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迷宮災厄戦㉓〜Oh No!

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #キング・ブレイン

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●とある猟書家の苦悩
「ブレブレブレ、吾輩を称えよ!」
(ふむ、笑いに覇気が足りない気がする)
 ここは極々普通の不思議の国。その一角で何度もブレブレブレと笑い声がこだまする。
 笑い声を発する事十数回、ようやく納得の声を出す事ができたのか、顎に手をやると猟書家はうんうんと満足そうに頷いた。
「次はポージングだな。吾輩には立派なマントがある。故に翻さねばなるまい、このように!」
 バサッ!
 片手を胸元から体の外側に向かうように真横へ大きく動作する。風を切る音をたてながらマントがなびいていく。
「……角度の問題か?……それとも速度か?ひょっとして吾輩がスロゥリィ?」
 恐らく常人には理解できないであろう美徳センスにより、自問自答を行いながらこれまた何十回とマントを翻す練習が繰り替えされる。
「よし、これでいいだろう。次はやはり決め台詞であろう。第一印象は大事であるし、新たな大首領となるわけだからビシッっと決めておきたい」
「ブレブレブレ、諸君!吾輩が来た!」
(……いや、これはどこなく世界感が違うのではないだろうか?)
「ブレブレブレ、諸君!お命頂戴仕る!」
(……いやいや、だから世界感が違うしそもそも怪人達は改造すればいいのであって命を奪いたいわけでは…)
 巨大な本棚の陰でとある猟書家が唸りをあげる。まだまだ苦悩は続きそうだ。

●そして話は今へと至る
「さて、今アリスラビリンスで激戦が繰り広げられている事は皆も知っていると思う。その中でも今回皆に倒してもらいたいのが『キング・ブレイン』という猟書家だ」
 橘・蘭(人間の電脳魔術士・f03515)は集まった猟兵達に淡々と告げる。
「敵はキマイラフューチャーを狙っているらしい。このまま放っておくと被害はアリスラビリンスに留まらないだろう」
 それから……と言葉を続ける。
「敵は背中に背負った「スーパー怪人大全集(全687巻)」や脳から出るビームといった特殊な攻撃方法を行うらしい。これらに対しては何かしら対策をしておいた方がいいと思う」
 一通りの説明を終えると橘はもう一度猟兵達に目を向け、
「二つの世界の命運は君たちにかかっている、頼んだよ」
 そういって微笑むのだった。


死神
 こんにちは、死神です。
 今回は『キング・ブレイン』の討伐が目的となります。
 敵は『必ず先制攻撃』してきますので、
 何かしら対策をしておくと良いかと思います。
 純戦闘シナリオですので皆様の熱いプレイングをお待ちしております。

 ※敵が敵だけにネタに走りたくなる方もいらっしゃるかもしれませんが、
  ネタに走ったとしても特に不利になるわけではありませんので大丈夫です。
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第1章 ボス戦 『猟書家『キング・ブレイン』』

POW   :    侵略蔵書「スーパー怪人大全集(全687巻)」
【スーパー怪人大全集の好きな巻】を使用する事で、【そこに載ってる怪人誰かの特徴ひとつ】を生やした、自身の身長の3倍の【スーパーキング・ブレイン】に変身する。
SPD   :    本棚をバーン!
【突然、背中のでかい本棚を投げつけること】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【リアクションをよく見て身体特徴】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    脳ビーム
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【脳(かしこさを暴走させる)】属性の【ビーム】を、レベル×5mの直線上に放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ガルディエ・ワールレイド
◆基本
武装は《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流
《見切り/武器受け》で防御

◆先制対策
望み通り称えてやるか
調子に乗って動きが雑になったり、リアクションをして先制攻撃が遅れたら良いという意図だ
「それは噂に聞くスーパー怪人大全集(全687巻)! そして、それを持つお前は……猟書家キング・ブレイン!! 新たなキマイラフューチャーの主となり得る資質を持つ事は認めざるを得ないな……!」
「なんて恐ろしい能力だ。一体どうなっているんだ……!?(調子にのって怪人特徴の解説とかしねぇかな)」

◆反撃
【竜神領域】で反撃
初手は飛翔による奇襲で敵の上部を狙う
その後は敵の死角を飛び回るように戦うぜ



●王も煽てりゃ木に登る?
「ブレブレブレ、吾輩を称えよ!……ブレブレ、大分様になってきたのではないだろうか?」
(アレが『キング・ブレイン』か。さぁて望み通り称えてやるか)
 キング・ブレインを視界に納めたガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)は堂々とその足を進める。
「ブレブレブレ、後決まっていないのは怪人共を支配下に置く時の台詞とポーズとそれから……」
 不意に口を紡ぐと気配を感じたキング・ブレインがゆっくりとガルディエの方に向き直る。
「ほほぉ、吾輩に何か御用かな?只の迷い人という事であれば今なら見逃してやらんでもないぞ?」
 向けられた殺気を意にも介さず受け流すキング・ブレイン。
「ふむ…どうやら吾輩の邪魔をしに来たという事かな?なるほど、ならば吾輩のキマイラフューチャー征服への踏み台となるがよい!」
 その一言から戦闘は開始された。バサッとマントを翻し背後にある巨大な本棚より無数の本を引き寄せる。本は自動でキング・ブレインの手に収まると意思があるかのようにページが捲られていく。直後、その所作を見たガルディエが叫んだ!
「それは噂に聞くスーパー怪人大全集(全687巻)! そして、それを持つお前は……猟書家キング・ブレイン!! 新たなキマイラフューチャーの主となり得る資質を持つ事は認めざるを得ないな……!」
 それを聞いたキング・ブレインの手がピクリと止まる。
「ほぉ、粗暴な輩かと思っていたが成程、中々に教養があると見える。吾輩のコレクションの存在を認知しているとは!」
 狙い通り、敵は上機嫌となり初動が遅れていた。このチャンスを逃すガルディエではない。
「此処は俺の領域だ。俺が定義するぜ」
 ガルディエの言葉に呼応して周囲の空間が揺らぐ。周囲の領域を支配する事で己の竜としての権能最大限に行使するユーベルコード、これが『竜神領域(ドラゴニック・フィールド)』
 ガルディエは大地を蹴ると音速を超える速さでキング・ブレインに迫る。交差する刹那、回避し損ねたキング・ブレインの肩から鮮血が飛び散った。更に距離を詰めたガルディエの追撃が入ろうとする刹那、
「中々のスピードとパワーだ。だが……」
 傷を負いながらも余裕の表情は崩さないキング・ブレイン。彼の手に持つスーパー怪人大全集があるページで止まり、光を放った。光とともに巨大化したキング・ブレインとそれを取り巻く巨大な竜巻に吹き飛ばされるガルディエ。
「なんて恐ろしい能力だ。一体どうなっているんだ……!?」
 その力を前に驚愕(したフリを)するガルディエ。
「ブレブレブレ!今更吾輩の力の偉大さに気づいても遅い!吾輩はこのスーパー怪人大全集に記載されたあらゆる怪人の個性を使う事ができるのだ!貴様がどれだけ高速で動こうともこのスーパータカ怪人の巨大な翼により発生した竜巻の前では無意味である!」
「無意味?そんな事はねぇだろ?」
「何っ!?」
 声はキング・ブレインの真後ろから聞こえた。竜巻と同じという事は真上は安全という事である。そこを狙って懐に入り込むなど竜神領域を展開しているガルディエには造作もない事だった。
「おのれ下郎がぁぁぁ!!」
 キング・ブレインは即座に周囲に展開させた竜巻を縮小させた真空の刃を繰り出す。不可視の刃をガルディエは両手に持つ魔槍斧ジレイザと魔剣レギアで受け流そうとした。流石にその全ての刃を見切るのは難しかったか風に深紅の血が舞う。だが、それにも怯む事無く踏み込んだガルディエの振るった二つの刃はキング・ブレインの体に深く突き刺さっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空亡・煉
ブレブレブレってなによなんだよやめときやめとき流行らんから(早口)

さてさて先制攻撃に対しての応撃はっと・・、取り敢えずあれだ、本棚に当たんのがトリガーなんだよなぁ。・・よし、しっかり両手に【魔力溜め】て大きな爆発起こして【衝撃波】で軌道をずらすか。ちゃんと【属性攻撃】意識して【カウンター】気味にな。・・補助として【フェイント】掛けんのもありか、最初に

攻撃手段は、爆発を推進力に急接近してぇの・・勢いのまま【フェイント】意識して、両腕を下に向けて爆破。そのまま敵頭上越えーの背後からの本命の掌底を食らわす

【アドリブ歓迎、連携上等】



●流行らない言葉
「ブレブレブレってなによなんだよやめときやめとき流行らんから」
 対峙するや早口にいう空亡・煉(やさグレ店主・f28984)。巨大化が収まったキング・ブレインが息を荒げながら空亡の方に振り向く。
「否定には常に嫉妬の心が隠れている。吾輩の偉大さを前に己が矮小さを認めたくないのもわかる!が、しかしだ。受け入れる寛容さを持つことも大事である!」
(・・あ、こいつダメなヤツだな)
 キング・ブレインの言葉を聞いた空亡は瞬時にそう判断した。
「やれやれ、ストレス少なそうで羨ましい限りだな」
 軽口を叩く間も脳内は既に戦闘モードである。グリモア猟兵からもらった情報を元に戦術を組み立てる空亡。
「いやいや、そのような事はないぞ。このように吾輩の障害となる者が次から次へと現れるのでな、逐一相手をせねばならん。……このようになっ!」
 言うが早いか背後にある巨大な本棚を空亡に向かって投げつけてきた。
(取り敢えずあれだ、本棚に当たんのがトリガーなんだよなぁ。・・よし、ならば)
 いくら先に敵が動いたとは言え予測された攻撃である以上その対応は十分可能である。空亡はその場で両手を正面に構えるとそのまま魔力を溜める。瞬く間にその距離を縮めてくる本棚との距離を冷静に測り、接触の手前で魔力を解き放った!
 ドゴンッ!
 大きな音と共に炎と煙が巻き上がる。十分な魔力が込められた爆発により本棚の軌道が変わり空亡の真横をすり抜ける。通り過ぎる本棚の起こした風で咥えた煙草の煙が揺れる。
「そんじゃこっちから仕掛けるか」
 空亡は両手を後ろへ向け魔力を込めた爆発を発生させると、その推進力を利用してキング・ブレインへと迫った。
「正面から来るとは愚かですな!」
 再び本棚を放り投げるキング・ブレイン。このままでは直撃する!?と思いきや、素早く右方向に両手を翳して爆発を起こす事で自身の軌道を変えなんなくかわしていく。続く三撃、四撃も爆発による巧みな軌道変更で難なく回避していく。瞬く間にキング・ブレインの懐に入り込んだ空亡はそのまま勢いを殺すことなく大地に向かって手を伸ばして爆発を発生させた。土煙によりキング・ブレインの視界が遮られる。
「下郎が小賢しいぞ!この程度の目くらましで吾輩が委縮するとでも思ったのか!」
 ボボン!
 煙の中、キング・ブレインの前方で小さな爆発が起きる。
「愚かな!煙幕の中で派手に爆発を起こせば姿を隠した意味がないではないか!ブレブレブレ!」
(・・背後にいるんだよなぁ。・・まぁ、わざわざ教える必要もないけどな)
 この時既に空亡はキング・ブレインの背後にいたのだった。実は爆発を利用してキング・ブレインの背後に回り込む際、愛用のカード『Hot Spot』をキング・ブレインの前方に仕掛けていた。前半に散々見せた爆発に土煙で限られた視界である。前方で起きた爆発の周辺に空亡がいると錯覚するのも無理からぬ話だろう。
 そして…、
(早々に奥の手か・・・。まぁ、良いけどね)
 土煙がまだ止まぬ中、無防備になったキング・ブレインの背中に雷撃と爆炎の属性を纏った重い掌底が突き刺さるのだった!

大成功 🔵​🔵​🔵​

セシリア・サヴェージ
取り込み中の様ですが先制で打ち込む隙は皆無ですね……恐らく。相当の実力者であることは間違いなのですが……。
あの、もうよろしいでしょうか?こちらの準備は完了しておりますので――

突然本棚を投げつけるとは!【早業】で戦闘態勢を素早く整え【念動力】で本棚をキャッチ、敵に【投擲】し返します。
意表を突く攻撃でこちらの対応を観察することが目的でしょうか。ならば……

UC【黒風の蹂躙】を発動。【限界突破】で能力を強化してキング・ブレインの予想を超える攻撃を繰り出します。
本棚を投げつけてきたら強化された念動力で【吹き飛ばし】て敵にぶつけて【体勢を崩す】
その隙に【切り込み】で素早く接近し【重量攻撃】を行います。



●騎士と王
「『ブレブレブレ』どいつもこいつもこの高貴な笑いが何故理解できぬ!……いや待て、もしかして間違ってるの吾輩?やはり笑い声という事が認知されておらず?」
(取り込み中の様ですが先制で打ち込む隙は皆無ですね……恐らく。相当の実力者であることは間違いなのですが……)
 動向を見守るのはセシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)だ。既に戦場であるにもかかわらずひたすらに自問自答を続ける様は隙だらけに見える。しかし、それは『見える』だけであり油断が致命傷になりうる事を数々の経験から直感していた。
「あの、もうよろしいでしょうか?こちらの準備は完了しておりますので――」
 登場のタイミングをはかっていたセシリアがやや申し訳なさそうに姿を現す。それに気づいたキング・ブレインは視線をセシリアに合わせると軽く頭を下げる。
「おっと、これは失礼した。ご婦人を待たせるばかりか気を使わせてしまうとは。一体どのような用件……かは聞くまでもありますまい!」
 キング・ブレインが顔を上げると同時に背中にある巨大な本棚を投げつけてくる。
「突然本棚を投げつけるとは!」
 セシリアは持ち前の素早い動きで戦闘態勢に入ると飛んでくる本棚を不可視の力で止める。
(意表を突く攻撃でこちらの対応を観察することが目的でしょうか。ならば……)
 だが、捕らえた本棚をキング・ブレイン目掛けて投げようとした刹那、本棚から無数の本が飛び出しセシリアを襲った!
「!?」
 たまらず後ろへと飛び去るセシリア。突然の事にも関わらず飛んでくる本を距離を素早い動きで切り伏せる様子は流石であろう。その姿をキング・ブレインは満足そうに見つめる。
「ブレブレブレ、なるほどなるほど。中々良い身体能力を持っているようだ。だが、それでは吾輩には届かぬよ」
「果たして、それはどうでしょうか?」
 キング・ブレインの嘲笑を意にも介さずセシリアは闇の剣を構える。
「暗黒を解き放ち、嵐となって全てを破壊する」
 言葉に反応してセシリアの周りを黒き風が巻き起こる。それは漆黒であり闇でもあり触れたものを切り裂き飲み込む、そのようなナニカに思えた。
「その力は……!?」
 驚愕の声をあげるキング・ブレイン。表情の変化を見逃さず駆け出すセシリア。
「くっ……スーパー怪人大全集(全687巻)を持つ吾輩が圧されるなどありえん!」
 再び本棚を投げつけるキング・ブレイン。しかし…、
「はぁぁっ!!」
 先ほどとは全く異なる展開となった。セシリアから発せられた力はキング・ブレインの想像を遥かに超えて強化されており、今度こそ飛んでくる本棚を弾き飛ばしたのだった。
「ばかなっ!?」
 跳ね返され自身に向かってくる本棚を横に跳躍してよけるキング・ブレイン。だが、その真後ろから間髪入れずにセシリアが現れる。
「黒風を纏った私に同じ攻撃が通用するとでも思ったのか?」
「……貴様っ!?その瞳は……!?」
 一瞬たじろいだキング・ブレインにセシリアの容赦のない特大級の一撃が振り下ろされた!

成功 🔵​🔵​🔴​

フロース・ウェスペルティリオ
おお。678巻もあると壮観だねぇ。
中身も気になるけど、流石に全巻いっぺんに渡されても読めないかなぁ……
んー、キング・ブレイン一押しな怪人って居たりするのかい?

身体の1/3を人型(身長60cm程の幼体)に、残り2/3を液状体にした上で転移をお願いします。
幼体は囮として猟書家の前に、液状体は猟書家の後ろにこっそり移動するねぇ。
背後は本棚で見えなさそうだし、草や木の影に紛れれば目立たないかと。
幼体はなるべく、素早く駆け回ったり、ジャンプしたりで本棚を避けるつもり。まぁ、当たったら盛大に飛び散って、倒されたフリでもしようかなぁ。
その間に、液状体を人型(上半身のみ)にして弓矢を構え、隙をついて攻撃を。



●王は友達を作れるか?
「はぁ…はぁ…、おのれおのれ!スーパー怪人大全集(全687巻)を持つ吾輩がここまで苦戦を強いられるなど!」
 傷ついたキング・ブレインのあげる荒い呼吸が辺りに響き渡る。
「おお。678巻もあると壮観だねぇ。」
 怒気を孕んだキング・ブレインとは対称にゆったりとした口調で語りかけるのはフロース・ウェスペルティリオ(蝙蝠花・f00244)だ。
「中身も気になるけど、流石に全巻いっぺんに渡されても読めないかなぁ……」
 中身も気になるという言葉にキング・ブレインはピクリと反応する。
「んー、キング・ブレイン一押しな怪人って居たりするのかい?」
 そう問いかけるフロースにキング・ブレインは一瞬戸惑う。
(いやいや、どうせコイツも吾輩を亡き者にしようと企む輩の一人であろう。呑気に歓談に興じる必要などあるだろうか?いやない!だが待て、それはあまりに早計で短絡的思考ではないか?吾輩はやがて怪人達の頂点にたつ者。寛大さも見せねばなるまい?更にあの風貌……明らかに先の者達と違うではないか。どちらかというと怪人大全集に新たな一ページを加える時が来たのではないか?)
 つまり……、
「ブレブレブレ!!賢き者よ、吾輩に向かってよくぞ問うた!吾輩のお気に入りは水陸両用で活躍できるクジラを模した怪人や、種族に関係なく髪や毛を乾かす事ができる温風を放つ怪人や……」
 気を良くしたキング・ブレインの話は続く。しかしこうなると完全にフロースのペースである。先の戦いにより猟兵不信に陥りかけていたキング・ブレイン(それはそれで問題ないの)だがフロースの独特の雰囲気に完全に飲まれていた。キング・ブレインに気づかれぬよう自身の体を上手く使いキング・ブレインの背後へと送り込む。本来であればフロースの身長の変化に気づいたかもしれないが、今のキング・ブレイン相手であればそこに気づかれる事もあるまい。頃合いを見計らってフロースが声をかける。
「キング・ブレイン、あなたの話は興味深いけどそろそろ戦わなくちゃいけないよねぇ……?」
「……そうであるな。吾輩も貴殿を倒してぜひとも大全集に加えたくなったぞ!」
 いつの間にか『貴殿』と呼ばれるほど格が上がっていたフロース。
「この歓談は大変有意義な時間であった!なればこそ吾輩の全力をもって貴殿を葬ろう!そして吾輩の新たな一ページに加える事を約束しようではないか!」
 叫ぶキング・ブレインが背中に現れた巨大な本棚をフロース目掛けて投げてくる。
「ふむ……思ったよりも速いんだねぇ……」
 本棚はその大きさを全く感じさせない速度でフロースに襲い掛かった。姿勢を低くしたり宙を舞う事で回避を行っていたがついに本棚から飛び出た本に逃げ道を阻まれる。
「ブレブレブレ!これで終わりでだ!」
 逃げ場を失ったフロースに覆い被さる様に巨大な本棚がフロースを押し潰す。
「ブレブレブレ!盛大に飛び散りおった!では約束通り大全集の一ページに……」
 そこでキング・ブレインの言葉が止まる。何かが引っかかる。飛び散った?本棚の圧によって?跡形もなく?自分は何か大きな勘違いをしているのではないか。キング・ブレインは自身の大全集に記載された怪人の中に似た特徴を持ったものがいたような気がした。
「んー気づいてしまったかな?でも少し遅かったかなぁ……」
 声は背後から聞こえた。慌ててキング・ブレインが振り向くと、そこには弓矢を構えたフロースの姿があった。先ほど本棚で潰されたフロースは当然囮であり、気を引いている内に背後に回り込む作戦だった。狙い十分、放たれた高速の矢は無防備なキング・ブレインに真っ直ぐと突き刺さるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月18日


挿絵イラスト