずに翼膜の一部に裂傷を負う。
「グルルッ!!」
 翼を傷つけられた痛みと屈辱に、ワイバーンの眼が血走りだす。しかし殺意の眼光の先にいるエルフの少女は、臆するどころかむしろ得意げなニコニコ顔で。
「ワイバーンさんには、空は自分の物ではない事を教えてあげる必要があります」
 人語を解さずとも、言わんとすることは解るだろう。何故ならば咲凛のいる場所はワイバーンの上方。大空の捕食者たるはずの己の、さらに"高み"。
「グルル、ルゥゥゥガアアアアアアアアアアッ!!」
 背中に乗られた時よりも、落雷に撃ち墜とされた時よりも激しい怒りを露わにして、飛竜は咲凛に襲い掛かった。

「遅い遅いです」
「ガアアアッ!!」
 自らのナワバリを侵した不届きなエルフを噛み喰らわんと、牙を剥き出しにして襲い掛かるワイバーン。
 だが、怒りに任せたその攻撃と機動は直線的すぎて、見切るのは容易い。
 咲凛はスラスターと飛行制御ユニットを駆使した三次元機動で飛竜の牙から逃れ、距離を取りながら内蔵火器による射撃攻撃を行う。
 小癪な、とばかりにワイバーンは回避機動を取ろうとし――。
「おっと、おれの事も忘れて貰っちゃ困るなッ!」
「ガッ!?」
 その直前、上からではなく下からの銃撃が、無防備だったワイバーンの腹部を抉った。
 先程の展開とは逆の構図。上空の敵に気を取られて地上から眼を離した隙に、ヒカルが援護射撃を放ったのだ。
 着弾のダメージで動きが止まったのを見て、すかさず咲凛も弾幕を浴びせかける。
「ガアアアアアッ!!」
 上空と地上からの挟み撃ちに翻弄され、たまらず悲鳴を上げるワイバーン。

 ここにきて飛竜も獣の知恵を働かせる。
 先に殺すべきは地上の敵から。ちょこまかと逃げる空中の敵よりも捉えるのは容易く、いちいち横槍が鬱陶しい。
 狩りやすい獲物から順番に屠っていけば、己の勝利は揺ぎ無いはずだ、と。

 咲凛への怒りを一旦納めたワイバーンは、翼を畳むと地上に向かって急降下する。
「あっ、逃げるんですか!」
 ドッグファイトでは優位に立った咲凛だが、降下時の最高速度においてはワイバーンの側に分があった。
 一気に咲凛を引き離したワイバーンが狙うのは当然、先程から奇妙な金属の馬に乗って攻撃を仕掛けてきた男だ。
「おっと、これはマズいな!」
 敵の狙いが自分であることを悟ったヒカルは、銀翼号を急発進させた。

「回避に自信にがない人はこっちこっち……」
 敵が対地攻撃を仕掛けてきたのを見て、仲間たちに呼びかけたのはメンカル。
「世に漂う魔素よ、変われ、転じよ。汝は財貨、汝は宝物、魔女が望むは王が呪いし愚かなる黄金」
 発動したのは【愚者の黄金】。魔素の転換によって創り出された黄金の壁が、ワイバーンと猟兵の間に遮蔽を作る。
「助かるぜッ」
 壁の内側にヒカルが駆け込んだ直後、急降下してきたワイバーンが咆哮と共に衝撃波を放つ。
「オオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
 吹き荒れる爆風と衝撃が周囲を薙ぎ払い、それが過ぎ去った後には、飛竜の降下地点はまるで隕石の直撃でも受けたかのようなクレーター状に陥没していた。

「うわぁ、すごい威力だなぁ」
 攻撃を警戒して目立たぬよう距離を取っていた白は、衝撃波が来る瞬間にバウンドボディで跳躍することで、難を逃れていた。
「みんなは大丈夫かな?」
 必要ならば回復をと戦場を見回すが、地上の仲間たちはメンカルの黄金の壁に守られて、被害はないようだった。
 しかし、黄金は重いが、防壁としては柔らかい。あと一撃、今と同じ攻撃を受ければ倒壊するであろうことは見て取れた。
 このままでは不味い。そう感じた白は何か付け入る隙はないかと、ワイバーンの動きをつぶさに観察する。
「ワイバーンってどこが美味しいんだろう? バラかな。タテガミかな。テールとか固そうだよね」
 ……少し視点がおかしい気もするが。それでも真剣に観察を行う白は、あることに気付く。
 猟兵たちがこれまでに刻み付けた幾つもの負傷の中でも、頭部と腹部からの出血が特に激しい。恐らくはそこがこのワイバーンの急所。
「みなさん、頭とお腹のお肉が柔らかそうですよ!」
 ぴょーんと高く跳び上がって、白は戦場の猟兵たちにその情報を伝える。

「グルルルルル……!」
 一方、猟兵たちを仕留め損なったのを悟ったワイバーンは、次の瞬間には急上昇し空へと舞い戻っていた。
 そして今度こそ地上の敵を一掃するべく、二度目の急降下攻撃を敢行する。
 このままだと猟兵たちは遮蔽物ごと纏めて吹き飛ばされるだろう。

 敵の狙いを仲間から逸らすべく、壁の内側から飛び出したのは夜野だった。
「こっちだ、ステーキ肉!」
 血液の入ったスキットルの封を開けると中身を頭からひっ被り、その匂いで敵を誘う。
 血の匂いを嗅ぎ付けたワイバーンは、のこのこと孤立している獲物を見つけると、即座に狙いを変えた。
 このまま一撃で引き裂いてくれようと、降下の速度を上乗せされた鋭利な爪が夜野に襲い掛かる。
「っ! 今だ!」
 避け切れなかった飛竜の爪が、左肩を深々と抉る。だが夜野は痛みを堪えながら飛竜に飛び掛り、その足にしがみ付いた。
「グルルッ?!」
 ワイバーンは再び上昇しながら、まとわりつく夜野を叩き落そうと、鞭のようにしなる毒尾を振るう。
 手を離せない夜野に避ける術はなく、毒尾が突き刺さり猛毒が体内に注ぎ込まれる。その毒性は、常人であれば数秒で即死する代物だ。

 だが、夜野はまだ健在だった。
「以前、別固体の飛竜とやりあった時に取り込んだ耐性があってな……!」
 危険な賭けではあったが、夜野はそれに勝った。おかげでこうして、空の敵を自分の刃の間合いに捉えることができている。
 夜野は自由に動く右手で黒剣を握り締める。傷口から流れた血を刃に吸わせ、ブラッド・ガイストを発動。
 狙うのは白が教えてくれた標的の急所。
「ガッ、グガアァァアアァァァァァァッ?!」
 殺戮捕食態に変化した黒剣がワイバーンの腹部に突き刺さり、鮮血と生命力を貪り喰らう。
 悶え苦しみながら夜野を振り落とそうと暴れるワイバーン。必死の絶叫が戦場に轟く。

「尾守さん、お見事です!」
 空中でのた打ち回るワイバーンに咲凛が斬り掛かる。
 ビームチェーンソーの刃が翼膜を深く切り裂き、バランスを崩す飛竜。
「グ、ガァァァァ……ッ!」
 窮地に陥ったワイバーンは、もう一度地上への急降下を仕掛ける。
 降下の勢いで夜野を引き剥がし、仕切り直そうという算段だろう。

 ――だが、その行動パターンは既に、メンカルに把握され予測されていた。
「……動きを観察するかぎり……主な攻撃は急降下二種……つまり……」
 降下するワイバーンの直下に、凍気を纏う無数の魔剣が召喚される。
 それは目標が降下体勢に入った、軌道変化も再上昇もできない絶妙のタイミングで、メンカルの合図に合わせ射出される。
「?!?!」
 ワイバーンの視点からすれば、襲い掛かる魔剣の群れに自分から突っ込んでいったようなもの。
 次々と突き刺さる魔剣はその魔力を解き放ち、飛竜の右半身を凍結させていく。

「グゥゥゥゥゥ……ッ!」
 ぐらり、と降下中に体勢を崩したワイバーンは、凍りついた右翼を必死に動かしてバランスを取ろうとする。
 だが、そこに上空から咲凛が駄目押しの一撃を加える。
「武装ユニット全開放、撃ちます!」
 彼女が身に纏う全ての武装ユニットが一斉に砲火を浴びせる。
 ガトリングの弾幕が、キャノン砲の砲弾が、ビームに火線に光弾が、次々にワイバーンに襲い掛かり。
「ガ、ガアァァァァァァァァッ!!!!」
 火力に押し潰されるように、ワイバーンの巨体は三度、地上に叩き落とされた。
「これで分かりましたか?」
 地に落ちたワイバーンを空中より見下ろす咲凛の表情は、この上ないほどのドヤ顔だった。

 ワイバーンが墜ちたのを見て、ダガーを手にすぐさま駆け寄ったのは白。
 追撃をかけるためではなく、それにしがみついていた夜野を治療するためだ。
「すぐ回復しますね!」
「悪い、助かる」
 ブラッド・ガイストを解除した夜野の顔色は悪いが、まだ自分の足で立てるだけの力はあった。
 白は生まれながらの光で彼を回復しながら、墜ちたワイバーンから二人で距離を取る。

「ようやくあたしの出番ね」
 それと入れ替わるように飛び出したのはレイ。
 仲間たちが撃墜したワイバーンに追撃をかけるため、この時まで温存してきた力を一気に解放する。
「来なさい、鳴雷の大狼! アンタの出番よ!」
 黒檀のダガーを手に駆ける彼女と併走しながら出現するのは、雷電を纏う狼、名をガルン。
 レイは相棒の背中に飛び乗ると、まだ起き上がれないでいるワイバーンを強襲する。
「ワイバーンの肉は熱に強い……ってどこまで強いのか試したくなっちゃうわ」
 狙うのは、これまでに仲間たちが付けた傷。特に深いのは腹部の傷か。
 そこをレイはダガーでより深く抉ると、広がった傷口にガルンが爪を突き立て、雷撃を流し込む。
「グ、ガガッ、ガァッ!!?」
 切り刻まれる痛みと体内を焼かれる痛みを同時に味わい、悲鳴を上げるワイバーン。
 だが、どんなに鳴こうが喚こうが、暗殺者と雷獣のコンビが容赦することはない。
「解体ショーって感じかしら?」
 一心同体の動きで、飛竜の肉を切り刻み、雷撃で焼き焦がしていく。

「グ、グルル……ッ!」
 このままいいようにされて堪るものかと、傷ついた体を起こし立ち上がろうとするワイバーン。
 だがそこに、万雷の喝采にも似た轟音と目も眩むばかりの閃光が襲う。
「ガァァァァァァァァッ?!」
 五感を潰されたワイバーンが、もんどりうって倒れる。
「……竜は地上に落としてから動きを封じて倒せ、古代の書物にもそう書いてあった……」
 音と光の発生主であるメンカルは、涼しい顔でもがくワイバーンを観察している。
「……竜種の肉は引き締まってて美味しいとは聞くけど……ワイバーンはどうかな……きになる……」
「やっぱりモモ肉とか美味いんじゃないか? ほら、トカゲって鳥と近いっていうし」
 必要ならいつでも銀翼号から援護射撃を放てる構えのまま、ヒカルが答える。
「でもあれだけ雷撃で焼いたら肉、焦げてそうだよな」
「えっ」
 その指摘に解体ショーの真っ最中だったレイが動揺する。
「……えーと、雷の威力を抑えろ、って命令しても、ガルン容赦ないから、まあ……ぶ、無事な箇所の肉だけ拝借出来ればそれでいいわよね?」
 視線を泳がせながら不安げに弁解するレイ。
 あまり焼きすぎると、その「無事な箇所」もどんどん減っていきそうだが。
「み、皆そんな目で見ないでよ!」
 目を白黒させて慌てるレイ。まあ、あれだけの巨体なら、ちょっとくらい焦げてもきっと大丈夫だろう。

 ――と、僅かながら弛緩した空気が流れる中。
 倒れたワイバーンの瞳の奥がギラリと輝いたのを視たのは、ヒカルだった。
「!! 離れろレイッ!」
「っ?!」
 銀翼号を急発進させ、ガトリングガンを乱射するヒカル。
 それと同時に、鮮血を振り乱しながらワイバーンが咆哮を上げた。
「オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!」
 魔術の轟音をかき消すほどの雄叫びと、地面を抉り飛ばすほどの衝撃が吹き荒れる。
 警告が間に合ったおかげで、レイとガルンは範囲から逃げ切れたが、一瞬遅れていればただでは済まなかっただろう。

「やっぱり、最後まで仕留め切るまで油断は禁物だなッ!」
 表情を引き締めなおしたヒカルと猟兵たちの前に立つのは満身創痍のワイバーン。
 その命はもはや風前の灯にも見えるが、手負いの獣ほど恐ろしいと言う。
 空の王者の誇りを失った飛竜からは、凄まじい闘志と殺意が放たれていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

アマータ・プリムス
メインディッシュの食材がやってきましたね。ワイバーンはどこのお肉が美味しいのでしょうか?食べてみればわかりますね

トランクからネロを取り出しそのままワイバーンへ突撃させます
ネロの手に持った大鎌の斬【属性攻撃】でワイバーンの首を狙います
相手のUCで攻撃が避けられそうな時は【範囲攻撃】で周囲もろとも切り刻みます。もちろん味方には当たらぬように。

味方か当機がピンチになるかとどめを刺せそうな時はUCを使用でしてネロに当機を操らせ
ピンチの場合は救助と退避を優先
とどめの場合は仕込み箒から刀を取り出しワイバーンの首を狙います

「ワイバーンのお頭。取りました、ぶい」
勝利のVサインです

※アドリブ、連携歓迎


アドルファス・エーレンフリート
飛竜、翼竜 ワイバーン 鱗は剣を弾き、爪は鎧を容易く裂く
種によって様々な属性や毒を操る 正しく頂点種の一角だナ

竜には大概炎の効きが悪いのだがネ
だからといって手札を変えるほど我輩も器用では無い
焼き潰すヨ 炎で

【行動】
まずは上から下りてきてもらおうか
敵の直線的な攻撃に合わせて揮血精髄を炸裂
効きは悪くとも爆音と衝撃波はそれなりに頭を揺らすのではないかネ?

今よりも動きが悪くなれば炎を纏わせた斧で邪魔な翼、尾を優先的に潰す

さア、我輩の炎をその鱗で耐えられるカ!?



「飛竜、翼竜 ワイバーン 鱗は剣を弾き、爪は鎧を容易く裂く。種によって様々な属性や毒を操る 正しく頂点種の一角だナ」
 煙草の煙をくゆらせながら、アドルファス・エーレンフリート(立てば胡乱げ 座れば不審 歩く姿は白々しい・f07048)は己の知識を反芻する。
 しかし今やその頂点種も満身創痍。ただ、獣としての生存本能のままに猟兵たちに牙を剥く。
「ワイバーンはどこのお肉が美味しいのでしょうか?」
 そんな手負いの獣を前に、アマータは首を傾げながら自問し、そして自答する。
「食べてみればわかりますね」
 弱肉強食こそこの世の摂理。少なくともこの場、この時においてはそれが真理。
「グルルルルルルル……ッ!!」
 食うか、食われるか。決着の時はすぐそこに。

「出番です、ネロ」
 パチンと音を立ててアマータのトランクの留金が外れ、その中から姿を現したのは彼女の"弟"たる人形。
 その手に大鎌を構えた人形は、アマータの指示に応えてワイバーンに突撃する。
 円弧を描く刃が狙うのは飛竜の首。その一斬にて決着をつけるために。
「グルッ!!」
 だが、断頭の大鎌が振り下ろされるよりも僅かに早く、ワイバーンの巨体が地上から消える。
「まだ飛ぶ力を残していましたか」
 急上昇していく飛竜を見上げるアマータ。だが、その飛行は見るからにぎこちなく、ボロボロの翼では高度の維持も方向転換もままならないだろうと分かる。

 ワイバーン自身も理解していた。
 この負傷では飛翔する余力はこれが最後。だからこそ次の一撃に全力を賭ける。
 凍り付いた右翼と引き裂かれた左翼で飛べる限界高度にまで達すると、そのまま上下180度反転し、降下体勢へ。
「ウゥゥゥ……ガァァァァァァァァッ!!!!!!!!!」
 たとえ満身創痍でも、獲物を引き裂く爪牙は、敵を貫く毒尾は未だ健在。
 一条の赤い流星となって、猟兵たちに最後の特攻を仕掛けるワイバーン。

「おお、怖い怖い。形振り構わない相手というのは厄介だネ」
 ビリビリと痺れるような殺意と咆哮を目の当たりにしながらも、アドルファスは飄々を笑みを浮かべ。
「だが攻撃が直線的すぎるナ」
 懐から取り出したのは赤い液体で満たされた小瓶。それを彼はワイバーンの鼻先目掛けて放る。
 それは当たって砕けるのと同時に爆発し、轟音と衝撃を発生させた。
 揮血精髄――アドルファスの地獄の血液を精製した、特製の爆薬である。
「ガ――ッ!!」
 ワイバーンの視覚と聴覚、そして攻撃の狙いが狂う。
 必殺のはずだった爪撃は、誰もいない大地を深く深く抉り取るのみに終わった。

 飛竜の最後の特攻は阻止した、しかしその程度で終わらせるアドルファスではない。
 目を耳を奪った今を好機として、無骨な戦斧に炎を纏わせる。
「竜には大概炎の効きが悪いのだがネ……だからといって手札を変えるほど我輩も器用では無い」
 相手が何者であろうとも焼き潰すという、己の炎に対する強き自信。
 竜炎の矜持は燃え盛り、赤熱した戦斧は炎に包まれて一回り大きく見えて。
「さア、我輩の炎をその鱗で耐えられるカ!?」
 無防備な飛竜目掛けて振り下ろす。まずは尾に。続けて両翼に。
 耐えられるはずもない――所詮は亜竜止まりの飛竜が、地獄の竜炎を纏う戦斧の熱量と質量に。
「――何だ、この程度かネ?」
 いささか拍子抜けと言わんばかりにアドルファスは戦斧を担ぎ直し。
 その眼前では、両翼と毒尾を失ったワイバーンが絶叫を上げていた。
「ギィィィィィィィガァァァァァァァッ!?」

「そろそろ終わらせましょう。ネロ」
 翼を失った飛竜を見て、アマータは引導を渡すべく相方と配役を入れ替える。
 操る側から、操られる側に。仕込み箒を携えた人形遣いの人形は、ネロの糸に導かれるまま戦場を駆ける。
「グゥゥゥッ!! ガァァァッ!!」
 ワイバーンもまた、必死の形相で抵抗する。短くなった尾を振り回し、地団駄を踏むように爪を振りかざして。
 だが、そのような悪足掻きでは今のアマータには掠りさえしない。
 いかに姿形が似ようとも、ヒトには決して真似できまい。人形としてのポテンシャルを発揮した彼女のその挙動、その舞踏は。
「もう十分に暴れたでしょう。そろそろ退場のお時間です」
 Acta est fabula――これにて幕引きを宣言し、飛竜の頭の下に潜り込んだアマータは、仕込み箒から引き抜いた刃を音もなく一閃する。

「ガ、ァ、ッ――」

 ワイバーンの首が宙を舞い、首なしの胴体がズシン、と音を立てて倒れ。
 くるり、とそれに背を向けたアマータは、血の一滴も付いていない刃を箒に収め。
「ワイバーンのお頭。取りました、ぶい」
 無表情のまま、両手で勝利のVサインを作るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『いきなり!ドラゴンステーキ』

POW   :    食って食って食いまくれ!!!

SPD   :    ガーッと一気に食いまくれ!!!

WIZ   :    いろんな食べ合わせで美味しく食いまくれ!!!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちの活躍によって、飛竜ワイバーンは無事に討伐された。
 暴走していた炎の精霊たちも、ワイバーンの死と共に鎮静化し、今は大人しくしている。
 これにて人里がオブリビオンに襲われる脅威は去った、と言えるだろう。

 さて。そんな救世主たる猟兵たちの前には、たった今倒したばかりのワイバーンの死体、否、肉がある。
 頭、胴体、両翼、尻尾といい具合にバラされているそれは、戦闘中にちょっと焦げたりもしたが、まだ十分食べられそうな部位は残っている。
 ――むしろ、焦げた所からちょっと美味しそうな匂いがしているような。

(肉、焼クノカ?)
(手伝ウゾ?)
 そんな感じのニュアンスを伝えたそうな炎の精霊たちが、ふよふよと猟兵たちの元にやってくる。
 というわけで、待っていた者たちにはお待ちかね。ワイバーンステーキのお時間である。
メンカル・プルモーサ
【ワンダレイ】で参加。
調味料は任せろー…(袖から調味料や香辛料、付け合わせ用の野菜をどさどさと取り出す)
料理は得意じゃないから食べる側に回るね…どれも美味しい…(もぐもぐ) 夜野おかーさんの料理は相変わらず美味しいね…
レイ…そのローストワイバーン頂戴…どんな味するか楽しみ…
(地味に一定のペースで結構な量を食べてたりする)
さっき【尽きる事なき暴食の大火】をぶつけた炎の精霊さんは腹を見せてつぶらな瞳で降伏の合図を見せたので許した……隣で肉を食べてる…

…終わったら後片付けは担当する…持ち帰る物はそのまま袖にしまって持ち帰らない物は【尽きる事なき暴食の大火】や炎の精霊さんで燃やすだけだけど…


レイ・アイオライト
【ワンダレイ】の皆と行動。 ちょっと焦げちゃったわね……謝罪も兼ねて、肉の臭み抜きに使う香草をガルンと一緒に集めましょうか。あとは、ワイバーンの腿肉を貰って手持ちの鋼糸でローストビーフ……ローストワイバーン?を作るわ。炎の精霊も熱に還元できるものなら何でも食べられるわよね?近くで調達した木材にガルンの雷撃で炭を作って、お礼として精霊に分け与えることにするわね。 あたしの分の肉はガルンと分ける形で問題ないわ。 「それにしても、『おいしいドラゴンの食べ方:飛竜編』なんて一体誰が編纂したのかしら。……もしかして身近にいる、なんてことないわよね」(プロ顔負けの竜の解体をしている夜野をチラリと覗き見る)


夜暮・白
【ワンダレイ】で参加します。お肉がいっぱいです。えーっと。どれがどの部位なんだろう? けっこう色とか白い部分の量とか違うんだね。

固いお肉はスジを切るんだっけ? 叩くんだっけ? 料理本を参考に見様見真似でやってみます。(料理初心者) あとはこれを炎の精霊さんに豪快に焼いてもらおう。あれ。レイさんと狼さんが何か持ってきたみたいだけど…… 香草? ってどう使うのかな。

焼いてる間にみんなに飲み物を配ります。ワイバーン討伐お疲れさまでした! さあ。いいにおいがするお肉を食べ比べです。


アステル・サダルスウド
友達の吾聞君(f00374)とステーキを食べるためにやってきたよ!

※POW

お肉だー!
僕もドラゴンのお肉なんて始めてだよ!
すごいな、これ食べれるんだ!
折角の機会だ、いっぱい食べるよ!

吾聞君はレアがいいんだね
血が滴る…イイね!狼っぽさを感じるよ!格好いい!(目キラッキラ
僕はしっかり焼いた方が好きなのだけれど…
ドラゴンの肉だから、すごく歯ごたえ出ちゃいそうな気もするんだよね
炎の精霊君はお勧めの焼き加減とか知ってるかな?
ミディアムくらいの方がいいかな

あ、でも吾聞君のレアのも貰っていいかな?
食べてみたいから!
うん、僕のも是非とも食べてくれたまえ
折角だから部位の食べ比べもしたいな
2人なら色々試せそうだね!


影守・吾聞
友達のテル(f04598)と合流して、ステーキパーティーだ!

※POW

お肉だー!
俺、ドラゴンの肉なんて初めて!
二人で思う存分食べるよ!

焼き加減はレアが良いなぁ
血が滴るくらいのやつ
(狼耳と尻尾を嬉しげにぱたぱた揺らし)

ね、ね。テルはどれくらい火を通したのが好き?
なるほど、しっかり焼いたのかぁ…
熱に強いお肉らしいし、どれぐらいの火力がいいんだろ?
火のことは炎の精霊の方が詳しいかな?
相談しつつ、いい感じに火を通して焼いてもらうよ!

うん、レアステーキ美味しいよ!ぜひぜひ食べて!
俺もテルのミディアム、一切れもらっていいかな?
部位ごとに食べごたえも違いそうだよね
一緒にいろいろ食べ比べてみよ!


星群・ヒカル
ここをバーベキュー会場とするッ!(ドン)
【ワンダレイ】のみんなでバーベキューパーティーだッ!
(銀翼号に積み込んでいたバーベキュー道具をいそいそ広げ始める)
●行動:SPD
夜野先輩が肉を解体してくれたからじゃんじゃん焼こうぜ!
これはロースか?早速鉄板に乗せてステーキにしてしまおう!
炎の精霊たち、一度拳を交えたおれたちはダチだ!(消し飛ばしたけど)一緒に焼くのを手伝ってくれッ!
いい焼き具合になったかは「目星」でわかるか?
うん、いいミディアムレアだ!

みんなが焼いてくれた肉も美味しく頂くぞ
う、うめぇーッ!肉汁がすごい!
シンプルなのも洒落たメニューも堪能するぞ
これはいくら胃袋があっても足りないなッ!


尾守・夜野
POW判定

【ワンダレイ】の皆と参加

丸ごと焼く気か?
貸せ
解体してくる

他の奴等も喰いてぇ部位があるなら言いな!
優先で切り分けるからよ!
ワンダレイ用に、腿のブロック肉は優先で確保

グロ耐性ねぇ奴の事を考えて離れた所で解体

内臓系の処理と血抜きは早めにしねぇと匂うからな

黒剣を解体包丁、皮剥ぎ包丁に変化させながらばらす

スキットルに入れた調味料と今回の為に持ってきた大量の塩があるからな

解体が終わったら塩釜焼きに挑戦するぞ

スキットルの方は好きに使えと置いとく

待つ間暇だからな
まだ焼けてないがレバーとかぱくつく
!?雷で焼かれて炙りになってやがる!うめぇ

…なんだ?レイ。なんかあるのか?

そして、そこ!だれがかーさんだ!


神宮寺・絵里香
アマータ(f03768)ゲンジロウ(f06844)エウトティア(f04161)と参加
≪心情≫
・ああ、今回は本当に肉が残るんだな。とりあえず、まあ食えるなら
 食ってみるか。美味ければ儲けものだ。
・料理の美味い連中が居るんだ、態々オレが料理する必要もあるまい。
 ここは飲み物でも用意をしておくか。
≪食事≫
・御神酒という名目で色々な世界を回った時に土産として集めた酒がある。
 折角だし、こういう機会に振る舞うか。未成年にはジュースだな。
 A&W産の高級赤ワインにエール。口の中をさっぱりさせるようなのも
 いいな。肉の味付けを見ながら合う酒を見繕い、提供する。
・食事量は人並み。酒の強さは枠。


ゲンジロウ・ヨハンソン
アマータ(f03768)神宮寺(f03667)エウトティア(f04161)らと共に行動。

アマータが調理を担当してくれるでな!【料理】技能のすべてを費やして味付けに専念しよう…!

○味付け

・ブルーチーズソースガーリック風味:ブルーチーズの臭みをガーリックで飛ばし、旨味を十二分に残したソース。

・和風おろしソース卵黄絡め:目を細かくおろした大根おろしに醤油を加え、さらに卵黄でまろやかにしたソース。お好みで山葵をいれてもいいぞ。

・飛竜肉から出た肉汁をデグラッセしたワインソース:甘酸っぱいワインに肉汁の旨味をこれでもかと溶かし込んだソース。所謂グレイビーソース、好みでパセリ入りのレモンバターのっけとくれ。


月守・咲凛
一応【ワンダレイ】の仲間と一緒に行動、できればワンダレイ以外の人も一緒に楽しめたら良いですね。 火力は他の人に任せて、切って普通に焼く方を担当します。 「この辺焼けてきたみたいですよー」 自分ではあまり量を食べられないので、みんなのお皿に焼けた物から順番に次から次に盛っていきます。 一番美味しそうな所は自分の分もちゃっかり確保しておきますけど、せいぜい小皿に盛る程度です。 あとはせっかくなので、ピヨピヨと飛び回って飲み物や、お肉以外の物も確保して来ましょうか。 「皆さんも混ざりませんかー?お肉はまだまだいっぱいあるのです!」 通りかかったり見物に来てた人達にも食べてもらいましょう。


アマータ・プリムス
 さて、食材が揃いましたので調理開始です

ゲンジロウ様、絵里香様、エウトティア様と一緒にワイバーン肉を堪能しましょう
当機は調理担当です

【世界知識】でワイバーン肉を美味しく頂く方法を考え【料理】の腕を生かして調理
翼は手羽元ステーキに
胴体部分は肋骨周りをスペアリブ
他にもロース、サーロイン、フィレなど色々焼きましょう
食べ比べもしてみたいですから
シャトーブリアンもあれば最高ですね
焼き方もウェルダン、ミディアム、レア、それぞれ用意

尻尾は初めて扱う食材なので慎重に
美味しく調理出来ればいいのですが

お酒は絵里香様、味付けはゲンジロウ様にお任せ
できた料理を皆様で美味しく頂きましょう


エウトティア・ナトゥア
ゲンジロウ殿(f06844)・アマータ殿(f03768)・絵里香殿(f03667)と共に行動するのじゃ。

POW適用

よいのうよいのう、お肉が沢山あるう!

火の精霊にお願いしていい感じの火力に調整して早く沢山焼いて貰うのじゃ!
(と、狼のマニトゥと焼ける肉の前で正座待機)

おお、早速いただきますなのじゃ!(骨付き肉を両手に持ち)うむ、トカゲに近い味じゃが意外とジューシーで美味しいのじゃ。エリカ殿のジュースもお肉に合うのう。マニトゥも沢山食べるのじゃぞ!

(生肉を一部お持ち帰り)
尻尾の良い部分を木の皮に巻いてお持ち帰りするかのう。
ゲンジロウ殿の屋台で料理してもらうのじゃ!



●レッツクッキング!
(焼クゼー)
(メッチャ焼クゼー)
「丸ごと焼く気か? 貸せ、解体してくる」
 速攻でワイバーンをバーニングさせようとした炎の精霊を制して、調理の第一段階、すなわち解体に取り掛かったのは夜野。
 まずは黒剣を皮剥ぎ包丁に変化させ、ワイバーンの鱗と皮を取っていく。
 さっきまで武器だったものが調理器具に早変わり。猟兵の装備は便利なものである。

 皮剥ぎが終われば、夜野は次に黒剣を解体包丁に変化させて、ワイバーンの肉を部位ごとにバラしていく。
「喰いてぇ部位がある奴等は言いな! 優先で切り分けるからよ!」
「では尻尾とシャトーブリアンを」
「おう。……って、あるのか? ワイバーンにシャトーブリアン……」
 すっと挙手したアマータからのリクエストに夜野は首を傾げながらも、牛肉ならフィレに当たるだろう部位から肉質の良さそうな所を選んで切り分ける。
 尻尾については毒があるのが分かっているので、念入りにバラして毒腺らしいものを取り除いてからのご提供である。
 夜野自身はワンダレイの仲間たちのために、腿のブロック肉をしっかり確保していた。

 その後もさくさくと解体を進める夜野。この作業は丁寧さとスピードが命である。
「内臓系の処理と血抜きは早めにしねぇと匂うからな……なんだ? レイ。なんかあるのか?」
「その……これ。ちょっと焦がしちゃったから、謝罪にと思って」
 そう言ってレイが相棒のガルンと一緒に差し出したのは臭み抜き用の香草。付近を探し回って集めてきたらしい。
「それと、あたしにも腿肉をちょっと貰える?」
「ああ、ほらよ。あんまり気にすんなよ」
 香草と腿肉を交換して、いそいそと離れていくレイたちを見送って作業再開。
 ほどなくして、あれだけ巨大だったワイバーンの屍は、お店に並んでいてもおかしくない(ただしボリュームは桁違い)お肉の山に姿を変えたのだった。

「ここをバーベキュー会場とするッ!」
 この時を待ちわびていたヒカルは、ドンと置いた鉄板を中心に、積み込んでいたバーベキュー道具をいそいそと広げ始める。
「お肉がいっぱいです。えーっと。どれがどの部位なんだろう? けっこう色とか白い部分の量とか違うんだね」
「これはロースか? 早速ステーキにしてしまおう!」
「あ、待ってください。先に下ごしらえをしたほうが良いみたいです」
 料理本を片手にそう主張するのは白。
「固いお肉はスジを切るんだっけ? 叩くんだっけ?」
 料理初心者の彼は慣れない包丁さばきで、本を頼りに見よう見真似で下処理を進めていく。
「調味料は任せろー……」
 肉だけでは物足りないだろうと、メンカルは袖口から調味料や香辛料、付け合わせ用の野菜をどさどさと取り出す。
 どこにそんなに入ってた、と知らない者は驚くだろうが、これは彼女の圧縮格納術式の賜物である。青ダヌキのポケットの親戚とかたぶんそんな感じ。
「ありがとうございますメンカルさん。それから、レイさんと狼さんが持ってきた……香草? ってどう使うのかな……夜野さーん!」
「おぅ」
 解体を終えてワイバーン肉の塩釜焼きに挑戦していた夜野は、白のSOSを受けて腰を上げる。
 焼けるのを待つまで暇だからと拝借していた、ちょっと焦げたレバーをぱくつきつつ……。
「?! 雷で焼かれて炙りになってやがる! うめぇ」
 最初からしていた美味しそうな匂いはこれだったらしい。
 意図せずワイバーンを電熱調理していた当のレイは、今は手持ちの鋼糸でローストビーフならぬローストワイバーンの準備中だった。

 肉の下ごしらえが着々と進む中、それを焼く火力の準備も万全である。
「炎の精霊たち、一度拳を交えたおれたちはダチだ! 一緒に焼くのを手伝ってくれッ!」
(オー!!)
(ヤクゾー!!)
 ヒカルの号令に応えて燃え滾る炎の精霊たち。さっき消し飛ばされたりもしたが、それはそれ。
 炎とは破壊と創造、変化の象徴である。その具現たる精霊も炎そのものの性格であり――要するに過ぎたことは気にしない。単純熱血キャラである。
「よろしくお願いね」
(マカセロー)
 レイは近くで調達した木材から雷撃で炭を作ると、報酬として精霊に差し出す。
 ぱくっと炭を飲み込んだ精霊はボウッと燃え盛り、気合十分に火の粉を散らす。
「いい感じの火力で頼むぞ?」
「グルルッ!(オッケー)」
 精霊術士のエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)も、精霊の唄で付近から新たな炎の精霊を呼び寄せる。
 少女の願いに、精霊たちは歌うような咆哮で応えた。

「さて、食材が揃いましたので調理開始です」
 優先確保した以外にも様々な部位の肉を揃えたアマータは、その料理の腕前をいかんなく発揮する。
 他世界のものも含めた豊かな料理知識を元に、ワイバーンという初めての食材も淀みなく調理していく。
 翼周りの肉は手羽先ステーキに。他にもスペアリブ、ロース、サーロイン、フィレと、下ごしらえが出来た順から精霊の熱した鉄板に乗せていく。
 焼き加減もウェルダン、ミディアム、レアと、それぞれ細かく変えていく。
「よいのうよいのう、お肉が沢山あるのう!」
 素晴らしい香りを上げて焼けていく肉を前に、エウトティアは相棒の巨狼マニトゥと共に正座待機中。
「エウトティア様、もう少し火力を上げて貰って良いですか」
「うむ、わかったのじゃ!」
「っとアマータ、少し肉汁を貰ってっても良いか?」
「どうぞ、ゲンジロウ様」
 ゲンジロウ・ヨハンソン(腕白青二才・f06844)が作っているのは、飛竜の肉汁を甘酸っぱいワインにたっぷりと溶かし込んだ、一種のグレイビーソースである。
 他にもブルーチーズソースガーリック風味、和風おろしソース卵黄絡めと、ソースの力で肉の味わいを最大限引き出す構えだった。

「「お肉だー!」」
 吾聞と友人のアステル・サダルスウド(星影のオルゴール・f04598)も、意気揚々と肉焼きに参加する。
「俺、ドラゴンの肉なんて初めて!」
「僕もドラゴンのお肉なんて始めてだよ! すごいな、これ食べれるんだ!」
「二人で思う存分食べるよ!」
「うん!」
 折角の機会だからと盛り皿いっぱいに確保した飛竜の肉を、ずらっと鉄板に並べていく。
「吾聞君はどんな焼き加減が好き?」
「焼き加減はレアが良いなぁ。血が滴るくらいのやつ」
「血が滴る……イイね! 狼っぽさを感じるよ! 格好いい!」
「へへっ、まあね!」
 アステルからキラッキラした視線を送られて、吾聞は嬉しそうに狼耳と尻尾をぱたぱたと揺らす。
「僕はしっかり焼いた方が好きなのだけれど……ドラゴンの肉だから、すごく歯ごたえ出ちゃいそうな気もするんだよね」
「なるほど、しっかり焼いたのかぁ……熱に強いお肉らしいし、どれぐらいの火力がいいんだろ?」
 アステルと吾聞は顔を見合わせてから、火元である炎の精霊に尋ねる。
「炎の精霊君はお勧めの焼き加減とか知ってるかな?」
(シラネー)
 ふるふると首を横に振られた。彼らにとってもドラゴンステーキを焼く経験は初めてなので仕方ない。
 うーん、と首を傾げながら二人はあれこれと相談し。
「ミディアムくらいの方がいいかな?」
「うん、とにかく試してみよう。お肉はいっぱいあるしね!」
 気の合う友人同士となら、試行錯誤の過程も楽しいものだ。

 めいめい調理も終わりに差し掛かったところで、白と絵里香が猟兵たちに飲み物を配っていく。
 成人には様々な世界から集められた地酒や名酒の数々。未成年や酒に弱い者には冷えた水やジュースが振る舞われる。
「みなさん、ワイバーン討伐お疲れさまでした!」
 皆に飲み物が行き渡ったところで、カップを手に音頭を取るのは白。
「乾杯! そして――」
「「「いただきます!!」」」
 晴れ渡った青空に、猟兵たちの声が唱和した。

●いざ、実食!!
「うん、いいミディアムレアだ!」
 鉄板を凝視して焼き具合を見極めていたヒカルは、ここぞというタイミングで狙っていた肉を引き上げ、一口。
「う、うめぇーッ! 肉汁がすごい!」
 ジューシーで、それでいてしつこくない。上質な脂の乗った肉の味わいが口いっぱいに広がる。
「こっちも出来たぞ。レイの取ってきた香草も使ってみた」
 そう言って夜野が持ってきたのはワイバーン肉の塩釜焼き。固まった塩釜をガツンと割れば、凝縮された旨味が蒸気となって立ち上り、そこに香草の香りが食欲に追撃をかける。
 表面の塩を払い落として、適度な厚さにスライスして食べる。塩釜に閉じ込められた純粋な肉の旨味が味わえる逸品だ。
「夜野おかーさんの料理は相変わらず美味しいね……」
「そこ! だれがかーさんだ!」
 もぐもぐ、と肉を頬張るメンカルの呟きに、夜野はしっかりツッコミつつ。
「あと、肉ばっかりじゃバランス悪いから、野菜も一緒に食えよ!」
 かーさんじゃん……と、誰かが思ったとか思わなかったとか。

 メンカルはしれっとツッコミをスルーしつつ、お次はレイの作ったローストワイバーンに目をつける。
「レイ……それ頂戴……どんな味するか楽しみ……」
「これ? いいけど」
 薄くスライスされたローストワイバーンを取り分けるレイ。
 表面にはしっかりと焼き色が付きながらも、中は綺麗なロゼ色。柔らかい赤身に旨味がしっかり溶け込んでいる。
「どれも美味しい……」
「ほんとですね。すぐお腹いっぱいになっちゃいそうです」
 白もみんなの料理を少しずつよそって食べ比べ。どの料理も、どのお肉も、甲乙つけがたいほどに美味しい。
「これはいくら胃袋があっても足りないなッ!」
 腹がはち切れるまで食べてやると言わんばかりに、ヒカルは肉を頬張るのだった。

「この辺焼けてきたみたいですよー」
 みんなが食べる傍から新しい肉を切っては焼いて盛っていくのは咲凛。
「レイさんももっとお肉どうです? あんまり取ってないみたいですけど」
「ああ、それじゃガルンにあげてくれる? あたしの取り分はガルンと一緒でいいから」
 そう言ったレイの傍らでは、雷の狼がはふはふしながら肉を食べている。ちょっと熱いのか噛み千切るのに苦戦中。
「そう言うあなたもあんまり食べてないみたいだけど?」
「自分はあまり量を食べられないので……」
 とは言いつつ、一番美味しそうに焼けたお肉はちゃっかり自分の小皿に盛っている咲凛。ちゃんと堪能しているようである。
「あ、喉渇きませんか? 飲み物確保して来ますねー」
 そう言って彼女はピヨピヨと広い焼き肉会場を飛んで行く。

「すみません、こっちにまだ飲み物残ってますか?」
「ん? ああ、あるぞ」
 やってきた咲凛に答えたのは絵里香。片手で酒盃を傾けながら、アマータとゲンジロウが拵えた肉料理を楽しんでいた所である。
「未成年にはジュースだな。好きなのを持っていくといい」
 そう言って絵里香が示した先には幾つもの瓶が。ジュースもあるが、その多くは彼女が世界各地で御神酒という名目で集めた酒だった。
 既に結構な量を飲んでいるはずなのだが、顔色ひとつ変えない酒豪っぷりである。
「ありがとうございます。あ、これ私たちで作った塩釜焼きです。良かったらどうぞ」
「おぅ、ありがとな嬢ちゃん。ならこっちもお返しせんとな」
 塩釜焼きを受け取ったゲンジロウが差し出したのはワイバーンフィレ肉のグレイビーワインソースがけ、パセリ入りレモンバターを添えて。
 調理担当のアマータと、味付け担当のゲンジロウがそれぞれの腕を奮った品である。
 じっくりと絶妙な加減で柔らかく焼き上げられたフィレに、これでもかと言わんばかりの肉汁の旨味と甘酸っぱいワインの風味が加わったその一皿は、舌が蕩けるような味わいである。
「ありがとうございます!」
 ジュースの瓶とお肉のお土産を手に、咲凛はいそいそと戻っていった。

「うーむ、ゲンジロウ殿とアマータ殿の料理はどれも美味いのう!」
 焼き加減や部位、味付けをそれぞれ変えた肉料理を次々と堪能するのはエウトティア。
 大きな骨付き肉を棍棒のように両手に持ち、それぞれ違うソースを付けて、がぶり。
「うむ、トカゲに近い味じゃが意外とジューシーで美味しいのじゃ」
 見た目に違わぬワイルドなこれぞ肉! 的な美味さ。
 そこに臭みをガーリックで飛ばしたブルーチーズソースの濃厚な味わいや、卵黄でまろやかに纏まった和風おろしソースのさっぱりとした味わいが彩りを加える。
「マニトゥも沢山食べるのじゃぞ!」
 言われるまでもない、とばかりに、彼女の相棒も骨付き肉にがじがじと噛り付いていた。

「ワイバーンの尻尾も焼き上がりました。美味しく調理出来ていればいいのですが」
 そこにアマータが新しい料理を持ってやってくる。
 人数分の皿に盛り付けられたそれは、言われなければ尻尾とは想像できない上質なステーキに変貌していた。
 早速かぶり付いたエウトティアは感想を一言。
「柔らかくてコクがあるのう」
「最初は筋っぽく硬かったのですが、時間をかけて加熱すると柔らかくなりました。牛のテールに似た肉質のようです」
 牛テールは高タンパクでコラーゲン豊富であり、美容に良いとして女性に人気のある部位である。
 牛の尻尾はよく動く分肉が引き締まっているとも言われるが、武器として振り回されていたワイバーンの尻尾も同様なのかもしれない。
「脂身は少ないので、和風ソースでさっぱりと仕上げるのが良いかもしれません」
「ふむ、なら山葵もちょいといれてみるかのぅ」
 小分けにして味見をしつつ、調整したソースで肉の味を引き立てていくゲンジロウ。
 肉より酒を多めに嗜んでいた絵里香も、それを口にしてふむ、と頷き。
「本当に美味いな。まあ食えるなら食ってみるか、くらいに思ってたが、これは儲けものだ」
 料理人の腕がいいのか、素材がいいのか。きっと両方だろう。
 満足げに表情を緩めた彼女は、酒瓶の中から取って置きの日本酒を取り出し。
「この料理に合いそうな酒は、これだな」
「お、いいのぅ。乾杯といくか」
「賛成です」
「わしもジュースおかわりじゃ、エリカ殿!」
 なみなみと飲み物を注いだ器をかちん、と四人は打ち合わせ。
 宴はまだまだ続いていく。

 一方こちらは仲良しコンビの様子。
「吾聞君、焼けたよー」
「待ってました!」
 ジュワジュワと肉汁のしたたるレアステーキをアステルから受け取った吾聞は、ぱっと軽めに塩を振ったそれにかぶりつき。
「どう?」
「うん、レアステーキ美味しいよ!」
「ほんと? じゃあちょっと貰っていいかな? 食べてみたいから!」
「ぜひぜひ食べて!」
 焼きあがったステーキの一切れをアステルの皿にも盛って、二人で一緒に食べる。
 生の食感を残しつつ、噛み締めれば柔らかい肉から肉汁が滴り落ちる。
 まさに"血の滴るような"ステーキだった。
「ほんとだ、すごく美味しい!」
「だよね!」
 アステルの笑顔に、まるで自分の事のように嬉しそうに尻尾を揺らす吾聞。
 二人でレアを味わっているうちに、アステルのミディアムステーキも良い頃合となる。
「あ、僕のほうもそろそろ焼けたかな?」
「みたいだ。俺もテルのミディアム、一切れもらっていいかな?」
「うん、僕のも是非とも食べてくれたまえ」
 少し冗談めかした言い方をしながら、アステルは自分と吾聞の皿にミディアムステーキを乗せる。
 こちらは良く焼けた肉自体の旨味と、しっかりと噛めば奥から溢れ出す肉汁がハーモニーを奏でる。
「美味しい! 思ったほど歯ごたえも硬くないね」
「特に柔らかい部位だったのかな。部位ごとに食べごたえも違いそうだよね」
「折角だから、部位の食べ比べもしたいな。二人なら色々試せそうだね!」
「いいね、一緒にいろいろ食べ比べてみよ!」
 かくして始まるワイバーン肉の品評会。
「これはロースだったかな? 僕これ好きかも」
「翼はちょっと鶏肉っぽい味がするよ!」
 二人でわいわい。この調子なら満腹感も忘れて、いつまでも食べ続けていられそうだった。

「なんだこりゃ……こんな所で宴会か?」
「この骨……まさかワイバーン?! これ、アンタたちが仕留めたのかい?」
 バーベキューの賑わいと肉の匂いに釣られて、付近を通りがかった旅人や近くの里の住人もやってくる。
「皆さんも混ざりませんかー? お肉はまだまだいっぱいあるのです!」
 ピヨピヨと飛んできた咲凛が彼らにも笑顔で肉を振舞う。
 戸惑いながらも肉を口にした人々の中から「美味ぇっ!!」の絶叫が。
 人が人を呼び、気が付けば宴の参加者は当初の倍近くまで膨れ上がっていた。

 災厄であったオブリビオンは現在の人々の糧となり、明日を生き抜く力となる。
 これぞ弱肉強食の摂理――などと難しい御託は必要あるまい。
 ワイバーンの肉は美味かった。それが、すべての結論である。

●宴を終えて
 楽しい時間はあっという間に過ぎ去るもの。
 あれだけあったワイバーンの肉も、今やすっかり猟兵たちの腹の中に収まった。

「いやぁ、美味かったのう。特にあのシャトーブリアン? は絶品じゃった」
 ぽんぽんとお腹を叩きながら、余韻に浸るエウトティア。
 普通のフィレ肉でも十二分に美味かったが、あれはまさに別格。口にした猟兵すべてが同意する品だった。
 あれを次に口にできるのはいつの日やらと思えば、少々名残惜しい。
「まあ良い。こっちも十分美味かったからのう」
 ほくほくと笑うエウトティアの手の中には、木の皮に巻かれた生のままの飛竜の尻尾がある。
「帰ったらゲンジロウ殿の屋台で料理してもらうのじゃ!」
 足取りも軽く、キマイラの少女は帰路につく。

「ご馳走様……美味しかった……」
 宴の後片付けを担当するのはメンカル。
 持ち帰るものは袖の中に収納し、残ったゴミ――綺麗に肉を剥ぎ取られた後の飛竜の骨などは、白色の炎で焼却処理していく。
「あなた、随分食べてたわね」
「……べつに、普通……」
 同じく後片付けを手伝うレイの問いかけに、メンカルはついっと目を逸らしながら、いつの間にか手懐けていた炎の精霊に肉の付いた骨の残りをぽいっと与える。
 彼女はドカ食いするのではなく、一定のペースを保って食べ続けるタイプだった。大食い大会とか意外と強そうなタイプ。
「それにしても……」
 片付けを続けながら、レイはふと思っていた疑問を口にする。
「『おいしいドラゴンの食べ方:飛竜編』なんて一体誰が編纂したのかしら。……もしかして身近にいる、なんてことないわよね」
「……あるかも……」
「いやオレじゃねぇからな!!」
 チラリと視線を向けられたワンダレイの料理人兼かーさん兼解体職人は断固として否定するが、真実は闇の中である。
 少女たちの傍らでは、炎の精霊がつぶらな瞳で(ニク、モウ無イノ?)的な視線を送るのだった。

 かくして英気を養った猟兵たちは、それぞれの日常と戦いの日々へと戻っていく。
 今日に得た糧を無駄にしないために、明日を精一杯生きるために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月05日


挿絵イラスト