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迷宮災厄戦㉑〜胸に牙もつもの

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #レディ・ハンプティ

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「みんなー、集まってくれてありがとー」
 君達にお礼を言ったレティエル・フォルクエイン(オラトリオのサウンドソルジャー・f15293)はアリスラビリンスの世界の戦争で二人目の猟書家に挑めるようになったことを明かした。
「二人目は、レディ・ハンプティさん。アルダワ魔法学園を狙う猟書家で大魔王アウルム・アンティーカさんの娘さんなんだって」
 戦場となるのは、魔導列車が走り回り、蒸気建築に埋め尽くされた、大都会のような国。この国で戦うことになるレディ・ハンプティは、侵略蔵書「蒸気獣の悦び」を用いて災魔の幽霊を乗せた魔導列車を召喚したり、肩の蒸気機関から吹き出す蒸気を纏い武装楽団形態変身して戦うほか、乳房の下の口での噛みついて丸呑みにしてきたりもする強敵なのだという。
「それにレディ・ハンプティさんもサー・ジャバウォックさんみたいにみんなが動くより先に攻撃を仕掛けてこれちゃうみたい」
 ユーベルコードの発動よりも早くこちらに届く攻撃は、こちらのコードの発動前に届くが故に防御やパワーアップ効果のあるユーベルコードで防いだり躱すことは不可能。
「だから、ユーベルコード以外の方法で何とかする必要があるかもなんだけど」
 対策もなくまともに受ければ何もできず倒されてしまうこともありうるのだから。
「逆に言うと、先制攻撃を仕掛けてくるのはわかってるんだから」
 対策を立ててそれがうまく機能したなら、戦いを有利に運ぶことも可能だろう。
「強敵さんだけど、そのままにしておくわけにもいかないし」
 相手は予兆で他の世界において大事故を起こすことを企んでいることが明らかになっているのだ。
「レティちゃんもしっかりサポートするから、どうかよろしくね」
 ぺこりと頭を下げると、グリモア猟兵の少女はそのまま君たちを送り出すのであった。


聖山 葵
 二人目ですね。

 という訳で、今回は猟書家『レディ・ハンプティ』へ挑むお話です。

 また、このシナリオフレームには下記の特別な「プレイングボーナス」があり、これにのっとった行動をすることで、戦いに有利になります。

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 プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。
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 ではご参加お待ちしておりますね。
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第1章 ボス戦 『猟書家『レディ・ハンプティ』』

POW   :    乳房の下の口で喰らう
【乳房の下の口での噛みつきと丸呑み】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    アンティーカ・フォーマル
【肩の蒸気機関から吹き出す蒸気を纏う】事で【武装楽団形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    侵略蔵書「蒸気獣の悦び」
【黄金色の蒸気機関】で武装した【災魔】の幽霊をレベル×5体乗せた【魔導列車】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

白石・明日香
では、やるとしようか!
残像でかく乱しながらダッシュで接近、当然奴は近づいてくるだろう。何せ30cm以内の相手にしか攻撃できないのだから、その挙動を見切ってそれ以上の距離を保ち攻撃をしてきたらおっぱいを踏みつけて空中戦の要領でバックジャンプして後退。
奴の攻撃がカラぶったら再度ダッシュで接近して敵の攻撃はオーラ防御、激痛耐性で耐えながら間合いに入り怪力、2回攻撃、属性攻撃(炎)、鎧無視攻撃で叩き切る!
ま、柔らかいよな!そのおっぱい。
お前の親父は堅かったけど



「では、やるとしようか!」
 転送され降り立った、蒸気建築に埋め尽くされし国。白石・明日香(十字卿の末裔・f00254)にとって視界の中に標的である猟書家が居たなら、もうやるべきことは決まっていたのだろう。
「わたくしに何の御用、などと聞くまでもなさそうですね」
 挑まれる側の、猟書家ことレディ・ハンプティもさして変わらないか。
「奴は近づいてくるだろう」
 既に駆け出している明日香はそう予測していた。いかに超高速で威力があろうと、30cmとリーチの短すぎる攻撃を当てるには、密着と言って差しさわりのない距離まで近づく必要がある。予測は難しくなく、その明日香もまた現在進行形でレディ・ハンプティへと駆け寄っている。これがただ一直線に向かってきているだけなら、レディ・ハンプティとしても歓迎すべき状況だったかもしれないが、そんなことはなく。
「どれが……いいえ、落ち着くのです。ここで惑っては、あちらの思うつぼ」
 帯びた残像で自身の数を増やし、狙いを定めにくくしつつ近寄ってくる明日香の姿にレディ・ハンプティは頭を振り。
「それです!」
 胸の口がアギトを開き複数居る明日香の一人に向けて食らいつこうとし。
「おっと」
「うぐっ」
 上顎を押さえつけるように挙動を見切って乳房を踏みつけた明日香は、レディ・ハンプティの胸を足場に後方へ飛び退る。
「あっぶねぇ、ギリギリかぁ」
 牙の掠めたところを一瞥だけして着地した明日香は着地するなり前へと足を踏み出し。
「ぐっ、わたくしの胸を足場になど――」
「ま、柔らかいよな! そのおっぱい」
 いきり立つ猟書家に笑って見せた明日香は、炎を宿らせた斬撃を繰り出す。
「お前の親父は堅かったけど」
「な」
 父親のことを口にしたのも動揺を誘うためか。
「あああっ」
 二度に渡る斬撃は一本の蒸気の噴出筒を半ばで、切断し。真っ二つになった帽子も地に落ちて、髪の毛が零れ出す一方、滴り落ちたレディ・ハンプティの血が石畳を濡らしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィーナ・シェフィールド
アドリブ連携歓迎♪

せっかく手に入れたアルダワの平穏、守りたいですね。
ここで絶対、食い止めます!

「こちらは黄金の旋律です!」
召喚された魔導列車に対して、建築物の上に舞い降りて列車を回避。

オーラ・モーントシャインを纏わせたシュッツエンゲルを周囲に展開して攻撃を受け流す準備をしながら、UCを発動して、黄金のグランドピアノを召喚して、災魔の幽霊に対抗します。

「響け、未完成協奏曲!」
魂に響く旋律を戦場に響かせて、レディも含めた全ての悪しき者の動きを止め、更に破魔の歌声を乗せて魔の力を浄化していきます。

「その魂を浄化します!」
せめて災魔の幽霊だけでも止められれば、他のみなさんの役に立てるでしょうから…。


火土金水・明
「相手は『猟書家』の一人。こちらも全力を出して戦いましょう。」
相手の先制攻撃に対しては、【見切り】【野生の勘】【第六感】の技能を駆使して回避を試みます。
【WIZ】で攻撃です。
【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【サンダーランス】を【範囲攻撃】にして、『猟書家『レディ・ハンプティ』』と召喚された者達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。


シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK。

マントを翻して戦場となる蒸気建築の上にひらりと降り立つと、レディに向けて一礼。宣戦布告いたします。
「私と踊っていただけますか、レディ?」

閃光の魔盾のビーム障壁とソード&ライフルビットを展開して攻撃を受け流しつつ、武装楽団形態に変身したレディに対し、【精霊たちの輪舞】を発動。

「レッツ・ダンシング、舞い踊れ、風と氷の精霊よ!」
精霊石の銃に宿った風の精霊の力を引き出して、レディの蒸気を吹き飛ばすと同時に、氷の精霊の力で蒸気機関の動きを鈍らせます。

「残念ですが、アルダワには行かせませんよ!」
蒸気を吹き飛ばして見えたレディ本体に向けて、破魔の力を込めた真紅銃の一撃をお見舞いしましょう。



「相手は『猟書家』の一人。こちらも全力を出して戦いましょう」
 手負いであっても出し惜しみするつもりなど、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)には毛頭なかった。
(「せっかく手に入れたアルダワの平穏、守りたいですね」)
 視界の中で帽子を失い、血を滴らせている猟書家が生き残れば、フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)の希望が叶うかも怪しくなる。
「ここで絶対、食い止めます!」
 故にフィーナは宣言し。
「そうは参りません! わたくしには果たさねばならないことがあるのです!」
 レディ・ハンプティはこれに黄金色の蒸気機関で武装した災魔の幽霊達を乗せた魔導列車を二両召喚、内一報をフィーナへと差し向けることで答えとする。食い止められるものなら、食い止めてみろとでも言わんがばかりに。
「魔導列車なら、地上は走れても――」
 フィーナはオラトリオである。翼を広げて舞い上がれば、列車自体が届くはずもなく。
「残念、それは残像です」
 もう一方の魔導列車の接近に明はまるで最初から知っていたかのように地を蹴って飛ぶと、列車は明の残像をすり抜ける。無論、列車に乗った災魔の幽霊達が列車自体の体当たりを躱されてそれでよしとするはずもないが。
「私と踊っていただけますか、レディ?」
 レディ・ハンプティは、ただ二人に嗾けた列車と幽霊の戦果を確認だけしていれば良かったわけでもなかったのだ。顔を向けた先には、蒸気建築の上にマントを翻してひらりと降り立ったシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は一礼して申し出る姿があり。
「よろしくてよ、ついてこられるのでしたらですけれ――」
 言うが早いか、肩の蒸気機関から吹き出す蒸気を纏った猟書家は武装楽団形態へと変んじたレディ・ハンプティの姿がブレた。
「ど」
 腕輪からシンの八方に形成された光のフィールドが軋んだのは、レディ・ハンプティが最後の一音を発したのとほぼ同時であったように思われた。
「っ」
 シンとて無策のつもりはない。現に光のフィールドを形成したからこそレディ・ハンプティの一撃はそちらに当たったのだ。思念で動くソードビットとライフルビット四対も展開して更なる攻撃に備え。
「そちらが蒸気獣の悦びでしたら、こちらは黄金の旋律です!」
 攻防は未だ走り続ける魔導列車とフィーナや明達の間でも繰り広げられていた。フィーナは月明りのように見るものを優しく包み込むオーラを纏わせた数十枚のマルチドローンプレートが展開したバリアで災魔の幽霊達が放つ攻撃を受け止めつつ、飛び、しのぎ切ったところで建築物の上へと降り立ちつつ、純金のグランドピアノを召喚し。
「それも残像です、そして――」
 放たれる攻撃を見切って七色に輝く杖を明は魔導列車と、その延長線上に居るレディ・ハンプティへ向ける。
「響け、未完成協奏曲!」
 フィーナの演奏準備が整ったのは、この直後。
「何、この曲は? どこから?」
 爆発的に増大したスピードと反応速度でシンを防戦一方に追い込んでいたレディ・ハンプティは思わず周囲を見回し、災魔の幽霊達の攻撃が鈍る。
「せめて災魔の幽霊だけでも止められれば、他のみなさんの役に立てるでしょうから……」
 そんなフィーナの思いが実を結んだのだろう。
「我、求めるは、新たな雷撃の力」
 これは明からすれば、好機以外のなにものでもない。それでも念を入れて撃ち出すタイミングをずらすフェイントを挟む形で四百を超える数の魔法の槍が雷光をはじけさせつつ解き放たれた。
「ギャア」
「ゲフッ」
 フィーナの奏でる圧倒的な演奏に聴き入り、動きの鈍っていた幽霊達は次々に串刺しとなり。
「うぐっ、ぐっ、くあっ」
 ことフィーナの演奏によって動きを止められていたという意味合いではレディ・ハンプティも例外ではない。容赦なく飛来する魔法の槍が幾本も突き立ち。
「その魂を浄化します!」
「ギャアアッ」
「身体ガァァァッ」
 更にフィーナの奏でる旋律に破魔の効果を持った歌声が響けば、魔導列車内の生き残った幽霊達も浄化されてゆく。
「そん、な」
 魔導列車を無力化され、レディ・ハンプティの口からかすれた声が漏れる中。
「精霊石に宿りし精霊よ、その力を解き放て!」
 シンの声に応じる様に武器にはめ込まれた石が輝き。
「レッツ・ダンシング、舞い踊れ、風と氷の精霊よ!」
「っ?!」
 精霊石の銃に宿った風の精霊の力が猟書家の纏う蒸気を吹き飛ばせば、氷の精霊の力がまだ無事だったレディ・ハンプティの蒸気機関を凍り付かせ始め。
「ああ、なんてこと、これ――」
「まだです! 少しでも、ダメージを与えて次の方に」
 狼狽するレディ・ハンプティを二度目の槍の雨が襲った。
「きゃああああっ」
 息する暇すらなく雷光を迸らせて殺到する魔法の槍は競い合う様にレディ・ハンプティやその周囲の地面へ突き刺さり。
「う、うぅ……父様。わたくし、は」
「残念ですが、アルダワには行かせませんよ!」
 それでも立ち続ける猟書家へ真紅銃を向けるとシンは引き金を引いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草野・千秋
父娘の絆、大魔王の娘としての矜持……それは確かにあるのかもしれません
しかし、この世界以外にも災魔を呼び出そうですって!?
せっかく平和になろうとしていた魔法学園に手出し、そんなことさせませんよ、そのために僕ら猟兵が来たんです!

変身!断罪戦士ダムナーティオー推参

敵UCは臨戦と同時にUCを発動させ飛翔することによって回避
空中戦、勇気、スナイパー、一斉発射で30cm以内に入らないよう距離をとって射撃
なるべく相手に近寄らないようにするが仲間が攻撃されそうなら、その限りではなくかばう
人を守れないで何が猟兵、ヒーローですか!
攻撃は激痛耐性、盾受けでで耐え抜く



「父娘の絆、大魔王の娘としての矜持……それは確かにあるのかもしれません」
 決着がついていてもおかしくなかった一撃を耐えた猟書家が目の前に居る。だがその理由でもある可能性を差し引いても、草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は原動となったであろうものを否定するつもりはない。
「しかし、この世界以外にも災魔を呼び出そうですって!?」
 ただ、レディ・ハンプティの行動を許す理由にもなりえなかった。
「せっかく平和になろうとしていた魔法学園に手出し、そんなことさせませんよ、そのために僕ら猟兵が来たんです! 変身!」
 叫ぶなり千秋の姿が変じ。
「断罪戦士ダムナーティオー推参」
「父様。ああ、父様」
 ポーズをとった直後だった。凄まじい速さでレディ・ハンプティが肉薄してきたのは。
「っ」
 ユーベルコードを用いて飛翔力を得るのが、接近を防ぐべく銃を撃つのが、間に合わない。まさに先制攻撃である。
「なら」
 瞬時に状況を理解した千秋ことダムナーティオーは、大きく口を開けたレディ・ハンプティの胸部の前へmurus lamentariusを突き出した。
「くっ、この程度で倒れて何が猟兵、ヒーローですか!」
 一時的につっかえ棒になりかけた盾は牙のある口にかみ砕かれ、murus lamentariusを手にした腕にも深く牙が突き立つが、ダムナーティオーは歯を食いしばって耐え。
「あの夜空へ、今!」
 全身をナノマシンで覆うと自身を丸呑みにしようとする猟書家をぶら下げたまま、得た飛翔力で空へ飛び立ち。
「いい加減、離してもらおう」
 速度を増しつつ急旋回することでレディ・ハンプティを振り払った。
「ああっ」
「これは先ほどの礼だ!」
 更に落ちてゆく猟書家へordinis tabesの銃口を向けると、狙いを定めて発砲し。
「っ、ダメージを受けすぎたようですね」
 銃撃の結果を見届けることなく失速したダムナーティオーは転送されてその場から消えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

花盛・乙女
オブリビオンとはいえ、貴人を前にして名乗らぬのも剣士の恥だな。
花盛乙女、羅刹の戦好き、貴様の命脈と企てを絶つ一刀だ。

問答し「挑発」する事で相手の攻撃を誘う。
【黒椿】を舐め起こし、手の内もみせてやろう。
いざ口での攻撃がくれば「気合」「激痛耐性」に「怪力」による筋肉の引き締めで噛み付きに耐え、飲み込まれてやろう。

奴の技の隙、即ち咀嚼しない丸呑みであることを逆手にとる。
不快だが黒椿の煙を身に纏わせ「怪力」任せに体内を暴れる「カウンター」を食らわせてくれる。
この長き角も用い、文字通り腹を破ってくれよう。

一寸法師という話があるのを知っているか?
あれでは鬼が腹を破られるが…此度は鬼が破らせてもらったぞ。



「オブリビオンとはいえ、貴人を前にして名乗らぬのも剣士の恥だな」
 体中に魔法の槍が刺さり、血だまりの中それでも身を起こそうとする猟書家を見て花盛・乙女(羅刹女・f00399)は呟く。
「どこまでも、わたくしの邪魔をするのですね」
 その姿は、レディ・ハンプティからすれば満身創痍の身に差し向けられた更なる刺客に他ならない。
「花盛乙女、羅刹の戦好き、貴様の命脈と企てを絶つ一刀だ」
 恨みごとのような言葉を問いとし、答えることをもって乙女は挑発と為す。
「断つ、ですって?」
 乳房の下の口をわななかせ、強く拳を握ったレディ・ハンプティは即座に食いついた。余裕がもはや残されていないというのもあったのだろう。
「させない! わたくしは父様の無念を晴らすのです! だから――」
 動くごとに滴る血が地を濡らし、身を起こすのすら辛そうに見えた猟書家が唐突に前へと跳ぶ。レディ・ハンプティの牙が生えそろう胸の口は大きく開き、乙女を丸呑みにせんとするが、むしろこれは乙女の望むところ。
「っく、あら?」
 あっさりと敵を丸呑みに出来たことに猟書家は首を傾げ。
「ぐうぅっ……はぁ、仕事だ……働けっ」
 敢えて丸呑みにされた乙女は痛みに耐えながら、抜いた黒椿の刀身へ舌を這わせる。
「ヒヒ、相変ワラズ色気ノナイ奴ダ。シカシ――」
 一刻を争う状況であることを理解したのか、別の理由でか、何か言いかけた黒椿の煙を乙女は強引に身に纏わせ。
「がはっ」
 内から突き出した角に腹を突き破られたレディ・ハンプティが片膝をついたのは、直後のこと。
「一寸法師という話があるのを知っているか?」
「こん、な」
 内から聞こえる声を知覚しながらも、もはや身体を支えることすら能わずに猟書家は崩れ落ちる。
「あれでは鬼が腹を破られるが……此度は鬼が破らせてもらったぞ。さて」
 敵の血にまみれながら這い出した乙女はよろめきながらも立ち上がると、振り返り。
「ああ、父様。わた……」
 最期の力でここではないどこかへと手を伸ばそうとしたレディ・ハンプティへ乙女は刃を振り下ろしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月16日


挿絵イラスト