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迷宮災厄戦㉔〜次代へ継がせる詩などない

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #プリンセス・エメラルド

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 宝石だけでできた不思議の国。色とりどりの宝石が星々の如く煌めくその世界は、まさに宝石の海……いや、宇宙と呼ぶにふさわしいだろう。
 そしてのその中に一つ。他のどの宝石よりも美しく、そして禍々しく輝く翠玉が佇んでいた。
「亡き銀河皇帝よ、この『帝国継承規約』に則り、永遠に不変であるプリンセス・エメラルドが銀河帝国の全てを継承することを宣言します。これは簒奪ではありません。規約に則った正当なる継承です」
 翠玉の少女は宝石の宇宙に高らかと宣言する。それは独り言と呼ぶには余りにも美しく、まるで来るべき典礼の予行演習でも行っているかのようであった。
「ではこの世界での最後にして、次期皇帝としての最初の務めを果たすことにしましょう。猟兵を討ち、先帝の無念を晴らします!」
 声高な宣言。その最後につけられた『なんて、ふふふ……』という含み笑いは宝石の星海へ消えていった。


「皆々様、お集まりいただきありがとうござります」
 シャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)が深々と頭を下げる。
「皆様方のご活躍により、この度多数の猟書家への道が開け申した。皆様にはその中の一人、プリンセス・エメラルドの討伐に赴いていただきたく存じます」
 プリンセス・エメラルド。クリスタリアンの最長老であり、侵略蔵書『帝国継承規約』を持つ存在。彼女はこの規約に則って銀河帝国の新たな皇帝となり、やがては『オウガ・フォーミュラ』としてスペースシップワールドに君臨するつもりなのだ。
「プリンセス・エメラルドの能力は手に持つ侵略蔵書と、スペースシップワールド出身者としての力を主に使ってまいります。侵略蔵書『帝国継承規約』によって得た皇帝専用機に搭乗してきたり、己の母艦『プリンセス・エメラルド号』にて攻撃をかけてくるのが主な攻撃手段となります。またクリスタリアンとしての力を使い、自身と装備、さらには敵に被害を出し得るもの一つを透明にするということもできます」
 宇宙戦艦にロボット、戦場がアリスラビリンスであることを忘れそうな構成であるが、その力が冗談で済まないレベルであることは疑いないだろう。
「そして今までの強豪オブリビオンと同じく、彼女はこれらの技を必ず先制で放ってきます。これをどうにかして躱さぬことには戦うこともままならないでしょう」
 やはり、このあたりは強敵の例に漏れぬということだろう。まず敵の攻撃をどういなすか、そこから始まるということか。
「帝国は解体されたとはいえ未だ残党は多く残っております。そこに正当に帝位を継いだカリスマが現れれば、残党たちの一斉蜂起や帝国再編も有り得る話。それだけはさせてはなりませぬ。スペースシップワールドの安寧のためにもどうかプリンセス・エメラルドを討ってくだされ。何卒……何卒!」
 シャイニーがいつものずれた調子でもたまに出す真面目な姿勢でもなく、懇願するような態度を見せるのは故郷の危機ゆえか。
 そうして深々と腰を折るシャイニーに見送られ、猟兵たちは宝石の海へと向かうのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。
 今回は猟書家の一人プリンセス・エメラルドの討伐へ向かっていただきます。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する』

 大ボス戦の例に漏れず、彼女は猟兵の使用能力に対応したユーベルコードを『必ず』先制で放ってきます。これをどうにか対処することでプレイングボーナスとなります。技能やアイテムなど持てるものを駆使しうまくしのぎ切ってください。
 またこのシナリオは『やや難』となります。それ相応の判定を行いますので、先制攻撃後も気を抜かず戦ってください。
 それでは、敵を先帝と同じ場所へ送るプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『猟書家『プリンセス・エメラルド』』

POW   :    プリンセス・エメラルド号
自身の【サイキックエナジー】を代償に、【宇宙戦艦プリンセス・エメラルド号】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【エメラルド色の破壊光線を放つ多数の砲】で戦う。
SPD   :    侵略蔵書「帝国継承規約」
自身の身長の2倍の【皇帝乗騎(インペリアル・ヴィークル)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    クリスタライズ・オリジナル
自身と自身の装備、【敵に被害を与えうる、半径100m以内の】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリス・セカンドカラー
お任せプレ。お好きに。
汝が為したいように為すがよい。

ギャグ補正(継戦能力/限界突破/リミッター解除/結界術/化術)による耐久力&再生力で被害に耐え。被害を略奪し神罰でカウンター。透明化?このギャグ結界術空間内は私の第六感の内側よ。
ぺしゃんこのされたとこで『夜』に変異して不可思議迷宮を展開。如何に透明化しようとも空間自体が『夜』だから関係ない。言うなれば『夜』で捕食してるようなもの。ロリ化ナーフ(化術)神罰で力を略奪し、情熱の炎でじっくりと料理して快楽で蹂躙し、快楽エナジーを捕食するわ。


出口は夜空に浮かぶ紅い月



 プリンセス・エメラルドが立つ宝石だらけの国。その国に最初にやってきたのは、このアリスラビリンスに実に似つかわしい恰好をしたアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)だ。
 ここにやってくる者など敵しかいない。それを理解しているプリンセス・エメラルドは、アリスの姿を確認すると同時にすぐさま透明となって消え失せた。
 その消えたプリンセス・エメラルドをアリス様子もなく、かといって身を守る素振りも見せずアリスはただその場に佇んでいる。
 そして数秒の後、アリスの横っ面に見えざる強烈な一撃が叩き込まれ、アリスの顔が大きくたわんだ。比喩表現ではない。空気の抜けたボールか何かのように、文字通り『たわんだ』のだ。
 その勢いのままアリスは跳ね飛ばされ、辺りにある無数の巨大な宝石にこれまたボールの如く、何度もぶつかって跳ね回る。やがて何もない空間ににぶつかって跳ね返ってからようやく止まり、そのまま今跳ね返った虚空に向かって指さし声を上げた。
「危ないわねー、ギャグ空間でギャグ補正がなかったら死んでたわよ?」
 そう言うアリスの体は、空気が抜け切ったようにぺしゃんこだ。それこそまさにギャグマンガのように。
「ええ、本当に。殺すつもりで殴りましたのに。耐えるどころか反撃まで……ふふふ」
 その指の先からプリンセス・エメラルドの声が聞こえた。ギャグ空間とは第六感の及ぶ範囲、ギャグ補正とは肉体を魔術的に変質させ、耐久力と再生力を限界以上に引き上げる耐久魔法。ふざけた皮の一枚下には、反撃のための高度な防衛術が敷き詰められている……回避にこそ成功したが、仮面の下の冷静な戦術を見通されたことにアリスは内心僅かに歯ぎしりする。
 だが、まだもう一つ手はある。とっておきの『ギャグ』が。
「我が身は不可説不可説転もの数多の真なる『夜(デモン)』に変じる。『夜』が生み出すは我が精神を具象化せし欲望の迷宮なり……あら可愛い、ロリっ子になっちゃった♡」
 潰れたアリスの体が黒い液体のようになって崩れ、宝石の国に広がっていく。その黒が幾重にも折り重なり、通路を作り、部屋を生む。空にはここにはないはずの、高校と照る紅い月。【真なる『夜』の不可思議迷宮】が、プリンセス・エメラルドをその中へ取り込んだ。
 そしてそのプリンセス・エメラルドの体は、その名の通りの硬質なエメラルドの体のはずなのに、まるで幼い少女のようなものへと変じていた。
「ガラスのラビリンス……にしては悪趣味が過ぎますね。流石に壊せはしないでしょう、抜けさせていただきます」
 恐らく自身の変化も幻覚技の一種だろうと当たりをつけ、プリンセス・エメラルドは慌てることなく黒き世闇の中を歩きだす。その姿を見て、アリスは内心で笑みを浮かべた。
 歩くごとに暗闇がプリンセス・エメラルドの肌を撫で、体を弄ぶ。闇の触れるその感覚に気付いたとき、プリンセス・エメラルドは自分の体の変化が幻術のみではないと気づいた。その触れられるこそばゆい感覚から、命が確かに漏れ出していく。幻術にかぶせた吸精術、情熱の神罰が己の身を焼いていると気づいたプリンセス・エメラルドは急ぎ出口を探すが、いくら走れどそれは見つからない。
「く……どこに……!」
 プリンセス・エメラルドの口から焦る声音が漏れる。前を見て進み続けるその姿を、夜空に浮かぶ紅い月……『上』にあるたった一つの出口が嘲笑うように照らしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK!

今さら帝国なんかに出て来られては迷惑なんですよ。
宇宙では無く、骸の海へ還ってください!

皇帝乗騎の召喚は防げませんので、その攻撃に備えるとしましょう。
「ビット!アトラント!」
ソードビットと閃光の魔盾で2重の障壁を作り、乗騎の攻撃を受け流します。

何とか攻撃を凌いだら、空飛ぶ箒・貴紅に騎乗、高速で飛行して高所に移動、狙撃体勢を取ります。
正確な狙撃を行うため、ライフルビットを周囲に展開、そのセンサーと怪盗の単眼鏡を連動して、プリンセスの動きを計測。

「ターゲット・ロック…狙い撃つ!」
精霊石の銃を構え、フェイントのライフルビットの一斉射撃に紛れて【真紅の狙撃手】の光弾を三連射します!


ミア・ミュラー
ここには帰りたくても帰れない人がたくさん、いる。その人たちを犠牲にしておいて、自分に都合のいいこと、ばっかり。許さない、から……。

ん、大きくて強そうなロボット、ね。ならわたしは小回りを活かして、「ダッシュ」で敵の足元に張り付いて攻撃を避ける、よ。ロボットなら足元は見づらい、よね。「視力」で動きをよく見て、超能力での攻撃は触ると危なそうだから、杖で風を生み出して盾にする、ね。
隙ができたら離れてロボットの全体を見て、【プリンセス・バースト】であの人がいる場所を透視で見つけて、攻撃。ロボットを中から爆発させて、あの人とロボット、両方にダメージを与える、よ。みんなのために、あなたはここで、倒す……!



 宝石の煌めく不思議の国に集う猟兵。その思いは一つ。彼女をこの世界から出さないこと。
「今さら帝国なんかに出て来られては迷惑なんですよ。宇宙では無く、骸の海へ還ってください!」
 シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は決然とプリンセス・エメラルドに対して言い放った。銀河帝国は既に倒された過去の存在。今更お呼びではないと、シンは彼女の目的を強く否定する。
「ここには帰りたくても帰れない人がたくさん、いる。その人たちを犠牲にしておいて、自分に都合のいいこと、ばっかり。許さない、から……」
 ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)が思うのは、望まずしてここに連れてこられ、未だ元の世界へ帰れないアリス達の事だ。アリス達は今もアリスラビリンス中を命がけでさまよっている。中にはこの戦乱中に命を落とした者もいるだろう。
「それは違います。私はアリスに対し何かをしたわけではありません。救おうとも思いませんが……彼らは我が帝国の民ではありませんので」
 確かに猟書家たちが直接アリスに何かをしたわけではない。だが彼らがオウガ・オリジンを幽閉し、結果オウガ・オリジンは餌としてアリスを大量にこの世界へと召喚することになった。多くのアリスがここに迷い込む遠因を作ったのは、間違いなく彼ら猟書家なのだ。
 それをまるで考えないような言葉を言いながら、プリンセス・エメラルドは侵略蔵書「帝国継承規約」のページをめくる。するとそれに呼ばれるように、いかめしくも神々しい巨大なロボットが姿を現した。人型の様で、形を組み替えれば二輪車にも変われそうな形。それでいて随所に中世の鎧にも似たパーツのついた、強さと威容を備えた【皇帝乗騎(インペリアル・ヴィークル)】だ。
 プリンセス・エメラルドがその内部に乗り込むと、皇帝乗騎はうなりをあげて二人を攻撃にかかる。
「ん、大きくて強そうなロボット、ね」
 ミアはその姿を確かめると、素早くその足元に潜り込んみ、その動きを優れた視力で観察しながら走り回った。3メートルを超す巨体では自分の半分以下の大きさのミアをうまくとらえられず、その場で旋回を繰り返すばかりだ。
「そう、ならば……」
 中にいるプリンセス・エメラルド自身がサイキックエナジーを用い、周囲の宝石を弾丸のように飛ばす。ミアはそれも風の力で防ごうとするが、思念の力と宝石の質量が風を上回りそれは抑えきれない。
「ビット! アトラント!」
 だがそれは、まさに防ぐことに特化したシンのビームシールド『閃光の魔盾<アトラント>』が食い止める。いかにプリンセス・エメラルドの思念力が優れるとはいえ、弾丸にしたのはその辺りに転がっている単なる宝石だ。守るために作り上げられた道具であるアトラントを、歴戦の猟兵であるシンが操作すれば防ぐことなど容易い。
「さて、では反撃と行きましょう」
 守勢で先に動いたのはミア。次の攻撃では一転、シンが空飛ぶ箒『貴紅』に跨り高速で飛行した。さらに蒼い宝玉の嵌った『ライフルビット』を周囲に展開し、それに送られてくる情報を自身のモノクル『怪盗の単眼鏡』で分析する。
「ああ、皇帝に就任したのならばこのような戦いも増えることでしょう。演習にはちょうどいい」
 まさに宇宙で行うロボット戦のような戦いに、プリンセス・エメラルドは僅かに笑む。そのまま皇帝乗騎の腕を振り回してライフルビットをなぎ払い、狙撃と通信を妨害した。
「視えた、よ。どかーん」
 しかし次に聞こえたのは、遥か下方からのミアの声。そしてそれと同時に皇帝乗騎の中、プリンセス・エメラルドの眼前にて大爆発が起こり、彼女自身を傷つけた。
「何と!?」
 シンが飛び上がりあからさまな包囲を敷くなか、ミアは地に伏せ皇帝乗騎全体を視界に収め、透視能力でプリンセス・エメラルド自身を視認し【プリンセス・バースト】の的としたのだ。これは科学技術によらない『不思議な力』……プリンセス・エメラルドが利用し捨て去ろうとしたアリスラビリンスの力であった。
「崩れましたね……ターゲット・ロック……狙い撃つ!」
 そしてパイロットのダメージで機体全体が崩れたところに、ライフルビットの一斉射撃が浴びせかけられた。
「皇帝は……膝を突きません!」
プリンセス・エメラルドはすぐさま体勢をもどしその射撃を打ち払う。が、それに少し遅れ放たれるのが本命の射撃。
「貫け、真紅の衝撃!」
 【真紅の狙撃手】による三発の紅い光弾が、皇帝乗騎に直撃した。ユーベルコードが封じられ、掻き消えていく皇帝乗騎。静と動を入れ替えた二人の攻撃が、乗騎と搭乗者を圧したのだ。
「おのれ……!」
 中空から落ちたプリンセス・エメラルドは、即座に前言を翻し両膝をついて地に蹲るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
宝石の星海は神秘的だし
綺麗な翠だけど…
欲望でどす黒く汚れてるんだな
エメラルドを海へ還すぜ

先制
戦艦だし
小さい的を狙う為には作られてないよな

多数の砲があっても
一度にこっちを狙えるのは一部の筈

砲の角度から軌道を見切り
噴出する炎のバーニア機動で躱す
炎の壁で受け流しも

もし俺を倒そうと代償を増すなら好都合だ
それだけ敵の継戦能力が減弱するし
翠を紅蓮が喰らい力にさせてもらう

けど遠距離は敵が有利だ
エネルギー充填の隙に
爆炎を噴射で加速し
距離詰め死角へ

戦闘
爆炎噴射で跳躍
更に迦楼羅の炎の翼を顕現し加速
獄炎纏う焔摩天で装甲砕く

ぶっ刺した刃から獄炎解放
内部を煉獄に変えてやる
規約も灰に
紅蓮に抱かれて眠れ

事後
鎮魂曲奏でる


チトセ・シロガネ
皇帝にケンカした以来ネ。戦艦ぶった斬るのは……。
あの時とは一味違うボクをお見せするネ!

戦艦の破壊光線は少し厄介ネ。
空中浮遊で距離を詰める間は雷鼓ユニットを展開、念動力を込めたオーラ防御で艦砲を受け止めつつ、エネルギーを捕食して電力を確保。

戦艦への接近に成功したら、EZファントムのリミッター解除、UC【星砕乃型】を発動させ、全電力をプラズマの刃に変換、属性攻撃と鎧砕きで戦艦を圧し折ってやるネ。



 生身で敗れ、皇帝乗騎も破られたプリンセス・エメラルド。さらなる巨大な手を出さんとする彼女の前に、さらに猟兵が攻めかかる。
「宝石の星海は神秘的だし綺麗な翠だけど……欲望でどす黒く汚れてるんだな」
 このエメラルドが帰るべきは星の海ではなく骸の海だ、その決意と共に、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は愛剣『焔摩天』を構えプリンセス・エメラルドに立ち向かった。
「黒は宇宙を染める全能の色。お褒めに預かり光栄ですよ」
 あしらうようにそう言うと、プリンセス・エメラルドは号令を出すように語手を高く上げる。
「我がサイキックエナジーを動力に命令します。発進せよ、宇宙戦艦プリンセス・エメラルド号!」
 プリンセス・エメラルドの声に応えるように、彼女の後ろに巨大な宇宙戦艦が現れた。船と飛行機の特徴を併せ持った巨大な機体に無数の砲門を備え、横に大きく張り出した翼は己の、そして銀河帝国の威容を見るものに植え付けるほどの威圧感を誇る。
 だがその姿に委縮するどころか、高揚した笑顔を見せるのがチトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)だ。
「皇帝にケンカした以来ネ。戦艦ぶった斬るのは……あの時とは一味違うボクをお見せするネ!」
 かつて銀河帝国とやり合った時にも戦艦に挑んだ彼女。そこよりさらに研ぎ澄まされた技の冴えを見せんと、プリンセス・エメラルド号へと立ち向かう。
 そんな二人をなぎ払わんと、プリンセス・エメラルド号の砲塔から一斉にエメラルド色の破壊光線が放たれた。
 ウタはその砲塔の向きを油断なく注視する。破壊光線とはいえつまるところは光。それは発射された場所より一直線に来るはず。そう考えて自身を狙う砲塔の向きから移動を先読みし、そこから外れるように体を動かした。その瞬間、その動きを制するように一斉に放たれるエメラルド色の光。それを合図にしたかのように、ウタは自分の後ろに爆炎を発生させた。大きな爆発が起こり、ウタの体が前方に吹き飛ぶ。それはまるで小型の戦闘機がブーストをかけながら巨大戦艦の攻撃を躱す、SF映画のワンシーンの様でもあった。
 一方でその砲撃に正面から立ち向かうのはチトセ。円盤型ビット『雷鼓ユニット』を展開して威力を軽減しつつ、エメラルド色の光線をその身で受け止める。さらにオーラを纏って身を守りながらそのエネルギーを自身に電力として蓄えようとするが、軽減を術を重ねてなお戦艦の砲撃は強く、吸収しきれないエネルギーが体を容赦なく傷つけていく。
「戦艦の破壊光線は少し厄介ネ……」
 エメラルド色の光に白い体を焼かれてダメージがかさんでいくが、決して前に進むのだけは止めない。
 やがてエメラルドの第一射が終わった時。そこには全身を焦げ付かせながらも、確かに戦艦への接近を果たしたチトセの姿があった。
「生き残りましたか。では今一度、我がサイキックエナジーを糧に、放て、プリンセス……」
「させないネ」
 満身創痍ながらも砲塔までたどり着いたチトセが、流体の刀『EZファントム』のリミッターを外して振り上げる。そこに込めるのは、今しがたその砲から散々食らった破壊の力。
「一刀ッ! 両断ッ!」
 溜めた力を全てプラズマに変えた【星砕乃型】の一撃が、砲塔とその根元にある艦体を深く切り裂いた。砲は轟音を立てて落ち、プリンセス・エメラルド号自体も制御を失ったように大きく揺らぐ。
「まだ……砲は一本に非ず、あちらの者を!」
 プリンセス・エメラルドの指示の元、残った砲が距離のあるウタ目がけて放たれた。しかしウタも遠距離戦が不利なのは最初から承知の上。砲撃が止んだ一瞬のうちに、回避に使ったブースト移動で距離を詰めていた。そして十分に近づいたとき、噴射を下方に向け、戦艦の高さまで跳躍する。だがそれと同時に、翠の光線がウタを捕らえた。
「迦楼羅、翼を借りるぞ!」
 ウタの出す紅蓮の炎に黄金の炎が重なり、不死鳥のようになって翠の光の中を進んでいく。交戦はウタ自身を焼いていくが、それでも赤の壁と金の羽で翠を切り裂き、その剣をついに分厚い装甲へと突き立てた。
「煉獄に変えてやる……紅蓮に抱かれて眠れ」
 ここまで負ったダメージをもとに、ありったけの【ブレイズフレイム】を艦内に流し込むウタ。力の限り延焼させられたそれは、やがて艦の砲塔やチトセの切り裂いた亀裂から溢れ出した。
「ばかな……私のプリンセス・エメラルド号が……銀河帝国の栄光が……!」
 自身の名を関した艦を沈められる。帝を名乗る者にとってこれ以上の恥辱はないだろう。燃えながら落ちる巨大戦艦は、プリンセス・エメラルドを押し潰すように墜落した。
 相手は皇帝を名乗り、フォーミュラとならんとしている者。これで死んだわけではないだろう。だが少なからぬダメージを負わせ、その力を削いだのは間違いあるまい。
 精魂尽き果て座り込む二人。極度の疲れの中、ウタは彼女の明日に捧げられるべき詩はこちらだと、鎮魂歌を口ずさむのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
POW

エメラルドお姉様、なんて美しいお方……!
私達の楽園で永遠の愛を育みましょう♥

守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高め
【結界術・全力魔法】と【オーラ防御】の二段構え。
更に【激痛耐性・気合い】で破壊光線のダメージを極限まで抑える

爆煙が晴れないうちに
【呪詛・属性攻撃】の黒雷を圧縮した【槍投げ】で
戦艦を一時的に機能停止させ
エメラルドお姉様に【ダッシュ】
【残像】で包囲し【怪力】で組み伏せ
胸や局部を【慰め・生命力吸収】のキス。
密着状態なら戦艦が再起動しても攻撃できない

無傷? いいえ、死にかけました。
これが私の『永劫火生』
終焉を否定し、その度に強くなる不滅の愛炎。
さあ、永遠になりましょう♥



 地に落ちたプリンセス・エメラルド号が、ふわりと浮いて後方へ下がった。その下で、ドレスを直しながらプリンセス・エメラルドがゆっくり立ち上がる。全てが宝石でできている世界故かその体に土汚れなどはついていないが、その透き通る翠玉の肌にはいくつもの細かな傷がついていた。それだから、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)のこの言葉も、彼女には何かの皮肉か挑発としてしか受け取ることができなかった。
「エメラルドお姉様、なんて美しいお方……! 私達の楽園で永遠の愛を育みましょう♥」
 そう言われて、プリンセス・エメラルドはドゥルールに冷たい視線を向ける。
「皇帝に必要なのは愛ではありません。支配と繁栄、私が永遠に齎すべきはそれです。それに……この傷ついた姿が美しいと?」
 宝石の唇から放たれる硬質な言葉と共に、後ろに下がったプリンセス・エメラルド号が浮上する。主のサイキックエナジーを動力にするこの船は、粉々に大破するかプリンセス・エメラルド自身が息絶えない限り動けるのだろう。
 いくつか切り落とされてなお数多い砲がドゥルールに向き、そこにエメラルド色のエネルギーが蓄えられる。それを見て、ドゥルールはなおそこから動かなかった。
 そして放たれる、翠の奔流。それはドゥルールの体を容易く飲み込み、辺りを翠の光で染め上げた。
 その翠の世界の中、ドゥルールは己の体に守護霊を宿して力を高める。周囲には防御に全力を投じた魔力で結界を張り、その中でさらにオーラを纏うことで二段構えの防壁を張った。だがそれでも砲の射撃は強く、易々と守りを貫いてくる。体に届くダメージは、その身に備わった痛みへの耐性と気合……体力と精神力で強引に耐えるしかなかった。
「撃ち方やめ」
 しばらくの勝者が続いた後、プリンセス・エメラルドが静かに言う。その合図で光線が止んだ瞬間、僅かに白い煙が立ち上った。高温で焼かれた肉体が出した煙か……彼女がそう思った瞬間、その煙の中から漆黒の閃光が飛び出した。それはプリンセス・エメラルドの脇を抜け、戦艦へと突き刺さる。槍のように長かったそれは戦艦に着弾した瞬間吸い込まれるように消え、無数の黒雷となって機体全体へと広がっていった。それに侵されたかのようにプリンセス・エメラルド号は制御を失い、またも地に落ちる。
「な……!?」
 突然のことにプリンセス・エメラルドが思わず後ろを向いた、その瞬間。
「私は過去も未来も超越した、永遠の女神」
 その閃光が飛び出した場所から、今しがた焼き捨てられたはずのドゥルールの声が聞こえた。慌ててプリンセス・エメラルドがそちらに視線を戻すと、己の眼前まで一瞬にして駆け寄ってきたドゥルールと目が合った。プリンセス・エメラルドは即座に腕を突き出し迎撃しようとするが、その手が貫くのは彼女の残した残像。ドゥルールはプリンセス・エメラルドを残像で包囲するように、彼女の周囲を高速で駆け回っていた。
「早い……!」
 ならばとサイキックエナジーで周囲の宝石を浮かせ、纏めて全ての残像にぶつけようとする。だがそれが飛来した瞬間に、ドゥルールは絶対に宝石が飛んでこない体勢……すなわちプリンセス・エメラルドと密着するように飛びつき、そのまま彼女を押し倒した。
 細腕に合わぬ怪力でプリンセス・エメラルドを組み伏せながら、その透き通る唇に自らの唇を重ね、さらに美術品を愛でるように、ドレスの下の硬質な肌を愛撫する。兵器やサイキックに依存した戦い方を行うプリンセス・エメラルドは、密着状態での組み技を返す技法には疎く、ただ歯噛みしながらされるがままになっていた。
「あの光線を受けて無傷だなど……」
「無傷? いいえ、死にかけました。これが私の『永劫火生』。終焉を否定し、その度に強くなる不滅の愛炎」
 ドゥルールは光線を無傷で耐えたわけではない。むしろ逆、瀕死になるまで追い込まれたのだ。そして肉体を灰にして強化復活を遂げる【永劫火生】を発動した。瀕死がトリガーとはいえ、もちろん発動前に即死してしまっては意味がない。ユーベルコードを発動できるだけのギリギリを見極めたドゥルールの策は、今プリンセス・エメラルドへ捧ぐ愛として実を結んでいた。
「終焉を否定するのは不変たる私だけでいい。あなたにその資格はありません」
「私は銀河帝国なんか欲しくありません。私が欲しいのはオブリビオンの救済、そしてあなたの愛。さあ、永遠になりましょう♥」
 そうして傷ついたプリンセス・エメラルドの肌を優しく愛撫し、ドゥルールは彼女の今生の生命を啜りながら愛を伝えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘスティア・イクテュス
残念ながら次期皇帝としての最初で最後の務めになりそうね
ヘスティア・イクテュス。プリンセス・エメラルドを討たせてもらうわ


スモークミサイルによる視界の阻害【目潰し】
ダミーバルーンの放出【残像】
敵の攻撃の狙いを分散し、アベルで『情報収集』
熱源、音、その他諸々から敵の装備を分析し『見切る』


ティターニアによる『空中戦』&【ダッシュ】
得た情報を元に接近しマイクロミサイルの『一斉発射』!【爆撃】


知ってるかしら?エメラルドって衝撃に弱いのよ…?
その野望ごと砕け散りなさい


メイスン・ドットハック
【WIZ】
アメジストの方がエメラルドより優れておる
それをこの戦いで証明してみせるからのー

先制対策
電脳魔術による自身のホログラム幻影を生み出し、ダメージ透明化の的を拡散させる
実体を含ませる為に、体内に電脳浮遊機雷も設置して、損傷があったら爆破するようにして攪乱する
自身はサーモグラフによる熱探知で、エメラルド・プリンセスの位置を把握し、100mの距離を測り位置取り

先制後はUC発動で、周囲の宝石をレールガン化して包囲するような殲滅一斉射撃で熱探知しておいたエメラルド・プリンセスの場所へと放つ
それを凌ぐようなら予め集めておいたエメラルドの宝石を電磁砲する

エメラルドの宝石と共に果てるなら本望じゃろー?


アイン・セラフィナイト
苦しい思いをして勝ち取った勝利、銀河皇帝の侵略に対してミディアさんがどれだけ頑張っていたのか……キミがそれを侵害する権利なんてない。

『境界術式』展開。透明にできるのは『1体』だけ。魔導書1つがなくなったところで、どうなることもないかな。
魔導書の束から唱えるのは、土属性の砂塵の嵐。『蹂躙・範囲攻撃』だ。視界を覆う砂礫の中、キミの透明な姿は逆に目立つよ。

UC発動、叡智ノ書に刻むのはたった一行だけで事足りる。『プリンセス・エメラルドは、不変の存在ではない』、それだけを追記するよ。
『境界術式』の属性を転換、鉱石は超高熱から急激に冷やされるのが弱点だ。
火と水の『属性攻撃』の魔弾を交互に連撃で撃ち放つ!



幾度かの激戦のあったこの宝石の世界。そこに今プリンセス・エメラルドの姿はない。だが、そこに集った猟兵たちはまるで眼前に強敵がいるかのように油断なく虚空を睨みつけていた。
「残念ながら次期皇帝としての最初で最後の務めになりそうね。ヘスティア・イクテュス。プリンセス・エメラルドを討たせてもらうわ」
 何も見えない場所に向かい、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)は決然と言った。それに続くのはアイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)。
「苦しい思いをして勝ち取った勝利、銀河皇帝の侵略に対してミディアさんがどれだけ頑張っていたのか……キミがそれを侵害する権利なんてない」
 彼もまた、銀河帝国の暴虐と、それと戦った人々を思い、プリンセス・エメラルドの皇帝就任を否定する。
 そしてその二人とは対照的に、気負った様子もなく言うのはメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)だ。
「アメジストの方がエメラルドより優れておる。それをこの戦いで証明してみせるからのー」
 アメジストのクリスタリアンであるメイスンは、同じクリスタリアンであるプリンセス・エメラルドにどちらの体の宝石がより優れているかの勝負を挑む……という方便で戦場に臨んでいた。それが本心からかどうかは彼女にしか分からないが、少なくとも戦闘に臨む姿勢に手抜きはない。
 そう、間違いなくここにプリンセス・エメラルドは存在していた。クリスタリアンの基本能力である【クリスタライズ】、その源流である【クリスタライズ・オリジナル】を持って、猟兵たちの視界から完全に消え失せた状態で、彼女は今この場に存在しているのだ。
「さあ、どこにいるのかしら?」
「『境界術式』展開!」
 ヘスティアとアインが、周囲にそれぞれの用意した『対策』を展開する。ヘスティアの周りに広がるのはスモークミサイルによる煙幕と、僅かに触れただけで動く多数のダミーバルーンだ。煙幕は視界を妨げると同時に、色のついた煙が人型に穴が開けばそこに敵がいるという証左になる。ダミーバルーンも不自然に大きく動けばそれが敵の一を教えてくれる。
 対してアインが巻き起こすのは、土属性の砂塵の嵐。これもまた煙やバルーンと同じく人が通ればそこに穴が開く。さらに砂は敵にまとわりつき、その硬い粒が相手の肌を多少なりとも傷つけてくれる。地名のダメージには程遠くとも、出鼻をくじき敵の初手を乱すには十分だ。
 周囲に貼られた防護幕を目を凝らして見つめる猟兵の前で、いくつかのバルーンが左右に掻き分けられ、砂塵と煙幕に穴が開いた。
「来たな……ぐあっ!?」
 そこに意識をやった瞬間、突如としてアインが前のめりに倒れた。突然のことに二人がそちらに目をやると、アインの後頭部からは血が流れ、傍らには鋭くとがったエメラルドの巨石が転がっていた。
「敵……そうか、そういう……」
 朦朧とする意識の中でアインが呟く。彼は【クリスタライズ・オリジナル】で消せるのは『敵が自分に被害を与えるため』の武器だと思い多数の魔導書を用意していたが、実際には消せるのは『自分の敵』に被害を与え得る存在……つまりプリンセス・エメラルドの武器なのだ。ただの巨大な宝石ではあるが、重い鉱石を強烈な念動力で意識の外から叩きつけられたのだ、その負傷は軽視できるものではない。
「ちょっと、大丈夫……」
 メイスンが心配するようにアインに駆け寄る。だがその瞬間、アインを打ち据えた宝石が再び消え、一瞬後にメイスンの横腹に大穴が開いた。
「ふふ、これで二人……」
 勝ち誇ったような声がいずこかから聞こえる。だがその声が終わらないうちに、メイスンの体が突如としてスパークし、そのまま爆発を起こした。
「見えた、そっちにいるよ!」
 そして別の場所から聞こえるメイスンの声。それに呼応するように多数のメイスン……彼女をかたどったホログラムが、一か所を取り巻くように出現した。
 メイスンが選んだのは、相手を探すのではなく攻撃を無駄撃ちさせ反撃と同時に囲みを作ること。念のためと電脳浮遊機雷入りのホログラムを先に向かわせたのが功を奏し、敵の位置を割り出すことに成功していた。
「そこね……大丈夫、彼女はちゃんとした武器は持ってないみたい!」
 位置を把握し、次にはヘスティアがAI端末『アベル』でその情報を収集する。一つの石を何度も使いまわし、自分は同時に攻めかかることはしない。その状況から、彼女は念動力と肉弾戦を同時に行えるほどの体力はなく、ユーベルコードに依存しない戦闘力も、あくまで猟書家の中では、という但し書きはつくものの低いと分析できた。
 そして血を流し倒れるアインも、力を振り絞って魔導書を開く。
「記そう、キミの総てを。そして……否定しよう、キミの総てを。否定するのはたった一つ。『プリンセス・エメラルドは、不変の存在ではない!』」
 相手の情報を書き換えるユーベルコード【全智ノ書『汝ノ名ヲ此処ニ記ス』】。これそのものがユーベルコードであるが故、いついかなる時も全てを変えられるとは限らない。だが隠密に力を注ぎ、打たれることを想定していなかったプリンセス・エメラルドには十二分に刺さる。今この瞬間、プリンセス・エメラルドは確かに不変の存在ではなくなった。
「凍って、燃えろ……!」
 そのまま撒いていた砂塵の属性を変更、火と水を交互にプリンセス・エメラルドに降りかからせ、鉱物の最大の弱点である『温度差』を全身に浴びせかけた。最早『不変』ではないプリンセス・エメラルドの体は、それによって脆く変じていく。
「知ってるかしら? エメラルドって衝撃に弱いのよ……? その野望ごと砕け散りなさい」
 そこに空中から躍りかかり、【ミサイルパーティー】のミサイルを一斉に発射するヘスティア。炎と爆発のパーティがプリンセス・エメラルドに降り注ぐ。相手は依然として透明だが、おおよその位置が分かっているのだからそこを爆撃すればいい。元よりミサイルは400発以上あるのだ、全てを当てる必要などない。
 ミサイルの多くは地につかないうちに空中で爆発。その爆炎が収まった所で、ようやく透明化を解いたプリンセス・エメラルドが姿を現した。
「お、おの、れ……」
 口惜し気に言うプリンセス・エメラルド。だがその動きは怪しく、今にも崩れ落ちそうだ。ヘスティアの言った通り、脆くなった体に強烈な衝撃を何度も食らい、砕けそうになっているのだろう。
「さ、それじゃ最後だ。宇宙の長老様に解説するのは釈迦に説法とかいうやつなので省略するが、要するに、電磁力はすごいってことじゃのー」
 メイスンが【フレミングの左手の法則】を発動、周囲の宝石をレールガンへと変えた。425本のレールガンから、一斉に弾丸が放たれる。
「甘く、見るなっ!」
 両手を広げるように構えて念動力を発揮し、その一斉射撃を食い止めるプリンセス・エメラルド。ここまで傷ついてこの力を出せるのは、彼女の実力の高さ故だろう。それを見てメイスンは手近に出現させたレールガンの一つを取り、再度弾を装填する。撃ちだすのは、仲間の頭を打ち、自身のホログラムを破壊したあのエメラルド。
「エメラルドの宝石と共に果てるなら本望じゃろー?」
 その言葉と共に打ち出されたエメラルドの弾丸が、プリンセス・エメラルドを大きく吹き飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

雪・兼光
◇SPD

へぇー。アリスラビリンスなのに此処だけスペースシップワールドのつもりかい?
まぁいいぜ、ここでアンタを止めさせてもらう!
戦闘の準備はいいか!プリンセス!

◇相手の先制UC
第六感、見切りを併用して可能な限り回避をする
回避不能は旅行鞄を盾受けで利用、また相手は大型バイクらしいので
タイヤの部位破壊、誘導弾、近づいて来たら零距離射撃も使って足止めも試す

こっちもUCを使って騎乗後、運転を利用してロングボウで範囲攻撃、スナイパー、2回攻撃、乱れ撃ちで攻撃、零距離になったらUCを解除して零距離射撃、2回攻撃、乱れ撃ちした後、UCでドリフト体当たり


テリブル・カトラリー
この世界は、超常能力を持つ者で溢れている。

武器改造、装甲車に大型ブースターを増設、吹き飛ばし。
装甲車を操縦し、ダッシュで光線を回避。

スナイパー、敵艦に向けて砲撃。大砲を狙い部位破壊
砲数を減らせば、その分戦いやすくなる。
継戦能力と戦闘知識から敵砲の射線を見切り、時間稼ぎ

永遠に不変でいられる者など、いるものか。
戦艦の対処で近付けないと思わせ、『雷々爆弾』AI操縦で動かしていたリモコン爆弾を猟書家の元まで追跡させ、起爆、電撃属性攻撃
ユーベルコードを封じ、戦艦を一時停止させる

地形の利用。早業で装甲車から高めの建造物等にブースターでジャンプし、スナイパーライフルで狙撃。障害物を打ち貫く鎧無視攻撃を放つ。


トリテレイア・ゼロナイン
機械飛竜ロシナンテⅢに●騎乗し空から接近

頭上からのご無礼をお許しください
クリスタリアンの貴人と相まみえる機会、騎士として光栄です
ですが人々の安寧の為、その野望阻ませていただきます

機械飛竜による●空中戦で砲を躱し竜の口部単装砲の●スナイパー射撃で敵艦の砲を破壊し攻撃を対処
頭部、肩部の格納銃器の●なぎ払い掃射でプリンセスを狙い、戦艦の陰に隠れるよう誘導

良い位置です
…運命の歯車が違えば姫様とお呼びすることもあったのでしょうか

飛竜を●ハッキングし出力●限界突破
戦艦の直上へと急速上昇
急降下と同時にUC発動
対空砲火をバリアで●盾受けしつつ戦艦を●怪力で●串刺し
地面へ向けて「後退」させプリンセスを押し潰し



 戦いの中、プリンセス・エメラルドはその体に多くの傷を負っていた。本来皇帝とは軍の最も奥に控え、堅牢に守られなければならないもの。そう、己は生身で戦ってはいけなかったのだ。その考えにいたり、プリンセス・エメラルドは改めて侵略蔵書「帝国継承規約」を開く。
「銀河帝国皇帝の名において、改めて命じます。プリンセス・エメラルド号発進せよ。私も皇帝乗騎にて出ます」
 その声に応えるかのように、既に満身創痍とも言える状態ながら空へと浮き上がるプリンセス・エメラルド号。そしてそのカタパルト部分には、荘厳な装飾のついた超巨大バイク……皇帝乗騎が据え付けられていた。
 まるでロボットアニメにでも出てくるかのような光景を、猟兵たちはそれぞれの思いで見る。
「この世界は、超常能力を持つ者で溢れている」
 シンプルに、そして的確に表するのはテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)。彼女は帝国に作られ、帝国の為に戦うことを義務付けられたウォーマシンであった。だが、今彼女は皇帝を阻むものとしてここに立っている。それはきっと、超常能力を持つ者たちと関わって作られた運命の結果なのだろう。
「へぇー。アリスラビリンスなのに此処だけスペースシップワールドのつもりかい? まぁいいぜ、ここでアンタを止めさせてもらう! 戦闘の準備はいいか! プリンセス!」
 力強く啖呵を切るのは雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)だ。UDCアース出身でこそあるが、質量無視の変形さえやってのける超兵器であるブラスターを持つ彼にとって、スペースシップワールドの技術は何処か馴染みやすいものがある。このアリスラビリンスで広大な宇宙世界を一人気取る彼女は、彼にとっては頭の痛くなりそうな不思議の世界よりもよほど戦いやすそうにも見えた。
「頭上からのご無礼をお許しください。クリスタリアンの貴人と相まみえる機会、騎士として光栄です。ですが人々の安寧の為、その野望阻ませていただきます」
 プリンセス・エメラルド号よりも高く、機械飛竜『ロシナンテⅢ』に騎乗し、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が恭しく言う。彼もまた銀河帝国によって作られた、式典・要人警護用の機体だ。改まった場に出ることを想定された彼には初期設定として騎士道物語のデータが組み込まれており、いわば生まれながらの帝国騎士とも言える存在である。騎士として貴人に礼を尽くし、猟兵としてオブリビオンを討つ。二つの務めを、彼は堂々とプリンセス・エメラルドに宣言した。
「我が帝国の技術を持つ者たち……不埒なる反逆者に不遜なる略奪者よ。銀河帝国皇帝の名において、あなた達を処断します」
 皇帝乗騎の上でプリンセス・エメラルドがそう言うと、まるでその意に応え処刑を執行するかのように、プリンセス・エメラルド号の砲身がトリテレイアとテリブルを捕らえた。
 そして放たれるエメラルド色の光線。トリテレイアはロシナンテⅢを操り、その光線を縫うように回避。返す刀と言わんばかりに竜を模した後部からの射撃を砲へと見舞った。
 テリブルもまた、大型の狙撃中で砲に反撃を試みる。こちらは一度撃っては離れ、また撃っては退避と光線に追われるような動きで回避に手いっぱいなように見えるが、それでも自身への直撃は避け確実に反撃を当てていた。
「あなたは私が手ずから処しましょう」
 カタパルトから皇帝乗騎が撃ちだされ、即座にトップスピードとなって兼光に迫る。その上でプリンセス・エメラルドが手を振ると、周囲の宝石が飛び上がり礫となって兼光を襲った。
「言っとくけど、アンタの所からパクったわけじゃねぇぞ!」
 濡れ衣だ、と旅行鞄で礫を防ぎながら言い、兼光はバイクの足元、タイヤ目がけて誘導性のある弾丸を何発も放った。光線は次々とタイヤに命中するが、狙われることはある程度想定されているのか大きなダメージを受けた様子はない。それでも、兼光はギリギリを見切って攻撃を続け、少しずつでも皇帝乗騎の機動力を削がんとした。
 だがモンスターバイクのスピードは速い。生身で避け続けていた兼光が、ついにその進路上に捕らえられた。
「潰れなさい」
 涼やかな声と裏腹に、轟音を上げて襲い掛かる皇帝乗騎。だがそのタイヤが兼光に衝突せんとした瞬間、横からの連続射撃がその軌道を遮った。
「良い位置です」
 自身を向いていた砲を破壊しきったトリテレイアが、肩部に格納された銃器でプリンセス・エメラルドをなぎ払ったのだ。皇帝乗騎は一旦兼光を仕留めることを諦め、掃射から逃れるように移動する。その移動する先は、回避と応戦に手いっぱいと見えるテリブルの居場所だ。
「帝国の力からは逃れ得ぬと知りなさい」
 プリンセス・エメラルドがテリブル目がけてひき潰しをかける。だが、テリブルは砲から目を離し、まるで待っていたかのように彼女の方を向いた。
「永遠に不変でいられる者など、いるものか」
 強く、はっきりとした否定の言葉。その言葉を体現するかのように、プリンセス・エメラルドの足元で電撃を伴う多数の爆発が起こった。その電撃はプリンセス・エメラルドの全身を駆け巡り、ユーベルコードの力を一時的に封じる。テリブルは攻めあぐねて逃げ回っていたのではない。そう見せることで、プリンセス・エメラルドが自分を直接狙ってくる瞬間を待っていたのだ。
 力が封じられたことでプリンセス・エメラルド号、皇帝乗騎共に制御を失い、プリンセス・エメラルドが地面に放り出される。
「特等席に案内してやるぜ」
 追撃とばかりに兼光はブラスターをバイクへと変換、遠距離からはロングボウを広く乱れ撃ちしながら動きを封じつつ、距離が詰まるごとに速射力を上げ傷を増やしていく。至近距離まで来た瞬間バイクをブラスターに戻して密着し、そのまま乱射。さらにバイクから飛び降りた体が地につく寸前、再びブラスターをバイクに変え、そのまま再び相手側へと走りドリフトの体当たりでプリンセス・エメラルドを吹き飛ばした。宝石の大地の上、地面を削りながらプリンセス・エメラルドの緑の体が転げまわる。
「私に……皇帝に、土をつけるなど……!」
 怒りと共に立ち上がるプリンセス・エメラルド。だがその彼女を、トリテレイアが天高くから見下ろしていた。
「……運命の歯車が違えば姫様とお呼びすることもあったのでしょうか」
 銀河帝国の関係者と戦うたびに考えずにはいられないこと。彼女のような高貴な存在ならば特に。
 だがそれは考えても仕方ないこと。出力を最大まで上げたロシナンテⅢの突進力を乗せ、トリテレイアは艦へ急降下し【艦船強襲用超大型突撃機械槍】を叩きつけた。その勢いはすさまじく、巨躯を誇る戦艦が下へと隕石のように落とされていく。
 そしてその真下にいるのは、艦の主であるプリンセス・エメラルドだ。
「くっ……皇帝乗騎よ……」
 皇帝乗騎を呼び戻し、そこからの離脱を図るプリンセス・エメラルド。だがその動きは、大きな宝石の上へ飛び移ったテリブルのスコープに捕らえられていた。
「……」
 言葉なく冷徹に、装甲の合間を縫う弾丸がプリンセス・エメラルドを襲う。皇帝乗騎のエンジンを破壊し、生命力を共有するプリンセス・エメラルドの生命力もまたそこから流れ出していく。さらに動かせないとばかりに、タイヤを、ハンドルを、そして露になった翠玉の四肢を、次々と無慈悲な弾丸が撃ちぬいていった。
「私は、不変の、銀河帝国皇帝……!」
 最後まで皇帝であることを杖に立ちあがらんとするプリンセス・エメラルド。だが、その頭上にはすでに重すぎる幕が下りようとしていた。
「お別れです。クリスタリアン原初の姫よ」
「SF映画ごっこはお終いだぜ」
「帝国継承ならず……か」
 手向けには厳しすぎる言葉と共に、プリンセス・エメラルド号がその主の真上に落とされた。
 大爆発、業炎、轟音。それらが上がり、プリンセス・エメラルド号が燃え上がる。だがすぐに、その炎はまるで焚き付けをなくしたかのように引き、あっという間に消える。そしてその後にはプリンセス・エメラルド号や皇帝乗騎の残骸の一かけらさえも、残ってはいなかった。
「……やった、か」
「墓碑一つ残せぬとは心苦しいですが」
「あんなデカい墓あっても迷惑だろうよ」
 プリンセス・エメラルドが倒れ、そのサイキックエナジーを糧とするプリンセス・エメラルド号と、彼女の持つ侵略蔵書「帝国継承規約」も消えたのだろう。
 冷たく硬質な宝石の世界。ここに一つのエメラルドが砕け散ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月18日


挿絵イラスト