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迷宮災厄戦㉑〜大魔王の娘は蒸気の向こうに微笑む

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #レディ・ハンプティ

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●魔導列車と蒸気の街
 ポーーーーーーーーー。
 汽笛の音が高らかに響き渡る。あちらこちらで蒸気が吹き上がる。
 蒸気建築に埋め尽くされた大都会を、魔導列車が縦横無尽に駆け巡る。蒸気の音、複雑な機構の駆動音、車輪がレールの繋ぎ目を乗り越える規則的な音。
 どこか懐古を喚起する情景の中に、猟書家『レディ・ハンプティ』の姿はあった。
「ああ、父様。魔女の肚から私を造った父様。
 私にも正体を見せなかった、いとしい父様。
 あなたの無念、このわたくしが果たします」
 レディ・ハンプティはいとおしげに書物を愛でる。「蒸気獣の悦び」。彼女自身がしたためたその一冊の書を。
 それを手に、彼女が狙う世界は「アルダワ魔法学園」。
 アルダワ魔法学園は西方、諸王国連合。魔導列車が横断し、蒸気魔法文明最も華やかなる、かの世界の要となる地。
 かの地にて、レディ・ハンプティは「父様」の災魔を「蒸気獣」に変え、解き放つ目論見である。
「きっと、大事故が起こりましょう!」
 危険な愉悦に頬を上気させ、彼女は陶酔する。
 その甚大な被害を利用すれば、レディ・ハンプティもまた、新たな災魔を産み落とせるようになるのだ。
「ああ、父様。あなたの無念を思うだけで、乳房の下の口がわななきます。
 どうか、見守っていてくださいね、アウルム・アンティーカ父様……!」
 大魔王の娘の野心に呼応するかの如く、魔導列車の汽笛が幾重にも連鎖し響き渡った。

●グリモアベース:ゲネ
「猟書家への道が拓けたぞ! 敵は『レディ・ハンプティ』!」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)は猟兵達の眼前にホロモニターを展開した。
 猟書家『レディ・ハンプティ』。すでに予兆にて姿を見た猟兵も多いだろう。
「こいつは大魔王アウルム・アンティーカの娘らしい。アウルムってのはアルダワ魔王戦争で我々の前に立ちはだかった、大魔王第一形態……機械仕掛けの骸骨のような本体に『上の頭』と『腹の口』がついた三位一体の大魔王だな。今回の戦いに直接関係はしないが、アルダワ魔王戦争の資料をおさらいしておくのもいいかもしれない」
 戦場となるのは、魔導列車が走り回り、蒸気建築に埋め尽くされた、大都会のような不思議の国。
 レディ・ハンプティは侵略蔵書「蒸気獣の悦び」と、がばっと開く牙だらけの「乳房の下の口」を武器に戦う。魔導列車と蒸気入り混じる戦いとなるだろう。
「敵は『必ず先制攻撃をしてくる』。これにうまく対応して反撃できるよう、戦術を考えて挑んでくれ」
 ゲネは手早く反転したモニターに転送術式を展開し、その輝きで猟兵達を包み込んだ。
「最大の敵はオウガ・オリジンであるのは間違いないが、こいつも放置はできないだろう。アルダワ侵攻は既定路線だとしても、戦力を削っておくに越したことはない。アルダワのためにも、頼んだぞ諸君!」


そらばる
 迷宮災厄戦、猟書家『レディ・ハンプティ』討伐。
 猟書家の一人であり大魔王の娘レディ・ハンプティを撃退してください!

●プレイングボーナス
 このシナリオでは、特別なプレイングボーナスが発生します。
=============================
プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。
=============================
 上記に基づく行動をすると有利になります。
 どのユーベルコードに対抗するのかは選んでもらってかまいません。プレイングに明記してもらえると助かります。

●猟書家『レディ・ハンプティ』
 アルダワ魔法学園を狙う猟書家にして「大魔王アウルム・アンティーカの娘」です。
 侵略蔵書「蒸気獣の悦び」と、がばっと開く牙だらけの「乳房の下の口」で戦います。

 執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
 それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
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第1章 ボス戦 『猟書家『レディ・ハンプティ』』

POW   :    乳房の下の口で喰らう
【乳房の下の口での噛みつきと丸呑み】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    アンティーカ・フォーマル
【肩の蒸気機関から吹き出す蒸気を纏う】事で【武装楽団形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    侵略蔵書「蒸気獣の悦び」
【黄金色の蒸気機関】で武装した【災魔】の幽霊をレベル×5体乗せた【魔導列車】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●猟書家『レディ・ハンプティ』
 蒸気の街に、彼女は佇む。
「……まあ。わたくしの園へ、よくぞおいでくださいました、皆々様」
 喪服に似た豪奢な黒ドレスの裾を持ち、猟兵に向けて優美な会釈をしてみせると、その肩から突き出した幾本ものパイプ状の蒸気機関が白い蒸気を薄く噴き始めた。
「急な来訪、痛み入ります。大したおもてなしはできませんが、この一期一会を逃すは愚策……」
 深々と下げた頭を上げた瞬間、蒸気は力強く吹き上がり彼女の笑みを白々と覆い隠していく。
「我が侵略蔵書の力、アルダワ侵攻に備えて試させていただきましょう」
 乳房の下の口ががぱりと開き、ずらり並んだ凶悪な牙が嗤う。
 蒸気の街での戦いが、ここに始まる。
木霊・ウタ
心情
猟書家を海へ還すぜ

SPD対策
体ごと剣を回転
同心円状に幾重もの炎を放つ

炎が機関を過熱
生む気流が蒸気を晴らし
熱で歪む空気が楽団の音を減弱

最遠の炎がかき消えたタイミングで
敵攻撃の軌道と拍子を感知
噴出爆炎で回避&炎の壁で防御

戦闘
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払い砕く

剣長を活かし
爆炎噴射で位置取りし
敵間合い外から攻撃
輪舞の相手を努めさせてもらうぜ

でもまあ
いつまでも立ち回れるとは思っちゃいない

焦れた敵が
射程に捉えようと防御への意識が疎かになった時
爆炎で一気に踏み込み間合いを詰め
口腔内へ刺突
噛みつかれる前に体内から獄炎で焼却

もし噛みつかれても返り血の炎のおまけ付だ

全身を紅蓮で包み送る
ご尊顔も拝んでみるか

事後
鎮魂曲



●牙と炎の輪舞
「では手始めに……お見せ致しましょう、わたくしの武装楽団を」
 レディ・ハンプティの嫋やかな手が書物の表紙を軽やかに撫ぜた瞬間、肩のパイプが深くハスキーな音階を奏で、噴き出す蒸気の勢いが加速した。
 蒸気の向こうに消えるレディ。木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は目を凝らす。
「猟書家……海へ還すぜ」
 柄を握る両手に力を込め、ウタは身体ごと回転しながら大剣で虚空を薙いだ。同心円状の炎の波が幾重にも広がっていく。
 速さを得たレディは炎に捕らわれはしない。しかし炎の広がった周辺は熱され、巻き起こる気流が蒸気を晴らしていく。熱で歪む空気が、蒸気機関の奏でる音階をかき乱し、減衰させる。
「あらお見事」
 感心混じりの声が、薄らな蒸気の向こうで上がった。一時の方向。
 ──が、次の瞬間、正反対の七時の方向で最遠の炎がかき消えた手応えに、ウタは全身を捻じ曲げる勢いで背後を振り返った。
 同時に展開した炎壁に、レディの乳房の下の口がとんでもない勢いで激突してきた。
 大量の牙でできた口は炎壁を食い破ってくる。ウタは爆炎を噴出させて一気に距離を開けつつ、レディの進路に幾度も炎壁を展開して時間を稼いだ。
 あの口は近距離にしか届かない。ならば、ここで物を言うのはリーチの長さだ。
「輪舞の相手を努めさせてもらうぜ」
 敵の間合いの外、焔摩天の間合いの内に位置取り、一気に獄炎纏う長大な刃を薙ぎ払う。
 目まぐるしく立ち位置を入れ替えながら、炎と牙が相食まんとして蒸気の中で踊る。状況はウタに分があるように見えるが、いつまでも同じ立ち回りは通用しないだろう。
 ──ならば。
「……ご尊顔も拝んでみるか」
 焦れ始めたレディの、攻撃動作の継ぎ目、防御への意識が明確に疎かになったその瞬間。
 ウタはあえて爆炎を背後へと噴き出し、一気に敵の懐へと飛び込んだ。
 ガキャリッ……
 硬質な物質の激突が、不吉な音を響かせた。
「まぁ……」
 ヴェールの下で、ぱちぱちと睫毛が下目蓋を叩く音がした。
 レディの胸部、牙だらけの大口の口腔内に、幅広の長剣が深々と突き刺さっていた。
 刃から溢れた紅蓮の獄炎がレディの体内からあふれ出し、その全身を包み込んだ。
 アーアアーアアアーアーアアアアー……
 あたかも麗しきアリアの如き絶叫とウタがかき鳴らす鎮魂曲が、蒸気の街を物悲しい音色で満たしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フライディ・ネイバー
アルダワの空を飛ぶのも楽しそうだ!

シールド展開!初撃を防御し『色彩加速』
6色に分身し、飛行ユニットで加速!
どいつが本物か、きれーな嬢ちゃん、分かるかい!

シールドバッシュの構えで機体を吹き飛ばし、突進する2機
ビームグレイブを展開し、斬り掛っていく3機
レッグブースターで蹴りを放つ1機!

全部避けやがる!どころか反撃までするとかすげぇなお嬢ちゃん!!そんだけ踊れりゃ観客満席だぜ!

空中浮遊でステルスコートの迷彩機能で隠れ、上空から嬢ちゃんの動きを情報収集、戦闘知識から動きを見切り、ここぞと言う所で不意を突いてビームグレイブの素早い一撃属性攻撃!
わりぃな…正々堂々戦える程、きれーな口の嬢ちゃんは弱くねぇ。



●六色のデコイに紛れて
 魔法世界の風情ある蒸気の街を眺めて、フライディ・ネイバー(ウォーマシンのスカイダンサー・f28636)は嬉しそうに声を張り上げた。
「アルダワの空を飛ぶのも楽しそうだ!」
 ならば疑似体験をしてしまおうと、フライディは猛然と突撃してくるレディ・ハンプティへと腕を掲げた。
「シールド展開!」
 ガパァ!と凶悪に牙を剥く大口をエネルギーシールドで受け止めながら、力を開放する。爆発する七色の光。
 レディは押し返されながら視線を上げて、まあ、と呟いた。
 空中には、凄まじい速度で飛び交う六色のフライディ。色彩加速による分身だ。
「どいつが本物か、きれーな嬢ちゃん、分かるかい!」
 一機が高らかに叫んだと同時、六機は加速飛行でレディへと突撃した。
「あらあら」
 困ったように首を傾げるレディの手の中で、書物がひとりでにめくれながら蒸気を吐き出し、レディの眼前に黄金の魔導列車を顕現させた。
 六機が散開し、突出した二機がシールドを構えて空駆ける魔導列車へと正面から突っ込んだ。二枚のシールドとの激突により、列車は強制的に空中に押しとどめられる。
 その隙にビームグレイブを展開した三機が飛び出しレディへと急接近、三本の槍状のビームで次々と襲い掛かる。
「ダンスのお誘いですか? 喜んで」
 レディはにこやかに微笑んで踊るように全ての槍を躱していく。
 三機による波状攻撃のさなか、陰から虚を突いて襲い掛かる最後の一機。レッグブースターから繰り出される加速の乗った一撃を、レディはしかし何事もなくひらりと躱すと、今度は乳房の下の口が牙を剥いて反撃する。
 その戦いを、上空から見守る視線が一つ。
「全部避けやがる! どころか反撃までするとかすげぇなお嬢ちゃん!! そんだけ踊れりゃ観客満席だぜ!」
 七色の最後の一機、すなわちフライディ本体である。ステルスコートの迷彩機能により、その姿は敵に一切感知されていない。
 優れた解析能力でデータを蓄積し、手にビームグレイブを構え──唐突な急降下。
 狙うべきは、軽やかなレディの『ダンス』に時折生じる一点の隙。
 ビームの輝きが稲妻の如く空を裂き、レディの背部に斬撃を浴びせる。
「わりぃな……正々堂々戦える程、きれーな口の嬢ちゃんは弱くねぇ」
 甲高い悲鳴の後方で、食い止められていた魔導列車がついに吹き飛ばされ、激しい爆発で辺りを彩った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェルト・ユメノアール
悪いけど、ボクたち猟兵がいる限り、大事故なんて起こさせない!
キミはここで倒させてもらうよ!

普通に戦ったんじゃ勝ち目はないね
なら……こっちのフィールドに引きずり込む!
『トリックスター投擲』で相手を牽制しながらワイヤーフックを使って大ジャンプ
そのまま『パフォーマンス』の軽業のように建物の壁を走ったり飛び移って攻撃を躱しつつUCを発動する

ボクは手札からスペシャルゲストをご招待!カモン!【SPアクロバット】!
さらに白鳩姿にした『ハートロッド』を召喚!
いくらスピードが速くても、空からの複数攻撃は躱しにくいはず!
相手が怯んだ一瞬の隙を突いて建物から相手の上に飛び降りるようにトリックスターを突き立てるよ



●ショータイム!
「悪いけど、ボクたち猟兵がいる限り、大事故なんて起こさせない!」
 戦場に響き渡るのは、フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)の元気な声。
 その姿は、レディ・ハンプティが見上げた瀟洒な駅舎の屋根の上にあった。
「キミはここで倒させてもらうよ!」
「鬼ごっこでしょうか? まあ、楽しそう!」
 レディは状況に不釣り合いなほど無邪気に声を弾ませたかと思えば、次の瞬間、蒸気を噴きながら思わぬ跳躍力とスピードでフェルトへと飛びかかってきた。一息に距離を詰めた乳房の下の口が、剥き出しの牙でフェルトの頭部に食らいつく──
「っ……残念っ!」
 フェルトは投射したワイヤーフックを一気に巻き取って駅舎の屋根から大ジャンプ、紙一重で危険な一撃を躱した。
(「普通に戦ったんじゃ勝ち目はないね。なら……こっちのフィールドに引きずり込む!」)
 建物の横っ腹に着地すると同時、フェルトは軽業よろしく垂直な壁を走り抜けた。追随してくるレディの攻撃をパフォーマンスの如く軽やかに躱し、別の屋根へと飛び移ったところで敵を振り返る。
「ボクは手札からスペシャルゲストをご招待! カモン! SPアクロバット!」
 召喚されたのは色鮮やかな一羽の蝙蝠。
「そしてもう一羽!」
 さらに手に持っていたステッキを白鳩の使い魔へと変じさせ、蝙蝠と隣り合わせに滞空させる。
「さあ、行っておいで!」
 鮮やかな飛膜と白い翼が先を争って羽搏き、レディの頭上から急降下して襲い掛かった。
「あらやだっ、それはご遠慮願いますわ」
 レディは咄嗟に帽子を庇いながら軽く後退した。対抗しづらい空からの小さな襲撃者に手こずり、動きに明白な逡巡が生じる。
 隙を見せたレディの遥か頭上に、閃く刃。
「──隙あり!」
 屋上から一気に飛び降りたフェルトは、自由落下の暴力的速度を乗せたダガーを一気にレディの柔肌に突き立てた。
「アアァアアァア──……」
 歌うような不可思議な悲鳴が、蒸気の街に陰々と響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宮落・ライア
あれの娘? と言うか正体ってなんだ。
まぁいいや。そう言うのは得意な人に任せるのがいいよね。

で、噛みついてくると。いいよ左腕上あげるよ。
まぁ食べたら…【約束の血】が発動するけれど。
一般人に最も効果がある(抵抗不能)なだけでオブリと猟兵に効果がないとは言ってない。

与えるのは寂寥感。
で、知ってるか? 感情って言うのは大体の感情が強くなりすぎると死にたくなるんだ。喜怒哀楽どれだってね?
体験してみなよ。これもいい経験だ。
心に刺さった棘は抜けはしないぞ?

腕喰わせるのは痛い? そうでもないだろ。
【激痛耐性】



●寂寥感は魔王の娘をも殺す
「あれの娘? と言うか正体ってなんだ」
 宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は胡散臭げにレディ・ハンプティを見やった。
 謎は多い。が、薄く微笑む女は問うたところで答えまい。
「まぁいいや。そう言うのは得意な人に任せるのがいいよね」
「お喋りはよろしくて? では──参ります」
 レディはヒールを高々と鳴らして、豪奢なドレス姿からは想像し難い速度で迫りくる。乳房の下の口が獲物を求めてわなないている。
「で、噛みついてくると」
 予知されていた攻撃を見ても、ライアはその場を動かない。それどころか、左腕を掲げてみせた。
「いいよあげるよ」
 遠慮も容赦もなく食いつく大口。
 鮮血が視界を穢した。ライアの血が一気呵成に乳房の下の口内を汚染し、腕を食いちぎらんとしていた牙の動きがピタリと止まる。
 約束の血が増幅させた感情は、レディの寂寥感。
「知ってるか? 感情って言うのは大体の感情が強くなりすぎると死にたくなるんだ。喜怒哀楽どれだってね?」
 平然としたライアの言葉に呼応するかのように、大口がのそりと腕から退き、悄然と口を閉ざした。
「体験してみなよ。これもいい経験だ。心に刺さった棘は抜けはしないぞ?」
「ああ……これは……なんて寂しい……」
 レディの震える手が顔を覆う。
 一般人に対して覿面の効力を誇る約束の血だが、一般人以外に効果がないわけではない。オブリビオンにも……猟兵に対してすら。
 寂寥感に満ちたレディの眼差しは、ライアへも注がれる。
「これだけのために腕を……? さぞ痛かったでしょうに……」
「痛い? そうでもないだろ」
 けろりとして血にまみれた腕を振るライア。激痛にはめっぽう強いのだ。
 対し、レディは締め付けられたように胸を押さえ、激しく身もだえる。牙の大口ではなく、わななく桜色の唇がぽつぽつと嘆きを口走る。
 寂しい。悲しい。痛い。助けて。……父様。
「父様、父様、父様……父様ぁぁ……」
 昂る膨大な感情の棘に貫かれて、レディはその場に崩れ落ちた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジュリア・ホワイト
ふっ、列車事故を起こそうなどと……
ボクの目の黒いうちは、そんなマネは許さないとも!
「このヒーロー・オーヴァードライブがね!鉄道安全を脅かすのは許さない!」


さて、まずは相手が召喚した魔導列車の対処をしないとね
精霊銃にロケットランチャー、放水銃に機関砲
手持ちの火器を総動員して敵列車を攻撃しよう
災魔は数が多すぎて全滅させるのは難しいけど
列車は一両だけ
動輪を破壊して動けなくすればただの箱さ
「列車を熟知したこのボク相手に列車で戦おうなんて、舐められたものだね!」

そして列車を無力化した機を逃さず
【ラスト・ワンエフォート】!
相手が体制を立て直す前に一気に仕留める!



●列車を挫け
「ァア……いけません……これはいけません……」
 明らかに身動きに支障をきたしながらも、レディは書物を操り蒸気を立ち昇らせた。大量の蒸気は瞬く間にレディの姿を隠しながら、黄金の魔導列車へと結実する。
「ふっ、列車事故を起こそうなどと……ボクの目の黒いうちは、そんなマネは許さないとも!」
 主を乗せて無軌道に駆け巡る魔導列車を眺めて、ジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)は挑戦的に目を輝かせた。
「このヒーロー・オーヴァードライブがね! 鉄道安全を脅かすのは許さない!」
 果敢に姿を晒したジュリアを標的に定め、魔導列車が針路を変えた。
「さて、まずはあの金ぴかの対処をしないとね」
 迎え撃つジュリアの手には多重の火器。精霊銃にロケットランチャー、放水銃に機関砲。手持ちを総動員して一斉発射、魔導列車に正面からありったけの火力をぶち込んでいく。
「列車を熟知したこのボク相手に列車で戦おうなんて、舐められたものだね!」
 狙いは猛然と突撃してくる列車の脚部。先頭車両の動輪に攻撃を集中させる。
 弾幕が列車のフレームを歪め、車輪を脅かし、車軸を揺るがす。
『てめぇなにすんだゴラァーッ!』
『おうおうおう、その喧嘩買ってやろうじゃねぇ──ぐぶごぼぼぼ!?』
 うかつにも窓から顔を出した人型災魔の幽霊達も高圧放水で黙らせる。全滅は難しくとも、大元の乗り物さえ破壊してしまえば──
「動輪を破壊して動けなくすればただの箱さ!」
 大量の災魔がなだれ出るのを待たずして片側の車輪が連鎖的に弾け飛び、火花を散らして列車が横倒れに吹き飛んだ。見事に巻き込まれた災魔達の悲鳴がぎゃあぎゃあと騒がしい。
 レディの姿は、横倒しになった列車の上。
 災魔に支えられながら顔を上げたその視線の先には、全ての銃口をひたと魔導列車に差し向けているジュリアの姿。
「最後のチャンス……ここで決める!」
 一瞬にして出力を限界値にまで高められた全武装が白熱し、ジュリアの全てを籠めた一斉砲撃が放たれる。
 視界を埋め尽くさんばかりの爆発が、魔導列車を木端微塵に吹き飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シホ・エーデルワイス
≪白銀≫

アルダワの大魔王に連なる縁者がこの世界にも!?
ルル
何としてでもここで止めましょう!


煙幕を張り
目立たない状態で時間稼ぎしつつ
『聖瞳』の赤外線スコープ機能で暗視し敵の位置を把握
聖銃で蒸気排出口を狙い氷&幻惑属性攻撃の誘導弾を早業で撃ち
排気口を氷で塞ぐかボイラーを冷却し
熱エネルギーの変換システムを狂わせ
機能不全を起こす


敵の攻撃は第六感と聞き耳で見切り
残像回避かオーラ防御で防ぐ


【霊装】でルルに憑依し
海賊船も神々しい輝きに!?

名付けて
『神聖ロイヤル・ルルチェリア号』VS『魔導列車』


さあ
ルル
列車ごと撃ち祓いましょう!

子供の幽霊達の銃器に破魔の祈りを籠めて強化

破魔の弾丸を撃つ幽霊なんて
珍しいでしょう


ルルチェリア・グレイブキーパー
≪白銀≫

折角、魔王を倒して平和になったのに……
猟書家にアルダワを支配なんてさせないのよ!
勿論よシホ
ここでやっつけてやるわ!

レディ・ハンプティが魔導列車を召喚してきたら

列車の動きを≪第六感・野生の勘≫で予測して回避
回避が間に合わなければアイテム≪憑装盾≫で防御する
シホが張った煙幕に≪目立たない≫ように隠れる

シホのUCで強化して貰って
私のUC【お子様幽霊たちの海賊団】で空飛ぶ海賊船を召喚
ふふん、シホの力で海賊船がいつもよりキラキラ光ってるのよ!
これが私達の『神聖ロイヤル・ルルチェリア号』よ!

ええ、行くわよシホ
破魔の祈りが籠もった銃撃・砲撃を喰らいなさい!
魔導列車なんかボコボコよ!



●神聖なる海賊船
「アルダワの大魔王に連なる縁者がこの世界にも!?」
 レディ・ハンプティの存在に、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は驚きを禁じ得ない。
「折角、魔王を倒して平和になったのに……猟書家にアルダワを支配なんてさせないのよ!」
 ルルチェリア・グレイブキーパー(墓守のルル・f09202)は決然とその侵略を否定する。
「ルル。何としてでもここで止めましょう!」
「勿論よシホ。ここでやっつけてやるわ!」
 銀と白、印象的なそれぞれの髪を揺らして、シホとルルチェリアはレディ・ハンプティの眼前へと歩み出た。
「アァ、哀しい……父様、けれど父様、わたくしはあなたの無念を晴らすために……!」
 レディは胸元を苦しげに抑えながらも、抗うようにかぶりを振ると書物を見開き、ありったけの蒸気を吐き出した。
 再びレディを乗せて顕現する魔導列車。やかましい機械音を立てながら二人の周囲を駆け巡り、その全容は濃淡を描く蒸気の向こうに見え隠れする。
「──! 右!」
 急激な転進を野生の勘で察知してルルチェリアが警告を発し、二人は各々別方向へと散開した。
 列車はルルチェリアを執拗に狙って突撃してきた。転進と加速が思いのほか速い。ルルチェリアは咄嗟に憑装盾を構えて激突に備えた。
 正面衝突の寸前、盾は風船の如くプクーっと膨れて、強烈な衝撃を独特な弾力でポヨンといなすと共に、ルルチェリアの身体を大きく弾き飛ばした。
 そのまま真っ白に霞む景色の向こうに紛れて隠れるルルチェリア。それは蒸気ではない。シホが張り巡らせた煙幕だ。
 猟兵を探して霞と蒸気の中を迷走する魔導列車。その姿を、シホはつぶさに見つめ、聖銃の銃口を差し向けた。高度演算デバイスを兼ね備えたコンタクトレンズが、赤外線スコープの暗視画面を瞳に直接映し出してくれるのだ。
 狙いを定めて引き金を引いた瞬間、聖銃は膨大な氷結と幻惑の誘導弾を吐き出した。
 蒸気排出口──つまりは煙突が一瞬にして巨大な氷に覆い塞がれ、蒸気が逆流、行き場のない熱がボイラー内にわだかまり、幻惑の力と相まって熱エネルギーの変換システムが機能不全に陥っていく。
 心臓部に不調を抱えた列車は、速度を落とさぬまま危険な蛇行運転を開始した。内部の災魔達がたまらず降車して辺りに散らばり始めた。
 シホは音を聞き神経を研ぎ澄ませて災魔の接近を回避しながら、十分に距離をとったところでルルチェリアと合流し、即座に力を開放した。
「この身は剣、この身は鎧、この身は翼、あなたに祝福を」
 たちまちシホの全身が聖霊体へと変じ、ルルチェリアの身に吸い込まれるように憑依されていく。
 暖かなものが身体に染み入るのを感じながら、ルルチェリアはカッと目を見開いた。
「ロイヤル・ルルチェリア号発進よ! キリキリ働きなさい!」
 呼応して、頭上の蒸気が台風の目の如く晴れ渡り、その中央には巨大な空飛ぶ海賊船。
 シホの強化を受けて、いつもよりキラキラと神々しく輝く船の姿に、ルルチェリアはふふんとご満悦に鼻を鳴らした。
「これが私達の『神聖ロイヤル・ルルチェリア号』よ!」
『名付けて『神聖ロイヤル・ルルチェリア号』VS『魔導列車』といったところですね』
 ルルチェリアの背に憑依しながら、シホも胸を張った。
『さあ、ルル。列車ごと撃ち祓いましょう!』
「ええ、行くわよシホ」
 海賊船に乗り込んでいる子供の幽霊達が、シホの破魔の祈りを籠めたカルバリン砲とラッパ銃の照準を一斉に地上へと向ける。列車から散開していた災魔達が、大慌てで後退し魔導列車へと退避していく。
『破魔の弾丸を撃つ幽霊なんて珍しいでしょう』
「魔導列車なんかボコボコよ!」
 上空から降り注ぐ破魔の銃弾と砲弾が、列車に避難しきれなかった災魔達諸共、魔導列車を派手に撃ち抜き破壊せしめたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミスト・ペルメオス
【WIZ】
無闇に被害を出したくはないが…さて、どうなるか。

愛機たる機械鎧を駆って参戦。
デバイス等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
魔導列車と災魔の群れには単独で対抗…と言うよりはどうにか抵抗。まともにぶつかることはしない。
空中への退避、戦闘機動を駆使しての回避。射撃装備による制圧射撃、攻撃阻止や牽制。

どうにか凌ぎつつ【サモン・シュラウドレイダー】。
亡霊宇宙戦艦や戦闘機部隊からの対地射撃。歩兵による移乗攻撃。
互いの戦力をぶつけ合わせ、戦線に敵の注目と戦力を向けさせる一方で自らは独り飛翔。
狙うはレディ・ハンプティ、戦線を突破して捉えれば全火力を叩きつける!

※他の方との共闘等、歓迎です



●亡霊列車VS亡霊戦艦
 愛機たる機械鎧を駆って上空から蒸気の街を見下ろすミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)。
「無闇に被害を出したくはないが……さて、どうなるか」
 蒸気の濃淡の向こう側に、レディ・ハンプティの姿が垣間見える。相次ぐ魔導列車の乗り継ぎと破壊に消耗も甚だしい。
 しかし彼女は、上空から接近するミストへとみたび書物を見開き、立ち昇る蒸気から魔導列車を走らせる。
 空中を駆けて迫りくる魔導列車。ミストはデバイスを介して念動力を浸透させた機体を巧みに操り、さらなる上空への退避を選択した。
 猛然と追い上げてくる列車のスピードもさることながら、災魔の幽霊の中でも対空戦や空中戦の能力を持つ輩の追撃がまた厄介だった。翼持つ者の体当たりや斬撃、多様な属性の魔法に鋭利な羽や花弁の乱舞、魔導列車の窓からこちらを狙う銃撃。
 ミストは愛機の性能を極限まで駆使して大量の攻撃になんとか抵抗した。機動力を活かしてランダムな軌道で敵を欺き、急速転進しての制圧射撃による牽制。
 絶え間ない敵の攻撃が機体を掠め、時には装甲のど真ん中に肉体に響く衝撃を叩きこんでくることもあったが、反撃に照射したビーム砲が幽霊の背負う黄金の蒸気機関を貫き、徐々に無力化していく。
 息をつかせぬ弾幕の中、ねじるような錐もみ飛行で魔導列車の鼻先を掠めつつ地上へと突っ切りながら、ミストは心中に唱えた。
(「来たれ、来たれ、来たれ……」)
 列車がミストの動きにつられて地上付近にまで高度を下げた瞬間、
「──来たれ――!」
 召喚の輝きと共に、次元の狭間より蒸気を割って現れいでる巨大亡霊宇宙戦艦。
 戦闘機部隊が戦艦の周囲に展開するや、一斉に対地射撃を開始、地面に降り立った魔導列車を上空から激しい銃撃の雨に晒していく。さらにその混乱に乗じて降下した歩兵部隊が次々に魔導列車に飛び移り、車上はたちまち銃弾飛び交う戦場と化した。
 戦艦に魔導列車の標的が移り、災魔と戦士の幽霊とが相争った好機を、ミストは独り飛翔する。
 狙うは術者。侵略蔵書「蒸気獣の悦び」の書き手であり所持者であり召喚者、レディ・ハンプティ。
「全火器管制オールグリーン。──発射」
 眩いビームの輝きが地上へと一閃し、黒衣の淑女へと降り注いだ。

●レディ・ハンプティ討伐
 心身に数々の消耗を負い、蔵書に残る全ての力をつぎ込み……
 もはや前線に立つ気力もないレディ・ハンプティが、最後にその瞳に焼き付けたのは、死をもたらす強烈な光。
「アァ、父様」
 父娘二代に渡って志半ばで斃れる哀惜の籠った呟きが、最期の言葉だった。
 照射される光の中に、その姿は蒸発した。
 かくてここに一人、レディ・ハンプティは骸の海へと還った。
 オウガ・オリジン、猟書家、そして猟兵。三つ巴の戦いは未だ収束には至らない。
 猟兵達は新たな戦場を模索するため、グリモアベースへと帰投していった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月19日


挿絵イラスト