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殺意は蒸気で駆動する

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●アスレチックを駆け抜けて
 言うなれば、それはある種の競技だった。
 例えばゲートを開けるには少し離れた場所のパネルを踏まねばならず、踏んでも扉が開くのはわずかな時間だ。一気に駆け抜けたら目の前は深い深いピットがある。勢い余って落ちないように急停止、左右に分かれた道のどちらをゆけばよいのか。
 1分以上ひとつ処に留まっていると、突然足元がぱかりと開いて回収され、ベルトコンベアの上を転がされてスタート地点へと送り返される。
 どう見ても物騒な色の水をたたえた池は、上にかかる傾いた鉄骨を伝って反対側へゆくしかない。池の中からところどころ突き出ている、崩れかけた台座や足場を飛び石のように使ってもいいだろう。翼があれば幾分楽だが、よく切れるブレードが扇風機のように回りながら天井から下りてくるので見極めが必要だ。
 池を渡りきっても出口へ続く通路には分厚い扉がある。扉にドアノブはなく、普段は天井に吊り上げられているが、誰かが近付けば落とされて超重量をもって行く手を塞ぐ。腕力自慢は持ち上げてもいいだろうし、速さに自信があるなら、ドアと言うより只の分厚い金属塊が落ちてくる前に駆け抜けるのも手だろう。

 困難な地下アスレチックを抜けた先、更なる下層には見過ごせないものがいる。
 半ばまで水没したフロアには、自律駆動型魔導蒸気ロボが十数機もうようよしている。可愛らしい見かけに惑わされることなくこの護衛者を退け、奥へ進めば目指すべき敵と出遭うだろう。
 それは炎を吐き生きるものを全て駆逐するまで攻撃をやめない、巨大で危険極まりない魔導蒸気機関の蛇。死をもたらす機械なのだ。

●知恵と力と根性と
 テス・ヘンドリクス(人間のクレリック・f04950)の説明が熱を帯びたのは、標的とすべき敵より手前の構造体についてだったと言わざるを得ない。
「テレビで見たことある! 池とかあるすごい大掛かりなアスレチックを、自分の力だけで突破するやつ! あれ見てるとホント、筋肉って裏切らないよねって思う!!」
 多分重要なのは筋力だけじゃない、と皆思ったけど黙ってた。
 倒すべき敵の手前にある層はまるまるアスレチックだ。不安定な足場からジャンプするだとか、定期的に巨大なハンマーが降ってくる通路を駆け抜けるとか、致命的ではないけれど厄介なもののオンパレード。
 それら全てを乗り越え、下層へ行くことが出来て初めて敵が出てくる。
「第二層は浸水していて膝ぐらいまでの水が溜まってるんだ。水中に侵入者排除用のロボがたくさんいるから気をつけて。姿を見たら可愛くて戦意を失っちゃうかもしれないし」
 可愛い? て顔で首を傾げる猟兵たちをよそに、テスはため息をついて説明を続けた。
「そのロボを全部壊したら開く扉の先にボスがいるんだよ。もう、すっごく大きい魔導蒸気仕掛けの蛇! しかも生き物にすごく敵対的なんだ」
 どんな理由で創造されたかはわからないが、生き物全てを殺害しようとする。そして魔導蒸気仕掛けであるが故に、完全破壊されるまでは止まらない。
「何かの間違いでこの蛇が地上へ出ちゃったら、大変な事になるからね。皆でバラバラにしてきて欲しいんだ。でも、くれぐれも怪我しないようにね。火傷に注意だよ!」
 念を押したテスは猟兵たちの転送の準備を始めた。


六堂ぱるな
 はじめまして、もしくはこんにちは。
 六堂ぱるなと申します。
 拙文をご覧下さいましてありがとうございます。

●状況
 このたびはアルダワ魔法学園でのシナリオになります。
 最初の層はまさにアスレチックです。半迷路や入り組んだ困難な通路を抜けて毒の池を超え、下層へ続く扉の前に辿りつきましょう。
 ルート通りに進む必要はありません。最初から最後の扉まで飛んで行っても構いませんが、定期的に天井から空路を行くものに切りつける回転翼が出てきます。
 えぐい色の池を泳ぐのも問題ありませんが、池の水はすっぱ苦い上に毒です。
 また、天井からは時々前述の回転翼などが飛び出すので、天井に掴まって移動する際はご注意ください。

●敵
 アスレチックフロアに敵は出ません。
 下層に入ると一面に深さ50センチほどの水がたまっていて、十数体の自律駆動型のロボが泳いでいます。全てのロボを破壊すると奥の扉が開き、巨大な蛇ロボのいる部屋へ入ることができます。

 シナリオのここだけ出たいな、といった部分のみの参戦も大歓迎でございます。
 皆さまのご参戦をお待ちしております。
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第1章 冒険 『地下に広がるアスレチック』

POW   :    己を信じて真正面から挑む。筋肉は君を裏切らない。

SPD   :    不安定な足場やロープを使い、効率よくゴールを目指す。

WIZ   :    アスレチックの並びやルートを調べ、最短の道を探す。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイシア・オブリオン
筋肉……まあ、私の筋肉ってのはロジャーの事だけど。
とりあえずガジェットツールを展開して情報収集。
最短の道を探すよ。
上手く探せたら……うーん、ここロジャーで進むのは無理かな?
仕方ない。ロジャー、後で呼ぶからね。
足場やロープを使って、サクサク移動していくよ。
メカニックだからね、私は器用なんだ(自己暗示)


シル・ウィンディア
んー、アスレチックかぁ…
筋力勝負は苦手なんだけど、やるしかないかっ
どんなことでも、きっと攻略方法って言うのがあるんだから
力で劣るなら、それをうまく使うだけっ!

入り口付近から、全体がどんな感じになってるか、ルートを調べないとね
双眼鏡を利用して、先々にどんなトラップがあるかを見ていくよ

動きだして、1分以上同じ場所にとどまれないのなら効率よく
最短ルートを使わないとね?
ハンマールートは、タイミングを事前に双眼鏡で計って
タイミングを合わせて駆け抜けるよ

ずっと空中を飛ぶのがダメならば
落ちそうな時だけ【空中戦】を使用して空中機動を行います

ルートを組み終わったなら
その道を信じて最速で駆け抜けるだけ、だよねっ!


壥・灰色
WIZ……を使うけど思考はPOWよりかな
並びを無視するのは申し訳ないが、おれには何分、これしか出来ない

壊鍵、起動
目標は、向こう側の足場だ

脚に「衝撃」を集中
自身の筋力だけで駆け、アスレチックの入口で踏み切り、脚に籠めた「衝撃」を発露
地面を削り飛ばしながら、爆ぜたロケット弾の如く飛ぶ
貯めた衝撃を使い切るまで、何も無い虚空やアスレチックの支柱を蹴り飛ばし、その度に衝撃を炸裂。それに伴う反作用に依って加速し、彼方のゴール地点まで跳ぶ。「衝撃」の総量は有限、足りなくなるなら一時的にどこかしらに着地して再装填を行う
荒っぽい踏破が得手でね。チートだって言われるかも知れないけど……
ま、こういうヤツもいるものさ


ヤニ・デミトリ
うむ、迷宮には効率的な攻略法があるはずッス
それを見極め…見極……めない!わからん!

融通のきくタールの身体と【バウンドボディ】のバネ、そしてなにより筋力を使って正面突破ッス!

とはいえこれだけご機嫌なアスレチック、
仕掛けの巧妙さに意表を突かれるかもしれない。
そんなのアリッスか?!などと狼狽えながらも、
ここぞという時はいかなる体勢からも【徒手】触手槍(腕)を伸ばしてどうにか活路を見出すッス。
最後に信じるものは筋肉ッス。


峰谷・恵
「アスレチックかぁ…(挑戦前に注意書きが無いか確認)」

【POW】で挑戦。足を止めすぎて落とされないよう手早く進む。使えそうな技能は何でも使う(ダッシュ、毒耐性、見切り、地形の利用、クライミング、ロープワーク、怪力など)走ったり跳んだりするときにVカップの胸が盛大に揺れますが特に気にせずGO。
ハンマーなど壊しても通行に支障のない障害物はフルバースト・マキシマムでさくっと破壊して通る。

「壊しちゃダメとか武器使用禁止とかどこにも書いてなかったから」


ワン・シャウレン
まぁ…こういうものは大体意図通りに動かん者に厳しいからの。
いや、意図通りが優しいことにはならんがともかく。
分かりやすく示してくれとる以上乗ってやるべきじゃな。
ドール故別に息も切れんし疲労の仕方も違うが、それはそれじゃ。

素直にルート通りに進行。
パネル踏みから勢いよく駆け抜け、穴には気を付け左を目指す。
池は鉄骨や足場を使い飛び、渡り切ったら後は全力疾走。

出来るだけ素のスペックで勝負したい所じゃが、
危ないとなれば躊躇いなく水霊駆動を起動。
速度を補う、池エリアで補助に使う等使い道はあろう。

通り抜ければそのまま下層へ。
競争という訳ではないが速いに越したことはないの。



●スチーム・アスレチック
 地下にあるにも関わらず、天井高と横幅を存分に使ったアスレチックの威容。
 ゴールである彼方の下層へ続く扉はスタート地点から見えている。しかし彼の地と今いる場所の間には、幾つもの入り組んだ通路と筆舌に尽くし難い色の池が横たわっていた。これが今まで発見されずにいたなど信じ難い。
 入口で双眼鏡を覗き込むシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)の表情は冴えなかった。可憐という言葉が合うシルの体格は、筋力を駆使する物事が得手ではない。
「んー、アスレチックかぁ……筋力勝負は苦手なんだけど、やるしかないかっ」
 それでも前向きに事態解決に取り組むのが彼女らしさの所以だろう。
「どんなことでも、きっと攻略方法って言うのがあるんだから。力で劣るなら、それをうまく使うだけっ!」
 まずは偵察。どこにどのようなトラップがあるかを確認し、最適ルートの割り出しを始めるシルにヤニ・デミトリ(笑う泥・f13124)が底抜けに明るく同意した。
「うむ、迷宮には効率的な攻略法があるはずッス。それを見極め……」
 目の上に手で庇を作ってアスレチックの全容に目を凝らす。全体を視野に収めて観察。おもむろに叫んだ。
「見極……めない! わからん!」
 ご尤も。初見のアスレチック、挑戦者ゼロで攻略法が簡単にわかるわけがない。絶叫するヤニに笑って、ワン・シャウレン(潰夢遺夢・f00710)がおっとりと頷く。
「まぁ……こういうものは大体意図通りに動かん者に厳しいからの。いや、意図通りが優しいことにはならんがともかく」
 意図通りに動いて罠にはまるのはアスレチックなら当然で、ならば下層に危険な魔導蒸気機関仕掛けの数々を秘めたここは、予定外の動きをする者に苛烈だろう。
「分かりやすく示してくれとる以上乗ってやるべきじゃな。わしはドール故別に息も切れんし疲労の仕方も違うが、それはそれじゃ」
「アスレチックかぁ……」
 呟きながら峰谷・恵(神葬騎・f03180)がスタート地点の横にある立て看板をまじまじと見る。ご丁寧にも『心臓の弱い方は参加を見合わせて下さい』だの『参加した際にお持ちの品などに損害が出ても当方は責任を負いません』と思われる意図のピクトグラムが書かれていた。
「筋肉……まあ、私の筋肉ってのはロジャーの事だけど」
 悩ましい顔でガジェットツールを展開しながらアイシア・オブリオン(メタライズ・f05786)が唸る。探し物は地下にある。最短のルートを割り出すしかない。シルと情報を突き合わせた結果、相棒のロジャーで進むのは困難だとアイシアは判断した。
「仕方ない。ロジャー、後で呼ぶからね」
 自作のガジェットである「ジョリー・ロジャー」に申し訳なさそうに告げる。
 ルートどりの相談を聞いくともなしに聞きながら、壥・灰色(ゴーストノート・f00067)はアスレチックの全容を視野に収めていた。ルートに添うことも考えはしたが、するかどうかは別の話だ。

 まずはルートに沿ったコース取りをするメンバーで先発する。スタート地点から飛び石のような足場をジャンプで渡って左右に動いている足場まで。まず先陣を切ったのはアイシアだった。危なげなく飛び石を跳んで最初の足場に到着すると、ロープを投げて対岸の支柱へひっかけ身軽に池を渡る。
「アイシアさん、すごい!」
シルの歓声に振り返った彼女は、若干目がぐるぐるしていた。
「メカニックだからね、私は器用なんだ」
 すました顔で言っているが、半分ぐらいは自己暗示である。とはいえ彼女の筋肉は本当に彼女を裏切らなかった。最初のルートどりのとおり、堅実に安全なルート選択とロープワークで進んでいく。
 負けじとシルが軽快な足取りで飛び石を渡りはじめた。
「1分以上同じ場所にとどまれないのなら、効率よく最短ルートを使わないとね?」
「そうッスね!」
 ブラックタールのボディとバネを活かしてヤニも楽々と後に続く。身体能力として苦はない。警戒に飛び石を超えて足場でもひと跳ね、やたら摩擦抵抗の少ない車輪状の床材が並んだ足場を滑ることなく跳びこえる。
 シルは床に抵抗することなく滑って勢いをつけると、次の足場へ文字どおり飛んだ。同じように力学に身を任せたワンが風を切って滑って、周到に用意されたピットを躱しながら追っていく。仲間の背を見送って灰色もスタート地点の足場の上を駆けた。そこで踏み切り、
「砕け、壊鍵」
 瞬間、脚に集中した衝撃で遺跡のような構造体を削り砕きながら飛ぶ。これには一瞬アスレチックそのものが蠢動したような感覚を覚えた。
「並びを無視するのは申し訳ないと思うが、おれには何分、これしか出来ない」
 衝撃波で砕けた岩を撒き散らしながら身を捻り、次の足場まで届きそうな支柱を選んで蹴りつけると同時に再び「衝撃」を解き放つ。アスレチックとは思えない直線的な軌道を描きながら、灰色は奥へと進んでいった。
 足場が引っ込む場所ではそのタイミングを見切った恵がジャンプ。ついでにVカップの胸も大胆に揺らしつつ鮮やかな着地をして下がってきたロープを掴み、反動をつけて安全な足場まで大きく弧を描く。軽々と着地する目の前に、蒸気を吐きだしながらハードルのように構造物が立ちあがった。
 けれどそのぐらいは想定済み。アームドフォートを起動して一斉掃射で構造物を撃ち砕き、減速なしで疾走していく。

 激突してきた構造体でバランスを崩したシルが空中へ投げ出されたが、【空中戦】で姿勢を制御、手近な壁を蹴って安全な足場へ跳び移る。途端に上に乗ったものを池へ落とそうと足場自体が動き出した。長距離跳躍で同じ足場へ辿りついたワンもシルと共に一気に駆けて、振り子のように揺れる大きなハンマーをかいくぐって天井から吊り下がった鉄棒のようなものに飛びつく。
 鉄棒は両側で壁に直付けしたフレームに添って池の上を滑ってゆき、シルは安全地帯へと送り届けられた。しかし大きく体が振れたワンの腕は勢いを殺し切れず鉄棒から落下。池へ落ちる――かに見えた刹那。
「舞うとしよう」
 彼女の肢体は精霊の加護をまとって落下を免れた。水の放射で勢いをつけて、足場の上へとふわりと舞うと【水霊駆動】を解除する。
 仲間の後について快調に進んでいたヤニは、このご機嫌なアスレチックの悪意を突然知ることになった。自分の後ろに灰色と恵がいる状態で、自分たちが飛びつくべき鉄棒が出てこなくなったのだ。これでは放物線を描いて池に落下する。
「そんなのアリッスか?!?!」
 言葉を裏返らせながらも『徒手』を起動。咄嗟に伸ばした左腕を無数の触手の槍へと変え、手近な壁面と支柱へ突き立てた。鈍い音をたてて全ての触手槍が食い込み、しなりで勢いをつけて次の足場へ向かって跳ぶ。無事に最後の足場へ着くなり、
「いやあ……最後に信じるものは筋肉ッス」
 しみじみと呟いたヤニであった。
 彼の様子を見ていた恵は迷うことなくアームドフォートを発射。装飾として壁から突き出ていた構造体の根元を破壊すると、池に落下したそれに飛び乗って進み始めた。鉄棒スライダーを使えない代わりのボート作戦で、サイドから飛び出してくるハンマーを豊かな胸を揺らしながら避ける。
 灰色はというと遥か頭上、支柱を蹴った勢いで天井の構造体にまで達し、再びの【壊鍵起動・壱式】で眼下の足場めがけて飛来してきた。一度足場で再重点が必要だ。
 一方、飛んだり跳ねたりのアクションよりも、アイシアは壁面や天井構造体を利用して堅実に前へ進んでいた。全体的な身体能力の高さと情報収集で確実なルートを選んできたせいもある。
 後半を華麗に駆け抜けて仲間と合流した恵は、彼らがアームドフォートで破壊した構造体を眺めているのに気づいてちょっと肩を竦めてみせた。
「壊しちゃダメとか、武器使用禁止とかどこにも書いてなかったから」
 彼女に少し遅れて灰色が足場へ到着した。彼方で彼が経路とした支柱が砕けて池の中へ崩落していく。のみならず、一か所池の中の足場も沈んでいくのが見えた。
「荒っぽい踏破が得手でね。チートだって言われるかも知れないけど……ま、こういうヤツもいるものさ」
「大丈夫じゃないッスかね。言われてみれば書いてなかったし!」
 ヤニが明るく請け負う。実際言うなれば、構造体の耐久力が足りなかったということだ。それは招待主の落ち度というものだろう。
 この踏破の痕跡があれば、もし後続の猟兵がきても苦労はしない。そう判断して、一行は下層へと向かうことにした。
「競争という訳ではないが速いに越したことはないの」
「そう思うよ」
 ワンの言葉に頷いたアイシアを先頭に、一刻を惜しむように階段を駆け降りる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『メカふくちゃん』

POW   :    超振動ギアヒレカッター
【高速振動する鋼鉄のヒレ】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ふくちゃんサーチライトビーム
【目】から【ビーム】を放ち、【突然の驚き】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    どくバリミサイル
レベル×5本の【毒】属性の【鋼鉄のトゲ】を放つ。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●パトロール・フグ
 普通の建物で考えれば二、三階ぶんほどは階段を下りただろうか。突き当りの扉を開くと、やけに広大な空間が目の前に開けた。ちょうどさっきのアスレチックがあったフロアの構造体を全て取り除けば、このぐらいの広さになるだろうか――否、少し奥行が狭いか。
 扉を出ると床まで短い階段があり、床は一面水で覆われていた。水深は50センチほど、泳ぐのは難しい。

 そして、壁も天井も遠いこの空間のそこここから、何かが水面を撥ねるような小さな水音が聞こえてきた。それは徐々に、輪を絞るように近づいてくる。
 突然一行の前で大きく跳ねたそれは、丸々としたフグのような形をしていた。そのヒレが高速振動しているのまでが見て取れる。
 これこそ哨戒迎撃に特化した自律駆動フグ型魔導蒸気ロボ。猟兵たちの敵である。
峰谷・恵
「泳ぐには浅いけど動きの邪魔になる程度には深いのがやらしいね」

敵が来る方向を限定するため角に陣取り、ダークミストシールドで毒針とサーチライトビームを防ぎながらMCフォートで近づいてくる敵を迎撃する(MCフォートリロードの隙は熱線銃で埋める)。
一気に大量の敵が突っ込んできたら全射撃兵装によるフルバースト・マキシマムでまとめて撃破する(一斉発射、鎧無視攻撃、鎧砕き、2回攻撃、誘導弾、属性攻撃)
ダークミストシールドで防ぎきれない毒針はマント、喰精紋、空間活動用改造ナノマシン、コード【神を穿つもの】の4重防具で防ぐ(オーラ防御、毒耐性)

「見た目はともかく武装は凶悪だったね」


壥・灰色
これだけ広いと動きやすくていい――
しかし……随分可愛らしいのが出てきたね
もし生きてたら、殴るのをちょっと躊躇ったかも知れない
いや、殴るんだけども

壊鍵、起動

魔術回路「壊鍵」を起動し、手足に衝撃を装填した上で
両手に付けたメリケンサック『衝拳』をぶつけ合わせる

力業で行く
先程同様、衝撃波を足裏で炸裂、飛び石が如く水面を跳ねる
フグ型ロボットとすれ違う瞬間に嵐の如く拳を繰り出し、撃墜、撃墜、撃墜
脚に籠めた衝撃が尽きたら仕方ない、一端着水して「再装填」。水を蹴立ててまた跳ね、再び敵へと襲いかかる

……うーん。
戦えば戦うほど、ふぐ食べたくなってきたな。ならない?


シル・ウィンディア
…ハードな展開の後は、かわいいお魚さん達とのふれあい体験?
そんな訳はないよね…

さ、安全確保の為に、やりましょうかっ!

相手が飛んでいるなら、こっちも【空中戦】で対抗っ!
すれ違いざまに二刀流の光刃剣で斬り捨てる感じで
空中機動を行っていくね
所々【残像】や【フェイント】も織り交ぜて行動するね

敵の攻撃は【第六感】で感知して【見切り】で回避行動

敵を、半径23m以内に入るように誘導して動くね
ほとんど収まる位に敵が集まったら
ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラストで一網打尽っ!
【高速詠唱】と【全力魔法】で一気に行きますっ!

さぁ、わたしの全力全開の魔法、味わってねっ!!
…ふぅ、やっと一息つけるかな?


ワン・シャウレン
フグ型。フグのう…
愛嬌は認めるんじゃが…おかげでやや気勢を削がれるの。
まぁ倒すのに変わりはなし、
お主らの破壊を解錠条件にした製作者を恨むんじゃな。

ここにも水場があるのはわしにとって悪うない。
此度も水霊駆動を起動。
格闘戦、その延長と補助に使うが主じゃが飛び道具にするも難しくはない。
集まって来るようなら纏めて蹴り抜いてくれよう。
遠慮なく仕留めに行くぞ。
回避が難しい、他の猟兵が危なければ水の盾で守りにも。

全て倒し切ればいよいよ次が本命か。
気を引き締めて行くとしようぞ。


アイシア・オブリオン
フグ、フグかあ……。
向こうが哨戒迎撃に特化してるなら、こっとは真正面からの突破だよ!
まずはコール・スペシャルパーツ!
ロジャーと合体させたら、仲間に声をかけて進むよ。
この巨体、無視できまい……私にうまく注意を引き付けて、仲間の自由な行動をできるようにするよ!

勿論、ただの囮で終わるつもりも無いよ。
目につく奴からぶっとばしてやる!


ヤニ・デミトリ
かわいい・・・かわいいのだけど
円らな黒い瞳に深淵を感じる気がするッス。
障害になるなら、退いて貰わねばなるまいッス!

排除のため向こうから接近してくるなら、
耐久力にはちょっとだけ自信があるから、追いかけるよりは迎え撃つッス。
片腕をすくい網のように変化させ、攻撃しに近寄ってくるふくちゃんを見定めて
熊の鮭採りよろしく掬い上げてみるッス!
水のないところでは、咄嗟の回避行動をとりにくいハズ。
空中に掬い上げた一瞬を、狙い定めた触手槍(命中率重視)で打ち抜くッス!



 まずは水深を確かめた恵が、立ちあがってフロア全体に目を走らせた。天井から明りが灯されたランタンが幾つも下がって見通しはいい。水深はどこも変わりはないようだ。
「泳ぐには浅いけど、動きの邪魔になる程度には深いのがやらしいね」
 ぐるりと空間を見渡し天井の高さやフロアの幅を見極めた灰色も頷く。
「これだけ広いと動きやすくていい――しかし……随分可愛らしいのが出てきたね」
 後半はそこらじゅうで跳ねるものを評してだ。輪が更に絞られ、メカふくちゃんをまざまざと見た一行が若干言葉に詰まる。
「フグ、フグかあ……」
 否、首を傾げるアイシアはガジェットとしての分析をしているのかもしれないが。
「フグ型。フグのう……愛嬌は認めるんじゃが……おかげでやや気勢を削がれるの」
「……ハードな展開の後は、かわいいお魚さん達とのふれあい体験? そんな訳はないよね……」
 ワンとシルが顔を見合わせた。丸々しいボディ、愛嬌のある顔つきだけを見るなら、可愛いメカと言って差し支えはない。だが、如何せん顔のすぐ横についている切れ味のよさそうなヒレがめっちゃ高速振動している。
 それに、ヤニは眼前で跳ねたメカふくちゃんと目が合ってしまった。
「かわいい……かわいいのだけど、円らな黒い瞳に深淵を感じる気がするッス」
 小さく虚ろな深淵。深淵を覗き見る時、深淵もまたこちらを覗き見ている――と言ったニーチェ先生にも業の深い闇を感じるが、ともあれ。
「障害になるなら、退いて貰わねばなるまいッス!」
「もし生きてたら、殴るのをちょっと躊躇ったかも知れないな。いや、殴るんだけども」
 若干の温情を感じさせるヤニとは対照的に、さっきは可愛いとか言った灰色がスーパードライに言い放った。
「まぁ倒すのに変わりはなし、お主らの破壊を解錠条件にした製作者を恨むんじゃな」
 こっくり頷いたワンも同意すると、シルも二振りの光刃剣を抜いて笑顔で構える。
「さ、安全確保の為に、やりましょうかっ!」
 戦意を察知したのか、メカふくちゃんの輪がぎゅっと縮んだかと思うと数匹が宙を舞った。もはやヒレは視認が困難な超振動。
「向こうが哨戒迎撃に特化してるなら、こっちは真正面からの突破だよ!」
 一歩退くアイシアを戴き、ざばりと音をたててロジャーが姿を現した。超振動ギアヒレカッターを駆動音を響かせるロジャーで受け止め、アイシアがコードを開陳する。
「コール・スペシャルパーツ! 合体だよ、ロジャー!」
 分析に従い、ロジャーに召喚された追加パーツが装着された。高硬度装甲追加、高速追尾対応スタビライザー追加。ロジャーを発進させながらアイシアが仲間に叫ぶ。
「この巨体、無視できまい……私にうまく注意を引きつけるから!」
 目論見通り、ロジャーの大きさや派手な動きはふくちゃんたちの注意を引いた。半数ほどのふくちゃんズが追って動き出す。
 勿論、ただの囮で終わるつもりも無い。併走しようとするふくちゃん2機を確認するや巨体からは信じ難い速度で旋回、射撃を浴びせる。
 火花を散らしてスクラップと化した二機が撥ねとぶ傍ら、アイシアと同時に包囲を突破した灰色が、追尾してくるふくちゃんズを半数引き受け魔術回路を起動した。
 両手のメリケンサック『衝拳』の衝突と同時、灰色の身体は衝撃波で加速。水面を飛び石が跳ねるように跳びかかってくるふくちゃんたちと交差する。
「今からおまえを、死ぬまで殴る」
 宣告が事実となるのに間はなかった。【死の鳴叫】の名に相応しい暴威とも言える拳打はふくちゃんを打ち、拉げさせ、擲ち落とす。受けたのはヒレカッターの斬撃が一度、毒針が一度。墜ちていく一機、二機、三機。
「……うーん。戦えば戦うほど、ふぐ食べたくなってきたな。ならない?」
「の、ノーコメントッス!」
 衝撃充填のために着水する灰色の問いに、うっかり空腹を覚えてしまったヤニである。耐久力には自信があった彼は、回避よりも迎撃に打って出た。片腕を網状に変えると、水中から跳ねるふくちゃん二機に狙いを定める。
 ふくちゃんズからも狙い定めた毒針を喰らいはしたが、構わず腕を一閃。ふくふくに丸い腹を上に宙を舞った二機めがけ【徒手】を浴びせた。
「受けられないとは言わせねえッス!」
 空を穿つ漆黒の触手は逃すことなく二機を貫いた。柔らかそうに見えた白い腹が普通に装甲だったことに軽いショックを受けつつ、振り向きざまに背後から迫っていた二機を再び掬いあげる。
「おお、まさに熊の鮭採りのようじゃな」
 のんびりと笑うワンの蹴撃でふくちゃんが一機吹っ飛んだ。鮮やかな格闘術で跳ねるふくちゃんのブレードを躱し、毒針から跳び退いては確実に沈めていく。蹴撃でボディが歪んだふくちゃんが二機、無事な一機を加えて挟撃すべく水から跳ねる。
 毒針とブレードが一点、ワンをめがけて交差しようとした瞬間。
「ここにも水場があるのはわしにとって悪うない――舞うとしよう」
 宿した精霊の加護をまとった淡い金の髪が煌めく。【水霊駆動】はワンの意のままに、フロアに満ちる水を槍と化して彼女の敵を穿った。串刺しで砕けた二機が落下、穴はあいたが尚毒針を放とうとした一機に、ワンが蹴りを叩きこむ。
 アイシアを追うふくちゃんたちを減らすべく、シルは彼女とロジャーと交差しふくちゃんたちを迎え討った。彼女の視界を奪うべく最奥で一閃したサーチライト、それに毒針が飛来する。一瞬とはいえ水から跳ねて宙に居るならこちらも対抗するまでだ。
 精霊の霊力が調和して生まれた六源和導から、それにエレメンティア――銀のロッドから光の刃を生み出すことで完成するフォースセイバーを手に、毒針を見切ったシルはすれ違いざま斬撃を見舞う。
 白刃一閃、真っ二つに断ち割られた二機のふくちゃんが落下した。残る二機のふくちゃんが泳ぎ寄るのを見逃しはしない。
 ワンに蹴られて壁に激突したふくちゃんが水中に没すると入れ替わるように、三機のふくちゃんの丸々しいボディがフロアの隅に陣取った恵へ殺到した。彼女の手首に青い光が点ると、飛来する毒針は全てそこから展開されるダークミスとシールドにより防がれる。
 ほぼ同時、恵の構えたMCフォートが火を噴いた。【フルバースト・マキシマム】による砲火の交錯は一瞬。
 激しい駆動音をたてて放たれたアームドフォートの雨のような弾丸は、3機のふくちゃんを粉砕して機能を完全停止させた。
 残るはシルと対峙する二機のみ。彼女が目の前の一機を斬り捨てる隙に、背後から奇襲を仕掛けようとした一機へ恵はブラスターを撃った。狙いは正確に、胴の中心を貫いて弾け飛ばす。
 水をはねる音が途絶える。それは全ての哨戒迎撃機が機能停止したということであり。
 水飛沫を上げてロジャーが停止すると、鈍い音をたててフロア奥の扉が開き始めた。
「見た目はともかく武装は凶悪だったね」
 シールドでなんとか防ぎきった恵が呟いたのは、仲間が無傷とはいかなかったからだ。とはいえ重い怪我をしたものはなく、全員がかすり傷程度だった。
「いよいよ次が本命か。気を引き締めて行くとしようぞ」
 ワンの言葉に一行の誰もが頷く。
 この先にはあの蛇がいる――アイシアの表情は、自然と硬くなった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『スチームドレイク』

POW   :    スチームフレイム
【口内から射出される「錬金術の炎」 】が命中した対象を燃やす。放たれた【紅蓮の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    頭部連装機関砲
【頭部連装機関砲 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    スチームファイア
レベル×1個の【錬金術 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアイシア・オブリオンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ドレイク・ハント
 それが何故そんなにも生けるものを憎むのか、理由はわからない。
 ただ生けるものへの執念はさておくとしても、その身を構成する武装の危険度もまた、看過し得ないものだった。単体への錬金術による炎、連装機関砲に、果ては四十ほども炎弾を放つという破壊と殺戮に特化した機能。
 開かれた扉の向こうには、予想どおりの広さの空間が広がっていた。上階のアスレチックがあったフロア全てから、今の水浸しの空間を差し引いた残りだ。それでもなかなかに広い――魔導蒸気機関によって作られた巨大な蛇、『スチームドレイク』が存分に体を伸ばして尚余りあるほどの空間は、あちこちが焦げて煤けている。
 それでも破損していないだけ安堵はできた。地上へ抜ける道などあれば、とっくにどこかで甚大な被害が出ていることだろう。
 蛇にはここで永遠に眠って貰わなくてはならない。猟兵たちは戦闘準備を始めた。敵の気配、それも生物の接近を感じ取った蛇が巨大な口を開けると、荒れ狂う炎が噴き出た。
峰谷・恵
「出し惜しめるようなシロモノでもないか」

血統覚醒使用、ヴァンパイアの力を引き出して戦う。
敵の攻撃を避けながらMCフォートの連射(鎧砕き、鎧無視攻撃、属性攻撃、誘導弾、2回攻撃)でダメージを与え、敵の注意を引きつけて他の猟兵が仕掛けやすい状況を作る。敵に隙ができたらアームドフォート、熱線銃も加えた攻撃(MCフォート攻撃時技能+一斉射撃)を叩き込む。
避けきれない敵の攻撃はヴァンパイアの力で出力を上げたダークミストシールド(盾受け)とマント、喰精紋、コード【神を穿つもの】、空間活動用改造ナノマシンの4重防具で防ぐ。

「誰も殺すこと無く骸の海に沈め」


シル・ウィンディア
大きい蛇さんなら…
虫じゃないなら大丈夫っ!

こんなものを、外に出すわけにはいかないから、ここで止めないとね
いきなり【高速詠唱】と【全力魔法】でのエレメンタル・ファランクスを
使用するよ
出鼻を挫かないとねっ!

撃った後は、【空中戦】と【残像】、【ダッシュ】【フェイント】を駆使して
機動力で撹乱しつつ、隙を見せたら【二回攻撃】、【属性攻撃(氷)】の
二刀流光刃剣で攻撃するね
敵の攻撃は、ジグザグの空中機動で回避しつつ、【第六感】で感知して【見切り】で回避を行うよ

敵が、スチームファイアを使用して来たら【高速詠唱】のエレメンタル・ファランクスで相殺を狙います
合体する前に、撃ち抜いてあげるよっ!!



 室温が一気に上昇する。猟兵でなければ呼吸もままならないだろう。体をくねらせ猟兵たちへ向き直る様は女性なら苦手でも不思議はなかった、が。
「大きい蛇さんなら……虫じゃないなら大丈夫っ!」
 最年少のシルすら怯むことはなかった。かえって気合を入れている。
「こんなものを外に出すわけにはいかないから、ここで止めないとね」
「出し惜しめるようなシロモノでもないか」
 呟いた恵が目を閉じる。ひと呼吸と置かぬ間に、凄絶な殺気が彼女から噴き出た。
 それに反応したのか、殺す機構に過ぎぬ蛇が大きく口を開けた。喉奥から突き出たノズルから炎が噴射され――豊かな胸を揺らしてひと跳びで躱した恵が瞼を開く。瞳に漲る血のような真紅。
 MCフォートが火花を散らした。立て続けに吐き出される大型弾の衝撃を相殺しながら身を捻る恵を、驟雨のような銃撃を浴びて装甲を剥がされながら鋼の蛇が追う。時折身をかすめる機関砲はダークミストフィールドと呪詛のこもったマント、それに熱をもつ刻印で防ぎきった。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ……。我が手に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!!」
 恵が注意を引いている間に詠唱を終えたシルが、魔力を全開で注ぎ込む。
「出鼻を挫かないとねっ!」
 華奢な彼女の手で光が膨れあがった。火・水・風・土の4属性を帯びたもはや一瞥では数えきれない魔力の輝きは、空間を灼きながらスチーム・ドレイクめがけて殺到。魔導蒸気機関で動く蛇も苦痛を感じるのか、激しい咆哮があがった。
 さすがに無視できないほどのダメージを受けた蛇が振り返る。打ち据えようとしなった尾を避け、素早いダッシュでシルが距離を稼いだ。巨躯で迫る大蛇を、小柄な肢体と残像すら残す機動力で翻弄する。
 捉えきれぬ怒りで咆哮する蛇の横っ面へ、今度は恵がアームドフォートの砲撃を食らわせた。再び装甲が弾けとび、弾が食い込み軋む音をたてる。激しい衝撃で自由を奪われている蛇へ、六源和導とエレメンティアの二振りを携えたシルが肉薄した。
 斬撃は二閃。大きな装甲板を断ち割り、その下の歯車や機構をざっくりと裂く。その一点へ、恵の二度目の砲撃が殺到した。熾烈を極めた。ブラスターの狙い撃ちから始まりアームドフォートの砲身が赤熱するまで立て続けに砲撃を撃ち込む。立ちこめる白煙が砲撃によるものか、スチーム・ドレイクの炎に依るのかも判断がつかない。
 もがくドレイクを見据える彼女の瞳は、どこまでも赤く冷徹だった。
「誰も殺すこと無く骸の海に沈め」
 巨体が空間を揺らして床に叩きつけられる。敵の注意を引きつける二人の仕事は完璧なものだった。しかしなお、鋼の蛇は動きを止めようとしていない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ワン・シャウレン
目当てに無事辿り着け何より。
後はこやつ(蛇)を仕留めるのみじゃな。

生き物に大きく反応するようじゃが、わしも含まれるのかの。
まぁ動くものには反応するじゃろうな。
やや優先度が下がるようならば、それはそれで活用したい。

戦闘では他の猟兵とも協力。
火炎や機関砲はフェイントや見切りの上、回避と迎撃までに抑え、懐目指し。
敵がこちらを狙うならば自身が囮になって他の者の攻め機会を作るのも目指す。

敵に連ね流星を確実に叩き込めるだろう所まで着いたら
迷わず叩き込みに行く。
技能をフルに使い、残像残す連撃。
模倣とはいえパターンはいくつかあるので、最適と思うものを。(アドリブ歓迎)


壥・灰色
竜殺しか
機械とは言え、腕が鳴る

壊鍵、全稼働

両腕に『壊鍵』の衝撃を集中。脚に一割、残りは両腕
敵の攻撃を見極め、最低限のステップで回避
最初は回避距離を大きく取り、二回目からはそれを少しずつ縮める
回避直後に攻撃に移れるほどにまで

攻撃を食らったならそれをも計算に入れる
喰らう傷など意に介さない
血を流しながらでも、あの竜を止めるのが一番先だ

さあ、来い
――お前をここで葬ってやる。

スチームドレイクが襲いかかるその刹那に、紙一重での回避
続けざまに、その横っ腹に空爆も斯くやという連続打撃!
『2回攻撃』に壊鍵の衝撃を絡めて放たれる鬼神の如き連打は、名を「空爆」――エア・ストライク!
最後の一打を、渾身の力で叩き込む!


ヤニ・デミトリ
わ~、全体的に殺意高いッス。
丸焦げになりたい時は苦労しなさそうッスね。
勿論御免ッスけど!

バウンドボディの弾性を使い、
弾丸のように体当たりを仕掛けて攻撃と邪魔、回避を兼ねるッス!
跳ね回るには部屋が広いから、
手近な床や相手の身体を起点に利用するッスよ。
相手の構造を目ざとく観察し、頭部や攻撃動作の起点を目掛けて、
衝撃で巨体を思い通りに繰れないよう邪魔をするッス。
あっでも焼きタールになるのは嫌ッスから、攻撃は〈武器受け〉で凌いでいきたいっスよ!

お前にも死を悼む心があったら、自分の様を嘆いたんかなあ。
そろそろ殺戮の執念から自由になって欲しいッス。



 仲間の渾身の砲撃の間、三人が黙って見ていたはずもない。
「目当てに無事辿り着け何より。後はこやつを仕留めるのみじゃな」
 二人が注意を引いている間に、ワンも仕掛けていた。攻撃の合間、がらあきの懐へ踏み込んで流れるような掌底打ちからの回し蹴りを食らわせる。
 焼けるような蒸気を駆動部から噴き出す蛇が鎌首をもたげ、後方を睨みすえた。途端に四十以上の炎が蛇の周りに渦をまき現れる。
 身体の弾性を存分に発揮して蛇自身の装甲を起点に跳ねたヤニが悲鳴をあげた。
「わ~、全体的に殺意高いッス。丸焦げになりたい時は苦労しなさそうッスね。勿論御免ッスけど!」
 フロアの壁面から蛇の装甲へ、更に扉の上に突き出た構造体で弾けて天井へ――愛嬌のある笑顔の青年は自身の肉体を操り、驚くべき速度で跳ね回った。ドレイクが頭を巡らせて炎で追うが、およそ追いつかない。
「竜殺しか。機械とは言え、腕が鳴る」
 呟く灰色は横薙ぎの尻尾を避けると『壊鍵』を起動した。ただし脚に一割を回したのみ、残る全てを腕に集中する。
 ドレイクの殺戮衝動の範疇に自分が入るのかという点がワンは気になっていた。優先度が下がるなら攻撃に有利かと思ったが、ドレイクがヤニを追っている以上範疇に入るのであろう。
 降りそそぐ炎を避け、あちこちから蒸気を噴きだす鋼の竜へ近づくのは簡単ではない。命中精度をあげた機関砲に脇腹を抉られたが、灰色は意に介さなかった。今はあの竜を止めることが一番先だ。
「さあ、来い――お前をここで葬ってやる」
 灰色の声に誘われたように蛇が歪な音をたてて体をくねらせ、炭にしてくれようとばかり大きく口を開く。
「そうはさせないッスよ!」
 叫ぶヤニが絶妙な空中コントロールで口の中のノズルに体当たりを食らわせた。異音を立てて歪むノズルが、駆動音とともに炎を噴き出す。
「あっでも焼きタールになるのは嫌ッス~!」
 全身炎上する前に、彼は炎の前へすばやく魚骨をしならせた。蛇腹剣を縮めるようにして炎を受け流し直撃を防ぐ。
 その隙を見逃すことなく、ワンは蛇の胴を蹴って宙を舞った。鮮やかな滞空からの蹴り下ろしが蛇の目を直撃し、炎を噴いて砕け散る。もう一方の目で敵を捉えようとしたドレイクが見たのは、その目を狙ってまっしぐらに壁から跳ねて飛来するヤニと懐へ踏み込もうとしている灰色だった。
 金属がたわむ音と砕ける音が同時に響く。残る目をヤニの魚骨で潰された鋼の蛇は、しかし口を開けて業火を吐きだした。確かに青年を捉えたと認識していただろう。
 灰色は二度にわたり動きを見定め、間合いへ入る距離を稼いでいた。刹那、放たれた炎は灰色の頬を薙いで過ぎる。肌をひりつかせる皮一枚、ぎりぎりを躱してのけた灰色の表情は動くことなく拳が唸った。
 【壊鍵起動・壱式】。
 轟音をたてて蛇の横っ腹にめりこんだ拳が装甲を拉げさせ、亀裂を生みながら放たれる衝撃。仲間の砲撃で弱った装甲も機構も砕き散らして深部へ及び、鬼神の如き打撃の一でもって擂鉢状に崩壊させた。苦痛を感じないからくり仕掛けの蛇が火花を散らして傾く背後、まるで幻のようにワンが迫る。
「行こうぞ!」
 灰色と挟撃位置をとった彼女の小さな拳の一打、伸びやかな一蹴が装甲を打ち崩し、駆動部を割り砕く。躱されればそこまでの【連ね流星】はしかし、もう回避もままならない蛇を捉えた。流れるような肘打ちからうねる尾を拳で打ち払い、回転にまかせて加速した蹴撃まで、名の通り連なるような残像だけを蛇のセンサーに残した。
 使い手に見合わぬ老獪で隙のない、かつ重い連撃。
 胴の中央駆動部を同時に、かつ壊滅的なまでに背と腹から擂り潰された蛇が、苦悶するように身を捩る一瞬の空白。灰色の連打の二、名を「空爆」と号する渾身の一打が叩きつけられた。
 その轟音を例えるなら、確かに空爆であったろう。わずかに上半身を捻った姿勢からの一撃は、機構を四散させながら深部まで達し衝撃を放った。構造物が耐えきれず、耳障りな音をたてて蛇の胴が上と下とで泣き別れに砕け散る。各所から火花や炎が漏れると、蛇は完全に停止した。
 炎に巻かれて煤けたヤニが息をつき、ぴくりとも動かなくなった蛇を見下ろして呟く。
「……お前にも死を悼む心があったら、自分の様を嘆いたんかなあ。そろそろ殺戮の執念から自由になって欲しいッス」
 この個体が最後の蛇であれば、或いは言葉が実を結ぶこともあったのかもしれないが。
 かろうじて動いていた蒸気機関も遂に止まる。
 それと同時にフロアの各所にあった照明が消えた。まるでこの場も役目を終えたとでも言うようだった。

 フロアのところどころに設置されている非常灯の明かりを頼りに、一行は二層からなる謎のフロアを後にした。
 未だどこかで眠る魔導蒸気機関の蛇がいるのだろう――否、その確証すらないけれど。
 それがどこなのか、本当にまだいるのかは、誰も知らない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月07日
宿敵 『スチームドレイク』 を撃破!


挿絵イラスト