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迷宮災厄戦㉑〜不機嫌淑女の胸は様々な意味で疼くもの~

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #猟書家 #レディ・ハンプティ

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●彼女はやりたがっている
「古の黄金が残した、ご機嫌斜めなお嬢様」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、嘗て魔導蒸気の迷宮と、その上に建てられた学園を襲った古の魔王の姿を映し出しながら語り出した。
「……なんて、そんな可愛らしい存在でもないのだけれどね」
 グリモアの輝きが、黄金に輝く骨董品に連なる系譜を描き出す様を肩を竦めて見遣りつつ、彼女は改めて猟兵達に向けて語りを始めた。

「さぁ語ろうか! 舞台はアリスラビリンス、敵は書を狩る悪魔レディ・ハンプティ! 君達には猟書家の一体を撃破しに行って貰いたい」

 猟書家が一人【レディ・ハンプティ】――グリモアが映し出す予兆の映像からすれば、彼女はかの大魔王の娘であるのだという。
 魔導列車が縦横無尽に走り回り、魔導蒸気の機械文明華やかなる世界に座す、貴婦人めいた――されど悍ましき捕食口と機関を備えた魔物を映し出しつつ語る。
「どうやら彼女はアルダワの【外】を狙うらしい」
 魔法学園が飽く迄その世界の一部でしかない以上、離れた地に別の地域はある。
 それこそが【諸王国連合】――華やかなりしかの世界の蒸気文明の要であるその地に、彼女は災魔を【蒸気獣】なる怪物に変えて解き放とうとしているのだという。
 勿論、彼女は猟書家――アリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラの力を分断し封じている以上、その撃破にはオウガ・オリジンの強化という危険性もあるが……。
「確かにその懸念はある。しかし彼女を放置することも出来ないだろう?」
 リスクテイクが何とも難しいが、と溜息交じりにスフィーエは語りを続ける。

「例によって例の如く、今までの【強敵】と同じように【先制攻撃】を仕掛けてくる」
 力に優れた者に対しては、乳房の下の口で至近距離の対象を一瞬で喰らい丸呑みにしてしまう。
 敏捷に優れた者に対しては、肩の蒸気機関から吹き出す蒸気を纏うことでスピードと反応速度を極限まで強化してくる。
 霊的なものに優れた者に対しては、黄金の蒸気機関で武装した災魔の幽霊を千体近くも乗せた魔導列車を呼び出してくるのだという。
「よりよく戦うつもりならば、先んじて動いてくる相手の対策を練っておいた方が無難だろうね」
 相手のユーベルコードに対して上手く対処し、その上で上手い一撃を入れる――そうすることが出来て、漸くスタートラインと言える相手なのだということを忘れないように、とスフィーエは釘を刺した。

「いや全く、猟書家の奴らは色々と驚かされる連中ばかりだがね……」
 予兆で見た殆どが、嘗て猟兵達が赴いたことのある世界に由来する――その上、未だ知られていない秘密もあるのだというから驚きだろう。
 敵の解説を終えたスフィーエが参った、と言わんばかりに後頭部を掻きつつも、気を取り直すように両手を打ち合わせ。
「何はともあれ、アリスラビリンスだけじゃない。他の世界まで巻き込むわけにもいかないだろう。では、準備が出来たら声を掛けてくれたまえ」
 ――淡い金色の羽根ペンを象ったグリモアは、戦場へと続く扉を描き出していく。


裏山薬草
 どうも、裏山薬草です。
 まさか大魔王に娘がいるなんて驚きでしたね。
 とすればさしずめ魔王女といったところでしょうか。

 さて、今回はですね、スチームパンクな世界に赴き、猟書家の一人「レディ・ハンプティ」と戦って貰います。

 例によって例の如く、敵はユーベルコードによって先制攻撃を仕掛けてきます。
 なので、その対策があればプレイングボーナスとなりますので、狙う方は対策を練ってみると良いかもしれません。
 尚、指定UCと同じ属性で先制攻撃をしてくるので、対策をされる方はその辺りをお気をつけください。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 ボス戦 『猟書家『レディ・ハンプティ』』

POW   :    乳房の下の口で喰らう
【乳房の下の口での噛みつきと丸呑み】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    アンティーカ・フォーマル
【肩の蒸気機関から吹き出す蒸気を纏う】事で【武装楽団形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    侵略蔵書「蒸気獣の悦び」
【黄金色の蒸気機関】で武装した【災魔】の幽霊をレベル×5体乗せた【魔導列車】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒城・魅夜
大魔王の娘?
娘がいるのならば、彼のものは未来に希望を有していたのではないのですか
我が娘という希望を
にもかかわらず希望を弄ぶ言辞を弄していた
何と愚かな存在だったのでしょう

ええ、私は十数回にわたってかの大魔王を撃ち砕いた者
希望の担い手です
あなたも愚かな父の元へ送ってあげましょう

見切りと第六感も使いますが完全回避は難しいでしょうね
攻撃をオーラ防御と覚悟、そして鎖によって放つ衝撃波で受け止めます
そして同時にこの衝撃波はもう一つの狙い
そう、あなたの蒸気を吹き払うのです
蒸気を纏うことがそのUCの条件

負わされた傷から噴き出た我が血が霧となり
既にあなたの身を包んでいます
大魔王を葬った同じ技で骸の海に沈みなさい



●オタマジャクシ
 蒸気を噴き上げながら疾風の如く駆け抜けるこの淑女は、アウルム・アンティーカの娘というではないか。
 ああ、何ということだろう……女は、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は何処か戯曲めいた嘆きを示すように額に手を宛てた。
「娘という希望がありながら……」
 ――未来を繋げながらそれを弄び否定する。その愚かさは何といえば良いのだろうか。
 されど蒸気の唸り高らかに響かせ、駆け抜ける淑女へ鎖の金属音も賑やかに、唇を歪めながら魅夜は言い放った。
「ですが私は幾度となく魔王を撃ち砕きし者。あなたも愚かな父の元へ送ってあげましょう」
「我が父を侮辱すること許し難し! 父様の無念、今晴らしてあげましょう」
 駆ける淑女の速度は正に疾風――超人的な感覚を以て躱そうとしても時は既に遅く、その拳は魅夜に迫る。
 それに対し魅夜も鎖を打ち付け、放たれる不可視の衝撃を以て逆に押し返さんとしたが――
「ぐっ……!」
「ああ、父様。見ていてください。父様を侮辱せし無礼者を、今……!」
 打ち合った力と力の均衡はあっさりと、淑女の方へ味方していた。
 素の実力では圧倒的に上回る淑女の一撃は、例え全力の攻撃を以て相殺せんとした魅夜すらも容易く吹き飛ばし、彼女の背を並ぶ建物に叩きつけた。
 苦痛に蹲る魅夜の姿を見ながら、淑女は捕食口の牙を打ち鳴らし、今にも駆け出さんとした、その時――
「今、何ですって?」
「え……」
 淑女の口元が半開きのままに固定され視界が揺らぐ――それは今の今まで、疾風の速度で動き続けたが故に生まれたギャップ。
 正確にはそれが素の力であるが――鎖より放たれた衝撃は既に速度を為す為の蒸気を淑女より引き剥がしていたのだ。
 再び肩より蒸気を噴き上げようとしても時は既に遅く。
 既に淑女の周囲には白ではなく赤の生臭い煙が立ち込め、湧き上がる蒸気を塞ぐ――唇を歪めた魅夜の傷口から立ち上る血煙は、既に淑女を捉えていた。
「同じ道を辿らせてあげましょう。同じ技にて滅ぶ、という道を……さぁ、骸の海へ沈みなさい」
 ――歪められた唇が言の葉を紡ぎ出す。
 そして淑女の身体の内側から外へ、咲かせられるは血飛沫の花火と突き出る鎖……。

成功 🔵​🔵​🔴​

蓮見・津奈子
優雅なお姿、なれど感じます、溢れんばかりの悪意…。
私の力で何処まで及べるか分かりませんが…力は、尽くします。

あまり遠くからの攻撃手段はありませんので、近接して戦うことに。
必然、その胸の口に喰われることになるでしょう…
せめて、咀嚼されないままに丸呑みされるよう、自ら奥に潜り込みます。意図を悟られぬよう、抵抗したら逆に奥まで行ってしまった、という形で。

呑み込まれましたら、消化されないよう肉鉤と【怪力】を以て胃壁にしがみつきましょう。
そして傷つけたところを起点に変異・貪食粘泥を発動、全身を粘泥と変えて傷口から体内へ流出、逆に体内を食い荒らしにかかります。
どうですか、内側から食べられる気分は…?



●食の巡りは奇遇なりて
「何と凄まじい……」
 蓮見・津奈子(真世エムブリヲ・f29141)は淑女の姿を見、その優雅なる姿に秘められた恐ろしき悪意に戦慄した。
「されど、全力を尽しましょう」
 彼女はすぐ様に決意を瞳に宿すと、捕食口の牙鳴らす淑女へと真っ向から立ち向かうが。
「わたくしが偉大なる魔王の娘と知りながら、尚挑む気高さ、素晴らしきもの。されど及ばぬものもあると知りなさい」
 ――それはあまりにも一瞬。
 開かれた捕食口は敗者を招き入れ、津奈子の身体を胃の腑へ引き込まんとしていく。
「くっ……!」
 微かな抵抗の様子も虚しく、津奈子の身体は逆にそれが仇となってしまったかのように、深く、深く淑女の身体へと飲み込まれ――咀嚼されることが無かったがせめてもの幸いか。
「ふぅ……」
 閉じられた牙と、僅かに膨らんだ腹部を淑女は愛おしむように撫でた。
 このままゆっくりと、腹の中で溶かし養分に――するかと思われたが、不意に。
「!? ぐ、が、ぁぁあ……!!!」
 腹部の内側から突き上がるように、出てくる熱を伴った激しい痛み。
 全身に通る血や蒸気の代わりに、自分に害をなす灼熱が体内を駆け巡り、痛覚を直接深く抉り絶え間ない苦痛のオーケストラを奏でさせた。
 激しい苦痛に身悶えた淑女は、地面を転がりながら腹部を押さえ、血を吐き出しつつ声を漏らした。
「まさか……!?」
 思い当たるとしたら、今しがた捕食口の中に呑み込んだ彼女のせいだとしか思えない。驚愕に顔を歪めながら、口に出した言葉の響きは胃の腑にも届き。
「そのまさかです」
 返る答えは凛とした涼やかな言葉だった。
 哀れにも淑女の捕食口に呑まれたと思いきや、それは全て演技――敢てその身を飲み込ませながら、津奈子は鋼鉄すらも引き裂く剛力を宿せし指を以て、胃壁を抉るようにしがみ付き。
 更に抉った胃壁の隙間より流し込んだは、彼女自身が転じた熱く灼けた、触れる者全てを溶かし尽す粘泥――それが淑女の内側を暴れ竜の如く食い荒らしていたのだ。
「どうですか……? 内側から食べられる気分は……!」
 ――その答えは、背を仰け反らせ淑女らしからぬ悲鳴を挙げた淑女の姿が何よりも色濃く物語る。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・リデル
【WIZ】
魔王の遺した負債ですね。レディ・ハンプティ。
貴女を倒してもアルダワへの害がなくなる訳ではありませんが……
それでもその規模は小さくなる。
此処で消えてもらいます。

先制対策
列車が兵力輸送の要でしょうから、その進路からずれる形で空を飛んで、大兵力に囲まれる、というのを避けます。
(空中浮遊×念動力×空中戦)
災魔の幽霊が襲ってくるでしょうが、オーラセイバー、魔法(属性攻撃)で応戦、UC発動までの時間を稼ぎます。

『青い光の衣』発動後は無防備に攻撃を受けて、極限まで戦闘能力を向上。その後に破魔の波動(破魔×範囲攻撃)で一息に幽霊を葬り、レディとの間合いを詰めてオーラセイバーの一振りで切り裂きます。



●シュクセイ
 その姿は嘗て相対した古の黄金を思わせる――その娘が語る予兆の悪辣な目的を思い返し、ステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273) は吐き捨てた。
「魔王の遺した負債ですね、レディ・ハンプティ」
「あらいやですわ。父様の誇りを受け継ぐ、正当な遺産と称してくださいませ」
 ステラの皮肉めいた言い回しを知りながらも、淑女はカーテシーを一つ、嘲りの笑い噴き上がるように肩の蒸気が奏でられれば。
 蒸気の噴き上がる音高らかに、光の線路が引かれ――その上を車輪の音賑やかに掛けていく巨大な魔導機関が織りなす列車が迫る。
「……なんと、凄まじい軍勢」
 巨大な列車の勢いそれだけに留まらず。
 噴き上がる青き鮮烈な魔力を以て空にその身を逃がし、線路より身を逃れさせ、列車の轢殺を避けたステラは、列車より出でる千を数える軍勢に慄いた。
 それでも蒸気で武装せし幽霊を、輝ける刃を以て攻撃を受け止め、反撃に斬り伏せて応戦するも、淑女はその姿を嗤う。
「ここで潰えるがいいでしょう。それに、わたくしを倒したところで、ねえ?」
「確かにそうかもしれません」
 ここでこの淑女を倒した所で、アルダワは今も災魔が残る。オブリビオン・フォーミュラを倒した世界は幾つかあれど、その残党は動き続けている、が。
 予兆で見た話が真実なれば、それを放っておける筈もなし――迫りくる武装せし幽霊を光る剣で一刀の下に斬り伏せると。
「それでも規模は小さくなります――覆え」
 ステラの身体より迸る青き障壁。
 一瞬力を抜き迫りくる後続の幽霊たちからの攻撃を一斉に受け続けて尚、その鮮やかな障壁は一切の揺るぎを見せず、寧ろ鮮やかに輝きを増す。
 黄金の蒸気が幾度となくステラを襲おうと、彼女はそれを力と変えて取り込み――掌に生み出した莫大な青き光が、一瞬で千を数えた幽霊を掻き消すと。
「まぁ、なんと……!」
「此処で消えてもらいます」
 光剣が迫る列車を斬り裂き、湧き上がった蒸気の高熱と煙幕を物ともせずにステラは淑女に迫り。
 スカートの裾を摘み逃げんとした淑女の横を一瞬で過ぎ去れば――青き火花が一時、迸ったかと思えば、コントラスト鮮やかな淑女の血の華が咲いていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

上野・修介
※アドリブ・連携・負傷歓迎

相手は強者。
チャンスはそう多くないだろう。

――為すべきを定め、心は水鏡に

「推して参る」

調息、脱力、先ずは観る

視線と殺気から攻撃軌道とタイミングの予測、タクティカルペン投擲よる牽制と視線誘導、遮蔽物を利用し常に姿勢を低く動き回り、可能な限り被弾を減らしながら相手のUC有効外から脚部と死角をヒット&ウェイで攻撃し削る。
攻撃時UCは使わない。

そのまま押し切れるなら良し。
相手がこちらの動きに対応するようなら、敢えて上記を続行し、ヒット&ウェイに合わせて相手にUCを使わせるように仕向ける。
UC発動に合わせて地面を打撃して加速し、飛び込んで丸呑みにされ、内部からUC攻撃を行う。



●聖剣の如き
 打ち鳴らされる牙と、陰りの下に頬を染めながら駆ける淑女の突撃(ラブ・コール)を咄嗟に跳躍して躱す。
 牙の音色とその擦れ違った際にも感じる、冷たくも鋭い尖りの雰囲気は、距離を取ったとしても己の肌を貫きそうな錯覚を感じさせる。
「……」
 紛れもなく彼女は強者――上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は仕掛けられるは僅かと察しつつも力を抜き、呼吸を整え淑女の一挙手一投足を見切り。
「推して参る」
 嬉々として打ち鳴らされる牙の捕食を服の微かな繊維を犠牲に躱し、延髄に手刀を叩き込みながら後方へ大きく退き。
 時にタクティカルペンを投げ放ち、その意識を逸らしながら身を低く屈め、捕食の牙を逃れるように滑りながら、足を擦れ違うと同時に引っ掻ける。
 このまま行けば淑女は盛大に地面との熱いヴェーゼが待ち受ける――と思われたが、淑女は軽々と身を翻し着地すると、掌を叩き微笑んだ。
「その身のこなしや見事や見事。されど最早見切りましたわ」
 巧みな一撃離脱を繰り返し、淑女を押していた筈の修介の顔に焦りが走る。
 相手が悪かったという他にない、今や修介の一挙手一投足をダンスを踊るように薙がす淑女に、対応は出来ても攻めることは出来ず。
「敬意を表し、苦しまずに一思いに丸呑みにして差し上げましょう」
 距離を取った修介を嗤いながら、淑女は胸の顎門を頬を染めながら開き――そして。
 喰われるぐらいならば、とでもいうのだろうか。
 力強く地を蹴り、その開かれた顎門へと自ら飛び込む修介を、淑女は勢いよく飲み込む――が。
「がっ……!」
 ――既視感を覚えた光景。
 獅子身中の何とやら、淑女の身体より一つの影が飛び出し、それは粘着質な液体の音を微かに立たせながら着地する。
 苦痛に朦朧とする淑女が後ろに目を向ければ、目に映るその無骨な手は。
「――断ち斬らせて貰った」
 それは魔王女の内側を鮮やかに斬り裂く聖剣の如く。
 淑女の背中は既に大きく斬り裂かれて、濁った血液が迸る。
 その少し前には、淑女の鮮血に身を汚しながらも、手刀にその血を色濃く滴らせていた――淑女の身体に呑まれた筈の修介の姿が其処に在った。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
貴方がお父上の遺志を継ぐというのであれば、私はアルダワの人々の安寧の為に阻むのみ
大魔王と呼ばれた彼の者を討った者の一人として、責任を以て相対させて頂きます

接近からの顎への対処は周囲の蒸気建築の蒸気パイプへの格納銃器●スナイパー射撃による●破壊工作
センサーでの温度の●情報収集で高圧パイプを発見し破壊
噴出蒸気での●目潰しで攻撃の正確性を削ぎ、脚部スラスターでの●スライディング機動で回避

すかさずUCを発射し●操縦
猟書家の空いた手を握りつつ、●ロープワークで彼女の腕を頭の上で組ませた上でつま先立ちにさせ拘束

少々無礼ですが、暫し付き合っていただきます

踊るように一回転させて胸部の口の攻撃を躱し、剣を一閃



●華やかなりし社交
 戦は佳境に至りて、数多の傷を負いながらも不敵に笑う淑女の前に、金属の駆動音も重厚なる白き騎士が悠然と現れた。
「貴方がお父上の遺志を継ぐというのであれば、私はアルダワの人々の安寧の為に阻むのみ」
 騎士は――トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は剣の誓いを掲げるように宣言する。
「大魔王と呼ばれた彼の者を討った者の一人として、責任を以て相対させて頂きます」
「なればこう応えましょう。父様の道を繋ぐ為、その剣と盾を食べましょう、と」
 スカートの裾を摘まみ上げ、捕食口の牙打ち鳴らしながら駆け出す淑女の肩を銃弾が射抜いた。
 破壊された蒸気機関から噴き出す高熱に顔を顰め、その歩みを止めた淑女はトリテレイアを睨み付ける――が、彼の瞳は変わらずに冷たく、機械の感覚器は正確に高圧と高温の部分を捉え、格納された銃器の散らす火花は淑女の身を淑女自身の蒸気で灼かせていく。
 それでも淑女は牙を開きトリテレイアを一飲みにせんとするも、立ち込めた蒸気を目晦ましとしながら彼は身を低く屈め、滑るように躱すと、腕に仕込まれた機構を発揮すれば。
 ――手段を択ばぬ騎士の腕に仕込まれた鋼線が淑女の腕を捉え、交錯させた腕を挙げさせながら、爪先立ちに導いていた。
「……随分と倒錯的で無礼なことをなさりますのね、騎士様?」
「承知の上ですが、少々付き合って頂きますよご婦人」
 ワイヤーの縛りも苦痛を齎し、挙げられた腕の血流が鈍る中にて淑女は不敵に笑うも、格子越しに覗く騎士の眼はどこまでも冷徹に輝く。
 その機械の冷たさと騎士の情熱の相対するものを宿せし瞳に、恋をする少女のように淑女は頬を染めると。
「では騎士様。どうかわたくしに……食べられてくださいませ」
 吊り下げられて尚、胸の下にある口を嬉々として開き、淑女は招き入れんとする。
 それを彼は一つ、まるで円舞を踊るかのように翻ってそれを躱すと、開かれた顎門の裂け目を広げるかのように剣を閃かせた。
 口裂け女となってしまった捕食口を押さえ呻く淑女に、剣の血糊を払いながら、トリテレイアは振り向かずに一つ呟いた。
「……普通のダンスであれば喜んで、と言えたのですが」

成功 🔵​🔵​🔴​

セツナ・クラルス
…これは…
笑ってしまう程の戦力差だね
夥しい数でひしめく列車を見て思わず本当に笑ってしまう
…おっと、真面目に戦わないとあの子に怒られてしまうからね
精々励むとしようか

祈りと共に障壁を展開
ありったけの光の属性+破魔の力で障壁をコーティングし強度をあげておこう
攻撃は熾烈を極めるだろうが、必ず法則性があるはず
それを見つけ出すことができれば勝機はある
攻撃に押し負け、膝を着きそうになるが、副作用はあるが一時的に自身の能力を引き出すことが可能になる毒を自身に投与しドーピング
…ふふ、私にも覚悟があるのだよ

攻撃の勢いが緩んできたら此方の番だよ
列車に囲まれるなんて滅多に体験できるものではないからね
存分に味わうといい



●ミラーマッチ
 魔導列車の蒸気が噴き上がる音色が高らかに響き、黄金の蒸気に武装した幽霊の軍勢がガタンゴトンと車輪の音重く響き向かってくる。
 それは正に自分を死へと誘う悪霊の箱舟か――男の顔に自然と零れるは。
「ふふ、ふふふふ……」
 笑う他ない戦力差ではないか――セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)は、淑女の呼びつけたそれに対して笑顔を浮かべるのみだった。
「気でも触れましたか。しかしそれも無理からぬこと。さぁ我が蒸気の軍団よ、行くのです」
「……けれど真面目に戦うよ。でないと怒られてしまうからね」
 嗾けられる幽霊の変わらぬ軍勢に苦笑しながらもセツナは祈りを捧げ、その身に障壁を作り出す。
 ――されど幽霊が紡ぐ千を数える攻撃はあまりにも熾烈。
 流石に全ての幽霊が攻撃を仕掛けることは無きといえど、波状攻撃というべきか、一つの軍勢が押し寄せ牽制をしたかと思えば、また別の軍勢が着実にタコ殴りにしてくる。
 正に間髪を入れずに襲い着実に追い詰めていく――時に魔導列車の突撃が混ざり、巨大な質量が身体を打ち据える。
 必死にて生み出し続ける光の障壁はその刃を和らげても、流石にセツナの身体には負傷が積み重なり、次第に膝を着いていく。
「抗うのは立派。されど多勢に無勢……おや?」
「生憎だが私にも覚悟があるのだよ」
 例えこの毒が後に身体を壊そうと構わない。今、相対する者を倒す為ならば。
 摂取した毒により引き出された力は今にも傷つき倒れそうな身体を強引に支える――されど淑女は嗤う。その姿で何が出来るのかと。
「さて、次は此方の番だ。生み出すのは苦手なので……利用させて貰うよ」
「なっ……!」
 ――故にセツナは見せる。
 脳内に作り出した数多の車掌が紡ぐ、黄金の蒸気武装を備えた幽霊の犇めく、魔導列車の大群を。
 それは正に淑女が呼びつけた軍隊の再現、光の線路に車輪の擦れが響き、犇めく幽霊の一波、二波、三波――と、波状と襲い掛かるそれを。
 幾千を数えるそれに肩の機関よりの蒸気高らかに、抗いながらも追い詰められゆく淑女へと、セツナは言の葉を投げた。
「ふふ。抗うのは立派だよ。されど多勢に無勢――存分に味わうといい」

成功 🔵​🔵​🔴​

四季乃・瑠璃
緋瑪「アウルムの娘なんだっけ?」
瑠璃「魔王にしては紳士口調な魔王だったね」
緋瑪「魔王討伐に参加した者の一人として」
瑠璃「貴女もここで倒すよ」

「「さぁ、魔王女殺しを始めよう」」

敵の先制に対して即座に煙幕式ボムによる目晦ましと幻影術式【残像、高速詠唱】で攪乱・回避。
更に煙幕に隠れながら置き土産の地雷式ボムを残して後退し、UC発動。

後は二人で連携し、機巧大鎌の機動力で射程外からボムとK100による銃撃で中・遠距離から、特に肩の蒸気機関を狙って攻撃して能力を削ぐよう攻撃を仕掛けつつ、二人でノヴァの魔力を最大までチャージ。
最大威力、殺人姫の全力の一撃をその口に喰らわせてあげるよ!



●フタツノヒメ
「アウルムの娘なんだっけ?」
「魔王にしては紳士口調な魔王だったね」
「その通り。偉大なる父様を継ぐ者、それがこのわたくし」
 四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)は内に眠るもう一つの魂、緋瑪と表層を変えながら相対する淑女に問いかけた。
 淑女はスカートの裾を軽く広げての礼を一つしながら、彼女達の言葉を肯定しながら、乳房の下にある口の牙を打ち鳴らした。
「魔王討伐に参加した者の一人として」
「貴女もここで倒すよ」
 淑女そのものの外見に似つかわしくない、獣めいた唸りを挙げて、乳房の下の口がその牙を剥いていく。
 それに対して瑠璃は咄嗟に一つの爆弾を投げ放つ――立ち込める煙の影が瑠璃の姿を覆い隠しながら、別人格の緋瑪が身体を動かし詠唱を紡ぐ。
 その術法が産み出せしは幻影――瑠璃と同じ姿の幻影が敢て、淑女の目に向かうように走りその意識を逸らす。
 されど淑女はその幻影すらも噛み砕き――逃げ惑う瑠璃はその進路に地雷を仕掛けるも。
 稼げた時間はほんの僅か。幻影による撹乱も、投げ放つ爆弾や地雷の爆風も、全てを捕食しながら向かう淑女の姿が其処に在った。
「行くよ、緋瑪」
「行こう、瑠璃」
「「さぁ、魔王女殺しを始めよう」」
 ――漸くに緋瑪の魂に受肉をさせた殺人姫達は、体中から莫大な闘気を迸らせた。
 その命を削ることも厭わないが故の、凄まじい闘気が齎す銃弾の一撃と、大鎌が持つ炸薬の軌道は先と比べ物にならぬ程に高まる。
 目で追うのすらもギリギリとなった淑女は、それでも――銃弾の雨に肩の蒸気機関を打ち壊されながらも高らかに笑き、顎門を開く。
「その全ての魂、わたくしの糧となるが良いでしょう」
「そんなに食べたかったら」
「ご馳走してあげるよ!」
 勿論、ご馳走するのは――彼女達の掌に輝ける、全ての力を振り絞ったその輝き。
「「さぁ、アウルムの元へ逝かせよう!」」
 開かれた顎門へと投げ放たれたそれが、合図のように打ち合えば、それが反射的に淑女の捕食口を閉じさせる。
 そして――揃った牙から漏れ出すは激しき閃光。
 殲滅の輝きが齎す莫大な熱量と閃光が、光り輝く柱となりながら身体の内側より激しく淑女を灼いていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
(丸呑みは好都合ですが……狙いを気づかれないようにしないといけませんね)
まずは銃型魔導兵器を使用して遠距離戦を仕掛けます。風属性で風を操って距離を取り、炎属性に切り替えて手にした本を狙いましょう(属性攻撃・挑発)。近づかれたら風で土煙を起こして目くらまし、再び距離を取ってカマイタチで攻撃。土属性に変えて土の壁で攻撃をしのぎます。
(あわよくばUCを使わずに仕留められれば……と思いましたが、やはり属性切り替えの瞬間は隙になりますね)
対応しきれなくなったら飲み込まれ、体内でUC発動。全身を液体金属に変え、金属の槍を形成して内側から貫きましょう。



●正直か繰り返すか
 水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)――正確に言えば、その内に眠る人格の一人であるロキは、淑女の捕食口を逃れながら思った。
(丸呑みは好都合ですが……狙いを気づかれないようにしないといけませんね)
 これまでに幾度か捕食の隙を狙われ、一呑みとすることに淑女は警戒しているようにも見えた。
 故に慎重に――銃を構え解き放った風を以て適切な距離を保ちながら、彼は属性を切り替えて解き放つ。宿した属性は炎、それが向かう先は――
「あらあらまあ」
 されど淑女は捕食口を大きく開くと、解き放たれた炎を貪り喰らいながら、手に持ったそれを見せつけて逆にロキを煽る。
「いけませんわ。この本は、これでも大事なものでして……おいたが過ぎましてよ?」
「ぐっ……!」
 されどロキの狙い自体は効果があったか、捕食口を開き牙を向ける姿には、若干の乱れが見えていた。
 咄嗟に土埃を産み出し、視界を封じながら鎌鼬を解き放つとも、淑女はそれを喰らいながら彼に肉薄し――南無三。
 銃器より放つ土の加護を以て作り出した壁を、代わりに齎し躱すも、淑女はそれすらも喰らいながら嗤う。
「見事に凌いでおりますわね。されど決定打を持たねば同じこと。それに」
 このまま攻めを続ければ、やがて限界が来て食べられる――地力の差という、超えられない壁を知るか、淑女は嗤う。
(あわよくばユーベルコードを使わずに仕留められれば……と思いましたが、やはり属性切り替えの瞬間は隙になりますね)
 その上、これまでのロキの攻め手で唯一に隙と言える部分――切り替えの僅かな硬直すらも、淑女は見切っているかのように、敢て違う属性を活用せざるを得ない状況まで追い込んでくる。
 ――なれば。侵し、受け入れ、喰らい、ひとつに。
 切り替えの間に合わない隙を敢て曝け出しながら、神速の丸呑みを敢て彼は受け――そして。
「……これで、三度目、ですわねっ……!」
 ――ロキにとっての正直、淑女にとっての二度あることは。
 体内より突き上がる液体金属に作られた槍は、まるでウニのように淑女の身体を内側から突き破っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
こいつを倒す事はオウガ・オリジンの力を強める事に繋がるんだよな。
けど、こいつを野放しにする事でこの世界だけじゃなく他の世界にまで危害が及ぶのを見過ごす訳にはいかない。
行くぞ、シャーリー!

奴の先制攻撃に敢えて突っ込み迎え撃つ……様に【フェイント】で見せかけ、下の口の間合いに入る前に【神火の竈】の炎を放つ。
同時に【物を隠す】でその炎を目くらましに【ダッシュ】で死角に潜り込むと同時にシャーリーとタイミングを合わせて炎の【属性攻撃】を付与した大包丁の【二回攻撃】を叩き込み、トドメに【神火の竈】の炎で奴を焼き払う!


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
難しいことはわかんないけど、彼女を放っておいたら色んな世界が大変な事になるんだよね?
だったら、ボクたちでやっつける!
オウガ・オリジンがパワーアップしても、その時はその時っ!

あの口はリーチが短いからボクたちを攻撃しようとしたら接近しなくちゃいけない
だからウィーリィくんが注意を惹いている間に【ロープワーク】+【罠使い】で足元にスネアトラップを仕掛けて、動きが止まった隙に【エクストリームミッション】発動!
猛スピードで飛び回りながらフォースカトラスの【2回攻撃】でウィーリィくんと一緒に斬りつけて、一気に急上昇して頭上から【クイックドロウ】+【スナイパー】で熱線の雨を降らせるよ!



●食べたいなら食べさせる
 ――猟書家達はそれぞれ、オウガ・オリジンの力を分割して奪っているのだという。
 つまり倒して追い詰めれば追い詰める程、奪った力は元の場所に帰るわけで……。
「こいつを倒すことは、オウガ・オリジンの力を強める事に繋がるんだよな」
 ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は、グリモアベースでも語られていた危惧を改めて口に出した。
 されど放置をした先に在る危険もあり、どちらを取るか――シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)は快活に笑いながら、ウィーリィの背中を軽く叩いた。
「その時はその時! 少なくとも、見過ごしたらアルダワが危ないんでしょ?」
「その通りだ! 見過ごすわけにはいかない、行くぞシャーリー!」
「オーケー、ウィーリィくん!」
 戦う決意を固めた少年と少女の気配と、その会話の一部が聞こえたか、淑女は口元に微笑みを浮かべると、乳房の下の口に生えた牙を鳴らす。
「ふむ……オウガ・オリジンに力が往くのを危惧するかと思いましたが、その意気や良し。であれば偉大なる父様の名において、全霊で相手になりましょう」
 スカートの裾を摘まみ上げ、カーテシーを一つ。開かれた顎門の牙の鋭きを見せつけながら、真っ向から淑女は駆け抜ける。
 それに対し、ウィーリィは大包丁を片手に真っ向から斬り込む――そのまま、飲み込まれ獅子身中の何とやらを再現せんと。
 だが淑女はウィーリィを呑まんとする寸前、いきなり顎門を猫騙しのように寸前で閉じ、僅かに一歩を退く。一瞬驚いたウィーリィを改めて、丸呑みから咀嚼に変えるべく牙に巻き込まんと顎門を開くが――淑女の視界を覆い尽すは炎。
 どの道関係ない、と言わんばかりに操られた神がかりの業火が立ち上り、淑女の視界を焼いていた。
「ぐっ……! やりますね」
「あんたもな……でもな!」
 ウィーリィの声が合図となったかと思えば、淑女の足首は晒されていき、引っ掛けられた罠は彼女の身に尻餅を着かせる。
 淑女の目線の先には、罠を――スネア・トラップを手繰るシャーリーの姿があった。
 あれだけの業火すらシャーリーが罠を仕掛ける為の時間稼ぎだったというのか――
「っ!? なっ……まさか、あなたすら囮だと……!?」
「信じてるからだよ。ウィーリィくんとボクの覚悟と信頼……その二つの嵐、味わう覚悟は……」
「あるよなぁ!?」
 驚愕から二重の意味で立ち上がった時には、既にそれは遅く。
 淑女の目には決意と勇気の鮫が如き鎧を纏い、バーニアの気流を盛大に噴き上げたシャーリーの姿が其処に在り。
 その手に握られた光り輝くカットラスの刃が、幾度となき激戦で傷つけられた方の蒸気機関を完全に斬り落とし。
 そのまま開かれた顎門の牙を、身体を捻りながらの斬撃で斬り飛ばせば、更に炎に紛れ身を隠していたウィーリィよりの大包丁の刃が淑女の背を斬り裂いた。
 背中に走る斬撃と傷口を焼く火炎に顔を顰めながらも、淑女はまた大口を開き二人を丸呑みにせんと迫るが、ウィーリィが返す刀で袈裟懸けに淑女を斬り裂き。
 そしてシャーリーがバーニアを噴き上げながら、淑女を切り上げつつ天高く舞い上がれば、彼女はマスケット銃を突き出し。
「まだまだ終わらないよ! 史上最大の熱線の嵐――弾けるぐらいに、味わわせてあげる!」
 降り注ぐは有言実行の嵐。
 喰えども食えども終わりの見えぬ、指が弾かれる度に注ぐ無数のプラズマを伴う熱線の嵐が、淑女の身体に風穴を開け傷口すらも灼き、血飛沫の代わりに苦痛の叫びを挙げさせた。
「これで終りだレディ・ハンプティ――人類で最初に火を手にした人間は、こう叫んだ!」
 その間にウィーリィは熱線の嵐の隙間を――無論シャーリーの正確無比な狙いがウィーリィのみを巧みに避けているのもあるが――抜けながら、改めて大包丁を掲げた。
 舞い踊る業火が高圧と高熱の蒸気すらも焼き払うが如く踊り、淑女を縫い留める熱線の嵐に煽られ更にその勢いを増しながら。
「我こそは、料理人なりィィイイイーーーッッ!!」
 果て無き人の無限の幸福を祈る料理人の誇り<炎>は、淑女の身体に絡みつきながらやがては巨大な火柱を象り。
 天を焼き尽くす勢いで登ったそれと、天より注ぐ決意の熱線と相乗し合いながらその熱をどこまでも高め合い、淑女の身体を焼き焦がしていくのであった。

●美味なる一重の
「わたくし退くという選択肢はございません。全ては偉大なる父様に続く為に」
「ハッ、父の無念を晴らす為か。何とも健気な娘だな」
 追い詰められながらも蒸気を噴き上げながら、牙を鳴らす淑女にキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は傍らに絶望の名を冠する人形を浮かべた。
 錆付いた刃が打ち鳴らされる牙と抗うように打ち合い、彼女は短刀を逆手に握りながら言刃を投げかけた。
「一刻も早く父親に逢わせてやりたくなったぞ」
「面白いお嬢様。貴女こそ冥府で父様に詫び続けるが良いでしょう」
 交わされる視線も一瞬に。
 絶望の人形が舞い踊り、錆付いた刃が嗤うように舞いながら淑女の布を掠め引き裂きながら。
 開かれる淑女の顎門を、その牙に呑まれるその前に、真っ直ぐに突き出したキリカの拳が――その牙に挟まれた。
「……ああっ! 勝利を急ぐあまり、片腕が!」
「ふっ……最早騙されませんわ」
 最早幾度となく文字通りに味わってきた屈辱。
 そうなる前にとその腕を咀嚼し微塵も残さずにせんとしたその時――淑女が、その顔色を青褪めさせ呻いた。
 片腕を食い千切られた筈のキリカは物ともせずに笑いながら、短刀を走らせ淑女を追い詰めながら問う。
「どんな味だ?」
 今、淑女の体内で暴れ回るは正にキリカの食い千切られた筈の腕――よくよく見れば、彼女の傷口に立ち込めるは紫めいた霧か。
 文字通りの天国を見せる程に甘く香るそれは、彼女の身体の一部を転じさせた毒霧。
 吐き出しという防衛機構すらも許さぬ微粒子が、正しく内側から幾度となく殴りつけ刻むように、毒爪が淑女の血管を、内臓を焼け爛れさせていく。
 口より血を吐き出しながら、それでも淑女は上下の口を歪めて。
「ええ、最高のお味ですわ!」
「ならばもっと美味そうな顔をしろ。……デザートも、な」
 無論暴れさせただけに留まる訳もなく。淑女の体内を巡った毒は元はキリカ自身の手――卓越せし医の技術が見切った、致命の箇所へ。
 下腹の内と外を挟むように、毒霧の拳と健全なる拳の両方を叩きつける――!
「ガ、ハア……!」
「フン。精々、あの世で父親に褒めて貰うんだな……」
 内外から相乗せし衝撃と毒が一斉に爆ぜ、淑女の身体は物言わぬ骸となり。
 まるで蒸気消え失せていくかのように塵となっていく身体を見送り、毒霧の腕を元のそれに戻しながら、悪食たる淑女の最期に言葉を贈るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

ハッ!父の無念を晴らすために奮闘する娘か
何とも健気な話だな…一刻も早く父親に逢わせてやりたくなったぞ

デゼス・ポアを浮かせ片手にナガクニを装備
自在に宙を舞うデゼス・ポアが放つ刃で牽制し距離を詰め
拳を奴の身体に叩きつける

ああ!勝利を急ぐあまり私の片腕が奴の腹に納まってしまった!
…どんな味だ?

奴がUCを発動し喰らおうとしたらこちらもUCを発動
片腕を猛毒の霧に変化させ、内臓を爛れさせる
散々腹の中で暴れた後は、医術を使い最もダメージを受けた部位を内部の腕で触診
その場所にグラップルで内外から拳を叩きつけて追撃をする

フン、失礼な奴だな
せっかく食ったのだから、もう少し旨そうな顔をしたらどうだ?



●美味なる一重の
「わたくし退くという選択肢はございません。全ては偉大なる父様に続く為に」
「ハッ、父の無念を晴らす為か。何とも健気な娘だな」
 追い詰められながらも蒸気を噴き上げながら、牙を鳴らす淑女にキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は傍らに絶望の名を冠する人形を浮かべた。
 錆付いた刃が打ち鳴らされる牙と抗うように打ち合い、彼女は短刀を逆手に握りながら言刃を投げかけた。
「一刻も早く父親に逢わせてやりたくなったぞ」
「面白いお嬢様。貴女こそ冥府で父様に詫び続けるが良いでしょう」
 交わされる視線も一瞬に。
 絶望の人形が舞い踊り、錆付いた刃が嗤うように舞いながら淑女の布を掠め引き裂きながら。
 開かれる淑女の顎門を、その牙に呑まれるその前に、真っ直ぐに突き出したキリカの拳が――その牙に挟まれた。
「……ああっ! 勝利を急ぐあまり、片腕が!」
「ふっ……最早騙されませんわ」
 最早幾度となく文字通りに味わってきた屈辱。
 そうなる前にとその腕を咀嚼し微塵も残さずにせんとしたその時――淑女が、その顔色を青褪めさせ呻いた。
 片腕を食い千切られた筈のキリカは物ともせずに笑いながら、短刀を走らせ淑女を追い詰めながら問う。
「どんな味だ?」
 今、淑女の体内で暴れ回るは正にキリカの食い千切られた筈の腕――よくよく見れば、彼女の傷口に立ち込めるは紫めいた霧か。
 文字通りの天国を見せる程に甘く香るそれは、彼女の身体の一部を転じさせた毒霧。
 吐き出しという防衛機構すらも許さぬ微粒子が、正しく内側から幾度となく殴りつけ刻むように、毒爪が淑女の血管を、内臓を焼け爛れさせていく。
 口より血を吐き出しながら、それでも淑女は上下の口を歪めて。
「ええ、最高のお味ですわ!」
「ならばもっと美味そうな顔をしろ。……デザートも、な」
 無論暴れさせただけに留まる訳もなく。淑女の体内を巡った毒は元はキリカ自身の手――卓越せし医の技術が見切った、致命の箇所へ。
 下腹の内と外を挟むように、毒霧の拳と健全なる拳の両方を叩きつける――!
「ガ、ハア……!」
「フン。精々、あの世で父親に褒めて貰うんだな……」
 内外から相乗せし衝撃と毒が一斉に爆ぜ、淑女の身体は物言わぬ骸となり。
 まるで蒸気消え失せていくかのように塵となっていく身体を見送り、毒霧の腕を元のそれに戻しながら、悪食たる淑女の最期に言葉を贈るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月16日


挿絵イラスト