0
迷宮災厄戦㉒〜純白の草原にて預言書はかく語りき

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #クルセイダー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#戦争
🔒
#迷宮災厄戦
🔒
#猟書家
🔒
#クルセイダー


0




●アリスラビリンス・白い十字架が立ち並ぶ純白の草原
 ――無数の白き十字架が立ち並ぶ、純白の草原にて。

「ぱらいそ預言書」はかく語れり。
 あるじ死すとも、魔軍転生は死なず。
 選ばれし者に宿るなり。

 かつて徳川が私を恐れ、殺そうとしたのは、私が選ばれし者だったから。
 ですが私は逃げ延び、魔軍転生を得た。
 すべては、預言書の思し召し。

「ぱらいそ預言書」はかく語れり。
 望むと、望まざるとに関わらず。
 魔軍将は選ばれし者に集うなり。

 オウガ・オリジンから奪った力があれば、私は魔軍転生で万の軍勢を「憑装」できます。祖父の秀吉を含め、信長が揃えた見事な「魔軍将」を、私の軍に用いましょう。
 無論、目指すは「サムライエンパイア」。
 まずは、魔空安土城の堕ちた島原で、乱を起こしましょう。
 すべては、預言書の思し召し……。

 侵略蔵書と十文字槍を携え。
 猟書家「クルセイダー」は、草原の真ん中でただ静かに猟兵を待ち受ける。

「ぱらいそ預言書」は語る。
 ――かつて魔軍将たる祖父を打ち破った猟兵との戦は不可避、と。

●猟書家「クルセイダー」を撃破せよ!
 慌ただしさを増すグリモアベースの中で、グリモア猟兵館野・敬輔は、白く明滅する丸盾のグリモアを背に語る。
「猟書家「クルセイダー」が姿を見せた」
 騒めく猟兵たちを前に、敬輔は静かに、微かに怒りを滲ませながら話し始める。

「俺に視えたのは、白き十字架が立ち並ぶ純白の草原に佇む少年の姿」
 猟兵たちを待ち構えるように佇む、どこか影を漂わせる金と黒の髪の美しい少年こそ、猟書家「クルセイダー」本人。
 その右手に携える侵略蔵書「ぱらいそ預言書」は、クルセイダーに未来視の力を与え。
 その左手に携える十文字槍「人間無骨(にんげんむこつ)」は、触れた人間の骨を融かす光線を放つ、怖ろしい力を携える。
 さらに豊臣秀吉の孫と自称するからか、かつて「第六天魔王」織田信長が見せたように秀吉を憑依させ召喚する力をも操る。
 ――オウガ・オリジンの力で強化されていることを差し引いても、強敵だ。
「俺らの力も高まっているが、猟書家の実力は未だ俺ら猟兵を遥かに上回る。先手を取られるのは避けられない」
 先制攻撃で確実に一撃を与えんとするため、技能や行動力、思い切った戦略で凌ぐ必要があるが、最初の一撃を凌げば、光明は見えてくるはずだ。
「危険は承知しているが、俺は皆の力を信じて、クルセイダー討伐を依頼する。頼めるだろうか」
 頭を下げる敬輔に、猟兵達は其々の想いを胸に頷いた。

「討つか否か様々な意見があるだろうが、俺自身はここでクルセイダーを討っておくべき、と考える」
 ――かつて討ったはずの魔軍将が全て蘇るだけで、十分悪夢に等しいのに。
 ――魔軍将が猟書家とともに大乱を起こすとしたら、如何ほどの混乱が齎されるのか?
「これ以上、サムライエンパイアに大乱を招かないようにするためだ……頼むぞ」
 白く明滅する丸盾のグリモアを大きく展開し、転送ゲートを形成した敬輔は、一礼しながら猟兵たちを戦場へと送り出した。


北瀬沙希
 北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
 よろしくお願い致します。

 猟書家「クルセイダー」がとうとう姿を見せました。
 かつて撃破した魔軍将とともにサムライエンパイアで乱を起こさんと欲す、猟書家の撃破をお願い致します。

 有力敵につき、やや厳しく判定致します。
 それ相応の準備を整えた上での挑戦をお待ちしております。

=============================

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「迷宮災厄戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

=============================

 状況は全てオープニングの通り。
 今回は冒頭の追記はありません。

 なお、戦場は「白き十字架が立ち並ぶ純白の草原」ですが、白き十字架は戦場に立つ者の行動を一切妨げません。思う存分戦って下さいませ。

●本シナリオにおける「プレイングボーナス」
【敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する】とプレイングボーナスが付与されます。
 猟書家「クルセイダー」は、必ずユーベルコードで先制攻撃を行ってきます。これをいかに凌ぐかが勝敗のカギを握るでしょう。

●プレイング受付期間
 オープニング公開直後から受付開始。
 システム的に締め切られるまでは随時受け付けますが、全採用は確約できません。

●【重要】プレイングの採用について
 本シナリオは早期完結を重視して運営致しますので、必要成功数ギリギリの少数採用となります。
 そのため、【判定が成功以上になったプレイングの中からランダムで採用】とさせていただきます。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
68




第1章 ボス戦 『猟書家『クルセイダー』』

POW   :    十字槍「人間無骨」
【十字型の槍】が命中した対象に対し、高威力高命中の【体内の骨を溶かす光線】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    侵略蔵書「ぱらいそ預言書」
【預言書に書かれた未来の記述を読むことで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    『魔軍転生』秀吉装
レベル×5体の、小型の戦闘用【豊臣秀吉(フェンフェンだけで意思疎通可)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レディオット・スクラップド
ンフ、ンフフフ!
ぱらいそ――楽園!
のぞみ目指すは天国、楽園!そのために争うところまで宇宙であろうと侍の世であろうとどの世界であろうと人類だろうとオブリビオンだろうと関係ないのですねえ!ンーフフフフフフ!
攻撃は受けます。
ゴミにヒトのような骨などあるはずもなく。骨を溶かすほどの熱線であり負傷するならそれも良し。
あなたが攻撃すればするほどゴミは増える。崩壊した墓石は絶好の無機物ゴミ!ネームプレートなどの鉄があれば最高ですがまあ高望みでしょう。
一曲ミュージックはいかがですか?外見での判断は非常に失礼とは存じますがお好みは宗教音楽?
葬送曲ぐらいご自身で選びたいでしょう。
(ピンチ・アドリブ・連携可能です)



●スクラップはかく語れり――使えぬスクラップはないと
「ンフ、ンフフフ! ぱらいそ――楽園!」
 レディオット・スクラップド(ゴミ山ラジオ・f27593)の奇怪な容姿と常時スピーカーから流れるBGMに、クルセイダーはその端麗な眉を軽く顰めるが、レディオットは全く意に介する様子はない。
「のぞみ目指すは天国、楽園! そのために争うところまで、宇宙であろうと侍の世であろうとどのせかいであろうと人類だろうとオブリビオンだろうと関係ないのですねえ! ンーフフフフフフ!」
 ご機嫌に笑うレディオットに、クルセイダーは冷酷さを宿す三白眼とともに十字槍『人間無骨』を突き付ける。
「預言書は語れり――汝を融かすべしと」
 ――ガキッ!!
 精緻な金細工をあしらわれた美しき十字槍の矛先が、笑うレディオットの胴のパーツの隙間から体内に無理やりねじ込まれ、間髪入れずに骨を溶かす光線が胴を貫いた。
「ンーフフフフ……熱いではないですか!?」
 胴を満たす灼熱にレディオットもさすがに慌てるが、すぐに気を取り直し、十文字槍を引き抜き投げ捨てるように逃れる。
 己が身体を「ゴミ」と認識し、ゴミを愛するレディオットは、ゴミに人のような骨などあるはずもなく、骨を溶かす程の熱線であり負傷するならそれも良しと考えていたのだが。
 あらゆる「ゴミ」が集まりし場所で再起動し、出鱈目にパーツがくっついているレディオットの身体の何処かに骨が埋まっていたとしても、何ら不思議ではないだろう。
 結果、胴の見えぬ箇所に埋まっていた動物の骨や貝殻が融かされ灼熱の液体と化し、レディオットの体内に埋まるパーツを悉く焼きながら零れ落ちた。

 初撃は受けるつもりだったとはいえ、灼熱の液体に満たされる攻撃を2度も受ければ音楽ぎっしりのメモリチップもやられかねない。
 やむなくレディオットは回避に専念するが、クルセイダーの十字槍は突きに斬りに払いに、縦横無尽の爆風となってレディオットを襲う。
 それはかろうじてかすり傷のみに留めるが、十文字槍が薙がれるたびに純白の十字架が切断されて無為な欠片と化すのを、レディオットは見逃さない。
「ンフフ、あなたが攻撃すればするほどゴミは増える」
 クルセイダーが槍で自ら切断し、レディオットが逃げ回りながら踏み潰した十字架の欠片が無数に転がるのであれば、それはレディオットにとって十分利用価値がある無機物ゴミ。
 己が身体が最初の十文字槍の一撃で砕かれ、ネームプレートなどの鉄が鉄くずとなり零れ落ちたら最高だったのだが、さすがに高望みだったか。
「ンフフフフフ、さあ一曲ミュージックは如何ですか?」
「何を言い出すのですか」
「外見での判断は非常に失礼とは存じますがお好みは宗教音楽?」
「結構です。今の私に音楽は必要ありません」
 首を振り拒絶するクルセイダーに、しかしレディオットはわざとBGMの音量を上げ、高らかに宣言。
「次のナンバーはテクノ・ポップからビートをアップ、ダンス・トランス――そう、シェイプ・シフト!」
 レディオットのスピーカーから流れだすBGMが緩やかなテクノ・ポップから徐々にビートを上げてダンス・トランスにシフトすると、周囲の十字架の欠片が徐々にレディオットに吸い寄せられ集められ。
 呆然と見守るクルセイダーの目の前で、集められた無数の十字架の欠片と合体したレディオットの姿は、体長5.5mを超える純白の巨大ロボと化していた。
「葬送曲くらいご自身で選びたいでしょう……もう手遅れですが」
 突拍子の無い姿に変貌したレディオットを呆然と見上げるクルセイダーに、レディオットはただただ無造作に純白の拳を振り下ろした。

 ――ブンッ!!

「ぐっ……!!」
 クルセイダーも咄嗟に十文字槍をかざし防御しようとしたが、拳の重量と圧力になす術はなく、十文字槍ごと地面に叩きつけられた。

成功 🔵​🔵​🔴​

真宮・響
サムライエンパイアの戦乱を駆け回った身としてはこいつは放って置けなくてね。

こいつの十字槍に同じ槍で挑むのは無謀だね。最初の槍の一撃は何としても回避しなければ。動き出す前に【オーラ防御】を展開。槍の軌道を【見切り】で読み、【残像】を出しながら【目立たない】でなるべく気配を消す。【ダッシュ】で身を屈めながら接近して敵の構えた槍の下を掻い潜って、【グラップル】【怪力】で敵の足を払う。態勢を崩した所で【二回攻撃】で炎の拳で殴る。槍は小回りの利かないのが欠点だ。付け入る隙はいくらでもある!!



●日ノ本を駆け回りし女傑はかく語れり――槍にも弱みはあると
 巨大ロボの拳に強かに殴られ痛めつけられたクルセイダーの前に次に現れたのは、真宮・響(赫灼の炎・f00434)。
「サムライエンパイアの戦乱を駆け回った身としては、こいつは放っておけなくてね」
 あえて2人の子供を残し、単身でこの戦場に赴いた響の脳裏に蘇る記憶は、昨年の今頃、サムライエンパイア全土を駆け回り、第六天魔王ともその槍を交えた記憶。
 ――あの時は、数多の思い出が残るサムライエンパイアを蹂躙させまいと死力を尽くしたが。
 そのサムライエンパイアに再び戦乱の種を撒こうとしている輩がいるなら、見逃せない。
 だからあえて単身赴いたが、その手にはいつもの得物――赤熱する槍は握られていない。
「無手で現れるとは無謀ですね」
 響が武器を携えず、スタイルの良い体格から逆に細かい格闘術に習熟しているわけではないと見たクルセイダーが、響を静かに貶す。
 ――クルセイダーには、響の抱く感傷は何ら意味を持たぬ。
 それどころか、祖父が敬愛した第六天魔王の残せし魔軍将を従え、「選ばれし者」たる己を害しようとした徳川に再び仇を為すことこそが、クルセイダーの望み。
 ――そのためなら、目の前の猟兵が女性であっても踏みしだくのみ。
「妨げるならば、女子とて容赦はしません。我が槍の洗礼を受けなさい」
 ――ブンッ!
 無造作に振られた十字槍『人間無骨』の穂先が、響の頭から胴を、その端麗かつ凶悪な刃を以てかち割らんと襲い掛かる。
(「やはり早いね! オーラは間に合わない……なら!!」)
 赤のオーラで軽減しようと思ったが、槍の穂先が掠める方が若干早い。
 そう判断した響は、咄嗟に目を凝らして十文字槍の初動を見切り、瞬時にバックステップで飛びのいて回避するが、鼻先を十文字槍の穂先が掠め、ひやりとする。
 しかし背筋に冷気が伝ったのは一瞬、響はそのまま気配を消しつつ思いっきり身をかがめ、続けて横薙ぎに振られた十文字槍の下を掻い潜った。
(「槍は小回りの利かないのが欠点だ。つけ入るスキはいくらでもある!!」)
 ――それは、同じ槍使いだからこそ見抜いた欠点。
 普段、得物として炎槍――ブレイズランスを用いる響が、あえて槍を持ち込まず無手で挑んだ理由は、この欠点を見抜いていたから。
 目の前から瞬時に姿を消したように見える響を、クルセイダーは探す……愚を犯さない。
「槍の本質は――この三又の刃だけではございません」
 そのまま槍の真下を掻い潜ろうとする響のわずかな気配を察し、その背中を鋭く尖った石突きで強く殴りつけようとする。
 背中から痛打を食らえばそのまま槍の餌食になるだけだが、寸前にその気配を察した響はさらに深く身体を沈めて石突による殴打を回避。
「足元がお留守だね!」
 そのまま右足を伸ばして力を籠め、渾身の足払いをクルセイダーに仕掛けた。

 ――ズサァッ!!

「ぬ……!」
 両足に思いもよらぬ力をかけられ、バランスを崩してその場でたたらを踏むクルセイダーを待ち構えていたのは、響の赤熱した拳。
「とっておきの一撃だ!! 存分に味わいな!!」
 ――ドガッ!!
 密接する程の至近距離から放たれた超高速かつ大威力の一撃は、確かにクルセイダーの胴を捉え、その胴をくの字に折り。
「ぐ、ほ……っ!!」
「もう一撃!」
 超高速で放たれ視認できなかった炎の拳による激痛に呻きながら前屈みになったクルセイダーの顎を、今度は響の左拳のアッパーカットが捕らえていた。

 ――ゴガッ!!

 骨と骨がぶつかる嫌な音とともに、クルセイダーの身体が宙を舞う。
 それを追いかける響の瞳に宿るのは――戦乱を嫌う怒りの炎だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

月舘・夜彦
霞ノ衣殿(f01050)と参加します

彼が目指している所がサムライエンパイアだったとは……
秀吉の孫という所も気になりますが、彼を行かせる訳にはいきません
霞ノ衣殿、よろしくお願い致します

先制攻撃は抜刀術『八重辻』にて対処
霞ノ衣殿、此処は私にお任せを
貴女は私が攻撃を凌いだ後、向かってください

敵が槍で仕掛けてきた所を早業の抜刀術『八重辻』
正面から立ち向かう為の勇気と覚悟を以て、挑みます
視力と見切りから動きを読み、衝撃波にて弾く
刃で槍を弾いた後、光線が来るのならばオーラ防御で防ぎ
霞ノ衣殿になるべく攻撃がいかないようにしましょう
攻撃は激痛耐性にて耐え、凌ぎ終えた頃に合図

今です、霞ノ衣殿!


紺屋・霞ノ衣
夜彦(f01521)と

エンパイアにも喧嘩吹っ掛けようってのかい?
しかもそいつが秀吉の孫とはねぇ
戦えるのは嬉しくはあるが、オブリビオンはお呼びじゃないんだ
此処でぶっ倒してやる

あの槍からの先制攻撃ってのが随分厄介だ
……夜彦、考えがあるのかい?
そうやって博打するんなら、アタシも乗るしかないねぇ!

夜彦の背に回って羅刹旋風
どれだけ力を強くさせるか、あんた次第だよ……夜彦
目の前で耐えてくれてんのを見るのはなんかもどかしい感じするけどさ
そんなんで倒れる訳ないよね、凌いて貰うまでの辛抱

先制攻撃が終わったら、今度はアタシの番だ
増強させたユーベルコードに捨て身の一撃と怪力の力を乗せて
さあ、さっきのお返しだよ!!



●竜胆の侍と蒼の戦鬼はかく語りき――オブリビオンはお呼びでない、と
 ――ほんの少しだけ、時は遡る。

 炎の拳を胴に叩き込まれているクルセイダーの姿を、2人の猟兵が遠目で観察していた。
「彼が目指している所がサムライエンパイアだったとは……」
 遠目でクルセイダーの姿を確認しつつ、軽く呻くように呟く月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は、予兆を見聞きした時から嫌な予感がしていたのだろうか。
「へぇ、エンパイアにも喧嘩吹っ掛けようってのかい? しかもそいつが秀吉の孫とはねぇ」
 気に入らないねぇ、と顔で語る紺屋・霞ノ衣(蒼の戦鬼・f01050)が口にした言葉に、夜彦は軽く頷き同意を示す。
「ええ、秀吉の孫という所も気になります」
 エンパイアウォーの最中、魔軍将のひとりとして現れた「あの」秀吉の孫と称するクルセイダーの背景も気にはなるが、おそらく疑問を問うたところで解は得られまい。
 ならば今、行うことは――クルセイダーの阻止。
「……が、彼を故郷に行かせる訳にはいきません」
「ああ、戦えるのは嬉しくはあるが、オブリビオンはお呼びじゃないんだ。此処でぶっ倒してやる」
「ええ、霞ノ衣殿、よろしくお願い致します」
 得物たる大きなバトルアックス・戦刃を担ぎながら、オブリビオンに対する敵愾心を露わにする霞ノ衣に、夜彦は丁寧に頭を下げていた。
「それにしても、あの槍からの先制攻撃ってのが随分厄介だ」
 目の前で炎の拳を以て対峙する猟兵に繰り出された攻撃を見て、頭をかきながら思案する霞ノ衣に、夜彦は静かに声をかける。
「霞ノ衣殿、此処は私にお任せを」
「……夜彦、考えがあるのかい?」
「ええ、貴女は私が攻撃を凌いだ後、向かってください」
「ほう!」
 かっかっか、と豪快に笑う霞ノ衣。
「そうやって博打するんなら、アタシも乗るしかないねぇ!」
 何より、以前も冬の盆地で同じようなことはしたしねぇ! とあっさり乗った霞ノ衣に、夜彦は笑みを向けながら「お願いします」と頭を下げていた。

「次から次へと現れますね――参ります」
 クルセイダーは接近した夜彦と霞ノ衣を目撃するなり、十字槍「人間無骨」を構え、優雅な所作を以て突撃。
 打合せ通り、夜彦が立ちはだかり、抜刀術『八重辻』による斬り返しを狙おうとしたが。
「オウガ・オリジンから奪った力が宿る今、汝らに先んじることは造作もございません」
 夜彦が抜刀術の体制を整えるより早く、十文字槍が夜彦の胴を狙って突き出された。
 ――ギィンッ!!
 十文字槍の強烈な突きの狙いを、夜彦は目を凝らし胴だと見切り、己が愛刀・夜禱から衝撃波を発してわずかに狙いを逸らした上で刃を三又に噛ませ、ギリギリ受け止めたが、それでもジリジリと押し込まれる。
(「これが、オウガ・オリジンから力を奪った猟書家の実力ですか」)
 クルセイダーの華奢な見た目とは裏腹に、剣士たる夜彦を上回る膂力と速さを持って槍が撃ち込まれ、夜彦の背筋に冷や汗が伝った。
(「若干読み誤りましたか……抜刀術のための集中が間に合わなかったです」)
 事前に策を打合せしていたとはいえ、若干の読み違えに気づいた夜彦が、わずかに顔をしかめる。

 ――ユーベルコードの初撃に対し、ユーベルコードによる対応は「間に合わない」ことに気づいたからだ。

 もし、クルセイダーが先手を打って祖父たる秀吉の戦闘用個体を召喚していたならば、押し込まれる前に集中し、抜刀術の構えを取れたかもしれないが、クルセイダーが十文字槍による先制攻撃を敢行した結果、集中する程の時間がなく、抜刀術の構えを取れなかったのだ。
 それでも夜彦が強烈な初撃をかろうじて受け止められたのは、磨き抜いた早業の技量と、霞ノ衣の準備が出来るまでの時間を稼ぐという強い覚悟、そして正面から立ち向かうための勇気を以て挑んだから。
 もしいずれかが欠けていたとしたら、その時は受ける事すら叶わず胴を真正面から貫かれていただろう。

 夜彦はクルセイダーとジリジリと鍔迫り合いを繰り広げつつ、十文字槍をはじき、斬り返す機を伺うが。
「人間無骨は骨すら容易に断つ槍。その真価、お見せしましょう」
 クルセイダーの静かな一言とともに至近距離から体内の骨を溶かす光線が撃ち出され、夜彦の骨という骨を全て溶かそうとする。
 凶悪な光線に対し、夜彦は竜胆のオーラを前方に集中させ緩和を図るが、光線を完全に防ぐことは叶わず、徐々に光線に炙られている腕の骨が溶かされてゆく。
 己が皮膚や筋肉に傷ひとつつけず、骨だけが溶ける異質な感覚と激痛を、夜彦は歯を食いしばって耐えた。
 避ければこの異質な感覚からは逃れられるが、この光線を避けることは許されない。
 ――己の真後ろには、霞ノ衣がいるのだ。
(「霞ノ衣殿に一筋たりとも光線を向かわせるわけには、いきません」)
 信頼して背中を預けてくれている女傑がいるからこそ、夜彦は斬り結びながらひたすら耐え、一瞬の好機を伺う。

 一方、霞ノ衣は、夜彦の背から少し距離を置き、愛用のバトルアックス・戦刃を振り回し始める。
(「どれだけ力を強くさせるか、あんた次第だよ……夜彦」)
 振り回すことで力を溜め、高め、好機を狙って一撃を叩き込むつもりなのだが、目の前で夜彦がギリギリ刀で十文字槍を受け止め、骨すら溶かす光線をオーラで緩和しながらも身体を張って受け止めているの見ているのは、何とももどかしい。
(「目の前で耐えてくれてんのを見るのはなんかもどかしい感じするけどさ」)
 己が力を溜める時間を稼ぐためとはいえ、ほぼ一方的に打ち込まれているのを見るのは、正直辛いこともある。
 だが、それでも、「攻撃を凌いだ後、向かって」との夜彦の提案を受け入れたのは――。
(「夜彦がそんなんで倒れる訳ないよね、凌いて貰うまでの辛抱」)
 ――己が一目置く夜彦への信頼があるから。
 ならば、それに応えるべく。
 霞ノ衣はただただひたすら、斧を振り回し、機会を待つ。

 こうして機会を伺うこと、数分。
「よく耐えましたが、ここまでです」
 クルセイダーは一旦十文字槍を引き、わずかに後退して再度槍を打ち込もうとする。
 初撃程の瞬速で撃ち込まれれば夜彦もただではすまないが、槍を引いた一瞬こそが、夜彦がうかがっていた好機。
「今です、霞ノ衣殿!!」
「おう! 今度はアタシの番だ!」
 十文字槍が引かれた一瞬を見切り、夜彦は後方の霞ノ衣に合図を出し、一歩右へ己が身体をずらし。
 直後、その後ろから捨て身で突撃するのは――霞ノ衣!
「見切っていないとお思いでしょうか?」
 クルセイダーはそれでも慌てず、十文字槍を突き出そうとするが。
「さあ、さっきのお返しだよ!!」
 霞ノ衣の夜彦への信頼と溜めに溜めた攻撃力、そして武骨ながらも霞ノ衣が扱うには十分な形状と重量を兼ね備えている戦刃は、十文字槍が突き出されるより早く振り下ろされた。

 ――ガキィン!!

 頭を狙い大上段から振り下ろされた戦刃の一撃を、クルセイダーはかろうじて十文字槍を両手で翳して受け止めるが、それも一瞬。

 ――ザシュッ!!

 ただ一度の好機のためだけに高められた攻撃力と怪力、そして捨て身で挑む覚悟は、クルセイダーの手から強引に十文字槍を弾き飛ばし、さらにその右肩から左わき腹にかけて大きく切り裂いていた。
「ぐっ……!!」
 さすがにこの一撃は痛打となったか、大きく斬り裂かれた傷口を押さえながら、クルセイダーは槍を拾い純白に紛れて一時後退する。

 ――純白の草原と十字架に、点々と血の痕を残しながら。

 クルセイダーの撤退を見送りながらも、霞ノ衣と夜彦が感じていたのは、確かな手ごたえ。
 2人の明確な役割分担が、オウガ・オリジンの力を奪った猟書家に強烈な痛打を与えたことは、確かだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リオン・リエーブル
侵略蔵書ね
未来の記述を読むのも限度があるよね
だってここで倒されるってことが書かれてないんだからさ!

常に距離を取って通常魔法攻撃
高速詠唱の全力魔法を2回攻撃でチクチク
敵の攻撃射程範囲外から攻撃を仕掛け続けるよ
戦闘知識で情報収集しながら攻撃
避けられないならそれも良し
避けられるなら効果範囲内
避けられなくなるまで根気よく攻撃
敵の攻撃は見切りで回避

攻撃が通るようになったらゴーレム召喚
67本の短剣の形にしたのを牽制兼ねて目の前にバラバラ
そっちに気を取られたら背後から10本分で作った長剣でグサリ
短剣も一気に畳み掛けよう
もち試験管も忘れずに

オブリビオンが未来を見るなんて片腹痛いね
過去は過去で大人しくしてなよ



●錬金術師である長命のエルフはかく語りき――記述には限度はある、と。
 胴をバトルアックスで深く斬られ、純白の草原に点々とあかを残しながら歩くクルセイダー。
 その行く手を遮るように、リオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)が現れる。
「ふーん、それが侵略蔵書ね」
 クルセイダーが左手に携える本に視線を向けながら、新たな玩具を見つけた好奇心を抑えきれずについ口にするリオン。
「でも、未来の記述を読むのも限度があるよね?」
「汝は何を申されるのでしょう」
 クルセイダーはその声音に不快感を覚えつつも、ぱらいそ預言書を紐解き読み上げる。

 ――七色の細き管がこの地に降り注ぎ、禍を招く、と。

「汝の行動は、既に記されております」
 あえて読み上げることでリオンを牽制するが、それでもリオンのニヤニヤ笑いは止まらない。
「へーえ、やっぱり限度があるじゃない」
「預言書に限度はございません」
「だって、ここで倒されるってことが書かれてないんだからさ!」
「それはあり得ぬ未来だからです。――では、いくらでもどうぞ」
 胴の痛みをこらえながら涼しい顔で受け流すクルセイダーに、リオンはニヤニヤ笑いを崩さないまま、懐から試験管を取り出した。

 クルセイダーがぱらいそ預言書の記述をもとに次の一手を先読みするならば、リオンは有効な手立てと間合いを情報収集しながら試験管をばらまき攻撃する。
 七色の液体が満たされた試験管は、落下するたび爆発を、氷雨を、突風を、強烈な光を巻き起こし、そのいくつかはクルセイダーに手傷を負わせた。
 その後もリオンは極力間合いに踏み込まぬ様、間合いの外から試験管を投げて七色の流れ星を降らせ続けるが、それでもうっかり十文字槍が届く間合いに踏み込めば、待ち構えるのは十文字槍の強烈な突き。
「おおっと!」
 かろうじて見切って突きを避けるが、骨が溶ける光線こそ打たれなくとも槍さばきだけで脅威の一言。たまらず後退するリオン。

 一見すると、クルセイダーが預言書の記述をもとにリオンの攻撃に確りと対応しているように見える。
 しかし、クルセイダーは気づいていない。

 ――追いつめられているのはクルセイダーのほうだ、ということに。

 数度にわたる試験管と十文字槍の攻防の後、息を切らしているのは……リオンではなくクルセイダー。
 間合いを完璧に見切られ、試験管による傷が増えている現状に、クルセイダー自身が首を傾げるようになってきていた。
 ――ならば、今が一気に畳みかける時だろう。
「さあ、出ておいで! 仮初の命をあげるよ」
 リオンがにやりと笑いながら黄土色の液体を充填した試験管を取り出し、一気に空中にばら撒けば、破裂した試験管の液体がゴーレムへと変化する。
 ――しかし。
「ぱらいそ預言書はかく語れり――土人形を自在に操る、と」
 それは預言書に定められた通りの行動だ、と落胆しつつ告げるクルセイダーが、笑みを崩さぬリオンを見てわずかに口端を引きつらせた。

 ――リオンの笑みが、策に嵌めた会心の笑みだったからだ。

 クルセイダーの目の前で、黄土色のゴーレムは一瞬で突きに特化した短剣、スティレットへと変化し、そのまま虚空に留まる。
「な…………!!」
 預言書の記述にないゴーレムの使い方に言葉を失うクルセイダーに、リオンはニヤニヤ笑いを崩さないまま皮肉たっぷりに告げた。
「オブリビオンが未来を見るなんて片腹痛いね」

 ――過去は過去で大人しくしていなよ。

 リオンは見切った間合いを保ちながら、73本のスティレットのうち、63本でクルセイダーを翻弄し、さらに疲弊させ。
 その隙に残りの10本を束ねて作った長剣――レイピアを手にしたリオンはクルセイダーの背後に回り、一息に得物を突き出した。

 ――ザシュッ!!!

「ぐ、ほ……っ!!」
 背後から左脇腹を深く貫かれたクルセイダーが、口端から血を滴らせながら大きくよろめいたところに、スティレットの雨と試験管の追撃が牙を向く。
「そん、な……」
 スティレットと試験管に更なる手傷を負わされ、預言書の語らぬ未来に導かれたクルセイダーの瞳には、語られぬ未来に対する恐怖が宿っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミニョン・エルシェ
POW
突けば槍、引けば鎌、払えば薙刀。十文字槍の特性を考えて円と直線の動きを警戒し、視力、第六感、野生の勘、逃げ足を総動員して初撃の回避に努めるのです。

益田四郎時貞公。
あなたに攻城戦の経験は、お有りです?
【我城普請・天守顕現】で戦場の十字架を私の城で塗り潰します。
Mi-2:辰星で死霊侍衆によるタンクデサントでクルセイダーに突っ込ませ、城からは
高速誘導弾システムのミサイル斉射で【援護射撃】。
【地形利用】と【拠点防御】、【空中戦】で無敵の私の城を存分に利用し、
トドメは空中からの【捨て身の一撃】で鐵貫で貫くのです。
…UDCの歴史では、あなたは優れた守将でした。ですが。今のあなたに、原城はないのです。



●城址探究者はかく語れり――優れた守将にも城は必要と
 傷だらけの猟書家「クルセイダー」の前に、最後に立ちはだかったのは、ミニョン・エルシェ(木菟の城普請・f03471)。
 既に満身創痍で余裕のないクルセイダーは、ミニョンが猟兵と見るやすぐさま十字槍『人間無骨』を構え、突撃。
(「突けば槍、引けば鎌、払えば薙刀」)
 ミニョンは城址巡りと死霊との語らいで得た見聞をもとに、十文字槍の特性を見極め、考え。
(「警戒すべきは、円と直線の動き」)
 ただひたすら真っ直ぐに突き出される「直線の動き」を目を凝らして見極め、己が勘を総動員して刃に轢かれる寸前に飛び退き、その初撃を躱した。
「な、に……!!」
 空を切る槍先を見て、驚きを隠せないクルセイダー。初撃が躱されれば骨を溶かす光線も撃てない。

「益田四郎時貞公、あなたに攻城戦の経験は、お有りです?」
「……」
 改めて対峙したミニョンの静かな問いに、クルセイダーは黙して語らない。
 それは、攻城戦の経験が全く無いことを隠すためだろうか。
 それとも、「クルセイダー」が「益田四郎時貞」という名に心当たりがないのか。
「UDCの歴史では、あなたは優れた守将でした」
「…………」
「ですが、いまのあなたに、原城はないのです」
 クルセイダーからの反応はないが、城廻と死霊の語りで見聞を深め、UDCアースの原城の歴史を知るミニョンとしては、たとえ関連がなかったとしても言わずにはいられなかったのだろう。
 いずれにせよ、ミニョンは解が得られぬと悟ると一つ息をつき、静かに言の葉を紡ぐ。
「歩み、学んできた城の数々。……此処に、私の理想を普請します。」
 ミニョンが大きく手をかざすと、現れたのは精鋭亡霊侍衆を擁した巨大城郭。
 戦場に立ち並ぶ純白の十字架は、城の石垣で塗りつぶされ。
 戦場に静かに揺れる純白の草花は、城の白亜の壁に同化したかのように消失。
 ――それは、彼女が世界各地を回り見聞や知識を深め、創造した理想の城。
 荒唐無稽にも見える現実から目をそらすように、クルセイダーはぱらいそ預言書に目を落とし。
 その整った眉が、驚きに大きく動いた。

 ――ぱらいそ預言書はかく語れり。
 ――天からの炎と、死霊を載せた動くからくりの突撃に蹂躙される、と。

 さらに荒唐無稽な事実が記されていることに、クルセイダーは驚きを隠せない。
 しかし、現実を受け入れず、預言書に縋ったことが、致命的な隙となった。
 城と共に召喚された死霊侍衆がMi-2:辰星の上部に搭乗し、いつでもミニョンの号令ひとつで突撃できる体制がとられている今、預言書から未来を紐解こうとしても、それは未来に起こりえる行動の「確認」にすぎないからだ。
「吶喊せよ!」
 ミニョンの号令と共に、城郭とMi-2:辰星から一斉砲火が始まる。

 ――ドドドドドドドドド!!

 巨大城郭の随所から発射された高速誘導弾システムのミサイルが、クルセイダーの動きをけん制するかのように着弾し。
 地上からは純白の十字架も草花も薙ぎ倒しつつ、死霊侍衆を満載したMi-2:辰星がクルセイダーに突撃し、死霊侍衆からも弓を射かけられ。
 空中と地上の双方からの物量作戦に、クルセイダーが十文字槍をかざし防戦一方に追い込まれたのを見て、ミニョン自身が和風の馬上槍・鐵貫を手に空中から捨て身の一撃を敢行。
 ミサイルと弓矢、戦車の絨毯爆撃に翻弄されるクルセイダーに、それを避けるだけの術はなかった。

 ――グサッ!!

 ミニョンの手にした鐵貫は、クルセイダーの胸を真正面から貫き、そのまま地面に縫い留めていた。

 胸を貫かれた勢いで地面に倒れ、縫い留められながら、クルセイダーは微かに口を開く。
「汝らは預言書に頼らず未来を紡ぐ……否」

 ――過去を見聞し、現代に応用することで、未来を得る存在。

「それが汝ら、ですか」
 その言葉を最後に、クルセイダーの身体から力がふっと抜け、四肢の先から灰と化す。
 傍らに投げ捨てられるように置かれていたぱらいそ預言書も人間無骨も、同様に灰と化していた。

 そして。
 ――さあっ……。
 純白の草原に吹き込んだ一筋の風は、灰となったクルセイダーとその得物を虚空に舞い上げ、散らす。
 それを、ミニョンは己が目で確りと見届け、戦場を後にした。

 ――猟書家「クルセイダー」、撃破。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月18日


挿絵イラスト