3
迷宮災厄戦㉕~ブックドミネーター

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #ブックドミネーター

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#戦争
🔒
#迷宮災厄戦
🔒
#猟書家
🔒
#ブックドミネーター


0




●アリスラビリンス
「どうやら、猟兵達は私を放っておいてはくれないようだな。このまま何もしなければ、長生きする事が出来たものを……。だが、攻め入ってくる以上、こちらも全力で相手をするだけだ。書を司る者である私は、全ての書の力を扱える。他の猟書家を倒して調子に乗っているようだが、私は彼らとは違う。それを理解させるためにも、格の違いを見せつける必要があるのかも知れないな」
 書架の王『ブックドミネーター』が猟兵達を迎え撃つため、ゆっくりと立ち上がった。
 おそらく、猟兵達は全力で向かってくる事だろう。
 だが、またやるべき事がある。
 果たすべき事がある。
 それまでは、滅びる訳にはいかない。
 例え、猟兵達が邪魔をしたとしても、ここで諦める訳にはいかなかった。
 目指すべき世界は、アックス&ウィザーズ。
 向かうべき場所は、天上界。
 そこに欲するべき答えがある以上、こんなところで屈する訳にはいかなかった。
 それ故に、迷いはなかった。
 猟兵達が全力で来るのであれば、こちらも全力で。
 万が一、怪我を負ったとしても、滅びる事さえなければ、天上界を目指す事が出来るのだから……。

●ガジルからの依頼
「みんなに頼みたい事があるんだよ」
 ガジル・コリアンダー(キマイラのスカイダンサー・f00907)が真剣な表情を浮かべ、今回の依頼を説明した。
 今回の目的は、書架の王『ブックドミネーター』を倒す事。
 ブックドミネーターは、絶対零度の凍結世界を拠点にしており、氷からオブリビオンを作る能力と、時間凍結能力で戦いを挑んでくるようだ。
 どちらも強力な攻撃な上に、相手は書架の王。
 そのため、簡単には勝たせてくれないだろう。
 そう言った事も踏まえた上で、ブックドミネーターを倒す事が今回の目的である。


ゆうきつかさ
 この依頼は戦争シナリオです。
 敵は必ず先制攻撃を仕掛けてくるので、対抗手段を考えておきましょう。
194




第1章 ボス戦 『猟書家『ブックドミネーター』』

POW   :    「……あれは使わない。素手でお相手しよう」
全身を【時間凍結氷結晶】で覆い、自身の【所有する知識】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    蒼氷復活
いま戦っている対象に有効な【オブリビオン】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    時間凍結
【自分以外には聞き取れない「零時間詠唱」】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

天星・零
【戦闘知識+世界知識+情報収集+追跡】をし、戦況、地形、弱点死角を把握し、敵の行動を予測し柔軟に対応

※防御は【オーラ防御】で霊力の壁を作って威力軽減、防御

先制は上記技能を駆使しいつ使われてもいい様に把握しておき、十の死の感電死、毒死、凍死の骸などで状態異常を狙う
万が一の為【第六感】も働かせる

遠距離は十の死とグレイヴ・ロウで戦況により対応
近接はØ

『回復ならいくらでも。なんならお手伝いしますよ?まぁ、それは貴方にとっては毒か呪いの様なものかもしれませんがね』

指定UCを発動し強化、回復効果のプラス効果を反転する霧を戦場全体に
零時間を使ってもダメージ、POWの効果が残っていれば弱体効果にもなる


黒玻璃・ミコ
※美少女形態

◆行動
辿り着きましたよ、ブックドミネーター
貴方の代わりに私達が天上界に向かいます!

念動力を以て私も空を飛び
積み重ねた戦闘経験と五感を研ぎ澄まして攻撃を捌き
重要な臓器はその位置をずらした上で即死だけは避けましょう
そして飛び散った体液を使い反撃開始です

時間凍結氷結晶で全身を覆ってるのに自身は格闘戦を挑めると言うことは
任意に凍結を解除しているのでしょう
それならば既に揮発し、更には念動力により空間に充満した
不可知の猛毒を吸わずにいられますか?

以上を持って【黒竜の邪智】の証明とします
きっと竜の残骸に埋もれるのは貴方に相応しい最後なのかもしれませんね

※他猟兵との連携、アドリブ歓迎


春霞・遙
ブックドミネーターも、ハビタントも、遠い昔どこかで聞いたことがある気がするんですけど、きっと気のせいでしょう。
今は目の前の敵に集中です。

純粋に硬い敵とか巨大な敵とかは対応に困るので嫌なんですけど、全力で対処するしかないですよね。
オブリビオンの攻撃は見切りで避け、射撃で弾いてしのぎます。
逆にそのオブリビオンを盾にしてブックドミネーターの攻撃をかわせるよう立ち回ります。

物理的に強くても、それがオブリビオンであれば多分符術で殺せます。
先制攻撃を凌ぎきれたら【御霊滅殺符】でオブリビオンを攻撃します。
血反吐吐いて這いつくばっても、猟書家の顔面に一撃くれてやりましょう。


フェルト・ユメノアール
キミが何を求めているのかボクは知らないけど……
みんなの笑顔を守る為、今ここでキミを倒す!

さあ行くよ!『トリックスターを投擲』して召喚されたオブリビオンを牽制
『パフォーマンス』の軽業のように、身軽な動きで攻撃を避けつつ相手を引き付けて『ワンダースモーク』を使用
周囲を煙で包み込んで視界を奪い、その隙にブックドミネーターに近づいて攻撃する!
と見せかけて……ボクは既に【SPミラーマジシャン】の効果を発動していた!

煙は鏡に映した虚像を本物だと誤認させる為の罠
相手が鏡に映ったボクに気を取られている隙に背後から接近、トリックスターで『カウンター』の一撃を加えるよ!


卜二一・クロノ
 神のパーラーメイド×精霊術士、22歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、敵には「神(我、汝、~である、だ、~であろう、~であるか?)」です。

時間の流れを停滞させたり逆転させたりといった技を使う相手には容赦しません。
光陰の矢は、先制攻撃対応のユーベルコードです。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


フォルセティ・ソルレスティア(サポート)
◆性格
明るく元気で、好奇心旺盛で何にでも興味を持つけど、少し飽きっぽいところも。
年齢より子供っぽく(見た目に近い)、味覚も完全にお子様。
よく女の子に間違えられるが、言うほど気にしていない。
口調は「ボク~だよ」「わー、~だね」

◆戦闘
聖なる箒を振り回して、遠距離からの魔法系UCを使用。
グアルディアン・サトゥルノで相手のUCを相殺したり、ラビリント・ネプトゥノで
行動を制限したりすることもある。
フィニッシュはカラミダド・メテオーロが多い。
TPOに応じて愛用の宇宙バイクで戦うことも。意外と乗りこなす。
負傷者がいれば楽器演奏と歌で癒すことも多い。

◆非戦闘
情報収集を中心にしつつも直感を信じて行動することも


サエ・キルフィバオム(サポート)
猫かぶりな妖狐で、直接的な戦闘というよりも、情報を集めたり、不意打ちやだまし討ちのような奇襲を得意とします

猫をかぶってる時は「あたし」と自身を呼び、語尾に「~」が入るような間延びしたしゃべり方をします
真剣な時は「私」呼びになり、口数は少なくなり、語尾の間延びは消え、気に食わない相手には結構キツめの口調になります

「ごめんなさい、あたし道に迷っちゃってぇ~……」
子供らしく振舞って油断を誘う、色気を出して魅力で釣るなど、あの手この手を使います

「は?私がそんな事許すと思った?」
本性を現し後ろから絞殺糸を巻き付けるようなイメージです

基本的に行動はおまかせします
アドリブや絡み歓迎です
よろしくお願いします


轟木・黒夢(サポート)
『私の出番?それじゃ全力で行くわよ。』
 強化人間のヴィジランテ×バトルゲーマー、17歳の女です。
 普段の口調は「素っ気ない(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には「それなりに丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで、あまり感情の起伏は無いです。
戦闘では、格闘技メインで戦い、籠手状の武器を使う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


風嶺・陽(サポート)
『記憶が戻っても、私は私でいられるのかな……』
 羅刹の化身忍者×破戒僧、21歳の女です。
 普段の口調は「清楚(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」、機嫌が悪いと「刺々しい(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
 サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
 嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!



●絶対零度の凍結世界
「辿り着きましたよ、ブックドミネーター。貴方の代わりに私達が天上界に向かいます!」
 黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)は仲間達と共に、書架の王『ブックドミネーター』のいる絶対零度の凍結世界にやってきた。
 そこは一面氷で覆われた銀世界。
 それが宝石の如くキラキラと輝き、冷たい空気が猟兵達の身体を包み込んでいた。
 ブックドミネーターは冷たい目で高台から猟兵達を見下ろし、心底嫌そうに深い溜息を漏らした。
「君達が天上界に……? それこそ、無意味な事だ。私が行かなければ意味がない。それとも、私の代わりに役目を果たしてくれるのか? 私が何をしようとしているのかも分からずに……。そんな事が出来る訳がない」
 ブックドミネーターが嫌悪感をあらわにしながら、凍るように冷たい視線をミコ達に送った。
 この様子では、話をする気もないのだろう。
 この時間さえ惜しいとばかりに、鬱陶しそうにしていた。
「だったら、教えてもらえますか? あなたが天上界で、何をするのかを……!」
 風嶺・陽(鬼刹猟姫・f06532)が真剣な表情を浮かべ、ブックドミネーターに問いかけた。
「君達に答えるつもりはない。その必要もないし、価値もない。そもそも、君達が知ったところで、何の意味もない事だ。どうせ死んでいく、君達には……。だから、退いてくれ。ここで邪魔をしなければ、そのぶん長く生きられる」
 ブックドミネーターが肩についた埃を払うような感じで、猟兵達に最後の警告をした。
「随分と自分勝手な言い分ですね。理由は言わず、ただ退けなんて……。こちらも退く訳にはいかないんです。それが大切な場所であれば尚更です」
 徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)が、ブックドミネーターの行く手を阻んだ。
「まあ、答える気がないなら、それでも構わない。ただ……倒すだけよ」
 卜二一・クロノ(時の守り手・f27842)が、ブックドミネーターをジロリと睨みつけた。
 ブックドミネーターが、時間凍結能力を使ってくる以上、容赦は出来ない。
 その上、何か企んでいるのだから、このまま放っておく訳にはいかなかった。
「ただ、倒すだけか。その選択が、いかに愚かで、間違った事なのか、理解していないとは……。だが、私にはやるべき事がある。例え、君達が束になって掛かってこようが、やる事は変わらない」
 ブックドミネーターがゴミを見るような目で、猟兵達を見下した。
「こんな時に言う事じゃないかも知れませんが、ブックドミネーターも、ハビタントも、遠い昔どこかで聞いたことがある気がするんですけど、気のせいですかね?」
 そんな中、春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)が、不思議そうに首を傾げた。
 何となくドラゴンっぽいモノと、ウサギ(?)っぽいモノが思い浮かんだものの、それが何を意味しているのか分からない。
 その背後に、無限のファンタジ……的なロゴも浮かんでいるが、何故そんなモノが浮かんだのか、遙にはまったく理解する事が出来なかった。
 それでも、ここで口にしなければ、言う機会が無いように思えた。
「……気のせいだ」
 ブックドミネーターが、軽く流した。
 相手にするのも馬鹿らしいとばかりに、苛立ちを隠せない様子で……。
「キミが何を求めているのかボクは知らないけど……。みんなの笑顔を守る為、今ここでキミを倒す!」
 フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)がブックドミネーターに対して、キッパリと言い放った。
「どうやら、私の出番のようね。それじゃ、全力で行くわよ」
 その気持ちに応えるようにして、轟木・黒夢(モノクローム・f18038)が、自分自身に気合を入れた。
「……愚かな。惨めに泣き叫んで命乞いをすれば、楽に死ねたものを……。
 次の瞬間、ブックドミネーターが、異形な姿をしたオブリビオンを召喚した。
 そのオブリビオンは常に姿が変化しており、まるでブラックタールのようであった。
「さあ、行くよ!」
 すぐさま、フェルトがトリックスター(ダガー)を投擲し、オブリビオン牽制した。
 それに合わせて、オブリビオンがヌルヌルと形を変え、次々と触手を伸ばして襲い掛かってきた。
 その事に気づいたフェルトがパフォーマンスで行う軽業の如く身軽な動きで、オブリビオンの触手を次々と避け、ワンダースモークで周囲を煙に包み込んだ。
「……怯むな」
 だが、ブックドミネーターは、怯まなかった。
「……!」
 それとは対照的に、オブリビオンは動揺していたが、ブックドミネーターの命令には逆らえない。
 そのため、覚悟を決めた様子で、煙の中に入っていった。
 それは、ある意味で自殺行為であったが、危険を承知でどんどん煙の中に入っていった。
「さあ、楽しいマジックショーの始まりだよ! 現れろ、SPミラーマジシャン!」
 フェルトがビシィッと格好良くポーズを決め、【<ユニットカード>SPミラーマジシャン(スマイルパペット・ミラーマジシャン)】で、煙の中に鏡を作り出した。
 その鏡にはフェルトが映し出されており、煙の中で判断を誤ったオブリビオンが、興奮した様子で一斉に触手を伸ばしてきた。
 だが、破壊したのは、フェルトの作り出した鏡だけ。
 本物のフェルトはブックドミネーターの背後に迫り、トリックスターを投げつけていた。
「クッ!」
 その攻撃に腹を立てたブックドミネーターが、刃の如く氷を尖らせ、猟兵達に飛ばしていった。
「……今だけ私を守ってくださいね!」
 即座に遙がオブリビオンを盾代わりにして、刃の如く尖った氷を防いだ。
 それと同時に、オブリビオンの身体を貫き、氷の先端が突き出していたため、本音を言えば冷や汗モノ。
「まさかオブリビオンを盾にするとは……!」
 ブックドミネーターが、悔しそうに唇を噛み締めた。
「……思い通りにならなかったようね」
 その間に、黒夢がブックドミネーターの死角から迫り、籠手状の武器でブン殴った。
「とりあえず、オブリビオンは、お返ししますね」
 それに合わせて、遙が【御霊滅殺符(ゴリョウメッサツフ)】で「逆凪」を受ける覚悟をした上で、白紙の符に森羅万象を汚染する呪われた言葉を乗せ、あらゆる霊的要素を殺害する穢れを宿すと、オブリビオンごと、ブックドミネーターをブン殴った。
 その拍子にオブリビオンが弾け飛ぶようにして消滅し、両頬を殴られたブックドミネーターが、書架の王にあるまじき表情を浮かべた。
「調子に乗っていられるのも、今だけだ……!」
 ブックドミネーターが恥ずかしい気持ちを誤魔化しながら、零時間詠唱を発動させた。
 それはブックドミネーター本人だけが聞き取れる言葉……。
 その言葉を聞いたブックドミネーターの身体が、みるみるうちに癒されていった。
「なるほど。その力さえあれば、どんなに傷ついても怖くはありませんね」
 それを目の当たりにした天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)が、落ち着いた様子で口を開いた。
 その間も、あらゆる知識を用いて、ブックドミネーターを分析しており、隙あらば攻撃を仕掛けるつもりでいた。
「そもそも、君達を脅威だとは思っていない。例えるなら、顔のまわりを飛び回るハエ程度の扱いだ。故に、何も恐れてなどいない」
 ブックドミネーターが自らの苛立ちを誤魔化すようにして、皮肉混じりに呟いた。
「その慢心……、付け入らせてもらうよ」
 すぐさま、サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)が【因果速報(ネコヲカブルキツネ)】を発動させ、全身を無害、弱敵、か弱い獲物のような雰囲気で覆い、ブックドミネーターから受けた欲求や嘲笑、軽蔑のような油断した感情に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得た。
「隠せ光明、失せよ気勢――。結い絡げ!」
 それに合わせて、陽が【妖異忍術・夜雀(ヨウイニンジュツ・ヨスズメ)】で黒い雀の群れを呼び寄せ、捕縛する事でユーベルコードを封じようとした。
「さすがに、それは……困る」
 ブックドミネーターが危機感を覚え、間一髪で黒い雀の群れを避けた。
「はっ? 何、避けてんの? 私がそんな事、許すと思った?」
 その間に、サエがブックドミネーターの背後に回り込み、絞殺糸を巻きつけた。
「し、しまった!」
 ブックドミネーターがハッとした表情を浮かべ、悔しそうに唇を噛み締めた。
 黒い雀の群れに気を取られてしまったせいで、背後がガラ空き。
 それ故に、身を守る事さえ出来ず、呆気なく動きを封じ込められた、
「僕らを過小評価した結果がコレです。それでも、まだハエ扱いをするつもりですか……?」
 零がオーラ防御で霊力の壁を作って、自らの身を守りながら、十の死(骸)でブックドミネーターを感電させ、その上で毒を注入して、凍えさせた。
「あ、ああ、その通りだ」
 ブックドミネーターが必要以上に強がりながら、零時間詠唱を発動させ、状態異常を瞬時に治療した。
「本当に無駄ですかね? だったら、試してみますか? 本当に無駄か、どうか……」
 それと同時に、零が【噂綴・壱「永眠街」(ウワサツヅリ・エイミンガイ)】で、回復及び強化効果を負傷弱体に反転する濃霧を放ち、ブックドミネーターを眠りの世界に誘った。
「これは……まさか……」
 ブックドミネーターが激しい睡魔に襲われながら、再び零時間詠唱を発動させた。
 だが、すべてを癒すはずの力は、眠気と共に自らの肉体を蝕む毒に変わった。
「ふ、ふざけた真似を……」
 ブックドミネーターが朦朧とする意識の中、全身を時間凍結氷結晶で覆い、猟兵達に攻撃を仕掛けてきた。
「……でしたら、大伽藍にて、お相手しましょう」
 それを迎え撃つようにして、家光が【羅刹大伽藍(ラセツダイガラン)】で無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形すると、ブックドミネーターの攻撃を受け止め、逆に殴り飛ばした。
「何だかブックドミネーターの顔が、凄い事になっているけど……仕方がないよね」
 フォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)が心の中に芽生えた迷いを消し飛ばす勢いで、【ラビリント・ネプトゥノ】を発動させ、戦場全体の視界を遮る霧で覆い、絶対零度の氷壁で迷路を作り出した。
「ええい、忌々しい奴等め!」
 ブックドミネーターが苛立ちを隠せない様子で、猟兵達に悪態をついた。
 その間にも、身体中に毒が回り、意識が朦朧としていた。
 しかし、それ以上に怒りが爆発しているため、身体を蝕む痛みを忘れていた。
「本当は辛いんじゃないのですか? 先程と比べて、顔色も悪いようですし……」
 そんな空気を察したミコが、積み重ねた戦闘経験と、五感を研ぎ澄まし、念動力で飛んで距離を取りつつ、ブックドミネーターに問いかけた。
「……私が辛い? そんな訳がないだろ。私は、まだ本気を出していない!」
 ブックドミネーターが虚ろな表情を浮かべ、吐き捨てるように呟いた。
 その言葉に反して、身体の方は、限界。
 立っている事さえ、不思議なほど、体力が消耗していた。
「それならば既に揮発し、更には念動力により空間に充満した不可知の猛毒を吸わずにいられますか?」
 その間に、ミコが【黒竜の邪智(コクリュウノジャチ)】を発動させ、ブックドミネーターの弱点を指摘した。
「なんだと!」
 ブックドミネーターが身の危険を感じて、警戒心をあらわにした。
 だが、既に手遅れ。
 その事を実証した事によって、屠竜の魔女に屠られた無数の竜の残骸を出現した。
 しかも、竜の残骸が邪魔をして、ブックドミネーターは動けない。
「星霜纏いし冷厳の天王。黄天より招くは無窮の霊氷」
 次の瞬間、フォルセティが【イスベル・ウラーノ】を発動させ、単純で重い聖箒を掲げ、天空より召喚した氷塊の一撃を、ブックドミネーターに叩きつけた。
「……これは神罰。その状況では、避ける事さえ出来ぬだろう」
 それに合わせて、トニーが【神罰・光陰の矢(パニッシュメント)】を発動させ、時間凍結氷結晶を光陰の矢に変形させ、ブックドミネーターの心臓を貫いた。
「ば、馬鹿な。この私が……こんなところで……」
 ブックドミネーターがブクブクと血の泡を吐き、崩れ落ちるようにして息絶えた。
「それが汝の運命……。決して避ける事の出来なかった未来……。己の力を過信して、我等をハエ扱いした時点で、汝の敗北は決まっていた」
 そう言ってトニーがブックドミネーターだったモノを、冷たく見下ろすのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月18日


挿絵イラスト