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迷宮災厄戦㉑〜猟書家は蒸気の国を想いて

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #レディ・ハンプティ

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「お疲れ様。皆疲れてないかしら?中盤戦となるけれど頑張ってちょうだい」
 マリアベラ・ロゼグイーダ(薔薇兎・f19500)は挨拶もそこそこに次の戦場への説明を始める。
「今回戦ってもらうのは『レディ・ハンプティ』。アルダワ魔法学園……正確にはそこから西方、諸王国連合を狙う猟書家よ」
 マリアベラは滔々と説明を続ける。
「彼女は蒸気魔法文明の要である諸王国に狙いを定めているわ。そこに災魔を蒸気獣へと改造した災魔を放ち、被害を出す事で自身でも新たな災魔を生み出そうとしているの」
 この計画が上手く進めば第二の魔王が生まれてしまう事になるだろう。それを防ぐためにもこの戦いは猟兵達が勝利を収める必要がある。

 レディ・ハンプティはアルダワ魔法学園と似たような国におり、その国には蒸気で動く機械や電車が走る大都会のような場所だという。なお、彼女以外に人影は見えない。
 そして彼女自身がしたためた侵略蔵書「蒸気獣の悦び」と肩に武装した蒸気機関、そして牙だらけの乳房の下の口をもって猟兵を迎え撃つ。
「オウガ・オリジンから奪った力を持つだけあって実力は折り紙付き、レディ・ハンプティとの戦いは厳しい物になる思うわ。でも、彼女の攻撃にちゃんと対応できれば貴方たちなら勝てるはず……武運を祈っているわ」
 そういうとマリアベラは猟兵達をレディ・ハンプティのいる国の元へと送り出した。


 猟兵達が最初に目にしたのは、白。濛々と広がる、蒸気。
 周囲では汽笛や何かの駆動音が響きわたり、まるで町全体でオーケストラを奏でているかの様。
 そんな街で突如周りからピタリと音が止まる。
 それと同時に段々と周りの視界が晴れていく。辺りを見渡せば霧の向こうには電車が動き、周辺に立ち並ぶ建造物からは大量の蒸気が噴き出す光景が広がっていた。
 そう、これはまるで――
「どうでしょう、アルダワと似ていると思いませんか?」
 霧の向こうから聞こえる女性の声。
「ようこそ、猟兵の皆様方。ここまでご足労いただき、まことにありがとうございます」
 コツリコツリ。ヒールが石畳を叩く音が響かせながら霧の向こうから現れたのは妙齢の女性――レディ・ハンプティ。
「私には目的がございます。かの地へと赴き、父の無念を晴らすという目的が。ですのであなた方にはお帰り願いたいのですが……数々の国を超えてわざわざこの国までいらしたのです、それは難しいのでしょう」
 武器を構える猟兵達を見やるとレディ・ハンプティは携えていた本――侵略蔵書『蒸気獣の悦び』のページを開く。
「ならば貴方たちには無理にでも引いていただきましょう。ああ、どうか、見守っていてくださいね、アウルム・アンティーカ父様……!」


遭去

 遭去です。戦争依頼も三作目、どうぞよろしくお願いします。


 この依頼ではレディ・ハンプティの討伐が目的となります。なお、『レディ・ハンプティ』は必ず先制攻撃をしてくるのでそれに対処するプレイングを書いて貰えるとプレイングボーナスが発生します。

●プレイング
 受付は公開直後より開始します。筆があまり早い方ではないのでプレイングには何も問題がないのに流れてしまう可能性はあります。ご了承ください。
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第1章 ボス戦 『猟書家『レディ・ハンプティ』』

POW   :    乳房の下の口で喰らう
【乳房の下の口での噛みつきと丸呑み】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    アンティーカ・フォーマル
【肩の蒸気機関から吹き出す蒸気を纏う】事で【武装楽団形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    侵略蔵書「蒸気獣の悦び」
【黄金色の蒸気機関】で武装した【災魔】の幽霊をレベル×5体乗せた【魔導列車】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

大崎・玉恵
ふむ……高い機動力に、接近すれば大顎の一撃。召喚の使い手でもある……か。厄介じゃ。
まずは出鼻を挫くところから始めるとしようかのう。

召喚された列車に対し、【偽・太陽鏡】を展開。そっくりそのまま返すことで意表を突き動揺を誘う。
そこから【霊符】を【呪詛】にて【呪殺弾】とし射出攻撃。
【霊符】には【破魔】【焼却】の【呪詛】が込められておる。当たればもちろん、外れても炸裂することで奴の機動力を削ぐことができるじゃろう。
接近戦は避けるが、万一でも薙刀で戦うことはできる。仮に痛打を与えられるならば積極的に活用しようかのう。


ミラリア・レリクストゥラ
――確かに、一見は似ています。

【WIZ】

ですが、ここには活気がない。よりよい明日への希望がない。
どれだけ賑やかにスチームが鳴り響いていても、貴女を讃える為にすりかえられた虚しい調べでしかない。
こんな街を旅するなんて私はごめんです。道理によって討ち斃されなさい、魔王の落とし子!

えっ列車…きゃあ!?
あいたた…いえ、【宝石の体】じゃなかったら痛いではすみませんね。
召喚直後だからか、速度はあっても重量が威力に乗っていなかったのが幸いでした…

あの速度に災魔の数、正面からでは対処が難しい…ですが!
【過去は過去たる地へ沈む】で、列車の片側だけが高くなる坂を作って横転させてしまえば!
二次被害も土壁でケアです!


セルマ・エンフィールド
無念を晴らすというのであれば、猟兵をこそ逃すべきではないのでは?

迫る魔導列車を警戒しながら戦うよりは……!
こちらも魔導列車に飛び乗り戦闘を。

災魔の集団はいますが、対多数は苦手ではありません。
デリンジャーを両手に持ち氷の弾丸を『乱れ撃ち』、災魔の霊の足を凍てつかせて動きを封じ、『敵を盾にする』ように立ち回ります。敵は各々が黄金色の蒸気機関で武装している。小回りの利く立ち回りはできないでしょう……その装備、邪魔なのでは?

時間を稼いだら【ブライニクル】を。冷気を操り周りの災魔を凍てつかせ。、向上した身体能力を活かしレディ・ハンプティに接近、デリンジャーからの氷の弾丸を撃ち込みます。


有州院・こりす
せっかく平和になった世界に侵略だなんて許さないんよ

空中戦で空から接近
オーラ防御+見切り+残像で列車の攻撃をひらひら躱し運転室へ急降下
操縦+念動力+手をつなぐ+盗みでトレインジャックもといカボチャの魔法や
UCで硝子の花舞う純白スチームパンク調コルセットドレスに変身
蒸気の国のお姫様として敵(列車)を盾に+結界術+破魔で幽霊を食い止め
列車ごとレディ突貫

こりすちゃん発ハッピーエンド行き直通プリンセス☆エクスプレスや!
全力魔法+リミッター解除
蒸気パワーMAXなプリンセスハートが悪い卵を蒸気の国から骸の海へ押し返す

王様の馬でも家来でも割れた卵は戻せないけど
お姫様の馬車ならどんな夢でも叶うんやでハンプティ




「あなたはこの世界をかの国に似ているとおっしゃいました。確かに、一見は似ています」
 ミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)が国を見渡す。
 石畳の道路、蒸気魔導機関車の汽笛がどこからともなく聞こえ、並び立つ建物からは不規則に、そして無秩序に蒸気が溢れ出す――かの国の多くの街を旅したミラリアにとって見慣れた風景。
「ですが、ここには活気がない。よりよい明日への希望がない。どれだけ賑やかにスチームが鳴り響いていても、貴女を讃える為にすりかえられた虚しい調べでしかない」
 アルダワで生まれ、その大地を知っているからからこそ、この街はどこまでも本物でどこまでも偽物。そう確信するからこそ彼女は目の前の女、レディ・ハンプティを真っすぐと見据える。
「こんな街を旅するなんて私はごめんです。道理によって討ち斃されなさい、魔王の落とし子!」
『やれるものなら、どうぞ。魔王を討ち取りし者達よ……!』
 女は笑みを深くする。
 そして開戦の合図とばかりに、周りの建物から蒸気がけたたましく鳴り響いた。


 戦闘が始まると、レディ・ハンプティが一気に仕掛けてきた。自身が纏う蒸気機関が蒸気を噴出せばその白い影を残してレディ・ハンプティの姿が忽然と消える。
「はやっ……!」
 有州院・こりす(まいごのまいごの・f24077)が慌てて周囲を見渡すもその姿はどこにもなく。
『今に留まるより2倍以上の速さがありませんとどこにも行けませんわ』
 突如としてミラリアの後方へと姿を現したレディ・ハンプティ。ミラリアが振り向くと目の前には喉の奥まで牙が並ぶ大きな口。
「……ミラリア!」
 大顎がミラリアを捉える直後、間に割って入る姿――大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)は薙刀を振るう。
 直後、硬い物と硬い物が触れ合う鈍い音が響いた。
『こやつ……!』
 薙刀の持ち手より感じるみしりみしりと嫌な音と感触に玉恵は冷や汗を流す。
「ちょっと、ミラリアちゃんと玉恵ちゃんに何するんや!」
 こりすが浮遊するハートをレディ・ハンプティへと射出する。
『あらっ……』
 横から来た攻撃を回避するため牙を離し、バックステップで猟兵達と距離を取るレディ・ハンプティ。玉恵は追撃せずにミラリアと共に距離をとる。
「ぬぅ、やはり近接攻撃は危険じゃのぉ……!」
 玉恵が今しがた噛みつかれた薙刀を見やる。刃こそ無事だが持ち手部分には細かい罅が走っていた。
「慣れぬ事はするもんじゃのぅ……やはりここはわしの得意方面でいくべきじゃ!」
『それではわたくしも遊んではいられませんね』
 笑みをこぼすとレディ・ハンプティが本を開く。
 突如として周囲で鳴り響いていた汽笛の音が変わる。遠くで聞こえていたその音は徐々に大きくなり――
『ウフフ……さぁご覧あそばせ。私がしたためし侵略蔵書。記すは私のかの国への想い』
 霧を切り裂いて、猟兵に向かって汽車が突っ込んでくる。
「――あれは」
 猟兵達は目を丸くした。視線の先、汽車の中には影――。
『ヤッチャエ! マンナカノヒト!』
『ははは、これこれ、『上の頭殿』。やるのは吾輩ではなく列車ですゆえ』
『おではらへった おではらへった』
『これはこれは『腹の口殿』。相も変らぬ食欲ですな!』
 汽車の中より身を乗り出し騒ぐのは数か月前アルダワ魔法学園で滅ぼしたはずの魔王――『アウルム・アンティーカ』の姿がそこにはあった。
「まさか、魔王を復活させたというの!?」
 ミラリアが辺りの汽車を見渡せば車中にはまた違う魔王達が姿を覗かせている。
「ふぅむ、流石にこれはキツイかのぉ……!」
 幾ら以前倒したとはいえ格上の敵が一気に現れたとなれば話は違う。
 どうする、一度退いて態勢を整えるべきか――猟兵達の背中に冷たい汗が流れれる。
「いいえ、まだ策はあります」
 静かな声が猟兵達の耳に入る。声の主、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は電車の前に立つとデリンジャーと呼ばれる小型の銃を両手に構えた。
『おではらへった おではらへった』
『まぁまぁ、もう少しですぞ『腹の口殿』! あと少しで終点、猟兵が』
 真ん中の人の台詞は最後まで言い切られる事は無かった。セルマの正確無比な銃弾はかのアウルム・アンティーカ達の眉間に吸い込まれる様に撃ち込まれたのだ。
 各々一発の銃弾を撃ち込まれた魔王は沈黙。同時に彼らが乗っていた列車が消え失せていく。
「アウルム・アンティーカとは戦ったことは無いですが流石に魔王と言われる者が銃弾一発で倒れるのは不自然です……性能は普通の災魔と変わらないようですね」
「……なるほど姿を模しただけじゃったと」
 玉恵は肩を竦める。
「でも数は多いから気を付けないといけないですね」
「せやね、じゃあ落ち着いて対処してこか!」
 あっさりと倒れていった魔王、否、災魔の姿を見て落ち着きを取り戻した猟兵達は各々の武器をとり、汽車へと向き直る。


 無数の汽車が警笛が鳴り響かせ、猟兵達を喰らわんと神速のスピードで襲い掛かる。
 玉恵の鏡が汽車を吸い込み、後続で迫り来る汽車にぶつけて無力化を図り、ミラリアが大地を操り汽車の進路を捻じ曲げたり横転させる。
 セルマの銃弾が正確に乗り込んだ災魔を倒し、こりすは宙を舞い列車に接近し敵を射止めていく。
 無数の汽車を仕掛けるレディ・ハンプティとそれを確実に仕留めていく猟兵達。
 善戦しているとはいえ、まだ猟兵側は防戦気味で攻め切れていない。このままでは押し切られる可能性も視野に入ってくる。
「無念を晴らすというのであれば、猟兵をこそ逃すべきではないのでは?」
『私自体はまだお父様をはじめとする魔王の域へ至っておりません。それなのに魔王を打ち倒した貴方たちに勝てる見込みは薄いではないですか』
 セルマが銃撃、玉恵が霊符にてレディ・ハンプティへの攻撃を試みるも、ギリギリの所で避けられていく。
『ですから、私が災魔を産み落とす存在となった時。貴方たちを確実に殺しお父様たちの無念を晴らしたかったのです』
 お返しとばかりに再び列車が女の横を横切りセルマ達の元へと突っ込んできた。
(「きりが無いですね……」)
「のぅセルマよ。ちと提案があるのじゃが」
 弾が切れ、装填し直すセルマへ玉恵がそっと耳打ちをする。
「……それで行きましょうか」
 彼女への提案にセルマが頷くと玉恵の顔は少し悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「うむ、それでは参ろうか!」
 玉恵の周囲に大きな鏡が姿を現した。
 
「最近のレディは突貫がマナー! プリンセス☆エクスプレス、レディゴー!」 
 一方のこりすはピンクのドレスを硝子の花舞う純白スチームパンク調コルセットドレスへと姿を変え、飛翔。レディ・ハンプティが召喚した電車へと降り立つと車掌役である災魔を打ち倒し、汽車を操っていた。
 だがそれを易々と許すレディ・ハンプティではない。すぐさまこりすが操る汽車へめがけて複数の汽車が突撃してくる。
「あーこりゃあかんか……!?」
「任せてください!」
 ミラリアが自身へと迫り来る汽車をいなしきると、彼女は即座に胸の前で手を組み、歌を歌い始める。
「♪ 未来を夢見た あの日の幻 とこしえに 底へと 眠りなさい……」
 歌は風に乗って広がり、雨の様に地面へと染みこんでいく。すると突如として今まで平坦だった道路がこりすが乗る汽車の走る軌道を避けるように突然隆起、あるいは陥没を始めるではないか。
 基本は平坦な場所を、整備された線路の上を走る汽車。それも猛スピードで走るその車体がそんな突然起こった環境変化に耐えられるはずもなく。ある汽車は片側の急勾配に耐え切れずに横転し、ある汽車は窪地に嵌り走行不能。または壁にぶつかって爆発していく。
「今のうちに早く!」
「ありがとミラリアちゃーん!」
 ミラリアに感謝の笑顔を送るとこりすは再び前を見やる。
 目指す先はレディ・ハンプティ、ただそこに。
「こりすちゃん発ハッピーエンド行き直通プリンセス☆エクスプレスや!」
 そのままこりす操る『ハッピーエンド行き直通プリンセス☆エクスプレス』がレディ・ハンプティへと突撃!
『まぁ、おてんばですね』
 女の妖艶な笑みと共に乳の下の牙が口を開き汽車の先端へと喰らいつく。衝突の衝撃に耐えながらレディ・ハンプティの靴が白煙を上げながら後退。元いた場所から数十メートル下がりながらも受け止める。
「うっそぉ……!」
 牙の性能が凄まじいとは分かっていたが流石に汽車を受け止めるとは思っていなかったこりす。流石に焦り始める。
『残念でしたわね?』
「ですが、流石に一度に二つの汽車は止める事は出来ないでしょう」
 声のする方を振り向くとそこにはこちらへと迫りくる汽車の姿――。その上には銃を構えるセルマの姿。
「ふっふーん、どうじゃ!その汽車!……己が力、その身を以て味わうがよい」
 汽車の後方で周囲に鏡を浮かべた玉恵が自信に満ちた笑みをこぼす。
 先ほどの玉恵とセルマへの提案……彼女のユーベルコード『偽・太陽鏡』がレディ・ハンプティのユーベルコードである汽車を吸収し、射出。その汽車の上にセルマが乗り、迫りくる汽車をセルマの操る冷気で凍り付かせながらレディ・ハンプティの元へと向かうという物。
『な……っ!』
 慌てて口を離し汽車の軌道から逃れようとするレディ・ハンプティ。だがそれはセルマの愛銃から放たれた氷の銃弾に足を地面に縫い付けられ、叶う事は無かった。
「さて、こりすさん。お逃げになられた方が良いかと」
「わ、分かっとるわー!」
 セルマの声に促され、こりすは空中へ浮かび退避。直後、2本の列車が激しくぶつかり合う音が国中に響き渡った。

『こちらの攻撃をも利用してするとは……流石は猟兵の皆様方です』
 汽車の残骸に体を挟まれたレディ・ハンプティにセルマが銃を向ける。
「何か、言い残す事は」
 首を小さく横に振るレディ・ハンプティ。
 そのままセルマが引き金を引くと乾いた銃声の音が響く。
「王様の馬でも家来でも割れた卵は戻せないけど、お姫様の馬車ならどんな夢でも叶うんやでハンプティ」
『……私には落ちた時に駆け付けてくれる王も兵も、ましては素敵な馬車もいなかった……それならこうなっても仕方ないですわね』
 こりすの声に自嘲気味に笑みをこぼすとレディ・ハンプティは体の端から砂となり、消えていく。
「さようなら、レディ・ハンプティ……」
 ミラリアが消えゆく砂の行先、空を見上げる。
 空には舞い上がった砂など分からない位、白い蒸気が濛々と立ち込めていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月17日


挿絵イラスト