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アリスラビリンスのごくごく普通な不思議の国にて。
でっかい本棚を背負った男が何やら独り言を呟いて、もとい叫んでいた。
「ブレブレブレ、頭を垂れよ下郎共! 吾輩は汝らの新たな大首領となる者だ! これからどうぞよろしくお願いします! ……うーむ、こんな感じでいいかな」
今の台詞はいい感じだっただろうか。ちょっと尊大すぎるだろうか。あと「ブレブレブレ」って笑い声なんだけど伝わるだろうか。
自分の言葉を反芻しつつ、男はぐっと気合を入れる。
大きな仕事を任されているのだ。ここは完璧に果たさなくてはならない。
後ろの本棚では「スーパー怪人大全集(全687巻)」の背表紙がつやつやと煌めき、今か今かと開かれる時を待っている。
そう、今こそ自分が活躍すべき時。
あの愉快で楽しい近未来リゾートを征服してやる時なのだ。
「だがそれには、怪人達の協力が必要不可欠。彼等に失礼の無いよう、練習を続けなくては……ゴホン、あー、ブレブレブレ……!」
再び独り言を呟きつつ、その男――『キング・ブレイン』は自分の出番を待ち望んでいた。
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「集合お疲れ様。今回も強敵との戦いだよ。皆には『キング・ブレイン』の討伐をお願いしたい」
レン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)は集まってきた猟兵達へと早速説明を始めていく。
「彼はキマイラフューチャーを任された猟書家の一人。このまま彼を放っておけば多分きっとキマイラフューチャーは大変な事になるんじゃないかな……?」
レンの言葉は曖昧だが、『キング・ブレイン』の狙いは分かっている。
彼は自身の所持する「スーパー怪人大全集(全687巻)」を使い、キマイラフューチャーの怪人達をスーパー怪人に改造しようと企んでいるようだ。
それで何が起きるかは分からないが、悪い事をしようとしているなら防いだ方がいいだろう。
「キング・ブレインが潜んでいるのはごく普通の不思議の国だね。これといって地形的な特徴がない分、シンプルな実力勝負になるだろう。相手のノリはその、キマイラフューチャーっぽいけれど……強敵なのは間違いないから」
先程の説明時には苦笑いを浮かべていたレンだが、敵の説明ともなれば表情は真剣なものへと変わっていく。
「『キング・ブレイン』も先制攻撃はしてくるよ。彼の放つユーベルコードを耐え凌いでから反撃して欲しい。攻撃方法は……っと」
『キング・ブレイン』が扱うユーベルコードは3つ。
『侵略蔵書を使った自己強化と巨大化』『巨大な本棚を投げつけ、その時の相手のリアクションを観察する事による連撃』『詠唱時間に比例する威力をもった脳ビーム』だ。
かなりコミカルな雰囲気が出ているが、その威力はどれも絶大。対策なしに受ける事は避けた方がいいだろう。
「キング・ブレインは面白い相手に見えるけれど、書架の王に認められた存在だ。大変な戦いになるだろうけど……皆ならきっと大丈夫だね。それじゃあよろしくお願いするよ」
ささかまかまだ
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プレイングボーナスの条件は「敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する」です。
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こんにちは、ささかまかまだです。
再び猟書家戦です。
ノリはコミカル寄りかもしれませんが、判定自体は難易度相応です。がんばりましょう。
シナリオの難易度が【やや難】となっているのでご注意下さい。
また、敵は猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
これにどう対応し、どう反撃するかを工夫する事でプレイングボーナスとなります。頑張って狙ってみて下さい。
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オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。断章の追加はありません。
シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
それでは今回もよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『猟書家『キング・ブレイン』』
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POW : 侵略蔵書「スーパー怪人大全集(全687巻)」
【スーパー怪人大全集の好きな巻】を使用する事で、【そこに載ってる怪人誰かの特徴ひとつ】を生やした、自身の身長の3倍の【スーパーキング・ブレイン】に変身する。
SPD : 本棚をバーン!
【突然、背中のでかい本棚を投げつけること】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【リアクションをよく見て身体特徴】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : 脳ビーム
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【脳(かしこさを暴走させる)】属性の【ビーム】を、レベル×5mの直線上に放つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ネーヴェ・ノアイユ
これはまた凄い方……。ですね……。ところで……。そのブレブレブレというのは……。笑い声……。なのでしょうか?
ブレイン様の放つ光線を全力魔法にて作りあげた氷壁にて一瞬でも受け止め……。その間に横へところりと転がることで光線の直線状から回避します。
再度氷壁を展開し……。此度はUC化もさせておきますね。それと同時に……。icicle scissorsを作成。距離を縮めるチャンスとしてもう一度ブレイン様が光線を放つそのタイミングを待ちます。
放たれた光線をUCにて無効化しながら直進し……。ブレイン様。見たところ長身そうですし……。その分足元を狙いやすそうなので弁慶の泣き所辺りを鋏で強打しておきますね。
●
不思議の国に響き渡る奇妙な笑い声。その声を発す奇妙な怪人キング・ブレイン。
奇妙な猟書家を前にしてネーヴェ・ノアイユ(冷たい魔法使い・f28873)は目を丸くしていた。
「これはまた凄い方……ですね……」
「む、猟兵か。吾輩に勝負を挑みに来たのだな、ブレブレブレ!」
「……そのブレブレというのは……笑い声、なのでしょうか……?」
「おお、分かってくれたか! 貴様はいいヤツだな! だが倒す!」
唐突に大決戦は始まるものだ。
キング・ブレインは何かをぶつぶつ呟きながら脳の部分を激しく輝かせていき――次の瞬間、凄まじい光線が発射された!
ネーヴェも急いで呪文を詠唱し、自分の前方に氷の壁を生み出していく。
けれど光線が当たった部分からは白煙があがっており、突破されるのも時間の問題だろう。
「ですが、直線上なら……!」
氷が突き破られる直前、ネーヴェは身体を大きく傾け転がりだした。直後、彼女が立っていた場所をビームが一気に通り過ぎていく。
しかしキング・ブレインもネーヴェが無事な事にはすぐ気付いたようだ。
様子がおかしくとも相手が手練である事には変わりない。どんどん対策を練っていかなければ。
「ムム! 逃げられてしまったか、だがもう一度……」
キング・ブレインはすぐさま二度目の脳ビームを放とうとしている様子。先程よりも出力を上げるためか詠唱時間も長めのようだ。
その間にネーヴェもユーベルコードを発動し、さらなる守りを固めていく。
「一つになれば全てを守る煌めきの盾」
『六花の万華鏡』によって生まれる氷鏡は簡単には打ち破れない。次の準備をするまでの時間だって稼げるはずだ。
ネーヴェは手元に魔力を集中させ、大きな氷の鋏を作り上げた。
「行くぞ! 脳ビーム!!」
ネーヴェの準備が整う頃に二度目のビームが発射された。
威力も先程より上がっているが、氷鏡を打ち破るまでには至らないようだ。
それを確認し、ネーヴェは盾と共に前へと駆ける。まっすぐに、ただひたすら敵の元へ。
「何っ! もっと出力を上げなければならなかったか……!」
「いいえ、どれほどの攻撃でも私の盾は防いでみせます。そして……ブレイン様を倒します……!」
氷鏡が溶かされるより早く、ネーヴェはキング・ブレインの後方へと駆け抜ける。
そして氷の鋏を強く握り、しっかりと敵へ狙いを定めて。
「遠くから見ていても……その足、狙いやすそうでしたし……」
ネーヴェは鋏を全力で振りかぶり、キング・ブレインの足――というか弁慶の泣き所を全力で殴った。
それはもう凄い勢いで、フルスイングで殴った。
「あ゛あぁぁ゛あ゛あぁ゛!?」
「これも世界を守るため……ご容赦下さい……」
不思議の国に鳴り響く凄まじい悲鳴を聞きながら、ネーヴェはしっかりと役目を果たしていった。
成功
🔵🔵🔴
レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
ぶれぶれぶれ……?
子猫に変身。肉球で足音を消し、ミュージックエナジーによる音で敵を攪乱、狙いを絞らせないにゃ。
コッチに来るビームは髭感知で【見切り】、呪いの【オーラ防御】を纏った肉球でくるりふわりと【ダンス】を舞う様に【武器受け】流していくにゃ。
……というか威力。どこまであがるのかにゃあ?上手く反撃が決まったら気持ち良さそ。子猫は気分、にゃんくるにゃいさー……ぁ。
派手な一撃を貰い「やったか!?」の感情を【おびき寄せ】たら【猫転竜生】。
負傷無効化による回復と共に真の姿が解放された状況で【おどろかす】ことで生まれた隙に【限界突破】のドラゴンブレス「妖精竜の煌球」を放つにゃ。
●
「ぶれぶれぶれ……って何なんだにゃ?」
「笑い声だ! ブレブレブレ!」
相対した珍妙な存在に小首を傾げつつ、レフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)は決戦へ挑む準備をしていた。
キング・ブレインがビームの詠唱をしている隙に子猫へと変身すると、小さな肉球で軽やかに地面へと着地。
そのままミュージックエナジーで楽しい音楽を奏でつつ、レフティは周囲を駆け回り始めた。
「捕まえてみるんだにゃ」
「ムム、的が小さいな。だが吾輩のかしこさにかかれば簡単に撃ち抜けるだろう、行くぞ!」
相手が子猫の姿をしていると分かれば、キング・ブレインも対策を取ってくる。
彼が放つのは小刻みなビームの乱射だ。威力よりも数を優先した攻撃がレフティを追い込もうと迫りくる。
「そんなのじゃ捕まらないにゃ!」
危ない予感はお髭で察知、自分が生み出す物音は最小限にして誤魔化して。
ぷにぷに可愛い肉球で音を殺しつつ、愉快な音楽に合わせてレフティは更に戦場を駆ける。
「子猫は気分、楽しいにゃあ。ちょっとずつ威力が上がってるのが怖いけど……どこまであがるのかにゃあ?」
おかげでビームは回避出来ているが、それだけでは決定打になり得ない。
上手く反撃が決まったら気持ちよさそうだが、どう動くべきだろう。
むしろどんどん動きは誘導されて追い込まれている予感すら感じさせる。
それを実証するかのように――微かに生まれた隙を利用し、キング・ブレインは今までで最高火力の脳ビームを放ちだした!
「にゃんくるにゃいさー……ぁ」
うっかりその光の中へと突撃してしまうレフティ。着弾点からは爆煙が巻き上がり、すぐに静寂が訪れる。
「ブレブレブレ……やったか!?」
安堵したような、けれどちょっと不安も滲み出ているキング・ブレインの声。
これこそがレフティの仕込んだ罠だと彼は気付いていない。
「あの日の続きを夢見て、子猫の導き手は踊る――あの日の続きを夢見て、子猫の導き手は踊るあの日の続きを夢見て、子猫の導き手は踊る」
「な、何ィ!? やれてないではないか!」
黒煙の中から柔らかな声が聞こえてきたのを理解し、キング・ブレインはすぐさまビームを再充填させていく。
けれどもう遅い。子猫は既に真の姿を解放し、妖精仔猫竜へと転じているのだから。
「今度は僕の番だにゃ」
レフティは煙の中から飛び出して、一気に敵へと距離を詰める。
相手が驚いた隙に放つのは全力のドラゴンブレスだ!
凄まじい熱と輝きは怪人も飲み込んで、その身体をしっかりと焼き焦がす。
「やっぱり僕の方が上手だったにゃあ」
その様子を眺めつつ、レフティはにんまりと笑みを浮かべていた。
成功
🔵🔵🔴
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
…派手で愉快な大首領さんだね
倒すには惜しいけど…でもまぁ…倒させてもらおうか…
巨大化した敵の攻撃を[視力で見切り、ジャンプとダッシュ]で回避に専念しよう
大図書館で読んだ正義の書には巨大化は負けフラグという諺が載っていた…
故に…貴様の命運はもう決まった…
これから貴様が向かうのは…敗北という結末だ!
敵の股下を潜ると同時に鎖の鞭を足首に巻き付け[捕縛]
[怪力]で引っ張り転倒させて[体勢を崩そう]
【処刑執行】で真の姿に変身
鉄塊剣を振るい[力を溜め、重量攻撃と鎧砕き]で敵の頭部を叩き割ってやろう…!
●
猟兵達からの攻撃を受けてもキング・ブレインはノリを変えない。ダメージが着実に蓄積しているがブレブレも続けている。
そんな彼の姿を見て、仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)はこう評した。
「……派手で愉快な大首領さんだね」
倒すにはちょっと惜しい。もうちょっと愉快な様を見ているのも悪くない。キング・ブレインにはそう思わせる不思議な魅力があった。
「でもまぁ……倒させてもらおうか……」
「貴様も勝負を挑みに来るか! 良いだろう!」
アンナが鎖の鞭を握りしめたのを確認すれば、キング・ブレインも手にした本の頁を開く。
すると彼の身体はたちまり巨大になっていき、頭には輝く角が生えていくではないか。
「ブレブレブレ、これぞ我が侵略蔵書の力だ!」
「その角はなんだろう……それはともかく……」
ぼんやりとしていたアンナだが、敵が臨戦態勢を取った瞬間鋭い殺気を身に纏う。
キング・ブレインは巨大化した身体でアンナを潰そうとしてきたようだ。
無駄にスタイルの良い巨大な足がのそりと迫りくるが、動き自体は見切る事が可能だろう。
「大図書館で読んだ正義の書には『巨大化は負けフラグ』という諺が載っていた……故に……貴様の命運はもう決まった……」
アンナはすぐさま後方に飛び退いて、改めてしっかりと鎖を握り込む。
やるべきことはただ一つ。目の前の敵を倒すのみ。
「これから貴様が向かうのは……敗北という結末だ!」
「ほう、やってみるがいい!」
再びキング・ブレインの足が動き出すより早く、アンナは敵の足元へと駆け出した。
同時に鞭を手繰れば、先端の鉄球が生きているかのようにうねりつつ怪人の足へと巻き付いていく。
「ふん、その程度の攻撃で吾輩が……」
「……舐めるな」
一瞬余裕を見せたキング・ブレインだが、すぐに情けのない悲鳴をあげる事になるだろう。
何故ならアンナが見た目よりも力強く――彼女が全力で鎖を引けば、そのまま自分が引き倒されるなんて思わなかっただろうから。
「何ィ!?」
「貴様の判決は……処刑! 処刑だ!! 今すぐに執り行う!!!」
敵を自らの手で討ち斃す。炎獄の執行人としての誓いを胸に、アンナの身体は真の姿へと変わりゆく。
燃え盛る炎を纏った赤髪の処刑人は錆色の乙女を握りしめ、倒れ伏した怪人の頭上へと飛び上がった。
「――処刑執行だッ!!」
鎧をも砕く一撃がキング・ブレインの頭部へ叩き込まれ、凄まじい破壊音が不思議の国に鳴り響く。
アンナの齎した断罪の一閃はしっかりと悪を企む怪人へと振り下ろされたのだ。
大成功
🔵🔵🔵
フェルト・ユメノアール
キングブレイン、なんかアホっぽい敵だけど油断は禁物!
キマイラフューチャーを守る為にも負けられないよ!
とにかく初撃を躱さないと……!
『トリックスターを投擲』、相手の詠唱と発射を妨害して狙いを逸らし
さらに横に飛び退く事でビーム攻撃を回避
問題はここから、相手と一定の距離を保ち
それが全力?そんなしょぼいビームじゃボクは倒せないよ
と挑発、相手のビームを誘ってカウンターのUCを発動する
さあ、夢幻の射手のご登場だ!現れろ!【SPトリックシューター】!
さらに、トリックシューターの効果発動!
周囲の飛び道具を吸収して、相手に矢として打ち返す!
反撃に相手が怯んだ所で一気に接近、すれ違い様にトリックスターで一閃するよ
●
「ブレブレ……猟兵達は手強いが、吾輩もまだまだ負けておらん!」
頭部に入ったヒビを撫でつつキング・ブレインは立ち上がる。
その様子を見遣るフェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)の表情は真剣だ。
「なんかアホっぽい敵だけど油断は禁物だね。キマイラフューチャーを守る為にも負けられないよ!」
「いいや、あの世界は吾輩のものとなるのだ!」
キング・ブレインは呪文の詠唱を始め、一発目の脳ビームを撃とうと構える。
このまま詠唱を続けられればそれだけ攻撃の威力は上がってしまうだろう。
対処出来るうちにしておくのが賢明だ。フェルトは投擲用ダガー『トリックスター』を取り出して、怪人の方へと狙いを定めた。
「キミの好きにはさせないよ!」
「何だと!?」
フェルトが勢いよくトリックスターを投げつければ、キング・ブレインも対応せざるを得ない。
詠唱がキャンセルされると同時にかなりの威力のビームが発射されるが、フェルトはするりと身を翻して回避していく。
けれど彼女の表情に油断の色はない。戦いはこれからだ。
「おのれ、今度こそ全力ビームだ!」
キング・ブレインが再度の詠唱を試みたのを確認し、フェルトは勢いよく走り出す。
敵との距離は一定に保ちつつ、回避出来る方向は常に確保出来るように気をつけての走行だ。
あとはビームのタイミングが分かれば対処しきれるだろうが――もちろんそのための策もある。
「さっきのビームもだけど、それがキミの全力? そんなしょぼいビームじゃボクは倒せないよ!」
「うるさいぞ小娘が!」
フェルトが煽るように声をかければ、それに合わせてキング・ブレインも再度の脳ビームを発射していく。
先程よりも威力は上昇しているが、このタイミングの攻撃ならば落ち着いてカウンターを返す事も可能だ。
「さあ、夢幻の射手のご登場だ! 現れろ! SPトリックシューター!」
フェルトは腕のソリッドディスクを高く掲げ、周囲に不思議な力場を生み出した。
力場によって書き換えられたビームはフェルトの身体へ入り込み、すぐに矢のような形で再形成されていく。
「な、吾輩のビームが!」
「これはちゃーんとお返しするよ――こうやってね!」
フェルトが腕を銃のように突き出せば、光の矢はまっすぐに怪人の方へと飛来する!
だが……光の矢はギリギリの所で回避されてしまったようだ。キング・ブレインは目を細め安堵の息を吐いていた。
「危ない危ない……だが貴様の策は失敗だな!」
「――ミスディレクションは道化師の基本だよ!」
勝利のドヤ顔を決めていた怪人だが、彼の顔はすぐ驚愕の色へと染め上げられていく。
何故ならフェルトが彼の側まで駆けつけていたからだ。彼女は光の矢に紛れつつ、敵の元へと駆けつけていたのだ。
「これで……終わり!」
すれ違い様に振るわれるのはトリックスターの輝く一閃。
夢見る道化師の少女は悪しき大首領候補に真のエンターテイメントを叩きつけてやったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
メイスン・ドットハック
【SPD】【絆】
いや、そんなでかい本棚持っているってどうよ?
怪人マニアってレベルじゃないのー
先制対策
背中のでかい本は一つなので、自身とエィミーのホログラムアバターを大量に発生させることで攻撃対象を増やし、命中させないようにする
あとスーパー怪人大全集を減らす目的で、ホログラムの中に焼夷地雷も仕込ませておき、涙目&心理的動揺を誘う
先制後はUC「迷宮主の領域に踏み込みし権能」を発動、自身の劣化コピーを大量発生させる
そして半分はエィミーが飛ばした本棚で電脳魔術による焼夷ミサイルの嵐を、自身と半分は電脳魔術による電撃ミサイルを集中砲火して攻撃する
炎と電撃で一回生まれ変わってくるといいのー
アドリブ絡みOK
エィミー・ロストリンク
【SPD】【絆】
いや、本が好きなのはわかるけど本棚!?
わたしもさすがに本棚は持ってこないよー!
先制対策
自身やメイスンに直撃しないように、ロード・プラチナの宝冠を発動状態にしておき、本棚が飛んできた場合は、超硬装甲を展開して直撃を防ぐ
2度目は超硬装甲の上に、絆律鍵ロスト・リンクのメガリス合成起動の効果で、ラクチェの要石の鉄水を混ぜ合わせることで耐久力を上げて凌ぐ
先制後はUC「失われた絆を繋ぐ姫君」発動で自身の能力を6倍に強化
持前の怪力で黒竜大斧ベルセルクを操り、投げつけてくる本棚にバッティングを合わせるように激突させ、空中へと打ち返す
これがベルセルクホームランだーー!
アドリブ絡みOK
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「ブレブレ……吾が侵略蔵書も脳ビームも通用せんか……こうなったらこれしかない!」
戦いが進む中、突如背後のどでかい本棚を構えるキング・ブレイン。そんな彼の姿を見て二人の猟兵が呆れたように顔を見合わせていた。
「いや、そんなでかい本棚持っているってどうよ? 怪人マニアってレベルじゃないのー」
「いや、本が好きなのはわかるけど本棚!? わたしもさすがに本棚は持ってこないよー!」
メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)とエィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)の義姉妹は苦笑いを零しつつ、目の前でハッスルする怪人へと視線を向ける。
状況はコミカルだが油断は禁物。何故ならあの本棚、いつ飛んでくるか分からないからだ。
「備えは万全にしとかんといかんのー」
「こっちも大丈夫だよ!」
メイスンが電脳魔術を発動すれば、周囲に義姉妹のホログラムが大量に生み出されていく。
エィミーも敵の攻撃に備え、装備していた王冠のメガリス『ロード・プラチナの宝冠』を起動していた。
「何ッ! 分身か……だが全部やっつければ問題ない!」
二人の様子を確認し、キング・ブレインも負けじと動き出したようだ。猟兵達の元へいきなりどでかい本棚が飛来する!
その衝撃と風圧が次々とホログラム達を薙ぎ倒していくが、メイスンとエィミーは無事だ。
メガリスが生み出す超硬装甲が二人の少女を守ってくれているからだ。
「奇妙な装備だな。だが貴様らの反応、覚えたぞ!」
キング・ブレインもめげてはいない。今度は装甲の上から二人を押しつぶせるように、より大きな本棚を投げようとしている様子。
「こっちの仕込みは終わったのー。エィミー、そっちも大丈夫かのー」
「うん、任せて!」
そこでエィミーが取り出したのは『絆律鍵ロスト・リンク』と宝珠型メガリス『ラクチェの要石』だ。
絆律鍵が宝冠と要石の力を混ぜ合わせれば、二人の周囲には金属のように輝く海水が展開される。
再び投げ込まれた本棚が投げ込まれれば、海水は超硬装甲へと転じて猟兵達を守り抜く。
「もう一度……ドーン! これで貴様らはぺしゃんこだ!」
「……そんなことないよ! ほら、大丈夫!」
先程よりも大きな本棚が投げ飛ばされても、より強固な守りを打ち破る事は不可能だ。
衝撃は凄まじく、周囲のホログラムもさらに吹き飛ばされていくが――その瞬間、メイスンがにやりと笑みを浮かべていた。
「僕の事も忘れないで欲しいんじゃのー」
吹き飛ばされたホログラム達の様子がおかしい。彼女達の内側から何かが弾け、それが本棚を燃やし始めたのだ。
仕込まれていたのは焼夷地雷。予想外の出来事にキング・ブレインも半泣きになっている。
「う、うわ! びっくりした! 危ないぞ!」
「危ないのはそっちだよ!」
思わずツッコミを返すエィミーの横で、メイスンは更に電脳魔術を展開していた。
「僕だって迷宮の主。こんな魔術も扱えるんじゃのー」
アルダワの迷宮で手に入れたアメジストを媒介に発動するのは『量産』の魔術。
メイスイの周囲には彼女の劣化コピーが姿を現し始めていた。
「むむ、また分身か!」
「わたしももっと頑張るね! 皆、力を貸して!」
エィミーも『黒竜大斧ベルセルク』を担ぎ上げ、自身の能力を発揮していく。
彼女はメガリスととても相性がいい。どんなメガリスだろうと、エィミーが扱えば通常よりも強い能力を発動出来るのだ。
握りしめた大斧は眩いオーラを帯びていき、どこか危険な雰囲気も発している。
「ええい、たかが子供二人に手間取るとは……今度こそ潰してやるぞ!」
キング・ブレインも負けじと本棚を構え、どんどん投げつけてきたようだ。
けれど先程の攻撃よりかは見切りやすい。落ち着いて対処すればきっと大丈夫だ。
「メイスン、後ろで準備してて!」
「前は任せたのー」
本棚の投擲に合わせ、エィミーが一歩前へと踏み出す。そして大斧を構え、飛んでくる本棚へと振りかぶれば――。
「これがベルセルクホームランだーー!」
大斧は見事に本棚を打ち返し、キング・ブレインの元まで吹っ飛ばす!
そこですかさずメイスンと彼女のコピー達も詠唱を始め、周囲に電脳空間を展開し始めた。
「コピーのうち半分は本棚の書き換えを。残り半分は僕と一緒に魔術を発動するんじゃけー」
空間ハッキングにより、吹き飛ばされた本棚は焼夷ミサイルへと姿を変える。
予想以上のスピードで飛来するミサイルにキング・ブレインも思わず目を丸くしていた。
「わーッ! 吾輩の本棚がーッ!!」
「飛んでくるのは本棚だけじゃないのー」
ミサイルの回避に夢中になる怪人へ、メイスン達は更に電撃ミサイルを飛ばしていく。
凄まじい勢いで飛来する諸々によりキング・ブレインは見事に爆発。めっちゃ吹き飛ばされていった。
「お、お、おのれーッ!!!」
「炎と電撃で一回生まれ変わってくるといいのー。エィミーはありがとうじゃのー」
「本が好きなら本棚だって大事にしないと駄目なんだよ! メイスンもありがと!」
黒煙の中でぷすぷすと焼かれる怪人を見遣りつつ、ロストリンク姉妹はハイタッチを交わすのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
蔵方・ラック
敵が詠唱を始めると同時に
キマフュによく行く自分から言わせればいきなり下郎共呼ばわりは怪人といえども不快に思うかもしれないでありますねー!それからキマフュではとにかくノリと勢いが大切でありますから!もっとテンションを上げてパンチを効かせていかないと、クセの強い怪人たちを束ねていけるか疑問であります!あーこうしてブツブツ言っている間にも勉強の時間が無くなってしまーう!
などと有識者面して大声で不安を煽るように精神攻撃
詠唱時間が短くなるように邪魔してみる
ビームはUCの装置を起動して防御し、反射するように収容、放出!
脳ビームって何であります?脳波??
とりあえずお返しするでありますよ!!
●
「もういい加減にして欲しいぞ!!」
ボロボロになりつつも立ち上がるキング・ブレイン。彼はめげずに脳ビームのための詠唱を始めている様子。
そこにすかさず割り込んできたのは義肢の青年、蔵方・ラック(欠落の半人半機・f03721)だ。
「ちょーっと待つのであります!」
「うぉっ!? なんだ!?」
突然の参戦者に怪人は驚いているものの、詠唱を止めるまでは至らない。
けれどラックの言葉も止まりはしなかった。
「最初の演説にちょっと言いたいことがあるのであります! キマフュによく行く自分から言わせればいきなり下郎共呼ばわりは怪人といえども不快に思うかもしれないでありますねー!」
「え、そうなの……? 偉そうだからいい感じだと思ったんだが……みんなこういうの好きじゃないの……?」
「そんな訳ないのであります! それからキマフュではとにかくノリと勢いが大切でありますから! もっとテンションを上げてパンチを効かせていかないと、クセの強い怪人たちを束ねていけるか疑問であります!」
「吾輩精一杯なんだけど? だいぶテンアゲにやってるんだけど? これでも駄目なのか?」
「そうやってネガティブになっているのも駄目でありますね! こうしてブツブツ言っている間にも勉強の時間が無くなってしまーう! ほらほら頑張ってもっと良い演説を考えるのであります!!」
矢継ぎ早に投げ込まれるラックの指摘。それはキング・ブレインの集中をかき乱すには十分だ。
結果として詠唱は中途半端、怪人のやる気も空回り。脳ビームは微妙な威力のまま放たれる事となる。
「この威力ならいけるのであります。確保! 収容!」
すかさずラックが構えたのは特殊なミラーシールドだ。
UDC組織が作ったこの装置なら危険な怪物だけでなく、敵が放ったユーベルコードすら収容可能。
脳ビームはシールドの中にしゅるりと収まりきらきらと瞬いていた。
「あー! 吾輩のビーム!」
「……そもそも脳ビームって何であります? 脳波??」
「脳ビームは脳ビームだ! 脳属性だぞ、かしこさを暴走させるのだぞ。どうだ、すごいだろう!」
「よく分からないのであります。とりあえずお返しするでありますよ!! 放出!!」
「ア゛ァア゛アァ゛ァ゛!!」
シールドから改めて跳ね返されたビームはキング・ブレインを貫いて、彼のかしこさを暴走させていく。
そのショックで頭を押さえてびたびたと跳ねる怪人!
ラックはその様子をなんとも言えない表情で見つめていた。
「……とりあえず危険物なのは分かったのであります! どうにか出来てよかった!」
めでたしめでたし。
成功
🔵🔵🔴
枯井戸・マックス
◇心情
「配下に気を使えるのは、上に立つ者にとって重要な才能だ。あんた、なかなかいい首領になりそうだ。だからこそ行かせるわけにはいかねえな」
◇POW先制対応
キング・ブレインの選んだ怪人の特徴を見極め、もしくは聞き出しそれに適した星座武装(オリジナル武装)を召喚
超過駆動させて放つ【属性攻撃】で防ぐか躱す
【武器受け、見切り、コミュ力、情報収集】
◇UC
手にした武装の力を引き出す星座鎧を召喚武装
先の動きを予測して足取りに緩急をつけながら詰め寄り、足元から攻撃する
「巨大化は派手だが命取りだ。死角は増え急所は広がる」
【第六感、フェイント、捨て身の一撃、一斉発射】
「なにより、巨大化は死亡フラグっていうだろ?」
●
「おのれ……吾輩、まだ怪人達への挨拶すら決まっていないのだぞ……」
頭部を押さえながら、キング・ブレインはよたよたと立ち上がる。
恐らくあと少しで彼を倒す事が出来る。最後のひと押しを行うべく、新たな猟兵が不思議の国へと足を踏み入れた。
「配下に気を使えるのは、上に立つ者にとって重要な才能だ。あんた、なかなかいい首領になりそうだ」
「え、褒めてくれるの……じゃなくくて、何者だ貴様!」
「俺はしがない喫茶店のマスターさ。あんたは良い上司になれそうだから――だからこそ行かせるわけにはいかねえな」
輝く宝玉を片手に現れたその猟兵、枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)はキング・ブレインを鋭く睨む。
相手の口調こそコミカルだが、実力も首領としての才能もきっと素晴らしいものだろう。だからこそ、絶対にここで倒さなくては。
「ふん、吾輩の侵略蔵書を見ても大口を叩けるかな?」
キング・ブレインは背後の本棚から一冊の本を取り出すと、すぐさまその力を発揮させていく。
黄金の光が周囲に溢れ、キング・ブレインの身体はどんどん大きくなっていくのだ。
更に怪人の身体は黄金の鎧に包まれていた。恐らく侵略蔵書に記されている怪人のものだろう。
「ふはは! これで貴様なんぞ簡単に踏み潰してくれるわ!」
「なるほど。大層なものだな」
キング・ブレインが纏った鎧は頑丈そうだが、だからこそどこかに弱点があるはずだ。
マックスは瞬時に相手の姿を観察し、必要な武装を選択していく。
「星辰の導きに従い来たれ! 召喚武装(サモンアーマー)!」
手にした宝玉『磨羯宮サモンズアイ』が煌めけば、そこから姿を現すのはレーザーバリスタ『人馬宮デッドリーアロー改』。
こちらを踏み潰そうと迫る怪人へと銃口を向け、的確に狙いを定めれば――放たれた光線は鎧の隙間へと入り込み、敵の動きを止めていく。
「なんだっ!?」
「巨大化は派手だが命取りだ。死角は増え急所は広がる」
敵が怯んだ隙にマックスも鎧を身に纏う。彼が着込むは人馬宮の鎧、遺物の力を更に大きく引き出してくれる。
地面を蹴り、次に目指すは敵の足元。キング・ブレインもばたばたと暴れているが、先程よりも動きは見切りやすかった。
「今のあんた、良い的だぜ」
「ぐぬ、おのれ……今度こそ潰してやろう!」
キング・ブレインもなんとか体勢を立て直したが、マックスが狙撃地点に立つ方が早かった。
デッドリーアローの銃口に凄まじい光が集まり、今か今かと放たれる時を待っているのだ。
「なにより、巨大化は死亡フラグっていうだろ? という事で俺様達の勝ちだ」
別れの挨拶と共に放たれた光線は星のように駆け抜けて、キング・ブレインの身体を見事に撃ち抜く。
その衝撃はキング・ブレインが蓄積してきたダメージにも伝わって、彼の身体は粉々に砕け散った。
●
これにてこの戦いは終わりだ。
猟兵達はそれぞれが全力を発揮し、見事に強敵を討ち倒した。
この一戦がアリスラビリンスも、キマイラフューチャーも救う一歩になるはずだ。
その実感を得ながら猟兵達も次の戦いへと向かっていくだろう。
成功
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