8
亡霊剣豪七番勝負

#サムライエンパイア #みなさわタイマンシリーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
#みなさわタイマンシリーズ


0




●亡霊
 彼らに名は無い。
 名前を残すほどの功績すら無いのだから。
 彼らに縁は無い。
 全ては剣に捧げたのだから。
 彼らは只の亡霊。
 妖術操るオブリビオンによって蘇った、只の剣鬼。
 彼らの名は亡霊剣豪。これより剣を振るいて死をもたらす。

●グリモアベース
「死から蘇った名も無き剣の鬼、その名は亡霊剣豪……こいつはライトニングだぜ!」
 雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)が拳を掌に打ち合わせて意気揚々と語る。
「俺が予知したのは妖術の使い手とそいつによって蘇った七人の剣豪。こいつが面倒で『タイマンで無いと死なない』! なので、こっちも最初は七人で行く!」
 少年が想定するのは猟兵とオブリビオンによる一対一の戦い。
「でも気を付けて、こいつらみんな俺達と同じぐらい強い」
 つまりは簡単に勝てる相手で無いと言うこと。
「その後の妖術使いとの戦闘になるけど、こいつに関しては縛りはないから、みんなで戦っていこう! 勿論、奴も強敵だ気をつけて、お兄ちゃん達」
 首魁である妖術使いに関しても念を入れる少年の顔は固い。
 「本当なら俺も行きたいけど、予知しちゃったから無理なんだ。だから、全てが終わったら俺に戦った話を聞かせてくれないか?」
 皆を見回せば少年は時計のスイッチを入れて。
「これから魍魎ウォッチ……じゃないグリモアを起動させるよ! みんな、ライトニングな勝利期待してる!」
 そんな少年の顔がフェードアウトし、今、君は荒野に立った。


みなさわ
 先 着 七 名 様 優 先 !
 どうもみなさわです。今回は一対一の剣での勝負を行い、そのあと妖術使いを倒していきます。

●第一章、亡霊剣豪七番勝負
 先着七名様優先となりますので御容赦下さい。
 尚、勝負の結果次第では援軍による番外戦の可能性もあるので戦いの行方を見守ってくださると有り難いです。

●第二章、亡霊剣豪七番勝負最終戦
 亡霊剣豪を召喚した妖術使いとの決戦です。人数の縛りは有りません。皆様で打倒いたしましょう。

●第三章、猟兵剣豪七番勝負
 もし、貴方の武勇を聞いて戦う者がいれば『猟兵剣豪七番勝負』が始まるでしょう。また、亡霊剣豪との戦いで思ったことを木刀にぶつけてみるのもいいかもしれませんし、そんな彼らを見てみるのも良いかと思います。雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)は呼べば間違いなく殴りかかってきます。お気をつけください。

 それでは亡霊剣豪と戦う七人の猟兵の参加を先ずお待ちしております。
148




第1章 集団戦 『落武者』

POW   :    無情なる無念
自身に【すでに倒された他の落武者達の怨念】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    欠落の決意
【武器や肉弾戦】による素早い一撃を放つ。また、【首や四肢が欠落する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    妄執の猛撃
【持っている武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●亡霊剣豪七番勝負、開幕
 荒野を歩く猿面の武者、その後ろに付き従うのは名も無き剣鬼、亡霊剣豪七つの刃。
 猿面が懐から何かを取り出し、背後の剣鬼へ放り投げれば亡霊はそれを受け取り、蓋を開く。
 小指で紅を取れば、自らの唇と頬に差し、傍らの剣鬼に投げ渡す。
 それは作法。
 死して土気色となった顔を晒すのは礼を欠く故の桜色。
 死して尚、桜色。

 猿面の武者が歩みを止めれば亡霊剣豪は横へと並ぶ。
 対面するのは七騎の猟兵。

 お互い負けられぬこの身なれど。
 相対、剣を持てば必死必生是運命。

 とざいとーざい。
 これよりはじまるは、亡霊剣豪七番勝負。
 いざ、いざいざいざ!
 いざ、開幕!!
戦場外院・晶
しずしずと、【忍び足】で進み出ます

「どなた様か、私の相手をよろしくお願い致します」

一番乗りでございます……先ずは名乗りましょう

「戦場外院・晶にございます。我流にて御免」

相手様の名乗りを持ちまして、開戦と参りましょう

いざ、いざいざ!
尋常に!勝負!

「死してなおも蘇り、戦いに身を浸す。……全く見上げた方でございます」

必勝を【祈り】駆け寄ります
【オーラ防御】を纏いますが、頼るつもりはなく……

「……そこです」

お相手様が刀を振るう刹那の手前、そこに踏み込み【手をつないで】みせましょう

「ようこそ、私の手の内へ……」

【怪力】と【グラップル 】で仕留めます……ええ、離しはしません

「……堪りませんわ」

うっとり



●亡霊剣豪七番勝負、一の掌
 弟子よ、鎧組み討ちにそこまで打ち込むのは何故だ?
 師よ、それはつかみ取る為でございます!
 何をだ?
 何かをです! 師よこのような不肖者をお許しください。私は戦場へと参ります。

 最初に歩み出たのは戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う・f09489)。
 音もなく歩くその所作は技術あっての物、故に剣鬼達は敬意を抱き、殺意を抱く。
「戦場外院・晶にございます。我流にて御免」
 異郷の信仰に奉じる証である僧服にて挨拶すれば、相対するのは掌の大きい亡霊。
「亡霊剣豪、剣ノ一。今はそれが我が名」
 剣ノ一と名乗った武者が鯉口を切れば、手に握るのは二尺三寸五分の打刀。
 白刃が日に照らされれば、それが戦いの合図であった。

 赤、亡霊剣豪、剣ノ一。
 白、猟兵聖者、戦場外院・晶。
 いざ尋常に――勝負!

「死してなおも蘇り、戦いに身を浸す……全く見上げた方でございます」
 尼僧が必勝の祈りを捧げ音もなく近寄れば。
 剣ノ一は怨念を纏った刃を横に寝せ腰を落とす。
 遮る木の無い荒野に風が吹く。
 腰を落としにじり寄る様に間合いを詰めていた剣鬼が、一足飛びの距離に入れば弾けたように走り、刀を疾らせ胴を薙ぐ!
「……そこです」
 刹那の間合い、晶が踏み込めば触れるのは剣を握った相手の手。
 奥義・不生の極意が無情無念の必殺剣を封じ込め、その手を掌握せんとすれば……。
 亡霊は笑みを浮かべ刀を捨て、無手となる。
「気を付けろ!」
 意図に気付いた猟兵が叫んだ。
「鎧組み討ちだ!」
 一瞬だった。剣ノ一が開いた掌で円を描けば、蛇が絡むように聖者の手首へと。
 動きに気付いた晶が手を上げて相手の掴む手を切れば、襟元を狙うようにもう片方の腕が伸びる。
 猟兵も後ろへ振り払うように組み手を切れば、今度はこちらが襟を狙う。亡霊はその腕に肘を落とし、脇で抱え込もうと試みれば、対する晶も肘を開いて絡みを止め、自らに伸ばされた手首を掴もうとする。
 お互いがお互いの手首を、襟を、手を、掌握せんとする。
 手を繋ぐという行為は本来、親愛を表す行為。なのに聖者と亡霊の間に交わされるのは生命を取るための鎧組み討ち
 それはおそらく勝利を掴むための掌。
 だが握った拳に乗るかもしれない綿毛すらも煽られて飛んでしまう。何もかも得られない戦が作る掌の歌でもあった。
 だが、歌も終わりが来る。
「ようこそ、私の手の内へ……」
 晶が握るのは剣ノ一の大きな掌。
 手首を返すように捻りあげれば、捻転が腕を通して首へと伝わり亡霊の動きが止まる。体軸が崩れたのを掌で感じ取った聖者はその手を極めたまま背後へと回り、襟元を掴んで背負って投げる。
 ――裏背負い投げ!
 組み討ちの大技に剣鬼は宙を舞い、頭から叩きつけられる。
 頸骨が折れ、脳漿の花が咲いた。
「……堪りませんわ」
 勝利の余韻に晶が陶酔するように呟けば足元の亡霊剣豪はただ笑みを浮かべ、骸と還った。

 師よつかみ取りましたぞ!
 空に聞こえるのは誰の声か……。

 ――勝負あり!
 白、戦場外院・晶の勝利。

成功 🔵​🔵​🔴​

石動・劒

斬り合いとあっちゃあこの俺をおいて他にねえだろ。
拙者、石動の劒。推して参る!

遠、中距離なら打ち合いだな。徒刃鳴を散らすぜ。
接近戦を挑まれたら第六感と戦闘知識を頼りに見切り、カウンターで2回攻撃。
怨念をまとい始めたら、残像を使ってスナイパーのように徒刃鳴で狙撃だ。

ああ、楽しいな。お前どうやったら死ぬんだよ。頸を飛ばして腕を曲げて脚を折ってもまだ死なねえ。楽しいなあ。

魑魅魍魎に成り果てようとも未だ尽きせぬその闘志、技の冴え。見事というしかねえな。
ああ、俺もくたばった後はお前らみてえになりたいもんだが。そればっかりは高望みってやつか
あるいはお前もそのクチかい?だったら最高の死合をしようじゃあねえか



●亡霊剣豪七番勝負、二の刃生
 おまえさん、そんなに剣を振るって、何になりたいの?
 決まってるだろ「  」だよ!

「斬り合いとあっちゃあ、この俺をおいて他にねえだろ!」
 尼僧と入れ替わる様に立つのは石動・劒(剣華上刀・f06408)。
 彼も又、剣の鬼。戦いの場において興奮を隠せない。もし亡霊剣豪と違いがあるとすれば、生者か死者か、猟兵か亡霊か、それくらい強者を望み、未知を知り、未知を斬ってきた。
 対する亡霊剣豪は鎧をまとわず、腰に二本差しただけの着物の若者。紅を差してもその顔は痩せ、目は餓狼の相。
 お互いが息を合わせたように刀を抜く。構えは正眼、切っ先は相手の喉元へ。
「亡霊の、名は何という?」
「亡霊剣豪、剣ノ二。つまらん名前と思うが元は名も無きただの男、勘弁願えないか?」
「構わねえさ! 剣ノ二の! 拙者、石動の劒。推して参る!」
「応!」

 赤、亡霊剣豪、剣ノ二。
 白、猟兵剣豪、石動・劒。
 いざ尋常に――勝負!

 立てば弓射、座れば居合、殺め続ける剣の鬼。
 立てば長柄、座れば居合、殺し続けた剣の鬼。
 正面から踏み込んで打ち込めば、拮抗せしは両者の剣。鍔迫り合いから石動が相手の腹を蹴れば、剣ノ二は足指で草鞋を掴み、大地に根を張り刺突一閃!
 感を信じて劒が身を捻れば、柄尻を顔面に叩きこみ袈裟に下す。
 狼のような咆哮が亡霊から吐き出されれば、身体をぶつけるような体当たり。
 刀を振り下ろそうとした猟兵の体勢が崩れたところで、一歩踏み込んで胴を薙ぐ。
「ああ、楽しいな。お前どうやったら死ぬんだよ」
 猟兵剣豪が切っ先を巻き上げるように軌道をずらせば、脳内に分泌されるアドレナリンに酔う様に乱打を繰り返す。首が、膝が、腕が、刃が皮を切り、威が骨を砕く。
「頸を折って腕を曲げて脚を砕いてもまだ死なねえ。楽しいなあ」
「ああ、そうだな!」
 歓喜に歓喜が返り、亡霊剣豪の左手が脇差に伸びる。
 逆手抜刀!
 切り上げる刃が臙脂色の陣羽織を切り裂き、肉を開く。構わんと石動が足元を紅で汚しつつ右腕一本で刀を振り上げれば、剣ノ二も右手に持った白刃を振り下ろす。
 肉が切れ、骨が断たれ、両者の左腕が転がった。
 腕を失ったことで身体のバランスが狂い、激しく転倒する両者。
「まだ死なねえ……」
「まだ……動く」
 歯を食いしばり、剣を杖に立ち上がる猟兵と亡霊、二人の剣豪。大地に足をつけた両者の距離は一刀では届かない間合い。
 失血で目元が暗くなりながらも劒が構える、晴眼。
「魑魅魍魎に成り果てようとも未だ尽きせぬその闘志、技の冴え。見事というしかねえな」
 称えられた亡霊も流れる血はなくとも、その目は疲労の色が見える。こちらも構えは晴眼。
 お互いが無意識に相手の眉間に切っ先を構えるのはこれから放つ技の距離を測る為。
「ああ、俺もくたばった後はお前らみてえになりたいもんだが。そればっかりは高望みってやつか」
「なってみるか? 亡霊剣豪に?」
 亡霊に問われ、猟兵が笑う。
「まだまだ、俺は知りたいことがある。もうちょっと待ってくれ」
「残念だ、意外に楽しいぞ」
 猟兵が固辞し、亡霊が笑った。
「そうかい、なら今だけは――最高の死合をしようじゃあねえか」
 石動の、剣ノ二の、刃が振り下ろされ、太刀筋を描く衝撃が走った!
 無念無情と徒刃鳴が交差し、そして……空に徒刃鳴が散った。
 衝撃を叩きこまれた石動・劒が倒れる中、剣ノ二はまだ構える。
 亡霊は劒の手から刀が離れるまで晴眼を解かなかった。

 ――勝負あり!
 赤、剣ノ二の勝利。
 

苦戦 🔵​🔴​🔴​

深山路・古月
さぞかしお強い剣豪とお見受けいたします
一つ、お相手をしてはいただけませんか?
ふふ、武者震いでぞくぞくしますね

○SPD
【妖剣解放】で妖刀の怨念を纏います
勝敗は速さと早さが分かつもの
すばしっこさでは負けませんよ

【破魔】のチカラも使い、斬撃と衝撃波を織り交ぜて攻撃
亡霊相手にフェイントがどこまで通用するかはわかりませんが
達人というのなら、その技の冴えで楽しませてくださいね?

首や四肢が欠落したら速さが増すって、それ反則でしょう!?
身体の均衡が崩れてしまいそうなものですが
相手の欠落の決意とやらには落ち着いて対処します
冷静に、動きを見極める
そんなちぐはぐな攻撃で、五体揃った相手に敵うとお思いですか?



●亡霊剣豪七番勝負、三の疾走

 そんなに速さを求めて何処へ行く?
 そうだな……剣の向こう側へ行きたい。だからもっと疾く、速く!

 深山路・古月(幽艶の藤狐・f03237)が戦場へ立つ。
 一勝一敗、実力の均衡を知れば表情の一つも固くなるものだが、そんな素振りは見せず。
「さぞかしお強い剣豪とお見受けいたします。一つ、お相手をしてはいただけませんか?」
 今、置かれている状況を楽しんでいる様。それに応えるように前に出るのは小太刀を二本差した、痩身の剣鬼。
「ふふ、武者震いでぞくぞくしますね」
「こちらもだ――亡霊剣豪、剣ノ三、いざ参らん」
 古月の言葉に亡霊が笑い、小太刀を両手に構えれば、古月も刀身が妖しく輝く一振りを抜く。

 赤、亡霊剣豪、剣ノ三。
 白、猟兵妖剣士、深山路・古月。
 いざ尋常に――勝負!

 ――空気が割れた。
 命数と引き換えに妖刀の怨念を解放し、その身に纏った古月が大地を縮めるかのような運足で刀を振り下ろせば、半身に構えた剣鬼も同じ速さで小太刀を振り上げ、白刃がぶつかり合う。
 速さ故、空気が裂かれ、音が鳴り、それは鍔迫り合いの金属音にかき消される。
 亡霊が足を交差することでスムーズに古月の側背を視界に捉えれば、妖剣士も跳ねるように間合いを開け、空を切り払う。
 斬撃が衝撃を発し、剣ノ三を襲えば、痩身の剣鬼は身をわずかに捻り、逆手に持った左手の小太刀を突き立てんと距離を詰める。
 咄嗟に古月が打ち落とせば、次に襲うのは亡霊の右の一振り。妖刀の怨念が筋肉が悲鳴を上げるギリギリの強度で妖剣士の身を軽く、速くすることでその一振りに空を斬らせる。

 勝敗は速さと早さが分かつもの。

 古月が信じるものを目の前の剣鬼も実践する。違いがあると言えば、妖刀一振りに対して小太刀二刀流故の連撃の速さ、勿論片手持ちゆえに一撃に重さは不足なれど、斬撃と衝撃を使い分ける妖剣士に追随するかそれ以上の動き。
 剣鬼の技の冴えを楽しみつつも心の中で冷たい汗が流れるのを妖剣士は誤魔化すことが出来なかった。
 二人の剣速は徐々に速くなり、斬撃は九つ全てから飛ぶ。
 やがて、古月は相手の速さの秘密に気付く。
「――親指」
 妖剣士の視線に入るのは亡霊の右手の握り。通常は握られている親指が柄に沿うように指が乗せられ、鍔を押している。
 祖母の言葉を思い出す。手を握り腕を動かしたとき、親指を立てると腕の動きが軽くなる事を、ナイフの持ち方にそのような使い方があることに。
 亡霊はそれの実践することで自らの剣速に自由度と速さをさらに積み重ねていたのだ。
 けれど、日本刀がその持ち方をしない理由も知っていた。
 妖剣士は一歩下がると、追撃の刃を振るおうとした相手の右の小太刀を打ち据える。衝撃に小太刀が暴れ、隙が出来る。
 親指を添える亡霊の握りは通常の日本刀の握りと比べれば、衝撃に対しての保持が弱く撃ち合いに向かない。故に左手に逆手の一刀を持つことで補っていた。だがそれも、続けて切り上げるように放った斬撃の衝撃波が左腕を吹き飛ばす事で封じる。
 片腕を失った亡霊が身体のバランスが取れなくなり激しく転倒する。
 勝負あったかと古月は思った。だが、前の戦いで片腕が落ちても戦いが続いたことも覚えてる。
 残心を忘れずに構えた時だった。
 空気が震え、刀に衝撃が走った。
「腕一本分、速さが増したって、それ反則でしょう!?」
 右手一本から繰り出される、亡霊剣豪の太刀筋に舌を巻く。
 欠落の決意。
 身体を犠牲にして速さを得る、亡霊の音速剣。
 後手に回りつつも、冷静に古月はその太刀筋を捌いて行く。
「そんなちぐはぐな攻撃で、五体揃った相手に敵うとお思いですか?」
 鍔迫り合いから相手を弾くと、一歩踏み込み上段から振り下ろす。
「――速さにちぐはぐも何もない」
 亡霊が呟いた。それは後ろから聞こえた。妖剣士の背部から熱が燃え、激痛が全身を走る。
 背部より刺したのは腎の臓、常人ならば必死の急所。
 実力は全く劣っていなかった、相手のユーベルコードも対処する心構えも持っていた、けれど……それ以上に相手が速さに貪欲だった。

――勝負あり!
 赤、剣ノ三の勝利。
 
 

苦戦 🔵​🔴​🔴​

花邨・八千代
さァてさて、死んだくせになお戦いてェたぁ中々の気概だ。
だが死んだんなら死んだままじゃなくちゃダメだろ、仏さんなら。

◆戦闘(POW)
南天に血を吸わせて【ブラッド・ガイスト】始動、大太刀に変化させる。
「恫喝」で気合いれつつ、「怪力」のままに全力で切り結ぶぜ。
返す刀で「2回攻撃」、「傷口をえぐる」。
相手の攻撃は「第六感」で避けつつ、最後の最期で「捨て身の一撃」だ。
満足するまで付き合ってやるよ。
欠落の決意は面倒だな、決める時は一撃でいくぞ。

刀に生きてたなら刀で死ぬのも本望だろ。
といってももう死んでんだけどなァ、アンタら。
死人の酔狂に付き合うのもまた一興かね。



●亡霊剣豪七番勝負、四の酔狂
 そこまで、剣に拘って死んだらどうするんだ?
 死んだら、地獄で剣を振るおうか?
 酔狂だな?
 ああ。酔狂だ。

 花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)が親指を噛めば、南天紋の描かれた印籠が血を啜り、赤の拵えを誂えた大太刀へと姿を変える。
「さァてさて、死んだくせになお戦いてェたぁ中々の気概だ」
 物干し竿を肩に担いで歩けば。
「次は俺だ! 一番強いのを出しやがれ!!」
 腹から出るのは半ば恫喝と気合のこもった呼びかけ。
「「俺が一番強い!!」」
 即座に答えを返す、亡霊剣豪の声が重なった。
 互いが互いを見る。そして刀に手をかけたところで猿面の武者はその手を抑え、大太刀の亡霊剣豪を指さす。
「悪い遅れた」
「さっさとやろうぜ。だが死んだんなら死んだままじゃなくちゃダメだろ、仏さんなら」
 亡霊が詫びれば、嗤って切り返す八千代に剣鬼は面を食らったような顔をして。
「亡霊なんだ、化けて出るに決まってるだろう」
 仏が切り返せば羅刹の女が笑う。
「そういうわけだ、死なせてみろ女! 我が名は剣ノ四」
「花邨・八千代! 死なせてやるよ、亡霊野郎!」
 お互いが大太刀を抜けば、戦いの火蓋はもう切られ、後は落とすのみ。

 赤、亡霊剣豪、剣ノ四。
 白、グールドライバー、花邨・八千代。
 いざ尋常に――勝負!

 火蓋が落とされ、太刀が振られた。
 真っ向勝負! 力と力のぶつかり合い、筋腱は太く固く、お互いの歯が食いしばるのが見える。
 鍔迫り合いから二人同時に刀を押し込めば、膂力に身体が耐え切れず、両者、一歩後ろへ。けれどそれ以上は崩れずに再度踏み込めば、お互いを袈裟に斬る。
 八千代の刃がわずかに届けば、手首を返し、傷を抉る。刃が刺さっているのも構わずに剣ノ四は羅刹の女の腹を蹴れば、追撃の唐竹。
 視聴嗅味触を超えた感が八千代の身を刃から翻せば、勢いに任せての薙ぎ払い。亡霊剣豪は大太刀を振り上げ、打ち払えば、霞の構えから刺突。
 切っ先が羅刹の肩をかすめる。だが八千代がさらに一歩踏み込めば亡霊の顔面に肘を打ち込み、鼻を折る。
「刀に生きてたなら刀で死ぬのも本望だろ?」
 続けて腹を蹴って、柄尻で脳天を打ち据えれば。負けじと剣鬼も八千代の膝を踏むように蹴り、崩れたところを再び唐竹。
「といってももう死んでんだけどなァ、アンタら」
 大太刀を横に構えて、受け止めれば力任せに切っ先を巻き込んで軌道をずらしての逆袈裟。
「死人の酔狂に付き合うのもまた一興かね」
 峰に手を添えて、亡霊が逆袈裟を受け止めれば、八千代の刃をレール代わりに白刃走らせ、首を狙う。
「応よ、酔狂だ! 女に付き合ってもらうたぁ華がある」
「そうかい、ありがとうな!」
 身を預けるように羅刹の体当たりが剣ノ四に当たれば、お互いが反動と勢いで大きくたたらを踏む。
「満足するまで付き合ってやるよ」
 八千代が構える。正眼、切っ先は喉元。
 感謝すると亡霊剣豪が礼を述べれば腰を落として八相、狙うは袈裟。
 両者、にじり寄る様に距離を詰めれば、空気は冷え見るものは息を呑む。
 咆哮が木霊した、先に動くのは亡霊剣豪、剣ノ四。踏み込み、体重を大太刀の切っ先に乗せていく。
 八千代が走る、左腕を掲げて。
 重い音がして、紅が二人の間の大地を汚した。
「満足か?」
 八千代が問えば。
「ああ!」
 剣ノ四は頷く。
 左腕と肩に太刀を食いこませたまま、右手一本で振り下ろす羅刹の大太刀の前に、酔狂を満たした男は笑って受け入れた。
 腰まで二つに割かれても、笑っていた。

 死んでも剣を振れるとはこれ程の酔狂、他に無し!

 ――勝負あり!
 白、花邨・八千代の勝利。

成功 🔵​🔵​🔴​

神宮寺・絵里香
〈心情〉
・剣鬼が迷い出てきたか。タイマンを望むなら是非もなし。
 剣術使いからしたら邪道かもしれんが、黒蛇剣で相手をしてやろう。
(本来の獲物は薙刀だが、剣の比べあいをしたいならこっちがいいだろう)
・相手は死者だ、多少のダメージは無視してくるだろう。
 残心は常に忘れない。
〈戦闘〉
・戦闘前にUCを発動。予め雨を降らせてから戦闘に入る。
・【世界知識】と【戦闘知識】を基に相手の剣術流派等を調査。
 危険な行動を的確に【見切り】対応できるようにする。
・黒蛇剣ウルミと擬槍蛇乃目を使っての戦闘。
・武器には【雷属性】【破魔】【麻痺攻撃】の痺れる雷を纏う。
・黒蛇剣を鞭のように振るい、剣戟を擬槍で【武器受け】して捌く



●亡霊剣豪七番勝負、五の紛い
 剣を使わぬとは、紛い物ではないか?
 だが君は僕に負けた。紛い物の棒に負けたんだよ。
 その紛い物で何を目指す。
 勿論――頂点。

「一対一を望むなら、是非もなし」
 左手に蛇の目傘を持った神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)が黒剣を引き抜けば、柔らかい刀身がうねりを巻き、風を受け、生き物のように動く。
「剣術使いからしたら邪道かもしれんが、黒蛇剣で相手をしてやろう」
 それはUCDアースにおいてウルミと呼ばれる物。黒蛇剣ウルミ――異界から来たストレンジャーたる彼女が黒剣で作り上げた剣の鞭。
「邪道? では僕の出番かな」
 亡霊達の中から穏やかな顔つきの剣鬼が前に出た。
 だが、これまでの彼の姿は亡霊剣豪とは風体が違う。
 一応、腰に刀は差している。けれど右手に持つのは六尺に届かんばかりの長い棒――つまりは棒術使い。
「亡霊剣豪、剣ノ五。覚えておいてくれ、僕は他と違って真っすぐじゃない」
「関係ない、これはそういう戦いだろう?」
 ぽつぽつと、天から雫が落ちてくる。
 お互いが武器を構える頃には空は黒々と雲が多い、大地は柔らかさを取り戻しつつあった。

 赤、亡霊剣豪、剣ノ五。
 白、猟兵戦巫女、神宮寺・絵里香。
 いざ尋常に――勝負!

 四戦行われてきた戦いより、遠い間合い。雨雫が髪を伝い、着衣は水を吸って重くなるのを感じながら絵里香は剣を右手に閉じた傘を左手に、剣ノ五は両手で棒を構えて、互いに円を描くように歩き対峙する。
 棒もウルミも剣より長い、故に間合いも遠くなるのだが、それ以上に戦巫女の思考が突出を控えさせたのだ。
 この時代において長柄の武器と言えば、槍や長刀。あっても穂先が折られた時の非常手段としての戦闘術。最初から棒と言うのも異質であった。
 猟兵が戸惑い、相手の流派が見いだせない中、棒術使いは棒で円を描くように誘った後、踏み込んで突く。
 応えるように左手の傘で払って、下がる絵里香。両手での攻撃を片手で打ち払う分、衝撃が重い。牽制のためにウルミを振るえば剣ノ五も退いて鉄鞭剣の軌道から逃れる。
 お互いが退がれば、追撃はできず、間合いを取り直す――普通ならばそれが常道。
 だが、棒術使いが棒を振れば、六尺のそれは七つの節に分かれ、中に仕込まれた鎖と遠心力で遠い間合いより鞭のように襲い掛かる。
「七節棍! この世界に!?」
 戦巫女が困惑を隠しきれずに更に間合いを取った。
「言ったろ? 邪道だって」
 多節鞭となった武器を引っ張れば、それはまた六尺の棒となる。
 世界には異なる発展と失伝した流派があると言われている亡霊剣豪の武術もおそらくはそうなのだろう。
 だが、それ以上に絵里香は警戒した――七節棍とウルミは相性が悪い。

 お互いが探る様に武器を振るい、深入りせずに退く。剣ノ五も武器の相性の悪さは悟っているようだ。両者とも自分の武器の特性を近いしているからこそ、戦いは激しい剣戟でも、あざやかな剣舞でもなく、空気を読み、目を読み、動きを読む静かな探り合いとなる。
 大地がぬめり、履物が泥濘に沈む中、剣ノ五が先に動いた。
 踏み込んでの振り下ろし、絵里香が蛇の目傘を掲げ、受け捌けば即座に右手のウルミを振るう。受け捌かれた棒術使いも一歩下がれば、多節の封印を解き鞭の様にしならせ、振り回す。
 鞭と鞭がぶつかれば、勿論――お互いが絡み合う。
 得物が使えないと見た剣ノ五が棒を捨て、先手を取って走る。
 右手は腰の打刀へ、咄嗟に戦巫女が蛇の目傘を開く、傘が姿を遮るが亡霊は構わずに振り下ろす。
 傘が破れ、お互い相手を見れば、瞳に映るは仕込みを抜く仕草、絵里香の手には傘から短槍。剣ノ五の手には柄より匕首。
 両者が仕込みを抜き、突けば、先に届くのは――。
「……この雨も……仕込みか?」
「そうだ」
 我等雨雲と共に舞い踊る巫女也(アメカンムリノミコ)の力により、動きがわずかに勝った戦巫女が亡霊剣豪の胸に刺さった擬槍 蛇乃目を抜いた。
「紛いは……紛いか」
 皮一枚、猟兵の胸元に紅い染みを作っただけの仕込み匕首を落とせば、紛い物の剣鬼はその場に崩れた。

 所詮は紛い物、頂点は至らず。

「紛いではない」
 残心を解かずに絵里香は呟いた。
「ただ、勝利への積み重ねが勝っただけだ」

 ――勝負あり!
 白、神宮寺・絵里香の勝利。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガルディエ・ワールレイド
この世界の剣士とは流儀が異なるが一人の武人として相手をしやるぜ。

我こそは黒竜の騎士ガルディエ!
異界の剣技にて相手を仕る!
いざ尋常に勝負!

◆戦闘
【血統覚醒】を使用
武装は長剣一本を両手持ちで構える。

【ダッシュ】で踏み込んで剛剣を見舞うスタイル
攻撃は【怪力】を活かした袈裟懸け、それを【2回攻撃】の要領で切り返しての逆袈裟、という流れで行く。
これが俺が一番馴染んでる基本の剣技だ。
剣で語り合うならこいつが一番いいだろう。

仮に一連の攻撃を破られても同じ流れに戻る。その時は死中に活を求めて【捨て身の一撃】

守りには【オーラ防御】や【武器受け】を活用するぜ。
武器で受けた時は、怪力で敵の武器を弾こうと試みる。



●亡霊剣豪七番勝負、六の異剣

 ――居合は戦場の剣ではないぞ?
 ならば、拙者が戦場の剣へと変えて見せます。

 四勝二敗。
 総当たり戦なら既に勝負は決した。だが、これは違う。互いを倒しつくすまで止まらない死の戦。
 それが分かっているからこそ、雨が引き、太陽が照らす中、双方、刃を収める気配がない。
 戦っていない亡霊剣豪は残り二人、そのうちの一人、白鞘を左手に持った同丸姿の鎧武者が傍らの亡霊剣豪に先にと告げると。
「この期に及んで勝負が終わったとは言うまい?」
 と、問いかければ。
「そうだな! まだ終わっちゃいない!」
 ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)が長剣を片手にそれに応える。
「我こそは黒竜の騎士ガルディエ! 異界の剣技にて相手を仕る!」
「亡霊剣豪、剣ノ六。こちらこそ異端の剣技でお相手いたす」
 快活な騎士の言葉に笑みを浮かべ、剣ノ六は左手で白鞘を持ち腰だめに構える。
 その姿を見たガルディエは構えの意味に気付き、即座に複合魔剣レギアで牡牛の構えを取る。
 目の前の亡霊が使うのは居合。武芸十八般において、剣術と別に分けられた武芸であった。

 赤、亡霊剣豪、剣ノ六。
 白、猟兵黒騎士、ガルディエ・ワールレイド。
 いざ尋常に――勝負!

 先に動いたのはガルディエ。真紅の瞳を見開き、吸血鬼へと覚醒すれば、爆発的に増大する力で乾いた大地を蹴り、距離を詰めれば剛力を込めた袈裟の一撃。
 身を捻ってかわすのは剣ノ六、刀はまだ白鞘の中。
 追いすがる様に逆袈裟に切り上げれば、それも一歩下がって寸の間合いで回避、剣鬼の右手が白鞘を掴む。
 亡霊が踏み込み、白刃が鞘を走る、無念無情の音速剣が抜刀術という技術によってさらに速度を増し、亜音の域へと達する。
 吸血鬼の血統が剣ノ六の速度に反応した。抜刀の切り上げを正面から受け止めれば触れた刃から衝撃は迸る。
 普通なら遠方に放つ衝撃波。
 それを刃に込めて斬撃の直後に開放する剣鬼が追い求めた技の極みに、オーラを纏った剣と怪力をもってしても、その威力を打ち消すことは能わず、ガルディエの長剣が跳ね上がる。すかさず亡霊剣豪が刃を切り返そうと手首を返す。だが衝撃に耐え、命を燃やして戦場に立ち向かう黒竜の騎士も負けてはいない。
 誰も彼もが死に至る世界から人々を護るために費やす命によって足を大地に踏み込めば、大上段からの振り下ろし。
 咄嗟に剣ノ六が跳び、豪剣から逃れれば、剣を白鞘へ納めて再び構える。戦いは振り出しに戻った。

 片や畑違いの武術を剣の世界に持ち込む亡霊。
 片や異界の流儀にて剣の世界に歩んだ猟兵。

 生まれも育ちも道も剣技も違えども、想いは愚直に真正面。
 故に敬意を抱き、故に警戒し、故に倒す。
 再び、ガルディエが牡牛の構えを取る。だがそれは先ほどより腰を落とし、体重を前にかけ、攻撃に全てをつぎ込む捨て身の剣。
 応えるように剣ノ六が背中を見せるように腰を捻り、右手を白鞘に。こちらも攻撃に全てを費やす必死必殺の居合い。
 倒れた亡霊剣豪の具足に貯まった雨水が雫となって落ち、大地に吸い込まれる。
 二人が同時に走った。
 怪力と血統覚醒により、必殺の域に到達した袈裟斬りに対して、一足先に自由になった亡霊剣豪の想いと言う名の怨念を刃に走らせた抜刀術。
 お互いの剣と刀がぶつかり合い、そして放たれる剣ノ六の衝撃斬!
「ぐっ……」
 衝撃が黒騎士の全身を打ち、勢いに剣が浮いた。勝機を見た亡霊剣豪が胴を薙ぐために手首を返す。
「ウオオオオオオオッ!」
 だが竜を思わせる咆哮が荒野に響き、命数をつぎ込んでも戦う覚悟が弾かれた剣を止め、ガルディエにもう一度大地を踏み込ませる。
 複合魔剣レギアの刃が大地を割った!
 そしてやや遅れて、剣ノ六の身体が二つに割れて、どどん……と、二拍子音を立てて大地に転がった。

 これぞ、見つけた戦場剣。そして見事也、異界の剣よ!

 ――勝負あり!
 白、ガルディエ・ワールレイドの勝利。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

誘名・櫻宵


あら、あなたも刀を使うの?
素敵だわ、素敵だわ!それじゃあ存分に斬り合いましょ?
あなたの首
あたしに頂戴な

刀に破魔を宿らせて踏み込んだならば衝撃波を纏わせなぎ払い
同じ傷口を2度でも何度でも斬り抜いて
うまくフェイントをかけて串刺しにしましょ
第六感で攻撃を察知して見切りや残像で躱して、隙を見れば踏み込んでその鎧ごと斬り裂いてあげる!
間合いには気をつけて立ち回り、懐に飛び込んだならば『絶華』で首を跳ねてあげる
あなたのわずかな生命力も、首も怨念も!全部頂くわ!
いいわ、もっと斬りこんできなさい
もっとあたしを昂らせて頂戴!
ねえ、楽しく踊りましょう?
せっかくの舞台なんですもの、醜いあなたも、美しく

殺してあげる



●亡霊剣豪七番勝負、七の剣鬼
 汝、鬼となるか?
 応! 最強の剣となれるなら鬼でも何でもなってやる!
 よろしい、今から汝は亡霊剣豪。我と共に強者を狩り、強さを求める者也。

 猿面の武者が前に立った。まるでこれから戦わんばかりに。
 その肩を最後の亡霊剣豪が抑えた、ここは自分が行くと。
 亡霊剣豪、剣ノ七。
 今、戦場に立たん!

「あら、あなたも刀を使うの?」
 花あかりの淡墨が目立つ女性の姿をした木龍が興味深く問いかけた。名は誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)。
「勿論」
 二尺三寸五分、天正拵の打刀を天神差しにした鎧武者が鯉口を切れば。
「素敵だわ、素敵だわ! それじゃあ存分に斬り合いましょ?」
 桜の瞳を輝かせ、櫻宵が刀を抜き。
「あなたの首、あたしに頂戴な?」
 八相に構える。
「これはまた剣呑な、よろしい。では勝ったら持っていけ!」
 こちらも八相に構える。
 亡霊も猟兵もそこには居なかった、居るのは剣の鬼が二鬼。

 赤、亡霊剣豪、剣ノ七。
 白、猟兵剣豪、誘名・櫻宵。
 いざ尋常に――勝負!

 お互い申し合せたように駆けだした。
 白刃が打ち合わされ、金属音が荒野に木霊する。
 破魔と怨念が食らい合い、衝撃波が相殺され、鍔迫り合いから一合、二合、三合と刀が打ち鳴らされる。
 視聴嗅味触を超えた感が猟兵剣豪に太刀筋を見切らせ、姿を残して間合いを詰めれば左肩に切っ先が入る。
 肉が開かれたところを更に斬ろうと刃を走らせれば、返ってくるのは鳩尾への膝蹴り。
 酸っぱい何かが口内を満たすのを我慢し呑み込めば、次に迫るのは亡霊剣豪の片手袈裟。速さを重視した一撃を後ろに跳ねる様に避ければ追随する剣ノ七と再び鍔迫り合い。
「あなたのわずかな生命力も、首も怨念も! 全部頂くわ!」
 木龍の剣鬼が叫んで亡霊の左肩を切り裂けば。
「贅沢者めと」
 亡霊の剣鬼が笑って木龍の右腿を刺し貫く。
「いいわ、もっと斬りこんできなさい、もっとあたしを昂らせて頂戴!」
「そっちこそ、行儀が良いぞ、もっともっともっと食らいつけ!」
 足を止め、お互いが刀を振るう。刀を撃ち合う音と肉に刃が食い込む音が混ざり、紅が弾けて飛ぶ。
「ねえ、楽しく踊りましょう?」
 残像を残して櫻宵が剣ノ七の右側に回り込む。白刃をきらめかせれば、同時に亡霊の草鞋が木龍の膝を踏み蹴り、体勢を崩させて軌道をずらす。
「せっかくの舞台なんですもの」
「感謝しよう」
 崩れた姿勢から櫻宵の切り上げを、剣ノ七は唐竹で食い止める。お互いの衝撃波が相殺されずに剣鬼二人を吹き飛ばす。
 二度、三度、大地を跳ねて剣豪二人が転がれば、お互い笑って立ち上がる。
 両者、構えは八相。
 螺旋を描くように間合いを詰めれば、先に動くのは亡霊剣豪。踏み込み、剣を寝せ、脇構えに変化して放たれるのは妄執に近い、剣を、強さを、追い求めた末に到達した洗練された横薙ぎの斬撃。
 無駄な動作を削りに削った一撃が木龍を捉えた!
 だが、その姿は霞になって掻き消える――残像。
「醜いあなたも、美しく」
 亡霊の後ろに立つのは猟兵剣豪。
「殺してあげる」
 風が消えた、音が消えた、域が消えた。空間ごと断ち斬る不可視の剣戟から刀を振れば、首が落ちるのは剣ノ七。
 亡霊が崩れ落ち、木龍の背中が見えた。

 ――すまぬ、先に行く。

 ――勝負あり!
 白、誘名・櫻宵の勝利。

大成功 🔵​🔵​🔵​


●亡霊剣豪七番勝負、延長戦
 剣ノ七のその首を駆けよって抱え込むように抱くのは猿面の武者。
 その姿を隠すように二人の剣鬼が刀を構える。
 片や剣ノニ、刃に生き、何かになろうとした今はただの亡霊。
 片や剣ノ三、速さを求め、剣の向こう側を目指した今はただの亡霊。
 二人とも失った片腕は既に繋ぎ合わされ、五体満足。
 そこへ駆けつけるは新たな猟兵。
 戦いはまだ終わらない。

 亡霊剣豪七番勝負、只今より延長戦開始!
浅沼・灯人
俺はサムライでも剣豪でもねぇけどよ、剣使いではあるからな。
満足いくかは知らねぇが、ひとつ手合わせと洒落こもうか。

どうせ俺とお前だけの戦いだ。
ひとつ間合いを決めて戦っては見ないか?
とまずオーラぶち当ててからのドラゴニアン・チェイン。
そっから先は、まああれだな。
技らしい技はねぇ。というか技なんてねぇ。
ぶん回す、たたっ斬る、蹴りあげるし殴る。
ただの喧嘩だ。死合いなんて言葉も似合わない乱闘だ。

そういやお前よ、名前、覚えてるか?
いや、別に覚えてなくてもいい。
お前が生きて、戦った。その証。
歴史が刻むことはなかろうと、俺の剣に刻み付けてやる。



●亡霊剣豪七番勝負、八の名
 酪漿を入れた紅茶の様に赤味のかかった髪の猟兵が前に出れば、御免と輩(ともがら)に告げるのは剣ノ二。
「俺はサムライでも剣豪でもねぇけどよ、剣使いではあるからな」
 浅沼・灯人(ささくれ・f00902)が右手にもった鉄塊剣を肩に乗せる。それは墓標、名も無き敵から鬼の最後まで見届けた名を刻めぬ墓石。
「満足いくかは知らねぇが、ひとつ手合わせと洒落こもうか」
 剣ノ二が抜刀する。その刀は人も剣鬼を斬った斬鬼剣。お互い血と命を啜った剣。
 亡霊剣豪が構えた時、灯人は左手を伸ばす。
「どうせ俺とお前だけの戦いだ」

 ――赤、亡霊剣豪、剣ノ二。

「ひとつ間合いを決めて戦っては見ないか?」

 ――白、ブレイズキャリバー、浅沼・灯人。

 左手から放たれた竜の気が亡霊剣豪に炸裂すれば、両者がお互いの鎖を握り、引き寄せる。

 いざ尋常に――勝負!

 鎖が両端から引っ張られ、弛みを失うと同時に猟兵と亡霊の得物を握った拳が互いの顔面を捉える。
 歯が折れ、二人が歯片を吐き捨てれば、視線を相手に、足は同時に腹へと叩きこむ。
 威力と勢いで鎖を持った二人の手が離れるが、繋がれた長さ以上は間合いも伸びることはない。
 九の字に折った身体を起こせば、鉄塊剣と打刀が激しく音を立て、鍔迫り合いの荒い息遣いが荒野の風に乗る。
 浅沼・灯人に技は無かった。ただぶん回し、たたっ斬り、殴り、蹴る。
 剣ノ二は戦場で剣を振るった、行儀など通用しない世界、叩き、斬り、殴り、蹴る。
 もはや死合いなんて言葉も似合わない、それは乱闘……いや、男が男であろうとするための喧嘩。
 これはそういうものなのだろう?
「そういやお前よ、名前、覚えてるか?」
 一合、撃ち合い、灯人が訪ねた。
「いや、別に覚えてなくてもいい」
 二合、斬り合い、取り消した。
「お前が生きて、戦った。その証」
 三合、叩き合い、告げた。
「歴史が刻むことはなかろうと、俺の剣に刻み付けてやる!」
 四合、振り上げた鉄塊が白刃を叩き切り、亡霊の肩から胴へと断ち斬った。
 折れた刀が大地に転がり、剣ノ二が一歩進む。
「――――」
 剣鬼の唇が僅かに動けば、亡霊剣豪は前のめりに倒れる。
 オーラの鎖が切れ、刃生に生きた魂の緒も切れた。

 俺は「剣豪」になったよ!

 ――勝負あり!
 白、浅沼・灯人の勝利。

成功 🔵​🔵​🔴​

古高・花鳥
わたしの剣、今ここで試したいと思います
この剣は、託されたもの……わたしだけの力じゃありません
でも、今までわたしを、わたしの大切な人たちを護ってくれたこの剣を、わたしは何よりも強いと信じています

【居合域】を使って、戦う際は常に気を巡らせます
「先制攻撃」そして「捨て身の一撃」、「残像」を見せながら【月下抜刀流・花鳥一閃】で深く斬り込みます
きっと、単純な剣術では、わたしは遠く及びません
ならば、「見切って」、傷も「激痛耐性」で耐え抜いて、わずかな隙を見つけましょう
それだけが勝つための道だってわかってますから

……月下抜刀流、古高・花鳥……いざ尋常に!



●亡霊剣豪七番勝負、九の駛走
 残る剣鬼はただ一人。小太刀を両手に持った痩身の亡霊剣豪、剣ノ三。
 一人で全てを相手するかのように小太刀を構えれば、前に出るのは手弱女(たおやめ)な一人の女。頑丈に拵えた数打ち物の一刀を左手に持つのは古高・花鳥(月下の夢見草・f01330)。
「わたしの剣、今ここで試したいと思います」
 構えるのは居合い、武芸十八般の一つ、抜刀術。
 亡霊剣豪の目が細まる。かつての輩、剣ノ六が振るった太刀筋を知るが故。
 二人の間の空気が冷えるのを猟兵達が感じた。

 赤、亡霊剣豪、剣ノ三。
 白、猟兵剣豪、古高・花鳥。
 いざ尋常に――勝負!

 片や小太刀二刀流の高速剣。
 片や抜刀が疾る、神速剣。
 両者とも速さに優れ、そして一撃は必死に至る。
 花鳥が右手を柄に添えれば、放つのは相手の動きを止める剣気の制空圏。
 剣ノ三が腰を落とせば、自ら納刀しあえて選ぶは抜刀術。
「この剣は、託されたもの……わたしだけの力じゃありません」
「…………」
 お互いが対峙する中、花鳥が語れば、亡霊剣豪が耳を傾ける。
「でも、今までわたしを、わたしの大切な人たちを護ってくれたこの剣を、わたしは何よりも強いと信じています」
「……ならば、亡霊剣豪としてそれを断ち切らん!」
 自らの信ずる強さを否定するため剣鬼は両手に小太刀を掴む。
 彼女が託された力で戦うなら、亡霊剣豪は速さを求め剣を超える領域を目指す。
 お互いが信ずる強さを証明するため。
 ――今、二人が動き出す!
「……月下抜刀流、古高・花鳥……いざ尋常に!」
「亡霊剣豪、小太刀二刀流、剣ノ三、いざ尋常に!」
「「勝負!!」」
 お互いの履物が大地に食い込み、そして土を蹴る。
 先の先を取ったのは剣ノ三。
 無念無情の斬撃で放たれる衝撃波を抜刀の動作で放つことで力の奔流が刃を押し出し、尋常ならざる加速を生み出す。直後、亡霊の鞘が爆散する。鞘を引き換えに得た速度に自らの速さを重ねれば亜音を超え、音を超え衝撃を伴った二本の刃が猟兵に迫る。
 後の先で花鳥が走る、こちらは逆手。遅れて抜刀すれども刃の到達はほぼ同じ。だが小太刀の衝撃が先に疾り猟兵剣豪を吹き飛ばす。直後その姿が霧散した――残像。
 その横を花鳥が駆け抜ければもう一本の小太刀が迫る、刹那で見切れば刃がかすり紅が散る。伝わる痛みに我慢して花鳥の逆手の抜刀が一閃し。そして亡霊の胴が二つに飛んだ。

 剣の! 速さの! 向こう側! これが俺の求めた先!
 
 ――勝負あり!
 白、古高・花鳥の勝利。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『猿面武者』

POW   :    不見
レベル×1個の【陰火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    不言
予め【鉤爪を構えておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ   :    不聞
自身が戦闘で瀕死になると【狐面や狸面を被った武者の亡霊】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は秋稲・霖です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●亡霊剣豪七番勝負、最終戦。
 ――参った!
 女に負けるとは、それでも道場の跡継ぎですか。
 とは言っても、今では鶴が強い。これじゃあ嫁の貰い手もないな。
 言いましたね、では兄さまがもらってくださいまし。

 猿面の武者が剣ノ七の首を抱く。
 それは何か愛おし気にも悲しげにも見えた。
「愚かなものよ、亡霊剣豪とならなければ、我が死ななければ、こうはならなかったのに」
 面越しにそっと接吻すれば、首を恭しく骸の上に置き、猟兵に向き直る。
「待たせたな、我が亡霊剣豪を率いる妖術使いにして――亡霊剣豪」
 声質の高さが猟兵の鼓膜に違和感を思わせる。
「どうした? 女だから戦えないと申すのか? 女だから勝てない、女だから最強に至れない? 汝らもそう思うか」
 両手に持つ鉤爪は長く鋭い。
「さあ、始めようではないか? 我こそは亡霊剣豪、無銘。強さを追い求め強き者を狩り、亡霊として連れ立つ者」
 最後の亡霊剣豪が構えた。
 止まる理由も止める理由もなかった。

 亡霊剣豪七番勝負、最終戦。
 赤、亡霊剣豪、無銘。
 白、第六猟兵、Jaeger sixth。
 いざ尋常に――勝負!!
花邨・八千代
はァーん?女だから何だってェ?
それを俺の前で言うのか、面白くもねェ。
御託はいらねェ、勝った方が強いってことだろうよ。

◆戦闘(POW)
「恫喝」!
引き続き大太刀を振り回して【羅刹旋風】だ。
「怪力」乗せてぶん回すぜ、受けてただで済むと思うなよ。
ぶっ飛ばす勢いの「なぎ払い」、からの「2回攻撃」で「傷口をえぐる」ぜ。
「第六感」で相手の動きの先を読む、「捨て身の一撃」だ。
ぶち込む時は攻撃受けようが関係なく距離を詰めて確実に仕留めるぜ。

男だか女だかどうでも良い。
死んでも強くなりてーなんてイカれてる奴が今更正気ぶんなよ。
強ぇ奴は強ェ、それだけの話だろうが。
最後まで楽しもうぜ、強い奴ぁ大好きだ。


戦場外院・晶
「戦場外院・晶、参ります」

面白い事を言う方です……つまらない事を仰ります

そして、おそらく、言われ続けて来たのでしょう

これは、お教えしなくてはなりませんね
いくさ、なれば老若男女の区別など……

「どうでもよろしい」

私、芸が無いもので、やることは変わりません

駆け寄る、掴む、殴る、極める
この身につけた怪力と破魔を要所で発揮し、爪で抉られようが、どれだけ血が流れようが、頓着せず戦いましょう

だって、楽しい
全くもって、もの足りません

男女、善悪、老若、生死、是非、時には強弱でさえも

……どうでもよろしいことですとも

「私と貴女が、互いにこうして戦場で出会った……あな嬉しや」

それ以外、全て

「……どうでもよろしい!」



●さきがけのうた
「馬鹿かオメーは!」
 恫喝のごとく強い声で、花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)が無銘の言葉を一蹴した。
「はァーん? 女だから何だってェ? それを俺の前で言うのか、面白くもねェ」
 大太刀と化した南天を刀の重みで振り回せば、起こるのは羅刹の旋風。初撃から一気に攻める計算……いや、計算なんてつまらないものではない。
 ――それが強いからだ!
「御託はいらねェ、勝った方が強いってことだろうよ」
「汝らの言葉、気持ちよいな」
 亡霊剣豪が音もなく大地を蹴れば、八千代との間合いが狭まっていく。そこに割り込むのは、戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う・f09489)。
「お先に」
「とっとけよ」
 お互い一言で用件をすませ、異郷の聖女が向き直れば。
「戦場外院・晶、参ります」
 亡霊へと掌を伸ばす、掌の意味を知る無銘の女がその手を打ち払えば、流れるように右手の鉤爪を振り回す。
「面白い事を言う方です……つまらない事を仰ります」
 頭を伏せて爪をかいくぐれば、再び鉤爪を構える前に掌底を腕に叩きこみ、不生の奥義を以ってユーベルコードを封印しようと試みる。
「そして、おそらく、言われ続けて来たのでしょう」
 なればと亡霊は身を翻し、後ろ回し蹴り。
 こめかみに踵が叩きこまれ、被っている布が飛ぶ。
「ですが、教えて差し上げます。いくさ、なれば老若男女の区別など……」
 上体が揺らぎ、金色の髪をなびかせながら手首を掴めば相手も手首をつかんで。
「「どうでもよろしい」」
 言葉が重なり猿面武者が空を舞う。
 極める前に飛ばれることで武者が投げを逃れ、着地すれば。後の先で手首を返し、舞うのは晶。
 ――楽しい、けどこのままではもの足りない。
 背中を打ち付けられ、痛みに呼吸が止まるけれど、それ以上に乾いたものを満たすため、女は再び立ち上がり、捕まれていた手首を蛇のように捻って掴み返す。
「私と貴女が、互いにこうして戦場で出会った……あな嬉しや」
 男女、善悪、老若、生死、是非、時には強弱でさえも……どうでもよろしいこと。
 それ以外、全て――。
「……どうでもよろしい!」
 手首を介して肘肩を極めて、四方投げへと持っていけば、無銘の身があざやかに宙を舞う。
 腕をダンパーの様に上手く曲げて威力を削る前受け身を以てしても衝撃は緩和しきれず、亡霊剣豪の動きは止まる。
 それでも身体を捻る様に手首の掌握を切り、起き上がった猿面武者へ次に来るのは八千代の薙ぎ払い。
 回避が間に合わず、代わりに腰を落とし爪を十字に構えれば、大太刀がぶつかり、無銘の身体は二転、三転と転がる。
 手に伝わる肉ではない金属の感触に舌打ちすれば、走り出し起き上がったところを狙う。だが、猿面武者が宙を舞ったのが左記だった。肉体の無い亡霊の如く。
 目より先に視、耳より先に聴き、肌より先に触れる、その感を信じて頭を傾ければ槍が如く鋭い足刀が空を斬る音が鼓膜を打った。
「男だか女だかどうでも良い!」
 大太刀を浮いた武者に身体に当てれば、柄を持つ手に膂力を込めて。
「死んでも強くなりてーなんてイカれてる奴が今更正気ぶんなよ」
 全力で大地に叩きつける、斬るのではなく太刀で殴って地面に叩きつける。乾いた荒野に塵芥が舞った。
「強ぇ奴は強ェ、それだけの話だろうが」
「そうだな」
 襟と袖を掴まれれば、寝た状態から無銘が腹に蹴りを入れ、足を刈る。足を払われたことで羅刹の女がバランスを崩し倒れる。と同時に、襟袖を掴めていることで勢いを利用して武者が立ち上がり、その頭に蹴りを入れる。
 羅刹の女の上体が大きく傾いた。
 そこへ追撃の鉤爪を振るおうとした手を晶が掴めば、また武者は舞い。掌握から逃れた。
「最後まで楽しもうぜ、強い奴ぁ大好きだ」
 頭を振り、切った唇から流れる血を拭い、八千代が持ち掛ければ。
「こちらもだ、亡霊剣豪にしたくなる」
「そいつぁ、お断りだ」
 笑いながら、立ち上がって大太刀を振るった。

 之は始まりの歌。
 人がいや、女が命を懸ける戦場音楽の始まり。
 そう、さきがけのうた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



 ――輿入れだと?
 はい、鶴はお嫁に行きます。これも武家の娘に生まれた者の定め。鶴は務めを果たしてまいります。
 そうか……達者でな。
 はい、兄さま。行ってまいります。
神宮寺・絵里香
〈心情〉
・一度刃を交えて斬り合えば、男も女も皆同じ。
 男だ、女だそんなのは最強に至るには関係ない。
 くだらない戯言だ。
・巫術と薙刀を組み合わせた神宮寺流の薙刀術。
 よく味わうがいい。
・さあ、雨と共に舞い踊らせてもらおうか。

〈戦闘〉
・【高速詠唱】からUCを発動。雨を降らし天候の優位を取る。
・白兵戦をする時は叢雲に【水属性】と【破魔】を付与。
 薙刀の間合いを活かして戦闘する。
・敵の間合いを見切り、自分にとってベストの位置を保つ。
 無理に接近をして薙刀の間合いのうちに入れば【グラップル】
 スキルからの蹴り等で対応。離れれば【高速詠唱】からの
 【破魔】の力を宿した『因達羅乃矢』を頭上の雨雲から打ち込む


斬島・切乃


愚かな。斬り合いに男も女も子供も老人も、人も亡霊もありはしない。
そのような世迷言は不要、ただ目の前の相手を斬ればそれでいい。
それだけ考えればいいのです。
後は結果が証明するでしょう。

猿面の『フェイント』に惑わされず、『第六感』も駆使。
不言で構えた鉤爪と足刀あたりでしょうか――を見極め、見切ってみせましょう。
此方も『殺気』と『残像』の動きで『フェイント』を入れて斬撃を重ね。
隙を見れば【剣刃一閃】を併せた【斬華一輪】(『鎧無視攻撃』)で必殺を狙います。
甲冑など何するものぞ、諸共に斬り捨てて終いにしましょう。
四肢を断っても動くのが亡霊剣豪のようですし、確実に勝負が決するまで油断なく。



●たたかいのうた
 空が曇り、天より雫が落ちる。神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)の御業、我等雨雲と共に舞い踊る巫女也(アメカンムリノミコ)が雨を呼んだのだ。
「一度刃を交えて斬り合えば、男も女も皆同じ。男だ、女だそんなのは最強に至るには関係ない。くだらない戯言だ」
「汝らの生きる世はそうなのだろうな」
 猿面武者が柏手を合わせ、掌を離せば生まれる陰火は四十を超える。
「巫術と薙刀を組み合わせた神宮寺流の薙刀術。よく味わうがいい。さあ、雨と共に舞い踊らせてもらおうか」
「断る」
 白蛇の意匠がついた薙刀を構える絵里香に一言、無銘が告げれば、陰火が空へと舞い傘となりて、戦巫女が降らせる雨粒を蒸散させ、その権能を封じる。
「その雨の力は見させてもらったからな――参る」
 陰火を練り上げ槍を作り上げれば、亡霊剣豪は脇を絞り、捻転で力を乗せた穂先を繰り出す。
「くっ……」
 眉が歪み、絵里香が長刀を振るって打ち払えば、その勢いを刃に乗せて今度は斬撃として振り下ろす。
 それを今度は無銘が槍の穂先を上げて受け止める。
 炎と白蛇、二つの刃が数合、打ち合わされば。猿面武者は槍を消し、鉤爪の間合いに飛び込む。そこを戦巫女が長刀の柄で押し込むように組み討ちに持ち込み、蹴りを腹に入れる。
 けられた亡霊剣豪は大きく吹き飛ばされ転がる。自ら飛んで衝撃を殺されたことを絵里香が伝わる感触で悟った。
「愚かな。斬り合いに男も女も子供も老人も、人も亡霊もありはしない」
 斬島・切乃(一刀繚乱・f13113)が無銘の業物を振るえば、起き上った猿面の武者が飛び上がって妖刀の軌道から消える。
 そのまま切乃の肩に手を乗せると、それを支点に身を回転。背後を取れば鉤爪を振るう。
「最初から来ると分かれば、供えることはできる」
 刀を背後に回して、鉤爪を受け止めれば身を翻しての薙ぎ払い。二歩下がって亡霊剣豪が白刃を避ける。
「ただ目の前の相手を斬ればそれでいい。それだけ考えればいいのです」
 そのような世迷言は不要とばかりに追いすがるヤドリガミ。大地を蹴り、カウンターで飛び膝蹴りを切乃の顔面に見舞えば、その姿は掻き消える。
「後は結果が証明するでしょう」
 そう告げる妖剣士の姿は亡霊剣豪の背後。殺気のこもった残像故に、無銘の武者も見誤り、残像を蹴り、背後を取られたのだ。
「魔を滅ぼせ因達羅の矢よ!!」
 そこへ裂帛の詠唱が響き渡り、空気が割れる音とともに青白い稲妻が炎を傘を貫き、猿面の武者へと落ちる。
 タイミングを計った絵里香の因達羅乃矢――高速詠唱から紡ぎだされる二つ目のユーベルコードが再び雨を降らし、雷撃が無銘の動きを止める。
「今です!」
 戦巫女が叫べば。
「甲冑など何するものぞ!」
 十四分の一秒の速度でヤドリガミが斬撃を振り下ろす。甲冑もろともその腕を切断しようとした気概の一撃。だがユーベルコードを同時に振るうには技量とタイミングがわずかに合わない。その誤差故、猿面の武者が十字に合わせて食い止めようとした鉤爪を切断し、その肩に刃を届かせるが、致命傷にいたらず。
 無手の亡霊剣豪が大きく後ろに下がれば、陰火を練って刀を作る。
 雨水が炎に触れ、じゅうと小さな音を立て、大地と具足は水を弾いて大きな音を立てる。
 これは戦の歌。
 大地が何かを吸うまで終わらない無情の音楽。
 そう、たたかいのうた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



 ――死んだと? 今の言葉、嘘偽りはないと申すか?
 はい、御館様。鶴の方は留守の城を狙った敵軍相手にわずかな手勢と孤軍奮闘。百人斬った末に自らも自刃いたしました。
 そうか、百人か……なら、儂は千人を斬らねばならないな。
石動・劒

剣ノ二と戦い、倒れ伏した劒の傍らに男が一人現れる

勝負、二本目。――亡霊剣豪、剣ノ劒。いざ参る。
彼の姿は未来のものか、それともIfのものか、あるいはそれが彼の真の姿なのか
判然とはせぬが、現に彼は捨て身で鎧を無視した斬撃を放ち、傷口を抉るかのような2回攻撃で相手に勝負を仕掛けていた
戦闘知識に裏打ちされた第六感でもって敵の攻撃を見切る戦い方はいつもの彼と変わらない。

ああ、良いな。剣ノ二にゃ見栄ぇ張ったが。やっぱりこうして戦い続けられるってのは良いもんだ。
さあ、俺は二本目で最後だが。お前さんも二本目三本目が用意されているんだろ?
飽くなき戦いってのを果たそうじゃねえか。


浅沼・灯人
ああそうか、お前が親玉か。
さっきのあいつも楽しかったが、お前はどうだろうな。
他のやつとだけでなく、俺ともひとつ死合ってくれや。

担ぐ鉄塊剣で大立ち回り。
なんせ剣豪の称号を貰っちまった。
最初くらいは切り結ぶのを楽しもう。
爪の攻撃を武器で受けて、炎は耐える。炎にだけは耐えられるんだ。

だが、至近まで寄れば一度くらいは、俺の爪も食らわせる。
お前の爪もいいもんなんだが、こっちも手入れは怠ってない。
竜の片腕ならそこいらの鎧程度、容易く砕けるだろうしな。

女だとかなんだとか、関係ない。
お前は強いし、その戦いぶりは中々に惚れ込むもんがある。
精々、互いの得物が壊れるまでは楽しませてくれよ。



●けんごうのうた
 やまない雨の中、石動・劒(剣華上刀・f06408)の傍らに一人の男が立っていた。
 姿形、立ち振る舞い、そして拵えの見事な日本刀。石動・劒そのものであった。
「勝負、二本目――亡霊剣豪、剣ノ劒。いざ参る」
「亡霊剣豪……だと!?」
 新たな亡霊剣豪の出現に驚愕する猿面の武者相手に、剣ノ劒は霞の構えから大地を蹴り、全体重を乗せ、刃を寝せた片手平刺突。負傷があるとは思えない身の軽さで横に跳んだ無銘に対して、刃を寝せることで可能にした横への薙ぎ払いに変化させることで追随。陰火の影打で猿面の亡霊剣豪が受け止めれば生者の亡霊剣豪が力で押し、武者の体勢を崩させる。
 流れるように剣ノ劒が正眼から唐竹に刀を運べば、無銘は膝の崩れた状態から切り上げるように刀を跳ね上げ、その勢いを利用しての片手逆袈裟。
 なれば石動の亡霊剣豪も戦慣れした感を以って身を捻り、片手で振るった刃で相手の剣を打ち払う。
 白刃のぶつかる金属音が雨音の中、澄んだように響いた。
 彼の姿は未来のものか、それともIfのものか、あるいはそれが石動・劒の真の姿なのか?
 判然とはせぬが、現に剣ノ劒は白刃を振るい。その戦闘知識に裏打ちされた第六感でもって敵の攻撃を見切る戦い方はいつもの劒と変わらない。

「よう、お前が親玉か」
 剣ノ劒から大きく離れた猿面の武者へ近づく影。
「さっきのあいつも楽しかったが、お前はどうだろうな」
 浅沼・灯人(ささくれ・f00902)が担いだ鉄塊剣を相手に向ければ、無銘も炎塊の刀を構える。
「他のやつとだけでなく、俺ともひとつ死合ってくれや」
 直後、二人の踏み込みが重なり、鉄と炎が激突した。
 右に、左に、と猿面の武者が次々と剣戟を繰り出せば、剣豪の称号をもらったと心と墓標に刻んだ灯人が真っすぐに立てた鉄塊でそれを受け止める。
 一歩踏み込み、男が体重をかければ、タイミングを外された女が刀を弾かれ、大地に転がる刀はひと際大きい炎を上げて消える。
 咄嗟に無銘が練った陰火を掌に載せて、灯人の顔面に叩きこめば、炎熱が全身を覆い、その肌を肉を焼かんとする。
 触れられることに男が顔をゆがめれば、眼鏡が歪み、大地に落ちる。
 けれどその身は炎熱に焼けることは無く、炎が照明を消した記憶の部屋を灯したに過ぎなかった。
「女だとかなんだとか、関係ない」
 左手がメキメキと音を立て、骨格が歪み、人ならざる竜の腕を作り上げる。
「お前は強いし、その戦いぶりは中々に惚れ込むもんがある」
 その手を腹に叩きこめば。
「――ッ!」
 鎧を砕き、肉を裂き。
「痛いだけではすませねぇよ」
 内蔵を掴む。
「チィーッ!」
 舌打ちと共に猿面の武者が、炎を纏わせた手刀で引きずり出された臓物を切断すれば、不利を悟ったか後ろへ下がる。
「汝の一撃の分、我の臓物を引きずり出した……これで差し引き狂いなし」
 そう嘯く猿面からは赤いものがこぼれていく。
「そうかい」
 予備の眼鏡をかけた灯人が苦笑し。
「精々、互いの得物が壊れるまでは楽しませてくれよ」
 履物が地面に踏み込み、泥を蹴りあげた。

 振るう鉄塊に引き続き、剣ノ劒が無銘の側面から刃を振るう。猿面の武者は二本の刀を練り上げ、受け止めるが負傷と二方向からの攻撃に衝撃を削り切れず、草鞋がぬめった大地に溝を刻む。
 二人とも同じ亡霊剣豪、剣ノ二と死合った者同士。
 剣豪になりたかった男と交わした刃が今、無銘の亡霊剣豪と切り結ぶ。
「ああ、良いな。剣ノ二にゃ見栄ぇ張ったが。やっぱりこうして戦い続けられるってのは良いもんだ」
 剣ノ劒が猿面の武者の腹に刃を埋め込み、柄を捻る。
「ごふぁっ!」
 血が喉を塞いだ、面の隙間からこぼれる紅はおびただしい量、けれど雨はそれを泥と一緒に洗い流す。
「さあ、俺は二本目で最後だが。お前さんも二本目三本目が用意されているんだろ? 飽くなき戦いってのを果たそうじゃねえか」
 亡霊剣豪、剣ノ劒が求めれば。
「……応」
 と応えるのは亡霊剣豪、無銘。
 けれど、その傷は深く、膝は笑い、持った陰火の刃の焚火の炎の様に揺れ動く。
 猿面の武者の炎を突然弾けた。
 術力が維持できなくなったせいか、それとも無意識に違う術を行使してしまったか、それは分からない。ただ分かるのはその炎が首を失った亡霊剣豪、剣ノ七の肉体を包み、そして立ち上がらせれば。
「あ……に……」
「ソノ……オンナヲ……」
 現れるのは猿面に鉤爪を持った男の武者。
「ニドモ……シナセ……ナイ」
「兄……さま?」
 ただの女の問いが聞こえた。だが亡霊故にその声は届かず、不聞。
 女は亡霊剣豪の呪いが剣ノ七を縛っていることをその時知った、外法の報いを受けた。
 だが、男武者は爪を振るい、二人を無銘から離し、護るように立つ。
 これは剣豪達の歌。
 刃に生きて、刃に死ぬことしかできなかった不器用な人間とそれに関わった者の歌。
 そう、けんごうのうた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



 よろしい、今から汝は亡霊剣豪。我と共に強者を狩り、強さを求める者也。
 ……どうした? そんな顔をして? 後悔しているのか? 儂を刺して。
 我に問うか、亡霊剣豪よ。
 昔からお前はそんな顔をするな。戦場にはその顔は似合わん、そこの猿面を持っていけ。儂は狐の面でも持っていこう――さて、行こうか、共に。
 
ガルディエ・ワールレイド


騎士として女性には敬意を払うべし、という考えが無いわけじゃ無ぇが
剣を取るならば対等の敵手として応じるも、また騎士の流儀!
そこに男女が云々と持ち出すつもりなど毛頭無し!

◆戦闘
武装は長剣一刀流
【串刺し】狙いの刺突から、相手の対応に応じて左右への【なぎ払い】に派生する【2回攻撃】を基本とするぜ
敵が身を屈める、空へ跳ぶなどした時はなぎ払いキャンセル

陰火は多少なら被弾覚悟で突き進む事を視野に(捨て身の一撃)
複合合体版は避けるか、最低でも【武器受け】で対応
何れにせよ【オーラ防御】活用

勝負所では剛剣の切り下ろしを【戦場の剛刃】で放つ。
名も知らねぇ剣の六よ。テメェを斬って完成に至った業だ。あの世で見てな!


深山路・古月
先程の戦いでは不覚を取りましたが
まだ、やれます
これぐらいで寝てばかりもいられませんしね

妖狐としての真の姿を開放しましょう
九尾の妖狐のチカラの一端、その身で存分に味わいなさい

○SPD
妖剣解放し、さらに破魔のチカラを上乗せします
たとえこの身が蝕まれようとも、一歩たりとて退けません
高速移動で翻弄し、相手の隙を伺い斬撃を放ちます
相手の鉤爪には十二分に注意しましょう
もう痛いのは御免ですからね

だいたい、男女の差なんて下らない
古今東西、女傑を上げれば枚挙に暇はありません
……身内にも一人いますしね

さて、無銘殿
あなたの強さ、存分に味わわせてくださいな
私も一期の全霊をもって、お応えしましょう



●ねがいのうた
「兄様……兄さま……にいさま」
 膝を落とし、その場に崩れ落ちる女。
 だが、猿面……いや狐面の武者は陰火を以って大量の武具を練り上げて、大地に突き刺せば、ただひたすら背後の無銘を護らんと刺さった刀を掴む。

「まだ、やれます」
 口元からこぼれた紅を拭い、深山路・古月(幽艶の藤狐・f03237)が立ち上がれば。
「そうだ!」
 とガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)が同意し剣を取る。
「剣を取るならば対等の敵手として応じるも、また騎士の流儀!」
「これぐらいで寝てばかりもいられませんしね」
 ガルディエが剣を構えれば。
 古月の尾が九つに増え。心の水面に波紋が生じ――。

『――良いのか?』

 と問う声がする。
 視線を動かせば猿面と狐面の武者が居る、否応は無かった。人と埒外の天秤を傾け、真の姿を開放する。
 そこに妖剣の力と破魔の力を上乗せすれば――世界が遅くなった気がした。
 人外の速度で狐面の武者の横を走り剣を振るおうとした瞬間。目の前に見える炎の刃。
 埒外の速度に亡霊が追随し、刀を振るう。咄嗟、古月は受け止めるが、高速移動の反動もあって体勢が崩れたところへ、武者は袈裟の姿勢。
 そこへガルディエが刺突の構えで突撃すれば、亡霊は身体を向き直り、長剣に刀を合わせて、軌道をずらす。続けてカウンターの膝蹴りがガルディエの腹部に入れば、六尺を超える身体が宙に舞う。
 黒騎士が起き上り、今度は薙ぎ払う。狐面の武者は後ろに下がるがそこに回り込む妖剣士、妖刀を振るって武者の刀を叩き落とせば、狐面は即座に次の刀を取った。

 奮戦する亡霊の背中を女は見ていた。
 憧れていた背中、追い越していた背中、人として最後に会いたかった背中、そしてオブリビオンという人道を外れた身として共に歩いてくれた背中。
 それが今、自分の為に戦っている。
 分かっている、これは自分がした呪いだという事に。それを解く方法も知っている。
 だからこそ女は――猿面の武者は再び立ち上がった。

 ガルディエが正面から狐面と切り結び、それを古月が側背から攻撃する、二対一に真の力を上乗せした攻撃が亡霊を追い詰める。
 そこに妖狐を勝る速度で猿面の武者の蹴りが飛ぶ。
 突然の横槍に身の危険を感じて離れる妖剣士。猿面の武者が地面に刺してある小太刀を持てば、狐面の武者と背中合わせに立ち。
「待たせた……続きと行こうか」
 片手で小太刀を構える。
「無銘殿」
 古月が剣を応えるように構え。
「あなたの強さ、存分に味わわせてくださいな。私も一期の全霊をもって、お応えしましょう」
「心得た」
「ショウ……チ」
 亡霊達が応えれば、猟兵達も動き出す。

 ガルディエが複合魔剣レギアを以って刺突すれば、狐面が刀で打ち払う。それを怪力で無理やり薙ぎ払えば、入れ替わる様に現れた猿面が蹴りを入れて動きを止め、右手に持った小太刀を振り下ろす。
 代わりに前に出た古月が妖刀にて、それを跳ね上げれば、一歩踏み込んで唐竹。それを背後の亡霊が刀で受けとめて、続く無銘が身の軽さを活かして妖剣士の顎を蹴りあげる。
 だが亡霊剣豪の負担も大きい、猿面の武者がその場に膝を着けば、斬りかかるガルディエに対して狐面の武者が庇う様に刀をぶつけ、身体をぶつけていく。
「だいたい、男女の差なんて下らない」
 鍔競り合う、騎士と亡霊の間に割り込むように古月が動けば無銘が小太刀で妖刀と打ち、牽制する。
「古今東西、女傑を上げれば枚挙に暇はありません」
「我々はそれになれなかった、故に」
「ボウレイと……ナッタ」
「ウオオオオオオオッ!」
 咆哮が響き、ガルディエが押し込んだ。狐面の武者との間に間合いが出来る。両者が剣を振り上げれば。猿面の武者が助けるために走り。
「させません!」
 その先を行くように妖剣士が刀を振るった。
 片手で受けとめる無銘。だが、片手小太刀ゆえ、完全に受け止めることが出来ず、負傷ゆえ、威力を逃すことが出来ず、その場に縛り付けられる。
 お互いの剣が振り下ろされる。
 先に刃が届こうとするのは亡霊の刀、だが騎士の剣をそれを両断する。
「名も知らねぇ剣ノ六よ。テメェを斬って完成に至った業だ。あの世で見てな!」
 抜刀の亡霊剣豪との戦いの末、編みだした戦場の剛刃が、刀もろとも狐面の武者を袈裟に両断する。
 二つに分かれた身体が、大地に転がればそれは燃え上がり、灰となって消える。
 猿面の武者は消えゆく亡霊を見送った後、荒い息を整えて口を開く。
「恥を忍んで、頼む」
 これは願いの歌。
「我を(兄さま達を)」
 ただの女が男のためにと祈る。
「殺してくれ(自由にして)」
 そう、ねがいのうた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

誘名・櫻宵
生首に接吻?素敵

女も男も関係ない
生と死の輪舞に強さを求むなんて息をする様に当然
あなた綺麗ね
その首
美しいお雛様の様に
七の首と並べたい

愛し合い(殺し合い)ましょ!

破魔のせた刀に纏わせる衝撃波
怪力も活かして斬り抜いて
七の様に白兵に肉弾戦も加えるわ

焔をなぎ払い
斬って凪ぎ凌いで踏み込み
間合いや攻撃を勘で感じとり何度でも斬りこむ
吹き飛んだなら空中戦で体勢を立て直し
ダッシュで即座に動けるように
傷を抉り串刺し鎧を砕き
爪ごと割砕く

楽しいわ楽しいわね!
そう
もっと!

オーラで防ぎ見切りで躱し
残像でフェイントを
絶華を許してくれなさそうなら
鬼哭華で美しいあなたを殺す
麗しの鎮魂歌で送ったげる!

ほら
彼がお待ちよ

*アドリブ歓迎


姫条・那由多
「…命を喪い、愛を喪い、おそらくは矜持までも…
全てを喪った貴女にたった一つ残されたのが生前の絆であり誇り、剣の道だったのですね。
わかりました。その無念、その想い、全てこの身で受け止めましょう」

彼女の魂を救いたい、でもそれは言葉だけでは決して届かない。
白刃の前に身を晒し、交差する命の刹那…寸毫垣間見えるかどうかの極地。
なれば聖女として必ずそこに辿り着きましょう。数奇将星、我に在り!

無手でお鶴さんと対峙。
全力で渡り合い、突き技での絶技を誘います。
胸でも腹でも敢えて受け、そのまま進んでお鶴さんを抱きしめ、
救いたいという【祈り】を込めた光を胸の聖痕から掌に宿して【聖光破山掌】

「仮面よ、業よ、割れよ!」



●とむらいのうた
「……命を喪い、愛を喪い、おそらくは矜持までも……」
 姫条・那由多(黄昏の天蓋・f00759)が全てを分かったように呟いた。
「全てを喪った貴女にたった一つ残されたのが生前の絆であり誇り、剣の道だったのですね。わかりました。その無念、その想い、全てこの身で受け止めましょう」
 聖女たる矜持を以って、拳を向ける那由多に無銘は炎で練った小太刀を構える。
 彼女を救いたいという想いゆえ、聖女は無手で近づき、そして祈りを込めた光を胸の聖痕から掌に宿して、聖光破山掌を放つ。
「仮面よ、業よ、割れよ!」
「勘違いするな」
 だが、猿面の武者はそれを一蹴し、小太刀を握った拳で殴りつけた。
「我らは亡霊剣豪。我らに救いなどいらぬ、抱擁などいらぬ、ただ一刀を以って死すのが我が望み」
 その場に尻もちを着き、呆然とする那由多に無銘は言い放つ。
 救いたいという気持ちが事実かもしれない、だがそれだけで動くのはただの自己満足と取られても仕方がない。耳を傾けるべきだった、戦いを全て見るべきだった、その上で何が救いになるかを考えるべきだった。
 故に……届かなかった。

「違うのよ……優しさの質がちがうの」
 諭すように前に出たのは誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)。
「生首に接吻? 素敵」
 その顔は剣鬼として喜びに満ちている。
「女も男も関係ない、生と死の輪舞に強さを求むなんて息をする様に当然」
 屠桜を鞘から抜けば、謳う様に櫻宵の唇から言葉が紡がれる。
「あなた綺麗ね、その首、美しいお雛様の様に七の首と並べたい」
「我を殺して、そうするがよい」
 同意するように小太刀を構えれば。
「愛し合い(殺し合い)ましょ!」
 木龍が疾る!
 刀と小太刀が打ち合わされば、即座に亡霊剣豪が身を捻り、櫻宵の放つ衝撃波から逃れ、流れるように蹴りを放つ。
 顎先を蹴られ、宙に舞ったところへ無銘による小太刀での追い打ちの逆袈裟が起き上りを狙う。
 けれど、木龍は空中で体勢を立て直して、着地すれば一気に踏み込んで斬り込み、鍔迫り合いに持ち込む。
 亡霊剣豪が猟兵剣豪の刀を下方向へと受け流せば、そこから柄尻で顔を殴ろうとする。
 それを櫻宵が見切れば、無銘の腹に膝を叩きこむ。負傷個所を狙われたのとカウンターを合わされたせいでその身体は激しく吹き飛び、二転三転と大地を転がれば、猿面武者は再び立ち上がり、櫻宵へと迫る。

「…………」
 その様子を那由多はただ見ていた。
 自分は間違っていたのか? いや、そうではない完璧な聖女であったと自覚し、そして無銘の事も理解していたはずだ。
 でも違った。
 事実の重さに拳を固く握りしめ、爪が食い込み血がこぼれる。
 自分が何をすべきか、今は答えを出せない、でもやるべきことがあるのは確か。
 そう決めた聖女はゆっくりと歩を進めた。

 戦いは拮抗していた。今までの負傷と鉤爪を失ってもなお、その実力は櫻宵と同じか、それ以上。
 雌雄を決するには何か一つが必要で、そうでなければ、人である木龍が疲労で追い詰められる。
 それが分かっているからこそ、櫻宵があらゆる剣技を活かし、残像を使い、フェイントで誘う。
「楽しいわ楽しいわね! そう、もっと!」
 挑発するように剣鬼が熱狂する、実際にそうしていかないとやられる可能性があることを彼の中の冷たい部分が悟っている。故に戦いに酔わないと行けない。
「まだだ、まだだ、まだだ! そんな事では亡霊一人殺せはしないぞ」
 自らの死を誘うため無銘も叫ぶ。
 亡霊剣豪となったこの身、自死で救われることはない。ならば殺されるしかない。だが剣豪であるがゆえに、ただ殺されるのは自殺と変わらず。もし叶わないならばその時は――外法の道を突き進む。
 それが自らが亡霊剣豪へと変えていった者達へ、出来るせめての事だから。
 だからこそ――亡霊剣豪達への責と報いを持った無銘の小太刀が疾り、剣鬼たる櫻宵の刀を叩き落とした。
「……終わりだな」
 諦観の呟きと共に刀を振り上げる猿面の武者。
 その顔に拳が叩きこまれる。
 突然の攻撃にたたらを踏む、亡霊剣豪。その視線の先に立つのは肩で息をする那由多の姿。
 その瞬間を木龍は見逃さなかった。
 刀を取れば、足を踏み込み、精神蝕む斬風を伴う剣戟を首に当てる。
「ほら、彼がお待ちよ」
 やさしく囁けば。
「――ありがとう」
 女は一言、礼を述べ――猿面の首が刎ねられ飛んだ。
 これは麗しの鎮魂歌。
 亡霊達を自由にするために刃合わせた音で奏でられた。
 そう、とむらいのうた。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『目指せ剣豪!木刀勝負!』

POW   :    とにかく気合いだ!勢いと筋力でブチのめせ!

SPD   :    剣の威力はすなわち速さ。素早く切れるようにカラクリ燕に挑む

WIZ   :    剣の道は心の修練が大事。心静かに瞑想に励む

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●剣術が盛んな、とある町の話。
 はい、この町は領主様のご懇意もありまして剣術道場が多くあります。
 中でも有名なのはあそこの大きなところですね、何でも千人斬ったと言われた剣豪が道場主を努めて以来、領主様も御流儀として学んだことから大きくなりまして。
 ……他流試合ですか?
 ここは盛んですね。領主様も「この街においては他流試合を奨励する、但し刃傷沙汰は自らが責任を負う事」と御触れを出しておりますので、腕に覚えのあるものがやってきます。

 ……墓、ですか?
 あそこを行ったところにありますが、何か御用で?
 あ、これは失礼しました。では私はこれで。


 ――これより始まるは猟兵剣豪七番勝負。
 木刀での戦いになりますが、天下自在符を持った剣豪達の勝負。
 これを見逃すわけにはいきませぬ。
 勿論、見学も自由ですし、猟兵剣豪から話を聞くのもよろしいでしょう。
 そして、町の外れには墓があります、用があるなら足を向けてもよろしいでしょう。
 それではいざ尋常に――勝負!!
神宮寺・絵里香
【WIZ】
≪心情≫
剣術大会か。ま、折角だから参加するか。
因達羅神の御業もそれを使った神宮寺流も無粋だな。
ただ純粋に剣の…薙刀の腕を競おうか。
やるからには優勝を目指す。当然だな。

≪戦闘≫
・戦闘前に禅を組み精神集中。今まで見た戦闘からの
 【戦闘知識】でどう戦うかを組み上げる。
・大薙刀の木刀を使い戦闘。【フェイント】を織り交ぜつつ、
 薙刀の得意技である脛うちを狙っていく。
・刀よりもあるリーチを生かし、攻撃を的確に【武器受け】して捌く。
・剣術は間合いの取り合い。正確に敵の間合いを【見切り】、可能な
 限り間合いの外で戦う。
・【グラップル】技能もあるので不意の格闘戦にも対応可


ガルディエ・ワールレイド

敵ながら鮮烈な奴らだったな。
俺もあの勝負で満足出来たかと思ったが……勝負を前にしては退けねぇ性分のようだ。
それに、この町で派手に戦う事があいつらへの弔いにもなるだろうさ。
さぁ一手、手合わせ願おうか!

【POW】試合に挑む

武装は木刀一本で【怪力】を活かす剛剣
刺突からの【なぎ払い】、袈裟懸けからの逆袈裟など【2回攻撃】を軸に攻める。特に懐へ潜り込むタイプの相手には2回目の攻撃が本命だ。

守りは【武器受け】駆使で凌ぐぜ。武器が噛み合った状況なら怪力で弾き飛ばす。
敵の間合いが遠いなら【ダッシュ】での踏み込み。

ユーベルコードは相手が使う場合のみ使用。
【存在証明】で攻撃力を上げて剣速と威力を増すぜ。



●猟兵剣豪一本勝負、勝負一番目
 板敷の道場、見学者が団子になって見守っているその奥で神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)は禅を組む。
 異邦から来た彼女の土地にあった禅がサムライエンパイヤの禅と同じものかは分からないが、人々にはそれが精神集中をもたらすものだという事は理解できた。
 人だかりを割って、ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)が木刀片手にやってくる。
「敵ながら鮮烈な奴らだったな」
 絵里香が立ち上がり、大薙刀の木刀を手に取るのを視界に収めつつガルディエは懐かしむように口を開く。
「俺もあの勝負で満足出来たかと思ったが……勝負を前にしては退けねぇ性分のようだ」
 木刀を構えるその姿は剣の鬼のそれではなく、純粋に何かを楽しみたいという向上心、そして。
「それに、この町で派手に戦う事があいつらへの弔いにもなるだろうさ」
 弔いの言葉。
「ええ」
 それまで沈黙を保っていた戦巫女が一言、応えれば。
「さぁ一手、手合わせ願おうか!」
「当然だが、やるからには勝利を目指すぞ」

 赤、猟兵戦巫女、神宮寺・絵里香。
 白、猟兵黒騎士、ガルディエ・ワールレイド。
 いざ尋常に――勝負!

 始まりはガルディエの刺突からの薙ぎ払い。
 怪力から発揮される重たい一撃に一瞬、絵里香の足が浮く。
 戦闘知識と亡霊剣豪との戦いでの黒騎士の振る舞いを見ていなければ、この一手で崩れていたかもしれないと戦巫女が冷静に状況を把握する。
 絵里香が間合いを保つために大薙刀の切っ先を喉元に向ければガルディエも警戒して木刀の切っ先を上げる。
 そこへ弧を描くように薙刀が変化すれば、脛への一撃を叩きこむ!
 薙刀特有の足への攻撃に男が顔をゆがめれば、歯を食いしばってそのまま床板を蹴って前進、距離を詰めての袈裟斬り!
 強引な間合いのコントロールに計算を狂わされた女が咄嗟に薙刀で受けるが、力と好んで使っている攻撃故の練度が違う。防ぎきれずに肩に一撃を負う。
 続いてガルディエが逆袈裟を狙うが、絵里香も何もしないわけでなく、薙刀の柄で押し込むように鍔迫り合いに持ち込んで、そこから鋭角な膝蹴りを打ち込む。
 不利を悟った黒騎士が膂力で弾き飛ばすように間合いを広げれば、両者は再び構えて、お互いを睨む。

 普通に打突でポイントを取るだけなら薙刀を持った絵里香の勝ちになるであろう。
 しかし攻撃を掻い潜って少ないながらも有効打を打ち込み、相手を崩して行っているのはガルディエの方であった。
 お互い、それが分かっているから勝負はまだ続き、決着の一撃を打ち込む機会をうかがっていた。
 少しずつ、音が減り、そして消えていく。
 風の吹く音、虫の無く音、そして息遣いだけが聞こえる道場で――二人が動いた!
 瞬間、道場の中の空気が震えた。
 ガルディエの木刀は戦巫女の喉元一寸で、絵里香の大薙刀は黒騎士の頭頂部一寸で、止まっていた。
 二人とも相手の攻撃が有効打と悟り、故にこれで決着とお互い自然と得物を収めた。

 ――勝負あり!
 両者、引き分け!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルフトゥ・カメリア

……木刀、ねぇ。
かっるいし折れねぇかこれ。(ぶんぶんする)(普段のバスターソードが や鉄塊剣と違って頼りない)

ま、いいや。
炎使ったら最後、木刀なんざ一瞬で消し炭だしなぁ。
荒っぽい我流剣術は、身軽に動きながらも、大きく重い武器をその怪力で勢い乗せて叩き込む為のもの。木刀はどうにも勝手が違う。【鎧砕き、怪力、2回攻撃】を叩き込み、時に【フェイント、だまし討ち】で自分の土俵に持ち込む。
悪ぃな、育ちが悪ぃもんで正当な剣技なんざ習ったことねぇんだわ!
時に鋭い蹴撃を繰り出し、【第六感】で相手の思考と軌道を読んで、【武器受け、オーラ防御、カウンター】
飛ぶんじゃ興醒めだろ?今日は空中戦はナシだ。


斬島・切乃

思えば木刀を振るったことなど数えるほどもなかった
常に真剣、真剣勝負
生まれたときからこの手には刀があったのだから当然なのだが

ふむ、この機会に触れてみるというのも一興。
どれ。誰か、一手仕合ってみましょうか。

『第六感』を駆使しての『見切り』から【SPD】を活かした後の先。
対応してくる手合いには『残像』を併せた『殺気』の『フェイント』
より速く、より鋭く。
なに、お互い初めての身、何かしら得るものはあるでしょう。
思わず真剣を望んでしまう程の相手であることを期待します。

千人斬り――私も刀として生まれたからには、それほど斬ってみたいものですね。



●猟兵剣豪一本勝負、勝負二番目
 一方、剣術道場の中庭。大名庭園を思わせる見事な造りの一角で男女が一組向かい合う。
 男の方は薄藤の髪にネモフィラの花を咲かせた黒翼の少年、名はルフトゥ・カメリア(Cry for the moon.・f12649)。
 右手に持つ木刀の軽さにやや不満気な表情を浮かべ乱暴に振ってみる。
 一方、女の方は物腰柔らかな大和撫子、名は斬島・切乃(一刀繚乱・f13113)。
 こちらも久しぶりに握る木刀が慣れないのか何度も握りを確かめる。
「……木刀、ねぇ。かっるいし折れねぇかこれ」
「貴方もそう思われますか?」
 ルフトゥの呟きに切乃が応えれば、オラトリオは女の方を向き。
「ま、いいや」
 と構える。
「この機会に触れてみるというのも一興かと?」
 ヤドリガミも剣鬼の相を見せて構えれば、ルフトゥの目は丸くなり。
「そうだな」
 と一言。
「では一手仕合ってもらおうか」
 切乃も構えれば、二人の間を殺気が支配する。

 赤、ブレイズキャリバー、ルフトゥ・カメリア。
 白、猟兵妖剣士、斬島・切乃。
 いざ尋常に――勝負!

 戦場(いくさば)に一歩踏み込めば、見える世界というものがある。
 経験や感覚などで見えるそれを二人は第六感によって感じ取る。
 それはお互いが繰り出すであろう未来の剣筋。
 木刀を動かす度、足運びを変える度、果ては重心を前に傾けるだけで軌道が変わり、確実に狙う軌道のみならず、フェイントから繰り出すであろう本筋まで感じ取れる。
 こうなるとお互い動かず、頭の中で剣戟を模索し一手打つのだが、生憎と片方はそんなにお行儀の良い方ではなかった。
 見えない剣筋を叩き割る様に、ルフトゥが両手に木刀を持って飛び掛かった。痺れを切らせたともいう。
 切乃が下がってオラトリオの剣を回避すれば後の先で袈裟に振るう。だがそれも片手で乱暴に薙ぎ払うルフトゥの木刀と激突する。
 次にヤドリガミが殺気を込めて鋭い刺突を繰り出せば、オラトリオが下がる。だが切乃の姿は霧散、殺気を乗せた残像をフェイントにヤドリガミは側方から切り払い。
 男がそれを撃ち落とせば軽く速い唐竹へを運ぶ、受ける女。だがそれは当て止め、あえて力を込めず軽い打撃で意識を逸らせてからの本命は逆袈裟への切り上げ。
 切乃がそれをかろうじて木刀で受ければ、衝撃でその足はわずかばかり大地から離れる。
 序盤から繰り広げられた激しい攻防の後、呼吸を整えるように両者は木刀を構えなおした。

 鍔迫り合いからのルフトゥの膝蹴りが切乃の鳩尾に突き刺さる。
「悪ぃな、育ちが悪ぃもんで正当な剣技なんざ習ったことねぇんだわ!」
 身体を九の字に曲げる女に男が言えば。
「如何様にかまわん!」
 応えるようにヤドリガミはオラトリオの足を踏み、柄尻で顔面を殴る。
 我流と年月、お互い違うもので培われた剣が嘘偽りなく正面から真剣ぶつかりあう。
(千人斬り――私も刀として生まれたからには)
 戦いの中、切乃が思索する。目の前には体重を乗せた一撃を振り下ろすルフトゥ。
 二人の木刀がぶつかり、亀裂が入り。
(それほど斬ってみたいものですね)
 折れた二本の剣先は空を舞った。

 ――勝負あり!
 両者、引き分け!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

花邨・八千代
やれやれ、充分暴れたつもりで居たもんだがまだまだ遊べそうだなァ。
良いじゃねェか、纏めて相手してやるよ。
後悔しても知らねぇからな!

◆行動(POW)
南天を木刀に変化。
「恫喝」ぶち込んでからの【羅刹旋風】だ。
とりあえず殺さないギリギリでやんなきゃなァ、手加減なんざ苦手だぜ。
それでも俺に向かってくんなら覚悟はあんだろ?
「怪力」で「なぎ払い」つつ、広範囲を一気に巻き込むぞ。
相手が間合いを取ろうとすんなら「誘惑」で煽るぜ、臆病風に吹かれてんなよってな。

暴れきったら…まぁ、酒でも貰って墓にでも行ってみっかな。
今度こそきちんと仏さんになったんだ、酒でも手向けてやったって良いだろ。
中々楽しかったぜ、亡霊どもめ。



●猟兵剣豪百本勝負、勝負三番目
「やれやれ、充分暴れたつもりで居たもんだがまだまだ遊べそうだなァ」
 町から外れた荒野で、肉食獣のような笑みを浮かべ花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)が南天紋の描かれた印籠を木刀に変えれば、目の前にいる腕自慢の男達が一歩たじろぐ。
 亡霊剣豪との戦いを聞いて、我先にと剣豪が集まったのを見て、八千代が全員相手にしようと思い立ったのだ。その数、総勢百名。
 何故、百人相手にすることになったかは八千代本人も良くは分かってなかったが、喧嘩は好きだし、好きなものは全力でやるのが面白いと思っているのかもしれない。あと百人殴る機会とかめったにないだろうし。
 たじろぎつつ木刀を構える男達を品定めし、舌なめずりすると。
「良いじゃねェか、纏めて相手してやるよ――後悔しても知らねぇからな!」
 木刀を羅刹の膂力が起こす旋風の如く振り回して、男達へと飛び掛かった。

 赤、グールドライバー、花邨・八千代。
 白、剣豪百人。
 いざ尋常に――勝負!

「オッシャァアアアアアアアアア!!」
 まず一撃で二十八人の剣豪が吹き飛ばされた。いきなり戦力三割減少である。
「手加減なんざ苦手だぜ」
 巻き込まれた二十九人目の背中を踏みつぶしながら睨めば。
「それでも俺に向かってくんなら覚悟はあんだろ?」
 覚悟を決めた剣豪が一人立ち向かえば。
「ドッセイ!!」
 下品な掛け声と共に剣豪の顔面に靴跡を刻む。これで三十人目。
 倒れるゆく仲間の姿を見て、男達が間合いを取ろうものなら。
「臆病風に吹かれてんなよ」
 妙になまめかしい声で誘いをかける。
 剣豪たちが頷き合い、八千代の周囲を囲めば。
「う……うりゃあああ!」
 気合の掛け声とともに四方八方から切りかかり――。
「もう一丁!!」
 今度は十一人吹き飛んだ。最早存在が羅刹旋風だ!
 ……そんなこんなで。

 ――勝負あり!
 赤、花邨・八千代の勝利。

 そして、場所は変わって。
 そこにあるのは一つの墓、この町にしては立派な墓石なのはそこに眠る者が領主に目をかけられていたとか、千人斬ったと噂があった為か。
 しかし墓の主はそこに居ないという。何でも晩年突如いなくなったらしく、人々は神隠しか果てはまだ見ぬ相手を追いかけて出奔したと噂したという。
 そんな人々の話を思い起こしながら、真実の一端を知っている八千代は貰ってきた酒の蓋を開ける。
「今度こそきちんと仏さんになったんだ、酒くらい飲んだっていいだろ?」
 自分も盃に酒を注ぎ、墓前で飲む。
 自由になった死者と酒を酌み交わすように……。
 盃を空にすれば、残った酒を墓前に供えて、その場を立ち上がると。
「中々楽しかったぜ、亡霊どもめ」
 一言告げて、墓を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレズローゼ・クォレクロニカ
🍓櫻宵(f02768)と一緒
アドリブ等歓迎

櫻宵の剣術はボクの憧れ
ボクもあんな風に強くかっこよく
パパの刀をふるえるようになりたい
道場に行ってみたところボコボコになった

墓地に佇む櫻宵を見つけたならば、櫻宵ーーと元気に明るくぎゅっと抱きつき
撫でられれば満面の笑顔

櫻宵、迎えにきたよ!
ボクは大丈夫!首はいい!
それよりボクに刀を教えて!
道場にいったんだけど全然ダメだった
言いながら、子供用木刀を握ってみせる
ボクだって櫻宵を守れるように強くなりたいんだ

添えられた手に笑い
櫻宵はボクのお師匠様だねなんてご機嫌
刀を振るう彼はどこか危うくて心配だった
でも大丈夫

だってボクと櫻宵だから!
キミが誤らないように
そばにいるよ


誘名・櫻宵
🌸フレズローゼ(f01174)と
アドリブ歓迎

墓前に備える彼岸花
二人揃ってお雛様
風に流して安らかに

また逢う日を楽しみに

刀を落とすなんてまだまだねと溜息
もっと強くならなきゃ
千でも万でも斬れるように
ああ
楽しかった
思い出して震える程に
ありがとう

フレズ?!
その姿に小さく悲鳴
どうしたのそんなにボロボロになって?!誰にやられたの?
あたしがすぐ首をはねて―

彼女の申し出には虚をつかれ
それから微笑み
彼女の小さな手を握る
優しい絵を描く手に刀は不釣り合いだけど

フレズ
まず刀の持ち方からなってないわ
あたしが教えてあげる
それからリベンジよ!

道を誤れば明日は我が身
けれど
フレズの笑顔に己を戒めて

この子と歩む今を大切にしましょ



●猟兵剣豪一本勝負、番外
 道場の入り口から転がる様にフレズローゼ・クォレクロニカ(夜明けの国のクォレジーナ・f01174)は吹き飛ばされた。
 大切な人の剣術を憧れとし、強く格好よく、父の剣を振るえるようになりたいという彼女の願いは、町道場にたまたま居た真剣な羅刹が真正面から応えてくれた。
 ……その結果ボロボロである。
 蜂蜜を抱いた苺ミルクの髪からはみ出る兎耳を隠して髪を整えれば、フレズローゼは町人から聞いた墓地へと走って行く。大切な人を迎えに行くために。

 一方、墓地では誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)が酒の隣に彼岸花を供える。
「刀を落とすなんてまだまだね」
 手を合わせつつ、櫻宵の口からは溜息が漏れる。
 もっと強くならなきゃと心の中で決意する。千でも万でも斬れるようにと。
 そして戦いを思い出して楽しかったと振り返り、震え、墓石に感謝を述べる。
「櫻宵ーー!」
 そんな彼を呼ぶ少女の声。
「フレズ!? どうしたのそんなにボロボロになって!? 誰にやられたの?」
 抱き着いてきたボロボロのフレズローゼの姿に、なりを潜めていた櫻宵の心の鬼が目を覚ます。
「櫻宵、迎えにきたよ!」
「あたしがすぐ首をはねて――」
「ボクは大丈夫! 首はいい! それよりボクに刀を教えて!」
「えっ!?」
 彼女の申し出に虚を突かれ、剣の鬼は姿を消す。
 フレズローゼは櫻宵から離れて、子供用の木刀を持つと。
「道場にいったんだけど全然ダメだった」
 とぎこちない動作で剣を振れば。
「ボクだって櫻宵を守れるように強くなりたいんだ!」
 力強く叫ぶフレズローゼ。
 その姿に木龍は微笑んで優しい絵を描く少女の手を優しく握る。
「フレズ――まず刀の持ち方からなってないわ。あたしが教えてあげる。それからリベンジよ!」
 指さすのはあさっての空。まだ夕日になっていないのはご愛敬。
 その姿にフレズローゼは笑い
「櫻宵はボクのお師匠様だね」
 とほほ笑んだ。
 少女が見上げる男の剣鬼の相が彼女には不安だった。
 でも大丈夫と心で呟く。
 だってボクと櫻宵だから! キミが誤らないようにそばにいるよ。
 と強く心に決める。

 少女の見つめる視線に木龍も己を戒め、墓石を顧みる。
 道を誤れば明日は我が身、けれど……。
 フレズの笑顔に己を戒めて、この子と歩む今を大切にしましょ。
 二人が頷き合えば、もう一度だけ墓に手を合わせて、明日へと歩いて行った。
 ――そう、二人で。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

戦場外院・晶
【WIZ】

「チャンバラは得意ではありません……お墓を参りに行きましょう」

町の外れのお墓まで、静々と足を運びます

「世の中は、常かくのみと、かつ知れど、痛き心は忍びかねつも……いけません、どうも悲しい歌を……」

最近覚えた和歌など口ずさみながら、丁寧にお墓を手入れします
此方の作法には疎いですが、だからこそ気持ちを込めまして

遠くから、丁々発止、喧々諤々の祭りが響いて来ます

……そうですわね

「よそなれど、おなじ心ぞかようベき、誰も思いの一つならねば……この歌」

止まず振られる、刃を思う
此処に散った亡霊達を思う
猟兵を思う

男も女も、誰も彼も、生者も死者も
……自分が何者かを決めるのは

「心、一つでございましょうや」



●亡霊剣豪七番勝負、閉幕
 遠くから、丁々発止、喧々諤々の祭りが響くのを耳にしながら、異邦の聖女、戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う・f09489)は墓地へと歩く。
 チャンバラは苦手な自分が無手で入り込むのは無粋と感じたのと、どうしても見て行きたいものがあったから。
「世の中は、常かくのみと、かつ知れど、痛き心は忍びかねつも……いけません、どうも悲しい歌を……」
 既に酒と彼岸花を添えられた墓を手入れしながら、口ずさむ歌に後悔する。
 勿論、異邦の宗派の彼女にとって、こちらの墓の作法は疎い、だからこそ気持ちがこもる。
「よそなれど、おなじ心ぞかようベき、誰も思いの一つならねば……この歌」
 続けて歌うのは、あの時の想い。
 止まず振られる刃、此処に散った亡霊達、そして猟兵達。
 男も女も、誰も彼も、生者も死者も。
 ……自分が何者かを決めるのは。
「心、一つでございましょうや」
 そう呟けば、聖女は胸に手を当てて墓へと祈りを捧げた。


 ――亡霊剣豪七番勝負、これにて閉幕。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


挿絵イラスト