迷宮災厄戦㉑〜愛しき父のために
●父を悼む
そこには、都市が栄えていた。
荘厳な建築群が吐き出す蒸気が空を霧のように漂い、地に張り巡らされたレールには無数の魔導列車が走っている。蒸気と機械で彩られた街並みは、かの別世界――『アルダワ魔法学園』を彷彿とさせるものだ。
猟書家『レディ・ハンプティ』が立っているのは、そんな国だった。
「ああ、父様。魔女の肚から私を造った父様。
私にも正体を見せなかった、いとしい父様。
あなたの無念、このわたくしが果たします」
両肩に蒸気機関を備えた淑女の口からこぼれるのは、追悼の声。
亡き『父様』を想いながら、レディ・ハンプティは本をひらいた。
金属で装丁されたようなその重々しい書は――彼女自身がしたためた侵略蔵書『蒸気獣の悦び』である。
頁に綴られた字をなぞりながら、レディ・ハンプティはくすくすと笑った。
「『アルダワ魔法学園』の西方、諸王国連合。
魔導列車が横断し、蒸気魔法文明最も華やかなる、あの世界の要となる地。
わたくしはその地で、父様の災魔を『蒸気獣』に変え、放ちます」
「きっと、大事故が起こりましょう!
その被害を利用すれば、わたくしでも新たな災魔を産めるようになります」
蒸気と魔法の文明が、獰猛なる災魔たちによって崩壊する情景を空想して、レディ・ハンプティは熱くなる胸を押さえる。
その内で張り裂けんばかりに踊っているのは、父のために何かを成せるという歓喜。
そして、怒りだ。
「ああ、父様。あなたの無念を思うだけで、乳房の下の口がわななきます。
どうか、見守っていてくださいね、アウルム・アンティーカ父様……!」
●グリモアベース
「次なる猟書家の討伐を願いたい」
グリモアベースの一角に猟兵たちを集めると、プルート・アイスマインドはグリモアを操作して宙に映像を投影した。
猟兵たちの目に入ってきたのは、四角く切り取られた『蒸気都市』の光景だ。
「ここにいるのは、猟書家『レディ・ハンプティ』。大魔王アウルム・アンティーカを父と呼ぶこの女は、侵略蔵書『蒸気獣の悦び』の力でアルダワを崩壊させようとしている」
大魔王の娘。
そう聞くだけで、レディ・ハンプティが危険な存在であるということは理解できる。
疑う余地もなく、彼女は『アルダワ魔法学園』の敵なのだ。
「奴は侵略蔵書『蒸気獣の悦び』による災魔の召喚や、蒸気機関の蒸気を纏うことによる強力な自己強化ができるようだ。それと奴の胸、乳房の下は『牙だらけの口』になっているらしい。それに喰らわれれば……まぁ無事では済まないだろうな」
自分のみぞおち辺りをさするプルート。そこががばっと開くというのは想像するだけで何とも怪奇な姿である。おまけにご丁寧に牙まで備えているとはゾッとしない。
けれど、恐れるわけにもいかない。
そう言って、プルートはグリモアを猟兵たちへ向けた。
「奴を放置できないというのは、もはや説明も要るまい。一筋縄ではいかんだろうが……アルダワの危機を未然に防ぐために、よろしく頼むぞ。猟兵たちよ」
大魔王の娘――猟書家『レディ・ハンプティ』を討つために。
猟兵たちは、アリスラビリンスの蒸気都市へと転移してゆくのだった。
星垣えん
というわけで、星垣えんでございます。
今回は猟書家の一人『レディ・ハンプティ』との戦いです。
本シナリオでは『敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する』ことでプレイングボーナスを得られます。
強力な攻撃をどう防ぎ、反撃をくらわせるか。
それを上手いこと考えられれば良い結果が出ることでしょう。
それでは、皆さんのプレイング、お待ちしております!
第1章 ボス戦
『猟書家『レディ・ハンプティ』』
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POW : 乳房の下の口で喰らう
【乳房の下の口での噛みつきと丸呑み】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : アンティーカ・フォーマル
【肩の蒸気機関から吹き出す蒸気を纏う】事で【武装楽団形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 侵略蔵書「蒸気獣の悦び」
【黄金色の蒸気機関】で武装した【災魔】の幽霊をレベル×5体乗せた【魔導列車】を召喚する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カグヤ・アルトニウス
〇暴走する淫欲
(アドリブ歓迎)
「大魔王の娘」…
どうみても只の獣ですからきっちり狩らせて貰います
行動:POW
(戦闘)
胴体に口があるという構造上、超高速といってもどうしても大振りかつ単純な攻撃になるので予測は楽ですね
そこで、充分に引き付け【第六感】でタイミングを計り【カウンター】でエクストラ・ブルーの斬撃の【衝撃波】だけ置く様に打ち込んでテレポートで間合いを取ります
UC起動後はGOKUは軌道計算で更なる攻撃を確実に回避できる様にし、Tometamaは胴部を集中攻撃、Cavallが防御障壁で支援する形で連携してテレポートで翻弄しつつ【二回攻撃】+【衝撃波】+【貫通攻撃】の重ね突きを撃ち込んで行きます
街に漂う蒸気の中に、転移してきた猟兵たちの気配を感じると、レディ・ハンプティはくすくすと笑いはじめた。
「私のもとへ来てくれたのですね……あなた方を喰らい、屠ってやることをどれほど待望していたことか! 父様を討った罪、その命で贖ってもらいましょう!」
耳をつんざくような高笑いとともに、レディ・ハンプティが始動する。
喜色を浮かべて迫ってくる淑女を見て、カグヤ・アルトニウスは一振りの太刀『エクストラ・ブルー』を抜いた。
「大魔王の娘……どう見てもただの獣ですね」
「あら。傷ついてしまいますわ」
瞬く間――圧倒的な速さで、レディ・ハンプティはカグヤの至近まで近づいていた。
「!?」
「一呑みにして差し上げます」
突き出したレディ・ハンプティの胸が、乳房が、裂ける。
禍々しく並ぶ牙がカグヤを喰おうと襲いかかった。
命を絶つ二列の牙が目にも止まらぬ速度で肉迫する――が、カグヤの体に喰いこんで呑みこむことはない。
「胴体についた口ならば、やはり大振りかつ単純な攻撃になりますね」
「!?」
待ち構えたように用意されたエクストラ・ブルーの刀身が、レディ・ハンプティの口を迎えていた。振りぬかれた刀身から放たれた衝撃波が口の内部を穿ち、撃ちこんだ反動のままカグヤは後方へテレポートする。
「レディのキスを拒むだなんて、不作法ではありませんか?」
「好きに言ってもらって、構いませんよ」
平然とするレディ・ハンプティに言い返してやりながら、三体のぬいぐるみユニット『GOKU』『Cavall』『Tometama』を自分の周りに展開するカグヤ。
収集された情報から的確に防壁を張り、守りを固める。
そうして万全を築いてから、カグヤはTometamaから凍結弾を撃ち放った。
「くっ……!?」
「その口を放っておいては、ロクなことがなさそうですからね」
着弾した胸部を押さえるレディ・ハンプティに、カグヤは追撃の凍結弾を撃ちこんだ。
成功
🔵🔵🔴
ユヴェン・ポシェット
アウルム・アンティーカ…ああ、あの腹の口が印象的だった。
アンタも…そうなのか
相手の「乳房の下の口で喰らう」攻撃に対し、可能であれば自身の持つ「avain」(自身の手から離れ他の物に接触すると爆発する果実)を開いた口へと放り込む。
但し、まずは致命傷を避ける為、相手の動きを見切りつつ、素早く距離を取ることを優先させる。
距離をとった後、槍を構える。
槍で弾いたり、串刺したりしながら相手の攻撃へ応戦しつつ、手に持つ侵略蔵書を狙い槍で攻撃
再び胸の口が開くとき、UC「revontulet」を使用。自身の片腕を犠牲に宝石の破片を奴の口(胸)内へ放つ。
もともと切り離すは覚悟の上だ、片方アンタにくれてやる。
「あぁ、冷たい」
レディ・ハンプティの指が、凍りついた肚を撫でる。
すると氷結が砕けた。背を正すように胸を突き出すと、彼女の乳房はぱっくりと上顎と下顎に分かれていた。
がちりがちりと開閉を繰り返す口を見て、ユヴェン・ポシェットは思い出す。
「アウルム・アンティーカ……あの腹の口が印象的だったが、アンタもそうなのか」
「……父様と矛を交えたのですね」
かつて大魔王に向けられたユヴェンの色違いの双眸。そこへハットの下から視線を返しながら、レディ・ハンプティは――。
「ではあなたの父様の記憶ごと、喰らわせてもらいます」
ユヴェンへ、大口を開けて迫った。
圧倒的な速度。上下の牙がユヴェンの浅黒い肌に触れる。
けれど、彼の結晶の体が呑まれることはなかった。
「喰わせるものか……!」
腕を掠め取られながらも、ユヴェンは後方に跳んでいた。空を切った口がギロチンのような恐ろしい音を奏で、削られたクリスタリアンの腕がぱらりと青い破片を散らす。
だが、免れた。
ユヴェンは伴っていた小型竜『ミヌレ』を槍に変え、同時に別の手に握っていた果実『avain』を放る。
宝石の輝きを見せる果実は、レディ・ハンプティの胸の口に入りこんだ。
そして、衝撃と爆炎を奔らせる!
「これは……爆弾!?」
「まあ、そんなようなものだ」
体内を襲う爆発によろめくレディ・ハンプティへ、竜槍『ミヌレ』を構えるユヴェン。
敵の持つ侵略蔵書を叩き落とすべく、彼は刺突を放った。
手ごたえは――ない。
穂先は、半身になったレディ・ハンプティの横を掠めていた。
「腕を差し出してくれるのですね、ふふ」
彼女の獰猛な乳房がひらき、槍を握るユヴェンの手を捉える。
噛み合わされた牙がガシャンと、腕を噛み砕いた。
そう、見えた。
「もともと切り離すは覚悟の上だ、片方アンタにくれてやる」
「これは……!?」
レディ・ハンプティが狼狽を浮かべる。
牙はユヴェンの腕に触れていない。触れる前に腕のほうから砕けたのだ。
大量の破片が、青い光が、散る。
レディ・ハンプティの、胸の口の中へ。
「存分に、喰うといい」
「しまっ……!」
ひらかれた口腔の中で、極光が輝く。眩い光は無数の槍となってレディ・ハンプティの中を蹂躙し、彼女に痛烈な悲鳴をあげさせた。
大成功
🔵🔵🔵
小雉子・吉備
大魔王の娘が復讐に……方向は違うけど桃太郎の後日談にも似たのはあったね
〖先制UC対策:POW〗
【先制攻撃】の【高速詠唱】で【属性攻撃(爆弾)】込めた〖時の愚鈍「スロウフールハウル」〗を【早業】で【オーラ防御】と【盾受け】併用で【第六感】で【見切り】密集させ【弾幕】盾を展開
喰わせ
距離を低空【空中戦】で素早く取り〖なまり〗ちゃんと〖ひいろ〗ちゃんに【動物使い】で撹乱
その隙にUCを攻撃力重視【早業】発動
〖時の愚鈍「スロウフールハウル」〗の【弾幕】で牽制
【空中戦】で駆け〖偽御神刀・吉備男〗に【属性攻撃(炎)】込め【怪力・2回攻撃・切り込み】の【貫通攻撃】で切り捨てだよっ!
〖アドリブ絡み掛け合い大歓迎〗
「よーし。追撃!」
ぐらりと後ずさるレディ・ハンプティ。その好機に仕掛けるべく羽ばたいた妖怪――小雉子・吉備は素早く無数の魔法弾を生み出した。
しかし、それを射出するより早く、敵が動く。
「小賢しい真似はさせませんわ……」
レディ・ハンプティが後ろに踏み出した脚で体勢を無理やり立て直し、さらに地面を蹴りつけて強引に前方へ加速をつけた。
見る間に、荒々しい牙が吉備に肉迫する。
「そんな痛そうな牙、絶対くらってやらないんだから!」
迫りくる大口へ弾幕を張る吉備。次々と飛んでゆく魔法弾の群れはレディ・ハンプティの胸の口へ突っこんで、鈍化の魔力を浸透させる。
時を遅らせられた猟書家の体から、速度が失せる。
「いっ……た……い…………!?」
「なまりちゃん! ひいろちゃん! よろしくね!」
驚愕するレディ・ハンプティから離れながら、青き狛犬と赤き猿を解き放つ吉備。二体の使い魔が猟書家の周りを飛び回り、跳び回り、その意識を引きつける。
そうして生まれた時間。
吉備は、ユーベルコード『雉鶏精の偽桃太郎』の発動していた。
その身に赤い陣羽織が纏われる。さらに手にした『偽御神刀・吉備男』の霊力の刃に、彼女の周囲を漂っていた霊魂が寄り集まった。
両手で霊刀を握り、吉備がレディ・ハンプティめがけて吶喊する。
「この、鬱陶しい……!」
「大魔王の娘が復讐に……方向は違うけど桃太郎の後日談にも似たのはあったね。
でも――」
なまりとひいろに翻弄されるレディ・ハンプティを見据えながら、吉備が両手に炎を灯らせる。炎は柄を伝って刀身に絡みつき、直視も叶わぬ灼熱の剣へと変わった。
そして、振りかぶる!
「復讐なんて、させるわけにはいかないんだよっ!」
「っっ!!!?」
一直線に中空を滑った吉備の一刀が、レディ・ハンプティが防御に構えた腕の下を抜く。
さらに宙で反転した彼女が、返す刀で背面を斬り裂くと、さながら鮮血のように、二本の火柱が大魔王の娘を貫いていた。
成功
🔵🔵🔴
春霞・遙
父子の情が深いのはいいですけど、こちらにも守りたいものがあるので簡単にはやられてはあげられませんよ。
無理を承知であがきます。
攻撃を回避するためにスナイパーライフルのスコープと目視で相手の位置を把握します。
攻撃しに来るなら見切りでかわします。
素早い動きのまま近接戦闘をされるなら距離を取るために拳銃で威嚇射撃します。
回避優先、攻撃は当たれば御の字、時間稼ぎの手段として。
ユーベルコードが使用出来るようになったら相手が近づいてくるタイミングを狙って【バレットレイン】を使用します。
回避行動をとられても避ける隙間のない密度で銃弾を放ちます。
レディ・ハンプティが黒手袋で体を払い、身を焼く火炎を消し去る。
しかし火傷の跡は確かに残る。衣服の燃え落ちた個所から焦げた肌をさすり、大魔王の娘は口元をわななかせた。
「父様が造った私の体を……よくもやってくれましたね、猟兵!」
怒りと殺意をみなぎらせた女の肩で、鈍く輝く蒸気機関が蒸気を吐き出す。物凄い勢いで噴出するそれが彼女の全身を覆うと、管楽器にも似た無数のパイプ群が孔雀の羽のように背部にひろがった。
「ひねり潰して差し上げます……!」
ゆらりと動いたレディ・ハンプティが――消えた。
スナイパーライフルのスコープ越しに敵の姿を注視していた春霞・遙には、そうとしか認識できなかった。それほどの、捉えきれぬほどの速さだった。
「こちらに来ますか……」
ライフルを下ろし、腰に装備していた拳銃に手を伸ばす遙。
だが同時に視認する。すぐ眼前に迫っていたレディ・ハンプティを。拳銃を抜くのが間に合わない。
「私の体を壊そうと言うのなら、それより早くあなたを殺してあげましょう!」
「くっ……!」
レディ・ハンプティがパイプ群のひとつを折り、ただ暴力的にぶん回した。振るわれたパイプに脇腹を痛打された遙が、顔を歪めて横に飛ばされる。
地面を足で抉って踏みとどまる。息のできぬほどの痛みが腹部で暴れる。
しかし、倒れはしない。
「手ごたえはありましたのに、しぶといですね」
「クリーンヒットしていたら危なかったかもしれませんね……」
手に持った拳銃を見せる遙。その銃身ははっきりと窪んでいる。咄嗟に抜いた拳銃を盾にして、遙はパイプの直撃を防いでいた。
だから倒れていない。
だから、反撃する力が残っている。
「次は沈めてさしあげます!」
再びレディ・ハンプティが飛んでくる。見ることも叶わぬ速度で。
けれど遙は涼しい顔をして、手にした拳銃をかざした。
引き金を、引く。
「父子の情が深いのはいいですけど、こちらにも守りたいものがあるのですよ」
「っ!!?」
遙の銃口から、鉛玉の暴風が吹き荒れる。
撃ち放たれた弾雨は四方すべてを、近づいてくるレディ・ハンプティもろとも蜂の巣にしていた。
苦戦
🔵🔴🔴
チル・スケイル
…(猟書家か…異世界の命すら貪るつもりか)
…(始末しなければならない)
…(胸の大口による噛みつきか…その為には至近距離に来る必要がある、と…)
…(来ると分かっているものを、いちいち恐れはしない)
…(【ラケート・ランティーロ】を構える。近づいてきた大口の中に向けて零距離射撃。氷の魔法巨弾を打ち込み怯ませる)
…(そのまま砲撃。【氷術・覆】オブリビオンの胴体を強靭な氷で包み、口を塞ぐ)
…(これで無力化、とはいかないだろう。【パフィロ】に持ち替え、氷の魔法弾による追撃)
…(速やかにレディ・ハンプティを始末し、その次はオウガ・オリジン)
…(そして、各世界の新たな侵略者。立ち止まるヒマはなさそうだ)
その身に無数の穴を穿たれた女が、傷を押さえてたたらを踏む。
「父様からいただいた体がまた……また……!」
悲嘆をこぼすレディ・ハンプティ。
その様子を見ながらチル・スケイルは四本の魔法杖『ラケート・ランティーロ』を構えていた。
(「猟書家……異世界の命すら貪るつもりなら、始末しなければならない……」)
「! そうはさせません……!」
チルの気配に感づいたレディ・ハンプティが、がばりと乳房の口をひらく。獣のような強い足取りで駆けた猟書家は瞬く間にチルとの距離を詰めていた。
殺意に満ちた牙が、チルめがけて閉じる。
しかし、体温が感じられそうなほど敵が近づいてなお、チルの表情は動かない。
ただ氷のように冷静に、彼女は『ラケート・ランティーロ』を、迫る大口に向けていた。
(「来ると分かっているものを、いちいち恐れはしない」)
「ぐ、きゃあああっ!!?」
魔法杖から射出された巨大な魔法弾が、乳房の口の中に直撃する。迸る冷気が口内に氷塊を生み出し、口をふさがれたレディ・ハンプティは戸惑いの顔でよろめいた。
すかさず、チルが拳銃型の杖『パフィロ』に持ち替える。
流麗な所作で、引き金を四回。撃ちだされた氷の魔弾がレディ・ハンプティの胸の口に滑り込み、さらに体内を凍結させる。
まるで顎が外れたかのように、乳房の下の口は塞がってしまった。
「こ、こんな……!?」
「……」
追撃の銃弾をレディ・ハンプティの胴体に撃ちこむチル。敵がたまらず悲鳴をあげて後退するのを見届けながら、チルは『パフィロ』を収めた。
(「次はオウガ・オリジン……そして各世界の新たな侵略者。立ち止まるヒマはなさそうだ」)
成功
🔵🔵🔴
アリス・セカンドカラー
お任せプレ。汝が為したいように為すがよい。
なるほど、30cm以内の相手にしか使えない、と。
ならば、カレイドスコープ(残像/式神使い/集団戦術)の結界術で遠近感を略奪しましょう。後、ギャグ補正(限界突破/リミッター解除/継戦能力)ね。
『告げる。ロリ化(化術)ナーフの神罰でそのご自慢のおっぱいと力を略奪し、可愛らしい姿になったところで情熱の炎でじっくりコトコトと料理して、狂しい程の快楽で蹂躙し、快楽エナジーを捕食してあげる♡パラサイトテンタクルでの脳くちゅもおまけしてあげる♪』
えっちなのうみそおいしいです♡
胸に氷の華を咲かせたレディ・ハンプティを見て、アリス・セカンドカラーは妖しく口角を吊り上げる。
「ふむふむ、素敵な装いね。さすがは大魔王の娘♪」
いかにも悪だくみを抱えた微笑みとともに、跳躍するアリス。
ふわりと上空に踊り出た少女の姿を捕捉すると、レディ・ハンプティはすぐさま体勢を立て直した。半ばほどまで凍結していた乳房の口を力ずくで開き、体表を覆う氷がばきりと大きな音をあげて砕ける。
「何を考えているかは知りませんが……わたくしは倒れません!」
降下するアリスを迎え撃ち、地を踏みつけて跳びあがるレディ・ハンプティ。
けれど彼女が開けた胸の大口は空を切った。
正確には、アリスの『手応えのない腹』を噛み千切っていた。
「!?」
「ふふ、私を噛みたいならもっと近づかなきゃダメよ?」
「ほらほらこっち♪」
「いいえ、そっちじゃないわ。こっちよ♡」
腹を裂かれたアリスが幻影のごとく失せ、それを合図にしたように幾人ものアリスたちがレディ・ハンプティを囲んでいた。
さながら万華鏡を覗いているように、いや迷いこんだように。
四方八方にアリスが佇み、誘う声が響いてくる。
「残像……?」
「そのとおり☆ そして華麗に手玉にとったところで本番よ♡」
可愛くウインクしたアリスが、自身の胸に両手を伸ばす。
で、揉む。
「告げる。ロリ化ナーフの神罰でそのご自慢のおっぱいと力を略奪し、可愛らしい姿になったところで情熱の炎でじっくりコトコトと料理して、狂おしい程の快楽で蹂躙し、快楽エナジーを捕食してあげる♡」
「何……を……!?」
嘲笑しかけたレディ・ハンプティだったが、すぐに自身の変化に気づいた。
乳房がぺたんこになっていた。ぺたん娘になっていた。それどころか背丈もだいぶ小さくなって、小柄なアリスよりも縮んでしまっていた。心なしか声もなんか高い。
ロリータ化しとった。
「これはいったい……わたくしの体が……どうなって……!」
「大丈夫、宣言どおりに可愛がってあげるわハンプたん♡ ついでにパラサイトテンタクルでの脳くちゅもおまけしてあげる♪」
「や、やめてくださいぃーー!?」
うねうねと蠢く触手を引き連れ、じりじりとハンプたんに迫るアリスたん。
数秒後に戦場に響いた悲鳴は、ちょっと艶っぽかったそうです。
大成功
🔵🔵🔵
ユヌ・パ
ごきげんよう、レディ
貴女は自分のお父さんのことを記憶しているのね
うらやましいわ
あたしは、「相棒」にくれてやったから何も覚えていないの
お父さんの記憶
あたしたちにも、味あわせてちょうだい
さあ、相棒
猟書家級のオブリビオンよ
のこらず喰いつくしなさい
あたしの反射速度じゃ追いつかないでしょうから
体の制御は全て相棒に任せるわ
左拳打撃が主の、荒い近接格闘
傷も死も厭わない、人よりも獣じみた動き
あたしの攻撃も、どうせ接近しないと届かないし
ためらわずに間合いへ踏み込む
腹の口の攻撃は「髪の毛の巨大な手」をあえて喰わせて回避
その間に背中、又は側面に逃れ
オウガの左拳でレディの首に喰らいつく
骸の海で、お父さんと仲良くなさい
身体変化術の効力が切れて元の姿を取り戻すと、レディ・ハンプティは怒りをそのまま音にしたような叫びを発した。
「わたくしの……わたくしの体を! 父様からいただいたわたくしの体を! 好きに改変するだなんて許しません……命で贖おうとも、許せはしません!!」
大魔王の娘が口元を禍々しく歪める。その乳房の下の口にも劣らぬほど。
そんな怒れる女に、ユヌ・パは平然と声をかけていた。
「ごきげんよう、レディ」
「……?」
ゆらりと気配もなく現れた女に、レディ・ハンプティは訝しげに視線を向ける。
ユヌの表情には何もなかった。赤い瞳は揺らがず、色白の肌はぴくりとも動かない。ただ紫色の長髪が青々と燃えているだけだった。
「貴女は自分のお父さんのことを記憶しているのね。うらやましいわ。あたしは『相棒』にくれてやったから何も覚えていないの」
対峙する猟書家を見据えたまま、そっと髪を撫ぜるユヌ。
そして――髪を覆う青白い炎がぼうっと、爆ぜた。
「お父さんの記憶。あたしたちにも、味あわせてちょうだい」
「……話にもなりませんねッ!」
ユヌの言葉を聞いた瞬間、弾かれたようにレディ・ハンプティは動いていた。
ひらかれた胸の大口が最短距離でユヌの細い首に向かう。
だが牙は肉を捉えない。ユヌの体は――『相棒』たるオウガに手綱を握らせた体は、本能で危険を感じ取った獣のように後ろへ跳ねていた。
「わたくしの攻撃を……!」
(『さあ、相棒。のこらず喰いつくしなさい』)
ユヌの意識に呼応して、オウガが操る体が動く。着地と同時に足が地を蹴りつけ、ひと呼吸も許さぬうちにその肉体はレディ・ハンプティの懐に迫る。
「この……ッ!」
潜りこんできたユヌを胸の口で迎え撃つレディ・ハンプティ。
けれどまたも牙は彼女を喰えなかった。ユヌの長い髪が巨大な手となり、ひらかれた大口へ迷いなく突っこまれていたからだ。
音もなく噛み千切られる髪。
――その隙に、ユヌはレディ・ハンプティの右側へと回りこんでいた。
「しまった……!?」
「骸の海で、お父さんと仲良くなさい」
力の限りに握りこまれた左拳が、逆に猟書家の首へと喰らいつく。強烈な痛撃をくらったレディ・ハンプティは、叩きつけられるように地面を転がった。
大成功
🔵🔵🔵
ソラスティベル・グラスラン
わたしの最大の敵、大魔王
まさか彼に娘がいるとは……彼女には申し訳ないことをしました
しかし!平和を得たアルダワを再び脅かすならば
大魔王の遺児よ!この『勇者』が相手となります!!
敵の間合いを【見切り】【怪力】を籠めた大戦斧で薙ぎ払う
噛みつかれては敗北は必至、ならば長物の武器で近づかせないまで!
大魔王の話題で時間稼ぎ
複数の形態の全てが強く、そして全員にこの大斧を突き立て…
ふふ、死力を尽くし最終形態を撃ち滅ぼしました
そして今、大魔王の玉座の間はわたしが主です!!
激高したなら、それを待ってました!
一点攻勢…【勇気】を胸に前進ッ!
30㎝が必殺の間合いなのはわたしも同じ
今こそ応えよ、蒼雷の大斧よ―――ッ!!
猟兵たちとの戦いの末、とうとう地に伏したレディ・ハンプティ。
けれど彼女は腕を立てて再び立ち上がろうとしていた。
折れていないのだ。もう勝ちの目が薄くとも、父の無念を晴らすことを諦めていない。
「わたしの最大の敵、大魔王。まさか彼に娘がいるとは……彼女には申し訳ないことをしました」
大魔王の娘を黙して見つめていたソラスティベル・グラスランが、蒼白き大戦斧『サンダラー』を握りしめる。
幾度も大魔王を葬った、戦斧を。
「しかし! 平和を得たアルダワを再び脅かすならば、大魔王の遺児よ! この『勇者』が相手となります!!」
「勇……者……!」
ソラスティベルの名乗りに反応したレディ・ハンプティが、余力を振り絞って立ち上がる。
一直線に突っこんでくる『勇者』へ、『大魔王の娘』は牙を剥いた。
「父様の遺志、おまえを殺して果たしますッ!!」
「受けて、立ちます!!」
がばりと胸の口をひらき超速で迫るレディ・ハンプティ。対するソラスティベルは戦斧を真一文字に振るい、接近を牽制する。怪力で振るわれた刃を警戒したレディ・ハンプティが踏みとどまると、掠めた帽子の鍔がぱっくりと割れた。
「おのれ……!」
ぎり、と歯噛みするレディ・ハンプティ。
苛立ちを見せる口元を見て、ソラスティベルはニッと笑ってみせた。
「大魔王……複数の形態の全てが強く、そして全員にこの大斧を突き立て……ふふ、死力を尽くし最終形態を撃ち滅ぼしました。そして今、大魔王の玉座の間はわたしが主です!!」
「父様の玉座……ですって!!」
途端、目の色を変えるレディ・ハンプティ。
父の領域が侵された――そう聞かされるや、娘は怒り狂ってソラスティベルに襲いかかった。
「許さない……許さない許さない許さない許さない許さないッッ!!!」
なりふり構わず、勇者を殺すべく大口をひらくレディ・ハンプティ。
だが彼女が一歩を踏みこむのと同時――ソラスティベルの足が、深く大きく、踏み出していた。すれ違った牙が頬を掠め、赤い血滴がわずか舞う。
そして、ソラスティベルの握るサンダラーから蒼雷が弾けた。
「至近が必殺の間合いなのはわたしも同じ! 今こそ応えよ、蒼雷の大斧よーーーッ!!」
「――っがあああああああッッ!!!?」
雷鳴とともに振るわれた大戦斧が、レディ・ハンプティの体を両断する。
横薙ぎの一撃に断たれた彼女の体は、腹を境に上下に分かれ、どさっと二つの音を立てて地に落ちた。
「父様……申し訳ありません…………」
帽子の下の目から涙を零し、宙を見つめたまま消え去ってゆく大魔王の娘。
その逝きざまに瞑目して祈りながら、勇者は戦場から帰還していった。
大成功
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