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パリピ島の宴~今度は山からエンジョイ花火!

#グリードオーシャン #お祭り2020 #夏休み #カオスシナリオ #パリピ島の宴

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● パリピの宴は終わらない
「という訳で! 戦争も終盤戦に入ったけど、パリピの山に分け入ってみよう!」
 心底楽しそうな笑顔を見せたリオン・リエーブルは、集まった猟兵達にグリードオーシャンの地図を示した。
「ここはパリピ島。もう猟兵たちでメガリスを回収した無人島なんだけどね、ここはまた面白い島なんだ。なにせ二つ名持ちの生き物達がいっぱいいるんだ。風光明媚で気候も最適。さすがはキマイラフューチャー産の島だよね!」
 地図を拡大し、パリピ島の見取図を開く。そこに現れた地図を見たリオンは、島の真ん中を指差した。
「ここに、パリピ島の神殿跡があるんだけど。ここからだと沖合に停泊させた曙光丸がよく見えるんだよね。夜には曙光丸から花火を打ち上げるから、見てってよ。もちろんこの島に生えてる山菜とか野鳥とか動物とか、ハントしてバーベキューっていうのはお約束だよね!」
 お約束なのか? というツッコミが飛びまくる中、リオンはお構いなしに説明を続けた。
「この島の生態系って、なんかみんな二つ名持ちなんだよね。もちろん丘に住む動物たちも色んな二つ名を持ってるから、皆頑張ってハントしてね!」
 ちなみに、仕留めた動物たちは神殿に捧げると毛皮と内蔵と肉に分けられて血抜きもしてくれるという親切仕様。もちろん自分で解体したければしても良い。
 出てくる動物は、正直なんでもありだ。鳥でもウサギでもイノシシでも、まあ何かいる。動物を狩ってもいいし、謎の畑から二つ名持ちの野菜を収穫してもいい。果樹園もある。二つ名持ちだが。
「自然豊かなパリピの森から、恵みをゲットして美味しく食べて花火でたまや! 素敵な夏の思い出になるよね! てなわけで、皆で一緒にカオスな夏を楽しもう!」
 リオンは楽しそうに笑うと、親指を立てた。


三ノ木咲紀
 高いところでバーベキューする夏の日常シナリオは、三ノ木のお約束です。

 という訳で、夏のシナリオ2本目は山です。
 山で動物やら野菜やらをゲットして、バーベキューしながらゆべこ花火を鑑賞しようという内容になります。
 詳しくはオープニングの通りです。
 ほぼ全てに二つ名が付きます。どんな二つ名かは、1本目のダイス表を振っていただいてもいいですしご自身で決めていただいても構いません。

 パリピ島の宴~バカンスダイス表
 https://tw6.jp/club/thread?thread_id=49090&mode=last50

 カオスシナリオとなりますが、普通に楽しんでいただいてももちろん構いません。
 その場合は、プレイングの冒頭に【△】とお書きください。
 二つ名も普通で無難なものになります。
 また、カオスとはいえプレイングは無視致しません。どのくらいカオス成分が入るかは、書いてみないとわからないというのが正直なところです。そこはご勘弁くださいませ。

 プレイングは8/20(木)8:31から8月22(土)午前中くらいまでにお寄せください。期間外のプレイングは流れる可能性があります。
 また、諸般の事情で再送をお願いする場合もありますのでご了承くださいませ。
 グループでご参加の場合は、グループ名等を冒頭にお願いします。
 未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反する行為、また「これはダメだろう」と独断で判断したプレイングはマスタリングもしくは流させていただきます。

 お声掛けがあれば、リオンが皆様のお手伝いに伺います。無ければバーベキューの準備したり曙光丸で打上花火の準備したりしています。
 それでは、良き夏のひとときを。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み』

POW   :    海で思いっきり遊ぶ

SPD   :    釣りや素潜りを楽しむ

WIZ   :    砂浜でセンスを発揮する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

薄荷・千夜子
【狼鷹】
どのような状態で現れるのか分かりませんが
BBQならお肉なのは分かります!
美味しそうな肉を狩ってきましょう、宗田君!

ご心配ありがとうございます
森育ちですし、狩りの場は慣れております
さぁ、彗も獲物を探してくださいな(相棒の鷹を呼び動物使い・情報収集)

軽やかな歌声(鳴声?)に軽快なステップ…えーと、狩っていいのですよね?多分
マントまではためかせておりますが…いえ、食べられる肉があれば汝は肉!!
行きます!

宗田君をフォローするように『明星藤簪』で捕縛を試みるものの
やたら俊敏ですね!?
どうせこの後焼くのです!!
一気に畳みかけましょう!
捌くのはお任せくださいな!
UC使用して燃やしつつ捌きます


紫崎・宗田
【狼鷹】ダイス赤6、青8

二つ名はよくわからんが
バーベキューつったらまずは肉だろ
つーわけで狩り行くぞ千夜子

★破殲を肩に担ぎつつ丘の方へ
あぁ、足元とか気を付けろよ
草は案外切れるからな
先に歩き振り向きもしないものの歩幅も合わせ

獲物の方から来てくれるたぁありがてぇな
さっさと片付け…片……ウルセェなこいつら
歌…?歌なのかこれは?
つーかマント…

とりあえず仕留めるため
一応自然に気を使って初めは接近戦を…(ひらり
挑んで…(くるり

千夜子、もうこいつら燃やしていいかウゼェ
炎の【属性攻撃】を纏わせた【薙ぎ払い】と
武器を振り回した際に発生する【衝撃破】で群れでもまとめて仕留める
力仕事はやってやるから、捌くのは任せたぜ



● 二つ名とはなんぞや
 パリピ島に初めて上陸した薄荷・千夜子(陽花・f17474)は、にぎやかな海岸を横目にしながら山を登り、神殿跡地前の広場にやってきた。
 荷物を置いてテーブルセット。持ち込んだ炭焼き台に炭をセットしたりタープを立てたり準備は万端。
「さて、後はお肉ですね!」
「そうだな! ここの産物は肉も野菜も旨いらしいぜ。二つ名持ちだが」
 狩りの支度を進める紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)の声に、千夜子は首を傾げた。この島に来ると決めた時からずっと気になっていたのだが、二つ名とは?
 グリモア猟兵がオブリビオンの予知をしない以上、命の危険は少ないだろう。だが危険に晒されるのは、何も命だけではないのだ。
「ところで、宗田君。二つ名って何ですか?」
「よくわからん」
「よくわからん、って……」
 きぱっと言った宗田は、立ち上がり伸びをすると破殲を担ぎ上げた。驚く千夜子に笑みを投げ、狩り入る森へと視線を送る。
「よく分からんが、俺とお前がいれば何が起きたって問題はねえよ!」
「……そうですね! 今から言っていても仕方がありません」
 宗田の信頼に、千夜子も笑みを浮かべて応える。そうだ。ここで言っていても仕方がない。何が出てきたって、宗田と一緒だったらどんな状況でも乗り越えられる。
「どのような状態で現れるのか分かりませんが、バーベキューならお肉なのは分かります! 美味しそうな肉を狩ってきましょう、宗田君!」
「おうよ! つーわけで狩り行くぞ千夜子!」
「はい!」
 頷いた千夜子は、森へ分け入る宗田について歩みを進める。
 分け入ってしばし。かなり以前から無人島だったパリピ島の森は険しく、かつて道だったであろう場所に辛うじて残る痕跡や獣道を辿りながら獲物を探して歩いて回る。
「っと……」
 探索開始してしばし。苔むした足元の石を踏み外しかけた千夜子は、慌ててバランスを取る。上げたのは小さな声だったが、宗田は振り返りもせず小さな声を上げた。
「あぁ、足元とか気を付けろよ。草は案外切れるからな」
「ご心配ありがとうございます。森育ちですし、狩りの場は慣れております」
 先に歩き振り向きもしないものの、歩幅も合わせてくれている宗田の心遣いに笑みを浮かべた千夜子は、鬱蒼とした森を見上げた。こういう場所では人間の目よりも、鳥の目の方がよく見える。千夜子は相棒の鷹を呼び出すと、腕に止まらせ頭を撫でた。
「さぁ、彗も獲物を探してくださいな」
 千夜子の声に応えるように一声鳴いた彗は、空へ飛び立ち上空を旋回する。探索を開始してしばし。彗はまた一声鳴くと地上へと降り立った。
「あそこになにかいるみたいです。行きましょう!」
「でかい獲物だといいな!」
 楽しそうに応えた宗田に、千夜子も頷いた。

● スーパーヒーロー・オン・ステージ!
 彗が降り立った地点へ向かった宗田は、きらびやかな光と華やかな音楽に思わず目を眇めた。森の中の一角は広く開かれ、半円形に盛られた土のステージ上には光を放つきらびやかな石が多く飾られ、一部の石からはサーチライトのような光まで放たれて木々を照らし出していた。
 デフォルメ化されたブロードウェイの町並みが描かれた木の書き割り。周囲を舞い飛ぶ迦陵頻伽もかくやという鳥たちが、長い尾羽根をなびかせながら飛び交っている。
 空を飛ぶ鳥たちのさえずりに、鶏のくちばしパーカッション。ひよこたちが愛らしいラインダンスを披露すれば、孔雀が羽広げてなんか弦楽器になってる。鳩のあれはトランペット? 舞台の近くに降り立った彗が、巻き込まれそうになって慌てて千夜子の許へと戻ってきた。
 ミュージカルもかくやというにぎやかな鳥たちの舞台の中央に、一羽の鳥が現れた。背中に大きな羽根をいくつもつけたヅカのような二足歩行の鶏は、最高潮に達するさえずりをBGMに高らかに歌い上げた。
「グンユーカッキョー!」
「いやなんだよそれは! 大体お前は誰だよ!」
 思わずツッコミをいれてしまった宗田に、鶏はごきげんな歌声を上げた。
「ビルヲ セニシタ シャレタ ナニカーーワガナハ ビルシャナ!」
「「「「ビルシャナーーワワワワー!!!」」」」
「いやいいのかよそれ!?」
 くるりと振り返り律儀に自己紹介する二足歩行の鶏ーービルシャナに、周囲の鳥も口調を合わせる。闖入者にもめげずにBGMを奏で続ける鳥たちは、このビルシャナの信者にされているのかも知れない。
 ビルシャナを鶏肉にしてしまえばきっと元に戻るはず。でも一応、説得したほうがいいかな?
 一瞬の内に思考が脳裏をダンスしながら駆け抜けた宗田に、ビルシャナは羽織ったマントをばさあっ! っと払った。青地に黄色と赤で[S]の文字が見えたが、デザインデザイン。
「グンユーカッキョー! メガリスナーイ! リクノハケーン! ワレラー!」
「「「「「ワーレラー!」」」」」
「な、なんかよく分かんねえが。この島の覇権でも狙ってるのか!?」
「「「「「「ソノトーリー!!」」」」」
 宗田の問に踊りながら応えたビルシャナとゆかいな鳥仲間たちは、あっけにとられる宗田の目の前で華麗なる歌と踊りを繰り広げた。
 宗田の隣に立った千夜子も、目の前に繰り広げられるアレな光景に、困惑を隠せないようだ。洗脳されてはたまらないと急いで彗を避難させたまではいいが、次の一手が決めかねている。
「軽やかな歌声……鳴声? に軽快なステップ……。これが【歌と踊りが超得意なスーパーヒーロー】の……ビルシャナ? えーと、狩っていいのですよね?」
「あぁ、こいつが狙いの二つ名持ちだ」
 一通りの衝撃から立ち直った宗田は、両手を合わせると楽しそうに口の端を上げた。ビルシャナだかイエシャナだか知らないが、焼いてしまえば旨い肉。最初と何ら変わらない。
「獲物が(ビルシャナスゴイー)逃げねぇ(ビルシャナサイコー)なぁありがてぇな(ヤミニモマケズー)さっさと片付け……(ケモノニモマケズー)片……(シマヲヒキイルトップスタ)ウルセェなこいつさっきから!!」
 半ギレになった宗田は、もはや自然に近づいて接近戦、などという思考を捨てて破殲を手にビルシャナに斬りかかった。
 二つ名持ちとは言え、オブリビオンでもないビルシャナが宗田の攻撃を喰らえば一撃で仕留められる。必殺の一撃はしかし、ヒラリと躱された。踊りからの流れを全く変えずに避けたビルシャナは、空を舞う尾羽根飾りに距離を取った。着地し、ステップを踏むビルシャナの足元に、藤の枝花が迫った。
「マントまではためかせておりますが……いえ、食べられる肉があれば汝は肉!! 行きます!」
 鋭く放たれた千夜子の明星藤簪が、ビルシャナを捕らえようと伸びる。枝分かれしながらしなやかに迫る藤の花枝だったが、くるりくるりと身を翻して回避されてしまう。
「やたら俊敏ですね!?」
「カンキャク ブタイニ アガッチャダメー! センセー デバンデース!」
「「「「デバンデース!!」」」」
 一斉に囀るビルシャナと鳥信者の声に、太陽の光が遮られた。のそり、と姿を現したのは、巨大なビルシャナだった。船を飲み込むほど大きな戦場傭兵のビルシャナは、アーミーベストにアサルトウェポンという出で立ちで一歩前へ出た。
 ずずーん! と地を揺るがすような音を立てて進む戦場傭兵の姿に、ビルシャナが歓喜の声を上げた。
「コレデ カッタモ ドーゼン! センセー ヤッチャッテ……プチ」
「「あ」」
 戦場傭兵がもう一歩踏み出した足元には、ビルシャナの姿が。踏み潰されたビルシャナがぺたんこになって空を飛ぶが、とりあえず回収しておく。祭壇に供えれば、肉と内臓と羽毛に分けてくれるだろう。
 踏み潰されたビルシャナの姿に、洗脳が解けた他の鳥たちが一斉に飛び立つ。先生はゆらりと視線を落とすと、漆黒の巨大斧を構える宗田を見下ろしアサルトウェポンを構えた。
「千夜子、もうこいつ燃やしていいかウゼェ」
「奇遇ですね! 私も燃やしたかったところです! ……裂き乱れろ、花炎の刃」
 目の前に迫る先生の羽毛に、千夜子が詠唱を開始する。同時に千夜子の背後に現れた破魔の炎を纏った燎花炎刀が87本、空中に浮かぶ。美しい炎を帯びた仕込み刀が巨大な戦場傭兵へと突き刺さると、アサルトウェポンから放たれる銃弾が千夜子を追いかけた。
「どうせこの後焼くのです!! 一気に畳みかけましょう!」
「おおりゃあ! 力仕事はやってやるから、捌くのは任せたぜ!」
 千夜子に気を取られた隙を突いた宗田は、手にした巨大な戦斧を振り下ろす。衝撃波と共に放たれた一撃は、船を飲み込むほど大きな戦場傭兵を真っ二つに切り裂いた。

● グラスと花火とビルシャナと
 夕暮れ時。
 ビルシャナの解体を終えた宗田と千夜子は、別班と掛け合って鶏肉の代わりに猪肉と野菜と果物を手に入れた。肉だけのバーベキューも飽きてしまうから、お互いWin-Winというものだ。
 鶏肉と猪肉と野菜のバーベキューの支度を終えた千夜子は、クーラーボックスの中からドリンクのボトルを取り出した。
「な、なんだか疲れましたね」
 苦笑いする千夜子がドリンクを注いで、宗田に渡す。冷たいグラスを受け取った宗田は、代わりにほどよく焼けたビルシャナステーキを千夜子に差し出した。
「まったくだ。だがまあ……。歌と踊りは見事だったよな」
「そうですね。それだけは認めます」
 笑いあった二人は、打ち上がる花火を見上げる。満天の夜空に咲く花火を見上げた二人は、どちらからともなくグラスを掲げた。
「「乾杯!」」
 打ち鳴らされるグラスが、涼しげな音を立てる。
 二人の様子を、美しい花火が見下ろしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【梓(f25851)と】
◎二つ名やアドリブお任せ

いやぁ前回の素潜り体験は面白かったよねぇ
今度は山で漁師ならぬ猟師体験が出来るんだね
俺、一度イノシシ肉食べてみたかったんだぁ
大物が捕れるといいな
ナイフをくるくる回してやる気満々

梓と別行動で食材集め
さーてイキの良いお肉はどこかなー
スキップで山を探索していたらお出まし
モンスターのように大きくて闘志満々のイノシシが

可愛い兎とかを狩るのは気が引けるんだけど
こいつは狩りがいがありそうだね
山の木々をバリケード代わりにしつつ
UCによるナイフで木を透過させてイノシシを仕留める

神殿で肉を解体してもらって
梓と合流したら楽しいBBQタイム
ひと仕事終えた後のお肉は最高だね


乱獅子・梓
【綾(f02235)と】
◎二つ名やアドリブお任せ

またこの島に来ることになろうとは…!
前回は海でかなりアレな目にあったが今度は山なのか
無人島のはずなのに畑や果樹園があるとか
しかも二つ名持ちとか
行く前からツッコミ所が多いんだが
…綾はノリノリだな

綾が動物狩り担当、俺は野菜集め担当
BBQは肉も野菜もあった方がいいだろう
少し歩くと早速謎の畑発見
いったい誰が耕しているんだ…
と思いつつ収穫しようとしたら
野菜が 突然 襲いかかってきた
二つ名持ちという時点でそんな予感はしてた!
UC発動、この野菜達を大人しくさせろ!
あとで食べる予定だから
ブレスで炭にしないようにな!

何やかんやでBBQ開始
味は普通に美味いじゃないか



● 肉も野菜も欲しければ
 パリピ山の神殿跡地に立った灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、眼下に広がる青い海の美しさに目を細めた。
 陽光を受けて輝く波はおだやかで、水平線までまあるく続く。吹く風もおだやか。争いの気配もない。世は全てこともなし。
 平和に猟の支度をする綾梓の隣で、同じ光景に目を細めた乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は拳をぎゅっと握りしめた。
「またこの島に来ることになろうとは……!」
「いやぁ前回の素潜り体験は面白かったよねぇ」
 しみじみ思い出すカオスな漁に、綾はしみじみと腕を組む。
 確かに先日ここに来た時は、何故かギョロ目の深海魚ーーパリピウオのロイヤルウェディングとそれにまつわる陰謀に巻き込まれた気がする。あのパリピウオは今頃どこで何をしているのか、ここからではわからない。だが凪いだ海に飛ぶ魚影はなく、曙光丸がのんびり停泊している光景は平和そのもので。
「今度は山で漁師ならぬ猟師体験が出来るんだね。俺、一度イノシシ肉食べてみたかったんだぁ」
「俺は前回は海でかなりアレな目にあったからな。今度は山だが、平和に終えたいもんだぜ」
 ワクワクが止まらない! という綾の隣で、梓が天を仰ぐ。何だかんだ言いながらもこれから始まるパリピな宴に少しだけ楽しそうに笑う梓に、綾は拳を差し出した。
「じゃ、野菜の方は頼んだよ」
「頼まれた。でかい肉を期待してるぜ!」
 出される拳に拳が重なる。互いに健闘を祈りあった綾は、パリピの森へと分け入った。 
● ダークマターに潜む獣
 山へと分け入った綾は、スキップの勢いで山の中を分け入った。何せパリピ島の生物はどれもこれも旨いのだ。海の幸は前回堪能したのだから、今回は山の幸を心ゆくまでというのは心理としては当然のことで。
「さーてイキの良いお肉はどこかなー」
 大物を期待して、ナイフをくるくる回す。道なき道を進んでいた綾は、ふいに陰る視界にサングラスの奥を妖しく光らせた。
 突然のダークゾーン。失われる視界は振り返っても光は見えず。異世界に連れ込まれたかのようなくぐもる闇には覚えがあった。
「へえ。これってダークマター? 海にいた奴に続いて二回目か。縁があるねぇ」
 くつくつと笑みを浮かべた綾は、すうっと目を開くと闇の奥を見た。くぐもる闇の向こうに、何かがいる。
 綾の視線を受け止めるかのように、二つの光が闇の中に輝いた。凶暴な光を湛えた赤い光が、殺意をもって綾を射抜く。姿を見せない闇のモノに、自然と全身の血が沸き立ってくる。
 ダークマターは攻撃を無効化する。地上のこいつも同じ能力を持っているのなら、相当危険な相手だ。前回は梓がいたが、今回は一人。猟兵がどんなに強くても、相性によっては大番狂わせもあり得るのが戦闘というものだ。
「だから、楽しいんだけどね!」
 闇に浮かぶ眉間に向けて、綾はJackを放った。狙い違わず命中したナイフはしかし、闇に呑まれるように消える。綾の投擲に攻撃の意思を感じた双眸は、獣の嘶き声と同時に綾に迫った。
 気配を読んだ綾が、間一髪回避。夏用コートの裾に感じる獣の気配が綾の脇を通過し、こちらに向けて鼻息荒く睨みつけてくる。
 闇に慣れてきた目が、その姿を映す。それは、巨大なイノシシだった。背中に付けたマントが翻り、「スーパー ヒーロー」の文字と愉快なロゴが目に入る。
「ムゲンゾウショク ユルスマジ! スーパー ヒーローノリエキハ オレガマモル!」
「ふうん。お前、【謎が謎呼ぶダークマターを纏いしスーパーヒーロー】のイノシシか。スーパー違いなんじゃない?」
「ダマレ!」
 空気を震わせるほどの声で吠えた「スーパー(マーケット)ヒーロー」のスーパーヒーローが綾に向けて突進を仕掛ける。イノシシだけに攻撃は直線的で読みやすいが、闇を纏っていては攻撃が命中してもダメージにならない。
「可愛い兎とかを狩るのは気が引けるんだけど、こいつは狩りがいがありそうだね!」
 幾度目かの攻防が繰り返される。連続攻撃に体勢を崩し、避けられない攻撃が目の前に迫る。防御姿勢を取った綾は、ふいに破られる闇に目を細めた。
 闇を切り裂くようにして現れた梓は、金剛甲羅を籠代わりにして山のような野菜や果物を持っていた。緊迫する戦闘には構わず、楽しそうに手を振っている。
「おーい綾。イノシシ狩りか? 手こずってるなら手伝うぞ?」
 のんきな梓の声に、イノシシの気が一瞬逸れる。その隙を突いた綾は、背後に現れた木の後ろへと退避する。轟音を立てて木にぶつかったイノシシは、脇目も振らず梓へと突進した。
「ノウヒンカ! イツモオセワニナッテ……」
「隙ありだ!」
 ユーベルコードを発動させ、バリケードになった木を透過させる。放たれた無数のJackはイノシシの背中に突き刺さり、あっさりと仕留めたのだった。

● 世紀末覇者は略奪す
 時は少し遡る。
 綾と別行動を取った梓は、畑や果樹園があるエリアへと足を踏み入れた。この島はかなり昔から無人島となっていたはずだが、そもそも何故畑や果樹園があるのか。しかも皆二つ名持ちというのだから、この島の法則はよくわからない。
「行く前からツッコミ所が多いんだが」
 思わず独りごちながらツッコミを入れた梓は、畑の真ん中で作物を強奪する一匹の蟹の姿に目を丸くした。
 それは正しく蟹だった。脚から脚までの長さがおよそ3メートルはありそうな蟹は、逃げ惑う野菜たちをハサミで殴りつけてはパカッと開いた甲羅の中に放り込んでいる。カボチャや玉ねぎ、ピーマンやナスといった夏野菜達が、地面からぴょん! と飛び出すと蟹の襲来に逃げている。収穫なのか強奪なのか。ハサミをうまいこと使って野菜たちを甲羅の中に取り込んだ蟹は、思わず呆然とする梓の姿に背中の甲羅を閉じた。
 そこに現れたのは、正しく世紀末覇者と呼ぶにふさわしい漢の顔。中に収めた野菜たちがうまいこと顔を作っているのだろう。ご丁寧に大きなナスが二本、顔の横から猛牛の角のように生えていた。
 面長で眼力半端ない世紀末覇者は、梓の姿に爪を振り上げると威嚇の姿勢を取った。
「コノヤサイハ スーパーヒーローノモノ! オマエニハ ワタサン!」
「いや喋るのかよ!」
「モンドウムヨウ!」
「じゃあ喋るなよ!」
 ツッコミを入れる梓に、【金剛甲羅の世紀末覇者と呼ばれし戦場傭兵】は猛然と襲いかかってくる。咄嗟に鸞翔鳳集を輝かせた梓は、タイミングを合わせ甲羅を強かに殴りつけた。どんなに硬い甲羅でも撃ち抜く必殺の右はしかし、まるでダイヤモンドの壁を殴りつけたかのように硬い。反動で骨の髄まで響く衝撃をやり過ごす梓に、金剛甲羅の世紀末覇者の右ハサミが迫った。
 横薙ぎに殴りつけてくる攻撃は重い。咄嗟に防御姿勢を取りダメージを最小限にするが、崩した体勢ではいなしきれない。敢えて横飛に吹き飛ばされて勢いを相殺した梓は、戦意も高く襲いかかってくる蟹の姿に好戦的な笑みを浮かべた。
「へえ。やるじゃん。物理攻撃無効化ってところか? ならやりようはいくらでもあるんだよ! 集え、そして思うが侭に舞え!」
 梓の詠唱と同時に現れたのは、炎属性のドラゴンだった。火のブレスを勢いよく吐くドラゴンに、梓は手を差し伸べる。
「ちょっとめんどくさいけどな、あいつに炎のブレスを頼む。中の野菜はあとで食べる予定だから、ブレスで炭にしたり蒸し焼きにし過ぎたりしないようにな!」
 頷いたドラゴンが、弱火のブレスを金剛甲羅の世紀末覇者へと吐く。物理攻撃無効化というチートな能力なだけに、それ以外の攻撃にはからっきし弱い。両側の角がほどよく焼きナスになった時、世紀末覇者はついに倒れた。
「まさか、蟹が陸上に適応してるとはね」
 肩を竦めた綾は、脚を落とすと中の野菜を確認する。食べきれないくらいたくさんの新鮮野菜達は金剛甲羅に守られて新鮮なままで、動くこともなく沈黙している。
「よし、丁度いいからこの甲羅を籠にして帰るか!」
 ひっくり返した金剛甲羅に山盛り野菜を乗せて、ついでに蟹脚も収穫。飛び回る野菜たちを捕まえて沈黙させて追加した梓は、戦闘の気配に顔を上げた。

● そして始まるバーベキュー
 神殿で巨大イノシシを解体してもらった綾は、特製のダークマタータレに猪肉を漬け込むと梓の話に頷いた。
「そうか。梓には俺がイノシシ相手に手こずってるように見えたのか」
「ああ。なんか絶妙に木とか避けるし、絶対外さないハズのJackをわざわざ頭の上に放つし」
「このイノシシのダークマターは、感覚を狂わせたのかもね。まあ何にせよ、楽しい戦いだったよ」
 楽しそうに鶏肉を串に刺す綾に、梓は野菜を刻んでいた手を止めた。他班の猟兵達とシェアしたから色とりどりなのはいいが、あの鶏肉は嘘か真かビルシャナの肉らしい。それはまあ置いといて。
「……なあ、綾。俺たち平和にバーベキューを楽しみに来ただけだよな?」
「そうだね」
「しかもここはパリピ島で、明るく楽しく賑やかカオスが持ち味だよな?」
「そのはずだね」
「俺たち、なんでこんな超真剣バトルを繰り広げたんだ?」
「それはもちろん。この島がパリピ島だからさ」
 分かるような分からないようなことを言う綾に、梓は思わず腹を抱えて笑う。そうだ。ここはカオスな島。日常でガチバトルを繰り広げるのもお約束の一つなのかも知れない。
「二つ名持ちという時点でそんな予感はしてた!」
 笑う梓に、綾も笑みを浮かべる。
 その時、花火が打ち上がった。色鮮やかな花火が曙光丸から打ち上がり、大輪の花が夜空に綺麗な彩りを与える。
 バーベキューチェアに座り、ドリンクを手にする。打ち上がる花火の光に照らされた綾が、グラスを視線の高さまで持ち上げた。
「ひと仕事終えた後のお肉は最高だね」
「パリピの恵みに感謝。ってね」
 グラスが打ち鳴らされた時、花火が上がる。焼き上がったイノシシの肉も新鮮野菜も、それはそれは絶品で。
「味は普通に美味いんだよなぁ」
「不思議だよね」
 笑いあった二人は、花火とバーベキューを心ゆくまで楽しんだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

藤崎・美雪
アドリブ他者絡みカオス大歓迎
お好きに使っちゃってくださいませ
※二つ名は完全にお任せ

ああ、もうこれは鋼鉄製ハリセン持参で行くしかあるまい
ツッコミ属性が疼くだろうがこんなの!!

完全な支援回復役にハントは無理なので
私は謎の畑から野菜を収穫していよう
BBQならニンジンやジャガイモ、とうもろこしあたりは定番だな
…リオンさん、ゴーレムさんに手伝わせたら収穫作業がはかどらないか?

もちろん、収穫した野菜は切りそろえて焼いて美味しくいただく
もふもふさん、調理の手伝いよろしく(指定UC発動)

…毎度思うが
二つ名が謎過ぎるのに味が絶品なのは解せぬ

ゆべこ花火は、皆でたーまやーと
…皆、早着替えだけは警戒しとけ(遠い目)


榎木・葵桜
エリシャさん(f03249)と

パリピ島、山もあるんだ?!

神殿にお供えものしてお願いしたら叶うかな?
私、まだチチガミ様からの加護もらってないんだけど
いつ叶うのって督促(お願いではない)かけてみよっかな

よっし、それじゃあ気合い入れて大地の恵みをゲットしちゃおー!
エリシャさん、私、果樹園行きたいなぁ
今回はデザート系でバカンスしたい気分!
桃とかマンゴーみたいなジューシーなヤツを…

あ、ね、エリシャさん、あれすっごいおっきくておいしそうだよ
大きすぎて胸に入れてセクシー気分味わえないのが難点(?)だけど
普通にカットしたらおいしくいただけそうかな♪

あ、収穫物は、でっかい田中さんにお願いして運んでもらおう♪


エリシャ・パルティエル
葵桜ちゃん(f06218)と
水着の上にパーカーを羽織ったバカンススタイル

パリピ島はまだまだ奥が深いのね
お願いごと?
うーん葵桜ちゃんの魅力は他にもたくさんあると思うんだけど…
いろいろと気になる年頃なのね(そっと見守る)

今度は山の幸ね
果樹園いいわね
南国フルーツとか食べたい
パフェとか作っちゃう?
りんごもあるかな
りんご飴作ってみたいと思って
…なんかものすごく大きいのがあるわね…
でもきっと美味しいのよ
だってここはパリピ島だもの!
田中さんはいつも頼りになるわ

花火も楽しんでいきましょう
りんご飴食べながら鑑賞
リオンの花火だからおかしなことにならなきゃいいけど…

今年の夏も葵桜ちゃんと一緒に過ごせて嬉しいわ



● チチガミサマに願いを
「パリピ島、山もあるんだ?!」
 あるよ。
 木が生い茂る森の中央に神殿があってね、その周囲に集落跡があったのを覚えてるかな。そこのコンコンエリアで物資を出したのも、今となってはいい思い出だね。
 そんな声が聞こえて来たのか来ないのか。榎木・葵桜(桜舞・f06218)は神殿跡地に立つと、祀られていた神像に柏手を二回打った。
 祈る先は、辛うじて残されたパリピウオを模した神像。ギョロ目でギョロッと睨んでくるパリピウオの視線を真っ向見返した葵桜は、おもむろに言った。
「私、まだチチガミ様からの加護もらってないんだけど。いつ叶うの?」
「こらこら、それはお祈りじゃなくて督促だろう」
 パリピウオもかくやという勢いでカッと目を見開いて神像ににじり寄る葵桜に、藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)は苦笑いで裏拳ツッコミを入れた。
 チチガミサマというのは、以前一緒にパーティーを楽しんだ猟兵が信仰していた神様で、御加護を得ると胸が大きくなるという夢のような神様だった。
 美雪のツッコミに振り返った葵桜は、ほっぺたをぷう、とふくらませると自分の胸にそっと手を当てた。あれからチチガミサマのご加護を期待しながら色々やっているのだが、板チョコは板チョコで。
「でもさ。お祈りしてからもう3ヶ月だよ? そろそろご加護があったって罰は当たらないよ?」
「神様の怠慢に罰を当てるのは誰だ!? 更に上位の神様なのか? チチガミサマの上位神とはナニガミサマだ?」
「美雪さんも欲しくない? ご加護!」
「まあまあ美雪ちゃん落ち着いて」
 苦笑いでとりなしたエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)に、葵桜は眉毛をへの字にすると駆け寄った。
「エリシャさん! どうやったらエリシャさんみたいにチチガミサマのご加護を得られるの? 聖者にジョブチェンジすればいい?」
「チチガミサマのご加護って……」
 葵桜の視線に頬を赤らめたエリシャが、反射的にリゾートパーカーの前を合わせる。その様子に、美雪が少々納得がいかない様子で腕を組む。
「いや別に構わないが、聞き方が違うのは何故だ!?」
「お願い事をするのはいいんだけど。うーん葵桜ちゃんの魅力は他にもたくさんあると思うんだけどなあ……」
 微妙な話に転がりそうになるのを、エリシャがとりなす。その声にリスのように頬を膨らませた葵桜は、パリピウオを振り返り再び柏手2回。
「それはそれ。これはこれだもん! だからチチガミサマ、早くご加護頂戴よ!」
「……いろいろと気になるお年頃なのね」
「ていうか、パリピウオに祈ってもご利益あるのか?」
 美雪の大変ごもっとも過ぎるツッコミは葵桜に届くことはなく、三度目の柏手が神殿前に響いた。

● マンゴーはマンゴーでも普通は食べられないマンゴーってなーんだ?
 しっかりお祈りして気が済んだらしい葵桜が、二人を振り返り片手を振り上げた。
「よっし、それじゃあ気合い入れて大地の恵みをゲットしちゃおー!」
「「おー!!」」
 心から笑顔の葵桜に、つられて美雪も拳を上げる。女子が三人集まれば、スイーツは定番中の定番で。今回はバーベキューはお休みして、スイーツバイキングで夏を楽しむのだ。
「エリシャさん、私、果樹園行きたいなぁ」
「果樹園いいわね。南国フルーツとか食べたい。パフェとか作っちゃう?」
「パフェか。いいじゃないか。では私はベジタブルスイーツに挑戦するかな」
 美雪の提案に、二人は嬉しそうに頷いた。スイーツはフルーツやクリーム系だけじゃない。カボチャやコーンも立派なスイーツ素材の一つなのだ。
「ベジタブルスイーツ! ヘルシーで美味しいのよね! あとりんごもあるかな。りんご飴作ってみたいと思って」
「りんご飴か。花火もあるというし、夏の定番ではないか。……旬は冬だがな!」
 思わず拳をリンゴにした美雪がツッコミを入れるが、ここはパリピ島。旬という概念はそもそもあまりなさそうで。
「今回はデザート系でバカンスしたい気分! 桃とかマンゴーみたいなジューシーなヤツを……」
 言いながら果樹園に足を踏み入れた葵桜の足が止まる。同時に立ち止まった美雪は、いつの間にか陰った太陽に顔を上げた。
 果樹園と畑が隣同士になったエリアの中央には、5メートルはありそうな巨大なマンゴー……にフサフサのタテガミを生やして長い鼻と特徴的な手足が生えた謎のマンゴーがでん! と鎮座していた。それは正しく、UDCアースのUDCーPに似ていて……。
「【船を飲み込むほど大きなビーストマスター】のシャーマンズゴーストだぁ」
「シャーマンズゴースト……。マンゴーね。シャーマンだけに召喚も得意なのかしら」
「あ、そういうことを言うと……」
 美雪のツッコミも間に合わず。太陽を背にででーん! と佇んだ巨大マンゴーは両手を振り上げると大きな声で叫んだ。
「イデヨゾウショクベジフルビースト!」
 巨大マンゴーの声に応えるように、ふいに畑がボコリと盛り上がった。土の中から現れたのは、収穫済みのニンジンやジャガイモ、とうもろこし達。それぞれ足を生やして四足歩行できるようになった野菜たちに負けじと、果樹園もざわついた。
 ピョンピョン飛び出したのは、桃やリンゴ、オレンジといったフルーツ達。こちらは葉っぱを翼にして空を飛んでいる。空中戦好きだね。
 侵入者は撃退せよ! と言わんばかりに臨戦態勢を整えた野菜や果物を前に、美雪は空を見上げた。
「だから! 私は完全な支援回復役だ! ハントは無理だし大体これは日常! 日常って分かるか? 戦闘も危険なこともないってことだぞ!」
 ハリセンを振り回しながら抗議する美雪の隣で、葵桜が楽しそうな声を上げた。飛び回るスイカくらいの大きさの二つのメロンを指差しては、おおはしゃぎしている。
「あ、ね、エリシャさん、あれすっごいおっきくておいしそうだよ! 大きすぎて胸に入れてセクシー気分味わえないのが難点(?)だけど、普通にカットしたらおいしくいただけそうかな♪」
「……なんかものすごく大きいのがあるわね……。でもきっと美味しいのよ。だってここはパリピ島だもの!」
「いや二人とも、馴染み過ぎだろう!」
 笑顔で応じるエリシャに、美雪は思わず鋼鉄製ハリセンでツッコミを入れる。もちろん当てることはせず、空中に向けてだが。
 その動きを攻撃開始と受け止めたのか。一斉に襲いかかってくるベジフルビースト達の攻撃に、葵桜は詠唱を開始した。
「田中さん、おっきくなーれ!」
「田中さん、地上だけど漁をお願いね!」
 葵桜の詠唱に、巨大化した田中さんが現れる。葵桜の身長の2倍の田中さんに、エリシャがユーベルコードで作った投網を渡す。
 頷いて投網を受け取った田中さんが、ベジフルビースト達に網を投げる。狙い違わずベジフルビーストを網で抑え込む田中さんの投網術に思わず口笛を吹いた美雪は、飛びかかる気配に顔を上げた。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」
 九字切りの呪法を唱えながら勢いよく飛びかかってくるコーンをハリセンで叩き落とした美雪は、再び空を見上げるとどこぞの担当グリモア猟兵へ声を掛けた。
「リオンさん、ゴーレムさんに手伝わせたら収穫作業がはかどらないか?」
 えー? でも田中さんもいるし。おにーさんはグリモアの維持とナレーションに忙しい……。
「いいから出てこいグリモア猟兵! 今回はあくまでも日常! ならば何の支障もあるまい!」
「あたっ!」
 傍観を決め込もうとしていたリオンが、美雪の鋼鉄製ハリセンツッコミに頭を押さえながら現れる。自慢の麦わら帽子にバッテンマークのテープを貼ったリオンは、迫りくる野菜や果物に向けてゴーレムさんを放った。
「さあ! 捕まえちゃってね!」
 虫取り網状のゴーレムさんが、ベジフルビースト達を捕まえる。虫取りのノリと勢いで網に捕らえられた野菜や果物達は、ピタリと動きを止めると増殖を始めた。
「ソレイケムゲンゾウショク!」
「た、田中さん! あのマンゴーを真っ二つに割っちゃって!」
 胡蝶楽刀を手にした葵桜に、田中さんはエリシャに投網を返すと巨大化した薙刀を構える。
 網を破りそうな勢いで増殖していた野菜や果物達は、マンゴーが真っ二つになると同時に増殖を止めた。

● ここはスイーツパラダイス!
 山のような野菜や果物を収穫したエリシャは、他班の猟兵達との物々交換を終えると簡易キッチンへ戻り調理を開始した。
 無限増殖しかねない果物達は、マンゴーが消えると同時に手足が消えて普通の果物へと戻った。ちょっと食べてみると味見をする手が止まらなくなるくらい美味しくて。戦闘にも傷一つついていない桃もマンゴーも、大都市で売れば一つかなりの値がつくだろう。
 お肉や野菜も手に入れたが、これはまた明日バーベキューをしよう。何せ今日のテーマはスイーツパラダイス。ビルシャナの手羽先やもも肉、ダークマターに漬け込んだ猪肉に金剛甲羅の蟹脚は、明日の夜のお楽しみ。
 パフェやフルーツポンチ、アイスクリームなどを作っている傍らでは、葵桜が田中さんと一緒にピーチパイを作っている。かまどの火でじっくり蒸し焼きにしている姿は、戦闘中とはまた違った頼もしさで。
「田中さんはいつも頼りになるわ」
「こんなにいっぱいの野菜や果物を、全部運んでくれたもんね! さすがは田中さん!」
 笑顔で肘鉄グリグリする葵桜に、田中さんはできあがりとばかりにフライパンの蓋を取る。途端に香るバターと桃の甘い香りに、エリシャは歓声を上げた。
「美味しそう! 田中さん、料理もできるのね」
「まったくだ。何者の霊だ? 田中さんは」
 半ば呆れながらパンプキンパイやキャロットケーキをもふもふさんに運ばせた美雪が、お茶を淹れる。じゃがいもは口直しの甘くないパンケーキにして、とうもとこしは焼いて醤油で仕上げたから飽きずに食べられるだろう。
 支度が整い席についた3人は、いただきますと同時にスイーツ達に手を伸ばした。色とりどりのスイーツは、正しくスイーツパラダイス。
 田中さんの分を最初に取り分けた葵桜が彼の前に置くと、何かに気付いたように目を見開いた。
「そういえば、チチガミサマにお供えしてない!」
「だからあれはチチガミサマじゃないと……」
「神様にも賄賂は必要だよね! ちょっと行ってくる!」
 慌てたようにスイーツを持って神殿に駆け込む葵桜を見送った美雪は、パンプキンパイにフォークを入れた。あっさりとした甘さの中に濃厚なカボチャの味が滲み出していて、控えめに言って旨い。
「……毎度思うが。二つ名が謎過ぎるのに味が絶品なのは解せぬ」
「そうよね。見た目も行動もアレだけど、すっごく美味しいのよね」
 りんご飴を口に運んだエリシャが、溜め息とともに同意する。お供えし終えた葵桜が帰ってきた時、空に花火が打ち上がった。
 音はする。だが何も起こらない。首を傾げたエリシャは、ふと見る足元にダークマターが這い寄っているのに気付いて思わず足を上げた。
「きゃ! 何?」
「【見えない【指定の花火】を放ち、遠距離まで打ち上げることができるダークマター花火】が打ち上がったんだ! ダークマター花火を普通に打上げてもつまんないからね。後はおまかせしてそっちに打って足場にしちゃった! おにーさんも仲間に入れて!」
 ダークマターでできた道を通って、リオンが現れる。実際の足場は空飛ぶゴーレムさんだが、まるでダークマターの上を歩いているように見える。色々なツッコミが飛び交う中、普通の綺麗な花火が上がった。
 連続して放たれる美しい花火が、夜空を彩る。
「「「「たーまやー」」」」
 四人の歓声に応えるように、花火はひときわ美しく夜空に咲き誇った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月23日


挿絵イラスト