迷宮災厄戦⑰~昨日と今日の明日
不思議の国が連なるアリスラビリンス。
そこに、牢獄に閉じ込められていたというオブリビオン・フォーミュラ『オウガ・オリジン』が姿を現す。
その強大な力は、アリスラビリンスの消滅を呼び寄せようとしていて。
そこに、猟書家と呼ばれる者達の他世界をも狙う思惑が絡み合って。
猟兵を含めた三つ巴の大戦争……『迷宮災厄戦』が始まっていた。
猟兵達の行く手に現れたのは、闘技場の国。
古代ローマを思わせる石造りの街並みには、神殿や広場、共同浴場に水道橋といった典型的な建築物が点在し、その中にはもちろん闘技場も多々ある。
そんな思わずローマ観光でもしたくなるような国なのだが。
「侵入者の『昨日の姿』が、オブリビオンとして現れるそうでね」
難しい顔をした九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)が説明を始めた。
確かに、オブリビオンは『失われた過去の化身』だと言われるし。
オブリビオンが染み出す『骸の海』は、世界から排出された『過去』の集積体であるのだから、昨日の自分がオブリビオンになる、というのもありなのかもしれない。
何しろ今この時でさえ『現在』は『過去』に変わっているのだから。
まあ、そんな小難しいことはともかく。
現れる敵は、自分自身。
アドバンテージはわずか1日。
ほぼ互角の強さと考えれば苦戦必須の相手ではあるが。
「どうにかして自分に打ち勝って、その先へと進んでおくれ」
信頼の笑みで夏梅は猟兵達を送り出す。
昨日の自分を倒して今日の自分が進む先は、明日。
貴方の明日を、見せてください。
佐和
こんにちは。サワです。
昨日の私は熱帯夜で寝不足でした。今日もか。
冒険シナリオですが、普通に戦闘リプレイになるかなと思われます。
相手は「昨日の自分」です。
見た目とか状況とかにこだわりの差異があればご指定下さい。
特になければ、そっくりそのまま同じ姿で現れるのではないかと。
闘技場の国は、古代ローマ風です。
バシリカにヴィッラ、コロッセウムとかパンテオンなどもあるかも?
相手と遭遇する場所、戦う場所などにも希望があればどうぞ。
尚、当シナリオには特別なプレイングボーナスが設定されています。
それに基づく行動をすると判定が有利になります。
【プレイングボーナス】「昨日の自分」の攻略法を見出し、実行する。
それでは、昨日との邂逅を、どうぞ。
第1章 冒険
『昨日の自分との戦い』
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POW : 互角の強さであるのならば負けない。真正面から迎え撃つ
SPD : 今日の自分は昨日の自分よりも成長している筈。その成長を利用して戦う
WIZ : 昨日の自分は自分自身であるのだから、その考えを読む事ができるはず。作戦で勝つぞ
👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ポノ・エトランゼ
昨日の自分ねぇ……うーん、ほんと、鏡か何かを見ているみたい
まずは普通に戦ってみる
弓矢や魔法による初手はあっちも当然狙っているわよね
自分の考えていそうなことだもの、矢を射放ちつつ回避を重点に
(まあ、昨日の私も同じことを考えてそうだけど……)
絶対に引っかかるよう、動揺させてその間に倒す作戦といきましょう
あー、あー、こほん!
昨日の私に言っとかなきゃいけないことがあるのよ
実は、私、恋人ができたわ!!(胸をはってばーん)
本当よ!?(当然嘘だけど)
証拠に今の『愛情』度を見せてあげるっ
UCで花言葉がソレの『朝顔』を
蔓で拘束して、矢で昨日の私を射貫く
……何とか倒せたかな
……恋ってなんだろうね?(←初恋もまだ
「昨日の自分ねぇ……」
ポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)は、目の前に現れた人影をじっと見つめていた。
左右で揺れる長く綺麗な金色の髪。
エルフの特徴である尖った長い耳と、ちらりと口元に覗く可愛い八重歯。
ピンク色の花びらを飾ったかのような帽子も、動きやすそうな丈の短いワンピースも、森の木々を思わせるいくつもの緑色が重なって。
すらりと伸びた四肢は、細いながらも健康的で活発な印象を与え。
こちらを見つめている紫色の双眸は、好奇心にあふれている。
「うーん、ほんと、鏡か何かを見ているみたい」
見慣れた自分の姿に面白がるように笑ったポノは、手にしていた弓に矢を番えた。
同じタイミングで目の前の自分も弓矢を構えているのを見て、笑みを深めると。
放たれた矢は、お互いが立っていた場所を確実に射抜き。
共に空を切る。
矢を放つと同時に、いやそれより早く、双方ともその場から回避していたのだ。
そこから、弓矢の、そして魔法の応酬が始まる。
蔦の絡みついた樹の枝を思わせる弓を構え、葉の意匠が施された矢を放ち、その合間にかざした繊手から魔力が迸る。
攻撃を重ねながらも、ポノが重視するのは回避。
一つ所に留まらず、動き続けて狙いをつけさせにくくしつつ、向かって来る矢や魔法の軌跡を油断なく見切り、躱していく。
(「まあ、昨日の私も同じことを考えてそうだけど……」)
思ったその通り、相手も動き続け、こちらの動向をしっかりと見切っていて。
当たらぬ攻撃の応酬が続いていく。
予想通りではあるけれども、決着の見えない戦い。
ゆえに、ポノは作戦を変えた。
昨日の自分には決してできない戦法へと。
「あー、あー、こほん!」
わざとらしく声を整えれば、相手の紫瞳に訝し気な色が灯り。
「昨日の私に言っとかなきゃいけないことがあるのよ」
弓を構えて警戒を続けながらも、じっとこちらの動向を探る相手に、ポノは見せつけるように胸を張った。
「実は、私、恋人ができたわ!」
「えええ!?」
驚きのあまり、番えていた矢がぽろりと落ちる。
「う、嘘!? 私に恋人なんていない……」
「それは昨日までの私。あなたの知らない今日に、私に恋が生まれたのよ!」
「そんな……嘘でしょう!?」
「本当よ!?」
おろおろと慌てる相手に、ポノは力強く言い切る。
当然、嘘です。
とはいえ、相手にそれを確かめる手段はなく。
信じられないといった表情で、どうしたらいいのかと混乱するばかり。
その様子に、ポノはにっこりと笑って見せると。
「証拠に今の『愛情』度を見せてあげるっ」
ユーベルコードで無数の植物を想像から創造した。
それは長い蔓を伸ばし、動揺したままの昨日のポノへと絡みつき。
大きなラッパを思わせる白い花を幾つも幾つも咲かせていく。
「あ、朝顔……!」
「あなたが私なら知っているわよね?
朝顔の花言葉が『愛情』だってことを」
告げたポノに、相手は自身を見下ろすように周囲を見た。
そこに咲き誇る、朝顔、朝顔、朝顔。
愛情が溢れ出ているかのように咲き乱れる、無数の白い花を。
見回して、そして、戸惑う顔を上げてポノを見据えると。
ポノは足元に咲いた白い朝顔をそっと摘み、口づけるように顔へ近づけ、微笑んだ。
拘束された相手に驚愕が走る。
もはや攻撃することすら忘れ、ただただポノを見つめるだけの相手に。
ポノは弓を構え、矢を放った。
「何とか倒せたかな」
射抜かれた相手の姿が、朝顔の蔓の間から消えていくのを見届けて。
ふぅ、と息を吐いたポノは、そのまま上を、空を見上げる。
「……恋ってなんだろうね?」
エルフの少女、ポノ・エトランゼ。
彼女に初恋が訪れるのは、もう少し未来の話になりそうだった……
大成功
🔵🔵🔵
一ノ瀬・はづき
昨日の僕はまだ平気なのかな?
平気そうなら教えてあげたい。
昨日の朝食に食べたチーズバーガーが痛んでいてお腹をこわしてしまうということを…。
まだのようならそろそろ来るはずなんだけど。
お腹をかき乱すビッグウェーブが…。
今すぐトイレに向かうことをお勧めするね。
でもってトイレの間待っててあげる。
それから遠慮なくいかせてもらうよ。
昨日の僕は運が悪かったけれど今日の僕はついている。
アイスの当たりくじ引いたからね。
運を味方にして昨日の僕に勝つんだー。
昨日の僕に打ち勝ち日々成長をとげる。
僕が立てた正義の誓いにそんな一文があるんだー。
ユーベルコード、正義の誓いを使って心をたぎらせて戦わせてもらうよ。
一ノ瀬・はづき(人狼の正義の味方・f29113)も、古代ローマ風の家々が建ち並ぶ大きな通りの真ん中で、自分と全く同じ姿の相手と対峙していた。
肩口で揺れる髪色と同じ紫の狼耳と狼尻尾をぴこんと揺らし。
スカーフを巻いた首元の下では豊満な胸がチューブトップを押し上げて。
腕の大半を覆う長手袋に、太腿までを広く覆うロングタイツが四肢の露出を避けているけれども、その分、短いベストとビキニタイプのパンツが、肩口を、胸元を、腹部を、隠すことなく美しく魅せている。
(「あれが、昨日の僕……」)
髪に隠されていない左側の紫瞳で、そんな自分の姿を見つめたはづきは。
(「あの僕はまだ平気なのかな?」)
ふと、昨日の出来事を思い出して、心配そうに表情を曇らせた。
こちらへと敵意を露わにして構える相手には、見る限りでは変わった様子はない。
(「なら、教えてあげたい」)
「ねえ、昨日の僕。伝えておきたいことがあるんだー」
声を張り上げると、ぴくりと相手の狼耳が揺れる。
警戒はそのままだけれども、聞いてくれていると確認したはづきは続けて。
「実は、昨日の朝食に食べたチーズバーガーが痛んでたんだよね」
今日の自分だからこそ知っている、昨日の悲劇を説明し始めた。
「まだみたいだけど、そろそろ来るはずなんだよ。
お腹をかき乱す、ビックウェーブが……」
話の最中、さっと顔色を青褪めさせた相手は、露出したお腹を押さえて。
はづきを見据えていたその紫色の左瞳が、ちらちらと周囲を探るように泳ぎ始める。
(「ああ、やっぱり……」)
昨日の苦労を思い出しながら、はづきはそっと傍の建物を指差した。
「トイレはそっちみたいだよ。
大丈夫、待っててあげるから」
むしろ行くことをお勧めすると示せば。
はづきに身体の正面を向けたまま警戒を見せながらも、青い顔のはづきは建物へとじりじりと近寄って行き。
その途中でさらに顔を青くすると、もう他のことには構ってられないという勢いで、建物の中へと駆け込んでいった。
思わず、空を見上げたはづきは。
約束した通り、相手が戻って来るのを待って。
「お帰り。それじゃあ遠慮なくいかせてもらうよ」
ようやく戦いを始めた。
同じ戦法で、同じ思考で、同じ体格で繰り出される攻撃は、それぞれに受けられ見切られ躱されていく。
「昨日の僕に打ち勝ち日々成長をとげる!」
はづきは、自ら立てた正義の誓い、その一文を確かめるように口にして。
心をたぎらせ真の姿へと変身した。
相手も同様に変身し、強化を見せるけれども。
誓いは、今日のはづきに有利なものだから。
それに、緊急事態は脱したとはいえ、昨日のはづきにはチーズバーガーの影響がまだ残っていたから。
そして何より。
「今日の僕はついている」
はづきはにやりと笑って、豊かな胸を張った。
「なんたって今日は、アイスの当たりくじ引いたからね」
冷たいアイスが食べられるほどに回復したお腹をアピールしながら。
昨日は悪かった運が今日は味方だと宣言し、自信満々に飛び込んだはづきは。
驚愕の表情を見せる昨日の自分に打ち勝った。
大成功
🔵🔵🔵
エルザ・メレディウス
◆ロランさんと一緒に
...過去の自分との戦いには私にとって、この闘技場ほど、私に相応しい場所は無いかもしれませんね
■作戦
コロッセウムに入る前に、ロランさんとは過去と現在の実力の違いについてお互いに確認しあいます。
昨日のロランさんは【オリンポスの祝福】を知らないはずです
戦闘開始と一緒に、私はオリンポスの祝福を使用
ロランさんの実力を更に強化します。
奇襲はお任せ致しました
【集団戦術】を上手く活かして、分断されないように注意します。お互いに連携に気をつけながらロランさんとはつかず離れずの距離で相手と戦います
過去の私は一人で戦ってきました
でも、今は違います
未来を共に戦う仲間が...今の私にはいるのだから
ロラン・ヒュッテンブレナー
エルザおねえさん(f19492)と一緒に来たよ
過去の自分との戦い方は、よく分かってるよ
おねえさんとなら、きっと、うまくいくの
闘技場に入る前に、おねえさんに見せた事のないぼくの戦い方を教えて、
おねえさんの事も聞かせてもらうの【情報収集】
昨日のぼくたちじゃできない連携を見せるの
おねえさんから援護を受けて【高速詠唱】でUC発動なの
そしたらおねえさんの分身に接近戦なの
ぼくの年齢や身長、魔術師って所から、接近戦ができるって、思ってないはずだから
【ダッシュ】【残像】で攻撃を避けながら音撃を【全力魔法】【乱れ撃ち】なの
ぼくの分身も巻き込むよ
過去の自分に、一人で挑む必要はない
ぼくは、そう学んできたよ
「過去の自分との戦い……」
円形闘技場を見上げて、エルザ・メレディウス(太陽を目指して・f19492)は呟いた。
「私にとって、この闘技場ほど、私に相応しい場所は無いかもしれませんね」
不明瞭なエルザの過去の記憶。
その中に残る古代ローマのような世界の光景は、この国と似ている気がしたから。
「そうなの?」
傍らから、小柄なロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)が不思議そうに見上げてくる。
きょとんとした大きな紫色の瞳を見下ろしたエルザは、問いかけに何も答えないまま、でもふわりと微笑んで見せて。
もう一度、コロッセウムを思わせる建造物の入り口を見据えた。
「過去の自分との戦い方は、よく分かってるよ。
おねえさんとなら、きっと、うまくいくの」
そんなエルザと視線を合わせ、ロランがしっかりと頷いてくる。
(「そうね。ロランさんとなら……」)
同じ思いを抱えて、エルザも小さく頷くと。
気付いたロランが嬉しそうに、えへへ、と笑った。
そして2人は、幾つか互いに確認してから、建物へと足を踏み入れる。
少し薄暗く狭い通路を抜けて、観客席に囲まれた広い闘技場へと出ると。
そこに、2つの人影が待ち構えていた。
ゆるく巻かれた長い黒髪の女性は、キトンかトーガかと思うような白い布を巻きつけた服の上から赤い布を重ね。
紐を編み上げ固定したサンダルが、すらりと伸びた脚をまた美しく魅せる。
どこかおっとりした黒瞳は女神のような艶やかさを醸し出していたが。
その繊手が握るのは、鋭く輝く一振りの刀。
闘技場に相応しい戦女神の様相を見せ、穏やかに微笑んでいた。
その隣に並ぶ小柄な少年は、漆黒の髪を靡かせた紫色の人狼。
整った顔立ちと長い髪から、女の子にも見紛う年頃で。
半ズボンのスーツのような整った服装が、良家の子息といった雰囲気を持つ。
一見、手袋に見える手の紫色は、狼耳や狼尻尾と同じ狼の毛に覆われているからで、よく見れば鋭い爪も煌めいていた。
そんな2つの姿を、自分達を鏡に映したかのような相手を、エルザとロランは見て。
向こうも恐らく同じ心境でこちらを見て。
しばしの間を置いてから。
それぞれから、人狼の少年が一歩前に出た。
「月下の音狼、暗き夜の森より、鬨を上げ。従う者に、命ず。汝、猟者なり」
詠唱と共に、2人のロランそれぞれに、満月の魔力でできた狼のオーラが纏わりつき。
憑きて荒ぶる音狼の狩猟で、その能力が上昇していく。
「みなさまに祝福がありますように……」
そこに、エルザだけが、ロランへどこか祈るような声でオリンポスの祝福をかけて。
少し訝し気な表情を見せた昨日の自分へと、ロランは襲い掛かった。
応じるように、相手もロランへと向かってくる。
残像が見える程の素早い動きで互いに牽制し合い、隙を狙っていく中で。
ほぼ同時に、2人のロランは大きく咆哮する。
「うぉぉおおん!」
同じ姿の人狼同士から放たれる、同じ音撃。
だがしかし、同じ攻撃のはずなのに、昨日のロランがじわりと圧されていた。
驚愕と困惑が混じるその表情を見て。
「オリンポスの祝福は、能力強化のユーベルコードです。
ロランさんに見せるのは初めてですね」
にっこりと穏やかにエルザは微笑んで見せる。
そして、昨日の自分を押し切ったロランは、そのまま方向を変えてもう1人の相手へ、昨日のエルザへと迫り、その煌めく爪を繰り出してみせた。
「おねえさん、ぼくが接近戦ができるって、思ってなかったよね」
まだまだ子供の小柄な外見から。
そして、魔術師としての立ち居振る舞いから。
想像もしなかったと驚いていたエルザを思い出して、ロランはにっと笑う。
そう、2人は円形闘技場に入る直前に、お互いに知らない戦い方を教え合い、その戦い方を使った作戦を立てていたのだ。
エルザの能力強化を知らない昨日のロランは、今日のロランを自分と同じと思い。
ロランが接近戦を行うことを知らない昨日のエルザは、その支援をすることなど考えられもせず、むしろ自分が前に出て支援してもらうべきかと思っていたから。
昨日の2人は、思わぬ相手の動きに戸惑い、連携が崩れ。
しっかりと戦法を整えてきた今日の2人に圧倒された。
「過去の私は1人で戦ってきました」
神々の祝福でロランを支えながら、エルザは狼の咆哮に倒れる自分の姿を見て。
「でも、今は違います。
未来を共に戦う仲間が……今の私にはいるのだから」
信頼に満ちた眼差しを、ロランの背に注ぐ。
そしてロランも、普段以上の、昨日以上に強化された力を感じながら。
慌てて対応しようとする自分の姿へと踵を返す。
「過去の自分に、1人で挑む必要はない。
ぼくは、そう学んできたよ」
そして振り下ろされたロランの鋭い狼爪は、深く深く相手を切り裂いた。
大成功
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