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夏色ティーパーティ

#グリードオーシャン #お祭り2020 #夏休み #ティーポッ島

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●海賊の噂話
 空には輝く太陽、潮風は穏やかに。
 青い海を愛でながら白い浜辺でピクニックパーティだとさ。
 温かい紅茶も美味いが、夏にはよく冷えたアイスティーが飲みたくなるよな。
 うさぎ達がおやつも用意していたよ。
 果物の入ったティーパンチや、アイスを乗せたティーフロート。
 紅茶のシャーベットもおいしそうだろう。
 なに? 魚料理が食いたいって?
 そんなら、なにか釣ってくるか。紅茶を使った特製ソースは魚にも合うんだ。

 なんでそんなに紅茶ばかりなんだって?
 そりゃあ船長、ここが巨大なティーポットの島、『ティーポッ島』だからだよ。あっはっは。

●グリモアベース
「グリードオーシャンにある島へ遊びに行かないか」
 クック・ルウが猟兵たちに話しかけた。
 場所はお茶会好きの住民が暮らす平和な島、ティーポッ島。
 昔々、アリスラビリンスから落ちてきた、大きな大きなティーポットの島だ。ティーポットの周りを、不思議の国の名残がある森と浜が囲み、ポットの注ぎ口から滾々と湧き出す紅茶は、滝になって紅茶の泉となっているのだという。
 そこで暮らすのは愉快な仲間の子孫である者たちや、島に住み着いた海賊。
 夏のある日、彼らは海辺で紅茶を楽しむピクニックティーパーティをするらしい。
 パーティと言っても浜辺の上にシートを敷いて、紅茶にお菓子や料理を楽しむというだけのもの。
 どう過ごすのも自由だ。
 折角海に来たのだから、水着を着て海で遊ぶのもいいかもしれない。
 海の上で過ごしたいのなら、ティーセットを乗せたボートも貸りられるそうだ。
「島に訪れた者をお茶会に誘うのが好きな住民たちなのでな。機会があれば、紅茶や食べ物をどんどん勧めてくるだろうし。こっちへおいでと席を勧めてくるだろう」
 住民たちは以前猟兵に救われたことを、とても感謝しているので大いに饗されるのだという。
「海と紅茶でほんの息抜き、如何かな」


鍵森
●シナリオについて
 1章で完結する平和な【日常】シナリオです。
 オブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。

 島の浜辺で紅茶は如何でしょう?
 冷たい飲み物やスイーツ、魚料理も用意されています。
 島の住民とピクニックをしたり、海遊びを楽しんだり、
 暑い夏の一日をのんびりお過ごしください。

 フラグメントの選択は一例として無視していただいても構いません。
 思い思いに過ごしていただければと思います。

 ここまで読んでいただきありがとうございます。
 皆さまのプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み』

POW   :    海で思いっきり遊ぶ

SPD   :    釣りや素潜りを楽しむ

WIZ   :    砂浜でセンスを発揮する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

テティス・カスタリア
【廻】
ここ、ずっといい匂いがする
食事には興味がないから覚えたての人魚の形でただ海を泳いでた
「!」
知った顔が見えて、傍で顔を出す
「?」
何してるんだろう
ボートの中を覗こうとしたら怒られて思わず少し距離をとる

このペンダントは…
「海の底で、拾った。生まれた場所…深海流の中。色んな物が、流れ着く」
何故か此方に訴えかけてくるほどの、強い意志を持った物ばかり
何となく集め続けてきたけど、思わずこの体を作って海の上に出てくることになったくらい、これは凄くて
元の持ち主に代わって、何かを伝えなくちゃいけないと思った
そんな目をするなら、もう伝える相手は判るけど
…何を、伝えればいいのか
まだわからない
「…わかった、約束」


シェフィーネス・ダイアクロイト
【廻】アドリブ歓迎
ガウンにズボン

紅茶セット付でボート拝借
パラソル差しベンチに座る
カルピスバター乗ったホットケーキを行儀よく食す

メガリスで綺麗な海見る
優雅に紅茶を一口
美味に僅か表情が柔く
一人の休暇を満喫中にテティスと遭遇

…貴様も来ていたのか
何用だ
おい、不躾に眺めるのは許可していない

反射した光に片目細め
その正体を見れば目の色が変化
思わず立ち上がりボートが揺れ

貴様、そのペンダント!
…何処で手に入れた
成程、残留思念か

(見間違える筈も無い
其れは
私の母がよくしていた物
中の写真は確か─
…結局、過去を棄てきれて無いのか)

首飾りを強奪しようとしてやめる

伝える?何かとは
…解ったら先ず私に報せろ
船の者には特に内密に



 ズボンの上にガウンをまとった気取らない佇まいにも、人の気を引くような魅力が漂う。
 島の住民から掛かる声にもすげなく応じ、必要なものを乗せると、男は一人ボートに乗り込んだ。
 紺碧の海は波も穏やかで、辺りに他の船もないところへ行けば、一人で過ごすのには申し分のない場所だった。
 シェフィーネス・ダイアクロイト(孤高のアイオライト・f26369)は、日除けに差したパラソルの影でようやく寛いだ姿勢になり、用意されたティーセットに手を伸ばした。
 白い皿にはふっくらした黄金色のホットケーキが乗っている。
 添えられたバターは、特製のものらしい。異界の技術から受け継がれたものだとかで、普通のバターよりも白く繊細な味わいがするのだとか。一掬いしてナイフで塗りつければ、淡雪のように染み溶けて。
 ナイフとフォークを操る丁寧な手つきは、昔に身についたもの。格子状になるように切り分けて、一切れずつ口へ運べば、一口噛む毎にやさしい風味が口の中に溶けるように広がっていく。
「悪くないな」
 ふ、と。
 その眼差しや口元に、ふだん周りに見せないような柔らかい笑みが掠めたのを、本人すら気づいていなかったかもしれない。
 そうしてのんびりと休暇を楽しむシェフィーネスのボートへ、一つの影が近づいていた。

 人魚は、覚えたばかりの姿で潮に運ばれるまま流れ泳いでいた。
 まるでひとひらの花弁が舞うような、透明で繊細な光景。
 鮮やかな色をした魚の群れとすれ違いながら、ゆらめくような光を湛えた瞳を瞬かせる。
 ――ここ、ずっといい匂いがする。
 それは島から漂う紅茶の香りだっただろうか。食事というものに興味がないテティス・カスタリア(想いの受容体・f26417)には、匂いの正体はわからない。
 ただ植物を思わせる香りは、好ましいもののように感じられて。尾ひれを揺らして青の深い場所から、夏の陽光が眩しい海面へ浮上していく。
 すると一艘のボートが目に入った。どうやら人が乗っている。
 ――、あれは。
 見覚えのある姿に海面から顔を出してみれば、ボートの上にはメガリスである眼鏡越しに海を眺め、紅茶を楽しむシェフィーネスと目が合う。
「……貴様も来ていたのか」
 噛み付くような口調でシェフィーネスが言う。思わぬ休暇の邪魔が入って、気分を害したようだ。
 対するテティスは不思議そうに目を丸くするばかりで、
「何用だ」
 と聞かれても答える言葉を持たず。なにをしているんだろう、と好奇心のまま少し身体を浮かばせてボートの中を覗こうとする。シェフィーネスは視線の先を塞ぐように立ち上がった。
「おい、不躾に眺めるのは許可していない」
「……!」
 声の鋭さにテティスは思わずボートの縁にかけた手を放して後退った。その動きに胸にかけていたペンダントが大きく揺れ、陽光に反射して燦めいた。
 眩しげに眇められたシェフィーネスの瞳が、咄嗟にその光を捉えたかと思うと驚きに見開かれる。
「貴様、そのペンダント! ……何処で手に入れた」
 吠えるように声を上げ、菫青色の瞳に深く激しい感情を宿しながら問う。
 見間違えるはずもなかった。
 其れは。棄てた筈の、もうある筈のないもの。
「これ……?」
「そうだ。そのペンダントをなぜお前が」
「このペンダントは……」
 剣幕に戸惑いながらも、テティスは手の中に包み込むようにペンダントを乗せて、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「海の底で、拾った。生まれた場所……深海流の中。色んな物が、流れ着く」
 物言わぬはずのそれらは、訴えかけてくるほどの強い意志を持つ。
 受け容れるように集めてきたその物の中でも、ひときわ強く、凄まじいほどの意志が籠もっていたのが、このペンダントだった。
 その想いは変幻するテティスにこの体を作らせ、海の上に導くほど強く。
「成程、残留思念か」
 シェフィーネスの脳裏にペンダントの持ち主であった母の思い出が過ぎる。ペンダントの中には、写真が収められているはずだ。確か――。その先は、止める。結局、過去を捨てきれていない。その事を思い知らされた。
 テティスは手の中のペンダントへ微かな声を聞き取ろうとでもしているような、透明で純粋な眼差しを向けている。
 優しい手つきで触れてほしくはなかった。心の奥深くにある柔らかな部分を覗かれているような居心地の悪さ。シェフィーネスは殆ど衝動的にそのなめらかな掌から、ペンダントを乱暴に奪おうとした。
 瞬間、瞼を持ち上げたテティスと目が合う。
「元の持ち主は何かを伝えたがっている」
「伝える?」
 元の持ち主に代わって、何かを伝えなくちゃいけないとずっと思っていた。
 テティスはシェフィーネスの瞳を覗き込むように見詰める。
 その目を見れば、伝える相手は判った。けれど。
「……何を、伝えればいいのか。まだわからない」
 茫洋としたしずかな呟きに、シェフィーネスは伸ばしかけた手を下ろし、鋭い眼差しで相手を捉えながら。
「……解ったら先ず私に報せろ。船の者には特に内密に」
「……わかった、約束」
 刻み込むように念を押す声に、人魚は頷いて応える。
 海の上で交わした誓いを波だけが聞いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヨハン・バルクレイン
エレン、海の青がすごく綺麗だよ!思わず踊るほど砂浜が熱いんだ!出て来なよ!
…ちぇっ、じゃあ俺ご飯取ってくるよ


そのお茶素敵だね。キラキラしてて宝石みたいだ
そのアイスも欲しいな。だってこんなに暑いからさ
魚のいい匂いがするね。ここで貰わなきゃ損だよね
そっちでお茶会?楽しそう!後で寄らせておくれよ

今、弟と来てるんだ。でもあいつ人見知りでさ、俺が持っていかないとなんだ
沢山持って重くないかって?全然、ボリスより軽いよ!ごめんってボリス怒らないで。魚あげるから許してよ

…はー大漁大漁。ここでいっか
なあ、こんなに貰ったんだ。俺だけだと食べきれないよ
『だろうな』
随分素直だね
『ヨハンが走り回るから腹が減ったんだ』



 ヨハン・バルクレイン(ふたりぼっち・f13945)は双子の兄弟と、そして肩に乗せた竜と供に島を訪れていた。
「エレン、海の青がすごく綺麗だよ!」
 島の向こう見渡す限りに広がる海の青さを瞳一杯に写して、弾むような声で呼びかける。靴を脱いで浜辺を駆け出せば、太陽に熱せられた砂の熱さに足が跳ねた。
「ほら、思わず踊るほど砂浜が熱いんだ! 出て来なよ!」
 きっと楽しいから、と誘う声に思ったような返事はないようで、
「……ちぇっ、じゃあ俺ご飯取ってくるよ」
 肩をすくめ、ヨハンは人の気配がする賑やかな方へと歩き出していった。
 次第に白い砂浜にたくさんの足跡が見られるようになり、紅茶の香りが漂う森の方から声が聞こえてくるようになった。
「こんにちは! お客さん!」「ようこそ、ようこそ!」
 木陰に設えたテーブルの周りで、絵本に出てくるような見目をしたウサギ達が、せっせと食事の支度をしている。やって来たヨハンの姿に気がつくと、彼らは嬉しそうに近寄ってきて、自慢の料理やデザートを勧めてきた。
「そのお茶素敵だね。キラキラしてて宝石みたいだ」
「そうでしょう。このフルーツはとっておきなんだ」
「そのアイスも欲しいな。だってこんなに暑いからさ」
「ええ、ええ。たんと召し上がってくださいな」
「魚のいい匂いがするね。ここで貰わなきゃ損だよね」
「もちろんさ。この魚はとっても美味しいんだから」
「そっちでお茶会? 楽しそう! 後で寄らせておくれよ」
「ぜひぜひ! お待ちしているからね!」
 一つ一つ、ヨハンがとっても褒めてくれるものだから、住民たちは皆大喜びで、あっという間に沢山の料理が集まってくる。
「まるでフルコースだね」
 笑いながら料理の乗った盆を持って立ち去ろうとすると、ウサギ達が不思議そうな顔をして、
「あれ? こっちで食べないのかい。向こうにシートを用意しているんだけど」
 慌てて引き留めようとするのへ、
「今、弟と来てるんだ。でもあいつ人見知りでさ、俺が持っていかないとなんだ」
 ヨハンは穏やかな微笑で答えた。
 そういうことなら無理に引き止めることもない。
 けれど、たっぷり二人分、もしかしたらそれ以上ありそうな量の料理を運ぶのは大変じゃないかしら。
「重くない? 大丈夫?」ウサギ達が心配そうに尋ねた。
「全然、ボリスより軽いよ!」
 ギャッ! と抗議の声が上がる。
 肩の上で蜥蜴に似た小さな竜がヨハンを睨んでいた。
「ごめんってボリス怒らないで。魚あげるから許してよ」
 まいったなあ。なんて苦笑うヨハンの周りで和やかな笑いが起こった。

「……はー大漁大漁」
 結局あの後も更にいくつか料理が増えてしまった。
 人のいない場所から遠ざかり、木陰の落ちた眺めの良い場所に腰を下ろして、耳をすませば、寄せては返す波の音が心地よい。
 さて皿を並べてみる、あらためて一体どれから食べようか迷うほどの量。
「なあ、こんなに貰ったんだ。俺だけだと食べきれないよ」
 困ったように呟く。
 ややあって、返事があった。
『だろうな』
 内から響く声は、どうするんだこんなに、と呆れているようでもあり。
 純粋に、なにか一口食べたそうにしているようでもあって。
「随分素直だね」
『ヨハンが走り回るから腹が減ったんだ』
 どれから食べる? と尋ねる声は楽しげに。
 そっと指が伸ばされる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【梓(f25851)と】
ティーポッ島だなんて随分可愛らしい名前だねぇ
元のアリスラビリンスも早くここみたいに
平和になるといいよね

紅茶を使った沢山の飲み物やスイーツを見て
この島の人達は本当に
紅茶が好きなんだなと伝わってくる
俺が手に取ったのは
ドリンクもスイーツも楽しめる紅茶フロート
紅茶のかかったアイスを食べるのも
アイスの溶け込んだ紅茶を飲むのも
違った味わいがあって楽しい
ん?いいよー
スプーンでアイスを掬って梓の口元へほいっと

いくら夏とはいえ冷たいものばかり
食べているとお腹が冷えてきちゃうし
温かいお魚料理も食べてみたいな
紅茶の特製ソース、味が全然想像つかないなぁ
ふふ、じゃあ焔も零も、皆で一緒に食べようか


乱獅子・梓
【綾(f02235)と】
アリスラビリンスといえば戦争真っ最中なわけだが
この島は至って平和なんだな
戦い尽くしじゃ身体も頭も疲れてしまうし
たまにはこういう骨休めも悪くない

トロピカルジュースやビールなら分かるが
浜辺で紅茶を飲むイメージはあんまり無いような…
と最初は思っていたが
予想以上に紅茶って色々あるんだな
このフルーツが入った紅茶とか南国感ある
手に取ったのはよく冷えたレモンティー
この酸っぱさが暑い夏によく合う
お、綾のフロートも美味そうだな
一口くれ

そうだな、俺も紅茶ソースの魚料理って
どんな味なのか気になっていた所だ
…魚料理と聞いてすかさず顔を覗かせたのは焔と零
はいはい、お前らの分も貰ってきてやるから



 海に浮かんだ巨大ティーポットの島。
 童話めいた島の光景は、今は戦場となったアリスラビリンスの欠片。
「元の世界は戦争真っ最中なんだが、この島は至って平和なんだな」
 島の様子を眺め、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は思いを馳せるように呟き。
「ティーポッ島だなんて随分可愛らしい名前だねぇ」
 青空の下、風に黒髪を揺らして灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は穏やかな微笑みを向けて。
「元のアリスラビリンスも、早くここみたいに平和になるといいよね」
「そうだな」
 二人は小さく頷きあう。
 その望みを叶えることができるのは猟兵のみ。
 けれど戦い尽くしでは身体も頭も疲れてしまう。
 だから今だけは暫し、激しい戦いから離れて休息のひとときを。

 島を歩けば見えてくる紅茶を使った飲み物や紅茶をせっせと支度しているウサギ達の姿。
 浜と森の境目辺りの木陰で、紅茶の入ったティーポットを持って行ったり来たり。
 客人が来たことに気がつくと、彼らは嬉しそうに飛び跳ねる。
「本当に紅茶が好きなんだね」
 その様子に綾は笑みの形に瞳を細め、近寄っていく。
 テーブルや盆に載せられた飲み物は様々で、面白そうに梓は眺めた。
「予想以上に紅茶って色々あるんだな」
 鮮やかな色のフルーツを使ったティーパンチなどは南国感と物珍しさもあって目を引く。
 二人はそれぞれ気に入った飲み物をウサギから受け取ると、海を一望できる眺めの良い場所へ向かった。
 砂浜の上に広げたシートの上に座り、選んできた紅茶のグラスを掲げて戯れるように乾杯を交わす。
 梓が選んだのは、輪切りのレモンを浮かべたレモンティー。
 酸味のある爽やかな香りは、海風と夏の熱気の中で心地よく。
 渇いた喉に流し込めば、ひんやりとした潤いが染み渡る。
「浜辺で紅茶を飲むイメージはあまりなかったが、これはいいな」
「この暑さがいいアクセントになってるよね」
 紅茶のフロートをスプーンでつつきながら綾も同意を示した。
 濃いめに淹れた紅茶に、ころりと浮かべたバニラアイス。
 それを銀のスプーンで崩しながら、味の変化を楽しむ。
 バニラが溶けた紅茶はミルクティーにも似た、けれどまた違った風味。
 甘い口溶けに、ほころぶ様な笑みが浮かぶ。
「お、綾のフロートも美味そうだな。一口くれ」
「ん? いいよー」
 突然の申し出にも二つ返事。
 あ。と開いた梓の口元に綾は自然な仕草でアイスを滑り込ませた。
「甘いな」
「そうだね」
 さて、まずは飲み物を堪能したけれど、気になるものはまだある。
 せっかくのピクニックパーティなのだ。
 次は何を食べてみる?
 梓が尋ねると、綾は逡巡するように首を傾け。
「冷たいものばかり食べているとお腹が冷えてきちゃうし、温かいお魚料理も食べてみたいな」
「そうだな、俺も紅茶ソースの魚料理って、どんな味なのか気になっていた所だ」
「紅茶の特製ソース、味が全然想像つかないなぁ」
 魚の話と聞いて、飛び出してきた小さな影が二つ。
「キュー、キュー」甘えるように鳴きだした焔。
「ガウ」零も期待するような眼差しで見つめている。
 ドラゴンたちの反応にやさしく笑いかけて、その頭を撫でてやりながら、
「はいはい、お前らの分も貰ってきてやるから」
「ふふ、じゃあ焔も零も、皆で一緒に食べようか」
 立ち上がり、並んで歩き出す。
 砂を踏む足音ものんびりと、穏やかな時間が過ぎていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィヴィ・ユーニアーナ
【しゅわ兎】*アドリブ歓迎
(2020水着コンの水着を着用)
ヴィヴィ、の、世界、の、島、も、ある、なんて、
アリスラビリンス、と同じくらい、不思議、な、世界…
泳ぎ、は、解る、けれど、イスラから、
ちゃんとした泳ぎ方、教わりながら、一緒に、泳ぐよ
イスラ、の、教え方、上手、だから一杯、上達、しちゃう、かも…

後は、兎さん、達が、用意してくれた、お菓子、と、お茶…
島、の、名物、お菓子、を、貰って
ボート、で、釣り、にも、チャレンジ、したいな…
紅茶の、泉の、事も、ちょっと、聞けたら…
お茶、は、無くなったら、ヴィヴィ、が、淹れる、からね…ふふ
島、の、食べ物、一杯、堪能、して、日が、暮れるまで
楽しく、過ごしたいな…


イスラ・ピノス
【しゅわ兎】アドリブ歓迎

グリードオーシャンでアリスラビリンス。
ちょうど僕とヴィヴィの世界の合の子みたいな感じ。

紅茶の泉って気になるけど入ると怒られちゃうよねー…
素直に海で遊ぼう。

水着に着替えて一泳ぎ。
割と普段感覚で泳いじゃうけど、簡単になら普通の泳ぎ方も教えられるよ。
育った島では下の子に結構教えてもいたからね。
やってみる?

泳いだ後はボートを借りてティータイムしよー。
頑張ったヴィヴィは多めに食べてね。
僕もシャーベットとティーパンチを貰いたいな。
果物一杯だと嬉しくなるよ。

揺れるのも楽しんでお茶が零れないようにだけ気を付けて。
ゆらゆらお茶会も良いかも?
のんびり釣りも試して過ごそうね。



 さざ波の音に兎耳を揺らし、ヴィヴィ・ユーニアーナ(☆*:.NEVER.END.T.PARTY*・☆・f20157)は瞳を瞬く。
「ヴィヴィ、の、世界、の、島、も、ある、なんて」
 遠い異世界に、故郷の気配を感じて、ヴィヴィは嬉しげな様子。
「アリスラビリンス、と同じくらい、不思議、な、世界……」
 風の中に入り交じる紅茶の香り。浜辺から森の中へ続く道からは、ティーパーティを準備するウサギ達がピョンと行き交う。
 グリードオーシャンを故郷に持つイスラ・ピノス(セイレーンの冒険商人・f26522)も楽しげに頷いた。
「ちょうど僕とヴィヴィの世界の合の子みたいな感じだね」
 海の近くにいるからだろうか、心が浮き立つようで。
 碧の瞳が見つけた森の向こうに見える巨大なティーポット、注ぎ口からこぼれ落ちる紅茶の滝の先に湖があるのだろう。
「紅茶の泉って気になるけど入ると怒られちゃうよねー……」
 たっぷりの紅茶で泳ぐのはどんな心地がするのだろう。
 ちょっと、試してみたくなるけれど。
 今日は素直に海で遊ぶことにして、とっておきの水着に着替える。
 海の色をしたビキニを着たイスラの姿は美しく。羽衣のように透き通るようなフリルが、泳ぐ魚のひれの様に、彼女が動くたびにふわりと揺れる。
 ヴィヴィが着るのはチョコレートブラウンと白が織り成すビキニ。フリルとリボンがセクシーな中にもあどけない魅力を引き立てる。アクセサリーの白い房飾りは兎の尻尾めいて可愛らしい。
 夏の陽光に煌めく海へ身を投じれば。
 水の中を優雅に泳ぐイスラを見て、ヴィヴィの瞳はキラキラと輝いた。
「わ、すごい、イスラ」
 ヴィヴィも泳ぎ方はわかるけれど、どうすればそんな風に泳げようになるのだろう。
 純真な憧れの視線に、誘うようにイスラは手を伸ばし。
「やってみる?」
「うん、ちゃんとした泳ぎ方、教えて、イスラ」
「もちろんだよ、一緒に泳ごう」
 感覚で泳いでいるとはいえ、育った島では年下の子供たちに泳ぎ方を教えたこともある。
 なにより海を楽しむ方法を伝えるようにイスラはヴィヴィを導く。
「上手だよ、ヴィヴィ」
「ほん、とう?」
 泳ぐのが一杯上達したのなら。
 きっと教え方がうまいのだと、ヴィヴィは微笑んだ。
 赴くままに泳いだら、そろそろお腹が空いてくる時間。
 島に上がった二人はウサギ達からティーセットを受け取って。
 気になることを尋ねてみる。
「ねえ、紅茶の、泉の、事、聞かせて、ほしい、な」
「そうそう、あそこで泳いだりしないの?」
 ヴィヴィとイスラの言葉に、ウサギ達はくすりと笑うと、二人にお話を聞かせた。

 ある時、紅茶の湖で泳ごうとしたウサギがいたんだけれど。
 湖で泳ぐのは、皆が止めたんだ。だってお行儀がわるいでしょう?
 でもそのウサギは、湖の代わりに巨人のティーカップに紅茶を淹れて泳いだのさ。
 角砂糖みたいにクルクル泳いで遊んだんだけど。
 気がつくと真っ白なウサギの毛は紅茶色になってしまったんだって。
 それからその子は、紅茶ウサギって呼ばれてるんだ。

「あはは、不思議な国らしいお話だったね」
「ふふ、イスラも、ティーカップ、の中で、泳いでみる?」
「どうしようかな。私の青い髪が紅茶色になっちゃうかも」
 ゆらゆら揺れるボートの上、可笑しそうに笑い合う。
 ボートの上には、お菓子や料理、そして紅茶が並んでいる。
 海の上でのティータイムの始まりだ。
 果物たっぷりのティーパンチで乾杯したら、お菓子やサンドイッチをぱくり。
「頑張ったヴィヴィは多めに食べてね」
「お茶の、おかわりは、ヴィヴィ、が、淹れる、からね……ふふ」
 冷たいシャーベットを口に運びながら、温かいお茶を楽しみにイスラとヴィヴィは笑みを交わして。
 時間はゆったりと過ぎていく、次は何をして遊ぼうか。
「釣り、も、してみたい、な……」
「じゃあ、お茶の後でやってみよう」
 どんな魚が釣れるだろう。不思議な魚がいたりして。
 そんな話に花を咲かせながら。
 のんびりと、日暮れまで楽しく過ごすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リティ・オールドヴァルト
リグねえさまf10093と

わぁい海でティーパーティーなのですー
リグねえさまはしたことありますかっ?
ぼくもリリィもはじめてなのですよっ!
いそいそと相棒の白銀竜と一緒にシート敷き

わわうさぎさんありがとうございますっ!
ティーパンチかわいくてとっても涼しそうなのです
いただきますと手合わせ
リグねえさまはどれからいきますか?
しゅわしゅわなのですー
えへへ、こうかんこしませんか?
リリィにもちょっとあげて
ちょっとてれてれ
思い切ってぱくり
冷え冷えのスイカをお返し

ほわわ、人魚さんも!
リグねえさまっ海遊びもちょっとしたいのですっ!
おなかがすいたらもっと食べられますよね
きゃー!さすがなのですー
早く早く!
手を引こうと


リグ・アシュリーズ
リティちゃん(f11245)と

海でティーパーティ!ふふ、私もこれで二度目よ!
子竜のリリィちゃんも一緒にシート広げましょ!

どでーんと盛ったティーパンチ、どこから食べようかしら。
酸味たっぷりのパインにかぶりつき、ティーソーダを合間に飲んでしゅわしゅわにうっとり。
交換っこ、ぜひぜひ!
どさくさに紛れてフルーツをあーんして、かわりに頂いたスイカをぱくり。
お隣のリリィちゃんも、カットフルーツならお口に入るかしら!

潮騒の音を聞きながら、人魚さんやうさぎさんと語らって。
海遊びの話には、こんな事もあろうかと下に着てきたの!と水着姿に。
手を引かれるままたっぷり泳いで、またお茶会して。
とことん満喫できちゃいそうね!



 夏の青空に、陽に照らされた明るい海。
 島の中央には大きな大きなティーポット。
 あたりからは歌うような陽気な声が聞こえてくる。
 まるで絵本に出てくるような景色。

 星が煌めく夜めいた藍色の瞳を輝かせて、
「わぁい海でティーパーティーなのですー」
 白い砂浜の上をリティ・オールドヴァルト(天上の蒼・f11245)は、はしゃぐように飛び跳ねる。
「リグねえさまはしたことありますかっ? ぼくもリリィもはじめてなのですよっ!」
「ふふ、海でのティーパーティはこれで二度目よ!」
「すごいっ! 経験者なのですねっ!」
 にっこりと笑って、リグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)は覚えのある道をリティと供に歩き出す。
 するとすぐににぎやかな声がして。
「やあやあ、リグじゃないか!」「猫のお嬢さんもこんにちは!」「二人共よく来たねえ、ようこそティーポッ島へ!」
 二人の姿を見つけたウサギ達が駆け寄るなり、次々と歓迎の挨拶を述べた。
「うさぎさんこんにちはですっ」
「みんな相変わらず元気そうね」
 再会を喜ぶ面々へ、向こうで一緒にお茶会をしようと誘いをかけて。
 砂浜に大きな空色のシートを広げる。
 リティとリグが座ってもまだ何人も座れるサイズだ。
「この大きさならみんな座れますねっ」
 小さな白銀の竜もシートの端を押さえてお手伝い。
「ありがとう、リリィちゃん。きれいに広げられたわ」
 さあこれで用意はできた。
「お待たせしました! 特製メニューをどうぞ!」
 ウサギが早速、特製のスイーツを運んでくる。
 まずは、どでーん! と金魚鉢のようなグラスに景気よく盛り付けたティーパンチ。フルーツがたっぷり入って、食べごたえがありそうだ。
「かわいくてとっても涼しそうなのです」
「ふふ、どこから食べようかしら」
 いただきます。と行儀よく手を合わせて、リリィは上目遣いにリグを見やった。
「リグねえさまはどれからいきますか?」
「そうね、まずはこのパインからにしようかしら」
 大きな果肉をかぶりつくように齧れば、海賊流の食べ方だと周りからはワッと声が上がる。
 紅茶とパインの酸味がほど染み合い南国を思わせる味わいが、暑い夏の風にもよく合う。
 フルーツを食べる合間に、ティーソーダを飲めば、こちらもシュワッと弾ける飲み心地が爽快だ。
「んー、おいしい!」
「しゅわしゅわなのですー」
 ふいにリティは思いついたように、ティーパンチのグラスを両手で持って差し出した。
 なあに、とリグが優しげな瞳で問うと。
「えへへ、こうかんこしませんか?」
「交換っこ、ぜひぜひ!」
 可愛らしい提案にリグは快く応える。
 その顔に少しだけいたずらっぽい表情を浮かべて、
「リティちゃん、あーん」
 ひょいっと差し出したスプーンの先には一口サイズの桃。
 リティは目を丸くして、それからそっと口を開いた。
「あ、あーん……」
 口の中に滑り込む、甘い果実の味。
 おいしいけれど、誰かに食べさせてもらうのは小さな子みたいでちょっと照れてしまう。
 猫耳をぱたりとさせて、
「おかえしですよ」
 リティがスイカを差し出せば、リグも口を開けて受け取った。
 スイカは甘く冷えて、おいしい味がした。
「はい、リリィちゃんも」
 リグから小さく切った桃をもらって、小さな子竜も嬉しそうにしている。
「あの音は何かしら?」
「音楽が聞こえてきますねっ」
 潮騒に混じって聞こえる演奏に気がつきあたりを見回してみると。
 それは人魚が竪琴を弾いているのだと、ウサギたちが答える。
 ほら、あそこにいるよ。と指差した先に海の中から突き出た岩に座る人魚の姿。
「ほわわ、人魚さん!」
「あら、こっちにおいでってしてるわね」
「リグねえさまっ海遊びもちょっとしたいのですっ!」
 それに、遊んでおなかがすいたらもっと食べられますよね。
 キラキラと輝く瞳は好奇心が覗いていて。
 楽しげに笑いながらリグもさっと立ち上がる。
「こんな事もあろうかと下に水着を着てきたの!」
「きゃー! さすがなのですー」
「ふふっ、さあ行きましょう!」
 早く早くと待ちきれない小さな手を握りしめて、蒼い海を目指して駆けていく。
 ウサギもその後ろを追いかけて。
 広い海でウサギと人魚とお話しよう。
 楽しいティーパーテイに語らいはつきものだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アレクシス・ミラ
【星歌】
アドリブ◎
水着着用

何処か困ってる様子の少女を見かけ
思わず声を掛ける
君、大丈夫かい?何か困り事でも…
っと、失礼。僕はアレクシス・ミラ
恭しく一礼

…ふむ、場に少し慣れない感じかな?
こういう時は深く考えずに楽しめと、よく言われるんだ
良ければ…僕にその手伝いをさせてくれないかい?

パラソルは一旦僕が持とう
ティーセットとシートも借りて砂浜へ
好きな紅茶は何かな
お茶菓子はお好きかい?なんて聞きながら準備を
…おや
ありがとう。丁度立てようとしたんだ
頼もしいな、と微笑み…
彼女の言葉に瞬き一つ
ああ、ごめんよ。つい聞きすぎてしまったね
…紅茶は勉強中の身だが
君の今日を彩るような、冷たいティースカッシュをご用意しよう


雛瑠璃・優歌
(水着着用)
【星歌】
「え、えっと、?」
此処の人達は悪い人じゃないんだけど
何処でもお誘いが飛んできて気づいたらパラソル借りちゃってて
うう、やっぱり此処アリスラビリンスだ、ノリについてけない…(ぐるぐる目)

「ふぇ…?」
何だか今日初めて感覚があたしに近い人に会った気がする
「あ、雛瑠璃・優歌です」
今更だけどぺこりと頭を下げる
「お邪魔じゃなかったら是非」

何かお手伝いって思ったけどお茶の事は慣れてるみたい
じゃあ…パラソルだけでも立てちゃえ
「えへへ、普通の女の子よりは力あるんです」
でも彼の方が格好良いや
お手本にしてあたしも見習わなくちゃ
質問ばっかりは困っちゃうけど…
「今日貴方があたしに淹れたいお茶を下さい」



 青い海に浮かぶ巨大なティーカップの島。
 島の景色を眺めれば、童話のような光景が広がる。
 三編みをあみ込んだツインテールを海風になびかせて。
 水着を着た今日の雛瑠璃・優歌(スタァの原石・f24149)は、水色のドレスを纏ったお姫様のよう。
 海辺で楽しむティーパーティには、興味を惹かれていたのだけれど。
 こんにちは! ようこそ、いらっしゃい!
 おいしいお茶は如何? 今日は海が綺麗ですよ! お席へ案内しましょう!
「え、えっと、?」
 優歌の姿を見るなりあっと言う間に集まってきたウサギ達が、代わる代わる声をかけてくる。
 手に持ったデザートの皿や、お菓子を勧める声は嬉しさ満点。
 しかし遠慮もなしに話しかけられ、優歌は戸惑うばかり。
「あの、待って」
 決して悪気がある訳ではないのが伝わってくるだけに、あしらうことも難しく。
 そこからどう歩いてきたのやら。
 いつの間にか握らされていたビーチパラソルも、どこで手に入れたのかわからない。
 うう、やっぱり此処アリスラビリンスだ。
 ノリについていけない……。
 住民たちに先祖である陽気で愉快な仲間たちの気質がしっかりと受け継がれているのを感じながら。ぐるぐると目が回るような心地で、優歌はまるで迷子のように浜辺をそぞろ歩く。
 そこへ通りかかったアレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)は、戸惑う少女の姿に目を留めて歩み寄った。
「君、大丈夫かい? 何か困り事でも……」
「ふぇ……?」
 そっと掛けられた声に、優歌は顔を上げた。
 アレクシスの颯爽として気品のある物腰に柔らかな笑み。
 純白に星が輝く夜空をあしらったような、サーフスタイルの水着。
 不思議の国の雰囲気も相まって、青年もまた童話から現れた王子様のようだった。
「っと、失礼。僕はアレクシス・ミラ」
「あ、雛瑠璃・優歌です」
 不躾にならぬよう名を名乗り、アレクシスが恭しく一礼すると優歌も慌てて頭を下げた。
 この島に来てはじめて話が通じたような気がして、優歌は安堵する。きっと感覚が近しい人なのだろう。そう思う。
 その様子から大体を察して、アレクシスは安心させるようにゆっくりと話しかける。
「……ふむ、場に少し慣れない感じかな? 僕も人からこういう時は深く考えずに楽しめ。と、よく言われるんだ」
「楽しむ……そうですよね。せっかく来たんだから」
 とは言ったものの、ここの住民の気質は慣れていないものには付き合いづらいかもしれない。
 いきなり一人で過ごすのは難しいだろうか。
「良ければ……僕にその手伝いをさせてくれないかい?」
 君が楽しい一日を過ごせるように。
 アレクシスの申し出に優歌の顔が明るくなる。
「お邪魔じゃなかったら是非」
 それではそれは僕が持とう。と優歌が持っていたビーチパラソルをアレクシスが手に取り。
 連れ立ってパーティの支度をしている場所へ戻ると、アレクシスはウサギ達と会話を交わし。優歌に好きな紅茶やお菓子はないかと尋ねながら、あっというまピクニックの準備を終えてしまう。
 浜辺の眺めの良い場所にシートを広げて、アレクシスが手慣れた仕草でお茶の用意をしている間に、優歌はビーチパラソルを砂浜に差し込んでセットした。
「おや。ありがとう。丁度立てようとしたんだ」
「えへへ、普通の女の子よりは力あるんです」
「頼もしいな」
 ――格好良い。
 優歌は微笑むアレクシスに熱心な眼差しを向けた。
 彼の紳士としての振る舞いを見習わなくてはとその一心。
 けれど細々とした気遣いから、色んな事を聞かれるのには少し困ってしまう。
「飲みたい紅茶はあるかい?」
 と、尋ねられた優歌はつい眉尻を下げる。
「あの、あまり質問ばっかりだと困っちゃうかな」
 アレクシスは瞳を瞬いた。困らせるつもりは毛頭なかったのだ。
「ああ、ごめんよ。つい聞きすぎてしまったね」
 優歌は嫌な気分になった訳ではなかった。
 ただ相手ばかりが自分のことを知るのは公平ではないから。
 だからね。と優歌は笑って。
「今日貴方があたしに淹れたいお茶を下さい」
「ふむ……紅茶は勉強中の身だが」
 予想だにしない言葉に、一瞬、驚いた顔をして。
 けれどアレクシスは手際が良く、ティーポットと材料を並べる。
「君の今日を彩るような、冷たいティースカッシュをご用意しよう」
 饗されるのは、きっと最高の一杯。
 グラスに注がれる紅茶と打ち寄せる波の音が心地よく耳朶を打つ。
 さあ、ティーパーティをはじめよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月20日


挿絵イラスト